説明

多成分系漂白組成物および容器

【課題】過酸化物含有組成物の漂白効果と共に、プラークおよび歯石に対する研磨歯磨組成物の改善された効果を発揮するような漂白歯磨組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、歯磨組成物を収容し、かつ取り出すための容器に関連している。当該容器は、その中に第1歯磨組成物を収容している第1室、および、その中に第2歯磨組成物を収容している第2室を備える。第1歯磨組成物は、非研磨性漂白剤および少なくとも1種類の増粘剤を含有し、第2歯磨組成物は、研磨つや出し材料、少なくとも1種類の増粘剤、タンパク質分解酵素、および酵素分解を受けにくい流動性改良剤を含有する。第1および第2の歯磨組成物は、容器から実質的に同時に共押出しされるまで、互いに分離された状態に保たれる。本発明は、共押出しされた第1および第2の歯磨組成物を含有する漂白組成物にも関連している。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、概してニ成分系歯磨漂白組成物、および、歯に使用するそのような組成物を取り出す容器に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
歯磨剤、特に過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の過炭酸塩および過ホウ酸塩のような活性酸素または過酸化水素遊離成分(hydrogen peroxide liberating ingredients)を含有する練り歯磨き、ゲル、およびパウダーが、歯を漂白するための先行技術で開示されている。
【0003】
過酸化物化合物を含有する非研磨性漂白歯磨組成物が、業務用および家庭用の双方で使用するものとして知られている。そのような漂白歯磨剤は、シリカおよびアルミナのような従来の研磨剤またはつや出し剤を通常含有しておらず、これは、シリカおよびアルミナのような材料が、過酸化物化合物の急速分解を活性化させる可能性があるためである。このことは、練り歯磨組成物を収容するための従来のチューブ等の容器に収容された組成物にとって特に都合が悪く、これは、十分量の安定剤がない場合、その分解反応で生じる過早のガス放出によって、それらの製品を収容するチューブの膨張および/または破裂が引き起こされる可能性があるためである。
【0004】
過酸化物化合物を含有せずに歯を漂白する歯磨組成物もまた、家庭で使用するものとして知られており、米国特許第4,986,981号に論じられている。そのような組成物は、パパイン、アルカリ金属のクエン酸塩、およびクエン酸のようなタンパク質分解酵素と組み合わせて、シリカおよび/またはアルミナのような研磨材料を使用し、プラーク、および歯に形成される歯石の予防および除去を助ける。アルカリ金属のクエン酸塩およびクエン酸の存在なしでパパインを使用しても、歯石のカルシウム含有量に影響を及ぼさないことが記載されている。
【0005】
二成分系漂白歯磨組成物が従来から開発されており、米国特許第5,766,574号では、過酸化物化合物と研磨材料とが、歯に適用される直前まで別々に分離された状態に維持されることが論じられている。そのような製品は、第1の室に非研磨性の過酸化物含有漂白組成物を、そして第2の室には過酸化物と反応性のある研磨材料を含有する組成物を含む。しかしながら、当該製品は、研磨組成物にタンパク質分解酵素、アルカリ金属塩、およびクエン酸を使用していない。
【0006】
上述されたように、過酸化物含有組成物の漂白効果と共に、プラークおよび歯石に対する研磨歯磨組成物の改善された特性を発揮するような漂白歯磨組成物を提供することは、有意義なことであろう。以下に開示される本発明は、そのように有益である製品/系を提供する。
【0007】
〔発明の概要〕
ある実施態様では、本発明は、歯磨組成物を収容し、かつ取り出すための容器に関連している。容器は、その中に第1歯磨組成物を収容している第1室、および、その中に第2歯磨組成物を収容している第2室を備える。第1歯磨組成物は、歯を漂白する非研磨性漂白剤および増粘剤を含有し、第2歯磨組成物は、研磨剤またはつや出し剤の材料、増粘剤、タンパク質分解酵素、および当該タンパク質分解酵素によって分解されにくい流動性改良剤(rheology modifier)を含有する。第1および第2の歯磨組成物は、容器のそれぞれの室から実質的に同時に共押出しされるまで、互いに分離された状態に保たれる。第1および第2の歯磨組成物が同時に共押出しされると、第1および第2の歯磨組成物は、所定の相対量で混合されて、第1および第2の組成物を含有する第3の組成物を形成し、歯に適用される。本発明は、家庭用の二成分系歯漂白組成物にも関連しており、当該組成物は、非研磨性漂白剤、少なくとも1種類の増粘剤、歯磨きに適する研磨材料、流動性改良剤、およびタンパク質分解酵素を含有する。
【0008】
〔好適な実施形態の説明〕
容器および二成分系歯磨組成物(dual component dentifrice compositions)は、特許請求されるように、第1および第2の組成物を使用しており、当該第1および第2の組成物は、異なる特性を保有してよく、または、異なる利点を提供するものであってよく、または、異なる機構で同様の利点を提供するものであってよく、または、一方の組成物または他方の組成物に対して反応性を有する活性成分を含有してもよい。第1組成物は、歯を漂白する非研磨性の漂白剤を含有し、容器の第1室に収容される組成物である。第2組成物は、プラークおよび/または歯石を減少させるか、および/または、除去する研磨組成物であり、当該容器の第2室に収容され、かつ、使用前には第1組成物から分離されている組成物である。
【0009】
第1および第2の組成物は、その後実質的に同時に容器から共押出しされ、第1および第2の組成物の混合物を含有する第3の組成物を形成する。「実質的に同時に共押出しされる(substantially simultaneously co-extruded)」とは、第1および第2の歯磨組成物が、実質的に同時に、ほぼ同等の体積で、あるいは、所望される所定の相対的な量で、それぞれ第1および第2の室から押し出される、すなわち取り出されることを意味する。そのような系では、第3組成物が初回に適用される使用時から最後に適用される使用時まで歯に対して一貫した処置を与えるように、第3組成物に含有される第1および第2の歯磨組成物の相対的な量が、第1および第2の歯磨組成物が長期に亘り繰り返して共押出しされるにもかかわらずに、実質的に一定に保たれることが重要である。したがって、容器から共押出しされる第1および第2の組成物の体積比率が長期に亘って実質的に一定に保たれることが重要である。「実質的に一定」とは、容器から取り出された第1および第2の組成物の比率が、第1および第2の組成物を収容する当該容器を繰り返して使用した場合であっても、第3の組成物の性能およびレオロジー特性(rheological properties)が認め得るほどに変化しないようなものであることを意味する。
【0010】
長期に亘って容器から共押出しされる第1および第2の歯磨組成物の量を実質的に一定の比率に保つことは、本発明にとって重要なことである。第1および第2の組成物を実質的に一定な比率に保つために主要な要素の1つは、それぞれの組成物のレオロジー特性である。組成物は、粘弾性であるため、第1および第2の歯磨組成物のそれぞれのレオロジー特性が長期に亘って実質的に一定に維持されることが重要である。「粘弾性」であることは、組成物が、粘性と弾性との両方を合わせ持つことを意味する。「弾性」は、変形後、特定時間の経過内に構造組成物(structured composition)の特性が、最初の形態または状態に戻ることを意味する。
【0011】
剪断感受性(shear sensitive)およびチクソトロピー性(thixotropic)の組成物は、乏しいまたは不安定な弾性を示し、このような組成物は容器内に配置された後、実質的に一定なレオロジー特性を長期に亘って維持する能力がないために許容できない二成分系製品を製造する。そのため、長期に亘って共押出しされた時、第3組成物内の第1および第2の組成物の量は、実質的に一定な比率に保たれない可能性がある。弾性の乏しい組成物は、本発明の組成物および容器と比較してより多くの問題を含む製品となり、製品のレオロジーに対して入念な制御が必要となる。
【0012】
