多段式のダイヤフラム吸込みポンプ
本発明は、多段式のダイヤフラム吸込みポンプであって、少なくとも2つのポンプ室が設けられていて、該ポンプ室はそれぞれ1つの、少なくとも1つの流入弁を有する流体入口と、少なくとも1つの流出弁を有する流体出口とを有しており、ポンプ室の流体入口を接続する吸込み管路が設けられており、相前後して連続するポンプ室はそれぞれ少なくとも1つの接続管路を介して互いに接続されていて、ダイヤフラム吸込みポンプは、吸込み管路内における所定の差圧の到達時もしくは超過時に、ポンプ室の並列作動運転から該ポンプ室の少なくともまた直列作動運転へと移行するようになっており、少なくとも1つの接続管路の流入領域及び流出領域にそれぞれ、後続のポンプ段に向かって開放する少なくとも1つの逆止弁が配置されている形式のものに関する。このようなダイヤフラム吸込みポンプのポンプ特性を最適化するために、少なくとも1つのポンプ室に、吸込み圧を改善するために少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口が、又は吸込み能力を改善するために少なくとも1つの接続管路の吐出側の開口が、ポンプ室の所定領域に配置されているか又は該所定領域の近傍に配置されていて、この所定領域において、前記ポンプ室に配設されたダイヤフラムが1つのポンプサイクル中に最初に湾曲して転動する。付加的に又はその代わりに、本発明の別の構成では、特に後続のポンプ室の間における少なくとも1つの接続管路が、降下する管路経過を有しており、そのために該少なくとも1つの接続管路の流入側の管路区分は流出側の管路区分に比べて、高い位置に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段式のダイヤフラム吸込みポンプであって、少なくとも2つのポンプ室が設けられていて、該ポンプ室はそれぞれ1つの、少なくとも1つの流入弁を有する流体入口と、少なくとも1つの流出弁を有する流体出口とを有しており、ポンプ室の流体入口を接続する吸込み管路が設けられており、相前後して連続するポンプ室はそれぞれ少なくとも1つの接続管路を介して互いに接続されていて、ダイヤフラム吸込みポンプは、吸込み管路内における所定の差圧の到達時もしくは超過時に、ポンプ室の並列作動運転から該ポンプ室の少なくともまた直列作動運転へと移行するようになっており、少なくとも1つの接続管路の流入領域及び流出領域にそれぞれ、後続のポンプ段に向かって開放する少なくとも1つの逆止弁が配置されている形式のものに関する。
【0002】
例えばオートクレーブの排気(真空引き)時には、一方では大きな吐出出力が望まれ、かつ他方では良好な到達真空が望まれている。大きな吐出出力は、ヘッドの並列接続によって達成され、良好な最終真空は多段式の運転によって、つまり直列接続によって達成される。特に実験室における多くの使用例では、多段式の配置形式によってしか得られない低い最終圧が必要である。
【0003】
WO2004/088138に基づいて公知のマイクロ真空ポンプは、振動する各1つのポンプダイヤフラムによって画定された2つのポンプ室を有している。これらのポンプ室はそれぞれ、流入弁を有する流体入口と流出弁を有する流体出口とを有しており、両ポンプ室の流体入口を接続する吸込み管路と、流体出口を接続する吐出管路とが設けられている。ポンプ室は接続管路を介して互いに接続されていて、公知のマイクロ真空ポンプは、吸込み管路における所定の差圧の到達時及び超過時に、ポンプ室の並列作動運転から直列作動運転へと移行する。接続管路の流入領域と流出領域とにはそれぞれ、後続のポンプ段に向かって開放する逆止弁が配置されている。公知のダイヤフラム吸込みポンプの製造に伴う手間もしくはコストを減じるために、接続管路内に配置された逆止弁は、両方のポンプ室の流入弁及び流出弁と比較可能な大きさを有している。従って、逆止弁のうちの1つと隣接したポンプ室との間に設けられた、接続管路の管路区分もまた、比較可能な大きさに寸法設定されている。しかしながらポンプ過程の始動段階においては流体流をまずは、並列接続された流入弁及び流出弁を介して導くことができるようにするために、接続管路には絞りが配置されており、この絞りは、相応な圧力差及び減じられたポンプ出力が得られた場合に初めて、その絞り作用を失う。
【0004】
吸込み過程の初めに公知のマイクロ真空ポンプは、そのポンプ室が並列的に作動する配置形式を有している。なぜならば、接続管路に設けられた絞りが作用して、システムが空気循環における妨害がまだないことに基づいて最初は容易に並列的に作動するように形成され得るからである。この並列作動する配置形式が到達真空の範囲に至り、これにより吸込み管路における圧力差が最大値に達するや否や、流体は、接続管路に設けられた絞りを通って極めて簡単に流れることができ、その結果システムは同時にまたポンプ室の直列運転へと配置され、これによって最大限可能な到達真空を得ることができる。
【0005】
しかしながら公知の構成には次のような欠点がある。すなわち公知のダイヤフラム吸込みポンプの逆止弁は、流入弁及び流出弁と比較可能な大きさを有しており、接続管路の、逆止弁の間に設けられた管路区分は、相応に大きな管路内径横断面を有していて、その結果これらの管路区分内には、相応に大きな有害な空間が生じており、この空間は、公知のダイヤフラム吸込みポンプの達成可能な到達真空に対して不都合に作用して、並列運転形式と直列運転形式との間における切換えポイントに不都合な影響を及ぼす。
【0006】
可能な限り短時間のうちに可能な限り高い到達真空を得るため、及び並列運転と直列運転との間における最適な切換えポイントへの接近を可能にするために、既に提案されている多段式のダイヤフラムポンプでは、接続管路の流入領域及び流出領域に設けられた逆止弁は、ポンプ室の流入弁及び流出弁に比べて小さく形成されており、これらの逆止弁にはそれぞれ、接続管路の、隣接したポンプ室に向かって開放する管路区分が配設されていて、この管路区分は、流入弁及び流出弁に比べて小さな管路内径横断面を有している(DE102007057945A1参照)。DE102007057945A1の図1及び図2と図4における90°断面図との比較から明らかなように、この公知のダイヤフラムポンプにおいても接続管路の流入開口と流出開口はクランク軸線平面に配置されている。この公知のダイヤフラムポンプは、ポンプ室を互いに接続する少なくとも1つの接続管路に、流入側の逆止弁と流出側の逆止弁とを有しており、これらの逆止弁は、ポンプ室の流入弁及び流出弁に比べて著しく小さく寸法設定されている。これによりこの逆止弁の可動の弁体は、小さな可動質量を有していて、相応に迅速に反応することができるので、並列運転形式と直列運転形式との間における最適な切換えポイントへの接近が著しく促進される。接続管路は最適な切換えポイントの領域において初めて有効になり、かつ接続管路はこのポンプ段階において比較的僅かな圧送量だけを処理すればよいので、接続管路の内径横断面は吸込み管路及び吐出管路に比べて小さく形成することができる。このことによってまた、少なくとも1つの接続管路に設けられていて吸込み弁及び吐出弁に比べて極めて小さな貫流横断面及び相応に小さな直径を備えた逆止弁を形成することも、可能になる。これにより逆止弁はその可動の弁体又は遮断体の小さな質量に基づいて、吸込み弁及び吐出弁の閉鎖時に迅速に反応することができ、ひいては、DE102007057945A1に基づいて公知のダイヤフラムポンプが圧力差の移行範囲において圧力媒体を圧送しない又は不十分にしか圧送しない、という不都合を阻止することができる。逆止弁には、隣接したポンプ室に通じている各1つの管路区分が配設されていて、該管路区分は流入弁及び流出弁に比べて著しく小さな管路内径横断面を有しているので、逆止弁と隣接したポンプ室との間に残っている有害もしくは不都合な空間を、極めて低い到達真空の発生が可能になるほどに、小さく保つことができる。DE102007057945A1に基づいて公知のダイヤフラムポンプは従って、比較的簡単な技術的手段によって、可能な限り小さな到達真空を可能な限り短時間のうちに生ぜしめることができる。
【0007】
WO2004/088138及びDE102007057945A1に基づいて公知のダイヤフラムポンプでは、接続管路の吐出側及び吸込み側の開口は、連接棒回転軸線に対して軸平行に配置された線上であって、ポンプ室の吐出弁と吸込み弁との間のほぼ真ん中に設けられている。各ポンプ室では、ポンプ室壁に沿って転動する作業ダイヤフラムは接続管路の開口に、該作業ダイヤフラムのほぼ死点において初めて達するので、接続管路の開口を介して損失流の逃げることがあり、このような損失流はダイヤフラムポンプの出力に不都合な影響を及ぼす。
【0008】
ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式のダイヤフラム吸込みポンプを改良して、最適化されたポンプ特性によって傑出した吸込み圧又は吸込み能力を有するダイヤフラム吸込みポンプを提供することである。
【0009】
この課題を解決するために本発明の構成では、冒頭に述べた多段式のダイヤフラム吸込みポンプにおいて、少なくとも1つのポンプ室に、吸込み圧を改善するために少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口が、又は吸込み能力を改善するために少なくとも1つの接続管路の吐出側の開口が、ポンプ室の領域に配置されているか又は該領域の近傍に配置されていて、この領域に、前記ポンプ室に配設されたダイヤフラムが1つのポンプサイクル中に最初に転動するようにした。
【0010】
本発明によるダイヤフラム吸込みポンプのポンプ室は、接続管路を介して互いに接続されている。この場合圧送方向において後続のポンプ室は、1つの接続管路に配設された吸込み側の開口を有している。吸込み圧を改善するために、後続のピストン室のうちの少なくとも1つに設けられた、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口は、ポンプ室の領域に配置されているか又は該領域の近傍に配置されていて、この領域内に、前記ポンプ室に配設されたダイヤフラムが1つのポンプサイクル中に最初に転動する。この構成ではつまり、吸込み圧を改善するために、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口は、上死点において連接棒旋回平面に対して垂直に方向付けられた中心線から、有利には約−45°だけポンプ室の領域に向かって回動させられて配置され、この領域において、該ポンプ室に配設されたダイヤフラムが1つのポンプサイクル中に最初に転動するようになっている。すなわち多段式のダイヤフラム吸込みポンプの並列ポンプ運転から直列ポンプ運転への切換えは、後続のポンプ段における吸込み圧が、先行するポンプ段における押し退け圧(Ausschiebedruck)よりも低い場合に、実現される。この効果を生ぜしめることができるようにするために、連接棒に配設されたクランク機構の、ヘッドからヘッドへのクランク角は、有利には180°だけずらされて配置されねばならない。1つの接続管路の小さな吸込み側の開口が連接棒旋回平面の近傍に位置すればするほど、つまり、連接棒が上昇行程時に連接棒の傾転運動によって回転方向に変向される、ポンプ室の側において、かつ連接棒旋回平面への接近によって、該連接棒旋回平面の近傍に位置すればするほど、より低い吸込み圧が生ぜしめられる。次のポンプ段における最低の吸込み圧は、少なくとも1つの接続管路の小さな吸込み側の開口が、正確に連接棒旋回平面に位置している場合に、生ぜしめられる。0ポイントと連接棒旋回平面との間における各位置は、それぞれの位置に固有の吸込み圧を生ぜしめる。このようにして、並列接続されたポンプの吸込み曲線から直列接続されたポンプの吸込み曲線への移行に影響を及ぼすことができる。この場合、ポンプ段のうちの1つのポンプ段において、吸込み側の開口の配置形式を前記方向に変えるだけで、影響を及ぼすことが可能である。プロセスは、第1のポンプ段において始まり、次々と別のヘッド及びポンプ段を介して続けられる。場合によっては、ポンプ段を互いに接続する接続管路の吸込み側の開口の配置形式において、連接棒旋回平面の方向における旋回角が異なっていることによっても、吸込み圧及び吸込み能力の曲線経過における移行範囲に影響を与えることができる。
