説明

多成分粒子系における掘削作業を管理する方法およびシステム

【解決手段】 本発明は、全体として、多成分粒子系における掘削作業を管理する方法に関する。当該方法は、前記多成分粒子系に伴う複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データを取得する工程と、前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データに対応した少なくとも1つの特性を計算する工程と、前記多成分粒子系の弾塑性特性の少なくとも1つの測定値を取得する工程と、前記多成分粒子系の弾塑性特性の前記少なくとも1つの測定値を使って、前記多成分粒子系の少なくとも1つの弾塑性特性を計算する工程と、前記少なくとも1つの弾塑性特性と、前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データに対応した前記少なくとも1つの特性との間に、少なくとも1つの相関をとる工程と、前記少なくとも1つの相関を使って、関心のある地層に含まれる堆積物の少なくとも1つの弾塑性特性を推定する工程と、前記堆積物の前記少なくとも1つの弾塑性特性を使って、前記関心のある地層の機械的完全性を評価する工程と、前記評価に基づき、前記掘削作業を調整する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、本願と同じ発明者による2006年8月31日付けで出願された米国仮特許出願第60/841,881号「多成分粒子系において弾塑性特性相関をとるための方法およびシステム(Method and System for the Construction of Elastoplastic Property Correlations in Multicomponent Particulate Systems)」に基づく利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は掘削作業を示した図であり、掘削リグ(100)を使って、ボアホール(ボーリング孔)(145)内のドリルパイプ(140)遠端に連結されたドリルビット(150)を回転させている。この掘削作業により、石油、天然ガス、水、または掘削で得られる他の任意タイプの物質を取得することができる。図1に示した掘削作業は地表から地層を直接掘削していくものであるが、当業者であれば、湖底または深海底の掘削など他タイプの掘削作業が存在することも理解されるであろう。
【0003】
図1に示すように、ロータリーテーブル(125)で生成される回転力は、前記掘削リグ(100)から前記ドリルパイプ(140)を介して前記ドリルビット(150)へ伝達される。さらに、掘削流体(「マッド」とも呼ばれる)が前記ドリルパイプ(140)の中空コアを通じて前記ドリルビット(150)へ送られる。具体的には、マッドポンプ(180)を使い、スタンドパイプ(160)とホース(155)とケリー(120)とを通じて、前記ドリルパイプ(140)へマッドを送る。暴噴の危険性を軽減するには、防噴装置(130)を使って、前記ボアホール(145)内の流体圧力を制御できる。さらに、ケーシング(135)を使って前記ボアホール(145)を強化すると、暴噴、または当該ボアホール(145)に作用する他の力による倒壊を防ぐことができる。当該掘削リグ(100)には、クラウンブロック(105)、トラベリングブロック(110)、スイベル(115)、および他の構成要素(図示せず)を含めることもできる。
【0004】
前記ボアホール(145)から地表へ返ってくるマッドは、マッド戻り配管(165)を通じてマッド処理用の機器へ送られる。例えば、マッドは、掘削された固体を取り除くよう構成されたシェーカー(170)へ送ることができる。除去された固体はリザーブ(貯留)ピット(175)へ移され、マッドはマッドピット(190)へ入れられる。前記マッドポンプ(180)は、ろ過されたマッドを前記マッドピット(190)からマッド吸引管(185)で吸引し、前記掘削リグ(100)内へ再注入する当業者であれば、デガッサー、デサンダー、デシルター、遠心分離機、混合ホッパーなど他のマッド処理装置も使用できることが理解されるであろう。さらに、掘削作業には、流体技術実施、掘削シミュレーション、圧力制御、抗井からの不要物除去、および廃棄物管理などの作業に使用される他のタイプの掘削構成要素が含まれることがある。
【0005】
所与の掘削作業では(図1に示した掘削作業など)、地層の地質力学特性に関する知識を使って、掘削に関連した種々の問題を軽減することができる。例えば、一部の地層では、岩石が変形し若しくは破壊されるおそれがある。塑性パラメータは、通常、コアに機械的試験を行って直接測定されるが、数学的に相関をとると脆性−弾性特性を予測することができる。
【0006】
例えば、静的ヤング率を推定する方法は、Eissa,E.A.& Kazi,A.(1988)「岩石に関する静的ヤング率および動的ヤング率の関係(Relation between static and dynamic Young’s moduli for rocks)」(Int.J.Rock Mech.Min.Sci.& Geomech.Abstr.25、479−482)、Montmayour,H.& Graves,R.M.(1986)「音響測定による固結砂および未固結砂の静的な弾性特性/機械特性の予測:相関(Prediction of Static Elastic/Mechanical Properties of Consolidated and Unconsolidated Sands From Acoustic Measurements: Correlations)」(61st Annual Technical Conference and Exhibition of the Society of Petroleum Engineers、New Orleans、LA.SPE 15644)、Morales,R.H.& Marcinew,R.P.(1993)「浸透率の高い地層の破砕:機械特性の相関(Fracturing of high−permeability formations: Mechanical properties correlations)」(SPE 26561)、Yale,D.P.& Jamieson,W.H.(1994)「米国カンザス州Hugoton FieldおよびPanoma Fieldにおける静的および動的な岩石機械特性(Static and Dynamic Rock Mechanical Properties in the Hugoton and Panoma Fields, Kansas)」(SPE Mid−Continent Gas Symposium,Amarillo,TX.、SPE 27939)、およびTutuncu,A.N.& Sharma,M.M.(1992)「タイトな(硬質)ガス砂における静的実験および超音波実験の測定値の音響ログ測定値との関係付け(Relating Static and Ultrasonic Laboratory Measurements to Acoustic Log Measurements in Tight Gas Sands)」(67th Annual Technical Conference and Exhibition of the Society of Petroleum Engineers,Washington, DC、SPE 24689)に説明されている。
【0007】
さらに、動的ポアソン比から静的ポアソン比を推定する方法は、Tutuncu & Sharma(1992)(上記で参照)およびYale & Jamieson (1994)(上記で参照)で説明されている。ビオ数を評価するための経験的相関については、Krief,M.、Garat,J.、Stellingwerff,J.、Ventre,J.(1990)「P波およびS波(完全波形の音波)の速度を使った解釈(A petrophysical interpretation using the velocities of P and S waves (full−waveform sonic))」(The Log Analyst 31、November、355−369)に説明されている。
