説明

多重電磁ジェネレータにより処理体積を処理するための方法と装置

【課題】物質を加工するか、化学反応を促進するかのいずれかの目的のために、複数の電磁源を物質に結合する方法及び装置を提供する。
【解決手段】マイクロ波周波数における共振空洞が、導電性金属螺旋100によって形成され、螺旋の内径は、円筒形共振器4の適切なマイクロ波モードをサポートするように選択される。多重マイクロ波発信源11、および多重RF発信源12が共振構造体に電力を搬送する。処理する材料もしくは反応させる材料7は、円筒形共振器4を通じて共振構造体へ注入され、処理生成物もしくは反応生成物が排出部8で共振構造体から排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対するクロスリファレンス)
本出願は、2008年9月19日に出願された、同時係属出願米国特許出願第12/234,503号(特許文献1)の一部継続出願であり、前記係属出願の内容は、引用されることにより本出願に取り込まれている。
本発明は、一般に、材料の処理もしくは反応に関する。本発明は、大分子における化学結合の切断など、化学処理もしくは反応を促進する目的で電磁エネルギーを使用する際に、特に効用があるので、このような効用に関して本発明を説明するが、他の効用も予期することができる。その一例として、短鎖で低分子量の炭化水素を生成するための、長い炭化水素鎖における分子結合の切断があげられる。このような処理は、例えば、重く粘性のある石油を、パイプを通じてさらに容易に輸送できるように、粘性の低い粘稠度に希薄化することができる。
【背景技術】
【0002】
石油関連材料は、世界経済にとって必要不可欠であるうえ、石油関連燃料および石油関連製品に対する需要も増大しつつある。需要が上昇するに伴い、このような需要を満たすために、石油関連材料を効率的にしかも経済的に処理する必要性が生じている。したがって、地中から得られる石油関連原材料を処理できるだけでなく、消費者製品を再生利用してこのような石油関連材料を回収できるなら好都合である。
【0003】
世界の石油消費量は、1日に70百万バーレル強であると推定され、現在も消費量は伸びつつある。したがって、石油を十分に供給する必要がある。タールサンド、オイルサンドおよびオイルシェールは、大量の油を含有しているが、これらの材料から油を抽出するのはコストがかさみ、時間もかかる。
【0004】
オイルサンドから重油を汲み出すことは困難である。通常、体積にして30%までの溶剤もしくは希釈剤をこのような原油に添加し、パイプラインを通じて十分に汲み出せるように希薄化しなければならない。このようにした場合には、現在の価格にして、1バーレルの原油に15%ものコストが加算される。したがって、分子結合の一部を経済的な方法で切断することにより原油の粘度を希薄化できれば、オイルサンドからの有用な生成物の回収に重要な影響を与えることになる。ますます重要になりつつあるもうひとつの問題が、有毒廃棄物の処分である。一般に、廃棄物を無害化するためには、廃棄物における化学結合を切断し、その後でおそらく他の物質を添加して、新しい結合を形成しなくてはならない。
【0005】
先行技術において、処理体積もしくは反応体積を、共振電磁構造体内で、その共振電磁構造に結合された電磁ジェネレータによって励磁できることが周知である。この共振構造体は、一般に、多重モード(すなわち多重空間モード)である。電子レンジがこのような装置の一例である。
【0006】
共振構造体は、単一周波数が単一空間モードで共振する、単一モード構造体であってもよい。単一モード共振構造体は、多重モード共振構造体よりも小型で、それと同等の電力入力を取り扱うことができない。多くの用途で、処理体積中もしくは反応体積中にプラズマを生成することが望まれており、また安定したプラズマを定着させ、ジェネレータとその送出系に対する整合を維持させておくことが、一般に単一モード共振構造体内では容易である。
【0007】
さらに、反応体積もしくは処理体積を複数の電磁ジェネレータに結合された多重モード共振構造体内で励磁できることも周知である。例えば、特許文献2には、共通の共振空洞内にプラズマが生成される、共通多重モード共振構造体に結合された多重ジェネレータを用いたシステムの記載がある。この構成では、より多くの入力電力が可能であるという長所があるが、多重モード空洞は、プラズマの変動に対して極めて感受性が高い。電磁ジェネレータおよびそれらの各送出系を整合させ、維持させておくこともまた、この構成では困難である。プラズマの不安定性により、各種ジェネレータのクロスカップリングがさらに生じる。先行技術の参考資料にも、単一モード共振構造体に対する多重ジェネレータ入力が記載されているが、単一モード構成では各ジェネレータの周波数と位相が同じでなくてはならないので、共振構造体には、供給できる電力に制限がある。
【0008】
多くの場合、例えばマイクロ波など、極めて高い周波数を使用する必要がある。入力された電気エネルギーからのマイクロ波エネルギー(おおよそ300Mhz〜300GHz)を生成する場合の効率は、一般に、わずか50〜70%にすぎない。これに比べ、低い無線周波数(おおよそ455KHz〜300MHz)のエネルギー変換からの生成では、効率は95%までの効率が達成される。
【0009】
一部の処理もしくは反応では、マイクロ波エネルギーを使用する必要がある。例えば、多くの用途で、マイクロ波周波数を用いてプラズマを形成する必要があるが、より効率的に生成することができる低い周波数を用いて、プラズマをさらに加熱すると非常に好都合である。さらに、マイクロ波共振構造体内では、一般に、プラズマが処理チャンバもしくは反応チャンバの全長にわたって均一に加熱されない。
【0010】
