説明

天井設置型の物品搬送設備

【課題】設備を策定する設備策定作業の簡素化を図ることができ、しかも、物品の搬送効率を向上できる天井設置型の物品搬送設備を提供する。
【解決手段】物品搬送車が同じ方向に向けて走行する複数の走行経路4A,4Bが、経路横幅方向に並べた状態で天井側に設けられ、複数の走行経路4A,4Bにおける隣り合う一対の走行経路4A,4Bのうちの一方側走行経路4Aから他方側走行経路4Bに物品搬送車が分岐走行する第1分岐経路5A及び他方側走行経路4Bから一方側走行経路4Aに物品搬送車が分岐走行する第2分岐経路5Bが、平面視において走行経路4A,4Bに対して傾斜する傾斜姿勢で、一方側走行経路4Aと他方側走行経路4Bとを接続するように設けられ、第1分岐経路5Aと第2分岐経路5Bとが、平面視にて、交差する形態で設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送車が同じ方向に向けて走行する複数の走行経路が、経路横幅方向に並べた状態で天井側に設けられ、複数の前記走行経路における隣り合う一対の走行経路のうちの一方側走行経路から他方側走行経路に前記物品搬送車が分岐走行する第1分岐経路及び前記他方側走行経路から前記一方側走行経路に前記物品搬送車が分岐走行する第2分岐経路が、平面視において前記走行経路に対して傾斜する傾斜姿勢で、前記一方側走行経路と前記他方側走行経路とを接続するように設けられた天井設置型の物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる天井設置型の物品搬送設備は、例えば、クリーンルーム内の天井部に設置されて、シリコン基板等の基板を収納する収納容器を物品として搬送することに使用される。
すなわち、例えば、複数の走行経路の一つが、基板に対して複数種の処理を行う複数の基板処理装置の搬出入部を経由する状態で配設されて、物品搬送車が物品を複数の基板処理装置に対して搬送することになり、そして、一つの走行経路を走行する物品搬送車が、基板処理装置の搬出入部に対応する箇所に停止していても、後続の物品搬送車は、別の走行経路を通して走行することによって、停止している物品搬送車を追い越し、その後、複数の基板処理装置の搬出入部を経由する一つの走行経路に分岐して走行する形態で、物品の搬送を行えることになる。
【0003】
ちなみに、物品搬送車は、昇降自在な物品把持部を備えて、基板処理装置の搬出入部に対して物品を移載するときには、基板処理装置の搬出入部に対応する箇所にて停止した状態で、物品把持部を昇降させることになる。
【0004】
かかる天井設置型の物品搬送設備の従来例として、第1分岐経路と第2分岐経路とが、平面視にて、隣り合う一対の走行経路の長手方向において異なる箇所に設けられたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
ちなみに、この特許文献1においては、隣り合う一対の走行経路のうちの、一方の走行経路が2つの基板処理装置の搬出入部を経由する状態で設けられることが例示されているが、この一方の走行経路を一方側走行経路とすると、この一方側走行経路から他方側走行経路に物品搬送車を分岐する第1分岐経路を、隣接する基板処理装置の間に相当する箇所に設け、他方側走行経路から一方側走行経路に物品搬送車を分岐する第2分岐経路を、2の基板処理装置のうちの搬送上手側の基板処理装置よりも搬送上手側に相当する箇所に設けることが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−282303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の天井設置型の物品搬送設備においては、第1分岐経路と第2分岐経路とが、平面視にて、隣り合う一対の走行経路の長手方向において異なる箇所に設けられるものであるため、第1分岐経路と第2分岐経路とを設置する箇所を定めながら設備を策定する設備策定作業が煩雑な作業となる不都合や、物品の搬送効率を向上させ難い不都合があり、改善が望まれるものであった。
【0007】
すなわち、第1分岐経路と第2分岐経路との設置箇所は、物品の搬送元から物品の搬送先に至る種々の走行予定ルートを想定しながら、物品の搬送を極力効率良く行える走行予定ルートを確保できる箇所に定める必要があるが、種々の走行予定ルートを想定しながら、第1分岐経路と第2分岐経路との設置箇所を定める作業は、一対の走行経路の各所について、第1分岐経路を設置すると仮定した場合と第2分岐経路を設置すると仮定した場合とを比較検討しながら行うことになるため、手間の掛かる面倒な作業となり、設備策定作業が煩雑な作業となる不都合があった。
【0008】
また、一対の走行経路の特定区間においては、一方側走行経路から他方側走行経路への分岐走行と他方側走行経路から一方側走行経路への分岐走行との、いずれも行えるようにした方が、搬送距離が短くなって、物品の搬送を効率良く行える場合が存在するが、このような場合であっても、特定区間が短いと、第1分岐経路と第2分岐経路とのうちの一方しか設けることができないため、物品の搬送効率を向上できないものであった。
【0009】
ちなみに、上記の特定区間が、第1分岐経路と第2分岐経路とを並べて設ける程度の長さである場合には、一つの特定区間に第1分岐経路と第2分岐経路とを設けることができるが、分岐及び合流箇所では、安全性の確保等の理由により、物品搬送車の走行速度を低下させる必要があるため、第1分岐経路と第2分岐経路との設置箇所が増加すると、物品搬送車を低速で走行させる区間が増加することになり、その結果、一つの特定区間に第1分岐経路と第2分岐経路とを設けることができる場合においても、物品の搬送効率を向上できないものとなる。
【0010】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、設備を策定する設備策定作業の簡素化を図ることができ、しかも、物品の搬送効率を向上できる天井設置型の物品搬送設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の天井設置型の物品搬送設備は、物品搬送車が同じ方向に向けて走行する複数の走行経路が、経路横幅方向に並べた状態で天井側に設けられ、
