説明

多色レーザー刻印可能なフィルムの製造方法

本発明は、第一の塗料層が支持体上に設けられ、そして少なくとも一つの更なる塗料層が該第一の塗料層上に設けられ、その際、互いに積層して配置された二つの塗料層のそれぞれの色が互いに異なる、多色レーザー刻印可能なフィルムの製造方法に関する。第一及び更なる塗料層は、それぞれ印刷塗料から形成され、それら印刷塗料層は互いに、せいぜい20%しか相違しない吸収率を有するように形成され、そして塗料層を形成するのに印刷塗料が印刷されることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1記載の上位概念の特徴を有する多色レーザー刻印可能なフィルム並びに請求項15に記載の上位概念の特徴に従う多色レーザー刻印可能なフィルムに関する。
【0002】
乗り物、機械、電気及び電子器具、包装材料など部材を識別するために、例えば、型番プレート(Typenschilder)として、プロセス進行のコントローラーラベル(Steueretiketten)として、安全ラベルとして、あるいは保証バッジ及びテストバッジとしてのような、工業ラベルがますます使用されている。このようなプレート又はラベルに文字などを刻印する(beschriften)のに、性能のよい制御可能なレーザーが広く使用されており、それを使って、例えば、文字、符号、バーコード及びそのような類の目印を生じさせる。刻印すべき材料に対する高い要求が存在する。例えば、刻印を迅速に遂行できること、解像度が高いこと、使用が簡単であること、そして材料が機械的、物理的かつ化学的影響に対する高い耐性を有すること、が求められている。一般に流通している、例えば印刷用紙、陽極酸化アルミニウム又は塗装されたアルミニウム、又はPVCフィルムのような材料は、上記の要求の全てを満たさない。
【0003】
本発明の出発点を構築する欧州特許第1440133B1号(特許文献1)からは、上述の要求を満たすレーザー刻印可能なフィルムの製造方法が知られている。このレーザー刻印可能なフィルムは、自己支持型に形成されるが、支持体フィルム(Stuetztraegerfolie)と呼ばれるプロセス支持体(Prozesstraeger)上に製造される。このために、最初に、UV硬化可能な印刷塗料の薄い層がプロセス支持体上に印刷される。そのとき、この印刷塗料層は、彫刻層とも呼ばれるレーザー刻印可能な層を形成する。この印刷塗料層上に、電子線硬化可能なアクリレート系塗料のより厚い層が塗布される。電子照射法によって硬化した後、アクリレート系塗料層がレーザー刻印可能なフィルムの支持体を形成し、そしてプロセス支持体は除去できる。その上、厚いアクリレート塗料層は、印刷塗料層とは異なる、できるだけ対照的な色を有する。刻印すべく、レーザー照射によって印刷塗料層を部分的に除去した後、印刷塗料層が除去された箇所でアクリレート塗料層が透けて見え、そしてそれ故刻印が見える。それに加えて、欧州特許第1440133B1号は、異なる色の印刷塗料層を相並べて配置することができ、そしてそのために、異なる色の配色が可能とことによって得られる、レーザー刻印可能なフィルムの多色可能性を記載している。
【0004】
ドイツ国特許出願公開第10048665A1号(特許文献2)も、類似の製品構造を示しており、これは、電子線硬化可能な(ESH)アクリレート塗料をベースとするレーザー刻印可能な層を提供している。その際に、アクリレート塗料は、レーザー照射の下で色を変化させるような添加剤を含み、それによって刻印が顕れる。更に、アクリレート塗料層中で着色するために、例えば、白色層のため二酸化チタンのような追加の添加剤を含むこともできる。更には、例えば、レーザー吸収剤として金属酸化物又はカーボンブラックのような顔料が混合されたレーザー刻印可能なフィルムが知られている(ドイツ国特許出願第102004057918A1号(特許文献3)、国際公開第2004/045857A2号、国際公開第2005/033218A1号(特許文献5))
【0005】
それに加えて、当該技術からは、レーザー照射によって多色刻印を可能にする多層ラミネート体が知られている。その際に、刻印すべき層のすぐ下に配置された層の意図しない刻印を避けるために、個々のラミネート層を、比較的厚く形成しなければならないか、又は透明な緩衝層を二つの着色層間に設けなければならない。いずれの場合においても、除去する材料の質量に起因して、迅速なレーザー刻印が可能でなく、そしてその上、ラミネート体の製造は非常に高価で費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第1440133B1号
