説明

多相クロック生成回路

【課題】 基準クロックの高速性やフリップフロップの高速動作を必要とせずに、狭い位相差を有する多相クロックを生成することができる多相クロック生成回路を提供する。
【解決手段】 基準クロックを基に位相が異なる複数の出力クロックを生成する多相クロック生成回路において、位相が異なる第1及び第2の基準クロック(clka,clkb)をそれぞれ分周して出力クロックを生成する第1及び第2の分周回路(diva,divb)と、第1及び第2の分周回路の所定のノード(divbx_qx,divax_qx)間を間欠的に短絡するスイッチとを有し、当該スイッチは、定常動作状態で前記所定のノードが同じレベルに制御されるタイミングで、当該所定のノード間を短絡する。具体的には、スイッチは、第1、第2の基準クロックのいずれかまたは両方により短絡制御される。独立して動作する分周回路が、位相が異なる基準クロックを分周して、位相が異なる出力クロックを生成し、短絡スイッチにより両分周回路の動作を整合させて、分周回路が生成するそれぞれの分周クロックの位相ずれを整合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多相クロック生成回路に関し、特に、位相が異なる複数のクロックを生成する多相クロック生成回路に関する。
【背景技術】
【0002】
多相クロック生成回路は、基準クロックを分周して位相が異なる複数のクロックを生成する。位相が異なる複数のクロックは、例えば、高速シリアルデータの受信回路において、シリアルデータの各データを検出するタイミングクロックとして利用される。したがって、シリアルデータがより高速になると、それを検出するためのタイミングクロックの位相差も小さくする必要がある。一般に、多相クロック生成回路は、基準クロックを分周する回路で構成されるが、分周されたクロックの位相差を小さくするためには、基準クロックの周期を短く、つまり周波数を高くする必要がある。
【0003】
図1は、従来の一般的な多相クロック生成回路の構成と動作を示す図である。この多相クロック生成回路では、4段のD型フリップフロップ(D−FF)11〜14が縦列に接続され、最終段のD−FF14の反転出力div2x_qxが初段のD−FF11の入力データ端子Dにフィーバック接続される。そして、初段と3段目のD−FF11,13にはクロックclkが、2段、4段目のD−FF12,14にはクロックclkの反転クロックがそれぞれ供給され、それらクロックの立ち上がりエッジに応答して、各D−FFが入力データDをラッチし、出力データ端子Q,XQにそのデータを出力する。したがって、この多相クロック生成回路は、基準クロックclkを4分周する分周回路である。
【0004】
図中のタイミング波形によれば、基準クロックclkのエッジ1〜8に応答して、それぞれ立ち上がる出力クロックdiv1_q, div1x_q, div2_q, div2x_q, div1_qx, div1x_qx, div2_qx, div2x_qxが生成される。これらの8個の位相が異なる出力クロックは、基準クロックclkの4周期の期間t1中に生成される。したがって、単純に出力クロックの位相差を狭くするためには、基準クロックclkの周波数を高くして周期を短くすることが要求される。
【0005】
図1の多相クロック生成回路を、4段構成から8段構成にすると、それぞれの出力クロックは基準クロックを8分周したクロックとなり、16個の位相が異なる出力クロックが、基準クロックclkの8周期の期間中に生成される。その場合は、基準クロックclkの周波数を2倍にすることで、図1と同じ期間t1中に16個の出力クロックを生成することができ、それら16個の出力クロックの位相差は、図1の出力クロックの位相差の1/2になる。つまり、この場合も、出力クロックの位相差を狭くするためには、基準クロックclkの周波数を高くすることが必要になる。
【0006】
このように、図1の分周回路による多相クロック生成回路は、位相差がより狭い多相クロックを生成するためには、より高速の基準クロックを使用する必要がある。そのため、高速の基準クロックを生成する必要があるとともに、D−FFは、高速基準クロックに応答して動作することができるよう、高速動作仕様にする必要があり、コストアップを招く。
【0007】
更に、多段接続のD−FFに基準クロックを2分周した低速クロックを入力し、異なる位相の基準クロックでフリップフロップを制御することにより、基準クロックの高速化を回避することが提案されている。例えば、特許文献1に示されるとおりである。この回路では、基準クロックを2分周した低速クロックを初段のD−FFのデータ入力に供給し、多段接続のD−FFが異なる位相の基準クロックに応答して入力クロックを転送して、多相クロックを生成する。したがって、かならずしも高速クロックにより回路動作を制御する必要はない。しかし、この回路は、低速の入力クロックを順次後段のD−FFに転送する構成であるため、各D−FFは高速に動作可能であることが要求される。そのため、高速動作仕様が要求され、コストアップを招くことになる。
【特許文献1】特開2001−318731号公報の例えば図1〜4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来例では、多相クロックの位相差を狭くするためには、より高速の基準クロックを供給する必要があり、また、より高速動作可能なフリップフロップを使用する必要がある。そのため、高速デバイス仕様が要求され、高コスト製造プロセスを必要とし、デバイスのコストアップを招く。
【0009】
