説明

多孔シートの製造装置

【課題】1台のユニットによりエンボス加工処理と開孔処理とを行い、かつエンボス底面に位置ズレすることなく開孔処理が行える多孔シート製造装置とする。
【解決手段】表面に多数の凹状部11aが配置された凹側エンボスロール11と、この凹側エンボスロール11に対向配置されるとともに、表面に前記凹状部11aに対応する多数の凸状部12aが配置された凸側エンボスロール12と、前記凹側エンボスロール11に対向配置されるとともに、表面に前記凹状部11aに対応する多数のニードル状突起13aが配置されたニードルロール13とを備え、シートSを前記凹側エンボスロールと凸側エンボスロールとの間を通過させエンボス加工処理を行い、シートSの凹状エンボス加工部分を前記凹側エンボスロール11の凹状部11aに保持したまま、前記凹側エンボスロールとニードルロールとの間を通過させることによりエンボス底部に開孔処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のドット状エンボスが形成されるとともに、エンボス底部に開孔が形成された吸収性物品の表面シート等を製造するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、吸収性物品の表面シートとして、肌への接触面積を低減させることにより、湿り感を抑える、或いは質感を出すとともに、感触性を高めるなど種々の目的に応じて適宜形状のドット状エンボスパターンを多数付与したものが市場に提供されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1では、多孔表面シートと親水性シートとの一部または全部が複数のエンボスによって接合されるとともに、少なくとも体液排出部位領域では隣接するエンボス間の中心間隔を1.0mm以上2.5mm未満とした吸収性物品が提案されている。
【0004】
また、下記特許文献2では、多孔性プラスチック表面シートは、体液排出部位及びその近傍を含む第1領域において、隣接するエンボス間の中心間隔を5〜10mmとするエンボスパターンとし、かつ前記第1領域以外の第2領域において、隣接するエンボス間の中心間隔を0.5〜2mmとした吸収性物品が提案されている。
【0005】
一方、前記表面シートに対する開孔処理は、エンボス位置とは無関係に表面シートの全体に形成する場合と、表面シートの凹部に流動した体液を滞留させずに速やかに吸収体に移行させるために、エンボス底部に形成する場合とがある。
【特許文献1】特開2004−49697号公報
【特許文献2】特開2004−298422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多孔表面シートに多数のドット状エンボス加工を施すとともに、特にエンボス底部に開孔処理を施すようにする場合、従来は凸状部が多数配列された凸側エンボスロールと、前記凸状部に対応する凹状部が多数配列された凹側エンボスロールとを対向配置したエンボスユニットにプラスチックシートを導入しエンボス加工を施した後、次工程で開孔用ニードルが多数配設されたニードルロールと、アンビルロールとを対向配置した開孔ユニットにプラスチックシートを導入し前記エンボスの底面に開孔処理を施していた。
【0007】
しかしながら、前記プラスチックシートの張力条件、搬送速度の微妙な変化、ロールの遊びやガタ等によってエンボス加工位置と開孔位置とが僅かに変化してしまい、孔が位置ズレすることが多々あった。また、エンボス加工処理と開孔処理のために2台のユニットを設備する必要があるため、設備投資費用が嵩むとともに、2台のユニットを設置するスペースも必要になるなどの問題があった。
【0008】
そこで本発明の主たる課題は、1台のユニットによりエンボス加工処理と開孔処理とを行い得るとともに、エンボス底面に位置ズレすることなく開孔処理を行うようにした多孔シートの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、表面に多数の凹状部が配置された凹側エンボスロールと、この凹側エンボスロールに対向配置されるとともに、表面に前記凹状部に対応する多数の凸状部が配置された凸側エンボスロールと、前記凹側エンボスロールに対向配置されるとともに、表面に前記凹状部に対応する多数のニードル状突起が配置されたニードルロールとを備え、少なくともプラスチックフィルム層を含むシートを前記凹側エンボスロールと凸側エンボスロールとの間を通過させることにより前記凹状部と凸状部との噛み合わせによってドット状のエンボス加工処理を行い、次いで前記シートは前記凹側エンボスロール側表面を走行し、シートの凹状エンボス加工部分を前記凹側エンボスロールの凹状部に保持した状態のまま、前記凹側エンボスロールとニードルロールとの間を通過させることにより前記凹状部とニードル状突起との噛み合わせによって前記凹状エンボスの底部に開孔処理を行うようにしたことを特徴とする多孔シートの製造装置が提供される。
【0010】
