説明

多段切換式変速機

【課題】比較的小さな追加スペースの増大で変速機全体の変速段数を増やすか、或いは変速機全体の変速段数を変えずに変速機全体の占める容積を低減する。
【解決手段】多段切換式変速機10は、主変速機11と、主変速機の主軸16の回転速度を高速、低速又は中速の3段階に変速して出力軸19に伝達する副変速機13とを備える。副変速機がリングギヤ106を有する遊星歯車機構104により構成され、主変速機のカウンタ軸20に遊星用カウンタギヤ113が取付けられ、リングギヤに遊星用カウンタギヤに噛合可能な外歯歯車106bが設けられる。リングギヤが副変速機のケース18に固定されたとき出力軸が低速状態となり、リングギヤが出力軸に固定されたときに出力軸が高速状態となり、リングギヤがケース及び出力軸に固定されていない状態で外歯歯車が遊星用カウンタギヤに噛合したときに出力軸が中速状態となるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主変速機の主軸の回転速度を副変速機により高速、中速又は低速の3段階に変速できる多段切換式の変速機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、主変速機と、この主変速機のクラッチとは反対側の面に設けられた副変速機とを備えたレンジ式変速機が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このレンジ式変速機では、主変速機が前進5速段と後進1速段とに変速可能に構成され、副変速機が高速又は低速の2速段に変速可能に構成される。主変速機は主軸に回転可能に嵌入された第1〜第4変速ギヤ及びバック用変速ギヤと、主軸の後端に固着された第5変速ギヤと、カウンタ軸に固着された第1〜第5カウンタギヤ及びバック用カウンタギヤと、第1変速ギヤ及びバック用変速ギヤ間に設けられた第1シンクロ機構と、第2変速ギヤ及び第3変速ギヤ間に設けられた第2シンクロ機構と、第4変速ギヤ及び第5変速ギヤ間に設けられた第3シンクロ機構とを有する。また副変速機は遊星歯車機構と副シンクロ機構とを有する。そして多段切換式変速機は、上記主変速機及び副変速機の切換えにより前進9速段と後進1速段とに変速できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−270946号公報(段落[0009]、段落[0013]、段落[0014]、図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の特許文献1に示されたレンジ式変速機では、主変速機の変速ギヤ及びカウンタギヤの増設により変速段数を増やす場合、主変速機の変速ギヤ及びカウンタギヤという比較的大型の部品を追加する必要があるため、比較的大きな追加スペースを確保しなければならない問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、比較的小さな追加スペースの増大で変速機全体の変速段数を増やすことができるか、或いは変速機全体の変速段数を変えずに変速機全体の占める容積を低減できる、多段切換式変速機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点は、図1に示すように、主変速機11と、この主変速機11の主軸16の回転速度を高速、低速又は中速の3段階に変速して出力軸19に伝達できる副変速機13とを備えた多段切換式変速機であって、副変速機13がリングギヤ106を有する遊星歯車機構104により構成され、主変速機11のカウンタ軸20に遊星用カウンタギヤ113が取付けられ、リングギヤ106に遊星用カウンタギヤ113に噛合可能な外歯歯車106bが設けられ、リングギヤ106が副変速機13のケース18に固定されたとき出力軸19が低速状態となり、リングギヤ106が出力軸19に固定されたときに出力軸19が高速状態となり、リングギヤ106がケース18及び出力軸19に固定されていない状態で外歯歯車106bが遊星用カウンタギヤ113に噛合したときに出力軸19が中速状態となるように構成されたことを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図5に示すように、主軸16を中心とするカウンタ軸20に対して対称の位置にアイドル軸151が設けられ、アイドル軸151に外歯歯車106bと噛合可能なアイドルギヤ152が取付けられたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第3の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図6に示すように、主軸16を中心とするカウンタ軸20に対して対称の位置に釣合カウンタ軸171が設けられ、釣合カウンタ軸171に外歯歯車106bと噛合可能な遊星用釣合カウンタギヤ173が取付けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の観点の多段切換式変速機では、主変速機のカウンタ軸に遊星用カウンタギヤを設け、この遊星用カウンタギヤに噛合する外歯歯車をリングギヤに設け、この外歯歯車を遊星用カウンタギヤに噛合させる機構を設けることにより、高速又は低速への2段切換え可能な副変速機を中速にも切換え可能とした。