説明

多機能画像センサーシステム

【課題】使用目的に適合した画像センサーを構築可能な多機能画像センサーシステムを提供する。
【解決手段】カメラやバーコード読取器等の画像検出装置と、前記画像検出装置から出力された画像信号からその特徴を抽出、分析処理する画像処理装置と、前記画像処理装置の抽出、分析処理を使用目的に応じて制御する複数のソフトウェアを蓄積・管理してなるソフトウェア管理装置とからなり、使用目的に適応した画像検出装置を選択して画像処理装置に接続するとともに、前記ソフトウェア管理装置に蓄積・管理された複数のソフトウェアから用途に適合したソフトウェアを選択して、前記画像処理装置を制御し、使用目的に適合した画像センサーを構築可能にしてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理を行う画像センサーシステムに関するものであり、使用目的に適合した画像センサーの構築を可能とする多機能画像センサーシステムである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像処理技術の発展に伴い、様々な分野で画像処理技術が利用されている。例えば工業製品の自動製造(Factory Automation:FA)の分野では製造工程における位置決め、外観検査、性能測定、不良品の選別などに画像処理技術が利用され、医用の分野では検査部位の画像取得や画像解析による診断支援に、また身近なところでも文書や図面等の自動入力や管理、検索に、銀行やマンション等におけるセキュリティー保護や人物確認における指紋や眼底血管の照合など広い分野で画像処理技術がさまざまな形態で利用されており、処理の対象となる画像を検出する画像センサーも多様で機能の優れたものが開発使用されてきている。
特にFA分野においては、高精細度のデジタルカメラの普及と相まって、前記画像センサーが飛躍的な進歩を遂げており、様々な画像処理技術を利用した装置や機器、センサーが、小型化や差別化を図り、使い易さを向上させるためにインテリジェント化を目指しての開発が進められている。
【0003】
画像処理技術を利用した高機能なセンサ装置としては、例えば、特開2000−97870号公報に「光カード中間製品検査装置」として、CCDラインセンサカメラからの光カード中間製品の画像信号のうち、第1領域からの画像信号はx方向に微分するx微分処理フィルタで微分され、第2領域からの画像信号はy方向に微分するy微分処理フィルタで微分され、x微分処理フィルタおよびy微分処理フィルタからの信号は、各々二値化処理部で二値化処理され、二値化処理された信号に基づいてCPUにより光カード中間製品の欠陥検出が精度良く行われる発明が開示されている。
また、特開2005−18391号公報には「バーコード読取装置およびプログラム」として、バーコードの読み取りを開始する前にバーコード読取装置内の照明用LEDを制御して、異なる複数の照明色を順次切り替えて発生させながら、照明色毎に明度差を計測し、最適な明度差を確認した時点で、この明度差を生じさせた照明色でコードパターンの読み取り開始し、認識率の向上と処理時間の短縮できるバーコード読取装置と、該バーコード読取装置の作用を実現するプログラムの発明が開示されている。
【特許文献1】特開2000−97870号公報
【特許文献2】特開2005−18391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような画像検出手段と、画像処理手段とを備えた高機能な画像センサー装置は、人的判断や操作を介さず各種判別装置の自動化を可能にするばかりでなく、人の目では検知できない微小な差異や高速で移動する物体の検知・識別を精度よく可能にし、さらにはX線や超音波、磁力線、あるいは温度を検知して画像化することによって、人の目では見ることの不可能な体内の状態や、表面温度の変化などを知り得ることから、そのニーズは高まっている。
しかしこうした高機能な画像センサー装置は、高度な性能を備えるがゆえに製造コストが高く、したがって市場価格も高価になり、中小企業などでの導入は困難な状況にある。
また、導入を検討するとしても、その装置が自社にとって有益な効果を生むかどうかは導入して見なければ分からず、購入したものの効果が得られず無駄な投資になってしまう場合も少なくない。
そのうえ、高機能な画像センサー装置はそれぞれその用途が特定されているのが一般的で、その用途で使用すれば高度な機能を発揮するものの用途が異なれば全く使用できなくなるものが多い。例えば特許文献1のバーコード読取装置ではバーコードの読み取りは確実に行えても、QRコードなどの二次元コードの読み取りはできず、商品に添付された識別コードがバーコードからQRコードに変更されると前記バーコード読取装置は不要の長物となり廃棄せざるを得なくなる。同様に製造ラインの変更や、新技術の導入によって画像センサーで検出すべき画像情報が異なってくると、せっかく導入した高価な画像センサー装置が不要となり廃棄を余儀なくされるため、既存の装置に固執して急激に発展する新技術を導入する機会を失うことにもなっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであり、以下構成の多機能画像センサーシステムである。
