説明

多列スティック自動包装機のスライド計量機構の補強

【課題】シャッター板中央付近の重力による歪みを矯正して隙間増加を抑え、結果として重量が軽くコストの安い機構であっても粉漏れが発生しない構造を有する多列スティック自動包装機のスライド計量機構を提供する。
【解決手段】多列スティック自動包装機のスライド計量機構4において、シャッター板21の下には補強部材22が掛け渡され、このシャッター板21と補強部材22の間には、垂直方向に伸び縮み自在の押圧部材23、24、25が設置されている。そして、スライド供給盤5と、この直下に押接されているシャッター板21との隙間増加を抑えるために、シャッター板21と補強部材22の間に設けられた押圧部材23と押圧部材24と押圧部材25を垂直上方に向かって延伸調整し、シャッター板21で発生した重力による歪みを矯正している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装フィルム(包材)を用いて粉末原料(内容物)を自動的に充填包装する自動包装機の技術分野に属するものであって、具体的には、包装フィルムを断面略円筒状にフォーミングしてスティック包装袋を形成する多列スティック自動包装機におけるスライド計量機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、一度に複数本のスティックタイプの包装袋を連続的にシール成形できるように構成した多列スティック自動包装機が存在している。これは複数本に切断された包装フィルムの各々を多列式に構成した各フォーマーパイプの周囲に巻装して円筒状にフォーミングした後、縦ヒートシーラによって包装フィルムの合わせ目に対して縦シールを施して筒状形態にし、次いで、筒状になった包装フィルムの規定の位置に対して横ヒートシーラによって横シールを施している。
【0003】
そして、多列スティック自動包装機は、出来上がった袋状の包装フィルム内に充填パイプを用いて粉末原料(内容物)を充填し、その後、原料注入口を横シールして封止し、この封止された横シール部分の中央付近に対してカッター装置を用いて切り離し、最終的に個別包装形態のスティック状包装袋が多列式に、且つ連続的にシール成形される仕組みになっている。このような多列スティック自動包装機の一例が特許文献1に開示されている。
【0004】
図5は、従来の多列スティック自動包装機におけるスライド計量機構の一部断面図を含む概略側面図である。図5に示すように、従来のスライド計量機構の構成は、以下のようになっている。
(1)粉末原料はホッパー102の中に入っており、ホッパー102の下部出口とスライド供給盤107の間には隙間が開いている。そして、この隙間からホッパー102の中に入っている粉末原料が徐々にスライド供給盤107に送り出される。
(2)スライド供給盤107の上部には、ホッパー102をはさんで前スクレイパー104と後スクレイパー105が備えられている。
(3)スライド供給盤107には、計量マス118が調節可能に開孔されており、スライド供給盤107の下には、計量マス118の下部を塞ぐためのシャッター板108が設けられている。
(4)スライド供給盤107のシャッター板108の下には、接続シュート109と充填パイプ110が設置されている。
【0005】
このような従来のスライド計量機構の動作は、以下のようになっている。
(1)ホッパー102に入っている粉末原料を計量し、計量済みの粉末原料を充填パイプ110内に投入するまでの一連の動作は、スライド供給盤107とシャッター板108のみを前後に動かすことで実現しており、他の構成部分は固定されている。
(2)まず、スライド供給盤107は側面より見て一番右側に来るように駆動されており、ホッパー102の下部出口の直下に計量マス118が位置している。また、計量マス118の下側はシャッター板108により塞がれている。
(3)この結果、計量マス118内には粉末原料が山盛りで入ることになり、この状態からスライド供給盤107とシャッター板108を側面より見て左側に駆動する。
(4)そして、この駆動途中においてスライド供給盤107の計量マス118は前スクレイパー104により、マス切りされる。即ち、この前スクレイパー104によるマス切り動作により、計量マス118に入っている粉末原料の山盛り部分は押し除かれ、計量マス118の容積値に計量される。
