説明

多環式グアニン誘導体ホスホジエステラーゼV阻害剤

【課題】 有益な治療特性、有用な薬理学的特性および良好な代謝安定性を有するPDE V阻害剤を提供すること、さらに、他の種類のPDE阻害剤よりも非常に強力かつ選択的なPDE V阻害剤であって、PDE Vが一定の役割を果たす種々の生理症状および疾患を治療する(特に、副作用を最小にして勃起不全を治療する)のに有効なPDE V阻害剤を提供すること。
【解決手段】 式(Ia)または(Ib)により表わされる化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物:



【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2001年11月9日に出願された米国仮特許出願第60/344,498号からの優先権の利益を主張しており、その内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【技術分野】
【0002】
(発明の分野)
本発明は、多環式グアニン誘導体に関し、これは、ホスホジエステラーゼV阻害剤として、および/または泌尿器、血管または肺の障害を治療するのに有用であり得る。
【0003】
(説明)
ホスホジエステラーゼ(「PDE」)V阻害剤化合物は、PDE Vアイソエンザイムを阻害する。特定のキサンチン/グアニンPDE V阻害剤は、心血管障害および肺障害を治療するために有用である。例えば、米国特許第5,824,683号、第5,939,419号および第5,393,755号(各々の内容は、本明細書中で参考として援用されている)は、心血管障害および肺障害を治療するのに有用な多環式グアニンPDE V誘導体を開示している。
【0004】
他のPDE V阻害剤は、インポテンツを治療するのに有用である。勃起不全またはインポテンツは、治療可能な、非常によく知られた健康上の問題であり、米国では、3千万人を超える男性が発症している(65才以上では、4人に1人)。勃起不全は、男性が性交を行うのに十分な勃起を持続して維持できないときに、起こる。過去には、心理的理由が勃起不全の最も一般的な解釈であるか、自然の加齢の一部によると考えられていた。しかしながら、研究者は、今日では、勃起不全の70%を超える症例の身体的問題または医学的問題が原因であると考えている。以下を含めた勃起不全の原因となり得るいくつかの要因がある。
【0005】
・アテローム性動脈硬化症(すなわち、動脈の硬化)、高血圧および高コレステロールが原因の乏しい血液循環;
・神経障害(例えば、多発性硬化症、アルツハイマー病およびパーキンソン病);
・糖尿病、甲状腺障害または低テストステロンレベルが原因のホルモンの不均衡;
・脊髄損傷、前立腺の手術または骨盤領域に対する他の外傷により引き起こされる外傷;
・処方箋および店頭医薬品(例えば、血圧医薬品、抗欝薬または特定薬剤の組み合わせ);あるいは
・生活習慣(例えば、喫煙、アルコール乱用または不法薬物の使用)。
【0006】
K.Murray in Phosphodiesterase V Inhibitors,DN & P6(3),150〜156(1993年4月)(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)により記述された1群のPDE V阻害剤は、多数の生理的障害に対して潜在的な治療価値を有する。このMurrayの文献で開示された1つの化合物には、MIMAX、すなわち、その8位が−NHCH基で置換された多環式キサンチンPDE V阻害剤がある。
【0007】
米国特許第5,409,934号、米国特許第5,470,579号、WO93/23401、WO92/05176およびWO92/05175(それらの内容は、本明細書中で参考として援用されている)は、その8位が多数の異なる官能基で置換された特定のキサンチンPDE V阻害剤を開示している。インポテンツを治療するのに有用な他の種類の複素環PDE V阻害剤は、米国特許第6,140,329号、米国特許第6,100,270号およびWO94/28902で開示されており、それらの内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0008】
インポテンツを治療するのに特定のPDE V阻害剤を使用することは、クエン酸シルデナフィル(Viagra(登録商標)(Pfizer,NY.NY)として市販されているPDE V阻害剤)の導入と共に、商業的な成功を収めている。Viagra(登録商標)の化学作用および使用は、勃起不全の治療における作用機構を含めて、EP0702555B1(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)で教示されている。勃起不全を治療するのに有用な他のPDE V阻害剤は、WO99/24433(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)で開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
有益な治療特性、有用な薬理学的特性および良好な代謝安定性を有するPDE V阻害剤を提供することが望まれている。さらに、他の種類のPDE阻害剤よりも非常に強力かつ選択的なPDE V阻害剤であって、PDE Vが一定の役割を果たす種々の生理症状および疾患を治療する(特に、副作用を最小にして勃起不全を治療する)のに有効なPDE V阻害剤を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(項目1)式(Ia)または(Ib)により表わされる化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物:
【化1】

ここで、
q=0、1または2である;
、R、R、RおよびRは、それぞれ別個に、H、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基であり、
ここで、R、R、R、RおよびRの各アルキル基は、別個に、非置換であるか、または1個〜5個の別個に選択されたR部分で置換されており、該R部分は、同一または異なり得、各R部分は、別個に、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基、ハロアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、シクロアルキルアミノ基およびヘテロシクロアルキルアミノ基からなる群から選択される;
ここで、R、R、R、RおよびRの該アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、別個に、非置換であるか、または1個〜5個の別個に選択されたR部分で置換されており、該R部分は、同一または異なり得、各R部分は、別個に、ハロ基、フェニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、−OCF基、アシルオキシ基、−OR基、−C(O)R基、−C(O)OR基、−NR10C(O)R基、−NR10C(O)OR基、−NR10S(O)基、−S(O)0〜2基、Rの該シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基の同じ炭素原子に結合した2個の水素が置換されているときカルボニル、およびRの該シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基の同じ炭素原子に結合した2個の水素が置換されているとき=CRからなる群から選択され、
ここで、該R部分およびR部分の該アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基の各々は、別個に、非置換であるか、または1個〜5個の別個に選択されたR12部分で置換されており、該R12部分は、同一または異なり得、各R12部分は、別個に、以下からなる群から選択される:ハロ基、フェニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、−OCF基、アシルオキシ基、−OR基、−C(O)R基、−C(O)OR基、−NR10C(O)R基、−NR10C(O)OR基、−NR10S(O)基、−S(O)0〜2基、RまたはRの該シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基の同じ炭素原子に結合した2個の水素が置換されているときカルボニル、およびRまたはRの該シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基の同じ炭素原子に結合した2個の水素が置換されているとき=CR;あるいは
およびRは、それらが共に結合する炭素原子と一緒になって、4員〜7員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環を形成し、そしてRおよびRは、それぞれ別個に、Hまたはアルキル基である;あるいは
およびRは、それらが結合するそれぞれの炭素原子と一緒になって、4員〜7員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環を形成し、そしてRおよびRは、それぞれ別個に、Hまたはアルキル基である;
は、H、ハロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アミノスルホニル基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基、アミノアルキルアミノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基またはアルキルアミノカルボニル基であり、
の各アルキル基は、別個に、非置換であるか、または1個〜5個の別個に選択されたR13部分で置換されており、該R13部分は、同一または異なり得、各R13部分は、別個に、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、モノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基からなる群から選択され、
ここで、R13の各アリール基は、別個に、非置換であるか、または1個〜5個の別個に選択されたR部分で置換されており、該R部分は、同一または異なり得る;
Yは、以下で置換されたアルキル基である:(i)アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基、あるいは(ii)アリール基であって、該アリール基は、1個〜3個の部分で置換されており、該部分は、それぞれ別個に、以下からなる群から選択される:ハロ基、アルキル基、フェニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基;
各Rは、別個に、H、アルキルまたはアリールである;
各Rは、別個に、H、アルキル、アリールまたは−NR1011である;
各R10は、別個に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり、ここで、R10の各アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルは、非置換であるか、または1個〜5個のR14部分で別個に置換されており、該R14部分は、同一または異なり得、各R14部分は、別個に、以下からなる群から選択される:ハロ基、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、−CF基、−OCF基、−CN、−OR、−CHOR、−C(O)ORおよび−C(O)NR;そして
各R11は、別個に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり、ここで、R11の各アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルは、非置換であるか、または1個〜5個のR14部分で別個に置換されており、該R14部分は、同一または異なり得る、
化合物。
(項目2)qが、0である、項目1に記載の化合物、塩または溶媒和物。
(項目3)Rが、Hまたはアルキル基である、項目1に記載の化合物、塩または溶媒和物。
(項目4)Rが、エチル基である、項目3に記載の化合物、塩または溶媒和物。
(項目5)R、R、RおよびRが、それぞれ別個に、Hまたはアルキル基であり、該アルキル基が、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で置換されている、項目1に記載の化合物、塩または溶媒和物。
(項目6)R、R、RおよびRの3個が、Hであり、そしてR、R、RおよびRの残りの1個が、ベンジル基、モノフルオロベンジル基またはイソプロピル基である、項目5に記載の化合物、塩または溶媒和物。
(項目7)RおよびRが、それらが共に結合する炭素と一緒になって、5員シクロペンチル環を形成し、そしてRおよびRが、それぞれ別個に、Hであるか、またはRおよびRが、それらが共に結合する炭素と一緒になって、5員シクロペンチル環を形成し、そしてRおよびRが、それぞれ別個に、Hである、項目1に記載の化合物、塩または溶媒和物。
(項目8)Rが、H、ハロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アミノスルホニル基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基、アミノアルキルアミノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基またはアルキルアミノカルボニル基である、項目1に記載の化合物、塩または溶媒和物。
(項目9)Rが、Br基、Cl基、I基、メトキシ基、エトキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基またはアミノカルボニル基である、項目8に記載の化合物、塩または溶媒和物。
(項目10)Yが、(ii)アリール基で置換されたアルキル基であり、該アリール基が、1個〜3個の部分で置換されており、該部分が、それぞれ別個に、以下からなる群から選択される、項目1に記載の化合物、塩または溶媒和物:ハロ基、アルキル基、フェニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基。
(項目11)Yが、以下である、項目10に記載の化合物、塩または溶媒和物:
【化2】

ここで、各R、RおよびRは、別個に、以下からなる群から選択される:H、ハロ、アルキル、ヒドロキシおよびアルコキシ。
(項目12)Yが、ベンジル基であり、該ベンジル基が、以下からなる群から選択される1個〜2個の置換基で置換されている、項目11に記載の化合物、塩または溶媒和物:ブロモ、クロロ、アルキル、ヒドロキシおよびアルコキシ。
(項目13)前記化合物が、以下:
【化3】

、それらの塩および溶媒和物からなる群から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目14)以下:
【化4】

