多酸性塩基化合物の酸付加塩の製造方法
【課題】多酸性塩基化合物の酸付加塩又はその水付加物の酸付加数を、簡便に所望の数にすることができる製造方法の提供。
【解決手段】ピリジンより強い塩基性部位を有する多酸性塩基化合物とピリジンの酸塩とを反応させることを特徴とする多酸性塩基化合物の酸付加塩又はその水付加物の製造方法。
【解決手段】ピリジンより強い塩基性部位を有する多酸性塩基化合物とピリジンの酸塩とを反応させることを特徴とする多酸性塩基化合物の酸付加塩又はその水付加物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多酸性塩基化合物に所望の数の酸を簡易に付加することができる多酸性塩基化合物の酸付加塩又はその水付加物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬組成物において、原体が同一遊離体であってもその塩の種類及び塩の結晶形により、溶解性、経口吸収性、薬効及び製剤の安定性等に大きな相違が生じることは周知である。従って、医薬組成物の開発に際して、原体の化学的安定性、バイオアベイラビリティ−、物理的安定性(結晶化度、水和度)、製剤特性に与える影響(硬度、崩壊性、溶出性)、原体の製造性に対する影響(成形性、流動性、充填性)等を総合的に検討し、最も好ましい条件を満たす原体を選択することは極めて重要である。
【0003】
多酸性塩基化合物の一種である2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチルピリジン−3−イル]アセトアミドに代表されるピペラジン誘導体は、コレステロ−ルからコレステロ−ルエステルへの合成を触媒する酵素(アシル コエンザイム A コレステロ−ル アシルトランスフェラ−ゼ(ACAT))の阻害剤として有用である(国際公開第98/54153号パンフレット)。
ACATが阻害されると、腸管ではコレステロ−ル吸収が阻害され、また、肝臓では血中への超低比重リポ蛋白質(VLDL)の分泌が抑制されるため血中コレステロ−ルの低下につながると考えられる。さらに血管壁ではマクロファ−ジの泡沫化を抑えることから粥状動脈硬化病巣そのものの退縮が期待される。よって、ACAT阻害剤は高脂血症、動脈硬化症、頚部及び脳動脈硬化症、脳血管障害、虚血性心疾患、冠状動脈硬化症、腎硬化症、動脈硬化性腎硬化症、細動脈硬化性腎硬化症、悪性腎硬化症、虚血性腸疾患、急性腸間膜血管閉塞症、慢性腸管アンギ−ナ、虚血性大腸炎、大動脈癌、閉塞性動脈硬化症(ASO)等の各種疾患の治療および予防に適用できると期待され、数多くの研究開発が行われている。
【0004】
しかしながら、前記ACAT阻害剤として有用なピペラジン誘導体のうち、例えば2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドは遊離塩基の状態で結晶化するが、その結晶は不均一であり、物理的安定性や水溶性も低いことから、経口吸収性が著しく低い等の問題を有している。
【0005】
このような多酸性塩基化合物は、一般に経口吸収性等を改善するために酸を付加し、酸付加塩として使用することで問題の解決が計られる。例えば、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドは過剰量の塩酸を用いて四塩酸塩・2水付加物とすることで、水溶性及び経口吸収性が著しく改善される。
【0006】
しかし、酸の付加数は、生成した多酸性塩基化合物の酸付加塩の物性に影響を及ぼし、上記四塩酸塩・2水付加物では粉末X線回折測定により結晶化度が悪いこと、示差熱分析測定により容易に脱水及び脱塩酸を起こすこと、吸湿性試験により高い吸湿性が認められること等の問題点が指摘される。また、過剰に使用した酸の残存や、四塩酸塩という酸性度の強い塩がもたらす打錠機やアルミシ−トの金属腐食といった問題も考えられ、製剤化及び製剤の安定性への影響が懸念される。そのため、製造に際して乾燥温度、真空減圧度、乾燥量等の因子を十分に管理する必要があり、医薬組成物の原体として物性を一定に保持したものを効率よく安定に供給することは困難である。
【0007】
上記問題点の解決には、付加する酸の数を制御した酸付加塩を製造することが考えられるが、酸に塩酸等を用いる場合、多酸性塩基化合物1モル中に付加させたいモル数の酸量を正確に秤量することが難しく、所望の数の酸が付加した多酸性塩基化合物の酸付加塩又はその水付加物を簡便に製造することは困難である。
そこで、多酸性塩基化合物の酸付加塩の酸の付加数を、その多酸性塩基化合物に適合した数に簡単に適宜変えられる製造方法が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、多酸性塩基化合物の酸付加塩又はその水付加物の酸付加数を、簡便に所望の数にすることができる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは係る事情に鑑み鋭意検討の結果、多酸性塩基化合物をピリジンと酸から形成されるピリジンの酸塩と反応させることにより、ピリジンより強い塩基性の部位に対し、所望の数の酸が付加した多酸性塩基化合物の酸付加塩を簡便に製造できることを見出した。また、この方法によって製造される種々のピペラジン誘導体の酸付加塩、例えば、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩・0.9水付加物は、結晶化度が高く吸湿性もなく、脱水や脱塩酸等による重量変化を伴うことがなく熱安定性に優れ、結晶多形の問題も生ぜず、更には塩酸の残余による影響もなく、好ましい酸付加塩であり、医薬原体として有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、ピリジンより強い塩基性部位を有する多酸性塩基化合物とピリジンの酸塩とを反応させることを特徴とする多酸性塩基化合物の酸付加塩又はその水付加物の製造方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物及び2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製造方法は、多酸性塩基化合物に所望の数の酸を付加した塩を簡便に製造できる。この製造方法によれば、付加酸の数の制御だけでなく、酸に不安定な多酸性塩基化合物の酸付加塩の安定製造が可能である。
ピリジンの酸塩を使用することにより酸の酸性度を相対的に弱め、従来法での強酸の添加等による系内の局所的pH低下による分解や不純物の生成等の問題が著しく緩和される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩・0.9水付加物の粉末X線回折を示す図である。
【図2】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩・0.9水付加物のTG-DSC測定の結果を示す図である。
【図3】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・四塩酸塩・2水付加物の粉末X線回折を示す図である。
【図4】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・四塩酸塩・2水付加物のTG-DSC測定の結果を示す図である。
【図5】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二硫酸塩・1.5水付加物の粉末X線回折を示す図である。
【図6】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二硫酸塩・1.5水付加物のTG-DSC測定の結果を示す図である。
【図7】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩・4水付加物の粉末X線回折を示す図である。
【図8】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩・4水付加物のTG-DSC測定の結果を示す図である。
【図9】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩の粉末X線回折を示す図である。
【図10】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩のTG-DSC測定の結果を示す図である。
【図11】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二マレイン酸塩の粉末X線回折を示す図である。
【図12】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二マレイン酸塩のTG-DSC測定の結果を示す図である。
【図13】2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図14】2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図15】2−[4−[2−(ベンズミイダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその二塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図16】2−[4−[2−(ベンズミイダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその二塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図17】2−[4−[2−(ベンズミイダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図18】2−[4−[2−(ベンズミイダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図19】2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその二塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図20】2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその二塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図21】2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図22】2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図23】2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図24】2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明で使用する多酸性塩基化合物は、ピリジンよりも強い塩基性部位を1箇所以上有する化合物であって、例えば、ピペラジノ基、3級アミノ基、2級アミノ基、1級アミノ基等を同一分子中に複数有する含窒素化合物が挙げられる。多酸性塩基化合物としては、含窒素有機化合物が好ましく、更にピペラジン誘導体が好ましい。
ピペラジン誘導体としては式(1)
【0015】
【化1】
【0016】
(式中、Xは−NH−、酸素原子又は硫黄原子を示し、Y1、Y2及びY3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、低級アルキル基又は低級ハロアルキル基を示し、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルキルチオ基、低級ハロアルコキシ基又は低級アルコキシアルコキシ基を示し、lは1〜2の整数を示し、mは2〜4の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。)で表されるものが好ましい。ここで、低級とは炭素数1〜5であることを示すが、特に1〜3が好ましい。
更に、ピペラジン誘導体としては、式(2)
【0017】
【化2】
【0018】
(式中、Xは−NH−、酸素原子又は硫黄原子を示し、Y1及びY2はそれぞれ独立して水素、ハロゲン又はトリフルオロメチル基を示し、R1及びR2はそれぞれ独立してトリフルオロメチル基、メチルチオ基、トリフルオロエトキシ基又はメトキシエトキシ基を示す。)で表されるものがより好ましい。特に2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド、2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド、2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド、2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド、2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド、2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及び2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドが好ましい。当該化合物は国際公開第98/54153号に記載の方法で製造される。
【0019】
本発明で使用するピリジンの酸塩は、ピリジンと無機酸又は有機酸との塩であって、ピリジンと塩を形成する酸としては特に限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硫酸、亜硝酸、臭化水素酸、沃化水素酸等の無機酸及び、酢酸、酪酸、ステアリン酸等の脂肪酸;蓚酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸等の多塩基酸;クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、サリチル酸、パモ酸、パントテン酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸;エタンジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のスルホン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸;トリフルオロ酢酸、タンニン酸等が挙げられる。
酸としては、塩酸、硫酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、メタンスルホン酸等が好ましく、更に塩酸、硫酸、マレイン酸が好ましく、特に塩酸が好ましい。
ピリジンの酸塩は、結晶性、非結晶性の何れでも使用される。
結晶性のピリジンの酸塩の製造においては、理論的にはピリジンと酸を等当量で反応することによりピリジンの酸塩が得られるが、具体的には、無水又は含水有機溶媒中などで、ピリジンを酸に対して過剰量使用するのが好ましく、酸に対してピリジンを1.0〜1.5倍当量、更には1.0〜1.2倍当量使用するのが好ましい。生成するピリジンの酸塩は溶媒を用いた通常の結晶化法などにより精製することができる。
【0020】
本発明において、結晶性ピリジンの酸塩を多酸性塩基化合物と反応させる場合、通常使用するピリジンの酸塩の量は、多酸性塩基化合物1モル中に付加させる酸のモル数と同モルの酸を供給できるピリジンの酸塩が使用される。具体的には、使用する溶媒の種類と量に依存し、通常付加させる酸のモル数の1.0〜3.0倍量、好ましくは1.0〜2.5倍量の酸を供給できる量のピリジンの酸塩を使用するのが好ましい。
【0021】
また、非結晶性のピリジンの酸塩を用いて多酸性塩基化合物の酸付加塩を製造する場合は、無水又は含水有機溶媒中で、多酸性塩基化合物に多酸性塩基化合物1モルに付加させる酸のモル数に対応する酸量の1.0〜2.5倍量、更には1.0〜1.2倍量の酸量及び使用する酸量に対し1.0〜1.5倍当量、更には1.0〜1.2倍当量のピリジンを加えて行うことが好ましい。
多酸性塩基化合物の酸付加塩の製造方法は、多酸性塩基化合物と付加する酸の量に必要なピリジンの酸塩を有機溶媒中で0〜120℃、更に好ましくは室温〜100℃、特に好ましくは使用した有機溶媒の還流温度で加熱して溶解すると、多酸性塩基化合物とピリジンの酸塩との間で塩交換が起こり、多酸性塩基化合物の酸付加塩が生成する。
【0022】
ここで使用される有機溶媒としては、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル等の低級アルコ−ル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエ−テル、アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。また、有機溶媒に水を加えた混合溶媒も使用できる。
ここで使用する溶媒の種類と量は特に限定されないが、多酸性塩基化合物の酸付加塩の収率が最大になるような種類と量を適宜選択することが望ましい。
生成する多酸性塩基化合物の酸付加塩又はその水付加物は、必要により攪拌しながら0.5〜24時間放置し、晶出させた後、析出した結晶を採取することにより得られる。
本発明で使用するピリジンの酸塩は、使用する酸の酸性度を相対的に弱めることから多酸性塩基化合物の遊離体が酸に対し不安定な場合に、従来法での強酸の添加等による系内の局所的pH低下による原体の分解や不純物の生成等の問題が著しく緩和される。
【0023】
本発明の製造方法は、前記ピペリジン誘導体の酸付加塩、特に、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物及び2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物の製造に極めて有利である。すなわち、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの四塩酸塩・2水付加物を製造する場合は塩酸の過剰量使用を前提にすれば何ら問題はないが、一塩酸塩又はその水付加物の製造のように、塩酸の量を正確に秤量する必要がある場合、その操作は通常困難であり、望む均一な塩酸塩又はその水付加物を製造することは極めて困難である。
【0024】
2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物及び2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物を製造する場合には、有機溶媒として含水低級アルコ−ルを使用するのが好ましい。
【0025】
このようにして得られた特に、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩・0.9水付加物は、結晶化度が高く、吸湿性もなく、脱水や脱塩酸等による重量変化を伴うことがなく熱安定性に優れ、結晶多形の問題も生ぜず、更には塩酸の残余による影響もなく、好ましい酸付加塩である。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。
【0027】
実施例1. 2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩・0.9水付加物の製造
(1)2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの遊離塩基(2.00kg,3.98mol)とピリジン塩酸塩(0.92kg,7.96mol)をエタノ−ル(12L)に還流温度にて加熱溶解した後、75〜87℃にて反応液中に水(20L)を滴下した。室温まで冷却した後、1時間攪拌し、析出した結晶を濾取した。結晶を水で洗浄後、80℃にて減圧乾燥し、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩水付加物(1H-NMRよりエタノ−ルを2%含有)1.96kg(89.0%)を無色針状晶として得た。
【0028】
(2)(1)で製造した2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩水付加物(1.96kg)を水(40L)に懸濁し、還流温度にて溶媒(20L)を常圧で留去した。室温まで冷却した後、析出した結晶を濾取し、結晶を水で洗浄後、80℃にて減圧乾燥し、標題化合物(1.70kg,84.2%)を無色針状晶として得た。
融点:193.9-196.5℃
IR (KBr) cm-1:3431, 1674, 1625, 1564, 1520.