(5)また、シャッター板108の動きはスライド供給盤107の動きに比べて少なく設定されており、スライド供給盤107が側面より見て左方向に移動途中で停止状態となる。このため、スライド供給盤107が側面より見て一番左側に位置した際は、計量マス118の下側を塞いでいたシャッター板108は開放状態となる。
(6)そして、スライド供給盤107が側面より見て一番左側に来た時点の計量マス118の真下には、接続シュート109と充填パイプ110が位置しており、正しい値に計量された計量マス118内の粉末原料は、この接続シュート109内に落下し、充填パイプ110を経由して包装袋内に充填される。
【特許文献1】特開平9−272511号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の多列スティック自動包装機において製造するスティック包装袋の数を増やしたい場合は、包装機の動作速度を早く設定すると共に、同時に製造できる列数を増やした構成にする。このような列数を増やした多列スティック自動包装機では列数を多くするために機械の横幅が大きくなり、このため構造上の強度を上げた設計を行っている。一方、多列スティック自動包装機のスライド計量機構は、充填する粉末原料の種類が変わった時や定期的に行うメンテナンス時において、包装機本体より取り外して洗浄する作業が必ず発生する。
【0007】
このため、列数増加に合わせて強度を増やした設計でスライド計量機構を作るとスライド供給盤及びシャッター板そのものの大型化に伴う板厚増加が発生し、重量が極めて重くなる。この結果、人手による取り外し及び洗浄作業が著しく困難になるという問題が発生する。
【0008】
当然、板厚増加となったスライド供給盤及びシャッター板は、急激なコスト上昇も招く事態となり、スライド供給盤やシャッター板の板厚を増やす対応は現実的な解決策とならない。
【0009】
また、スライド供給盤及びシャッター板の板厚を従来のままで設計する手法を採用する場合も考えられるが、この場合は、特にシャッター板中央付近に重力による歪みが発生してスライド供給盤とシャッター板間の隙間が増える事になり、スライド計量動作に伴う粉漏れ現象が発生する。この粉漏れ現象は、計量結果の値が減少する問題(包装袋内の粉末原料の量目が不安定になる問題)や、漏れた粉末原料が多列スティック自動包装機の内部に飛散することによる自動包装機本体の汚染若しくは工場環境の悪化を招く問題になる。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、従来の板厚を用いたスライド供給盤及びシャッター板を組み込んだスライド計量機構であっても、シャッター板中央付近の重力による歪みを矯正してスライド供給盤との隙間増加を抑え、結果として重量が軽くコストの安い機構であっても粉漏れが発生しない構造を有する多列スティック自動包装機のスライド計量機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記の課題を解決するためになされた本発明の多列スティック自動包装機は、幅の広いフィルムを複数条の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、この複数条の包装フィルムを筒状にフォーミングしながら縦シール及び横シールして包装袋にする縦シール装置及び横シール装置と、この包装袋内に粉末原料(内容物)を投入するスライド計量機構と、この粉末原料(内容物)が投入された包装袋の充填口を封止すると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール装置と、この搬送された連続包装袋の横シール部分に対してカットを施して個別包装袋にするカッター装置とを備えた多列スティック自動包装機であって、前記スライド計量機構は、粉末原料を各列毎に配分するホッパーと、このホッパーからの粉末原料を受け取る計量マスが穿孔されたスライド供給盤と、スライド供給盤の上に設置されてマス切り動作を行う前後スクレイパーと、この計量マスの下蓋となるシャッター板と、このスライド供給盤及びシャッター板を正面視前後方向に動かして計量動作を行う駆動部で構成され、前記シャッター板の直下に補強部材が掛け渡され、この補強部材とスライドシャッター板の間に延伸自在の押圧部材が複数設置されている。