米国特許第5,766,574号に記載されるような、タンパク質分解酵素を全く含有しない二成分系とは異なり、本発明の研磨組成物は、特定の増粘剤を分解可能であり得るタンパク質分解酵素を含有する。「タンパク質分解の(proteolytic)」とは、一旦歯に適用されると酵素がタンパク質の分解を促進することによって、タンパク質がより小さな化合物に分解されることを意味する。米国特許第4,986,981号に開示されているような歯磨組成物は、タンパク質分解酵素を含有しているものの、当該歯磨組成物は一成分系の組成物である。また、同特許に開示された歯磨組成物は、当該組成物内に使用された増粘系の分解が長期に亘ってある程度起こり得るものではあるが、2種類の組成物が長期に亘って実質的に同時に共押出しされる場合に当該2種類の組成物の量の比率を実質的に一定に保たせるという議題を有してない。長期に亘って2種類の組成物の量の比率を実質的に一定に保ちつつ実質的に同時に取り出されるような当該2種類の組成物の調製を探求する時であって、かつ、その2種類の組成物のうちの一方が酵素分解され得る増粘剤を含有する場合にのみ、2種類の組成物のレオロジー特性を実質的に一定に維持することで、共押出しされる当該2種類の組成物の体積を実質的に一定比率に維持することに関連する課題に気付く。「酵素分解」とは、酵素がポリマー性増粘剤の鎖を分解し、そのため、ポリマー性増粘剤の鎖が短くなることを意味し、酵素分解の結果として粘度は低くなる。
【0013】
本発明は、酵素分解されにくい流動性改良剤を添加して第2の研磨組成物の粘弾性特性を改良することによって問題点を克服するものである。流動性改良剤は、組成物の弾性を改善するのに有効である最小限の量で存在する。しかし、流動性改良剤を添加した後の研磨組成物の全体の粘性に有意に影響を与える量では流動性改良剤は存在しない。従って、研磨組成物のレオロジー特性は長期に亘って安定化される。剪断後の製品の増粘構造回復(recovery of the thickening structure)と、タンパク質分解酵素存在下でのレオロジーの頑健性(robustness)とを制御することが所望される場合に、本改良は有意である。
【0014】
本発明に従って使用される第1歯磨組成物は、非研磨性の漂白剤および当該漂白剤と共存可能な増粘剤を含有する賦形剤、任意に、pH調整剤、緩衝剤、または双性イオン安定剤を使用して配合される。第1組成物は、一般にゲル状であり、当該ゲルは、直立可能であり、かつ従来のゲル状歯磨組成物と同様な粘度等の特徴を有してもよい。このゲル内に非研磨性漂白剤と共存可能な香料および着色料等の審美的成分が、選択されてもよい。
【0015】
第1組成物は、必須ではないが、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)または酸性ピロリン酸ナトリウム(sodium acid pyrophosphate)のようなキレート剤を含有してよい。第1組成物は、湿潤剤、界面活性剤、香料および抗齲蝕剤等の追加成分、ならびに、刺激感応性を治療するかまたは歯に石化作用を与える薬剤等の他の治療用薬剤および美容性薬剤を含有してもよい。
【0016】
本発明の第1組成物は、非研磨性歯漂白剤を含有する。適する歯漂白剤は、これらに限定されるものではないが、過酸化物、亜塩素酸金属(metal chlorites)、亜塩素酸金属(metal chlorites)、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸、および、これらの組み合わせ物を含む。本発明の第1漂白組成物を調製するのに使用される適切な過酸化物化合物の例としては、過酸化水素および過酸化カルバミド等の金属イオン非含有過酸化物成分、過酸化尿素、過酸化グリセリル(glyceryl peroxide)および過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、ならびに、過酸化カルシウムおよび過炭酸ナトリウム等の金属イオン含有過酸化物を含む。好ましい過酸化物化合物は、過酸化水素である。適する亜塩素酸金属は、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、および亜塩素酸カリウムを含む。さらなる漂白剤としては、次亜塩素酸塩、二酸化塩素およびこれらの化合物に対する前駆体(pre-cursors)を含む。漂白剤は、第1組成物の全重量に対して約0.01重量%〜約40重量%の量で存在し得る。過酸化物化合物が漂白剤として選択された場合、過酸化物化合物は、第1組成物の重量に対して約0.1重量%〜約20重量%、例えば、約0.5重量%〜約10重量%、または約1重量%〜約7重量%に匹敵する過酸化水素または活性酸素含有物の量を供給しなくてはならない。この量の過酸化水素等価物を供給するためには、過酸化水素等の過酸化物化合物は、一般に、第1組成物の重量に対して約0.1重量%〜約30重量%、または約3重量%から約20重量%の量で存在する。
【0017】
本発明の第1組成物は、少なくとも1種類の増粘剤を含有する増粘系(thickening system)も含有する。適する増粘剤は、これらに限定されるものではないが、カルボキシポリメチレン、ポロキサマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(マレイン酸−co−ビニルアルキルエーテル)等のアクリル酸のコポリマー、メタクリル酸、およびこれらの混合物を含む。第1歯磨組成物を増粘化させるのに選択された増粘剤は、当該組成物に使用される非研磨性漂白剤、例えば、過酸化水素に対して安定なものでなければならない。用語「カルボキシポリメチレン」とは、ポリマーの広いカテゴリーを示すために使用され、特にアクリル酸とポリアリルスクロースのコポリマーに対して使用される。適するカルボキシポリメチレン組成物は、B.F.Goodrich Companyから「CARBOPOL」の商品名で入手可能である。適するCarbopol(登録商標)増粘剤は、Carbopol(登録商標)934,940,941,956、Carbopol(登録商標)ETD2001,ETD2020,ETD2050、Carbopol(登録商標)Ultrez10およびこれらの混合物を含む。カルボキシポリメチレンの別の商品は、CARBOMERである。非中和の状態で、カルボキシポリメチレンは、2.5と同等に低いpHを有することができる。
【0018】
増粘系は、組成物に対して初期粘度(primary viscosity)を与える。初期粘度とは、組成物の全粘度の少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%を意味する。増粘剤は、本発明の第1組成物の粘度を、例えば、1(1/s)未満の低い剪断速度で約0.2Pa・s(約200cps)から約1,000Pa・s(約1,000,000cps)まで上昇させる。好ましくは、本発明の組成物の粘度は、約100Pa・s(約100,000cps)〜約800Pa・s(約800,000cps)、または、約400Pa・s(約400,000cps)〜約600Pa・s(約600,000cps)である。第1組成物内の増粘剤の量は、第1組成物の重量に対して約0.1重量%〜約50重量%、または、約1重量%〜約15重量%、例えば、約1重量%〜約10重量%の範囲であってよい。ほとんどの場合、ポリマー性の増粘剤は、当然第1組成物に対して弾性を与える。しかしながら、必須ではないが、流動性改良剤が弾性を高めるために添加されてもよい。そのような流動性改良剤は、選択された漂白剤と共存可能であるような任意の合成柔軟性ポリマーであってもよい。
【0019】
類似の組成物ではあるが双性イオン安定剤(zwitterionic stabilizer)を含んでいない組成物と比較して改善された物理的安定性および/または化学的安定性を与えるように、少なくとも1種類の双性イオン安定剤を本発明の第1組成物に加えてもよい。次の記述によって制限されることを意図するものではないが、pHが約4.5〜約7.5の水溶液では、特定の分子または化合物は、双性イオン特性を保有し、かつ、水素結合相互作用でのプロトン供与体およびプロトン受容体として振舞うことができる官能基を保有する。したがって、これらの安定剤は、本発明の増粘されたゲルの水素結合を強めることが可能であり、遊離ラジカルが開始する分解に対するゲルの耐性をより高めることができる。双性イオン安定剤は、過酸化物および/またはポリマー分子との水素結合による、複雑ではあるが好ましい網状構造(complex but favorable network)を形成することによって、ポリマー増粘剤、例えば、Carbopol(登録商標)を使用しているゲル内の漂白剤、例えば、過酸化水素を安定化することが可能である。これらのゲル内の、増強されかつ複合化された水素結合によって、過酸化水素の分解および増粘ポリマーを次々と攻撃する水素ラジカルの発生を阻止するだけでなく、ラジカルが攻撃する増粘ポリマーの部分が保護されることになる。したがって、安定剤は、長期に亘り漂白剤および/またはポリマー増粘剤の分解を阻止するかまたは最小限に抑えることを助ける。このような分解は、長期に亘る歯磨組成物のpH減少に関連する。ポリマー増粘剤の分解を示す組成物のpH低下は、組成物の粘度減少に関連する。組成物の粘度の相当な低下によって、漂白効果を与えるのに必要とされる期間を歯磨組成物は歯に接触し続けることができなくなり、その結果、漂白効果は低減することになる。漂白効果の問題に加えて、「粘度の低い(runny)」組成物は、製品を使用する一般消費者に影響を与えるさらなる審美的問題を引き起こす可能性がある。
【0020】