(1)カメラやバーコード読取器等の画像検出装置と、前記画像検出装置から出力された画像信号からその特徴を抽出、分析処理する画像処理装置と、前記画像処理装置の抽出、分析処理を使用目的に応じて制御する複数のソフトウェアを蓄積・管理してなるソフトウェア管理装置とからなる画像センサーシステムであって、
使用目的に適応した画像検出装置を選択して画像処理装置に接続するとともに、前記ソフトウェア管理装置に蓄積・管理された複数のソフトウェアから用途に適合したソフトウェアを選択して、前記画像処理装置を制御し、使用目的に適合した画像センサーを構築可能にしてなることを特徴とする多機能画像センサーシステム。
(2)前記画像処理装置とソフトウェア管理装置とが、通信手段を備えてなり、
前記ソフトウェア管理装置が、該ソフトウェア管理装置に蓄積・管理された複数のソフトウェアから用途に適合したソフトウェアを前記画像処理装置に伝送可能にしてなることを特徴とする前記(1)に記載の多機能画像センサーシステム。
(3)前記ソフトウェア管理装置が、通信手段を介して複数の画像処理装置と接続されてなり、前記ソフトウェア管理装置が、該ソフトウェア管理装置に蓄積・管理された複数のソフトウェアからそれぞれの用途に適合したソフトウェアを、各画像処理装置にそれぞれ伝送可能にしてなることを特徴とする前記(1)に記載の多機能画像センサーシステム。
【0006】
(4)複数の画像処理装置が、通信手段を有する中央制御装置に接続されてなり、
中央制御装置が、ソフトウェア管理装置から伝送されたソフトウェアを受信することにより、前記複数の画像処理装置が同一の用途で使用できるよう構成されてなることを特徴とする前記(1)に記載の多機能画像センサーシステム。
(5)前記画像処理装置、及び中央制御装置が、画像処理制御部を備えてなり、
該画像処理制御部に、ソフトウェア管理装置から伝送されたソフトウェアを格納、保存してなることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の多機能画像センサーシステム。
(6)前記中央制御装置の画像処理制御部が、ソフトウェア管理装置から伝送された複数のソフトウェアの格納、保存を可能にしてなり、該中央制御装置に接続された複数の画像処理装置を複数の異なる用途に使用可能にしてなることを特徴とする前記(4)又は(5)に記載の多機能画像センサーシステム。
(7)前記画像検出装置と画像処理装置とが一体に構成されてなることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の多機能画像センサーシステム。
【0007】
(8)前記画像検出装置が、可視光、赤外光、紫外光、X線、あるいは超音波、磁気共鳴、温度等によって画像を認識するデバイスのいずれか1種又は複数種を備えたものであることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の多機能画像センサーシステム。
(9)前記画像処理装置が、前記画像検出装置、外部記録媒体、出力表示装置等の周辺機器との接続手段、及び画像処理装置の出力信号によって制御される機器・装置への出力信号の出力端子を備えてなることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の多機能画像センサーシステム。
(10)前記ソフトウェア管理装置に蓄積・管理されるソフトウェアが、被測定対象物の位置及び位置ずれの測定、QRコード等の2次元コードの読み取り、一次元バーコードの読み取り、2点間距離の計測、ICチップ等のデバイスのリード個数とピッチ間隔の計測、個数カウント、円の形状ひずみの検出、曲率半径の計測、物品の表裏・上下方向・有無の判別、キズや汚れの検出等、使用する画像検出装置から得られる画像を処理することによって検出、判別されるあらゆる検査に対応し画像センサーの使用目的に適合したソフトウェアのうちから選択される1又は複数のソフトウェアであることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の多機能画像センサーシステム。
(11)前記ソフトウェア管理装置が、既に画像処理装置や中央制御装置の画像制御処理部に格納されているソフトウェアのサポート情報をも蓄積・管理してなることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の多機能画像センサーシステム。
【発明の効果】
【0008】
