説明

天井吊下型コンセント

【課題】ノイズの影響を回避しつつ給電と情報通信の双方が両立可能な天井吊下型コンセントを提供する。
【解決手段】紐体2の先端に昇降自在に設けられた本体3と、一端部が支持体1内に収納されるとともに他端部が本体3内に導入された光カールコード4と、一端部が支持体1内に収納されるとともに他端部が本体3内に導入された電源カールコード5と、本体3内で光カールコード4の端部に接続された光レセプタクル部6と、本体3内で電源カールコード5の端部に接続されたコンセント部7とを備える。情報通信用の媒体として光ファイバ(光カールコード4)を用いているため、給電用のライン(電源カールコード5)との間で互いにノイズの影響を及ぼし合う虞がないから、ノイズの影響を回避しつつ給電と情報通信の双方が両立可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井吊下型コンセントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天井に固定される支持体と、支持体より垂下された紐体と、紐体の先端に昇降自在に設けられた本体と、両端部を除く部位が螺旋状に形成されてなり一端部が支持体内に収納されるとともに他端部が本体内に導入された電源カールコードと、本体内で電源カールコードの端部に接続され差込プラグが挿抜自在に接続されるコンセント部とを備え、電源カールコードの内側に紐体が挿通されてなる天井吊下型コンセントが提供されている(特許文献1参照)。かかる天井吊下型コンセントは、利用しないときには天井近くに本体を引き上げておくことができ、利用する際に適宜、任意の位置まで本体を引き下げて紐体により保持させておくことができるようになっている。
【特許文献1】実願昭56−64117号(実開昭57−176079号)のマイクロフィルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、家庭内においてインターネットや家庭内LANが急速に普及したことに伴い、従来例のように給電用の差込プラグが接続可能なコンセント部だけでなく、例えば、LANケーブルに付設されているモジュラプラグが接続可能なモジュラジャック等の情報コンセントを本体に付加してほしいとの要望が強まっている。
【0004】
しかしながら、給電用のラインと情報通信用の電気信号のラインとが近接して配置された場合、互いにノイズの影響を及ぼし合う虞があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、ノイズの影響を回避しつつ給電と情報通信の双方が両立可能な天井吊下型コンセントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、天井に固定される支持体と、支持体より垂下された紐体と、紐体の先端に昇降自在に設けられた本体と、光ファイバコードの両端部を除く部位が螺旋状に形成されてなり一端部が支持体内に収納されるとともに他端部が本体内に導入された光カールコードと、両端部を除く部位が螺旋状に形成されてなり一端部が支持体内に収納されるとともに他端部が本体内に導入された電源カールコードと、本体内で光カールコードの端部に接続され光コネクタプラグが挿抜自在に接続される光コネクタレセプタクル部と、本体内で電源カールコードの端部に接続され差込プラグが挿抜自在に接続されるコンセント部とを備え、電源カールコード並びに光カールコードの内側に紐体が挿通されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、情報通信用の媒体として光ファイバを用いているため、給電用のラインとの間で互いにノイズの影響を及ぼし合う虞がないから、ノイズの影響を回避しつつ給電と情報通信の双方が両立可能な天井吊下型コンセントを提供することができる。しかも、紐体を電源カールコード並びに光カールコードの内側に挿通しているから、紐体を保護して耐久性の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図1〜図4を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0009】
本実施形態は、天井に固定される支持体1と、支持体1より垂下された紐体2と、紐体2の先端に昇降自在に設けられた本体3と、光ファイバコードの両端部を除く部位が螺旋状に形成されてなり一端部が支持体1内に収納されるとともに他端部が本体3内に導入された光カールコード4と、両端部を除く部位が螺旋状に形成されてなり一端部が支持体1内に収納されるとともに他端部が本体3内に導入された電源カールコード5と、本体3内で光カールコード4の端部に接続され光コネクタプラグ(図示せず)が挿抜自在に接続される光コネクタレセプタクル部(以下、光レセプタクル部と略す。)6と、本体3内で電源カールコード5の端部に接続され差込プラグ(図示せず)が挿抜自在に接続されるコンセント部7とを備えている。