本発明に有益な双性イオン安定剤は、分子、化学化合物、またはこれらの混合物の形状を有してよい。適する双性イオン安定剤は、グリシン、ジグリシン、トリグリシン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、β−アラニン、4−アミノ酪酸、および6−アミノヘキサン酸等のアミノ酸、短ペプチド、およびこれらの誘導体を含むが、これらには限定されない。双性イオン安定剤の別の種類としては、尿素、コカミドプロピルベタイン等のベタイン界面活性剤、トリメチルアミンオキシド、ペプチド、およびこれらの組み合わせ物を含む。人に使用される場合の適応性に加えて、使用されている漂白剤および増粘剤の特色を考慮して、適切な安定剤が選定され得る。比較的短鎖の化合物または分子は、人へ使用される場合により一層好まれ得るものではあるが、典型的には、長鎖化合物が、双性イオン安定剤の正負の電荷間の距離がより離れていることによる効果のために好まれ得る。双性イオン安定剤が使用されるとき、本発明の第1組成物に使用される双性イオン安定剤は、当該組成物に対して物理的なおよび/または化学的な安定性を高めるのに有効な量で存在する。典型的には、双性イオン安定剤の量は、組成物の全重量に基づいて約0.05重量%〜約5重量%、例えば、約0.2重量%〜約2重量%の範囲であってよい。
【0021】
双性イオン安定剤を使用する本発明に従った組成物は、類似する組成物ではあるが双性イオン安定剤を含んでいない組成物と比較して、化学的および物理的な安定性が向上されていることを示す。このことは、EDTAおよび/またはクエン酸等の従来のキレート剤が使用された時でも示される。本発明のゲル組成物は、8週間に亘って約40℃の温度に曝されても、典型的には、配合された過酸化物含有量の少なくとも約75%を保持し、または、約12週間の間40℃に曝された時でも、過酸化物含有量の約70%を保持する。加えて、本発明のゲル組成物のpHは、約12週間の間40℃に曝されても、典型的には、約25%より大きい、または約20%よりも大きいpHの低減はない。前述したように、pHの有意な低減は、本発明のゲル粘度の有意な低減を招く。
【0022】
本発明の漂白歯磨組成物のための賦形剤(vehicle)を配合するのにグリセリンおよびポリエチレングリコールのような湿潤剤が水と共に使用されてもよい。グリセリン、ポリエチレングリコールおよび水の組み合わせ物は、過酸化物組成物のその他の成分が含有される賦形剤として好ましい。本発明に有益なポリエチレングリコールの実例は、商品名がCarbowaxとして知られるポリエチレングリコールを含み、当該ポリエチレングリコールは、次の一般式を有するエチレンオキシドの非イオン性ポリマーであり、
HOCH2(CH2OCH2)nCH2OH
式中、nは、オキシエチレン基の平均数を示す。Carbowax(登録商標)ポリエチレングリコールは、400、600、800等の数によって指定され、その数は、平均分子量を示す。別のポリエチレングリコール組成物は、Callahan Chemical Companyから商品名Peg−8として入手可能である。本発明の実施例で使用されるポリエチレングリコールの平均分子量は、約200〜2,000、好ましくは、400〜800、さらに好ましくは、約600である。
【0023】
本発明の第1歯磨組成物に、グリセリンは、約40重量%〜約60重量%で含まれてよく、ポリエチレングリコールは、約5重量%〜約10重量%の量で含まれてもよい。水は、第1組成物の約5重量%〜約35重量%の濃度、または漂白組成物の約15重量%〜約25重量%の濃度で本発明の水溶性漂白歯磨組成物に組み込まれる。
【0024】
グリセリンおよびポリエチレングリコールに加えて、他の多価溶剤が本発明の第1組成物の化学的および物理的な安定性をさらに向上させる可能性がある。適する多価溶剤は、ポリビニルアルコール、ポリプロピレングリコール、トレハロース、ラクトース、スクロース、マルトース、マンノース、これらの誘導体、およびこれらの混合物を含むが、これらには限定されない。多価溶剤が使用されるとき、本発明の組成物に含有される多価溶剤の量は、組成物の約0.1重量%〜約20重量%、例えば、約1重量%〜約10重量%の範囲であってもよい。
【0025】
過酸化物歯磨組成物を調製するのに使用されるキレート剤は、酸性ピロリン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム(Na2CaEDTA)、リン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、およびエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを含んでもよい。キレート剤は、本発明の過酸化物含有歯磨組成物の重量に対して0.05重量%〜約8重量%、または約0.1重量%〜約3重量%の範囲で、当該組成物に組み込まれる。
【0026】
典型的に、本発明の第1組成物は実質的に非研磨性であり、研磨材料を本質的に含有しないかまたは研磨材料を全く含有しないが、所望であれば、非研磨性の漂白剤と融和性のある研磨材料が、第1歯磨組成物のレオロジー特性または化学的安定性を物質的に変化させないような量で第1歯磨組成物に組み込まれてもよい。そのような研磨剤の実例は、リン酸ニカルシウム二水和物および無水リン酸ニカルシウム、またはピロリン酸カルシウムを含むが、これらには限定されない。本発明に従った非研磨性漂白組成物は、そのような漂白組成物を調製するのに周知である任意の従来手順によって調製されることができる。
【0027】
第2歯磨組成物は、典型的に練り粉状であり(in the form of a paste)、練り粉状という用語は、歯磨組成物の技術において従来から理解されているものである。当該第2歯磨組成物は、例えば、リン酸ニカルシウム二水和物、不溶性メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、アルミノケイ酸塩、または、含水シリカ(hydrated silica)、無水シリカゲル、および、非晶質シリカを含有する様々なシリカのうちの1種類等の研磨材料を含み、かつ、当該第2歯磨組成物は、所望であれば研磨材料の組み合わせ物を含有してもよい。これらの研磨剤は、様々な研磨剤のタイプの中で、かつ、各タイプの中でも研磨性の度合いが異なることがあり、そのため、研磨剤は、入念に検分され、かつ、歯が自然歯であっても修復されたものであっても、それらの歯を傷つけることなく磨き上げるような適切な量に調整される。研磨剤は、本発明に適する第2研磨組成物の全重量に対して約10重量%〜約60重量%、または、約15重量%〜約35重量%を含んでもよい。
【0028】
第2研磨組成物は、さらに、初期粘度を当該第2研磨組成物に与えるように少なくとも1種類の増粘剤を含有する増粘系を使用する。増粘系は、本発明の組成物の粘度を、例えば、1(1/s)未満の低い剪断速度で約0.2Pa・s(約200cps)から約1,000Pa・s(約1,000,000cps)まで上昇させる増粘剤と共に第2組成物に初期粘度を与える。好ましくは、本発明の組成物の粘度は、約100Pa・s(約100,000cps)〜約800Pa・s(約800,000cps)、または、約400Pa・s(約400,000cps)〜約600Pa・s(約600,000cps)である。
【0029】
ポリマー親水コロイド、多糖類、および、鉱物コロイド等の親水コロイド特性を有する多くの作用物質が使用されてもよい。多糖類は、ペクチン、天然セルロース、ならびに、トラガカントゴム(gum tragacanth)、カラヤゴム(gum karaya)およびグアーガム(guar gum)等の天然ゴムを含む。様々なカラゲーニン(carageenans)、アイリッシュモスの抽出物(extracts of Irish moss)、およびアルギン酸ナトリム等の海藻コロイドが使用されてもよい。カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびメチルセルロースを含む合成セルロースまたはポリマー親水コロイドが使用されてもよい。ベントナイトおよびケイ酸塩(silicates)等の鉱物コロイドが使用されてもよい。カルボキシメチルセルロースナトリムおよび非晶質ケイ酸塩は、組成物に粘性体積 (bulk of viscosity)を与えるのに特に好まれる。
【0030】
本発明に使用され得るタンパク質分解酵素は、ブロメライン、フィシン、トリプシン、アクチニジン、およびパパインから成る群から選択されてもよい。本明細書で使用される場合、パパインは、天然の乾燥したラテックスというよりはむしろ結晶タンパク質分解酵素を指す。結晶タンパク質分解酵素は、市販の乾燥パパイヤラテックスから調製したものである。Merck Indexによると、パパイン分子は、212の残基を有する1本の折り畳みペプチド鎖から成り、約23,400の分子量を有する。パパインが使用される場合、第2組成物の全重量を基準にして約0.05重量%〜約8重量%、または、約0.1重量%〜約4.5重量%の量で、パパインは当該第2組成物に組み込まれてもよい。本明細書で例示として本発明に使用されるパパインは、Biddle−Sawyer Group,.のMilk Clot Assay試験で決定されるように1ミリグラム当り100〜800ユニットの活性を有する(J.Biol.Chem.,Volume121,ページ737〜745,(1937年)を参照)。異なる活性を有するパパインを使用する場合、本明細書で記載される組成物に本質的に一致する全体活性(overall activity)を与えるようにパパインの量が調整されるであろう。
