説明

天井扇

【課題】回転体を視認できない構成で使用者に圧迫感を感じさせることなく、回転体に触れることができないため安全であり、かつ床方向へ気流を送ることができ天井扇から直接涼風を得ることができる天井扇を提供することを目的とする。
【解決手段】箱体1に空気を取り入れる吸込み口2と、高圧空気を発生するための羽根車3とこれを駆動するためのモータ4で構成された高圧空気発生手段とが設けられた高圧空気発生部5と、高圧空気を気流として吹出す吹出し口6を有する気流吹出し部7と、高圧空気発生部5と気流吹出し部7を連通する連結ダクト8とを備え、気流吹出し部7が環形状であり、高圧空気発生部5を天井に取り付けられる構成で、気流吹出し部7から吹き出される気流の方向を環形状の中心側と外周側に切り替える切替ダンパ9を備えた天井扇。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井に設置され、直接風による体感温度の減少や室内の空気の循環に使用される天井扇に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の天井扇は、長板状の羽根板の一端を支持する接続部材を介して、電動機により回転する回転体に固定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その天井扇について図9を参照しながら説明する。
【0004】
図9に示すように、天井扇101の全体構成はキャノピー( 上カバー)102と中カバー103と電動機の外側回転体104と下カバー105と、外側回転体104のホルダー106に動翼107が取り付けられているものからなり、キャノピー102の内部の簡易取り付け金具108が天井109にネジ止めされて天井扇101は吊り下げられている。
【0005】
上記構成において、動翼107は回転軸を中心とする径方向に所定の角度を持って取り付けられており、電動機により動翼107が回転すると、動翼107の昇圧作用により、正方向の回転では動翼107の外周から天井109と動翼107の間を通った空気が下方に送風される。また、動翼107を逆回転させると空気は天井に向かって送風される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−210678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献の天井扇では動翼が回転するのが視認できるため、天井扇を運転する際に使用者に圧迫感を与えてしまうという課題があったため、天井が低い場所には設置しにくいという課題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、遠心羽根車など回転体を視認できない構成で使用者に圧迫感を感じさせることなく、床方向および天井方向へ気流を送ることができ、天井扇から直接涼風を得ることができる天井扇を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この目的を達成するために、本発明は、箱体に空気を取り入れる吸込み口と、高圧空気を発生するための羽根車と羽根車を駆動するためのモータで構成された高圧空気発生手段とが設けられた高圧空気発生部と、高圧空気を気流として吹出す吹出し口を有する気流吹出し部と、前記高圧空気発生部と前記気流吹出し部を連通する連結ダクトとを備え、前記気流吹出し部が環形状であり、前記高圧空気発生部を天井に取り付けられる構成である天井扇であって、前記気流吹出し部から吹き出される気流の方向を環形状の中心側と外周側に切り替える気流制御手段を前記気流吹出し部に備えた天井扇としたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回転体を視認できない構成で使用者に圧迫感を感じさせることなく、回転体に触れることができないため安全であり、かつ床方向および天井方向へ気流を送ることができ、天井扇から直接涼風を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1の天井扇の天井から見た斜視図
【図2】同天井扇の床面から見た斜視図
【図3】同天井扇と照明手段を示す斜視図
【図4】同天井扇と照明手段の接続を示す斜視図
【図5】同断面図
【図6】同天井扇の気流吹き出し部を示す斜視断面図