【0012】
(2)また、本発明の多列スティック自動包装機のスライド計量機構は、前記押圧部材の伸び具合を調節することにより、シャッター板の重力による歪みを矯正している。
【0013】
(3)また、本発明の多列スティック自動包装機は、幅の広いフィルムを複数条の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、この複数条の包装フィルムを筒状にフォーミングしながら縦シール及び横シールして包装袋にする縦シール装置及び横シール装置と、この包装袋内に粉末原料(内容物)を投入するスライド計量機構と、この粉末原料(内容物)が投入された包装袋の充填口を封止すると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール装置と、この搬送された連続包装袋の横シール部分に対してカットを施して個別包装袋にするカッター装置とを備えた多列スティック自動包装機であって、前記スライド計量機構は、粉末原料を各列毎に配分するホッパーと、このホッパーからの粉末原料を受け取る計量マスが穿孔されたスライド供給盤と、スライド供給盤の上に設置されてマス切り動作を行う前後スクレイパーと、この計量マスの下蓋となるシャッター板と、このスライド供給盤及びシャッター板を正面視前後方向に動かして計量動作を行う駆動部で構成され、前記スライド供給盤と接触するシャッター板上側にはテフロン板が貼り付けられ、シャッター板の直下には補強部材が掛け渡され、この補強部材とシャッター板の間に常に反発力を発生させているバネ部材が複数設置されている。
【0014】
(4)また、本発明の多列スティック自動包装機のスライド計量機構は、前記バネ部材の反発力により、シャッター板の重力による歪みを矯正すると共に、シャッター板をスライド供給盤の方に常に押圧付勢してこの間に発生する隙間を抑え、 前記スライド供給盤とシャッター板の間にテフロン板を挟み込むことにより、隙間のないスライド供給盤が前後駆動することに伴うスライド供給盤自身に発生する擦過条痕の付着を抑えるようにしている。
【0015】
上記(1)、(2)、(3)、(4)で述べた多列スティック自動包装機のスライド計量機構によれば、従来の板厚を用いたスライド供給盤及びシャッター板を組み込んだスライド計量機構であっても、シャッター板中央付近の重力による歪みを矯正してスライド供給盤との隙間増加を抑えることができる。その結果、粉漏れ発生を防止すると共にコスト増加及び重量増加を抑えて人手によるスライド計量機構の取り外し作業や洗浄作業が実施できるようになった。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、列数が増えた多列スティック自動包装機のスライド計量機構において、従来の板厚を用いたスライド供給盤及びシャッター板を組み込んだスライド計量機構であっても、シャッター板中央付近の重力による歪みを矯正してスライド供給盤との隙間増加を抑えることが可能になり、結果として粉漏れ発生を防止すると共にコスト増加及び重量増加を抑えて人手による取り外し作業及び洗浄作業が可能になるスライド計量機構が提供できるという顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明に係る多列スティック自動包装機におけるスライド計量機構の実施の形態を図面と共に説明する。図1は本発明を実施した多列スティック自動包装機の一部断面図を含む正面図であり、図2は本発明を実施した多列スティック自動包装機の一部断面図を含む側面図である。これらの図面において各々符号1で全体的に示した多列スティック自動包装機は、一度に複数本のスティック包装袋を連続的にシール成形できるように構成されている。なお、図1における多列スティック自動包装機の列数は12列の例で説明しているが、この列数は原反ロールフィルム幅と袋サイズに応じた任意の値を採用することができる。
【0018】