この結果、主変速機の変速ギヤ及びカウンタギヤの増設により変速段数を増やす場合、変速ギヤ及びカウンタギヤという比較的大型の部品を追加しなければならず、比較的大きな追加スペースを確保する必要のある従来のレンジ式変速機と比較して、本発明では、主変速機のカウンタ軸に遊星用カウンタギヤという比較的大型の部品を取付ける必要があるけれども、この遊星用カウンタギヤに噛合する外歯歯車を既設のリングギヤに設けるだけで済むため、比較的小さな追加スペースの増大で、副変速機を3段階に切換えることができ、変速機全体の変速段数を増設できる。また、本発明では、副変速機の切換え段数を従来の2段から3段に増やしたので、変速機全体の変速段数を変えない場合には、主変速機の変速段数を減らすことができる。この結果、主変速機のカウンタ軸に遊星用カウンタギヤという比較的大型の部品が追加になるけれども、この遊星用カウンタギヤに噛合する外歯歯車を既設のリングギヤに設けるだけで済み、かつ主変速機の変速ギヤ及びカウンタギヤという比較的大型の部品を低減できるので、変速機全体の占める容積を低減できる。
【0010】
本発明の第2の観点の多段切換式変速機では、主軸を中心とするカウンタ軸に対して対称の位置にアイドル軸を設け、このアイドル軸に外歯歯車と噛合可能なアイドルギヤを取付けたので、遊星用カウンタギヤが外歯歯車を介してリングギヤを駆動するときに、リングギヤに偏荷重が作用しようとするけれども、この偏荷重をアイドル軸がアイドルギヤを介して受ける。この結果、リングギヤに偏荷重が作用しないので、遊星歯車機構の耐久性を向上できる。
【0011】
本発明の第3の観点の多段切換式変速機では、主軸を中心とするカウンタ軸に対して対称の位置に釣合カウンタ軸を設け、この釣合カウンタ軸に外歯歯車と噛合可能な遊星用釣合カウンタギヤを取付けたので、遊星用カウンタギヤが外歯歯車を介してリングギヤを駆動するときに、リングギヤに偏荷重が作用しようとするけれども、遊星用釣合カウンタギヤも外歯歯車を介してリングギヤを駆動するため、リングギヤに偏荷重が作用しようとする。しかし、主軸を中心とする遊星用カウンタギヤに対して対称の位置に遊星用釣合カウンタギヤが設けられているので、リングギヤに作用しようとする上記2つの偏荷重が互いに打ち消し合って、リングギヤに偏荷重が作用しない。この結果、遊星歯車機構の耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明第1実施形態の多段切換式変速機を示す縦断面構成図である。
【図2】その多段切換式変速機を第4速段又は第5速段から第6速段又は第7速段に変速する過程を示す図4のA−A線断面図である。
【図3】その多段切換式変速機を第8速段又は第9速段から第10速段又は第11速段に変速する過程を示す図4のA−A線断面図である。
【図4】図2(a)のB−B線断面図である。
【図5】本発明第2実施形態の多段切換式変速機を示す縦断面構成図である。
【図6】本発明第3実施形態の多段切換式変速機を示す縦断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1に示すように、トラックに搭載された多段切換式変速機10は、主変速機11と、この主変速機11のクラッチ12とは反対側の面に設けられた副変速機13とを備える。この実施の形態では、主変速機11は前進5速段と後進1速段とに変速可能に構成され、副変速機13は高速、中速又は低速の3速段に変速可能に構成される。そして多段切換式変速機10は前進13速段と後進1速段とに変速できるようになっている。クラッチケース12aには入力軸14が第1軸受21を介して回転可能に挿入され、主変速機11を収容する主変速ケース17には主軸16が第2及び第3軸受22,23を介して回転可能に挿入され、更に副変速機13を収容する副変速ケース18には出力軸19が第4及び第5軸受24,25を介して回転可能に挿入される。入力軸14の前端はクラッチ12を介してクランク軸(図示せず)に接続される。主軸16の前端は入力軸14の後端に遊挿されて第2軸受22により保持され、出力軸19の前端は主軸16の後端に遊嵌されて第4軸受24により保持される。これにより主軸16は入力軸14に対して、出力軸19は主軸16に対してそれぞれ相対回転可能に構成される。また主変速ケース17及び副変速ケース18には上記主軸16に平行にカウンタ軸20が挿入され、このカウンタ軸20は第6〜第8軸受26〜28により回転可能に保持される。
【0014】