【0031】
増粘剤を含有する増粘系に加えて、本発明に使用される第2研磨組成物は、流動性改良剤を含み、この流動性改良剤は、タンパク質分解酵素による酵素分解を受けにくいものであり、かつ、組成物基質の弾性を高めるものである。当該流動性改良剤は、いくらかのわずかな粘性を組成物に与え得るものであるが、全体粘度に多大な影響を与えるものではなく、かつ、研磨組成物の初期増粘剤とはならない。流動性改良剤および流動性改良剤を含有する組成物は、高い弾性係数、剪断されるかまたは引き伸ばされると直ちに収縮するかまたは跳ね返る能力、および、変形されると元の形状および/または構造に戻る弾力性、を保有する。弾性レオロジー特性(elastic rheological properties)を安定化させる流動性改良剤の例としては、柔軟合成ポリマー、エラストマー、キサンタンゴム(xanthan gum)等の天然結合剤(natural binders)、ならびに、疎水的に改質された会合性の合成および天然のポリマーがある。酵素分解を受けにくい他の天然ゴムも使用されることができる。柔軟合成ポリマーは、これらに限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、およびポリビニルプロピレンを含む。
【0032】
流動性改良剤という用語が歯磨組成物の分野における当業者にとって理解されるように、特定の流動性改良剤は、一般には増粘剤として分類分けされるかまたは増粘剤として知られているかもしれない。しかしながら、本発明の組成物に使用されるレベルで流動性改良剤が使用される場合、当該流動性改良剤は、組成物に初期粘度を与えるのに有効である量では存在していないため、流動性改良剤自体は、増粘剤としては機能しない。それに加えて、流動性改良剤は、組成物の初期粘度を与えるような増粘系に使用される増粘剤とは異なる。本発明で使用される組成物は、当該組成物の重量を基準にして、約0.1重量%〜約10重量%、または、約0.2重量%〜約5重量%、また、約0.2重量%〜約3重量%に該当する流動性改良剤を含む。
【0033】
典型的に、本発明は、第2組成物にクエン酸ナトリウムを含有しており、当該クエン酸ナトリウムは、第2組成物の全体重量の約0.5重量%〜約5重量%の量で存在する。または、本発明は、第2組成物にクエン酸カリウムを含有しており、当該クエン酸カリウムは、第2組成物の全体重量の約0.5重量%〜約3.3重量%で存在する。クエン酸は、クエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウムと組み合わせて使用されてもよく、クエン酸は、第2組成物の全体重量の約3重量%以下の量で存在させるが、通常は、約3重量%よりも幾分少ない量で使用される。特定の実施態様では、クエン酸は、約0.1重量%〜約1重量%の量で使用される。クエン酸は、第2組成物のpHを少なくとも約5に調整する量で使用されるか、またはpHを約5.5〜約8の間に調整する量で使用される。
【0034】
起泡特性を与えるために界面活性剤(surface-active agent)が第2研磨歯磨組成物に組み込まれてもよい。界面活性剤は、好ましくは、陰イオン性、非イオン性、または両性であり、最も好ましいのは、非イオン性である。有益な陰イオン界面活性剤の適する例は、ラウリル硫酸カリウムまたはラウリル硫酸ナトリウムのような高級アルキル硫酸塩、モノ硫酸モノグリセリド(monosulfated monoglyceride)の塩または水素化ココナツオイル脂肪酸(hydrogenated coconut oil fatty acids)の塩等の高級脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸塩(higher fatty acid monoglyceride monosulfates)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩、高級脂肪スルホ酢酸塩、1,2−ジヒドロキシプロパンスルホン酸塩の高級脂肪酸エステル、および脂肪酸に12〜16の炭素原子、アルキルまたはアシル基を有する低級脂肪族アミノカルボン酸化合物の実質的に飽和した高級脂肪族アシルアミドであり、ラウリル硫酸カリウムまたはラウリル硫酸ナトリウムが好まれる。最後に言及されたアミドの例としては、N−ラウロイルサルコシン、ならびに、N−ラウロイルサルコシン、N−ミリストイルサルコシン、または、N−パルミトイルサルコシンの塩がある。界面活性剤は、第2研磨歯磨組成物の重量基準で約0.5重量%〜約5重量%の濃度で一般に存在する。
【0035】
抗齲蝕効果を有するフッ素供与性塩(Fluorine-providing salts)も本発明の研磨歯磨組成物に含有されてもよく、フッ素供与性塩は、水中でフッ素イオンを放出する能力で特徴付けられている。これらの材料は共通して無機金属塩であり、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化スズまたはクロロフッ化スズ(stannous chlorofluoride)等のフッ化スズ、フルオロケイ酸ナトリウム(sodium fluorosilicate)、フルオロケイ酸アンモニウム、フッ化アルキルアミン、および、モノフルオロリン酸ナトリウムである。フッ化イオンを約10〜5,000ppm放出するのにフッ素塩を使用するのが好ましい。
【0036】
合成陰イオンポリマーのポリカルボン酸塩は、任意に研磨歯磨組成物に含有されてもよい。ポリマーのポリカルボン酸塩は公知であり、遊離酸の形態、または、好ましくは部分的に、もしくは、さらに好ましくは完全に中和された水溶性アルカリ金属、例えば、カリウム塩、および、好ましくは、ナトリウム塩、またはアンモニウム塩の形態でよく使用されるものである。好ましくは、無水マレイン酸またはマレイン酸と別の重合可能なエチレン系不飽和モノマーとの1:4〜4:1コポリマーであり、好ましくは、分子量(M.W.)が約30,000〜1,000,000のメチルビニルエーテル(無水マレイン酸)である。これらのコポリマーは、Gantrez(登録商標)AN139(M.W.500,000)、AN119(M.W.250,000)および好ましくは、GAF CorporationのS−97 Pharmaceutical Gradeとして入手可能である。他の操作可能なポリマーのポリカルボン酸塩は、米国特許第3,956,480に開示されている無水マレイン酸とアクリル酸エチル、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2ピロリドン、またはエチレンとの1:1コポリマーであり、(後者は、例えばMonsanto EMA No.1103,(M.W.10,000)およびEMA Grade61として入手可能である)、および、アクリル酸とメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、イソブチルビニルエーテルまたはN−ビニル−2−ピロリドンとの1:1コポリマーを含む。
【0037】
本発明の第2研磨歯磨組成物に含有され得る他成分は、色素、甘味料、香料、および防腐剤を含む。漂白歯磨クリームの配合では、色素は二酸化チタン、ルチルであってよく、色素の割合は、通常、組成物の重量の0.1重量%〜約2重量%、好ましくは、0.25重量%〜0.75重量%の範囲である。甘味料含有量は、通常、人工または合成の甘味料の含有量であり、当該組成物の重量の0.1重量%〜1重量%または0.3重量%〜0.5重量%の範囲で通常存在する。香料含有量は、好ましくは、ペパーミント/メントールの香料の混合物であるが、通常、組成物の重量の約0.5重量%〜約2重量%または約0.5重量%〜約1.5重量%の範囲である。食品医薬品化粧品等級の染料(F.D.&C grade dyes)は、所望する色にするために適量使用されてもよい。
【0038】
本発明の第2研磨歯磨組成物に含有され得るさらなる成分は、抗菌剤であり、この抗菌剤は、2’,4,4’―トリクロロ−2−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル(トリクロサン)等のハロゲン化ジフェニルエーテルのような非イオン性抗菌剤、ならびにフェノール類、フェノール類の同族体、モノアルキル、ポリアルキルおよび芳香族のハロフェノール類(halophenols)、レゾルシノールおよびレゾルシノールの誘導体、ビスフェノール化合物およびハロゲン化サリチルアニリド類を含むフェノール化合物を含む。研磨歯磨組成物に含有され得る他の抗菌剤の例としては、チモール、オイカリプトール、サルチル酸メチル、メントール、アネトール、クロルヘキシジン、クエン酸亜鉛、クエン酸亜鉛ナトリウム等の銅および亜鉛の塩、メトロニダゾール、塩化セチルピリジニウム等の第四級アンモニウム化合物、ジグルコン酸クロルヘキシジン、ヘキセチジン、オクテニジンおよびアレキシジン等のビス−グアニド類を含む。抗菌剤は、歯石防止効果のある量で研磨歯磨組成物中に存在し、典型的には、約0.01重量%〜約5重量%である。