そこで、本発明の目的は、基準クロックの高速性やフリップフロップの高速動作を必要とせずに、狭い位相差を有する多相クロックを生成することができる多相クロック生成回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面によれば、基準クロックを基に位相が異なる複数の出力クロックを生成する多相クロック生成回路において、位相が異なる第1及び第2の基準クロックをそれぞれ分周して出力クロックを生成する第1及び第2の分周回路と、前記第1及び第2の分周回路の所定のノード間を間欠的に短絡するスイッチとを有し、当該スイッチは、定常動作状態で前記所定のノードが同じレベルに制御されるタイミングで、当該所定のノード間を短絡することを特徴とする。
【0011】
上記の発明の第1の側面において、好ましい実施例によれば、前記スイッチは、前記第1、第2の基準クロックのいずれかまたは両方により短絡制御される。
【0012】
上記の発明の第1の側面において、好ましい実施例によれば、前記第1、第2の分周回路は、リング状に接続された複数のラッチ回路をそれぞれ有し、対応する基準クロックに応答して、当該ラッチ回路が入力信号を取り込んで後段のラッチ回路に出力し、前記複数のラッチ回路の出力が前記出力クロックとして出力される。上記ラッチ回路は、フリップフロップ回路であってもよい。
【0013】
上記の発明の第1の側面において、好ましい実施例によれば、前記第1、第2の分周回路は、リング状に接続された複数のラッチ回路をそれぞれ有し、対応する基準クロックに応答して、奇数段目のラッチ回路が、入力信号を取り込んで後段のラッチ回路に出力し、前記対応する基準クロックの反転基準クロックに応答して、偶数段目のラッチ回路が入力信号を取り込んで後段のラッチ回路に出力し、当該複数のラッチ回路の出力が前記出力クロックとして出力される。上記ラッチ回路は、フリップフロップ回路であってもよい。
【0014】
上記の発明の第1の側面において、好ましい実施例によれば、前記スイッチは、前記第1及び第2の分周回路の第1のノード間を第1の基準クロックに応答して短絡する第1のスイッチと、前記第1及び第2の分周回路の第2のノード間を第2の基準クロックに応答して短絡する第2のスイッチとを有する。
【0015】
上記の発明の第1の側面において、好ましい実施例によれば、前記第1、第2の分周回路は、それぞれリング状に接続された複数のラッチ回路を有し、対応する基準クロックに応答して、当該ラッチ回路が入力信号を取り込んで後段のラッチ回路に出力し、前記複数のラッチ回路の出力が、前記出力クロックとして出力され、前記スイッチは、前記第1及び第2の分周回路の第1のラッチ回路出力ノード間を第1の基準クロックに応答して短絡する第1のスイッチと、前記第1及び第2の分周回路の第2のラッチ回路出力ノード間を第2の基準クロックに応答して短絡する第2のスイッチとを有する。上記ラッチ回路は、フリップフロップ回路であってもよい。
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明の第2の側面によれば、基準クロックを基に位相が異なる複数の出力クロックを生成する多相クロック生成回路において、位相が異なる複数の基準クロックをそれぞれ分周して出力クロックを生成する複数の分周回路と、前記複数の分周回路のうち第1及び第2の分周回路の所定のノード間を短絡するスイッチとを有し、前記スイッチは、定常動作状態において、前記所定のノードが同じレベルに制御されるタイミングで当該所定のノード間を短絡することを特徴とする。
【0017】
上記の発明の第2の側面において、好ましい実施例によれば、前記スイッチは、前記第1または第2の分周回路に対応する基準クロックに応答して前記所定のノード間を短絡する。
【0018】
上記の発明の第2の側面において、好ましい実施例によれば、前記スイッチは、前記第1及び第2の分周回路の第1のノード間を前記第1の分周回路に対応する第1の基準クロックに応答して短絡する第1のスイッチと、前記第1及び第2の分周回路の第2のノード間を前記第2の分周回路に対応する第2の基準クロックに応答して短絡する第2のスイッチとを有する。
【発明の効果】
【0019】
上記の発明の側面によれば、互いに位相が異なる基準クロックで、複数の分周回路をそれぞれ分周動作させて、位相がずれた複数の出力クロックを生成しているので、基準クロックを高速化しなくても位相差が狭い複数の出力クロックを生成することができる。また、分周回路は、複数に分割されているので、それぞれの分周比が小さくなり、高速分周動作を要求されることがない。したがって、低速動作仕様で、位相差を狭くした複数の出力クロックを生成することができ、低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【0021】
図2は、本実施の形態における多相クロック生成回路の原理図及び具体的回路図である。図2(A)の原理図の多相クロック生成回路は、位相が異なる基準クロックclka,clkbをそれぞれ分周する2つの分周回路diva、divbと、それら分周回路の出力ノードdivax_qx、divbx_qxを基準クロックclkaのHレベルに応答して短絡するスイッチSWabとを有する。分周回路divaは、D型フリップフロップ11a,11axをリング状に接続し、そのフリップフロップ11a,11axは、基準クロックclkaとその反転クロックがHレベルになるときに、それぞれ入力データ端子Dの信号をラッチし、出力データ端子Q,QXに入力データDの非反転信号と反転信号とを出力する。初段フリップフロップ11aの入力データ端子Dには、後段フリップフロップ11axの反転出力データ端子QXが接続されている。そして、分周回路divaは、2つのフリップフロップの出力データ端子Qと反転出力データ端子QXとから、位相が異なる4つの出力クロックdiva_q、diva_qx、divax_q、divax_qxを出力する。分周回路divbも分周回路divaと実質的に同じであり、基準クロックclkbによって各フリップフロップ11b、11bxが入力データ端子Dの信号をラッチし、出力データ端子Q,QXにその信号を出力する。