1H-NMR (DMSO d-6) δ:2.32 (3H, s), 2.40 (3H, s), 2.45 (3H, s), 2.75-3.75 (14H, m), 6.92 (1H, m), 7.08-7.20 (2H, m), 7.42-7.53 (2H, m), 9.38 (1H, br, s).
水分含量試験2.84%より、元素分析:C23H30N6OS2・HCl・0.9H2Oとして
計算値:C, 49.74; H, 5.95; N, 15.13; Cl, 6.38; S, 17.32
実測値:C, 49.97; H, 6.00; N, 15.24; Cl, 6.48; S, 17.26
【0029】
参考例1. 2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・四塩酸塩・2水付加物の製造
2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの遊離塩基(134.31g,0.267mol)をメタノ−ル(500mL)に溶解し、0℃ にて攪拌しつつ 10% (w/v)塩化水素メタノ−ル(607.6g,1.666mol)を15分間かけて滴下した後、エ−テル(700mL)を加えて2時間放置した。析出した結晶を濾取し、メタノ−ル−エ−テル(1:1)混合溶媒(500mL)及びエ−テル(500mL)で順次洗浄し、室温にて3時間減圧乾燥し、標題化合物(133.54g,73.0%)を無色結晶として得た。
融点:193-196℃
IR(KBr): 3405, 2922, 1699, 1614, 1564, 1516 (cm-1).
1H-NMR (DMSO d-6) δ: 2.42 (3H, s), 2.43 (3H, s), 2.46 (3H, s), 3.66-3.84 (10H, m), 3.91 (2H, t, J = 7.3 Hz), 4.09 (2H, br.s), 6.95 (1H, s), 7.33-7.43 (2H, m), 7.63-7.69 (2H, m), 10.16 (1H, br.s).
元素分析:C23H30N6OS2・4HCl・2H2Oとして
計算値: C, 40.35; H, 5.59; N, 12.28; Cl, 20.71; S, 14.05.
実測値: C, 40.12; H, 5.83; N, 12.13; Cl, 20.59; S, 14.27.
【0030】
参考例2. 2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二硫酸塩・1.5水付加物の製造
硫酸(純度96%,799.9mg,7.83mmol)を水(1.5mL)で希釈し、これに室温にて2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの遊離塩基(1.94g,3.86mmol)を加えて室温にて溶解した。エタノ−ル(4.5mL)を加えて生じた粘性物質を加熱溶解した後に室温にて10分間攪拌し、これにエタノ−ル(9mL)を追加した。氷中にて冷却攪拌して生じた結晶を濾取し、80℃にて3時間加熱減圧乾燥し、標題化合物(2.64g,94.3%)を無色粉末として得た。
融点:204-208℃
IR(KBr)cm-1:3403, 1700, 1617, 1567, 1521.
1H-NMR(DMSO d-6,120℃)δ:2.44 (3H, s), 2.46 (3H, s), 2.48 (3H, s), 3.05-3.14 (4H, m), 3.26-3.53 (8H, m), 3.60 (2H, m), 6.92 (1H, m),7.16-7.19 (2H, m), 7.48-7.52 (2H, m), 9.18 (1H, br.s).
元素分析:C23H30N6OS3・2H2SO4・1.5H2Oとして
計算値:C, 38.06;H, 5.14;N, 11.58;S, 22.09
実測値:C, 37.99;H, 5.20;N, 11.39;S, 22.27
【0031】
参考例3. 2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩・4水付加物の製造
2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの遊離塩基(2.95g,5.86mmol)を1mol/L硫酸(6mL,6.00mmol)に80℃にて2分間で加熱溶解し、室温にて3日間放置することにより結晶析出を行った。デカント後、水(15mL)を加えて結晶を濾取し、結晶を水(15mL)及びイソプロパノ−ル(10mL+5mL)で順次洗浄した。室温常圧下開放系にて24時間放置(風乾)し、標題化合物(3.71g,94.1%)を無色プリズム晶として得た。
融点:不明確
IR(KBr)cm-1:3431, 1674, 1625, 1564, 1520.
1H-NMR(DMSO d-6)δ:2.40 (6H, s), 2.45 (3H, s), 2.80-3.72 (14H, m), 6.92 (1H, m), 7.11-7.18 (2H, m), 7.43-7.53 (2H, m), 9.38 (1H, br.s).
元素分析:C23H30N6OS3・H2SO4・4H2Oとして
計算値:C, 41.06;H, 5.99;N, 12.49;S, 19.06
実測値:C, 40.92;H, 5.85;N, 12.35;S, 19.07
【0032】
参考例4. 2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩の製造
参考例3で製造した2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩・4水付加物(3.25g,4.83mmol)を97.5%エタノ−ル(120mL)に加熱還流下溶解した後、室温にて3日間放置することにより結晶析出を行った。結晶を濾取し、エタノ−ル(30mL+20mL)で洗浄後、80℃にて6時間加熱減圧乾燥し、標題化合物(2.70g,93.0%)を無色微小針状晶として得た。
融点:170-171℃
IR(KBr)cm-1:3431, 1674, 1625, 1564, 1520.
1H-NMR(DMSO d-6)δ:2.40 (6H, s), 2.45 (3H, s), 2.80-3.72 (14H, m), 6.92 (1H, m), 7.11-7.18 (2H, m), 7.43-7.53 (2H, m), 9.38 (1H, br.s).
元素分析:C23H30N6OS3・H2SO4として
計算値:C, 45.98;H, 5.37;N, 13.99;S, 21.35
実測値:C, 45.73;H, 5.40;N, 13.75;S, 21.38
【0033】
参考例5. 2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二マレイン酸塩の製造
2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの遊離塩基(23.75g,47.2mmol)をエタノ−ル200mLに溶解し、マレイン酸(11.4g,98.2mmol)を加えて加熱溶解し、均一溶液とした。反応液を減圧濃縮し得られた残渣をエタノ−ル−酢酸エチルから結晶化、濾取し、標題化合物30.95g(89.1%)を無色結晶として得た。
融点:127-130℃
IR(KBr): 3424, 1687, 1624, 1576, 1492 (cm-1).
1H-NMR(DMSO d-6) δ: 2.43 (3H, s), 2.45 (3H, s), 2.47 (3H, s), 2.93-3.00 (4H, m), 3.08-3.17 (4H, m), 3.25 (2H, t, J = 6.8 Hz), 3.37 (2H, br.s),3.55 (2H, t, J = 6.8 Hz), 6.14 (4H, s), 6.91 (1H, s), 7.13-7.16 (2H, m), 7.44-7.50 (2H, m), 9.04 (1H, br.s).
元素分析:C23H30N6OS3・2C4H4O4として(マレイン酸) として
計算値:C, 50.67; H, 5.21; N, 11.44; S, 13.09.
実測値:C, 50.49; H, 5.37; N, 11.20;
【0034】
得られた2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩・0.9水付加物の粉末X線回折図を図1に、TG(熱重量分析)−DSC(示差走査熱量分析)測定結果を図2に示す。また、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・四塩酸塩・2水付加物の粉末X線回折図を図3に、TG-DSC測定結果を図4に、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二硫酸塩・1.5水付加物の粉末X線回折図を図5に、TG−DSC測定結果を図6に、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩・4水付加物の粉末X線回折図を図7に、TG-DSC測定結果を図8に、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩の粉末X線回折図を図9に、TG-DSC測定結果を図10に、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二マレイン酸塩の粉末X線回折図を図11に、TG-DSC測定結果を図12に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
第1表から明らかなように、本発明によれば、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩・0.9水付加物は、結晶化度が高く、吸湿性もなく、脱水や脱塩酸等による重量変化を伴うことがなく熱安定性に優れ、結晶多形の問題も生ぜず、更には塩酸の残余による影響もなく、好ましい酸付加塩であった。
【0037】
実施例2. 2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩の製造
(1)1−tert−ブトキシカルボニル−4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジンの製造
1−tert−ブトキシカルボニル−4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン(7.40 g, 32.13 mmol)のTHF(100 mL)溶液に、氷冷攪拌下、トリエチルアミン(4.36 g, 43.09 mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(200 mg, 1.64 mmol)及びメタンスルホニルクロリド(7.40 g, 38.76 mmol)を順次加えた。室温に戻し50分間攪拌した。反応液を濾過し、濾液を減圧濃縮し得られた残渣をDMF(200 mL)に溶解し、室温にて、5,6−ジフルオロ−2−メルカプトベンズイミダゾール(5.00 g, 26.86 mmol)、炭酸カリウム(8.64 g, 62.51 mmol)及び18−クラウン−6(500 mg, 1.92 mmol)を順次加え、80℃にて90分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 200 g, ヘキサン:アセトン=8:1〜1:1)にて精製した。アセトン−エーテル−ヘキサンより結晶化し、表題化合物(7.26 g, 収率68 %)を無色結晶として得た。
融点 192.3-193.0℃
IR(KBr):3061, 2976, 2836, 1672, 1475, 1427(cm-1).