【0039】
イブプロフェン、フルルビプロフェン、アスピリン、インドメタシン等の抗炎症性剤もまた、研磨歯磨組成物に含有されてもよい。
【0040】
ピロリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩等の歯石に対して有効な抗歯石剤は、モノ、ジ、トリ、およびポリのアルカリ金属およびピロリン酸アンモニウム、ならびにトリポリピロリン酸塩を含み、当該抗歯石剤は、さらなる別の追加成分として、本発明の研磨歯磨組成物中に存在してもよい。そのような抗歯石剤は、歯石を減らすために有効な量で使用され、好ましくは、約1重量%のPイオンを放出する量であり、さらに好ましくは、少なくとも約1.3重量%のPイオンを放出する量であってよい。他の抗歯石成分は、塩化亜鉛およびクエン酸亜鉛等の亜鉛塩を含む。
【0041】
乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、および、ポリアクリル酸ストロンチウム等のプラーク緩衝剤もまた研磨歯磨組成物に含有されてもよい。他の任意成分としては、ビタミンA、C、E、B、B12、K、植物抽出物(plant extracts)等のビタミン類を含む。
【0042】
象牙質知覚過敏症の処置に有効な薬剤もまた本発明で使用され得る。そのような薬剤は、これらに限定されるものではないが、クエン酸カリウム、塩化カリウム、非晶質リン酸カルシウム、硫酸カリウム、酒石酸カリウム、および硝酸カリウム等のカリウム塩を含む。象牙質閉塞(dentinal occlusion)によって知覚過敏を低減する薬剤もまた使用されることができ、当該薬剤には、フッ化スズ、塩化ストロンチウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、および、リンケイ酸塩が含まれる。
【0043】
例としてはグルコン酸マンガンであるマンガン配位錯体等の過酸化物活性剤(peroxide activators)もまた本発明の研磨歯磨組成物に組み込まれることができる。過酸化物歯磨組成物の過酸化物成分と活性剤化合物が接触すると、当該活性剤化合物は、過酸化化合物を活性化し、活性酸素の放出を促進させて、漂白作用を促すのに効果的である。
【0044】
本発明で使用される第2研磨組成物は、従来の方法で調製されてもよい。歯磨組成物を収容するのに使用される容器は、現在周知であるかまたは販売されている二成分系歯磨組成物製品に従来から使用されている、任意のタイプのものであってもよい。
【0045】
歯磨組成物を個別に収容する多区画容器の技術で使用される従来方法に従って、第1および第2の組成物は、適切な多区画容器に充填される。第1および第2の歯磨組成物が使用されるとき、第1および第2の歯磨組成物は、当該容器から実質的に同時に共押出しされる。本発明の第1および第2の組成物が共押出しされると、それぞれの組成物は、歯を磨くおよび歯を漂白するのに適する第3組成物を供給するのに有効な所定の相対量で、混合される。共押出しされた二成分系組成物は、典型的には、第1および第2の組成物の所定の相対量を含有し、例えば、第1組成物の第2組成物に対する体積比は、約1:3〜約3:1、または約1:1.5〜約1.5:1、または約1:1である。したがって、第3組成物は、非研磨漂白剤、研磨つや出し剤、およびタンパク質分解酵素が相乗的に組み合わせて、漂白、つや出しに加えて、さらに、プラークおよび歯石の除去および制御を助けることを全て同時に提供する。第3組成物中の第1および第2の組成物の量比は、長期に亘って繰り返し使用される場合であっても実質的に一定のまま維持されるが、これは、第2の研磨組成物のレオロジー特性が安定であるからであり、特定の実施態様では、双性イオン安定剤を含有する第1組成物が物理的に安定であるからである。その結果、第3組成物の相乗効果も、繰りかえし使用された場合であっても実質的に一定に保たれるので、これにより、長期間に亘って歯に一貫した処置を施すことができる。
【0046】
図を参照すると、同様の符号は、剪断増加(ステップアップ)と回復プロファイル(ステップダウン)とを示している。図1は、本発明に使用された非研磨性過酸化物ゲル組成物のレオロジープロファイルを示している。図に見られるように、剪断を増加していった場合のレオロジープロファイルは、回復プロファイルと実質的に同じであり、したがって、ヒステリシスが最小であることを示している。
【0047】
図2は、0.25%のパパイン、0.2%のカラゲーニン、0.4%のカルボキシメチルセルロース(CMC)、および1%の増粘シリカを含有するが、酵素分解をされにくい流動性改良剤を除外している研磨歯磨組成物のレオロジープロファイルである。全てのパーセントは、当該歯磨組成物に対する重量パーセントを意味している。プロファイルに見られるように、低弾性および長い回復時間ゆえの大きなヒステリシスループがある。
【0048】
図3は、0.25%のパパイン、0.5%のカラゲーニン、0.35%のCMC、0.2%のキサンタン、および、1.25%の増粘シリカを含有する本発明で使用された研磨歯磨組成物のレオロジープロファイルである。全てのパーセントは、当該歯磨組成物に対する重量パーセントを意味している。過酸化ゲル組成物と同様に、レオロジープロファイルは、最小のヒステリシスを示し、したがって、実質的にゲル組成物のプロファイルに一致している。
【0049】
図4は、0.25%のパパイン、0.2%のカラゲーニン、0.4%のCMC、および2%の増粘シリカを含有するが、酵素分解をされにくい流動性改良剤を含有していない研磨歯磨組成物のレオロジープロファイルである。全てのパーセントは、当該歯磨組成物に対する重量パーセントを意味している。プロファイルに見られるように低弾性および長い回復時間ゆえのヒステリシスループが見られる。
【0050】
図5は、0.25%のパパイン、0.5%のカラゲーニン、0.35%のCMC、0.2%のキサンタン、および1.25%の増粘シリカを含有する本発明で使用された研磨歯磨組成物のレオロジープロファイルである。全てのパーセントは、当該歯磨組成物に対する重量パーセントを意味している。過酸化ゲル組成物と同様に、レオロジープロファイルは、最小のヒステリシスを示し、したがって、実質的にゲル組成物のプロファイルに一致している。
【0051】
以下に記載される例示は、本発明の本質および本発明を実施する方法をさらに示すものである。しかしながら、本発明は、下記に示される詳細に限定されると考えられるべきではない。
【0052】
<実施例1>
本発明で使用する非研磨漂白ゲル組成物は、以下のように調製された。
配合量の水の一部を収容する非反応性混合容器に水溶性組成物が混合されながら添加されて水性のプレミックス(premix)が作製された。配合量に対する残りの水が別の容器内で保湿剤と一緒に入れられて混合された。次に増粘剤が当該別の容器にゆっくりと添加され適切に分散された。全ての増粘剤が湿潤されると、真空に曝されて組成物の空気混入を最小限に抑えた。増粘剤の水和を助けるために熱が使用されてもよい。組成物を収容する当該別の容器に対して、水性のプレミックスが適量の双性イオン安定剤と共に添加された。全ての成分が溶解し、温度が約40℃〜約50℃まで下がると、pHが適切に調整され、かつ、香料および界面活性剤が真空下で混合されながら添加された。次に漂白剤が、容器内に混合されながら添加された。
【0053】
<実施例1a>:
45.33%精製水、30%グリセリン、17.14%過酸化水素(35%の溶液)、0.12%サッカリンナトリウム、0.16%EDTAニナトリムカルシウム、1.8%Carbomer(CARBOPOL Ultrez10)、3%PEG400水素化ヒマシ油(PEG 400 hydrogenated castor oil)、0.2%L−メントール、1%ウィンターグリーンミント香料、0.8%グリシン、および、0.45%水酸化カリウム(pH5.5に調整)。
【0054】
<実施例1b>:
46.13%精製水、30%グリセリン、17.14%過酸化水素(35%の溶液)、0.12%サッカリンナトリウム、0.16%EDTAニナトリムカルシウム、1.8%Carbomer(CARBOPOL Ultrez10)、3%PEG400水素化ヒマシ油、0.2%L−メントール、1%ウィンターグリーンミント香料、および、0.45%水酸化カリウム(pH5.5に調整)。
【0055】
試料1aおよび1bは、蓋をした遠心分離管内に40℃で保管された。試料1aおよび1bのあらゆる時点でのpHと過酸化水素含有量とが分析された。pHの有意な減少は、組成物の望ましくない粘性減少に関連する。pH測定の結果が表1に示されている。過酸化水素含有量の測定結果は、表2に示されている。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
<実施例1c>:
異なる種類のキレート剤、例えば、EDTAおよびクエン酸との組み合わせによる双性イオン安定剤の効果を評価するために、3種類のゲルが上述された方法に従って調製された。ゲルは、4重量%の過酸化水素レベルおよび0.8重量%のグリシンと共に以下に記載されるように配合された。EDTAまたはクエン酸は、表に示されているように存在した。
【0059】
【表3】

【0060】
試料は、40℃で保管され、13週間に亘って過酸化水素含有量とpHとが観察された。配合された過酸化物の保持率(percent formulated peroxide retention)(FPR)とpH減少データは、表3に示されている。
【0061】
【表4】

【0062】
表に示されるように、双性イオン安定剤の使用によってpH減少および過酸化物含有量の減少が抑制されており、双性イオン安定剤は、第1組成物の安定性を向上するように機能する。したがって、本発明に双性イオン安定剤は、必須ではないが、本発明で使用されることが好まれる。
【0063】
<実施例1d>:
24.4%精製水、50.8%グリセリン、11.4%過酸化水素(35%の溶液)、0.3%サッカリンナトリウム、2.5%Carbomer(CARBOPOL 974P)、8%PEG8、0.35%ミント香料、0.3%クエン酸、0.3%ラウリル硫酸ナトリウム、0.243%フッ化ナトリウム、0.8%グリシン、および、0.4%水酸化カリウム(pH4.7に調整)
【0064】
<実施例2>
本発明で使用する研磨歯磨組成物は、以下のように調製された。
非水性の保湿剤が、適するステンレス鋼製容器に添加された。増粘剤および流動性改良剤が添加され、分散するまで混合された。水性の保湿剤(例えばソルビトール)および水溶性組成物(例えば、フッ化ナトリウム、サッカリンナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸塩)、色素、および酵素が、真空下で組成物に添加されて混合された。当該組成物が十分に混合されて増粘系が水和し、かつ、水性塩が溶解すると、シリカ等の固形組成物が当該組成物に添加され、湿潤され、真空下で混合された。界面活性剤および香料油は、最後の段階で添加され、真空下で混合された。
【0065】
<実施例2a>:
20%脱イオン水、15%グリセリン、0.5%カラゲーニン、2.4%クエン酸ナトリウム、0.35%カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.2%キサンタンゴム、26.6%ソルビトール(70%の溶液)、0.24%フッ化ナトリウム、0.25%パパイン、0.4%クエン酸、0.16%メチルパラベン、25%ケイ酸(hydrated silica)、1.25%非晶質シリカ、1.3%ラウリル硫酸ナトリウム、0.5%二酸化チタン、0.5%ピロリン酸四ナトリウム、2%ダブルミント香料(doublemint flavor)、0.3%サッカリンナトリウム。
【0066】
<実施例2b>:
19%脱イオン水、13.8%グリセリン、0.5%カラゲーニン、2.4%クエン酸ナトリウム、0.3%カルボキシメチルセルロースナトリウム、0.2%キサンタンゴム、19%ソルビトール(70%の溶液)、0.24%フッ化ナトリウム、0.25%パパイン、0.4%クエン酸、0.16%メチルパラベン、25%ケイ酸(hydrated silica)、0.25%非晶質シリカ、1.2%ラウリル硫酸ナトリウム、0.5%二酸化チタン、0.5%ピロリン酸四ナトリウム、2.5%メントール香料、0.3%サッカリンナトリウム、10%硝酸カリウム、3%テゴベタイン(tegobetaine)。
【0067】
実施例1dおよび実施例2に従って調製された非研磨性および研磨性の組成物は、周囲条件で平衡化された。その後、標準ブルックフィールド粘度計(Models RVTまたはLVT DV−1)を使用して、推奨される機器取扱説明書による適切な取付けおよび設定でレオロジープロファイルに関する試験が行われた。レオロジー剪断プロファイル(rheology shear profiles)は、剪断ランプ速度(shear rate ramps)および剪断掃引(shear sweeps)の標準試験手順を用いて測定された。図に示されるチクソトロピー性ヒステリシス(thixotropic hysterisis)は、2種類の剪断掃引、すなわち、低剪断速度から高剪断速度へ変化させる第1掃引と、初期試料(fresh samples)を用いて高い剪断速度から低剪断速度に変化させる第2剪断掃引と、を実行することで定量化される。
【0068】
〔実施の態様〕
本発明の好ましい実施態様は以下の通りである。
(1)容器であって、当該容器に包含された歯磨組成物を収容しかつ取り出すためのものである、容器において、
第1室および第2室、
を備えており、
前記第1室は、当該第1室内に包含された第1歯磨組成物を備え、前記第1歯磨組成物は、非研磨性漂白剤および少なくとも1種類の増粘剤を含有し、
前記第2室は、当該第2室内に包含された第2歯磨組成物を備え、前記第2歯磨組成物は、前記第1歯磨組成物から分離されており、前記第2歯磨組成物は、歯を磨くのに適する研磨性材料、少なくとも1種類の増粘剤、タンパク質分解酵素、および流動性改良剤を含有し、
前記流動性改良剤は、前記タンパク質分解酵素によって分解されにくく、前記第2歯磨組成物に対してレオロジー安定性を与えるのに有効な量で存在する、
容器。
(2)実施態様(1)に記載された容器において、
前記非研磨性漂白剤は、過酸化物、亜塩素酸金属、塩素酸金属、過ホウ酸塩、過炭酸塩、および、ペルオキシ酸から成る群から選択される、容器。
(3)実施態様(1)に記載された容器において、
前記非研磨性漂白剤は、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化グリセロール、過酸化ベンゾイル、過酸化カルシウム、過酸化ナトリウム、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸塩、および、二酸化塩素から成る群から選択される、容器。
(4)実施態様(1)に記載された容器において、
前記非研磨性漂白剤は、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化グリセロール、過酸化ベンゾイル、過酸化カルバミド、および、過酸化カルシウムから成る群から選択される、容器。
(5)実施態様(1)に記載された容器において、
前記非研磨性漂白剤は、過酸化水素を含有する、容器。
(6)実施態様(1)に記載された容器において、
前記第1組成物は、前記非研磨性歯磨剤を約0.01重量%〜約40重量%含有する、容器。
(7)実施態様(5)に記載された容器において、
前記第1組成物は、前記過酸化水素を約0.1重量%〜約30重量%含有する、容器。
(8)実施態様(1)に記載された容器において、
前記第1組成物は、当該第1組成物に対して物理的および/または化学的な安定を与えるのに有効である量の双性イオン安定剤をさらに含有する、容器。
(9)実施態様(1)に記載された容器において、
前記第1組成物は、さらに双性イオン安定剤を約0.5重量%〜約5重量%含有する、容器。
(10)実施態様(9)に記載された容器において、
前記双性イオン安定剤は、グリシン、リシン、アルギニン、β−アラニン、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、尿素、および、トリメチルアミンオキシドから成る群から選択される、容器。
【0069】
(11)実施態様(9)に記載された容器において、
前記双性イオン安定剤は、グリシンを含有する、容器。
(12)実施態様(8)に記載された容器において、
前記双性イオン安定剤の前記有効な量は、前記第1組成物を40℃で8週間暴露させた後、配合された過酸化物含有量の少なくとも約70%を保持するのに有効である、容器。
(13)実施態様(8)に記載された容器において、
前記双性イオン安定剤の前記有効な量は、前記第1組成物を40℃で12週間暴露させた後、前記第1組成物のpHが約25%より大きく減少するのを防ぐのに有効である、容器。
(14)実施態様(1)に記載された容器において、
前記流動性改良剤は、合成ポリマー、エラストマー、天然結合剤、天然ゴム、疎水的に改質された会合性の合成ポリマー、および、疎水的に改質された会合性の天然ポリマーから成る群から選択される、容器。
(15)実施態様(1)に記載された容器において、
前記流動性改良剤は、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルプロピレン、および、キサンタンゴムから成る群から選択される、容器。
(16)実施態様(1)に記載された容器において、
前記流動性改良剤は、前記第1組成物の弾性を改善するのに有効な量でキサンタンゴムを含有する、容器。
(17)実施態様(11)に記載された容器において、
前記流動性改良剤は、前記第2組成物の約0.2重量%〜約5重量%の量で存在するキサンタンゴムを含有する、容器。
(18)実施態様(1)に記載された容器において、
前記タンパク質分解酵素は、ブロメライン、フィシン、トリプシン、アクチニジン、および、パパインから成る群から選択される、容器。
(19)実施態様(16)に記載された容器において、