【0022】
つまり、多相クロック生成回路は、基準クロックclkaを2分周して位相が異なる出力クロックdiva_q、diva_qx、divax_q、divax_qxを生成する分周回路divaと、基準クロックclkaとは位相がずれている基準クロックclkbを2分周して位相が異なる出力クロックdivb_q、divb_qx、divbx_q、divbx_qxを生成する分周回路divbとを有する。そして、両分周回路のノードdivax_qx、divbx_qxを基準クロックclkaのHレベルに応答して短絡するスイッチSWabとを有する。
【0023】
図2(B)の具体的回路は、スイッチSWabがCMOSトランスファーゲートよりなり、そのCMOSトランスファーゲートが、基準クロックclkaとその反転基準クロックclkaxとにより導通制御される。それ以外の構成は、図2(A)の回路と同じである。
【0024】
図3は、図2の多相クロック生成回路のタイミングチャート図である。図3中、期間t10は初期動作状態であり、期間t11〜t13は通常動作状態である。まず、通常動作状態における動作を説明する。
【0025】
基準クロックclka,clkbは、図示されるとおり、位相が90°異なる同じ周波数のクロックである。これらの基準クロックは、図示しない基準クロック生成回路により単一の基準クロックから生成される。このように単一の基準クロックから位相が90°異なるクロックを生成する回路は、一般的に当業者に知られており、ここでの説明を省略する。
【0026】
分周回路divaは、基準クロックclkaを2分周して、位相が異なる出力クロックするdiva_q、diva_qx、divax_q、divax_qxを生成する。図示されるように、期間t11で、クロックclkaのHレベルに応答して出力クロックdiva_qがHレベルになり、その反転出力クロックdiva_qxがLレベルになる。期間t12で、クロックclkaのLレベルに応答して、出力divax_qがHレベルになり、その反転出力クロックdivax_qxがLレベルになる。そして、期間t13,t14で、上記と反転した動作が行われる。その結果、出力クロックdiva_q、diva_qx、divax_q、divax_qxは、それぞれ基準クロックclkaを2分周した2倍周期のクロックであり、基準クロックclkaの180°の位相だけ異なる位相をそれぞれ有する。
【0027】
一方、分周回路divbも分周回路divaと同様の動作であり、基準クロックclkbを2分周して、位相が基準クロックclkbの180°の位相ずれており、基準クロックの2倍の周期を有する出力クロックdivb_q、divb_qx、divbx_q、divbx_qxを生成する。これらの出力クロックは、分周回路divaの出力クロックとは、基準クロックの90°位相だけ互いにずれている。したがって、基準クロックの90°の位相だけずれた8個の出力クロックが生成されることになる。
【0028】
2つの分周回路diva,divbは、互いに異なる基準クロックclka,clkbを分周するものであり、それぞれの動作は独立している。したがって、両分周回路の動作を整合させないと、各分周回路のフリップフロップの初期状態(特にラッチ回路の初期状態)のばらつきによって、それぞれの出力クロックを整合させることができない。その結果、8つの出力クロックが所望の順番で位相ずれしたものにならなくなる。そこで、スイッチSWabが設けられ、両分周回路の動作の整合を確保している。つまり、スイッチSWabは、基準クロックclkaのHレベルの期間t11,t13,t15に導通して、出力ノードdivax_qx、divbx_qxを短絡する。この短絡スイッチSWabの短絡動作により、両分周回路diva,divbの動作の整合をとることができる。すなわち、期間t11,t13,t15では、2つの出力ノードdivax_qx、divbx_qxがスイッチにより短絡されるので、これらの出力ノードのレベルは一致するように両分周回路が動作する。図中、丸印で示したとおり、これらの出力ノードdivax_qx、divbx_qxは、期間t11,t13,t15にて、それぞれHレベル、Lレベル、Hレベルと一致したレベルになっている。そして、上記期間以外では、スイッチが非導通状態になり、両分周回路の動作の独立性を維持する。
【0029】
このような短絡スイッチSWabを設けたことにより、多相クロック生成回路の初期動作状態において、スイッチSWabで短絡されたノードdivax_qx、divbx_qxが同じレベルになるように制御される。期間t10は、初期動作状態であり、基準クロックclkaの立ち上がりエッジに応答して、出力ノードdivax_qxがHレベル、出力ノードdivbx_qxがLレベルの状態になると仮定する。このように、それぞれの分周回路の初期状態が異なることに起因して、出力ノードdivax_qx、divbx_qxが異なるレベルになったとしても、基準クロックclkaがHレベルになる期間t10で、両出力ノードがスイッチSWabにより短絡され、図中丸印で示したとおり、分周回路divb側の出力ノードdivbx_qxがLレベルから強制的にHレベルに駆動される。つまり、この動作は、フリップフロップ11bxの反転出力QXのL側駆動能力よりもフリップフロップ11axの反転出力QXのH側駆動能力が強いことなどによるものであり、いずれかのレベルに収斂することが理解される。
【0030】