一方、主変速機11の変速ギヤ41〜46の上方には、第1〜第3ギヤシフト軸51〜53が変速ギヤ41〜46の周囲に円周方向に所定の間隔をあけかつ主軸16に平行にそれぞれ設けられる(図1〜図4)。これらのギヤシフト軸51〜53は右側から第1ギヤシフト軸51、第3ギヤシフト軸53及び第2ギヤシフト軸52の順に配設され、第1〜第3ギヤシフト軸51〜53には第1〜第3シフトフォーク61〜63(図1)がそれぞれ嵌着される。互いに隣り合う第1ギヤシフト軸51と第3ギヤシフト軸53との間隔は比較的広く形成され、互いに隣り合う第3ギヤシフト軸53と第2ギヤシフト軸52との間隔は比較的狭く形成される(図2〜図4)、即ち第2ギヤシフト軸52は第3ギヤシフト軸53の外側に第3ギヤシフト軸53に近接して設けられる。また第1〜第3ギヤシフト軸51〜53の上方には、これらのギヤシフト軸51〜53に対して直角に立体交差するセレクトシフト軸64が設けられ、このセレクトシフト軸64にはセレクトシフトレバー66が取付けられる(図2及び図3)。セレクトシフトレバー66は、セレクトシフト軸64に嵌着されて、セレクトシフト軸64とともにこの軸方向に移動しかつこの軸線を中心に回動するように構成される。またセレクトシフトレバー66は、セレクトシフト軸64の所定の位置に嵌着された嵌着部66aと、この嵌着部66aから垂下された単一の突起66bとを有する。この突起66bの先端部は第1及び第3ギヤシフト軸51,53の間に進入するように構成される。なお、セレクトシフト軸はギヤシフト軸に対して立体交差すれば、直角でない角度で立体交差してもよい。
【0015】
一方、第1〜第3ギヤシフト軸51〜53には第1〜第14係合片71〜84がそれぞれ取付けられ、これらの係合片71〜84は全て第1及び第3ギヤシフト軸51,53の間に配設される(図2〜図4)。即ち、第1〜第14係合片71〜84は、ギヤシフト軸51〜53の軸方向に第1の所定の間隔をあけて2列に、セレクトシフト軸64の軸方向に第1の所定の間隔より狭い第2の所定の間隔をあけかつセレクトシフト軸64の軸方向に並んで配設される。第1及び第14係合片71,84は第1ギヤシフト軸51に取付けられ、第2、第3、第6、第7、第10及び第11係合片72,73,76,77,80,81は第2ギヤシフト軸52に取付けられ、第4、第5、第8、第9、第12及び第13係合片74,75,78,79,82,83は第3ギヤシフト軸53に取付けられる。具体的には、第1及び第14係合片71,84は、第1ギヤシフト軸51に嵌着された第1ボス部51aに設けられ、第1ギヤシフト軸51の軸方向に所定の間隔をあけかつ第3ギヤシフト軸53に向ってそれぞれ突出するように構成される。また第2及び第3係合片72,73は、第2ギヤシフト軸52に嵌着された第2ボス部52aに一対の直線状腕部52b,52bを介して設けられ、第2ギヤシフト軸52の軸方向に所定の間隔をあけかつ第14及び第1係合片84,71にそれぞれ隣接するように構成される。一対の直線状腕部52b,52bは、第3ギヤシフト軸53と主軸16との間、即ち第3ギヤシフト軸53と変速ギヤ41〜46の外周面との間を通るように構成され、第2及び第3係合片72,73は一対の直線状腕部52b,52bの先端部から上方にそれぞれ突設される。
【0016】
第4及び第5係合片74,75は第3ギヤシフト軸53に嵌着された第3ボス部53aに一対の屈曲腕部53b,53bを介して設けられ、第3ギヤシフト軸53の軸方向に所定の間隔をあけかつ第2及び第3係合片72,73にそれぞれ隣接するように構成される。一対の屈曲腕部53b,53bは第3ボス部53aの両端から第1及び第3ボス部51a,53a間に臨むようにそれぞれ屈曲して形成され、第4及び第5係合片74,75は一対の屈曲腕部53b,53bの先端部から上方にそれぞれ突設される。また第6及び第7係合片76,77は、一対の直線状腕部52b,52bの長手方向中央の先端寄りから上方にそれぞれ突設され、かつ第4及び第5係合片74,75にそれぞれ隣接するように構成される。第8及び第9係合片78,79は、一対の屈曲腕部53b,53bの長手方向中央から互いに近づく方向に延びる一対の中間腕部53c,53c(図4)の先端部から上方にそれぞれ突設され、第3ギヤシフト軸53の軸方向に所定の間隔をあけかつ第6及び第7係合片76,77にそれぞれ隣接するように構成される。第10及び第11係合片80,81は、一対の直線状腕部52b,52bの長手方向中央の基端寄りから上方にそれぞれ突設され、かつ第8及び第9係合片78,79にそれぞれ隣接するように構成される。更に第12及び第13係合片82,83は第3ボス部53aに設けられ、第3ギヤシフト軸53の軸方向に所定の間隔をあけかつ第1ギヤシフト軸51に向ってそれぞれ突出するように構成される。
【0017】
即ち、第1及び第13係合片71,83は互いに対向するように第1及び第3ギヤシフト軸51,53から横向きにそれぞれ突設され、第1及び第13係合片71,83の間に、第3、第5、第7、第9及び第11係合片73,75,79,81が右側からこの順にセレクトシフト軸64の軸方向に並んで設けられる(図4)。また、第14及び第12係合片84,82は互いに対向するように第1及び第3ギヤシフト軸51,53から横向きにそれぞれ突設され、第14及び第12係合片84,82の間に、第2、第4、第6、第8及び第10係合片72,74,76,78,80が右側からこの順にセレクトシフト軸64の軸方向に並んで設けられる。更に第14及び第1係合片84,71の間隔、第2及び第3係合片72,73の間隔、第4及び第5係合片74,75の間隔、第6及び第7係合片76,77の間隔、第8及び第9係合片78,79の間隔、第10及び第11係合片80,81の間隔、第12及び第13係合片82,83の間隔は、セレクトシフトレバー66の突起66bの先端部をそれぞれ遊挿できる間隔であり、セレクトシフトレバー66がセレクトシフト軸64の軸方向に移動して突起66bの先端部が第1〜第14係合片71〜84に選択的に係合するように構成される。