したがって、さらに高い効率の下に、処理体積を処理するための改良された方法と装置に対する要求が存在している。具体的には、反応チャンバの全長にわたって均一にプラズマを励磁し、低い無線周波数エネルギー変換を利用できることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0078559号明細書
【特許文献2】米国特許第7,227,097号明細書
【特許文献3】米国特許第6,683,272号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記諸要求に対処するため、本発明は、多重電磁ジェネレータにより処理体積もしくは反応体積を処理するための方法と装置とを開示する。この処理は、共振構造体内で高次マイクロ波モードを使用し、低周波数でRF放射をさらに使用できるユニークな構造体を使用することによって本発明で達成される。
【0013】
矩形の導波管を共振空洞として使用している先行技術(特許文献3)とは対照的に、本発明では、円形の共振構造体を使用している。静電場と各種周波数の交流場を同時に含む複数の周波数を反応体積もしくは処理体積に供給することのできる、ユニークな物理的構造体について開示する。さらに、円形の形状を用いることにより、矩形の形状の場合よりもはるかに大きい内部電力を供給できる。さらに、前記構造体に音響振動を供給することによって、動作中に反応生成物もしくは処理生成物を共振構造体の壁から除去するための手段も開示されている。
【0014】
プラズマが形成される場合には、適切なトランスバース電気(TElmnと表す)共振器モードとともに円形の形状を使用することにより、反応チャンバもしくは処理チャンバの軸にプラズマを閉じ込めることができるため、電場に対して横方向の磁場を供給し、無線周波数磁場をさらに付加することによって、反応体積もしくは処理体積をさらに効率的に加熱することができる。さらに、静的ソレノイド磁場を付加すると、共振器の軸にプラズマを閉じ込めるのに役立つ可能性がある。
【0015】
一度に多数の空間モードで共振構造体を動作させ、本明細書に開示されているユニークな構造体を採用することによって、さらに多くのジェネレータを使用してより多くの電流を供給することと、共振構造体の全長にわたって作用される媒体を一層均一に励磁することが可能となる。
【0016】
共通の譲受人に対し譲渡され、本明細書に参考として取り込まれている、2008年9月19日出願の同時係属米国特許出願第12/234,503号(特許文献1)は、いくつかの電磁ジェネレータの出力を各自の共振構造体に供給すると、その後にこれらのいくつかの共振構造体が共通の処理体積もしくは反応体積に結合されることにより、多重電磁ジェネレータによって処理体積もしくは反応体積を処理するためのシステム、すなわち方法と装置を提供している。その出願では、さらに、各共振構造体に対する電力入力を制御し、同じ共振周波数を有する入力の位相を制御するため、電磁ジェネレータを各自の共振構造体に整合および同調させるための方法について開示する。各種共振構造体は、反応体積もしくは処理体積が、各共振構造体の一部となるように配置されている。この構成では、ジェネレータの周波数と位相は異なってもよく、さらに共通の処理体積もしくは反応体積に整合させることができる。入力可能な電力の量を制限するのは、処理体積または反応体積だけである。このように、このシステムは各ジェネレータを各自の共振構造体に結合させることによって、複数の入力と向上した安定性の長所を組み合わせている(各共振構造体は順番に共通の処理体積もしくは反応体積に結合される)。
【0017】
したがって、本発明のひとつの目的は、マイクロ波発振源に加えて、低無線周波(RF)電磁発振源を反応体積および処理体積に結合するための方法ならびに装置を提供することにある。さらに、本発明のもうひとつの目的は、静磁場を提供することにある。この目的を達成するために、複数のマイクロ波モードが構造体内で同時に共振するように、処理チャンバもしくは反応チャンバが配置されている。これにより、処理する材料もしくは反応させる材料をより均一でしかも大きな励磁が可能となる。
【0018】
本発明のさらにもうひとつの目的は、同じ周波数もしくは異なる周波数の複数のマイクロ波入力を可能にすることにある。本発明に関しては、同じ周波数のジェネレータは同相にロックされる。各ジェネレータは適切な共振モードに結合されて、反応チャンバもしくは処理チャンバの共振モードに機械的および電気的に整合して、負荷が変化したときに周波数発振源を前記チャンバに整合させ続けることを容易にする。このことは、特に、反応チャンバ内でプラズマが発生する場合に重要である。このような場合、プラズマが形成されると、負荷が大幅に変化する。本発明はさらに、処理チャンバもしくは反応チャンバに対するマイクロ波ジェネレータの整合を行うための電子的および機械的同調を提供し、負荷に対する整合を維持するための即時調節を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
ひとつの態様では、本発明の開示は、処理体積もしくは反応体積を内包する反応構造体と、少なくともひとつのマイクロ波電磁ジェネレータ、好ましくは、反応構造体に結合する複数のマイクロ波電磁ジェネレータと、反応構造体に結合する少なくともひとつの無線周波数(RF)電磁ジェネレータを具備する、電磁放射により処理媒体を励磁するための装置を提供している。処理チャンバもしくは反応チャンバは、円筒形対象をなしていることが好ましく、マイクロ波発振源が、横方向電気(TEもしくはH)モードだけが励磁されるように配置されている。このようなモードは、TElmnモードとして表される。これらのモードでは、電場は円周方向かつ共振チャンバの壁に対して平行で、磁場は軸に平行である。多重マイクロ波ジェネレータからの入力は、各種ジェネレータが、共振構造体のさまざまなモードに結合するように配置されている。多くの場合、円周方向に不変なモードが使用されている。このようなモードは、TEomnモードと表されている。