このような短絡動作により、分周回路divbでは、フリップフロップ11bが、基準クロックclkbの立ち上がりエッジに応答して、短絡された出力ノードdivbx_qxのレベルをラッチし、出力ノードdivb_q,divb_qxに出力する。図3中では、短絡された出力ノードdivbx_qxが充分Hレベルになっていない可能性があることから、出力ノードdivb_q,divb_qxのレベルはL,HまたはH,L(破線)になっている。そして、その後の基準クロックclkbの立ち下がりエッジに応答して、フリップフロップ回路11bxが出力ノードdivb_qのレベルをラッチし、出力ノードdivbx_q,divbx_qxに出力する。また、その後の基準クロックclkaの立ち上がりエッジに応答して、短絡スイッチが導通し、出力ノードdivax_qx,divbx_qxを再度短絡する。この時も、出力ノードdivbx_qxが出力ノードdivax_qxのレベルに近づく。この短絡された出力ノードdivbx_qxのレベルが少なくともフリップフロップ11bの入力ゲート閾値より高くなると、フリップフロップ11bは、分周回路divaの出力ノードdivax_qxと同じレベルを取り込むことができる。その結果、分周回路divbの動作は、分周回路divaの動作から90°位相が遅れた動作に整合される。この初期動作状態では、複数回の期間t10を経ることにより、分周回路divaの分周動作と分周回路divbの分周動作とが、基準クロックclka,clkbの位相差90°だけずれた動作で安定することになる。
【0031】
そして、期間t11〜t15の定常動作状態では、2つの分周回路がそれぞれの基準クロックを2分周する動作を行い、それらの分周動作が90°の位相ずれの関係で整合されている。その結果、8個の出力クロックは、diva_q、divb_q、divax_q、divbx_q、diva_qx、divb_qx、divax_qx、divbx_qxの順に、90°の位相差で生成される。従来例の図1のタイミングチャートと比較するとわかるように、従来例では、基準クロックclkの4周期の期間t1内に8個の位相がずれた出力クロックが生成されていたのに対して、本実施の形態では、基準クロックclka,clkbの2周期の期間t11〜t14内に8個の位相がずれた出力クロックが生成されている。つまり、より低速の基準クロックにより同じ8個の出力クロックを生成することができる。そして、従来例も本実施の形態も4個のフリップフロップで構成されている。
【0032】
本実施の形態の多相クロック発生回路は、2つの分周回路に限定されるものではない。4つの分周回路あるいは8つの分周回路で構成されてもよい。また、各分周回路は、2個のフリップフロップからなる分周回路に限定されるものではなく、4個のフリップフロップあるいは8個のフリップフロップからなる分周回路でもよい。いずれの構成であっても、同じ個数のフリップフロップをリング状に接続した分周回路よりも、低速の基準クロックを使用することができ、各フリップフロップは高速動作を要求されない。
【0033】
図4は、本実施の形態における多相クロック発生回路の概略構成図である。1つの基準クロックref−clkから基準クロック生成回路22が、図示されるように45°の位相ずれした4つの基準クロックclka〜clkdを生成し、それぞれの基準クロックが、対応する4つの分周回路DIVa〜DIVdで分周される。分周回路の構成は図2と同じである。そして、初段の分周回路DIVaと次段の分周回路DIVbの出力ノードが、スイッチSWabにより間欠的に短絡される。このスイッチSWabは、例えば基準クロックclkaにより制御されるが、基準クロックclkbにより制御されても良い。また、スイッチSWabが複数個設けられて、両基準クロックによりそれぞれ制御されても良い。
【0034】
同様に、分周回路DIVbと分周回路DIVcとの間にはスイッチSWbcが、分周回路DIVcと分周回路DIVdとの間にはスイッチSWcdが、それぞれ設けられ、クロックclkb、clkcにより制御される。これらのスイッチは、通常動作状態で整合させたいノード間のレベルを一致させることができれば良いので、短絡対象のノードを同じレベルにさせたいタイミングに応じて、クロックclkcまたはclkdのいずれにより制御されてもよい。
【0035】
このように、4つの分周回路がそれぞれ対応する基準クロックを分周して、分周された出力クロックを生成する。そして、分周回路の所定のノードが、スイッチにより間欠的に短絡されるので、4つの分周回路の分周動作は、4つの基準クロックclka〜clkdの45°の位相ずれた状態で整合する。その結果、位相が45°ずつずれた16個の出力クロックが生成される。
【0036】
図5は、本実施の形態における分周回路のフリップフロップの具体的回路図である。分周回路diva,divbを構成するフリップフロップは、例えば、図5(A)(B)に示したD型フリップフロップ回路である。図5(A)の回路では、クロックCLKの立ち下がりで導通する入力ゲート30と、入力データDをクロックCLKの立ち上がりでラッチする前段ラッチ回路32と、クロックCLKの立ち上がりで導通するトランスファーゲート34と、クロックCLKの立ち下がりでラッチする後段ラッチ回路36とからなる。つまり、クロックCLKがLレベルの時に、入力データDが前段ラッチ回路32によりラッチ可能な状態になっており、クロックCLKの立ち上がりに応答して、その入力データDを前段ラッチ回路32がラッチするとともに、トランスファーゲート34と後段ラッチ回路のインバータを介して、出力データQXからラッチした信号が出力される。そして、クロックCLKの立ち下がりに応答して、出力データQXが後段ラッチ回路36によりラッチされ、その出力データの状態がクロックCLKがLレベルの間、維持される。要すれば、クロックCLKがHレベルになると入力データDを取り込んで出力データQXに出力し、クロックCLKがLレベルになるとその出力データの状態を維持するのである。クロックCLKがHレベルになると入力データDの影響が遮断されるので、安定したラッチ動作と出力データの維持を行うことができる。