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ: 1.50 (9H, s), 2.51-2.68 (4H, m), 2.94 (2H, t,J = 5.4 Hz), 3.28 (2H, t, J = 5.4 Hz), 3.45-3.65 (4H, m), 6.85-7.62 (2H, m).
【0038】
(2)1−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]
ピペラジン・3トリフルオロ酢酸塩の製造
1−tert−ブトキシカルボニル−4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン(7.26 g, 18.22 mmol)を氷冷下、トリフルオロ酢酸(50 mL)に攪拌下、15分間かけて加え、溶解した。氷冷下10分間攪拌後、反応液にエーテル(100 mL)及びヘキサン(100 mL)を加え、生じた結晶を濾取した。得られた結晶をエタノール−エーテルより再結晶し、表題化合物(9.58 g, 収率82 %)を淡黄色粉末として得た。
融点 141.2-142.9℃
IR(KBr): 3417, 3026, 2749, 2483, 1671, 1484 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6) δ: 2.78-3.26 (10H, m), 3.49 (2H, t, J = 7.2 Hz), 7.51 (2H, t, J = 9.0 Hz), 8.76 (2H, m).
【0039】
(3)2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ニトロピリジンの製造
2,4−ジクロロ−6−メチル−3−ニトロピリジン(30g,144.9mmol)を2,2,2−トリフルオロエタノール(250mL)に溶解し、炭酸カリウム(50g,361.8mmol)を加え、21時間加熱還流に付した。反応液をクロロホルム−水より抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、減圧濃縮して表題化合物(45.49g,94%)を淡黄色油状物質として得た。
融点 72.8-73.2 ℃
IR(KBr):3432, 3111, 2975, 1610, 1585, 1535 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ: 2.50 (3H, s), 4.49 (2H, q, J = 7.7 Hz), 4.85 (2H, q, J = 8.3 Hz), 6.53 (1H, s).
元素分析C10H8F6N2O4として
計算値:C, 35.94; H, 2.41; N,8.38,
実測値:C, 35.94; H, 2.45; N,8.49.
【0040】
(4)3−アミノ−2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチルピリジンの製造
2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ニトロピリジン(45.00g,134.7mmol)をイソプロパノール(300mL)に溶解し、80℃にて攪拌しつつ亜二チオン酸ナトリウム(78.00g,448.0mmol)の水(300mL)溶液を加えて15分間攪拌した。亜二チオン酸ナトリウム(16.50g,94.8mmol)の水(51mL)溶液を追加して10分間攪拌し、更に亜二チオン酸ナトリウム(11.10g,63.8mmol)の水(51mL)溶液を追加し、10分間攪拌した。4mol/L硫酸水溶液(201mL)を加え、90℃にて30分間攪拌した。反応液を室温まで放冷後、氷浴中にて28%アンモニア水(310mL)を加えて30分間攪拌し、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、減圧濃縮して得られた残渣をヘキサンより再結晶し、表題化合物(32.91g,80%)淡黄色針状晶として得た。
融点 53.5-53.8 ℃
IR(KBr):3453, 3314, 2968, 1603, 1505, 1456 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ: 2.34 (3H, s), 3.66 (2H, br. s), 4.39 (2H, q, J = 8.0 Hz), 4.79 (2H, q, J = 8.6 Hz), 6.35 (1H, s).
元素分析C10H10F6N2O2・0.55H2Oとして
計算値:C, 38.24; H, 3.56; N,8.92,
実測値:C, 37.96; H, 3.19; N,8.94
【0041】
(5)2−ブロモ−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの製造
3−アミノ−2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ニトロピリジン(42.29g,139.0mmol)をジクロロメタン(600mL)に溶解し、N−N−ジメチルアニリン(20.46g,16.8mmol)を加えて氷浴中にて攪拌しつつブロモアセチルブロミド(28.73g,142.3mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液を滴下し、室温にて10分間攪拌した。反応液をクロロホルム−水より抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、減圧濃縮して得られた残渣をクロロホルム−ヘキサンより再結晶し、表題化合物(50.25g,85%)を無色針状晶として得た。
融点 152.8-154.0 ℃
IR(KBr):3250, 3053, 1677, 1597, 1541, 1456 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ : 2.43 (3H, s), 4.02 (2H, s), 4.42 (2H, q, J = 7.9 Hz),
4.78 (2H, q, J = 8.5 Hz), 6.47 (1H, s), 7.49 (1H, br s).
元素分析C12H11BrF6N2O3として
計算値:C, 33.90; H, 2.61; N, 6.59,
実測値:C, 34.13; H, 2.66; N, 6.65.
【0042】
(6)2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエチルオキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの製造
1−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・3トリフルオロ酢酸塩(4.00g,6.25mmol)及び炭酸カリウム(4.32g,31.26mmol)のアセトニトリル(100mL)及び水(30mL)の混合溶液に氷冷下にて攪拌しつつ2−ブロモ−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド(2.20g,5.22mmol)を15分間かけて加えた。室温にて15時間攪拌した後、反応液をクロロホルム−水より抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル150g,展開溶媒 ヘキサン:アセトン=4:1→2:1→1:1)で精製し、クロロホルム−ヘキサンより再結晶し、表題化合物(3.04g,91%)を淡黄色粉末として得た。
融点 191−192℃
IR(KBr):3275, 1686, 1604, 1591, 1509 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, DMSO)δ: 2.38 (3H, s), 2.42-2.62 (8H, m), 2.67 (2H, t, J = 6.7 Hz), 3.30(2H, s), 3.40 (2H, t, J = 6.7 Hz), 4.82 (2H, q, J = 8.8 Hz), 4.90 (2H, q, J = 8.8 Hz), 6.91 (1H, s), 7.47 (2H, m), 8.77 (1H, s), 12.82 (1H, br.s)
元素分析C25H26F8N6O3Sとして
計算値:C, 46.73; H, 4.08; N, 13.08
実測値:C, 46.55; H, 4.12; N, 12.94
【0043】
(7)2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエチルオキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド塩酸塩の製造
2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエチルオキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド (1.00g,1.56mmol) をエタノール (20mL) に溶解した後、ピリジン塩酸塩(360mg,3.12mmol)を加えた。反応溶液を濃縮し得られた残渣をエタノールから再結晶し、表題化合物(787mg, 78%,1H−NMRよりエタノールを40%当量含む)を無色結晶性粉末として得た。
【0044】
(8)(7)で製造した結晶性粉末300mgを水(3mL)に懸濁し、1時間加熱還流を行った。反応液を室温まで冷却後、結晶を濾取し、水(2mL×2)で洗浄した後、50℃で7時間加熱減圧乾燥し、エタノールが除去された表題化合物(144mg,48%)を無色結晶性粉末として得た。
図13及び図14に2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG(熱重量分析)-DTA(示差熱分析)測定の結果を示す。
融点:186-187℃
IR(KBr):3389, 3263, 1686, 1592, 1514, 1479, 1274 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6) δ : 2.41 (3H, s), 2.80-3.74 (14H, m), 4.87 (2H, q, J = 8.8Hz), 4.94 (2H, q, J = 9.0 Hz), 6.96 (1H, s), 7.50 (2H, t, J = 9.0 Hz), 9.11 (1H, br).
元素分析C25H27ClF8N6O3S・1.6H2Oとして
計算値:C, 42.42; H, 4.30; N, 11.87; Cl, 5.01.
実測値:C, 42.72; H, 4.62; N, 11.23; Cl, 4.98.
【0045】
実施例3. 2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩の製造
(1)2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの製造
1−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・3トリフルオロ酢酸塩の代わりに1−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・三塩酸塩を用いて実施例2と同様に処理し、表題化合物(91%)を無色結晶性粉末として得た。
融点:152〜153℃
1H-NMR(CDCl3)δ:2.43 (3H, s), 2.65-2.97 (8 H, m), 3.01 (2H, t, J = 5.0 Hz), 3.23 (2H, t, J = 5.0 Hz), 3.31 (2H, s), 4.42 (2H, q, J = 8.0 Hz), 4.75 (2H, q, J = 8.5 Hz), 6.48 (1H, s), 7.6-7.24 (2H,m), 7.41-7.65 (2H, m), 8.26 (1H, s).
【0046】
(2)2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩の製造
2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの遊離塩基(1.00g,1.65mmol)をエタノール (20mL) に溶解した後、ピリジン塩酸塩(381mg,3.30mmol)を加えた。反応溶液を濃縮し得られた残渣にエタノール(0.5mL)、水(5mL)を加え、析出物を濾取し、2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩(545mg,52%)を無色結晶性粉末として得た。この塩酸塩(250mg)を水(2.5mL)に懸濁し、80℃まで加熱し、溶解させた。反応液を室温まで冷却後、結晶を濾取し、水(1mL×2)で洗浄した後、50℃で7時間加熱減圧乾燥し、表題化合物(183mg,73%)を無色結晶性粉末として得た。
【0047】
図15及び図16に2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその二塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す。
融点:153-154℃
IR(KBr):3407, 1691, 1592, 1513, 1274, 1168 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, CD3CN) δ: 2.40 (3H, s), 2.90-3.19 (4H, m), 3.26 (2H, s), 3.27-3.42 (4H, m), 3.46 (2H, t, J = 7.1 Hz), 3.81 (2H, t, J = 7.1 Hz), 4.57 (2H, q, J = 8.3 Hz), 4.83 (2H, q, J = 8.8 Hz), 6.71 (1H, s), 7.34 (2H, dd, J = 3.2, 6.1 Hz),7.64 (2H, dd, J = 3.2, 6.1 Hz), 8.31 (1H, br).
元素分析C25H30Cl2F6N6O3S・1.3H2Oとして
計算値:C, 42.72; H, 4.67; N, 11.96; Cl, 10.09.
実測値:C, 42.73; H, 4.88; N, 11.86; Cl, 10.01.
【0048】
実施例4. 2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩の製造
(1)2−[4−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの製造
1−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・三塩酸塩の代わりに1−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・二トリフルオロ酢酸塩を用い、実施例3と同様に反応・処理し、表題化合物を得た。
融点:141〜142℃
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.42 (3H, s), 2.54-2.76 (8 H, m), 2.84 (2H, t, J = 6.9 Hz), 3.15 (2H, s), 3.49 (2H, t, J = 6.9 Hz), 4.41 (2H, q, J = 8.0 Hz), 4.75 (2H, q, J = 8.5 Hz), 6.46 (1H, s), 7.25-7.35 (2H, m), 7.43 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.59 (1H, d, J = 7.8 Hz), 8.38 (1H, s).
