説明

多機能液晶視差バリアーの装置

【課題】二次元画像及びデュアルシーンとマルチシーンを備える三次元画像を表示することができる多機能液晶視差バリアーの装置を提供する。
【解決手段】多機能液晶視差バリアーの装置は、デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー400とマルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー500という2種の視差バリアー構造を備えて構成する液晶装置で、該2個の視差バリアー400、500は、相同の水平表示方向に設置し、適当な駆動電圧の制御を通して、フラットディスプレースクリーンの使用を対応させ、二次元画像及びデュアルシーンとマルチシーンを備える三次元画像を表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多機能液晶視差バリアーの装置に関し、特にデュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアーとマルチシーン用傾斜格子状式視差バリアーという2種の視差バリアー構造を備えて構成する液晶装置で、該2個の視差バリアーは、相同の水平表示方向に設置し、適当な駆動電圧の制御を通して、フラットディスプレースクリーンの使用を対応させ、二次元画像及びデュアルシーンとマルチシーンを備える三次元画像を表示することができる多機能液晶視差バリアーの装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、多機能液晶視差バリアーの装置を開示する。
該装置は、2個の独立したバリアー電極により構成する液晶視差バリアー装置で、該2個の独立したバリアー電極に対して、個別の電圧により駆動し、双方向、或いは異なるバリアー配列構造、或いは異なるシーン数により、三次元画像表示の目的を達成することができる。
【0003】
図1、2は、多機能液晶視差バリアー装置の基本構造を示す。
内、図1は、特許文献1中における第一実施例構造の模式図である。
該多機能液晶視差バリアーの装置100は、上リニア偏光板101、上透明基材102、共電極層103、上配向膜層104、液晶分子層105、下配向膜層106、一対のバリアー電極層107、下透明基材111、下リニア偏光板112により構成する。
【0004】
該一対のバリアー電極層107は、上バリアー電極層108、絶縁層109、下バリアー電極層110により構成する。
該絶縁層109は、該2個のバリアー電極層108、110の電気を絶縁し、こうして該2個のバリアー電極層108、110間において、電気ショートの現象が起きることを回避することができる。
内、該上リニア偏光板101、該共電極層103、該上配向膜層104は、該上透明基材102の上に設置する。
該下配向膜層106、該上バリアー電極層108、該絶縁層109、該下バリアー電極層110、及び該下リニア偏光板112は、該下透明基材111の上に設置する。
【0005】
図2は、特許文献1中における第二実施例構造の模式図である。
該多機能液晶視差バリアーの装置200は、上リニア偏光板201、上透明基材202、上共電極層203、上絶縁層204、上バリアー電極層205、上配向膜層206、液晶分子層207、下配向膜層208、下バリアー電極層209、下絶縁層210、下共電極層211、下透明基材212、下リニア偏光板213により構成する。
内、該上リニア偏光板201、該上共電極層203、該上絶縁層204、該上バリアー電極層205及び該上配向膜層206は、該上透明基材202の上に設置する。
該下配向膜層208、該下バリアー電極層209、該下絶縁層210、該下共電極層211及び該下リニア偏光板213は、該下透明基材212の上に設置する。
【0006】
上記した特許文献1中では、該2種の実施例の構造について具体的に開示し、該2個のバリアー電極層108、110、205、209上に、異なる特性を備えるバリアーをそれぞれ設置する方法を利用して、双方向、或いは異なるバリアー配列構造、或いは異なるシーン数の方式により、三次元画像表示の目的を達成できると説明している。
しかし、特許文献1中では、異なる観賞条件を備える3D写真、3D映画、3D動画、3Dゲーム等3D応用に対して、いかにして最適な視差バリアーを提供するかについて、具体的かつ詳細な検討はなされていない。
本発明は、従来の多機能液晶視差バリアーの装置の上記した欠点に鑑みてなされたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】台湾特許第099100423号明細書
【特許文献2】台湾特許第097135421号明細書
【特許文献3】台湾特許第098113625号明細書
【特許文献4】台湾特許第098128986号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、二次元画像及びデュアルシーンとマルチシーンを備える三次元画像を表示することができる多機能液晶視差バリアーの装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は下記の多機能液晶視差バリアーの装置を提供する。
多機能液晶視差バリアーの装置は、特許文献1に開示する多機能液晶視差バリアー装置の応用で、
デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアーとマルチシーン用傾斜格子状式視差バリアーという2種の異なる視差バリアーの構造を、該多機能液晶視差バリアー装置の異なるバリアー電極の上に個別に設置し、
しかも、該2個の視差バリアーは、相同の水平表示方向に設置し、
市場で既に普及し、しかもデュアルシーン効果を備える3D写真、3D映画については、該デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアーの使用を通して、3D画像表示の目的を達成し、