【0020】
もうひとつの態様では、本発明の開示は、金属螺旋から形成された共振構造体と、螺旋に結合された複数の電磁ジェネレータとを具備する、多重電磁ジェネレータで処理体積を処理するための装置を提供している。共振構造体そのものは金属螺旋で形成されており、金属螺旋の巻き線部は共振周波数における波長の一部に等しい幅をもちうる。図1を参照。無線周波数(RF)発振源は、コイルの巻き線のいくつかにわたって接続することができる。RF周波数では、コイルの巻き数はインダクタンスとして現われる。RF周波数で回路を共振させるのに、キャパシタが使用されている場合もある。このような配置により、コイルの軸に平行な交流磁場が供給され、処理する材料もしくは反応させる材料に対しエネルギーを付加できる。
【0021】
さらにもうひとつの態様では、本発明の開示は、少なくともひとつのマイクロ波ジェネレータと少なくともひとつのRFジェネレータとが共振構造体に結合している実質的に円筒形をなす共振構造体を提供する工程と、共振構造体の各種モードに結合する電磁場を生成する工程と、共振構造体内を軸沿いに処理媒体を通過させる工程とを有する、磁場を使用して処理媒体を励磁させるための方法を提供している。処理媒体は、構造体内に送り込まれる。共振構造体内を通り抜けているRF波およびマイクロ波透過パイプ(低誘電定数)が存在してもよいし(点線で示す)あるいはこれらを省略してもよい。パイプの投入部は、一般に、チャンバからの放射を防止するために金属である。
【0022】
コイルからの副産物の除去およびデバイスの遮蔽など、その他の特徴とともに、前記方法と装置に関する詳細な説明を以下に示す。
【0023】
本発明のさらなる特徴および長所は添付の図面と以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のひとつの態様に従った、多重電磁ジェネレータで処理体積を処理するための装置の図解である。
【図2】図1に示されている装置の断面図で電磁ジェネレータによって生成される各種磁場を表している。
【図3】本発明のひとつの態様に従った整合デバイスの図解である。
【図4】本発明のひとつの態様に従った位相ロックデバイスの概略図である。
【図5】Aは本発明のひとつの態様に従ったコイルの図解であり、Bは本発明のひとつの態様に従ったエンドキャップのひとつの図解である。
【図6】本発明のもうひとつの態様に従った多重電磁ジェネレータで処理体積を処理するための装置の図解である。
【図7】本発明に従った多重電磁ジェネレータで処理体積を処理するための方法と装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、図解によって本発明の各種実施形態を示している、添付図面を参照する。他の実施形態も利用可能であり、本発明の範囲から逸脱することなく変更を行ってもよいことが理解される。
【0026】
図1は、本発明の一般概念を示している。マイクロ波周波数(いくつかの異なるマイクロ波周波数入力が存在していてもよい)における共振空洞が、導電性金属螺旋100によって形成されている。螺旋の内径は、径が螺旋の内径に等しい円筒形共振器4の適切なマイクロ波モードをサポートするように選択されている。全長は、入力マイクロ波周波数の半波長の整数となるように選択されている。多重マイクロ波発振源および多重RF発振源11,12が、共振構造体に電力を搬送する。概して言えば、任意入力周波数でマイクロ波空洞を共振させることが不可能な間に、共振構造体が異なる周波数の共振モードを許容するということが本発明の特徴のひとつである。螺旋100は、銅などの電導性(および熱伝導性)の連続した材料で構成されている。コイルを冷却するために、熱交換器もしくは冷却器が取り付けられており、共振構造体へ注入される材料の処理もしくは反応により熱交換器もしくは冷却器の上に形成される堆積物を除去するのに音響発振源が使用されている。
【0027】
本発明の方法およびその装置は、透過パイプを使用しているか否かにかかわらず、反応チャンバ内にプラズマを形成するのに使用することができる。この場合には、「透過」とは、マイクロ波周波数および無線周波数に関しては透過であるであることを意味している。プラズマが形成されると、プラズマ内部に電場の短絡が生じる。従ってこの場合、軸沿いの電場(一般にE電場として表される)は存在しえない。このため円周方向のE電場を有するモードだけが励起されるように、共振チャンバが励起される。これらは、TElmnモードとして周知である。この命名法では、nの添え字は、共振モードの半波長における共振構造体の長さを表す。「l」は、軸に垂直方向の円形パスを中心とした電場の変化数を表し、mは、ラジアル方向におけるE電場の変化数を表す。このようなモードのすべてに関して、H磁場は共振構造体の軸に対して平行である。
【0028】
本明細書に記載の装置は、E電場とは異なり、プラズマか形成されたときにこのプラズマを貫通することのできる、H磁場として一般に表されている磁場によって、処理する材料もしくは反応させる材料を励磁するのに使用してもよい。共振チャンバのユニークな特徴により、プラズマがより均一に加熱されるように、多重TEモードを励磁することができる。
【0029】
