説明

多孔質表面を有する磁性粒子およびその製造方法、ならびに生化学用担体

【課題】 磁気分離性に優れ、かつ生化学物質結合量が多い、多孔質表面を有する磁性粒子およびその製造方法、ならびに生化学用担体を提供する。
【解決手段】 本発明の多孔質表面を有する磁性粒子は、コア(A)と、多孔質のシェル(B)とを含み、前記コア(A)および前記シェル(B)の少なくとも一方が磁性体微粒子を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気分離性および生化学物質結合量に優れた磁性粒子およびその製造方法、ならびに生化学用担体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平均粒子径が小さい磁性粒子は、その単位重量当たりの表面積が大きいため、抗原と抗体との免疫反応やDNA同士またはDNAとRNAとのハイブリダイゼーションにおいて優れた反応場を提供できることから、特に診断薬や医薬品研究用などへの応用が活発になっている。
【0003】
特に、磁性粒子の表面を多孔質にすることで表面積を大きくして、生化学物質結合量を増やすことが可能であり、例えば、米国特許第4774265号には、多孔性粒子中で鉄イオンから磁性体を生成させることにより得られた、多孔質表面を有する磁性粒子が開示されている。しかしながら、この粒子構造では、(1)粒子内に生成できる磁性体の量が限られており、その結果、磁気分離性に劣る、(2)粒子外にも磁性体が生成するため、この磁性体を除去するための精製工程が煩雑である、(3)前記精製工程により粒子外の磁性体を除去してもなお、粒子内の磁性体が分散媒と接しており、これをポリマーで被覆すると表面の多孔質性が損なわれるため、生化学物質結合量が劣るという欠点があった。
【0004】
また、特開平5−197212号公報には、磁性体および溶剤を含む多官能性モノマーを懸濁重合した後溶剤を除去することにより得られた、表面に凹凸を有する磁性粒子が開示されており、特公平7−27279号公報には、発泡剤を使用して形成された、多孔性の磁性粒子が開示されている。しかしながら、これら方法ではいずれも、表面の多孔質性が不十分であり、生化学物質結合量に劣っていた。
【特許文献1】米国特許第4774265号
【特許文献2】特開平5−197212号公報
【特許文献3】特公平7−27279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、磁気分離性に優れ、かつ生化学物質結合量が多い、多孔性表面を有する磁性粒子およびその製造方法、生化学用担体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の多孔質表面を有する磁性粒子は、
コア(A)と、多孔質のシェル(B)とを含み、
前記コア(A)および前記シェル(B)の少なくとも一方が磁性体微粒子(M)を含む。
【0007】
ここで、本発明の多孔質表面を有する磁性粒子において、前記シェル(B)は前記磁性体微粒子を含み、前記コア(A)は前記磁性体微粒子(M)を実質的に含まないことができる。
【0008】
この場合、前記シェル(B)は、前記磁性体微粒子(M)およびポリマー部(P)からなることができる。
【0009】
ここで、本発明の多孔質表面を有する磁性粒子において、前記コア(A)は前記磁性体微粒子(M)を含み、前記シェル(B)は前記磁性体微粒子(M)を実質的に含まないことができる。
【0010】
なお、本出願において、「磁性体微粒子を実質的に含まない」とは、透過型電子顕微鏡で観察した場合に、磁性体微粒子が観察されないことをいう。
【0011】
この場合、前記コア(A)は、非磁性核粒子(A)と、前記非磁性核粒子(A)の表面上に配置された磁性体微粒子(M)と、を含むことができる。
【0012】
さらに、この場合、前記コア(A)は、前記非磁性核粒子(A)および前記磁性体微粒子(M)を被覆するコート層(A)をさらに含むことができる。
【0013】
本発明の生化学用担体は、上記本発明のいずれかの磁性粒子を用いる。
【0014】
本発明の多孔質表面を有する磁性粒子の製造方法は、
コア(A)をポリマー部(P)で被覆する工程と、
前記ポリマー部に対して溶解性を有する有機溶剤(S)に該ポリマー部(P)を接触させることにより、多孔質のシェル(B)を形成する工程と、
を含み、
前記コア(A)および前記シェル(B)の少なくとも一方が磁性体微粒子(M)を含む。
【0015】
また、本発明の多孔質表面を有する磁性粒子は、