マルチシーン効果を備える3D動画と3Dゲームについては、該マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアーの使用を通して、3D画像表示の目的を達成し、
しかも、外部の適当な電圧の駆動を通して、その内の一種の視差バリアーを選択して起動し、上記した異なる3Dの応用に対して、それぞれ三次元画像表示の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多機能液晶視差バリアーの装置は、デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアーとマルチシーン用傾斜格子状式視差バリアーという2種の視差バリアー構造を備えて構成する液晶装置で、該2個の視差バリアーは、相同の水平表示方向に設置し、適当な駆動電圧の制御を通して、フラットディスプレースクリーンの使用を対応させ、二次元画像及びデュアルシーンとマルチシーンを備える三次元画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】多機能液晶視差バリアー装置第一実施例の模式図である。
【図2】多機能液晶視差バリアー装置第二実施例の模式図である。
【図3】一般のフラットディスプレースクリーン構造の模式図である。
【図4】デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー構造の模式図である。
【図5】マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー構造の模式図である。
【図6】光透過部品開口の水平幅を最適化後の、デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー構造の模式図である。
【図7】光透過部品開口の水平幅を最適化後の、マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー構造の模式図である。
【図8】光透過部品開口の水平幅を最適化する前の、各関連構造とパラメータ定義の模式図である。
【図9】光透過部品開口の水平幅を最適化後の、各関連構造とパラメータ定義の模式図である。
【図10】光透過部品開口の水平幅を最適化後の、左水平可視範囲の模式図である。
【図11】光透過部品開口の水平幅を最適化後の、右水平可視範囲の模式図である。
【図12】光透過部品開口の垂直幅を最適化する前の、各関連構造とパラメータ定義の模式図である。
【図13】光透過部品開口の水平及び垂直幅を最適化後の、マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー構造の模式図である。
【図14】光透過部品開口の垂直幅を最適化後の、各関連構造とパラメータ定義の模式図である。
【図15】光透過部品開口の垂直幅を最適化後の、下垂直可視範囲の模式図である。
【図16】光透過部品開口の垂直幅を最適化後の、上垂直可視範囲の模式図である。
【図17】多機能液晶視差バリアー装置を設置したフラットディスプレー構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、デュアルシーン効果を備える3D写真、3D映画、及びマルチシーン効果を備える3D動画、3Dゲームという2種の異なる3Dの応用について、デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー構造とマルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー構造を、いかにして最適化すれば、最適な3D画像を表示することができるかについて説明する。
【0013】
先ず、ディスプレースクリーン画面のパラメータと3D画像の表示方向を定義する。
図3に示すように、一般のフラットディスプレー300スクリーン310は、多数のRGBサブピクセルユニット320により構成される。
該単一のRGBサブピクセルユニット321は、PW×PHのサイズを備える。
内、PWは、サブピクセルの水平幅で、PHは、サブピクセルの垂直幅である。
該RGBサブピクセルの配列は、水平方向(すなわち、X軸方向)に沿って配列し、または垂直方向(すなわち、Y軸方向)に沿って配列する。
本発明中では、水平配列のRGBサブピクセルを例として、本発明実施例の機能と効果を説明する。
【0014】
また、該RGBサブピクセルが水平方向配列であろうと、垂直方向配列であろうと、該フラットディスプレー300スクリーン310が表示するデュアルシーン或いはマルチシーンの3D画像に対して、該2個の視差バリアーは、ともに相同の水平表示方向を備える。
すなわち、最適観賞距離上の最適視点位置において、水平方向に沿って、該2個の視差バリアーは、該デュアルシーンとマルチシーンの3D画像を、単一シーンの画像に分離する。
上記のシーン分離の作用については、特許文献2、3、4を参照されたい。
【0015】
デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアーとマルチシーン用傾斜格子状式視差バリアーの最適化に関しては、先ず、水平方向構造の最適化について検討し、次に、垂直方向構造の最適化について説明する。
図4は、本発明において採用するデュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー構造の模式図である。
該デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー400は、多数の光透過部品401、遮光部品402により構成する。
該光透過部品401と該遮光部品402は、垂直ストリップ状式の幾何構造を備え、しかもそれぞれB2w
【数1】