〔1〕本発明の多機能画像センサーシステムは、カメラやバーコード読取器等の画像検出装置と、前記画像検出装置から出力された画像信号からその特徴を抽出、分析処理する画像処理装置と、前記画像処理装置の抽出、分析処理を使用目的に応じて制御する複数のソフトウェアを蓄積・管理してなるソフトウェア管理装置とからなり、使用目的に適応した画像検出装置を選択して画像処理装置に接続するとともに、前記ソフトウェア管理装置に蓄積・管理された複数のソフトウェアから用途に適合したソフトウェアを選択して、前記画像処理装置を制御し、使用目的に適合した画像センサーを構築可能にしてなるので、使用目的に合わせて、画像処理を行うことができる。
また、本発明の多機能画像センサーシステムは、特定の用途の使用に限定されず、使用用途の変更の際には、新たな使用用途に合わせて画像検出装置を画像処理装置に接続し、当該使用用途に適合したソフトウェアをソフトウェア管理装置から選択するだけで、前記画像処理装置を使用することができるので、大がかりな装置の取り換えや、買い替えが必要なく、無駄のない画像センサーシステムを提供することができる。
さらに、技術の向上により、高機能な画像処理を導入する場合に、画像検出装置を交換し、ソフトウェア管理装置からソフトウェアを選択するだけで、高機能な画像処理を実現できるので、高価な画像センサーを購入することなく、既存の装置を廃棄する必要もないので、新しい技術の導入を手軽に行うことができる。
【0009】
〔2〕前記効果に加え、本発明の多機能画像センサーシステムは、前記画像処理装置とソフトウェア管理装置とが、通信手段を備え、前記ソフトウェア管理装置が、該ソフトウェア管理装置に蓄積・管理された複数のソフトウェアから用途に適合したソフトウェアを前記画像処理装置に伝送可能にしてなるので、必要に合わせて任意のソフトウェアを採用することができ、既存の装置を様々な用途に使用することができる。
〔3〕また、本発明の多機能画像センサーシステムは、ソフトウェア管理装置が、通信手段を介して複数の画像処理装置と接続され、前記ソフトウェア管理装置が、該ソフトウェア管理装置に蓄積・管理された複数のソフトウェアからそれぞれの用途に適合したソフトウェアを、各画像処理装置にそれぞれ伝送可能であり、例えば、新規の技術を導入する際に、その技術が自社にとって有益な効果を生むかどうかを、1の画像処理装置で試験した後に、その試験の結果によって他の画像処理装置に導入するということが可能なので、効果の少ない装置を導入してしまうことがなく、無駄な投資を防止し、効果的な新規技術の導入が図れる。
【0010】
〔4〕さらに、複数の画像処理装置が、通信手段を有する中央制御装置に接続され、中央制御装置が、ソフトウェア管理装置から伝送されたソフトウェアを受信することにより、前記複数の画像処理装置が同一の用途で使用できるよう構成することができるので、多数の画像処理装置に対して、ソフトウェアの導入や入れ替えが容易にできる。
〔5〕そして、画像処理装置や中央制御装置が、画像処理制御部を備え、該画像処理制御部に、ソフトウェア管理装置から伝送されたソフトウェアを格納、保存してなるので、様々な用途に合わせて、ソフトウェアを選択するだけで、容易に画像処理装置や中央制御装置を駆動することができるとともに、前記中央制御装置の画像処理制御部に、複数のソフトウェアの格納、保存すれば、該中央制御装置に接続された複数の画像処理装置を複数の異なる用途に使用でき、画像センサーを有効に利用することができる。
例えば、一つの製造ラインで、異なった製品に対して、異なった画像処理を行う場合などには、それぞれの画像処理に適合するように画像検出装置を接続し、ソフトウェアを選択するだけで、対応できる。
〔6〕さらに、画像検出装置と画像処理装置とを一体に構成することもできるので、使用用途に合わせて、省スペース化が図れるとともに、低コストなシステムを提供することもできる。
【0011】
〔7〕また、本発明の多機能画像センサーシステムは、画像検出装置として、可視光、赤外光、紫外光、X線、あるいは超音波、磁気共鳴、温度等によって画像を認識するデバイスのいずれか1種又は複数種を備えたものを採用することができるので、様々な画像処理技術を利用する分野で利用することができる。
〔8〕そして、画像処理装置が、画像検出装置、外部記録媒体、出力表示装置等の周辺機器との接続手段、及び画像処理装置の出力信号によって制御される機器・装置への出力信号の出力端子を備えているので、システムの拡張や、対応機器・装置の変更が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の多機能画像センサーシステムは、カメラやバーコード読取器等の画像検出装置と、前記画像検出装置から出力された画像信号からその特徴を抽出、分析処理する画像処理装置と、前記画像処理装置の特徴抽出、分析処理を使用目的に応じて制御する複数のソフトウェアを蓄積・管理してなるソフトウェア管理装置とからなる。
