説明

多光軸光電センサ、投光器、及び受光器

【課題】取り付け状態によらず無駄なく表示灯の認識を行うことができる多光軸光電センサ、投光器、及び受光器を提供する。
【解決手段】投光器10及び受光器11のいずれか一方に設けられる第1の表示灯(16、23)、及び第2の表示灯(15、24)であって、光軸13を挟んで危険領域R1(第1の領域)側の側面に設けられ当該多光軸光電センサ1の所定の状態を表示する第1の表示灯(16、23)、及び光軸13を挟んで非危険領域R2(第2の領域)側の側面に設けられ当該多光軸光電センサ1の所定の状態を表示する第2の表示灯(15、24)と、第1の表示灯(16、23)、及び第2の表示灯(15、24)の点灯態様を変更する点灯制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多光軸光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子列及び受光素子列の少なくとも一方の列からなるセンサ素子列の両側に可視光(緑色の光)を発する作業表示灯が設けられているワイド型光電センサ(多光軸光電センサ)が知られている。このワイド型光電センサによると、作業者は作業表示灯が発する可視光を、発光素子から出射されて受光素子に至る光路を挟んでどちら側にいても視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−123805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、取り付けられた状態で作業者が多光軸光電センサを見る側はほぼ決まっている。このため、光軸を挟んで左右両側に作業表示灯を設けると、作業者が多光軸光電センサを見る側とは逆側に設けた作業表示灯が無駄になるという問題がある。
また、取り付けられた状態で作業者が多光軸光電センサをどちらの側からも見る場合もあるが、その場合であっても、少なくとも片側から見られればよい場合もある。例えば危険領域から保護する意味で危険領域と非危険領域(安全領域)とを多光軸光電センサで仕切る場合がある。この場合は、少なくとも安全領域側から作業表示灯を確認できればよく、危険領域側に設けた作業表示灯を安全領域側と同じ点灯態様にすると無駄になる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、取り付け状態によらず無駄なく表示灯の認識を行うことができる多光軸光電センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、多光軸光電センサであって、複数の投光素子を有する投光器と、対応する前記投光素子から出射された光を受光する複数の受光素子を有する受光器と、各前記投光素子から出射された光が対応する前記受光素子で受光されたか否かに基づいて、各前記投光素子から各前記受光素子に至る光軸上の物体の有無を検出する検出手段と、少なくとも前記投光器及び前記受光器のいずれか一方に設けられている第1の表示灯、及び第2の表示灯であって、前記光軸の配列方向と直交する方向の一方の側面に設けられ当該多光軸光電センサの所定の状態を表示する第1の表示灯、及び他方の側面に設けられ当該多光軸光電センサの所定の状態を表示する第2の表示灯と、を備え、前記第1の表示灯と前記第2の表示灯とは互いに異なる点灯態様で点灯する。
この発明によると、取り付け状態によらず無駄なく第1の表示灯、及び第2の表示灯の認識を行うことができる。
【0006】
第2の発明は、第1の発明の多光軸光電センサであって、前記第1の表示灯、及び前記第2の表示灯の点灯態様を変更する点灯制御手段を備える。
この発明によると、取り付け状態に応じて第1の表示灯、及び第2の表示灯の点灯態様を変更することにより、取り付け状態によらず無駄なく第1の表示灯、及び第2の表示灯の認識を行うことができる。
【0007】
第3の発明は、第1又は第2の発明の多光軸光電センサであって、前記第1の表示灯、及び前記第2の表示灯のいずれか一方を点灯又は点滅させ、他方を常時消灯させる点灯制御手段を備える。
