説明

多層配線基板の製造方法及び多層配線基板

【課題】最外層の表面粗さを適切な状態に設定することができる多層配線基板の製造方法を提供すること。
【解決手段】ビルドアップ工程にて、銅箔55,56を剥離可能な状態で片面に積層配置してなる基材52上に、複数の樹脂絶縁層21〜24及び複数の導体層26を交互に積層して多層化することにより配線積層部30を形成する。穴あけ工程にて、最外層の樹脂絶縁層24に対してレーザー穴加工を施して複数の開口部35,36を形成し、各接続端子41,42を露出させる。その後、デスミア工程にて、開口部35,36内のスミアを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有する一方でいわゆるコア基板を有しない多層配線基板の製造方法及び多層配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマイクロプロセッサ等として使用される半導体集積回路素子(ICチップ)は、近年ますます高速化、高機能化しており、これに付随して端子数が増え、端子間ピッチも狭くなる傾向にある。一般的にICチップの底面には多数の端子が密集してアレイ状に配置されており、このような端子群はマザーボード側の端子群に対してフリップチップの形態で接続される。ただし、ICチップ側の端子群とマザーボード側の端子群とでは端子間ピッチに大きな差があることから、ICチップをマザーボード上に直接的に接続することは困難である。そのため、通常はICチップをICチップ搭載用配線基板上に搭載してなる半導体パッケージを作製し、その半導体パッケージをマザーボード上に搭載するという手法が採用される。
【0003】
この種のパッケージを構成するICチップ搭載用配線基板としては、コア基板の表面及び裏面にビルドアップ層を形成した多層配線基板が実用化されている。この多層配線基板においては、コア基板として、例えば、補強繊維に樹脂を含浸させた樹脂基板(ガラスエポキシ基板など)が用いられている。そして、そのコア基板の剛性を利用して、コア基板の表面及び裏面に樹脂絶縁層と導体層とを交互に積層することにより、ビルドアップ層が形成されている。つまり、この多層配線基板において、コア基板は、補強の役割を果たしており、ビルドアップ層と比べて非常に厚く形成されている。また、コア基板には、表面及び裏面に形成されたビルドアップ層間の導通を図るための配線(具体的には、スルーホール導体など)が貫通形成されている。
【0004】
ところで近年では、半導体集積回路素子の高速化に伴い、使用される信号周波数が高周波帯域となってきている。この場合、コア基板を貫通する配線が大きなインダクタンスとして寄与し、高周波信号の伝送ロスや回路誤動作の発生につながり、高速化の妨げとなってしまう。この問題を解決するために、多層配線基板を、コア基板を有さない基板とすることが提案されている(例えば特許文献1,2参照)。特許文献1,2に記載の多層配線基板は、比較的に厚いコア基板を省略することにより全体の配線長を短くしたものであるため、高周波信号の伝送ロスが低減され、半導体集積回路素子を高速で動作させることが可能となる。
【0005】
特許文献1に開示されている製造方法では、仮基板の片面に金属箔を配置し、その金属箔の上に複数の導体層及び複数の樹脂絶縁層を交互に積層してなるビルドアップ層を形成する。その後、仮基板から金属箔を分離して、金属箔上にビルドアップ層が形成された構造体を得る。そして、金属箔をエッチングにより除去することで、ビルドアップ層の最外層の表面(樹脂絶縁層の表面や複数のICチップ接続端子の表面)を露出させることで多層配線基板を製造している。
【0006】
また、特許文献1には、ビルドアップ層の最外層にソルダーレジストを形成した多層配線基板が開示されている。なお、ソルダーレジストには、ICチップ接続端子の表面を露出させる開口部が形成されている。特許文献2に開示されている多層配線基板でも、ICチップの搭載面側の最外層にソルダーレジストが設けられ、そのソルダーレジストには、ICチップ接続端子の上面を露出させる開口部が形成されている。ソルダーレジストは光硬化性を付与した樹脂絶縁材料の硬化物を主体として形成されており、ソルダーレジストの開口部は、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行うことで形成される。そして、ソルダーレジストの開口部内にて露出したICチップ接続端子の上面にはんだバンプが形成され、そのはんだバンプを介してICチップが搭載されるようになっている。
【0007】
また、ICチップ搭載用の多層配線基板においては、ICチップ接続端子に接続されたICチップと基板表面との隙間がアンダーフィルによって封止された基板も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−158174号公報
【特許文献2】特開2004−111544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したICチップ搭載用の多層配線基板において、ICチップを封止するアンダーフィルとしては疎水性の材料が用いられる。これに対して、ICチップ接続端子にはんだバンプを形成する際には、親水性のフラックスが用いられる。つまり、多層配線基板の表面には、疎水性のアンダーフィルに加えて、親水性のフラックスを適度な状態に濡れ広がらせたいといった要望があるが、多層配線基板の表面粗さを適度な状態に設定することが困難となっていた。具体的には、例えば特許文献1の多層配線基板では、エッチングによって銅箔を除去して最外層の樹脂絶縁層とICチップ接続端子を露出させている。ところが、そのエッチングによって樹脂絶縁層の表面がある程度粗化されてしまう。ここで、樹脂絶縁層の表面粗さが必要以上に大きくなると、アンダーフィルの流れ性が不良となってボイド等が発生するおそれがある。また逆に、ソルダーレジストの表面粗さが小さいと、フラックスが必要以上に濡れ広がってしまい、はんだバンプを確実に形成することが困難となってしまう。