そして、使用目的に適応した画像検出装置を選択して画像処理装置に接続するとともに、前記ソフトウェア管理装置に蓄積・管理された複数のソフトウェアから用途に適合したソフトウェアを選択して、前記画像処理装置を制御し、使用目的に適合した画像センサーを構築可能とするものである。
本発明の多機能画像センサーシステムにおいて、画像検出装置とは、カメラやバーコード読取器、スキャナなど、被写体を認識し、画像信号として出力可能なものをいう。特に、可視光、赤外光、紫外光、X線、あるいは超音波、磁気共鳴、温度等によって画像を認識するデバイスのいずれか1種又は複数種を備えたものが挙げられる。
また、前記画像検出装置は、画像処理装置と接続可能に構成される。そして、前記画像検出装置は、画像センサーの使用目的に適応するものが選択され、画像処理装置に接続される。画像センサーの使用目的が変更になった場合には、あらたに前記使用目的に適した画像検出装置が選択され、画像処理装置に接続される。
なお、前記画像検出装置は、画像処理装置と一体に構成することもできる。
【0013】
そして、本発明における画像処理装置とは、当該画像処理装置と接続された、あるいは一体に構成された画像検出装置から出力された画像信号から、その特徴を抽出、分析処理、統計処理等する装置である。
画像処理装置は、画像検出装置との接続手段、外部記録媒体との接続手段、出力表示装置の接続手段、その他周辺機器との接続手段、ソフトウェア管理装置との通信手段、及び画像処理装置の出力信号によって制御される機器・装置への出力信号の出力端子を備える。なお、使用目的に合わせ、その他外部機器との接続手段を任意に備えることもできる。前記接続手段としては、RS232C、RS−170、SCSI、PS2、IEEE-1394、USB(Universal Serial Bus)、無線LAN・有線LANなどイーサーネット(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NTSC(National Television System Committee)、PAL(Phase Alternating by line)、カメラリンク等の既知のインターフェースが挙げられ、使用環境に合わせて選択使用できるよう、あらかじめ備えられ、あるいは増設して、各種装置や機器と接続する。
【0014】
本発明の多機能画像センサーシステムは、使用目的に応じてその構成を任意に変更可能としている。
画像処理装置には、使用目的に適した画像検出装置を接続することができ、当該画像処理装置は、使用目的に応じて制御するソフトウェアを選択し、前記画像検出装置から出力された画像信号を制御処理することができる。
また、接続する画像検出装置は任意に変更できるとともに、画像処理装置のソフトウェアも任意に変更することができるので、使用目的の変更や新規技術の導入時などに、容易に適合できるセンサーシステムである。
前記ソフトウェアは、ソフトウェア管理装置に蓄積・管理された複数のソフトウェアから選択することができる。画像処理装置とソフトウェア管理装置とは、ソフトウェアを取り込みができるよう構成される。例えば、画像処理装置と、ソフトウェア管理装置とが、通信手段を備えることで、ソフトウェア管理装置が、該ソフトウェア管理装置に蓄積・管理された複数のソフトウェアから使用目的に適合したソフトウェアを画像処理装置に伝送可能とすることができる。
伝送方法は、インターネットを使った通信によるもの、LAN回線を使った通信によるもの、記録媒体によるものなど、画像処理装置にソフトウェアの取り込みが可能であれば、その方法は限定されるものではない。
また、複数の画像処理装置を、中央制御装置に通信手段を介して接続されている場合には、中央制御装置が、ソフトウェア管理装置から伝送されたソフトウェアを受信し、接続された複数の画像処理装置にそのソフトウェアを伝送可能とする構成とすることもできる。
さらに、前記中央制御装置が、ソフトウェア管理装置から複数のソフトウェアを受信し格納・保存しておくことで、前記中央制御装置に接続された画像処理装置に、異なるソフトウェアを提供することもできる。
【0015】
前記ソフトウェア管理装置に蓄積・管理されるソフトウェアは、使用目的に合わせて画像信号を処理できる様々なソフトウェアである。