コア(A)の表面に、磁性体微粒子(M)からなる磁性体層を形成する工程と、
前記磁性体層をポリマー部(P)で被覆する工程と、
前記ポリマー部(P)に対して溶解性を有する有機溶剤(S)に該ポリマー部(P)を接触させることにより、前記磁性体微粒子(M)を含む多孔質のシェル(B)を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の多孔質表面を有する磁性粒子によれば、コア(A)と、多孔質のシェル(B)とを含むことにより、優れた磁気分離性を有するとともに、単位当たりの表面積が極めて大きいため、優れた生化学物質結合量を有する。本発明の磁性粒子は、診断薬用担体などの生化学用担体、塗料、紙、電子材料、電子写真、化粧品、医薬品、農薬、食品、触媒など広い分野で利用できる。応用例としては、医療用診断薬用途、特に自動測定器対応粒子に応用が可能である。
【0017】
本発明の多孔性表面を有する磁性粒子の製造方法によれば、単位当たりの表面積が極めて大きい磁性粒子を効率的に作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の多孔質表面を有する磁性粒子およびその製造方法、ならびに生化学用担体について詳細に説明する。
【0019】
1.多孔質表面を有する磁性粒子
本発明の多孔質表面を有する磁性粒子(以下、単に「磁性粒子」ともいう)は主に、コア(A)と、多孔質のシェル(B)からなる。このコア・シェル構造は、磁性粒子をエポキシ樹脂などで包埋した後、ミクロトームで切片を切り出し、透過型電子顕微鏡で観察することにより確認できる。また、磁性粒子が多孔質表面であることは、金またはカーボンを蒸着した磁性粒子を走査型電子顕微鏡で観察することで確認できる。
【0020】
本発明の磁性粒子においては、コア(A)およびシェル(B)の少なくとも一方が磁性体微粒子(M)を含む。より具体的には、本発明の磁性粒子としては、ケース(i):シェル(B)が磁性体微粒子(M)を含み、コア(A)が磁性体微粒子(M)を実質的に含まない場合、ケース(ii):コア(A)が磁性体微粒子(M)を含み、シェル(B)が磁性体微粒子(M)を実質的に含まない場合、およびケース(iii):コア(A)およびシェル(B)がいずれも磁性体微粒子(M)を含む場合が挙げられる。
【0021】
本発明の磁性粒子は、分散媒に分散させて使用することができる。分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。水系媒体は特に限定されないが、例えば、水、水系溶剤を含む水が挙げられる。水系溶剤としては、例えば、アルコール類(例えば、エタノール、アルキレングリコール、モノアルキルエーテルなど)が挙げられる。
【0022】
1.1.ケース(i)
ケース(i)は、シェル(B)が磁性体微粒子(M)を含み、コア(A)が磁性体微粒子(M)を実質的に含まない場合である。
1.1.1.磁性体微粒子(M)を実質的に含まないコア(A)
コア(A)が磁性体微粒子(M)を実質的に含まない場合、コア(A)は、有機物質および無機物質のいずれも使用可能であるが、好ましくは有機物質である。この場合、有機物質の代表例としては、例えばポリマーを挙げることができる。かかるポリマーとしては、特に、ビニル系ポリマーが好ましく、その製造に使用するビニル系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどの官能基を有する(メタ)アクリレートなどを例示することができる。このビニル系ポリマーは単独重合体であっても、あるいは上記ビニル系モノマーから選ばれた2種以上のモノマーからなる共重合体であってもよい。また、上記ビニル系モノマーとブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアリルフタレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレートなどの共重合可能なモノマーとの共重合体も使用することができる。
【0023】
磁性体微粒子(M)を含まないコア(A)の平均粒子径は好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.1〜5μm、もっとも好ましくは0.3〜3μmである。ここで、平均粒子径が0.01μm未満であると、磁力による分離精製に長時間を要することがあり、10μmを超えると生化学物質結合量が少ない場合がある。