複数の前記走行経路における隣り合う一対の走行経路のうちの一方側走行経路から他方側走行経路に前記物品搬送車が分岐走行する第1分岐経路及び前記他方側走行経路から前記一方側走行経路に前記物品搬送車が分岐走行する第2分岐経路が、平面視において前記走行経路に対して傾斜する傾斜姿勢で、前記一方側走行経路と前記他方側走行経路とを接続するように設けられたものであって、
その第1特徴構成は、前記第1分岐経路と前記第2分岐経路とが、平面視にて、交差する形態で設けられている点を特徴とする。
【0012】
すなわち、第1分岐経路と第2分岐経路とが、平面視にて、交差する形態で設けられるものであるから、第1分岐経路と第2分岐経路とを、一対の走行経路に対して、同じ箇所に設けることができる。
したがって、物品の搬送元から物品の搬送先に至る種々の走行予定ルートを想定しながら、第1分岐経路と第2分岐経路との設置箇所を、物品の搬送を極力効率良く行える走行予定ルートを確保できる箇所に定めるにあたり、一対の走行経路の各所に、第1分岐経路及び第2分岐経路を同時に設置した場合を仮定しながら、物品の搬送を極力効率良く行える走行予定ルートを確保するために設置が必要となる箇所を抽出すればよいものとなり、種々の走行予定ルートを想定しながら、第1分岐経路と第2分岐経路との設置箇所を定める作業が簡単な作業となるため、設備策定作業の簡素化を図ることができる。
【0013】
しかも、第1分岐経路と第2分岐経路とを、一対の走行経路に対して、走行方向で同じ箇所に設けることができるものであるから、搬送距離の短縮化のために、一方側走行経路から他方側走行経路への分岐走行と他方側走行経路から一方側走行経路への分岐走行との、いずれも行えるようにした方がよい箇所においては、第1分岐経路と第2分岐経路とを併設できるため、搬送距離の短縮化によって、物品の搬送効率を向上できる。
【0014】
ちなみに、第1分岐経路と第2分岐経路とは、一対の走行経路に対して、同じ箇所に設けられるものであるから、同じ数の第1分岐経路と第2分岐経路とを、一対の走行経路の長手方向の異なる箇所に設ける場合と較べると、分岐及び合流のために低速で走行させる区間を減少させることができるものなり、分岐及び合流箇所において、安全性の確保等の理由により、物品搬送車の走行速度を低下させるようにしながらも、物品の搬送効率が低下することを抑制できることになる。
【0015】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、設備を策定する設備策定作業の簡素化を図ることができ、しかも、物品の搬送効率を向上できる天井設置型の物品搬送設備を提供できる。
【0016】
本発明の天井設置型の物品搬送設備の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
複数の前記走行経路が、複数重の環状となる状態で設けられている点を特徴とする。
【0017】
すなわち、複数の走行経路における、内外に隣接する環状の一対の走行経路の間に、第1分岐経路と第2分岐経路とが、平面視にて、交差する形態で設けられことになるから、一対の走行経路のうちの一方の走行経路を、物品搬送車を連続して走行させる連続走行用の走行経路として用い、他方の走行経路を、物品の移載のために物品搬送車を物品移載箇所にて停止させる物品移載用の走行経路として用いることにより、連続走行用の走行経路を走行する物品搬送車を、物品の移載のために、物品移載用の走行経路に分岐走行させ、物品の移載が終了した物品搬送車を、連続走行用の走行経路に分岐走行させて走行させる形態で、複数の物品搬送車を良好に走行させることができる。
【0018】
ちなみに、通常は、物品移載用の走行経路に対応して複数の物品移載箇所が設置されることになるから、それに合わせて、第1分岐経路と第2分岐経路とを複数箇所に設置することにより、物品移載用の走行経路に、物品移載のために停止している物品搬送車が存在しても、連続走行用の走行経路を走行する物品搬送車を目的とする物品移載箇所に分岐走行させることや、物品の移載が終了した物品搬送車を、連続走行用の走行経路に分岐走行させることを、物品移載のために停止している物品搬送車を追い越して走行させる形態で、良好に行うことができる。
【0019】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、複数の物品搬送車を良好に走行させることができる天井設置型の物品搬送設備を提供できる。
【0020】
本発明の天井設置型の物品搬送設備の第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、
前記物品搬送車が、走行部と、その走行部の下方に位置する物品保持部とを備える形態に構成され、
前記走行部が、前後両側箇所の夫々に、左右の走行輪、及び、上下軸心周りで回転する左右の案内輪を備える形態に構成され、
前記走行経路に沿って配設されるガイドレールが、レール横幅方向に間隔を隔てる状態で左右一対のレール部を備えるように構成され、
前記左右一対のレール部が、前記走行輪が走行する走行面及び前記案内輪を案内する案内面を備えるように構成され、
前記左右一対のレール部のうちの、前記第1分岐経路及び前記第2分岐経路が存在する側に位置する分岐側レール部が、前記第1分岐経路又は前記第2分岐経路の入口部と前記第2分岐経路又は前記第1分岐経路の出口部との間に相当する分岐経路形成箇所においては、前記第1分岐経路又は前記第2分岐経路の入口側部分及び出口側部分に沿う状態となり、かつ、前記第1分岐経路と前記第2分岐経路との交差部分に相当する箇所にて分断された状態となるように設けられ、
前記一方側走行経路又は他方側走行経路を走行する前記物品搬送車の走行方向を前記第1分岐経路又は前記第2分岐経路に向けて分岐させる分岐走行状態と非分岐走行状態とに切換える走行方向切換え手段、
前記一方側走行経路又は前記他方側走行経路における前記分岐経路形成箇所に相当する部分を走行する前記物品搬送車が前記分岐側レール部側に傾くことを抑制する状態に案内する非分岐用補助案内手段、
前記第1分岐経路又は前記第2分岐経路における前記分岐側レール部の非存在箇所において前記物品搬送車を受止め支持する補助受止め手段、及び、
前記第1分岐経路又は前記第2分岐経路を走行する前記物品搬送車の左右方向での傾きを抑制すべく、前記物品搬送車に対して案内作用する分岐走行用補助案内手段が設けられている点を特徴とする。
