説明

大環状オキシミルC型肝炎セリンプロテアーゼ阻害剤

本発明は、セリンプロテアーゼ活性、特にC型肝炎ウイルス(HCV)NS3−NS4Aプロテアーゼ活性を阻害する式(I)の化合物、または、その薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグに関する。したがって、本発明の化合物はC型肝炎ウイルスの生活環に干渉し、また、抗ウイルス剤として有用である。本発明は、HCV感染を患う対象への投与のための前述の化合物を含む医薬組成物にさらに関する。本発明はまた、本発明の化合物を含む医薬組成物の投与による対象のHCV感染を治療する方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2007年12月14日申請の米国特許仮出願第61/013,865号の利益を主張するものである。上記出願の内容は参照により本明細書に組み込む。
【0002】
(技術分野)
本発明はC型肝炎ウイルス(HCV)に対する活性を有し、HCV感染の治療に有用な大環状体に関する。さらに詳細には、本発明は、大環状のピリダジノン含有化合物、この種の化合物を含有する組成物およびこれらを使用する方法、ならびにこの種の化合物の製造法に関する。
【背景技術】
【0003】
HCVは非A型、非B型肝炎の主な原因であり、先進国および発展途上国の両方において、ますます深刻な公衆衛生上の問題となっている。このウイルスは世界の2億人を超える人々に感染していると推定され、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者数を遙かに凌ぎ、その数は5倍に近い。HCV感染患者は、慢性感染に罹患する個体が高い割合を占めるので、肝硬変、それに続く肝細胞癌および末期肝疾患の発症の高い危険性にさらされる。HCVは肝細胞癌の最も大きな原因であり、西洋諸国においては患者が肝移植を必要とする原因となっている。
【0004】
抗HCV治療法の開発には多数の障害、例えば、ウイルスの持続性、宿主内で複製するときのウイルスの遺伝的な多様性、ウイルスにおける薬物耐性獲得の突然変異の高い発生頻度、ならびにHCVの複製および病因のための再現可能な感染培養系および小動物モデルの欠如が挙げられるが、これらに限定されない。多くの場合において、緩やかな感染経過および肝臓の複雑な生態を考えると、重大な副作用の恐れのある抗ウイルス剤については注意深い考慮が必要とされる。
【0005】
わずかに2種の承認済みのHCV感染治療法のみが現在利用可能である。当初の治療法は一般に3−12カ月の静脈内インターフェロン−α(IFN−α)を用いるが、新規に承認された第2世代の治療法では、IFN−αと、リバビリンのような一般的な抗ウイルスヌクレオシド模倣物との同時治療を行う。これら両治療法は、HCV感染に対して有効性が低いだけでなく、インターフェロン関連の副作用がある。従来の治療法は忍容性が低く、有効性も満足のいくものではないことから、HCV感染治療に有効な抗ウイルス剤の開発が求められている。
【0006】
大部分の個体が慢性感染で症候性がなく予後が不明である患者集団においては、有効な薬物は現在適用可能な療法よりも副作用が有意に少ないものが望ましい。C型肝炎の非構造タンパク質−3(NS3)はウイルスポリプロテインの処理および引き続きのウイルスの複製に必要なタンパク質分解酵素である。HCV感染に伴うウイルス変異体の数が極めて多いにもかかわらず、NS3プロテアーゼの活性部位は高度に保存されているので、それを阻害することは魅力的な様式の介入となる。最近のプロテアーゼ阻害剤によるHIV治療の成功は、NS3の阻害がHCV攻略の重要な標的であるという考え方を支持するものである。
【0007】
HCVはフラビリダエ型のRNAウイルスである。HCVゲノムは外套構造で、約9600塩基対からなる単鎖RNA分子を含有している。これは約3010個のアミノ酸から構成されるポリペプチドをコードする。
【0008】
HCVポリプロテインはウイルスおよび宿主のペプチダーゼによって、様々な機能を有する10個の個別のペプチドに処理される。3種の構造タンパク質、C、E1およびE2が存在する。P7タンパク質は機能が未知で、非常に多様な配列から構成されている。6種の非構造タンパク質が存在する。NS2は、NS3タンパク質の一部と連携して機能する亜鉛依存性のメタロプロテイナーゼである。NS3は、(NS2とは関連なく)2つの触媒機能、N−末端におけるセリンプロテアーゼ機能(これはNS4Aを共同因子として必要とする。)、およびC−末端におけるATP−アーゼ依存性のヘリカーゼ機能を有する。NS4Aは密接に関与するが、セリンプロテアーゼの非共有的共同因子である。
【0009】
NS3.NS4Aプロテアーゼはウイルスポリプロテインを4つの部位に切断する役割を持つ。NS3−NS4A切断は自己触媒的であり、シスで起きる。残りの3つの加水分解、NS4A−NS4B、NS4B−NS5AおよびNS5A−NS5Bはすべてトランスで起きる。NS3はセリンプロテアーゼで、構造的にキモトリプシン様プロテアーゼに分類される。NSセリンプロテアーゼがそれ自身でタンパク分解活性を有しているのに対し、HCVプロテアーゼ酵素はポリプロテインの切断を触媒するという点では有効な酵素ではない。これを増強するために、NS4Aプロテインの中央の疎水性領域が必要とされていることが示されている。NS3プロテインがNS4Aと複合体を形成することは、すべての部位でタンパク分解効率を増強する工程に必要であると思われる。
【0010】
抗ウイルス剤の開発に対する一般的戦略は、ウイルスの複製に必須なNS3を含む、ウイルスのコードされた酵素を不活化することである。NS3プロテアーゼ阻害剤の発見に関する現在の努力は、S.Tan,A.Pause,Y.Shi,N.Sonenberg,Hepatitis C Therapeutics:Current Status and Emerging Strategies,Nature Rev.Drug Discov.,1,867−881(2002)に概説された。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】S.Tan,A.Pause,Y.Shi,N.Sonenberg,Hepatitis C Therapeutics:Current Status and Emerging Strategies,Nature Rev.Drug Discov.,1,867−881(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
(発明の要旨)
本発明はオキシム大環状化合物およびその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ、ならびにこの種の治療を必要とする対象のC型肝炎感染を治療するためにこれを用いる方法に関する。本発明の大環状化合物は、C型肝炎ウイルスの生活環に介入し、抗ウイルス剤としても有用である。さらに本発明は、HCV感染を患う対象への投与のための前述の化合物、塩、エステルもしくはプロドラッグを含む医薬組成物に関する。さらに本発明は、本発明の化合物(またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ)、およびインターフェロン(例えば、アルファ−インターフェロン、ベータ−インターフェロン、コンセンサスインターフェロン、ペグ化インターフェロン、またはアルブミンもしくは他の抱合インターフェロン)などの別の抗HCV剤、リバビリン、アマンタジン、別のHCVプロテアーゼ阻害剤、またはHCVポリメラーゼ、ヘリカーゼもしくは内部リボソーム進入部位阻害剤を含む医薬組成物を特徴とする。本発明は、また本発明の医薬組成物を対象に投与することによって対象のHCV感染を治療する方法に関する。さらに本発明は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグと、薬学的に許容される担体または賦形剤との組合せに関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態において、式Iで表される化合物、または、その薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグが開示される。
【0014】
【化1】

[式中、
Aは、存在しない、または−(C=O)−、−S(O)−、−(C=NOR)−;および−(C=N−R)−からなる群から選択され;
は、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む−C−Cアルキル、−C−Cアルケニルまたは−C−Cアルキニル;O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換−C−Cアルキル、置換−C−Cアルケニルまたは置換−C−Cアルキニル;−C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;−C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニル
からなる群から選択され;
Jは、−C(R)−、−O−および−NR−からなる群から選択され;
、RおよびRは、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む−C−Cアルキル、−C−Cアルケニルまたは−C−Cアルキニル;O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換−C−Cアルキル、置換−C−Cアルケニルまたは置換−C−Cアルキニル;−C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;−C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニル
からなる群から独立して選択され;
Bは、
(i)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含むC−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル;
(ii)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換C−Cアルキル、置換C−Cアルケニルまたは置換C−Cアルキニル;
(iii)C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;
(iv)C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニル
であり;
Yは、存在しない、またはO、S、NR、CO、SOおよびSOから選択され;
およびXは、
(i)Xに対して水素;
(ii)アリール;
(iii)置換アリール;
(iv)ヘテロアリール;
(v)置換ヘテロアリール;
(vi)複素環または置換複素環;
(vii)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含むC−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル;
(viii)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換C−Cアルキル、置換C−Cアルケニルまたは置換C−Cアルキニル;
(ix)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含むC−C12シクロアルキルまたは置換C−C12シクロアルキル;
(x)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含むC−C12シクロアルケニルまたは置換C−C12シクロアルケニル;
(xi)W−R(Wは、(CO)、(CO)O、(CO)NH、(SO)、(SO)または(SO)NHであり;Rは、
(a)水素;
(b)アリール;
(c)置換アリール;
(d)ヘテロアリール;
(e)置換ヘテロアリール;
(f)複素環;
(g)置換複素環;
(h)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含むC−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル;
(i)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換C−Cアルキル、置換C−Cアルケニルまたは置換C−Cアルキニル;
(j)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含むC−C12シクロアルキルまたは置換C−C12シクロアルキル;および
(k)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含むC−C12シクロアルケニルまたは置換C−C12シクロアルケニル
からなる群から独立して選択される。)
からなる群から独立して選択され;
または、XおよびXは、これらが結合している炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換のシクロアルキル、シクロアルケニルおよび複素環;1個以上のアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、または置換シクロアルケニルと縮合した、置換もしくは非置換のシクロアルキル、シクロアルケニルまたは複素環から選択される環状部分を形成し;
Lは、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む−C−Cアルキル、−C−Cアルケニルまたは−C−Cアルキニル;O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換−C−Cアルキル、置換−C−Cアルケニルまたは置換−C−Cアルキニル;−C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;−C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニルからなる群から選択され;
Zは、
(i)水素;
(ii)SR
(iii)OR
(iv)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(v)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(vi)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む−C−Cアルキル、−C−Cアルケニルまたは−C−Cアルキニル;O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換−C−Cアルキル、置換−C−Cアルケニルまたは置換−C−Cアルキニル;−C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;−C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニル
からなる群から選択され;
は、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む−C−Cアルキル、−C−Cアルケニルまたは−C−Cアルキニル;O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換−C−Cアルキル、置換−C−Cアルケニルまたは置換−C−Cアルキニル;−C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;−C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニル
からなる群から選択され;
Gは、−NHS(O)−R;−NH(SO)NR;ORおよびNRからなる群から選択され;
は、
(i)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iii)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む−C−Cアルキル、−C−Cアルケニルまたは−C−Cアルキニル;O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換−C−Cアルキル、置換−C−Cアルケニルまたは置換−C−Cアルキニル;−C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;−C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニル
からなる群から選択され;
およびRは、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む−C−Cアルキル、−C−Cアルケニルまたは−C−Cアルキニル;O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換−C−Cアルキル、置換−C−Cアルケニルまたは置換−C−Cアルキニル;−C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;−C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニル
からなる群から独立して選択され;
m=0、1または2;
n=1、2または3;
k=1、2または3である。]。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な記述)
本発明の第1の実施形態は、上に記載された式Iによって表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ単独、または薬学的に許容される担体もしくは賦形剤との組合せである。
【0016】
本発明の他の実施形態は、
【0017】
【化2】

式II[A、B、J、L、Y、X、X、ZおよびGは、前の実施形態に定義した通りである]によって表される化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグ単独、または薬学的に許容される担体もしくは賦形剤との組合せである。
【0018】
本発明の代表的な化合物は式IIIによる以下の化合物(表1)を含むが、これらに限定されない。
【0019】
【表1】