【0010】
また、上記多層配線基板において、最外層にソルダーレジストを形成する場合、そのソルダーレジストと内層の各樹脂絶縁層とは熱膨張係数が異なるため、それらの熱膨張係数差に応じて基板の反りが発生してしまう。この場合には、その反りを抑えるための構成(例えば、補強板など)が別途必要となるため、多層配線基板の製造コストが高くなってしまう。さらに、ソルダーレジストは、内層の樹脂絶縁層と比較して絶縁性が劣る。このため、ICチップ接続端子の端子間隔を狭くすると、ソルダーレジストによる絶縁が不十分となり端子間のショートが発生してしまう場合がある。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、最外層の表面粗さを適切な状態に設定することができる多層配線基板の製造方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、最外層の表面粗さを適切な状態に設定して、ICチップを確実に搭載することができる多層配線基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側のいずれかに向うに従って拡径したビア導体により互いに接続されている多層配線基板の製造方法であって、金属箔を剥離可能な状態で片面に積層配置してなる基材上にて、複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化することにより積層構造体を形成するビルドアップ工程と、最外層の樹脂絶縁層に対してレーザー穴加工を施すことにより複数の開口部を形成し、前記第1主面側接続端子を露出させる穴あけ工程と、前記穴あけ工程後、前記開口部内のスミアを除去するデスミア工程と、前記ビルドアップ工程後、前記基材を除去して前記金属箔を露出させる基材除去工程とを含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法がある。
【0013】
従って、手段1に記載の発明によると、積層構造体における内層の樹脂絶縁層と同じ樹脂絶縁材料で最外層の樹脂絶縁層が形成されるので、最外層の樹脂絶縁層が別の樹脂絶縁材料で形成される場合と比較して、積層構造体での熱膨張係数差による影響が軽減される。この結果、多層配線基板の反りを抑えることができる。ここで、最外層の樹脂絶縁層は、内層の樹脂絶縁層と同じ樹脂絶縁材料で形成されているので、フォトリソグラフィ工程で開口部を形成することは困難である。しかし、レーザー穴加工を施すことにより、最外層の樹脂絶縁層に開口部を確実に形成することができる。また、ビルドアップ工程後にデスミア工程が実施されているので、最外層の樹脂絶縁層の表面粗さを任意の粗さに設定することができる。従って、多層配線基板を構成する最外層の樹脂絶縁層の表面について、フラックスやアンダーフィルに適した表面粗さを設定することができ、それらを適度な状態に濡れ広がらせることが可能となる。
【0014】
最外層の樹脂絶縁層は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料の硬化物を主体としたビルドアップ材を用いて形成することが好ましい。このビルドアップ材としては、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。ビルドアップ材の好適例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂等が挙げられる。そのほか、これらの樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。
【0015】
導体層は、主として銅からなり、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法などといった公知の手法によって形成される。具体的に言うと、例えば、銅箔のエッチング、無電解銅めっきあるいは電解銅めっきなどの手法が適用される。なお、スパッタやCVD等の手法により薄膜を形成した後にエッチングを行うことで導体層や接続端子を形成したり、導電性ペースト等の印刷により導体層や接続端子を形成したりすることも可能である。
【0016】
基材除去工程後、第1主面の全面を覆うエッチングレジストを設けた状態で金属箔をサブトラクティブ法でパターニングすることによって、第2主面側接続端子を形成する接続端子形成工程と、エッチングレジストを除去して第1主面側接続端子を露出させるレジスト除去工程との工程を順次行うようにしてもよい。この方法では、基材除去工程を行う前の段階でレーザー穴加工による穴あけ工程が実施される。この場合、基材上の積層構造体は、比較的強度があるため、反りのない状態に保つことができ、その積層構造体の表面における正確な位置に開口部を形成することができる。
【0017】
