説明

多重露光フォトリソグラフィーのための組成物および方法

【課題】半導体デバイス製造において、高密度リソグラフィーパターンを製造するために、多重露光フォトリソグラフィーに使用する組成物、および多重露光リソグラフィープロセスを用いて電子デバイスを形成する方法を提供する。
【解決手段】マトリックスポリマー、架橋剤、トリ−もしくはより高次の官能性の第一級アミン、および溶媒を含む、多重露光リソグラフィープロセスに使用するのに好適な組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重露光(multiple exposure)フォトリソグラフィープロセスにおける使用に好適な組成物に関する。本発明は多重露光フォトリソグラフィーを用いて電子デバイスを形成する方法にも関する。本組成物および方法は、高密度リソグラフィーパターンおよびフィーチャー(feature)を形成するための、半導体デバイスの製造における特別な用途を見いだす。
【背景技術】
【0002】
半導体製造産業においては、フォトレジスト物質は、半導体基体上に配置された1以上の下地層、例えば、金属、半導体および誘電層に、並びに、基体自体に像を転写するために使用される。半導体デバイスの集積密度を増大させ、ナノメートル(nm)範囲の寸法を有する構造体の形成を可能にするために、高解像能を有するフォトレジストおよびフォトリソグラフィー加工ツールが開発されてきており、かつ継続して開発されている。
【0003】
半導体デバイスにおいてnmスケールのフィーチャーサイズを達成するための1つのアプローチは、レジスト露光中に、短い波長、例えば、193nm以下の光を使用することである。液浸リソグラフィーは、像形成装置、例えば、KrFまたはArF光源を有するスキャナーのレンズの開口数(NA)を効率的に増大させる。これは、像形成装置の表面と、半導体ウェハの上面との間に相対的に高い屈折率の流体(すなわち、液浸流体)を使用することにより達成される。液浸流体は、空気または不活性ガス媒体を用いて起こるのよりも、より多量の光がレジスト層に焦点を結ぶのを可能にする。液浸流体として水を使用する場合には、最大開口数は、例えば、1.2から1.35に増大させられうる。開口数のこのような増大に関して、単一の露光プロセスにおいて40nmハーフピッチ解像度を達成することができ、これにより改良されたデザイン収縮を可能にする。しかし、この標準的な液浸リソグラフィープロセスは、一般的には、より大きな解像度、例えば、32nmおよび22nmのハーフピッチノードを必要とするデバイスの製造に適していない。
【0004】
より大きな解像度を達成し、かつ既存の製造ツールの能力を向上させるための努力において、様々な二重パターニング(ピッチスプリッティングとも称される)技術が提案されてきた。このような技術の例としては、二重エッチ二重パターニング(DEDP)および二重露光単一エッチ二重パターニング(SEDP)プロセスが挙げられる。二重エッチ二重パターニングプロセスにおいては、第1のフォトレジスト層が基体上にコーティングされ、露光され、現像されて第1のレジストパターンを形成する。このレジストパターンは、エッチングによって下地ハードマスク層に移され、このレジストが除去される。第2のフォトレジスト層がこのハードマスク層上にコーティングされ、露光され、現像されて、ハードマスク層の隣り合う線間に位置する線を含む第2のレジストパターンを形成する。パターン形成されたハードマスク層と第2のレジストパターンとを含む、この二重パターンは、次いで、エッチングによって、1以上の下地層に移される。中間のエッチングおよびレジスト除去プロセスを行うために、ウェハがフォトリソグラフィー加工ノジュールから出て戻る様に動かされるという点で、DEDPプロセスは不利である。このようなウェハの移動、並びにエッチングおよびレジスト除去プロセス自体は汚染源となる場合があり、よって、欠陥を増大させる。さらに、DEDPプロセスは比較的多数のプロセス工程を必要とし、これは結果的に、望まれるのよりも低い生産スループットをもたらしうる。
【0005】
単一エッチ二重パターニング技術は、パターン形成されるべき下地層にレジストパターンを転写するために、2つのフォトレジスト層および単一のエッチング工程を使用することにより、DEDPプロセスに関連する上記課題に取り組む。SEDPプロセスは、後に続く第2のリソグラフィープロセスのために、第1のリソグラフィーパターンを硬化しもしくは安定化するための追加のプロセスを必要とする。この安定化プロセスは、典型的には、第1のレジストパターンの全体または表面において、分子間および分子内架橋反応を引き起こす。パターン安定化がレジストパターン全体で起こるか表面で起こるかにかかわらず、硬化プロセスは、硬化中のパターン変形、第1のレジスト層と第2のレジスト層との間の相互混合、および第2のレジスト層の現像中の第1のレジストパターンの現像を回避するか最小限にするべきである。単一エッチ二重パターニングプロセスの第1の例は、第1のレジストパターンについて熱硬化を使用する。第1のフォトレジスト層を露光、現像した後、得られるパターンは高温ベーク、典型的には、170℃より高い温度で硬化される。エッチングされるべき層および硬化した第1のレジストパターン上を第2のフォトレジスト層で覆い、第2のフォトレジスト層が露光され、現像されて、硬化した第1のレジストパターンの隣り合う線間に線を形成する。第1および第2のレジストパターンは、次いで、エッチングによって、下地層に転写される。第1のレジストパターン硬化に伴う高温のために、パターンの変形が起こりうる。このようなパターン変形の場合には、第1のレジストパターンの意図されるフィーチャーは下地層に正確に転写されることができない。
【0006】
単一エッチ二重パターニングプロセスの第2の例においては、第1のレジストパターンは、第1のレジストパターン上に配置されるレジスト硬化性上塗り層の使用によって、化学的に硬化される。フォトレジスト組成物および上塗り層の成分が熱で反応して、第1のフォトレジストパターンに硬化した表面領域を形成する。上塗り化学硬化システムを伴う二重パターニング技術は、例えば、Brzozowyらへの米国特許出願公開第2008/0199814A1号に開示されている。この文献は、レジストポリマー中のアンカー基と反応する少なくとも2つの官能基を含有する定着剤(fixer)化合物と、溶媒とを含む定着剤溶液の使用を開示する。この文献に記載されるレジストには、ケイ素含有ポリマーが挙げられる。しかし、サブ400nm、サブ300nmまたはサブ200nmの露光波長で一般的に使用されるフォトレジストをはじめとする様々なフォトレジストと適合性のレジスト硬化性組成物を有することが望ましく、これはケイ素ベースである必要はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0199814A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
多重露光リソグラフィープロセスにおける使用に好適な組成物について、当該技術分野において継続した必要性がある。さらに、多重露光リソグラフィープロセスにおいてこのような組成物を使用して、電子デバイスを形成する方法についての必要性、およびこのようなプロセスで形成された電子デバイスの必要性もある。この組成物および方法は、最先端技術に関連する1以上の課題に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の形態に従って、多重露光リソグラフィープロセスにおいて使用するのに好適な組成物が提供される。この組成物はマトリックスポリマー;架橋剤;トリ−もしくはより高次の官能性の第一級アミン;および溶媒を含む。本発明のさらなる形態に従って、この組成物は多官能性芳香族メタノール誘導体を含むことができる。
本発明のさらなる形態に従って、多重露光リソグラフィープロセスを用いて電子デバイスを形成する方法が提供される。この方法は、(a)パターン形成される1以上の層を含む半導体基体を提供し;(b)パターン形成される1以上の層上に第1の感光性組成物の層を適用し;(c)第1のフォトマスクを通った活性化放射線に第1の感光性組成物の層を露光し;(d)露光された第1の感光性組成物の層を第1の露光後ベークにおいて熱処理し;(e)露光され、熱処理された第1の感光性組成物の層を現像して第1のレジストパターンを形成し;(f)パターン形成される1以上の層および第1のレジストパターンの上にレジスト硬化性組成物の層を適用し、当該レジスト硬化性組成物は、マトリックスポリマー、架橋剤、トリ−またはより高次の官能性の第一級アミン、および溶媒を含む;(g)レジスト硬化性組成物でコーティングされた基体を熱処理し、それにより、第1のレジストパターンの少なくとも一部分を硬化させ;(h)過剰なレジスト硬化性組成物を基体から除去し;(i)パターン形成される1以上の層および第1のレジストパターンの上に第2の感光性組成物の層を適用し;(j)第2のフォトマスクを通った活性化放射線に第2の感光性組成物の層を露光し;(k)露光された第2の感光性組成物の層を第2の露光後ベークにおいて熱処理し;(l)露光され、熱処理された第2の感光性組成物の層を現像して第2のレジストパターンを形成し;並びに(m)第1および第2のレジストパターンをエッチングマスクとして同時に使用して、パターン形成される1以上の層をエッチングする;ことを含む。
さらなる形態において、基体上にあるエッチングされる1以上の層、エッチングされるべき層上のフォトレジストパターン、およびここで記載されるレジスト硬化性組成物から形成され、フォトレジストパターン上に位置するレジスト硬化性組成物層を有する電子デバイス基体が提供される。
さらなる形態において、ここで記載される方法に従って形成される電子デバイスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1A−Kは、本発明の典型的な形態に従った、電子デバイスを形成するための、単一エッチ二重露光フォトリソグラフィープロセスフローを示す。
【図2】図2A−Dは、半導体ウェハ上の二重パターン交差線構造を形成するためのフォトマスクおよび露光技術を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
レジスト硬化性組成物
本発明の第1の形態はフォトリソグラフィープロセスにおいて一般的に有用であり、かつ多重露光リソグラフィーに格別な適用可能性がある組成物を提供する。この組成物は、単一露光および多重露光リソグラフィープロセス、例えば、単一エッチで二重、三重もしくはより多重のパターニングプロセスにおける下地フォトレジストパターンを化学的に硬化させるための上塗り物質として使用されうる。この組成物はマトリックスポリマー、架橋剤、トリ−もしくはより高次の官能性の第一級アミン、および溶媒を含む。この組成物は、さらに、多官能性芳香族メタノール誘導体もしくは界面活性剤のような1種以上の任意成分を含むことができる。本発明の組成物において、示された成分のそれぞれについて、1種以上が存在しうる。
【0012】
マトリックスポリマーは、レジストパターン上のレジスト硬化性組成物の均一な塗膜の形成を助ける。この成分は溶媒に可溶性であるべきであり、典型的には、レジスト硬化性組成物の他の成分に対して不活性である。さらに、マトリックスポリマーは、脱イオン(DI)水および/または水性塩基現像剤、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド溶液(TMAH)、例えば、2.38重量パーセント(重量%)のTMAH溶液のような除去剤物質中で充分に高い溶解速度を提供すべきである。マトリックスポリマーは典型的にはアルコール可溶性および水性塩基可溶性である。
【0013】
マトリックスポリマーは1種以上の繰り返し単位を含むことができ、1種類の繰り返し単位が典型的である。場合によっては、複数、例えば、2種、3種またはそれより多い種類の異なるマトリックスポリマーが使用されてもよい。典型的に好適なマトリックスポリマーには、ポリビニルピロリドン、ポリ(ヒドロキシスチレン)、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。マトリックスポリマー成分は、典型的には、形成されるレジスト硬化性上塗り層の過半部分を形成するように、個別に、全ての固体成分のうちの最も大きな割合で、レジスト硬化性組成物中に存在する。本明細書において使用される場合、組成物に言及する場合の用語「固形分」および「固体成分」は、組成物の溶媒成分以外の全成分を意味する。
マトリックスポリマーは典型的には、組成物の全固形分を基準にして、70〜90重量%、例えば、75〜85重量%の量で組成物中に存在する。
【0014】
本発明のレジスト硬化性組成物は、1種以上の架橋剤をさらに含む。この成分は、高温において、前記第一級アミン、任意成分である多官能性芳香族メタノール誘導体、下地レジストポリマー、例えば、ポジ型物質の場合には、ポリマー鎖の脱保護部分、の1以上の、その内部でおよび/またはそれらどうしの間で、架橋反応を促進すると考えられている。好適な架橋剤には、例えば、次の一般式(G−I)を有するものが挙げられる:
【0015】
【化1】