この発明によると、作業者が多光軸光電センサを見る側とは逆側に設けた表示灯を常時消灯することにより、無駄なく第1の表示灯、及び第2の表示灯の認識を行うことができる。
【0008】
第4の発明は、第1〜第3のいずれかの発明の多光軸光電センサであって、前記第1の表示灯の点灯態様と前記第2の表示灯の点灯態様とを切り替える点灯制御手段を備える。
この発明によると、前記光軸の配列方向と直交する方向の一方の側からも他方の側からも、取り付け状態によらず常に同じ点灯態様で点灯させることができる。
【0009】
第5の発明は、第1〜第4のいずれかの発明の多光軸光電センサであって、前記第1の表示灯は複数の前記投光素子及び複数の前記受光素子の少なくとも一方に跨る長さを有し、前記第2の表示灯は複数の前記投光素子及び複数の前記受光素子の少なくとも一方に跨る長さを有する。
この発明によると、第1の表示灯、及び第2の表示灯の視認性を高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1の領域側にいるのか第2の領域側にいるのかを作業者が容易に知ることのできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る多光軸光電センサの模式図。
【図2】多光軸光電センサを設置した様子を上方から示す模式図。
【図3】投光器の正面図。
【図4】投光器の左側の側面図。
【図5】投光器の右側の側面図。
【図6】多光軸光電センサの電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図6によって説明する。
(1)多光軸光電センサの構成
図1は、本発明の実施形態1に係る多光軸光電センサ1の模式図である。多光軸光電センサ1は、互いに対向配置される投光器10と受光器11とを備えて構成されている。なお、図1では投光器10及び受光器11の形状を一部省略して模式的に示している。投光器10及び受光器11の具体的な形状は後述する図3〜図5に示すとおりである。
【0013】
図2は、多光軸光電センサ1を設置した様子を上方から見た模式図である。多光軸光電センサ1は、工場内のプレス機械の近傍など、作業者に危害が及び得る危険領域R1と非危険領域R2とを投光器10及び受光器11間の光軸13で仕切るように設置され、投光素子14(図3参照)から出射された光が受光素子22(図1参照)で受光されたか否かに基づいて光軸13上の物体の有無を検出する。
【0014】
(1−1)投光器
図3は投光器10の正面図である。投光器10は上下に延びた角柱状をなしており、受光器11に対面する面(正面)に複数の投光素子14が上下方向に一列に配列されている。
投光器10の正面において投光素子14の左側には、上下方向に延びる左側大型アプリ表示灯15(第2の表示灯の一例)が設けられており、同じく右側には上下方向に延びる右側大型アプリ表示灯16(第1の表示灯の一例)が設けられている。左側大型アプリ表示灯15は複数の投光素子14に跨る長さを有しており、右側大型アプリ表示灯16も複数の投光素子14に跨る長さを有している。
【0015】
これら左右の大型アプリ表示灯15、16は、多光軸光電センサ1の動作状態(所定の状態の一例)を表示するためのものである。多光軸光電センサ1の動作状態には、電源が投入されることにより光軸13上の物体を検出可能な検出状態と、電源が遮断されて光軸13上の物体を検出不可能な非検出状態とがあり、左右の大型アプリ表示灯15、16は点灯することにより多光軸光電センサ1が検出状態であることを表示し、常時消灯することにより非検出状態であることを表示する。
【0016】
以下、左右の大型アプリ表示灯15、16についてより具体的に説明する。
投光器10の正面には、投光素子14の列の左側に沿って上下方向に延びる長穴が形成されており、無色透明な部材17(樹脂部材、ガラスなど)によってその長穴が閉塞されている。ここでは無色透明な部材17として樹脂部材を例に説明する。その樹脂部材17の紙面奥側(投光器10の内部)には、緑色の光を発する図示しないLEDが上下方向に互いに離間して複数配置されているとともに、赤色の光を発する図示しないLEDが上下方向に互いに離間して複数配置されている。これらのLEDが左側大型アプリ表示灯15を構成している。なお、左側大型アプリ表示灯15の光源はLED以外であってもよく、可視光を発する光源であれば任意の光源を用いることができる。