基材除去工程後、第2主面上にエッチングレジストを設けた状態で第2主面側接続端子を形成する接続端子形成工程を行い、その接続端子形成工程後に穴あけ工程を行うようにしてもよい。この場合、接続端子形成工程において、第1主面側の最外層は樹脂絶縁層にて覆われており、その樹脂絶縁層には開口部が設けられていない。従って、最外層の樹脂絶縁層をエッチングレジストとして機能させることができる。このため、第1主面側にエッチングレジストを別途設ける必要がなく、第2主面上のみにエッチングレジストを設けた状態で第2主面側接続端子をパターン形成することができる。
穴あけ工程において、第1主面側接続端子を露出させるとともに、接続端子以外の導体層を露出させるようにしてもよい。具体的には、例えばアライメントマークとして設けた導体層を露出させることにより、配線基板の位置決めを容易に行うことが可能となる。
【0018】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側のいずれかの方向に向うに従って拡径したビア導体により互いに接続されている多層配線基板であって、前記複数の樹脂絶縁層は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料の硬化物を主体とした同じビルドアップ材を用いて形成され、前記積層構造体の前記第1主面側において露出状態にある最外層の樹脂絶縁層には複数の開口部が形成され、前記第1主面には、接続対象がICチップであるICチップ接続端子及び接続対象が受動部品であり前記ICチップ接続端子よりも面積の大きい受動部品接続端子の2種類が、前記第1主面側接続端子として存在するとともに、前記複数の開口部内には複数の前記ICチップ接続端子が配置されるとともに、前記複数のICチップ接続端子は、上面の高さが前記最外層の樹脂絶縁層の表面よりも低く、かつ、表面側外周部が前記最外層の樹脂絶縁層内に埋まっていることを特徴とする多層配線基板がある。
【0019】
従って、手段2に記載の発明によると、同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層が交互に積層され、コア基板を含まないコアレス配線基板として多層配線基板が形成されている。この多層配線基板では、光硬化性を有していない内層の樹脂絶縁層と同じ樹脂絶縁材料で最外層の樹脂絶縁層が形成されているので、最外層の樹脂絶縁層が別の樹脂絶縁材料で形成される場合と比較して、熱膨張係数差による影響が軽減される。この結果、多層配線基板の反りを抑えることができる。また、多層配線基板の第1主面には、接続対象がICチップであるICチップ接続端子及び接続対象が受動部品でありICチップ接続端子よりも面積の大きい受動部品接続端子の2種類が、第1主面側接続端子として存在しており、このうちのICチップ接続端子が複数の開口部内に配置されている。このICチップ接続端子は、上面の高さが最外層の樹脂絶縁層の表面よりも低く、かつ、表面側外周部が最外層の樹脂絶縁層内に埋まっている。従って、最外層の樹脂絶縁層がソルダーレジストとして機能し、ICチップ接続端子の上面にはんだバンプを確実に形成することができる。また、最外層の樹脂絶縁層は、内層の樹脂絶縁層と同じ絶縁性に優れたビルドアップ材で形成されるため、ICチップ接続端子の間隔を狭くすることができ、多層配線基板の高集積化が可能となる。
【0020】
受動部品接続端子は、主体をなす銅層の上面及び側面を銅以外のめっき層で覆った構造を有し、前記ICチップ接続端子は、主体をなす銅層の上面のみを銅以外のめっき層で覆った構造を有していることが好ましい。このようにすると、受動部品接続端子の上面及び側面に比較的大きなはんだフィレットを確実に形成することができる。また、ICチップ接続端子の上面にはんだバンプを確実に形成することができる。ここで、受動部品接続端子の端子間隔はICチップ接続端子の端子間隔よりも広く、また受動部品接続端子はサイズが比較的大きいため、受動部品接続端子の上面及び側面に形成されたはんだフィレットによって受動部品を十分な強度で確実にはんだ接続することができる。一方、ICチップ接続端子の端子間隔は狭いため、ICチップ接続端子の側面にはんだバンプが膨らむと、端子間のショートが問題となる。これに対して、本発明では、ICチップ接続端子の上面のみにはんだバンプが形成されるため、はんだバンプが横方向に膨らむことがなく、端子間のショートを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図2】第1の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す平面図。
【図3】第1の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図4】第1の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図5】第1の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図6】第1の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図7】第1の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図8】第1の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図9】第1の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図10】第1の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図11】第1の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図12】第1の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図13】第2の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図14】第2の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図15】第2の実施の形態の多層配線基板の製造方法を示す説明図。
