説明

多色成形品、およびその製造方法

【課題】色分けの境界部を定めて高品位な多色成形品を提供し、さらに、そのような高品位な多色成形品を得ることが可能な多色成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】多色成形品10の製造方法は、多色成形品の外形形状に合致したキャビティ21を形成する開閉自在な成形型20内に、第1と第2の樹脂材料11、12のそれぞれが含浸自在な多孔質体71を備えるシート部材70を配置し、シート部材を境にしてキャビティを第1と第2のキャビティ部23、24に分ける。次に、第1の樹脂材料を第1のキャビティ部に、第2の樹脂材料を第2のキャビティ部に充填する。そして、第1と第2の樹脂材料のそれぞれをシート部材の多孔質体に含浸させて、多色成形品における色分けの境界部14を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多色成形品、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のインストルメントパネルなどの内装部品には、色が異なる複数の樹脂材料から成形される多色成形品を適用したものがある。
【0003】
多色成形品を製造するための技術として、金型にスライドコアを設け、スライドコアの動作によって2色の色分けを実施する技術が知られている(特許文献1を参照)。まず、スライドコアを上昇させて1色目の樹脂材料を充填し、次に、スライドコアを下降させて2色目の樹脂材料を充填し、多色成形品を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−315241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、1色目の樹脂材料を充填した後、1色目の成形体は成形収縮を起こし、金型と成形体との間に隙間を発生する。その結果、2色目の樹脂材料を充填すると、発生した隙間を介して樹脂が漏れてしまう。このため、色分けの境界部が定まらず、高品位の多色成形品を得ることができないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、色分けの境界部の位置を定めて高品位な多色成形品を提供し、さらに、そのような高品位な多色成形品を得ることが可能な多色成形品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の多色成形品の製造方法は、色が異なる少なくとも第1と第2の樹脂材料からなる多色成形品を成形する多色成形品の製造方法であって、まず、多色成形品の外形形状に合致したキャビティを形成する開閉自在な成形型内に、前記第1と第2の樹脂材料のそれぞれが含浸自在な多孔質体を備えるシート部材を配置し、前記シート部材を境にして前記キャビティを第1と第2のキャビティ部に分ける配置工程を実施する。次に、前記第1の樹脂材料を前記第1のキャビティ部に、前記第2の樹脂材料を前記第2のキャビティ部に充填する充填工程を実施する。そして、前記第1と第2の樹脂材料のそれぞれを前記シート部材の前記多孔質体に含浸させて、多色成形品における色分けの境界部を形成する工程を実施する。
【0008】
本発明の多色成形品は、色が異なる少なくとも第1と第2の樹脂材料から成形される多色成形品である。色分けの境界部には、前記第1と第2の樹脂材料のそれぞれが含浸した多孔質体を備えるシート部材を有している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の多色成形品の製造方法によれば、シート部材の多孔質体に第1と第2の樹脂材料を含浸させ、漏れを防止することによって2色色分けが可能となり、色分けの境界部の位置を定めた高品位な多色成形品を得ることができる。
【0010】
本発明の多色成形品によれば、シート部材の多孔質体に第1と第2の樹脂材料を含浸させ、漏れを防止することによって2色色分けが可能となり、色分けの境界部の位置を定めた高品位な多色成形品となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る多色成形品の製造方法を具現化した多色成形品の製造装置における成形型を、シート部材とともに示す断面図である。
【図2】成形型にシート部材を固定した状態を示す断面図である。
【図3】成形型を閉じてシート部材をキャビティに沿った形状に賦形した状態を示す断面図である。
【図4】第1と第2の樹脂材料を充填した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る多色成形品の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる。