【特許文献2】ドイツ国特許出願公開第10048665A1号
【特許文献3】ドイツ国特許出願第102004057918A1号
【特許文献4】国際公開第2004/045857A2号
【特許文献5】国際公開第2005/033218A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故、本発明は、製造が簡単で、しかも迅速かつプロセス安定的なレーザー刻印を可能にする、多色レーザー刻印可能なフィルムを創出するという課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記で挙げた課題は、請求項1に記載の上位概念の特徴を有する多色レーザー刻印可能なフィルムの製造方法において、請求項1の特徴部の特徴によって解決される。請求項15に記載の多色レーザー刻印可能なフィルムは別の解決策を供する。好ましい実施形態及び発展変形は、従属請求項の対象である。
【0009】
本発明の教示は、個々の印刷塗料層を支持体材料の上に設けるだけではなく、多色レーザー刻印のために、いくつかの印刷塗料層も積層させて、いずれも相互に依存することなく設けることに基づく。いくつかの印刷塗料層の塗布には、いずれの印刷塗料層に関しても、印刷法の精密な調整だけでなく、印刷塗料層結合体全部にわたって最大限均一であるべきであるような、各着色層中で良好に規定されたレーザー吸収も必要であるため、今まで、この可能性は判明していなかった。
【0010】
ここで及び以下で、印刷塗料層とは、印刷された、特に、フレキソ印刷法によって印刷された塗料層を意味する。それに加えて、ここでは印刷塗料層とは、例えば、彫刻層の局所的な除去、光学特性(例えば、反射率、透過度、色)の局所的な変更及び類似の手段によって、レーザー照射により彫刻層、言い換えれば印刷塗料層中に識別印を付けることができる層を言う。
【0011】
印刷塗料層の使用により、別の塗料層及びラミネート層に比べて、比較的薄く塗布できるという利点が提供される。レーザー刻印時のより少量の質量除去(Masseabtrag)に起因して、より薄い層により迅速に刻印できるため、これにより、より迅速なレーザー刻印の可能性がもたらされる。すなわち、特に、印刷塗料層は、約1g/m2〜約3g/m2の塗布量で塗布され、他方、ESH−アクリレート塗料層の塗布量は、通常、少なくとも約10g/m2である。これにより簡単なやり方での印刷塗料層の順応性のある/任意の着色を可能にする。
【0012】
いくつかの異なる色の印刷塗料層を使用することによって、それ以外に、一つ又は複数の印刷塗料層をその都度レーザー照射によって局所的に除去するようにレーザー刻印することによって多色刻印を得ることができ、その結果、その下にある各層が透けて見える。それ故、異なる印刷塗料層の着色に応じて、異なる色の刻印が得られる。しかしながら、レーザー刻印時の問題とは、材料が正確にねらったとおりのレーザー刻印を可能にすること、すなわち、個別の層それぞれの層の除去が確かに完全に生じるが、その下にある層は一緒に除去されないことが確実であることである。
【0013】
異なった印刷塗料層についてできるだけ均一な刻印過程を可能にするために、本発明により、各印刷塗料層の吸収係数は相互にできるだけ均一であることが提案される。本発明により、慣用的な波長について、レーザー刻印時の各印刷塗料層の吸収率は、わずか20%だけ、好ましくはわずか15%だけ、更に好ましくはわずか10%だけしか、他の印刷塗料層の吸収率と相違しない。その際に、吸収係数に関するこの参照値は、Nd:YAGレーザーに典型的な約1064nmの波長に関係する。本発明において、これは、特に、二酸化チタン及び/又はカーボンブラックを印刷塗料層の中へそのときどきの割合を適切に調整することによって得ることができる。
【0014】
二つ添加剤は、良好なレーザー吸収剤として際立っている。それに加えて、この二つの添加剤は、印刷塗料の他の構成成分と良好な適合性を有する。そのうえ、二酸化チタン及び/又はカーボンブラックをレーザー吸収剤として添加することによって、任意の色の印刷塗料を使用することが可能である。印刷塗料の本来の色を与える顔料は、レーザー照射による相互作用に関連して、もはや特別な吸収特性を満たす必要がない。それ故、特に、レーザー刻印可能な印刷塗料層を、黄色の印刷塗料層として形成できる。これは、これまで、別の系では不可能であったか、非常に莫大な費用がかかるものであったであろう。
【0015】
好ましい形態において、各印刷塗料層は積層して直に配置され、つまり、更なる中間層は提供されない。できる限り薄く、並びに費用対効果の高いフィルムの形態に関して、これは特に好ましく有利である。