本発明は、本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグを含む医薬組成物を特徴とする。
【0020】
本発明の化合物は、C型肝炎感染またはHCV感染に伴う兆候を治療または予防するために、単独の活性な製薬の薬剤として投与する、または1種以上の薬剤と組み合わせて用いることができる。本発明の一化合物と組み合わせて以上の化合物と組み合わせて投与される他の薬剤は、HCV感染によって引き起こされる疾患の、直接または間接の機序によってHCVウイルスの複製を抑制する治療を含む。これらには、宿主免疫調節剤(例えばインターフェロン−アルファとペグ化インターフェロン−アルファ、インターフェロン−ベータ、インターフェロン−ガンマ、CpGオリゴヌクレオチドなど)またはイノシン一リン酸脱水素酵素などの宿主細胞機能を阻害する(例えばリバビリンなどの)抗ウイルス性化合物などの薬剤を含む。また、免疫機能を調節するサイトカインが含まれる。またHCVに対するHCV抗原または抗原アジュバントの組合せを含むワクチンが含まれる。内部リボソーム進入部位(IRES)で始まるHCVウイルス複製の翻訳ステップを阻害することにより、ウイルスタンパク合成をブロックするか、またはウイルス粒子の成熟化をブロックし、例えばHCVP7などの膜タンパクのビロポリンファミリーを標的にする薬剤を放出する宿主細胞成分と相互作用する薬剤が含まれる。本発明の化合物と組み合わせて投与される他の薬剤は、ウイルス複製に関与するウイルスゲノムのタンパク質を標的とすることによってHCVの複製を阻害するいかなる薬剤または薬剤の組合せをも含む。これらの薬剤は、WO01 90121(A2)または米国特許第6,348,587B1号明細書またはWO01 60315またはWO01 32153に記載されている、例えばヌクレオシドタイプポリメラーゼ阻害剤などの、HCV RNA依存のRNAポリメラーゼの他の阻害剤またはEP1162196A1またはWO02 04425に記載されている、例えばベンゾイミダゾールポリメラーゼ阻害剤などの非ヌクレオシド阻害剤、または例えば、BILN2061などのペプチド模倣型阻害剤またはHCVヘリカーゼなどの阻害剤などのHCVプロテアーゼの阻害剤を含むが、これらに限定されない。
【0021】
本発明の化合物と組み合わせて投与される他の薬剤は、同時感染した個体の他のウイルスの複製を阻害するいかなる薬剤または薬剤の組合せをも含む。これらの薬剤は、例えばアデホビル、ラミブジンおよびテノホビルなどの、B型肝炎(HBV)感染によって引き起こされる疾患の治療、またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染によって引き起こされる疾患の治療を含むが、これらに限定されない。
【0022】
したがって、本発明の一態様は、宿主免疫調節剤および第2の抗ウイルス剤からなる群から選択される1種以上の薬剤、またはこれらの組合せと、治療上有効な量の本発明の化合物もしくは化合物の組合せ、または薬学的に許容される塩、立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、プロドラッグの塩、もしくはこれらの組合せとを、この種の治療を必要とする患者に同時投与することを含む、RNA含有ウイルスによって引き起こされる感染を治療または予防する方法を対象とする。宿主免疫調節剤の例としては、インターフェロン−アルファ、ペグ化インターフェロン−アルファ、インターフェロン−ベータ、インターフェロン−ガンマ、サイトカイン、ワクチン、および抗原とアジュバントを含むワクチンが挙げられるが、これらに限定されない。前記第2の抗ウイルス剤は、ウイルス複製に関連する宿主細胞機能を阻害することによるか、またはウイルスゲノムのタンパク質を標的にすることによるかのいずれかによってHCVの複製を阻害する。
【0023】
本発明のさらなる態様は、肝臓の肝硬変および炎症を含むHCV感染の症状を治療または緩和する薬剤または薬剤の組合せと、治療上有効な量の本発明の化合物または化合物の組合せ、または薬学的に許容される塩、立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せとを、この種の治療を必要とする患者に同時投与することを含む、RNA含有ウイルスによってもたらされ引き起こされる感染を治療または予防する方法を対象とする。本発明のさらに他の態様は、B型肝炎(HBV)感染によって引き起こされる疾患の患者を治療する、1種以上の薬剤と、治療上有効な量の本発明の化合物もしくは化合物の組合せ、または薬学的に許容される塩、立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せとを、この種の治療を必要とする患者に同時投与することを含む、RNA含有ウイルスによって引き起こされる感染を治療または予防する方法を対象とする。B型肝炎(HBV)感染によって引き起こされる疾患の患者を治療する薬剤は、例えば、L−デオキシチミジン、アデホビル、ラミブジンまたはテノホビルもしくはこれらの任意の組合せであるが、これらに限定されない。RNA含有するウイルスの例はC型肝炎ウイルス(HCV)を含むが、これらに限定されない。
【0024】
本発明の他の態様は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染によって引き起こされる疾患の患者を治療する、1種以上の薬剤と、治療上有効な量の本発明の化合物もしくは化合物の組合せ、または薬学的に許容される塩、立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せとを、この種の治療を必要とする患者に同時投与することを含む、RNA含有ウイルスによってもたらされる感染を治療または予防する方法を提供する。この薬剤はヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染によって引き起こされる疾患の患者を治療する。RNA含有ウイルスの例はC型肝炎ウイルス(HCV)を含むが、これに限定されない。さらに、本発明は、患者中のRNA含有ウイルス、特にC型肝炎ウイルスによって引き起こされる感染の治療のための薬物を調製するために、本発明の化合物もしくは化合物の組合せ、または治療上許容される塩形態、立体異性体もしくは互変異性体、プロドラッグ、プロドラッグの塩もしくはこれらの組合せ、および宿主免疫調節剤および第2の抗ウイルス剤からなる群から選択される1種以上の薬剤もしくはこれらの組合せの使用を提供する。宿主免疫調節剤の例としては、インターフェロン−アルファ、ペグ化インターフェロン−アルファ、インターフェロン−ベータ、インターフェロン−ガンマ、サイトカイン、ワクチン、および抗原とアジュバントを含むワクチンが挙げられるが、これらに限定されない。前記第2の抗ウイルス剤は、ウイルス複製に関連する宿主細胞機能を阻害することによる、またはウイルスゲノムのタンパク質を標的にすることによるのいずれかによってHCVの複製を阻害する。
【0025】
上記または他の治療に用いられる場合、本発明の化合物または化合物の組合せは、本明細書に上記で定義される1種以上の薬剤と共に、純粋な形態で、または、この種の形態が存在する場合には、薬学的に許容される塩形態、プロドラッグ、プロドラッグの塩またはこれらと組み合わせて、使用することができる。代替として、治療薬のこの種の組合せは、治療上有効な量の関心のある化合物もしくは化合物の組合せ、または上に定義される1種以上の薬剤と組み合わせて、これらの薬学的に許容される塩形態、プロドラッグまたはプロドラッグの塩、および薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物として投与することができる。この種の医薬組成物は、前記医薬組成物に前記ウイルスを接触することよって、RNA含有ウイルス、特にC型肝炎ウイルス(HCV)の複製を阻害するために用いることができる。さらに、この種の組成物は、RNA含有ウイルス、特にC型肝炎ウイルス(HCV)によって引き起こされる感染の治療または予防に有用である。
【0026】
したがって、本発明のさらなる態様は、本発明の化合物もしくは化合物の組合せ、または薬学的に許容される塩、立体異性体、もしくは互変異性体、プロドラッグ、プロドラッグの塩またはこれらと組み合わせて、上に定義された1種以上の薬剤および薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物を、この種の治療を必要とする患者に投与することを含む、RNA含有ウイルス、特にC型肝炎ウイルス(HCV)によって引き起こされる感染の治療または予防する方法を対象とする。
【0027】
治療薬は、組合せとして投与されたとき、同時にまたは所定時間内に与えられる別々の組成物として配合することができる、または、治療薬は1単位の剤形として与えることができる。
【0028】
この種の併用療法での使用を企図された抗ウイルス剤は、哺乳動物中のウイルスの形成および/または複製に必要な宿主またはウイルスの機序に干渉する薬剤を含み、これらに限定されず、哺乳動物中のウイルスの形成および/または複製を阻害するのに効果的な薬剤(化合物または生物学的製剤)を含む。この種の薬剤は別の抗HCV剤;HIV阻害剤;HAV阻害剤;およびHBV阻害剤から選択することができる。
【0029】
他の抗HCV剤は、C型肝炎に関連する兆候または疾患の進行を縮小または予防するのに効果的な薬剤を含む。この種の薬剤は、免疫調節剤、HCVNS3プロテアーゼの阻害剤、HCVポリメラーゼの他の阻害剤、HCV生活環中の他の標的の阻害剤、およびリバビリン、アマンタジン、レボビリンおよびビラミジンを含むが、これらに限定されない、他の抗HCV剤を含む。
【0030】
免疫調節剤は、哺乳動物の免疫システムの反応を増強または強化するのに効果的な薬剤(化合物または生物製剤)を含む。免疫調節剤は、VX−497(メリメポジブ、Vertex Pharmaceuticals)、I類インターフェロン、II類インターフェロン、コンセンサスインターフェロン、アシアロ−インターフェロン、ペグ化インターフェロン、およびヒトアルブミンを含むがこれらに限定されない他のタンパク質で抱合されたインターフェロンを含むが、これらに限定されない、抱合インターフェロンなどのイノシン一リン酸脱水素酵素阻害剤を含むが、これらに限定されない。I類インターフェロンは、天然および合成的に生成したI類インターフェロンを含む、受容体タイプIにすべて結合するインターフェロンのグループであるが、II類インターフェロンは受容体タイプIIにすべて結合する。I類インターフェロンの例は、[アルファ]−、[ベータ]−、[デルタ]−、[オメガ]−および[タウ]インターフェロンを含むが、これらに限定されず、II類インターフェロンの例は[ガンマ]−インターフェロンを含むが、これに限定されない。
【0031】
HCVNS3プロテアーゼの阻害剤は、哺乳動物中のHCVNS3プロテアーゼ機能を阻害するのに効果的な薬剤(化合物または生物製剤)を含む。HCVNS3プロテアーゼの阻害剤はWO99/07733、WO99/07734、WO00/09558、WO00/09543、WO00/59929、WO03/064416、WO03/064455、WO03/064456、WO2004/030670、WO2004/037855、WO2004/039833、WO2004/101602、WO2004/101605、WO2004/103996、WO2005/028501、WO2005/070955、WO2006/000085、WO2006/007700およびWO2006/007708(すべてBoehringer Ingelheimによる。)、WO02/060926、WO03/053349、WO03/099274、WO03/099316、WO2004/032827、WO2004/043339、WO2004/094452、WO2005/046712、WO2005/051410、WO2005/054430(すべてBMSによる。)、WO2004/072243、WO2004/093798、WO2004/113365、WO2005/010029(すべてEnantaによる。)、WO2005/037214(Intermune)およびWO2005/051980(Schering)に記載されている化合物、およびVX−950、ITMN−191およびSCH503034として識別された候補を含むがこれらに限定されない。
【0032】
HCVポリメラーゼの阻害剤は、HCVポリメラーゼの機能を阻害するのに効果的な薬剤(化合物または生物製剤)を含む。この種の阻害剤は、HCVNS5Bポリメラーゼの非ヌクレオシドおよびヌクレオシド阻害剤を含むが、これに限定されない。HCVポリメラーゼの阻害剤の例は、WO02/04425、WO03/007945、WO03/010140、WO03/010141、WO2004/064925、WO2004/065367、WO2005/080388およびWO2006/007693(すべてBoehringer Ingelheimによる。)、WO2005/049622(日本タバコ)、WO2005/014543(日本タバコ)、WO2005/012288(Genelabs)、WO2004/087714(IRBM)、WO03/101993(Neogenesis)、WO03/026587(BMS)、WO03/000254(日本タバコ)およびWO01/47883(日本タバコ)に記載されている化合物、および臨床候補XTL−2125、HCV796、R−1626およびNM283を含むがこれらに限定されない。
【0033】
HCV生活環における他の標的の阻害剤は、HCVNS3プロテアーゼの機能を阻害することによらないで、HCVの形成および/または複製を阻害するのに効果的な薬剤(化合物または生物学的製剤)を含む。この種の薬剤は、HCVの形成におよび/または複製に必要な宿主またはHCVウイルスの機序のどちらに干渉してもよい。HCV生活環における他の標的の阻害剤は、進入阻害剤、ヘリカーゼ、NS2/3プロテアーゼおよび内部リボソーム進入部位(IRES)から選択される標的を阻害する薬剤、ならびにNS5Aタンパク質およびNS4Bタンパク質を含むが、これらに限定されない、他のウイルスの標的の機能に干渉する薬剤を含むが、これらに限定されない。
【0034】
一患者がC型肝炎ウイルスならびにヒト免疫不全ウイルス(HIV)、A型肝炎ウイルス(HAV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)を含むが、これらに限定されない、1種以上の他のウイルスに同時感染する場合がある。したがって、HIV阻害剤、HAV阻害剤およびHBV阻害剤の少なくとも1つと、本発明による化合物とを同時投与することにより、この種の同時感染を治療する併用療法もまた企図される。
【0035】
用語「免疫調節剤」は、対象の体液のまたは細胞の免疫系の働きを変える任意の物質を指す。この種の免疫調節剤は、マスト細胞に媒介された炎症、インターフェロン、インターロイキン、プロスタグランジン、ステロイド、コルチコステロイド、コロニー刺激因子、化学走化性因子などの阻害剤を含む。
【0036】
さらに別の態様によると、本発明の医薬組成物は、ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、メタロプロテアーゼおよび内部リボソーム進入部位(IRES)を含み、これらに限定されない、HCV生活環における他の標的の阻害剤(複数可)をさらに含むことができる。
【0037】
他の実施形態によると、本発明の医薬組成物は、他の抗ウイルス、抗菌、抗真菌もしくは抗癌剤、または免疫調節剤もしくは他の治療薬をさらに含んでもよい。
【0038】
さらに他の実施形態によると、本発明は、本発明の効果的な量の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグを対象に投与することによって、この種の治療を必要とする前記対象のC型肝炎などのウイルス感染を治療する方法を含む。
【0039】
さらなる実施形態によると、本発明は、本発明の医薬組成物の抗HCVウイルスの効果的な量または阻害量を対象に投与することによって、この種の治療を必要とする前記対象のC型肝炎を治療する方法を含む。
【0040】
本発明のさらなる実施形態は、生体試料を本発明の化合物に接触させることにより、生体試料を治療する方法を含む。
【0041】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記述された合成法のいずれかを使用して本明細書に記述された化合物のいずれかを製造する方法である。
定義
本発明を記載するために使用される種々の用語の定義を以下に挙げる。これらの定義は、具体的な例で限定されない限り、個別にまたはより大きな集団の一部として、本明細書および特許請求の範囲を通じて使用される用語に適用される。
【0042】
用語「ウイルス感染」は、細胞または組織の中へのウイルス、例えばC型肝炎ウイルス(HCV)の導入を指す。一般に、ウイルスの導入も複製と関連付けられる。ウイルス感染は、血液などの体液の試料のウイルス抗体力価を、例えば酵素免疫アッセイを使用して、測定することにより判断することができる。他の適切な診断法は、例えばRT−PCRおよび直接のハイブリッド捕捉アッセイ、核酸配列ベース増幅などの分子ベースの技術を含む。ウイルスは器官、例えば肝臓に感染して、疾患、例えば肝炎、肝硬変、慢性肝炎、肝細胞癌を引き起こすことがある。
【0043】
用語「抗癌剤」は、癌の進行を予防または阻害することができる化合物または薬物を指す。この種の薬剤の例は、シスプラチン、アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド、アムサクリン、ミトキサントロン、テニポシド、タキソール、コルヒチン、サイクロスポリン、フェノチアジンまたはチオキサンテレを含む。
【0044】
用語「抗真菌剤」は、本発明による3−AP、3−AMPまたは3−APおよび3−AMPのプロドラッグ以外の真菌感染を治療するために用いることができる化合物を記載するために用いられるものとする。本発明による抗真菌剤は例えば、テルビナフィン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ポサコナゾール、クロトリマゾール、グリセオフルビン、ナイスタチン、トルナフテート、カスポファンギン、アムホテリシンB、リポソームアムホテリシンBおよびアムホテリシンB脂質錯体を含む。
【0045】
用語「抗菌剤」は、他の微生物の成長を抑制するために微生物によって製造された自然発生の抗生物質、および実験室で合成または修飾された薬剤の両方を指し、β−ラクタム抗菌剤、糖ペプチド、マクロライド、キノロン、テトラサイクリンおよびアミノグリコシドなどの殺菌または静菌作用のいずれかを有する。一般に、抗菌剤が静菌的な場合、薬剤が本質的に細菌細胞成長を停止することを意味する(しかし細菌を殺さない)。薬剤が殺菌性の場合、薬剤が細菌細胞を殺す(および細菌を殺す前に成長を停止してもよい)ことを意味する。
【0046】
用語「C−Cアルキル」または「C−Cアルキル」は、本明細書で使用する場合、それぞれ1から6または1から8個の炭素原子を含む、飽和、直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを指す。C−Cアルキルラジカルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチルおよびn−ヘキシルラジカルが挙げられるが、これらに限定されず;C−Cアルキルラジカルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、ヘプチル、オクチルラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
用語「C−Cアルケニル」または「C−Cアルケニル」は、本明細書で使用する場合、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有し、2から6、または2から8個の炭素原子を含む炭化水素部分に、1個の水素原子を除去することにより、由来する一価の基を示す。アルケニル基としては、例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イル、ヘプテニル、オクテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
用語「C−Cアルキニル」または「C−Cアルキニル」は、本明細書で使用する場合、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有し、2から6、または2から8個の炭素原子を含む炭化水素部分に、1個の水素原子を除去することにより、由来する一価の基を示す。代表的なアルキニル基としては、例えばエチニル、1−プロピニル、1−ブチニル、ヘプチニル、オクチニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
用語「C−Cシクロアルキル」または「C−C12シクロアルキル」は、本明細書で使用する場合、それぞれ3から8、または3から12個の環原子を含む、単環式もしくは多環式の飽和炭素環化合物に、1個の水素原子を除去することにより、由来する一価の基を示す。C−Cシクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロオクチルが挙げられるが、これらに限定されず;C−C12シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルおよびビシクロ[2.2.2]オクチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
用語「C−Cシクロアルケニル」または「C−C12シクロアルケニル」は、本明細書で使用する場合、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有し、それぞれ3から8、または3から12個の炭素原子を含む単環式もしくは多環式の炭素環化合物に、1個の水素原子を除去することにより、由来する一価の基を示す。C−Cシクロアルケニルの例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルなどが挙げられるが、これらに限定されず;C−C12シクロアルケニルの例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
用語「アリール」は、本明細書中で使用される場合、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、イデニル(idenyl)などを含むが、これらに限定されない、1または2個の芳香族環を有する単環、二環または三環式の炭素環系を指す。
【0052】
用語「アリールアルキル」は、本明細書で使用する場合、アリール環に結合したC−CアルキルまたはC−Cアルキル残基を指す。例としては、ベンジル、フェネチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書で使用する場合、5から15個の環原子を有する、単環、二環または三環式の芳香族ラジカルもしくは環を指し、その少なくとも1個の環原子は、S、OおよびNから選択され;環内に含まれるNまたはSは場合によって酸化されていてもよい。ヘテロアリールとしては、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノキサリニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
用語「ヘテロアリールアルキル」は、本明細書で使用する場合、ヘテロアリール環に結合されたC−Cアルキルまたは C−Cアルキル残基を指す。例としては、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