【0013】
図1、図5を参照して、実施形態に係る多色成形品10の製造装置は、概説すれば、色が異なる第1と第2の樹脂材料11、12からなる多色成形品10を成形するために用いられ、多色成形品10の外形形状に合致したキャビティ21(図3を参照)を形成する開閉自在な成形型20と、第1の樹脂材料11をキャビティ21に射出する第1の射出装置61と、第2の樹脂材料12をキャビティ21に射出する第2の射出装置62と、を有している。射出成形時には、成形型20内に、第1と第2の樹脂材料11、12のそれぞれが含浸自在な多孔質体71を備えるシート部材70を配置している。以下、詳述する。
【0014】
多色成形品10は、例えば、自動車の内装部品の一つであるインストルメントパネルである。第1と第2の樹脂材料11、12は、色が異なる限りにおいて使用する材料は特に限定されない。製造する多色成形品10に要求される条件に応じて適宜の材料を選択することができる。
【0015】
成形型20は、下型30と、下型30に対して相対的に接近離反移動自在な上型40と、シート部材70の周囲を固定するめのスライドコア50と、を有している。なお、図示例の成形面の凹凸形状から、下型30はコア型とも称され、上型40はキャビ型とも称される。
【0016】
下型30は、多色成形品10の外形形状に合致した内面形状を有する成形面31を有している。下型30の成形面31には、凹部32を設けている。
【0017】
上型40は、多色成形品10の外形形状に合致した内面形状を有する成形面41を有している。上型40の成形面41には、下型30の凹部32内に嵌まり込む凸部42を設けている。上型40は、下型30に対して昇降自在に設けている。
【0018】
スライドコア50は、凹部32の両側に、下型30に対して昇降自在に設けている。スライドコア50は、シート部材70の周囲を保持する窪んだ収納室51を有している。シート部材70の周囲を収納室51に保持した状態においてスライドコア50を下降させることによって、シート部材70の周囲を、下型30とスライドコア50との間に挟み込む。このようにして、シート部材70を下型30に対して固定する。スライドコア50の上面52は、下降したときに下型30の成形面31の一部を構成する。
【0019】
図3を参照して、上下型40、30を型締めすることによって、下型30の成形面31と上型40の成形面41との間にキャビティ21を形成する。図示例にあっては、上型40の成形面41が、多色成形品10の意匠面10aを成形する側の成形型20における成形面に相当する。したがって、キャビティ21は、多色成形品10の意匠面10aから見て窪んだ凹状溝13(図5を参照)を成形する溝部22を有している。
【0020】
シート部材70をスライドコア50によって下型30に対して固定した後、上下型40、30を閉じる動作によって、シート部材70は、キャビティ21の溝部22に沿った形状となる。シート部材70を境にしてキャビティ21は、第1のキャビティ部23と、第2のキャビティ部24とに分かれる。
【0021】
上型40の凸部42は、周囲が押えられたシート部材70を、下型30の凹部32内に押し込んでいる。このようにしてシート部材70を配置することによって、図3に示すように、第1のキャビティ部23には、上型40の成形面41とシート部材70との間に第1の隙間部25を形成し、第2のキャビティ部24には、上型40の成形面41とシート部材70との間に第2の隙間部26を形成している。第1の隙間部25と第2の隙間部26との間には、上型40の成形面41とシート部材70とが密着した密着部27を形成してある。密着部27は、第1の隙間部25と第2の隙間部26との直接的な連通を遮断し、色分けの境界部14(図4、図5を参照)の位置を定めるために設ける。多色成形品10の意匠面10aとは反対側の面10bを成形する下型30の成形面31とシート部材70とが密着していることは、必ずしも必要ではない。しかしながら、色分けの境界部14の位置を定めて高品位な多色成形品10を提供するためには、下型30の成形面31とシート部材70とが密着していることが好ましい。
【0022】
そこで、上型40の凸部42の先端面と、下型30の凹部32の底面との間の寸法d(図3を参照)は、上下型40、30を閉じたときに、第1の隙間部25と第2の隙間部26との間に上型40の成形面41とシート部材70とが密着した密着部27を形成する寸法に設定してある。このような寸法設定によれば、密着部27は、下型30の成形面31とシート部材70ともが着したものとなる。
【0023】
密着部27は、溝部22の底部に形成することが好ましい。多色成形品10を意匠面10aから観察した場合、窪んだ凹状溝13の底部に密着部27が位置するので、観察者から色分けの境界部14を認識し難くなり、見栄えの向上を図ることができるからである。