【0010】
支持体1は、略半球状に形成された合成樹脂成形品からなり、下面中央に設けられた孔(図示せず)から紐体2、光カールコード4、電源カールコード5がそれぞれ垂下されており、内側に収納された取付金具(図示せず)によって天井に固定されている。ここで、支持体1に覆われた天井面には給電用の埋込コンセント(図示せず)並びに光コネクタのアダプタ(図示せず)が埋込配設されており、電源カールコード5の一端部に付設されている差込プラグ(図示せず)を埋込コンセントに差込接続することで電源カールコード5が埋込コンセントを介して商用電源と結線され、光カールコード4の一端部に付設されている光コネクタのプラグ(図示せず)をアダプタに差込接続することで光カールコード4がアダプタを介して天井裏に配線されている光ファイバコードと結線される。なお、光カールコード4は紐体2とともに電源カールコード5の内側に挿通されており、電源カールコード5によって光カールコード4並びに紐体2が保護されるとともに、電源カールコード5によって光カールコード4が保護されている。
【0011】
本体3は、合成樹脂成形品からなるボディ3aとカバー3bを結合して構成される。ボディ3a並びにカバー3bは、互いに平面視釣鐘状であって結合面が開放された略同一形状に形成され、結合面同士を突き合わせるようにして取付ねじ(図示せず)により結合される。また、本体3の上面中央からは略円筒形状の首部3cが突出しており、首部3cを貫通する孔を通して紐体2が本体3の外へ引き出されている。さらに、本体3の底面には光レセプタクル部6並びにコンセント部7が前面を露出させるようにして取り付けられる。なお、光カールコード4並びに電源カールコード5は首部3cの根元部分に設けられた孔(図示せず)を通して本体3の外へ引き出されている。
【0012】
本体3内には、本体3の外へ引き出される紐体2の長さを変えることで本体3を昇降させる昇降機構が納装されている。かかる昇降機構は、回転することで紐体2を巻き取る巻き取りリール10、巻き取りリール10の回転を規制するストッパばね11、ストッパばね11による巻き取りリール10の規制を解除して本体3を上昇せしめるためのカム軸12等で構成される。巻き取りリール10は、一面の中心に突出する回転軸13をボディ3a内面に、他面中央に突出する筒軸14をカバー3b内面に、それぞれ嵌合させて本体3内へ回転自在に装着される。紐体2の下端は巻き取りリール10の上面周縁に突出する上ドラム15に連結されるとともに、上ドラム15に巻き戻し自在に巻回される。一方、巻き取りリール10は下面周縁に突出する下ドラム16内に収められたぜんまいばね17によって上ドラム15の外周へ紐体2を巻き取る方向へ回転付勢されている。また下ドラム16の外周には周方向に沿って複数の係止凹所18が略等間隔に形成され、ボディ3a底面に一端を取り付けたストッパばね11が各係止凹所18を含む下ドラム16外周面に弾接しており、巻き取りリール10が紐体2を解く方向に回転するとき、すなわち、ぜんまいばね17のばね力に抗して回転するときは、各係止凹所18にストッパばね11が係止されることなく、巻き取りリール10が回転し、巻き取りリール10が紐体2を巻き付ける方向に回転するとき、すなわち、ぜんまいばね17のばね力にて回転するときは、係止凹所18内にストッパばね11先端が嵌入して、巻き取りリール10の回転を規制する。すなわち、使用時において、本体3をもって下向きに引っ張る場合、巻き取りリール10が自由に回転して紐体2が巻き取りリール10より解かれ、本体3への引き下げ力を取り除いた場合、ぜんまいばね17によりストッパばね11が最も近い位置の係止凹所18に係止するまで巻き取りリール10が紐体2を巻き取る方向に回転した後、係止凹所18にストッパばね11が嵌入する位置に停止して、本体3が天井より任意の長さ引き下ろされた位置に保持される。
【0013】
巻き取りリール10の規制を解除するためのカム軸12は、カバー3b内面に突出するボス筒19内に挿通され後端がカバー3b外面に露出する押釦20にて連結され、コイルばね21によってカバー3b外方にばね付勢されている。このカム軸12の先端部はストッパばね11の中央に延出した鉤片22内に嵌入され、コイルばね21のばね力に抗してカム軸12を内側に押し込むと、カム軸12先端がストッパばね11を巻き取りリール10との係合を外すように押し開き、巻き取りリール10がぜんまいばね17のばね力によってその外周に紐体2を巻き取る方向に回転する。すなわち、カバー3b外面に露出する押釦20を押し込むと、巻き取りリール10の規制が解除され、それまで所定の長さだけ本体3から引き出されていた紐体2が巻き取りリール10へ巻き取られて本体3が天井近くまで上昇するのである。