である、項目13に記載の化合物。
(項目15)以下:
【化5】

である、項目13に記載の化合物。
(項目16)以下:
【化6】

である、項目13に記載の化合物。
(項目17)以下:
【化7】

である、項目13に記載の化合物。
(項目18)以下:
【化8】

である、項目13に記載の化合物。
(項目19)以下:
【化9】

である、項目13に記載の化合物。
(項目20)項目1に記載の化合物またはそれらの塩もしくは溶媒和物と薬学的に受容可能な担体とを含有する、製薬組成物。
(項目21)前記項目1に記載の化合物、それらの塩または溶媒和物が、約1〜約1000ミリグラム/日の量で、患者に投与される、項目20に記載の組成物。
(項目22)さらに、以下からなる群から選択される少なくとも1種の他の活性成分を含有する、項目20に記載の製薬組成物:PDE V阻害剤であって、該PDE V阻害剤は、項目1に記載の化合物、塩または溶媒和物とは化学的に異なる、プロスタノイド、α−アドレナリン作用性受容体アンタゴニスト、ドーパミン受容体アゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、エンドセリン受容体アンタゴニスト、エンドセリン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、中性メタロエンドペプチダーゼ阻害剤、レニン阻害剤、セロトニン5−HT2c受容体アゴニスト、ノシセプチン受容体アゴニスト、rhoキナーゼ阻害剤、カリウムチャネル修飾因子および多剤耐性タンパク質5阻害剤。
(項目23)前記少なくとも1種の他の活性成分が、以下からなる群から選択される、項目22に記載の製薬組成物:クエン酸シルデナフィル、バルデナフィル、IC−351、プロスタグランジンE、フェントラミンメシレート、アポモルヒネ、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、ボセンタンおよびABT−627。
(項目24)生理的障害、症状または疾患の治療が必要な患者における生理的障害、症状または疾患を治療する方法であって、該方法は、該患者に、少なくとも1種の項目1に記載の化合物、塩または溶媒和物の有効量を投与する工程を包含し、ここで、該生理的障害、症状または疾患は、泌尿生殖器、心血管、脳血管、末梢血管、狭心症、高血圧、血管形成術後の再狭窄、動脈内膜切除、ステント導入、脳卒中、気道、アトピー関連アレルギー状態、肺性高血圧、虚血性心疾患、グルコース寛容減損、糖尿病およびその関連合併症、インシュリン抵抗性症候群、高血糖、多嚢胞性卵巣症候群、糸球体、腎不全、腎炎、尿細管間質性、自己免疫、緑内障、腸運動、悪液質および癌からなる群から選択される、
方法。
(項目25)前記生理的障害、症状または疾患が、泌尿生殖器障害、症状または疾患である、項目24に記載の方法。
(項目26)前記泌尿生殖器障害が、勃起不全である、項目25に記載の方法。
(項目27)前記泌尿生殖器障害が、インポテンツである、項目25に記載の方法。
(項目28)患者のGMPレベルを高める方法であって、該患者に、少なくとも1種の項目1に記載の化合物、塩または溶媒和物の有効量を投与する工程を包含する、方法。
(項目29)勃起不全の治療が必要な患者における勃起不全を治療する方法であって、該患者に、少なくとも1種の項目1に記載の化合物、塩または溶媒和物の有効量を投与する工程を包含する、方法。
(項目30)前記患者が、硝酸塩供与性の製薬組成物で治療したか、治療しているか、または治療する予定である、項目29に記載の使用。
(項目31)さらに、前記患者に、以下からなる群から選択される少なくとも1種の活性成分を同時または順次に投与する工程を包含する、項目24に記載の方法:PDE V阻害剤であって、該PDE V阻害剤は、項目1に記載の化合物、塩または溶媒和物とは化学的に異なる、プロスタノイド、α−アドレナリン作用性受容体アンタゴニスト、ドーパミン受容体アゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、エンドセリン受容体アンタゴニスト、エンドセリン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、中性メタロエンドペプチダーゼ阻害剤、レニン阻害剤、セロトニン5−HT2c受容体アゴニスト、ノシセプチン受容体アゴニスト、rhoキナーゼ阻害剤、カリウムチャネル修飾因子および多剤耐性タンパク質5阻害剤。
(項目32)生理的障害、症状または疾患を治療する医薬を製造するための、式(Ia)または(Ib)により表わされる化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物の使用であって、ここで、該生理的障害、症状または疾患は、泌尿生殖器、心血管、脳血管、末梢血管、狭心症、高血圧、血管形成術後の再狭窄、動脈内膜切除、ステント導入、脳卒中、気道、アトピー関連アレルギー状態、肺性高血圧、虚血性心疾患、グルコース寛容減損、糖尿病およびその関連合併症、インシュリン抵抗性症候群、高血糖、多嚢胞性卵巣症候群、糸球体、腎不全、腎炎、尿細管間質性、自己免疫、緑内障、腸運動、悪液質および癌からなる群から選択される:
【化10】

ここで、
q=0、1または2である;
、R、R、RおよびRは、それぞれ別個に、H、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基であり、
ここで、R、R、R、RおよびRの各アルキル基は、別個に、非置換であるか、または1個〜5個の別個に選択されたR部分で置換されており、該R部分は、同一または異なり得、各R部分は、別個に、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基、ハロアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、シクロアルキルアミノ基およびヘテロシクロアルキルアミノ基からなる群から選択される;
ここで、R、R、R、RおよびRの該アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基の各々は、別個に、非置換であるか、または1個〜5個の別個に選択されたR部分で置換されており、該R部分は、同一または異なり得、各R部分は、別個に、ハロ基、フェニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、−OCF基、アシルオキシ基、−OR基、−C(O)R基、−C(O)OR基、−NR10C(O)R基、−NR10C(O)OR基、−NR10S(O)基、−S(O)0〜2基、Rの該シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基の同じ炭素原子に結合した2個の水素が置換されているときカルボニル、およびRの該シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基の同じ炭素原子に結合した2個の水素が置換されているとき=CRからなる群から選択され、
ここで、該R部分およびR部分の該アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基の各々は、別個に、非置換であるか、または1個〜5個の別個に選択されたR12部分で置換されており、該R12部分は、同一または異なり得、各R12部分は、別個に、以下からなる群から選択される:ハロ基、フェニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、−OCF基、アシルオキシ基、−OR基、−C(O)R基、−C(O)OR基、−NR10C(O)R基、−NR10C(O)OR基、−NR10S(O)基、−S(O)0〜2基、RまたはRの該シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基の同じ炭素原子に結合した2個の水素が置換されているときカルボニル、およびRまたはRの該シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基の同じ炭素原子に結合した2個の水素が置換されているとき=CRからなる群から選択される;あるいは
およびRは、それらが共に結合する炭素と一緒になって、4員〜7員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環を形成し、そしてRおよびRは、それぞれ別個に、Hまたはアルキル基である;あるいは
およびRは、それらが結合するそれぞれの炭素と一緒になって、4員〜7員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環を形成し、そしてRおよびRは、それぞれ別個に、Hまたはアルキル基である;
は、H、ハロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アミノスルホニル基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基、アミノアルキルアミノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基またはアルキルアミノカルボニル基であり、
の各アルキル基は、別個に、非置換であるか、または1個〜5個の別個に選択されたR13部分で置換されており、該R13部分は、同一または異なり得、各R13部分は、別個に、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、モノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基からなる群から選択され、
ここで、R13の各アリール基は、別個に、非置換であるか、または1個〜5個の別個に選択されたR部分で置換されており、該R部分は、同一または異なり得る;
Yは、以下で置換されたアルキル基である:(i)アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基、あるいは(ii)アリール基であって、該アリール基は、1個〜3個の部分で置換されており、該部分は、それぞれ別個に、以下からなる群から選択されるハロ基、アルキル基、フェニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基;
各Rは、別個に、H、アルキルまたはアリールである;
各Rは、別個に、H、アルキル、アリールまたは−NR1011である;
各R10は、別個に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり、ここで、R10の各アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルは、非置換であるか、または1個〜5個のR14部分で別個に置換されており、該R14部分は、同一または異なり得、各R14部分は、別個に、以下からなる群から選択される:ハロ基、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、−CF基、−OCF基、−CN、−OR、−CHOR、−C(O)ORおよび−C(O)NR;そして
各R11は、別個に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり、ここで、R11の各アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルは、非置換であるか、または1個〜5個のR14部分で別個に置換されており、該R14部分は、同一または異なり得る、
使用。
【0011】
(発明の要旨)
1実施態様では、本発明は、式(Ia)または(Ib)により表わされる化合物、あるいはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物に関する:
【0012】
【化11】

ここで、
q=0、1または2である;
、R、R、RおよびRは、それぞれ別個に、H、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基であり、
ここで、R、R、R、RおよびRの各アルキル基は、別個に、非置換であるか、または1個〜5個の別個に選択されたR部分で置換されており、該R部分は、同一または異なり得、各R部分は、別個に、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基、ハロアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、シクロアルキルアミノ基およびヘテロシクロアルキルアミノ基からなる群から選択される;
ここで、R、R、R、RおよびRのアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基の各々は、別個に、非置換であるか、または1個〜5個の別個に選択されたR部分で置換されており、該R部分は、同一または異なり得、各R部分は、別個に、ハロ基、フェニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、−OCF基、アシルオキシ基、−OR基、−C(O)R基、−C(O)OR基、−NR10C(O)R基、−NR10C(O)OR基、−NR10S(O)基、−S(O)0〜2基、Rの該シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基の同じ炭素原子に結合した2個の水素が置換されているときカルボニル、およびRの該シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基の同じ炭素原子に結合した2個の水素が置換されているとき=CRからなる群から選択され、
ここで、該R部分およびR部分の該アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基の各々は、別個に、非置換であるか、または1個〜5個の別個に選択されたR12部分で置換されており、該R12部分は、同一または異なり得、各R12部分は、別個に、以下からなる群から選択される:ハロ基、フェニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、−OCF基、アシルオキシ基、−OR基、−C(O)R基、−C(O)OR基、−NR10C(O)R基、−NR10C(O)OR基、−NR10S(O)基、−S(O)0〜2基、RまたはRの該シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基の同じ炭素原子に結合した2個の水素が置換されているときカルボニル、およびRまたはRの該シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基の同じ炭素原子に結合した2個の水素が置換されているとき=CR;あるいは
およびRは、それらが共に結合する炭素と一緒になって、4員〜7員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環を形成し、そしてRおよびRは、それぞれ別個に、Hまたはアルキル基である;あるいは
およびRは、それらが結合するそれぞれの炭素と一緒になって、4員〜7員のシクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環を形成し、そしてRおよびRは、それぞれ別個に、Hまたはアルキル基である;
は、H、ハロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アミノスルホニル基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基、アミノアルキルアミノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基またはアルキルアミノカルボニル基であり、
の各アルキル基は、別個に、非置換であるか、または1個〜5個の別個に選択されたR13部分で置換されており、該R13部分は、同一または異なり得、各R13部分は、別個に、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、モノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基からなる群から選択され、
ここで、R13の各アリール基は、別個に、非置換であるか、または1個〜5個の別個に選択されたR部分で置換されており、該R部分は、同一または異なり得る;
Yは、以下で置換されたアルキル基である:(i)アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基、あるいは(ii)アリール基であって、該アリール基は、1個〜3個の部分で置換されており、該部分は、それぞれ別個に、以下からなる群から選択される:ハロ基、アルキル基、フェニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基;
各Rは、別個に、H、アルキルまたはアリールである;
各Rは、別個に、H、アルキル、アリールまたは−NR1011である;
各R10は、別個に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり、ここで、R10の各アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルは、非置換であるか、または1個〜5個のR14部分で別個に置換されており、該R14部分は、同一または異なり得、各R14部分は、別個に、以下からなる群から選択される:ハロ基、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、−CF基、−OCF基、−CN、−OR、−CHOR、−C(O)ORおよび−C(O)NR;そして
各R11は、別個に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルであり、ここで、R11の各アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキルは、別個に、非置換であるか、または1個〜5個のR14部分で別個に置換されており、該R14部分は、同一または異なり得る。
【0013】
泌尿生殖器、心血管、脳血管、末梢血管、狭心症、高血圧、血管形成術後の再狭窄、動脈内膜切除、ステント導入、脳卒中、気道、アトピー関連アレルギー状態、肺性高血圧、虚血性心疾患、グルコース寛容減損、糖尿病およびその関連合併症、インシュリン抵抗性症候群、高血糖、多嚢胞性卵巣症候群、糸球体、腎不全、腎炎、尿細管間質性、自己免疫、緑内障、腸運動、悪液質および癌を治療または予防する製薬組成物および方法、あるいは患者の血漿または組織におけるcGMPの濃度を高める製薬組成物および方法(該方法は、式IaまたはIbの化合物、それらの塩または溶媒和物の治療有効量と薬学的に受容可能な担体とを投与する工程を包含する)もまた、提供されている。
【0014】
操作実施例で示したもの以外、または特に明記しない限り、成分の量、反応条件などを表わす本明細書中および特許請求の範囲で使用される全ての数値は、いずれの場合にも、「約」との用語で修飾されることが分かる。
【0015】
(詳細な説明)
上記式IaおよびIbを参照すると、1実施態様では、qは、好ましくは、0または1であり、さらに好ましくは、qは、0である。
【0016】
他の実施態様では、Rは、好ましくは、Hまたはアルキル基、さらに好ましくは、低級アルキル基(例えば、メチル基またはエチル基)である。
【0017】
好ましくは、R、R、Rおよび/またはRは、それぞれ別個に、Hまたはアルキル基であり、該アルキル基は、シクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基で置換されている。R、R、Rおよび/またはRのアルキル基上のシクロアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基の置換基の各々は、別個に、非置換であり得るか、または1個〜5個の別個に選択されたR部分(上で詳述した)で置換され得、該R部分は、同一または異なり得る。好ましくは、R、R、RおよびR基の3個は、Hであり、そしてR、R、RおよびRの残りの1個は、ベンジル基、モノフルオロベンジル基またはイソプロピル基である。
【0018】
本発明の他の実施態様では、RおよびRは、それらが結合するそれぞれの炭素と一緒になって、4員〜7員環、さらに好ましくは、5員のシクロペンチル環を形成し、そしてRおよびRは、それぞれ別個に、Hまたはアルキル基、さらに好ましくは、Hであるのが好ましい。
【0019】
本発明のさらに他の実施態様では、RおよびRは、それらが共に結合する炭素原子と一緒になって、4員〜7員環、さらに好ましくは、5員のシクロペンチル環を形成し、そしてRおよびRは、それぞれ別個に、Hまたはアルキル基、さらに好ましくは、Hであるのが好ましい。
【0020】
他の実施態様では、Rは、好ましくは、H、ハロ基、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基、アミノスルホニル基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキルアミノ基、アミノアルキルアミノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基またはアルキルアミノカルボニル基である。さらに好ましくは、Rは、Br基、Cl基、I基、メトキシ基、エトキシ基、アルキルチオ基(例えば、−SCHまたは−SCHCH)、アルコキシカルボニル基(例えば、−C(O)OCH)またはアミノカルボニル基(例えば、−C(O)NHまたは−C(O)NHCH)である。
【0021】
他の実施態様では、Yは、好ましくは、(ii)アリール基で置換されたアルキル基であり、該アリール基は、1個〜3個の部分で置換されており、該部分は、それぞれ別個に、以下からなる群から選択される:ハロ基、アルキル基、フェニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基。さらに好ましくは、Yは、以下である:
【0022】
【化12】