【0024】
第1と第2の射出装置61、62は、周知の射出装置を用いることができ、型式ないし方式は特に限定されない
シート部材70の多孔質体71は、第1と第2の樹脂材料11、12のそれぞれが含浸自在であれば特に限定されないが、例えば、繊維系のシート体、より具体的には、不織布からなるシート体を好適に用いることができる。繊維の材質は、射出される第1と第2の樹脂材料11、12との関係において適宜選択できるが、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、第1と第2の樹脂材料11、12の溶融温度よりも高い溶融温度を有する樹脂繊維などを適用することができる。
【0025】
多孔質体71は、第1と第2の樹脂材料11、12の流動や射出圧力を緩和し、かつ、互いの樹脂材料をシールして、色分けの境界部14を形成する機能を発揮する。密着部27において色分けの境界部14が形成されるように、使用する第1と第2の樹脂材料11、12の粘度や射出圧、多孔質体71の空隙率や密度を、トライアンドエラーによって決定してある。
【0026】
次に、多色成形品10の製造手順について説明する。
【0027】
図1〜図3を参照して、多色成形品10の外形形状に合致したキャビティ21を形成する開閉自在な成形型20内に、第1と第2の樹脂材料11、12のそれぞれが含浸自在な多孔質体71を備えるシート部材70を配置し、シート部材70を境にしてキャビティ21を第1と第2のキャビティ部23、24に分ける(配置工程)。
【0028】
この配置工程は、より詳しくは、成形型20を開いてシート部材70をセットする工程(図1)、シート部材70を固定する工程(図2)、成形型20を閉じてシート部材70を賦形する工程(図3)を含んでいる。
【0029】
シート部材70をセットする工程(図1)においては、上型40およびスライドコア50を上昇し、不織布などの多孔質体71を備えるシート部材70の周囲をスライドコア50の収納室51に保持する。シート部材70のセットは、製品取り出し時に用いる取り出し装置(図示せず)によって行う。
【0030】
シート部材70を固定する工程(図2)においては、シート部材70の周囲を収納室51に保持した状態においてスライドコア50を下降する。シート部材70の周囲を、下型30とスライドコア50との間に引き込んで挟み込む。これによって、シート部材70を下型30に対して確実に固定する。
【0031】
シート部材70を賦形する工程(図3)においては、シート部材70をスライドコア50によって下型30に対して固定した後、上型40を下降して成形型20を閉じ、下型30の成形面31と上型40の成形面41との間にキャビティ21を形成する。キャビティ21は、多色成形品10の意匠面10aから見て窪んだ凹状溝13を成形する溝部22を有している。キャビティ21は、シート部材70を境にして、第1のキャビティ部23と、第2のキャビティ部24とに分かれる。成形型20を閉じる動作によって、シート部材70を、キャビティ21の溝部22に沿った形状に賦形する。シート部材70は、成形型20を閉じる動作に追従して成形面31、41に密着するので、第1と第2の樹脂材料11、12を互いにシールして、色分けの境界部14を確実に形成することができる。
【0032】
また、シート部材70を成形型20に対して固定して賦形するので、成形型20内でのシート部材70の位置のバラツキが無くなることから、成形面31、41に対する密着がより確実なものとなり、色分けの境界部14を一層確実に形成することができる。
【0033】
配置されたシート部材70は、第1のキャビティ部23において上型40の成形面41との間に第1の隙間部25を形成し、第2のキャビティ部24において上型40の成形面41との間に第2の隙間部26を形成し、第1の隙間部25と第2の隙間部26との間に成形面31、41に密着した密着部27を形成している(図3)。
【0034】
次に、図4を参照して、第1の射出装置61から第1の樹脂材料11を第1のキャビティ部23に充填し、第2の射出装置62から第2の樹脂材料12を第2のキャビティ部24に充填する(充填工程)。2色の樹脂材料は同時に充填する。
【0035】
次に、第1と第2の樹脂材料11、12のそれぞれをシート部材70の多孔質体71に含浸させて、多色成形品10における色分けの境界部14を形成する(境界部形成工程)。シート部材70の多孔質体71は、第1と第2の樹脂材料11、12の流動や射出圧力を緩和し、かつ、互いの樹脂材料をシールして、色分けの境界部14を形成する機能を発揮する。なお、密着部27において色分けの境界部14が形成されるように、使用する第1と第2の樹脂材料11、12の粘度や射出圧、多孔質体71の空隙率や密度を、トライアンドエラーによって決定してある。また、第1と第2の射出装置61、62におけるゲート開閉のタイミングや時間などによって、色分けの境界部14が形成される位置の微調整を行う。