螺旋巻き線100の幅は重要ではないため、かなり広い範囲のマイクロ波周波数を同時に共振することができる。各モードの周波数は近接している場合には、螺旋巻き線の幅を共振周波数の波長の四分の一に等しくするのに有利である。この場合、コイルの巻き線間のスペースは、共振構造体内部のE電場に対する短絡回路となると考えられる。これは外径におけるコイル間のオープンスペースが、1波長の四分の一離れた内径では、短絡のように見えるからである。本発明のように共振モードがTEモードである場合には、E電場は円周方向のため、長手方向には電流はほとんど流れない。対応する磁場が共振器の軸に平行、かつ、電場が円形かつ壁に平行であるように、モード(複数もあり)が共振器内で励磁される。このようなモードの電場は壁ではゼロであるために、螺旋の巻き線間におけるギャップを電流が流れる必要がない。
【0030】
図1を参照すると、構造体の個々の巻き線1間におけるスペーシングd、2が、構造体のその部分に必要とされるインダクタンスと、前記コイル間のスペースを密閉している材料の誘電定数など、いくつかのファクターによって決定されている。コイルの巻き線間におけるスペーシングは、説明を容易にするためにこの図では強調表示されている。実際には、これらのスペースは、図示されているよりもはるかに小さく、絶縁体で満たされているので、共振器には連続した壁(金属、絶縁体、金属、絶縁体など)が備わっている。固体金属のエンドプレート3A、3Bが、共振構造体内部で電磁場によって作用される媒体を運ぶ管部もしくはパイプ4(投入部と排出部が共振空洞からの放射を防止するために金属である)によって貫通されている。一部の実施形態では、このパイプ(マイクロ波周波数およびRF周波数を透過)は必要とされず、作用される材料7が、共振構造体の内部全体にわたって満たされる。この内側のパイプ4を表す点線5は、共振構造体内部にパイプが存在していても存在していなくてもよいことを示している。共振構造体の排出端は、点線で表されているパイプによって示されているように、処理する材料もしくは反応させる材料が流れるパイプによって貫通されうる、固体金属キャップである。パイプが共振空洞内に存在しない場合には、反応材料もしくは処理材料がチャンバから排出されるときに通過する外部金属パイプ4がさらに存在する。
【0031】
共振構造体の投入部プレート3Aは、ひとつもしくはそれ以上のマイクロ波入力部、通常は導波管6によって貫通されている。入力されたマイクロ波周波数は、構造体の共振周波数に整合するように同調される。共振構造体にマイクロ波を効率的に結合させ、負荷が変化したときに整合を維持させる整合装置が、すべての投入部とともに採用されている。
【0032】
処理する材料もしくは反応させる材料7は、パイプ4を通じて共振構造体へ注入される。材料が点線のパイプ(マイクロ波周波数およびRF周波数を透過する)内で示されているように共振構造体を通過し続ける場合には、処理生成物もしくは反応生成物が排出部8で共振構造体から排出される。この排出物は、処理もしくは反応の程度により、未処理の材料およびその副産物の両方で構成される。
【0033】
後で説明するように、反応構造体の軸と同軸の可動式の円筒形をした一般に中空のピストン(図1に図示せず)が、共振構造体の排出端に配置されている。共振構造体の軸に平行にこれらのピストンを動作させるシャフトが、排出部キャップ3Bを貫通している。これらのピストンにより、各種周波数およびさまざまなラジアル方向の変化のTEモードを同時に整合させることができる。
【0034】
低周波数RF磁場は、マイクロ波磁場に比べ効率的に生成されるので、低周波数RF発振源で反応チャンバにさらに多くのエネルギーを付加供給することが望ましい。これが、螺旋構造とした理由である。螺旋は、RF周波数でインダクタを形成する。図1に示されているように、RFジェネレータ9,10がコイル1のいくつかに渡って接続されている場合には、これはソレノイドを形成し、共振構造体の軸に沿った方向性を持つソレノイド磁場もしくは軸磁場を生成する。共振構造体内部にプラズマが形成される場合には、プラズマ内では電場がゼロでなくてはならない。しかし磁場は、プラズマを貫通し、これにエネルギーを付加できる。RFジェネレータによって生じる磁場が共振構造軸沿いにマイクロ波モードと同じ位置に生成されるように接続が行われているので、軸沿いにさらに多くの電力が付加される。各種RFジェネレータ11および12は、同じ周波数であってもよいし、別の周波数であってもよい。
【0035】
キャパシタと、共振構造体のコイルによって形成されるインダクタとの組み合わせが共振回路を形成するように、キャパシタ13および14が付加されている。図1におけるキャパシタは、ジェネレータおよびインダクタと直列に接続されて、直列共振回路を形成している。独立したキャパシタが必要ない場合もある。このような場合には、構造体そのもののキャパシタンスが、コイルの巻き線のインダクタンスとともに共振回路を形成する。その代わりに、キャパシタを並列に配置して、並列共振RF回路を形成してもよい。このように、共振構造体の軸沿いに交流軸磁場が生成され、処理する材料もしくは反応させる材料にエネルギーを付加する。
【0036】
コイル15のさまざまな部分に直流供給源(複数もあり)を接続することによって、軸沿いに交流RF磁場に加えて、静電磁場もしくは直流磁場を生成することができる。コイルのさまざまな部分に複数の直流供給源を接続してもよいし、構造体全体にわたり単一の直流供給源18を接続してもよい。RF放射から保護するために、インダクタ16が直流電源と直列に配置されている。静直流により静電軸磁場が生成される。プラズマが共振構造体内部に形成される場合には、直流磁場が生成されたプラズマを共振構造体の軸に閉じ込める役割を果たすので、交流RF磁場によってそれがさらに効率的に励磁されうる。
【0037】
矩形のチャンバとは対照的に、非常に高い電力を処理することができ、さらに円形の形状が、処理する材料もしくは反応させる材料のさらに均一な励磁を可能にするという点で、丸型のチャンバが好ましい。
【0038】