式中、RおよびRは独立して、水素、および場合によって置換されたアルキル、例えば、C1−C6アルキル、アルケニル、アルコキシ、並びにアリールから選択され;Rは場合によって置換されたアルキル、例えば、C1−C6アルキル、典型的にはメチルから選択される。
【0016】
式(G−I)の好適な架橋剤には、例えば、次の構造を有するものが挙げられる:
【化2】

【化3】

【0017】
他の好適な架橋剤には、例えば、次の一般式(G−II)のものが挙げられる:
【化4】

【0018】
式中、R、R、RおよびRは独立して、水素、場合によって置換されたアルキル、例えば、C1−C6アルキル、アルケニル、アルコキシおよびアリールから選択され;Rは場合によって置換されたアルキル、例えば、C1−C6アルキル、典型的にはメチルから選択される。
【0019】
式(G−II)の好適な架橋剤には、例えば、次の構造を有するものが挙げられる:
【化5】

【0020】
他の好適な架橋剤には、例えば、次の一般式(G−III)のものが挙げられる:
【化6】

式中、Rは場合によって置換されたアルキル、例えば、C1−C6アルキル、典型的にはメチルから選択される。
【0021】
架橋剤は、典型的には、組成物の全固形分を基準にして、5〜20重量%、例えば、5〜15重量%の量で組成物中に存在する。
【0022】
組成物は、トリ−もしくはより高次の官能性の第一級アミンの1種以上、すなわち、3つ以上の第一級アミン基を有するアミンの1種以上をさらに含む。第一級アミン基に加えて、第二級および/または第三級アミン基が存在していてもよい。この成分は、フォトレジストパターンの表面における組成物の成分間の酸触媒される反応のクエンチャー(quencher)として機能すると考えられる。第一級アミンは、任意成分である多官能性芳香族メタノールとも反応することができ、結果的に、レジストの表面の架橋層の形成においてさらなる架橋を生じさせることができる。第一級アミンは、ポリアミン、例えば、ジアミン、トリアミンまたはテトラアミンであってよい。好適な第一級アミンには、次式(N−I)の化合物が挙げられる:
【0023】
【化7】

式中、Rは場合によって置換されたアルキル、例えば、場合によって置換されたC1−C6アルキル、例えば、メチル、エチルもしくはプロピルから選択され、エチルが典型的である。
【0024】
他の好適な第一級アミンには、次式(N−II)で表されるポリ(アリルアミン)が挙げられる:
【化8】