【0011】
代わりに吸込み能力を改善したい場合には、少なくとも1つのポンプ段において、少なくとも1つの接続管路の吐出側の開口をポンプ室の所定領域に配置すること、又は該所定領域の近傍に配置することも可能であり、この所定領域において、該ポンプ室に配設されたダイヤフラムは1つのポンプサイクル中に最初に湾曲して転動する。つまり吸込み能力を改善するためには、少なくとも1つの接続管路の吐出側の開口を、上死点において連接棒旋回平面に対して垂直に方向付けられた中心線から、有利には約+45°だけポンプ室の所定領域に向かって回動させて配置することが可能であり、この所定領域において、該ポンプ室に配設されたダイヤフラムは1つのポンプサイクル中に最初に湾曲して転動する。この態様では、このポンプ室に設けられた、接続管路の吐出側の開口が早期に、ポンプ室壁に沿って転動する作業ダイヤフラムによって閉鎖されるので、さもないと接続管路を介して場合によっては発生する損失流を、著しく減じて吸込み能力を改善することができる。
【0012】
本発明の別の有利な態様では、ダイヤフラム吸込みポンプの各ポンプ室に、連接棒旋回平面において傾転可能な連接棒が配設されており、少なくとも1つのポンプ室に、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口又は吐出側の開口が連接棒旋回平面に設けられている。
【0013】
ポンプ特性の最適化をさらに付加的に促進するために有利な態様では、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口又は吐出側の開口が、ポンプ室の、ダイヤフラムの緊締ゾーンに隣接した縁部領域に配置されている。
【0014】
本発明の別の有利な態様では、少なくとも1つのポンプ室において、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口又は吐出側の開口と吸込み弁とはほぼ、連接棒旋回平面に対して垂直に延びる線上に配置されている。
【0015】
このような多段式のダイヤフラム吸込みポンプは、真空ポンプとしてしばしば、湿った蒸気を排出するために使用される。このような場合に、不都合な圧力状態及び温度状態では、最後のポンプ段及び先行するポンプ段において凝縮水が形成されることがある。このような不都合は、通常、ガスバラスト弁の使用によって阻止される。凝縮水の気化特性に応じて、このようなガスバラスト弁はしかしながら、到達真空を著しく劣化させてしまう。
【0016】
凝縮水形成にもかかわらず最大の到達真空を得るための方法は、発生した凝縮水を大気圧で排出することである(DE19851680C2及びDE10021454A1参照)。しかしながらこのような方法の欠点としては、排出中に排気過程が中断することにある。
【0017】
冒頭に述べた多段式のダイヤフラム吸込みポンプの並列運転において、最大の最終圧は、通常、凝縮水の気化圧よりも高い。従って凝縮水は排気過程に対して影響を及ぼさない。このようなダイヤフラム吸込みポンプの直列運転においてはしかしながら、ポンプの最終圧は凝縮水の気化ポイントを下回るので、凝縮水の戻り膨張に基づいて最終圧を得ることができない。従って凝縮水は連続的に排出されねばならない。
【0018】
少なくとも1つの接続管路が、特に後続の各ポンプ室の間において、降下する管路経過を有しており、そのために該少なくとも1つの接続管路の流入側の管路区分は流出側の管路区分に比べて高い位置に配置されていると、有利である。特に後続の各ポンプ室の間に設けられた少なくとも1つの接続管路のこのような降下配置形式によって、後続のポンプ室において場合によっては生じる凝縮水の排出が容易になり、本発明によるダイヤフラム吸込みポンプのポンプ特性はその吸込み能力に関してさらに付加的に促進される。凝縮水は通常、大気圧近くにおいて、ひいては多くの場合、多段式のダイヤフラム吸込みポンプの直列接続されたポンプ室の最後の3つのポンプ段において発生する。本発明のように構成されたダイヤフラム吸込みポンプは、場合によっては生じる凝縮水は常に作業ガス自体によって排出されるが、連続的な排気プロセスによって傑出している。
【0019】
2ヘッド式又は多ヘッド式のポンプでは、スペースを節減する構造形態として対向式の配置形態が提供されている。本発明の有利な態様では、多段のダイヤフラム吸込みポンプのポンプ段は、対を成して対向式に配置されている。
【0020】
横置き型の対向配置形態では、軸線に対して平行に位置しているヘッドは両側において容易に水平方向で接続することができる。
【0021】
しかしながら冒頭に述べた本発明の提案に合わせて、吸込み曲線の最適化が、ポンプ室に設けられた接続管路の開口のずらされた配置形式による、切換え圧の変化によって、望まれている場合には、ポンプハウジングの両側に配置されたヘッドに位置している、接続管路の吸込み側の開口は、連接棒旋回平面の方向で、かつヘッドの特定の側に、つまり連接棒が上昇行程時に傾転運動によって回転方向において変向される、ヘッドの側に、配置されていなくてはならない。これによって第2のポンプ段において吸込み側の開口は軸線の上に位置することになり、これに対して第3のポンプ段における吐出側の開口は軸線の下に位置することができ、その結果、このような横置き型の対向式ポンプでは、降下する接続管路が得られる。
【0022】
上記の態様とは異なり、上に述べた対向式ポンプが縦置き型で運転される場合には、第2のポンプ段と第3のポンプ段との間における接続管路は水平に配置されており、これに対して第3のポンプ段と第4のポンプ段との間における接続管路は降下するように配置されている。
【0023】
従って本発明の別の有利な態様では、第2のポンプ段に設けられた接続管路の吸込み側の開口は、クランク軸線の上に配置されていて、かつ/又は第3のポンプ段に設けられた接続管路の吐出側の開口は、クランク軸線の下に配置されている。
【0024】
凝縮水を連続的に排出できるようにするために、接続管路の横断面は、比較的小さく形成された逆止弁の間において、該接続管路の内部において生じるガス速度が凝縮水の排出のために十分であるように、設計されていることが望ましい。接続管路の降下する配置形式又は水平な配置形式では、このように構成されていると、最低の有効なガス速度を得ることができる。本発明の別の有利な態様では、接続管路は、吐出弁又は吸込み弁に通じる吐出管路又は吸込み管路の管路内径横断面の半分と同じか又はそれよりも小さい管路直径を有している。
【0025】
本発明の別の有利な態様では、ダイヤフラム吸込みポンプは4つのポンプ室を有しており、かつ/又は4段式に構成されている。
【0026】
次に図面を参照しながら本発明の有利な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】多段式のダイヤフラム吸込みポンプであって、該ダイヤフラム吸込みポンプのポンプ段が接続管路を介して互いに接続されていて、これらの接続管路が、ポンプ室に通じる吸込み側の開口と吐出側の開口を有している、多段式のダイヤフラム吸込みポンプを示す平面図である。
【図1b】図1aに示したダイヤフラム吸込みポンプのポンプ室を示す図であって、ポンプ室内における、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式を示す図である。
【図1c】図1a及び図1bに示したダイヤフラム吸込みポンプを、駆動モータの側から見て示す側面図である。
【図2a】図1a〜図1cと比較可能なダイヤフラム吸込みポンプを示す平面図である。
【図2b】図2aに示した多段式のダイヤフラム吸込みポンプのポンプ室を示す図であって、ポンプ室内における接続管路の吐出側の開口が、図1bに示した配置形式との比較において、高い吸込み能力が促進されるようにずらされて配置されている、配置形式を示す図である。
【図2c】図2a及び図2bに示したダイヤフラム吸込みポンプを、駆動モータの側から見て示す側面図である。
【図3a】従来技術による多段式のダイヤフラム吸込みポンプを示す平面図である。
【図3b】図3aに示した多段式のダイヤフラム吸込みポンプのポンプ室を示す図であって、ポンプ室内における、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式を示す図であり、ポンプ段の間に設けられた接続管路の吸込み側の開口及び吐出側の開口が実質的に、吸込み弁及び吐出弁の間に位置する線上に配置されている、配置形式を示す図である。
【図3c】図3a及び図3bに示したダイヤフラム吸込みポンプを、駆動モータの側から見て示す側面図である。
【図4】図1a〜図1c、図2a〜図2c及び図3a〜図3cに示したダイヤフラム吸込みポンプにおける吸込み圧及び吸込み能力の曲線経過を示す図である。
【図5a】多段式のダイヤフラム吸込みポンプを示す平面図である。
【図5b】ポンプ室が、図3bと比較可能な、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式を有する、ダイヤフラム吸込みポンプを示す図である。
【図5c】ポンプ室における、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式が、図1bに示した配置形式に相当している、ダイヤフラム吸込みポンプを示す図である。
【図5d】ポンプ室における、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式が、図2bに示した配置形式に相当している、ダイヤフラム吸込みポンプを示す図である。
【図5e】多段式のダイヤフラム吸込みポンプを、駆動モータの側から見て示す側面図である。
【図6】後続のポンプ室において場合によっては発生する凝縮水を排出するために特に有利な、縦置き型対向形態で形成されたダイヤフラム吸込みポンプの、ポンプ段の間に設けられた接続管路の配置形式を示す平面図(図6a)、並びに、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式が、図3b及び図5bに示した配置形式に相当している、ポンプ室を示す図(図6b)である。