例えば、被測定対象物の位置及び位置ずれ測定用のソフトウェア、QRコード等の2次元コードの読み取りを可能とするソフトウェア、一次元バーコードの読み取りを可能とするソフトウェア、2点間距離計測用のソフトウェア、ICチップ等のデバイスのリード個数とピッチ間隔計測用のソフトウェア、個数をカウントするソフトウェア、円の形状ひずみの検出をするソフトウェア、曲率半径の計測をするソフトウェア、物品の表裏・上下方向・有無の判別をするソフトウェア、キズや汚れの検出をするソフトウェア、ラベルの有無検出・天地方向判別をするソフトウェア、電子部品のマークの検出をするソフトウェア、部品の誤挿入を検出するソフトウェア、LEDの点灯検査をするソフトウェア、LEDの配列検査をするソフトウェア、LEDのカラー検査をするソフトウェア、部品の方向判別をするソフトウェア、部品の欠陥の検査をするソフトウェア、ワイヤーハーネスの誤配列の検査をするソフトウェア、異品種混入の検査をするソフトウェア、レーザー刻印の有無の検査をするソフトウェア、文字認識ソフトウェア、文字パターンの検査をするソフトウェア、文字列照合するソフトウェア、パターン間の差異を検査するソフトウェア、印刷検査ソフトウェア、指紋照合ソフトウェア、虹彩を照合するソフトウェア、静脈を照合するソフトウェア、射出成型機残渣検出ソフトウェア、顔認識ソフトウェア、飲料キャップを検査するソフトウェア、飲料液量を検査するソフトウェア、塗布剤を検査するソフトウェア、金属検査(例えば、X線による)ソフトウェア、X線画像に対するボンディングワイヤー検査ソフトウェア、赤外線画像に対する表面熱検査ソフトウェア、というように、画像センサーを使用して様々な使用目的に合わせて、画像信号を制御できるソフトウェア群である。
すなわち、本発明におけるソフトウェア管理装置には、使用する画像検出装置から得られる画像を処理することによって検出、判別されるあらゆる検査に対応するソフトウェアが蓄積・監理され、前記ソフトウェアにより、該画像センサーの使用目的の達成を実現する。
なお、前記ソフトウェア管理装置に蓄積・管理されるソフトウェアは、画像処理を可能とするソフトウェアであれば、上記に限定されるものではない。
【0016】
また、前記ソフトウェア管理装置には、上記のようなソフトウェアに対する機能拡充のためのサポート情報を、更新用ソフトウェアとして、蓄積・管理することもできる。
例えば、既に画像処理装置や中央制御装置の画像制御処理部に格納されているソフトウェアに対し、バグの修正プログラムや、機能拡充のためのプログラムを、サポート情報として、蓄積・管理し、適宜画像処理装置や中央制御装置に送信することで、より使いやすく、ニーズに合ったソフトウェアを提供することができる。
同様に、ソフトウェア管理装置に、ハードウェアのサポート情報を蓄積・管理することもできる。
【0017】
なお、前記画像処理装置や、前記中央制御装置には、画像検出装置から出力された画像信号を処理するための、画像処理制御部が備えられ、ソフトウェア管理装置から伝送された使用目的に適合したソフトウェアは、前記画像処理制御部に格納、保存され、当該画像処理装置や中央制御装置の画像処理を可能としている。
【実施例】
【0018】
本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の多機能画像センサーシステムの実施例1の説明用構成図、
図2は、本発明の多機能画像センサーシステムの実施例2の説明用構成図、
図3は、本発明の多機能画像センサーシステムの実施例3の説明用構成図、
図4は、本発明の多機能画像センサーシステムの実施例4の説明用構成図、
図5は、本発明の多機能画像センサーシステムのソフトウェア管理機構の説明図である。
図中、1は画像処理装置、2、2a、2b、2cは画像検出装置、3はソフトウェア管理装置、4は中央制御装置、5は画像処理制御部である。
【0019】
〔実施例1〕
図1に示す本発明の多機能画像センサーシステムの実施例1は、画像処理装置1と、画像検出装置2及びソフトウェア管理装置3が接続されて構成されている。
画像検出装置2は、カメラやバーコード読取器等被写体から画像信号を検出する装置であり、例えば、可視光、赤外光、紫外光、X線、あるいは超音波、磁気共鳴、温度等によって画像を認識するデバイスのいずれか1種又は複数種を備えた装置など、使用目的に適応した機能を有するものを任意に選択して使用される。
そして、画像処理装置1は、前記画像検出装置2と接続されるとともに、複数のソフトウェアを蓄積・管理するソフトウェア管理装置3と接続される。
画像処理装置1は、ソフトウェア管理装置に蓄積・管理されている複数のソフトウェアから使用目的に適合したソフトウェアを選択し、当該ソフトウェアにより、画像検出装置2から出力された画像信号を処理する。
画像処理装置1には、あらかじめ、画像処理制御部5が備えられ、ソフトウェア管理装置3から選択したソフトウェアを前記画像処理制御部5に格納、保存することで、前記ソフトウェアを使用した画像処理が可能となる。
前記画像処理制御部5には、ソフトウェアを駆動するに必要なメモリやCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)などが備えられ、画像検出装置2から出力された画像信号の特徴を抽出、分析処理等の画像処理を行う。また、前記画像処理された情報に基づいて、その情報を出力し外部装置を制御したり、記憶装置等に保存処理することもできる。
【0020】