の水平幅を備える。
【0016】
図5は、本発明において採用するマルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー構造の模式図である。
ここでいうマルチシーンとは、シーン数が2以上のものを指す。
しかも、以下の図示では、説明の便のため、シーン数=6を例として、本発明の機能と効果を説明する。
該マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー500は、多数の光透過部品501、遮光部品502により構成する。
該光透過部品501と該遮光部品502は、格子状式の幾何構造を備え、しかもそれぞれB6w
【数2】

の水平幅を備える。
【0017】
特許文献4に開示するように、該光透過部品401、501と該遮光部品402、502は、以下に示す基本的関係を備える。
【数3】

【数4】

【数5】

内、nは、シーン数で、しかもn≧2である。
【0018】
ここにおいて、該デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー400が対応して表示する3D画像は、シーン数n=2により構成するデュアルシーン合成画像で、該マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー500が対応して表示する3D画像は、シーン数n>2により構成するマルチシーン合成画像(前記のように、ここではn=6)である。
PnWは、スクリーン上に表示する最小シーン画像表示ユニットの水平幅(すなわち、該単一の格子状の光透過部品501が対応するシーン画像の水平幅。例えば、該PnWは、単一の、或いは複数のRGBサブピクセルの水平幅で、非整数個のRGBサブピクセルの水平幅とすることもできる)で、LEは、両目間の平均距離で、Zn0は、最適観賞距離で、LBは、視差バリアーの設置距離である。
【0019】
前記のように、デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー400とマルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー500を、同一の多機能液晶視差バリアーの装置100、200に統合する時、該2種の視差バリアー構造に対して、以下のように設計を最適化しなければ、最適な3D画像を表示する機能と効果を達成することはできない。
【0020】
1. 観賞距離の最適化
いわゆる観賞距離の最適化とは、任意のデュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー400とマルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー500を使用する際に、両者ともに、相同の最適観賞距離を備えさせることをいう。
すなわち、Z20 =Z60= Z0で、こうしてはじめて使用の利便性を達成することができる。
公式(1)、(3)に基づき、同様の視差バリアーの設置距離LBと、同様の両目間の平均距離LEは、P2W=P6Wで、しかもB2W =B6Wでなければ、Z20 =Z60= Z0の目的を達成することはできない。
すなわち、該デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー400と該マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー500において、該2個の視差バリアーが対応して表示するPnW、両者の光透過部品開口の水平幅BnWは、一致していなければならない。
シーン数が2以上のマルチシーン画像を均一に分布させるため、好ましくは、最小シーン画像表示ユニットの水平幅はP2W=P6W=Pwで、また単一のRGBサブピクセルユニットの水平幅Pwは、最小シーン画像表示ユニットの水平幅である。
また、Bw =B2W=B6Wで、よって、式(1)~(3)は以下のようになる。
【数6】

【数7】

【数8】

【0021】
2. 光透過部品開口の水平幅の最適化
特許文献4に開示するように、図6、図7中に示す該デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー400と該マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー500において、両者の光透過部品開口の水平幅BWに対して、適当な縮小403、503を行う必要があり、こうしてはじめて水平可視範囲を拡大する機能と効果を達成することができる。
いわゆる水平可視範囲とは、最適観賞距離上の、しかも水平方向上において、水平方向のゴーストイメージが発生しないという条件において、3D画像を観ることができる最大の水平観賞範囲である。
よって、光透過部品開口の水平幅、遮光部品遮光の水平幅を、以下の式により最適化する。
【数9】