【0049】
(2)2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩の製造
2−[4−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド(1.00g,1.65mmol)をエタノール(20mL)に溶解した後、ピリジン塩酸塩(380mg,3.29mmol)を加えた。反応溶液を濃縮し得られた残渣にエタノール (0.5mL)、水(5mL)を加え、析出物を濾取し、2−[4−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩(786mg,74.1%)を無色結晶性粉末として得た。この塩酸塩(300mg)を水(1.5mL)に懸濁し、80℃まで加熱し、溶解させた。反応液を室温まで冷却後、結晶を濾取し、水(0.5mL×2)で洗浄した後、50℃で7時間加熱減圧乾燥し、表題化合物(84mg,28%)を無色結晶性粉末として得た。
図17及び図18に2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す。
融点:174-176℃
IR(KBr):3431, 1690, 1591, 1508, 1454, 1274, 1169, 1139 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6) δ : 2.39 (3H, s), 2.66-3.82 (14H, m), 4.87 (2H, q, J = 8.5 Hz), 4.94 (2H, q, J = 9.0 Hz), 6.96 (1H, s), 7.33 (2H, t, J = 3.4 Hz), 7.60-7.69 (2H, m), 8.17 (1H, br).
元素分析C25H28ClF6N5O4S・0.4H2Oとして
計算値:C, 46.11; H, 4.46; N, 10.75; Cl, 5.44.
実測値:C, 46.17; H, 4.44; N, 10.74; Cl, 5.30.
【0050】
実施例5. 2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩の製造
(1)2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボン酸メチルの製造
1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン(25.01g,135.3mmol)をアセトニトリル(230mL)に溶解し、3−アミノクロトン酸メチル(15.57g,135.2mmol)を加え、20時間加熱還流に付した。反応液を室温まで放冷した後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル400g,展開溶媒 ヘキサン:アセトン=10:1)を用い精製し、表題化合物(22.30g,71%)を黄色油状物質として得た。
【0051】
(2)2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボン酸塩酸塩の製造
2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボン酸メチル(23.30g,99.9mmol)をエタノール(50mL)に溶解し、5mol/L水酸化カリウム水溶液(50mL,250mmol)を加えて2日間加熱還流に付した。反応液を室温まで放冷した後、濃塩酸(15mL)減圧濃縮して得られた残渣をエタノール及びトルエンより3回共沸した。得られた残渣をエタノールで加熱懸濁の後に濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をトルエンにて2回共沸した後にエーテルを加えて濾取し、表題化合物(25.24g,99%)を無色粉末として得た。
【0052】
(3)3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジンの製造
2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボン酸塩酸塩(23.17g,90.6mmol)をtert−ブタノール(175mL)に懸濁し、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(35.25g,128.1mmol)及びトリエチルアミン(31.36g,309.9mmol)を加え、3時間加熱還流に付した。反応液に水(100mL)を加え、クロロホルムより抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル400g,展開溶媒 ヘキサン:アセトン=10:1)を用い精製し、表題化合物(18.01g,68%)を淡黄色油状物質として得た。
【0053】
(4)3−アミノ−2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジン・二塩酸塩の製造
3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジン(21.12g,72.8mmol)をメタノール(70mL)に溶解し、10%塩化水素メタノール(140mL)を加え、60℃にて12時間攪拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣を酢酸エチル及びエーテルに懸濁して濾取し、エーテルで洗浄し、表題化合物(15.64g,82%)を無色粉末として得た。
【0054】
(5)2−ブロモ−N−(2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル)アセトアミドの製造
3−アミノ−2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジン・二塩酸塩(15.60g,59.30mmol)をメタノール(100mL)に溶解し、氷浴中にて飽和アンモニアメタノール溶液(300mL)を加え、均一にした。反応液をクロロホルム−水より抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、減圧濃縮して得られた残渣をジクロロメタン(200mL)に懸濁し、N−N−ジメチルアニリン(10.80g,89.12mmol)を加えて氷浴中にて攪拌しつつブロモアセチルブロミド(15.52g,76.90mmol)のジクロロメタン(40mL)溶液を滴下し、室温にて2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル400g,展開溶媒 ヘキサン:アセトン=10:1→4:1→3:1)で精製し、酢酸エチル−ヘキサンより再結晶し表題化合物(17.68g,96%)を無色針状晶として得た。
【0055】
(6)2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミドの製造
2−ブロモ−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの代わりに2−ブロモ−N−(2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル)アセトアミドを用い、1−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・三塩酸塩の代わりに1−[2−(ベンゾチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・二塩酸塩を用い、実施例3と同様に反応・処理し、表題化合物を遊離塩基として得た。
【0056】
(7)2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド・2塩酸塩の製造
2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド(500mg,0.98mmol)をエタノール(10mL)に溶解した後、ピリジン塩酸塩(227mg,1.96mmol)を加えた。反応溶液を濃縮し得られた残渣にエタノール(0.2mL)、水(2ml)を加え、析出物を濾取し、表題化合物(295mg,55%)を無色結晶性粉末として得た。
図19及び図20に2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその二塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す。
融点:221-212℃
IR(KBr):3427, 1692, 1430, 1389, 1240, 1177, 1154 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, CD3OD) δ : 2.68 (3H, s), 2.81 (3H, s), 3.32-3.45 (4H, m), 3.62-3.73 (6H, m), 3.82 (2H, t, J = 6.6 Hz), 4.89 (2H, s), 7.37 (1H, dt, J = 1.0, 8.1 Hz), 7.47 (1H, dt, J = 1.0, 8.1 Hz), 7.89 (2H, dd, J = 4.6, 7.8 Hz), 8.26 (1H, s).
元素分析C23H28Cl2F3N5OS2・0.6H2Oとして
計算値:C, 46.56; H, 4.96; N, 11.80; Cl, 11.95.
実測値:C, 46.46; H, 5.07; N, 11.66; Cl, 12.04.
【0057】
実施例6 2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩の製造
(1)2−メルカプト−5−トリフルオロメチルベンゾオキサゾールの製造
WO98/54153号明細書の実施例85における2−トリフルオロメチルフェノールの代わりに4−トリフルオロメチルフェノールを用いて同様に反応・処理し、表題化合物を得た。
【0058】
(2)1−[2−(5−トリフルオロメチルベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・2トリフルオロ酢酸塩の製造
WO98/54153号明細書の実施例22の2−メルカプトベンゾオキサゾールの代わりに2−メルカプト−5−トリフルオロメチルベンゾオキサゾールを用いて同様に反応・処理し、表題化合物を得た。
1H-NMR(DMSO)δ: 2.60-3.20 (10H, m), 3,57 (2H, t, J = 6.7 Hz), 7.61 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.89 (1H, d, J= 8.6 Hz), 8.04 (1H, s), 8.66 (2H, s).
【0059】
(3)2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの製造
1−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・2トリフルオロ酢酸塩の代わりに1−[2−(5−トリフルオロメチルベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・2トリフルオロ酢酸塩を用いWO98/54153号明細書の実施例24と同様に反応・処理し、表題化合物を無色結晶性粉末として得た。
融点:103−104℃
1H-NMR (CDCl3) δ : 2.42 (3H, s), 2.49 (3H, s), 2.52 (3H, s), 2.60-2.82 (8H, m), 2.86 (2H, t, J = 6.8 Hz), 3.21 (2H, s), 3.51 (2H, t, J = 6.8 Hz), 6.67 (1H, s), 7.51-7.53 (2H, m), 7.85 (1H, s), 8.55 (1H, s).
【0060】
(4)2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩の製造
2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド(200mg,0.35mmol)をエタノール(4mL)に溶解した後、ピリジン塩酸塩(82mg,0.70mmol)を加えた。反応溶液を濃縮し得られた残渣にエタノール(0.5mL)、水(5mL)を加え、析出物を濾取し、表題化合物(180mg,85%)を無色結晶性粉末として得た。
図21及び図22に2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す。
融点:195-196℃
IR(KBr):3427, 1685, 1501, 1437, 1327, 1143, 1123 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6) δ : 2.42 (3H, s), 2.43 (3H, s), 2.46 (3H, s), 2.70-3.84 (14H, m), 6.94 (1H, s), 7.72 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.91 (1H, d, J = 8.3 Hz), 8.06 (1H, s).
元素分析C24H29ClF3N5O2S3・0.5H2Oとして
計算値:C, 46.71; H, 4.90; N, 11.35.
実測値:C, 46.67; H, 4.89; N, 11.33.
【0061】
実施例7. 2−[4−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩の製造
(1)2−[4−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの製造
2−ブロモ−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの代わりに2−ブロモ−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−6−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−ピリジル]アセトアミドを用い、1−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・三塩酸塩の代わりに1−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・二塩酸塩を用い、実施例3と同様に反応・処理し、表題化合物を得た。
【0062】
(2)2−[4−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩の製造
2−[4−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド(500mg,0.86mmol)をエタノール(10mL)に溶解した後、ピリジン塩酸塩(198mg,1.71mmol)を加えた。反応溶液を濃縮して得られた残渣にエタノール(0.2mL)、水(2mL)を加え、析出物を濾取し、表題化合物(134.0mg,25.2%)を無色結晶性粉末として得た。
図23及び図24に2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す。
融点:181.7-182.4 ℃
IR(KBr):3432, 1686, 1593, 1507, 1454, 1170, 1137 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, CD3CN) δ : 2.38 (3H, s), 2.92-3.26 (8H, m), 3.31 (3H, s), 3.42-3.59 (4H, m), 3.62 (2H, t, J = 4.9 Hz), 3.72-3.84 (2H, m), 4.38 (2H, t, J = 4.9 Hz), 4.54 (2H, q, J = 8.3 Hz), 6.61 (1H, s), 7.28-7.36 (2H, m), 7.54 (2H, dd, J = 2.2, 5.6 Hz), 8.19 (1H, br).
元素分析C26H33ClF3N5O5S・0.4H2Oとして
計算値:C, 49.78; H, 5.43; N, 11.16; Cl, 5.65.
実測値:C, 49.76; H, 5.31; N, 11.25; Cl, 5.78.