【0036】
そして、成形型20を開いて多色成形品10を取り出す。図5に示すように、シート部材70のはみ出ている周囲をトリミングして除去することによって、多色成形品10の製造が終了する。
【0037】
成形型20のキャビティ21は、多色成形品10の意匠面10aから見て窪んだ凹状溝13を成形する溝部22を有しており、密着部27は、溝部22の底部に形成してある。したがって、多色成形品10を意匠面10aから観察した場合、窪んだ凹状溝13の底部に密着部27が位置するので、観察者から色分けの境界部14を認識し難くなり、見栄えの向上を図ることができる。
【0038】
さらに、配置工程において、第1のキャビティ部23に形成した第1の隙間部25および第2のキャビティ部24に形成した第2の隙間部26は、シート部材70の多孔質体71が存在していない。したがって、色分けの境界部14から伸びる意匠面10aには、第1と第2の隙間部25、26によってシート部材70の多孔質体71が出現することがなく、意匠面10aにおける見栄えの向上を図ることができる。
【0039】
多色成形品10は、シート部材70の多孔質体71に第1と第2の樹脂材料11、12を含浸させ、漏れを防止することによって2色色分けが可能となる。これに加えて、色分けの境界部14においては、シート部材70と第1と第2の樹脂材料11、12とが絡み合って2層構造を呈することから、色分けの境界部14の強度アップを図ることができる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態は、多色成形品10の外形形状に合致したキャビティ21を形成する開閉自在な成形型20内に、第1と第2の樹脂材料11、12のそれぞれが含浸自在な多孔質体71を備えるシート部材70を配置し、シート部材70を境にしてキャビティ21を第1と第2のキャビティ部23、24に分ける配置工程と、第1の樹脂材料11を第1のキャビティ部23に、第2の樹脂材料12を第2のキャビティ部24に充填する充填工程と、第1と第2の樹脂材料11、12のそれぞれをシート部材70の多孔質体71に含浸させて、多色成形品10における色分けの境界部14を形成する工程を有するので、シート部材70の多孔質体71に第1と第2の樹脂材料11、12を含浸させ、漏れを防止することによって2色色分けが可能となり、色分けの境界部14の位置を定めた高品位な多色成形品10を得ることができる。これに加えて、色分けの境界部14においては、シート部材70と第1と第2の樹脂材料11、12とが絡み合って2層構造を呈することから、色分けの境界部14の強度アップを図ることができる。
【0041】
配置工程においては、第1のキャビティ部23に、多色成形品10の意匠面10aを成形する側の成形型20における成形面(上型40の成形面41)とシート部材70との間に第1の隙間部25を形成し、第2のキャビティ部24に、上型40の成形面41とシート部材70との間に第2の隙間部26を形成し、第1の隙間部25と第2の隙間部26との間に成形面31、41とシート部材70とが密着した密着部27を形成するように、シート部材70を配置するので、密着部27に色分けの境界部14を形成できる。しかも、色分けの境界部14から伸びる意匠面10aには、第1と第2の隙間部25、26によってシート部材70の多孔質体71が出現することがなく、意匠面10aにおける見栄えの向上を図ることができる。
【0042】
キャビティ21は、多色成形品10の意匠面10aから見て窪んだ凹状溝13を成形する溝部22を有し、密着部27を、溝部22の底部に形成するので、多色成形品10を意匠面10aから観察した場合、窪んだ凹状溝13の底部に密着部27が位置するので、観察者から色分けの境界部14を認識し難くなり、見栄えの向上を図ることができる。
【0043】
配置工程において、シート部材70を、成形型20を閉じる動作によってキャビティ21に沿った形状に賦形するので、シート部材70は、成形型20を閉じる動作に追従して成形面31、41に密着し、第1と第2の樹脂材料11、12を互いにシールして、色分けの境界部14を確実に形成することができる。
【0044】
シート部材70を成形型20に対して固定して賦形するので、成形型20内でのシート部材70の位置のバラツキが無くなることから、成形面31、41に対する密着がより確実なものとなり、色分けの境界部14を一層確実に形成することができる。
【0045】