式中、Rは水素、および場合によって置換されたアルキル、例えば、C1−C3アルキルから選択され;Rは場合によって置換されたアルキレン、例えば、C1−C6アルキレン、典型的にはメチレンもしくはエチレンから選択され;nは3以上の整数である。式(N−II)の典型的な第一級アミンにおいては、Rは水素であり、Rはメチレンである。
【0025】
第一級アミンは、典型的には、組成物の全固形分を基準にして、1〜5重量%、例えば、2〜3重量%の量で、組成物中に存在する。
【0026】
レジスト硬化性組成物は、組成物を配合し、キャスティングすることを助けるために、1種以上の溶媒をさらに含む。好適な溶媒物質には、下地フォトレジストパターンを最小限にしか溶解しないか、またはより好ましくは溶解せずに、組成物の成分を溶解するかまたは分散させる溶媒が挙げられる。よって、レジスト硬化性組成物を形成するのに有用な溶媒は、レジスト硬化性組成物が適用されるレジストパターンにおけるポリマーに対する良好な溶媒ではない。好適な溶媒には、極性物質および非極性物質の双方が挙げられる。好適な極性溶媒には、例えば、アルコール、例えば、C3−C8n−アルコール、例えば、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンタノール、2,3−ジメチル−1−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、イソへキサノールおよびイソヘプタノール、これらの異性体、並びにこれらの混合物;アルキレングリコール、例えば、プロピレングリコール;アルキルエーテル、例えば、イソペンチルエーテルおよびヒドロキシアルキルエーテル、例えば、式(E−I)のもの:
−O−R−O−R−OH (E−I)
[式中、Rは場合によって置換されたアルキル基、例えば、C1−C4アルキル基;RおよびRは、場合によって置換されたアルキル基、例えば、C2−C4アルキル基から独立して選択される];並びに、このようなヒドロキシアルキルエーテルの混合物、例えば、異性体混合物、例えば、ジアルキルグリコールモノアルキルエーテル、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテル;並びに、これらの組み合わせ、例えば、アルコールおよびアルキルエーテルが挙げられる。アルコールおよび/またはアルキルエーテルの使用が典型的である。
【0027】
好適な非極性溶媒には、例えば、脂肪族炭化水素、例えば、アルカン、例えば、オクタン、イソオクタン、デカンおよびドデカン;芳香族炭化水素、例えば、メシチレンおよびキシレン、これらの異性体;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
溶媒系における1種以上の溶媒は、それぞれ実質的に純粋な形態で存在することができ、このことは、溶媒分子の異性体がその溶媒中に、5重量%未満の量で、例えば、2重量%未満の量で、または1重量%未満の量で存在することを意味する。場合によっては、溶媒は、溶媒分子の異性体の混合物を含むことができ、この異性体は5重量%を超える量で、例えば、10重量%を超える量で、20重量%を超える量で、40重量%を超える量で、60重量%を超える量で、80重量%を超える量で、または90重量%を超える量で存在する。
【0029】
溶媒は、典型的には、全組成物を基準にして、90〜98重量%、例えば、95〜97重量%、および典型的には約96重量%の量で組成物中に存在する。
【0030】
レジスト硬化性組成物は1種以上の任意成分を含むこともできる。例えば、レジスト硬化性組成物は、場合によっては、1種以上の多官能性芳香族メタノール誘導体をさらに含むことができる。この成分は架橋剤と架橋すると考えられる。好適な多官能性芳香族メタノール誘導体には、例えば、次の一般式(M−I)のベンゼンメタノール誘導体が挙げられる:
【0031】
【化9】

式中、RおよびRは独立して、水素、ヒドロキシおよび場合によって置換されたアルキル、アルケニル、アルコキシおよびアリールから選択され;nは1以上の整数である。
【0032】
式(M−I)の好適な多官能性芳香族メタノール誘導体には、例えば、次の構造を有するものが挙げられる:
【化10】