【数10】

内、
【数11】

は、光透過部品の最適化された開口幅で、
【数12】

は、遮光部品の最適化された遮光幅で、ΔBWは、光透過部品開口幅の縮小量である。
【0022】
以下に、ΔBWと水平可視範囲との関係について説明する。
図8は、光透過部品開口の水平幅を最適化する前の、各関連構造とパラメータ定義の模式図である。
先ず、座標系XYZの原点を、スクリーン310の中心位置に設置し、しかも該視差バリアー400、500を、Z軸LB位置に設置する。
水平方向(X軸)において、任意のサブピクセル321の中心位置は、PXである。
該サブピクセル321に対応して、光透過部品401、501が存在し、これにより観賞者の目530は、最適観賞距離Z0位置において、該光透過部品401、501水平の開口を通して、該サブピクセル321のすべての画像を観ることができる。
該光透過部品401、501の中心位置は、BXである。
よって、PX、BXは、それぞれ以下の関係を備える。
【数13】

【数14】

内、nは、シーン数で、iは、正の整数である。
また、該サブピクセル321の左、右両端の位置は、それぞれ
【数15】

【数16】

である。
該光透過部品401、501の左、右両端の位置は、それぞれ
【数17】

【数18】

である。
よって、
【数19】

【数20】

【数21】

【数22】

は、それぞれ以下の関係を備える。
【数23】

【数24】

【数25】

【数26】

【0023】
図9は、光透過部品開口の水平幅を最適化後の、各関連構造とパラメータ定義の模式図である。
ここでいう、いわゆる開口水平幅の最適化とは、該光透過部品401、501の左、右両端の開口を、それぞれ適当な量
【数27】

だけ縮小することで、こうして最適化した後、該光透過部品401、501の左、右両端の位置は、それぞれ
【数28】

【数29】

となり、しかも以下の関係を備える。
【数30】

【数31】

よって、該観賞者の目530は、該光透過部品401、501を通して、該サブピクセル321の一部の画像を観ることができる。
【0024】
図10は、光透過部品開口の水平幅を最適化後の、左水平可視範囲の模式図である。
いわゆる左水平可視範囲ΔX_とは、観賞者の目530が、中心位置から左へ移動した時、水平ゴーストイメージが見えないという画像状態を維持する条件下で、観賞者が許される左への最大移動量をいう。
該左水平可視範囲ΔX_と該縮小量
【数32】

との関係は、以下の式の通りである。
【数33】

【0025】
図11は、光透過部品開口の水平幅を最適化後の、右水平可視範囲の模式図である。
いわゆる右水平可視範囲ΔXとは、観賞者の目530が、中心位置から右へ移動した時、水平ゴーストイメージが見えないという画像状態を維持する条件下で、観賞者が許される右への最大移動量をいう。
該右水平可視範囲ΔXと該縮小量
【数34】

との関係は、以下の式の通りである。
【数35】

【0026】
よって、式(17)、(18)に基づき、水平可視範囲ΔXを式(17)、(18)の和と定義でき、以下の式により表示することができる。
【数36】

式 (19)に基づき、光透過部品水平開口の幅を縮小することで、より大きいΔBW値を設定することができ、より大きい水平可視範囲を得ることができる。
しかし、より大きいΔBW値を設定すると、画像の輝度が低下する現象が起きる。
よって、いかにしてΔBW値を設定し、最適な光透過部品開口の水平幅の設計を得るかは、特許文献4を参照されたい。
【0027】
3. 光透過部品開口の垂直幅
先ず、光透過部品開口の垂直幅の計算について説明する。
垂直ストリップ状式視差バリアーについては、垂直方向上には一切の構造の特性を備えないため、いかなる垂直方向の問題も発生しない。
よって、以下では、該マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー500についてのみ、検討と説明を行う。
【0028】
上記した最小シーン画像表示ユニットとは、任意の光透過部品について、それが対応するシーン画像の大きさである。
格子状光透過部品を備える該傾斜格子状式視差バリアー500について、垂直方向上における、その最小シーン画像表示ユニットの垂直幅は、単一、或いは複数のRGBサブピクセルの垂直幅で、非整数個のRGBサブピクセルの垂直幅とすることができる。
但し、シーン数が2以上のマルチシーン画像を均一に分布させるため、好ましくは、単一のRGBサブピクセルユニットの垂直幅PHは、最小シーン画像表示ユニットの垂直幅である。
よって、以下に、単一のRGBサブピクセルユニットの垂直幅PHに基づき、該光透過部品開口の垂直幅を計算する。
【0029】
図12は、光透過部品開口の垂直幅を最適化する前の、各関連構造とパラメータ定義の模式図である。
垂直方向(Y軸)上において、スクリーン中心の位置に相対し、その上方の任意のサブピクセル321の中心位置は、PYである。
該サブピクセル321に対応し、光透過部品501が存在し、観賞者の目530は、最適観賞距離Z0位置において、該光透過部品501垂直の開口を通して、該サブピクセル321のすべての画像を観ることができる。
該光透過部品501の中心位置は、BYである。
よって、PY、BYは、それぞれ以下の関係を備える。
【数37】