すでに説明したように、共振構造体内でさらに均一なマイクロ波電力密度が実現するように複数のTElmnモードが励磁される。共振構造体の軸を通過する断面を表している図2aに示されているように、各種TElmnモードが、異なるラジアル方向の位置で最大値を持つ。ただし、すべてのTElmnモードが、共振構造体の軸沿いに最大磁場を有するという点に留意されたい。このことはプラズマが共振構造体内で形成される場合に特に有利である。この場合、軸沿いにE電場を有するTMモードは存在し得ない。しかし、軸沿いに磁場を有するTEモードは、プラズマを貫通してエネルギーをプラズマに付加してさらに加熱する。多くの場合、共振モードに円周方向に対称性を持たせ、円周付近で変化させないようにすることが好ましい。これらはTEomnモードとして周知である。
【0039】
図2aには、共振構造体の軸に平行な本発明の断面図が示されている。異なるラジアル方向の位置で最大値を有する二つのTELmnモード21,22が示されている。モード21はTELlnモードである一方、2種類のラジアル方向の変化を持つモード22はTEL2nモードである。モード21のH磁場の最大におけるリング状ピストン23は、共振に合わせてモード21を同調するため、共振構造体の全長沿いに長手方向に調節される24。同様に、モード22のH磁場の最大に一致する2個のリングを備えたピストン25が、構造体内の共振に合わせてモード22を同調できるように調節される26。図2aには、共振構造体の壁を具備する、螺旋コイル27の巻き線部を通過する断面も示されている。構造体内で反応させる材料もしくは処理する材料を通過させるパイプ28も示されている。すでに説明したように、マイクロ波周波数およびRF周波数を透過するパイプは、共振構造体内部に存在していてもよいし、存在していなくてもよい。これは、点線29によって表されている。しかし、いずれの場合も、金属製の排出パイプ29Aが存在している。パイプ29Aは、共振構造体からの放射を防止するため金属で形成されている。後で説明するように、デバイス全体も外部容器によって包囲されており、ほとんどの場合、容器は外部環境への放射を防止するために金属である。
【0040】
図2bには、各種長手方向のモードを区別する方法が示されている。多数の半波長の長さである、共振構造体の断面が示されている。二つのモード29Bと29Cは、異なる場所で長手方向の最大値を有している。この場合、螺旋コイルの壁を貫通しているねじ29Dが、点線で表されたモード29Bが発振するのを防止している。
【0041】
適切なTElmnモードのH磁場と一致してH磁場と効率的に結合するデバイスの入力端でのマイクロ波入力によって各種共振モードが励磁される。
【0042】
ピストンを適切に設置したなら、負荷が変化するのに伴ってマイクロ波発振源を負荷に整合させ続けておくことができるように、共振デバイスの入力端の準備を整えておく必要がある。プラズマが突然形成される場合のように、負荷が急激に変化する可能性があるので、入力部の即時整合を可能にする方法を使用することが望ましい。このことは、以下に説明する入力整合方式によって実現される。
【0043】
入力整合方式の第一の要素は、電気駆動式の機械的デバイスにより、適切なモードに対する整合を調節する工程であるため早い反応を有する。各マイクロ波入力部にこれらデバイスのひとつが使用されている。このデバイスは、共振構造体に対する各マイクロ波発振源の結合係数を変化させる。結合係数1は完全整合を表しているので、共振構造体から電力は反射されない。結合係数ゼロは、共振構造体からすべての電力が反射されていることを表している。閉ループサーボ機構装置によって制御されうる電気的に駆動されるデバイスを備えることが望ましい。
【0044】
整合デバイスの動作は下記のとおりである。図3aと3bを参照すると、マイクロ波ジェネレータからの排出物が、一般に、図3aに示されているように、適切な寸法を持つ矩形導波管31によって反応チャンバへ送達される。導波管におけるモードおよび共振チャンバの投入部における導波管の位置は、所望のTElmnモードを励磁するように選択されている。投入部キャップの投入孔もまた、同じ寸法の矩形で、一般に、マイクロ波ジェネレータからの導波管と同じ横断面を持つ第二の導波管32に結合される。回転同調デバイス33は、入力導波管と投入孔に連通する導波管に関して同じ横断面をもつ断面を回転させることによって動作する。回転断面が、他の二つの横断面と並ぶ場合には、結合係数が1となり、その断面が90度回転した場合にはゼロになる。
【0045】
図3bには、適切な電子制御部36に接続されたソレノイド34,35によって、中央回転部33がどのように電気的に制御されるかが示されている。反射係数は、例えば方向性カプラによって入力電力に比較して反射電力をモニタリングするなど、適切な配置によって検出され、制御信号37が前方に送達される電力を最大化するためにソレノイドを駆動させる。図では、回転角シータ(θ)が、水平から測定されている。ゼロ度に近いシータの値では、負荷に対し最適に整合が行われ、反射係数がほぼゼロとなる。90度に近い値では、反射係数が最大となる。
【0046】
同じ周波数の多重ジェネレータを用いた場合には、それらの位相を一緒にロックすることが必要である。これについては、図4を参照されたい。第一のジェネレータ41は、共振構造体に合わせて整合されている。第二のジェネレータ42は、第一のジェネレータと同相にロックされているので、両周波数が同じであり、両ジェネレータは同相である。共振構造体43は、図6とともに以下でさらに詳細に説明する、容器44内に収納されている。共振構造体内部の感知要素45が、共振構造体内の放射の位相を検出する。この信号が、ミキサー46内の第二のジェネレータ42の周波数と比較される。ミキサーからのエラー信号47が、第二のマイクロ波ジェネレータに返され、共振構造体および第一のジェネレータ41の位相に合わせてその位相が調節される。この技法は、二つのジェネレータもしくは同じ周波数だけに制限されない。同じ周波数の複数のジェネレータを同様に位相ロックすることができる。個々のジェネレータからの出力が、同じ共振構造体モードに結合されなくてはならない。ただし、この位相ロックは、同じ周波数を有するジェネレータ、つまり、共振構造体内の同じTELmnモードに結合されるジェネレータだけに適用されるという点に留意されたい。