【0008】
さらに、岩石の一軸圧縮強度を推定するための相関をとる方法が複数の著者により考案されており、Chang,C.(2004)「堆積岩層を貫通したボアホールに関する経験的岩石強度の孔内検層(Empirical Rock Strength Logging in Boreholes Penetrating Sedimentary Formations)」(MULLI−TAMSA(Geophysical Exploration)7、174−183)でレビューされている。この目的での付加的な相関については、Plumb,R.A.、Herron S.L.& Olsen,M.P.(1992)「組成およびテクスチャーがTravis Peak地層の圧縮強度変動に及ぼす影響(Influence of Composition and Texture on Compressive Strength Variations in the Travis Peak Formation)」(67th Annual Technical Conference and Exhibition of the Society of Petroleum Engineers,Washington,D.C.、SPE 24758)およびQiu,K.、Marsden,J.R.、Solovyov,Y.、Safdar,M.& Chardac,O.(2005)「石油物理学的技術を使った薄層理に関する地質力学データのダウンスケーリング((Downscaling Geomechanics Data for Thin Bed Using Petrophysical Techniques)」14th SPE Middle East Oil and Gas Show and Conference, Bahrain. SPE 93605)で説明されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一態様において全体的に、多成分粒子系における掘削作業を管理する方法に関する。この方法は、前記多成分粒子系に伴う複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データを取得する工程を含む。前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データは、前記多成分粒子系の第1のタイプの粒子の地球物理学的特性および石油物理学的特性と、前記多成分粒子系で測定された音速と、前記多成分粒子系の有効封圧とを含む。前記方法は、さらに、前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データに対応した少なくとも1つの特性を計算する工程と、前記多成分粒子系の弾塑性特性の少なくとも1つの測定値を取得する工程と、前記多成分粒子系の弾塑性特性の前記少なくとも1つの測定値を使って、前記多成分粒子系の少なくとも1つの弾塑性特性を計算する工程と、前記少なくとも1つの弾塑性特性と、前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データに対応した前記少なくとも1つの特性との間に、少なくとも1つの相関をとる工程と、前記少なくとも1つの相関を使って、関心のある地層に含まれる堆積物の少なくとも1つの弾塑性特性を推定する工程と、前記堆積物の前記少なくとも1つの弾塑性特性を使って、前記関心のある地層の機械的完全性を評価する工程と、前記評価に基づき、前記掘削作業を調整する工程とを含む。
【0010】
本発明は、一態様において全体的に、多成分粒子系における掘削作業に伴うシステムに関する。このシステムは、前記多成分粒子系に伴う複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データを取得するよう構成された少なくとも1つの測定機構を含む。前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データは、前記多成分粒子系の第1のタイプの粒子の地球物理学的特性および石油物理学的特性と、前記多成分粒子系で測定された音速と、前記多成分粒子系の有効封圧とを含む。前記システムは、さらに、データ解析システムを含み、このデータ解析システムは、前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データに対応した少なくとも1つの特性を計算し、前記多成分粒子系の弾塑性特性の少なくとも1つの測定値を取得し、前記多成分粒子系の弾塑性特性の前記少なくとも1つの測定値を使って、前記多成分粒子系の少なくとも1つの弾塑性特性を計算し、前記少なくとも1つの弾塑性特性と、前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データに対応した前記少なくとも1つの特性との間に、少なくとも1つの相関をとり、前記少なくとも1つの相関を使って、関心のある地層に含まれる堆積物の少なくとも1つの弾塑性特性を推定し、前記堆積物の前記少なくとも1つの弾塑性特性を使って、前記関心のある地層の機械的完全性を評価するよう構成されており、前記掘削作業は、前記評価に基づいて調整される。
【0011】
本発明は、一態様において全体的に、多成分粒子系における掘削作業を管理するコンピュータプログラムコードを有するコンピュータ可読媒体に関する。前記コンピュータプログラムコードは、前記多成分粒子系に伴う複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データを取得するよう指示する命令を有する。前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データは、前記多成分粒子系の第1のタイプの粒子の地球物理学的特性および石油物理学的特性と、前記多成分粒子系で測定された音速と、前記多成分粒子系の有効封圧とを含む。前記命令は、さらに、前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データに対応した少なくとも1つの特性を計算し、前記多成分粒子系の弾塑性特性の少なくとも1つの測定値を取得し、前記多成分粒子系の弾塑性特性の前記少なくとも1つの測定値を使って、前記多成分粒子系の少なくとも1つの弾塑性特性を計算し、前記少なくとも1つの弾塑性特性と、前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データに対応した前記少なくとも1つの特性との間に、少なくとも1つの相関をとり、前記少なくとも1つの相関を使って、関心のある地層に含まれる堆積物の少なくとも1つの弾塑性特性を推定し、前記堆積物の前記少なくとも1つの弾塑性特性を使って、前記関心のある地層の機械的完全性を評価し、前記評価に基づき、前記掘削作業を調整する指示を含む。
【0012】
本発明の他の態様は、以下の説明および添付の請求項から明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、掘削作業の図を示したものである。
【図2】図2は、本発明の1若しくはそれ以上の実施形態に係るシステムの図を示したものである。
【図3】図3は、本発明の1若しくはそれ以上の実施形態に従って掘削作業を管理する方法のフローチャートを示したものである。
【図4】図4は、本発明の1若しくはそれ以上の実施形態に係る相関図を示したものである。
【図5】図5は、本発明の1若しくはそれ以上の実施形態に係るコンピュータシステムの図を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して、本発明の具体的な実施形態を詳しく説明する。種々の図にわたる同様な要素は、一貫性のため同様な参照番号で示している。
【0015】
本発明の実施形態に関する以下の詳細な説明では、本発明がより完全に理解されるよう具体的な詳細事項を多数記載する。ただし当業者であれば、これら具体的な詳細事項がなくとも本発明が実施可能であることは明確に理解されるであろう。他の場合、周知の特徴(機能)については、説明を不要に複雑化しないよう詳しい説明を省いている。