【0024】
上述した範囲の平均粒子径を有する、磁性体微粒子(M)を実質的に含まないコア(A)として使用可能なポリマーからなる粒子は、例えば上記のビニル系モノマーの懸濁重合、あるいはポリマーバルクの粉砕によって得ることもできる。
【0025】
均一な粒子径を有する、磁性体微粒子(M)を実質的に含まないコア(A)の作製方法としては、例えば、特公昭57−24369号公報記載の膨潤重合法、ジャーナル・オブ・ポリマーサイエンス・ポリマーレター・エディション,937頁,第21巻,1963年(J. Polym. Sci., Polymer Letter Ed. 21,937(1963))記載の重合方法、特開昭61−215602号公報、特開昭61−215603号公報、および特開昭61−215604号公報によって容易に製造することができる。
【0026】
1.1.2.磁性体微粒子(M)を含む多孔質のシェル(B)
ケース(i)の場合、多孔質のシェル(B)は磁性体微粒子(M)を含む。
【0027】
磁性体微粒子(M)の組成は、磁性体である限り、特に制限はないが、酸化鉄系の物質が代表的であり、MFe(M=Co、Ni、Mg、Cu、Li0.5Fe0.5等)で表現されるフェライト、Feで表現されるマグネタイト、あるいはγFeが挙げられる。特に、飽和磁化が高く、かつ残留磁化が低い磁気材料として、γFe、Feが好ましい。
【0028】
本発明で使用する磁性体微粒子(M)は、残留磁化が少ないことが求められ、例えば、粒子径5〜20nm程度のフェライトおよび/またはマグネタイトの微粒子が好適に使用できる。
【0029】
また、磁性体微粒子(M)としては、表面が疎水化処理されたものを用いることができる。磁性体微粒子(M)の表面の疎水化処理方法は特に限定されないが、例えば、磁性体微粒子(M)と極めて親和性の高い部分と疎水性の部分とを分子内に有する化合物を磁性体微粒子(M)に接触させて結合させる方法を挙げることができる。このような化合物としては、シランカップリング剤に代表されるシラン化合物および長鎖脂肪酸石鹸に代表される界面活性剤を挙げることができる。
【0030】
シラン化合物による疎水化は、薬品耐性、特にアルカリ耐性に優れており、使用中に疎水性部分が脱落することによる磁性体の剥離、磁気性能の低下、ならびに脱離した磁性体微粒子(M)および界面活性剤の浮遊による系内への汚染物の混入を効果的に防止することができる。また、本発明においては、表面が疎水化処理された磁性体微粒子(M)が、たとえばトルエンに良好に分散することができる場合に、表面が十分に疎水化されているということができる。
【0031】
また、多孔質のシェル(B)は、磁性体微粒子(M)およびポリマー部(P)からなることが好ましい。この場合、多孔質のシェル(B)においては、磁性体微粒子(M)がポリマー部(P)内に分散していてもよいし、磁性体微粒子(M)からなる磁性体層を覆うようにポリマー部(P)が形成されていてもよい。
【0032】
ポリマー部(P)としては、特に、ビニル系ポリマーが好ましく、その製造に使用するビニル系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル、さらに、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジアリルフタレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどを例示することができる。
【0033】
このビニル系ポリマーは単独重合体であっても、あるいは上記ビニル系モノマーから選ばれた2種以上のモノマーからなる共重合体であってもよい。これらのビニル系モノマーとして、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリルフタレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどの架橋性モノマーと、その他の単官能性モノマーを組み合わせて使用することにより、良好な多孔質表面が得られる。
【0034】
多孔質のシェル(B)の厚みは好ましくは0.01〜5μm、さらに好ましくは0.02〜2μm、もっとも好ましくは0.05〜1μmである。
【0035】
1.2.ケース(ii)
ケース(ii)は、コア(A)が磁性体微粒子(M)を含み、シェル(B)が磁性体微粒子(M)を実質的に含まない場合である。この場合、コア(A)は、非磁性核粒子(A)と、非磁性核粒子(A)の表面上に配置された磁性体微粒子(M)とを含むことができる。また、コア(A)は、非磁性核粒子(A)および磁性体微粒子(M)を被覆するコート層(A)をさらに含むことができる。