【0021】
すなわち、物品搬送車の走行部が、走行経路に沿って配設されるガイドレールにて案内されて走行されることになり、ガイドレールが、レール横幅方向に間隔を隔てる状態で左右一対のレール部を備えるため、左右一対のレール部の間の空間を、走行部に対して物品保持部を吊下げ状態で支持する支持部、あるいは、物品保持部の上方部分が挿通する空間として利用しながら、物品搬送車をガイドレールに沿って走行させることができる。
【0022】
走行部の前後両側箇所に装備した左右の走行輪が、左右一対のレール部の走行面を走行し、かつ、走行部の前後両側箇所に装備した左右の案内輪が、左右一対のレール部の案内面にて案内されることにより、走行部のガイドレールに対する位置が適正位置に規制された状態となり、物品搬送車をガイドレールに沿って適切に走行させることができる。
【0023】
一方側走行経路又は他方側走行経路を走行する左右一対のレール部のうちの、第1分岐経路及び第2分岐経路が存在する側に位置する分岐側レール部が、第1分岐経路又は第2分岐経路の入口部と第2分岐経路又は第1分岐経路の出口部との間に相当する分岐経路形成箇所においては、第1分岐経路又は第2分岐経路の入口側部分及び出口側部分に沿う状態となるように設けられているから、物品搬送車を第1分岐経路又は第2分岐経路に沿って分岐走行させるときに、走行部の左右の走行輪のうちの一方を、分岐側レール部の走行面を走行させることができる。
【0024】
ちなみに、分岐側レール部が、第1分岐経路と第2分岐経路との交差部分に相当する箇所にて分断された状態となるから、その分断された空間を、走行部に対して物品保持部を吊下げ状態で支持する支持部、あるいは、物品保持部の上方部分が挿通する空間として利用しながら、物品搬送車を第1分岐経路又は第2分岐経路に沿って走行させることができる。
【0025】
そして、物品搬送車の走行方向を第1分岐経路又は第2分岐経路に向けて分岐させる分岐走行状態と非分岐走行状態とに切換える走行方向切換え手段が装備されているから、一方側走行経路又は他方側走行経路を走行する物品搬送車を、引き続き、一方側走行経路又は他方側走行経路を走行させる非分岐走行状態と、第1分岐経路又は第2分岐経路に向けて分岐させて走行させる分岐走行状態とに切換えることができる。
【0026】
一方側走行経路又は他方側走行経路における分岐経路形成箇所に相当する部分には、左右一対のレール部のうちの、第1分岐経路又は第2分岐経路から離れる側に位置するレール部は存在するものの、分岐側レール部が存在しないため、一方側走行経路又は他方側走行経路を走行する物品搬送車が分岐側レール部側に傾くことになるが、非分岐用補助案内手段の案内作用によって、分岐側レール部側に傾くことを抑制された状態で物品搬送車が走行することになる。
【0027】
物品搬送車を第1分岐経路又は第2分岐経路に沿って分岐走行させるときに、分岐側レール部が存在する箇所においては、走行部の左右の走行輪のうちの一方を、分岐側レール部の走行面を走行させることができるものの、分岐側レール部の非存在箇所においては、走行部の左右の走行輪を受止め支持できないため、補助受止め手段によって、物品搬送車が受止め支持されることになる。
【0028】
物品搬送車を第1分岐経路又は第2分岐経路に沿って分岐走行させるときには、走行部の左右の走行輪のうちの一方を、分岐側レール部の走行面を走行させることができるものの、左右の走行輪のうちの、分岐レール部を走行しない側の走行輪が浮上状態となるため、第1分岐経路又は第2分岐経路を走行する物品搬送車が、浮上状態の走行輪が存在する側に傾く形態で左右方向に傾くことになるが、分岐走行用補助案内手段の案内作用によって、左右方向での傾きが抑制された状態で、物品搬送車が第1分岐経路又は第2分岐経路を走行することになる。
【0029】
このように、本第3特徴構成によれば、左右一対のレール部のうちの分岐側レール部を第1分岐経路又は第2分岐経路の入口側部分及び出口側部分に沿う状態となるように設けるようにしながら、走行方向切換え手段、非分岐用補助案内手段、補助受止め手段、及び、分岐走行用補助案内手段を設けることによって、物品搬送車を一方側走行経路又は他方側走行経路に沿って分岐させずに走行させることや、物品搬送車を第1分岐経路又は第2分岐経路に沿って分岐走行させることを行うものであるから、物品搬送車を分岐させずに一方側走行経路や他方側走行経路に沿って走行させる非分岐走行形態、物品搬送車を第1分岐経路に沿って分岐走行させる第1分岐走行形態、及び、物品搬送車を第2分岐経路に沿って分岐走行させる第2分岐走行形態に切換えることを、簡素な構成にて行えるものとなる。
【0030】
説明を加えると、非分岐走行形態、第1分岐走行形態、及び、第2分岐走行形態に切換るにあたり、非分岐走行形態において、走行部の左右の走行輪を案内するための左右一対のレール部を備えた非分岐状態用のレール体と、第1分岐走行形態において、走行部の左右の走行輪を案内するための左右一対のレール部を備えた第1分岐走行形態用のレール体と、第2分岐走行形態において、走行部の左右の走行輪を案内するための左右一対のレール部を備えた第2分岐走行形態用のレール体との夫々を、物品搬送車を案内するために走行経路上に位置させる案内作用位置と走行経路から退避させた退避位置とに位置変更操作自在に設けることが考えられる。
【0031】
しかしながら、この構成の場合には、非分岐走行形態用のレール体、第1分岐走行形態用のレール体、及び、第2分岐走行形態用のレール体が、大型の枠体となるにも拘わらず、そのような大型の枠体の夫々を、位置変更自在に支持するものであるため、その支持構成が、大掛かりで複雑な構成となり、全体構成が複雑化する不都合がある。
本第3特徴構成の場合には、ガイドレールの左右一対のレール部を設置状態に維持し続けながら、非分岐走行形態、第1分岐走行形態、及び、第2分岐走行形態に切換えるようにするものであるから、大型の枠体を位置変更操作する必要がないため、非分岐走行形態、第1分岐走行形態、及び、第2分岐走行形態に切換えるための構成、つまり、物品搬送車を一方側走行経路又は他方側走行経路に沿って分岐させずに走行させることや物品搬送車を第1分岐経路又は物品搬送車を第2分岐経路に沿って分岐走行させることを行うための構成の簡素化を図ることができるのである。