【図7】後続のポンプ室において場合によっては発生する凝縮水を排出するために特に有利な、縦置き型対向形態で形成されたダイヤフラム吸込みポンプの、ポンプ段の間に設けられた接続管路の配置形式を示す平面図、並びに、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式が、図1b及び図5cに示した配置形式に相当している、ポンプ室を示す図である。
【図8】後続のポンプ室において場合によっては発生する凝縮水を排出するために特に有利な、縦置き型対向形態で形成されたダイヤフラム吸込みポンプの、ポンプ段の間に設けられた接続管路の配置形式を示す平面図(図8a)、並びに、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式が、図2b及び図5dに示した配置形式に相当している、ポンプ室を示す図(図8b)である。
【図9】後続のポンプ室において場合によっては発生する凝縮水を排出するために特に有利な、横置き型対向形態で形成されたダイヤフラム吸込みポンプの、ポンプ段の間に設けられた接続管路の配置形式を示す側面図(図9a)、並びに、90°だけ回転させて示す側面図(図9b)である。
【図10】図9a及び図9bと比較可能なダイヤフラム吸込みポンプを示す側面図(図10a)、並びに、90°だけ回転させて示す側面図(図10b)であって、ポンプ段が異なって配置された接続管路を介して互いに接続されているダイヤフラム吸込みポンプを示す図である。
【図11】ポンプ段の間に設けられた接続管路と、吸込み弁又は吐出弁に通じる流入通路もしくは流出通路との内径横断面の比較を示す図である。
【0028】
図1〜図3及び図5〜図10には、多段式のダイヤフラム吸込みポンプ10,100の種々様々な実施形態が示されている。図示のポンプ形態10,100はそれぞれ4つのポンプ室1,2,3,4を有しており、これらのポンプ室1,2,3,4は対を成して対向式に配置されている。これらのポンプ形態の各ポンプ室1,2,3,4はそれぞれ、流入弁を有する1つの流体入口6と、流出弁を有する1つの流体出口7とを有している。この場合ポンプ室1,2,3,4の流体入口6は1つの共通の吸込み管路を介して接続されている。
【0029】
さらに、段階的に相前後して連続するポンプ室2,3,4はそれぞれ接続管路8,9,11を介して互いに接続されていて、図示されたポンプ形態10,100が吸込み管路における差圧到達時又は差圧超過時に、ポンプ室1,2,3,4の並列的に作動する運転から、ポンプ室1,2,3,4の少なくてもまた直列的に作動する運転へと移行するようになっている。この場合接続管路8,9,11の流入領域と流出領域とにはそれぞれ少なくとも1つの、後続のポンプ段に向かって開放する逆止弁が、配置されている。これらの逆止弁と各ポンプ室に設けられた吐出弁及び吸込み弁とは、圧送される媒体の圧力差によって制御される。
【0030】
図11に示されているように、接続管路8,9,11の流入領域及び流出領域に設けられた逆止弁は、ポンプ室1,2,3,4の流入弁及び流出弁に比べて小さく形成されており、これらの逆止弁には、隣接したポンプ室に向かって開放する少なくとも1つの、接続管路の管路区分が配設されており、これらの管路区分は、流入弁及び流出弁に比べて小さな管路内径横断面を有している。図示のダイヤフラムポンプは、ポンプ室1,2,3,4を互いに接続する接続管路8,9,11内に、流入側及び流出側に逆止弁を有しており、これらの逆止弁は、ポンプ室1,2,3,4の流入弁及び流出弁に比べて著しく小さく寸法設定されている。これらの逆止弁の可動の弁体は従って小さな可動の質量を有することができ、相応に迅速に反応することができるので、並列運転形式と直列運転形式との間における最適な切換えポイントへの接近が著しく促進される。接続管路8,9,11は最適な切換えポイントの範囲において初めて有効になるので、また接続管路8,9,11はこのポンプ段階においては比較的僅かな圧送量だけを処理すればよいので、接続管路8,9,11の内径横断面は、吸込み管路及び吐出管路に比べて比較的小さく形成することができる。このことは、少なくとも1つの接続管路8,9,11に設けられた逆止弁を、吸込み弁及び吐出弁に比べて極めて小さな貫流横断面及び相応に小さな直径をもって形成することをも可能にする。これによって逆止弁は、その可動の弁体又は遮断体の小さな質量に基づいて、吸込み弁及び吐出弁の閉鎖時に迅速に反応することができ、かつこれによって、図示のポンプ形態が圧力差の移行範囲においてまったく又は不十分にしか圧送しないことを阻止することができる。逆止弁には、隣接したポンプ室に通じる各1つの管路区分が配設されていて、この管区分は流入弁及び流出弁に比べて、著しく小さな管路内径横断面を有しているので、逆止弁と隣接したポンプ室との間に残っている有害な空間もしくは室は、極めて低い到達真空(Endvakuum)の発生が可能であるように極めて小さく保つことができる。図示のポンプ形態は従って、比較的簡単な技術的手段によって、可能な限り僅かな到達真空を可能な限り短い時間で生ぜしめることができる。
【0031】
図3a〜図3c及び図5bに示されたポンプ形態は、接続管路に通じるポンプ室における開口の配置形式に関して、実質的に公知の従来技術に相当している。図3b及び図5bから明らかなように、公知の従来技術では接続管路の吐出側及び吸込み側の開口は、ポンプ室の吐出弁及び吸込み弁との間のほぼ真ん中において、連接棒回転軸線に対して軸平行に配置された線上に設けられている。各室1,2,3,4内において、ポンプ室壁に沿って湾曲しながら転動する作業ダイヤフラムは、ほぼその死点において初めて、接続管路8,9,11の開口12,13に達するので、接続管路のこれらの開口12,13を介して損失流は流れることができ、このような損失流は、当該ポンプ形態の出力に不都合な影響を及ぼす。
【0032】
図4に「0°」で示された吸込み圧及び吸込み能力の曲線経過から明らかなように、図3a〜図3c及び図5bに示されたポンプ態様は、比較的低い吸込み圧と、かつ同時に比較的低い吸込み能力とを示している。
【0033】
図3cに示されているように、少なくとも1つの接続管路の吐出側及び吸込み側の開口は、連接棒旋回平面に対して直角に方向付けられた中心線L上に配置されている。図1cと図3cとの比較から明らかなように、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口の配置形式は、吸込み圧を改善するために、上死点において連接棒旋回平面に対して垂直に方向付けられた中心線Lから、ポンプ室の中心軸線の回りに例えば約−45°だけ、ポンプ室の所定領域に向かって回転されてよく、この所定領域においては該ポンプ室に配設されたダイヤフラムは1つのポンプサイクル中に最初に湾曲しながら転動し、ダイヤフラムの転動した部分は、吸込みの開始に際して最初にポンプ室の壁から離れる。この領域は図3cに「B」及び「C」で示されている。これに対して図2cと図3cとの比較から明らかなように、吸込み能力を改善するために、少なくとも1つの接続管路の吐出側の開口の配置形式は、上死点において連接棒旋回平面に対して垂直に方向付けられた中心線Lから、有利には約+45°だけ、ポンプ室の所定領域に向かって回転されてよく、この所定領域においては該ポンプ室に配設されたダイヤフラムは、1つのポンプサイクル中に最初に湾曲しながら転動する。そして、少なくとも、圧送方向において第2のポンプ段のポンプ室において、吸込み圧を改善するために、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口が回転されると、もしくは吸込み能力を改善するために少なくとも、圧送方向において第1のポンプ段のポンプ室において、吐出側の開口が回転されると、所望の利点を得ることができる。
【0034】
これに対して、図1、図2、図5c、図5d、図7、図8、図9及び図10に示されたポンプ構成10は、その吸込み圧又はその吸込み能力に関して最適化されたポンプ特性によって傑出している。
【0035】
吸込み圧を改善するために、図1、図5c、図7、図9及び図10に示されたポンプ構成では、少なくとも1つの接続管路8,9,11の吸込み側の開口は、ポンプ室の所定領域に配置されているか又はこの所定領域の近傍に配置されていて、この所定領域においては、該ポンプ室に配設されたダイヤフラムは、1つのポンプサイクル中に最初に湾曲しながら転動する。つまり吸込み側の開口12は、駆動軸の回転軸線を含むポンプ長手方向中心平面から有利には約45°だけ、ポンプ室2,3,4の所定領域に向かってずらされていて、これによってポンプ室2,3,4の所定の半球領域内に配置されており、この所定の半球領域においては、該ポンプ室に向けられたダイヤフラムは1つのポンプサイクル中に最初に湾曲しながら転動し、ダイヤフラムの転動した部分は、吸込み開始に際してポンプ室の壁から最初に離れる。
【0036】
つまり図示された多段式のダイヤフラムポンプの並列的なポンプ運転から直列的なポンプ運転への切換えは、後続のポンプ段における吸込み圧が、先行するポンプ段における吐出圧よりも低い場合に、実現される。この効果を得ることができるようにするために、連接棒に配設されたクランク機構の、頂部と頂部との間のクランク角は、有利には180°だけずらされて配置されていなければならない。1つの接続管路8,9又は11の小さな吸込み側の開口12が連接棒旋回平面の近くに位置していればいるほど、すなわちシール室の側、つまり連接棒が上昇行程時に連接棒の傾転運動によって回転方向に変向される側において、連接棒旋回平面への接近によって、該連接棒旋回平面の近くに位置していればいるほど、吸込み圧は低くなる。次のポンプ段における最も低い吸込み圧は、少なくとも1つの接続8,9,11の小さな吸込み側の開口が正確に連接棒旋回平面に位置している場合に、生じる。0ポイントと連接棒旋回平面との間における各位置は、該位置に固有の吸込み圧を生ぜしめる。このようにして、直列接続されたポンプの吸込み曲線への並列接続されたポンプの吸込み曲線の移行に対して影響を及ぼすことができる。この場合単に、ポンプ段2,3,4のうちの1つにおいて、吸込み側の開口12の配置形式を前記方向に変化させるだけで、影響を及ぼすことが可能である。プロセスは第1のポンプ段1において始まり、次々と、後続のヘッド及びポンプ段2,3,4を介して続けられる。場合によっては、ポンプ段2,3,4を互いに接続する接続管路8,9,11の吸込み側の開口12の、連接棒旋回平面に向かう配置形式において、旋回角を種々異ならせることによっても、吸込み圧及び吸込み能力の曲線経過における移行範囲に影響を及ぼすことができる。
【0037】
図2、図5d及び図8に示されたポンプ構成では、代わりに吸込み能力を改善することが望まれている。そのために少なくとも1つのポンプ段1,2,3,4において、少なくとも1つの接続管路8,9,11の吐出側の開口13がポンプ室1,2,3,4の所定領域に配置されているか又はこの所定領域に接近させられており、この所定領域において、ポンプ室1,2,3,4に配設されたダイヤフラムは1つのポンプサイクル中に最初に湾曲しながら転動する。つまり吐出側の開口13はポンプ長手方向中心平面から有利には約45°だけポンプ室の所定領域に向かってずらされていて、これによってポンプ室の所定の半球領域に配置されており、この所定の半球領域において該ポンプ室に配設されたダイヤフラムは1つのポンプサイクル中に最初に湾曲しながら転動し、ダイヤフラムの転動した部分は、吐出の開始に際してポンプ室の壁に最初に接近する。