【図16】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図17】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図18】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【図19】別の実施の形態における多層配線基板の概略構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施の形態]
以下、本発明を多層配線基板に具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態の多層配線基板の概略構成を示す拡大断面図であり、図2は、その多層配線基板の平面図である。
【0023】
図1に示されるように、多層配線基板10は、コア基板を含まずに形成されたコアレス配線基板であって、同じ樹脂絶縁材料を主体とした4層の樹脂絶縁層21,22,23,24と銅からなる導体層26とを交互に積層して多層化した配線積層部30(積層構造体)を有している。各樹脂絶縁層21〜24は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料、具体的には熱硬化性エポキシ樹脂の硬化物を主体としたビルドアップ材を用いて形成されている。多層配線基板10において、配線積層部30の上面31側(第1主面側)には、複数の接続端子41,42(第1主面側接続端子)が配置されている。
【0024】
図1及び図2に示されるように、本実施の形態の多層配線基板10では、配線積層部30の上面31側に配置される複数の接続端子41,42として、接続対象がICチップであるICチップ接続端子41と、接続対象がチップコンデンサ(受動部品)であるコンデンサ接続端子42(受動部品接続端子)とが存在している。配線積層部30の上面31側において、複数のICチップ接続端子41は、基板中央部に設けられたチップ搭載領域43にてアレイ状に配置されている。また、コンデンサ接続端子42は、ICチップ接続端子41よりも面積の大きい接続端子であり、チップ搭載領域43よりも外周側に配置されている。
【0025】
一方、配線積層部30の下面32側(第2主面側)には、接続対象がマザーボード(母基板)であるLGA(ランドグリッドアレイ)用の複数の接続端子45(第2主面側接続端子としての母基板接続端子)がアレイ状に配置されている。これら母基板接続端子45は、上面31側のICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42よりも面積の大きな接続端子である。
【0026】
樹脂絶縁層21,22,23,24には、それぞれビア穴33及びフィルドビア導体34が設けられている。各ビア導体34は、いずれも同一方向に(図1では下面側から上面側に向かうに従って)拡径した形状を有し、各導体層26、ICチップ接続端子41、コンデンサ接続端子42、及び母基板接続端子45を相互に電気的に接続している。
【0027】
配線積層部30の上面31側において、最外層に露出する第4層の樹脂絶縁層24には複数の開口部35,36が形成されている。開口部35内には、上面の高さが樹脂絶縁層24の表面(基準面)よりも低くなるような状態でICチップ接続端子41が配置されており、ICチップ接続端子41の表面側外周部が樹脂絶縁層24内に埋まっている。また、開口部36内には、上面の高さが樹脂絶縁層24の表面よりも低くなるような状態でコンデンサ接続端子42が配置されており、コンデンサ接続端子42の表面側外周部が樹脂絶縁層24内に埋まっている。ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42は銅層を主体として構成されている。さらに、ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42は、主体をなす銅層の上面のみを銅以外のめっき層46,47(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。
【0028】
配線積層部30の下面32側において、樹脂絶縁層21の表面はソルダーレジスト37によってほぼ全体的に覆われており、そのソルダーレジスト37には母基板接続端子45を露出させる開口部38が形成されている。本実施の形態では、開口部38は母基板接続端子45よりも小さく、母基板接続端子45の表面側外周部がソルダーレジスト37内に埋まっている。母基板接続端子45は銅層を主体として構成されている。さらに、母基板接続端子45は、主体をなす銅層の下面のみを銅以外のめっき層48(具体的には、ニッケル−金めっき層)で覆った構造を有している。
【0029】
上記構成の多層配線基板10は例えば以下の手順で作製される。