【0036】
非磁性核粒子(A)としては、例えば、上述の磁性体微粒子を実質的に含まないコア(A)として例示した有機物質からなることができる。また、コート層(A)は、例えば、上述のポリマー部(P)として例示した材質からなることができる。
1.2.1.磁性体微粒子(M)を含むコア(A)
磁性体微粒子(M)を含むコア(A)の平均粒子径は、好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.2〜7μm、もっとも好ましくは0.5〜5.0μmである。ここで、平均粒子径が0.1μm未満であると、磁力による分離精製に長時間を要することがあり、一方、10μmを超えると生化学物質結合量が少ない場合がある。
【0037】
この場合、コア(A)の内部組成は均質であってもよいが、上記の好ましい粒子径範囲の均質なコア(A)は常磁性である物質が多く、磁力による分離精製を繰り返すと媒質への再分散が困難になる場合がある。このため、コア(A)は、残留磁化の少ない磁性体微粒子(M)を含む不均質な内部組成を有することがより好ましい。このような不均質な内部組成を有するコア(A)の内部構造としては、磁性体微粒子(M)をポリマーなどの非磁性体の連続相中に分散した構造、磁性体微粒子(M)の2次凝集体をコアとしてポリマーなどの非磁性体をシェルとする構造、ポリマーなどの非磁性体をコアとして磁性体微粒子(M)の2次凝集体をシェルとする構造などが挙げられる。
【0038】
1.3.ケース(iii)
ケース(iii)は、コア(A)およびシェル(B)がいずれも磁性体微粒子(M)を含む場合である。コア(A)およびシェル(B)がいずれも磁性体微粒子(M)を含む磁性粒子は、例えば、ケース(i)で用いるシェル(B)と、ケース(ii)で用いるコア(A)とを用いることにより製造することができる。
【0039】
2.多孔質表面を有する磁性粒子の製造方法
本発明の磁性粒子の製造方法は、コア(A)をポリマー部(P)で被覆する工程と、ポリマー部(P)に対して溶解性を有する有機溶剤(S)にポリマー部(P)を接触させることにより、多孔質のシェル(B)を形成する工程と、を含む。ここで、コア(A)およびシェル(B)の少なくとも一方が磁性体微粒子(M)を含む。
【0040】
特に、磁性体微粒子(M)を含む多孔質のシェル(B)を有する磁性粒子を製造する場合、本発明の磁性粒子の製造方法は、コア(A)の表面に、磁性体微粒子(M)からなる磁性体層を形成する工程と、前記磁性体層をポリマー部(P)で被覆する工程と、ポリマー部(P)に対して溶解性を有する有機溶剤(S)にポリマー部(P)を接触させることにより、磁性体微粒子(M)を含む多孔質のシェル(B)を形成する工程と、を含むことができる。ここで、ポリマー部(P)を前記磁性体層の表面および内部に形成することができる。この方法によれば、多孔質のシェル(B)において、ポリマー部(P)内に磁性体微粒子(M)を分散させることができる。また、ポリマー部(P)を前記磁性体層の表面に形成することにより、ポリマー部(P)を前記磁性体層を覆うように形成することができる。
【0041】
2.1.磁性体層の形成
ここで、磁性体微粒子(M)を実質的に含まないコア(A)の表面に、磁性体微粒子(M)からなる磁性体層を形成させる方法、ならびにポリマー部(P)を前記磁性体層の表面および内部に形成する方法としては、例えば、特許第1804757号、特開2004−205481号公報などに開示されている方法が好適である。
【0042】
例えば、コア(A)と磁性体微粒子(M)とを混合し、コア(A)の表面に磁性体微粒子(M)を物理的に吸着させることにより、磁性体微粒子(M)からなる磁性体層をコア(A)の表面に形成することができる。ここで、「物理的吸着」とは、化学反応を伴わない吸着を意味する。「物理的吸着」の原理としては、例えば、疎水/疎水吸着、溶融結合または吸着、融着結合または吸着、水素結合、ファンデルワールス結合などが挙げられる。疎水/疎水吸着を利用する吸着としては、例えば、コア(A)の表面および磁性体微粒子(M)の表面が疎水性のものあるいは疎水化処理されたものを選択し、これらのコア(A)および磁性体微粒子(M)をドライブレンドするか、あるいは、コア(A)および磁性体微粒子(M)の双方を侵すことなく良分散性の溶剤(例えばトルエン、ヘキサン)中で充分分散させた後、混合条件下で溶剤を揮発させる方法が挙げられる。
