説明

多板ディスクブレーキ用ディスクロータ

【課題】 回転軸側の部材に対してロータ板を好適に軸方向に移動させることのできる多板ディスクブレーキ用ディスクロータを提供する。
【解決手段】 複数のロータ板(4,5)を有する多板ディスクブレーキ用ディスクロータ(1)であって、回転軸側の部材(13)に対して軸方向に移動可能でかつ軸回転方向への移動が規制された状態にて取付けられるガイド部材(2,3)を有している。そしてガイド部材(2,3)に対して複数のロータ板(4,5)が軸方向に移動可能でかつ軸回転方向への移動が規制された状態にて取付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のロータ板を有し、これら複数のロータ板が回転軸側の部材に対して軸方向に移動可能に取付けられる多板ディスクブレーキ用のディスクロータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な多板ディスクブレーキ用のディスクロータが知られている。
例えば特許文献1によると、多板ディスクブレーキは、ディスクロータとステータ部材を有している。
ディスクロータは、ドーナツ円盤状のロータ板を複数有しており、ロータ板は、それぞれ回転軸に取付けられたハブ(回転軸側の部材)に対して軸方向に移動可能に取付けられている。またロータ板は、内周縁に複数の歯を有しており、これら複数の歯がハブの外周面に形成された歯に噛合わされ、ハブとともに軸回転する構成になっている。
ステータ部材は、車両側の部材に固定されるキャリパと、キャリパに内設されたピストンと、キャリパの内部に吊下げ支持された複数のパッドを有している。そしてパッド間に各ロータ板が配設され、ピストンによって複数のパッドとロータ板とを押すことで、各パッドを各ロータ板に押圧して制動力を発生させる。
【特許文献1】米国特許第6520296号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし特許文献1に係るディスクロータは、ロータ板が好適に軸方向に移動する構成ではなかった。例えば、パッドが経時的に摩耗して薄くなり、パッドが薄くなることでロータ板の軸方向の移動量が多くなるという問題があった。あるいはロータ板を回転軸側の部材に対して移動容易な構造にすることによって、ロータ板が重力によって車両停車時や空転時に片側へ寄ってしてしまうという問題や、ロータ板と回転軸側の部材とのクリアランスを大きくしてロータ板の回転軸側の部材に対する軸方向の移動を容易にすることでロータ板が回転軸側の部材に対して傾いてしまい、こじれが生じるなどの問題もあった。
そこで本発明は、回転軸側の部材に対してロータ板を好適に軸方向に移動させることのできる多板ディスクブレーキ用ディスクロータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために本発明は、各請求項に記載の通りの構成を備える多板ディスクブレーキ用ディスクロータであることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によると、ディスクロータは、回転軸側の部材に対して軸方向に移動可能でかつ軸回転方向への移動が規制された状態にて取付けられる一または複数のガイド部材を有している。そして一または複数のガイド部材に対して複数のロータ板が軸方向に移動可能でかつ軸回転方向への移動が規制された状態にて取付けられている。
したがってロータ板の回転軸側の部材に対する軸方向の動きは、ロータ板のガイド部材に対する軸方向の動きと、ガイド部材の回転軸側の部材に対する軸方向の動きの和によって構成される。そのため本発明によると、二つの軸方向の動きを調整することによってロータ板の好適な軸方向の移動を得ることができる。
【0005】
請求項2に記載の発明によると、複数のロータ板は、それぞれ別々のガイド部材に取付けられている。
したがって各ロータ板の回転軸側の部材に対する軸方向の動きは、各ロータ板の各ガイド部材に対する動きと、各ガイド部材の回転軸側の部材に対する動きの和によって構成される。そのため本発明によると、各ロータ板の好適な軸方向の移動を得ることができる。