【数38】

内、PHは、サブピクセルの垂直の幅で、BHは、光透過部品開口の垂直幅 jは、正の整数で、しかもBHとPHは、以下の式の関係を備える。
【数39】

また、式(6)を式(22)に当てはめると、PHとBHとの関係は、以下の公式により表される。
【数40】

また、該サブピクセル321の上、下両端の位置は、それぞれPY+、PY−で、該光透過部品501の上、下両端の位置は、それぞれBY+、BY−である。
よって、PY+、PY−、BY+、BY−は、それぞれ以下の関係を備える。
【数41】

【数42】

【数43】

【数44】

式(22)を式(26)、(27)に当てはめると、以下を得ることができる。
【数45】

【数46】

【0030】
4. 光透過部品開口の垂直幅の最適化
以下に、光透過部品開口垂直幅の最適化について説明する。
垂直ストリップ状式視差バリアーは、垂直方向上には一切の構造の特性を備えないため、垂直方向のゴーストイメージは生じない。
よって、該マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー500に対してのみ、検討と説明を行う。
【0031】
図5、7中に示すように、該マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー500上の任意の光透過部品において、その光透過部品は、格子状の開口を備えるため、垂直方向上には、観賞位置の違いにより、垂直ゴーストイメージの問題が生じ易い。
【0032】
図13中に示す該マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー500においては、該視差バリアーが備える光透過部品開口の垂直幅BHに対して、適当な縮小504を行う必要があり、こうしてはじめて垂直可視範囲拡大の機能と効果を達成することができる。
いわゆる垂直可視範囲とは、最適観賞距離上で、垂直方向上において、垂直方向ゴーストイメージが生じないという条件下で、3D画像を観ることができる最大の垂直観賞範囲のことである。
よって、光透過部品開口の垂直幅を、以下の式により最適化する。
【数47】

【0033】
図14は、光透過部品開口の垂直幅を最適化後の、各関連構造とパラメータ定義の模式図である。
ここでいう、いわゆる開口の垂直幅最適化とは、該光透過部品501の上、下両端の開口を、それぞれ適当な量
【数48】

だけ縮小することで、こうして最適化後、該光透過部品501の上、下両端の位置は、それぞれ
【数49】

【数50】

となり、しかも以下の関係を備える。
【数51】

【数52】

よって、該観賞者の目530は、該光透過部品501を通して、該サブピクセル321の一部の画像を観ることができる。
また、式(31)、(32)に基づき、式(33)は以下のように表される。
【数53】

【0034】
図15は、光透過部品開口の垂直幅を最適化後の、下垂直可視範囲の模式図である。
いわゆる下垂直可視範囲ΔY_とは、観賞者の目530が、中心位置から下へと移動した時、垂直ゴーストイメージが見えない画像状態を維持するという条件下で、観賞者が許される下方への最大移動量である。
該下垂直可視範囲ΔY_と該縮小量
【数54】

との関係は、以下の式の通りである。
【数55】

【0035】
図16は、光透過部品開口の垂直幅を最適化後の、上垂直可視範囲の模式図である。
いわゆる上垂直可視範囲ΔYとは、観賞者の目530が、中心位置から上へと移動した時、垂直ゴーストイメージが見えない画像状態を維持するという条件下で、観賞者が許される上方への最大移動量である。
該上垂直可視範囲ΔYと該縮小量
【数56】