【0043】
あるいは、物理的に強い力を外部から加えることにより、コア(A)および磁性体微粒子(M)の複合化を実現させることにより、磁性体微粒子(M)からなる磁性体層をコア(A)の表面に形成することができる。物理的に強い力の付加としては、例えば、乳鉢、自動乳鉢、ボールミル、ブレード加圧式粉体圧縮法、メカノフュージョン法のようなメカノケミカル効果を利用するもの、あるいはジェットミル、ハイブリダイザーなど高速気流中衝撃法を利用するものが挙げられる。効率よくかつ強固に複合化を実施するには、物理的吸着力が強いことが望ましい。その方法としては、攪拌翼付き容器中で攪拌翼の周速度が好ましくは15m/秒以上、より好ましくは30m/秒以上、さらに好ましくは40〜150m/秒で実施することが挙げられる。撹拌翼の周速度が15m/秒より低いと、コア(A)の表面に磁性体微粒子(M)を吸着させるのに十分なエネルギーを得ることができないことがある。なお、撹拌翼の周速度の上限については、特に制限はないが、使用する装置、エネルギー効率などの点から自ずと決定される。
【0044】
2.2.有機溶剤(S)
有機溶剤(S)は、ポリマー部(P)に対して溶解性を有するものであることが好ましい。また、ポリマー部(P)に対する溶解性に応じて、有機溶剤(S)を選択することにより、シェル(B)の多孔質の度合いを調整することができる。例えば、有機溶剤(S)のポリマー部(P)に対する溶解性が大きいほど、より多孔質のシェル(B)を形成することができる。
【0045】
有機溶剤(S)としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、石油ベンジン、イソオクタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系有機溶剤、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2−トリクロロ-1,2,2−トリフルオロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化合物、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソぺンチルアルコール、シクロヘキサノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類が挙げられる。これらの溶媒は、混合して用いてもよい。
【0046】
有機溶剤(S)に接触させる方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。まず、コア(A)の表面に磁性体微粒子(M)からなる磁性体層を形成し、これを水に分散させ、次にポリマー部(P)を前記磁性体層の表面および内部に形成した後、磁気分離により前記粒子および水を分離し、上澄みの水を除去する。次に、水と任意に混和する溶媒で置換することにより、残留する水を除去する。次いで、前記溶媒を、有機溶剤にさらに置換し、該有機溶剤中に前記粒子を保持する。これにより、前記粒子からポリマー部(P)の一部を溶出させることが好ましい。さらに、必要に応じて、前記粒子を有機溶剤で数回洗浄する。次いで、前記粒子を含む有機溶剤を、水と任意に混ざりあう溶媒に置換する。さらに、前記粒子を水で数回洗浄することにより、本発明の多孔質表面を有する磁性粒子の水分散体を得ることができる。なお、有機溶剤にポリマー部(P)を接触させる際に、有機溶剤(S)の温度を上げることにより、より多孔質のシェル(B)を得ることができる。
【0047】
3.用途
本発明の磁性粒子は、生化学分野、塗料、紙、電子写真、化粧品、医薬品、農薬、食品、触媒など広い分野で利用できる。
【0048】
本発明の磁性粒子の主たる用途は、生化学用担体である。また、本発明の磁性粒子の表面に、ビオチン類(後述するビオチンまたはビオチン誘導体)結合部位を有する物質を固定化させることにより、ビオチン類結合用粒子として使用できる。ビオチン類結合部位を有する物質としては、例えば、アビジンや、ストレプトアビジンなどのアビジン誘導体が挙げられる。
【0049】