【0032】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第1又は第2特徴構成による作用効果に加えて、物品搬送車を一方側走行経路又は他方側走行経路に沿って分岐させずに走行させることや物品搬送車を第1分岐経路又は物品搬送車を第2分岐経路に沿って分岐走行させることを行うための構成の簡素化を図ることができる天井設置型の物品搬送設備を提供できる。
【0033】
本発明の天井設置型の物品搬送設備の第4特徴構成は、上記第3特徴構成に加えて、
前記一方側の走行経路に対応する前記分岐側レール部における前記第1分岐経路の入口側部分に沿う一方側第1レール部分、前記一方側の走行経路に対応する前記分岐側レール部における前記第2分岐経路の出口側部分に沿う一方側第2レール部分、前記他方側の走行経路に対応する前記分岐側レール部における前記第2分岐経路の入口側部分に沿う他方側第1レール部分、及び、前記他方側の走行経路に対応する前記分岐側レール部における前記第1分岐経路の出口側部分に沿う他方側第2レール部分に対応させて、一対の可動レールが設けられ、
前記一対の可動レールが、いずれか一つの可動レールを前記一方側第1レール部分に連なって前記第1分岐経路に沿って経路下手側に伸びる状態とし、かつ、残りの可動レールを前記他方側第2レール部分に連なって前記第1分岐経路に沿って経路上手側に伸びる状態とする第1分岐経路形成状態と、いずれか一つの可動レールを前記他方側第1レール部分に連なって前記第2分岐経路に沿って経路下手側に伸びる状態とし、かつ、残りの可動レールを前記一方側第2レール部分に連なって前記第2分岐経路に沿って経路上手側に伸びる状態とする第2分岐経路形成状態とに切換え自在に構成され、
前記補助受止め手段が、前記一対の可動レールにて前記物品搬送車を受け止め支持する形態に構成されている点を特徴とする。
【0034】
すなわち、一方側の走行経路に対応する分岐側レール部における第1分岐経路の入口側部分に沿う一方側第1レール部分、一方側の走行経路に対応する分岐側レール部における第2分岐経路の出口側部分に沿う一方側第2レール部分、他方側の走行経路に対応する分岐側レール部における第2分岐経路の入口側部分に沿う他方側第1レール部分、及び、他方側の走行経路に対応する分岐側レール部における第1分岐経路の出口側部分に沿う他方側第2レール部分に対応させて、一対の可動レールが設けられ、この一対の可動レールが、第1分岐経路形成状態及び第2分岐経路形成状態に切換えられることになる。
【0035】
一対の可動レールは、第1分岐経路形成状態においては、いずれか一つの可動レールを一方側第1レール部分に連なって第1分岐経路に沿って経路下手側に伸びる状態とし、かつ、残りの可動レールを他方側第2レール部分に連なって第1分岐経路に沿って経路上手側に伸びる状態とするものであるから、一方側第1レール部分に連なって第1分岐経路に沿って経路下手側に伸びる可動レールと、他方側第2レール部分に連なって第1分岐経路に沿って経路上手側に伸びる可動レールとが対向する形態となる。
【0036】
したがって、第1分岐経路を走行する走行部の左右の走行輪の一方側の走行輪が、一方側第1レール部分及び可動レールを順次走行することになり、他方側の走行輪が、可動レール及び他方側第2レール部分を順次走行することになるため、第1分岐経路における分岐側レール部の非存在箇所において、物品搬送車を受止め支持することができるものとなり、且つ、対向する一対の可動レールによって左右の走行輪を同時に受止める区間を存在させることができる。
【0037】
また、一対の可動レールは、第2分岐経路形成状態においては、いずれか一つの可動レールを他方側第1レール部分に連なって第2分岐経路に沿って経路下手側に伸びる状態とし、かつ、残りの可動レールを一方側第2レール部分に連なって第2分岐経路に沿って経路上手側に伸びる状態とするものであるから、他方側第1レール部分に連なって第2分岐経路に沿って経路下手側に伸びる可動レールと、一方側第2レール部分に連なって第2経路に沿って経路上手側に伸びる可動レールとが対向する形態となる。
【0038】
したがって、第2分岐経路を走行する走行部の左右の走行輪の一方側の走行輪が、他方方側第1レール部分及び可動レールを順次走行することになり、他方側の走行輪が、可動レール及び一方側第2レール部分を順次走行することになるため、第2分岐経路における分岐側レール部の非存在箇所において、物品搬送車を受止め支持することができるものとなり、且つ、対向する一対の可動レールによって左右の走行輪を同時に受止める区間を存在させることができる。
【0039】
このように、補助受止め手段が、一対の可動レールにて物品搬送車を受止めることによって、第1分岐経路又は第2分岐経路における分岐側レール部の非存在箇所において、物品搬送車を受止め支持することができ、しかも、第1分岐経路又第2分岐経路を走行する走行部の左右の走行輪がともに載置支持される区間を存在させることができるため、第1分岐経路又第2分岐経路を走行する物品搬送車の姿勢の安定化を図り易いものとなる。
【0040】
つまり、可動レールを設置しない場合には、例えば、前後両側箇所に装備した左右の走行輪に加えて、車体前後方向内方側箇所に、分岐側レール部を走行する補助車輪を設ける形態で、補助受止め手段を構成することが考えられる。
【0041】
しかしながら、可動レールが設置されない場合には、補助車輪を設けるようにしても、走行部は、左右方向の片側のみが分岐側レール部にて載置される状態となるものであるため、分岐走行用補助案内手段が案内作用するものの、第1分岐経路又は第2分岐経路を走行する物品搬送車の姿勢の安定化を図り難いものとなる。
【0042】
本第4特徴構成によれば、一対の可動レールを設けて、第1分岐経路又第2分岐経路を走行する走行部の左右の走行輪がともに載置支持される区間を存在させて、第1分岐経路又は第2分岐経路を走行する物品搬送車の姿勢の安定化を図ることができるのである。
【0043】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、上記第3特徴構成による作用効果に加えて、第1分岐経路又第2分岐経路を走行する物品搬送車の姿勢の安定化を図ることができる天井設置型の物品搬送設備を提供できる。
【0044】
本発明の天井設置型の物品処理設備の第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、