用語「置換された」とは、本明細書で使用する場合、化合物上の1、2または3個以上の水素原子を、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、保護ヒドロキシ、−NO、−CN、−NH、N、保護アミノ、アルコキシ、チオアルコキシ、オキソ、−ハロ−C−C12−アルキル、−ハロ−C−C12−アルケニル、−ハロ−C−C12−アルキニル、−ハロ−C−C12−シクロアルキル、−NH−C−C12−アルキル、−NH−C−C12−アルケニル、−NH−C−C12−アルケニルアルキニル、−NH−C−C12−シクロアルキル、−NH−アリール、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクロアルキル、−ジアルキルアミノ、−ジアリールアミノ、−ジヘテロアリールアミノ、−O−C−C12−アルキル、−O−C−C12−アルケニル、−O−C−C12−アルケニルアルキニル、−O−C−C12−シクロアルキル、−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクロアルキル、−C(O)−C−C12−アルキル、−C(O)−C−C12−アルケニル、−C(O)−C−C12−アルケニルアルキニル、−C(O)−C−C12−シクロアルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−ヘテロアリール、−C(O)−ヘテロシクロアルキル、−CONH、−CONH−C−C12−アルキル、−CONH−C−C12−アルケニル、−CONH−C−C12−アルケニルアルキニル、−CONH−C−C12−シクロアルキル、−CONH−アリール、−CONH−ヘテロアリール、−CONH−ヘテロシクロアルキル、−OCO−C−C12−アルキル、−OCO−C−C12−アルケニル、−OCO−C−C12−アルケニルアルキニル、−OCO−C−C12−シクロアルキル、−OCO−アリール、−OCO−ヘテロアリール、−OCO−ヘテロシクロアルキル、−OCONH、−OCONH−C−C12−アルキル、−OCONH−C−C12−アルケニル、−OCONH−C−C12−アルケニルアルキニル、−OCONH−C−C12−シクロアルキル、−OCONH−アリール、−OCONH−ヘテロアリール、−OCONH−ヘテロシクロアルキル、−NHC(O)−C−C12−アルキル、−NHC(O)−C−C12−アルケニル、−NHC(O)−C−C12−アルケニルアルキニル、−NHC(O)−C−C12−シクロアルキル、−NHC(O)−アリール、−NHC(O)−ヘテロアリール、−NHC(O)−ヘテロシクロアルキル、−NHCO−C−C12−アルキル、−NHCO−C−C12−アルケニル、−NHCO−C−C12−アルケニルアルキニル、−NHCO−C−C12−シクロアルキル、−NHCO−アリール、−NHCO−ヘテロアリール、−NHCO−ヘテロシクロアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NH−C−C12−アルキル、−NHC(O)NH−C−C12−アルケニル、−NHC(O)NH−C−C12−アルケニルアルキニル、−NHC(O)NH−C−C12−シクロアルキル、−NHC(O)NH−アリール、−NHC(O)NH−ヘテロアリール、−NHC(O)NH−ヘテロシクロアルキル、NHC(S)NH、−NHC(S)NH−C−C12−アルキル、−NHC(S)NH−C−C12−アルケニル、−NHC(S)NH−C−C12−アルケニルアルキニル、−NHC(S)NH−C−C12−シクロアルキル、−NHC(S)NH−アリール、−NHC(S)NH−ヘテロアリール、−NHC(S)NH−ヘテロシクロアルキル、−NHC(NH)NH、−NHC(NH)NH−C−C12−アルキル、−NHC(NH)NH−C−C12−アルケニル、−NHC(NH)NH−C−C12−アルケニルアルキニル、−NHC(NH)NH−C−C12−シクロアルキル、−NHC(NH)NH−アリール、−NHC(NH)NH−ヘテロアリール、−NHC(NH)NH−ヘテロシクロアルキル、−NHC(NH)−C−C12−アルキル、−NHC(NH)−C−C12−アルケニル、−NHC(NH)−C−C12−アルケニルアルキニル、−NHC(NH)−C−C12−シクロアルキル、−NHC(NH)−アリール、−NHC(NH)−ヘテロアリール、−NHC(NH)−ヘテロシクロアルキル、−C(NH)NH−C−C12−アルキル、−C(NH)NH−C−C12−アルケニル、−C(NH)NH−C−C12−アルケニルアルキニル、−C(NH)NH−C−C12−シクロアルキル、−C(NH)NH−アリール、−C(NH)NH−ヘテロアリール、−C(NH)NH−ヘテロシクロアルキル、−S(O)−C−C12−アルキル、−S(O)−C−C12−アルケニル、−S(O)−C−C12−アルケニルアルキニル、−S(O)−C−C12−シクロアルキル、−S(O)−アリール、−S(O)−ヘテロアリール、−S(O)−ヘテロシクロアルキル −SONH、−SONH−C−C12−アルキル、−SONH−C−C12−アルケニル、−SONH−C−C12−アルケニルアルキニル、−SONH−C−C12−シクロアルキル、−SONH−アリール、−SONH−ヘテロアリール、−SONH−ヘテロシクロアルキル、−NHSO−C−C12−アルキル、−NHSO−C−C12−アルケニル、−NHSO−C−C12−アルケニルアルキニル、−NHSO−C−C12−シクロアルキル、−NHSO−アリール、−NHSO−ヘテロアリール、−NHSO−ヘテロシクロアルキル、−CHNH、−CHSOCH、−アリール、−アリールアルキル、−ヘテロアリール、−ヘテロアリールアルキル、−ヘテロシクロアルキル、−C−C12−シクロアルキル、ポリアルコキシアルキル、ポリアルコキシ、−メトキシメトキシ、−メトキシエトキシ、−SH、−S−C−C12−アルキル、−S−C−C12−アルケニル、−S−C−C12−アルケニルアルキニル、−S−C−C12−シクロアルキル、−S−アリール、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクロアルキル、メチルチオメチル、または−L’−R’[式中、L’はC−Cアルキレン、C−CアルケニレンまたはC−Cアルキニレンであり、R’はアリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、C−C12シクロアルキルまたはC−C12シクロアルケニルである]を含むが、これらに限定されない置換基で独立して置換することをいう。アリール、ヘテロアリール、アルキルなどはさらに置換することができることが理解される。いくつかの場合において、置換部分の各置換基は、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、−NO、−CNまたは−NHから独立して選択される1個以上の基で場合によってさらに置換される。
【0056】
本発明によると、本明細書に記載されるアリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールのいずれかは、任意の種類の芳香族基であってよい。
【0057】
本明細書に記載される任意のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルおよびシクロアルケニル部分は、脂肪族基、脂環基または複素環基であってもよいことが理解される。「脂肪族基」とは、炭素原子、水素原子、ハロゲン原子、酸素、窒素またはその他の原子の任意の組合せを含み、場合によって、例えば二重結合および/または三重結合の1個以上の不飽和の単位を含むことができる、非芳香族部分である。脂肪族基は、直鎖、分岐鎖または環状であってよく、好ましくは約1から約24個の炭素原子、より典型的には約1から約12個の炭素原子を含む。脂肪族炭化水素基に加えて、脂肪族基としては、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリアミンおよびポリイミンなどのポリアルコキシアルキルが挙げられる。このような脂肪族基はさらに置換することができる。脂肪族基は、本明細書に記載されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン基の代わりに使用できることが理解される。
【0058】
用語「脂環」は、本明細書で使用する場合、1個の水素原子を除去することによって、単環または多環式の飽和炭素環化合物に由来する一価の基を示す。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、およびビシクロ[2.2.2]オクチルが挙げられるが、これらに限定されない。このような脂環基はさらに置換されてもよい。
【0059】
用語「ヘテロシクロアルキル」および「複素環」は相互に交換して使用でき、非芳香族の3、4、5、6もしくは7員環、または2もしくは3環基縮合系を指し、(i)それぞれの環は、酸素、硫黄および窒素から独立して選択される1から3個のヘテロ原子を含み、(ii)それぞれの5員環は0から1個の二重結合を有し、それぞれの6員環は0から2個の二重結合を有し、(iii)窒素および硫黄ヘテロ原子は場合によって酸化され得、(iv)窒素ヘテロ原子は場合によって4級化され得、(v)上記の環のいずれかはベンゼン環に縮合され得、(vi)残りの環原子は場合によってオキソ置換され得る炭素原子である。代表的なヘテロシクロアルキル基としては、[1,3]ジオキソラン、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニルおよびテトラヒドロフリルが挙げられるが、これらに限定されない。このような複素環基はさらに置換されて置換複素環となり得る。
【0060】
本発明の様々な実施形態において、置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよびヘテロシクロアルキルが、一価または二価を意図することは明白である。したがって、アルキレン、アルケニレンおよびアルキニレン、シクロアクリレン(cycloaklylene)、シクロアルケニレン、シクロアルキニレン、アリールアルキレン、ヘトールアリールアルキレン(hetoerarylalkylene)およびヘテロシクロアルキレン基は、上記の定義に含まれることになり、本明細書における式に適切な原子価を与えることが可能である。
【0061】
用語「ヒドロキシ活性基」は、本明細書で使用する場合、当技術分野においてヒドロキシ基を活性化して、置換または脱離反応などの合成過程の際に脱離することが公知である、不安定な化学部分を指す。ヒドロキシ活性基の例としては、メシレート、トシレート、トリフレート、p−ニトロベンゾエート、ホスホネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
用語「活性化ヒドロキシ」は、本明細書で使用する場合、例えばメシレート、トシレート、トリフレート、p−ニトロベンゾエート、ホスホネート基などの前に定義されたヒドロキシ活性基で活性化されたヒドロキシ基を指す。
【0063】
用語「保護ヒドロキシ」は、本明細書で使用する場合、例えばベンゾイル、アセチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メトキシメチルを含む、後に定義されるヒドロキシ保護基で保護されたヒドロキシ基を指す。
【0064】
用語「ハロ」および「ハロゲン」は、本明細書で使用する場合、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を指す。
【0065】
本明細書に記載される化合物は1個以上の不斉中心を含むので、絶対立体化学に関して、(R)−もしくは(S)−、またはアミノ酸について(D)−もしくは(L)−で規定され得るエナンチオマー、ジアステレオマーおよびその他の立体異性体形態を生じる。本発明には、この種のすべての可能な異性体、ならびにこれらのラセミ体および光学的に純粋な形態を含むことが意図される。光学異性体は、本明細書に記載される手順により、またはラセミ混合物を分割することにより、それぞれの光学的に活性な前駆体から調製することができる。分割は、クロマトグラフィーもしくは反復結晶化、または当業者に公知のこれらの技術のうちのいくつかの組合せにより、分割剤の存在下で行うことができる。分割に関するさらなる詳細は、Jacquesら、Enantiomers,Racemates,and Resolutions(John Wiley & Sons,1981)に見ることができる。本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合またはその他の幾何学不斉中心を含む場合、他に特定されない限り、化合物は、EおよびZ幾何学異性体の両方を含むことが意図される。同様に、互変異性型もすべて含まれるように意図される。本明細書に現われる任意の炭素−炭素二重結合の配置は便宜性のみで選択され、文章中で記載されない限り特定の配置が指定されることはないので、本明細書中に任意裁量でトランスとして示される炭素−炭素二重結合は、シス、トランスまたは任意の割合のその2つの混合物であってもよい。
【0066】
用語「対象」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物のことをいう。対象とは、例えば、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモットなどのことをいう。好ましくは、対象はヒトである。対象がヒトである場合、対象は本明細書において患者と呼ばれることがある。
【0067】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される塩」は、本発明の方法によって形成された化合物の塩を指し、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴うことなく、ヒトおよび下等動物の組織に接触させる使用に適切で、正常医学判断の範囲内にあり、適当な便益/リスクの比率の均衡が取れている。薬学的に許容される塩は当技術分野で周知である。
【0068】
用語「ヒドロキシ保護基」は、本明細書で使用する場合、当技術分野において、合成過程の際の望ましくない反応に対してヒドロキシ基を保護することが公知である不安定な化学部分のことをいう。前記合成過程(複数可)の後に、本明細書に記載のヒドロキシ保護基は選択的に除去することができる。当技術分野において公知であるヒドロキシ保護基は、一般に、T.H.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,John Wiley & Sons,New York(1999)に記載されている。ヒドロキシ保護基の例としては、ベンジルオキシカルボニル、4−ニトロベンジルオキシカルボニル、4−ブロモベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、メトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル、2−フルフリルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、アセチル、ホルミル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、フェノキシアセチル、ベンゾイル、メチル、t−ブチル、2、2、2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、3−メチル−3−ブテニル、アリル、ベンジル、パラ−メトキシベンジルジフェニルメチル、トリフェニルメチル(トリチル)、テトラヒドロフラニル、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、メタンスルホニル、パラ−トルエンスルホニル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリルなどを挙げることができる。本発明に好ましいヒドロキシ保護基は、アセチル(Acまたは−C(O)CH)、ベンゾイル(Bzまたは−C(O)C)およびトリメチルシリル(TMSまたは−Si(CH)である。
【0069】
例えば、Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,66:1−19(1977)に、薬学的に許容される塩を詳細に記載している。塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間に、インサイチュで調製することができる、または遊離塩基と適切な有機酸を反応させて別々に調製することができる。薬学的に許容される塩の例としては、非毒性の酸付加塩、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸で形成される、またはイオン交換などの当技術分野で使用されるその他の方法を用いて形成されるアミノ基の塩が含まれるが、これらに限定されない。その他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、へプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロヨージド、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタリンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチネート、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩、などを挙げることができるが、これらに限定されない。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩はナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを含む。さらなる薬学的に許容される塩としては、適切な場合、非毒性アンモニウム、4級アンモニウム、ならびにハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、炭素数1から6のアルキル、スルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成されるアミン陽イオンを含む。
【0070】
用語「アミノ保護基」は、本明細書で使用する場合、当技術分野において合成過程の際の望ましくない反応からアミノ基を保護することが公知である、不安定な化学部分のことをいう。前記合成過程(複数可)の後、本明細書に記載されるアミノ保護基を選択的に除去することができる。当技術分野で公知であるアミノ保護基は、一般に、T.H.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版,John Wiley & Sons,New York(1999)に記載されている。アミノ保護基の例としては、t−ブトキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容されるエステル」は、インビボで加水分解される本発明の過程により形成される化合物のエステルを指し、ヒト体内で容易に分解されて親化合物またはその塩を残すエステルが含まれる。適切なエステル基としては、例えば、薬学的に許容される脂肪族カルボン酸、特に各アルキルもしくはアルケニル部分が都合良く6個以下の炭素原子を有するアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸および二アルカン酸由来のものが挙げられる。特定のエステルの例としては、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、アクリレートおよびエチルスクシネートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
用語「薬学的に許容されるプロドラッグ」は、本明細書で使用する場合、過度な毒性、刺激、アレルギー反応などを伴い、ヒトおよび下等動物の組織と接触させる使用に適切で、正常な医学的判断の範囲内にある、本発明の過程によって形成された化合物のプロドラッグを指し、これは適当な便益/リスクの比率の均衡が取れており、その目的の使用に効果的であり、可能な場合、本発明の化合物の両性イオン形態である。「プロドラッグ」は、本明細書で使用する場合、代謝的手段(例えば、加水分解)によりインビボで本発明の式で説明される化合物に変換可能な化合物を意味する。プロドラッグの種々の形態が当技術分野に知られており、例えば、Bundgaard(編),Design of Prodrugs,Elsevier(1985);Widderら(編),Methods in Enzymology,第4巻,Academic Press(1985);Krogsgaard−Larsenら(編)“Design and Application of Prodrugs,Textbook of Drug Design and Development,第5章,113−191(1991);Bundgaardら,Journal of Drug Deliver Reviews,8:1−38(1992);Bundgaard,J.of Pharmaceutical Sciences,77:285以下参照(1988);HiguchiおよびStella(共編)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems,American Chemical Society(1975);およびBernard TestaおよびJoachim Mayer,“Hydrolysis In Drug And Prodrug Metabolism:Chemistry,Biochemistry And Enzymology,”John Wiley and Sons,Ltd.(2002)において議論されている。
【0073】
用語「アシル」としては、カルボン酸、カルバミン酸、炭酸、スルホン酸および亜リン酸を含むが、これらに限定されない、酸由来の残基が含まれる。例としては、脂肪族カルボニル、芳香族カルボニル、脂肪族スルホニル、芳香族スルフィニル、脂肪族スルフィニル、芳香族リン酸および脂肪族リン酸が挙げられる。脂肪族カルボニルの例としては、アセチル、プロピオニル、2−フルオロアセチル、ブチリル、2−ヒドロキシアセチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
用語「非プロトン性溶媒」は、本明細書で使用する場合、プロトン活性に対して比較的不活性である、すなわち、プロトン供与体として作用しない溶媒を指す。例としては、ヘキサンおよびトルエンなどの炭化水素、例えば、メチレンクロライド、エチレンクロライド、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素など、例えば、テトラヒドロフランおよびN−メチルピロリジノンなどの複素環化合物、ならびにジエチルエーテル、ビスメトキシメチルエーテルなどのエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。この種の溶媒は当業者に周知であり、個々の溶媒またはこれらの混合物は、例えば試薬の溶解性、試薬の反応性および好ましい温度範囲などの因子に依存して、具体的な化合物および反応条件に対して好まれ得る。非プロトン性溶媒のさらなる議論は、有機化学の教本または専門的な研究論文、例えば、Organic Solvents Physical Properties and Methods of Purification,第4版,John A.Riddickら編,Vol.II,in the Techniques of Chemistry Series,John Wiley & Sons,NY,1986に見ることができる。
【0075】