【0016】
全体として、本発明の実施形態は、多成分粒子系(2種若しくはそれ以上の粒子を含んだ地層)における掘削作業を管理する方法およびシステムを提供する。ただし、本発明で説明する方法を単一成分系に適用することもできる。粒子系の地球物理学的特性、応力特性、および石油物理学的特性は、in situ(チャンバー内)または実験室での測定値から得られる。適切な特性の選択は、マイクロメカニクスにより推定される。本明細書において、地球物理学的特性および石油物理学的特性とは、一般にフレーム(構造)に関するものであるが、個々の粒子タイプの特性を含めていう場合もある。これらの特性は、適切なスケーリングにより無次元数で表せる。また、粒子系の排水条件での静的弾塑性変形を特徴付ける特性も同様に得られ、無次元形態に変換できる。弾塑性特性は、1若しくはそれ以上の経験的相関を介して地球物理学的特性、応力特性、および石油物理学的特性に関係している。前記経験的相関は、堆積系のin situ弾塑性特性を推定するため使用される。これらの特性は、岩石の変形および破壊モデルにおいて、堆積系で掘削されたボアホール周辺の岩石の機械的完全性を評価するため使用され、この評価に基づき掘削作業が調整される。
【0017】
マイクロメカニクスは複合系に関する学問であり、そのような系の機械的挙動を、構造部分の挙動により説明することを狙いとしている。複合系とは、2若しくはそれ以上の部分から成るものをいう。
【0018】
フレーム特性は、多孔質集合体に関連するもので、その多孔質集合体内に常駐する流体(間隙流体)は除く。フレーム特性を測定する際は、試験前に間隙流体が除去され、または間隙流体の影響を最小限に抑えるような態様で試験が行われる。
【0019】
静的特性は、一定の荷重または緩慢に変化する荷重を物質に与え、その変形を特徴付けるため使用される。これと対照的に、動的特性は、急速に変化する荷重を受けた物質の変形を特徴付けるものである。
【0020】
排水特性(排水条件下の特性)は、物質の変形を特徴付けるもので、その場合、当該変形は十分緩慢であるため、当該変形に影響を及ぼすことなく間隙流体が試料から流出できる。
【0021】
弾塑性特性は、弾塑性物質の応力−ひずみ挙動をモデル化するため使用される特性である。弾塑性物質は、ひずみが小さいと弾性応答を呈し、ひずみが大きいと塑性応答を呈する。弾性変形中、当該物質に永続的な損傷は生じない。これは、当該物質への荷重が取り除かれると、荷重によりひずむ前の元の状態に戻ることを意味している。ただし、荷重が十分大きくなると当該物質は塑性を呈し、永続的な損傷が生じて、荷重を取り除いても元の状態には戻らなくなる。弾塑性特性は、弾性変形および塑性変形の双方の体系において物質の応力−ひずみ応答をモデル化する構成則(構成式)に使用される。
【0022】
本発明の実施形態は、様々な多成分粒子系に実施できる。例えば、掘削作業は、クラスレート(包接化合物)水和物(ハイドレート)(当該技術分野では、ガスクラスレート水和物、ガス水和物、またはクラスレートとも呼ばれる)を含んだ地層を標的にすることがある。クラスレート水和物は、水分子の格子から構成された氷状の結晶性固体である。この格子にガスまたは液体の分子が取り込まれて、この水和物構造を安定なものにしている。メタンガス水和物(メタンハイドレート)は、クラスレート水和物として自然発生する最も一般的な種である。ただし、プロパンやエタンなど他の炭化水素を含んだクラスレート水和物も存在する。さらに、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、略称THF)、二酸化炭素(CO)、および硫化水素(HS)などの非炭化水素物質が水和物構造に組み込まれることもある。クラスレート水和物は、永久凍土地域および大陸縁辺の深海環境に広く存在している。
【0023】
クラスレート水和物ゾーンを掘削しようという関心は増している。例えば、クラスレート水和物は、エネルギー源として使用することができる。しかし、クラスレート水和物ゾーンでの掘削および生産には種々の課題が存在する。掘削工程に起因した温度および圧力の外乱によりクラスレート水和物中のガスが解離し、抗井中への放出が制御できず、火災または暴噴が起こるおそれがある。さらに、解放されたガスが掘削用マッドをガス化させるおそれもある。場合により、解離中のクラスレート水和物を含んだ堆積層部分の崩壊で抗井が不安定になり、結果的に穴または枝掘り部が失われてしまうおそれもある。例えば、Collett,T.S.& Dallimore,S.R.(2002)「ガス水和物により誘発される掘削および生産時の危険に関する詳細解析(Detailed analysis of gas hydrate induced drilling and production hazards)」(4th International Conference on Gas Hydrates(ICGH−4)、Yokohama、May 2002)を参照。その影響が壊滅的でない場合でさえ、穴の状態が良好でなければクラスレート水和物ゾーンの孔内検層結果の質が落ちるおそれがある。
【0024】
クラスレート水和物ゾーンにおける坑井の完成および生産にも課題が存在する。穴の状態が良好でないとセメントが効果的に結合(ボンディング)せず、ケーシング外部にガスが漏れてしまう。さらに、クラスレート水和物を除去したことにより地層の維持能力が失われると、砂質土が生じ、地層地盤が沈下し、またはケーシングが破壊されるおそれがある。また、クラスレート水和物ゾーンで完成した坑井内では、高温の炭化水素により抗井ケーシングの周囲で水和物の解離が生じ、地層への圧力が高まるおそれがある。これについては、Franklin,L.J.(1981)「北極諸島における水和物(Hydrates in Artic Islands)」(A.L. Browser(ed.)Proceedings of a Workshop on Clathrates(gas hydrates)in the National Petroleum Reserve in Alaska.USGS Open−File Report 81−1259、18−21)を参照。
【0025】
当業者であれば、上記で具体的に説明した課題が単なる例であり、クラスレート水和物ゾーンでの掘削には他の課題が多種存在することが理解されるであろう。さらに、本明細書の例ではクラスレート水和物ゾーンでの掘削作業について強調したが、他種の多成分粒子系でも同様な課題が存在する。また本発明の実施形態は、単一成分系にも適用でき、2より多くの成分を含む多成分粒子系に拡張することもできる。
【0026】
図2は、本発明の1若しくはそれ以上の実施形態に係るシステム(200)の図を示したものである。このシステム(200)には、掘削する多成分粒子系(220)の特性を測定するよう構成された1若しくはそれ以上の測定機構(測定機構A(210)、測定機構N(215)など)が含まれる。測定は、実験室試料に対し、またはin situ(チャンバー内)で行うことができる。あるいは、前記多成分粒子系(220)のシミュレーションから、または類似組成を有する実際の地層若しくはシミュレートした地層から測定値を得ることもできる。前記多成分粒子系(220)は2若しくはそれ以上のタイプの粒子を含むため、1若しくはそれ以上の異種の粒子について別個の測定を行う場合もある。
【0027】
当業者であれば、多成分粒子系には異なる多数の測定可能な特性と、それらの測定値を得る上で種々の物理機構および論理機序とが存在することが理解されるであろう。その一例として、前記多成分粒子系(220)について、三軸荷重試験または他の同様な機械的試験で、排水条件下の弾塑性特性を測定するよう測定機構を構成することができる。別の例としては、表面形状を取得する方法または孔内検層ツールを使って、前記多成分粒子系(220)の地球物理学的特性(音波速度またはかさ密度など)を測定するよう測定機構を構成することができる。
【0028】