【0016】
更に好ましい形態において、個々の印刷塗料層はUV硬化性印刷塗料をベースとする。これにより、非常に簡単でかつ迅速に各印刷塗料層を乾燥させることができる。
【0017】
更に、好ましい形態において、各印刷塗料層は、次の印刷塗料層が印刷される前に硬化される。それによって、個々の印刷塗料層が混ざり合うこと、及びそれによりそれぞれの色が混ざり合うことが確実に回避できる。印刷塗料層の形態に依存して、例えば、UV照射、電子線照射、熱線照射などによって硬化できる。
【0018】
製造方法の一形態において、印刷塗料層が上に設けられる支持体の場合、それは印刷塗料層を塗布して硬化させた後に再び除去されるプロセス支持体である。印刷塗料層から形成されたフィルムが自己支持型に形成されている場合にこれは有利であり、要するに追加の支持体は準備されない。しかしながら、代わりにあるいは補足的に、追加の常設の支持体を準備することもできる。例えば、製造が原因で、最初に設けられる一連の層を、最終製品において逆の順序にしなければならない場合、印刷塗料層の硬化後に、常設の支持体がその上に積層され、そしてその後プロセス支持体は除去される。
【0019】
個々の印刷塗料層は、それぞれ全表面にわたってあるいは部分的にのみ、例えば、ロゴなどの形状に形成できる。
【0020】
添加剤の二酸化チタンについて特に有利な割合は、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%の割合であることが判明した。カーボンブラックに関しては、少なくとも2%、好ましくは少なくとも4の割合が最適であることが判明している。
【0021】
更に、印刷塗料層は、できる限り厚さに変動なく形成される。各印刷塗料層内では、層厚はせいぜい10%だけしか平均層厚と相違していなければならない。このような層厚品質は、印刷塗料層の印刷によって、特にフレキソ印刷の場合に特に良好に得られる。
【0022】
一方で十分な色のコントラストを得るために、そして他方でできる限り高い刻印効率を可能にするために、印刷塗料層は、約1μm〜約10μm、好ましくは約1μm〜約5μmの層厚を有する。
【0023】
支持体の層厚は、好ましくは約50μm〜約200μmである。支持体としては、基本的に全ての薄層体及び薄層結合系が挙げられる。特に適しているのは、例えば、ポリエチレンフィルム、PVCフィルムなどのようなポリマーフィルムである。支持体に関しては、単に印刷塗料層の良好な粘着性をその上に保証するに過ぎないであろう。場合によっては、これは、従来技術から知られているような追加の粘着剤を塗布することによって行われる。
【0024】
特に好ましい形態において、レーザー刻印可能なフィルムは、接着層を設けることによって粘着フィルム、特に、自己接着型粘着フィルムとして形成される。接着層は、従来から知られているような、特に感圧接着剤と呼ばれる任意の接着剤をベースにすることができる。レーザー刻印可能なフィルムが常設の支持体を有する限り、接着層は簡単な製造を理由に、支持体の、印刷塗料層とは対向する面上に設けることが好ましい。しかしながら、代わりに、接着層を塗料層の最上上に設けることもできる。しかし、この場合、支持体は、同様にレーザー刻印可能に形成されることになり、それにより、刻印は支持体全体を通して行うことができる。この配置は、接着後に、塗料層、及びそこに刻印されている識別印を破損することなくフィルムをはがすことができないという利点を有する。印刷塗料層は、それ自体、非常に脆弱にすることができ、それ故、支持体を使わずに、接着後に破損させずに剥がすことができない。しかしながら、支持体が、塗料層の上に配置されているため、改ざんを試みると印刷塗料層は破損する。
【0025】
前述の印刷塗料層の結合体は、レーザー刻印可能であるだけでなく、レーザー切断可能(laserscheidbar)であること、つまり、レーザー照射によって、全ての層を切断できることが好ましい。それに加えて、刻印されたラベルの製造をできるだけ簡単に実現するために、支持体を、レーザーを使って切断可能に形成すべきである。それによって、レーザー刻印可能なフィルムの購買者は、それらフィルムを個別に刻印し、そして同時に該フィルムから、所望の寸法でラベルを切り出すことができる。そのように形成されたレーザー刻印されたラベルは、特に、例えば、シリアルナンバー、バーコードのような、多色の個別化された識別しるしを有する。その上、ラベルのレーザー切断によって、所望のやり方で形状を合わせることが可能となる。ラベルは、例えば、アルファベット状の外形、ラベル端部などの一つ又は複数の相互に隔たれた凹部のような、個別化された形状をも有することができる。