【0030】
先ず、ビルドアップ工程において、十分な強度を有する支持基板(ガラスエポキシ基板など)を準備し、その支持基板上に、樹脂絶縁層21〜24及び導体層26をビルドアップして配線積層部30を形成する。
【0031】
詳述すると、図3に示されるように、支持基板50上に、エポキシ樹脂からなるシート状の絶縁樹脂基材を貼り付けて下地樹脂絶縁層51を形成することにより、支持基板50及び下地樹脂絶縁層51からなる基材52を得る。そして、図4に示されるように、基材52の片面(具体的には下地樹脂絶縁層51の上面)に、積層金属シート体54を配置する。ここで、下地樹脂絶縁層51上に積層金属シート体54を配置することにより、以降の製造工程で積層金属シート体54が下地樹脂絶縁層51から剥がれない程度の密着性が確保される。積層金属シート体54は、2枚の銅箔55,56(一対の金属箔)を剥離可能な状態で密着させてなる。具体的には、金属めっき(例えば、クロムめっき、ニッケルめっき、チタンめっき、またはこれらの複合めっき)を介して銅箔55、銅箔56が配置された積層金属シート体54が形成されている。
【0032】
その後、図5に示されるように、積層金属シート体54を包むようにシート状の樹脂絶縁層21を配置し、樹脂絶縁層21を貼り付ける。ここで、樹脂絶縁層21は、積層金属シート体54と密着するとともに、その積層金属シート体54の周囲領域において下地樹脂絶縁層51と密着することで、積層金属シート体54を封止する。
【0033】
そして、図6に示されるように、例えばエキシマレーザーやUVレーザーやCOレーザーなどを用いてレーザー加工を施すことによって樹脂絶縁層21の所定の位置にビア穴33を形成する。次いで、過マンガン酸カリウム溶液などのエッチング液を用いて各ビア穴33内のスミアを除去するデスミア工程を行う。なお、デスミア工程としては、エッチング液を用いた処理以外に、例えばOプラズマによるプラズマアッシングの処理を行ってもよい。
【0034】
デスミア工程の後、従来公知の手法に従って無電解銅めっき及び電解銅めっきを行うことで、各ビア穴33内にビア導体34を形成する。さらに、従来公知の手法(例えばセミアディティブ法)によってエッチングを行うことで、樹脂絶縁層21上に導体層26をパターン形成する(図7参照)。
【0035】
また、第2層〜第4層の樹脂絶縁層22〜24及び導体層26についても、上述した第1層の樹脂絶縁層21及び導体層26と同様の手法によって形成し、樹脂絶縁層21上に積層していく。以上の工程によって、基材52上に積層金属シート体54、樹脂絶縁層21〜24及び導体層26を積層した配線積層体60を形成する(図8参照)。なお、配線積層体60において積層金属シート体54上に位置する領域が、多層配線基板10の配線積層部30となる部分である。また、第4層の樹脂絶縁層24と第3層の樹脂絶縁層23との間に形成される導体層26の一部が、ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42となる。
【0036】
そして、図9に示されるように、最外層の樹脂絶縁層24に対してレーザー穴加工を施すことにより複数の開口部35,36を形成し、ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42の上面を露出させる(穴あけ工程)。次いで、過マンガン酸カリウム溶液やOプラズマなどにて各開口部35,36内のスミアを除去するデスミア工程を行う。
【0037】
デスミア工程後、配線積層体60をダイシング装置(図示略)により切断し、配線積層部30の周囲領域を除去する(切断工程)。この際、図9に示すように、配線積層部30とその周囲部64との境界(図9では矢印で示す境界)において、配線積層部30の下方にある基材52(支持基板50及び下地樹脂絶縁層51)ごと切断する。この切断によって、樹脂絶縁層21にて封止されていた積層金属シート体54の外縁部が露出した状態となる。つまり、周囲部64の除去によって、下地樹脂絶縁層51と樹脂絶縁層21との密着部分が失われる。この結果、配線積層部30と基材52とは積層金属シート体54のみを介して連結した状態となる。
【0038】
ここで、図10に示されるように、積層金属シート体54における一対の銅箔55,56の界面にて剥離することで、配線積層部30から基材52を除去して配線積層部30(樹脂絶縁層21)の下面上にある銅箔55を露出させる(基材除去工程)。その後、配線積層部30における銅箔55をサブトラクティブ法でパターニングする(接続端子形成工程)。具体的には、配線積層部30の上面31及び下面32上において、ドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。これにより、配線積層部30の上面31にその全面を覆うようにエッチングレジストを形成するとともに、配線積層部30の下面32に母基板接続端子45に対応した所定のパターンのエッチングレジストを形成する。この状態で、配線積層部30の銅箔55に対してエッチングによるパターニングを行うことにより、樹脂絶縁層21上に母基板接続端子45を形成する。
【0039】
なおここでは、銅箔55においてエッチングレジストが設けられていない領域がエッチングによって徐々に溶解除去されていく。つまり、銅箔55はエッチングレジスト側である下面から徐々に溶解除去される。このため、母基板接続端子45は下面よりも上面のほうが面積の大きい断面台形状に形成される。そして、配線積層部30の上面31及び下面32に形成されているエッチングレジストを剥離して除去する(図11参照)。