上記請求項1記載の発明においては、表面に多数の凹状部が配置された凹側エンボスロールと、この凹側エンボスロールに対向配置されるとともに、表面に前記凹状部に対応する多数の凸状部が配置された凸側エンボスロールと、前記凹側エンボスロールに対向配置されるとともに、表面に前記凹状部に対応する多数のニードル状突起が配置されたニードルロールとを備えるようにし、シートを前記凹側エンボスロールと凸側エンボスロールとの間を通過させることにより前記凹状部と凸状部との噛み合わせによってドット状のエンボス加工処理を行い、次いで前記シートは前記凹側エンボスロール側表面を走行し、シートの凹状エンボス加工部分を前記凹側エンボスロールの凹状部に保持した状態のまま、前記凹側エンボスロールとニードルロールとの間を通過させることにより前記凹状部とニードル状突起との噛み合わせによって前記凹状エンボスの底部に開孔処理を行うようにしたものである。従って、1台のユニットによりエンボス加工処理と開孔処理とを行い得るようになる。また、シートの凹状エンボス加工部分を前記凹側エンボスロールの凹状部に保持した状態のまま、前記凹側エンボスロールとニードルロールとの間を通過させることにより開孔処理を行うため、開孔が位置ズレすることなく、必然的にエンボス底部に形成されるようになる。
【0011】
請求項2に係る本発明として、表面に多数の凹状部が配置された凹側エンボスロールと、この凹側エンボスロールに対向配置されるとともに、表面に前記凹状部に対応する多数の凸状部が配置された凸側エンボスロールと、前記凹側エンボスロールに対向配置されるとともに、表面に前記凹状部に対応する多数のニードル状突起が配置されたニードルロールとを備え、少なくともプラスチックフィルム層を含むシートを前記凹側エンボスロールとニードルロールとの間を通過させることにより前記凹状部とニードル状突起との噛み合わせによって開孔処理を行い、次いで前記シートは前記凹側エンボスロール側表面を走行し、シートの開孔処理部分を前記凹側エンボスロールの凹状部に保持した状態のまま、前記凹側エンボスロールと凸側エンボスロールとの間を通過させることにより前記凹状部と凸状部との噛み合わせによってドット状のエンボス加工処理を行うようにしたことを特徴とする多孔シートの製造装置が提供される。
【0012】
上記請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と対比すると、エンボス加工処理、開孔処理の手順を逆に開孔処理、エンボス加工処理としたものである。この場合も請求項1記載の発明と同様の効果を奏することができる。
【0013】
請求項3に係る本発明として、前記凹側エンボスロールの凹状部は、浅部側に前記凸側エンボスロールの凸状部に対応した相対的に大径の第1凹状部分を有し、かつ深部側に前記ニードルロールのニードル状突起に対応した相対的に小径の第2凹状部分を有する請求項1、2いずれかに記載の多孔シートの製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
以上詳説のとおり本発明によれば、1台のユニットによりエンボス加工処理と開孔処理とを行うことが出来る。また、前記凹状部と凸状部とを噛み合わせた凹側エンボスロールと凸側エンボスロールとの間にシートを通過させて、ドット状のエンボス加工を施した際に、凹側エンボスロールの凹状部にエンボス加工されたシートのドット部を保持した状態のまま搬送することにより、シートがラインの流れ方向へ位置ズレするのを防止することができるため、次工程で凹状エンボスの底部へ位置ズレすることなく開孔処理を行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔吸収性物品の構造〕
生理用ナプキン1は、主にはパンティライナー、生理用ナプキン、おりものシート、失禁パッドなどの用途に供されるもので、例えば図1に示されるように、不透液性裏面シート2と、透液性表面シート3(以下、単に表面シートという。)との間に、吸収体4または同図に示されるように、クレープ紙5によって囲繞された吸収体4が介在されるとともに、前記表面シート3と吸収体4との間に親水性のセカンドシート6を配置した構造となっている。前記吸収体4の周囲においては、前記不透液性裏面シート2と表面シート3とがホットメルト接着剤等の接着手段によって接合されている。
【0016】
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他に防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には、防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが好適に用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。
【0017】
前記表面シート3としては、少なくともプラスチックフィルム層の単独層またはプラスチックフィルム層と不織布層との組合せによる複層シートが用いられ、体液を吸収体4側に透過させるために多数の開孔を有する。本表面シート3は、シートの肌触り感を向上させるために、内方側に窪む多数のドット状の窪みエンボス7,7…が施されているとともに、吸収性を向上させるために前記エンボスの底面に開孔8が形成されたものが使用される。なお、図1の図示では、窪みエンボス7、7…以外の部分が平面上に図示されているが、実際には周囲に存在する窪みエンボス7,7…の影響によって曲面状となっている。この表面シート3については後段でさらに具体的に詳述する。