【0033】
多官能性芳香族メタノール誘導体は、使用される場合には、典型的には、組成物の全固形分を基準にして12重量%以下、例えば、1〜10重量%、例えば、3〜5重量%の量で、組成物中に存在する。
【0034】
レジスト硬化性組成物は、場合によっては、1種以上の界面活性剤のような1種以上の添加剤をさらに含むことができる。レジスト硬化性組成物における界面活性剤の使用は、パターン形成されたウェハのようなパターン形成された基体上に、組成物の実質的に均一な塗膜層を形成するのを促進することができる。様々な界面活性剤が使用されうる。典型的な界面活性剤は両親媒性を示し、このことは、その界面活性剤が同時に親水性および疎水性の双方であり得ることを意味する。両親媒性界面活性剤は、水に強い親和性を有する単一または複数の親水性頭部基と、親有機物性で水をはじく長い疎水性尾部とを有する。好適な界面活性剤はイオン性(すなわち、アニオン性、カチオン性)もしくは非イオン性であることができる。界面活性剤のさらなる例には、シリコーン界面活性剤、ポリ(アルキレンオキシド)界面活性剤、およびフッ素化合物界面活性剤、例えば、ポリフォックス(POLYFOX登録商標)PF−636、およびPF−656(オムノバソリューションズインク(Omnova Solutions Inc.))が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤には、これらに限定されないが、オクチルおよびノニルフェノールエトキシラート、例えば、トライトン(TRITON登録商標)X−114、X−102、X−45、X−15、並びにエルコールエトキシラート、例えば、ブリジ(BRIJ登録商標)56 (C1633(OCHCH10OH)(アイシーアイ(ICI))、ブリジ(BRIJ)58(C1633(OCHCH20OH)(アイシーアイ)が挙げられる。さらに他の典型的な界面活性剤には、アルコール(第一級および第二級)エトキシラート、アミンエトキシラート、グルコシド、グルカミン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−コ−プロピレングリコール)、またはニュージャージー州グレンロックのManufacturers Confectioners Publishing Co.(マニュファクチャーズコンフェクショナーズパブリッシングカンパニー)によって出版された、2000年北米版、McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents(マッカチオンの乳化剤および洗剤)に開示される他の界面活性剤が挙げられる。アセチレン系ジオール誘導体である非イオン性界面活性剤も好適であり得る。
【0035】
1種以上の界面活性剤は、比較的少量、例えば、組成物の全固形分を基準にして、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満で好適に存在しうる。
【0036】
レジスト硬化性組成物は成分を任意の順番で混合することによる好適に製造されうる。例えば、組成物の非溶媒成分、すなわち、マトリックスポリマー、架橋剤、トリ−もしくはより高次の官能性の第一級アミン、並びに任意成分、例えば、多官能性芳香族メタノール誘導体および界面活性剤が溶媒に混合されうる。場合によって、1種以上の非溶媒成分が、残りの成分と一緒にされる前に、溶媒と混合されうる。
【0037】
フォトレジスト物質
有利なことに、本発明のレジスト硬化性上塗り層組成物は、多重露光リソグラフィーにおいて、様々な感光性物質と共に使用されうる。本明細書において使用される場合、用語「感光性物質」および「フォトレジスト」は交換可能に使用される。好適なフォトレジスト物質は当該技術分野において知られており、例えば、アクリラート、ノボラック、およびシリコン化学物質に基づくものが挙げられる。好適なレジストは、例えば、米国特許出願公開第20090117489A1号、第20080193872A1号、第20060246373A1号、および米国特許第7,332,616号に記載されている。
【0038】
本発明の多重露光リソグラフィープロセスにおいて使用される感光性物質には、(i)レジスト硬化性組成物によって安定化されるフォトレジストパターンを形成するのに使用されるものが挙げられ、および典型的には、(ii)従来の熱処理で硬化されるレジストパターンを形成するのに使用されるものが挙げられうる。例えば、典型的な二重露光二重パターニングプロセスの場合には、最初に形成されるレジストパターンは、レジスト硬化性組成物の使用(典型的には、低温熱処理を伴う)により化学的に硬化されることができ、一方で、二番目に形成されるレジストパターンは従来の熱処理単独で硬化されうる。
【0039】
タイプ(i)および(ii)のレジストパターンの双方を形成するのに有用な典型的なフォトレジスト物質には、組成物の1種以上の成分の酸不安定基の光酸促進脱保護反応を受けて、レジストのコーティング層の露光領域を、水性現像剤中で未露光領域よりも可溶性にする、ポジ型化学増幅フォトレジストが挙げられる。
【0040】
フォトレジスト樹脂の典型的な光酸不安定基には、エステルのカルボキシル酸素に共有結合した、第三級非環式アルキル炭素(例えば、t−ブチル)または第三級脂環式炭素(例えば、メチルアダマンチル)を含むエステル基が挙げられる。アセタール光酸不安定基も典型的である。フォトレジストは典型的には樹脂成分および光活性成分を含む。典型的には、樹脂は、レジスト組成物に水性アルカリ現像可能性を付与する官能基を有する。例えば、典型的なのは、ヒドロキシルまたはカルボキシラートのような極性官能基を含む樹脂バインダーである。典型的には、樹脂成分は、レジストを水性アルカリ溶液で現像可能にするのに充分な量で、レジスト組成物中で使用される。
【0041】
サブ200nmの波長、例えば、193nmで像形成するために、典型的なフォトレジストは、フェニルもしくは他の芳香族基を実質的に、本質的にもしくは完全に含まない1種以上のポリマーを含む。例えば、サブ200nmでの像形成のためには、典型的なフォトレジストポリマーは、約5モルパーセント(モル%)未満しか芳香族基を含まず、約1もしくは2モル%未満しか芳香族基を含まず、または芳香族基を含まない。芳香族基はサブ200nmの放射線を非常に吸収することができ、よって、一般的に、そのような短い波長の放射線で像形成されるフォトレジストにおいて使用されるポリマーには望ましくない。
【0042】
芳香族基を実質的にもしくは完全に含まず、かつ光酸発生剤(PAG)と配合されてサブ200nmでの像形成のためのフォトレジストを提供しうる好適なポリマーは欧州特許出願公開第EP930542A1号、並びに米国特許第6,692,888号および第6,680,159号に開示されている。実質的にもしくは完全に芳香族基を含まない好適なポリマーは、好適には、メチルアダマンチルアクリラート、メチルアダマンチルメタクリラート、エチルフェンキルアクリラート、エチルフェンキルメタクリラートなどの重合により提供されうる光酸不安定アクリラート単位のようなアクリラート単位;ノルボルネン化合物または環内炭素炭素二重結合を有する他の脂環式化合物の重合により提供されうるような縮合非芳香族脂環式基;無水マレイン酸および/または無水イタコン酸の重合により提供されうるような酸無水物;などを含む。
【0043】
本発明において有用なレジストの樹脂成分は典型的には、露光されたレジストコーティング層を、例えば、水性アルカリ溶液で現像可能にするのに充分な量で使用される。より具体的には、樹脂バインダーは、好適には、レジストの全固形分の50〜約90重量%を構成することができる。
【0044】
本発明において有用なレジスト組成物は、活性化放射線への露光の際にレジストのコーティング層に潜像を生じさせるのに充分な量で使用される光活性成分も含む。例えば、光活性成分は、好適には、レジストの全固形分の約1〜40重量%の量で存在しうる。典型的には、より少ない量の光活性成分が、化学増幅型レジストには好適であり得る。
【0045】
レジスト組成物中の典型的な光活性成分は光酸発生剤である。好適なPAGは、化学増幅型フォトレジストの分野において知られており、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムp−トルエンスルホナート、トリナフチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(2−ノルボルニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、および1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホナート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート、および2,4−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、および1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、およびビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、およびビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム;N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、およびN−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル;並びに、ハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、および2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。このようなPAGの1種以上が使用されうる。
【0046】
レジストの典型的な任意の添加剤は、追加塩基、特に、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)、またはテトラブチルアンモニウムラクタートであり、これらは現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上させうる。193nmで像形成されるレジストについては、典型的な追加塩基はヒンダードアミンであり、例えば、ジアザビシクロウンデセンまたはジアザビシクロノネンである。追加塩基は、比較的少量で、例えば、全固形分に対して約0.03〜5重量%で好適に使用される。
【0047】
本発明に従って使用されるフォトレジストは他の任意物質も含みうる。例えば、他の任意の添加剤には、抗ストリエーション剤(anti−striation agent)、可塑剤および速度向上剤が挙げられる。比較的高濃度で、例えば、レジストの乾燥成分の合計重量を基準にして約5〜30重量%の量で存在しうる充填剤および染料を除いて、このような任意の添加剤は、典型的には、フォトレジスト組成物中に低濃度で存在する。
【0048】
ネガ型フォトレジストについても、本発明における用途、例えば、タイプ(ii)のレジストパターンを形成する用途が見いだされる。好適なネガ型レジストは、典型的には架橋性成分を含みうる。架橋性成分は典型的には、隔離されたレジスト成分として存在する。アミンベースの架橋剤、例えば、メラミン、例えば、Cymel(サイメル)メラミン樹脂が典型的である。本発明において有用なネガ型フォトレジスト組成物は、酸に曝露すると硬化、架橋または固化する物質と、本発明の光活性成分との混合物を含む。特に有用なネガ型組成物はフェノール系樹脂のような樹脂バインダー、架橋剤成分および光活性成分を含む。このような組成物およびその使用は、欧州特許公開第EP0164248B1号および第EP0232972B1号、並びに米国特許第5,128,232号に開示されている。樹脂バインダー成分として使用するのに典型的なフェノール系樹脂には、上述のようなノボラック、およびポリ(ビニルフェノール)類が挙げられる。典型的な架橋剤には、アミンベースの物質、例えば、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミンベースの物質、並びに尿素ベースの物質が挙げられる。メラミン−ホルムアルデヒド樹脂は概して最も典型的である。このような架橋剤は市販されており、例えば、メラミン樹脂はサイメル(Cymel)300、301および303の商品名でサイテックインダストリーズ(Cytec Industries)によって販売されており;グリコールウリル樹脂はサイメル1170、1171、1172の商品名でサイテックインダストリーズによって販売されており;尿素ベースの樹脂はビートル(Beetle)60、65および80の商品名でテクノールアペックスカンパニー(Teknor Apex Company)によって販売されており;ベンゾグアナミン樹脂はサイメル1123および1125の商品名でサイテックインダストリーズによって販売されている。サブ200nmの波長、例えば、193nmでの像形成のために、典型的なネガ型フォトレジストは国際公開第WO03077029号に開示されている。
【0049】
本発明において有用なフォトレジストは概して、既知の手順に従って製造される。例えば、樹脂は、フォトレジストの成分を好適な溶媒、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグライム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;乳酸エステル、例えば、乳酸エチル、または乳酸メチル;プロピオン酸エステル、特に、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、およびエチルエトキシプロピオナート;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセタート;芳香族炭化水素、例えば、トルエンもしくはキシレン;またはケトン、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノン中に溶解することによりコーティング組成物として調製されうる。フォトレジストの典型的な固形分量は、フォトレジスト組成物の全重量を基準にして5〜35重量%で変動する。このような溶媒のブレンドも好適である。
【0050】
本発明の方法およびシステムは、様々な像形成波長、例えば、サブ400nm、サブ300nm、またはサブ200nmの露光波長の波長を有する放射線を用いて使用されることができ、EUVおよび157nmだけでなく、I線(365nm)、248nmおよび193nmが典型的な露光波長である。典型的な形態においては、フォトレジストはサブ200nmの波長、例えば、193nmで像形成される使用に好適である。このような波長においては、乾燥処理が使用されうるが、液浸リソグラフィーの使用が典型的である。液浸リソグラフィーにおいては、約1〜約2の屈折率を有する流体(すなわち、液浸流体)が露光ツールとフォトレジスト層との間に露光中に維持される。トップコート層は典型的には、フォトレジスト層上に配置され、液浸流体とフォトレジスト層とが直接接触するのを妨げ、フォトレジストの成分が液浸流体中に浸出するのを回避する。
【0051】
多重露光リソグラフィー
上述のように、本発明のさらなる形態は多重露光リソグラフィープロセスを使用して電子デバイスを形成する方法に関する。本発明のこの形態は図1A〜Kを参照して説明され、図1A〜Kは、本発明の典型的な形態に従った、典型的な単一エッチ二重露光プロセスフローを示す。
【0052】
図1Aは、基体表面上に形成された様々な層およびフィーチャーを含むことができる基体100を示す。基体は、半導体、例えば、ケイ素もしくは半導体化合物(例えば、III−VもしくはII−VI)、ガラス、石英、セラミック、銅などのような物質であることができる。典型的には、基体は半導体ウェハ、例えば、単結晶シリコンまたは化合物半導体ウェハである。パターン形成される1以上の層102が基体100上に提供される。この層は、例えば、1以上の導電層、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、合金、このような金属の窒化物またはケイ化物、ドープト非晶質シリコン、もしくはドープトポリシリコンの層、1以上の誘電層、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素または金属酸化物の層、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。エッチングされる層が様々な技術、例えば、化学蒸着(CVD)、例えば、プラズマCVDもしくは低圧CVD;物理蒸着(PVD)、例えば、スパッタリングもしくは蒸発;または電気めっきによって形成されることができる。エッチングされる1以上の層102の具体的な厚みは、物質および形成される具体的なデバイスに応じて変化しうる。