【0018】
図1に戻って、主変速機11は、主軸16に回転可能に嵌入された第1〜第4変速ギヤ41〜44及びバック用変速ギヤ46と、主軸16の後端に固着された第5変速ギヤ45と、カウンタ軸20に固着された第1〜第5カウンタギヤ91〜95及びバック用カウンタギヤ96と、第1変速ギヤ41及びバック用変速ギヤ46間に設けられた第1シンクロ機構101と、第2変速ギヤ42及び第3変速ギヤ43間に設けられた第2シンクロ機構102と、第4変速ギヤ44及び第5変速ギヤ45間に設けられた第3シンクロ機構103とを有する。第1〜第4変速ギヤ41〜44は第9〜第12軸受29〜32を介して、バック用変速ギヤ46は第13軸受33を介してそれぞれ主軸16に回転可能に嵌入される。第1〜第5変速ギヤ41〜45は第1〜第5カウンタギヤ91〜95にそれぞれ噛合し、バック用変速ギヤ46とバック用カウンタギヤ96とは中間軸(図示せず)に固着された中間ギヤ(図示せず)を介して噛合するように構成される。また第1〜第3シンクロ機構101〜103は略同一に構成されるので、第1シンクロ機構101を代表して説明し、第2及び第3シンクロ機構102,103の説明は省略する。第1シンクロ機構101は、主軸16の後部に嵌着され外周面に外スプラインが形成されたクラッチハブ101aと、第1変速ギヤ41に固着され外周面に上記ハブ101aの外スプラインと同一の外スプラインが形成された第1クラッチギヤ101bと、バック用変速ギヤ46に固着され上記ハブ101aの外スプラインと同一の外スプラインが形成されたバック用クラッチギヤ101cと、上記ハブ101aの外スプラインに噛合する内スプラインが形成され上記ハブ101aに主軸16の軸方向に移動可能にかつ上記ハブ101aに対して相対回転不能に遊嵌されたスリーブ101dと、このスリーブ101dを主軸16の軸方向に移動させて上記スリーブ101dの内スプラインを第1クラッチギヤ101b又はバック用クラッチギヤ101cの外スプラインに噛合可能な第1シフトフォーク61とを有する。クラッチハブ101aと第1クラッチギヤ101bとの間や、クラッチハブ101aとバック用クラッチギヤ101cとの間には、スリーブ101dと第1クラッチギヤ101b又はバック用クラッチギヤ101cとの噛合をスムーズに行うための、公知のシンクロナイザリング(図示せず)がそれぞれ設けられる。
【0019】
一方、副変速機13は遊星歯車機構104と第1副シンクロ機構111と第2副シンクロ機構112とを備える(図1)。遊星歯車機構104は、主軸16の後端部に嵌着された太陽歯車105と、出力軸19に第14軸受34を介して回転可能に嵌入された大径の略椀状のリングギヤ106と、リングギヤ106の大径部の内面に一体的に設けられた大径の内歯歯車106aと、リングギヤ106の大径部の外面に一体的に設けられた大径の外歯歯車106bと、出力軸19の前端部に設けられた略円板状の保持部107と、この保持部107に円周方向に所定の間隔をあけて突設された複数のピン108にそれぞれ回転可能に嵌入された複数の遊星歯車109とを有する。また第1副シンクロ機構111は、上記第1〜第3シンクロ機構101〜103と略同様に構成され、リングギヤ106の小径部に嵌着され外周面に外スプラインが形成されたクラッチハブ111aと、出力軸19に固着され外周面に上記ハブ111aの外スプラインと同一の外スプラインが形成された高速用クラッチギヤ111bと、副変速ケース18に固着され上記ハブ111aの外スプラインと同一の外スプラインが形成された低速用クラッチギヤ111cと、上記ハブ111aの外スプラインに噛合する内スプラインが形成され上記ハブ111aに出力軸19の軸方向に移動可能にかつ上記ハブ111aに対して相対回転不能に遊嵌されたスリーブ111dと、このスリーブ111dを出力軸19の軸方向に移動させて上記スリーブ111dの内スプラインを高速用クラッチギヤ111b又は低速用クラッチギヤ111cの外スプラインに噛合可能な第1副シフトフォーク111eとを有する。
【0020】
カウンタ軸20のうち副変速ケース18内に収容される部分には、リングギヤ106の外歯歯車106bに噛合する遊星用カウンタギヤ113が第15軸受35を介して回転可能に嵌入される。第2副シンクロ機構112は、カウンタ軸20に嵌着され外周面に外スプラインが形成されたクラッチハブ112aと、遊星用カウンタギヤ113に固着され外周面に上記ハブ112aの外スプラインと同一の外スプラインが形成された中速用クラッチギヤ112bと、上記ハブ112aの外スプラインに噛合する内スプラインが形成され上記ハブ112aにカウンタ軸20の軸方向に移動可能にかつ上記ハブ112aに対して相対回転不能に遊嵌されたスリーブ112cと、このスリーブ112cをカウンタ軸20の軸方向に移動させて上記スリーブ112cの内スプラインを中速用クラッチギヤ112bの外スプラインに噛合可能な第2副シフトフォーク112dとを有する。