図1と図2に示すように、2は粉末原料(内容物)を収容したホッパー、3はホッパー2の下に連結してホッパー2に入っている粉末原料を各列毎に配分する中間ホッパー、4は中間ホッパーの下端に設けられたスライド計量機構、5はスライド計量機構のスライド供給盤、6はスライド供給盤から落下した粉末原料を受け止めて充填パイプ10に送り込む接続シュート、7はスリットされて幅が狭くなった複数条の包装フィルムF’を巻き付けると共に粉末原料の投入通路となる充填パイプ、8は一定の隙間が設けられた状態で充填パイプに嵌め込まれたフォーマーリングで、このフォーマーリングは上記隙間に包装フィルムF’を通すことにより略円筒状にフォーミングしている。そして、9は縦シール装置、10は縦シール装置の下に設けられた横シール装置、11は横シール装置によって出来上がった横シール中央付近に対して切り離し動作を行って個別包装袋とするカッター装置、12は切り離された個別包装袋を受け取るすべり台、13は操作パネルボックスである。
【0019】
図2に示すように、FHは幅の広い包装フィルム(包材)を巻いた原反ロール、Fはこの原反ロールFHから引き出された幅の広いフィルム、15は原反ロールFHから引き出された幅の広いフィルムFにおいて発生する緩みを吸収するダンサーローラ、16は幅の広いフィルムFを引っ張り出す繰り出しローラ、17はこのフィルムFを上記充填パイプ7の列数に合わせて幅の狭い複数条の包装フィルムF’にスリットするスリッター装置である。
【0020】
次に、多列スティック自動包装機の動作を説明する。上記横シール装置10の上下運動に従って順次下方に引き出された各包装フィルムF’は、フォーマーリング8と充填パイプ7の隙間を通過することにより略円筒状にフォーミングされる。その後、上記多列スティック自動包装機は、縦シール装置9の縦ヒートシーラによって略円筒状にフォーミングされた各包装フィルムF’の開放両端同士を挟み込んで略円筒形状の包装フィルムにしている。
【0021】
そして、この略円筒形状の包装フィルムに対して横シール装置10によって横シールを施して包装袋形状とした後、上記充填パイプ10を通してこの包装袋形状の包装フィルム内部に粉末原料(内容物)を投入し、同時に横シール装置10により挟持したまま1包装袋分下方に移動させて包装フィルムF’の引き出しを行うと共にこの横シール装置10を上方に復帰作動させて再度横シールを行うことによって、この包装袋の投入口を封止する。この結果、連続したスティック形状の包装袋を多列式にシール成形できることになる。その後、この連続したスティック形状の包装袋の横シール中央部分をカッター装置11でカット(切断)することにより、一度に多数本のスティックタイプ個別包装袋を連続的に生産できるようになっている。
【0022】
図3は、本発明の多列スティック自動包装機におけるスライド計量機構の一部断面図を含む正面図である。図3に示すスライド計量機構4の構成について、以下に説明する。
【0023】
(1)ホッパーに入っている粉末原料を各列毎に配分する中間ホッパー3が、スライド供給盤5の計量マス20の近傍に取り付けられている。
(2)スライド供給盤5の直下には、計量マス20の下蓋となるシャッター板21が正面視前後方向にスライド可能に押接されている。
(3)このシャッター板21の下には、シャッター板21とほぼ同じ寸法の補強部材22が掛け渡され、この補強部材22の両端部分はシャッター板21の右側駆動部材26と左側駆動部材27に固定されている。
(4)シャッター板21と補強部材22の間には、垂直方向に伸び縮み自在の押圧部材23、24、25が設置されている。
(5)また、図3には図示されていないが、スライド供給盤5とシャッター板21には正面視前後方向に動かすための駆動部が連結されており、同じく図3には図示されていないが、スライド供給盤5の上には中間ホッパーを挟んでマス切り動作を行う前スクレイパーと後スクレイパーが配備されている。
【0024】
なお、図3においては三つの押圧部材が設置されている例を用いて説明しているが、これに限定されるものではなく、スライド計量機構4の横方向の大きさに応じて任意の数の押圧部材が設置可能になっている。
【0025】
次に、図3に示すスライド計量機構4の動作について、以下に説明する。
(1)本発明の多列スティック自動包装機は、同時に製造できる列数を増やした構成となっており、列数を増やした分だけ自動包装機全体の横幅は通常より大きい値が採用されている。
(2)従って、スライド計量機構4の正面より見た横幅は大きくなっており、図3に示す中間ホッパー3、スライド供給盤5、シャッター板21も正面より見た横幅は通常の寸法より大きくなっている。