【0038】
図4には、図1、図5c、図7、図9及び図10に示されたポンプ構成及び図2、図5d及び図8に示されたポンプ構成における吸込み圧及び吸込み能力の曲線経過も示されている。図1、図5c、図7、図9及び図10に示されたポンプ構成の「−45°/+45°」で示された曲線経過が、改善された、つまり付加的に減じられた吸込み圧によって傑出しているのに対して、図2、図5d及び図8に示されたポンプ構成の「+45°/−45°」で示された曲線経過は、改善された吸込み能力を有している。
【0039】
図1、図2、図3、図5c、図5d、図7、図8、図9及び図10の比較から明らかなように、少なくとも1つの接続管路8,9,11の吐出側もしくは吸込み側の開口12,13と、流体入口6に設けられた吸込み弁とは、連接棒旋回平面に対して垂直に延びる線上にほぼ配置されている。
【0040】
図示のダイヤフラム吸込みポンプ10,100は真空ポンプとしてしばしば、湿った蒸気を排出するためにも使用することができる。不都合な圧力状態及び温度状態ではしかしながら、最後の及び先行するポンプ段2,3,4において凝縮水の発生することがある。ダイヤフラム吸込みポンプ10,100の並列運転において、最大の最終圧は通常、凝縮水の気化圧よりも高い。従って凝縮水は排気過程に対して影響を及ぼさない。しかしながらこのようなダイヤフラム吸込みポンプの直列運転では、ポンプの最終圧はしばしば凝縮水の気化ポイント(Verdampfungspunkt)を下回っているので、凝縮水の戻り膨張(Rueckexpansion)に基づいて最終圧に達し得ない。
【0041】
図6〜図10に示されたポンプ構成では少なくとも1つの接続管路8,9,11が、特に後続のポンプ室2,3,4の間に降下する管路経過を備えており、そのために接続管路8,9,11の流入側の管路区分は流出側の管路区分に比べて高い位置に配置されている。少なくとも1つの、特に後続のポンプ室2,3,4の間に設けられた接続管路8,9,11の、このような降下する配置形式によって、後続のポンプ室において場合によっては発生する凝縮水の吹出しもしくは排出(Ausblasen)が容易になり、図示されたダイヤフラム吸込みポンプの、吸込み能力に関するポンプ特性が、さらに付加的に促進される。この場合凝縮水は通常大気圧の近傍において、ひいては多くの場合、多段のダイヤフラム吸込みポンプの直列接続されたポンプ室の最後の3つのポンプ段において発生する。図示されたダイヤフラム吸込みポンプは、常に場合によっては生じる凝縮水が作業ガス自体によって吹き出されるにもかかわらず、連続的な排気プロセスによって傑出している。図9と図10との比較から明らかなように、吸込み圧に関する吸込み曲線を、ポンプ室1,2,3,4に設けられた接続管路8,9,11の開口のずらされた配置形式を用いた切換え圧の変化によって、最適化しようとするならば、ポンプハウジングの両側に設けられたヘッドに位置する、接続管路8,9,11の吸込み側の開口12は、連接棒旋回平面に向かって配置され、かつ連接棒が上昇行程時に傾転運動によって回転方向に変位されるヘッドの側に配置されねばならない。これによって第2のポンプ段2には吸込み側の開口12は駆動軸線の上方に位置し、これに対して第3のポンプ段3の吐出側の開口は軸線の下に位置することができ、その結果このような対向式ポンプの横置き型の配置形式において、降下する接続管路が得られる。
【0042】
それに対して上に述べた対向式ポンプは、図6〜図8に示されているように、縦置き型の配置形式で運転されるので、第2のポンプ段2と第3のポンプ段3との間における接続管路9は水平に配置されており、これに対して第3のポンプ段3と第4のポンプ段4との間における接続管路11は降下するように配置されている。このような場合には、第2のポンプ段2に設けられた接続管路の吸込み側の開口12がクランク軸線の上に配置され、かつ/又は第3のポンプ段3に設けられた接続管路の吐出側の開口13がクランク軸線の下に配置されているような実施形態が有利である。
【0043】
図11に略示されているように、比較的小さく形成された逆止弁の間における接続管路8,9,11の横断面dは、その中で発生するガス速度が凝縮水の排出のために十分であるように設計されることが望ましい。図示されたポンプ構成の接続管路は従って管路直径dを有しており、この管路直径dは、吐出弁又は吸込み弁に通じる吐出管路又は吸込み管路の管路内径横断面Dの半分と同じか又はそれよりも小さい。このように構成されていることによって、接続管路8,9,11の降下する又は水平な配置形式において、最低の有効ガス速度が得られる。
【符号の説明】
【0044】
1,2,3,4 室、 6 流体入口、 7 流体出口、 8,9,11 接続管路、 10 ダイヤフラム吸込みポンプ、 12,13 開口、 100 ダイヤフラム吸込みポンプ、 d,D 接続管路の直径、 L 中心線
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段式のダイヤフラム吸込みポンプであって、少なくとも2つのポンプ室が設けられていて、該ポンプ室はそれぞれ1つの、少なくとも1つの流入弁を有する流体入口と、少なくとも1つの流出弁を有する流体出口とを有しており、ポンプ室の流体入口を接続する吸込み管路が設けられており、相前後して連続するポンプ室はそれぞれ少なくとも1つの接続管路を介して互いに接続されていて、ダイヤフラム吸込みポンプは、吸込み管路内における所定の差圧の到達時もしくは超過時に、ポンプ室の並列作動運転から該ポンプ室の少なくともまた直列作動運転へと移行するようになっており、少なくとも1つの接続管路の流入領域及び流出領域にそれぞれ、後続のポンプ段に向かって開放する少なくとも1つの逆止弁が配置されている形式のものに関する。
【0002】
例えばオートクレーブの排気(真空引き)時には、一方では大きな吐出出力が望まれ、かつ他方では良好な到達真空が望まれている。大きな吐出出力は、ヘッドの並列接続によって達成され、良好な最終真空は多段式の運転によって、つまり直列接続によって達成される。特に実験室における多くの使用例では、多段式の配置形式によってしか得られない低い最終圧が必要である。
【0003】
WO2004/088138に基づいて公知のマイクロ真空ポンプは、振動する各1つのポンプダイヤフラムによって画定された2つのポンプ室を有している。これらのポンプ室はそれぞれ、流入弁を有する流体入口と流出弁を有する流体出口とを有しており、両ポンプ室の流体入口を接続する吸込み管路と、流体出口を接続する吐出管路とが設けられている。ポンプ室は接続管路を介して互いに接続されていて、公知のマイクロ真空ポンプは、吸込み管路における所定の差圧の到達時及び超過時に、ポンプ室の並列作動運転から直列作動運転へと移行する。接続管路の流入領域と流出領域とにはそれぞれ、後続のポンプ段に向かって開放する逆止弁が配置されている。公知のダイヤフラム吸込みポンプの製造に伴う手間もしくはコストを減じるために、接続管路内に配置された逆止弁は、両方のポンプ室の流入弁及び流出弁と比較可能な大きさを有している。従って、逆止弁のうちの1つと隣接したポンプ室との間に設けられた、接続管路の管路区分もまた、比較可能な大きさに寸法設定されている。しかしながらポンプ過程の始動段階においては流体流をまずは、並列接続された流入弁及び流出弁を介して導くことができるようにするために、接続管路には絞りが配置されており、この絞りは、相応な圧力差及び減じられたポンプ出力が得られた場合に初めて、その絞り作用を失う。
【0004】
吸込み過程の初めに公知のマイクロ真空ポンプは、そのポンプ室が並列的に作動する配置形式を有している。なぜならば、接続管路に設けられた絞りが作用して、システムが空気循環における妨害がまだないことに基づいて最初は容易に並列的に作動するように形成され得るからである。この並列作動する配置形式が到達真空の範囲に至り、これにより吸込み管路における圧力差が最大値に達するや否や、流体は、接続管路に設けられた絞りを通って極めて簡単に流れることができ、その結果システムは同時にまたポンプ室の直列運転へと配置され、これによって最大限可能な到達真空を得ることができる。
【0005】
しかしながら公知の構成には次のような欠点がある。すなわち公知のダイヤフラム吸込みポンプの逆止弁は、流入弁及び流出弁と比較可能な大きさを有しており、接続管路の、逆止弁の間に設けられた管路区分は、相応に大きな管路内径横断面を有していて、その結果これらの管路区分内には、相応に大きな有害な空間が生じており、この空間は、公知のダイヤフラム吸込みポンプの達成可能な到達真空に対して不都合に作用して、並列運転形式と直列運転形式との間における切換えポイントに不都合な影響を及ぼす。
【0006】
可能な限り短時間のうちに可能な限り高い到達真空を得るため、及び並列運転と直列運転との間における最適な切換えポイントへの接近を可能にするために、既に提案されている多段式のダイヤフラムポンプでは、接続管路の流入領域及び流出領域に設けられた逆止弁は、ポンプ室の流入弁及び流出弁に比べて小さく形成されており、これらの逆止弁にはそれぞれ、接続管路の、隣接したポンプ室に向かって開放する管路区分が配設されていて、この管路区分は、流入弁及び流出弁に比べて小さな管路内径横断面を有している(DE102007057945A1参照)。DE102007057945A1の図1及び図2と図4における90°断面図との比較から明らかなように、この公知のダイヤフラムポンプにおいても接続管路の流入開口と流出開口はクランク軸線平面に配置されている。この公知のダイヤフラムポンプは、ポンプ室を互いに接続する少なくとも1つの接続管路に、流入側の逆止弁と流出側の逆止弁とを有しており、これらの逆止弁は、ポンプ室の流入弁及び流出弁に比べて著しく小さく寸法設定されている。これによりこの逆止弁の可動の弁体は、小さな可動質量を有していて、相応に迅速に反応することができるので、並列運転形式と直列運転形式との間における最適な切換えポイントへの接近が著しく促進される。接続管路は最適な切換えポイントの領域において初めて有効になり、かつ接続管路はこのポンプ段階において比較的僅かな圧送量だけを処理すればよいので、接続管路の内径横断面は吸込み管路及び吐出管路に比べて小さく形成することができる。このことによってまた、少なくとも1つの接続管路に設けられていて吸込み弁及び吐出弁に比べて極めて小さな貫流横断面及び相応に小さな直径を備えた逆止弁を形成することも、可能になる。これにより逆止弁はその可動の弁体又は遮断体の小さな質量に基づいて、吸込み弁及び吐出弁の閉鎖時に迅速に反応することができ、ひいては、DE102007057945A1に基づいて公知のダイヤフラムポンプが圧力差の移行範囲において圧力媒体を圧送しない又は不十分にしか圧送しない、という不都合を阻止することができる。逆止弁には、隣接したポンプ室に通じている各1つの管路区分が配設されていて、該管路区分は流入弁及び流出弁に比べて著しく小さな管路内径横断面を有しているので、逆止弁と隣接したポンプ室との間に残っている有害もしくは不都合な空間を、極めて低い到達真空の発生が可能になるほどに、小さく保つことができる。DE102007057945A1に基づいて公知のダイヤフラムポンプは従って、比較的簡単な技術的手段によって、可能な限り小さな到達真空を可能な限り短時間のうちに生ぜしめることができる。