【0017】
同様に、投光器10の正面には、投光素子14の列の右側に沿って上下方向に延びる長穴が形成されており、無色透明な部材18によってその長穴が閉塞されている。その樹脂部材18の紙面奥側(投光器10の内部)には、緑色の光を発する図示しないLEDが上下方向に互いに離間して複数配置されているとともに、赤色の光を発する図示しないLEDが上下方向に互いに離間して複数配置されている。これらのLEDが右側大型アプリ表示灯16を構成している。
【0018】
図4は、投光器10の左側の側面図である。投光器10の左側の側面(「光軸13の配列方向と直交する方向の一方の側面」の一例)には上下方向に延びる長穴が形成されており、無色透明な樹脂部材19によってその長穴が閉塞されている。投光器10の左側の側面に長穴を形成することにより、作業者は左側大型アプリ表示灯15が発する光を投光器10の左側からも視認することができる。
【0019】
図5は、投光器10の右側の側面図である。投光器10の右側の側面(「他方の側面」の一例)にも上下方向に延びる長穴が形成されており、無色透明な樹脂部材20によってその長穴が閉塞されている。投光器10の右側の側面に長穴を形成することにより、作業者は右側大型アプリ表示灯16が発する光を投光器10の右側からも視認することができる。
【0020】
左側の大型アプリ表示灯15、及び右側の大型アプリ表示灯16は、それぞれ上下方向の中心が投光器10の上下方向の中心に位置するように配置されている。従って、投光器10を上下逆に設置しても大型アプリ表示灯の上下方向の位置は一定である。
【0021】
図3に戻り、投光器10の正面には、多光軸光電センサ1の各種の状態を報知するための情報表示部21が設けられている。情報表示部21には、多光軸光電センサ1に動作エラーが生じた場合にそのエラーに対応する番号を表示するデジタルエラー表示灯や、点灯/消灯、あるいは点灯色の違いにより多光軸光電センサ1の各種の状態を報知する複数のLEDなどが設けられている。
【0022】
(1−2)受光器
受光器11の外観は投光器10の外観と概ね同じであり、上下に延びた角柱状をなしている。図1に示すように、受光器11は、投光器10に対面する面に各投光素子14と対をなす複数の受光素子22が上下方向に沿って一列に配列されており、投光器10と同様に左側大型アプリ表示灯23(第1の表示灯の一例)、及び右側大型アプリ表示灯24(第2の表示灯の一例)が設けられている。
【0023】
(1−3)投光素子、受光素子及び大型アプリ表示灯の配置位置
図1及び図3に示すように投光素子14及び受光素子22の数はそれぞれ16個であり、上下方向で同じ順位に配置された投光素子14と受光素子22とが互いに正規の相手方になっている。詳しくは後述するが、各受光素子22が光を受光して出力する受光信号は、正規の相手方である投光素子14からの光を受光したときにのみ受光回路40に受信される。
【0024】
図3に示すように投光素子14は投光器10の上下方向の中心を境として上下対象に配置されている。投光器10を上下逆に設置すると、上下逆に設置する前とは各投光素子14の相手方となる受光素子22は入れ替わるものの、各投光素子14から出射された光はそれぞれいずれかの受光素子22によって受光される。つまり、投光器10は上下を逆に設置することも可能である。
【0025】
図1に示すように受光素子22も受光器11の上下方向の中心を境として上下対象に配置されている。受光器11を上下逆に設置すると、上下逆に設置する前とは各受光素子22の相手方となる投光素子14は入れ替わるものの、各受光素子22はそれぞれいずれかの投光素子14から出射された光を受光する。つまり、受光器11も上下を逆に設置することが可能である。
【0026】
前述したように左右の大型アプリ表示灯15、16はその上下方向の中心が投光器10の中心に一致するように配置されている。このため、投光器10を上下逆にしても大型アプリ表示灯15、16の上下方向の位置は一定である。受光器11に設けられている左右の大型アプリ表示灯23、24についても同様である。