【図7】本発明の実施の形態2の天井扇の気流吹き出し部を示す斜視断面図
【図8】本発明の実施の形態3の天井扇の気流吹き出し部を示す斜視断面図
【図9】従来技術の一例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の請求項1記載の天井扇は、箱体に空気を取り入れる吸込み口と、高圧空気を発生するための羽根車と羽根車を駆動するためのモータで構成された高圧空気発生手段とが設けられた高圧空気発生部と、高圧空気を気流として吹出す吹出し口を有する気流吹出し部と、前記高圧空気発生部と前記気流吹出し部を連通する連結ダクトとを備え、前記気流吹出し部が環形状であり、前記高圧空気発生部を天井に取り付けられる構成である天井扇において、前記気流吹出し部から吹き出される気流の方向を環形状の中心側と外周側に切り替える気流制御手段を前記気流吹出し部に備えた天井扇である。
【0013】
これにより、回転体を視認できない構成であるため、使用者に圧迫感を感じさせることがない。また、気流の方向を任意に設定できるため、床方向でかつ環形状の中心部へ気流を送ることで天井扇から使用者へ直接風速の早い涼風を得ることができる。また、風速の早い涼風はいらない場合には、外周側へ気流を送ることができる。
【0014】
また、気流制御手段は、気流吹出し部の内部の空洞を中心側空洞と外周側空洞に分割して、高圧空気発生部から発生した高圧空気を前記中心側空洞と前記外周側空洞に選択して分岐するダンパ切替手段であるものであり、また、気流の方向を任意に設定できるため、床方向でかつ環形状の中心部へ気流を送ることで天井扇から使用者へ直接風速の早い涼風を得ることができる。また、風速の早い涼風はいらない場合には、外周側へ気流を送ることができる。
【0015】
また、気流制御手段は、吹出し口の近傍備えたフラップ可変手段であるものでありまた、気流の方向を任意に設定できるため、床方向でかつ環形状の中心部へ気流を送ることで天井扇から使用者へ直接風速の早い涼風を得ることができる。また、風速の早い涼風はいらない場合には、外周側へ気流を送ることができる。
【0016】
また、箱体に空気を取り入れる吸込み口と、高圧空気を発生するための羽根車と羽根車を駆動するためのモータで構成された高圧空気発生手段とが設けられた高圧空気発生部と、高圧空気を気流として吹出す吹出し口を有する気流吹出し部と、前記高圧空気発生部と前記気流吹出し部を連通する連結ダクトとを備え、前記気流吹出し部が環形状であり、前記高圧空気発生部を天井に取り付けられる構成である天井扇において、前記気流吹出し部から吹き出される気流の方向を環形状の床面側と天井側に切り替える気流制御手段を前記気流吹出し部に備えたものであり、これにより、回転体を視認できない構成であるため、使用者に圧迫感を感じさせることがない。また、気流の方向を任意に設定できるため、床方向へ気流を送ることで天井扇から直接涼風を得ることができ、冬季の直接の涼風はいらない場合には、天井方向へ気流を送ることで、室内の空気を循環させて、部屋の中の空気を均一化することができる。
【0017】
また、気流制御手段は、気流吹出し部の内部の空洞を床面側空洞と天井側空洞に分割して、高圧空気発生部から発生した高圧空気を前記床面側空洞と前記天井側空洞に選択して分岐するダンパ切替手段であるものであ気流の方向を任意に設定できるため、床方向へ気流を送ることで天井扇から直接涼風を得ることができ、冬季の直接の涼風はいらない場合には、天井方向へ気流を送ることで、室内の空気を循環させて、部屋の中の空気を均一化することができる。
【0018】
また、気流制御手段は、吹出し口の近傍備えたフラップ可変手段であるものであり、床方向へ気流を送ることで天井扇から直接涼風を得ることができ、冬季の直接の涼風はいらない場合には、天井方向へ気流を送ることで、室内の空気を循環させて、部屋の中の空気を均一化することができる。
【0019】
また、天井と高圧空気発生部と気流吹出し部と連結ダクトに落下防止手段が設けられていることを特徴とするものであり、落下により天井扇が破損することを防止することができる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1に本発明の実施の形態1の天井扇の断面図、図2に同天井扇の天井から見た斜視図、図3に同天井扇の床面から見た斜視図、図4に同天井扇と照明を示す斜視図、図5に同天井扇と照明の接続を示す斜視図、図6に同天井扇の気流吹き出し部を示す断面図を示す。