【0021】
図2及び図3中の符号114は主軸16の回転速度を高速、中速又は低速の3段階に変速して出力軸19に伝達するために3つの位置に切換え可能な切換スイッチである。この切換スイッチ114は、スイッチ本体114aと、このスイッチ本体114aに出没可能に設けられたプランジャ114bとを有し、プランジャ114bのスイッチ本体114a内への押込み量によって第1〜第3の状態に変化し、その状態に応じた信号をコントローラ(図示せず)に送出するように構成される。プランジャ114bはセレクトシフトレバー66の嵌着部66aの上面に向って突設され、セレクトシフトレバー66の嵌着部66aの上面には右側から段階的に高くなる第1〜第3突部66c,66d,66eが設けられる。上記プランジャ114bは、セレクトシフトレバー66の突起66bが第1係合片71と第14係合片84との間の第1係合部121(図4)に位置するか、第2係合片72と第3係合片73との間の第2係合部122(図4)に位置するか、或いは第4係合片74と第5係合片75との間の第3係合部123(図4)に位置するときに第1突部66cに当接してスイッチ本体114aから最も突出し、第1の状態となる(図2(a))。またセレクトシフトレバー66の突起66bが第6係合片76と第7係合片77との間の第4係合部124(図4)に位置するか、或いは第8係合片78と第9係合片79との間の第5係合部125(図4)に位置するときに第2突部66dに当接してスイッチ本体114aに所定量だけ押込められ、第2の状態となる(図2(b)及び図3(a))。更にセレクトシフトレバー66の突起66bが第10係合片80と第11係合片81との間の第6係合部126(図4)に位置するか、或いは第12係合片82と第13係合片83との間の第7係合部127(図4)に位置するときに第3突部66eに当接してスイッチ本体114aに最も押込められ、第3の状態となる(図3(b))。
【0022】
上記切換スイッチ114が第1の状態になると、コントローラは第2副シンクロ機構112のスリーブ112cの内スプラインを中速用クラッチギヤ112bの外スプラインに噛合させない状態で、第1副シンクロ機構111のスリーブ111dによりクラッチハブ111aと低速用クラッチギヤ111cとを接続する。これによりリングギヤ106及び内歯歯車106aが副変速ケース18に固定されるので、主軸16の回転速度N1が大きな減速比で減速されて出力軸19に伝達されるように構成される。即ち、出力軸19の回転速度N2は[N11/(Z1+Z2)](Z1:太陽歯車105の歯数、Z2:内歯歯車106aの歯数、N1:主軸16の回転速度)となる。また切換スイッチ114が第2の状態になると、コントローラは第1副シンクロ機構111のスリーブ111dの内スプラインを高速用クラッチギヤ111b及び低速用クラッチギヤ111cのいずれの外スプラインにも噛合させない状態で、第2副シンクロ機構112のスリーブ112cによりクラッチハブ112aと中速用クラッチギヤ112bとを接続する。これによりリングギヤ106が副変速ケース18及び出力軸19に固定されていない状態で外歯歯車106bが遊星用カウンタギヤ113に噛合するので、主軸16の回転速度N1が比較的小さな減速比で減速されて出力軸19に伝達されるように構成される。即ち、出力軸19の回転速度N2は[{N11/(Z1+Z2)}+{N045/(Z36)}](Z1:太陽歯車105の歯数、Z2:内歯歯車106aの歯数、Z3:外歯歯車106bの歯数、Z4:遊星用カウンタギヤ113の歯数、Z5:第5変速ギヤ45の歯数、Z6:第5カウンタギヤ95の歯数、N0:入力軸14の回転速度、N1:主軸16の回転速度)となる。更に切換スイッチ114が第3の状態になると、コントローラは第2副シンクロ機構112のスリーブ112cの内スプラインを中速用クラッチギヤ112bの外スプラインに噛合させない状態で、第1副シンクロ機構111のスリーブ111dによりクラッチハブ111aと高速用クラッチギヤ111bとを接続する。これによりリングギヤ106及び出力軸19が互いに固定されて同一の回転速度で回転するので、主軸16の回転速度N1が同一に保たれたまま出力軸19に伝達されるように構成される。即ち、出力軸19の回転速度N2は主軸16の回転速度N1と同一となる。上述のことから、主変速機11の変速段位置を固定した場合、切換スイッチ114を第1の状態に切換えると、出力軸19が低速で回転し、切換スイッチ114を第2の状態に切換えると、出力軸19が中速で回転し、切換スイッチ114を第3の状態に切換えると、出力軸19が高速で回転するようになっている。なお、トラックの運転席には運転者が操作する操作レバー(図示せず)が設けられ、この操作レバーは前進13速段位置又は後進1速段位置のいずれかに切換えられるようになっている。