【0027】
(2)多光軸光電センサの電気的構成
図6は、多光軸光電センサ1の電気的構成を示すブロック図である。
投光器10は、投光回路30、投光素子14、左右の大型アプリ表示灯15、16、情報表示部21などを備えて構成されている。なお、図中では左側大型アプリ表示灯15を左側表示灯15、右側大型アプリ表示灯16を右側表示灯16と略して表記している。
【0028】
投光回路30(点灯制御手段の一例)は、所定のクロックパルス信号に基づいて作動し、上側の投光素子14から下側の投光素子14へと順次に駆動信号を与え、この動作を高周期で繰り返すことにより、投光器10の上側の投光素子14から順次に光が出射される。なお、投光器10を上下逆に設置した場合には、例えば設定を替えることにより、上側の投光素子14から順次に駆動信号が与えられるものとする。
【0029】
投光回路30には、大型アプリ表示灯15、16の点灯態様を変更するための点灯制御信号を外部から入力するための入力端子31(点灯制御手段の一例)が設けられている。
ここで本実施形態において点灯態様とは、発光する光の色と、LEDの点灯、常時消灯、又は点滅との組み合わせをいう。なお、点滅については点滅間隔を変えることにより複数の点滅パターンがあってもよい。多光軸光電センサ1の管理者は、入力端子31から点灯制御信号を入力することにより、例えば左側大型アプリ表示灯15については赤色で点滅させ、右側大型アプリ表示灯16については緑色で点灯させるなどのように、左右の大型アプリ表示灯15、16の点灯態様を独立して変更することができる。
【0030】
なお、各大型アプリ表示灯15、16がそれぞれ単色しか発光できない場合は、各点灯態様はLEDの点灯、常時消灯、又は点滅のみが互いに異なることになり、逆にLEDの点灯、常時消灯、又は点滅を替えられない場合は、各点灯態様は発光する色のみが互いに異なることになる。
【0031】
本実施形態では、初期設定で左側大型アプリ表示灯15の点灯態様は「赤色で点灯」に設定され、右側大型アプリ表示灯16の点灯態様は「緑色で点灯」に設定されているとする。左側大型アプリ表示灯15の点灯態様が「赤色で点灯」であり、右側大型アプリ表示灯16の点灯態様が「緑色で点灯」であるので、少なくとも初期設定の状態では左側大型アプリ表示灯15の点灯態様と右側大型アプリ表示灯16の点灯態様とは互いに異なっていることになる。
【0032】
なお、多光軸光電センサ1は左側大型アプリ表示灯15と右側大型アプリ表示灯16とが異なる点灯態様で点灯できるように構成されていればよく、必ずしも常に点灯態様が異なっていなくてもよい。
【0033】
受光器11は、受光回路40(検出手段、点灯制御手段の一例)、受光素子22、左右の大型アプリ表示灯23、24、複数のスイッチ素子41、シフトレジスタ42、情報表示部43などを備えて構成されている。なお、図中では左側大型アプリ表示灯23を左側表示灯23、右側大型アプリ表示灯24を右側表示灯24と略して表記している。なお、前述した図1では情報表示部43を省略して示している。
【0034】
スイッチ素子41の一方のリード部は各受光素子22の出力端子に接続されており、他方のリード部は受光回路40の入力端子に共通接続されている。各スイッチ素子41はそれぞれ制御用端子を備えており、制御用端子はシフトレジスタ42を介して受光回路40の出力端子に接続されている。
【0035】
受光回路40は、シフトレジスタ42を介して各スイッチ素子41に駆動信号を順に出力することにより各スイッチ素子41を順にオンにし、オンになったスイッチ素子41に連なる受光素子22の受光信号だけが受光回路40に取り込まれる。
受光回路40は、ラインL1を介して投光回路30から上述したクロックパルス信号を取り込んでおり、このクロックパルス信号に同期して所定のスイッチ素子41をオンにする。具体的には、受光回路40は、上下一列に配された投光素子14のうち所定順位の投光素子14が光を光した瞬間に、その投光素子14と同順位に配された受光素子22に連なるスイッチ素子41のみをオンする。これにより、各受光素子22が正規の相手方の投光素子14からの光を受光したときにのみ、その受光素子22が出力した受光信号が受光回路40に取り込まれる。なお、受光器11を上下逆に設置した場合には、例えば設定を替えることにより、上側の受光素子22から順次にオンにされるものとする。