【0047】
大きな反射電力からジェネレータを保護するために、ジェネレータと負荷との間にサーキュレータもしくはアイソレータを使用するなど、マイクロ波ジェネレータを保護するための標準的なマイクロ波技法が採用されている。
【0048】
この方法および装置の多くの用途で、その内部における処理もしくは反応により共振構造体上に堆積物が形成される。興味のある特定の事例は大分子を小分子に切断するための重質炭化水素の処理にある。この場合、前述の米国特許出願第12/234,503号(特許文献1)に検討されているように、以前の方法および装置を実証するためのプロトタイプデバイスで実証されたように、装置の内壁上に炭素の堆積物が形成される。その結果、処理の有効性が減退し、マイクロ波発振源(複数もあり)に対する共振構造体の整合度が変化してしまう。
【0049】
図5aには、装置から堆積物を除去するための技法が示されている。コイルの巻き線部は中空51であり、水もしくはその他の何らかの液体52がコイル内を循環することができる。コイル内を循環する液体にトランスジューサ55を結合させることによって、超音波ジェネレータ53は超音波エネルギー54を供給し、それと同時に、水がコイルを冷却する。ポンプ56が、コイルを循環している液体を汲み上げ、リサーバ57も、例えば冷却器などのように、液体から熱を除去する。
【0050】
交流RF磁場によってエンドキャップ58で誘起される損失渦電流を減少させるため、図5bに図示されているように、エンドキャップの内部が薄い導電性の螺旋状に巻き付けられたホイル59によって覆われている。
【0051】
図6には、処理する媒体を保持するための内部管部の存在しない、反応チャンバのひとつの配置を示している。例えば、投入物60は、反応チャンバ62に後で注入される、アトマイザ61によって噴霧化される液体60であってもよい。この場合、反応装置全体が、図に示されているように密閉された容器63内に封じ込められている。処理もしくは反応から得られた生成物が、流出口64を通じて収集される。流出口から収集された各種材料が、例えば気体から液体を分離するなど、適切にさらに処理される。この閉じたチャンバ63は、RF放射もしくはマイクロ波放射が外部環境へ逃げるのを防止するための遮蔽としての役割を果たすように、ガラスやセラミックもしくは金属などの絶縁体で形成することができる。
【0052】
図7には、本発明の方法と装置の基本的要素の一部が示されている。処理装置もしくは反応装置に対する投入物は、例えば、液体71であってもよい。投入物は、固体もしくは気体、あるいは噴霧化された液体、液体、気体および/または固体の複数の相の組み合わせであってもよい。気体や固体の場合、適切なデバイスが使用されて、処理する材料もしくは反応させる材料を反応装置もしくは処理装置に注入する。この図には、ポンプ72によって、液体74が反応装置もしくは処理装置に汲み上げられている。アトマイザ73によって液体が噴霧化され、処理もしくは反応させる反応チャンバに注入される74。特に興味のある場合に、プラズマを反応チャンバ内で発生させ、液体内の化学結合を切断させる。例えば、重質炭化水素における結合を切断して他の生成物を生成させたり液体の粘度を希薄化したりする場合にこの方法が望ましい。排出される生成物75は収集チャンバ76によって収集され、収集チャンバ76は必要に応じて反応チャンバを包囲する。液体投入物の場合、排出物は一般に液体生成物と気体生成物の両方を含み、必要に応じて分離される77。適切な同調可能整合デバイス78が用いられて、反応装置にマイクロ波発振源79を結合する。これらのデバイスは、図3とともにすでに説明した。マイクロ波ジェネレータの周波数が同じ場合には、これらのジェネレータは、図4に示すように、共に位相ロックされる。各種共振モードを整合させるための可動ピストンについては、この図の80に模式的に示されている。すでに説明したように、これらのピストンを動作させるためのシャフトが、チャンバの壁を通過して伸びている。これらのピストンの模式図については、図2を参照されたい。処理媒体をさらに加熱するために、共振構造に結合された多重RFジェネレータが、81および82として示されている。直流電流電源83によって、軸方向静磁場が準備される。水もしくはその他の種類の冷却液84である冷却液が、ポンプ85によって汲み上げられて中空コイルを通過する。超音波発振源86が、好適なトランスジューサ88を通じて液体に超音波エネルギー87を供給し、共振構造体コイルの機械的振動を起こしてそれらに堆積している物質を除去する。必要な時いつでも長音波は使用可能で、その使用時にシステムが投入材料を処理しているか否かにかかわらず使用可能である。冷却液用のリザーバ89には、例えば熱交換器や冷却器など、冷却液から熱を除去するための手段が備わっている。
【0053】