【0023】
このように構成された多段切換式変速機10では、主変速機11のカウンタ軸20に遊星用カウンタギヤ113を設け、この遊星用カウンタギヤ113に噛合する外歯歯車106bをリングギヤ106に設け、この外歯歯車106bを遊星用カウンタギヤ113に噛合させる第2シンクロ機構112を設けることにより、高速又は低速への2段切換え可能な副変速機13を中速にも切換え可能となる。この結果、主変速機11の変速ギヤ及びカウンタギヤを増やす場合より小さな追加スペースの増大で変速機10全体の変速段数を増やすことができる。即ち、主変速機11の変速ギヤ及びカウンタギヤという比較的大型の部品を追加して変速機10全体の変速段数を増やすと、比較的大きな追加スペースを確保しなければならない。これに対し、本実施の形態では、カウンタ軸20に遊星用カウンタギヤ113という比較的大型の部品を取付ける必要があるけれども、この遊星用カウンタギヤ113に噛合する外歯歯車106bを既設のリングギヤ106に設けるだけで済むため、比較的小さい追加スペースの増大で変速機10全体の変速段数を増やすことができる。
【0024】
このように構成された多段切換式変速機10の動作を説明する。先ず運転者は操作レバーをニュートラル位置に維持した状態でエンジンを始動する。次に運転者が操作レバーを第1速段位置に操作すると、セレクトシフトレバー66の突起66bが第1及び第14係合片71,84の間の第1係合部121(図4)に位置した後に、第1ギヤシフト軸51をその軸方向に移動させる(図2及び図4)。このとき切換スイッチ114のプランジャ114bはセレクトシフトレバー66の第1突部66cに当接し、切換スイッチ114は第1の状態になる(図2(a))。これによりコントローラが、副変速機13の第2副シンクロ機構112のスリーブ112cの内スプラインを中速用クラッチギヤ112bの外スプラインに噛合させない状態であって、第1副シンクロ機構111のクラッチハブ111aと低速用クラッチギヤ111cとを接続させた状態で、第1シフトフォーク61が第1シンクロ機構101のクラッチハブ101aと第1変速ギヤ41とを接続する(図1)。この結果、入力軸14の回転力は第5変速ギヤ45及び第5カウンタギヤ95により減速された後に、第1カウンタギヤ91及び第1変速ギヤ41により大きな減速比で減速されて主軸16に伝達されるとともに、副変速機13の遊星歯車機構104により大きな減速比で減速されて出力軸19に伝達される。なお、運転者が操作レバーを第2〜第5速段位置のいずれかに操作すると、コントローラが、副変速機13の第2副シンクロ機構112のスリーブ112cの内スプラインを中速用クラッチギヤ112bの外スプラインに噛合させない状態であって、第1副シンクロ機構111のクラッチハブ111aと低速用クラッチギヤ111cとを接続させた状態で、第2或いは第3シフトフォーク62,63が第2或いは第3シンクロ機構102,103のクラッチハブ102a,103aと第2又は第3変速ギヤ42,43或いは第4又は第5変速ギヤ44,45のいずれかとを接続する。この結果、操作レバーを第2〜第5速段位置まで順に操作すると、出力軸19の回転速度は段階的に速くなる。
【0025】
運転者が操作レバーを第6速段位置に操作すると、セレクトシフトレバー66の突起66bが第6及び第7係合片76,77の間の第4係合部124(図4)に位置した後に、第2ギヤシフト軸52をその軸方向に移動させる(図2及び図4)。このとき切換スイッチ114のプランジャ114bはセレクトシフトレバー66の第2突部66dに当接し、切換スイッチ114は第2の状態になる(図2(b))。これによりコントローラが、副変速機13の第1副シンクロ機構111のクラッチハブ111aを低速用クラッチギヤ111c及び高速用クラッチギヤ111bのいずれにも接続させない状態であって、第2副シンクロ機構112のスリーブ112cの内スプラインを中速用クラッチギヤ112bの外スプラインに噛合させた状態で、第2シフトフォーク62が第2シンクロ機構102のクラッチハブ102aと第2変速ギヤ42とを接続する(図1)。この結果、入力軸14の回転力は第5変速ギヤ45及び第5カウンタギヤ95により減速された後に、第2カウンタギヤ92及び第2変速ギヤ42により比較的小さい減速比で減速されて主軸16に伝達されるとともに、副変速機13の遊星歯車機構104により比較的小さい減速比で減速されて出力軸19に伝達される。このときの出力軸19の回転速度は操作レバーを第5速段位置に操作したときの出力軸19の回転速度より1段階だけ速くなる。なお、運転者が操作レバーを第7〜第9速段位置のいずれかに操作すると、コントローラが、副変速機13の第1副シンクロ機構111のクラッチハブ111aを低速用クラッチギヤ111c及び高速用クラッチギヤ111bのいずれにも接続させない状態であって、第2副シンクロ機構112のスリーブ112cの内スプラインを中速用クラッチギヤ112bの外スプラインに噛合させた状態で、第2或いは第3シフトフォーク62,63が第2或いは第3シンクロ機構102,103のクラッチハブ102a,103aと第3変速ギヤ43或いは第4又は第5変速ギヤ44,45のいずれかとを接続する。この結果、操作レバーを第7〜第9速段位置まで順に操作すると、出力軸19の回転速度は段階的に速くなる。