【0007】
WO2004/088138及びDE102007057945A1に基づいて公知のダイヤフラムポンプでは、接続管路の吐出側及び吸込み側の開口は、連接棒回転軸線に対して軸平行に配置された線上であって、ポンプ室の吐出弁と吸込み弁との間のほぼ真ん中に設けられている。各ポンプ室では、ポンプ室壁に沿って転動する作業ダイヤフラムは接続管路の開口に、該作業ダイヤフラムのほぼ死点において初めて達するので、接続管路の開口を介して損失流の逃げることがあり、このような損失流はダイヤフラムポンプの出力に不都合な影響を及ぼす。
【0008】
ゆえに本発明の課題は、冒頭に述べた形式のダイヤフラム吸込みポンプを改良して、最適化されたポンプ特性によって傑出した吸込み圧又は吸込み能力を有するダイヤフラム吸込みポンプを提供することである。
【0009】
この課題を解決するために本発明の構成では、冒頭に述べた多段式のダイヤフラム吸込みポンプにおいて、少なくとも1つのポンプ室に、吸込み圧を改善するために少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口が、又は吸込み能力を改善するために少なくとも1つの接続管路の吐出側の開口が、ポンプ室の領域に配置されているか又は該領域の近傍に配置されていて、この領域に、前記ポンプ室に配設されたダイヤフラムが1つのポンプサイクル中に最初に転動するようにした。
【0010】
本発明によるダイヤフラム吸込みポンプのポンプ室は、接続管路を介して互いに接続されている。この場合圧送方向において後続のポンプ室は、1つの接続管路に配設された吸込み側の開口を有している。吸込み圧を改善するために、後続のピストン室のうちの少なくとも1つに設けられた、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口は、ポンプ室の領域に配置されているか又は該領域の近傍に配置されていて、この領域内に、前記ポンプ室に配設されたダイヤフラムが1つのポンプサイクル中に最初に転動する。この構成ではつまり、吸込み圧を改善するために、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口は、上死点において連接棒旋回平面に対して垂直に方向付けられた中心線から、有利には約−45°だけポンプ室の領域に向かって回動させられて配置され、この領域において、該ポンプ室に配設されたダイヤフラムが1つのポンプサイクル中に最初に転動するようになっている。すなわち多段式のダイヤフラム吸込みポンプの並列ポンプ運転から直列ポンプ運転への切換えは、後続のポンプ段における吸込み圧が、先行するポンプ段における押し退け圧(Ausschiebedruck)よりも低い場合に、実現される。この効果を生ぜしめることができるようにするために、連接棒に配設されたクランク機構の、ヘッドからヘッドへのクランク角は、有利には180°だけずらされて配置されねばならない。1つの接続管路の小さな吸込み側の開口が連接棒旋回平面の近傍に位置すればするほど、つまり、連接棒が上昇行程時に連接棒の傾転運動によって回転方向に変向される、ポンプ室の側において、かつ連接棒旋回平面への接近によって、該連接棒旋回平面の近傍に位置すればするほど、より低い吸込み圧が生ぜしめられる。次のポンプ段における最低の吸込み圧は、少なくとも1つの接続管路の小さな吸込み側の開口が、正確に連接棒旋回平面に位置している場合に、生ぜしめられる。0ポイントと連接棒旋回平面との間における各位置は、それぞれの位置に固有の吸込み圧を生ぜしめる。このようにして、並列接続されたポンプの吸込み曲線から直列接続されたポンプの吸込み曲線への移行に影響を及ぼすことができる。この場合、ポンプ段のうちの1つのポンプ段において、吸込み側の開口の配置形式を前記方向に変えるだけで、影響を及ぼすことが可能である。プロセスは、第1のポンプ段において始まり、次々と別のヘッド及びポンプ段を介して続けられる。場合によっては、ポンプ段を互いに接続する接続管路の吸込み側の開口の配置形式において、連接棒旋回平面の方向における旋回角が異なっていることによっても、吸込み圧及び吸込み能力の曲線経過における移行範囲に影響を与えることができる。
【0011】
代わりに吸込み能力を改善したい場合には、少なくとも1つのポンプ段において、少なくとも1つの接続管路の吐出側の開口をポンプ室の所定領域に配置すること、又は該所定領域の近傍に配置することも可能であり、この所定領域において、該ポンプ室に配設されたダイヤフラムは1つのポンプサイクル中に最初に湾曲して転動する。つまり吸込み能力を改善するためには、少なくとも1つの接続管路の吐出側の開口を、上死点において連接棒旋回平面に対して垂直に方向付けられた中心線から、有利には約+45°だけポンプ室の所定領域に向かって回動させて配置することが可能であり、この所定領域において、該ポンプ室に配設されたダイヤフラムは1つのポンプサイクル中に最初に湾曲して転動する。この態様では、このポンプ室に設けられた、接続管路の吐出側の開口が早期に、ポンプ室壁に沿って転動する作業ダイヤフラムによって閉鎖されるので、さもないと接続管路を介して場合によっては発生する損失流を、著しく減じて吸込み能力を改善することができる。
【0012】
本発明の別の有利な態様では、ダイヤフラム吸込みポンプの各ポンプ室に、連接棒旋回平面において傾転可能な連接棒が配設されており、少なくとも1つのポンプ室に、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口又は吐出側の開口が連接棒旋回平面に設けられている。
【0013】
ポンプ特性の最適化をさらに付加的に促進するために有利な態様では、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口又は吐出側の開口が、ポンプ室の、ダイヤフラムの緊締ゾーンに隣接した縁部領域に配置されている。
【0014】
本発明の別の有利な態様では、少なくとも1つのポンプ室において、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口又は吐出側の開口と吸込み弁とはほぼ、連接棒旋回平面に対して垂直に延びる線上に配置されている。
【0015】
このような多段式のダイヤフラム吸込みポンプは、真空ポンプとしてしばしば、湿った蒸気を排出するために使用される。このような場合に、不都合な圧力状態及び温度状態では、最後のポンプ段及び先行するポンプ段において凝縮水が形成されることがある。このような不都合は、通常、ガスバラスト弁の使用によって阻止される。凝縮水の気化特性に応じて、このようなガスバラスト弁はしかしながら、到達真空を著しく劣化させてしまう。
【0016】
凝縮水形成にもかかわらず最大の到達真空を得るための方法は、発生した凝縮水を大気圧で排出することである(DE19851680C2及びDE10021454A1参照)。しかしながらこのような方法の欠点としては、排出中に排気過程が中断することにある。
【0017】
冒頭に述べた多段式のダイヤフラム吸込みポンプの並列運転において、最大の最終圧は、通常、凝縮水の気化圧よりも高い。従って凝縮水は排気過程に対して影響を及ぼさない。このようなダイヤフラム吸込みポンプの直列運転においてはしかしながら、ポンプの最終圧は凝縮水の気化ポイントを下回るので、凝縮水の戻り膨張に基づいて最終圧を得ることができない。従って凝縮水は連続的に排出されねばならない。
【0018】
少なくとも1つの接続管路が、特に後続の各ポンプ室の間において、降下する管路経過を有しており、そのために該少なくとも1つの接続管路の流入側の管路区分は流出側の管路区分に比べて高い位置に配置されていると、有利である。特に後続の各ポンプ室の間に設けられた少なくとも1つの接続管路のこのような降下配置形式によって、後続のポンプ室において場合によっては生じる凝縮水の排出が容易になり、本発明によるダイヤフラム吸込みポンプのポンプ特性はその吸込み能力に関してさらに付加的に促進される。凝縮水は通常、大気圧近くにおいて、ひいては多くの場合、多段式のダイヤフラム吸込みポンプの直列接続されたポンプ室の最後の3つのポンプ段において発生する。本発明のように構成されたダイヤフラム吸込みポンプは、場合によっては生じる凝縮水は常に作業ガス自体によって排出されるが、連続的な排気プロセスによって傑出している。
【0019】
2ヘッド式又は多ヘッド式のポンプでは、スペースを節減する構造形態として対向式の配置形態が提供されている。本発明の有利な態様では、多段のダイヤフラム吸込みポンプのポンプ段は、対を成して対向式に配置されている。
【0020】
横置き型の対向配置形態では、軸線に対して平行に位置しているヘッドは両側において容易に水平方向で接続することができる。
【0021】
しかしながら冒頭に述べた本発明の提案に合わせて、吸込み曲線の最適化が、ポンプ室に設けられた接続管路の開口のずらされた配置形式による、切換え圧の変化によって、望まれている場合には、ポンプハウジングの両側に配置されたヘッドに位置している、接続管路の吸込み側の開口は、連接棒旋回平面の方向で、かつヘッドの特定の側に、つまり連接棒が上昇行程時に傾転運動によって回転方向において変向される、ヘッドの側に、配置されていなくてはならない。これによって第2のポンプ段において吸込み側の開口は軸線の上に位置することになり、これに対して第3のポンプ段における吐出側の開口は軸線の下に位置することができ、その結果、このような横置き型の対向式ポンプでは、降下する接続管路が得られる。
【0022】
上記の態様とは異なり、上に述べた対向式ポンプが縦置き型で運転される場合には、第2のポンプ段と第3のポンプ段との間における接続管路は水平に配置されており、これに対して第3のポンプ段と第4のポンプ段との間における接続管路は降下するように配置されている。
【0023】
従って本発明の別の有利な態様では、第2のポンプ段に設けられた接続管路の吸込み側の開口は、クランク軸線の上に配置されていて、かつ/又は第3のポンプ段に設けられた接続管路の吐出側の開口は、クランク軸線の下に配置されている。
【0024】
凝縮水を連続的に排出できるようにするために、接続管路の横断面は、比較的小さく形成された逆止弁の間において、該接続管路の内部において生じるガス速度が凝縮水の排出のために十分であるように、設計されていることが望ましい。接続管路の降下する配置形式又は水平な配置形式では、このように構成されていると、最低の有効なガス速度を得ることができる。本発明の別の有利な態様では、接続管路は、吐出弁又は吸込み弁に通じる吐出管路又は吸込み管路の管路内径横断面の半分と同じか又はそれよりも小さい管路直径を有している。
【0025】
本発明の別の有利な態様では、ダイヤフラム吸込みポンプは4つのポンプ室を有しており、かつ/又は4段式に構成されている。