また、本実施形態は、色が異なる少なくとも第1と第2の樹脂材料11、12から成形される多色成形品10であって、色分けの境界部14に、第1と第2の樹脂材料11、12のそれぞれが含浸した多孔質体71を備えるシート部材70を有しているので、シート部材70の多孔質体71に第1と第2の樹脂材料11、12を含浸させ、漏れを防止することによって2色色分けが可能となり、色分けの境界部14の位置を定めた高品位な多色成形品10となる。これに加えて、色分けの境界部14においては、シート部材70と第1と第2の樹脂材料11、12とが絡み合って2層構造を呈することから、色分けの境界部14の強度アップを図ることができる。
【0046】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜改変が可能である。例えば、3種以上の樹脂材料からなる多色成形品や、そのような多色成形品の製造にも適用できる。
【0047】
また、予め所定形状を付与したシート部材70を成形型20に配置する形態としてもよい。第1と第2の隙間部25、26、密着部27を形成し易いように、シート部材70の厚みを異ならせてもよい。含浸させる樹脂材料に対応させて、シート部材70の特性(例えば、多孔質体71の空隙率や密度など)などを部分的に異ならせることもできる。
【0048】
意匠面10aから見て窪んだ凹状溝13を備えた多色成形品10について説明したが、比較的平坦な形状を有する多色成形品に適用できることは言うまでもない。この場合、シート部材の形状を断面山型形状とし、成形時に、第1と第2の隙間部25、26、密着部27が形成されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 多色成形品、
10a 意匠面、
10b 意匠面とは反対側の面
11 第1の樹脂材料、
12 第2の樹脂材料、
13 凹状溝、
14 色分けの境界部、
20 成形型、
21 キャビティ、
22 溝部、
23 第1のキャビティ部、
24 第2のキャビティ部、
25 第1の隙間部、
26 第2の隙間部、
27 密着部、
30 下型、
31 成形面、
32 凹部、
40 上型、
41 成形面(多色成形品の意匠面を成形する側の成形型における成形面)、
42 凸部、
50 スライドコア、
51 収納室、
52 上面、
61 第1の射出装置、
62 第2の射出装置、
70 シート部材、
71 多孔質体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色が異なる少なくとも第1と第2の樹脂材料からなる多色成形品を成形する多色成形品の製造方法であって、
多色成形品の外形形状に合致したキャビティを形成する開閉自在な成形型内に、前記第1と第2の樹脂材料のそれぞれが含浸自在な多孔質体を備えるシート部材を配置し、前記シート部材を境にして前記キャビティを第1と第2のキャビティ部に分ける配置工程と、
前記第1の樹脂材料を前記第1のキャビティ部に、前記第2の樹脂材料を前記第2のキャビティ部に充填する充填工程と、
前記第1と第2の樹脂材料のそれぞれを前記シート部材の前記多孔質体に含浸させて、多色成形品における色分けの境界部を形成する工程と、を有する多色成形品の製造方法。
【請求項2】
前記配置工程において、前記第1のキャビティ部に、多色成形品の意匠面を成形する側の前記成形型における成形面と前記シート部材との間に第1の隙間部を形成し、前記第2のキャビティ部に、前記成形面と前記シート部材との間に第2の隙間部を形成し、前記第1の隙間部と前記第2の隙間部との間に前記成形面と前記シート部材とが密着した密着部を形成するように、前記シート部材を配置する、請求項1に記載の多色成形品の製造方法。
【請求項3】
前記キャビティは、多色成形品の意匠面から見て窪んだ凹状溝を成形する溝部を有し、
前記密着部を、前記溝部の底部に形成する、請求項2に記載の多色成形品の製造方法。
【請求項4】
前記配置工程において、前記シート部材を、前記成形型を閉じる動作によって前記キャビティに沿った形状に賦形する、請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の多色成形品の製造方法。
【請求項5】
前記シート部材を前記成形型に対して固定して賦形する、請求項4に記載の多色成形品の製造方法。
【請求項6】
色が異なる少なくとも第1と第2の樹脂材料から成形される多色成形品であって、
色分けの境界部に、前記第1と第2の樹脂材料のそれぞれが含浸した多孔質体を備えるシート部材を有する多色成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−208089(P2010−208089A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55312(P2009−55312)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】