【0006】
請求項3に記載の発明によると、ガイド部材は、環状のガイド部材本体と、ガイド部材本体の軸方向一側縁から回転軸径方向外方に突出する複数の一側突出片と、ガイド部材本体の軸方向他側縁から回転軸径方向外方に突出する複数の他側突出片を有している。そして一側突出片と他側突出片の間にロータ板が設置され、ロータ板と一側突出片の間に設けられた付勢部材と、ロータ板と他側突出片との間に設けられた付勢部材とによってロータ板がロータ軸方向に傾くことが規制されている。
したがってロータ板は、付勢部材によってガイド部材に対して傾きにくい。そのためロータ板がガイド部材あるいは他の部材に対してこじれることが防止され得る。
【0007】
請求項4に記載の発明によると、一または複数のガイド部材は、回転軸側の部材に対して軸方向に摺動可能に取付けられている。複数のロータ板は、一または複数のガイド部材に取付けられた結合ピンに対して摺動可能に結合されている。そしてロータ板の結合ピンに対する摺動抵抗は、ガイド部材の回転軸側の部材に対する摺動抵抗よりも小さい構成になっている。
【0008】
したがってロータ板は、好適な軸方向の動きを成し得る。
例えば、ガイド部材の回転軸側の部材に対する摺動抵抗を大きくすることによって、ロータ板が停車時や空転時などにおいてガイド部材とともに回転軸側の部材に対して軸方向に大きく移動することを防止することができる。そしてロータ板の結合ピンに対する摺動抵抗を小さくすることによって、制動時におけるロータ板の軸方向の移動を滑らかにすることができる。
あるいはロータ板の結合ピンに対する摺動抵抗を小さくすることによって、制動時におけるロータ板の動きを主としてロータ板の結合ピンに対する動きにて構成することができる。そしてガイド部材の回転軸側の部材に対する摺動抵抗を大きくすることによって、ガイド部材の回転軸側の部材に対する移動をパッドの摩耗量に応じた量のみとすることができる。これにより制動時におけるロータ板の移動量を少なくすることができる。
【0009】
請求項5に記載の発明によると、ガイド部材が鉄製であり、かつ結合ピンがステンレス製になっている。あるいはガイド部材が鉄製であり、かつ結合ピンとロータ板の間にグリースが塗られている。
したがってロータ板の結合ピンに対する摺動抵抗をガイド部材の回転軸側の部材に対する摺動抵抗よりも小さくすることができる。
【0010】
請求項6に記載の発明によると、複数のロータ板と一または複数のガイド部材の間には、複数のロータ板を一または複数のガイド部材に対する初期位置へ付勢する付勢部材が設けられている。
したがって制動時にロータ板を付勢部材に抗してガイド部材に対して軸方向に移動させ、非制動時には、ロータ板を付勢部材の付勢力を利用してガイド部材に対して初期位置に戻ることができる。
【0011】
請求項7に記載の発明によると、ガイド部材は、環状のガイド部材本体と、ガイド部材本体の軸方向一側縁から回転軸径方向外方に突出する複数の一側突出片と、ガイド部材本体の軸方向他側縁から回転軸径方向外方に突出する複数の他側突出片を有している。そしてロータ板が複数の一側突出片と複数の他側突出片の間に設置されており、複数の一側突出片の少なくとも一つとロータ板の間にロータ板を他側に付勢する付勢部材が設けられており、複数の他側突出片の少なくとも一つとロータ板の間にロータ板を一側に付勢する付勢部材が設けられている。
したがってロータ板は、付勢部材によって初期位置へ付勢される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図1〜4にしたがって説明する。
図1に示すようにディスクブレーキ10は、多板ディスクブレーキであって、ディスクロータ1とステータ部材11を有している。
ディスクロータ1は、複数(例えば二つ)のロータ板4,5と、複数(例えば二つ)のガイド部材2,3を有している。
【0013】