用語「プロトジェニック(protogenic)有機溶媒」または用語「プロトン性溶媒」は、本明細書で使用する場合、プロトンを供給する傾向がある、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノールなどの溶媒を指す。この種の溶媒は当業者に周知であり、個々の溶媒またはそれらの混合物は、例えば試薬の溶解性、試薬の反応性および好ましい温度範囲などの因子に依存して、具体的な化合物および反応条件のために好まれ得る。プロトン性溶媒のさらなる議論は、有機化学の教本または専門的な研究論文、例えば、Organic Solvents Physical Properties and Methods of Purification,第4版,John A.Riddickら編,Vol.II,in the Techniques of Chemistry Series.John Wiley & Sons,NY,1986に見ることができる。
【0076】
本発明により構想される置換基および改変体の組合せは、安定な化合物を形成するもののみである。用語「安定」は、本明細書で使用する場合、化合物の製造を可能にし、本明細書に詳述される目的(例えば、対象への治療的または予防的な投与)に有用である十分な時間、化合物の完全性を維持するのに十分な安定性を有する化合物を指す。
【0077】
合成された化合物は反応混合物から分離することができ、さらに、カラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィーまたは再結晶化などの方法により精製することができる。加えて、様々な合成ステップが、所望の化合物を与えるために代替のシーケンスまたは順序で実行されてもよい。さらに、本明細書に記述される溶媒、温度、反応持続時間などは例証のみの目的であり、反応条件の変形により本発明の所望の架橋大環状生成物を製造することができる。本明細書に記載された化合物を合成するのに有用な合成化学変換および保護基方法論(保護と脱保護)は、例えばR.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第2版,John Wiley and Sons(1991);L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons (1994);およびL.Paquette編,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995) に記載されるものを含む。
【0078】
本発明の化合物は、本明細書に記述された合成法によって、様々な官能基を付加することによって修飾され、選択的な生物学的特性を高めることができる。このような修飾は、所定の生物系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)への生物学的な浸透性を高め、経口利用可能性を高め、可溶性を高めて注射による投与を可能にし、代謝を改変し、排出速度を改変するものが含まれる。
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体と共に配合された、本発明の治療上有効な量の化合物を含む。本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される担体」は、非毒性の不活性の固体、半固体もしくは液体の充填剤、希釈剤、封入物質、または任意の種類の配合助剤を意味する。薬学的に許容される担体として作用し得る物質のいくつかの例は、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖;コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロースならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースの誘導体;トラガカント末;モルト;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油およびダイズ油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリル酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱源非含有水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液であり、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどのその他の非毒性の適合性潤滑剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、調味料および香料、保存料および抗酸化剤も、配合者の判断に従って組成物中に存在し得る。本発明の医薬組成物は、経口、直腸、非経口、嚢内、膣内、腹腔内、局所(粉末、軟膏または液滴による。)、頬、口腔、または鼻腔スプレーにより、ヒトまたは他の動物に投与することができる。
【0079】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口、吸入スプレー、局所、直腸、鼻腔、口腔、膣内または埋め込み式レザバーにより、好ましくは経口投与または注射による投与により投与することができる。本発明の医薬組成物は、任意の従来の、非毒性で薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含んでもよい。いくつかの場合に、配合物のpHは、薬学的に許容される酸、塩基または緩衝剤で調整されて、配合化合物またはその送達形態の安定性が高めることができる。用語「非経口」は、本明細書で使用する場合、皮下、皮内、静脈内、筋内、関節内、動脈内、滑液内、胸骨内、鞘内、病変内および頭蓋内の注射または点滴技術を含む。
【0080】
経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水または、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、塊茎油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセリン、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルなどのその他の溶媒、可溶化剤および乳化剤ならびにそれらの混合物などの、当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤を含むことができる。不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、調味料および香料などのアジュバントを含むことができる。
【0081】
注射用調製物、例えば滅菌注射用水性または油性懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術に従って配合することができる。滅菌注射用調製物はまた、非毒性で非経口的に許容される希釈剤または溶媒、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液中の滅菌の注射用溶液、懸濁液またはエマルジョンであってよい。この中で、使用することができる許容可能なビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液である。また、溶媒または懸濁媒体としては、滅菌性の固定油が従来から使用されている。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む、任意の刺激の弱い固定油を使用することができる。また、注射物の調製にはオレイン酸などの脂肪酸が使用される。
【0082】
注射可能な調製物は、例えば、細菌保持フィルターを用いたろ過、または使用前に滅菌水もしくはその他の滅菌注射可能な媒体中に溶解もしくは分散することができる滅菌固形組成物の形態での滅菌剤を含有させることにより滅菌することができる。
【0083】
薬物の効果を延ばすために、しばしば、皮下または筋内注射で薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶解性の低い結晶性または非晶性物質の液体懸濁物を使用することにより達成することができる。薬物の吸収速度は、次いで、薬物の溶解速度に依存し、次には、結晶の大きさおよび結晶形態に依存し得る。代替として、非経口投与された薬物形態の遅い吸収は、薬物を油ビヒクルに溶解または懸濁することにより達成される。注射用の貯蔵形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に薬物の微小封入マトリックスを形成して作製される。薬物対ポリマーの比率および使用される特定のポリマーの性質に依存して、薬物の放出速度が調節することができる。その他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。貯蔵型注射用製剤はまた、生体組織に適合性のリポソームまたはマイクロエマルジョンに薬物をトラップすることで調製される。
【0084】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは本発明の化合物と、室温では固体であるが体温では液体であるために直腸または膣内で溶解して活性化合物を放出するココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの適切な非刺激性の賦形剤もしくは担体を混合することで調製することができる坐剤である。
【0085】
経口投与用の固体剤形としては、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、および顆粒が挙げられる。この種の固体剤形において、活性化合物と、少なくとも1種の、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体、および/または、a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアラビアゴムなどの結合剤、c)グリセロールなどの湿潤剤、d)アガー−アガー、炭酸カルシウム、ポテトスターチまたはタピオカスターチ、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸湿剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、ならびにそれらの組合せとを混合する。カプセル、錠剤、および丸薬の場合に、剤形には緩衝剤も含まれ得る。
【0086】
また、同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤などを使用して、軟式および硬式の充填ゼラチンカプセル中で充填剤として使用することができる。
【0087】
活性化合物は、また上述の1種以上の賦形剤でマイクロカプセル化した形態であってもよい。錠剤、糖剤、カプセル、丸薬、および顆粒の固形剤形は、医薬配合技術分野に周知の腸溶性コーティング、放出制御コーティングおよびその他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。このような固形剤形において、活性化合物は、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1種の不活性希釈剤と混合することができる。このような剤形は、通常の慣行として、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば打錠用の滑沢剤、およびステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースのような他の打錠補助剤も含んでいてもよい。カプセル、錠剤およびピルの場合は、剤形は緩衝剤も含んでいてもよい。これらは、不透明剤を場合によって含有することができ、活性成分を腸管のある部位にのみまたは優先的に放出(場合によって遅延放出)する組成物とすることもできる。使用可能な包埋組成物の例としては、重合物質およびワックスが挙げられる。
【0088】
本発明の化合物の局所または経皮投与用剤形は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチを含む。活性成分は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体およびいずれかの必要とされる保存剤または緩衝剤と共に必要に応じて混合される。眼科用製剤、点耳薬、眼軟膏、粉末および溶液も本発明の範囲内とするものである。
【0089】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加えて、動物性および植物性の油脂、油類、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカントゴム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛またはこれらの混合物などの賦形剤を含むことができる。
【0090】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に加えて、乳糖、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよび粉末ポリアミドのような賦形剤、またはこれらの物質の混合物を含有することができる。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素のような通常の噴射剤をさらに含有することができる。
【0091】
経皮パッチには、化合物の体内送達を制御できるという利点がある。この種の剤形は、適当な媒体に化合物を溶解または懸濁させて製造できる。吸収増強剤も、皮膚を通過する化合物の流量を増加させるのに使用できる。この速度は、速度調節膜を備える、または化合物をポリマーのマトリックスまたはゲルに分散するのいずれかで、調節できる。
抗ウイルス活性
本発明の化合物の阻害量または用量は、約0.01mg/Kgから約500mg/Kg、代替として約1から約50mg/Kgの範囲であってもよい。また、阻害量または用量は、投与経路および他の薬剤と同時に使用する可能性に応じて異なる。
【0092】
本発明の治療方法によれば、抗C型肝炎ウイルス有効量または阻害量の本発明の化合物を、所望の結果が達成されるのに必要とする量および時間、対象に投与することにより、ヒトまたは下等哺乳動物などの対象のウイルス感染が治療または予防される。本発明のさらなる方法は、所望の結果が達成されるのに必要とする量および時間の、本発明の組成物の阻害量の化合物を用いる生物試料の処理である。
【0093】
本発明の化合物の「抗C型肝炎ウイルス有効量」という用語は、本明細書で使用する場合、生物試料または対象におけるウイルス量が減少するような化合物の十分な量を意味する(例えば、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%または95%のウイルス量の減少をもたらす)。医薬技術分野でよく理解されているように、本発明の化合物の抗C型肝炎ウイルス有効量は、任意の医薬治療に適用可能な合理的な便益/リスク比にある。
【0094】
本発明の化合物の「阻害量」という用語は、生体試料または対象におけるC型肝炎ウイルス量を減少させるのに十分な量を意味する(例えば、少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも90%または95%のウイルス量の減少をもたらす)。本発明の化合物の前記阻害量は、対象に投与される場合に、医師によって判断される任意の医薬治療に適用可能な合理的な便益/リスク比であることが理解される。本明細書に用いられる「生体試料(複数可)」という用語は、対象に対する投与を目的とする生体起源の物質を指す。生体試料の例としては、血液、ならびに血漿、血小板および血液細胞の小集団などの血液の成分;腎臓、肝臓、心臓および肺などの器官;精子および卵子;骨髄およびその成分;または幹細胞が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、本発明の別の実施形態は、生体試料と、本発明の化合物または医薬組成物の阻害量とを接触させることによって生体試料を治療する方法である。
【0095】
対象の状態が改善されると、必要な場合は、本発明の化合物、組成物または組合せの維持投与量を投与することができる。続いて、投与量もしくは投与頻度またはその両方を、症状と相関させて、改善された状態が維持されるレベルまで減少させることができ、症状が所望のレベルまで軽減されたときに、治療を止めるべきである。しかし、対象は、疾患の症状が再発すると、長期的に断続的な治療を必要とし得る。
【0096】
しかし、本発明の化合物および組成物の全日使用量は、適切な医学的判断の範囲内で主治医によって判断されることが理解される。任意の特定の患者に対する具体的な阻害投与量は、治療される障害および障害の重度;採用される具体的な化合物の活性;採用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別および食事;投与時間、投与経路および採用される具体的な化合物の排泄速度;治療持続時間;採用される具体的な化合物と併用または同時投与される薬物;ならびに医薬技術分野でよく知られている同様の要因を含む様々な要因に左右される。
【0097】
単回または分割投与で対象に投与される本発明の化合物の全日阻害投与量は、例えば、体重1kg当たり0.01から50mg、またはより一般的には体重1kg当たり0.1から25mgである。単回投与組成物は、日投与量を構成する量またはその分量を含むことができる。一般に、本発明による療法は、1日当たり約10mgから約1000mgの本発明の化合物を単回以上回投与で、この種の治療を必要とする患者に投与することを含む。
【0098】
別段の特定がない限り、本明細書中で用いられているすべての技術および科学用語は、当業者によく知られている意味に従っている。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、公開特許出願および他の引例は、そのすべてを参照により本明細書に組み込む。
略語
スキームおよび実施例の説明で用いられる略語は以下の通りである。
ACN アセトニトリル;
Ac アセチル;
Boc tert−ブトキシカルボニル;
Bz ベンゾイル;
Bn ベンジル;
CDI カルボニルジイミダゾール;
dba ジベンジリデンアセトン;
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール;
DBU 1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン
DCM ジクロロメタン;
DIAD ジイソプロピルアゾジカルボキシレート;
DMAP ジメチルアミノピリジン;
DMF ジメチルホルムアミド;
DMSO ジメチルスルホキシド;
dppb ジフェニルホスフィノブタン;
EtOAc 酢酸エチル;
HATU:2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルユーロニウムヘキサフルオロリン酸
iPrOH イソプロパノール;
NaHMDS ビス(トリメチルシリル)アミドナトリウム;
NMO N−メチルモルホリンN−オキシド;
MeOH メタノール;
Ph フェニル;
POPd ジヒドロゲンジクロロビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)パラジウム(II);
TBAHS テトラブチルアンモニウムヒドロゲンスルフェート;
TEA トリエチルアミン;
THF テトラヒドロフラン;
TPP トリフェニルホスフィン;
Tris トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン;
BME 2−メルカプトエタノール;
BOP ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;
COD シクロオクタジエン;
DAST 三フッ化ジエチルアミノ硫黄;
DABCYL 6−(N−4’−カルボキシ−4−(ジメチルアミノ)アゾベンゼン)−アミノヘキシル−1−O−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホルアミダイト;
DCM ジクロロメタン;
DIAD ジイソプロピルアゾジカルボキシレート;
DIBAL−H 水素化ジイソブチルアルミニウム;
DIEA ジイソプロピルエチルアミン;
DMAP N,N−ジメチルアミノピリジン;
DME エチレングリコールジメチルエーテル;
DMEM ダルベッコ改変イーグル培地;
DMF N,N−ジメチルホルムアミド;
DMSO ジメチルスルホキシド;
EDANS 5−(2−アミノ−エチルアミノ)−ナフタレン−1−スルホン酸;
EDCIまたはEDC 1−(3−ジエチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩;
EtOAc 酢酸エチル;
HATU O(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;
ホベイダ(hoveyda)触媒:ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II);
KHMDS カリウムビス(トリメチルシリル)アミド;
Ms メシル;
EtOAc 酢酸エチル;
g グラム(複数可);
h 時間(複数可);
NMM N−4−メチルモルホリン;
PyBrOP ブロモ−トリ−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;
Ph フェニル;
RCM 閉環メタセシス;
RT 逆転写;
RT−PCR 逆転写ポリメラーゼ連鎖反応;
TEA トリエチルアミン;
TFA トリフルオロ酢酸;
MeOH メタノール;
mg ミリグラム(複数可);
min 分(複数可);
MS 質量分析;
NMR 核磁気共鳴;
rt 室温;
THF テトラヒドロフラン;
TLC 薄層クロマトグラフィー;
TPPまたはPPh トリフェニルホスフィン;
tBOCまたはBoc tert−ブチルオキシカルボニル;および
Xantphos 4,5−ビス−ジフェニルホスファニル−9,9−ジメチル−9H−キサンテン
【0099】
合成法
本発明の化合物および方法は、本発明の化合物を調製することができる方法を説明する以下の合成スキームに関して一層よく理解される。ただし、これらの化合物は例証としてのみ意図され、本発明の範囲を限定するものではない。開示された実施形態に対する様々な変形および修正は当業者に明白である。本発明の化学構造、置換基、誘導体、配合および/または方法に関連するものを、限定を伴わないで、含むこのような変形および修正は、本発明の精神および添付された特許請求の範囲から外れずに製造することができる。
【0100】
スキーム1
スキーム1は中間体(1−5)の合成を記載する。ジペプチド前駆体(1−3)を、カップリング反応によってBocアミノ酸(1−1)およびシス−L−ヒドロキシプロリンメチルエステル(1−2)から合成した。オキシム中間体(1−5)は、ヒドロキシ中間体(1−3)を、OMs,OTs、OTf、臭化物またはヨウ化物など(これらに限定されない)の適切な脱離基に転換することにより、活性化ヒドロキシル基のSN2置換によって製造することができる。代替として、中間体(1−5)をMitsunobu条件を用いて製造することができる。Mitsunobu反応のより詳細については、O.Mitsunobu、Synthesis 1981,1−28;D.L.Hughes、Org.React.29、1−162(1983);D.L.Hughes、Organic Preparations and Procedures Int.28、127−164(1996);およびJ.A.Dodge,S.A.Jones,Recent Res.Dev.Org.Chem.1、273−283(1997)参照。
【0101】
【化3】