1若しくはそれ以上の実施形態では、測定機構がデータ解析システム(205)に通信可能に連結される。このデータ解析システム(205)は、測定された特性を処理することにより、前記多成分粒子系(220)の弾塑性変形に伴う巨視的特性を計算するよう構成されている。これらの特性としては、弾塑性物質パラメータそれ自体、またはそれに関する特性、例えば地球物理学的属性、応力属性、または石油物理学的属性などがある。巨視的特性とは、多数の粒子の総体的な挙動を特徴付けるものをいう。粒子の数が十分大きいため、堆積系は(離散粒子(不連続粒子)のセットではなく)連続的な物質として扱え、連続的な系と同様に総体的な特性を伴ったものと仮定される。これらの特性は、当該系の構成要素全体の「平均」を表す。さらに、前記データ解析システム(205)は、当該系について、弾塑性特性と、地球物理学的属性、応力属性、または石油物理学的属性との相関をとる(または数学的関係を構築する)よう構成されている。巨視的特性の計算および弾塑性特性相関の構築については、以下で詳しく説明する。
【0029】
1若しくはそれ以上の実施形態では、前記データ解析システム(205)により構成された弾塑性特性相関を使って、ボアホール周囲の堆積物の機械的完全性を維持するため、掘削作業における1若しくはそれ以上の掘削構成要素(202)を調整をする。1若しくはそれ以上の実施形態では、ドリルビット、マッド処理構成要素、ケーシングなど上述した構成要素が、前記掘削構成要素(202)に1若しくはそれ以上含まれる。まず、弾塑性特性相関を使って、掘削を計画している地層の弾塑性特性を推定する。これらの特性は、ボアホール周囲の岩石の機械的完全性を評価するよう設計された抗井安定度モデルへの入力として使う。そのようなモデルの結果に基づき、1若しくはそれ以上の掘削作業が調整される。そのような調整の例としては、ボアホール掘削に使用するマッドの密度または粘度の変更、ボアホールにマッドを循環させる率(レート)の変更、ボアホールの掘削率(レート)の変更、坑井軌跡の変更などがある。
【0030】
引き続き図2を説明すると、前記データ解析システム(205)は、前記掘削構成要素(202)に通信可能に連結できる。そのような場合、当該データ解析システム(205)は、電気的切り替え信号または遠隔手続き呼び出しなどの自動工程で前記掘削構成要素(202)を調整するよう構成することができる。あるいは、前記データ解析システム(205)は、プリントアウトやコンピュータ表示など人間が読んで理解できる形態で計算結果を提示するよう構成でき、人間である作業者は、それらの結果に基づいて前記掘削構成要素(202)を手動で調整することができる。
【0031】
図3は、本発明の1若しくはそれ以上の実施形態に従って掘削作業を管理する方法のフローチャートを示したものである。1若しくはそれ以上の実施形態では、図3に示す1若しくはそれ以上の工程を省略し、反復し、または異なる順序で実施することができる。そのため、図3に示した具体的な工程構成は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0032】
工程300では、多成分系の地球物理学的特性、応力特性、石油物理学的特性を取得する。そのような特性は、フレームまたは個々の粒子タイプの各特性に対応し、上記の測定機構により測定できる。特に、地球物理学的または石油物理学的なデータは、多成分粒子系における2若しくはそれ以上のタイプの粒子の特性を含むことがあり、多成分粒子系で測定される剪断(せん断)音波をさらに含むこともある。工程305では、多成分系の排水条件下の静的弾塑性特性を取得する。そのような特性は、上記の測定機構で測定できる。
【0033】
上記のとおり、地球物理学的特性、応力特性、および石油物理学的特性の選択は、マイクロメカニカルな(マイクロメカニクスによる)原則により決定される。工程310では、それらの特性を無次元形態に変換するか、元の次元付き形態のまま残すことができる。同様に、静的弾塑性特性も、無次元形態に変換するか、元の次元付き形態のまま残すことができる。工程315では、この弾塑性特性を、1若しくはそれ以上の数学的相関を介して地球物理学的特性、応力特性、および石油物理学的特性に関係付ける。
【0034】
1若しくはそれ以上の実施形態では、特定形態の相関が多成分粒子系の水和物飽和レベルに依存することがある。例えば、堆積物水和物系では、水和物飽和度が低い場合および水和物飽和度が高い場合に、異なる形態を使用できる。そのため1若しくはそれ以上の実施形態では、工程315において、多成分粒子系での水和物飽和レベルに基づき、弾塑性相関の形態を選択する。異なる水和物飽和レベルに適用できる各種形態例については、以下で詳しく説明する。
【0035】
工程320では、工程315で導出された相関の1つを使って、1若しくはそれ以上の弾塑性特性を推定する。工程315で飽和度固有の相関が選択された場合は、その相関を工程320で使って、1若しくはそれ以上の弾塑性特性を多成分系について推定することができる。工程325では、工程320で推定された1若しくはそれ以上の弾塑性特性を使って、抗井の機械的完全性をモデル化する。工程330では、そのようなモデル化の結果に基づき、掘削作業が調整される。
【0036】
以下の説明では、例えば工程315で行われる弾塑性特性相関の構築例を挙げる。当業者であれば、本開示に基づき、全体としては本発明の範囲内にとどまりながら以下の説明と異なる本発明の実施形態を想定できることが理解されるであろう。
【0037】
1若しくはそれ以上の実施形態において、弾塑性特性相関は、粒状物質の変形を決定するマイクロメカニカルなモデルに基づいている。以下の例では、乾燥した同位体の堆積物−水和物集合体を仮定しており、クラスレート水和物は自然状態で粒子状であると見なされる。この仮定は、THF水和物を含んだガラスビーズについて行われた実験によれば、低〜中程度の水和物飽和度について妥当といえることが示唆されている。これについては、Yang,J.、Tohidi,B.、Clennell,B.M.(2004)「ガス水和物のセメンチング特性に関するマイクロスケールおよびマクロスケールの研究(Micro and macro−scale investigation of cementing characteristics of gas hydrates)」(AAPG Hedburg Research Conference、Vancouver、Sep.12−16、2004)を参照。
【0038】
水和物の飽和度が高い場合、クラスレート水和物は連続的なマトリックスを形成する。したがって、そのような場合、後述する理論分析の態様は厳密に該当しない場合がある。ただし、水和物飽和度が高い場合であっても、本明細書で説明する理論に基づき考案される相関は有効な場合がある。
【0039】
以下の説明において、別段の断りがない限り、用語「粒」(grain)は鉱物粒をいい、用語「粒子」(particle)は多成分粒子系の全成分(水和物や粒など)をいう。さらに、以下の説明では単純化した球形粒子の2成分(二元)モデルを仮定し、全タイプの粒子(水和物や粒など)が均一な直径および同一の物理特性を有する。当業者であれば、粒子が非球形またはマルチサイズで、あるいは他の物理特性が可変である、より複雑な粒子系モデルを使用できることが理解されるであろう。さらに上記のとおり、本発明の実施形態は、2種より多くのタイプの粒子を含む多成分粒子系へと拡張できる。
【0040】