【技術分野】
【0001】
本発明は、多酸性塩基化合物に所望の数の酸を簡易に付加することができる多酸性塩基化合物の酸付加塩又はその水付加物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬組成物において、原体が同一遊離体であってもその塩の種類及び塩の結晶形により、溶解性、経口吸収性、薬効及び製剤の安定性等に大きな相違が生じることは周知である。従って、医薬組成物の開発に際して、原体の化学的安定性、バイオアベイラビリティ−、物理的安定性(結晶化度、水和度)、製剤特性に与える影響(硬度、崩壊性、溶出性)、原体の製造性に対する影響(成形性、流動性、充填性)等を総合的に検討し、最も好ましい条件を満たす原体を選択することは極めて重要である。
【0003】
多酸性塩基化合物の一種である2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチルピリジン−3−イル]アセトアミドに代表されるピペラジン誘導体は、コレステロ−ルからコレステロ−ルエステルへの合成を触媒する酵素(アシル コエンザイム A コレステロ−ル アシルトランスフェラ−ゼ(ACAT))の阻害剤として有用である(国際公開第98/54153号パンフレット)。
ACATが阻害されると、腸管ではコレステロ−ル吸収が阻害され、また、肝臓では血中への超低比重リポ蛋白質(VLDL)の分泌が抑制されるため血中コレステロ−ルの低下につながると考えられる。さらに血管壁ではマクロファ−ジの泡沫化を抑えることから粥状動脈硬化病巣そのものの退縮が期待される。よって、ACAT阻害剤は高脂血症、動脈硬化症、頚部及び脳動脈硬化症、脳血管障害、虚血性心疾患、冠状動脈硬化症、腎硬化症、動脈硬化性腎硬化症、細動脈硬化性腎硬化症、悪性腎硬化症、虚血性腸疾患、急性腸間膜血管閉塞症、慢性腸管アンギ−ナ、虚血性大腸炎、大動脈癌、閉塞性動脈硬化症(ASO)等の各種疾患の治療および予防に適用できると期待され、数多くの研究開発が行われている。
【0004】
しかしながら、前記ACAT阻害剤として有用なピペラジン誘導体のうち、例えば2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドは遊離塩基の状態で結晶化するが、その結晶は不均一であり、物理的安定性や水溶性も低いことから、経口吸収性が著しく低い等の問題を有している。
【0005】
このような多酸性塩基化合物は、一般に経口吸収性等を改善するために酸を付加し、酸付加塩として使用することで問題の解決が計られる。例えば、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドは過剰量の塩酸を用いて四塩酸塩・2水付加物とすることで、水溶性及び経口吸収性が著しく改善される。
【0006】
しかし、酸の付加数は、生成した多酸性塩基化合物の酸付加塩の物性に影響を及ぼし、上記四塩酸塩・2水付加物では粉末X線回折測定により結晶化度が悪いこと、示差熱分析測定により容易に脱水及び脱塩酸を起こすこと、吸湿性試験により高い吸湿性が認められること等の問題点が指摘される。また、過剰に使用した酸の残存や、四塩酸塩という酸性度の強い塩がもたらす打錠機やアルミシ−トの金属腐食といった問題も考えられ、製剤化及び製剤の安定性への影響が懸念される。そのため、製造に際して乾燥温度、真空減圧度、乾燥量等の因子を十分に管理する必要があり、医薬組成物の原体として物性を一定に保持したものを効率よく安定に供給することは困難である。
【0007】
上記問題点の解決には、付加する酸の数を制御した酸付加塩を製造することが考えられるが、酸に塩酸等を用いる場合、多酸性塩基化合物1モル中に付加させたいモル数の酸量を正確に秤量することが難しく、所望の数の酸が付加した多酸性塩基化合物の酸付加塩又はその水付加物を簡便に製造することは困難である。
そこで、多酸性塩基化合物の酸付加塩の酸の付加数を、その多酸性塩基化合物に適合した数に簡単に適宜変えられる製造方法が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、多酸性塩基化合物の酸付加塩又はその水付加物の酸付加数を、簡便に所望の数にすることができる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは係る事情に鑑み鋭意検討の結果、多酸性塩基化合物をピリジンと酸から形成されるピリジンの酸塩と反応させることにより、ピリジンより強い塩基性の部位に対し、所望の数の酸が付加した多酸性塩基化合物の酸付加塩を簡便に製造できることを見出した。また、この方法によって製造される種々のピペラジン誘導体の酸付加塩、例えば、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩・0.9水付加物は、結晶化度が高く吸湿性もなく、脱水や脱塩酸等による重量変化を伴うことがなく熱安定性に優れ、結晶多形の問題も生ぜず、更には塩酸の残余による影響もなく、好ましい酸付加塩であり、医薬原体として有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、ピリジンより強い塩基性部位を有する多酸性塩基化合物とピリジンの酸塩とを反応させることを特徴とする多酸性塩基化合物の酸付加塩又はその水付加物の製造方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物及び2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製造方法は、多酸性塩基化合物に所望の数の酸を付加した塩を簡便に製造できる。この製造方法によれば、付加酸の数の制御だけでなく、酸に不安定な多酸性塩基化合物の酸付加塩の安定製造が可能である。
ピリジンの酸塩を使用することにより酸の酸性度を相対的に弱め、従来法での強酸の添加等による系内の局所的pH低下による分解や不純物の生成等の問題が著しく緩和される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩・0.9水付加物の粉末X線回折を示す図である。
【図2】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩・0.9水付加物のTG-DSC測定の結果を示す図である。
【図3】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・四塩酸塩・2水付加物の粉末X線回折を示す図である。
【図4】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・四塩酸塩・2水付加物のTG-DSC測定の結果を示す図である。
【図5】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二硫酸塩・1.5水付加物の粉末X線回折を示す図である。
【図6】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二硫酸塩・1.5水付加物のTG-DSC測定の結果を示す図である。
【図7】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩・4水付加物の粉末X線回折を示す図である。
【図8】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩・4水付加物のTG-DSC測定の結果を示す図である。
【図9】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩の粉末X線回折を示す図である。
【図10】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩のTG-DSC測定の結果を示す図である。
【図11】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二マレイン酸塩の粉末X線回折を示す図である。
【図12】2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二マレイン酸塩のTG-DSC測定の結果を示す図である。
【図13】2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図14】2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図15】2−[4−[2−(ベンズミイダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその二塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図16】2−[4−[2−(ベンズミイダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその二塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図17】2−[4−[2−(ベンズミイダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図18】2−[4−[2−(ベンズミイダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図19】2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその二塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図20】2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその二塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図21】2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図22】2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図23】2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【図24】2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明で使用する多酸性塩基化合物は、ピリジンよりも強い塩基性部位を1箇所以上有する化合物であって、例えば、ピペラジノ基、3級アミノ基、2級アミノ基、1級アミノ基等を同一分子中に複数有する含窒素化合物が挙げられる。多酸性塩基化合物としては、含窒素有機化合物が好ましく、更にピペラジン誘導体が好ましい。
ピペラジン誘導体としては式(1)
【0015】
【化1】
【0016】
(式中、Xは−NH−、酸素原子又は硫黄原子を示し、Y1、Y2及びY3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、低級アルキル基又は低級ハロアルキル基を示し、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、低級アルキル基、低級ハロアルキル基、低級アルキルチオ基、低級ハロアルコキシ基又は低級アルコキシアルコキシ基を示し、lは1〜2の整数を示し、mは2〜4の整数を示し、nは1〜3の整数を示す。)で表されるものが好ましい。ここで、低級とは炭素数1〜5であることを示すが、特に1〜3が好ましい。
更に、ピペラジン誘導体としては、式(2)
【0017】
【化2】
【0018】
(式中、Xは−NH−、酸素原子又は硫黄原子を示し、Y1及びY2はそれぞれ独立して水素、ハロゲン又はトリフルオロメチル基を示し、R1及びR2はそれぞれ独立してトリフルオロメチル基、メチルチオ基、トリフルオロエトキシ基又はメトキシエトキシ基を示す。)で表されるものがより好ましい。特に2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド、2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド、2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド、2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド、2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド、2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及び2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドが好ましい。当該化合物は国際公開第98/54153号に記載の方法で製造される。
【0019】
本発明で使用するピリジンの酸塩は、ピリジンと無機酸又は有機酸との塩であって、ピリジンと塩を形成する酸としては特に限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硫酸、亜硝酸、臭化水素酸、沃化水素酸等の無機酸及び、酢酸、酪酸、ステアリン酸等の脂肪酸;蓚酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸等の多塩基酸;クエン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、サリチル酸、パモ酸、パントテン酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸;エタンジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等のスルホン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸;トリフルオロ酢酸、タンニン酸等が挙げられる。
酸としては、塩酸、硫酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、メタンスルホン酸等が好ましく、更に塩酸、硫酸、マレイン酸が好ましく、特に塩酸が好ましい。
ピリジンの酸塩は、結晶性、非結晶性の何れでも使用される。
結晶性のピリジンの酸塩の製造においては、理論的にはピリジンと酸を等当量で反応することによりピリジンの酸塩が得られるが、具体的には、無水又は含水有機溶媒中などで、ピリジンを酸に対して過剰量使用するのが好ましく、酸に対してピリジンを1.0〜1.5倍当量、更には1.0〜1.2倍当量使用するのが好ましい。生成するピリジンの酸塩は溶媒を用いた通常の結晶化法などにより精製することができる。
【0020】
本発明において、結晶性ピリジンの酸塩を多酸性塩基化合物と反応させる場合、通常使用するピリジンの酸塩の量は、多酸性塩基化合物1モル中に付加させる酸のモル数と同モルの酸を供給できるピリジンの酸塩が使用される。具体的には、使用する溶媒の種類と量に依存し、通常付加させる酸のモル数の1.0〜3.0倍量、好ましくは1.0〜2.5倍量の酸を供給できる量のピリジンの酸塩を使用するのが好ましい。
【0021】
また、非結晶性のピリジンの酸塩を用いて多酸性塩基化合物の酸付加塩を製造する場合は、無水又は含水有機溶媒中で、多酸性塩基化合物に多酸性塩基化合物1モルに付加させる酸のモル数に対応する酸量の1.0〜2.5倍量、更には1.0〜1.2倍量の酸量及び使用する酸量に対し1.0〜1.5倍当量、更には1.0〜1.2倍当量のピリジンを加えて行うことが好ましい。
多酸性塩基化合物の酸付加塩の製造方法は、多酸性塩基化合物と付加する酸の量に必要なピリジンの酸塩を有機溶媒中で0〜120℃、更に好ましくは室温〜100℃、特に好ましくは使用した有機溶媒の還流温度で加熱して溶解すると、多酸性塩基化合物とピリジンの酸塩との間で塩交換が起こり、多酸性塩基化合物の酸付加塩が生成する。
【0022】
ここで使用される有機溶媒としては、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル等の低級アルコ−ル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエ−テル、アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。また、有機溶媒に水を加えた混合溶媒も使用できる。
ここで使用する溶媒の種類と量は特に限定されないが、多酸性塩基化合物の酸付加塩の収率が最大になるような種類と量を適宜選択することが望ましい。
生成する多酸性塩基化合物の酸付加塩又はその水付加物は、必要により攪拌しながら0.5〜24時間放置し、晶出させた後、析出した結晶を採取することにより得られる。
本発明で使用するピリジンの酸塩は、使用する酸の酸性度を相対的に弱めることから多酸性塩基化合物の遊離体が酸に対し不安定な場合に、従来法での強酸の添加等による系内の局所的pH低下による原体の分解や不純物の生成等の問題が著しく緩和される。
【0023】
本発明の製造方法は、前記ピペリジン誘導体の酸付加塩、特に、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物及び2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物の製造に極めて有利である。すなわち、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの四塩酸塩・2水付加物を製造する場合は塩酸の過剰量使用を前提にすれば何ら問題はないが、一塩酸塩又はその水付加物の製造のように、塩酸の量を正確に秤量する必要がある場合、その操作は通常困難であり、望む均一な塩酸塩又はその水付加物を製造することは極めて困難である。
【0024】
2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物、2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物及び2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩又はその水付加物を製造する場合には、有機溶媒として含水低級アルコ−ルを使用するのが好ましい。
【0025】
このようにして得られた特に、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩・0.9水付加物は、結晶化度が高く、吸湿性もなく、脱水や脱塩酸等による重量変化を伴うことがなく熱安定性に優れ、結晶多形の問題も生ぜず、更には塩酸の残余による影響もなく、好ましい酸付加塩である。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。
【0027】
実施例1. 2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩・0.9水付加物の製造
(1)2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの遊離塩基(2.00kg,3.98mol)とピリジン塩酸塩(0.92kg,7.96mol)をエタノ−ル(12L)に還流温度にて加熱溶解した後、75〜87℃にて反応液中に水(20L)を滴下した。室温まで冷却した後、1時間攪拌し、析出した結晶を濾取した。結晶を水で洗浄後、80℃にて減圧乾燥し、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩水付加物(1H-NMRよりエタノ−ルを2%含有)1.96kg(89.0%)を無色針状晶として得た。
【0028】
(2)(1)で製造した2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩水付加物(1.96kg)を水(40L)に懸濁し、還流温度にて溶媒(20L)を常圧で留去した。室温まで冷却した後、析出した結晶を濾取し、結晶を水で洗浄後、80℃にて減圧乾燥し、標題化合物(1.70kg,84.2%)を無色針状晶として得た。
融点:193.9-196.5℃
IR (KBr) cm-1:3431, 1674, 1625, 1564, 1520.