【0026】
運転者が操作レバーを第10速段位置に操作すると、セレクトシフトレバー66の突起66bが第10及び第11係合片80,81の間の第6係合部126(図4)に位置した後に、第2ギヤシフト軸52をその軸方向に移動させる(図3及び図4)。このとき切換スイッチ114のプランジャ114bはセレクトシフトレバー66の第3突部66eに当接し、切換スイッチ114は第3の状態になる(図3(b))。これによりコントローラが、副変速機13の第2副シンクロ機構112のスリーブ112cの内スプラインを中速用クラッチギヤ112bの外スプラインに噛合させない状態であって、第1副シンクロ機構111のクラッチハブ111aと高速用クラッチギヤ111bとを接続させた状態で、第2シフトフォーク62が第2シンクロ機構102のクラッチハブ102aと第2変速ギヤ42とを接続する(図1)。この結果、入力軸14の回転力は第5変速ギヤ45及び第5カウンタギヤ95により減速された後に、第2カウンタギヤ92及び第2変速ギヤ42により比較的小さい減速比で減速されて主軸16に伝達されるとともに、副変速機13の遊星歯車機構104により減速も増速もされずに出力軸19に伝達される。このときの出力軸19の回転速度は操作レバーを第9速段位置に操作したときの出力軸19の回転速度より1段階だけ速くなる。なお、運転者が操作レバーを第11〜第13速段位置のいずれかに操作すると、コントローラが、副変速機13の第2副シンクロ機構112のスリーブ112cの内スプラインを中速用クラッチギヤ112bの外スプラインに噛合させない状態であって、第1副シンクロ機構111のクラッチハブ111aと高速用クラッチギヤ111bとを接続させた状態で、第2或いは第3シフトフォーク62,63が第2或いは第3シンクロ機構102,103のクラッチハブ102a,103aと第3変速ギヤ43或いは第4又は第5変速ギヤ44,45のいずれかとを接続する。この結果、操作レバーを第11〜第13速段位置まで順に操作すると、出力軸19の回転速度は段階的に速くなる。
【0027】
<第2の実施の形態>
図5は本発明の第2の実施の形態を示す。図5において図1と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、主軸16を中心とするカウンタ軸20に対して対称の位置にアイドル軸151が設けられ、アイドル軸151にリングギヤ106の外歯歯車106bと噛合可能なアイドルギヤ152が取付けられる。アイドル軸151の両端は主変速ケース17及び副変速ケース18に軸受153,154を介して回転可能にそれぞれ取付けられ、アイドルギヤ152はアイドル軸151に軸受155を介して回転可能に嵌入される。またアイドルギヤ152は遊星用カウンタギヤ113と同一形状に形成される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0028】
このように構成された多段切換式変速機150では、遊星用カウンタギヤ113が外歯歯車106bを介してリングギヤ106を駆動するときに、リングギヤ106に偏荷重が作用しようとするけれども、この偏荷重をアイドル軸151がアイドルギヤ152を介して受ける。この結果、リングギヤ106に偏荷重が作用しないので、遊星歯車機構104の耐久性を向上できる。上記以外の動作は第1の実施の形態の動作と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0029】
<第3の実施の形態>
図6は本発明の第3の実施の形態を示す。図6において図1と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、主軸16を中心とするカウンタ軸20に対して対称の位置に釣合カウンタ軸171が設けられ、釣合カウンタ軸171にリングギヤ106の外歯歯車106bと噛合可能な遊星用釣合カウンタギヤ173が取付けられる。釣合カウンタ軸171は主変速ケース17及び副変速ケース18に軸受174,175,176を介して回転可能にそれぞれ取付けられ、遊星用釣合カウンタギヤ173は釣合カウンタ軸171に軸受177を介して回転可能に嵌入される。また遊星用釣合カウンタギヤ173は遊星用カウンタギヤ113と同一形状に形成される。更に釣合カウンタ軸171には、第1〜第5変速ギヤ41〜45及びバック用変速ギヤ46にそれぞれ噛合する第1〜第5釣合カウンタギヤ181〜185及びバック用釣合カウンタギヤ186が嵌着される。第1〜第5釣合カウンタギヤ181〜185及びバック用釣合カウンタギヤ186は第1〜第5カウンタギヤ91〜95及びバック用カウンタギヤ96とそれぞれ同一形状に形成される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0030】