ロータ板4,5は、図1,3に示すようにドーナツ円盤状であって、内周部側が結合ピン6,7によってガイド部材2,3に結合されている。ロータ板4,5は、結合ピン6,7によってガイド部材2,3に対して軸回転方向への移動が規制され、ガイド部材2,3とともに回転軸12中心に軸回転可能になっている。またロータ板4,5は、結合ピン6,7に対して摺動可能であって、ガイド部材2,3に対して軸方向に移動できる構成になっている(浮動ロータ機構)。
【0014】
ガイド部材2は、図1,3に示すように環状に形成されており、内周縁部に複数の歯2dを有している。ガイド部材2は、複数の歯2dがハブ(回転軸側の部材)13に形成された複数の歯13aの間に噛合わされることによって、ハブ13に対して軸回転方向への移動が規制される。またガイド部材2は、ハブ13の外周面に対して摺動可能であって、ハブ13に対して軸方向に摺動できる構成になっている。
したがってロータ板4は、ガイド部材2を介してハブ13に取付けられ、ハブ13とともに軸回転する。またロータ板4は、ガイド部材2に対して軸方向に移動し、ガイド部材2もハブ13に対して軸方向に移動する。
【0015】
ガイド部材3も同様に環状に形成されており、図示省略の複数の歯によってハブ13に対して軸回転方向への移動が規制されている。そしてガイド部材3もハブ13に対して軸方向に摺動する。
したがってロータ板5は、ガイド部材3を介してハブ13に取付けられ、ハブ13とともに軸回転する。またロータ板5は、ガイド部材3に対して軸方向に移動し、ガイド部材3もハブ13に対して軸方向に移動する。
【0016】
ガイド部材2,3は、図1に示すように環状のガイド部材本体2a,3aを有している。またガイド部材2,3は、図3,4に示すようにガイド部材本体2a,3aの軸方向一側縁(図4上側縁)から径方向外方に突出する複数の一側突出片2b,3bと、ガイド部材本体2a,3aの軸方向他側縁(図4下側縁)から径方向外方に突出する複数の他側突出片2c,3cを有している。これら一側突出片2b,3bと他側突出片2c,3cは、複数の対となっており、互いに対向しつつ並行に突出している。
【0017】
ガイド部材2の一側突出片2bと他側突出片2cの間には、図4に示すようにロータ板4が設置されており、ガイド部材3の一側突出片3bと他側突出片3cの間には、ロータ板5が設置されている。そして一側突出片2b,3bと他側突出片2c,3cの間に挿通された結合ピン6,7によってロータ板4,5がガイド部材2,3に対して結合されている。
結合ピン6,7は、ステンレス製であって、ロータ板4,5とハブ13は、鉄製である。したがってロータ板4,5の結合ピン6,7に対する摺動抵抗は、ガイド部材2,3のハブ13に対する摺動抵抗よりも小さい。
【0018】
ガイド部材2側の突出片2b,2cとガイド部材3側の突出片3b,3cは、図4に示すように周方向に交互に配設されている。したがってガイド部材2,3は、軸方向に移動した際に干渉しにくく、互いに軸方向に近接しやすい構成になっている。
【0019】
ガイド部材2とロータ板4の間には、図2,4に示すようにロータ板4を初期位置に付勢する付勢部材30,31が設けられている。
付勢部材30,31は、皿ばねであって、外周部が一側突出片2bまたは他側突出片2cに当接しており、内周部がロータ板4に当接している。付勢部材30は、弾性力によってロータ板4を他側(他側突出片2c)に向けて付勢する。一方、付勢部材31は、ロータ板4を一側(一側突出片2b)に向けて付勢する。このためロータ板4は、常にガイド部材2の軸方向の略中央位置(初期位置)に付勢されている。またロータ板4は、付勢部材30,31によってガイド部材2に対して傾くことも防止されている。
【0020】
ガイド部材3とロータ板5の間にも、同様にロータ板5を他側に付勢する付勢部材32と一側に付勢する付勢部材33が設けられている。そのためロータ板5は、これら付勢部材32,33によって常に初期位置に付勢されている。またロータ板5は、付勢部材32,33によってガイド部材3に対して傾くことも防止されている。
【0021】
ステータ部材11は、図2に示すようにキャリパ20と複数(例えば三つ)のパッド22〜24とピストン21を有している。