【0026】
特に好ましくは、この場合、ラベルの個別化された多色の識別印及び個別化された形態との間に相関関係がある。この相関関係は、例えば、識別印が完全に、又は部分的にその形状に反映されているか、あるいは、識別印と個別化された形状とが、単に、完全な情報を伝えるだけに過ぎないということからなる。
【0027】
本発明の更なる細部、特徴、目的及び利点は、以下に、好ましい実施形態の図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、第一の形態による、レーザー刻印可能なフィルムの層構造を図解的に示す図である。
【図2】図2は、別の形態による、レーザー刻印可能なラベルの層構造を図解的に示す図である。
【図3】図3は、図2のラベルの平面図である。
【0029】
図1は、支持体2、第一の塗料層3、並びに更なる塗料層4を有するレーザー刻印可能なフィルム1を示している。ここで、支持体2は、フィルム1の常設の支持体として提供されており、そして約100μm厚のポリエチレン製フィルムから形成されている。しかしながら、そのような追加の支持体は、必ずしも必要というわけではない。形態に依存して、多数の塗料層3、4、又は別の層にその機能を負わせることもできる。二つの塗料層3、4は、全表面にわたって形成される。それらは、それぞれが印刷塗料から形成されていて、すなわちここではUV硬化性印刷塗料である。
【0030】
フィルム1を製造するために、まず塗料層3のために支持体2上に印刷塗料をフレキソ印刷法で印刷した。層厚は約3μmであった。引き続き、印刷塗料層3をUV放射線で硬化させた。硬化後、印刷塗料層4のために、硬化された印刷塗料層3の上に、層厚約4μmでもってフレキソ印刷法で印刷塗料を印刷した。印刷塗料層4もUV放射線で硬化させた。
【0031】
支持体2は白色に形成されており、他方、印刷塗料層3は赤色に、そして印刷塗料層4は黄色に形成されている。印刷塗料層の着色は、印刷塗料中の着色顔料によって行われる。
【0032】
印刷塗料層3、4の印刷塗料は、当業者に知られている赤色と黄色の既知の着色顔料以外に、更に二酸化チタン及び/又はカーボンブラックをレーザー吸収剤として含む。これらの構成成分によって、印刷塗料層3、4は、彫刻層として特に良好であり、それ故、該彫刻層は、レーザー照射によって局所的に印刷可能である。刻印の際、レーザー放射線は局所的に吸収され、そして上層の印刷塗料層4が、まず、部分的に取り除かれる。その後、又は同様に刻印を実行する間、レーザー照射によってその下にある印刷塗料層3も更に取り除くことができる。一つ又は複数の印刷塗料層3、4を、一度で、又は連続的にどの程度除去するかは、レーザーパラメーター(パルス時間、強度)の適切な選択によって操作できる。そのため、本発明の場合、黄色、赤色そして白色の色に刻印が可能である。
【0033】
この形態の印刷塗料層3は、10%の割合の二酸化チタンと、0.1%の割合のカーボンブラックとを有する。他方、印刷塗料層4は、15%の割合の二酸化チタンと、0.1%の割合のカーボンブラックとを有する。いずれの場合においても、カーボンブラックの混ぜ合わせはもっぱら色の形成に用いられて、レーザー吸収に用いられることはなく、レーザー吸収は二酸化チタンの十分な混ぜ合わせによってなされる。
【0034】
吸収剤をそれぞれの印刷塗料中に均質に混ぜることによって、印刷塗料層内部の吸収係数が非常に均質になる。それに加えて、レーザー吸収剤を印刷塗料中に個別に混合することによって、設けられた層厚及び印刷塗料の更なる構成成分(着色顔料、バインダーなど)に依存して、個々の印刷塗料層3、4の吸収率が本質的に互いに異ならないように設けることができる。この形態では、印刷塗料層3の吸収率は、印刷塗料層4の吸収率よりも約14%だけ低い。可能な限り一回の刻印プロセスのために、吸収率は互いに20%を超えて相違すべきではない。
【0035】
図2は、ラベルの形状にある、レーザー刻印可能なフィルムの別の形態を示している。このラベル1もまた支持体2を有しており、その上に二つの塗料層3、4が配置されている。前述の形態とは対照的に、塗料層3は、全表面にわたってではなく部分的にのみ、特に、ロゴの形状に形成されている。印刷塗料層4は、それとは逆に、全表面にわたって形成されていて、要するに印刷塗料層3並びに支持体2を覆っている。
【0036】