【0102】
【化4】

スキーム2は、オキシム類似体(2−3)の一般的な合成法を記載する。中間体(2−1)は適切なアシル基を用いてアシル化することができる。ルテニウム系触媒を用いる閉環メタセシス(閉環メタセシスのより詳細については最近の総説を参照のこと:Grubbsら、Acc.Chem.Res、1995年、28、446;Shrockら、Tetrahedron、1999年、55、8141;Furstner、A.Angew.Chem.Int.Ed.2000年、39、3012;Tmkaら、Acc.Chem.Res.2001年、34、18;およびHoveydaら、Chem.Eur.J.2001年、7、945)およびそれに続く加水分解によって所望の中間体(2−2)が得られた。スルホンイミド類似体(2−3)は場合による水素化処理およびカップリング反応によって製造した。
【実施例】
【0103】
本発明の化合物および方法は、以下の実施例に関して一層よく理解される。ただし、これらの実施例は例証としてのみ意図され、本発明の範囲を限定するものではない。開示された実施形態に対する様々な変形および修正は当業者に明白である。本発明の化学構造、置換基、誘導体、配合および/または方法に関連するものを、限定を伴わないで、含むこのような変形および修正は、本発明の精神および添付された特許請求の範囲から外れずに製造することができる。
【0104】
実施例1
式IIIの化合物。[式中L=
【0105】
【化5】