【0022】
まず、実施の形態1の構成について説明する。
【0023】
本発明の実施の形態1の天井扇は、図1から図6に示すように、箱体1に空気を取り入れる吸込み口2と、高圧空気を発生するための羽根車3と羽根車3を駆動するためのモータ4で構成された高圧空気発生手段とが設けられた高圧空気発生部5と、高圧空気を気流として吹出す吹出し口6を有する気流吹出し部7と、高圧空気発生部5と気流吹出し部7を連通する連結ダクト8とを備え、気流吹出し部7が環形状であり、高圧空気発生部5を天井に取り付けられる構成である。
【0024】
また、気流吹出し部7から吹き出される気流の方向を環形状の中心側と外周側に切り替える気流制御手段の1例として図1に示すように切替ダンパ9を備えており、図6に示すように、連結ダクト8および環形状になっている気流吹出し部7が上下に分割されており、切替ダンパ9の切替を行うと、中心側に吹出す上側の中心側空洞21と外周側に吹出す下側の外周側空洞22のそれぞれに高圧空気を流すものである。
【0025】
ここで高圧空気発生部5は、重量が比較的重いため、環形状の気流吹出し部7の略中央に配置された構成とすることで、全体の重心に位置して安定するとともに天井扇をコンパクトにすることができる。
【0026】
また、図2に示すように、高圧空気発生部5に受電手段10が設けられ、天井に既設された照明器具用の給電手段(図示せず)から電力を得ることができる。また、図3に示すように、高圧空気発生部5の下面には給電手段11が設けられ、高圧空気発生部5に照明手段12を取り付けることができる。
【0027】
これにより、天井扇を特別な工具や技術なく簡易に天井に設置できるとともに、今まで照明手段12が設置されている場所に、照明手段12の機能を保持した状態で天井扇を設置することができるものである。
【0028】
次に、実施の形態1の動作を示す。
【0029】
モータ4が駆動して羽根車3を回転させることで、高圧空気発生部5によって吸込み口2から吸い込まれた空気が昇圧されて、吹出し口6から高圧空気を高速噴流に変換して空間に放出される。吹出し口6から噴出される高速噴流が気流吹出し部7の壁面に沿って空気が流れると付着噴流の誘引効果により周辺の空気が空気の粘性によって巻き込まれて多くの風量が天井から離れた箇所で流れるものである。
【0030】
ここで、気流吹出し部7が、天井から離れていることで、気流吹出し部7が、周辺から空気を誘引するため、環の外側だけでなく、天井と気流吹出し部7の間から環形状の気流吹出し部7の環の中を通る風路で、環の内側でも吹出し口から吹出される気流に誘引される気流が起こるため、効率よく気流を送ることができる。
【0031】
また、図6に示すように、切替ダンパ9の切替により中心側に送風すると気流が吹出し口6aから中心側斜め下方向に吹き出し、外周側に切替えて送風すると吹出し口6bから環形状の外側斜め上方向に吹き出すことができる。すなわち、使用者が天井扇の真下に居て直接風速の速い涼風を得たいときには、中心側斜め下方向に吹き出すスポット送風、使用者が天井扇の真下から離れた位置に居る場合や、天井扇の真下に居て風速の速い涼風はいらない場合には、外側斜め上方向に吹き出すワイド送風を切替えることができる。
【0032】
(実施の形態2)
実施の形態2において、実施の形態1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0033】
図7に本発明の実施の形態2の天井扇の気流吹き出し部を示す斜視断面図を示す。
【0034】
実施の形態2の構成について説明する。
【0035】
気流吹出し部7から吹き出される気流の方向を環形状の床面側と天井側に切り替える気流制御手段の1例である切替ダンパ9を備えており、切替ダンパ9の切替を行うと、連結ダクト8および環形状になっている気流吹出し部7が上下に分割されており、床面側に吹出す床面側空洞23と天井側に吹出す天井側空洞24のそれぞれに高圧空気を流すものである。
【0036】
次に、実施の形態2の動作を示す。
【0037】
切替ダンパ9の切替により床面側に送風すると気流が吹出し口6aから床面方向に吹き出し、天井側に切替えて送風すると吹出し口6bから天井方向に吹き出す。
【0038】
これにより夏期には下向きで直接の気流で涼が得られ、冬期には上向きでサーキュレーション効果が得られる。