ここで、
、RおよびRは、それぞれ別個に、以下からなる群から選択される:H、ハロ、アルキル(例えば、−CH)、ヒドロキシおよびアルコキシ。さらに好ましくは、Yは、ベンジル基であり、該ベンジル基は、以下からなる群から選択される1個〜2個の置換基で置換されている:ブロモ、クロロ、アルキル、ヒドロキシおよびアルコキシ。
【0023】
式IaおよびIbの適当な化合物の非限定的な例を、以下の表Iで示す。これらの化合物の各々を製造する方法は、以下の対応する実施例で記述されている。
【0024】
(表I)
【0025】
【化13】







1実施態様では、本発明の好ましい化合物には、上記化合物番号1、2、3、5、6、
8、10、11、16〜18、22および24が挙げられる。本発明のさらに好ましい化合物には、化合物番号1、2、5、10、11および16〜18が挙げられる。本発明のさらにより好ましい化合物には、化合物番号2、5、11および16〜18が挙げられる。
【0026】
上で使用したように、そして本明細書全体を通じて、以下の用語は、他に指示がなければ、以下の意味を有すると理解すべきである:
「患者」とは、ヒトおよび動物の両方、好ましくは、ヒトを意味する。
【0027】
「哺乳動物」とは、ヒトおよび他の哺乳動物を意味する。
【0028】
同じ構造を記述する化学名、慣用名および化学構造は、交換可能に使用され得る。これらの定義は、特に明記しない限り、用語が単独で使用されているか他の用語と併用されているかとは無関係に、適用される。それゆえ、「アルキル」との定義は、「アルキル」だけでなく、「ヒドロキシアルキル」、「ハロアルキル」、「アルコキシ」などの「アルキル」部分にも適用される。
【0029】
特にそうでないことが公知でないか明らかでないか明記しない限り、複合用語の置換基(単一部分を同定するために組み合わされる複数の用語)が対象構造に結合する点は、その複合用語の最後の用語を介する。例えば、「アリールアルキル」置換基は、その置換基の「アルキル」部分を介して、その構造に結合する。逆に、その置換基が「アルキルアリール」であるとき、それは、この置換基の「アリール」部分を介して、その構造に結合する。
【0030】
構造式において、変数が1回より多く現れるとき(例えば、Rが、−C(O)NRにおいて2回現れるとき)、1回より多く現れる各変数の同定は、その変数の定義から別個に選択され得る。
【0031】
本明細書中で使用する「置換された」との用語は、所定構造内の1個またはそれ以上の原子またはラジカル(通常、水素原子)を、選択した原子またはラジカルで置き換えること(「置換基」)を意味する。1個より多い原子またはラジカルが同じ特定の基から選択した置換基で置き換えられ得る状況では、それらの置換基は、特に明記しない限り、各位置にて、同一または異なり得る。
【0032】
本明細書中の本文、図式、実施例および表における満たされていない原子価を有する任意のヘテロ原子は、それらの原子価を満たす水素原子を有すると想定されることにも言及しておく。
【0033】
本明細書中で使用する「アルキル」との用語は、脂肪族炭化水素基を意味し、これは、直鎖または分枝であり得、その鎖の中に、1個〜約20個の炭素原子を含有する。好ましいアルキル基は、その鎖の中に、1個〜約12個の炭素原子を含有する。さらに好ましいアルキル基は、その鎖の中に、1個〜約6個の炭素原子を含有する。最も好ましくは、その鎖の中に、1個〜約3個の炭素原子を含有する。「分枝」とは、直鎖状のアルキル鎖に、1個またはそれ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルまたはプロピル)が結合されることを意味する。「低級アルキル」とは、その鎖内に、約1個〜約6個の炭素原子を有する基を意味し、直鎖または分枝であり得る。適当なアルキル置換基は、上で詳細に述べている。アルキル鎖が2個の他の可変基と結合する(従って、二価である)場合、アルキレンとの用語が使用される。
【0034】
「アルコキシ」とは、アルキル−O−基を意味し、ここで、そのアルキル基は、先に記
述したとおりである。有用なアルコキシ基は、1個〜約12個の炭素原子、好ましくは、1個〜約6個の炭素原子を含有し得る。適当なアルコキシ基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、およびイソプロポキシが挙げられる。このアルコキシのアルキル基は、そのエーテル酸素を介して、隣接部分に結合している。
【0035】
「アルキルチオ」とは、アルキル−S−基を意味し、ここで、そのアルキル基は、先に記述したとおりである。適当なアルキルチオ基またはアルキルスルファニル基の非限定的な例には、メチルチオ、エチルチオおよびイソプロピルチオが挙げられる。そのアルキルは、イオウを介して隣接部分に結合される。
【0036】
「アミノ」とは、−NH基を意味する。
【0037】
「シクロアルキルアミノ」とは、その水素を下記シクロアルキル基で置換したアミノ基を意味する。このシクロアルキルは、そのアミノ残基を介して、隣接部分に結合される。同様に、「ヘテロシクロアルキルアミノ」とは、その水素を下記ヘテロシクロアルキルで置換したアミノ基を意味する。
【0038】
「アルキルアミノ」とは、その水素原子の1個をアルキル基で置換したアミノ基を意味する。「ジアルキルアミノ」とは、その水素原子の2個をアルキル基で置換したアミノ基を意味する。好ましい基には、そのアルキル基が低級アルキルであるものがある。このアルキルは、そのアミノ残基を介して、隣接部分に結合されている。
【0039】
「アリール」とは、芳香族単環式環系または多環式環系を意味し、これは、約5個〜14個の炭素原子、好ましくは、約6個〜約10個の炭素原子を含有する。このアリール基は、1個またはそれ以上の「環系置換基」で置換でき、これらは、同一または異なり得、そして本明細書中で定義したとおりである。適当なアリール基の非限定的な例には、フェニル、ナフチル、インデニル、テトラヒドロナフチルおよびインダニルが挙げられる。「フェニレン」とは、二価フェニル基を意味し、これには、オルト置換、メタ置換およびパラ置換が挙げられる。
【0040】
「アリールオキシ」とは、アリール−O−基を意味し、ここで、そのアリール基は、先に記述したとおりである。有用なアリールオキシ基は、5個〜約14個の炭素原子、好ましくは、6個〜約10個の炭素原子を含有し得る。適当なアリールオキシ基の非限定的な例には、フェノキシがある。このアリールオキシのアリール基は、エーテル酸素を介して、隣接部分に結合されている。
【0041】
「アリールチオ」とは、アリール−S−基を意味し、ここで、そのアリール基は、先に記述したとおりである。適当なアルキルチオ基の非限定的な例には、フェニルチオがある。このアリール基は、イオウを介して、隣接部分に結合されている。
【0042】
「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、アリール−アルキル基を意味し、ここで、このアリールおよびアルキルは、先に定義したとおりである。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含有する。適当なアラルキル基の非限定的な例には、ベンジル、フェネチルおよびナフテニルメチルが挙げられる。このアラルキルは、アルキル基を介して、隣接部分に結合されている。
【0043】
「カルボニル」とは、炭素−酸素二重結合を有するラジカル(例えば、−C(=O)−)を意味する。
【0044】
「シクロアルキル」とは、単環式または多環式の非芳香族環系を意味し、これは、約3
個〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含有する。好ましいシクロアルキル基は、約5個〜約7個の環原子を含有する。このシクロアリールは、1個またはそれ以上の「環系置換基」で置換でき、これらは、同一または異なり得、そして以下で定義したとおりである。適当な単環式シクロアルキルの非限定的な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルなどが挙げられる。適当な多環式シクロアルキルの非限定的な例には、1−デカリニル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。「シクロアルキレン」とは、対応する二価環をいい、ここで、他の基との結合点は、全ての位置異性体を含む。
【0045】
「シクロアルコキシ」とは、シクロアルキル−O−基を意味し、ここで、そのシクロアルキル基は、先に記述したとおりである。有用なシクロアルコキシ基は、3個〜約10個の炭素原子、好ましくは、5個〜約7個の炭素原子を含有し得る。適当なシクロアルコキシ基の非限定的な例には、シクロヘキシルオキシおよびシクロペンチルオキシが挙げられる。このシクロアルコキシのシクロアルキル基は、エーテル酸素を介して、隣接部分に結合されている。
【0046】
「ハロ」とは、フッ素ラジカル、塩素ラジカル、臭素ラジカルまたはヨウ素ラジカルを意味する。フルオロ、クロロまたはブロモが好ましく、フルオロおよびクロロがさらに好ましい。
【0047】
「ハロアルキル」とは、ハロ置換アリール基を意味し、ここで、そのハロ原子およびアリールは、先に記述したとおりである。適当なハロアリール基の非限定的な例には、フルオロアリールまたはクロロアリールが挙げられる。そのハロは、アリールを介して、隣接部分に結合されている。
【0048】
「ヘテロアリール」とは、芳香族の単環式または多環式の環系を意味し、これは、約5個〜約14個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含有し、ここで、その環原子の1個またはそれ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素またはイオウ)である。ヘテロ原子は、炭素環構造を遮断し、芳香族性を与えるのに十分な数の非局在化π電子を有するが、但し、これらの環は、隣接酸素および/またはイオウ原子を含有しない。好ましいヘテロアリールは、約5個〜約6個の環原子を含有する。この「ヘテロアリール」は、必要に応じて、1個またはそれ以上の「環系置換基」で置換でき、これらは、同一または異なり得、そして上で定義したとおりである。このヘテロアリール根本名称の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、環原子として、少なくとも、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子が存在していることを意味している。ヘテロアリールの窒素原子は、酸化されて、対応するN−オキシドを形成できる。全てのレギオ異性体(例えば、2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジル)が考慮される。有用な6員環ヘテロアリール基の例には、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルなどおよびそれらのN−酸化物が挙げられる。有用な5員環ヘテロアリール環の例には、フリル、チエニル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリルなどが挙げられる。有用な二環式基には、上記ヘテロアリール基から誘導したベンゾ縮合環系(例えば、キノリル、フタラジニル、キナゾリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニルおよびインドリル)がある。
【0049】
「ヘテロアラルキル」とは、ヘテロアリール−アルキル基を意味し、ここで、このヘテロアリールおよびアルキルは、先に定義したとおりである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含有する。適当なヘテロアラルキル基の非限定的な例には、ピリジルメチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。その親部分への結合は、アルキルを介している。
【0050】
「ヘテロシクロアルキル」とは、単環式または多環式の非芳香族飽和環系を意味し、これは、約3個〜約10個の炭素原子、好ましくは、約5個〜約10個の炭素原子を含有し、ここで、その環系原子の1個またはそれ以上は、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素またはイオウ)単独またはその組合せである。これらの環系では、隣接酸素および/またはイオウ原子が存在しない。好ましいヘテロシクロアルキルは、約5個〜約6個の環原子を含有する。このヘテロシクロアルキル根本名称の前の接頭辞アザ、オキサまたはチアは、それぞれ、環原子として、少なくとも、窒素原子、酸素原子またはイオウ原子が存在していることを意味している。このヘテロシクロアルキルは、必要に応じて、上記のような1個またはそれ以上の環系置換基で置換できる。このヘテロシクロアルキルの窒素原子またはイオウ原子は、必要に応じて、対応するN−オキシド、S−オキシドまたはS,S−ジオキシドに酸化できる。適当な単環式ヘテロシクロアルキルの非限定的な例には、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニルなどが挙げられる。
【0051】
「環系置換基」とは、芳香族環系または非芳香族環系に結合した置換基を意味し、これは、例えば、その環系上の利用可能な水素を置き換える。環系置換基は、同一または異なり得る。R、R、R、RおよびRのアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基、ならびにR13のアリール基に適当な環系置換基は、上述のような1個〜5個の別個に選択したR部分である。アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルR部分の各々は、上述のような1個〜5個の別個に選択したR12部分で置換できる。Yのアリール基(ii)は、1個〜3個の環系置換基または部分で置換でき、これらは、それぞれ別個に、ハロ基、アルキル基、フェニル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、フェノキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基からなる群から選択される。
【0052】
化合物中の官能基が「保護された」と呼ばれるとき、これは、その化合物を反応にかけたとき、その基が保護部位で望ましくない副反応を受けるのを防止する変性形態にあることを意味する。適当な保護基は、当業者に知られているだけでなく、標準的な教本(例えば、T.W.Greeneら、Protective Groups in organic Synthesis(1991)、Wiley,New.York)を参照できる。
【0053】
任意の可変基(例えば、アリール、ヘテロシクロアルキル、Rなど)が、任意の成分または式IaもしくはIbにおいて、1回より多く現れるとき、各出現例でのその定義は、いずれの他の出現例でのその定義とも無関係である。
【0054】
本明細書中で使用する「組成物」との用語は、特定量で特定の成分を含有する生成物だけでなく、特定量の特定成分の組合せから直接的または間接的に得られる任意の生成物を包含すると解釈される。
【0055】
本発明の化合物のプロドラッグおよび溶媒和物もまた、本明細書中で考慮される。「プロドラッグ」との用語は、本明細書中で使用するとき、薬剤前駆体である化合物を意味し、これは、被験体に投与すると、代謝または化学プロセスにより化学変換を受けて、式IaもしくはIbの化合物またはその塩および/もしくは溶媒和物を生じる。プロドラッグの論述は、T.Higuchi and V.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems(1987)14 of the A.C.S.Symposium SeriesおよびBioreversible.Carriers in Drug Design,(1987) Edward B.Roche著、American Pharmaceutical Association and Pergamon Pressで提供されており、両文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0056】