マイクロメカニカルモデルの態様については、Darve,F.& Nicot,F.(2005)「粒状媒質における増分非線形について:現象論的およびマルチスケールの見解(パートI)(On incremental non−linearity in granular media: phenomenological and multi−scale views (Part I))」(International Journal for Numerical and Analytical Methods in Geomechanics、29、1387−1409)、Emeriault,F.& Claquin,C.(2004)「楕円形粒の集合体の統計的均質化:アスペクト比および粒子配向の効果(Statistical homogenization for assemblies of elliptical grains: effect of the aspect ratio and particle orientation)」(International Journal of Solids and Structures、41、5837−5849)、Gardiner,B.S.& Tordesillas,A.(2004)「剪断帯のマイクロメカニクス(Micromechanics of shear bands)」(International Journal of Solids and Structures、41、5885−5901)、Sayers,C.M.(2002)「応力に依存する砂岩の弾性異方性(Stress−dependent elastic anisotropy of sandstones)」(Geophysical Prospecting,50,85−95)、およびTordesillas,A.& Walsh,S.(2002)「粒状媒質のマイクロメカニカルモデルへの転がり抵抗および接触異方性の導入(Incorporating rolling resistance and contact anisotropy in micromechanical models of granular media)」(Powder Technology、124、106−111)に説明されている。
【0041】
マイクロメカニカルモデルに関する上記文献の調査および推論分析によれば、排水条件下の動的および静的な変形が考慮可能で、その場合以下の物理属性が必要になることが示唆されている。以下に記載したこれらの物理属性の番号は、単に読者の便宜を考慮したもので、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0042】
1)粒の直径(d)および水和物の粒径(d)。
【0043】
2)粒の密度(ρ)、水和物の密度(ρ)、および乾燥した集合体の密度(ρ)。乾燥した集合体は、クラスレート水和物および鉱物粒から成るが、間隙流体は含まない。
【0044】
3)粒−粒接触で摩擦を決定する粒界滑り摩擦係数(μgg)、水和物−水和物接触での粒界滑り摩擦係数(μhh)、および粒−水和物接触での粒界滑り摩擦係数(μgh)。1若しくはそれ以上の実施形態において、これらの摩擦係数は、堆積物および水和物の所与の組み合わせについて各々一定と見なされる。あるいは、より複雑な摩擦モデルも使用できる。
【0045】
4)水和物−水和物接触における凝集力(chh)および粒−水和物接触における凝集力(cgh)。1若しくはそれ以上の実施形態において、これら凝集力値は、堆積物および水和物の所与の組み合わせについて各々一定と見なされる。さらに、未固結堆積物について一般に仮定されるように、粒−粒接触における凝集力は無視できるか存在しないものとして扱うことができる。あるいは、より複雑な凝集モデルも使用できる。
【0046】
5)所与の方向で接点が見つかる期待値を記述する接触密度分布関数。この例では、このような分布が粒−粒、粒−水和物、水和物−粒、および水和物−水和物の接触について4つ使用される。三軸試験では、接触密度分布関数は、軸方向に圧縮がかかる前の、初期等方性応力状態の配向とは無関係である。軸圧縮が起こると、接触密度分布関数は一般に変化(進化)し、角度方向に依存するようになる。これについては、Darve,F.& Nicot,F.(2005)「粒状媒質における増分非線形について:現象論的およびマルチスケールの見解(パートI)(On incremental non−linearity in granular media: phenomenological and multi−scale views (Part I))」(International Journal for Numerical and Analytical Methods in Geomechanics、29、1387−1409)を参照。ただし上記の変化(進化)は、初期接触密度分布関数と、与えられる応力と、本明細書で定義する特性とにより完全に決定される。このため、初期等方性応力状態の接触密度分布関数を指定するだけでよい。
【0047】
そのような状態では、平均部分配位数および種々の粒子の数量が接触密度分布関数について置換可能になる。そのため、変形過程は、単位体積あたりの粒の数(n)と、単位体積あたりの水和物粒子の数(n)と、平均部分配位数(Ngg、Ngh、Nhg、およびNhh)とに依存すると仮定することができ、ここで、上記の下付き文字は接触の性質を表す。ngh=nhgであるため、本発明の1若しくはそれ以上の一実施形態では、Nhgの指定が不要である。あるいは、別の変数を指定から省略することができる。
【0048】
6)各種の粒子接触(粒−粒、粒−水和物、水和物−粒、および水和物−水和物)の配位数に関する分布関数。本明細書を執筆している時点で、多成分粒子系の配位数分布について展開された理論はなく、この分布を測定するための実験もほとんど行われていない。これについては、Pinson,D.、Zou,R.P.、Yu,A.B.、Zulli,P.& McCarthy,M.J.(1998)「球体の2成分混合物(二元混合物)の配位数(Coordination number of binary mixtures of spheres)」(J.Phys.D、31、457−462)などを参照。このため、各粒子接触の分布の平均値(Ngg、Ngh、およびNhh)だけが指定可能である。言い換えると、より高次のモーメントの役割は無視できる。ただし、多成分粒子系の配位数分布について理論が考案された場合は、その理論を使って、配位数分布を得ることができる。
【0049】
7)粒子接触の法線方向および剪断方向の弾性剛性(弾性スティフネス)。一般に、これらの弾性スティフネスは接触ごとに異なり、与えられる応力と、接触しあう粒子の物質特性とに依存する。ただし、これらの弾性スティフネスは、粒の弾性特性がわかっており、各接触における応力を計算する上で十分な情報がある場合、わかっているものと仮定できる。例えば、この仮定が可能になるのは、多成分粒子系の幾何学的構造および封圧が定義済みの場合である。1若しくはそれ以上の実施形態では、多成分粒子系の幾何学的構造を定義するには、上記の変数(Ngg、Ngh、Nhh、n、n、d、およびd)だけで十分と見なせる。これにより、粒子接触の法線方向および剪断方向の弾性スティフネスを指定する上で必要な追加変数は、粒および水和物のヤング率(E、E)と、粒および水和物のポアソン比(v、v)と、封圧(p)とになる。
【0050】
この議論では、考慮する物理属性のリストからクラスレート水和物の含有量を除外する。クラスレート水和物の含有量は、すでに前記リストに含まれている物理特性に作用する範囲で変形に影響を及ぼす。
【0051】
1若しくはそれ以上の実施形態では、多成分粒子系が、粒接触によるスライドで可塑的に変形すると仮定できる。そのため、変形に対する粒子回転の寄与は無視できる。滑り接触ではなく転がり接触が、剪断帯の最終段階を決定付けると期待される。これについては、Bardet,J.P.& Proubet,J.(1991)「粒状媒質において持続する剪断帯構造の数値解析(A numerical investigation of the structure of persistent shear bands in granular media)」(Geotechnique、41、599−613)およびTordesillas,A.& Walsh,S.(2002)「粒状媒質のマイクロメカニカルモデルにおける転がり抵抗および接触異方性の導入(Incorporating rolling resistance and contact anisotropy in micromechanical models of granular media)」(Powder Technology、124、106−111)などを参照。あるいは、接点での転がり抵抗および回転剛性を記述する付加的なパラメータを指定することにより、粒子回転を解析に組み込むこともできる。
【0052】
上記の議論に基づくと、弾塑性変形を決定する巨視的特性ηは、以下のパラメータに依存すると見なすことができる。
【0053】
【数1】