1H-NMR (DMSO d-6) δ:2.32 (3H, s), 2.40 (3H, s), 2.45 (3H, s), 2.75-3.75 (14H, m), 6.92 (1H, m), 7.08-7.20 (2H, m), 7.42-7.53 (2H, m), 9.38 (1H, br, s).
水分含量試験2.84%より、元素分析:C23H30N6OS2・HCl・0.9H2Oとして
計算値:C, 49.74; H, 5.95; N, 15.13; Cl, 6.38; S, 17.32
実測値:C, 49.97; H, 6.00; N, 15.24; Cl, 6.48; S, 17.26
【0029】
参考例1. 2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・四塩酸塩・2水付加物の製造
2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの遊離塩基(134.31g,0.267mol)をメタノ−ル(500mL)に溶解し、0℃ にて攪拌しつつ 10% (w/v)塩化水素メタノ−ル(607.6g,1.666mol)を15分間かけて滴下した後、エ−テル(700mL)を加えて2時間放置した。析出した結晶を濾取し、メタノ−ル−エ−テル(1:1)混合溶媒(500mL)及びエ−テル(500mL)で順次洗浄し、室温にて3時間減圧乾燥し、標題化合物(133.54g,73.0%)を無色結晶として得た。
融点:193-196℃
IR(KBr): 3405, 2922, 1699, 1614, 1564, 1516 (cm-1).
1H-NMR (DMSO d-6) δ: 2.42 (3H, s), 2.43 (3H, s), 2.46 (3H, s), 3.66-3.84 (10H, m), 3.91 (2H, t, J = 7.3 Hz), 4.09 (2H, br.s), 6.95 (1H, s), 7.33-7.43 (2H, m), 7.63-7.69 (2H, m), 10.16 (1H, br.s).
元素分析:C23H30N6OS2・4HCl・2H2Oとして
計算値: C, 40.35; H, 5.59; N, 12.28; Cl, 20.71; S, 14.05.
実測値: C, 40.12; H, 5.83; N, 12.13; Cl, 20.59; S, 14.27.
【0030】
参考例2. 2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二硫酸塩・1.5水付加物の製造
硫酸(純度96%,799.9mg,7.83mmol)を水(1.5mL)で希釈し、これに室温にて2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの遊離塩基(1.94g,3.86mmol)を加えて室温にて溶解した。エタノ−ル(4.5mL)を加えて生じた粘性物質を加熱溶解した後に室温にて10分間攪拌し、これにエタノ−ル(9mL)を追加した。氷中にて冷却攪拌して生じた結晶を濾取し、80℃にて3時間加熱減圧乾燥し、標題化合物(2.64g,94.3%)を無色粉末として得た。
融点:204-208℃
IR(KBr)cm-1:3403, 1700, 1617, 1567, 1521.
1H-NMR(DMSO d-6,120℃)δ:2.44 (3H, s), 2.46 (3H, s), 2.48 (3H, s), 3.05-3.14 (4H, m), 3.26-3.53 (8H, m), 3.60 (2H, m), 6.92 (1H, m),7.16-7.19 (2H, m), 7.48-7.52 (2H, m), 9.18 (1H, br.s).
元素分析:C23H30N6OS3・2H2SO4・1.5H2Oとして
計算値:C, 38.06;H, 5.14;N, 11.58;S, 22.09
実測値:C, 37.99;H, 5.20;N, 11.39;S, 22.27
【0031】
参考例3. 2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩・4水付加物の製造
2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの遊離塩基(2.95g,5.86mmol)を1mol/L硫酸(6mL,6.00mmol)に80℃にて2分間で加熱溶解し、室温にて3日間放置することにより結晶析出を行った。デカント後、水(15mL)を加えて結晶を濾取し、結晶を水(15mL)及びイソプロパノ−ル(10mL+5mL)で順次洗浄した。室温常圧下開放系にて24時間放置(風乾)し、標題化合物(3.71g,94.1%)を無色プリズム晶として得た。
融点:不明確
IR(KBr)cm-1:3431, 1674, 1625, 1564, 1520.
1H-NMR(DMSO d-6)δ:2.40 (6H, s), 2.45 (3H, s), 2.80-3.72 (14H, m), 6.92 (1H, m), 7.11-7.18 (2H, m), 7.43-7.53 (2H, m), 9.38 (1H, br.s).
元素分析:C23H30N6OS3・H2SO4・4H2Oとして
計算値:C, 41.06;H, 5.99;N, 12.49;S, 19.06
実測値:C, 40.92;H, 5.85;N, 12.35;S, 19.07
【0032】
参考例4. 2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩の製造
参考例3で製造した2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩・4水付加物(3.25g,4.83mmol)を97.5%エタノ−ル(120mL)に加熱還流下溶解した後、室温にて3日間放置することにより結晶析出を行った。結晶を濾取し、エタノ−ル(30mL+20mL)で洗浄後、80℃にて6時間加熱減圧乾燥し、標題化合物(2.70g,93.0%)を無色微小針状晶として得た。
融点:170-171℃
IR(KBr)cm-1:3431, 1674, 1625, 1564, 1520.
1H-NMR(DMSO d-6)δ:2.40 (6H, s), 2.45 (3H, s), 2.80-3.72 (14H, m), 6.92 (1H, m), 7.11-7.18 (2H, m), 7.43-7.53 (2H, m), 9.38 (1H, br.s).
元素分析:C23H30N6OS3・H2SO4として
計算値:C, 45.98;H, 5.37;N, 13.99;S, 21.35
実測値:C, 45.73;H, 5.40;N, 13.75;S, 21.38
【0033】
参考例5. 2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二マレイン酸塩の製造
2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの遊離塩基(23.75g,47.2mmol)をエタノ−ル200mLに溶解し、マレイン酸(11.4g,98.2mmol)を加えて加熱溶解し、均一溶液とした。反応液を減圧濃縮し得られた残渣をエタノ−ル−酢酸エチルから結晶化、濾取し、標題化合物30.95g(89.1%)を無色結晶として得た。
融点:127-130℃
IR(KBr): 3424, 1687, 1624, 1576, 1492 (cm-1).
1H-NMR(DMSO d-6) δ: 2.43 (3H, s), 2.45 (3H, s), 2.47 (3H, s), 2.93-3.00 (4H, m), 3.08-3.17 (4H, m), 3.25 (2H, t, J = 6.8 Hz), 3.37 (2H, br.s),3.55 (2H, t, J = 6.8 Hz), 6.14 (4H, s), 6.91 (1H, s), 7.13-7.16 (2H, m), 7.44-7.50 (2H, m), 9.04 (1H, br.s).
元素分析:C23H30N6OS3・2C4H4O4として(マレイン酸) として
計算値:C, 50.67; H, 5.21; N, 11.44; S, 13.09.
実測値:C, 50.49; H, 5.37; N, 11.20;
【0034】
得られた2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩・0.9水付加物の粉末X線回折図を図1に、TG(熱重量分析)−DSC(示差走査熱量分析)測定結果を図2に示す。また、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・四塩酸塩・2水付加物の粉末X線回折図を図3に、TG-DSC測定結果を図4に、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二硫酸塩・1.5水付加物の粉末X線回折図を図5に、TG−DSC測定結果を図6に、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩・4水付加物の粉末X線回折図を図7に、TG-DSC測定結果を図8に、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一硫酸塩の粉末X線回折図を図9に、TG-DSC測定結果を図10に、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二マレイン酸塩の粉末X線回折図を図11に、TG-DSC測定結果を図12に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
第1表から明らかなように、本発明によれば、2−[4−[2−(ベンズイミダゾ−ル−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩・0.9水付加物は、結晶化度が高く、吸湿性もなく、脱水や脱塩酸等による重量変化を伴うことがなく熱安定性に優れ、結晶多形の問題も生ぜず、更には塩酸の残余による影響もなく、好ましい酸付加塩であった。
【0037】
実施例2. 2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩の製造
(1)1−tert−ブトキシカルボニル−4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジンの製造
1−tert−ブトキシカルボニル−4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン(7.40 g, 32.13 mmol)のTHF(100 mL)溶液に、氷冷攪拌下、トリエチルアミン(4.36 g, 43.09 mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(200 mg, 1.64 mmol)及びメタンスルホニルクロリド(7.40 g, 38.76 mmol)を順次加えた。室温に戻し50分間攪拌した。反応液を濾過し、濾液を減圧濃縮し得られた残渣をDMF(200 mL)に溶解し、室温にて、5,6−ジフルオロ−2−メルカプトベンズイミダゾール(5.00 g, 26.86 mmol)、炭酸カリウム(8.64 g, 62.51 mmol)及び18−クラウン−6(500 mg, 1.92 mmol)を順次加え、80℃にて90分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 200 g, ヘキサン:アセトン=8:1〜1:1)にて精製した。アセトン−エーテル−ヘキサンより結晶化し、表題化合物(7.26 g, 収率68 %)を無色結晶として得た。
融点 192.3-193.0℃
IR(KBr):3061, 2976, 2836, 1672, 1475, 1427(cm-1).
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ: 1.50 (9H, s), 2.51-2.68 (4H, m), 2.94 (2H, t,J = 5.4 Hz), 3.28 (2H, t, J = 5.4 Hz), 3.45-3.65 (4H, m), 6.85-7.62 (2H, m).