【0026】
次に図面を参照しながら本発明の有利な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1a】多段式のダイヤフラム吸込みポンプであって、該ダイヤフラム吸込みポンプのポンプ段が接続管路を介して互いに接続されていて、これらの接続管路が、ポンプ室に通じる吸込み側の開口と吐出側の開口を有している、多段式のダイヤフラム吸込みポンプを示す平面図である。
【図1b】図1aに示したダイヤフラム吸込みポンプのポンプ室を示す図であって、ポンプ室内における、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式を示す図である。
【図1c】図1a及び図1bに示したダイヤフラム吸込みポンプを、駆動モータの側から見て示す側面図である。
【図2a】図1a〜図1cと比較可能なダイヤフラム吸込みポンプを示す平面図である。
【図2b】図2aに示した多段式のダイヤフラム吸込みポンプのポンプ室を示す図であって、ポンプ室内における接続管路の吐出側の開口が、図1bに示した配置形式との比較において、高い吸込み能力が促進されるようにずらされて配置されている、配置形式を示す図である。
【図2c】図2a及び図2bに示したダイヤフラム吸込みポンプを、駆動モータの側から見て示す側面図である。
【図3a】従来技術による多段式のダイヤフラム吸込みポンプを示す平面図である。
【図3b】図3aに示した多段式のダイヤフラム吸込みポンプのポンプ室を示す図であって、ポンプ室内における、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式を示す図であり、ポンプ段の間に設けられた接続管路の吸込み側の開口及び吐出側の開口が実質的に、吸込み弁及び吐出弁の間に位置する線上に配置されている、配置形式を示す図である。
【図3c】図3a及び図3bに示したダイヤフラム吸込みポンプを、駆動モータの側から見て示す側面図である。
【図4】図1a〜図1c、図2a〜図2c及び図3a〜図3cに示したダイヤフラム吸込みポンプにおける吸込み圧及び吸込み能力の曲線経過を示す図である。
【図5a】多段式のダイヤフラム吸込みポンプを示す平面図である。
【図5b】ポンプ室が、図3bと比較可能な、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式を有する、ダイヤフラム吸込みポンプを示す図である。
【図5c】ポンプ室における、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式が、図1bに示した配置形式に相当している、ダイヤフラム吸込みポンプを示す図である。
【図5d】ポンプ室における、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式が、図2bに示した配置形式に相当している、ダイヤフラム吸込みポンプを示す図である。
【図5e】多段式のダイヤフラム吸込みポンプを、駆動モータの側から見て示す側面図である。
【図6】後続のポンプ室において場合によっては発生する凝縮水を排出するために特に有利な、縦置き型対向形態で形成されたダイヤフラム吸込みポンプの、ポンプ段の間に設けられた接続管路の配置形式を示す平面図(図6a)、並びに、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式が、図3b及び図5bに示した配置形式に相当している、ポンプ室を示す図(図6b)である。
【図7】後続のポンプ室において場合によっては発生する凝縮水を排出するために特に有利な、縦置き型対向形態で形成されたダイヤフラム吸込みポンプの、ポンプ段の間に設けられた接続管路の配置形式を示す平面図、並びに、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式が、図1b及び図5cに示した配置形式に相当している、ポンプ室を示す図である。
【図8】後続のポンプ室において場合によっては発生する凝縮水を排出するために特に有利な、縦置き型対向形態で形成されたダイヤフラム吸込みポンプの、ポンプ段の間に設けられた接続管路の配置形式を示す平面図(図8a)、並びに、吐出弁及び吸込み弁並びに接続管路の吐出側の開口及び吸込み側の開口の配置形式が、図2b及び図5dに示した配置形式に相当している、ポンプ室を示す図(図8b)である。
【図9】後続のポンプ室において場合によっては発生する凝縮水を排出するために特に有利な、横置き型対向形態で形成されたダイヤフラム吸込みポンプの、ポンプ段の間に設けられた接続管路の配置形式を示す側面図(図9a)、並びに、90°だけ回転させて示す側面図(図9b)である。
【図10】図9a及び図9bと比較可能なダイヤフラム吸込みポンプを示す側面図(図10a)、並びに、90°だけ回転させて示す側面図(図10b)であって、ポンプ段が異なって配置された接続管路を介して互いに接続されているダイヤフラム吸込みポンプを示す図である。
【図11】ポンプ段の間に設けられた接続管路と、吸込み弁又は吐出弁に通じる流入通路もしくは流出通路との内径横断面の比較を示す図である。
【0028】
図1〜図3及び図5〜図10には、多段式のダイヤフラム吸込みポンプ10,100の種々様々な実施形態が示されている。図示のポンプ形態10,100はそれぞれ4つのポンプ室1,2,3,4を有しており、これらのポンプ室1,2,3,4は対を成して対向式に配置されている。これらのポンプ形態の各ポンプ室1,2,3,4はそれぞれ、流入弁を有する1つの流体入口6と、流出弁を有する1つの流体出口7とを有している。この場合ポンプ室1,2,3,4の流体入口6は1つの共通の吸込み管路を介して接続されている。
【0029】
さらに、段階的に相前後して連続するポンプ室2,3,4はそれぞれ接続管路8,9,11を介して互いに接続されていて、図示されたポンプ形態10,100が吸込み管路における差圧到達時又は差圧超過時に、ポンプ室1,2,3,4の並列的に作動する運転から、ポンプ室1,2,3,4の少なくてもまた直列的に作動する運転へと移行するようになっている。この場合接続管路8,9,11の流入領域と流出領域とにはそれぞれ少なくとも1つの、後続のポンプ段に向かって開放する逆止弁が、配置されている。これらの逆止弁と各ポンプ室に設けられた吐出弁及び吸込み弁とは、圧送される媒体の圧力差によって制御される。
【0030】
図11に示されているように、接続管路8,9,11の流入領域及び流出領域に設けられた逆止弁は、ポンプ室1,2,3,4の流入弁及び流出弁に比べて小さく形成されており、これらの逆止弁には、隣接したポンプ室に向かって開放する少なくとも1つの、接続管路の管路区分が配設されており、これらの管路区分は、流入弁及び流出弁に比べて小さな管路内径横断面を有している。図示のダイヤフラムポンプは、ポンプ室1,2,3,4を互いに接続する接続管路8,9,11内に、流入側及び流出側に逆止弁を有しており、これらの逆止弁は、ポンプ室1,2,3,4の流入弁及び流出弁に比べて著しく小さく寸法設定されている。これらの逆止弁の可動の弁体は従って小さな可動の質量を有することができ、相応に迅速に反応することができるので、並列運転形式と直列運転形式との間における最適な切換えポイントへの接近が著しく促進される。接続管路8,9,11は最適な切換えポイントの範囲において初めて有効になるので、また接続管路8,9,11はこのポンプ段階においては比較的僅かな圧送量だけを処理すればよいので、接続管路8,9,11の内径横断面は、吸込み管路及び吐出管路に比べて比較的小さく形成することができる。このことは、少なくとも1つの接続管路8,9,11に設けられた逆止弁を、吸込み弁及び吐出弁に比べて極めて小さな貫流横断面及び相応に小さな直径をもって形成することをも可能にする。これによって逆止弁は、その可動の弁体又は遮断体の小さな質量に基づいて、吸込み弁及び吐出弁の閉鎖時に迅速に反応することができ、かつこれによって、図示のポンプ形態が圧力差の移行範囲においてまったく又は不十分にしか圧送しないことを阻止することができる。逆止弁には、隣接したポンプ室に通じる各1つの管路区分が配設されていて、この管区分は流入弁及び流出弁に比べて、著しく小さな管路内径横断面を有しているので、逆止弁と隣接したポンプ室との間に残っている有害な空間もしくは室は、極めて低い到達真空(Endvakuum)の発生が可能であるように極めて小さく保つことができる。図示のポンプ形態は従って、比較的簡単な技術的手段によって、可能な限り僅かな到達真空を可能な限り短い時間で生ぜしめることができる。
【0031】
図3a〜図3c及び図5bに示されたポンプ形態は、接続管路に通じるポンプ室における開口の配置形式に関して、実質的に公知の従来技術に相当している。図3b及び図5bから明らかなように、公知の従来技術では接続管路の吐出側及び吸込み側の開口は、ポンプ室の吐出弁及び吸込み弁との間のほぼ真ん中において、連接棒回転軸線に対して軸平行に配置された線上に設けられている。各室1,2,3,4内において、ポンプ室壁に沿って湾曲しながら転動する作業ダイヤフラムは、ほぼその死点において初めて、接続管路8,9,11の開口12,13に達するので、接続管路のこれらの開口12,13を介して損失流は流れることができ、このような損失流は、当該ポンプ形態の出力に不都合な影響を及ぼす。
【0032】
図4に「0°」で示された吸込み圧及び吸込み能力の曲線経過から明らかなように、図3a〜図3c及び図5bに示されたポンプ態様は、比較的低い吸込み圧と、かつ同時に比較的低い吸込み能力とを示している。
【0033】
図3cに示されているように、少なくとも1つの接続管路の吐出側及び吸込み側の開口は、連接棒旋回平面に対して直角に方向付けられた中心線L上に配置されている。図1cと図3cとの比較から明らかなように、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口の配置形式は、吸込み圧を改善するために、上死点において連接棒旋回平面に対して垂直に方向付けられた中心線Lから、ポンプ室の中心軸線の回りに例えば約−45°だけ、ポンプ室の所定領域に向かって回転されてよく、この所定領域においては該ポンプ室に配設されたダイヤフラムは1つのポンプサイクル中に最初に湾曲しながら転動し、ダイヤフラムの転動した部分は、吸込みの開始に際して最初にポンプ室の壁から離れる。この領域は図3cに「B」及び「C」で示されている。これに対して図2cと図3cとの比較から明らかなように、吸込み能力を改善するために、少なくとも1つの接続管路の吐出側の開口の配置形式は、上死点において連接棒旋回平面に対して垂直に方向付けられた中心線Lから、有利には約+45°だけ、ポンプ室の所定領域に向かって回転されてよく、この所定領域においては該ポンプ室に配設されたダイヤフラムは、1つのポンプサイクル中に最初に湾曲しながら転動する。そして、少なくとも、圧送方向において第2のポンプ段のポンプ室において、吸込み圧を改善するために、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口が回転されると、もしくは吸込み能力を改善するために少なくとも、圧送方向において第1のポンプ段のポンプ室において、吐出側の開口が回転されると、所望の利点を得ることができる。