【0014】
本体3内に収納されるコンセント部7は大角連用形配線器具のコンセントと同一構造であって、合成樹脂成形品からなる器具本体70の前面に複数の刃受穴71が設けられ、各刃受穴71に差し込まれる差込プラグの栓刃を受ける複数の刃受(図示せず)と、刃受を電源カールコード5と電気的に接続するための端子(図示せず)とを器具本体70内に収納して構成されている。このコンセント部7は、大角連用形配線器具の取付枠に取り付けるための固着部72を用いて本体3に固定される。
【0015】
同じく本体3内に収納される光レセプタクル部6は、角筒状に形成されたハウジング60と、ハウジング60内に収納されるスリーブ(図示せず)とで構成される(図3及び図4参照)。ハウジング60の軸方向における前後両端面には各々光コネクタプラグ(以下、光プラグと略す。)が差し込まれる差込孔60a,60bが開口している。後端面の差込孔60bには光カールコード4の先端に付設されている光プラグが差し込まれ、図示しないロック機構によって光プラグがハウジング60に対して抜け止めされる。そして、前端面の差込孔60aに差し込まれるSC形の光プラグと前記光プラグとがスリーブを介して光学的に接続されるのである。また、光レセプタクル部6の前端側には固定用カバー61が取り付けられる。この固定用カバー61は大角連用形配線器具と同一形状であって、差込孔60aを開放するための窓孔62aがボス部62の前面に設けられるとともに取付枠に取り付けるための固着部63がボス部62を挟んだ両端部に設けられている。また、固定用カバー61の内側には先端部に係止爪64aを有する一対の係止片64,64が後方に向かって突設されており、ハウジング60の前端面をボス部62の前端面裏側に当接するようにして光レセプタクル部6を固定用カバー61内に押し込むことで各係止片64,64の先端部に設けられている係止爪64a,64aがハウジング60に係止されてハウジング60と固定用カバー61とが結合される。なお、このように構成される光レセプタクル部6は、コンセント部7と同様に固着部63を用いて本体3に固定される。
【0016】
而して、本実施形態では情報通信用の媒体として光ファイバ(光カールコード4)を用いているため、給電用のライン(電源カールコード5)との間で互いにノイズの影響を及ぼし合う虞がないから、ノイズの影響を回避しつつ給電と情報通信の双方が両立可能であり、しかも、光カールコード4を電源カールコード5の内側に挿通しているから、光カールコード4を保護して耐久性の向上が図れるという利点がある。なお、光カールコード4と電源カールコード5を用いる代わりに、光ファイバと電源線を共通のシースで被覆してなる光・電源線複合コードを用いても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態を示し、(a)は正面図、(b)は本体の下面図である。
【図2】同上における一部省略した本体を示し、(a)は切り欠き側面図、(b)は縦断面図である。
【図3】同上における光レセプタクル部を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図、(d)は下面図である。
【図4】同上における光レセプタクル部を示し、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
1 支持体
2 紐体
3 本体
4 光カールコード
5 電源カールコード
6 光レセプタクル部
7 コンセント部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に固定される支持体と、支持体より垂下された紐体と、紐体の先端に昇降自在に設けられた本体と、光ファイバコードの両端部を除く部位が螺旋状に形成されてなり一端部が支持体内に収納されるとともに他端部が本体内に導入された光カールコードと、両端部を除く部位が螺旋状に形成されてなり一端部が支持体内に収納されるとともに他端部が本体内に導入された電源カールコードと、本体内で光カールコードの端部に接続され光コネクタプラグが挿抜自在に接続される光コネクタレセプタクル部と、本体内で電源カールコードの端部に接続され差込プラグが挿抜自在に接続されるコンセント部とを備え、電源カールコード並びに光カールコードの内側に紐体が挿通されてなることを特徴とする天井吊下型コンセント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−193995(P2007−193995A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9177(P2006−9177)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】