【0053】
エッチングされる具体的な層およびフィルム厚さに応じて、層102上にハードマスク層103および/またはボトム反射防止塗膜(BARC)104を配置し、その上にフォトレジスト層がコーティングされるのが望ましい場合がある。例えば、非常に薄いレジスト層で、エッチングされる層がかなりのエッチング深さを必要とするか、および/または具体的なエッチング剤が低いレジスト選択性を有する場合には、ハードマスク層の使用が望まれうる。ハードマスク層が使用される場合には、形成されるレジストパターンはハードマスク層に転写されることができ、ハードマスク層は、次に、下地層102をエッチングするためのマスクとして使用されうる。好適なハードマスク物質および形成方法は当該技術分野において知られている。典型的な物質には、例えば、タングステン、チタン、窒化チタン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、無定形炭素、酸化窒化ケイ素および窒化ケイ素が挙げられる。ハードマスク層103は単一層、または異なる物質の複数の層を含むことができる。ハードマスク層は、例えば、化学もしくは物理蒸着技術によって形成されうる。
【0054】
ボトム反射防止塗膜がなければ基体および/または下地層が、フォトレジスト露光中に、形成されるパターンの品質が悪影響を受けるであろう有意な量の入射放射線を反射する場合には、ボトム反射防止塗膜104が望まれうる。このような塗膜は、焦点深度、露光許容範囲、線幅均一性およびCD制御を向上させることができる。レジストが深紫外光(300nm以下)、例えば、KrFエキシマレーザー光(248nm)、ArFエキシマレーザー光(193nm)、電子ビームおよび軟X線に曝露される場合に、反射防止塗膜は典型的に使用される。反射防止塗膜104は単一層または異なる複数の層を含むことができる。好適な反射防止物質および形成方法は当該技術分野において知られている。反射防止物質は市販されており、例えば、ダウケミカルカンパニー(米国、ミシガン州、ミッドランド)によって、AR商標をつけて、例えば、AR商標40AおよびAR商標124反射防止剤として販売されている。
【0055】
上述のような第1の感光性組成物が基体上に、存在する場合には反射防止層104上に適用され、第1の感光層106を形成する。第1の感光性組成物はスピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティングまたは他の従来のコーティング技術によって基体に適用されうる。もちろん、スピンコーティングが典型的である。スピンコーティングのためには、コーティング溶液の固形分量は、使用される具体的なコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度および回転させる時間量に基づいて、所望の膜厚をもたらすように調節されうる。第1の感光層106の典型的な厚みは600〜1500Åである。次に、第1の感光層はソフトベークされることができ、層中の溶媒含有量を最小限にすることができ、それにより、粘着性でない塗膜を形成し、基体への層の接着を向上させることができる。ソフトベークはホットプレート上でまたはオーブン中で行われることができ、ホットプレートが典型的である。ソフトベーク温度および時間は、例えば、感光層の具体的な物質および厚みに応じて変動しうる。典型的なソフトベークは90〜150℃の温度で、30〜90秒の時間で行われる。
【0056】
第1の感光層106は液浸リソグラフィーツール、例えば、193nm液浸スキャナを用いて露光される場合には、トップコート層(示されていない)は感光層106上に配置されうる。このようなトップコート層の使用は液浸流体と下地感光層との間のバリアとして機能しうる。この方法において、おそらく、光学レンズの汚染、並びに液浸流体の実効屈折率および透過特性の変化をもたらす、感光性組成物の成分の液浸流体への浸出は、最小限にされうるかまたは回避されうる。好適なトップコート組成物は当該技術分野において知られており、例えば、米国特許出願公開第2006/0246373A1号、および米国特許出願第12/655,547号(出願日2009年12月31日)に記載されるものが挙げられる。このような組成物は、感光性組成物について上述されたようなあらゆる好適な方法によって感光層上に適用されることができ、スピンコーティングが典型的である。トップコート層の厚みは典型的にはλ/4n(または、その奇数倍)であり、式中λは露光放射線の波長であり、nはトップコート層の屈折率である。トップコート層が存在する場合には、トップコート適用前よりも、トップコート層組成物が適用された後で第1の感光層106がソフトベークされうる。この方法において、双方の層からの溶媒が一回の熱処理工程で除かれうる。
【0057】
第1の感光層106は、次いで、第1のフォトマスク110を通った活性化放射線108に露光されて、露光領域と未露光領域との間の溶解度差を作り出す。ポジ型物質については、示されるように、フォトマスクは、その後の現像工程で除去されるべき感光層の領域に対応する光学的に透明な領域を有する。露光エネルギーは、露光ツールおよび感光性組成物の成分に応じて、典型的には1〜100mJ/cmである。本明細書において、感光性組成物を活性化する放射線で感光性組成物を露光することについての言及は、その放射線が光活性成分の反応を引き起こすなどして、例えば、光酸発生剤化合物から光酸を生じさせることによって、感光性組成物中に潜像を形成することができることを示す。感光性組成物は典型的には、短い露光波長、特に、サブ400nm、サブ300nmまたはサブ200nmの露光波長で光活性化され、EUVおよび157nmだけでなく、I線(365nm)、248nmおよび193nmが典型的な露光波長である。
【0058】
第1の感光層106の露光に続いて、この層の軟化点を超える温度で感光層の露光後ベーク(PEB)が行われうる。PEBは、例えば、ホットプレート上でまたはオーブン中で行われることができる。PEBの条件は、例えば、感光層の具体的な物質および厚みに応じて変化しうる。PEBは、典型的には、80〜150℃の温度で、30〜90秒の時間で行われる。
【0059】
露光された感光層106は次いで現像されて、図1Bに示されるような第1のレジストパターン106’を形成する。現像剤物質は感光層106の具体的な物質に応じて変化しうるが、好適な現像剤および現像技術が当該技術分野において知られている。典型的な現像剤には、例えば、水性塩基現像剤、例えば、第四級アンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる。
【0060】
現像に続いて、第1のレジストパターン106’は、場合によっては、レジストからの溶媒をさらに除去し、第一級アミン成分を架橋させるために、脱水ベークにかけられることができる。脱水ベークはホットプレートまたはオーブンを用いて行われることができ、典型的には、100〜150℃の温度で、30〜90秒の時間で行われる。次いで、上述の組成物から形成されたレジスト硬化性組成物上塗り層112が、図1Cに示されるように、BARC層104および第1のレジストパターン106’の上に適用される。レジスト硬化性組成物はスピンコーティング、ディッピング、ローラーコーティングまたは他の従来のコーティング技術によって基体に適用されることができ、スピンコーティングが典型的である。レジスト硬化性組成物層112は第1のレジストパターン106’を完全に覆うのに充分な厚みで適用される。レジスト硬化性組成物層の典型的な厚みは、下地レジスト層の厚みの1〜2倍、例えば、下地レジスト層の厚みの1.01から1.3倍である。
【0061】
図1Dを参照すると、レジスト硬化性組成物の適用に続いて、基体は、第1のレジストパターン106’の少なくとも表面領域106”を硬化させるのに有効な熱処理にかけられる。上塗りの熱処理は、例えば、ホットプレート上でまたはオーブン中で行われうる。熱処理のための条件は、例えば、具体的なレジスト硬化性組成物および厚みに依存しうるが、典型的な条件は、110〜180℃、例えば、120〜155℃、または125〜140℃の温度、および30〜90秒の加熱時間を含む。
【0062】
図1Eを参照すると、過剰なレジスト硬化性組成物112は、次いで、その物質を溶解するのに有効な物質ですすぐことにより、基体表面から除去される。レジスト硬化性組成物のための好適な除去剤には、例えば、脱イオン水および/または水性塩基現像剤、例えば、第四級アンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、0.26Nテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドが挙げられる。次いで、場合によって、基体は、残留する液体をそこから除去するためにさらなる脱水ベークにかけられうる。この脱水ベークはホットプレートまたはオーブンで行われることができ、典型的には、120〜180℃の温度で、30〜90秒の時間で行われる。
【0063】
上述のような第2の感光性組成物が第1のレジストパターン106’およびBARC層104上にコーティングされ、図1Fに示されるように、第2の感光層114を形成する。他に示される場合を除いて、第2の感光性組成物は第1の感光性組成物と同じかまたは異なっていてよく、第1の感光層に関して上述した物質および条件などの同じ方法で適用され、処理されうる。第2の感光層は、次いで、ソフトベークされうる。第2の感光層114が液浸リソグラフィーツールを用いて露光される場合には、上述のようなトップコート層(示されない)が第2の感光層114上に配置されうる。トップコート層が使用される場合には、第2の感光層114は、このトップコート層組成物の適用前よりも、このトップコート層組成物が適用された後にソフトベークされうる。
【0064】
図1Gを参照すると、第2の感光層114は、第2のフォトマスク116を通った活性化放射線108に露光される。示されるようなポジ型物質の場合には、フォトマスクは、現像後に残る第2の感光層の部分に対応する光学的に不透明な領域を有する。ネガ型物質については、工学的に不透明な領域は、現像して除かれるレジスト層の部分に対応するであろう。露光された第2の感光層114は露光後ベークで熱処理され、現像されて、図1Hに示されるような、第1のレジストパターン106’の線間に位置するレジスト線を残し、第2のレジストパターン114’を形成する。第2の感光層の組成に応じて、この感光性組成物が第1の感光性組成物よりも低い活性化エネルギーを有することが望まれる場合がある。このようにして、露光された第2の感光層は第1の感光層よりも低い温度で露光後ベークされうる。
【0065】
第2の感光層の現像に続いて、第1および第2のレジストパターン106’、114’を同時にエッチングマスクとして用いて、BARC層104は選択的にエッチングされ、下地ハードマスク層103を露出させる。このハードマスク層は、次いで、再び第1および第2のレジストパターン106’、114’を同時にエッチングマスクとして用いて、選択的にエッチングされて、図1Iに示されるように、パターン形成されたBARCおよびハードマスク層104’、103’を生じさせる。BARC層およびハードマスク層をエッチングするのに好適なエッチング技術および化学物質は当該技術分野において知られており、例えば、これらの層の具体的な物質に依存しうる。ドライエッチングプロセス、例えば、反応性イオンエッチングが典型的である。第1および第2のレジストパターン106’、114’、並びにパターン形成されたBARC層104’は、次いで、既知の技術、例えば、酸素プラズマASH処理を用いて基体から除去される。
【0066】
図1Jに示されるように、ハードマスクパターン103’をエッチングマスクとして用いて、1以上の層102が選択的にエッチングされる。下地層102をエッチングするのに好適なエッチング技術および化学物質は当該技術分野において知られており、ドライエッチングプロセス、例えば、反応性イオンエッチングが典型的である。パターン形成されたハードマスク層103’は、次いで、既知の技術、例えば、ドライエッチングプロセス、例えば、反応性イオンエッチングを用いて基体表面から除去されうる。得られる基体は、図1Kに示されるようにエッチングされたフィーチャー102’の高密度パターンである。
【0067】
別の典型的な方法においては、ハードマスク層を使用することなく、第1および第2のフォトレジストパターン106’、114’を直接使用して、層102をパターン形成することが望まれる場合がある。レジストパターンを用いて直接パターン形成することが使用されうるかどうかは、使用される物質、レジスト選択性、レジストパターン厚みおよびパターン寸法のような要因に依存しうる。
【0068】
図1に関して記載された典型的な方法は第2の感光層の熱硬化を使用するが、あるいは、第1および第2の感光層の双方がここで記載されるレジスト硬化性組成物を用いて硬化されるように、ここで記載されるレジスト硬化性組成物が第2の層のために使用されうることは明らかである。
【0069】
さらに、例示されたプロセスは単一エッチ二重露光技術であるが、本発明の組成物および方法は、より多重のパターニングプロセス、例えば、単一エッチ三重露光プロセスに対しても適用可能であることは明らかである。本発明に従った三重またはより多重のパターニングの使用は、二重パターニングで可能なものよりもより高密度のフィーチャーの製造を可能にする。典型的な三重パターニングプロセスの場合には、3つのフォトリソグラフィープロセスが使用され、そのそれぞれは各フォトレジスト層を像形成する。二重パターニングプロセスに関しては、第1および第2のレジストパターンが形成され、それにより、第2のレジストパターンの線は第1のレジストパターンの隣り合うそれぞれの線の間に配置される。次いで、第1および第2のレジストパターンの隣り合うそれぞれの線の間に配置される線を有する第3のレジストパターンが形成される。第3のレジストパターンの形成に続いて、第1、第2および第3のレジストパターンの下にある1以上の層が、一回のエッチングプロセスでエッチングされることができる。三重パターニングプロセスの場合には、上記レジスト硬化性組成物を用いて第1および第2のレジストパターンが硬化されることができ、そして第3のレジストパターンが、従来の方法、すなわち、本発明のレジスト硬化性組成物を使用しないレジストベークで熱的に硬化されうる。あるいは、第3のレジストパターンは、第1および第2のレジストパターンにおけるように、本発明に従ってレジスト硬化性組成物を用いて安定化されうる。
次の非限定的な実施例は本発明の例示である。
【実施例】
【0070】
実施例
実施例1−9:組成物の製造
原料ストック溶液が次のように調製された:
1.ポリビニルピロリドン(PVP)(平均分子量=10,000、シグマ−アルドリッチ)が4−メチル−2−ペンタノール溶媒に溶解されて、25重量%ストック溶液(25重量%PVP/75重量%溶媒)を作成した;
2.CGPS352グリコウリル架橋剤(チバスペシャリティーケミカルズ)を4−メチル−2−ペンタノール溶媒に溶解して、5重量%ストック溶液(5重量%CGPS352/95重量%溶媒)を作成した;
3.TML−BPA−MF(5,5’−(1−メチリデン)ビス[2−ヒドロキシ−1,3−ベンゼンジメタノール])(本州化学工業株式会社、日本国)を4−メチル−2−ペンタノール溶媒に溶解して、2重量%ストック溶液(2重量%TML−BPA−MF/95重量%溶媒)を作成した;
4.トリス(2−アミノエチル)アミン(TAEA)(シグマ−アルドリッチ)を4−メチル−2−ペンタノール溶媒に溶解して、1重量%ストック溶液(1重量%TAEA/91重量%溶媒)を作成した。
【0071】
これらストック溶液を追加の4−メチル−2−ペンタノール溶媒と共に、表1に示される量で一緒に混合した。1500rpm(分あたりの回転数)でコーティングされる場合に、約1000Åの厚みをもたらすように、3.3重量%の固形分を用いて、40gの各配合物を調製した。これらの混合物はローラー上で1時間回転され、次いで、0.2ミクロン孔サイズのテフロン(登録商標)フィルターでろ過された。
【0072】
【表1】