特に本発明のデバイスおよび処理の上記実施形態、および「好ましい」実施形態は、単に可能な実施例であり、かつ、本発明の原理の明確な理解のための記載に過ぎないことは強調されるべきである。本明細書に記載されている処理体積を処理するための方法と装置の多くの異なる実施形態を、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、設計および/または組み立てることができるであろう。これらの全てと他のそのような修正と変更は本明細書の開示の範囲内で本明細書に包含されて、後続の特許請求の範囲で保護されることを意図されている。したがって本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されている内容を除き、制限することを意図するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理体積もしくは反応体積を内包する反応構造体と、
前記反応構造体の周囲で、前記反応構造体に結合する複数のマイクロ波電磁ジェネレータと、
前記反応構造体に結合する少なくともひとつの無線周波数(RF)電磁ジェネレータとを具備する、電磁放射により処理媒体を励磁するための装置。
【請求項2】
前記反応構造体に結合する少なくともひとつの静電磁ジェネレータをさらに具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記反応構造体が、マイクロ波周波数で単一モードもしくは多重モードであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記反応構造体が軸を中心として円筒形対称をなしていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
導電性材料で形成されて複数のコイルを有する螺旋構造体によって前記反応構造体が巻かれていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記螺旋の巻き線部の幅が、共振周波数における波長の四分の一に相当することを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記螺旋が、前記無線周波数ジェネレータのひとつもしくはそれ以上に接続されていることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記コイルが、共振回路の一部を形成していることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記螺旋が各端部にエンドキャップを有しており、前記エンドキャップが渦電流損失を防止するための螺旋巻き線を具備していることを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくともひとつのマイクロ波電磁ジェネレータのうちのふたつもしくはそれ以上が、前記反応構造体内で各種モードを励磁するよう選択されている同じ周波数で、マイクロ波を生成することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
同じ周波数のマイクロ波が、位相ロックされていることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
位相検出器をさらに具備して、前記位相検出器からエラー信号が得られ、同じ周波数の前記マイクロ波電磁ジェネレータの少なくともひとつに返される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
マイクロ波電磁ジェネレータが、前記反応構造体内で各種モードを励磁するように選択されている異なる周波数でマイクロ波を生成することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記処理媒体が、TElmnモードのH磁場で励磁されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
無線周波数ジェネレータが、前記反応構造体の軸近傍の領域を励磁するため、結合されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記反応構造体を超音波清浄するための長音波デバイスをさらに具備する、請求項1記載の装置。
【請求項17】
前記螺旋が、液冷式であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記螺旋が、空冷式であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくともひとつの静電磁ジェネレータが、プラズマを閉じ込めるための直流(DC)磁場を生成することを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項20】
前記マイクロ波電磁ジェネレータが、前記反応構造体内の異なる長手方向の位置で複数のマイクロ波モードを励磁するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記RF電磁ジェネレータが前記反応構造体内の異なる長手方向の位置で複数のTElmnモードを励磁するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
複数のモードをサポートするため、前記反応構造体の一端に配置されている少なくともひとつのピストンをさらに具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記少なくともひとつのピストンが、各種モードの同調の調整に使用されることを特徴とする、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記反応構造体が、直列に接続された複数の共振構造体を具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記反応構造体が、並列に接続された複数の共振構造体を具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記反応構造体が、並列および直列に接続された複数の共振構造体を具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