「溶媒和物」とは、1種またはそれ以上の溶媒分子による本発明の化合物の物理的会合を意味する。この物理的会合には、種々の程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含めて)が関与している。ある場合には、この溶媒和物は、例えば、1種またはそれ以上の溶媒分子を結晶性固形物の結晶格子に取り込むとき、単離できる。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能溶媒の両方を包含する。適当な溶媒和物の非限定的な例には、エタノレート、メタノレートなどが挙げられる。「水和物」とは、その溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0057】
式IaおよびIbの化合物は、本発明の範囲内である塩を形成する。本明細書中での式IaまたはIbの化合物の言及は、他に指示がなければ、その塩の言及を含むことが分かる。「塩」との用語は、本明細書中で使用するとき、無機酸および/または有機酸で形成された酸性塩だけでなく、無機塩基および/または有機塩基で形成された塩基性塩基を意味する。それに加えて、式IaまたはIbの化合物が塩基性部分(例えば、ピリジンまたはイミダゾール(これらに限定されないが))および酸性部分(例えば、カルボン酸(これに限定されないが))の両方を含有するとき、両性イオン(「内部塩」)が形成され得、これは、本明細書中で使用する「塩」との用語に含まれる。薬学的に受容可能な(すなわち、非毒性で生理学的に受容可能な)塩が好ましいものの、他の塩もまた、有用である。式IaまたはIbの化合物の塩は、例えば、式IaまたはIbの化合物を、この塩が沈殿する媒体または水性媒体中にて、一定量(例えば、当量)の酸または塩基と反応させることに続いて、凍結乾燥することにより、形成され得る。
【0058】
代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ塩、ショウノウ硫酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩(これはまた、トシレートとしても知られている)などが挙げられる。さらに、塩基性医薬品化合物から薬学的に有用な塩を形成するのに適当と一般に考えられている酸は、例えば、S.Bergeら、Journal of Pharmaceutical Sciences(1977)66(1)1〜19;P.Gould,International J.of Pharmaceutics(1986)33 201〜217;Andersonら、The Practice of Medicinal Chemistry(1996),Academic Press,New York;およびThe Orange Book(Food & Drug Administration,Washington,D.C.on their website)で論述されている。これらの開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0059】
代表的な塩基性塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基(例えば、有機アミン)を備えた塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン、t−ブチルアミン、およびアミノ酸を備えた塩(例えば、アルギニン、リシンなど))が挙げられる。塩基性窒素含有基は、以下のような試薬で四級化され得る:低級アルキルハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチルおよびブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチルおよびジブチル)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリルおよびステアリル)、ハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよびフェネチル)など。
【0060】
このような酸塩および塩基塩の全ては、本発明の範囲内で、薬学的に受容可能な塩であると解釈され、全ての酸塩および塩基塩は、本発明の目的のために、対応する化合物の遊離形態と等価であると考えられる。
【0061】
式IaおよびIbの化合物、ならびにその塩、溶媒和物およびプロドラッグは、それらの互変異性形態(例えば、アミドまたはイミノエーテル)で存在し得る。このような互変異性形態の全ては、本明細書中では、本発明の一部であると考慮される。
【0062】
本発明の化合物(これらの化合物の塩、溶媒和物およびプロドラッグだけでなく、これらのプロドラッグの塩および溶媒和物を含めて)の全ての立体異性体(例えば、幾何異性体、光学異性体など)(例えば、種々の置換基上の非対称炭素が原因で存在し得るもの)は、鏡像異性体(これは、非対称炭素なしで存在し得る)、回転異性体、アトロプ異性体およびジアステレオマー形態を含めて、位置異性体(例えば、4−ピリジルおよび3−ピリジル)と同様に、本発明の範囲内であると考慮される。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、他の異性体を実質的に含み得ないか、例えば、ラセミ体として混合され得るか、他の全ての立体異性体または他の選択した立体異性体と混合され得る。「塩」、「溶媒和物」、「プロドラッグ」などの用語の使用は、本発明の化合物の鏡像異性体、立体異性体、回転異性体、互変異性体、位置異性体、ラセミ体もしくはプロドラッグの塩、溶媒和物およびプロドラッグにも、同様に適用すると解釈される。
【0063】
本発明の化合物は、PDE Vアイソエンザイムを阻害するのに有用であり得る。ある化合物に対するアイソエンザイム活性(効力)およびアイソエンザイム選択性は、多数の方法で評価できる。例えば、酵素活性(効力)は、PDE V IC50値で測定でき、これは、化合物がPDE Vアイソエンザイムの50%阻害を生じるのに必要な濃度(nM)である。PDE V IC50の値が低い程、その化合物がPDE Vアイソエンザイムを阻害する活性が高くなる。同様に、IC50値は、他のPDEアイソエンザイム(例えば、PDE VIアイソエンザイム)からも得られ得る。この局面でのアイソエンザイム選択性は、他のPDEアイソエンザイムと対照的に特定のPDEアイソエンザイムに対するPDE阻害剤化合物の活性(効力)(例えば、ある化合物が、同じ化合物がPDE VIアイソエンザイムを阻害する活性と比較して、PDE Vアイソエンザイムを阻害する活性)として、定義され得る。一旦、PDE V IC50値およびPDE VI IC50値が測定されると、PDE VI IC50/PDE V IC50の選択比が計算でき、これは、アイソエンザイム選択性の指標である−この選択比が大きい程、その化合物がPDE VIアイソエンザイムと比べてPDE Vアイソエンザイムを阻害する選択性が高くなる。
【0064】
本発明の強力な化合物は、一般に、約>0nMと約22nMの間、好ましくは、約0.1nMと約7nMの間、さらに好ましくは、約0.4nMと約5nMの間、さらにより好ましくは、約0.7nMと3nMの間のPDE V IC50を有する。これらの化合物は、PDE Vアイソエンザイムを阻害する効力(活性)が比較的高い。本発明の化合物は、一般に、>約50nM、好ましくは、約100nMと約2,500nMの間、さらに好ましくは、約200nMと約1,900nMの間、さらにより好ましくは、約400nMと約1,400nMの間のPDE VI IC50を有する。これらの化合物は、PDE VIアイソエンザイムを阻害する効力(活性)が比較的に低い。本発明の選択的化合物は、一般に、約>50、好ましくは、約50と約1,000の間、さらに好ましくは、約100と約850の間、さらにより好ましくは、約200と約700の間のPDE VI IC50/PDE V IC50の選択比を有する。これらの全ての特性(PDE V IC50、PDE VI IC50およびPDE VI IC50/PDE V IC50の比)を見ると、本発明の化合物は、好ましくは、約>0nMと約7nMの間のPDE V IC50、約100nMと約2,000nMの間のPDE VI IC50、および約75と約1,000の間のPDE VI IC50/PDE V IC50の選択比を有する。さらに好ましい化合物は、上記のように、高い効力(これは、PDE V IC50で測定される)および/または高い選択性(これは、PDE VI IC50/PDE V IC50の比により測定される)との組合せを有する。
【0065】
表Iで例示した化合物は、以下の特性を示した:
(PDE V IC50
化合物1、1.3.2、2〜6、8〜13、15〜19および21〜23:約<4.1nMのPDE V IC50
【0066】
化合物1、2〜6、8、11、15〜18および21:約<2.5nMのPDE V IC50
【0067】
化合物2、4、5、11および16〜18:約<1.6nMのPDE V IC50
【0068】
(PDE VI IC50
化合物1、1.3.2、2、3、5、7〜14および16−27:約>300nMのPDE VI IC50
【0069】
化合物1、7、10、12〜14、16〜18、20および23〜27:約>475nMのPDE VI IC50
【0070】
化合物7、10、12〜14、20、23および25〜27:約>875nMのPDE
VI IC50
【0071】
(PDE VI IC50/PDE V IC50の比)
化合物1、1.3.2、2〜13および15〜27:約>90のPDE VI IC50/PDE V IC50の比。
【0072】
化合物1、2、5、10〜13、16〜18、21および23:約>195のPDE VI IC50/PDE V IC50の比。
【0073】
化合物10、13および16〜18:約>440のPDE VI IC50/PDE V IC50の比。
【0074】
(PDE V IC50、PDE VI IC50、およびPDE VI IC50/PDE V IC50の比の組合せ)
化合物1、1.3.2および2〜27:約<22nMのPDE V IC50、約>125nMのPDE VI IC50、および約>70のPDE VI IC50/PDE
V IC50の比。
【0075】
化合物1、1.3.2、2、3、5、8〜13、16〜19、22および23:約<4.1nMのPDE V IC50、約>300nMのPDE VI IC50、および約>90のPDE VI IC50/PDE V IC50の比。
【0076】
化合物1、2、5、11、16〜19および21:
約<2.2nMのPDE V IC50、約>325nMのPDE VI IC50、および約>195のPDE VI IC50/PDE V IC50の比。
【0077】
これらのデータから分かるように、式(Ia)および(Ib)を有する化合物は、(PDE V IC50で測定されるように)強力で(PDE VI IC50/PDE V
IC50で測定されるように)選択的なPDE Vアイソエンザイム阻害剤である。
【0078】
式(Ia)および(Ib)の化合物は、PDE Vアイソエンザイム活性および選択性に対して予想外に好ましい特性を示したが、このことは、それらが、泌尿生殖器疾患(例えば、男性および女性の性的機能不全、特に、勃起不全)を治療するのに特に有用であり得ることを意味する。得られる組成物は、種々の疾患状態(障害、症状および疾患)を治療するために、インビボで、患者または哺乳動物(例えば、男性または女性)に投与され得る。例えば、本発明の化合物および組成物は、泌尿生殖器系の疾患(具体的には、男性勃起不全(例えば、インポテンツ)および女性性的機能不全)を治療するのに使用され得る。男性勃起不全は、男性がパートナーと性交するのに十分な勃起か得られず達せられないかおよび/または維持できない状態として、定義され得る。勃起不全を治療する際に、式(Ia)および(Ib)の化合物は、体内のcGMP(環状グアノシン一リン酸)レベルを高め得るので、有用な治療薬であり得ると考えられている。このような作用は、海綿体平滑筋の弛緩を促進し、それにより、そこに入る血流を高め、勃起を引き起こす。これにより、本発明の化合物は、勃起不全、およびcGMPレベルの上昇により改善される他の種類の疾患(例えば、虚血性心疾患、肺性高血圧、高血圧、血液循環が乏しいことによる糖尿病の合併症、食道障害および裂肛)を治療するのに特に有用である。患者の血漿または組織中のcGMPのレベルは、当業者に周知の方法(例えば、G.Brooker,J.F.Harper,W.L.Terasaki,and R.D.Moylan,Adv.Cyclic Nucleotide Res.10,1(1979))を使用することにより、または市販のラジオイムノアッセイキット(例えば、RPA541(これは、Amersham of Little Chalfont,Buckinghamshire,England(2000)から入手できる)を使用することにより、ラジオイムノアッセイにより決定できる。
【0079】
従って、本発明の他の局面は、治療が必要な患者において勃起不全を治療する方法であり、該方法は、該患者が他の被験体と完全な性交ができるように、勃起不全に関連した1つまたはそれ以上の症状を十分に軽減および/または減少するのに有効な量で、該患者に、式(Ia)または(Ib)を有する少なくとも1種の化合物、それらの薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれを含有する製薬組成物を投与する工程を包含する。
【0080】
生理的原因の勃起不全(「ED」)を治療する最も一般的に処方される医薬品であるViagra(登録商標)を服用すると、一部の患者は、望ましくない副作用に遭遇し得る。例えば、Viagra(登録商標)(クエン酸シルデナフィル(sildenafilcitrate))の使用は、有機硝酸塩を毎日または時々使用している患者には禁忌である。Physicians’Desk Reference(登録商標)、55版、pp.2534−37(2001)。Viagra(登録商標)を硝酸塩と組み合わせると、降圧発症を引き起こし得、すなわち、血圧が危険なレベルまで急激に低下し得、これは、心臓麻痺を引き起こし得る(上記)。従って、硝酸塩薬物を使用する必要がある心臓疾患に罹っている男性は、Viagra(登録商標)を使用しないことを勧められている(上記)。また、Viagra(登録商標)は、患者の色の識別(青/緑)を弱めることにより、視覚副作用を引き起こし得、「ブルー−ハロ」光の視覚変化を引き起こすことも報告されている(上記)。この副作用は、(網膜に見られる)PDE VIアイソエンザイムの阻害が原因であると考えられている。
【0081】
本発明の化合物の利点は、他の型のPDEアイソエンザイム(例えば、PDE VIアイソエンザイム)と比較して、PDE Vアイソエンザイムに特に選択性であり得ることにある。この高い選択性は、Viagra(登録商標)の使用に関連した副作用を軽減すると考えられている。特に、本発明の化合物の高い選択性は、「ブルー−ハロ」光の視覚
変化の発生をできるだけ少なくするはずであり、それを防止し得る。PDE VIアイソエンザイム(これは、網膜で見られる)に対してPDE Vアイソエンザイム(これは、陰茎で見られる)を阻害する高いアイソエンザイム選択性は、「ブルー−ハロ」視覚副作用をなくすか少なくできる。
【0082】