本発明の磁性粒子を生化学用担体粒子として使用する場合、例えば、本発明の磁性粒子にタンパク質等の抗原あるいは抗体を結合して、測定対象である抗体あるいは抗原との抗原抗体反応に基づく受身凝集反応による溶液の濁度変化を利用した定量・定性検出用途,本発明の磁性粒子に抗体を結合して、抗原であるウイルス・細菌・細胞・ホルモン・ダイオキシン類等の化学物質などを前記抗体に結合させて回収・濃縮する用途,本発明の覆磁性粒子にDNAなどの核酸アナログを結合して、ハイブリダイゼーションを利用して該核酸アナログに核酸を結合させて回収・検出したり、核酸に結合するタンパク質や色素等の化学物質を前記核酸アナログに結合させて回収・検出したりする用途,上述した本発明の磁性粒子にアビジン類またはビオチン類を結合し、前記アビジン類またはビオチン類にビオチン類あるいはアビジン類を有する分子を結合させて回収して検出する用途,本発明の磁性粒子に抗体や抗原を結合し、比色法や化学発光を利用した酵素免疫測定法用の担体として本発明の磁性粒子を使用する用途などが挙げられる。従来、96穴プレート等を担体として用いていた診断項目であれば、本発明の磁性粒子を用いることによって、磁性を利用した自動分析機に置き換えて使用できる。診断の対象となる物質としては、生体由来のタンパク質、黄体形成ホルモン、甲状腺刺激ホルモン等のホルモン、各種ガン細胞や、前立腺特異マーカー、膀胱ガンマーカー等のガンのマーカーとなるタンパク質、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルスなどのウイルス、淋菌、MRSA等の細菌、カンジダ、クリプトコックス等の真菌、トキソプラズマ等の原虫・寄生虫、あるいはそれらウイルス・細菌・真菌・原虫・寄生虫などの構成要素であるタンパク質や核酸、ダイオキシン類等の環境汚染物質、抗生物質や抗てんかん剤など医薬品等の化学物質などがあげられる。
【0050】
なお、本発明の磁性粒子の用途は生化学用担体用途に限定されるわけではなく、例えば、上述した各分野で使用可能である。
【0051】
4.実施例
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0052】
4.1.評価方法
本実施例および比較例において、得られた磁性粒子の評価は以下の方法によって測定された。また、粒子の粒子径は、特に説明がない限り以下の方法により測定された。
【0053】
4.1.1.ビオチン類結合量の評価
本実施例においては、生化学物質結合量として、ビオチン類結合量の評価を行なった。
【0054】
実施例および比較例で得られたビオチン類結合用粒子2mgを水1.0mlに分散させた後、4000pmolの蛍光ビオチン(Lucifer yellow cadaverine biotin-X, dipotassium salt)を加えて37℃で15分間転倒混和を行った。次に、磁気分離により前記粒子を分離し、上清の蛍光強度を蛍光分光光度計(PF−777,JASCO社)で測定することにより、反応前の蛍光ビオチンの濃度を決定しておき、この濃度および溶液の体積から、未反応の蛍光ビオチンの量を算出した。さらに、未反応の蛍光ビオチンの量と、ビオチン類結合用粒子と結合させる前(結合前)の蛍光ビオチン溶液の量(4000pmol)との差を求め、この差を粒子の質量で除することにより、ビオチン類結合量(pmol/mg)を求めた。
【0055】
すなわち、各実施例または比較例で得られた磁性粒子のビオチン類結合量は、以下の式(1)より算出された。
【0056】
ビオチン類結合量(pmol/mg)=
{(結合前の蛍光標識化ビオチンの量(pmol))−(未反応蛍光標識化ビオチンの量(pmol))}/(磁性粒子の質量(mg)) ・・・・・(1)
本実施例に用いたビオチン類結合用粒子は、カルボキシル基を表面に有する磁性粒子を、縮合剤である1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩と反応させ、活性化してからストレプトアビジンをさらに投入して、ストレプトアビジンを該磁性粒子に化学結合させることにより作製された。
【0057】
4.1.2.粒子径
直径1μm以上の粒子については、レーザ回折式粒度分布測定装置((株)島津製作所製)SALD−200Vにより、直径1μm未満の粒子についてはレーザ散乱回折法粒度分布測定装置LS 13 320((株)ベックマン・コールター)により粒子径を測定した。
【0058】
4.2.実施例1
4.2.1.多孔質表面を有する磁性粒子の作製
特開平7−238105号公報記載の重合方法を参考に、スチレン/ジビニルベンゼン=95/5共重合体粒子(平均粒子径1.5μm)を作製し、重合後遠心分離により粒子のみ取り出したものをさらに水洗し、乾燥、粉砕した。これをコア粒子(A−1)とする(コアの作製)。