【0037】
図5(B)も、図5(A)と同じ動作を行うD型フリップフロップ回路である。同様に、入力ゲート40,40Xと、前段ラッチ回路42と、トランスファーゲート44,44Xと、後段ラッチ回路46とで構成される。但し、図5(A)と異なり、互いに逆相の相補入力データD,DXと、相補出力データQ,QXとを有する。
【0038】
図5(C)は、D型ラッチ回路である。このラッチ回路は、クロックCLKがHレベルの時に導通する入力ゲートと、クロックCLKがLレベルの間ラッチ動作を行うラッチ回路52とを有する。この回路も、クロックCLKの立ち上がりに応答して、入力データD,DXが取り込まれ、出力データQ,QXに出力される。そして、クロックCLKがLレベルの間、その状態がラッチ回路52によりラッチされる。したがって、ラッチ回路52は、上記のフリップフロップの後段ラッチ回路と同じ機能を有する。
【0039】
図2に示した本実施の形態における多相クロック生成回路の分周回路は、図5(A)(B)に示したフリップフロップ回路をリング状に接続して構成することもでき、或いは、図5(C)に示したD型ラッチ回路をリング状に接続して構成することもできる。いずれにしても、クロックの立ち上がりに応答して取り込み、クロックがLレベルの間その出力状態をラッチするラッチ機能があればよい。
【0040】
図6は、第2の実施の形態における多相クロック生成回路の回路図である。図6の多相クロック生成回路では、分周回路divaの4つの出力クロックノードと、分周回路divbの4つの出力クロックノードとを全てスイッチSW1〜SW4を介して短絡する構成にし、それらのスイッチを基準クロックclkaとその反転クロックclkaxとでそれぞれ制御するようにしている。つまり、図2の例では、1対の出力ノードdivax_qxとdivbx_qxだけをスイッチSWabで短絡制御している。これでは、短絡制御される1対の出力ノードには、そのスイッチの負荷容量が追加され、他の出力ノードよりも出力容量が大きくなり、バランスが悪くなる。それに対して、第2の実施の形態の回路では、すべての出力ノードに対して、短絡用スイッチを設けているので、全ての出力ノードの容量を等しくすることができ、回路バランスが良くなり、高速動作に寄与することができる。
【0041】
図7は、第2の実施の形態における多相クロック生成回路の動作タイミングチャート図である。この動作タイミングは、図3と実質的に同じである。但し、図7には、通常動作状態における各出力ノードのレベルの関係から、短絡用スイッチが設けられる出力ノードの組合せと、その短絡タイミングを制御する基準クロックの関係が示されている。
【0042】
図7の動作タイミングチャートによれば、クロックclkaがHレベルになる期間t21,t23では、出力ノードdivax_q、divbx_qと、出力ノードdivax_qx、divbx_qxとが同じレベルに制御されることが期待されているので、これらの出力ノードの組が、スイッチSW1,SW2により短絡制御される。一方、クロックclkaがLレベルになる期間t22,t24では、出力ノードdiva_q、divb_qと、出力ノードdiva_qx、divb_qxとが同じレベルに制御されることが期待されているので、これらの出力ノードの組が、スイッチSW3,SW4により短絡制御される。したがって、スイッチSW1,SW2は基準クロックclkaがHレベルの時導通し、スイッチSW3,SW4は基準クロックclkaがLレベルの時導通する。
【0043】
図7の多相クロック生成回路では、分周回路を構成する全てのフリップフロップ11a、11ax、11b、11bxの出力Q,QXのうち、同じタイミングで同じレベルになることが期待される全ての出力対が、それぞれスイッチで短絡される。したがって、全ての出力Q,QXに同じ負荷容量が形成され、容量バランスが良くなり、回路の誤動作が減り、高速動作可能になる。第2の実施の形態においても、フリップフロップ回路として、図5に示したD型フリップフロップ回路を採用することができ、更に、図5に示したD型ラッチ回路を採用することもできる。
【0044】
図8は、第3の実施の形態における多相クロック生成回路の回路図である。また、図9は、第3の実施の形態における多相クロック生成回路の動作タイミングチャート図である。この多相クロック生成回路では、基準クロックclkaにより制御されるスイッチ群SWab−1に加えて、基準クロックclkbにより制御されるスイッチ群SWab−2を設けている。このようにすることで、2つの基準クロックclka,clkbに対する負荷容量を等しくすることができ、2つの基準クロックのバランスを良くすることができる。そして、第2の実施の形態に比較して、スイッチ群を2倍にすることで、各スイッチトランジスタのサイズを1/2にすることができ、各フリップフロップの出力負荷容量は増大せず、第2の実施の形態と同じにできる。
【0045】
図9の動作タイミングチャート図を参照して、スイッチ群SWab−1、SWab−2について説明する。まず、基準クロックclkaにより制御されるスイッチ群SWab−1の4つのスイッチSW1〜SW4は、第2の実施の形態と同じである。つまり、図9に示すとおり、基準クロックclkaがHレベルになる期間t31,t33では、そのタイミングで同じレベルになることが期待される出力ノード間をスイッチSW1,SW2が短絡し、基準クロックclkaがLレベルになる期間t32,t34では、そのタイミングで同じレベルになることが期待される出力ノード間をスイッチSW3,SW4が短絡する。
【0046】
同様に、基準クロックclkbがHレベルになる期間t42,t44では、スイッチSW11,SW12が出力ノードdiva_q、divbx_qxと出力ノードdiva_qx、divbx_qとを短絡する。一方、基準クロックclkbがLレベルになる期間t43,t41では、スイッチSW13,SW14が、出力ノードdivax_q、divb_qと出力ノードdivax_qx、divb_qxとを短絡する。