【0036】
受光回路40は、各スイッチ素子41を順次にオンオフ制御するタイミングに同期して、所定の基準電圧Vc1と取り込んだ受光信号との大小関係をチェックする。光軸13上に物体が有ると、投光素子14から出射された光がその物体に遮られ、受光素子22から出力される受光信号が基準電圧Vc1より小さくなる。受光回路40は順次に取り込んだ受光信号の全てが基準電圧Vc1を上回ったか否かによって光軸13上の物体の有無を検出する。
【0037】
受光回路40には出力端子44が設けられており、受光回路40は検出結果に応じて反転する検出信号を出力端子44から出力する。出力端子44に外部の制御装置を接続し、その制御装置により検出信号を監視することにより、光軸13上の物体の有無を知ることができる。
【0038】
受光回路40には、大型アプリ表示灯23、24の点灯態様を変更するための点灯制御信号を外部から入力するための入力端子45(点灯制御手段の一例)が設けられており、利用者は入力端子45から点灯制御信号を入力することにより、左右の大型アプリ表示灯23、24の点灯態様をそれぞれ独立して変更することができる。
【0039】
本実施形態では、受光器11に設けられている右側大型アプリ表示灯24の点灯態様は投光器10に設けられている左側大型アプリ表示灯15の点灯態様と同じに設定され、受光器11に設けられている左側大型アプリ表示灯23の点灯態様は投光器10に設けられている右側大型アプリ表示灯16の点灯態様と同じに設定されるものとする。従って、受光器11の場合は、初期設定では左側大型アプリ表示灯23の点灯態様は「緑色で点灯」に設定されており、右側大型アプリ表示灯24の点灯態様は「赤色で点灯」に設定されている。
【0040】
(3)多光軸光電センサの作動
多光軸光電センサ1に電源を投入すると、投光器10に設けられている左右の大型アプリ表示灯15、16、及び受光器11に設けられている左右の大型アプリ表示灯23、24が点灯する。
【0041】
点灯態様が初期設定のままである場合は、各大型アプリ表示灯が点灯すると、危険領域R1(第1の領域)にいる作業者からは、図2に示すように第1の表示灯(投光器10の右側大型アプリ表示灯16、及び受光器11の左側大型アプリ表示灯23)から発せられる緑色の光が視認される。これにより作業者は、多光軸光電センサ1の向こう側は非危険領域R2であり、現在自分は危険領域R1にいることを直感的に理解できる。
【0042】
一方、非危険領域R2(第2の領域)にいる作業者からは、図2に示すように第2の表示灯(投光器10の左側大型アプリ表示灯15、及び受光器11の右側大型アプリ表示灯24)から発せられる赤色の光が視認される。これにより作業者は、多光軸光電センサ1の向こう側は危険領域R1であり、現在自分は非危険領域R2にいることを直感的に理解できる。
【0043】
そして、例えば危険領域R1側を立ち入り禁止にする場合には、危険領域R1側から視認される第1の表示灯については常時消灯するように点灯態様を変更することにより、無駄なく表示灯の認識を行うことができる。この場合に、例えば投光器10のみを上下逆に設置した場合には、投光器10について第1の表示灯の点灯態様を点灯に変更し、第2の表示灯の点灯態様を常時消灯に変更すると、危険領域R1側から視認される第2の表示灯が常時消灯することにより、取り付け状態によらず無駄なく表示灯の認識を行うことができる。
【0044】
あるいは、例えば図2に示すように危険領域R1側には緑色の光が発せられ、非危険領域R2側には赤色の光が発せられるように設定されている場合に、受光器11のみを上下逆に設置した場合には、受光器11について右側大型アプリ表示灯24の点灯色を緑色に変更し、左側大型アプリ表示灯23の点灯色を赤色に変更することにより、危険領域側に赤色の光が発せられるという無駄を低減できる、すなわち、取り付け状態によらず無駄なく表示灯の認識を行うことができる。