キャリパ20は、車両側の部材に固定され、車両側から車両外側に向けて延出し、ディスクロータ1を軸方向に跨ぐ。キャリパ20の車両側の端部には、ピストン21が内挿されるシリンダ部20aが形成されている。そしてキャリパ20の車両外側の端部には、ディスクロータ1の車両外側面に張出す爪20bが形成されている。
【0022】
キャリパ20の内部には、図2に示すように複数のパッド22〜24が吊下げられている。
両側に位置するパッド22,24は、裏板22a,24aと摩擦材22b,24bを一体に有しており、中央に位置するパッド23は、一つの裏板23aと、二つの摩擦材23b,23cを一体に有している。パッド22〜24は、裏板22a,23a,24aの上端部に挿通された吊下げピン25によってキャリパ20内にて軸方向に移動可能に吊下げられ支持されている。
【0023】
パッド22,23の間には、図2に示すようにロータ板4が配設され、パッド23,24の間には、ロータ板5が配設される。
ディスクブレーキ10を制動状態にする場合には、ピストン21を進出させ、ピストン21によってパッド22を押す。これによりパッド22、ロータ板4、パッド23、ロータ板5、パッド24の順にこれらが爪20bに向けて押圧され、軸方向に移動する。そしてロータ板4にパッド22,23が押圧され、ロータ板5にパッド23,24が押圧され、制動力が発生する。
【0024】
制動時におけるロータ板4,5の軸方向の移動は、先ずロータ板4,5が摺動抵抗の小さい結合ピン6,7に対して移動する(図2参照)。そしてこの移動量で足りない場合に、ロータ板4,5がガイド部材2,3とともにハブ13に対して移動して、ガイド部材2,3がハブ13に対して摺動する。
非制動時におけるロータ板4,5は、ピストン21からの押圧から開放されて付勢部材30〜33の付勢力によってガイド部材2,3に対して初期位置に戻る。一方、非制動時におけるガイド部材2,3は、ハブ13に対してほとんど軸方向に移動しない。
【0025】
以上のようにしてディスクロータ1が形成されている。
すなわちディスクロータ1は、図2に示すようにハブ(回転軸側の部材)13に対して軸方向に移動可能に取付けられるガイド部材2,3を有している。そしてガイド部材2,3にロータ板4,5が軸方向に移動可能に取付けられている。
したがってロータ板4,5のハブ13に対する軸方向の動きは、ロータ板4,5のガイド部材2,3に対する軸方向の動きと、ガイド部材2,3のハブ13に対する軸方向の動きの和によって構成される。そのため本形態によると、二つの軸方向の動きを調整することによってロータ板4,5の好適な軸方向の移動を得ることができる。
【0026】
また複数のロータ板4,5は、図2,4に示すようにそれぞれ別々のガイド部材2,3に取付けられている。
したがって各ロータ板4,5のハブ13に対する軸方向の動きは、各ロータ板4,5の各ガイド部材2,3に対する動きと、各ガイド部材2,3のハブ13に対する動きの和によって構成される。そのため本形態によると、各ロータ板4,5の好適な軸方向の移動を得ることができる。
【0027】
また図2に示すようにガイド部材2,3の一側突出片2b,3bと他側突出片2c,3cの間には、ロータ板4,5が設置されている。そしてロータ板4,5と一側突出片2b,3bの間に設けられた付勢部材30,32と、ロータ板4,5と他側突出片2c,3cとの間に設けられた付勢部材31,33とによってロータ板4,5がロータ軸方向に傾くことが規制されている。
したがってロータ板4,5は、付勢部材30〜33によってガイド部材2,3に対して傾きにくい。そのためロータ板4,5がガイド部材2,3あるいは他の部材(例えばステータ部材11)に対してこじれることが防止され得る。
【0028】
またロータ板4,5の結合ピン6,7に対する摺動抵抗は、ガイド部材2,3のハブ13に対する摺動抵抗よりも小さい構成になっている(図2参照)。
したがってロータ板4,5は、好適な軸方向の動きを成し得る。
例えば、ガイド部材2,3のハブ13に対する摺動抵抗を大きくすることによって、ロータ板4,5が停車時や空転時などにおいてガイド部材2,3とともにハブ13に対して軸方向に大きく移動することを防止することができる。そしてロータ板4,5の結合ピン6,7に対する摺動抵抗を小さくすることによって、制動時におけるロータ板4,5の軸方向の移動を滑らかにすることができる。