この形態でも、二つの印刷塗料層3、4のそれぞれは、レーザー吸収剤として二酸化チタン及びカーボンブラックを有するため、二つの印刷塗料層3、4は、同時に彫刻層としても形成されている。そのため、有色の刻印が再度、印刷塗料層3、4の一方又は両方の局所的な除去(Abtrag)により可能である。それに加えて印刷塗料層4があまり厚く形成されていない限り、レーザー刻印に関わらず、印刷塗料層がロゴの形状に透けて見える。同様に、例えば、UV蛍光顔料の混合によって、更なる特徴を設けることができる。表面の下に特徴が設けられるため、特に、裸眼では認識できない。
【0037】
ラベル1は、支持体2の下に接着層5を追加的に有する。接着層5は、ここでは感圧接着剤をベースとするものであり、そして約30μmの層厚を有する。この接着層5により、ラベル1は任意の基材上に固定可能である。
【0038】
それに加えて、ラベル1は、レーザーを用いて、特にレーザー刻印に使用されたのと同じレーザーを用いて切断できるように形成される。
【0039】
図3は、上面から見たラベル1を示している。その際に、ラベル1の外側形状が個別化されており、ここでは、すなわち、数列の最後の数字の輪郭が再生されている。この造形は、多色の識別部(Kennzeichnung)6の文字と一緒に個別に実現された。その際に、識別部6並びに個別化された形状は、相互に関連しており、ここでは、すなわち、一致する最後の数字を有する。
【0040】
代わりに、個別化された形状は、例えば、同じ及び/又は異なる幅を有する、バーコードなどに類似した、一つ又は複数の刻み目に基づく別の識別印に基づくものであることもできる。それに加えて、情報が部分的に又は完全に、場合によっては、交互に繰り返されるような相関関係にすることができる。あるいはまた、二つの情報が一緒になって初めて完全な情報が得られるような相関関係にすることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の塗料層が支持体上に設けられており、そして少なくとも一つの更なる塗料層が該第一の塗料層上に設けられており、その際、積層して配置された二つの塗料層のそれぞれの色が互いを区別する、多色レーザー刻印可能なフィルムの製造方法であって、
前記第一の及び更なる塗料層が、それぞれ印刷塗料から形成され、
前記印刷塗料層が、わずか20%しか互いに相違しない吸収率を有するように形成され、
前記印刷塗料が、前記塗料層を形成するために印刷される、
ことを特徴とする、上記の方法。
【請求項2】
前記印刷塗料層が、互いに直接に積層して配置されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各印刷塗料層が、次の印刷塗料層による印刷前に硬化されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
UV硬化性印刷塗料が使用されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
更なる層、特に、透明な保護層又は第二の支持体−常設の支持体−が、最上層の印刷塗料層上に設けられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
第一の支持体としてプロセス支持体が使用され、該プロセス支持体は前記常設の支持体を設けた後に除去されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
少なくとも一つの印刷塗料層が、特に、第一又は最後の印刷塗料層が全表面にわたって、そして前記更なる印刷塗料層が部分的に及び/又は全表面にわたって形成されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記各印刷塗料が、レーザー吸収剤として二酸化チタン及び/又はカーボンブラックが混ぜ合わされていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記各印刷塗料が、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%の範囲内で二酸化チタンが混ぜ合わされていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
各印刷塗料層が、その平均層厚から10%しか、好ましくはその平均層厚から5%しか変わらないように形成されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記各印刷塗料が、少なくとも2%、好ましくは少なくとも4%の範囲内でカーボンブラックが混ぜ合わされていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