【0054】
さらに、式(1)は以下の関係に基づいて修正でき、ここで、φは多孔率、shydは水和物の飽和度である。
【0055】
【数2】

【0056】
これにより、式(2)、(3)、および(4)を使って式(1)からn、d、およびρを排除すると、次式が得られる。
【0057】
【数3】

【0058】
式(5)でどの変数を除外するかは、上記だけに限定されるものではない。式(5)は、次のように表現できる音速も含め、多成分粒子系の弾塑性特性を決定する変数を定義する。
【0059】
【数4】

【0060】
ここで、Vは疎密波(圧縮波)の速度、Vは剪断波の速度である。
【0061】
この例では、どちらの音速もフレーム速度である。さらに、必要な場合は、流体が飽和した堆積物中で測定された音速をガスマンの関係または他の任意の同様な方法を使って補正できる。これについては、Mavko,G.、Mukerji,T.,& Dvorkin,J.(1998)「The Rock Physics Handbook」(岩石物理学ハンドブック)(Cambridge University Press、p.329)などを参照。式(6)および(7)では、音波が誘発するひずみにより接点で生じる滑りは、ひずみが十分小さいため無視できると仮定している。したがって、VおよびVは、接点における凝集特性および摩擦特性とは無関係であると見なせる。
【0062】
引き続き上記の例を議論すると、式(6)はNggについての式に逆変換できると仮定できる。具体的には、式(6)の他のすべての変数を固定すると、VとNggとに1対1の関係を仮定することができる。この仮定は、Nggの増加ともにVが単調に増加すると期待されるため、物理的に妥当である。したがって、式(5)のNggをVで置き換えて、次式のようにできる。
【0063】
【数5】

【0064】
1若しくはそれ以上の実施形態では、VをVで置き換えることができる。さらに、水和物飽和度が低い場合は、機械特性が水和物の特性と無関係であると見なせる。この仮定は、核形成後、水和物が粒同士の接触領域ではなく微細孔の空間に成長する場合に適用できると期待される。したがって、式(1)は、次のように単純化できる。
【0065】
【数6】

【0066】
ただし、中程度〜高い水和物飽和度の場合は、水和物粒子に荷重がかかり、水和物粒子の幾何学的特性および物理特性が重要になる。そのような場合、Vの感度は、これらの特性に対し高まりうる。
【0067】
さらに、式(7)はNhhについての式に逆変換できると仮定できる。すなわち、式(7)の他のすべての変数を固定すると、VSとNhhとに1対1の関係を仮定することができる。この1対1の関係は、隣接しあう水和物粒子の接点数が増加するともにVSが単調に増加すると期待されるため、ここでも物理的に妥当である。したがって、式(8)のNhhをVで置き換えて、次式のようにできる。
【0068】
【数7】

【0069】
式(9)および(10)は、弾塑性特性相関をとる上で使用できる一般的な関係である。ただし、これらの式は、一部の場合に適用するには扱いにくいことがある。その場合は、上記の式を単純化して、適用を容易にできる。以下では、そのような単純化セットの1つについて説明する。以下の単純化は、単なる例示目的で提供するものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0070】
一例として、式(9)および(10)は、所与の堆積物−水和物2成分(二元)系に適用して単純化できる(あるいは、式(9)および(10)を使用すると、複数の異なる2成分(二元)系のデータを重ね合わせたものの相関をとることができる)。上記の仮定により、堆積物−水和物の所与の組み合わせについて、d、r、E、E、v、v、μgg、μgh、μhh、cgh、およびchhを、固定値と仮定することができる。
【0071】
式(10)からNghおよびnを排除できれば望ましい。本明細書を執筆している時点で、3つの平均部分配位数(Ngg、Ngh、およびNhh)に関する厳密な理論的表現は存在しない。ただし、多成分(多元)粒子系の平均部分配位数に関するおおよその理論的関係は、Dodds,J.A.(1980)「多成分ランダム球体充填における多孔率および接点の、単純な統計幾何学的モデルによる計算(The porosity and contact points in multicomponent random sphere packings calculated by a simple statistical geometric model)」(J. Colloid Interface Sci 77、317-327)、Ouchiyama,N.& Tanaka,T.(1980)「無作為に混合した固体粒子間の平均接点数の推定(Estimation of the average number of contacts between randomly mixed solid particles)」(Ind.Eng.Chem.Fundam.19、338−340)、およびSuzuki,M.& Oshima,T.(1985)「サイズ分布を伴った多成分球体を無作為に充填した層の配位数(Co−ordination number of a multicomponent randomly packed bed of spheres with size distribution)」(Powder Technol.44、213)に説明されている。
【0072】
Ouchiyama & Tanaka(1980)(上記参照)により開発された式検査法を使うと、Ngg、Ngh、およびNhhは、次のように近似的にモデル化できることが明らかになる。
【0073】
【数8】

【0074】
さらに、式(2)および(3)を使うと、上記のようにnおよびdを排除することができる。したがって、式(11)は、次のように単純化できる。
【0075】
【数9】

【0076】
さらに、Ouchiyama & Tanaka(1980)(上記参照)関係の簡潔性により、式(12)を逆変換してNhhからnを得ることができる。
【0077】
【数10】

【0078】
式(13)を式(12)に代入するとNghについて、次式が得られる。
【0079】
【数11】

【0080】
この例では、最後に式(13)および(14)を式(10)に代入し、式(7)の逆変換によりNhhをVで表せることを利用して、次式が得られる。
【0081】
【数12】

【0082】
次元解析を行うと、式(9)および(15)における独立変数の数を減らすことができる。一般に、前記巨視的特性ηは、無次元のもの(ポアソン比やダイレーション角(ダイレイタンシー角)など)としても、圧力次元を有するもの(ヤング率、一軸圧縮強度(unconfined compression strength、略称UCS)、凝集硬化パラメータなど)としても考慮できる。無次元化を目的とした場合、d、ρ、およびVをスケール変数として選択できる。ただし、他のスケール変数の組み合わせも使用できる({p、d、ρ}、{p、d、V}など)。さらに、結果的に得られる関係は、排他的にも他の関係と組み合わせて使用することもできる。
【0083】
上記のスケール変数を選択すると、E、E、cgh、およびchhの項(圧力次元を有する)をρの値でスケーリングして4つの無次元変数を
【0084】
【数13】

【0085】
の形で得ることができる。ここで、cは固定された堆積物−水和物組み合わせに関する定数である。ただし、4つの変数は、すべて一般性を失うことなく単一の変数
【0086】
【数14】

【0087】
で置換することができる。ここで、cは圧力次元を有した任意のスケール変数である。
【0088】
したがって、無次元化を行うと、無次元量間に以下の関係が得られる。
【0089】
【数15】