【0040】
次に、樹脂絶縁層21上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト37を形成する。その後、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト37に開口部38をパターニングする(図12参照)。
【0041】
その後、開口部35から露出しているICチップ接続端子41の表面(上面)、開口部36から露出しているコンデンサ接続端子42の表面(上面)、及び開口部38から露出している母基板接続端子45の表面(下面)に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、ニッケル−金めっき層46,47,48を形成する(めっき工程)。以上の工程を経ることで図1の多層配線基板10が製造される。
【0042】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0043】
(1)本実施の形態の多層配線基板10では、最外層の樹脂絶縁層24が内層の樹脂絶縁層22,23と同じ熱硬化性の樹脂絶縁材料で形成されている。この場合、フォトリソグラフィ工程ではその最外層の樹脂絶縁層24に開口部35,36を形成することが困難であるが、レーザー穴加工を施すことにより樹脂絶縁層24に開口部35,36を確実に形成することができる。また、ビルドアップ工程後にデスミア工程が実施されるので、最外層の樹脂絶縁層24の表面粗さを任意の粗さに設定することができる。従って、最外層の樹脂絶縁層24の表面について、フラックスやアンダーフィルに適した表面粗さを設定することができ、ICチップ等の実装時においてそれらを適度な状態に濡れ広がらせることが可能となる。
【0044】
(2)本実施の形態では、基材除去工程を行う前の段階でレーザー穴加工による穴あけ工程が実施されている。この場合、基材52上の配線積層部30は、比較的強度があるため、反りのない状態に保つことができ、その配線積層部30における最外層の樹脂絶縁相24の表面において、各接続端子41,42に対応した正確な位置に開口部35,36を形成することができる。
【0045】
(3)本実施の形態における多層配線基板10の上面31には、接続対象がICチップであるICチップ接続端子41と、接続対象がチップコンデンサであるコンデンサ接続端子42の2種類が存在しており、これら接続端子41,42が複数の開口部35,36内に配置されている。この各接続端子41,42は、上面の高さが最外層の樹脂絶縁層24の表面よりも低く、かつ、表面側外周部が最外層の樹脂絶縁層24内に埋まっている。従って、最外層の樹脂絶縁層24がソルダーレジストとして機能して、各接続端子41,42の上面にはんだバンプやはんだフィレットを確実に形成することができる。多層配線基板10において、ICチップ接続端子41の端子間隔は狭いため、ICチップ接続端子41の側面にはんだバンプが膨らむと、端子間のショートが問題となる。これに対して、本実施の形態では、ICチップ接続端子41の上面のみにはんだバンプが形成されるため、はんだバンプが横方向に膨らむことがなく、端子間のショートを回避することができる。さらに、最外層の樹脂絶縁層24は、内層の樹脂絶縁層22,23と同じ絶縁性に優れたビルドアップ材で形成されるため、ICチップ接続端子41の間隔を狭くすることができ、多層配線基板10の高集積化が可能となる。
[第2の実施の形態]
【0046】
次に、本実施の形態を具体化した第2の実施の形態を図面に基づき説明する。本実施の形態では、多層配線基板10の製造方法が上記第1の実施の形態と異なる。
【0047】
先ず、本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、ビルドアップ工程を行い、基材52上に積層金属シート体54、樹脂絶縁層21〜24及び導体層26を積層した配線積層体60を形成する(図8参照)。
【0048】
その後、配線積層体60をダイシング装置(図示略)により切断し、配線積層部30の周囲領域を除去する(切断工程)。次いで、図13に示されるように、積層金属シート体54における一対の銅箔55,56の界面にて剥離することで、配線積層部30から基材52を除去して配線積層部30(樹脂絶縁層21)の下面上にある銅箔55を露出させる(基材除去工程)。
【0049】
基材除去工程後、配線積層部30における銅箔55をサブトラクティブ法でパターニングする(接続端子形成工程)。具体的には、配線積層部30の下面32上において、ドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行うことにより、配線積層部30の下面32に母基板接続端子45に対応した所定のパターンのエッチングレジストを形成する。この状態で、配線積層部30の銅箔55に対してエッチングによるパターニングを行うことで、樹脂絶縁層21上に母基板接続端子45を形成する。そして、母基板接続端子45の下面32に形成されているエッチングレジストを剥離して除去する(図14参照)。
【0050】
そして、図15に示されるように、最外層の樹脂絶縁層24に対してレーザー穴加工を施すことにより複数の開口部35,36を形成し、ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42の上面を露出させる(穴あけ工程)。次いで、過マンガン酸カリウム溶液やOプラズマなどにて各開口部35,36内のスミアを除去するデスミア工程を行う。