、J−B−Q=
【0106】
【化6】

Z=CH=CHおよびG=
【0107】
【化7】


ステップ1a:
2−ヒドロキシ−9−フルオレノン(1.5g)、臭化アリル(973μl)および炭酸カリ(3.17g)のDMF(20ml)中の混合物を、50°Cで一晩撹拌した。反応混合物はEtOAcと水で希釈した。有機層を分離し、1MNaHCO塩水で洗浄し、NaSО上で乾燥した。有機層をろ過、濃縮し1.9gの所望の生成物を得た。
【0108】
ステップ1b:
ステップ1aからの化合物(1.0g)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(1.5g)のMeOH溶液に、ピリジン400μlおよび572μlを添加した。この反応は45°Cで一晩撹拌した。反応混合物を濃縮しEtOAcで抽出し、1%HCl、水、塩水で洗浄して、NaSO上で乾燥し、ろ過して濃縮した。結果として生じた固体(1.2g)は、それ以上の精製をしないで次のステップで用いた。
MS(ESI):m/z=252.07[M+H]。
【0109】
ステップ1c:
N−Boc−cis−4−ヒドロキシル−L−プロリンメチルエステル(5g)のDCM溶液に、DIEA(10.65ml)、メタンスルホニル塩化物(2.4ml)を0°Cで添加した。反応混合物を0°Cに3時間保ち、次いで、EtOAcで抽出し、5%クエン酸、1MNaHCO、水、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過して濃縮した。結果として生じた残渣(6.7g)は、次のステップへ直接持ち越した。
【0110】
ステップ1d:
ステップ1cからの化合物(1g)およびステップ1bからの化合物(377mg)のDMF溶液に、炭酸セシウム(978mg)を添加した。反応混合物は50°Cで24時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで抽出し、1MNaHCO、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過して濃縮した。残渣はシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、676mgの所望の生成物を与えた。
MS(ESI):m/z=479.25[M+H]。
【0111】
ステップ1e:
ステップ1dからの化合物の4NHCl/ジオキサン溶液15mlを、1時間RTで撹拌した。反応混合物は真空中で濃縮した。残渣をDCMで2度蒸発させた。所望の生成物は、次のステップへ直接持ち越した。
MS(ESI):m/z=379.21[M+H]。
【0112】
ステップ1f:
ステップ1eからの化合物(1ミリモル)およびBoc−tert−ロイシン(278mg)のアセトニトリル溶液にDIEA(870μl)およびHATU(456mg)を添加した。反応混合物は3時間室温で撹拌した。反応混合物をEtOAcで抽出し、1%HCl、1MNaHCO、塩水で洗浄し、ろ過して濃縮し、所望の生成物を得た。
MS(ESI):m/z=592.32[M+H]。
【0113】
ステップ1g:
ステップ1fからの化合物の4NHCl/ジオキサン溶液5mlを、1時間RTで撹拌した。反応混合物は真空中で濃縮した。残渣をDCMで2度蒸発させた。所望の生成物は、次のステップに直接持ち越した。
【0114】
MS(ESI):m/z=492.88[M+H]。
【0115】
ステップ1h:
ステップ1gからの化合物(0.5ミリモル)のDCM溶液2mlに、DIEA(435μl)およびアリルクロロ蟻酸(106μ1)を添加した。反応混合物は1時間RTで撹拌した。反応混合物をEtOAcで抽出した。有機層は、1%HCl、1MNaHCO、水、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過、濃縮した。残渣はシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、150mgの所望の生成物を与えた。
MS(ESI):m/z=576.31[M+H]。
【0116】
ステップ1i:
ステップ1cからの化合物のDCM溶液50mlを、Nを泡立たせることにより脱酸素した。次いで、Hoveydaの第1世代触媒(5モル%当量)を固体として加えた。この反応は12時間N雰囲気の下で還流した。溶媒を蒸発させ、残渣はシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
MS(ESI):m/z=548.22[M+H]。
【0117】
ステップ1j:
ステップ1dからの化合物(90mg)は、5mlのジオキサンおよび2mlの1NLiOH水溶液に溶かした。結果として生じる反応混合物は、RTで一晩撹拌した。反応混合物は5%クエン酸で酸性化し、10mlのEtOAcで抽出し、水20mlで2回洗浄した。溶媒を蒸発させ、残渣は次のステップで直接用いた。
MS(ESI):m/z=534.37[M+H]。
【0118】
ステップ1k:
Boc−D−β−ビニルシクロプロパンアミノ酸(4.5g)のDMF溶液に、CDI(3.97g)を添加した。反応混合物は40°Cで1時間撹拌し、次いで、シクロプロピルスルホンアミド(4.66g)およびDBU(5.78ml)を添加した。反応混合物を40°Cで一晩撹拌した。反応混合物はEtOAcで抽出した。有機抽出物は1MNaHCO、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、ろ過し濃縮した。残渣は4NHCl/ジオキサンに溶解した。この反応混合物をRTで1時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。結果として生じた固体は、それ以上精製しないで次のステップへ持ち越した。
MS(ESI):m/z=231.10[M+H]。
【0119】
ステップ1l:
ステップ1kからの化合物は、DCM中1気圧Hの雰囲気下、10%Pd−Cで水素化した。反応混合物をRTで1時間撹拌し、次いで、ろ過した。ろ過物は真空内で濃縮した。残渣は次のステップで使える状態にあった。
MS(ESI):m/z=233.13[M+H]。
【0120】
ステップ1m:
ステップIjからの化合物(80mg)およびステップ1kからの化合物(70mg)のDMF溶液2mlに、DIEA(131μl)およびHATU(76mg)を添加した。カップリングはRTで一晩行った。反応混合物はEtOAcで希釈し、続いて、抽出物は、1%HCl、水、1MNaHCOおよび塩水でそれぞれ洗浄した。有機相は無水NaSO上で乾燥し、真空内で蒸発させた。残渣はHPLCによって精製し所望の生成物を与えた。
MS(ESI):m/z=746.57[M+H]。
13C(CD3OD):174.2、170.9、169.6、158.4、157.6、153.3、142.0、136.4、133.4、133.2、133.1、131.4、130.2、128.9、128.2、127.5、126.9、120.8、119.9、119.1、117.4、107.9、81.8、67.5、64.4、61.3、59.8、53.1、41.3、35.4、35.3、35.0、31.0、26.0、25.7、22.5、5.5、5.3.
【0121】
実施例2
式IIIの化合物[式中、L=
【0122】
【化8】

、J−B−Q=
【0123】
【化9】

、Z=CH=CHおよびG=
【0124】
【化10】

]。
【0125】
表題化合物を実施例1に記載されたのと同様の手順によって製造した。
MS(ESI):m/z=746.57[M+H]。
13C(CD3OD):174.1、170.7、169.6、158.6、157.3、153.6、141.8、136.8、133.9、133.1、131.5、130.4、130.3、129.0、127.2、127.0、120.9、119.7、119.2、117.3、107.6、81.9、64.2、60.9、60.6、59.6、51.9、41.3、35.9、35.5、34.9、31.0、25.9、22.6、5.5、5.3.
【0126】
実施例3
式IIIの化合物[式中、L=
【0127】
【化11】

、J−B−Q=
【0128】
【化12】

、Z=CH=CHおよびG=
【0129】
【化13】

]。
表題化合物を実施例1に記載されたのと同様の手順によって製造した。
MS(ESI):m/z=746.57[M+H]。
13C(CD3OD):173.6、171.9、169.6、159.5、157.6、152.7、140.4、135.3、135.2、133.1、131.3、130.3、127.1、126.9、126.0、121.2、120.8、119.8、119.2、117.3、84.7、69.1、63.9、59.9、59.6、54.3、41.2、35.2、35.0、34.9、31.0、25.9、22.8、5.6、5.3.
【0130】
実施例4
式IIIの化合物[式中、L=
【0131】
【化14】

、J−B−Q=
【0132】
【化15】

、Z=CH=CHおよびG=
【0133】
【化16】

]。
【0134】
表題化合物を実施例1に記載されたのと同様の手順によって製造した。
MS(ESI):m/z=746.57[M+H]。
13C(CD3OD):173.7、172.2、169.6、159.2、157.7、153.1、140.5、135.1、135.0、133.1、131.5、131.4、130.3、126.8、126.3、121.2、120.8、119.1、118.6、117.3、114.5、83.8、65.2、60.3、59.7、59.0、53.4、41.2、35.1、34.8、34.4、30.9、25.9、22.6、5.5、5.3.
【0135】
実施例5
式IIIの化合物[式中、L=
【0136】
【化17】

、J−B−Q=
【0137】
【化18】

、Z=CH=CHおよびG=
【0138】
【化19】

]。
【0139】
表題化合物を実施例1に記載されたのと同様の手順によって製造した。
MS(ESI):m/z=748.42[M+H]。
13C(CD3OD):174.4、171.1、169.6、159.4、157.6、152.6、142.1、137.2、133.2、133.1、131.4、130.1、128.7、126.9、120.8、119.3、117.3、115.7、110.3、82.0、68.5、64.0、61.6、59.7、53.8、41.2、36.7、36.2、34.8、31.0、26.3、26.0、5.6、5.4.
【0140】
実施例6
式IIIの化合物[式中、L=
【0141】
【化20】

、J−B−Q=
【0142】
【化21】

、Z=CH=CHおよびG=
【0143】
【化22】

]。
【0144】
表題化合物を実施例1に記載されたのと同様の手順によって製造した。
MS(ESI):m/z=748.43[M+H]。
13C(CD3OD):173.8、172.0、169.5、159.7、158.1、153.7、140.8、134.8、134.0、133.0、131.5、130.4、126.7、121.3、120.5、119.2、118.7、117.3、113.6、83.0、68.8、64.1、59.5、59.0、53.7、41.2、35.1、34.9、34.8、31.0、27.2、25.8、23.8、22.6、5.6、5.3.
【0145】
実施例7
式IIIの化合物[式中、L=
【0146】
【化23】

、J−B−Q=
【0147】
【化24】

、Z=CH=CHおよびG=
【0148】
【化25】

]。
表題化合物は実施例1に記載されたのと同様の手順によって製造された。
MS(ESI):m/z=760.40[M+H]。
13C(CD3OD):174.3、171.3、169.6、158.6、157.5、153.9、141.8、136.6、133.9、133.1、131.4、130.9、130.2、129.1、127.2、127.0、120.9、120.1、119.1、117.4、109.0、81.4、68.2、63.9、61.7、59.5、54.2、41.3、35.8、35.6、34.8、31.0、30.8、25.9、22.6、5.6、5.4.
【0149】
実施例8
式IIIの化合物[式中、L=
【0150】
【化26】

、J−B−Q=
【0151】
【化27】

、Z=CH=CHおよびG=
【0152】
【化28】

]。
表題化合物を実施例1に記載されたのと同様の手順によって製造した。
MS(ESI):m/z=760.40[M+H]。
13C(CD3OD):174.0、171.4、169.5、159.1、157.3、153.0、141.9、137.0、134.3、133.1、131.5、130.2、129.5、128.9、128.1、127.1、120.5、120.3、119.3、117.3、110.2、81.8、65.4、63.7、60.7、59.5、52.9、41.3、35.8、35.5、34.8、30.9、27.9、25.9、25.7、22.5、5.5、5.3.
【0153】
実施例9
式IIIの化合物[式中、L=
【0154】
【化29】

、J−B−Q=
【0155】
【化30】

、Z=CH=CHおよびG=
【0156】
【化31】

]。
表題化合物を実施例1に記載されたのと同様の手順によって製造した。
MS(ESI):m/z=760.40[M+H]。
13C(CD3OD):173.5、171.1、169.6、159.4、157.2、153.8、140.8、134.8、134.3、133.1、131.5、130.5、129.8、126.8、126.6、121.3、120.7、119.3、117.4、117.3、115.9、83.2、67.6、62.9、59.5、53.6、41.1、37.3、34.9、34.8、32.4、31.0、26.0、22.9、5.6、5.3.
【0157】
実施例10
式IIIの化合物[式中、L=
【0158】
【化32】

、J−B−Q=
【0159】
【化33】

、Z=CH=CHおよびG=
【0160】
【化34】

]。
表題化合物を実施例1に記載されたのと同様の手順によって製造した。
MS(ESI):m/z=760.40[M+H]。
13C(CD3OD):173.4、171.4、169.6、159.4、157.2、153.5、140.6、135.0、134.9、133.0、131.3、130.8、130.4、126.9、126.7、121.3、120.9、119.9、119.2、117.3、112.4、83.6、63.5、62.9、59.3、59.2、53.6、41.1、36.1、35.2、34.9、31.0、27.9、25.9、22.8、5.6、5.3.
【0161】
実施例11
式IIIの化合物[式中、L=
【0162】
【化35】

、J−B−Q=
【0163】
【化36】

、Z=CH=CHおよびG=
【0164】
【化37】

]。
【0165】
表題化合物を実施例1に記載されたのと同様の手順によって製造した。
MS(ESI):m/z=748.42[M+H]。
13C(CD3OD):174.2、171.5、169.5、157.9、157.1、149.9、142.8、133.0、131.7、130.6、129.9、129.7、129.4、128.8、127.3、125.0、117.4、115.1、80.5、66.7、64.5、59.4、58.8、54.1、41.3、35.5、34.7、33.8、30.9、25.8、22.5、5.6、5.3.
【0166】
実施例12
式IIIの化合物[式中、L=
【0167】
【化38】

、J−B−Q=
【0168】
【化39】

、Z=CH=CHおよびG=
【0169】
【化40】

]。
表題化合物を実施例1に記載されたのと同様の手順によって製造した。
MS(ESI):m/z=748.38[M+H]。
【0170】
実施例13
式IIIの化合物[式中、L=
【0171】
【化41】

、J−B−Q=
【0172】
【化42】

、Z=CH=CHおよびG=
【0173】
【化43】

]。
表題化合物を実施例1に記載されたのと同様の手順によって製造した。
MS(ESI):m/z=748.42[M+H]。
【0174】
実施例14
式IIIの化合物[式中、L=
【0175】
【化44】

、J−B−Q=
【0176】
【化45】

、Z=CH=CHおよびG=
【0177】
【化46】

]。
表題化合物を実施例1に記載されたのと同様の手順によって製造した。
MS(ESI):m/z=748.42[M+H]。
13C(CD3OD):174.4、172.0、169.5、158.5、157.2、150.6、141.8、133.1、131.7、130.8、129.9、129.6、129.2、127.9、127.0、126.9、117.3、115.3、82.1、64.3、61.1、60.1、59.8、54.9、41.3、35.2、34.7、33.8、30.9、26.0、22.4、5.5、5.3.
【0178】
実施例15
式IIIの化合物[式中、L=
【0179】
【化47】

、J−B−Q=
【0180】
【化48】

、Z=CH=CHおよびG=
【0181】
【化49】

]。
表題化合物を実施例1に記載されたのと同様の手順によって製造した。
MS(ESI):m/z=762.35[M+H]。
【0182】
実施例16
式IIIの化合物[式中、L=
【0183】
【化50】

、J−B−Q=
【0184】
【化51】

、Z=CH=CHおよびG=
【0185】
【化52】

]。
表題化合物を実施例1に記載されたのと同様の手順によって製造した。
MS(ESI):m/z=762.36[M+H]。
【0186】
実施例17
式IIIの化合物[式中、L=
【0187】
【化53】

、J−B−Q=
【0188】
【化54】

、Z=CH=CHおよびG=
【0189】
【化55】

]。
【0190】
ステップ17A:
【0191】
【化56】

化合物17A1(0.5g、1.93ミリモル)、ヒドロキシアミン塩酸塩(0.67g、5当量)およびメタノール(12m)の混合物は、還流下で5時間加熱し、室温に冷却し、EtOAcで希釈し、NaHCO水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濃縮乾固させ、次のステップで直接用いられる化合物17A(0.46g)を与えた。
【0192】
ステップ17B:
【0193】
【化57】

化合物17A(0.458g、1.67ミリモル)、化合物17B1(1.84ミリモル)のDMF(4ml)溶液に、炭酸セシウム(0.91g、2.79ミリモル)を添加した。結果として生じる混合物は、50°Cで22時間撹拌し、室温に冷却し、EtOAcで希釈し、水、塩水(3回)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空下で濃縮し、残渣はクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAC=1:0から4:1)によって精製し、17B(0.75g)を与えた。MS(ESI):m/z501.30および503.28(M+H);523.20および525.20(M+Na).
【0194】
ステップ17C:
【0195】
【化58】

化合物xB(0.75g、1.5ミリモル)、カリウムビニルトリフルオロボレート(0.61g、4.5ミリモル)、トリエチルアミン(0.63ml、4.5ミリモル)およびエタノール(15ml)の混合物に、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)塩化物錯体をCHCl(50mg、0.06ミリモル)と共に添加した。結果として生じる混合物は、75°Cで20時間撹拌し、室温に冷却し、10%KHSO水溶液で反応停止し、酢酸エチル(3回)で抽出した。合わせた有機層は乾燥し(MgSO)、真空下で濃縮し、残渣はクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAC=1:0から4:1)によって精製しxc(0.27g)を与えた。MS(ESI):m/z449.32(M+H)および471.29(M+Na)。
【0196】
ステップ17D:
【0197】
【化59】