【0018】
前記不透液性裏面シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえばパルプ中に高吸水性樹脂を混入したもの、或いはパルプ中に化学繊維を混入させるとともに、高吸水性樹脂を混入したものが使用される。前記吸収体4は、図示のように、形状保持、および経血等を速やかに拡散させるとともに、一旦吸収した経血等の逆戻りを防止するためにクレープ紙5によって囲繞するのが望ましい。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶融パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。
【0019】
前記高吸水性樹脂としては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性樹脂は製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸水力と吸水速度の調整が可能である。前記高吸水性樹脂の含有率は10〜60%とするのが望ましい。高吸水性樹脂含有率が10%未満の場合には、十分な吸収能を与えることができず、60%を超える場合にはパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、シート強度が低下し破れや割れ等が発生し易くなる。
【0020】
前記透液性表面シート3と吸収体4との間に配置される親水性セカンドシート6は、体液に対して親水性を有するものであればよい。具体的には、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることにより素材自体に親水性を有するものを用いるか、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維を親水化剤によって表面処理し親水性を付与した繊維を用いることができる。
【0021】
〔表面シート3の構造〕
前記表面シート3の基材構成は、プラスチックフィルム単独層、或いは図3(A)に示されるように、疎水性不織布層3A/プラスチックフィルム層3Bからなる2層構造のシートや、図3(B)に示されるように、疎水性不織布層3A/プラスチックフィルム3B/疎水性不織布層3Cからなる3層構造のシート基材、或いは疎水性不織布層3A/プラスチックフィルム層3B/親水性不織布層3Cからなる3層構造のシート基材を好適に用いることができる。
【0022】
前記不織布層3A、3Cを構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、エアスルー法、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、エアスルー法、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。不織布の繊維は、長繊維または短繊維のいずれでもよいが、好ましくはタオル地の風合いを出すため短繊維を使用するのがよい。また、エンボス処理を容易とするために、比較的低融点のポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系繊維のものを用いるのがよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド−バイ−サイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を好適に用いることもできる。
【0023】
一方、前記プラスチックフィルム層3Bの素材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエステル、ナイロン等のポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などを好適に使用することができる。
前記表面シート3に形成された窪みエンボス7,7…の間隔(最短距離)は、4.5〜7.0mm、好ましくは6.0〜6.8mmの範囲に設定するのが望ましい。前記間隔が4.5mm未満の場合は窪みエンボス7,7…が接近し過ぎるため、立体感に乏しくなり、所望のクッション性が得られない。前記間隔が7.0mmを超える場合には間隔が広すぎて凹凸間を体液が流れてしまうことと、所望のクッション性が得られなくなる。また、凹部が肌と接触するようになるため、肌触り感が悪くなるとともに、体液吸収時におけるべた付き感を解消することができない。
【0024】
前記肌と接触する不織布層3A、中間のプラスチックフィルム層3B及び下層の不織布層3Cの各目付け量は、それぞれ10〜20g/m、5〜15g/m、10〜20g/mとするのが望ましい。この場合、べた付き感を解消するため表層の前記不織布層3Aについては、10〜15g/mの範囲とし目付け量を相対的に少なくするのが望ましい。
【0025】