【0038】
(2)1−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]
ピペラジン・3トリフルオロ酢酸塩の製造
1−tert−ブトキシカルボニル−4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン(7.26 g, 18.22 mmol)を氷冷下、トリフルオロ酢酸(50 mL)に攪拌下、15分間かけて加え、溶解した。氷冷下10分間攪拌後、反応液にエーテル(100 mL)及びヘキサン(100 mL)を加え、生じた結晶を濾取した。得られた結晶をエタノール−エーテルより再結晶し、表題化合物(9.58 g, 収率82 %)を淡黄色粉末として得た。
融点 141.2-142.9℃
IR(KBr): 3417, 3026, 2749, 2483, 1671, 1484 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6) δ: 2.78-3.26 (10H, m), 3.49 (2H, t, J = 7.2 Hz), 7.51 (2H, t, J = 9.0 Hz), 8.76 (2H, m).
【0039】
(3)2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ニトロピリジンの製造
2,4−ジクロロ−6−メチル−3−ニトロピリジン(30g,144.9mmol)を2,2,2−トリフルオロエタノール(250mL)に溶解し、炭酸カリウム(50g,361.8mmol)を加え、21時間加熱還流に付した。反応液をクロロホルム−水より抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、減圧濃縮して表題化合物(45.49g,94%)を淡黄色油状物質として得た。
融点 72.8-73.2 ℃
IR(KBr):3432, 3111, 2975, 1610, 1585, 1535 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ: 2.50 (3H, s), 4.49 (2H, q, J = 7.7 Hz), 4.85 (2H, q, J = 8.3 Hz), 6.53 (1H, s).
元素分析C10H8F6N2O4として
計算値:C, 35.94; H, 2.41; N,8.38,
実測値:C, 35.94; H, 2.45; N,8.49.
【0040】
(4)3−アミノ−2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチルピリジンの製造
2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ニトロピリジン(45.00g,134.7mmol)をイソプロパノール(300mL)に溶解し、80℃にて攪拌しつつ亜二チオン酸ナトリウム(78.00g,448.0mmol)の水(300mL)溶液を加えて15分間攪拌した。亜二チオン酸ナトリウム(16.50g,94.8mmol)の水(51mL)溶液を追加して10分間攪拌し、更に亜二チオン酸ナトリウム(11.10g,63.8mmol)の水(51mL)溶液を追加し、10分間攪拌した。4mol/L硫酸水溶液(201mL)を加え、90℃にて30分間攪拌した。反応液を室温まで放冷後、氷浴中にて28%アンモニア水(310mL)を加えて30分間攪拌し、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、減圧濃縮して得られた残渣をヘキサンより再結晶し、表題化合物(32.91g,80%)淡黄色針状晶として得た。
融点 53.5-53.8 ℃
IR(KBr):3453, 3314, 2968, 1603, 1505, 1456 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ: 2.34 (3H, s), 3.66 (2H, br. s), 4.39 (2H, q, J = 8.0 Hz), 4.79 (2H, q, J = 8.6 Hz), 6.35 (1H, s).
元素分析C10H10F6N2O2・0.55H2Oとして
計算値:C, 38.24; H, 3.56; N,8.92,
実測値:C, 37.96; H, 3.19; N,8.94
【0041】
(5)2−ブロモ−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの製造
3−アミノ−2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ニトロピリジン(42.29g,139.0mmol)をジクロロメタン(600mL)に溶解し、N−N−ジメチルアニリン(20.46g,16.8mmol)を加えて氷浴中にて攪拌しつつブロモアセチルブロミド(28.73g,142.3mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液を滴下し、室温にて10分間攪拌した。反応液をクロロホルム−水より抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、減圧濃縮して得られた残渣をクロロホルム−ヘキサンより再結晶し、表題化合物(50.25g,85%)を無色針状晶として得た。
融点 152.8-154.0 ℃
IR(KBr):3250, 3053, 1677, 1597, 1541, 1456 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, CDCl3) δ : 2.43 (3H, s), 4.02 (2H, s), 4.42 (2H, q, J = 7.9 Hz),
4.78 (2H, q, J = 8.5 Hz), 6.47 (1H, s), 7.49 (1H, br s).
元素分析C12H11BrF6N2O3として
計算値:C, 33.90; H, 2.61; N, 6.59,
実測値:C, 34.13; H, 2.66; N, 6.65.
【0042】
(6)2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエチルオキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの製造
1−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・3トリフルオロ酢酸塩(4.00g,6.25mmol)及び炭酸カリウム(4.32g,31.26mmol)のアセトニトリル(100mL)及び水(30mL)の混合溶液に氷冷下にて攪拌しつつ2−ブロモ−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド(2.20g,5.22mmol)を15分間かけて加えた。室温にて15時間攪拌した後、反応液をクロロホルム−水より抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル150g,展開溶媒 ヘキサン:アセトン=4:1→2:1→1:1)で精製し、クロロホルム−ヘキサンより再結晶し、表題化合物(3.04g,91%)を淡黄色粉末として得た。
融点 191−192℃
IR(KBr):3275, 1686, 1604, 1591, 1509 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, DMSO)δ: 2.38 (3H, s), 2.42-2.62 (8H, m), 2.67 (2H, t, J = 6.7 Hz), 3.30(2H, s), 3.40 (2H, t, J = 6.7 Hz), 4.82 (2H, q, J = 8.8 Hz), 4.90 (2H, q, J = 8.8 Hz), 6.91 (1H, s), 7.47 (2H, m), 8.77 (1H, s), 12.82 (1H, br.s)
元素分析C25H26F8N6O3Sとして
計算値:C, 46.73; H, 4.08; N, 13.08
実測値:C, 46.55; H, 4.12; N, 12.94
【0043】
(7)2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエチルオキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド塩酸塩の製造
2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエチルオキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド (1.00g,1.56mmol) をエタノール (20mL) に溶解した後、ピリジン塩酸塩(360mg,3.12mmol)を加えた。反応溶液を濃縮し得られた残渣をエタノールから再結晶し、表題化合物(787mg, 78%,1H−NMRよりエタノールを40%当量含む)を無色結晶性粉末として得た。
【0044】
(8)(7)で製造した結晶性粉末300mgを水(3mL)に懸濁し、1時間加熱還流を行った。反応液を室温まで冷却後、結晶を濾取し、水(2mL×2)で洗浄した後、50℃で7時間加熱減圧乾燥し、エタノールが除去された表題化合物(144mg,48%)を無色結晶性粉末として得た。
図13及び図14に2−[4−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG(熱重量分析)-DTA(示差熱分析)測定の結果を示す。
融点:186-187℃
IR(KBr):3389, 3263, 1686, 1592, 1514, 1479, 1274 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6) δ : 2.41 (3H, s), 2.80-3.74 (14H, m), 4.87 (2H, q, J = 8.8Hz), 4.94 (2H, q, J = 9.0 Hz), 6.96 (1H, s), 7.50 (2H, t, J = 9.0 Hz), 9.11 (1H, br).
元素分析C25H27ClF8N6O3S・1.6H2Oとして
計算値:C, 42.42; H, 4.30; N, 11.87; Cl, 5.01.
実測値:C, 42.72; H, 4.62; N, 11.23; Cl, 4.98.
【0045】
実施例3. 2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩の製造
(1)2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの製造
1−[2−(5,6−ジフルオロベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・3トリフルオロ酢酸塩の代わりに1−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・三塩酸塩を用いて実施例2と同様に処理し、表題化合物(91%)を無色結晶性粉末として得た。
融点:152〜153℃
1H-NMR(CDCl3)δ:2.43 (3H, s), 2.65-2.97 (8 H, m), 3.01 (2H, t, J = 5.0 Hz), 3.23 (2H, t, J = 5.0 Hz), 3.31 (2H, s), 4.42 (2H, q, J = 8.0 Hz), 4.75 (2H, q, J = 8.5 Hz), 6.48 (1H, s), 7.6-7.24 (2H,m), 7.41-7.65 (2H, m), 8.26 (1H, s).
【0046】
(2)2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩の製造
2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの遊離塩基(1.00g,1.65mmol)をエタノール (20mL) に溶解した後、ピリジン塩酸塩(381mg,3.30mmol)を加えた。反応溶液を濃縮し得られた残渣にエタノール(0.5mL)、水(5mL)を加え、析出物を濾取し、2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩(545mg,52%)を無色結晶性粉末として得た。この塩酸塩(250mg)を水(2.5mL)に懸濁し、80℃まで加熱し、溶解させた。反応液を室温まで冷却後、結晶を濾取し、水(1mL×2)で洗浄した後、50℃で7時間加熱減圧乾燥し、表題化合物(183mg,73%)を無色結晶性粉末として得た。
【0047】
図15及び図16に2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその二塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す。
融点:153-154℃
IR(KBr):3407, 1691, 1592, 1513, 1274, 1168 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, CD3CN) δ: 2.40 (3H, s), 2.90-3.19 (4H, m), 3.26 (2H, s), 3.27-3.42 (4H, m), 3.46 (2H, t, J = 7.1 Hz), 3.81 (2H, t, J = 7.1 Hz), 4.57 (2H, q, J = 8.3 Hz), 4.83 (2H, q, J = 8.8 Hz), 6.71 (1H, s), 7.34 (2H, dd, J = 3.2, 6.1 Hz),7.64 (2H, dd, J = 3.2, 6.1 Hz), 8.31 (1H, br).
元素分析C25H30Cl2F6N6O3S・1.3H2Oとして
計算値:C, 42.72; H, 4.67; N, 11.96; Cl, 10.09.
実測値:C, 42.73; H, 4.88; N, 11.86; Cl, 10.01.
【0048】
実施例4. 2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩の製造
(1)2−[4−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの製造
1−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・三塩酸塩の代わりに1−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・二トリフルオロ酢酸塩を用い、実施例3と同様に反応・処理し、表題化合物を得た。
融点:141〜142℃
1H-NMR(CDCl3) δ: 2.42 (3H, s), 2.54-2.76 (8 H, m), 2.84 (2H, t, J = 6.9 Hz), 3.15 (2H, s), 3.49 (2H, t, J = 6.9 Hz), 4.41 (2H, q, J = 8.0 Hz), 4.75 (2H, q, J = 8.5 Hz), 6.46 (1H, s), 7.25-7.35 (2H, m), 7.43 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.59 (1H, d, J = 7.8 Hz), 8.38 (1H, s).
【0049】
(2)2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩の製造
2−[4−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド(1.00g,1.65mmol)をエタノール(20mL)に溶解した後、ピリジン塩酸塩(380mg,3.29mmol)を加えた。反応溶液を濃縮し得られた残渣にエタノール (0.5mL)、水(5mL)を加え、析出物を濾取し、2−[4−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩(786mg,74.1%)を無色結晶性粉末として得た。この塩酸塩(300mg)を水(1.5mL)に懸濁し、80℃まで加熱し、溶解させた。反応液を室温まで冷却後、結晶を濾取し、水(0.5mL×2)で洗浄した後、50℃で7時間加熱減圧乾燥し、表題化合物(84mg,28%)を無色結晶性粉末として得た。
図17及び図18に2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す。
融点:174-176℃
IR(KBr):3431, 1690, 1591, 1508, 1454, 1274, 1169, 1139 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6) δ : 2.39 (3H, s), 2.66-3.82 (14H, m), 4.87 (2H, q, J = 8.5 Hz), 4.94 (2H, q, J = 9.0 Hz), 6.96 (1H, s), 7.33 (2H, t, J = 3.4 Hz), 7.60-7.69 (2H, m), 8.17 (1H, br).