化合物17C(0.6ミリモル)のジクロロメタン(2ml)溶液を4MHCl/ジオキサン(3ml、12ミリモル)で処理した。結果として生じる混合物は、室温で1時間撹拌し、真空内で濃縮乾固し、化合物17D(100%)のHCl塩を与えた。MS(ESI):m/z349.09(M+H)。
【0198】
ステップ17E:
【0199】
【化60】

化合物17D(HCl塩、0.6ミリモル)、Boc−L−tert−ロイシン(181mg、0.783ミリモル)およびDIPEA(0.4ml、1.81ミリモル)の0°CのDMF(3ml)溶液に、HATU(300mg、0.783ミリモル)を添加した。その混合物は室温で18時間撹拌し、EtOAcで希釈し、半飽和NaCl水溶液で4回洗浄した。有機相は無水MgSO上で乾燥し、ろ過し、次いで、真空内で濃縮した。残渣は、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAC=6:1から4:1)によって精製し、化合物17E(0.26g)を与えた。MS(ESI):m/z562.34(M+H)および584.32(M+Na)。
【0200】
ステップ17F:
【0201】
【化61】

化合物17E(0.45ミリモル)のジクロロメタン(2ml)溶液を4MHCl/ジオキサン(3ml、12ミリモル)で処理した。結果として生じる混合物は、室温で1時間撹拌し、真空内で濃縮乾固し、化合物17F(100%)のHCl塩を与えた。MS(ESI):m/z462.30(M+H)。
【0202】
ステップ17G:
【0203】
【化62】

化合物17F(90mg、0.18ミリモル)をジクロロメタン(5m)に溶かし、0℃に冷却し、トリエチルアミン(0.2ml、1.43ミリモル)で、続いて化合物17G−1(0.36ミリモル)で処理した。その混合物は室温で1から2時間撹拌し、酢酸エチルで希釈し、半飽和NaCl水溶液で2回洗浄し、乾燥(MgSO4)し、真空内で濃縮した。残渣は、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAC=6:1から3:1)によって精製し、化合物xG(62mg)を与えた。MS(ESI):m/e574.45(M+H)。
【0204】
ステップ17H:
【0205】
【化63】

化合物17G(60mg、0.1ミリモル)のジクロロメタン(10ml)溶液に、Hoveyda−Grubbsの第1世代触媒(5モル%当量)を添加した。反応混合物は40°Cで20時間撹拌した。次いで、溶媒を蒸発させ、残渣はグラディエント溶出(ヘキサン/EtOAC=6:1から3:1)を用いてシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、大環状化合物17H(10mg)を得た。MS(ESI) m/z546.33(M+H)。
【0206】
ステップ17I:
【0207】
【化64】

化合物17H(5mg、0.009ミリモル)のTHF/MeOH(1ml/0.5ml)溶液に1N水酸化リチウム(0.5ml、0.5ミリモル)を添加した。この混合物を室温で20時間撹拌した。ほとんどの有機溶媒を真空内で蒸発させ、結果として生じる残渣は、水で希釈し、pH5−6に酸性化した。この混合物をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥(MgSO)し、ろ過し、真空内で濃縮して17I(100%)を与えた。MS(ESI):m/z532.38(M+H)。
【0208】
ステップ17J:
【0209】
【化65】

化合物17I(5mg、0.009ミリモル)、化合物17J−1(0.013ミリモル)およびDIPEA(0.160ml)の0°CのDMF(1ml)溶液に、HATU(6mg、0.015ミリモル)を添加した。この混合物を室温で18時間撹拌し、EtOAcで希釈し、半飽和NaCl水溶液で4回洗浄した。有機相を無水MgSO上で乾燥し、ろ過し、次いで、真空内で濃縮した。残渣は分取HPLCによって精製し、表題化合物(1.5mg)を与えた。MS(ESI):m/z766.54(M+H)。
【0210】
実施例18
式IIIの化合物[式中、L=
【0211】
【化66】

、J−B−Q=
【0212】
【化67】

、Z=CH=CHおよびG=
【0213】
【化68】

]。
【0214】
【化69】

を分取HPLCによって実施例xステップxjの反応混合物から単離した。MS(ESI):m/z766.54(M+H)。
【0215】
実施例19
式IIIの化合物[式中、L=
【0216】
【化70】

、J−B−Q=
【0217】
【化71】

、Z=CH=CHおよびG=
【0218】
【化72】

]。
【0219】
【化73】

を実施例xに記載されたのと同一の手順を用いて調製した。MS(ESI):m/z744.55(M+H)および766.54(M+Na)。
【0220】
実施例20
式IIIの化合物[式中、L=
【0221】
【化74】

、J−B−Q=
【0222】
【化75】

、Z=CH=CHおよびG=
【0223】
【化76】

]。
【0224】
【化77】

を実施例x1に記載されたのと同一の手順を用いて調製した。MS(ESI):m/z744.55(M+H)および766.54(M+Na)。
【0225】
実施例21
式IIIの化合物[式中、L=
【0226】
【化78】

、J−B−Q=
【0227】
【化79】

、Z=CH=CHおよびG=
【0228】
【化80】

]。
【0229】
【化81】

を実施例xに記載されたのと同一の手順を用いて調製した。MS(ESI):m/z772.30(M+H)および794.28(M+Na)。
【0230】
実施例22
式IIIの化合物[式中、L=
【0231】
【化82】

、J−B−Q=
【0232】
【化83】

、Z=CH=CHおよびG=
【0233】
【化84】

]。
【0234】
【化85】

を実施例x1に記載されたのと同一の手順を用いて調製した。MS(ESI):m/z772.30(M+H)および794.28(M+Na)。
【0235】
実施例23
式IIIの化合物[式中、L=
【0236】
【化86】

、J−B−Q=
【0237】
【化87】

、Z=CH=CHおよびG=
【0238】
【化88】

]。
【0239】
ステップ23A:
【0240】
【化89】

化合物23A(80%、3.05g、12.3ミリモル)、臭化アリル(2ml、23ミリモル)のDMF(20ml)溶液に炭酸セシウム(7.6g、23.3ミリモル)を添加した。結果として生じる混合物を40°Cで22時間撹拌し、室温へ冷却して、EtOAcで希釈し、水、塩水(3回)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮し、結晶化し、化合物23A(2.25g)を与えた。
【0241】
ステップ23B:
【0242】
【化90】

化合物23A(2.25g、9.5ミリモル)、ヒドロキシアミン塩酸塩(1.95g、28ミリモル)およびメタノール(50m)の混合物を還流下で5時間加熱し、室温に冷却して、EtOAcで希釈し、NaHCO水溶液、ブリーエンで洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮乾固させ、化合物23B(2.2g)を与えた。
【0243】
ステップ23C:
【0244】
【化91】

化合物23C(2.17g、8.64ミリモル)、化合物22B1(9.6ミリモル)のDMF(14ml)溶液に、炭酸セシウム(4.7g、14.4ミリモル)を添加した。結果として生じる混合物を50°Cで22時間撹拌し、室温に冷却し、EtOAcで希釈し、水、塩水(3回)で洗浄し、乾燥(MgSO)し、真空下で濃縮し、残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAC=1:0から4:1)によって精製し、23C(2.09g)を与えた。MS(ESI):m/z479.29(M+H)。
【0245】
ステップ23D:
【0246】
【化92】

化合物23C(4.4ミリモル)のジクロロメタン(5ml)溶液を4MHCl/ジオキサン(8ml、32ミリモル)で処理した。結果として生じる混合物は、室温で1時間撹拌し、真空内で濃縮乾固し、化合物23D(100%)のHCl塩を与えた。MS(ESI):m/z379.22(M+H)。
【0247】
ステップ23E:
【0248】
【化93】

化合物23D(4.4ミリモル)、Boc−L−tert−ロイシン(1.22g、5.28ミリモル)およびDIPEA(2.5ml、13.2ミリモル)の0°CのDMF(15ml)溶液に、HATU(2.0g、5.26ミリモル)を添加した。この混合物を室温で18時間撹拌し、半飽和NaCl水溶液で4回洗浄した。有機相は無水MgSO上で乾燥し、ろ過し、次いで、真空内で濃縮した。残渣は、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAC=6:1から4:1)によって精製し、化合物23E(1.6g)を与えた。MS(ESI):m/z592.39(M+H)および614.37(M+Na)。
【0249】
ステップ23F:
【0250】
【化94】

化合物23E(2.7ミリモル)のジクロロメタン(5ml)溶液を4MHCl/ジオキサン(8ml、40ミリモル)で処理した。結果として生じる混合物は、室温で1時間撹拌し、真空内で濃縮乾固し化合物23F(100%)のHCl塩を与えた。MS(ESI):m/z492.27(M+H)。
【0251】
ステップ23G:
【0252】
【化95】

3−ブロモ−チオフェン−2−カルボン酸(2.2g、10.6ミリモル)、4NHCl(ジオキサン中、1ml)、HSO(98%、0.2ml)およびメタノール(30ml)の混合物を、還流下で24時間加熱し、室温に冷却して、酢酸エチルで希釈し、水、NaHCO水溶液、半飽和NaCl水溶液で2回洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮乾固して次のステップで直接用いられる化合物23G(100%)を与えた。
【0253】
ステップ23H:
【0254】
【化96】

化合物23G(0.224g、1.01ミリモル)、カリウムビニルトリフルオロボレート(0.268g、2.02ミリモル)、トリエチルアミン(0.28ml、2.02ミリモル)およびエタノール(10ml)の混合物に、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)塩化物錯体(44mg、0.05ミリモル)をCHClと共に添加した。結果として生じる混合物は、75°Cで20時間撹拌し、室温に冷却し10%KHSO水溶液で反応停止し、酢酸エチル(3回)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO)、真空下で濃縮し、残渣はクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAC=1:0から98:2)によって精製し次のステップで直接用いられる23G(0.177g)を与えた。
【0255】
ステップ23I:
【0256】
【化97】

化合物23H(170mg、1ミリモル)のTHF/MeOH(6ml/3ml)溶液に、1N水酸化リチウム(3ml、3ミリモル)を添加した。この混合物を室温で20時間撹拌した。ほとんどの有機溶媒を真空内で蒸発させ、結果として生じる残渣を水で希釈し、pH5−6に酸性化した。この混合物をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機抽出物は乾燥(MgSO)し、ろ過し、真空内で濃縮し、直接次のステップで用いられる23I(100%)を与えた。
【0257】
ステップ23F:
【0258】
【化98】

化合物23F(275mg、0.52ミリモル)、化合物23I(73mg、0.47ミリモル)およびDIPEA(0.28ml、1.6ミリモル)の0°CのDMF(4ml)溶液に、HATU(180mg、0.47ミリモル)を添加した。この混合物を室温で18時間撹拌し、EtOAcで希釈し、半飽和NaCl水溶液で4回洗浄した。有機相を無水MgSO上で乾燥し、ろ過し、次いで、真空内で濃縮した。残渣は、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAC=6:1から4:1)によって精製した。
【0259】
ステップ23K:
【0260】
【化99】

化合物23J(113mg、0.18ミリモル)のジクロロメタン(20ml)溶液にHoveyda−Grubbsの第1世代触媒(5モル%当量)を添加した。反応混合物を40°Cで20時間撹拌した。次いで、溶媒を蒸発させ、残渣はグラディエント溶出(ヘキサン/EtOAC=6:1から2:1)を用いてシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、大環状化合物23K(45mg)を得た。MS(ESI)のm/z600.37(M+H)。
【0261】
ステップ23L:
【0262】
【化100】

化合物23K(26mg、0.043ミリモル)のTHF/MeOH(2ml/1ml)溶液に、1N水酸化リチウム(1ml、1ミリモル)を添加した。この混合物を室温で20時間撹拌した。ほとんどの有機溶媒を真空内で蒸発させ、結果として生じる残渣を、水で希釈し、pH5−6に酸性化した。この混合物をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機抽出物は乾燥(MgSO)し、ろ過し、真空内で濃縮し23L(100%)を与えた。MS(ESI):m/z586.25(M+H)および592.26(M+Li)。
【0263】
ステップ23M:
【0264】
【化101】

化合物23L(23mg、0.039ミリモル)、化合物17J−1(0.046ミリモル)およびDIPEA(0.041ml、6当量)の0°CのDMF(1.5ml)溶液に、HATU(18mg、0.047ミリモル)を添加した。この混合物を室温で18時間撹拌し、EtOAcで希釈し、半飽和NaCl水溶液で4回洗浄した。有機相を無水MgSO上で乾燥し、ろ過し、次いで、真空内で濃縮した。残渣を分取HPLCによって精製し表題化合物(10mg)を与えた。MS(ESI):m/z789.47(M+H)および820.45(M+Na)。
【0265】
実施例24
式IIIの化合物[式中、L=
【0266】
【化102】

、J−B−Q=
【0267】
【化103】

、Z=CH=CHおよびG=
【0268】
【化104】

]。
【0269】
【化105】

を実施例23に記載されたのと同一の手順を用いて調製した。MS(ESI):m/z798.51(M+H)および820.49(M+Na)。
【0270】
実施例25
式IIIの化合物[式中、L=
【0271】
【化106】

、J−B−Q=
【0272】
【化107】

、Z=CH=CHおよびG=
【0273】
【化108】

]。
【0274】
【化109】

を実施例x6に記載されたのと同一の手順を用いて調製した。MS(ESI):m/z810.46(M+H)および832.44(M+Na)。
【0275】
実施例26から実施例58(式III)は実施例1または17に記載された手順に従って製造する。
【0276】
【表2】