【0029】
あるいはロータ板4,5の結合ピン6,7に対する摺動抵抗を小さくすることによって、制動時におけるロータ板4,5の動きを主としてロータ板4,5の結合ピン6,7に対する動きにて構成することができる。そしてガイド部材2,3のハブ13に対する摺動抵抗を大きくすることによって、ガイド部材2,3のハブ13に対する移動をパッド22〜24の摩耗量に応じた量のみとすることができる。これにより制動時におけるロータ板4,5の移動量を少なくすることができる。
【0030】
またロータ板4,5とガイド部材2,3の間には、図2に示すように付勢部材30〜33が設けられている。
したがって制動時にロータ板4,5を付勢部材30〜33に抗してガイド部材2,3に対して軸方向に移動させ、非制動時には、ロータ板4,5を付勢部材30〜33の付勢力を利用してガイド部材2,3に対して初期位置に戻すことができる。
【0031】
(他の実施の形態)
本発明は、上記の実施の形態に限定されず、以下の形態であっても良い。
(1)例えば上記の実施の形態に係るロータ板4,5は、図2に示すように結合ピン6,7によってガイド部材2,3に対して結合されていた。しかしロータ板4,5が結合ピンを介さずに、ガイド部材の外周面に対して摺動可能に取付けられる形態であっても良い。
(2)上記の実施の形態に係る結合ピン6,7は、ステンレス製であった。しかし結合ピン6,7が鉄製などであって、結合ピンとロータ板の間にグリースが塗られ、ロータ板の結合ピンに対する摺動抵抗が、ガイド部材のハブに対する摺動抵抗よりも小さい構成になっている形態であっても良い。
(3)上記の実施の形態に係る付勢部材は、ガイド部材のすべての一側突出片とロータ板の間、およびすべての他側突出片とロータ板の間に設置されていた。しかし少なくとも一つの一側突出片とロータ板の間、および少なくとも一つの他側突出片とロータ板の間に付勢部材が設置される形態であっても良い。
(4)上記の実施の形態に係るディスクロータは、二つのガイド部材を有していた。しかしディスクロータが一つのガイド部材を有し、この一つのガイド部材に複数のロータ板が軸方向に移動可能でかつ軸回転方向への移動が規制された状態にて取付けられる形態であっても良い。
(5)上記の実施の形態に係る付勢部材30〜33は、図2,4に示すように皿ばねであった。しかし付勢部材がコイルスプリングやゴム材などからなるものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】ディスクブレーキの断面図である。
【図2】ステータ部材近傍のディスクブレーキの一部断面拡大図である。
【図3】図1の矢印III方向からのディスクロータの正面図である。
【図4】図3の矢印IV方向からのディスクロータの下面図である。
【符号の説明】
【0033】
1…ディスクロータ
2,3…ガイド部材
2a,3a…ガイド部材本体
2b,3b…一側突出片
2c,3c…他側突出片
4,5…ロータ板
6,7…結合ピン
10…ディスクブレーキ
11…ステータ部材
12…回転軸
13…ハブ(回転軸側の部材)
20…キャリパ
21…ピストン
22〜24…パッド
30〜33…付勢部材



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のロータ板(4,5)を有し、これら複数のロータ板(4,5)が回転軸側の部材(13)に対して軸方向に移動可能に取付けられる多板ディスクブレーキ用ディスクロータ(1)であって、
前記回転軸側の部材(13)に対して軸方向に移動可能でかつ軸回転方向への移動が規制された状態にて取付けられる一または複数のガイド部材(2,3)を有し、
前記一または複数のガイド部材(2,3)に対して前記複数のロータ板(4,5)が軸方向に移動可能でかつ軸回転方向への移動が規制された状態にて取付けられていることを特徴とする多板ディスクブレーキ用ディスクロータ(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の多板ディスクブレーキ用ディスクロータ(1)であって、