前記走行部の前記走行輪よりも上方側箇所に、経路切換え用の被案内体が装備され、
前記被案内体を受止める上部ガイドレールが、前記分岐走行状態に切換えるための分岐用案内面、及び、前記非分岐走行状態に切換えるための非分岐用案内面を備える状態で設けられ、
前記走行方向切換え手段が、前記被案内体を前記分岐用案内面にて案内する状態と前記非分岐用案内面にて案内する状態とに切換えることによって、前記分岐走行状態と前記非分岐走行状態とに切換えるように構成され、
前記非分岐用案内面が、前記物品搬送車が前記分岐側レール部側に傾くことを抑制する状態で、前記分岐経路形成箇所に相当する部分において前記被案内体を受け止めるように設けられ、
前記非分岐用補助案内手段が、前記非分岐用案内面にて前記被案内体を受け止める形態にて、前記物品搬送車が前記分岐側レール部側に傾くことを抑制する状態に案内するように構成されている点を特徴とする。
【0045】
すなわち、走行部の走行輪よりも上方箇所に装備した経路切換え用の被案内体を受止める上部ガイドレールに、一方側走行経路又は他方側走行経路を走行する物品搬送車の走行方向を第1分岐経路又は前記第2分岐経路に向けて分岐させる分岐走行状態に切換えるための分岐用案内面、及び、非分岐走行状態に切換えるための非分岐用案内面が備えられている。
そして、走行方向切換え手段が、被案内体を分岐用案内面にて案内する状態と非分岐用案内面にて案内する状態とに切換えることによって、分岐走行状態と非分岐走行状態とに切換えることになる。
【0046】
また、非分岐用案内面が、物品搬送車が分岐側レール部側に傾くことを抑制する状態で、分岐経路形成箇所に相当する部分において被案内体を受け止めるように設けられる。
そして、非分岐用補助案内手段が、非分岐用案内面にて被案内体を受け止める形態にて、物品搬送車が分岐側レール部側に傾くことを抑制する状態に案内することになる。
【0047】
つまり、被案内体及び上部ガイドレールを設けて走行方向切換え手段を構成することに加えて、被案内体及び上部ガイドレールを利用して非分岐用補助案内手段を構成するものであるから、被案内体及び上部ガイドレールを有効利用した簡素な構成にて、走行方向切換え手段及び非分岐用補助案内手段を構成することができる。
【0048】
要するに、本発明の第5特徴構成によれば、上記第4特徴構成の作用効果に加えて、走行方向切換え手段及び非分岐用補助案内手段の構成の簡素化を図ることができる天井設置型の物品搬送設備を提供できる。
【0049】
本発明の天井設置型の物品処理設備の第6特徴構成は、上記第5特徴構成に加えて、
前記分岐用案内面として、
前記一方側第1レール部分に対して前記左右の走行輪のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する前記走行部が浮上状態となる前記走行輪側に傾くことを抑制する状態で前記被案内体を受け止める一方側第1分岐用案内面、
前記他方側第2レール部分に対して前記左右の走行輪のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する前記走行部が浮上状態となる前記走行輪側に傾くことを抑制する状態で前記被案内体を受け止める他方側第1分岐用案内面、
前記他方側第1レール部分に対して前記左右の走行輪のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する前記走行部が浮上状態となる前記走行輪側に傾くことを抑制する状態で前記被案内体を受け止める他方側第2分岐用案内面、及び、
前記一方側第2レール部分に対して前記左右の走行輪のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する前記走行部が浮上状態となる前記走行輪側に傾くことを抑制する状態で前記被案内体を受け止める一方側第2分岐用案内面を備えるように構成され、
前記分岐走行用補助案内手段が、前記物品搬送車が前記第1分岐経路を走行するときには、前記一方側第1分岐用案内面及び前記他方側第1分岐用案内面にて、前記被案内体を受け止め、且つ、前記物品搬送車が前記第2分岐経路を走行するときには、前記他方側第2分岐用案内面及び前記一方側第2分岐用案内面にて、前記被案内体を受け止める形態にて、前記物品搬送車に対して案内作用するように構成されている点を特徴とする。
【0050】
すなわち、上部ガイドレールに備えさせる分岐用案内面として、一方側第1分岐用案内面、他方側第1分岐用案内面、他方側第2分岐用案内面、及び、一方側第2分岐用案内面を備えさせるようにする。
そして、分岐走行用補助案内手段が、物品搬送車が第1分岐経路を走行するときには、一方側第1分岐用案内面及び他方側第1分岐用案内面にて、被案内体を受け止め、且つ、物品搬送車が第2分岐経路を走行するときには、他方側第2分岐用案内面及び一方側第2分岐用案内面にて、被案内体を受け止める形態にて、前記物品搬送車に対して案内作用することになる。
【0051】
つまり、物品搬送車が第1分岐経路を走行するときには、一方側第1分岐用案内面にて被案内体を受止めることにより、一方側第1レール部分に対して左右の走行輪のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する走行部が浮上状態となる走行輪側に傾くことを抑制し、並びに、他方側第1分岐用案内面にて被案内体を受止めることにより、他方側第2レール部分に対して左右の走行輪のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する走行部が浮上状態となる走行輪側に傾くことを抑制することになる。
【0052】
また、物品搬送車が第2分岐経路を走行するときには、他方側第2分岐用案内面にて被案内体を受止めることにより、他方側第1レール部分に対して左右の走行輪のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する走行部が浮上状態となる走行輪側に傾くことを抑制し、並びに、一方側第2分岐用案内面にて被案内体を受止めることにより、一方側第2レール部分に対して左右の走行輪のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する走行部が浮上状態となる走行輪側に傾くことを抑制することになる。