前記印刷塗料層が、約1μm〜約10μm、好ましくは約1μm〜約5μmの厚さで印刷されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
前記支持体及び/又は常設の支持体が、約50μm〜約200μmの層厚でもって形成されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
前記支持体の、特に前記印刷塗料層に対向する位置にある面上に接着層が設けられることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
支持体、第一の塗料層、及び該第一の塗料層の上の少なくとも一つの更なる塗料層を有し、その際、積層して配置された二つの塗料層のそれぞれの色が、互いを区別する、特に請求項1〜14のいずれか一つに記載の方法によって製造された多色レーザー刻印可能なフィルムであって、
前記第一の及び更なる塗料層が、それぞれ印刷塗料から形成され、
前記印刷塗料層が、せいぜい20%しか互いに相違しない吸収率を有し、
前記印刷塗料が印刷される、
ことを特徴とする、上記の多色レーザー刻印可能なフィルム。
【請求項16】
前記印刷塗料層が、互いに直接に積層して配置されることを特徴とする、請求項15に記載の多色レーザー刻印可能なフィルム。
【請求項17】
前記印刷塗料層が、UV硬化性印刷塗料から形成されることを特徴とする、請求項15又は16に記載の多色レーザー刻印可能なフィルム。
【請求項18】
少なくとも一つの印刷塗料層、特に第一の又は最後の印刷塗料層が、全表面にわたって、そして前記更なる印刷塗料層が部分的に及び/又は全表面にわたって形成されることを特徴とする、請求項15〜17のいずれか一つに記載の多色レーザー刻印可能なフィルム。
【請求項19】
前記印刷塗料が、レーザー吸収剤として二酸化チタン及び/又はカーボンブラックを有することを特徴とする、請求項15〜18のいずれか一つに記載の多色レーザー刻印可能なフィルム。
【請求項20】
各印刷塗料層が、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%の割合で二酸化チタンを含有することを特徴とする、請求項15〜19のいずれか一つに記載の多色レーザー刻印可能なフィルム。
【請求項21】
各印刷塗料層が、少なくとも2%、好ましくは少なくとも4%の割合でカーボンブラックを含有することを特徴とする、請求項15〜20のいずれか一つに記載の多色レーザー刻印可能なフィルム。
【請求項22】
前記印刷塗料層が、約1μm〜約10μm、好ましくは1μm〜約5μmの厚さを有することを特徴とする、請求項15〜21のいずれか一つに記載の多色レーザー刻印可能なフィルム。
【請求項23】
前記支持体及び/又は常設の支持体が、約50μm〜約200μmの層厚を有することを特徴とする、請求項15〜22のいずれか一つに記載の多色レーザー刻印可能なフィルム。
【請求項24】
前記支持体の、特に前記印刷塗料層に対向する位置にある面上に接着層が備えられることを特徴とする、請求項15〜23のいずれか一つに記載の多色レーザー刻印可能なフィルム。
【請求項25】
前記フィルムがレーザー切断可能(laserschneidbar)に形成されることを特徴とする、請求項15〜24のいずれか一つに記載の多色レーザー刻印可能なフィルム。
【請求項26】
レーザー刻印されたラベル、特に、請求項15〜25のいずれか一つに記載の多色レーザー刻印可能なフィルムからなる、該ラベルであって、
前記ラベルがレーザー切断され、そして個別化された多色識別印を有することを特徴とする、上記のレーザー刻印されたラベル。
【請求項27】
前記ラベルが、個別化された形状を有することを特徴とする、請求項26に記載のレーザー刻印されたラベル。
【請求項28】
前記個別化された形状と前記個別化された識別印とが相互に関連することを特徴とする、請求項27に記載のレーザー刻印されたラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−501874(P2012−501874A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525512(P2011−525512)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061124
【国際公開番号】WO2010/028962
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(509120403)テーザ・ソシエタス・ヨーロピア (118)
【Fターム(参考)】