複数のロータ板(4,5)は、それぞれ別々のガイド部材(2,3)に取付けられていることを特徴とする多板ディスクブレーキ用ディスクロータ(1)。
【請求項3】
請求項2に記載の多板ディスクブレーキ用ディスクロータ(1)であって、
ガイド部材(2,3)は、環状のガイド部材本体(2a,3a)と、そのガイド部材本体(2a,3a)の軸方向一側縁から回転軸径方向外方に突出する複数の一側突出片(2b,3b)と、前記ガイド部材本体(2a,3a)の軸方向他側縁から回転軸径方向外方に突出する複数の他側突出片(2c,3c)を有しており、
前記一側突出片(2b,3b)と前記他側突出片(2c,3c)の間にロータ板(4,5)が設置され、前記ロータ板(4,5)と前記一側突出片(2b,3b)の間に設けられた付勢部材(30,32)と、前記ロータ板(4,5)と前記他側突出片(2c,3c)との間に設けられた付勢部材(31,33)とによって前記ロータ板(4,5)がロータ軸方向に傾くことが規制されていることを特徴とする多板ディスクブレーキ用ディスクロータ(1)。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の多板ディスクブレーキ用ディスクロータ(1)であって、
一または複数のガイド部材(2,3)は、回転軸側の部材(13)に対して軸方向に摺動可能に取付けられており、
複数のロータ板(4,5)は、前記一または複数のガイド部材(2,3)に取付けられた結合ピン(6,7)に対して摺動可能に結合されており、
前記ロータ板(4,5)の前記結合ピン(6,7)に対する摺動抵抗は、前記ガイド部材(2,3)の前記回転軸側の部材(13)に対する摺動抵抗よりも小さい構成になっていることを特徴とする多板ディスクブレーキ用ディスクロータ(1)。
【請求項5】
請求項4に記載の多板ディスクブレーキ用ディスクロータ(1)であって、
ガイド部材(2,3)が鉄製であり、かつ結合ピン(6,7)がステンレス製になっている、
あるいはガイド部材(2,3)が鉄製であり、かつ結合ピン(6,7)とロータ板(4,5)の間にグリースが塗られていることを特徴とする多板ディスクブレーキ用ディスクロータ(1)。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載の多板ディスクブレーキ用ディスクロータ(1)であって、
複数のロータ板(4,5)と一または複数のガイド部材(2,3)の間には、前記複数のロータ板(4,5)を前記一または複数のガイド部材(2,3)に対する初期位置へ付勢する付勢部材(30〜33)が設けられていることを特徴とする多板ディスクブレーキ用ディスクロータ(1)。
【請求項7】
請求項6に記載の多板ディスクブレーキ用ディスクロータ(1)であって、
ガイド部材(2,3)は、環状のガイド部材本体(2a,3a)と、そのガイド部材本体(2a,3a)の軸方向一側縁から回転軸径方向外方に突出する複数の一側突出片(2b,3b)と、前記ガイド部材本体(2a,3a)の軸方向他側縁から回転軸径方向外方に突出する複数の他側突出片(2c,3c)を有しており、
ロータ板(4,5)が前記複数の一側突出片(2b,3b)と前記複数の他側突出片(2c,3c)の間に設置されており、前記複数の一側突出片(2b,3b)の少なくとも一つと前記ロータ板(4,5)の間に前記ロータ板(4,5)を他側に付勢する付勢部材(30,32)が設けられており、前記複数の他側突出片(2c,3c)の少なくとも一つと前記ロータ板(4,5)の間に前記ロータ板(4,5)を一側に付勢する付勢部材(31,33)が設けられていることを特徴とする多板ディスクブレーキ用ディスクロータ(1)。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−24221(P2007−24221A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−208865(P2005−208865)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】