また、ソフトウェア管理装置3は、複数のソフトウェアを蓄積・管理する。前記ソフトウェア管理装置3は、画像処理装置1を任意な使用目的に応じて制御できるよう複数のソフトウェアを蓄積・管理している。
そして、選択されたソフトウェアを画像処理装置1の画像処理制御部5に格納することで、当該画像処理装置1は、任意の画像処理が可能となる。
画像処理装置1のソフトウェア管理装置3からのソフトウェアの取り出しは、画像処理装置1とソフトウェア管理装置3を直接接続して行う方法、通信手段により通信回線を介して行う方法、あるいは記録媒体を介して行う方法など、周知の技術により実現できる方法を、使用環境等に合わせて選択することができる。
なお、画像処理装置1に接続された画像検出装置2の種類に合わせて、その画像検出装置2から出力される画像信号の処理が可能なソフトウェアを自動的に選出し、ソフトウェア管理装置3から伝送する構成とすることもできる。
【0021】
また、通信手段を介して、ソフトウェア管理装置3から画像処理装置1にソフトウェアを伝送するにあたり、前記画像処理装置1に識別コード、例えば、MACアドレスや、グローバルIPアドレス等を設定し、前記識別コードをソフトウェア管理装置3が受信し、その識別コードをソフトウェア管理装置3が認証した後に、ソフトウェアを伝送する構成とすることもできる。
さらに、ソフトウェア管理装置3にユーザ情報管理データベースを備え、あらかじめ識別コードに対応して、ユーザ情報管理データベースにユーザの情報を登録しておくこともできる。この場合には、ソフトウェア管理装置3は、画像処理装置1から送信される識別コードを受信すると、ユーザ情報管理データベースのユーザ情報を参照し、ソフトウェア管理装置3へのアクセスを制御したり、ユーザ情報に基づいてユーザが必要とするであろうソフトウェアを抽出して提示し、使用目的に最適なソフトウェアの選択を補助する構成とすることもできる。
【0022】
実施例1に示す構成は、工業製品の自動製造(FA)の分野や、医用の分野、文書管理やセキュリティー分野などの産業分野にはもちろん、個人ユーザーでも利用可能である。
例えば、画像検出装置2として、市販のデジタルカメラや、バーコード読取器、スキャナなどを画像処理装置1に接続し、ソフトウェア管理装置3に蓄積されたソフトウェアから目的とする画面処理に適合したソフトウェアを選択すれば、該画像検出装置2から出力される画像情報について、所要の画像処理をすることができる。
この場合、画像処理装置1に接続する画像検出装置2を取り換えて、同じ画像処理を引き続き行う場合には、前記ソフトウェアがそのまま利用でき、また、同一画像検出装置2を用いて異なった画像処理を行いたい場合には、ソフトウェア管理装置3から別なソフトウェアを選択するだけでよい。
つまり、画像検出装置2の種類によって、適合するソフトウェアが1つに限定されることはなく、また、1つのソフトウェアで処理できる画像情報は1つの画像検出装置2から出力されたものに限定されることない。使用目的に合わせて、画像検出装置2とソフトウェアの組み合わせを変更すれば、容易に所望の画像処理システムを構築ができる。
また、画像処理装置1とソフトウェア管理装置3とは、常時接続されている必要はなく、使用用途が変更になり、ソフトウェアを交換したい時にのみ、接続して使用することもできる。
なお、画像処理装置1に複数の画像検出装置2との接続手段を設け、あるいは、接続手段の増設を可能とすれば、複数の画像検出装置2から出力される画像信号を同時に画像処理可能なソフトウェアと組み合わせることで、高度な画像処理も実現可能である。
一方、1つの画像検出装置2から出力された画像信号を、複数のソフトウェアを組み合わせて画像処理可能な構成とすることもでき、その組み合わせは多種多様である。
【0023】
〔実施例2〕
図2に示す本発明の多機能画像センサーシステムの実施例2は、ソフトウェア管理装置3が、複数の画像処理装置1と接続され、前記画像処理装置1には、それぞれ異なる画像検出装置2a、2b、2cが接続されて構成されている。
本発明の多機能画像センサーシステムは、複数の画像処理装置1を使用する場合、前記複数の画像処理装置1に、それぞれの使用目的に適応した画像検出装置2を接続し、さらに、各画像処理装置1に、それぞれの使用目的に適合した異なるソフトウェアを、ソフトウェア管理装置3から各画像処理装置1に伝送して使用することができる。
また、使用目的が変更された場合には、画像処理装置1に使用目的に適応した画像検出装置2を新たに接続し、ソフトウェア管理装置3から使用目的に適合したソフトウェアを選択すればよい。
そして、複数の画像処理装置1を使用している環境において、1つの画像処理装置1のみ、画像処理機能の異なったソフトウェアや、新しい処理技術の備えられたソフトウェアを試験的に導入し、実際に使用して検討した後に、他の画像処理装置1にも当該ソフトウェアを取り込むということもできる。