との関係は、以下の式の通りである。
【数57】

よって、式(34)、(35)に基づき、垂直可視範囲ΔYを式(34)、(35)の和に定義でき、以下の式により表示することができる。
【数58】

【0036】
上記したように、該デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー400と該マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー500において、その光透過部品開口に対して、水平及び垂直方向の最適化処理を行った後、水平及び垂直可視範囲を拡大する機能と効果を達成することができる。
よって、先ず、該2個の視差バリアー400、500の構造を、該多機能液晶視差バリアー装置100、200中の2個のバリアー電極層108、110、205、209の上にそれぞれ設置する。
最後に、図17に示すように、該多機能液晶視差バリアー装置100、200を、該フラットディスプレー300の上に設置する。
外部の適当な電圧の駆動を通して、2D表示モード、或いは3D表示モードを選択することができる。
該3D表示モードは、デュアルシーン表示モードとマルチシーン表示モードを含む。
よって、観賞者は、観賞しようとする2D及び3D応用に応じて、該多機能液晶視差バリアー装置100、200の表示モードを適当に切り換え、同様の最適観賞距離上において、2D、或いは3D画像表示の目的を達成することができる。
【0037】
上記の本発明名称と内容は、本発明技術内容の説明に用いたのみで、本発明を限定するものではない。本発明の精神に基づく等価応用或いは部品(構造)の転換、置換、数量の増減はすべて、本発明の保護範囲に含むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は特許の要件である新規性を備え、従来の同類製品に比べ十分な進歩を有し、実用性が高く、社会のニーズに合致しており、産業上の利用価値は非常に大きい。
【符号の説明】
【0039】
101、201 上リニア偏光板
102、202 上透明基材
103、203、211 共電極層
104、206 上配向膜層
105、207 液晶分子層
106、208 下配向膜層
107 一対のバリアー電極層
108、205 上バリアー電極層
109、204、210 絶縁層
110、209 下バリアー電極層
111、212 下透明基材
112、213 下リニア偏光板
300 フラットディスプレー
310 スクリーン
320 多数のRGBサブピクセルユニット
321 単一のRGBサブピクセルユニット
400 デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー
401、501 光透過部品
402、502 遮光部品
403、503 光透過部品開口の水平幅の縮小
500 マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアー
504 光透過部品開口の垂直幅の縮小
530 観賞者の目
PW サブピクセルの水平幅
PH サブピクセルの垂直幅
B2w、B6w、Bnw、 Bw 視差バリアー光透過部品開口の水平幅
BH 視差バリアー光透過部品開口の垂直幅
【数59】

【数60】

【数61】

視差バリアー遮光部品遮光の水平幅
N シーン数
PnW、P2W、P6W スクリーン上に表示する最小シーン画像表示ユニットの水平幅
LE 両目間の平均距離
Zn0、Z20、Z60、 Z0 最適観賞距離
LB 視差バリアーの設置距離
Pw 単一のRGBサブピクセルユニットの水平幅
【数62】

光透過部品開口の最適化された水平幅
【数63】

遮光部品遮光の最適化された水平幅
【数64】

光透過部品開口の最適化された垂直幅
ΔBW 光透過部品開口の水平幅の縮小量
ΔBH 光透過部品開口の垂直幅の縮小量
X、Y、Z 座標系
PX、PY サブピクセル中心位置
【数65】