さらに、本発明の化合物は、ラットにおいて、硝酸塩医薬品との有害反応がないか少なくできる。硝酸塩(例えば、ニトログリセリン、イソソルビド二硝酸エステルまたはイソソルビド5−モノ−硝酸エステル)は、循環器病を治療するのに一般的に使用されている。硝酸塩医薬品との有害反応は、危険であり、致命的であり得る。有害反応には、身体の生理的機能を脅かすかさもなければ低下させ得る任意の反応が挙げられる。さらに具体的には、患者に硝酸塩供与剤およびPDE V阻害剤を(別々にまたは一緒に)投与することを含めた併用療法の場合、有害硝酸塩応答には、いずれかの薬剤を単独で投与した場合よりも著しく患者の血圧を低下させることがある。
【0083】
この有害な硝酸塩相互作用がないことにより、勃起不全と循環器病または硝酸塩医薬品で治療する他の疾患との両方に罹っている多くの患者の勃起不全を治療する方法に道が開かれる。2種またはそれ以上の異なる病気に罹っている患者は、二重(または複数)治療が必要であるが、生まれつき一方または両方の病気を持ち得るか、遺伝的原因または他の種類の傷害または疾患(例えば、神経損傷、脊髄の傷害、糖尿病など)が原因で一方または両方の病気を後に発症し得る。本発明の他の実施態様は、(1)勃起不全および(2)硝酸塩供与医薬品で治療できる少なくとも1種の病気の両方に罹った患者を治療することにあり、本発明の治療は、併用療法を包含し、これは、哺乳動物に、少なくとも1種の本発明の化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物、またはこれらを包含する製薬組成物と、少なくとも1種の硝酸塩供与化合物またはその製薬組成物とを投与する工程を包含する。勃起不全に罹っておりかつ硝酸塩供与医薬品が必要な患者は、両方の病気を、種々の通常の様式で、例えば、式IaまたはIbの化合物と硝酸塩供与医薬品との同時投与、連続して(短時間内に交互に投与)、または順次に(第一のものに次いで、一定時間をおいて、他のものを投与)治療できる。この併用療法は、好ましくは、経口用量またはパッチ用量で、別々に行うことができ、または単一の組合せ投薬用の処方であり得る。
【0084】
本発明の化合物は、単独で使用され得るか、または他の活性薬剤、例えば、他の種類のPDE阻害剤(例えば、UK−357903またはUK−369003(Pfizer)),TA−1790(Tanabe),DA−8159(Dong−A),E−4010またはE−8010(Eisai),BMS−341400(Bristol Myers Squibb),LAS−34837およびLAS−34179(Almarill Prodesfarma)、および他のcGMP PDE V阻害剤(これらは、式IaまたはIbの化合物と化学的に異なる))、プロスタノイド、α−アドレナリン作用性受容体アンタゴニスト、ドーパミン受容体アゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、エンドセリン受容体アンタゴニスト、エンドセリン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、中性メタロエンドペプチダーゼ阻害剤、レニン阻害剤、セロトニン5−HT2c受容体アゴニスト、ノシセプチン受容体アゴニスト、rhoキナーゼ阻害剤、カリウムチャネル修飾因子および多剤耐性タンパク質5阻害剤と併用され得る。本発明の化合物と併用され得る治療剤の例には、以下がある:他の種類のPDE V阻害剤(例えば、クエン酸シルデナフィル(Viagra(登録商標)、Pfizer,Connecticut,United States)、Vardenafil(商標)(Bayer,Germany)およびIC−351(Cialis(商標)、Lilly−ICOS,Washington and Indiana,United States));プロスタノイド(例えば、プロスタグランジンE);α−アドレナリンアゴニスト(例えば、フェントラミンメシレート);ドーパミンレセプターアゴニスト(例えば、アポモルヒネ);アンジオテンシンIIアンタゴニスト(例えば、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタンおよびカンデサルタン);およびETアンタゴニスト(例えば、ボセンタンおよびABT−627)。
【0085】
本発明の範囲内にとどまりつつ、哺乳動物動物の疾患状態を処置するために、当業者により、常套的な実験で、上記のもの以外の組合せを行い得ることが分かる。本発明の化合物のいずれかは、患者に対して、単独療法の適用で使用され得るのに対して、それらはまた、併用療法で使用され得、ここで、1種またはそれ以上の本発明の化合物は、互いに、または1種またはそれ以上の他の製薬化合物と組み合わされる。この併用療法は、種々の障害、症状および疾患(例えば、上記の1種またはそれ以上の哺乳動物の疾患状態)を治療するのに有用である。
【0086】
上述のように、本発明の化合物は、それらがcGMP−PDE V阻害活性があることによって、泌尿生殖器障害(特に、女性および男性の性的機能不全(例えば、勃起不全および早漏))を治療するのに有用である。cGMP−PDE V阻害により、他の生理障害、症状および疾患もまた、恩恵を受け得る。さらに具体的には、本発明の化合物、塩などおよびそれらの製薬組成物は、循環器病および脳血管病、狭心症、高血圧、再狭窄ポスト血管形成術、動脈内膜切除、ステント導入、末梢血管病、脳卒中、気道障害(例えば、可逆性気道閉塞、慢性喘息および気管支炎)、アトピー関連アレルギー障害(例えば、蕁麻疹、湿疹および鼻炎)、虚血性心疾患、グルコース寛容減損、糖尿病および関連した合併症、インシュリン抵抗性症候群、高血糖、多嚢胞性卵巣症候群、糸球体疾患、腎不全、腎炎、尿細管間質性疾患、自己免疫疾患、緑内障、腸運動障害、悪液質、癌、神経障害、認知障害および食道障害(例えば、ナッツクラッカー食道)および裂肛を治療するのに使用され得る。
【0087】
本発明の他の局面は、単一パッケージで別々の容器を含むキットを提供することにあり、ここで、本発明の製薬化合物、塩、溶媒和物および/または組成物は、cGMP−PDE V阻害が一定の役割を果たす生理学的障害、症状および疾患を治療するために、薬学的に受容可能な担体と併用される。
【0088】
(薬学的に受容可能な剤形)
本発明の化合物および組成物は、このような治療が必要な患者に、上述の病気(例えば、血管病、肺病または泌尿器病)のいずれかを治療する治療有効量で、投与できる。これらの化合物および組成物は、それらの化合物が体内の作用部位(例えば、患者の血漿または血管平滑筋)との接触を起こす任意の適当な手段により、投与できる。
【0089】
「有効量」および「治療有効量」との語句は、式Iaおよび/またはIbの化合物および他の薬理剤または治療剤(下記)が、投与者(例えば、研究者、医師または獣医師)が求める組織、システムまたは患者の生物学的または医学的応答を誘発する量を意味し、これには、治療する病気または疾患の症状を緩和すること、および1種またはそれ以上の病気(例えば、血管病、肺病および/または泌尿器病(例えば、勃起不全))を予防し、その進行を遅延または停止することが挙げられる。本明細書中で使用される場合、「血管」は、心臓血管、脳血管、末梢血管およびこれらの組み合わせを含む。
【0090】
上記種々の化合物および組成物の1日投薬量は、望ましいように、単一用量または複数のサブ用量で、患者に投与できる。サブ用量は、例えば、1日あたり、2〜6回で投与できる。持続放出投薬量が使用できる。本発明の化合物および他の活性剤が別々の投薬量で投与される場合、1日あたり与えられる各成分の用量の数は、必ずしも同一ではあり得ず、例えば、1つの成分は、より高い活性持続時間を有し得、従って、それ程頻繁には投与する必要はない。
【0091】
本発明による有用な製薬組成物は、典型的には、約0.1%〜約99.9%(重量%または容量%、好ましくは、w/w)、好ましくは、約5%〜約95%、さらに好ましくは、約20%〜約80%の活性成分(式(Ia)または(Ib)を有する化合物)を含有する。本発明の化合物を含有する製薬組成物を調製するためには、不活性の、薬学的に受容可能な担体は、固体または液体のいずれかであり得る。
【0092】
本発明の化合物は、種々の経路(経口剤形および注射(静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下など)を含む)により、患者に投与され得る。本発明の化合物を含有する多数の他の剤形は、以下で規定するような適当な医薬賦形剤を使用して、当業者に容易に処方できる。患者が服薬遵守するように考慮して、経口剤形は、一般に、最も好ましい。
【0093】
本発明の製薬治療組成物および治療併用は、さらに、1種またはそれ以上の薬学的に受容可能な担体、1種またはそれ以上の賦形剤および/または1種またはそれ以上の添加剤を含有できる。薬学的に受容可能な担体の非限定的な例には、固体および/または液体(例えば、エタノール、グリセロール、水など)が挙げられる。この治療組成物中の担体の量は、この治療組成物または治療併用の全重量の約5〜約99重量%の範囲であり得る。適当な薬学的に受容可能な賦形剤および添加剤の非限定的な例には、非毒性の適合性充填剤、結合剤(例えば、デンプン)、崩壊剤、緩衝液、防腐剤、酸化防止剤、潤滑剤、香料、増粘剤、着色剤、乳化剤などが挙げられる。賦形剤または添加剤の量は、この治療組成物または治療併用の全重量の約0.1〜約90重量%の範囲であり得る。当業者は、担体、賦形剤および添加剤(もし存在するなら)の量を変えることができることを理解している。
【0094】
固体形態の製剤には、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシェ剤および座剤が挙げられる。適当な固体担体は、当該技術分野で公知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ショ糖またはラクトースがある。錠剤、粉末、カシュ剤およびカプセルは、経口投与に適当な固形投薬形態として、使用できる。薬学的に受容可能な担体および種々の組成物の製造方法の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18版、(1990),Mack Publishing Co.で見られ得、これは、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0095】
液状製剤には、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。一般的液状製剤には、非経口注入用に、水および水−プロピレングリコール溶液が挙げられ、また、経口溶液、懸濁液および乳濁液用に、甘味料および乳白剤の添加が挙げられる。液状製剤には、また、鼻腔内投与用の溶液が挙げられ得る。
【0096】
吸入に適当なエアロゾル製剤には、溶液および粉末形態固体が挙げられ得、これは、薬学的に受容可能な担体(例えば、不活性圧縮気体(例えば、窒素))と組み合わせられ得る。
【0097】
また、使用直前に、経口投与または非経口投与のいずれか用の液状製剤に転化され得る固形製剤も含まれる。このような液体形態には、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。
【0098】
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能であり得る。これらの経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび乳濁液の形態をとり得、この目的のために当該技術分野で通常のマトリックス型またはレザバ型の経皮パッチに含まれ得る。
【0099】
本発明の化合物を投与するのに好ましい様式は、経口である。好ましくは、この製薬製剤は、単位投薬形態である。このような形態では、この製剤は、適当な量(例えば、所望の目的を達成する有効量)の活性成分を含有する適当なサイズの単位用量に細分される。
【0100】
単位用量の製剤中の活性成分(化合物)の量は、特定の用途に従って、約0.01mg〜約4,000mg、好ましくは、約0.02mg〜約2,000mg、さらに好ましくは、約0.03mg〜約1,000mg、さらにより好ましくは、約0.04mg〜約500mg、最も好ましくは、約0.05〜約250mgで変えられるか調整され得る。経口投与に典型的な推奨1日投薬レジメンは、2回〜4回に分割した用量で、約0.02mg/日〜約2,000mg/日の範囲であり得る。便宜上、全毎日投薬量は、その日の間に、必要に応じて、分割して少しずつ投与され得る。
【0101】
経口投与に典型的な推奨1日投薬レジメンは、約0.01mg/体重1kg/日〜約100mg/体重1kg/日、好ましくは、約0.5mg/体重1kg/日と約75mg/体重1kg/日の間、さらに好ましくは、約1mg/体重1kg/日と50mg/体重1kg/日との間の本発明の化合物、塩および溶媒和物(これらは、本明細書中で記述した)の範囲であり得る。
【0102】
式IaおよびIbの化合物は、(男性)勃起不全の有効な治療(投与した際の適切な開始時間および投与後の適切な持続)を生じることが分かっている。例えば、勃起不全を治療する際には、本発明の化合物の投薬量は、性行為を行う約1時間前に服用され得る。特別な投薬量では、投与の約30分以内に機能する。理想的な投薬量は、投与の約15分以内に患者に効果をもたらすものである。食物、食生活、既存症、アルコールおよび他の全身的な状態により、その投与後に本発明の薬物が作用する時間的な遅れが長くなるものの、性的刺激と組み合わせた最適な投薬量により、理想的な時間内に、有効な薬剤治療がなされることが理解される。
【0103】
他の実施態様では、本発明は、生理的障害、症状または疾患を治療する医薬または組成物を製造するための、上記式(Ia)または(Ib)により表わされる化合物、またはそれらの薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物(これらは、本明細書中で記述した)の使用を提供し、ここで、該生理的障害、症状または疾患は、泌尿生殖器、心血管、脳血管、末梢血管、狭心症、高血圧、血管形成術後の再狭窄、動脈内膜切除、ステント導入、脳卒中、気道、アトピー関連アレルギー状態、肺性高血圧、虚血性心疾患、グルコース寛容減損、糖尿病およびその関連合併症、インシュリン抵抗性症候群、高血糖、多嚢胞性卵巣症候群、糸球体、腎不全、腎炎、尿細管間質性、自己免疫、緑内障、腸運動、悪液質および癌からなる群から選択される。
【0104】
(略語の定義)
以下は、式(Ia)および(Ib)を有する化合物を調製する一般的な方法および特定の方法である。本明細書中で使用する以下の略語は、以下のように定義する:
RTは、室温である;
Meは、メチルである;
Buは、ブチルである;
OHは、ヒドロキシルである;
MeOHは、メタノールである;
Brは、ブロモである;
Acは、アセチルである;
AcOHは、酢酸である;
Etは、エチルである;
EtOHは、エタノールである;
Phは、フェニルである;
THFは、テトラヒドロフランである;
OAcは、酢酸エステルである;
EtOAcは、酢酸エチルである;
EtOは、エチルエーテルである;
LDAは、リチウムジイソプロピルアミドである;
EtNは、トリエチルアミンである;
DMFは、ジメチルホルムアミドである;
i−PrNEtは、ジイソプロピルエチルアミンである;
PTLCは、分取薄層クロマトグラフィーである;
EtSNaは、エタンチオ酸ナトリウムである;
Calcdは、計算値である;
AIBNは、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルである;
Sat’dは、飽和である;
NaOEtは、ナトリウムエトキシドである;
hは、時間である;そして
minは、分である。
【0105】
(一般的な調製方法)
式IaおよびIbの化合物は、好ましくは、以下の一般図式1〜4に従って、当業者に公知の任意の方法により、調製できる。
【0106】
実施例1、1.3.2、2、3、7、8および12〜24は、図式1に従って、調製した。
【0107】
(図式1)
【0108】
【化14】