【0045】
(4)実施形態の効果
以上説明した本発明の実施形態1に係る多光軸光電センサ1によると、取り付け状態によらず無駄なく表示灯の認識を行うことができる。
【0046】
更に、多光軸光電センサ1によると、取り付け状態に応じて第1の表示灯(16、23)、及び第2の表示灯(15、24)の点灯態様を変更することにより、取り付け状態によらず無駄なく第1の表示灯、及び第2の表示灯の認識を行うことができる。
【0047】
更に、多光軸光電センサ1によると、投光器10を上下逆に配置しても左側大型アプリ表示灯15の位置、及び右側大型アプリ表示灯16の位置が上下にずれないようにすることができる。
【0048】
更に、多光軸光電センサ1によると、受光器11を上下逆に配置しても右側大型アプリ表示灯24の位置、及び左側大型アプリ表示灯23の位置が上下にずれないようにすることができる。
【0049】
更に、多光軸光電センサ1によると、第1の表示灯の点灯色と第2の表示灯の点灯色とが異なることにより、作業者は危険領域R1にいるのか非危険領域R2にいるのかを容易に知ることができる。
【0050】
更に、多光軸光電センサ1によると、第1の表示灯、及び第2の表示灯の点灯態様を外部から制御できるので、例えば初期設定の点灯態様では危険領域R1にいるのか非危険領域R2にいるのかを作業者が直感的に理解し難い場合には、理解し易い点灯態様に適宜変更できる。
【0051】
更に、多光軸光電センサ1によると、投光器10に設けられている左右の大型アプリ表示灯15、16は複数の投光素子14に跨る長さを有しており、受光器11に設けられている左右の大型アプリ表示灯23、24は複数の受光素子22に跨る長さを有しているので、各大型アプリ表示灯の視認性を高めることができる。
【0052】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0053】
(1)上記実施形態では危険領域R1(第1の領域)側から視認可能な第1の表示灯を緑色で点灯させ、非危険領域R2(第2の領域)側から視認可能な第2の表示灯を赤色で点灯させる場合を例に説明したが、例えば第1の表示灯の点灯色と第2の表示灯の点灯色とを同じにし、第1の表示灯を点滅させ、第2の表示灯を点灯させることにより点灯態様を異ならせてもよい。
【0054】
(2)上記実施形態では第1の表示灯を緑色で点灯させ第2の表示灯を赤色で点灯させる場合を例に説明したが、いずれか一方の領域にいる作業者には動作状態を知らせなくてもよい場合には、知らせなくてよい領域側の表示灯を消灯してもよい。これにより、無駄な電力消費を抑制できる。
【0055】
(3)上記実施形態では無色透明な樹脂部材と緑色の光を発するLED及び赤色の光を発するLEDとで大型アプリ表示灯を構成しているが、所謂白色光を発するLEDと、光を透過する赤色あるいは緑色の樹脂部材とで大型アプリ表示灯を構成してもよい。
【0056】
(4)上記実施形態では多光軸光電センサ1が検出状態になると第1の表示灯、及び第2の表示灯をともに点灯させ、非検出状態になると第1の表示灯、及び第2の表示灯をともに消灯する場合を例に説明したが、非検出状態のときも第2の表示灯、及び第1の表示灯を点灯させてもよい。
例えば、多光軸光電センサ1が非検出状態のときは第2の表示灯も第1の表示灯も緑色で発光し、多光軸光電センサが検出状態になると、非危険領域R2(第2の領域)側から視認可能な第2の表示灯のみを緑色から赤色に自動で変更するようにしてもよい。すなわち、動作状態に応じて点灯態様を変更するようにしてもよい。これにより、作業者は第1の表示灯、及び第2の表示灯の点灯態様から多光軸光電センサ1の動作状態をより詳しく知ることができる。
【0057】
(5)上記実施形態では、投光器10に第1の表示灯(右側大型アプリ表示灯16)と第2の表示灯(左側大型アプリ表示灯15)とを設け、同じく受光器11にも第1の表示灯(左側大型アプリ表示灯23)と第2の表示灯(右側大型アプリ表示灯24)とを設ける場合を例に説明したが、例えば投光器10には第1の表示灯のみを設け、受光器11には第2の表示灯のみを設けてもよい。あるいは逆に、投光器10には第2の表示灯のみを設け、受光器11には第1の表示灯のみを設けてもよい。