【0047】
つまり、スイッチ群SWab−1は、基準クロックclkaに応答して、分周回路diva,divbの前段フリップフロップの出力の間と、後段フリップフロップの出力の間をそれぞれ短絡する。一方、スイッチ群SWab−2は、基準クロックclkbに応答して、分周回路divaの前段フリップフロップ出力と分周回路divbの後段フリップフロップ出力とを短絡し、分周回路divaの後段フリップフロップ出力と分周回路divbの前段フリップフロップ出力とを短絡する。
【0048】
第3の実施の形態においても、分周回路を構成するフリップフロップ回路は、図5のフリップフロップ回路またはラッチ回路により構成することができる。
【0049】
図10は、第4の実施の形態における多相クロック生成回路の回路図である。この回路は、第3の実施の形態と同じスイッチ群SWab−1,SWab−2を有し、分周回路diva,divbを構成するフリップフロップ回路に代えてD型ラッチ回路を使用している。つまり、図5(C)に示したラッチ回路である。したがって、この多相クロック生成回路の動作は、第3の実施の形態と同じである。
【0050】
図10では、基準クロックclkaを分周する分周回路divaを左側に示し、基準クロックclkbを分周する分周回路divbを右側に示している。しかも、分周回路divbは、初段ラッチ回路11bと次段ラッチ回路11bxとが左右逆に配置され、よって、その信号の流れは分周回路divaと逆の時計回りである。そして、スイッチ群SWab−1,SWab−2が、図8と同じように配置されている。そして、分周回路をD型ラッチ回路をリング状の接続して構成しているので、フリップフロップ回路を使用する場合に比較して、ラッチ回路の構成がシンプルになり、高速動作可能になる。但し、安定動作の点では、フリップフロップ回路には劣る。
【0051】
図11は、第4の実施の形態での動作を説明するタイミングチャート図である。図11(A)には、スイッチ群が設けられていない場合の動作タイミングチャートが示され、図11(B)には、スイッチ群が設けられている場合の動作タイミングチャートが示されている。
【0052】
図11(A)において、時間t51の基準クロックclka/axに応答して、出力クロックdiva_q/qxが変化し、時間t52の基準クロックclkb/bxに応答して、出力クロックdivb_q/qxが変化し、同様に時間t53、t54で、出力クロックdivax_q/qxと出力クロックdivbx_q/qxが変化する。但し、両分周回路の動作を整合させるためのスイッチ群が設けられていないので、それぞれの出力クロックのレベルはバラバラであり、2つの分周回路の出力は逆相になっている。そのため、基準クロックclkaを分周した4つの出力クロックと基準クロックclkbを分周した4つの出力クロックとが、diva_q、divb_q、divax_q、divbx_q、diva_qx、divb_qx、divax_qx、divbx_qxの順に、90°の位相差をもって発生してはいない。
【0053】
一方、図11(B)においては、時間t51〜t54において、対応する出力クロックdiva_q/qx、divb_q/qx、divax_q/qx、divbx_q/qxが全て同じ方向に変化している。これは、短絡スイッチ群SWabを設けて、初期動作時に同じタイミングで同じレベルになることが期待されている出力ノードどうしを短絡して、両分周回路の動作を整合させているからである。そのため、期間t61,t62,t63,t64において、図中示した三角印と丸印どおしが同じレベルになり、8つの出力クロックが、diva_q、divb_q、divax_q、divbx_q、diva_qx、divb_qx、divax_qx、divbx_qxの順に、90°の位相差をもって発生している。
【0054】
以上のとおり、本実施の形態によれば、複数の分周回路を位相差を有する基準クロックでそれぞれ動作させると共に、それら複数の分周回路内の同じタイミングで同じレベルになることが期待されているノード間を間欠的に短絡するスイッチ群を設けて、複数の分周回路の動作を整合させている。よって、複数の分周回路の出力クロックを、基準クロックの位相差に対応させてずらすことができる。分周回路の分周比を少なくでき、基準クロックの周波数が低くても、位相差が狭い複数の出力クロックを生成することができる。また、分周回路を構成するラッチ回路またはフリップフロップ回路は、高速動作を必要としない。そして、スイッチ群を全ての出力ノードに設けることで、分周回路の出力負荷バランスを高め、高速動作を可能にする。よって、本実施の形態の多相クロック生成回路によれば、分周回路を構成するラッチ回路やフリップフロップ回路が低速動作で、ジッタが大きい場合でも、回路バランスが高められているので、誤動作の発生が抑制される。

以上の実施の形態をまとめると以下の付記の通りである。
【0055】
(付記1)基準クロックを基に位相が異なる複数の出力クロックを生成する多相クロック生成回路において、
位相が異なる第1及び第2の基準クロックをそれぞれ分周して出力クロックを生成する第1及び第2の分周回路と、
前記第1及び第2の分周回路の所定のノード間を間欠的に短絡するスイッチとを有し、
当該スイッチは、定常動作状態で前記所定のノードが同じレベルに制御されるタイミングで、当該所定のノード間を短絡することを特徴とする多相クロック生成回路。
【0056】
(付記2)付記1において、
前記スイッチは、前記第1、第2の基準クロックのいずれかまたは両方により制御されることを特徴とする多相クロック生成回路。
【0057】
(付記3)付記1において、