【0090】
ここで、ηが圧力次元を有する場合は、η=η/ρ、ηが無次元の場合は、η=η、また
【0091】
【数16】

【0092】
式(16)および(17)により、2成分(二元)堆積物−水和物系における機械特性および地球物理学的データの相関を考慮する基礎が得られる。一定の堆積物−水和物組み合わせについては、ν、ν、μgg、μgh、およびμhhも固定されるため、残りの変数についてのみ相関を求めればよい。独立変数、shyd、ρ、c、γ、φ、およびpは、すべて地球物理学的データから測定または推定することができる。
【0093】
図4は、本発明の1若しくはそれ以上の実施形態に係る相関図を示したものである。具体的にいうと、図4は、ダイレーション角(ダイレイタンシー角)と無次元かさ密度ρとの例示的な相関(一点鎖線)の図であり、これは上記の例示的な方程式に基づく仮想データを使って構成したものである。ダイレーション角は、剪断力を受けた固体が体積を増す傾向を示す尺度である。図4において、水和物飽和度は、凡例に示したデータ点に対応している。実際には、以下の手順で図4のデータを得ることができる。水和物を含んだ堆積物の試料は、関心のある地層をコアリングすることにより、または実験室で合成代用物質を製造することにより得られる。試料の特性ρおよびρは実験室で測定され、ρは計算される。次に、試料を、種々の荷重体系下で三軸圧縮試験装置にかける。そして、その試料について応力−ひずみ曲線をプロットする。ダイレーション角(ダイレイタンシー角)は、これらの応力−ひずみ曲線から推定する。これによりダイレーション角とρのプロットを構築し、そのプロットの点に対し曲線フィッティングを行う。この曲線を記述する数学関数が、ダイレーション角およびρの相関関数である。この例ではダイレーション角およびρに良好な相関があると仮定したが、実際には一般に調査を行って、最良の相関が得られる式(16)および(17)の変数の組み合わせを見つける。例えば、最終的にダイレーション角は積ργ、または3つの変数shyd、ρ、およびφに最もよく相関する可能性がある。当業者であれば、多種の相関が存在することが理解されるであろう。図4に示した相関は、単なる例示目的で提供したものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0094】
本発明の実施形態では、多成分粒子系(例えば、クラスレート水和物を含んだ堆積物など)の機械特性を正確に予測することができる。本発明の実施形態では、そのような系における機械的な作用を説明することにより、過度に保守的な機械的破壊モデルおよび弾性−脆性モデルに伴う非効率な作業手順を避ける例えば、本発明の実施形態を使用すると、岩石の変形または破壊を予測でき、その予測に基づいて掘削作業を調整できる。より一般には、本発明の実施形態により掘削作業を調整して、多成分粒子系の掘削に伴う問題を軽減することができる。
【0095】
本発明の実施形態は、使用するプラットフォームにかかわらず、ほぼ全タイプのコンピュータで実施できる。例えば図5に示すように、コンピュータシステム(500)には、プロセッサ(502)と、それに伴うメモリ(504)と、記憶装置(506)と、今日のコンピュータに一般に備えられた他の多くの要素および機能(図示せず)とが含まれる。前記コンピュータ(500)には、キーボード(508)およびマウス(510)などの入力手段と、モニター装置(512)などの出力手段とが含まれることもある。前記コンピュータシステム(500)は、ネットワーク(514)(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)、または他の任意の類似タイプのネットワーク)に、ネットワークインターフェース接続(図示せず)を通じて接続できる。当業者であれば、これらの入出力手段が他の形態を取ることも可能なことが理解されるであろう。
【0096】
さらに、当業者であれば、上述のコンピュータシステム(500)の1若しくはそれ以上の要素を遠隔位置に配置することも、またネットワーク経由で他の要素に接続することも可能なことが理解されるであろう。さらに、本発明の実施形態は、複数のノードを有した分散システムで実施でき、その場合、本発明の各部分(掘削構成要素、データ解析システム、測定機構など)を前記分散システム内の異なるノードに配置することができる。本発明の一実施形態において、前記ノードはコンピュータシステムに対応する。あるいは、前記ノードは、物理メモリを伴ったプロセッサに対応する。あるいは、前記ノードは、共有メモリまたは共有資源(リソース)を伴ったプロセッサに対応する。さらに、本発明の実施形態を実行するソフトウェア命令は、コンパクトディスク(CD)、ディスケット、テープ、ファイル、または他の任意のコンピュータ可読記憶装置といったコンピュータ可読媒体に格納できる。
【0097】
以上、限定された数の実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者であれば、本明細書に開示した本発明の範囲を逸脱しない範囲で、本開示に基づき他の実施形態も考案できることが理解されるであろう。そのため、本発明の範囲は、添付の請求項だけに限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多成分粒子系における掘削作業を管理する方法であって、
前記多成分粒子系に伴う複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データを取得する工程であって、当該複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データは、
前記多成分粒子系の第1のタイプの粒子の地球物理学的特性および石油物理学的特性と、
前記多成分粒子系で測定された音速と、
前記多成分粒子系の有効封圧と
を有する、前記多成分粒子系に伴う複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データを取得する工程と、
前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データに対応した少なくとも1つの特性を計算する工程と、
前記多成分粒子系の弾塑性特性の少なくとも1つの測定値を取得する工程と、
前記多成分粒子系の弾塑性特性の前記少なくとも1つの測定値を使って、前記多成分粒子系の少なくとも1つの弾塑性特性を計算する工程と、
前記少なくとも1つの弾塑性特性と、前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データに対応した前記少なくとも1つの特性との間に、少なくとも1つの相関をとる工程と、
前記少なくとも1つの相関を使って、関心のある地層に含まれる堆積物の少なくとも1つの弾塑性特性を推定する工程と、
前記堆積物の前記少なくとも1つの弾塑性特性を使って、前記関心のある地層の機械的完全性を評価する工程と、
前記評価に基づき、前記掘削作業を調整する工程と
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記多成分粒子系は、堆積物−水和物系である。
【請求項3】
請求項2記載の方法において、前記少なくとも1つの相関の形態は、前記堆積物−水和物系の水和物飽和度の度合いに依存するものである。
【請求項4】
請求項2記載の方法において、前記第1のタイプの粒子は水和物であり、前記多成分粒子系は、鉱物粒である第2のタイプの粒子を含むものである。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、
前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データは、ρ、c、φ、およびpを有し、
ここで、ρは乾燥した集合体の密度を鉱物粒の密度で除算することにより得られる第1の商、cは圧力次元を有したスケール変数を、鉱物粒の密度および疎密波(圧縮波)速度の2乗で除算することにより得られる第2の商、φは多孔率、pは鉱物粒の密度および疎密波速度の2乗で封圧を除算することにより得られる第4の商であり、
前記少なくとも1つの弾塑性特性の計算は、
【数17】

を有する式を使用して行われ、
ここで、ηlowは前記少なくとも1つの弾塑性特性、νは前記鉱物粒のポアソン比、μggは粒−粒滑り摩擦係数である。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記
【数18】

を有する式の使用は、前記堆積物−水和物系における低い水和物飽和度に基づいたものである。
【請求項7】
請求項4記載の方法において、
前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データは、shyd、ρ、c、γ、φ、およびpを有し、
ここで、shydは水和物の飽和度、ρは乾燥した集合体の密度を鉱物粒の密度で除算することにより得られる第1の商、cは圧力次元を有したスケール変数を、鉱物粒の密度および疎密波(圧縮波)速度の2乗で除算することにより得られる第2の商、γは疎密波の速度を剪断波の速度で除算することにより得られる第3の商、φは多孔率、pは鉱物粒の密度および疎密波速度の2乗で封圧を除算することにより得られる第4の商であり、
前記少なくとも1つの弾塑性特性の計算は、
【数19】