大きな負荷の変化に対する電気機械式カプラをさらに具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
小さな摂動を調整するために調節可能な主オシレータをさらに具備する、請求項1に記載の装置。
【請求項29】
金属螺旋から形成された共振構造体と、前記螺旋に結合された複数の電磁ジェネレータとを具備する、多重電磁ジェネレータで処理体積を処理するための装置。
【請求項30】
前記金属螺旋の各端部に投入部キャップと排出部キャップとをさらに具備し、前記処理体積が前記投入部キャップを通じて前記共振構造体内に導入されることを特徴とする、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
円筒形対称をなす反応チャンバをさらに具備する、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記複数の電磁ジェネレータに、少なくともひとつのマイクロ波ジェネレータと少なくともひとつのRFジェネレータとが含まれることを特徴とする、請求項29に記載の装置。
【請求項33】
前記電磁ジェネレータが、前記コイルの軸に平行に交流磁場を生成することを特徴とする、請求項29に記載の装置。
【請求項34】
前記複数の電磁ジェネレータからの入力が、各種ジェネレータが前記共振構造体の各種モードに結合するように配置されていることを特徴とする、請求項29に記載の装置。
【請求項35】
前記電磁ジェネレータによって生成されたH磁場の各種共振モードを同調するための少なくともひとつの円筒形ピストンをさらに具備する、請求項29に記載の装置。
【請求項36】
前記処理媒体がTElmnモードのH磁場で励磁されることを特徴とする、請求項29に記載の装置。
【請求項37】
前記共振構造体に前記処理体積を送り込むためのパイプをさらに具備しており、管部がRFおよびマイクロ波エネルギーを透過することを特徴とする、請求項29に記載の装置。
【請求項38】
パイプが投入部と排出部とを有しており、前記パイプの前記投入部と前記排出部とが金属で形成されていることを特徴とする、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記金属螺旋の巻き線部が、共振周波数における波長の四分の一に相当する幅を有していることを特徴とする、請求項29に記載の装置。
【請求項40】
前記螺旋が液冷式であることを特徴とする、請求項29に記載の装置。
【請求項41】
前記螺旋が空冷式であることを特徴とする、請求項29に記載の装置。
【請求項42】
大きな負荷の変化に対する電気機械式カプラをさらに具備する、請求項29に記載の装置。
【請求項43】
前記複数の電磁ジェネレータの一部が、前記共振構造体内の異なる長手方向の位置で多重モードを励磁するように構成されていることを特徴とする、請求項29に記載の装置。
【請求項44】
実質的に円筒形をなす共振構造体を提供し、少なくともひとつのマイクロ波ジェネレータと少なくともひとつのRFジェネレータとが前記共振構造体に結合されていることを特徴とする工程と、
前記共振構造体の各種モードに結合された電磁場を生成する工程と、
前記共振構造体内で処理媒体を長手方向に通過させる工程と、
を有する、磁場を使用して処理媒体を励磁するための方法。
【請求項45】
前記共振構造体の各種モードに合わせて前記電磁場を同調させる工程をさらに有する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記同調が中空の円筒形ピストンの長手方向の位置を調整することにより実現されることを特徴とする、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
大きな負荷の変化に対する電気機械カプラを用いて前記少なくともひとつのマイクロ波ジェネレータを同調する工程をさらに有する、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
TElmnモードを使用して対応するH磁場で媒体を励磁する工程をさらに有する、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記処理媒体はプラズマであり、直流磁場で前記プラズマを閉じ込めてH磁場が前記プラズマとより良好に相互作用することを可能にする工程をさらに有する、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
導電性材料で形成されて少なくともひとつのコイルを形成する螺旋構造体によって前記共振構造体が巻かれていることを特徴とする、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記螺旋の巻き線部の幅が、共振周波数における波長の四分の一に相当することを特徴とする、請求項44に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−264439(P2010−264439A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−88241(P2010−88241)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(510077945)アールエフ サミン テクノロジーズ,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】