前記第1、第2の分周回路は、リング状に接続された複数のラッチ回路をそれぞれ有し、対応する基準クロックに応答して、当該ラッチ回路が入力信号を取り込んで後段のラッチ回路に出力し、前記複数のラッチ回路の出力が前記出力クロックとして出力されることを特徴とする多相クロック生成回路。
【0058】
(付記4)付記1において、
前記第1、第2の分周回路は、リング状に接続された複数のラッチ回路をそれぞれ有し、対応する基準クロックに応答して、奇数段目のラッチ回路が入力信号を取り込んで後段のラッチ回路に出力し、前記対応する基準クロックの反転基準クロックに応答して、偶数段目のラッチ回路が入力信号を取り込んで後段のラッチ回路に出力し、当該複数のラッチ回路の出力が、前記出力クロックとして出力されることを特徴とする多相クロック生成回路。
【0059】
(付記5)付記3または4において、
前記ラッチ回路は、フリップフロップ回路またはラッチ回路であることを特徴とする多相クロック生成回路。
【0060】
(付記6)付記1において、
前記スイッチは、前記第1及び第2の分周回路の第1のノード間を第1の基準クロックに応答して短絡する第1のスイッチと、前記第1及び第2の分周回路の第2のノード間を第2の基準クロックに応答して短絡する第2のスイッチとを有することを特徴とする多相クロック生成回路。
【0061】
(付記7)付記1において、
前記第1、第2の分周回路は、リング状に接続された複数のラッチ回路をそれぞれ有し、対応する基準クロックに応答して、当該ラッチ回路が入力信号を取り込んで後段のラッチ回路に出力し、前記複数のラッチ回路の出力が前記出力クロックとして出力され、
前記スイッチは、前記第1及び第2の分周回路の奇数段出力及び偶数段出力間を短絡する第1のスイッチと、前記第1の分周回路の奇数段出力と第2の分周回路の偶数段出力間と、前記第1の分周回路の偶数段出力と第2の分周回路の奇数段出力間とを短絡する第2のスイッチとを有することを特徴とする多相クロック生成回路。
【0062】
(付記8)付記7において、
前記第1のスイッチは、前記第1の基準クロックに応答して短絡し、前記第2のスイッチは、前記第2の基準クロックに応答して短絡することを特徴とする多相クロック生成回路。
【0063】
(付記9)付記1において、
前記第1、第2の分周回路は、リング状に接続された複数のラッチ回路をそれぞれ有し、対応する基準クロックに応答して、当該ラッチ回路が入力信号を取り込んで後段のラッチ回路に出力し、前記複数のラッチ回路の出力が前記出力クロックとして出力され、
前記スイッチは、前記第1及び第2の分周回路の第1のラッチ回路出力ノード間を第1の基準クロックに応答して短絡する第1のスイッチと、前記第1及び第2の分周回路の第2のラッチ回路出力ノード間を第2の基準クロックに応答して短絡する第2のスイッチとを有する多相クロック生成回路。
【0064】
(付記10)付記1において、
更に、互いに位相が異なる第3及び第4の基準クロックをそれぞれ分周して出力クロックを生成する第3及び第4の分周回路と、
前記第3及び第4の分周回路の所定のノード間を間欠的に短絡する第2のスイッチとを有し、
当該第2のスイッチは、定常動作状態で前記第3及び第4の分周回路の所定のノードが同じレベルに制御されるタイミングで、当該所定のノード間を短絡することを特徴とする多相クロック生成回路。
【0065】
(付記11)基準クロックを基に位相が異なる複数の出力クロックを生成する多相クロック生成回路において、
位相が異なる複数の基準クロックをそれぞれ分周して出力クロックを生成する複数の分周回路と、
前記複数の分周回路のうち第1及び第2の分周回路の所定のノード間を間欠的に短絡するスイッチとを有し、
前記スイッチは、定常動作状態で前記所定のノードが同じレベルに制御されるタイミングで、当該所定のノード間を短絡することを特徴とする多相クロック生成回路。
【0066】
(付記12)付記11において、
前記スイッチは、前記第1または第2の分周回路に対応する基準クロックに応答して前記所定のノード間を短絡することを特徴とする多相クロック生成回路。
【0067】
(付記13)付記11において、
前記スイッチは、前記第1及び第2の分周回路の第1のノード間を前記第1の分周回路に対応する第1の基準クロックに応答して短絡する第1のスイッチと、前記第1及び第2の分周回路の第2のノード間を前記第2の分周回路に対応する第2の基準クロックに応答して短絡する第2のスイッチとを有することを特徴とする多相クロック生成回路。
【0068】
(付記14)付記11において、
前記分周回路は、差動信号対によりリング状に接続された複数のラッチ回路をそれぞれ有し、対応する基準クロックに応答して、当該ラッチ回路が入力信号対を取り込んで後段のラッチ回路に出力し、前記複数のラッチ回路の出力対が前記出力クロックとして出力され、
前記スイッチは、前記第1の分周回路の出力対と第2の分周回路の出力対の第1の組合せの間を短絡する第1のスイッチと、前記第1の分周回路の出力対と第2の分周回路の第2の出力対の第2の組合せの間を短絡する第2のスイッチとを有することを特徴とする多相クロック生成回路。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】従来の一般的な多相クロック生成回路の構成と動作を示す図である。
【図2】本実施の形態における多相クロック生成回路の原理図及び具体的回路図である。
【図3】図2の多相クロック生成回路のタイミングチャート図である。
【図4】本実施の形態における多相クロック発生回路の概略構成図である。
【図5】本実施の形態における分周回路のフリップフロップの具体的回路図である。
【図6】第2の実施の形態における多相クロック生成回路の回路図である。
【図7】第2の実施の形態における多相クロック生成回路の動作タイミングチャート図である。