【0034】
これに対して、図1、図2、図5c、図5d、図7、図8、図9及び図10に示されたポンプ構成10は、その吸込み圧又はその吸込み能力に関して最適化されたポンプ特性によって傑出している。
【0035】
吸込み圧を改善するために、図1、図5c、図7、図9及び図10に示されたポンプ構成では、少なくとも1つの接続管路8,9,11の吸込み側の開口は、ポンプ室の所定領域に配置されているか又はこの所定領域の近傍に配置されていて、この所定領域においては、該ポンプ室に配設されたダイヤフラムは、1つのポンプサイクル中に最初に湾曲しながら転動する。つまり吸込み側の開口12は、駆動軸の回転軸線を含むポンプ長手方向中心平面から有利には約45°だけ、ポンプ室2,3,4の所定領域に向かってずらされていて、これによってポンプ室2,3,4の所定の半球領域内に配置されており、この所定の半球領域においては、該ポンプ室に向けられたダイヤフラムは1つのポンプサイクル中に最初に湾曲しながら転動し、ダイヤフラムの転動した部分は、吸込み開始に際してポンプ室の壁から最初に離れる。
【0036】
つまり図示された多段式のダイヤフラムポンプの並列的なポンプ運転から直列的なポンプ運転への切換えは、後続のポンプ段における吸込み圧が、先行するポンプ段における吐出圧よりも低い場合に、実現される。この効果を得ることができるようにするために、連接棒に配設されたクランク機構の、頂部と頂部との間のクランク角は、有利には180°だけずらされて配置されていなければならない。1つの接続管路8,9又は11の小さな吸込み側の開口12が連接棒旋回平面の近くに位置していればいるほど、すなわちシール室の側、つまり連接棒が上昇行程時に連接棒の傾転運動によって回転方向に変向される側において、連接棒旋回平面への接近によって、該連接棒旋回平面の近くに位置していればいるほど、吸込み圧は低くなる。次のポンプ段における最も低い吸込み圧は、少なくとも1つの接続8,9,11の小さな吸込み側の開口が正確に連接棒旋回平面に位置している場合に、生じる。0ポイントと連接棒旋回平面との間における各位置は、該位置に固有の吸込み圧を生ぜしめる。このようにして、直列接続されたポンプの吸込み曲線への並列接続されたポンプの吸込み曲線の移行に対して影響を及ぼすことができる。この場合単に、ポンプ段2,3,4のうちの1つにおいて、吸込み側の開口12の配置形式を前記方向に変化させるだけで、影響を及ぼすことが可能である。プロセスは第1のポンプ段1において始まり、次々と、後続のヘッド及びポンプ段2,3,4を介して続けられる。場合によっては、ポンプ段2,3,4を互いに接続する接続管路8,9,11の吸込み側の開口12の、連接棒旋回平面に向かう配置形式において、旋回角を種々異ならせることによっても、吸込み圧及び吸込み能力の曲線経過における移行範囲に影響を及ぼすことができる。
【0037】
図2、図5d及び図8に示されたポンプ構成では、代わりに吸込み能力を改善することが望まれている。そのために少なくとも1つのポンプ段1,2,3,4において、少なくとも1つの接続管路8,9,11の吐出側の開口13がポンプ室1,2,3,4の所定領域に配置されているか又はこの所定領域に接近させられており、この所定領域において、ポンプ室1,2,3,4に配設されたダイヤフラムは1つのポンプサイクル中に最初に湾曲しながら転動する。つまり吐出側の開口13はポンプ長手方向中心平面から有利には約45°だけポンプ室の所定領域に向かってずらされていて、これによってポンプ室の所定の半球領域に配置されており、この所定の半球領域において該ポンプ室に配設されたダイヤフラムは1つのポンプサイクル中に最初に湾曲しながら転動し、ダイヤフラムの転動した部分は、吐出の開始に際してポンプ室の壁に最初に接近する。
【0038】
図4には、図1、図5c、図7、図9及び図10に示されたポンプ構成及び図2、図5d及び図8に示されたポンプ構成における吸込み圧及び吸込み能力の曲線経過も示されている。図1、図5c、図7、図9及び図10に示されたポンプ構成の「−45°/+45°」で示された曲線経過が、改善された、つまり付加的に減じられた吸込み圧によって傑出しているのに対して、図2、図5d及び図8に示されたポンプ構成の「+45°/−45°」で示された曲線経過は、改善された吸込み能力を有している。
【0039】
図1、図2、図3、図5c、図5d、図7、図8、図9及び図10の比較から明らかなように、少なくとも1つの接続管路8,9,11の吐出側もしくは吸込み側の開口12,13と、流体入口6に設けられた吸込み弁とは、連接棒旋回平面に対して垂直に延びる線上にほぼ配置されている。
【0040】
図示のダイヤフラム吸込みポンプ10,100は真空ポンプとしてしばしば、湿った蒸気を排出するためにも使用することができる。不都合な圧力状態及び温度状態ではしかしながら、最後の及び先行するポンプ段2,3,4において凝縮水の発生することがある。ダイヤフラム吸込みポンプ10,100の並列運転において、最大の最終圧は通常、凝縮水の気化圧よりも高い。従って凝縮水は排気過程に対して影響を及ぼさない。しかしながらこのようなダイヤフラム吸込みポンプの直列運転では、ポンプの最終圧はしばしば凝縮水の気化ポイント(Verdampfungspunkt)を下回っているので、凝縮水の戻り膨張(Rueckexpansion)に基づいて最終圧に達し得ない。
【0041】
図6〜図10に示されたポンプ構成では少なくとも1つの接続管路8,9,11が、特に後続のポンプ室2,3,4の間に降下する管路経過を備えており、そのために接続管路8,9,11の流入側の管路区分は流出側の管路区分に比べて高い位置に配置されている。少なくとも1つの、特に後続のポンプ室2,3,4の間に設けられた接続管路8,9,11の、このような降下する配置形式によって、後続のポンプ室において場合によっては発生する凝縮水の吹出しもしくは排出(Ausblasen)が容易になり、図示されたダイヤフラム吸込みポンプの、吸込み能力に関するポンプ特性が、さらに付加的に促進される。この場合凝縮水は通常大気圧の近傍において、ひいては多くの場合、多段のダイヤフラム吸込みポンプの直列接続されたポンプ室の最後の3つのポンプ段において発生する。図示されたダイヤフラム吸込みポンプは、常に場合によっては生じる凝縮水が作業ガス自体によって吹き出されるにもかかわらず、連続的な排気プロセスによって傑出している。図9と図10との比較から明らかなように、吸込み圧に関する吸込み曲線を、ポンプ室1,2,3,4に設けられた接続管路8,9,11の開口のずらされた配置形式を用いた切換え圧の変化によって、最適化しようとするならば、ポンプハウジングの両側に設けられたヘッドに位置する、接続管路8,9,11の吸込み側の開口12は、連接棒旋回平面に向かって配置され、かつ連接棒が上昇行程時に傾転運動によって回転方向に変位されるヘッドの側に配置されねばならない。これによって第2のポンプ段2には吸込み側の開口12は駆動軸線の上方に位置し、これに対して第3のポンプ段3の吐出側の開口は軸線の下に位置することができ、その結果このような対向式ポンプの横置き型の配置形式において、降下する接続管路が得られる。
【0042】
それに対して上に述べた対向式ポンプは、図6〜図8に示されているように、縦置き型の配置形式で運転されるので、第2のポンプ段2と第3のポンプ段3との間における接続管路9は水平に配置されており、これに対して第3のポンプ段3と第4のポンプ段4との間における接続管路11は降下するように配置されている。このような場合には、第2のポンプ段2に設けられた接続管路の吸込み側の開口12がクランク軸線の上に配置され、かつ/又は第3のポンプ段3に設けられた接続管路の吐出側の開口13がクランク軸線の下に配置されているような実施形態が有利である。
【0043】
図11に略示されているように、比較的小さく形成された逆止弁の間における接続管路8,9,11の横断面dは、その中で発生するガス速度が凝縮水の排出のために十分であるように設計されることが望ましい。図示されたポンプ構成の接続管路は従って管路直径dを有しており、この管路直径dは、吐出弁又は吸込み弁に通じる吐出管路又は吸込み管路の管路内径横断面Dの半分と同じか又はそれよりも小さい。このように構成されていることによって、接続管路8,9,11の降下する又は水平な配置形式において、最低の有効ガス速度が得られる。
【符号の説明】
【0044】
1,2,3,4 室、 6 流体入口、 7 流体出口、 8,9,11 接続管路、 10 ダイヤフラム吸込みポンプ、 12,13 開口、 100 ダイヤフラム吸込みポンプ、 d,D 接続管路の直径、 L 中心線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段式のダイヤフラム吸込みポンプ(10)であって、少なくとも2つのポンプ室(1,2,3,4)が設けられていて、該ポンプ室(1,2,3,4)はそれぞれ1つの、少なくとも1つの流入弁を有する流体入口(6)と、少なくとも1つの流出弁を有する流体出口(7)とを有しており、ポンプ室(1,2,3,4)の流体入口(6)を接続する吸込み管路が設けられており、相前後して連続するポンプ室(1,2,3,4)はそれぞれ少なくとも1つの接続管路(8,9,11)を介して互いに接続されていて、ダイヤフラム吸込みポンプ(10)は、吸込み管路内における所定の差圧の到達時もしくは超過時に、ポンプ室(1,2,3,4)の並列作動運転から該ポンプ室(1,2,3,4)の少なくともまた直列作動運転へと移行するようになっており、少なくとも1つの接続管路(8,9,11)の流入領域及び流出領域にそれぞれ、後続のポンプ段に向かって開放する少なくとも1つの逆止弁が配置されている形式のものにおいて、少なくとも1つのポンプ室(1,2,3,4)に、吸込み圧を改善するために少なくとも1つの接続管路(8,9,11)の吸込み側の開口(12)が、又は吸込み能力を改善するために少なくとも1つの接続管路(8,9,11)の吐出側の開口(13)が、ポンプ室(1,2,3,4)の所定領域(B,C)に配置されているか又は該所定領域(B,C)の近傍に配置されていて、この所定領域(B,C)において、前記ポンプ室(1,2,3,4)に配設されたダイヤフラムが1つのポンプサイクル中に最初に湾曲して転動することを特徴とする、多段式のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項2】
ダイヤフラム吸込みポンプ(10)の各ポンプ室(1,2,3,4)に、連接棒旋回平面において傾転可能な連接棒が配設されており、少なくとも1つのポンプ室(1,2,3,4)内に、少なくとも1つの接続管路(8,9,11)の吸込み側の開口(12)又は吐出側の開口(13)が連接棒旋回平面において設けられている、請求項1記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項3】
少なくとも1つの接続管路(8,9,11)の吸込み側の開口(12)又は吐出側の開口(13)は、ポンプ室(1,2,3,4)の、ダイヤフラムの緊締ゾーンに隣接した縁部領域に配置されている、請求項1又は2記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項4】