【0073】
実施例10:二重パターン形成
ウェハ調製
300mmのシリコンウェハが次のように処理された。TEL CLEAN TRACK商標LITHIUS商標(テルクリーントラックリシウス)i+コーター/現像装置上で、ウェハはAR商標40A反射防止剤(ダウケミカルカンパニー)をスピンコートされ、第1のボトム反射防止塗膜(BARC)を形成した。第1のBARC被覆ウェハは60秒間、215℃でベークされ、75nmの厚みの第1のBARC膜を生じさせた。第1のBARC上に、AR商標124反射防止剤(ダウケミカルカンパニー)を用いた第2のBARC層がコーティングされた。このウェハは205℃で60秒間ベークされ、23nmのトップBARC層を生じさせた。このウェハは、以下に示される様な、引き続いての、第1のリソグラフィー(L1)像のパターン形成のために使用された。
【0074】
第1のリソグラフィー(L1)
TEL CLEAN TRACK商標LITHIUS商標(テルクリーントラックリシウス)i+コーター/現像装置上で、EPIC商標2096フォトレジスト(ダウケミカルカンパニー)がデュアルBARC被覆ウェハ上にコーティングされ、120℃で60秒間ソフトベークされ、950Åの厚みの第1のレジスト層を生じさせた。第1のレジスト層上にトップコート層が形成され、開口数1.35で双極照明(dipole illumination)(0.89アウターシグマ(outer sigma)/0.76インナーシグマ(inner sigma))のASML TWINSCAN商標XT:(エイエスエムエル ツインスキャン エックスティー)1900i液浸スキャナーを用いて、図2に示されるようなラインアンドスペースパターンを有するバイナリレチクルを通して露光された。レチクル上のクリティカルディメンション(critical dimension)(CD)は45nmの線を90nmのピッチで含んでいた(45nm 1:1ラインアンドスペース)。図2Aに示されるように、パターン形成されるラインアンドスペースがそれぞれのダイの水平方向になるように、このレチクルが配置された。様々なCDが、90nmピッチで異なる露光量でウェハ上にプリントされた。ダイは、ウェハ上のノッチを下方位置にして、固定された焦点深度で、そして、それぞれの列内で露光量が左から右に増加するように露光量を徐々に変化させて像形成された。次いで、ウェハは100℃で60秒間露光後ベーク(PEB)されて、MEGAPOSIT商標(メガポジット)MF−26A現像剤(ダウケミカルカンパニー)を用いて12秒間現像し、L1パターンを生じさせた。
【0075】
L1レジスト像の硬化
L1−パターン形成されたウェハは120℃で60秒間脱水ベークプロセスにかけられた。ウェハは、次いで、実施例1〜10のそれぞれのレジスト硬化性組成物で、裸のシリコンウェハ上に約1000Åの厚みを提供するように1500rpmでスピンコートされた。このウェハは、次いで、130℃で60秒間ベークされ、上記コーター/現像装置上でL1パターンを硬化させた。このウェハは、次いで、MEGAPOSIT(メガポジット)MF−26A現像剤ですすがれ、過剰なレジスト硬化性組成物を除去した。
【0076】
第2のリソグラフィー(L2)
硬化したL1パターン形成されたウェハは、150℃で60秒間脱水ベークにかけられた。このウェハは、次いで、上記コーター/現像装置上で、EPIC商標2098フォトレジスト(ダウケミカルカンパニー)でコーティングされ、120℃で60秒間ソフトベークされ、650Åの厚み(裸のシリコンウェハ上で測定)の膜を生じさせた。トップコート層が第2のレジスト層上に形成された。L1プロセスにおけるのと同じスキャナー、セッティングおよびレチクルを用いて、唯一の違いとして、図2Bおよび2Cに示されるように、ウェハがL1の向きに対して90度回転させられて、トップコート層および第2のレジスト層が露光され、現像されて、第2の(L2)レジストパターンを生じさせた。得られたL2パターンは、ノッチを下方にし、それぞれのダイにおいて垂直方向に位置し、それにより、水平方向に配置されたL1パターンにおけるラインアンドスペースと一緒になって、図2に示されるように、交差グリッドを形成した。
【0077】
実施例11:組成物の調製
23.4gのPVPストック溶液(25重量%、4−メチル−2−ペンタノール中)、0.75gのCGPS352(チバスペシャリティーケミカルズ)、0.75gの1,4−ベンゼンジメタノール(シグマ−アルドリッチ)、15gのTAEAストック溶液(1重量%、4−メチル−2−ペンタノール中)、および110.1gの4−メチル−2−ペンタノールを200mLのガラスボトルに入れた。この混合物をローラー上で5時間回転させ、次いで0.2ミクロン孔サイズのテフロンフィルターでろ過して、5重量%固形分で150gの溶液を作成した。
【0078】
実施例12:組成物の調製
6.24gのPVPストック溶液(25重量%、4−メチル−2−ペンタノール中)、10gのCGPS352ストック溶液(2重量%、4−メチル−2−ペンタノール中)、10gのTML−BPA−MFストック溶液(2重量%、4−メチル−2−ペンタノール中)、4gのTAEAストック溶液(1重量%、4−メチル−2−ペンタノール中)、および9.75gの4−メチル−2−ペンタノールを100mLのガラスボトルに入れた。この混合物をローラー上で5時間回転させ、次いで0.2ミクロン孔サイズのテフロンフィルターでろ過して、5重量%固形分で40gの溶液を作成した。
【0079】
実施例13:組成物の調製
6.44gのPVPポリマーストック溶液(25重量%、4−メチル−2−ペンタノール中)、10gのCGPS352ストック溶液(2重量%、4−メチル−2−ペンタノール中)、7.5075gのTML−BPA−MFストック溶液(2重量%、4−メチル−2−ペンタノール中)、4gのTAEAストック溶液(1重量%、4−メチル−2−ペンタノール中)、および12.0525gの4−メチル−2−ペンタノールを100mLのガラスボトルに入れた。この混合物をローラー上で5時間回転させ、次いで0.2ミクロン孔サイズのテフロンフィルターでろ過して、5重量%固形分で40gの溶液を作成した。
【0080】
実施例14:組成物の調製
37.184gのPVPポリマー、4.48gのCGPS352、2.24gのTML−BPA−MF、および955gの4−メチル−2−ペンタノールを容器に入れた。この混合物をローラー上で7時間回転させ、次いで0.896gのTAEAを容器に入れた。この混合物を0.2ミクロン孔サイズのテフロンフィルターでろ過して、4.48重量%固形分で1000gの溶液を作成した。
【0081】
【表2】