サブピクセル左端の位置
【数66】

サブピクセル右端の位置
PY+サブピクセル上端の位置
PY−サブピクセル下端の位置
BX、BY光透過部品の中心位置
【数67】

光透過部品左端の位置
【数68】

光透過部品右端の位置
BY+光透過部品上端の位置
BY−光透過部品下端の位置
【数69】

最適化後の光透過部品左端の位置
【数70】

最適化後の光透過部品右端の位置
i、j 正の整数
ΔX_ 左水平可視範囲
ΔX 右水平可視範囲
ΔX 水平可視範囲
ΔY_ 下垂直可視範囲
ΔY 上垂直可視範囲
ΔY 垂直可視範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多機能液晶視差バリアーの装置は、デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアーとマルチシーン用傾斜格子状式視差バリアーという2種の視差バリアー構造を備えて構成する液晶装置で、
該2個の視差バリアーは、相同の水平表示方向に設置し、適当な駆動電圧の制御を通して、二次元画像及びデュアルシーンとマルチシーンを備える三次元画像を表示することができ、
該マルチシーン画像が備えるシーン数は、2以上であることを特徴とする多機能液晶視差バリアーの装置。
【請求項2】
前記液晶構造の装置は、上リニア偏光板、上透明基材、共電極層、上配向膜層、液晶分子層、下配向膜層、上バリアー電極層、絶縁層、下バリアー電極層、下透明基材及び下リニア偏光板により構成することを特徴とする請求項1に記載の多機能液晶視差バリアーの装置。
【請求項3】
前記液晶構造の装置は、上リニア偏光板、上透明基材、上共電極層、上絶縁層、上バリアー電極層、上配向膜層、液晶分子層、下配向膜層、下バリアー電極層、下絶縁層、下共電極層、下透明基材及び下リニア偏光板により構成することを特徴とする請求項1に記載の多機能液晶視差バリアーの装置。
【請求項4】
前記上、下バリアー電極層上の電極の構造は、該デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー、或いは該マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアーの何れかにそれぞれ設置することを特徴とする請求項2或いは3に記載の多機能液晶視差バリアーの装置。
【請求項5】
前記多機能液晶視差バリアーの装置は、フラットディスプレースクリーン上に設置でき、該フラットディスプレースクリーンは、多数のRGBサブピクセルユニットにより構成し、該単一のRGBサブピクセルユニットは、PW×PHのサイズを備え、
該PWは、サブピクセルの水平幅で、該PHは、サブピクセルの垂直幅で、
該RGBサブピクセルの配列方向は、水平方向或いは垂直方向の内の何れかであることを特徴とする請求項1に記載の多機能液晶視差バリアーの装置。
【請求項6】
前記デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー及び該マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアーの構造は、水平方向上において、該2個の視差バリアーがそれぞれ備える光透過部品開口の水平幅Bnwと遮光部品遮光の水平幅
【数1】

、最適観賞距離Zn0等パラメータは、以下の公式により計算して得られ、
【数2】

【数3】

【数4】

該nは、シーン数で、しかもn≧2で、該PnWは、シーン画像最小表示ユニットの水平幅で、該LEは、両目間の平均距離で、該LBは、視差バリアーの設置距離であることを特徴とする請求項4に記載の多機能液晶視差バリアーの装置。
【請求項7】
前記デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー及び該マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアーにおいて、該2個の視差バリアーがそれぞれ対応して表示する該シーン画像最小表示ユニットの水平幅PnWは、相同の値を備え、
よって、該2個の光透過部品開口の水平幅BnWもまた、相同の値(すなわち、BnW= BW)を備え、これにより該2個の視差バリアーに相同の最適観賞距離を備えさせるという目的を達成することを特徴とする請求項6に記載の多機能液晶視差バリアーの装置。
【請求項8】
前記シーン画像最小表示ユニットの水平幅PnWは、該フラットディスプレースクリーン上の単一のRGBサブピクセルユニットの水平幅PWで、
よって、該2個の光透過部品開口の水平幅BWは、
【数5】

の関係を備えることを特徴とする請求項7に記載の多機能液晶視差バリアーの装置。
【請求項9】
前記デュアルシーン用垂直ストリップ状式視差バリアー及び該マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアーの構造は、該2個の視差バリアー光透過部品開口の水平幅を適当に縮小することで、水平可視範囲を拡大する目的を達成することを特徴とする請求項6に記載の多機能液晶視差バリアーの装置。
【請求項10】
前記マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアーの構造は、垂直方向上において、該傾斜格子状式視差バリアーが備える光透過部品開口の垂直幅BHは、以下の公式により計算して得られ、
【数6】

該PHは、該フラットディスプレースクリーン上の単一のRGBサブピクセルユニットの垂直幅であることを特徴とする請求項4に記載の多機能液晶視差バリアーの装置。
【請求項11】
前記マルチシーン用傾斜格子状式視差バリアーの構造は、該視差バリアー光透過部品開口の垂直幅を適当に縮小することで、垂直可視範囲を拡大するという目的を達成することを特徴とする請求項10に記載の多機能液晶視差バリアーの装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−191761(P2011−191761A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54669(P2011−54669)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(508232633)原創奈米科技股▲ふん▼有限公司 (9)
【Fターム(参考)】