【0059】
次に、油性磁性流体(商品名:「EXPシリーズ」,(株)フェローテック製)にアセトンを加えて粒子を析出沈殿させた後、これを乾燥することにより、疎水化処理された表面を有するフェライト系の磁性体微粒子(平均一次粒子径:0.02μm)を得た。
【0060】
次いで、コア粒子(A−1)15gおよび上記疎水化された磁性体微粒子15gをミキサーでよく混合し、この混合物をハイブリダイゼーションシステムNHS−0型(奈良機械製作所(株)製)を使用して、羽根(撹拌翼)の周速度100m/秒(16200rpm)で5分間処理し、平均数粒子径が2.0μmの磁性体微粒子(M−1)からなる磁性体層を表面に有する粒子(1)を得た(磁性体層の作製)。
【0061】
次に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%およびノニオン性乳化剤(商品名:「エマルゲン150」,花王(株)製)0.5重量%を含む水溶液750gを、1Lセパラブルフラスコに投入し、次いで、前記磁性体層を有する粒子(1)30gを投入し、ホモジナイザーで分散した後、60℃に加熱した。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%およびノニオン性乳化剤(商品名:「エマルゲン150」,花王(株)製)0.5重量%を含む水溶液50gに、メタクリル酸シクロヘキシル15g、tert−ドデカンチオール0.6g、およびターシャリーブチルペルオキシ2−エチルヘキサネート(日本油脂社製;パーブチルO)0.75gを入れて分散させたプレエマルジョンを、60℃にコントロールした前記1Lセパラブルフラスコに2時間かけて滴下した。
【0062】
次に、反応溶液を室温まで冷却した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%およびノニオン性乳化剤(商品名:「エマルゲン150」,花王(株)製)0.5重量%を含む水溶液50gに、ターシャリーブチルペルオキシ2−エチルヘキサネート(商品名:「パーブチルO」,日本油脂(株)製)0.375gを入れて分散させたプレエマルジョンを、前記1Lセパラブルフラスコへ投入して、室温で15時間撹拌した。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量%およびノニオン性乳化剤(商品名:「エマルゲン150」,花王(株)製)0.5重量%を含む水溶液50gに、メタクリル酸3.75gおよびエチレングリコールジメタクリレート7.50gを入れて分散させたプレエマルジョンを、室温で15時間撹拌した前記1Lセパラブルフラスコに投入し、さらに室温で2時間撹拌した。次に、前記1Lセパラブルフラスコを80℃に昇温し、さらに2時間重合を続けて反応を完了させた。以上の工程により、ポリマー部がコアの表面に形成された粒子を作製した(ポリマー部の作製)。
【0063】
得られた磁性粒子の水分散体を磁気精製および重力沈降精製してから、固形分濃度1%の磁性粒子の水分散体を得た。
【0064】
次いで、この磁気粒子の水分散体から水を取り除くために、アセトン1Lを用いて該水分散体を2回洗浄した。次いで、該粒子をアセトン1Lに分散させて2時間撹拌することにより、アセトン(有機溶剤)に該粒子(ポリマー部)を接触させた。これにより、アセトンを用いて前記粒子からポリマー部の一部を溶出させた。次いで、アセトン1Lで2回洗浄し、さらにアセトンを取り除くため水で洗浄することにより、多孔質のシェルを有する実施例1の磁気粒子を得た(多孔質のシェルの作製)。
【0065】
図1に、実施例1の磁気粒子のTEM写真を示す。図1に示すように、実施例1の磁気粒子は、磁性体を含まないコアと、磁性体微粒子を含む多孔質のシェルとからなることが確認された。
【0066】
図2に、実施例1の磁気粒子のSEM写真を示す。図2に示すように、実施例1の磁気粒子は多孔質表面を有することが確認された。また、実施例1の磁性粒子の平均数粒子径は2.3μmであった。
【0067】
4.2.2.生化学用担体(ビオチン類結合用粒子)の作製