【0053】
このように、本第6特徴構成によれば、走行方向切換え手段及び非分岐用補助案内手段を構成するために装備されている被案内体及び上部ガイドレールを有効利用して、分岐走行用補助案内手段を構成するものであるから、分岐走行用補助案内手段の構成の簡素化を図ることができる。
【0054】
要するに、本発明の第6特徴構成によれば、上記第5特徴構成による作用効果に加えて、分岐走行用補助案内手段の構成の簡素化を図ることができる天井設置型の物品搬送設備を提供できる。
【0055】
本発明の天井設置型の物品処理設備の第7特徴構成は、上記第6特徴構成に加えて、
前記上部ガイドレールにおける前記分岐用案内面を形成する部分のうちの一部の姿勢変更部が、前記一方側第1分岐用案内面と前記他方側第1分岐用案内面とを前記第1分岐経路の長手方向で重複させる第1状態と、前記他方側第2分岐用案内面と前記一方側第2分岐用案内面とを前記第2分岐経路の長手方向に重複させる第2状態とに切換え自在に構成されている点を特徴とする。
【0056】
すなわち、物品搬送車を第1分岐経路に沿って分岐走行させるときには、姿勢変更部を第1状態に切換え、物品搬送車を第2分岐経路に沿って分岐走行させるときには、姿勢変更部を第2状態に切換えることによって、被案内体を上部ガイドレールによって的確に受止め案内することができる。
【0057】
つまり、第1分岐経路と第2分岐経路とは、平面視にて交差する形態であるから、姿勢変更部を装備しない場合には、一方側第1分岐用案内面と他方側第1分岐用案内面との間に、物品搬送車が第2分岐経路に沿って走行するときに被案内体を通過させるための空間を形成し、他方側第2分岐用案内面と一方側第2分岐用案内面との間に、物品搬送車が第1分岐経路に沿って走行するときに被案内体を通過させるための空間を形成する必要がある。
【0058】
したがって、姿勢変更部を装備しない場合には、物品搬送車が第1分岐経路に沿って走行するときに、一方側第1分岐用案内面にて受止められている被案内体が他方側第1分岐用案内面に受止められる状態に変化することが適正通り行われない虞や、物品搬送車が第2分岐経路に沿って走行するときに、他方側第2分岐用案内面にて受止められている被案内体が一方側第2分岐用案内面に受止められる状態に変化することが適正通り行われない虞がある。
【0059】
本第7特徴構成によれば、物品搬送車を第1分岐経路に沿って分岐走行させるときには、姿勢変更部を第1状態に切換えて、一方側第1分岐用案内面と他方側第1分岐用案内面とを第1分岐経路の長手方向で重複させるようにして、一方側第1分岐用案内面にて受止められている被案内体が他方側第1分岐用案内面に受止められる状態に変化することを適正通り行わせることができる。
また、物品搬送車を第2分岐経路に沿って分岐走行させるときには、姿勢変更部を第2状態に切換えて、他方側第2分岐用案内面と一方側第2分岐用案内面とを第2分岐経路の長手方向で重複させるようにして、他方側第2分岐用案内面にて受止められている被案内体が一方側第2分岐用案内面に受止められる状態に変化することを適正通り行わせることができる。
【0060】
要するに、本発明の第7特徴構成によれば、上記第6特徴構成による作用効果に加えて、物品搬送車が第1分岐経路や第2分岐経路に沿って分岐走行させるときに、被案内体を上部ガイドレールによって的確に受止め案内することができる天井設置型の物品搬送設備を提供できる。
【0061】
本発明の天井設置型の物品処理設備の第8特徴構成は、上記第7特徴構成に加えて、
一つの駆動手段が、前記一対の可動レールを前記第1分岐経路形成状態とし、かつ、前記姿勢変更部を前記第1状態とする第1分岐状態と、前記一対の可動レールを前記第2分岐経路形成状態とし、かつ、前記姿勢変更部を前記第2状態とする第2分岐状態とに切換えるべく、前記一対の可動レール及び前記姿勢変更部に連係されている点を特徴とする。
【0062】
すなわち、一つの駆動手段が、一対の可動レール及び姿勢変更部に連係されて、その一つの駆動手段によって、一対の可動レールを第1分岐経路形成状態とし、かつ、姿勢変更部を前記第1状態とする第1分岐状態と、一対の可動レールを第2分岐経路形成状態とし、かつ、姿勢変更部を前記第2状態とする第2分岐状態とに切換えられる。
【0063】
このように、一つの駆動手段によって、一対の可動レール及び姿勢変更部を操作して、第1分岐状態と第2分岐状態とに切換えるものであるから、一対の可動レール及び姿勢変更部を、第1分岐状態と第2分岐状態とに的確に切換えることができながらも、一対の可動レール及び姿勢変更部に対する操作構成(駆動構成)の簡素化を図ることができる。
【0064】
つまり、一対の可動レールの夫々に対応して操作用の駆動手段を備えさせ、かつ、姿勢変更部に対応して操作用の駆動手段を備えさせて、一対の可動レール及び姿勢変更部を、第1分岐状態と第2分岐状態とに切換えるように構成することが考えるが、この構成の場合には、3つの駆動手段を備えるものであるため、一対の可動レール及び姿勢変更部に対する操作構成が複雑になる。
【0065】
要するに、本発明の第8特徴構成によれば、上記第7特徴構成による作用効果に加えて、一対の可動レール及び姿勢変更部に対する操作構成の簡素化を図ることができる天井設置型の物品搬送設備を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】天井設置型の物品搬送設備の概略平面図
【図2】物品搬送車の側面図
【図3】物品搬送車の一部切欠き正面図
【図4】物品搬送車の分岐箇所での走行状態を示す平面図
【図5】第1実施形態のX字状分岐箇所の斜視図
【図6】同箇所の上部ガイドレールを示す平面図
【図7】同箇所のガイドレールを示す平面図
【図8】同箇所の第2分岐走行状態を示す説明図
【図9】同箇所の非分岐走行状態を示す説明図
【図10】同箇所の第1分岐走行状態を示す説明図
【図11】可動レールの駆動構造を示す斜視図
【図12】同構造を示す一部切欠き側面図
【図13】姿勢変更部の駆動構造を示す斜視図
【図14】同構造を示す一部切欠き側面図
【図15】第2実施形態の可動レールの駆動構造を示す説明図
【図16】第3実施形態のX字状分岐箇所の斜視図
【図17】同箇所の基体枠の装着部を示す平面図
【図18】同箇所の上部ガイドレールを示す平面図
【図19】同箇所のガイドレールを示す平面図