(3)この内、スライド供給盤5とシャッター板21は水平方向に板状延在しており、しかも正面視前後方向に駆動可能の構造となっている。
(4)そして、スライド計量機構4は、充填する原料の種類が変わった時や定期的に行うメンテナンス時において、包装機本体より取り外して洗浄する作業が発生するため、スライド計量機構全体の重量を軽くする必要がある。このため、正面より見た横幅が大きくなってもスライド供給盤5及びシャッター板21の板厚寸法は従来の厚さ寸法を採用して設計している。
(5)また、スライド供給盤5は正面より見た横幅寸法が大きくなっても正面より見た奥行き寸法も大きい値を採用できるが、シャッター板21はスライド供給盤5の計量マス20の下蓋部分のみを構成するため小さい奥行き寸法となっている。
(6)この結果、スライド供給盤5を正面視前後方向に駆動可能に構成した際の重量による歪み量より、シャッター板21を正面視前後方向に駆動可能に構成した際の重量による歪み量の方が多く発生することになり、スライド供給盤5の直下に押接されているシャッター板21との隙間が増えることになる。
(7)上記スライド供給盤5と、この直下に押接されているシャッター板21との隙間増加を抑えるために、シャッター板21と補強部材22の間に設けられた押圧部材23と押圧部材24と押圧部材25を垂直上方に向かって延伸調整し、シャッター板21で発生した重力による歪みを矯正している。
(8)なお、スライド供給盤5とシャッター板21間の隙間は、両端部分が正面視前後方向に駆動可能に支えられた構造のため、スライド供給盤5とシャッター板21中央部分において最も隙間が増えることになり、この部分の歪み矯正量が最も多くなるように調整されている。
(9)さらに、押圧部材の数が多い程重力による歪みは細かく矯正することが可能となり、複数の押圧部材の延伸調整量はこの押圧部材の設置場所に発生するスライド供給盤5とシャッター板21の隙間増加量に応じて微調整されている。
【0026】
なお、上記押圧部材23と押圧部材24と押圧部材25は、ボルトとナットで構成されるケースが多く、延伸動作はボルトを螺動回転させて行い、調整後は予め嵌め込まれたナットで調整済み位置に固定している。
【0027】
図4は、本発明の多列スティック自動包装機における他のスライド計量機構の一部断面図を含む正面図である。図4に示すスライド計量機構4の構成について、以下に説明する。
【0028】
(1)ホッパーに入っている粉末原料を各列毎に配分する中間ホッパー3が、スライド供給盤5の計量マス20の近傍に取り付けられている。
(2)スライド供給盤5の直下には、計量マス20の下蓋となるシャッター板21が正面視前後方向にスライド可能に押接されている。なお、このスライド供給盤5とシャッター板21の間にはテフロン板30が挟み込まれており、このテフロン板30はシャッター板21に貼り付けられて固定されている。
(3)このシャッター板21の下には、シャッター板21とほぼ同じ寸法の補強部材22が掛け渡され、この補強部材22の両端部分はシャッター板21の右側駆動部材26と左側駆動部材27に固定されている。
(4)シャッター板21と補強部材22の間には、常に反発力を発生させているバネ部材31、32、33が設置されており、このバネ部材31とバネ部材32とバネ部材33を支えるために、ボルトナット部材34とボルトナット部材35とボルトナット部材36がそれぞれのバネ部材に嵌め込まれている。
(5)また、図4には図示されていないが、スライド供給盤5とシャッター板21には正面視前後方向に動かすための駆動部が連結されており、同じく図4には図示されていないが、スライド供給盤5の上には中間ホッパーを挟んでマス切り動作を行う前スクレイパーと後スクレイパーが配備されている。
【0029】
なお、図4においては三つのバネ部材とボルトナット部材が設置されている例を用いて説明しているが、これに限定されるものではなく、スライド計量機構4の横方向の大きさに応じて任意の数のバネ部材とボルトナット部材が設置可能になっている。
【0030】
次に、図4に示すスライド計量機構4の動作について、以下に説明する。
(1)本発明の多列スティック自動包装機は、同時に製造できる列数を増やした構成となっており、列数を増やした分だけ自動包装機全体の横幅は通常より大きい値が採用されている。