【図8】第3の実施の形態における多相クロック生成回路の回路図である。
【図9】第3の実施の形態における多相クロック生成回路の動作タイミングチャート図である。
【図10】第4の実施の形態における多相クロック生成回路の回路図である。
【図11】第4の実施の形態での動作を説明するタイミングチャート図である。
【符号の説明】
【0070】
diva、divb:分周回路、clka,clkb:基準クロック、SWab:短絡スイッチ
11a,11ax,11b,11bx:フリップフロップ回路、ラッチ回路
diva_q、divb_q、divax_q、divbx_q、diva_qx、divb_qx、divax_qx、divbx_qx:出力クロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準クロックを基に位相が異なる複数の出力クロックを生成する多相クロック生成回路において、
位相が異なる第1及び第2の基準クロックをそれぞれ分周して出力クロックを生成する第1及び第2の分周回路と、
前記第1及び第2の分周回路の所定のノード間を間欠的に短絡するスイッチとを有し、
当該スイッチは、定常動作状態で前記所定のノードが同じレベルに制御されるタイミングで、当該所定のノード間を短絡することを特徴とする多相クロック生成回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記スイッチは、前記第1、第2の基準クロックのいずれかまたは両方により制御されることを特徴とする多相クロック生成回路。
【請求項3】
請求項1において、
前記第1、第2の分周回路は、リング状に接続された複数のラッチ回路をそれぞれ有し、対応する基準クロックに応答して、当該ラッチ回路が入力信号を取り込んで後段のラッチ回路に出力し、前記複数のラッチ回路の出力が前記出力クロックとして出力されることを特徴とする多相クロック生成回路。
【請求項4】
請求項1において、
前記スイッチは、前記第1及び第2の分周回路の第1のノード間を第1の基準クロックに応答して短絡する第1のスイッチと、前記第1及び第2の分周回路の第2のノード間を第2の基準クロックに応答して短絡する第2のスイッチとを有することを特徴とする多相クロック生成回路。
【請求項5】
請求項1において、
前記第1、第2の分周回路は、リング状に接続された複数のラッチ回路をそれぞれ有し、対応する基準クロックに応答して、当該ラッチ回路が入力信号を取り込んで後段のラッチ回路に出力し、前記複数のラッチ回路の出力が前記出力クロックとして出力され、
前記スイッチは、前記第1及び第2の分周回路の奇数段出力及び偶数段出力間を短絡する第1のスイッチと、前記第1の分周回路の奇数段出力と第2の分周回路の偶数段出力間と、前記第1の分周回路の偶数段出力と第2の分周回路の奇数段出力間とを短絡する第2のスイッチとを有することを特徴とする多相クロック生成回路。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1、第2の分周回路は、リング状に接続された複数のラッチ回路をそれぞれ有し、対応する基準クロックに応答して、当該ラッチ回路が入力信号を取り込んで後段のラッチ回路に出力し、前記複数のラッチ回路の出力が前記出力クロックとして出力され、
前記スイッチは、前記第1及び第2の分周回路の第1のラッチ回路出力ノード間を第1の基準クロックに応答して短絡する第1のスイッチと、前記第1及び第2の分周回路の第2のラッチ回路出力ノード間を第2の基準クロックに応答して短絡する第2のスイッチとを有する多相クロック生成回路。
【請求項7】
基準クロックを基に位相が異なる複数の出力クロックを生成する多相クロック生成回路において、
位相が異なる複数の基準クロックをそれぞれ分周して出力クロックを生成する複数の分周回路と、
前記複数の分周回路のうち第1及び第2の分周回路の所定のノード間を間欠的に短絡するスイッチとを有し、
前記スイッチは、定常動作状態で前記所定のノードが同じレベルに制御されるタイミングで、当該所定のノード間を短絡することを特徴とする多相クロック生成回路。
【請求項8】
請求項8において、
前記スイッチは、前記第1または第2の分周回路に対応する基準クロックに応答して前記所定のノード間を短絡することを特徴とする多相クロック生成回路。
【請求項9】
請求項8において、
前記スイッチは、前記第1及び第2の分周回路の第1のノード間を前記第1の分周回路に対応する第1の基準クロックに応答して短絡する第1のスイッチと、前記第1及び第2の分周回路の第2のノード間を前記第2の分周回路に対応する第2の基準クロックに応答して短絡する第2のスイッチとを有することを特徴とする多相クロック生成回路。
【請求項10】
請求項8において、
前記分周回路は、差動信号対によりリング状に接続された複数のラッチ回路をそれぞれ有し、対応する基準クロックに応答して、当該ラッチ回路が入力信号対を取り込んで後段のラッチ回路に出力し、前記複数のラッチ回路の出力対が前記出力クロックとして出力され、
前記スイッチは、前記第1の分周回路の出力対と第2の分周回路の出力対の第1の組合せの間を短絡する第1のスイッチと、前記第1の分周回路の出力対と第2の分周回路の第2の出力対の第2の組合せの間を短絡する第2のスイッチとを有することを特徴とする多相クロック生成回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−86804(P2006−86804A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269389(P2004−269389)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】