【0039】
(実施の形態3)
実施の形態3において、実施の形態1および実施の形態2と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
図8に本発明の実施の形態3の天井扇の気流吹き出し部を示す斜視断面図を示す。
【0041】
実施の形態3の構成について説明する。
【0042】
吹出し口6aの近傍に気流制御手段の1例であるフラップ可変手段25を備えたものである。
【0043】
次に、実施の形態3の動作を示す。
【0044】
フラップ可変手段25の動作により、吹出し口6aから吹出す高速噴流がフラップ可変手段25に付着して、気流の方向を変化させ、誘引する空気の方向も変更することができる。
【0045】
これにより、床方向へ気流を送ることで天井扇から直接涼風を得ることができ、冬季の直接の涼風はいらない場合には、天井方向へ気流を送ることで、室内の空気を循環させて、部屋の中の空気を均一化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明にかかる天井扇は、使用者に回転体が視認できないため、使用者に圧迫感を与えることなく室内空気の撹拌、使用者への涼風の提供ができるため、住宅用の室内空気の撹拌を目的に使用される各種送風機器等として有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 箱体
2 吸込み口
3 羽根車
4 モータ
5 高圧空気発生部
6 吹出し口
6a 吹出し口
6b 吹出し口
7 気流吹出し部
8 連結ダクト
9 切替ダンパ
10 受電手段
11 給電手段
12 照明手段
21 中心側空洞
22 外周側空洞
23 床面側空洞
24 天井側空洞
25 フラップ可変手段
101 天井扇
102 キャノピー
103 中カバー
104 外側回転体
105 下カバー
106 ホルダー
107 動翼
108 簡易取り付け金具
109 天井

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体に空気を取り入れる吸込み口と、高圧空気を発生するための羽根車と羽根車を駆動するためのモータで構成された高圧空気発生手段とが設けられた高圧空気発生部と、高圧空気を気流として吹出す吹出し口を有する気流吹出し部と、前記高圧空気発生部と前記気流吹出し部を連通する連結ダクトとを備え、前記気流吹出し部が環形状であり、前記高圧空気発生部を天井に取り付けられる構成である天井扇であって、
前記気流吹出し部から吹き出される気流の方向を環形状の中心側と外周側に切り替える気流制御手段を前記気流吹出し部に備えた天井扇。
【請求項2】
気流制御手段は、
気流吹出し部の内部の空洞を中心側空洞と外周側空洞に分割して、高圧空気発生部から発生した高圧空気を前記中心側空洞と前記外周側空洞に選択して分岐するダンパ切替手段である請求項1に記載の天井扇。
【請求項3】
箱体に空気を取り入れる吸込み口と、高圧空気を発生するための羽根車と羽根車を駆動するためのモータで構成された高圧空気発生手段とが設けられた高圧空気発生部と、高圧空気を気流として吹出す吹出し口を有する気流吹出し部と、前記高圧空気発生部と前記気流吹出し部を連通する連結ダクトとを備え、前記気流吹出し部が環形状であり、前記高圧空気発生部を天井に取り付けられる構成である天井扇であって、
前記気流吹出し部から吹き出される気流の方向を環形状の床面側と天井側に切り替える気流制御手段を前記気流吹出し部に備えた天井扇。
【請求項4】
気流制御手段は、
気流吹出し部の内部の空洞を床面側空洞と天井側空洞に分割して、高圧空気発生部から発生した高圧空気を前記床面側空洞と前記天井側空洞に選択して分岐するダンパ切替手段である請求項3に記載の天井扇。
【請求項5】
気流制御手段は、
吹出し口の近傍に備えたフラップ可変手段である請求項1または3に記載の天井扇。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−252476(P2011−252476A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128553(P2010−128553)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】