を有する式を使用して行われ、
ここで、ηhighは前記少なくとも1つの弾塑性特性、νは前記水和物のポアソン比、μghは粒−水和物滑り摩擦係数、μhhは水和物−水和物滑り摩擦係数である。
【請求項8】
請求項7記載の方法において、前記
【数20】

を有する式の使用は、前記堆積物−水和物系における中程度〜高い水和物飽和度に基づいたものである。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データは、前記多成分粒子系の第2のタイプの粒子の地球物理学的特性および石油物理学的特性をさらに有するものである。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、前記多成分粒子系は、2より多くのタイプの粒子を有するものである。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、前記少なくとも1つの弾塑性特性はスケーリングされないものである。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、前記少なくとも1つの相関をとる工程は、前記多成分粒子系の粒子の回転に関連付けられたパラメータを使って行われるものである。
【請求項13】
多成分粒子系における掘削作業に伴うシステムであって、
前記多成分粒子系に伴う複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データを取得するよう構成された少なくとも1つの測定機構であって、前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データは、
前記多成分粒子系の第1のタイプの粒子の地球物理学的特性および石油物理学的特性と、
前記多成分粒子系で測定された音速と、
前記多成分粒子系の有効封圧と
を有する、少なくとも1つの測定機構と、
データ解析システムであって、
前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データに対応した少なくとも1つの特性を計算し、
前記多成分粒子系の弾塑性特性の少なくとも1つの測定値を取得し、
前記多成分粒子系の弾塑性特性の前記少なくとも1つの測定値を使って、前記多成分粒子系の少なくとも1つの弾塑性特性を計算し、
前記少なくとも1つの弾塑性特性と、前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データに対応した前記少なくとも1つの特性との間に、少なくとも1つの相関をとり、
前記少なくとも1つの相関を使って、関心のある地層に含まれる堆積物の少なくとも1つの弾塑性特性を推定し、
前記堆積物の前記少なくとも1つの弾塑性特性を使って、前記関心のある地層の機械的完全性を評価する
よう構成された、データ解析システムと
を有し、
前記掘削作業は、前記評価に基づいて調整されるものである
ことを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13記載のシステムにおいて、前記多成分粒子系は、堆積物−水和物系である。
【請求項15】
請求項14記載のシステムにおいて、前記データ解析システムは、前記堆積物−水和物系の水和物飽和度の度合いに応じ異なる式を使って、前記少なくとも1つの弾塑性特性を計算するよう構成されているものである。
【請求項16】
請求項14記載のシステムにおいて、前記第1のタイプの粒子は水和物であり、前記多成分粒子系は、鉱物粒である第2のタイプの粒子を含むものである。
【請求項17】
請求項16記載のシステムにおいて、
前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データは、ρ、c、φ、およびpを有し、
ここで、ρは乾燥した集合体の密度を鉱物粒の密度で除算することにより得られる第1の商、cは圧力次元を有したスケール変数を、鉱物粒の密度および疎密波(圧縮波)速度の2乗で除算することにより得られる第2の商、φは多孔率、pは鉱物粒の密度および疎密波速度の2乗で封圧を除算することにより得られる第4の商であり、
前記データ解析システムは、
【数21】

を有する式を使用して、少なくとも1つの弾塑性特性を計算するよう構成され、
ここで、ηlowは前記少なくとも1つの弾塑性特性、νは前記鉱物粒のポアソン比、μggは粒−粒滑り摩擦係数である。
【請求項18】
請求項17記載のシステムにおいて、前記
【数22】

を有する式の使用は、前記堆積物−水和物系における低い水和物飽和度に基づいたものである。
【請求項19】
請求項16記載のシステムにおいて、
前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データは、shyd、ρ、c、γ、φ、およびpを有し、
ここで、shydは水和物の飽和度、ρは乾燥した集合体の密度を鉱物粒の密度で除算することにより得られる第1の商、cは圧力次元を有したスケール変数を、鉱物粒の密度および疎密波(圧縮波)速度の2乗で除算することにより得られる第2の商、γは疎密波の速度を剪断波の速度で除算することにより得られる第3の商、φは多孔率、pは鉱物粒の密度および疎密波速度の2乗で封圧を除算することにより得られる第4の商であり、
前記データ解析システムは、
【数23】

を有する式を使用して、少なくとも1つの弾塑性特性を計算するよう構成され、
ここで、ηhighは前記少なくとも1つの弾塑性特性、νは前記水和物のポアソン比、μghは粒−水和物滑り摩擦係数、μhhは水和物−水和物滑り摩擦係数である。
【請求項20】
請求項19記載のシステムにおいて、前記
【数24】

を有する式の使用は、前記堆積物−水和物系における中程度〜高い水和物飽和度に基づいたものである。
【請求項21】
多成分粒子系における掘削作業を管理するコンピュータプログラムコードを有するコンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータプログラムコードは、
前記多成分粒子系に伴う複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データであって、
前記多成分粒子系の第1のタイプの粒子の地球物理学的特性および石油物理学的特性と、
前記多成分粒子系で測定された音速と、
前記多成分粒子系の有効封圧と
を有する、前記多成分粒子系に伴う複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データを取得し、
前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データに対応した少なくとも1つの特性を計算し、
前記多成分粒子系の弾塑性特性の少なくとも1つの測定値を取得し、
前記多成分粒子系の弾塑性特性の前記少なくとも1つの測定値を使って、前記多成分粒子系の少なくとも1つの弾塑性特性を計算し、
前記少なくとも1つの弾塑性特性と、前記複数の地球物理学的データおよび石油物理学的データに対応した前記少なくとも1つの特性との間に、少なくとも1つの相関をとり、
前記少なくとも1つの相関を使って、関心のある地層に含まれる堆積物の少なくとも1つの弾塑性特性を推定し、
前記堆積物の前記少なくとも1つの弾塑性特性を使って、前記関心のある地層の機械的完全性を評価し、
前記評価に基づき、前記掘削作業を調整する
よう指示する命令を有することを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項22】
請求項21記載のコンピュータ可読媒体において、前記多成分粒子系は、堆積物−水和物系である。
【請求項23】
請求項22記載のコンピュータ可読媒体において、前記少なくとも1つの弾塑性特性を計算するよう指示する命令は、前記堆積物−水和物系の水和物飽和度の度合いに応じて異なる式を使用するよう指示する命令を有する。
【請求項24】
請求項23記載のコンピュータ可読媒体において、前記第1のタイプの粒子は水和物であり、前記多成分粒子系は、鉱物粒である第2のタイプの粒子を含むものである。
【請求項25】
請求項21記載のコンピュータ可読媒体において、前記少なくとも1つの弾塑性特性を計算するよう指示する命令は、前記多成分粒子系の粒子の回転に関連付けられたパラメータを使用するよう指示する命令を有するものである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−502862(P2010−502862A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526919(P2009−526919)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/077292
【国際公開番号】WO2008/028075
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(509058221)シュルムバーガー ホールディングス リミッテッド (3)
【Fターム(参考)】