【0082】
実施例15:二重パターン形成
二重パターン形成は、実施例11のレジスト硬化性組成物を用いて、次のことを除いて、実施例10において記載された手順で行われた。L1およびL2フォトレジスト層双方のために、EPIC商標2096フォトレジスト(ダウケミカルカンパニー)を使用した。L1レジストは塗布されて1200Åの厚みを提供し、レジスト硬化性組成物は、裸のシリコンウェハ上で1400Åの厚みを生じさせる回転速度で塗布された。ウェハはMEGAPOSIT(メガポジット)MF−26A現像剤または脱イオン水ですすがれ、過剰なレジスト硬化性組成物を除去した。L2レジストは、裸のシリコンウェハ上で1000Åを生じさせる回転速度で塗布された。
【0083】
実施例16:二重パターン形成
二重パターン形成は実施例11〜14のレジスト硬化性組成物を用いて、EPIC2098(ダウケミカルカンパニー)フォトレジストがL2レジストとして使用されたことを除いて、実施例15において記載された手順に従って行われた。
【0084】
本発明はその具体例を参照して詳細に説明されたが、請求項に特定される範囲から逸脱せずに、様々な変更および修飾がなされることができ、かつ同等物が使用されうることは当業者には明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックスポリマー;
架橋剤;
トリ−もしくはより高次の官能性の第一級アミン;および
溶媒;
を含む、多重露光リソグラフィープロセスに使用するのに好適な組成物。
【請求項2】
多官能性芳香族メタノール誘導体をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
マトリックスポリマーがアルコール可溶性および水性塩基可溶性である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
架橋剤が、以下の式(G−I)、(G−II)、および(G−III)から選択される式で表される化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物:
【化1】