前記タンパク質分解酵素は、ブロメライン、フィシン、トリプシン、アクチニジン、および、パパインから成る群から選択される、容器。
(20)実施態様(17)に記載された容器において、
前記タンパク質分解酵素は、前記第2組成物の約1重量%〜約8重量%の量で存在するパパインを含有する、容器。
【0070】
(21)実施態様(1)に記載された容器において、
前記研磨性材料は、リン酸ニカルシウム二水和物、不溶性メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、および、無水シリカゲルから成る群から選択される、容器。
(22)実施態様(1)に記載された容器において、
分離された状態の前記第1組成物および前記第2組成物が、それぞれ前記第1室および前記第2室から実質的に同時に共押出しされると、前記第1歯磨組成物および前記第2歯磨組成物は、所定の相対量で混合されて第3歯磨組成物を形成し、
前記第3歯磨組成物は、前記非研磨性漂白剤、前記研磨性材料、前記第1組成物および前記第2組成物の前記少なくとも1種類の増粘剤、前記流動性安定剤、および前記タンパク質分解酵素を含有する、
容器。
(23)実施態様(1)に記載された容器において、
前記第1歯磨組成物および前記第2歯磨組成物のうちの少なくとも1つは、キレート剤、香料、甘味料、色素、治療用薬剤、美容性薬剤、抗菌剤、保湿剤、界面活性剤、抗齲蝕剤、前記非研磨性漂白剤と共存可能な研磨性材料、pH緩衝剤、防腐剤、抗炎症性剤、抗歯石剤、過酸化物活性剤、プラーク緩衝剤、およびビタミンから成る群から選択される成分をさらに含有する、容器。
(24)実施態様(1)に記載された容器において、
前記第1組成物は、ゲルであり、前記第2組成物は、ペーストである、容器。
(25)歯磨組成物において、
第1歯磨組成物および第2歯磨組成物を所定の相対量で混合したもの、
を含有しており、
前記第1歯磨組成物は、非研磨性漂白剤および少なくとも1種類の増粘剤を含有し、
前記第2歯磨組成物は、歯を磨くのに適する研磨性材料、少なくとも1種類の増粘剤、タンパク質分解酵素、および流動性改良剤を含有し、
前記流動性改良剤は、前記タンパク質分解酵素によって分解されにくく、前記第2歯磨組成物に対してレオロジー安定性を与えるのに有効な量で存在する、
歯磨組成物。
(26)実施態様(25)に記載された組成物において、
前記非研磨性漂白剤は、過酸化物、亜塩素酸金属、塩素酸金属、過ホウ酸塩、過炭酸塩、および、ペルオキシ酸から成る群から選択され、
前記流動性改良剤は、合成ポリマー、エラストマー、天然結合剤、天然ゴム、疎水的に改質された会合性の合成ポリマー、および、疎水的に改質された会合性の天然ポリマーから成る群から選択され、
前記研磨性材料は、リン酸ニカルシウム二水和物、不溶性メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、および、無水シリカゲルから成る群から選択され、
前記タンパク質分解酵素は、ブロメライン、フィシン、トリプシン、アクチニジン、および、パパインから成る群から選択される、組成物。
(27)実施態様(25)に記載された組成物において、
前記第1組成物に対して物理的および/または化学的な安定性を与えるような量の双性イオン安定剤、
をさらに含有する、組成物。
(28)実施態様(26)に記載された組成物において、
双性イオン安定剤をさらに含有し、当該双性イオン安定剤は、グリシン、リシン、アルギニン、β−アラニン、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、尿素、および、トリメチルアミンオキシドから成る群から選択される、組成物。
(29)実施態様(25)に記載された組成物において、
前記第1組成物の重量を基準として、約0.01重量%〜約40重量%の前記非研磨性漂白剤、
前記第2組成物の重量を基準として、約0.05重量%〜約8重量%の前記タンパク質分解酵素、
前記第2組成物の重量を基準として、約0.1重量%〜約10重量%の前記流動性改良剤、および、
前記第2組成物の重量を基準として、約10重量%〜約60重量%の前記研磨性材料、
を含有する、組成物。
(30)実施態様(29)に記載された組成物において、
前記第1組成物の重量を基準として、約0.05重量%〜約5重量%の双性イオン安定剤、
をさらに含有する、組成物。
【0071】
(31)実施態様(30)に記載された組成物において、
前記非研磨性漂白剤として、前記第1組成物の重量を基準にして約0.1重量%〜約30重量%の過酸化水素、
前記双性イオン安定剤として、前記第1組成物の重量を基準にして約0.2重量%〜約2重量%のグリシン、
前記流動性改良剤として、前記第2組成物の重量を基準にして約0.2重量%〜約5重量%のキサンタンゴム、
前記研磨性材料として、前記第2組成物の重量を基準にして約15重量%〜約30重量%のシリカ、および、
前記第2組成物の重量を基準にして、約0.1重量%〜約4.5重量%のパパイン、
を含有する、組成物。
(32)実施態様(25)に記載された組成物において、
前記所定の相対量は、前記第2組成物に対する前記第1組成物の体積比が約1:3〜約3:1であることを含む、組成物。
(33)実施態様(25)に記載された組成物において、
前記所定の相対量は、前記第2組成物に対する前記第1組成物の体積比が約1:1.5〜約1.5:1であることを含む、組成物。
(34)実施態様(30)に記載された組成物において、
前記所定の相対量は、前記第2組成物に対する前記第1組成物の体積比が約1:3〜約3:1であることを含む、組成物。
(35)実施態様(25)に記載された組成物において、
前記所定の相対量は、前記第2組成物に対する前記第1組成物の体積比が約1:1であることを含む、組成物。
(36)実施態様(32)に記載された組成物において、
前記所定の相対量は、前記第2組成物に対する前記第1組成物の体積比が約1:1.5〜約1.5:1であることを含む、組成物。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明で使用された非研磨性組成物のレオロジープロファイルを示す図である。
【図2】安定化レオロジー改良剤を含有しない研磨性組成物のレオロジープロファイルを示す図である。
【図3】安定化レオロジー改良剤を含有している本発明で使用された研磨性組成物のレオロジープロファイルを示す図である。
【図4】安定化レオロジー改良剤を含有しない研磨性組成物のレオロジープロファイルを示す図である。
【図5】安定化レオロジー改良剤を含有している本発明で使用された研磨性組成物のレオロジープロファイルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器であって、当該容器に包含された歯磨組成物を収容しかつ取り出すためのものである、容器において、
第1室および第2室、
を備えており、
前記第1室は、当該第1室内に包含された第1歯磨組成物を備え、前記第1歯磨組成物は、非研磨性漂白剤および少なくとも1種類の増粘剤を含有し、
前記第2室は、当該第2室内に包含された第2歯磨組成物を備え、前記第2歯磨組成物は、前記第1歯磨組成物から分離されており、前記第2歯磨組成物は、歯を磨くのに適する研磨性材料、少なくとも1種類の増粘剤、タンパク質分解酵素、および流動性改良剤を含有し、
前記流動性改良剤は、前記タンパク質分解酵素によって分解されにくく、前記第2歯磨組成物に対してレオロジー安定性を与えるのに有効な量で存在する、
容器。
【請求項2】
請求項1に記載された容器において、
前記非研磨性漂白剤は、過酸化物、亜塩素酸金属、塩素酸金属、過ホウ酸塩、過炭酸塩、および、ペルオキシ酸から成る群から選択される、容器。
【請求項3】
請求項1に記載された容器において、
前記非研磨性漂白剤は、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化グリセロール、過酸化ベンゾイル、過酸化カルシウム、過酸化ナトリウム、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸塩、および、二酸化塩素から成る群から選択される、容器。
【請求項4】
請求項1に記載された容器において、
前記非研磨性漂白剤は、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化グリセロール、過酸化ベンゾイル、過酸化カルバミド、および、過酸化カルシウムから成る群から選択される、容器。
【請求項5】
請求項1に記載された容器において、
前記非研磨性漂白剤は、過酸化水素を含有する、容器。
【請求項6】
請求項1に記載された容器において、
前記第1組成物は、前記非研磨性歯磨剤を約0.01重量%〜約40重量%含有する、容器。
【請求項7】
請求項5に記載された容器において、
前記第1組成物は、前記過酸化水素を約0.1重量%〜約30重量%含有する、容器。
【請求項8】
請求項1に記載された容器において、
前記第1組成物は、当該第1組成物に対して物理的および/または化学的な安定を与えるのに有効である量の双性イオン安定剤をさらに含有する、容器。
【請求項9】