【図20】第2分岐走行状態の姿勢変更部を示す平面図
【図21】第2分岐走行状態の可動レールを示す平面図
【図22】第1分岐走行状態の姿勢変更部を示す平面図
【図23】第1分岐走行状態の可動レールを示す平面図
【図24】姿勢変更部の駆動構造を示す斜視図
【図25】同構造を示す一部切欠き側面図
【図26】可動レールの駆動構造を示す斜視図
【図27】同構造を示す一部切欠き側面図
【発明を実施するための形態】
【0067】
〔第1実施形態〕
次に、本発明の天井設置型の物品搬送設備の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図2〜図4に示すように、ガイドレール1を備えた走行ガイド部Lが、クリーンルームの天井側に設けられ、走行ガイド部Lに沿って走行する物品搬送車2が設けられている。
本実施形態においては、物品搬送車2は、半導体基板を収納した容器を物品Bとして搬送するように構成されている。
【0068】
図1に示すように、走行ガイド部Lが、複数の物品処理部Pを経由する複数の環状のサブ走行経路3、及び、2つの環状の走行経路4を形成する状態に設置されている。
2つの環状の走行経路4は、経路横幅方向に並べた状態で、かつ、複数重(2重)の環状となる状態で設けられ、物品搬送車2が、これら走行経路4を同じ方向に向けて走行するように設けられている。尚、図1においては、物品搬送車2の走行方向を、矢印にて示している。
ちなみに、2つの環状の走行経路4の夫々は、平面視において、長方形の4つの角部を円弧状にした長四角状に形成されている。
【0069】
以下の説明においては、2重の環状となる一対の走行経路4のうちの内方側の走行経路4を、一方側走行経路4Aとし、外方側の走行経路4を他方側走行経路4Bとして、説明を続けるが、両者を区別する必要がないときには、単に、走行経路4と記載する。
2重の環状となる一対の走行経路4の間には、一方側走行経路4Aから他方側走行経路4Bに物品搬送車2が分岐走行する第1分岐経路5A及び他方側走行経路4Bから一方側走行経路4Aに物品搬送車2が分岐走行する第2分岐経路5Bが設けられている。
【0070】
第1分岐経路5A及び第2分岐経路5Bは、平面視において走行経路4に対して傾斜する傾斜姿勢で、一方側走行経路4Aと他方側走行経路4Bとを接続するように設けられ、加えて、平面視にて、交差する形態で設けられている、
つまり、第1分岐経路5A及び第2分岐経路5Bにて、X字状分岐箇所が形成され、そして、そのX字状分岐箇所が、走行経路4の長手方向に沿って、複数設けられている。
尚、第1分岐経路5A及び第2分岐経路5Bの具体構成、つまり、X字状分岐箇所の具体構成については、後述する。
【0071】
また、一方側走行経路4Aにおける左右一対の長辺相当部分の間には、それら長辺相当部分の一方から他方に向けて物品搬送車2を短絡走行させる短絡経路6が、一方側走行経路4Aの長手方向に沿って、複数設けられている。
【0072】
複数の環状のサブ走行経路3は、並行な一対の直線相当部分の両端同士を円弧状部分にて接続した長円状に形成されるものであって、平面視において、2つの環状の走行経路4の両側脇に、その長手方向を走行経路4の長手方向と直交させる姿勢で、走行経路4の長手方向に沿って間隔を隔てて並ぶ状態で設けられている。
【0073】
そして、一対の走行経路4のうちの他方側走行経路4Bからサブ走行経路3に向けて物品搬送車2を分岐走行させる分岐接続経路7A、及び、サブ走行経路3から他方側走行経路4Bに向けて物品搬送車2を合流走行させる合流接続経路7Bが設けられている。
【0074】
本実施形態においては、図1に示すように、複数台の物品搬送車2が装備されており、各物品搬送車2は、上述した如く、半導体基板を収納した容器を物品Bとして搬送するように構成され、また、一方側走行経路4Aの内方側に相当する箇所には、物品Bを一時的に保管する複数の保管部Rが、一方側走行経路4Aの長手方向に並び且つ左右に並ぶ状態で設けられている。
また、複数の物品処理部Pとしては、半導体基板に対して異なる処理を行う複数種が存在することになる。
【0075】
したがって、各物品搬送車2は、物品処理部Pから受取った物品Bを、保管部Rや別の処理を行う物品処理部Pに搬送する作業、及び、保管部Rから受取った物品Bを、物品処理部Pに搬送する作業を行うことになる。
すなわち、一対の走行経路4のうちの他方側走行経路4Bを、物品搬送車2を連続して走行させる連続走行用の走行経路として用い、一方側走行経路4Aを、保管部Rとの間で物品Bを移載するために物品搬送車2を物品移載箇所にて停止させる物品移載用の走行経路として用いるようにする。
【0076】
そして、他方側走行経路4Bを走行する物品搬送車2を、保管部Rとの間で物品Bを移載する際には、X字状分岐箇所にて、一方側走行経路4Aに分岐走行させ、保管部Rとの間での物品Bの移載が終了した物品搬送車2を、X字状分岐箇所にて、他方側走行経路4Bに分岐走行させる形態で、複数の物品搬送車2を走行させることができる。
また、他方側走行経路4Bを走行する物品搬送車2を、物品処理部Pとの間で物品Bを移載する際には、分岐接続経路7Aを走行させてサブ走行経路3に分岐させ、物品処理部Pとの間での物品Bの移載が終了した物品搬送車2を、合流接続経路7Bを走行させて他方側走行経路4Bに合流走行させることができる。
【0077】
ちなみに、一方側走行経路4Aには複数の物品移載箇所が存在することになるが、X字状分岐箇所が複数箇所に設置されているから、一方側走行経路4Aに物品移載のために停止している物品搬送車2が存在しても、他方側走行経路4Bを走行する物品搬送車2を目的とする物品移載箇所に走行させるために一方側走行経路4Aに分岐走行させることや、物品Bの移載が終了した物品搬送車2を、一方側走行経路4Aから他方側走行経路4Bに分岐走行させることを、物品移載のために停止している物品搬送車2を追い越して走行させる形態で、良好に行うことができる。
【0078】
さらに、一方側走行経路4Aには、複数の短絡経路6が接続されているから、これらの短絡経路6を通して物品搬送車2を走行させることにより、搬送元から搬送先までの搬送距離を短縮させるが可能となる。
【0079】
次に、各部の構成について説明を加える。