一方、前記エンボス底面に形成される開孔8は、開孔面積が0.002〜7.0mm、好ましくは0.8〜1.7mmとするのが望ましい。前記開孔面積が0.002mm未満の場合には、開孔面積が小さすぎてエンボス底面に体液が滞留するようになる。また、開孔面積が7.0mmを超える場合には、開孔を通して体液の逆戻りが発生するようになるため好ましくない。
【0026】
〔多孔表面シートの製造装置10〕
前記表面シート3に上記エンボス加工及び開孔処理を施すために、図5及び図6に示される本発明の製造装置10が使用される。
前記製造装置10は、表面に多数の凹状部11aが配置された凹側エンボスロール11と、この凹側エンボスロール11に対向配置されるとともに、表面に前記凹状部11aに対応する多数の凸状部12aが配置された凸側エンボスロール12と、前記凹側エンボスロール11に対向配置されるとともに、表面に前記凹状部11aに対応する多数のニードル状突起13aが配置されたニードルロール13とを備えた装置であり、少なくともプラスチックフィルム層を含むシートSを前記凹側エンボスロール11と凸側エンボスロール12との間を通過させることにより前記凹状部11aと凸状部12aとの噛み合わせによってドット状のエンボス加工処理を行い、次いで前記シートSは前記凹側エンボスロール側表面を走行し、シートSの凹状エンボス加工部分を前記凹側エンボスロール11の凹状部11aに保持した状態のまま、前記凹側エンボスロール11とニードルロール13との間を通過させることにより前記凹状部11aとニードル状突起13aとの噛み合わせによって前記窪みエンボス7の底部に開孔処理を行うようにしたものである。
【0027】
以下、具体的に詳述すると、
支持架台20の内部には、鉛直方向に3段配置で加工ロール11〜13が連設されている。各加工ロール11〜13は、両端面に夫々支軸を備え、支柱に設けられた軸受け21、21によって水平軸回りに回転自在に支持されている。
【0028】
中段に位置する加工ロールは表面に多数の凹状部11aが配置された凹側エンボスロール11であり、上段に位置する加工ロールは表面に前記凹状部11aに対応する多数の凸状部12aが配置された凸側エンボスロール12であり、下段に位置する加工ロールは表面に前記凹状部11aに対応する多数のニードル状突起13aが配置されたニードルロール13である。前記加工ロールの材質としては、炭素鋼鋼材、合金工具鋼、高速度工具鋼、クロムモリブデン鋼などを用いる、強度を上げるために焼き入れや窒化処理等を行うことが望ましい。また、上段に位置する凸側エンボスロール12及び下段に位置するニードルロール13は、テーパブロックやシム等でクリアランス調整を可能とするとともに、エアー圧や油圧等によりプラス圧を調整可能とするのが望ましい。
【0029】
前記凹側エンボスロール11と前記凸側エンボスロール12とは対向する組関係にあり、図7に示されるように、前記凹側エンボスロール11に形成された凹状部11aと凸側エンボスロール12に形成された凸状部12aとが互いに噛み合う関係にある。また同時に、前記凹側エンボスロール11と前記ニードルロール13とが対向する組関係にあり、図8に示されるように、前記凹側エンボスロール11に形成された凹状部11aとニードルロール13に形成されたニードル状突起13aとが互いに噛み合う関係にある。すなわち、中段に位置する凹側エンボスロール11は、上段に位置する凸側エンボスロール12と組を成す対向ロールとしての機能と、下段に位置するニードルロール13と組を成す対向ロールとしての機能とを兼用する構造となっている。この際、前記凹側エンボスロール11に形成された凹状部11aは、浅部側に前記凸側エンボスロール12の凸状部12aに対応した相対的に大径の第1凹状部分11bを有し、かつ深部側に前記ニードルロール13のニードル状突起13aに対応した相対的に小径の第2凹状部分11cを有する複合形状とするのが望ましい。
【0030】
かかる製造設備10においては、図5に示されるように、少なくともプラスチックフィルム層を含むシートSを前記凹側エンボスロール11と凸側エンボスロール12との間を通過させることにより前記凹状部11aと凸状部12aとの噛み合わせによってドット状のエンボス加工処理を行い、次いで前記シートSは前記凹側エンボスロール側表面を走行し、シートSの凹状エンボス加工部分を前記凹側エンボスロール11の凹状部11aに保持した状態のまま、前記凹側エンボスロール11とニードルロール13との間を通過させることにより前記凹状部11aとニードル状突起13aとの噛み合わせによって前記凹状エンボスの底部に開孔処理を行うようにする。なお、図示例ではシートSは不織布層3Aとプラスチックフィルム層3Bとから2層シートとされ、製造装置10にシートSを導入する手前で、ホットメルト接着剤等により積層されるようになっている。
前記シートSは、エンボス加工処理を行った際、シートSの凹状エンボス加工部分が前記凹側エンボスロール11の凹状部11aに保持された状態のまま、前記凹側エンボスロール11とニードルロール13との間に導入されるため、エンボス底面に位置ズレすることなく開孔を形成することができるようになる。
【0031】
〔他の形態例〕