このように構成された多段切換式変速機170では、遊星用カウンタギヤ113が外歯歯車106bを介してリングギヤ106を駆動するときに、リングギヤ106に偏荷重が作用しようとするけれども、遊星用釣合カウンタギヤ173も外歯歯車106bを介してリングギヤ106を駆動するため、リングギヤ106に偏荷重が作用しようとする。しかし、主軸16を中心とするカウンタ軸20に対して対称の位置に釣合カウンタ軸171が設けられ、かつ主軸16を中心とする遊星用カウンタギヤ113に対して対称の位置に遊星用釣合カウンタギヤ173が設けられているので、リングギヤ106に作用しようとする上記2つの偏荷重が互いに打ち消し合って、リングギヤ106に偏荷重が作用しない。この結果、遊星歯車機構104の耐久性を向上できる。上記以外の動作は第1の実施の形態の動作と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0031】
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、本発明の多段切換式変速機を搭載した車両としてトラックを挙げたが、バス又はその他の車両でもよい。また、上記第1及び第2の実施の形態では、副変速機を主変速機のクラッチとは反対側の面に設けたが、副変速機をクラッチと主変速機との間に設けてもよい。更に、上記第1及び第2の実施の形態では、主変速機のギヤシフト軸を3本設けて変速機全体を前進13速段及び後進1速段に変速可能に構成したが、主変速機のギヤシフト軸を3本設けて変速機全体を前進12速段及び後進2速段に構成したり、主変速機のギヤシフト軸を2本設けて変速機全体を前進11速段及び後進1速段、又は前進9速段及び後進1速段に構成したり、主変速機のギヤシフト軸を4本設けて変速機全体を前進18速段及び後進2速段に構成したり、或いは主変速機のギヤシフト軸を5本以上設けて変速機全体の変速段数を更に増やしてもよい。ここで、主変速機のギヤシフト軸を3本から2本に減らして変速機全体を前進11速段及び後進1速段、又は前進9速段及び後進1速段に構成し、変速機全体の変速段数を従来より僅かに増やすか又は変えない場合には、2段切換えの副変速機を有する従来の多段切換式変速機(レンジ式変速機)と比較して、本発明では、主変速機のカウンタ軸に遊星用カウンタギヤという比較的大型の部品が追加になるけれども、この遊星用カウンタギヤに噛合する外歯歯車を既設のリングギヤに設けるだけで済み、かつ主変速機の2組の変速ギヤ及びカウンタギヤという比較的大型の部品を低減できるので、変速機全体の占める容積を低減できるという利点がある。
【符号の説明】
【0032】
10,150,170 多段切換式変速機
11 主変速機
13 副変速機
16 主軸
18 副変速ケース
19 出力軸
20 カウンタ軸
104 遊星歯車機構
106 リングギヤ
106b 外歯歯車
113 遊星用カウンタギヤ
151 アイドル軸
152 アイドルギヤ
171 釣合カウンタ軸
173 遊星用釣合カウンタギヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主変速機(11)と、この主変速機(11)の主軸(16)の回転速度を高速、低速又は中速の3段階に変速して出力軸(19)に伝達できる副変速機(13)とを備えた多段切換式変速機であって、
前記副変速機(13)がリングギヤ(106)を有する遊星歯車機構(104)により構成され、
前記主変速機(11)のカウンタ軸(20)に遊星用カウンタギヤ(113)が取付けられ、
前記リングギヤ(106)に前記遊星用カウンタギヤ(113)に噛合可能な外歯歯車(106b)が設けられ、
前記リングギヤ(106)が前記副変速機(13)のケース(18)に固定されたとき前記出力軸(19)が低速状態となり、
前記リングギヤ(106)が前記出力軸(19)に固定されたときに前記出力軸(19)が高速状態となり、
前記リングギヤ(106)が前記ケース(18)及び前記出力軸(19)に固定されていない状態で前記外歯歯車(106b)が前記遊星用カウンタギヤ(113)に噛合したときに前記出力軸(19)が中速状態となるように構成された
ことを特徴とする多段切換式変速機。
【請求項2】
前記主軸(16)を中心とする前記カウンタ軸(20)に対して対称の位置にアイドル軸(151)が設けられ、前記アイドル軸(151)に前記外歯歯車(106b)と噛合可能なアイドルギヤ(152)が取付けられた請求項1記載の多段切換式変速機。
【請求項3】
前記主軸(16)を中心とする前記カウンタ軸(20)に対して対称の位置に釣合カウンタ軸(171)が設けられ、前記釣合カウンタ軸(171)に前記外歯歯車(106b)と噛合可能な遊星用釣合カウンタギヤ(173)が取付けられた請求項1記載の多段切換式変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−144853(P2011−144853A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4914(P2010−4914)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】