元素分析C25H28ClF6N5O4S・0.4H2Oとして
計算値:C, 46.11; H, 4.46; N, 10.75; Cl, 5.44.
実測値:C, 46.17; H, 4.44; N, 10.74; Cl, 5.30.
【0050】
実施例5. 2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩の製造
(1)2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボン酸メチルの製造
1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン(25.01g,135.3mmol)をアセトニトリル(230mL)に溶解し、3−アミノクロトン酸メチル(15.57g,135.2mmol)を加え、20時間加熱還流に付した。反応液を室温まで放冷した後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル400g,展開溶媒 ヘキサン:アセトン=10:1)を用い精製し、表題化合物(22.30g,71%)を黄色油状物質として得た。
【0051】
(2)2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボン酸塩酸塩の製造
2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボン酸メチル(23.30g,99.9mmol)をエタノール(50mL)に溶解し、5mol/L水酸化カリウム水溶液(50mL,250mmol)を加えて2日間加熱還流に付した。反応液を室温まで放冷した後、濃塩酸(15mL)減圧濃縮して得られた残渣をエタノール及びトルエンより3回共沸した。得られた残渣をエタノールで加熱懸濁の後に濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をトルエンにて2回共沸した後にエーテルを加えて濾取し、表題化合物(25.24g,99%)を無色粉末として得た。
【0052】
(3)3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジンの製造
2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジン−3−カルボン酸塩酸塩(23.17g,90.6mmol)をtert−ブタノール(175mL)に懸濁し、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)(35.25g,128.1mmol)及びトリエチルアミン(31.36g,309.9mmol)を加え、3時間加熱還流に付した。反応液に水(100mL)を加え、クロロホルムより抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル400g,展開溶媒 ヘキサン:アセトン=10:1)を用い精製し、表題化合物(18.01g,68%)を淡黄色油状物質として得た。
【0053】
(4)3−アミノ−2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジン・二塩酸塩の製造
3−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジン(21.12g,72.8mmol)をメタノール(70mL)に溶解し、10%塩化水素メタノール(140mL)を加え、60℃にて12時間攪拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣を酢酸エチル及びエーテルに懸濁して濾取し、エーテルで洗浄し、表題化合物(15.64g,82%)を無色粉末として得た。
【0054】
(5)2−ブロモ−N−(2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル)アセトアミドの製造
3−アミノ−2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチルピリジン・二塩酸塩(15.60g,59.30mmol)をメタノール(100mL)に溶解し、氷浴中にて飽和アンモニアメタノール溶液(300mL)を加え、均一にした。反応液をクロロホルム−水より抽出し、有機層を飽和食塩水にて洗浄した後、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、減圧濃縮して得られた残渣をジクロロメタン(200mL)に懸濁し、N−N−ジメチルアニリン(10.80g,89.12mmol)を加えて氷浴中にて攪拌しつつブロモアセチルブロミド(15.52g,76.90mmol)のジクロロメタン(40mL)溶液を滴下し、室温にて2時間攪拌した。反応液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル400g,展開溶媒 ヘキサン:アセトン=10:1→4:1→3:1)で精製し、酢酸エチル−ヘキサンより再結晶し表題化合物(17.68g,96%)を無色針状晶として得た。
【0055】
(6)2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミドの製造
2−ブロモ−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの代わりに2−ブロモ−N−(2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル)アセトアミドを用い、1−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・三塩酸塩の代わりに1−[2−(ベンゾチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・二塩酸塩を用い、実施例3と同様に反応・処理し、表題化合物を遊離塩基として得た。
【0056】
(7)2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド・2塩酸塩の製造
2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド(500mg,0.98mmol)をエタノール(10mL)に溶解した後、ピリジン塩酸塩(227mg,1.96mmol)を加えた。反応溶液を濃縮し得られた残渣にエタノール(0.2mL)、水(2ml)を加え、析出物を濾取し、表題化合物(295mg,55%)を無色結晶性粉末として得た。
図19及び図20に2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその二塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す。
融点:221-212℃
IR(KBr):3427, 1692, 1430, 1389, 1240, 1177, 1154 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, CD3OD) δ : 2.68 (3H, s), 2.81 (3H, s), 3.32-3.45 (4H, m), 3.62-3.73 (6H, m), 3.82 (2H, t, J = 6.6 Hz), 4.89 (2H, s), 7.37 (1H, dt, J = 1.0, 8.1 Hz), 7.47 (1H, dt, J = 1.0, 8.1 Hz), 7.89 (2H, dd, J = 4.6, 7.8 Hz), 8.26 (1H, s).
元素分析C23H28Cl2F3N5OS2・0.6H2Oとして
計算値:C, 46.56; H, 4.96; N, 11.80; Cl, 11.95.
実測値:C, 46.46; H, 5.07; N, 11.66; Cl, 12.04.
【0057】
実施例6 2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩の製造
(1)2−メルカプト−5−トリフルオロメチルベンゾオキサゾールの製造
WO98/54153号明細書の実施例85における2−トリフルオロメチルフェノールの代わりに4−トリフルオロメチルフェノールを用いて同様に反応・処理し、表題化合物を得た。
【0058】
(2)1−[2−(5−トリフルオロメチルベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・2トリフルオロ酢酸塩の製造
WO98/54153号明細書の実施例22の2−メルカプトベンゾオキサゾールの代わりに2−メルカプト−5−トリフルオロメチルベンゾオキサゾールを用いて同様に反応・処理し、表題化合物を得た。
1H-NMR(DMSO)δ: 2.60-3.20 (10H, m), 3,57 (2H, t, J = 6.7 Hz), 7.61 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.89 (1H, d, J= 8.6 Hz), 8.04 (1H, s), 8.66 (2H, s).
【0059】
(3)2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの製造
1−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・2トリフルオロ酢酸塩の代わりに1−[2−(5−トリフルオロメチルベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・2トリフルオロ酢酸塩を用いWO98/54153号明細書の実施例24と同様に反応・処理し、表題化合物を無色結晶性粉末として得た。
融点:103−104℃
1H-NMR (CDCl3) δ : 2.42 (3H, s), 2.49 (3H, s), 2.52 (3H, s), 2.60-2.82 (8H, m), 2.86 (2H, t, J = 6.8 Hz), 3.21 (2H, s), 3.51 (2H, t, J = 6.8 Hz), 6.67 (1H, s), 7.51-7.53 (2H, m), 7.85 (1H, s), 8.55 (1H, s).
【0060】
(4)2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩の製造
2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド(200mg,0.35mmol)をエタノール(4mL)に溶解した後、ピリジン塩酸塩(82mg,0.70mmol)を加えた。反応溶液を濃縮し得られた残渣にエタノール(0.5mL)、水(5mL)を加え、析出物を濾取し、表題化合物(180mg,85%)を無色結晶性粉末として得た。
図21及び図22に2−[4−[2−(5−トリフルオロメチルベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(メチルチオ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す。
融点:195-196℃
IR(KBr):3427, 1685, 1501, 1437, 1327, 1143, 1123 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6) δ : 2.42 (3H, s), 2.43 (3H, s), 2.46 (3H, s), 2.70-3.84 (14H, m), 6.94 (1H, s), 7.72 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.91 (1H, d, J = 8.3 Hz), 8.06 (1H, s).
元素分析C24H29ClF3N5O2S3・0.5H2Oとして
計算値:C, 46.71; H, 4.90; N, 11.35.
実測値:C, 46.67; H, 4.89; N, 11.33.
【0061】
実施例7. 2−[4−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩の製造
(1)2−[4−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの製造
2−ブロモ−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミドの代わりに2−ブロモ−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−6−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−3−ピリジル]アセトアミドを用い、1−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・三塩酸塩の代わりに1−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン・二塩酸塩を用い、実施例3と同様に反応・処理し、表題化合物を得た。
【0062】
(2)2−[4−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・一塩酸塩の製造
2−[4−[2−(ベンゾオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド(500mg,0.86mmol)をエタノール(10mL)に溶解した後、ピリジン塩酸塩(198mg,1.71mmol)を加えた。反応溶液を濃縮して得られた残渣にエタノール(0.2mL)、水(2mL)を加え、析出物を濾取し、表題化合物(134.0mg,25.2%)を無色結晶性粉末として得た。
図23及び図24に2−[4−[2−(ベンズオキサゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2−(2−メトキシエトキシ)−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド及びその一塩酸塩のTG-DTA測定の結果を示す。
融点:181.7-182.4 ℃
IR(KBr):3432, 1686, 1593, 1507, 1454, 1170, 1137 (cm-1).
1H-NMR(400MHz, CD3CN) δ : 2.38 (3H, s), 2.92-3.26 (8H, m), 3.31 (3H, s), 3.42-3.59 (4H, m), 3.62 (2H, t, J = 4.9 Hz), 3.72-3.84 (2H, m), 4.38 (2H, t, J = 4.9 Hz), 4.54 (2H, q, J = 8.3 Hz), 6.61 (1H, s), 7.28-7.36 (2H, m), 7.54 (2H, dd, J = 2.2, 5.6 Hz), 8.19 (1H, br).
元素分析C26H33ClF3N5O5S・0.4H2Oとして
計算値:C, 49.78; H, 5.43; N, 11.16; Cl, 5.65.
実測値:C, 49.76; H, 5.31; N, 11.25; Cl, 5.78.
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(2)
【化1】
(式中、Xは−NH−又は硫黄原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立してメチル基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロエトキシ基を示す。)
で表されるピペラジン誘導体とピリジン塩酸塩とを反応させることを特徴とする当該式(2)のピペラジン誘導体の二塩酸塩又はその水付加物の製造方法。
【請求項2】
ピペラジン誘導体が2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド、又は2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミドである請求項1記載の二塩酸塩又はその水付加物の製造方法。
【請求項3】
2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物、又は2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物。
【請求項4】
2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩結晶又はその水付加物、又は2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩結晶又はその水付加物。
【請求項1】
式(2)
【化1】
(式中、Xは−NH−又は硫黄原子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立してメチル基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロエトキシ基を示す。)
で表されるピペラジン誘導体とピリジン塩酸塩とを反応させることを特徴とする当該式(2)のピペラジン誘導体の二塩酸塩又はその水付加物の製造方法。
【請求項2】
ピペラジン誘導体が2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド、又は2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミドである請求項1記載の二塩酸塩又はその水付加物の製造方法。
【請求項3】
2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物、又は2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩又はその水付加物。
【請求項4】
2−[4−[2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,4−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−6−メチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩結晶又はその水付加物、又は2−[4−[2−(ベンズチアゾール−2−イルチオ)エチル]ピペラジン−1−イル]−N−[2,6−ジメチル−4−トリフルオロメチル−3−ピリジル]アセトアミド・二塩酸塩結晶又はその水付加物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−235635(P2010−235635A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160354(P2010−160354)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【分割の表示】特願2005−502951(P2005−502951)の分割
【原出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【分割の表示】特願2005−502951(P2005−502951)の分割
【原出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】
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