(2)従って、スライド計量機構4の正面より見た横幅は大きくなっており、図4に示す中間ホッパー3、スライド供給盤5、シャッター板21、テフロン板30も正面より見た横幅は通常の寸法より大きくなっている。
(3)この内、スライド供給盤5とシャッター板21とテフロン板30は水平方向に板状延在しており、しかも正面視前後方向に駆動可能の構造となっている。
(4)そして、スライド計量機構4は、充填する原料の種類が変わった時や定期的に行うメンテナンス時において、包装機本体より取り外して洗浄する作業が発生するため、スライド計量機構全体の重量を軽くする必要がある。このため、正面より見た横幅が大きくなってもスライド供給盤5及びシャッター板21の板厚寸法は従来の厚さ寸法を採用して設計している。
(5)また、スライド供給盤5は正面より見た横幅寸法が大きくなっても正面より見た奥行き寸法も大きい値を採用できるが、テフロン板30とシャッター板21はスライド供給盤5の計量マス20の下蓋部分のみを構成するため小さい奥行き寸法となっている。
(6)この結果、スライド供給盤5を正面視前後方向に駆動可能に構成した際の重量による歪み量より、テフロン板30とシャッター板21を正面視前後方向に駆動可能に構成した際の重量による歪み量の方が多く発生することになり、スライド供給盤5の直下に押接されているテフロン板30との隙間が発生することになる。
(7)上記スライド供給盤5と、この直下に押接されているテフロン板30との隙間発生を抑えるために、シャッター板21と補強部材22の間に設けられたバネ部材31とバネ部材32とバネ部材33が常に反発力を発生させているように設置されている。この結果、シャッター板21とテフロン板30は、垂直上方に向かって押し付けられ、シャッター板21とテフロン板30で発生した重力による歪みを矯正しており、同時にスライド供給盤5の直下に押接されているシャッター板21とテフロン板30は、スライド供給盤5との隙間そのものの発生を抑えるように働いている。
(8)このように、スライド供給盤5における計量マス20の下蓋(シャッター板21とテフロン板30)は、隙間なしの状態で押接されているため、粉漏れ現象は発生しないが、スライド供給盤5と計量マス20の下蓋(シャッター板21とテフロン板30)は、スライド供給盤5が正面視前後方向に駆動されているため、互いにすり合わせた状態で動いている。
(9)このため、スライド供給盤5若しくは計量マス20の下蓋自身に対して、すり合わせ動作に伴うキズ(擦過条痕)が付く恐れがあり、これを防ぐためにスライド供給盤5とシャッター板21の間にテフロン板30が挟み込まれている。
【0031】
以上、図1乃至図4によって説明された本発明のスライド計量機構は、製造できる列数を増やした多列スティック自動包装機において、従来の板厚を用いたスライド供給盤並びにシャッター板を組み込んだスライド計量機構であっても、シャッター板中央付近の重力による歪みを矯正してスライド供給盤との隙間増加を抑え、結果として重量が軽くコストの安い機構であっても粉漏れが発生しない構造を有するスライド計量機構が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明を実施した多列スティック自動包装機の一部断面図を含む正面図である。
【図2】本発明を実施した多列スティック自動包装機の一部断面図を含む側面図である。
【図3】本発明の多列スティック自動包装機におけるスライド計量機構の一部断面図を含む正面図である。
【図4】本発明の多列スティック自動包装機における他のスライド計量機構の一部断面図を含む正面図である。
【図5】従来の多列スティック自動包装機におけるスライド計量機構の一部断面図を含む概略側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 多列スティック自動包装機
2、102 ホッパー
3 中間ホッパー
4 スライド計量機構
5、107 スライド供給盤
6、109 接続シュート
7、110 充填パイプ
8 フォーマーリング
9 縦シール装置
10 横シール装置
11 カッター装置
12 すべり台
13 操作パネルボックス
15 ダンサーローラ
16 繰り出しローラ
17 スリッター装置