(1)本発明は、吸収性物品の表面シートの製造に好適に使用されるが、他分野で使用される多孔シートの製造設備としても使用可能である。
(2)上記形態例では、前記凹側エンボスロール11に形成された凹状部11aは、浅部側に前記凸側エンボスロール12の凸状部12aに対応した相対的に大径の第1凹状部分11bを有し、かつ深部側に前記ニードルロール13のニードル状突起13aに対応した相対的に小径の第2凹状部分11cを有する複合形状としたが、もちろん単純な凹形状としてもよい。
(3)上記形態例では、エンボス加工処理、次いで開孔処理の順で加工を行うようにしたが、図5に示されるシートSの導入路を逆にすることにより、或いは上段にニードルロール13、中段に凹側エンボスロール11、下段に凸側エンボスロール12を配置した構造とすることにより、シートSを前記凹側エンボスロール11とニードルロール13との間を通過させることにより前記凹状部11aとニードル状突起13aとの噛み合わせによって開孔処理を行い、次いで前記シートSは前記凹側エンボスロール側表面を走行し、シートSの開孔処理部分を前記凹側エンボスロール11の凹状部11aに保持した状態のまま、前記凹側エンボスロール11と凸側エンボスロール12との間を通過させることにより前記凹状部11aと凸状部12aとの噛み合わせによってドット状のエンボス加工処理を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】生理用ナプキン吸収性物品1を示す一部破断斜視図である。
【図2】生理用ナプキン1の横断面図である。
【図3】(A)、(B)は表面シートの基材断面構成(加工前)を示す要部断面図である。
【図4】(A)、(B)は表面シートの基材断面構成(加工後)を示す要部断面図である。
【図5】多孔シート製造設備10の側面図である。
【図6】多孔シート製造設備10の正面図である。
【図7】凹側エンボスロール11と凸側エンボスロール12との噛み合わせ図である。
【図8】凹側エンボスロール11とニードルロール13との噛み合わせ図である。
【符号の説明】
【0033】
1…吸収性物品(生理用ナプキン)、2…不透液性裏面シート、3…透液性表面シート、4…吸収体、5…クレープ紙、6…セカンドシート、7…窪みエンボス、8…開孔、10…多孔シート製造設備、11…凹側エンボスロール、11a…凹状部、11b…第1凹状部分、11c…第2凹状部分、12…凸側エンボスロール、12a…凸状部、13…ニードルロール、13a…ニードル状突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に多数の凹状部が配置された凹側エンボスロールと、この凹側エンボスロールに対向配置されるとともに、表面に前記凹状部に対応する多数の凸状部が配置された凸側エンボスロールと、前記凹側エンボスロールに対向配置されるとともに、表面に前記凹状部に対応する多数のニードル状突起が配置されたニードルロールとを備え、少なくともプラスチックフィルム層を含むシートを前記凹側エンボスロールと凸側エンボスロールとの間を通過させることにより前記凹状部と凸状部との噛み合わせによってドット状のエンボス加工処理を行い、次いで前記シートは前記凹側エンボスロール側表面を走行し、シートの凹状エンボス加工部分を前記凹側エンボスロールの凹状部に保持した状態のまま、前記凹側エンボスロールとニードルロールとの間を通過させることにより前記凹状部とニードル状突起との噛み合わせによって前記凹状エンボスの底部に開孔処理を行うようにしたことを特徴とする多孔シートの製造装置。
【請求項2】
表面に多数の凹状部が配置された凹側エンボスロールと、この凹側エンボスロールに対向配置されるとともに、表面に前記凹状部に対応する多数の凸状部が配置された凸側エンボスロールと、前記凹側エンボスロールに対向配置されるとともに、表面に前記凹状部に対応する多数のニードル状突起が配置されたニードルロールとを備え、少なくともプラスチックフィルム層を含むシートを前記凹側エンボスロールとニードルロールとの間を通過させることにより前記凹状部とニードル状突起との噛み合わせによって開孔処理を行い、次いで前記シートは前記凹側エンボスロール側表面を走行し、シートの開孔処理部分を前記凹側エンボスロールの凹状部に保持した状態のまま、前記凹側エンボスロールと凸側エンボスロールとの間を通過させることにより前記凹状部と凸状部との噛み合わせによってドット状のエンボス加工処理を行うようにしたことを特徴とする多孔シートの製造装置。
【請求項3】
前記凹側エンボスロールの凹状部は、浅部側に前記凸側エンボスロールの凸状部に対応した相対的に大径の第1凹状部分を有し、かつ深部側に前記ニードルロールのニードル状突起に対応した相対的に小径の第2凹状部分を有する請求項1、2いずれかに記載の多孔シートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−18537(P2008−18537A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189501(P2006−189501)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】