【0051】
次に、樹脂絶縁層21上に感光性エポキシ樹脂を塗布して硬化させることにより、ソルダーレジスト37を形成する。その後、所定のマスクを配置した状態で露光及び現像を行い、ソルダーレジスト37に開口部38をパターニングする(図12参照)。
【0052】
その後、開口部35から露出しているICチップ接続端子41の表面、開口部36から露出しているコンデンサ接続端子42の表面、及び開口部38から露出している母基板接続端子45の表面に対し、無電解ニッケルめっき、無電解金めっきを順次施すことにより、ニッケル−金めっき層46,47,48を形成する(めっき工程)。以上の工程を経ることで図1の多層配線基板10が製造される。
【0053】
このように本実施の形態では、接続端子形成工程において、配線積層部30の上面31側の最外層は樹脂絶縁層24にて覆われており、その樹脂絶縁層24には開口部35,36が設けられていない。従って、樹脂絶縁層24がエッチングレジストとして機能するため、上面31側におけるエッチングレジストの形成が不要となり、下面32上のみにエッチングレジストを設けた状態で母基板接続端子45をパターン形成することができる。
【0054】
なお、本発明の各実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0055】
・上記各実施の形態の多層配線基板10では、配線積層部30の下面32にソルダーレジスト37が形成されていたが、図16に示す多層配線基板10Aのようにソルダーレジスト37を省略してもよい。また、多層配線基板10では、ソルダーレジスト37に形成される開口部38が母基板接続端子45よりも小さく、母基板接続端子45の表面外周部がソルダーレジスト37内に埋まっていたが、これに限定されるものではない。図17の多層配線基板10Bのように、開口部38Aが母基板接続端子45よりも大きく、母基板接続端子45の側面及び下面全体が露出するようソルダーレジスト37を形成してもよい。なお、多層配線基板10A,10Bは、母基板接続端子45の下面及び側面をめっき層48で覆った構造を有している。従って、母基板接続端子45の下面及び側面に比較的大きなはんだフィレットを形成することができ、母基板との接続強度を十分に確保することができる。また、多層配線基板10Aでは、ソルダーレジスト37が形成されていないので、各樹脂絶縁層21〜24とソルダーレジスト37との熱膨張係数差に起因して生じる多層配線基板10Aの反りを回避することができる。
【0056】
・上記各実施の形態の多層配線基板10では、最外層の樹脂絶縁層24に形成される開口部35,36が各接続端子41,42よりも小さく、各接続端子41,42の表面外周部が樹脂絶縁層24内に埋まっていたが、これに限定されるものではない。例えば、図18の多層配線基板10Cのように、開口部36Aがコンデンサ接続端子42よりも大きく、コンデンサ接続端子42の上面及び側面全体が露出するよう樹脂絶縁層24を形成してもよい。多層配線基板10Cは、コンデンサ接続端子42の上面及び側面をめっき層47で覆った構造を有している。従って、コンデンサ接続端子42の上面及び側面に比較的大きなはんだフィレットを形成することができ、チップコンデンサとの接続強度を十分に確保することができる。
【0057】
さらに、図19の多層配線基板10Dのように、開口部35AがICチップ接続端子41よりも大きく、ICチップ接続端子41の上面及び側面全体が露出するよう樹脂絶縁層24を形成してもよい。この多層配線基板10Dは、ICチップ接続端子41の上面及び側面に比較的大きなはんだバンプを形成することができ、ICチップとの接続強度を十分に確保することができる。
【0058】
・上記各実施の形態において、穴あけ工程では、最外層の絶縁樹脂層24に複数の開口部35,36を形成し、ICチップ接続端子41及びコンデンサ接続端子42を露出させるようにしていたがこれに限定されるものではない。例えば、穴あけ工程において、各接続端子41,42に加えて、各接続端子以外の導体層26(具体的にはアライメントマーク)を露出させるようにしてもよい。さらに、アライメントマーク以外にシリアルナンバー、方向識別マーク等の導体層26を露出させるようにしてもよい。
【0059】
・上記各実施の形態では、穴あけ工程の直後にデスミア工程を行うようにしたが、ソルダーレジスト37の形成後にデスミア工程を行うように変更してもよい。
【0060】
・上記各実施の形態では、複数の樹脂絶縁層21〜24に形成される複数の導体層26は、下面32側から上面31側に向かうに従って拡径したビア導体34により互いに接続されていたが、これに限定されるものではない。複数の樹脂絶縁層21〜24に形成されるビア導体34は同一方向に拡径した形状であればよく、上面31側から下面32側に向かうに従って拡径したビア導体により、複数の導体層26を互いに接続してもよい。
【0061】
・上記各実施の形態では、各接続端子41,42,45を被覆するめっき層46,47,48は、ニッケル−金めっき層であったが、銅以外のめっき層であればよく、例えば、ニッケル−パラジウム−金めっき層などの他のめっき層に変更してもよい。
【0062】
次に、前述した各実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0063】