実施例4〜6および9〜10は、一般図式2に従って、調製した:
(図式2)
【0109】
【化15】

実施例11は、一般図式3に従って、調製した:
(図式3)
【0110】
【化16】

実施例25〜27は、一般図式4に従って、調製した:
(図式4)
【0111】
【化17】

(実施例化合物の調製)
NMRデータを提示する場合、Hスペクトルは、Varian VXR−200(200MHz、H)、Varian Gemini−300(300MHz)またはXL−400(400MHz)のいずれかで得、括弧で示したヘルツにおいて、プロトン数、多重度および結合定数と共に、MeSiからのppmダウンフィールドとして報告される。LC/MSデータを提示する場合、分析は、Applied Biosystems API−100質量分析計およびShimadzu SCL−10A LCカラムを使用して、実行した:Altech白金C18、3ミクロン、33mm×7mm ID;勾配流れ:0分−10%CHCN、5分−95%CHCN、7分−95%CHCN、7.5分−10%CHCN、9分−停止。反応時間および観察された親イオンを示す。
【0112】
(中間体Iの調製プロセス)
【0113】
【化18】

(工程1)
【0114】
【化19】

シアナミド(320g、7.62mol)およびオルトギ酸トリエチル(2.2L)の混合物を、N下にて、3時間還流した。この反応混合物を冷却し、そして蒸留により、エタノールを除去した。その残留物を分別蒸留(0.5mmHg、50〜60℃)することにより、生成物(656g、88%)が得られた。
【0115】
【化20】