請求項1に記載された容器において、
前記第1組成物は、さらに双性イオン安定剤を約0.5重量%〜約5重量%含有する、容器。
【請求項10】
請求項9に記載された容器において、
前記双性イオン安定剤は、グリシン、リシン、アルギニン、β−アラニン、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、尿素、および、トリメチルアミンオキシドから成る群から選択される、容器。
【請求項11】
請求項9に記載された容器において、
前記双性イオン安定剤は、グリシンを含有する、容器。
【請求項12】
請求項8に記載された容器において、
前記双性イオン安定剤の前記有効な量は、前記第1組成物を40℃で8週間暴露させた後、配合された過酸化物含有量の少なくとも約70%を保持するのに有効である、容器。
【請求項13】
請求項8に記載された容器において、
前記双性イオン安定剤の前記有効な量は、前記第1組成物を40℃で12週間暴露させた後、前記第1組成物のpHが約25%より大きく減少するのを防ぐのに有効である、容器。
【請求項14】
請求項1に記載された容器において、
前記流動性改良剤は、合成ポリマー、エラストマー、天然結合剤、天然ゴム、疎水的に改質された会合性の合成ポリマー、および、疎水的に改質された会合性の天然ポリマーから成る群から選択される、容器。
【請求項15】
請求項1に記載された容器において、
前記流動性改良剤は、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルプロピレン、および、キサンタンゴムから成る群から選択される、容器。
【請求項16】
請求項1に記載された容器において、
前記流動性改良剤は、前記第1組成物の弾性を改善するのに有効な量でキサンタンゴムを含有する、容器。
【請求項17】
請求項11に記載された容器において、
前記流動性改良剤は、前記第2組成物の約0.2重量%〜約5重量%の量で存在するキサンタンゴムを含有する、容器。
【請求項18】
請求項1に記載された容器において、
前記タンパク質分解酵素は、ブロメライン、フィシン、トリプシン、アクチニジン、および、パパインから成る群から選択される、容器。
【請求項19】
請求項16に記載された容器において、
前記タンパク質分解酵素は、ブロメライン、フィシン、トリプシン、アクチニジン、および、パパインから成る群から選択される、容器。
【請求項20】
請求項17に記載された容器において、
前記タンパク質分解酵素は、前記第2組成物の約1重量%〜約8重量%の量で存在するパパインを含有する、容器。
【請求項21】
請求項1に記載された容器において、
前記研磨性材料は、リン酸ニカルシウム二水和物、不溶性メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、および、無水シリカゲルから成る群から選択される、容器。
【請求項22】
請求項1に記載された容器において、
分離された状態の前記第1組成物および前記第2組成物が、それぞれ前記第1室および前記第2室から実質的に同時に共押出しされると、前記第1歯磨組成物および前記第2歯磨組成物は、所定の相対量で混合されて第3歯磨組成物を形成し、
前記第3歯磨組成物は、前記非研磨性漂白剤、前記研磨性材料、前記第1組成物および前記第2組成物の前記少なくとも1種類の増粘剤、前記流動性安定剤、および前記タンパク質分解酵素を含有する、
容器。
【請求項23】
請求項1に記載された容器において、
前記第1歯磨組成物および前記第2歯磨組成物のうちの少なくとも1つは、キレート剤、香料、甘味料、色素、治療用薬剤、美容性薬剤、抗菌剤、保湿剤、界面活性剤、抗齲蝕剤、前記非研磨性漂白剤と共存可能な研磨性材料、pH緩衝剤、防腐剤、抗炎症性剤、抗歯石剤、過酸化物活性剤、プラーク緩衝剤、およびビタミンから成る群から選択される成分をさらに含有する、容器。
【請求項24】
請求項1に記載された容器において、
前記第1組成物は、ゲルであり、前記第2組成物は、ペーストである、容器。
【請求項25】
歯磨組成物において、
第1歯磨組成物および第2歯磨組成物を所定の相対量で混合したもの、
を含有しており、
前記第1歯磨組成物は、非研磨性漂白剤および少なくとも1種類の増粘剤を含有し、
前記第2歯磨組成物は、歯を磨くのに適する研磨性材料、少なくとも1種類の増粘剤、タンパク質分解酵素、および流動性改良剤を含有し、
前記流動性改良剤は、前記タンパク質分解酵素によって分解されにくく、前記第2歯磨組成物に対してレオロジー安定性を与えるのに有効な量で存在する、
歯磨組成物。
【請求項26】
請求項25に記載された組成物において、
前記非研磨性漂白剤は、過酸化物、亜塩素酸金属、塩素酸金属、過ホウ酸塩、過炭酸塩、および、ペルオキシ酸から成る群から選択され、
前記流動性改良剤は、合成ポリマー、エラストマー、天然結合剤、天然ゴム、疎水的に改質された会合性の合成ポリマー、および、疎水的に改質された会合性の天然ポリマーから成る群から選択され、
前記研磨性材料は、リン酸ニカルシウム二水和物、不溶性メタリン酸ナトリウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸ナトリウム、ヒドロキシアパタイト、アルミナ、アルミノケイ酸塩、ケイ酸塩、および、無水シリカゲルから成る群から選択され、
前記タンパク質分解酵素は、ブロメライン、フィシン、トリプシン、アクチニジン、および、パパインから成る群から選択される、組成物。
【請求項27】
請求項25に記載された組成物において、
前記第1組成物に対して物理的および/または化学的な安定性を与えるような量の双性イオン安定剤、
をさらに含有する、組成物。
【請求項28】
請求項26に記載された組成物において、
双性イオン安定剤をさらに含有し、当該双性イオン安定剤は、グリシン、リシン、アルギニン、β−アラニン、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、尿素、および、トリメチルアミンオキシドから成る群から選択される、組成物。
【請求項29】
請求項25に記載された組成物において、
前記第1組成物の重量を基準として、約0.01重量%〜約40重量%の前記非研磨性漂白剤、
前記第2組成物の重量を基準として、約0.05重量%〜約8重量%の前記タンパク質分解酵素、
前記第2組成物の重量を基準として、約0.1重量%〜約10重量%の前記流動性改良剤、および、
前記第2組成物の重量を基準として、約10重量%〜約60重量%の前記研磨性材料、
を含有する、組成物。
【請求項30】
請求項29に記載された組成物において、
前記第1組成物の重量を基準として、約0.05重量%〜約5重量%の双性イオン安定剤、
をさらに含有する、組成物。
【請求項31】
請求項30に記載された組成物において、
前記非研磨性漂白剤として、前記第1組成物の重量を基準にして約0.1重量%〜約30重量%の過酸化水素、
前記双性イオン安定剤として、前記第1組成物の重量を基準にして約0.2重量%〜約2重量%のグリシン、
前記流動性改良剤として、前記第2組成物の重量を基準にして約0.2重量%〜約5重量%のキサンタンゴム、
前記研磨性材料として、前記第2組成物の重量を基準にして約15重量%〜約30重量%のシリカ、および、
前記第2組成物の重量を基準にして、約0.1重量%〜約4.5重量%のパパイン、
を含有する、組成物。
【請求項32】
請求項25に記載された組成物において、
前記所定の相対量は、前記第2組成物に対する前記第1組成物の体積比が約1:3〜約3:1であることを含む、組成物。
【請求項33】
請求項25に記載された組成物において、
前記所定の相対量は、前記第2組成物に対する前記第1組成物の体積比が約1:1.5〜約1.5:1であることを含む、組成物。
【請求項34】
請求項30に記載された組成物において、
前記所定の相対量は、前記第2組成物に対する前記第1組成物の体積比が約1:3〜約3:1であることを含む、組成物。
【請求項35】
請求項25に記載された組成物において、
前記所定の相対量は、前記第2組成物に対する前記第1組成物の体積比が約1:1であることを含む、組成物。
【請求項36】
請求項32に記載された組成物において、
前記所定の相対量は、前記第2組成物に対する前記第1組成物の体積比が約1:1.5〜約1.5:1であることを含む、組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−532374(P2009−532374A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503163(P2009−503163)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/064633
【国際公開番号】WO2007/117927
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(591252839)マクニール−ピーピーシー・インコーポレイテッド (69)
【氏名又は名称原語表記】MCNEIL−PPC,INCORPORATED
【Fターム(参考)】