【0058】
(6)上記実施形態では第1の表示灯の点灯態様と第2の表示灯の点灯態様とを独立して変更する場合を例に説明したが、例えば第1の表示灯の点灯態様と第2の表示灯の点灯態様とを切り替える点灯制御手段を備えてもよい。具体的には例えば、第1の表示灯が緑色で点灯であり、第2の表示灯が赤色で点灯であるとすると、点灯制御手段は、第1の表示灯を赤色で点灯に変更するとともに、第2の表示灯を緑色で点灯に変更するようにしてもよい。これにより、光軸の配列方向と直交する方向の一方の側からも他方の側からも、取り付け状態によらず常に同じ点灯態様で点灯させることができる上、多光軸光電センサの管理者が第1の表示灯の点灯態様と第2の点灯態様とを入れ替える作業の手間を低減できる。
【符号の説明】
【0059】
1・・・多光軸光電センサ
10・・・投光器
11・・・受光器
13・・・光軸
14・・・投光素子
15・・・左側大型アプリ表示灯(第2の表示灯)
16・・・右側大型アプリ表示灯(第1の表示灯)
17・・・樹脂部材(第2の表示灯)
18・・・樹脂部材(第1の表示灯)
19・・・樹脂部材(第2の表示灯)
20・・・樹脂部材(第1の表示灯)
22・・・受光素子
23・・・左側大型アプリ表示灯(第1の表示灯)
24・・・右側大型アプリ表示灯(第2の表示灯)
30・・・投光回路(点灯制御手段)
31・・・入力端子(点灯制御手段)
40・・・受光回路(検出手段、点灯制御手段)
45・・・入力端子(点灯制御手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の投光素子を有する投光器と、
対応する前記投光素子から出射された光を受光する複数の受光素子を有する受光器と、
各前記投光素子から出射された光が対応する前記受光素子で受光されたか否かに基づいて、各前記投光素子から各前記受光素子に至る光軸上の物体の有無を検出する検出手段と、
少なくとも前記投光器及び前記受光器のいずれか一方に設けられている第1の表示灯、及び第2の表示灯であって、前記光軸の配列方向と直交する方向の一方の側面に設けられ当該多光軸光電センサの所定の状態を表示する第1の表示灯、及び他方の側面に設けられ当該多光軸光電センサの所定の状態を表示する第2の表示灯と、
を備え、
前記第1の表示灯と前記第2の表示灯とは互いに異なる点灯態様で点灯する、多光軸光電センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の多光軸光電センサであって、
前記第1の表示灯、及び前記第2の表示灯の点灯態様を変更する点灯制御手段を備える、多光軸光電センサ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の多光軸光電センサであって、
前記第1の表示灯、及び前記第2の表示灯のいずれか一方を点灯又は点滅させ、他方を常時消灯させる点灯制御手段を備える、多光軸光電センサ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の多光軸光電センサであって、
前記第1の表示灯の点灯態様と前記第2の表示灯の点灯態様とを切り替える点灯制御手段を備える、多光軸光電センサ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の多光軸光電センサであって、
前記第1の表示灯は複数の前記投光素子及び複数の前記受光素子の少なくとも一方に跨る長さを有し、
前記第2の表示灯は複数の前記投光素子及び複数の前記受光素子の少なくとも一方に跨る長さを有する、多光軸光電センサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−239560(P2010−239560A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87622(P2009−87622)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】