20、118 計量マス
21、108 シャッター板
22 補強部材
23、24、25 押圧部材
26 右側駆動部材
27 左側駆動部材
30 テフロン板
31、32、33 バネ部材
34、35、36 ボルトナット部材
104 前スクレイパー
105 後スクレイパー
F 包装フィルム
F’ 切り分けられた包装フィルム
FH 包装フィルムを巻いた原反ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅の広いフィルムを複数条の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、
この複数条の包装フィルムを筒状にフォーミングしながら縦シール及び横シールして包装袋にする縦シール装置及び横シール装置と、
この包装袋内に粉末原料(内容物)を投入するスライド計量機構と、
この粉末原料(内容物)が投入された包装袋の充填口を封止すると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール装置と、
この搬送された連続包装袋の横シール部分に対してカットを施して個別包装袋にするカッター装置とを備えた多列スティック自動包装機であって、
前記スライド計量機構は、粉末原料を各列毎に配分するホッパーと、このホッパーからの粉末原料を受け取る計量マスが穿孔されたスライド供給盤と、スライド供給盤の上に設置されてマス切り動作を行う前後スクレイパーと、この計量マスの下蓋となるシャッター板と、このスライド供給盤及びシャッター板を正面視前後方向に動かして計量動作を行う駆動部で構成され、
前記シャッター板の直下に補強部材が掛け渡され、この補強部材とシャッター板の間に延伸自在の押圧部材が複数設置されていることを特徴とする多列スティック自動包装機のスライド計量機構。
【請求項2】
前記押圧部材の伸び具合を調節することにより、シャッター板の重力による歪みを矯正し、以ってスライド供給盤とシャッター板の隙間増加を抑えることを特徴とする請求項1記載の多列スティック自動包装機のスライド計量機構。
【請求項3】
幅の広いフィルムを複数条の包装フィルムにスリットするスリッター装置と、
この複数条の包装フィルムを筒状にフォーミングしながら縦シール及び横シールして包装袋にする縦シール装置及び横シール装置と、
この包装袋内に粉末原料(内容物)を投入するスライド計量機構と、
この粉末原料(内容物)が投入された包装袋の充填口を封止すると共にこの包装袋を下方に搬送する横シール装置と、
この搬送された連続包装袋の横シール部分に対してカットを施して個別包装袋にするカッター装置とを備えた多列スティック自動包装機であって、
前記スライド計量機構は、粉末原料を各列毎に配分するホッパーと、このホッパーからの粉末原料を受け取る計量マスが穿孔されたスライド供給盤と、スライド供給盤の上に設置されてマス切り動作を行う前後スクレイパーと、この計量マスの下蓋となるシャッター板と、このスライド供給盤及びシャッター板を正面視前後方向に動かして計量動作を行う駆動部で構成され、
前記スライド供給盤と接触するシャッター板上側にはテフロン板(テフロンは登録商標)が貼り付けられ、シャッター板の直下には補強部材が掛け渡され、この補強部材とシャッター板の間に常に反発力を発生させているバネ部材が複数設置されていることを特徴とする多列スティック自動包装機のスライド計量機構。
【請求項4】
前記バネ部材の反発力により、シャッター板の重力による歪みを矯正すると共に、シャッター板をスライド供給盤の方に常に押圧付勢してこの間に発生する隙間を抑え、
前記スライド供給盤とシャッター板の間にテフロン板を挟み込むことにより、隙間のないスライド供給盤が前後駆動することに伴うスライド供給盤自身に発生する擦過条痕の付着を抑えることを特徴とする請求項3記載の多列スティック自動包装機のスライド計量機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−201475(P2008−201475A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86275(P2007−86275)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】