次に、固形分濃度1%の磁性粒子の水分散体1mLに1−エチル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(同仁化学社製)5mgを溶解した0.1mM HCl溶液0.1mLを添加し、室温で2時間回転攪拌し、さらに、ストレプトアビジン(シグマ社製)1mgを溶解した0.1mM HCl溶液0.1mLを添加し、室温で8時間回転攪拌することより、粒子の表面にストレプトアビジンを固定化させたビオチン結合用粒子を調製した。次いで、このビオチン結合用粒子を含む分散液を磁気分離処理した後、固形物(ビオチン結合用粒子)に、0.1%牛血清アルブミンを含むリン酸塩緩衝液(PBS,0.1%BSA/PBS,pH=7.2)を添加して磁気分離処理する操作を3回繰り返すことにより、未反応のストレプトアビジンを除去した。そして、ビオチン結合用粒子を、その固形分濃度が1%となるように、0.1%牛血清アルブミンを含むリン酸塩緩衝液(PBS,0.1%BSA/PBS,pH=7.2)に分散させることにより、固形分濃度1%のビオチン結合用粒子の分散液を調製し、ビオチン類結合量を評価した。結果を表1に示す。また、実施例1のビオチン類結合用粒子の平均数粒子径は2.3μmであった。
【0068】
4.3.比較例1
実施例1において、ポリマー部を有機溶剤(アセトン)に接触させる前の磁性粒子(比較例1の磁性粒子)を得た。比較例1の磁性粒子をSEM観察したところ、表面が多孔質でないことが確認された。また、比較例1の磁性粒子について、実施例1と同様にビオチン類結合量を評価した。結果を表1に示す。
【0069】
表1は、実施例1および比較例1の磁性粒子のビオチン類結合量を示す。
【0070】
【表1】

【0071】
表1に示されるように、実施例1の磁性粒子は、コア(A)と、多孔質のシェル(B)とを含むため、多孔質表面を有していない比較例1の磁性粒子と比較してビオチン類結合量が多かった。よって、実施例1の磁性粒子によれば、磁気分離性に優れ、かつ生化学物質結合量が多いことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施例1の多孔質表面を有する磁性粒子のTEM写真である。
【図2】実施例1の多孔質表面を有する磁性粒子のSEM写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア(A)と、多孔質のシェル(B)とを含み、
前記コア(A)および前記シェル(B)の少なくとも一方が磁性体微粒子(M)を含む、多孔質表面を有する磁性粒子。
【請求項2】
請求項1において、
前記シェル(B)は前記磁性体微粒子(M)を含み、
前記コア(A)は前記磁性体微粒子(M)を実質的に含まない、多孔質表面を有する磁性粒子。
【請求項3】
請求項2において、
前記シェル(B)は、前記磁性体微粒子(M)およびポリマー部(P)からなる、多孔質表面を有する磁性粒子。
【請求項4】
請求項1において、
前記コア(A)は前記磁性体微粒子(M)を含み、
前記シェル(B)は前記磁性体微粒子(M)を実質的に含まない、多孔質表面を有する磁性粒子。
【請求項5】
請求項4において、
前記コア(A)は、
非磁性核粒子(A)と、
前記非磁性核粒子(A)の表面上に配置された磁性体微粒子(M)と、
を含む、多孔質表面を有する磁性粒子。
【請求項6】
請求項5において、
前記コア(A)は、前記非磁性核粒子(A)および前記磁性体微粒子(M)を被覆するコート層(A)をさらに含む、多孔質表面を有する磁性粒子。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の磁性粒子を用いた、生化学用担体。
【請求項8】
コア(A)をポリマー部(P)で被覆する工程と、
前記ポリマー部(P)に対して溶解性を有する有機溶剤(S)に該ポリマー部(P)を接触させることにより、多孔質のシェル(B)を形成する工程と、
を含み、
前記コア(A)および前記シェル(B)の少なくとも一方が磁性体微粒子(M)を含む、多孔質表面を有する磁性粒子の製造方法。
【請求項9】
コア(A)の表面に、磁性体微粒子(M)からなる磁性体層を形成する工程と、
前記磁性体層をポリマー部(P)で被覆する工程と、
前記ポリマー部(P)に対して溶解性を有する有機溶剤(S)に該ポリマー部(P)を接触させることにより、前記磁性体微粒子(M)を含む多孔質のシェル(B)を形成する工程と、
を含む、多孔質表面を有する磁性粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−307126(P2006−307126A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170968(P2005−170968)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】