【0024】
〔実施例3〕
図3に示す本発明の多機能画像センサーシステムの実施例3は、複数の画像処理装置1が、通信手段を有する中央制御装置4に接続され、前記中央制御装置4が、ソフトウェア管理装置3と通信手段を介して接続されて構成されている。
前記中央制御装置4は、ソフトウェア管理装置3に接続し、前記ソフトウェア管理装置3からソフトウェアを受信する。そして、ソフトウェア管理装置3から受信したソフトウェアを、接続された複数の画像処理装置1に伝送し、各画像処理装置1を同一目的に使用可能にする。
また、中央制御装置4で、各画像処理装置1の画像処理を個別に制御する構成とすることもできる。その場合、中央制御装置4は、ソフトウェア管理装置3から複数のソフトウェアを受信して該中央制御装置4の画像処理制御部5(図5参照)に前記ソフトウェアを格納しておき、そのいずれかをそれぞれの画像処理装置1の使用目的に合わせて伝送し、それぞれの画像処理装置1に接続された画像検出装置2からの画像信号をそれぞれ個別に画像処理できる構成となる。
【0025】
〔実施例4〕
図4に示す本発明の多機能画像センサーシステムの実施例4は、複数の画像処理装置1が、通信手段を有する中央制御装置4に接続され、同様に構成された複数の中央制御装置4が、ソフトウェア管理装置3と通信手段を介して接続されて構成されている。
前記複数の中央制御装置4は、それぞれソフトウェア管理装置3に接続し、前記ソフトウェア管理装置3から使用目的に適合したソフトウェアを受信する。そして、ソフトウェア管理装置3から受信したソフトウェアを、中央制御装置4に接続された複数の画像処理装置1に伝送する。
なお、中央制御装置4は、ソフトウェア管理装置3から複数のソフトウェアを受信し、当該中央制御装置4に接続された複数の画像処理装置1をそれぞれ異なる用途に使用可能にするため、各画像処理装置1の使用目的に適合した異なるソフトウェアをそれぞれに伝送することもできる。
これらのソフトウェアの選択は、画像処理装置1からソフトウェア管理装置3に対して指示し、一旦中央制御装置4に格納、保存した後に、各画像処理装置1の画像処理制御部4に格納、保存してもよく、また、中央制御装置4からソフトウェア管理装置3及び画像処理装置1に対して指示し、中央制御装置4がソフトウェア管理装置3からソフトウェアを選択し、その後、画像処理装置1に伝送する構成とすることもできる。
【0026】
このように、本発明の多機能画像センサーシステムは、様々な使用環境に適応可能に構成することができるものであり、上記実施例に挙げた構成に限定されることなく、使用目的や使用環境に合わせて、構成されてよく、多様で多機能な画像センサーシステムを構築することができる。
【0027】
本発明の多機能画像センサーシステムにおいては、図5に示すように、、画像処理装置1や中央制御装置4には、画像処理制御部5が備えてあり、ソフトウェア管理装置3に蓄積・管理されている複数のソフトウェアから受信し、又は複数のソフトウェアが格納、保存される。
本発明の多機能画像センサーシステムは、画像処理装置1を直接ソフトウェア管理装置3と接続、あるいは画像処理装置1を中央制御装置4を介してソフトウェア管理装置3に接続することができ、使用環境に適した構成とすることができる。
画像処理装置1、中央制御装置4は、それぞれ、ソフトウェア管理装置3からソフトウェアを受信し、画像処理制御部5にソフトウェアを格納、保存することで、使用目的に適合した画像処理を行うことができる。
画像処理制御部5は、ソフトウェアを駆動するに必要なメモリやCPUなどが備えられており、当該画像処理制御部5に格納、保存されたソフトウェアが、画像検出装置2から出力された画像信号から画像特徴の抽出や分析処理等の画像処理を行う。
【0028】
なお、前記図に示した各実施例は、画像検出装置2が、画像処理装置1に接続コードで接続されて構成されているが、画像処理装置1に画像検出装置2の取付接続端子を設けて直接取り付けて接続したり、画像検出装置2と画像処理装置1を一体に構成した場合でも、同様に実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の多機能画像センサーシステムの実施例1の説明用構成図
【図2】本発明の多機能画像センサーシステムの実施例2の説明用構成図
【図3】本発明の多機能画像センサーシステムの実施例3の説明用構成図
【図4】本発明の多機能画像センサーシステムの実施例4の説明用構成図
【図5】本発明の多機能画像センサーシステムのソフトウェア管理機構の説明図
【符号の説明】
【0030】
1 画像処理装置
2、2a、2b、2c 画像検出装置
3 ソフトウェア管理装置
4 中央制御装置