(1)同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側のいずれかに向うに従って拡径したビア導体により互いに接続されている多層配線基板の製造方法であって、一対の金属箔を互いに剥離可能な状態で片面に積層配置してなる基材上にて、複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化することにより積層構造体を形成するビルドアップ工程と、最外層の樹脂絶縁層に対してレーザー穴加工を施すことにより複数の開口部を形成し、前記第1主面側接続端子を露出させる穴あけ工程と、前記ビルドアップ工程後、前記一対の金属箔を互いに剥離することで前記基材を除去して前記金属箔を露出させる基材除去工程と、前記穴あけ工程後、前記開口部内のスミアを除去するデスミア工程とを含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【符号の説明】
【0064】
10,10A〜10D…多層配線基板
21〜24…樹脂絶縁層
26…導体層
30…積層構造体としての配線積層部
31…第1主面としての上面
32…第2主面としての下面
33…ビア導体
35,36…開口部
41…ICチップ接続端子
42…受動部品接続端子としてのコンデンサ接続端子
45…第2主面側接続端子としての母基板接続端子
46,47…めっき層
52…基材
55…金属箔としての銅箔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側のいずれかに向うに従って拡径したビア導体により互いに接続されている多層配線基板の製造方法であって、
金属箔を剥離可能な状態で片面に積層配置してなる基材上にて、複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化することにより積層構造体を形成するビルドアップ工程と、
最外層の樹脂絶縁層に対してレーザー穴加工を施すことにより複数の開口部を形成し、前記第1主面側接続端子を露出させる穴あけ工程と、
前記穴あけ工程後、前記開口部内のスミアを除去するデスミア工程と、
前記ビルドアップ工程後、前記基材を除去して前記金属箔を露出させる基材除去工程と
を含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記最外層の樹脂絶縁層は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料の硬化物を主体としたビルドアップ材を用いて形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記基材除去工程後、前記第1主面の全面を覆うエッチングレジストを設けた状態で前記第2主面側接続端子を形成する接続端子形成工程と、
前記エッチングレジストを除去して前記第1主面側接続端子を露出させるレジスト除去工程と
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記基材除去工程後、前記第2主面上にエッチングレジストを設けた状態で前記金属箔をサブトラクティブ法でパターニングすることによって、前記第2主面側接続端子を形成する接続端子形成工程と、
前記接続端子形成工程後に実施される前記穴あけ工程と
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記穴あけ工程は、前記第1主面側接続端子を露出させるとともに、接続端子以外の前記導体層を露出させる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多層配線基板の製造方法。
【請求項6】
同じ樹脂絶縁材料を主体とした複数の樹脂絶縁層及び複数の導体層を交互に積層して多層化した積層構造体を有し、前記積層構造体の第1主面側には複数の第1主面側接続端子が配置され、前記積層構造体の第2主面側には複数の第2主面側接続端子が配置され、前記複数の導体層は、前記複数の樹脂絶縁層に形成され、前記第1主面側または前記第2主面側のいずれかの方向に向うに従って拡径したビア導体により互いに接続されている多層配線基板であって、
前記複数の樹脂絶縁層は、光硬化性を付与していない樹脂絶縁材料の硬化物を主体とした同じビルドアップ材を用いて形成され、
前記積層構造体の前記第1主面側において露出状態にある最外層の樹脂絶縁層には複数の開口部が形成され、
前記第1主面には、接続対象がICチップであるICチップ接続端子及び接続対象が受動部品であり前記ICチップ接続端子よりも面積の大きい受動部品接続端子の2種類が、前記第1主面側接続端子として存在するとともに、前記複数の開口部内には複数の前記ICチップ接続端子が配置されるとともに、前記複数のICチップ接続端子は、上面の高さが前記最外層の樹脂絶縁層の表面よりも低く、かつ、表面側外周部が前記最外層の樹脂絶縁層内に埋まっている
ことを特徴とする多層配線基板。
【請求項7】
前記受動部品接続端子は、主体をなす銅層の上面及び側面を銅以外のめっき層で覆った構造を有し、前記ICチップ接続端子は、主体をなす銅層の上面のみを銅以外のめっき層で覆った構造を有している
ことを特徴とする請求項6に記載の多層配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−138869(P2011−138869A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296911(P2009−296911)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】