本発明の化合物はHCVNS3プロテアーゼに対して強力な阻害特性を示す。以下の実施例は、本発明の化合物の抗HCV効果を試験することができるアッセイを記載する。
【0277】
実施例59
NS3/NS4aプロテアーゼ酵素アッセイ
HCVプロテアーゼ活性および阻害は、内部消光蛍光発生基質を用いて試験する。
DABCYLおよびEDANS基を、短いペプチドの両端に結合する。DABCYL基によるEDANS蛍光の消光は、タンパク質分解性切断時に緩和される。355nmの励起波長および485nmの発光波長を用いて、Molecular Devices Fluoromax(または同等物)により蛍光を測定した。
【0278】
NS4A補因子とつないだ全長のNS3 HCVプロテアーゼIb(酵素終濃度1から15nM)を添加したCorning white half−area 96ウェルプレート(VWR29444−312[Corning3693])でアッセイを行う。アッセイ緩衝液に10μMNS4A補因子Pep4A(Anaspec25336または弊社、MW1424.8)を補充する。RET S1(Ac−Asp−Glu−Asp(EDANS)−Glu−Glu−Abu−[COO]Ala−Ser−Lys−(DABCYL)−NH,AnaSpec22991,MW1548.6)を蛍光ペプチド基質として使用する。アッセイ緩衝液は、pH7.5で50mMのHepes、30mMのNaClおよび10mMのBMEを含む。室温で、阻害剤の存在下および非存在下で、30分間の時間経過で酵素反応を行う。
【0279】
ペプチド阻害剤HCV Inh 1(Anaspec25345,MW796.8)Ac−Asp−Glu−Met−Glu−Glu−Cys−OH、[−20℃]およびHCV Inh 2(Anaspec25346,MW913.1)Ac−Asp−Glu−Dif−Cha−Cys−OHを参照化合物として使用した。
【0280】
等式205:y=A+((B−A)/(1+((C/x)^D)))を使用して、ActivityBase(IDBS)のXLFitを使用してIC50値を計算した。
【0281】
実施例60
細胞系レプリコンアッセイ
セルラインにおけるHCVレプリコンRNAの定量(HCV細胞系アッセイ)
HCVレプリコン(Lohmannら、Science 285:110−113、1999)が寄生している、Huh−11−7またはHuh9−13を含む、セルラインを96ウェルプレートに5×10細胞/ウェルで播種し、DMEM(高グルコース)、10%のウシ胎仔血清、ペニシリン−ストレプトマイシンおよび非必須アミノ酸を含有する培地を加える。細胞を5%COのインキュベーターで37℃で培養する。培養の最後に、Qiagen Rneasy96キット(カタログNo.74182)を用いて、細胞から全RNAを抽出および精製する。十分な量の物質がHCV特異的プローブ(以下に示す)によって検出できるようにするためのHCV RNA増幅に際して、HCVに特異的なプライマー(以下に示す)は、HCV RNAの逆転写およびTaqMan One−Step RT−PCR Master Mix Kit;Applied Biosystems カタログNo.4309169を用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるcDNAの増幅の両方に介在する。HCVゲノムのNS5B部位に存在するRT−PCRプライマーのヌクレオチド配列は以下の通りである。
【0282】
HCVForwardプライマー「RBNS5bfor」
5’GCTGCGGCCTGTCGAGCT:
HCVリバースプライマー「RBNS5Brev」:
5’CAAGGTCGTCTCCGCATAC
RT−PCR生成物の検出は、蛍光性のレポーター色素およびクエンチャー色素で標識されている、プローブがPCR反応中に放射する蛍光を検出するApplied Biosystems(ABI)Prism7700 Sequence Detection System(SDS)を用いて行った。蛍光量の増加がそれぞれのPCRサイクル中で測定され、RT−PCR生成物の量の増加を反映している。具体的には、定量は、増幅プロットが規定した蛍光閾値と交差する、閾値サイクルに基づいている。試料と公知標準品との閾値サイクルの比較は、異なった試料における相対的なテンプレート濃度の高感度測定(ABI User Bulletin #2、1997年12月11日)を提供する。このデータはABI SDSプログラムバージョン1.7を用いて分析する。相対的なテンプレート濃度はHCV RNA標準の標準曲線と公知のコピー数を用いて、RNA転写数に変換することができる(ABI User Bulletin #2、1997年12月11日)。
【0283】
RT−PCR生成物は下記の標識化プローブを用いて検出した。
5’−FAM−CGAAGCTCCAGGACTGCACGATGCT−TAMRA
FAM=蛍光レポーター色素
TAMRA=クエンチャー色素
RT反応は48℃30分、次いでPCRによって行う。ABIプリズム7700配列検出システムでのPCR反応に用いられる熱サイクルパラメータは以下の通りである。1サイクルは95℃で10分、次いで、それぞれのサイクルが95℃で15秒間の第1回培養および60℃で1分間の第2回培養を含む、35サイクル。
【0284】
細胞RNAにより内部対照分子のデータを正規化するために、細胞メッセンジャーRNAである、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)についてRT−PCRを実施する。GAPDHのコピー数は、用いたセルラインでは一定である。GAPDHのRT−PCRは、HCVコピー数が決定された全く同じRNAサンプルについて実施する。GAPDHのプライマーおよびプローブは、コピー数を決定するための標準と同様に、ABI Pre−Developed TaqMan アッセイキット(カタログNo.4310884E)に含まれている。HCV/GAPDHのRNA比は、HCV RNAの複製阻害を評価する化合物の活性を計算するのに用いる。
【0285】
レプリコン含有Huh−7細胞株におけるHCV複製阻害剤としての化合物の活性(細胞系アッセイ)
Huh−11−7またはHuh−9−13細胞のHCVレプリコンRNAレベルにおける、特異的抗ウイルス化合物の作用は、GAPDHで正規化されたHCV RNAの量(例えば、HCV/GAPDHの比)を、化合物を添加した細胞のものと0%阻害および100%阻害対照となっている細胞のものとを比較することによって測定した。具体的には、細胞を5×10細胞/ウェルになるように96ウェルプレートに播種して、1)1%のDMSOを含有する培養液(0%阻害の対照)、2)100国際単位(IU)/mlのインターフェロン−アルファ2bを含有する1%DMSO培養液、または3)一定の濃度の化合物を含有する1%DMSO培養液、のいずれかで培養した。上記の96ウェルプレートを37℃ で3日間(最初のスクリーニング試験)または4日間(IC50の測定)培養した。阻害百分率を以下のように定義する。
阻害(%)=[100−((S−C2)/(C1−C2))]×100
[式中、S=試料中のHCV RNAのコピー数/GAPDH RNAのコピー数の比;
C1=0%阻害対照(1%DMSO培地)中のHCV RNAのコピー数/GAPDH RNAのコピー数の比;および
C2=100%阻害対照(100IU/mlのインターフェロン−アルファ2b)中のHCV RNAのコピー数/GAPDH RNAのコピー数の比である。]
阻害剤の用量依存曲線を、特定化合物の最高濃度10μMで始まり、最低濃度0.01μMで終わる、3対数を越える3倍希釈で順に化合物をウェルに加えることによって、作成した。さらなる希釈系(例えば、1μMから0.001μM)は、IC50値がこの曲線の線形領域内にない場合に作成した。IC50は、マイクロソフト エクセルの“XL Fit”を用いる、IDBS Activity Baseプログラムに基づいて測定した。ここにおいて、A=100%阻害値(100IU/mlのインターフェロン−アルファ2b)、B=0%阻害対照の値(1%DMSO培養液)、そしてCは、C=(B−A/2)+Aと定義した、この曲線の中間点である。A,BおよびCの値は、上述の96ウェルプレートの各ウェル中の各試料について測定したHCV RNA/GAPDH RNAの比として示した。各100%および0%阻害値を決めるために、各プレートについて平均して4ウェルを用いた。
【0286】
本発明は各種の好ましい実施形態に関して記載されているが、これらに限定されるものではなく、むしろ本発明の精神および添付の特許請求の範囲の内での改変および修飾がなされることは、当業者の認識するところである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

[式中、
Aは、存在しない、または−(C=O)−、−S(O)−、−(C=NOR)−;および−(C=N−R)−からなる群から選択され;
は、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む−C−Cアルキル、−C−Cアルケニルまたは−C−Cアルキニル;O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換−C−Cアルキル、置換−C−Cアルケニルまたは置換−C−Cアルキニル;−C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;−C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニル
からなる群から選択され;
Jは、−C(R)−、−O−および−NR−からなる群から選択され;
、RおよびRは、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む−C−Cアルキル、−C−Cアルケニルまたは−C−Cアルキニル;O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換−C−Cアルキル、置換−C−Cアルケニルまたは置換−C−Cアルキニル;−C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;−C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニル
からなる群から独立して選択され;
Bは、
(i)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含むC−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル;
(ii)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換C−Cアルキル、置換C−Cアルケニルまたは置換C−Cアルキニル;
(iii)C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;
(iv)C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニル
であり;
Yは、存在しない、またはO、S、NR、CO、SOおよびSOから選択され;
およびXは、
(i)Xに対して水素;
(ii)アリール;
(iii)置換アリール;
(iv)ヘテロアリール;
(v)置換ヘテロアリール;
(vi)複素環または置換複素環;
(vii)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含むC−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル;
(viii)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換C−Cアルキル、置換C−Cアルケニルまたは置換C−Cアルキニル;
(ix)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含むC−C12シクロアルキルまたは置換C−C12シクロアルキル;
(x)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含むC−C12シクロアルケニルまたは置換C−C12シクロアルケニル;
(xi)W−R(Wは(CO)、(CO)O、(CO)NH、(SO)、(SO)または(SO)NHであり;ならびにRは、
(a)水素;
(b)アリール;
(c)置換アリール;
(d)ヘテロアリール;
(e)置換ヘテロアリール;
(f)複素環;
(g)置換複素環;
(h)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含むC−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニル;
(i)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換C−Cアルキル、置換C−Cアルケニルまたは置換C−Cアルキニル;
(j)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含むC−C12シクロアルキルまたは置換C−C12シクロアルキル;および
(k)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含むC−C12シクロアルケニルまたは置換C−C12シクロアルケニル
からなる群から独立して選択される。)
からなる群から独立して選択され;
または、XおよびXは、これらが結合している炭素原子と一緒になって、置換もしくは非置換のシクロアルキル、シクロアルケニルおよび複素環;1個以上のアリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、または置換シクロアルケニルと縮合した、置換もしくは非置換のシクロアルキル、シクロアルケニルまたは複素環から選択される環状部分を形成し;
Lは、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む−C−Cアルキル、−C−Cアルケニルまたは−C−Cアルキニル;O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換−C−Cアルキル、置換−C−Cアルケニルまたは置換−C−Cアルキニル;−C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;−C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニルからなる群から選択され;
Zは、
(i)水素;
(ii)SR
(iii)OR
(iv)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(v)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(vi)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む−C−Cアルキル、−C−Cアルケニルまたは−C−Cアルキニル;O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換−C−Cアルキル、置換−C−Cアルケニルまたは置換−C−Cアルキニル;−C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;−C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニル
からなる群から選択され;
は、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む−C−Cアルキル、−C−Cアルケニルまたは−C−Cアルキニル;O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換−C−Cアルキル、置換−C−Cアルケニルまたは置換−C−Cアルキニル;−C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;−C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニル
からなる群から選択され;
Gは、−NHS(O)−R;−NH(SO)NR;ORおよびNRからなる群から選択され;
は、
(i)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(ii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iii)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む−C−Cアルキル、−C−Cアルケニルまたは−C−Cアルキニル;O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換−C−Cアルキル、置換−C−Cアルケニルまたは置換−C−Cアルキニル;−C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;−C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニル
からなる群から選択され;
およびRは、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)ヘテロシクロアルキルまたは置換ヘテロシクロアルキル;および
(iv)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む−C−Cアルキル、−C−Cアルケニルまたは−C−Cアルキニル;O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を各々含む置換−C−Cアルキル、置換−C−Cアルケニルまたは置換−C−Cアルキニル;−C−C12シクロアルキルまたは置換−C−C12シクロアルキル;−C−C12シクロアルケニルまたは置換−C−C12シクロアルケニル
からなる群から独立して選択され;
m=0、1または2;
n=1、2または3;
k=1、2または3である。]。
【請求項2】
化合物が式II
【化2】

[式中、A、B、J、L、Y、X、X、ZおよびGは、請求項1に定義した通りである]の化合物、またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグ単独である、または薬学的に許容される担体もしくは賦形剤と組み合わせた、請求項1の化合物。
【請求項3】
L、J−B−Y−Q、ZおよびGが表1に記述される、式IIIの化合物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【表1】










【請求項4】
阻害量の請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグを、薬学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項5】
阻害量の請求項4に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象のC型肝炎ウイルス感染を治療する方法。
【請求項6】
ウイルス感染がC型肝炎ウイルス感染である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼ阻害量の請求項4に記載の医薬組成物を供給することを含む、C型肝炎ウイルスの複製を阻害する方法。
【請求項8】
追加の抗C型肝炎ウイルス剤を同時に投与することをさらに含む、請求項5の方法。
【請求項9】
前記追加の抗C型肝炎ウイルス剤が、α−インターフェロン、β−インターフェロン、リババリンおよびアダマンチンからなる群から選択される、請求項8の方法。
【請求項10】
前記追加の抗C型肝炎ウイルス剤が、C型肝炎ウイルスヘリカーゼ、ポリメラーゼ、メタロプロテアーゼまたはIRESの阻害剤である、請求項8の方法。
【請求項11】
別の抗HCV剤をさらに含む、請求項4の医薬組成物。
【請求項12】
インターフェロン、リバビリン、アマンタジン、別のHCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤または内部リボソーム進入部位阻害剤から選択される薬剤をさらに含む、請求項4の医薬組成物。
【請求項13】
ペグ化インターフェロンをさらに含む、請求項4の医薬組成物。
【請求項14】
別の抗ウイルス、抗バクテリア、抗菌または抗癌剤または免疫調節剤をさらに含む、請求項4の医薬組成物。

【公表番号】特表2011−506472(P2011−506472A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538179(P2010−538179)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/086514
【国際公開番号】WO2009/079352
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(503323970)エナンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】