(工程2)
【0116】
【化21】

工程1の生成物(704g、7.2mol)のEtO(600ml)溶液に、0.5時間にわたって、N−ベンジルグリシンエチルエステル(1,300g、6.73mol)を加えた。その反応混合物を2時間攪拌し、次いで、濃縮した。EtOH(500ml)を加え、この混合物を乾燥状態まで蒸発させた。その残留物をEtOH(2.5L)に溶解し、氷浴で冷却し、そして40分間にわたって、EtOH(2.3L)中の20%ナトリウムエトキシドを加えた。この添加が完了した後、その反応混合物を室温で1時間攪拌し、次いで、冷蔵庫で一晩保存した。その固形物を集め、冷EtOHで洗浄し、そして55℃で、減圧中にて乾燥して、生成物(1,219g、70%)を得た。
【0117】
【化22】

(工程3)
【0118】
【化23】

工程2の生成物(1,219g、4.97mol)、o−キシレン(7.5L)およびイソシアン酸エチル(425g、5.98mol)の混合物を16時間還流した。その反応混合物を冷却させ、そして蒸留により、溶媒を除去した。その残留物をEtO(1L)で倍散し、固形物を集め、そして減圧中(50℃)にて乾燥して、生成物(1,310g、84%)を得た。
【0119】
【化24】

(工程4)
【0120】
【化25】

工程3の生成物(1,310g、4.15mol)のMeOH(5L)懸濁液に、ナトリウムメチキシド(500g、9.25mol)を少しずつ加えた。その反応混合物を4時間還流し、次いで、この反応混合物から、約4LのMeOHを蒸留した。その残留物を氷水(5L)に注ぎ、そして濃HCl(1.8L)を加えた。白色沈殿物を集め、水で洗浄し、そして減圧中(60℃)にて乾燥して、生成物(1,053g、94%)を得た。
【0121】
【化26】

(工程5)
【0122】
【化27】

工程4の生成物(523g、1.93mol)のPOCl(6L)懸濁液を、N下にて、16時間還流し、次いで、その反応混合物から、約4.5LのPOClを蒸留した。その残留物を氷上に注ぎ、温度を0℃に、pHを6〜7までに維持するために、氷を加えながら、50%NaOHをゆっくりと加えた。全体をCHCl(24L)で抽出し、その有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、そして濃縮した。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc)にかけて、生成物A(351.1g、63%)を得た。
【0123】
【化28】

(工程6)
【0124】
【化29】

生成物A(75g、0.26mol)、(R)−2−アミノ−3−フェニル−1−プロパノール(59g、0.39mol)、iPrNEt(186ml、1.1mol)および1−メチル−2−ピロリジノン(370ml)の混合物を、130℃で、12時間加熱した。その反応混合物を冷却させ、次いで、8Lの水に注ぎ、そしてCHCl(2×8L)で抽出した。合わせた有機層を濃縮し、その残留物を真空蒸留(18mmHg)にかけて、1−メチル−2−ピロリジノンを除去した。その残留物を氷水で倍散して、半固形物を得、これを、MeOHに溶解し、得られた溶液を乾燥状態まで蒸発させて、発泡体として、生成物を得た(94.5g、90%)。
【0125】
【化30】

(工程7)
工程6の生成物(94.5g、0.24mol)およびEtN(100ml、0.72mol)のCHCl(1L)氷冷溶液に、0.5時間にわたって、塩化メタンスルホニル(41.2g、0.36mol)を滴下した。0.5時間後、その反応混合物を2時間還流し、次いで、CHCl(2L)で希釈し、そして飽和NaHCOで洗浄した。その有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、そして蒸発させた。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc)にかけて、中間体(58g、63%)を得た。
【0126】
【化31】

(中間体IIの調製プロセス)
【0127】
【化32】

中間体I、工程6で概説したものとほぼ同じ手順に従って、Aを(1R,2R)−2−アミノシクロペンタノールと反応させ、そして中間体I、工程7で記述したものとほぼ同じ手順により、その生成物を塩化メタンスルホニルにかけて、中間体IIを得た。
【0128】
【化33】

(中間体IIIの調製プロセス)
【0129】
【化34】

3−ブロモ−4−メトキシトルエン(11g、54.7mmol)のCHCl(100ml)溶液に、N下にて、N−ブロモスクシンイミド(10.7g、60.2mmol)およびAIBN(82mg、0.5mmol)を加えた。得られた混合物を一晩還流し、次いで、氷水浴で冷却した。沈殿した固形物を濾過により除去した。その濾液を水(×2)、ブライン(×1)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。減圧下にて乾燥した後、白色固形物として、中間体III(16.4g、100%)を得、これを、さらに精製することなく、使用した。
【0130】
【化35】

(中間体IVの調製プロセス)
【0131】
【化36】

中間体IIIについて記述したものとほぼ同じ手順により、3−クロロ−4−メトキシトルエン、N−ブロモスクシンイミドおよびAIBNを反応させて、中間体IVを得た。
【0132】
【化37】

【実施例】
【0133】
(実施例1)
【0134】
【化38】

(工程1)
【0135】
【化39】

MeOH(1.3L)中の中間体I(58g、0.15mol)、ギ酸アンモニウム(350g、5.5mol)および20%Pd(OH)/C(25g)の混合物を3時間還流した。その反応混合物を冷却させ、追加ギ酸アンモニウム(100g、1.6mol)および20%Pd(OH)/C(25g)を加え、その混合物を2時間還流した。この反応混合物を濾過し、その濾液を濃縮した。その残留物をCHCl(3L)に溶解し、飽和NaHCOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして蒸発させて、生成物(37g、84%)を得た。
【0136】
【化40】

(工程2)
【0137】
【化41】

工程1の生成物(17g、58mmol)のAcOH(700ml)溶液に、酢酸ナトリウム(10g、0.12mol)およびBr(12.5g、78mmol)を加え、その反応混合物を、50℃で、12時間攪拌した。この反応混合物を室温まで冷却した後、亜硫酸水素ナトリウム(40g)を加え、全体を濃縮した。その残留物をCHClに吸収し、飽和NaHCOで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして蒸発させて、生成物(17g、80%)を得た。
【0138】
【化42】

(工程3)
【0139】
【化43】

工程2の生成物(500mg、1.34mmol)およびKCO(0.55g、4.0mmol)のDMF(6ml)懸濁液に、臭化3−クロロ−4−メトキシベンジル(中間体IV;0.94g、4.0mmol)を加え、その反応混合物を一晩攪拌した。水(30ml)を加え、全体をEtOAc(3×20ml)で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして蒸発させた。その残留物をPTLC(3:97のMeOH/CHCl)にかけて、生成物(0.38g、54%)を得た。
【0140】
【化44】

上記の手順と同様にして、以下の化合物を調製した:
【0141】
【化45】


(工程4)
実施例1、工程3の生成物1.3.1(1.6g、3.1mmol)のDMF(47ml)溶液に、NaOEtのエタノール溶液(21%エタノール溶液)を加えた。その反応混合物を、室温で、16時間攪拌した。この反応混合物をCHCl(150ml)で希釈し、その有機層を水(3×25ml)で洗浄した。この有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、粘稠なオイルを得た。その粗生成物をSiOクロマトグラフィー(95:5のCHCl/MeOH)で精製して、生成物1(1.40g、98%)を得た。
【0142】
【化46】

(実施例2)
【0143】
【化47】

実施例1、工程4で記述したものとほぼ同じ手順により、実施例1、工程3の生成物(1.3.1)をメタノール中のナトリウムメトキシドで処理して、上で示した生成物2を得た。
【0144】
【化48】

(実施例3)
【0145】
【化49】

実施例1、工程4で記述したものとほぼ同じ手順により、実施例1、工程3の生成物(1.3.2)をメタノール中のナトリウムメトキシドで処理して、上で示した生成物3を得た。
【0146】
【化50】

(実施例4)
【0147】
【化51】

(工程1)
【0148】
【化52】

実施例1、工程1で記述したものとほぼ同じ手順により、中間体IIをMeOH中のPd(OH)/Cおよびギ酸アンモニウムと反応させて、上で示した生成物4.1.1を得た。
【0149】
【化53】

(工程2)
【0150】
【化54】

工程1の生成物(4.1.1)(2.10g、8.5mmol)、臭化3−ブロモ−4−メトキシベンジル(中間体III;3.60g、12.9mmol)およびKCO(3.55g、25.7mmol)の混合物を一晩攪拌し、ジクロロメタンで希釈し、水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。その残留物を、生成物4.2.1を得るために、フラッシュクロマトグラフィー(99:1−97:3のCHCl/MeOHの勾配)で精製して、生成物(3.02g、79%)を得た。
【0151】
【化55】

ほぼ同じ手順により、工程1の生成物(4.1.1)を臭化3−クロロ−4−メトキシベンジル(中間体IV)と反応させて、以下の生成物を得た。
【0152】
【化56】

(工程3)
【0153】
【化57】

工程2の生成物(4.2.1)(300mg、0.675mmol)のTHF溶液に、−78℃で、LDAの2M THF(0.51ml)溶液を滴下した。その混合物を冷却して25分間攪拌し、続いて、1,2−ジブロモテトラフルオロエタン(349mg、1.35mmol)を加えた。その混合物を、−78℃で、1時間攪拌し、飽和NaHCOでクエンチし、CHClで抽出し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。その残留物をPTLCにかけると、生成物4.3.1(266mg、75%)が得られた。
【0154】
【化58】

適当な出発物質を使用して、上で議論したのとほぼ同じ手順により、以下の生成物を得た。
【0155】
【化59】

(工程4)
実施例4、工程3の生成物(4.3.1)(20mg、0.038mmol)およびCHCl(1ml)の混合物に、BBrの1M CHCl(0.2ml、0.19mmol)溶液を加えた。その混合物を30分間攪拌し、NH水でクエンチし、CHClで抽出し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして蒸発させて、上に示した生成物4(15mg、76%)を得た。
【0156】
【化60】

(実施例5)
【0157】
【化61】

(工程1)
【0158】
【化62】

MeOH(5ml)中のナトリウムメトキシド(193mg、72mmol)の混合物に、実施例4、工程3の生成物(4.3.1)(60mg、0.11mmol)を加えた。この混合物を、溶液が得られるまで短時間で還流状態にし、次いで、室温で、8時間攪拌し、水に注ぎ、CHClで抽出し、乾燥し(NaSO)、濾過し、その揮発性物質を蒸発させて、生成物5.1.1(46mg、85%)を得た。
【0159】
【化63】

(工程2)
実施例4、工程4の手順に従って、工程1の生成物(5.1.1)を脱メチル化して、上記生成物5を得た。
【0160】
【化64】

(実施例6)
【0161】
【化65】

(工程1)
【0162】
【化66】

実施例4、工程3の生成物(4.3.2)を、実施例5、工程1で記述のようにナトリウムメトキシドで処理して、生成物6.1.1を得た。
【0163】
【化67】

(工程2)
実施例4、工程4の手順に従って、工程1の生成物(6.1.1)を脱メチル化して、生成物6を得た。
【0164】
【化68】

(実施例7)
【0165】
【化69】

(工程1)
【0166】
【化70】

実施例1、工程3の生成物1.3.1(220mg、0.42mmol)のDMF(5.0ml)溶液に、EtSNa(350mg、4.17mmol)を加えた。その反応混合物を、室温で、16時間攪拌した。この反応混合物をCHCl(50ml)で希釈し、その有機層を水(3×20ml)で洗浄した。この有機層を乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。その粗生成物をSiOクロマトグラフィー(95:5のCHCl/MeOH)で精製して、生成物7.1.1(80mg、38%)を得た。
【0167】
【化71】