[式中、RおよびRは独立して、水素および場合によって置換されたアルキルから選択され、Rは場合によって置換されたアルキルから選択される];
【化2】

[式中、R、R、RおよびRは独立して、水素、場合によって置換されたアルキル、例えば、C1−C6アルキル、アルケニル、アルコキシおよびアリールから選択され、Rは場合によって置換されたアルキルから選択される];
【化3】

[式中、Rは場合によって置換されたアルキルから選択される]。
【請求項5】
前記第一級アミンがポリアミンまたはポリ(アリルアミン)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
溶媒がアルコールおよび/またはアルキルエーテルを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
(a)パターン形成される1以上の層を含む半導体基体を提供し;
(b)パターン形成される1以上の層上に第1の感光性組成物の層を適用し;
(c)第1のフォトマスクを通った活性化放射線に第1の感光性組成物の層を露光し;
(d)露光された第1の感光性組成物の層を第1の露光後ベークにおいて熱処理し;
(e)露光され、熱処理された第1の感光性組成物の層を現像して第1のレジストパターンを形成し;
(f)パターン形成される1以上の層および第1のレジストパターンの上にレジスト硬化性組成物の層を適用し、当該レジスト硬化性組成物は、マトリックスポリマー、架橋剤、多官能性芳香族メタノール誘導体、トリ−またはより高次の官能性の第一級アミン、および溶媒を含む;
(g)レジスト硬化性組成物でコーティングされた基体を熱処理し、それにより、第1のレジストパターンの少なくとも一部分を硬化させ;
(h)過剰なレジスト硬化性組成物を基体から除去し;
(i)パターン形成される1以上の層および第1のレジストパターンの上に第2の感光性組成物の層を適用し;
(j)第2のフォトマスクを通った活性化放射線に第2の感光性組成物の層を露光し;
(k)露光された第2の感光性組成物の層を第2の露光後ベークにおいて熱処理し;
(l)露光され、熱処理された第2の感光性組成物の層を現像して第2のレジストパターンを形成し;並びに
(m)第1および第2のレジストパターンをエッチングマスクとして同時に使用して、パターン形成される1以上の層をエッチングする;
ことを含む、多重露光リソグラフィープロセスを用いて電子デバイスを形成する方法。
【請求項8】
水性塩基すすぎにおいて、過剰なレジスト硬化性組成物が半導体基体から除去される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(h)および(i)の間に基体をベークすることをさらに含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
第1の露光後ベークが第2の露光後ベークよりも高い温度で行われる、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−39491(P2011−39491A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−115124(P2010−115124)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】