少なくとも1つのポンプ室(1,2,3,4)において、少なくとも1つの接続管路(8,9,11)の吸込み側の開口(12)又は吐出側の開口(13)と吸込み弁とはほぼ、連接棒旋回平面に対して垂直に延びる線上に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項5】
少なくとも、圧送方向における第2のポンプ段のポンプ室(2)に、吸込み圧を改善するために、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口(12)は、該ポンプ室(2)の所定領域に配置されているか又は該所定領域の近傍に配置されていて、この所定領域において、該ポンプ室に配設されたダイヤフラムが1つのポンプサイクル中に最初に湾曲して転動する、請求項1から4までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項6】
少なくとも、圧送方向における第1のポンプ段のポンプ室(1)に、吸込み能力を改善するために、少なくとも1つの接続管路の吐出側の開口(13)は、該ポンプ室(1)の所定領域に配置されているか又は該所定領域の近傍に配置されていて、この所定領域において、該ポンプ室に配設されたダイヤフラムが1つのポンプサイクル中に最初に湾曲して転動する、請求項1から4までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項7】
少なくとも1つの接続管路(8,9,11)が、特に後続の各ポンプ室(1,2,3,4)の間において、降下する管路経過を有しており、そのために該少なくとも1つの接続管路(8,9,11)の流入側の管路区分は流出側の管路区分に比べて高い位置に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項8】
多段のダイヤフラム吸込みポンプ(10,100)のポンプ段(1,2,3,4)は、対を成して対向式に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項9】
第2のポンプ段(2)に設けられた接続管路(9)の吸込み側の開口(12)は、クランク軸線の上に配置されていて、かつ/又は第3のポンプ段(3)に設けられた接続管路吐出側の開口(13)は、クランク軸線の下に配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項10】
接続管路(8,9,11)は、吐出弁又は吸込み弁に通じる吐出管路又は吸込み管路の管路内径横断面の半分と同じか又はそれよりも小さい管路直径を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項11】
ダイヤフラム吸込みポンプ(10,100)は4つのポンプ室(1,2,3,4)を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項12】
相前後して連続するポンプ室(1,2,3,4)の第1のポンプ室(1)及び最後のポンプ室(4)に、1つの接続管路の少なくとも1つの吸込み側の開口又は吐出側の開口が設けられていて、中間に配置されたポンプ室(2,3)に、接続管路の少なくとも1つの吸込み側の開口と少なくとも1つの吐出側の開口とが設けられている、請求項1から11までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項1】
多段式のダイヤフラム吸込みポンプ(10)であって、少なくとも2つのポンプ室(1,2,3,4)が設けられていて、該ポンプ室(1,2,3,4)はそれぞれ1つの、少なくとも1つの流入弁を有する流体入口(6)と、少なくとも1つの流出弁を有する流体出口(7)とを有しており、ポンプ室(1,2,3,4)の流体入口(6)を接続する吸込み管路が設けられており、相前後して連続するポンプ室(1,2,3,4)はそれぞれ少なくとも1つの接続管路(8,9,11)を介して互いに接続されていて、ダイヤフラム吸込みポンプ(10)は、吸込み管路内における所定の差圧の到達時もしくは超過時に、ポンプ室(1,2,3,4)の並列作動運転から該ポンプ室(1,2,3,4)の少なくともまた直列作動運転へと移行するようになっており、少なくとも1つの接続管路(8,9,11)の流入領域及び流出領域にそれぞれ、後続のポンプ段に向かって開放する少なくとも1つの逆止弁が配置されている形式のものにおいて、少なくとも1つのポンプ室(1,2,3,4)に、吸込み圧を改善するために少なくとも1つの接続管路(8,9,11)の吸込み側の開口(12)が、又は吸込み能力を改善するために少なくとも1つの接続管路(8,9,11)の吐出側の開口(13)が、ポンプ室(1,2,3,4)の所定領域(B,C)に配置されているか又は該所定領域(B,C)の近傍に配置されていて、この所定領域(B,C)において、前記ポンプ室(1,2,3,4)に配設されたダイヤフラムが1つのポンプサイクル中に最初に湾曲して転動することを特徴とする、多段式のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項2】
ダイヤフラム吸込みポンプ(10)の各ポンプ室(1,2,3,4)に、連接棒旋回平面において傾転可能な連接棒が配設されており、少なくとも1つのポンプ室(1,2,3,4)内に、少なくとも1つの接続管路(8,9,11)の吸込み側の開口(12)又は吐出側の開口(13)が連接棒旋回平面において設けられている、請求項1記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項3】
少なくとも1つの接続管路(8,9,11)の吸込み側の開口(12)又は吐出側の開口(13)は、ポンプ室(1,2,3,4)の、ダイヤフラムの緊締ゾーンに隣接した縁部領域に配置されている、請求項1又は2記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項4】
少なくとも1つのポンプ室(1,2,3,4)において、少なくとも1つの接続管路(8,9,11)の吸込み側の開口(12)又は吐出側の開口(13)と吸込み弁とはほぼ、連接棒旋回平面に対して垂直に延びる線上に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項5】
少なくとも、圧送方向における第2のポンプ段のポンプ室(2)に、吸込み圧を改善するために、少なくとも1つの接続管路の吸込み側の開口(12)は、該ポンプ室(2)の所定領域に配置されているか又は該所定領域の近傍に配置されていて、この所定領域において、該ポンプ室に配設されたダイヤフラムが1つのポンプサイクル中に最初に湾曲して転動する、請求項1から4までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項6】
少なくとも、圧送方向における第1のポンプ段のポンプ室(1)に、吸込み能力を改善するために、少なくとも1つの接続管路の吐出側の開口(13)は、該ポンプ室(1)の所定領域に配置されているか又は該所定領域の近傍に配置されていて、この所定領域において、該ポンプ室に配設されたダイヤフラムが1つのポンプサイクル中に最初に湾曲して転動する、請求項1から4までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項7】
少なくとも1つの接続管路(8,9,11)が、特に後続の各ポンプ室(1,2,3,4)の間において、降下する管路経過を有しており、そのために該少なくとも1つの接続管路(8,9,11)の流入側の管路区分は流出側の管路区分に比べて高い位置に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項8】
多段のダイヤフラム吸込みポンプ(10,100)のポンプ段(1,2,3,4)は、対を成して対向式に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項9】
第2のポンプ段(2)に設けられた接続管路(9)の吸込み側の開口(12)は、クランク軸線の上に配置されていて、かつ/又は第3のポンプ段(3)に設けられた接続管路吐出側の開口(13)は、クランク軸線の下に配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項10】
接続管路(8,9,11)は、吐出弁又は吸込み弁に通じる吐出管路又は吸込み管路の管路内径横断面の半分と同じか又はそれよりも小さい管路直径を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項11】
ダイヤフラム吸込みポンプ(10,100)は4つのポンプ室(1,2,3,4)を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【請求項12】
相前後して連続するポンプ室(1,2,3,4)の第1のポンプ室(1)及び最後のポンプ室(4)に、1つの接続管路の少なくとも1つの吸込み側の開口又は吐出側の開口が設けられていて、中間に配置されたポンプ室(2,3)に、接続管路の少なくとも1つの吸込み側の開口と少なくとも1つの吐出側の開口とが設けられている、請求項1から11までのいずれか1項記載のダイヤフラム吸込みポンプ。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−506084(P2013−506084A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531251(P2012−531251)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005061
【国際公開番号】WO2011/038807
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(591049066)カー エヌ エフ ノイベルガー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (5)
【氏名又は名称原語表記】KNF Neuberger GmbH
【住所又は居所原語表記】Alter Weg 3, D−79112 Freiburg, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005061
【国際公開番号】WO2011/038807
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(591049066)カー エヌ エフ ノイベルガー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (5)
【氏名又は名称原語表記】KNF Neuberger GmbH
【住所又は居所原語表記】Alter Weg 3, D−79112 Freiburg, Germany
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]