(工程2)
事実上、実施例4、工程4の手順により、工程1の生成物(7.1.1)とBBrとを反応させると、生成物7が得られた。
【0168】
【化72】

(実施例8)
【0169】
【化73】

(工程1)
【0170】
【化74】

実施例1、工程4の条件を使用して、実施例1、工程3の生成物(1.3.3)をメタノール中のナトリウムメトキシドで処理して、生成物8.1.1を得た。
【0171】
【化75】

(工程2)
事実上、実施例4、工程4の手順により、工程1の生成物(8.1.1)とBBrとを反応させると、生成物8が得られた。
【0172】
【化76】

(実施例9)
【0173】
【化77】

(工程1)
【0174】
【化78】

実施例1、工程1の生成物を、実施例1、工程3の条件を使用して、臭化3−クロロ−4−メトキシベンジル(中間体IV)でアルキル化して、生成物9.1.1を得た。
【0175】
【化79】

(工程2)
【0176】
【化80】

工程1の生成物(9.1.1)(2.71g、6.03mmol)のTHF(20ml)溶液に、−78℃で、LDAの2M THF(5.4ml、10.9mmol)溶液を加えた。その混合物を25分間攪拌し、次いで、クロロギ酸メチル(2.27g、24.1mmol)を加えた。その混合物を、冷却状態で、25分間攪拌し、飽和NaHCOでクエンチし、冷却を取り外して、その生成物をCHClで抽出した。その有機層を乾燥し(NaSO)、濾過し、そして蒸発させた。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(1:1〜7:3のEtOAc/ヘキサンの勾配)にかけると、生成物9.2.1(1.40g、45%)が得られた。
【0177】
【化81】

(工程3)
【0178】
【化82】

工程2の生成物(9.2.1)(40mg)とメチルアミンの2M THF(4.0ml)溶液との混合物を、封管中にて、80℃で、48時間加熱した。溶媒を蒸発させ、その生成物をPTLC(5:95のMeOH/CHCl)で精製して、生成物9.3.1(41mg)を得た。
【0179】
【化83】

(工程4)
実施例4、工程4の条件を使用して、工程3の生成物(9.3.1)を脱メチル化して、生成物9を得た。
【0180】
【化84】

(実施例10)
【0181】
【化85】

(工程1)
【0182】
【化86】

実施例9、工程2の生成物(9.2.1)40mgの混合物を、MeOH(3.0ml)中の7N NHに溶解し、そして48時間攪拌した。揮発性物質を蒸発させ、その残留物をPTLCで精製して、生成物10.1.1(35mg)を得た。
【0183】
【化87】

(工程2)
工程1の生成物(10.1.1)(500mg、1.01mmol)、エタンチオール(5.0ml)およびCHCl(5.0ml)の混合物に、0℃で、1ロットの塩化アルミニウム(811mg、6.08mmol)を加えた。その混合物を20分間激しく攪拌し、そして飽和NaHCO(20ml)でクエンチした。この混合物を分液漏斗に移し、MeOHの小部分を使用して溶解させたか、そうでなければ、そのフラスコの壁に不溶物質を堆積させた。酒石酸カリウムを加え、その混合物をCHClで抽出した。その有機相を乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮し、その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(3:97〜5:95のMeOH/CHCl)にかけて、生成物10(456mg、93%)を得た。
【0184】
【化88】

(実施例11)
【0185】
【化89】

(工程1)
【0186】
【化90】

実施例4、工程4の条件を使用して、実施例9、工程1の生成物(9.1.1)を脱メチル化して、生成物11.1.1を得た。
【0187】
【化91】

(工程2)
【0188】
【化92】

工程1の生成物(11.1.1)(1.006g、2.44mmol)およびCHCl(15ml)の混合物に、2,6−ルチジン(522mg、4.88mmol)および第三級ブチルジメチルシリルトリフレート(967mg、3.66mmol)を加えた。その混合物を30分間攪拌し、飽和NaHCOで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮した。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(3:97のMeOH/CHCl)にかけて、生成物11.2.1(1.147g、85%)を得た。
【0189】
【化93】

(工程3)
【0190】
【化94】

実施例9、工程2の手順に従って、工程2の生成物(11.2.1)をリチウム塩化し、そしてクロロギ酸メチルと反応させて、生成物11.3.1を得た。
【0191】
【化95】

(工程4)
工程3の生成物(11.3.1)(81mg、0.133mmol)およびTHF(2.0ml)の混合物に、THF(0.26ml)の1M TBAFを加えた。その混合物を30分間攪拌した後、飽和NaHCOを加え、CHClで抽出した。その有機相を乾燥し(NaSO)、濾過し、濃縮し、そしてPTLC(5:95のMeOH/CHCl)にかけて、生成物11(7.0mg、11%)を得た。
【0192】
【化96】

先の実施例に基づいて、当業者に公知の技術を使用して、以下の化合物を調製した:
【0193】
【化97】






(実施例25)
【0194】
【化98】

(工程1)
【0195】
【化99】

アミノシアノ酢酸エチル(10g、78mmol)およびオルトギ酸トリエチル(11.5g、78mmol)の混合物を、アセトニトリル(150ml)中にて、1時間還流した。その反応混合物を室温まで冷却し、そして3−メトキシベンジルアミン(10g、73mmol)を加え、続いて、ジイソプロピルエチルアミン(10ml)を加えた。この反応混合物を2時間還流し、冷却させ、そして濃縮した。その残留物を1N HCl(200ml)に溶解し、そしてCHCl(2×100ml)で洗浄した。そのpHが8になるまで、その水層に、NaHCOを加えた。その水層を酢酸エチルで抽出し、その有機抽出物を乾燥し(NaSO)、濾過し、そして蒸発させた。その残留物を再結晶(EtOAc)すると、生成物25.1.1(8.5g、47%)が得られた。
【0196】
【化100】

(工程2)
【0197】
【化101】

25.1.1(8.0g、31mmol)、イソシアン酸エチル(8.7g、122mmol)、トリエチルアミン(12.3g、122mmol)およびトルエン(80ml)の混合物を、100℃で、封管中にて、一晩加熱した。約40mlまで溶媒を濃縮し、その残留物を氷中で冷却した。沈殿物を集め、エーテルで洗浄し、そして乾燥した。この沈殿物をメタノール(120ml)に溶解し、そしてナトリウムメトキシド(6.5g、122mmol)を加えた。その反応混合物を3時間還流した。メタノールを除去し、その残留物を水(100ml)に溶解した。その溶液をpH5まで酸性化し、得られた白色沈殿物を集め、水で洗浄し、そして減圧下にて乾燥して、生成物25.2.1(8.7g、94%)を得た。
【0198】
【化102】

(工程3)
【0199】
【化103】

オキシ塩化リン(100ml)中の25.2.1(7.7g、27mmol)を5時間還流した。減圧して、オキシ塩化リンを除去し、その残留物を酢酸エチル(200ml)に溶解した。その有機溶液を飽和NHCOで洗浄し、そしてNaSOで乾燥した。その生成物をフラッシュクロマトグラフィー(1:5のEtOAc/ヘキサン)にかけて、生成物25.3.1(4.3g、53%)を得た。
【0200】
【化104】

(工程4)
【0201】
【化105】

NMP(1ml)中の生成物25.3.1(100mg、0.31mmol)、1−アミノ−1−シクロペンタンメタノール(109mg、0.94mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(160mg、12.4mmol)の混合物を、110℃で、一晩加熱した。水(5ml)を加え、その反応物を氷中で冷却した。得られた白色沈殿物を濾過により集め、水で洗浄し、そして減圧下にて乾燥した。CHCl(15ml)中の沈殿物に、塩化メタンスルホニル(102mg、0.94mmol)およびトリエチルアミン(156mg、1.55mmol)を加えた。この混合物を、室温で、一晩攪拌した。CHCl(40ml)を加え、全体を水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして蒸発させた。その残留物をPTLC(90:10のCHCl/MeOH)にかけて、生成物25.4.1を得た。
【0202】
【化106】

(工程5)
工程4の生成物(25.4.1)(25mg、0.07mmol)をCHCl(5ml)に溶解し、そしてN−クロロスクシンイミド(13mg、0.10mmol)を加えた。その反応混合物を、16時間にわたって、65℃まで加熱した。溶媒を除去し、その残留物をPTLC(95:5のCHCl/MeOH)にかけて、その生成物を得た。CHCl(5ml)中のこの生成物に、三臭化ホウ素(0.05ml)を加えた。その白濁懸濁液を、室温で、2.5時間攪拌した。飽和NaHCO溶液(10ml)を加え、その全体をCHCl(25ml)で抽出し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして蒸発させた。PTLC(90:10のCHCl/MeOH)により、生成物25を得た。
【0203】
【化107】

(実施例26)
【0204】
【化108】

生成物26は、生成物25.4.1をN−ヨードスクシンイミドと反応させたのに続いてその生成物を三臭化ホウ素ブロモを脱メチル化することにより、調製した。
【0205】
【化109】

(実施例27)
【0206】
【化110】

(工程1)
【0207】
【化111】

生成物27.1.1は、第一工程の3−メトキシベンジルアミンを4−メトキシベンジルアミンで置き換えたこと以外は、25.4.1で記述したものと同じ反応順序を使用して、調製した。
【0208】
(工程2)
【0209】
【化112】

CHCl(40ml)中の27.1.1(409mg、1.1mmol)の攪拌氷冷混合物に、臭化ホウ素(0.26ml、2.7mmol)を加えた。2時間後、その反
応混合物を飽和NaHCOに注いだ。その固形物を集め、その濾液をCHClで3回抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、そして蒸発させた。その残留物をPTLC(93:3のCHCl/MeOH)にかけると、生成物が得られた。この生成物に、CHCl(5mL)、EtN(0.3ml、2mmol)、無水酢酸(0.2ml、2mmol)および(4−ジメチルアミノ)ピリジン(2mg)を加え、その反応混合物を4時間攪拌した。飽和NaHCOを加え、その全体をCHClで3回抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、そして蒸発させて、生成物27.2.1を得た。
【0210】
(工程3)
【0211】
【化113】

CHCl(5ml)中の27.2.1(42mg、0.10mmol)およびN−クロロスクシンイミド(28mg、0.21mmol)の混合物を16時間攪拌した。その反応混合物を濃縮し、次いで、PTLC(95:5のCHCl/MeOH)にかけて、生成物27.3.1(13mg、29%)を得た。
【0212】
【化114】

(工程4)
MeOH(2ml)中の生成物27.3.1(7mg、0.02mmol)および飽和NaHCO(0.5ml)の混合物を2時間攪拌した。飽和NaClおよび水を加え、その全体をCHClで3回抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、そして蒸発させた。PTLC(93:7のCHCl/MeOH)にかけた後、生成物27(2mg、20%)を得た。
【0213】
【化115】

上記記述は、本発明の改良および変更を詳述するとは解釈されない。当業者は、本発明の概念から逸脱することなく、上記実施態様に対して、変更が行なわれ得ることが分かる。従って、本発明は、上記特定の実施態様に限定されず、特許請求の範囲の用語で規定される本発明の精神および範囲内に入る改良を含むと解釈されることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実施例に記載の化合物。

【公開番号】特開2006−77023(P2006−77023A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−306453(P2005−306453)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【分割の表示】特願2003−544052(P2003−544052)の分割
【原出願日】平成14年11月7日(2002.11.7)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】