5 画像処理制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラやバーコード読取器等の画像検出装置と、前記画像検出装置から出力された画像信号からその特徴を抽出、分析処理する画像処理装置と、前記画像処理装置の抽出、分析処理を使用目的に応じて制御する複数のソフトウェアを蓄積・管理してなるソフトウェア管理装置とからなる画像センサーシステムであって、
使用目的に適応した画像検出装置を選択して画像処理装置に接続するとともに、前記ソフトウェア管理装置に蓄積・管理された複数のソフトウェアから用途に適合したソフトウェアを選択して、前記画像処理装置を制御し、使用目的に適合した画像センサーを構築可能にしてなることを特徴とする多機能画像センサーシステム。
【請求項2】
前記画像処理装置とソフトウェア管理装置とが、通信手段を備えてなり、
前記ソフトウェア管理装置が、該ソフトウェア管理装置に蓄積・管理された複数のソフトウェアから用途に適合したソフトウェアを前記画像処理装置に伝送可能にしてなることを特徴とする請求項1に記載の多機能画像センサーシステム。
【請求項3】
前記ソフトウェア管理装置が、通信手段を介して複数の画像処理装置と接続されてなり、前記ソフトウェア管理装置が、該ソフトウェア管理装置に蓄積・管理された複数のソフトウェアからそれぞれの用途に適合したソフトウェアを、各画像処理装置にそれぞれ伝送可能にしてなることを特徴とする請求項1に記載の多機能画像センサーシステム。
【請求項4】
複数の画像処理装置が、通信手段を有する中央制御装置に接続されてなり、
中央制御装置が、ソフトウェア管理装置から伝送されたソフトウェアを受信することにより、前記複数の画像処理装置が同一の用途で使用できるよう構成されてなることを特徴とする請求項1に記載の多機能画像センサーシステム。
【請求項5】
前記画像処理装置、及び中央制御装置が、画像処理制御部を備えてなり、
該画像処理制御部に、ソフトウェア管理装置から伝送されたソフトウェアを格納、保存してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多機能画像センサーシステム。
【請求項6】
前記中央制御装置の画像処理制御部が、ソフトウェア管理装置から伝送された複数のソフトウェアの格納、保存を可能にしてなり、該中央制御装置に接続された複数の画像処理装置を複数の異なる用途に使用可能にしてなることを特徴とする請求項4又は5に記載の多機能画像センサーシステム。
【請求項7】
前記画像検出装置と画像処理装置とが一体に構成されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の多機能画像センサーシステム。
【請求項8】
前記画像検出装置が、可視光、赤外光、紫外光、X線、あるいは超音波、磁気共鳴、温度等によって画像を認識するデバイスのいずれか1種又は複数種を備えたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の多機能画像センサーシステム。
【請求項9】
前記画像処理装置が、前記画像検出装置、外部記録媒体、出力表示装置等の周辺機器との接続手段、及び画像処理装置の出力信号によって制御される機器・装置への出力信号の出力端子を備えてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の多機能画像センサーシステム。
【請求項10】
前記ソフトウェア管理装置に蓄積・管理されるソフトウェアが、被測定対象物の位置及び位置ずれの測定、QRコード等の2次元コードの読み取り、一次元バーコードの読み取り、2点間距離の計測、ICチップ等のデバイスのリード個数とピッチ間隔の計測、個数カウント、円の形状ひずみの検出、曲率半径の計測、物品の表裏・上下方向・有無の判別、キズや汚れの検出等、使用する画像検出装置から得られる画像を処理することによって検出、判別されるあらゆる検査に対応し画像センサーの使用目的に適合したソフトウェアのうちから選択される1又は複数のソフトウェアであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の多機能画像センサーシステム。
【請求項11】
前記ソフトウェア管理装置が、既に画像処理装置や中央制御装置の画像制御処理部に格納されているソフトウェアのサポート情報をも蓄積・管理してなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の多機能画像センサーシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−293373(P2008−293373A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139616(P2007−139616)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(398015271)株式会社マイクロビジョン (2)
【Fターム(参考)】