走行ガイド部Lのガイドレール1は、走行経路4やサブ走行経路3に沿って延びるように配設されるものであって、図3に示すように、走行レール用支持体8により天井部に吊下げ状態で設置され、また、図3及び図4に示すように、レール横幅方向に間隔を隔てる状態で左右一対のレール部1aを備えるように構成されている。
【0080】
以下の説明において、一方側走行経路4A及び他方側走行経路4Bに沿って配置されるガイドレール1については、左右一対のレール部1aのうちの、第1分岐経路5A及び第2分岐経路5Bが存在する側に位置するレール部1aを、分岐側レール部1Aと記載し、第1分岐経路5A及び第2分岐経路5Bから離れる側に位置するレール部を1a、離間側レール部1Bと記載するが、両者を区別する必要がないときは、単に、レール部1aと記載する。
【0081】
また、以下の説明においては、物品搬送車2の横幅方向を、車体横幅方向と略称し、物品搬送車2の前後幅方向を、車体前後幅方向と略称し、物品搬送車2の上下幅方向を、車体上下幅方向と略称する。
【0082】
物品搬送車2は、図2及び図3に示すように、走行ガイド部Lの下方に位置する車体本体部9と、走行ガイド部Lに沿って走行する走行部10とから構成されており、車体本体部9には、物品Bを吊り下げ状態で把持する把持部11が備えられている。
走行部10が、前後に並ぶ前方走行部10Fと後方走行部10Rとから構成され、それら前方走行部10F及び後方走行部10Rの夫々から下方に延出される上下方向に沿う連結軸12が、左右一対のレール部1a、1aの間を通して下方に伸びる状態で設けられている。
そして、車体本体部9が、前方走行部10F及び後方走行部10Rの夫々に対して、連結軸12の軸心周りで相対回転自在な状態で、連結軸12にて吊下げ支持されている。
【0083】
前方走行部10F及び後方走行部10Rの夫々には、電動式の駆動モータ13にて回転駆動される左右の走行輪14が、左右一対のレール部1a、1b夫々の上面にて形成される走行面を走行する状態で装備され、また、車体上下幅方向に沿う軸心周り(上下軸心周り)で自由回転する左右の案内輪15が、左右一対のレール部1a、1aにおける内方側の側面にて形成される案内面に接当する状態で装備されている。
尚、案内輪15は、前方走行部10F及び後方走行部10Rの夫々について、台車前後方向に並ぶ状態で2つずつ配設されている。
【0084】
したがって、物品搬送車2は、前方走行部10F及び後方走行部10Rの案内輪15が一対のレール部1a、1aにて案内されることによって、車体横幅方向での位置を規制されながら、前方走行部10F及び後方走行部10Rの走行輪14が回転駆動されることによって、ガイドレール1に沿って走行するように構成されている。
また、物品搬送車2は、車体本体部9に対して前方走行部10F及び後方走行部10Rが連結軸12の軸心周り(車体上下幅方向に沿う軸心周り)で屈曲することにより、走行経路4の円弧状部分やサブ走行経路3の円弧状部分等の円弧状経路部分をも良好に走行できるようになっている。
【0085】
車体本体部9は、図2に示すように、車体車前後方向の前端側部分と後端側部分とが下方側に延び、且つ、下方側が開放した逆U字状に形成されており、下方側に延びる前端側部分と後端側部分との間に把持部11が配設されている。そして、車体本体部9には、把持部11を昇降させるための電動式の昇降用モータ16、把持部11を上下軸心周りで旋回させるための電動式の旋回用モータ17が備えられている。
【0086】
つまり、昇降用モータ16は、索状体としてのベルト18が巻回された回転ドラム19を正逆に回転駆動して、ベルト18を巻き取り又は繰り出すことにより、把持部11を上昇位置と下降位置とに昇降させるように構成されている。
尚、上昇位置とは、図2及び図3に示すように、把持部11を車体本体部9の内方の上部に収納した位置であり、下降位置とは、図示は省略するが、把持部11を物品処理部Pや保管部Rの移載用ステーションに近接させた位置である。
【0087】
把持部11は、車体本体部9の上端部から下方側に延びる旋回軸20(図2参照)により、車体本体部9に対して上下軸心周りで回転自在に連結されている。そして、旋回用モータ17が、回転駆動力伝達部21を介して旋回軸20を上下軸心周りに回転駆動することによって、把持部11を上下軸心周りで旋回させるように構成されている。
【0088】
把持部11は、物品Bを把持するための把持具22を備えて、その把持具22を、物品Bを把持する把持姿勢とその把持を解除する把持解除姿勢とに電動式の把持用モータ23によって切換えるように構成されている。図3では、把持具22を把持姿勢に切り換えた状態を示している。
【0089】
物品搬送車2には、前方走行部10F及び後方走行部10Rの走行作動、把持部11の昇降作動、及び、把持具22の姿勢切換作動等を制御して、物品搬送車2の運転を制御する台車側制御部(図示せず)が備えられている。
そして、台車側制御部は、複数の物品搬送車2の運行を管理する設備管理用コンピュータから、無線通信等により、搬送元のステーション及び搬送先のステーションを指定する搬送指令を受けると、その搬送指令にて指定された搬送元のステーションから搬送先のステーションに物品Bを搬送する搬送処理を行うように構成されている。
【0090】
つまり、物品搬送車2には、各ステーションに対応する目標停止位置を検出するためのセンサや基準点からの物品搬送車2の走行距離を検出するためのセンサ等の各種センサが備えられている。
そして、台車側制御部は、それら各種センサの検出情報に基づいて、指定された搬送元のステーションに走行することや、搬送元のステーションから指定された搬送先のステーションに走行することを行うために、前方走行部10F及び後方走行部10Rの走行作動を制御するように構成され、また、搬送元のステーションにおいては、搬送元のステーションから物品Bを受け取るために、把持部11の昇降作動や把持具22の姿勢切換作動を制御し、かつ、搬送先のステーションにおいては、搬送先のステーションに物品Bを降ろすために、把持部11の昇降作動や把持具22の姿勢切換作動を制御ように構成されている。
【0091】
物品搬送車2は、外部から供給される電力にて駆動されるように構成されている。
すなわち、図3に示すように、走行ガイド部Lには、物品搬送車2に駆動用電力を供給するための左右一対の給電線24が、左右一対のレール部1a、1aと同様に、走行経路4やサブ走行経路3等に沿って延びる状態で設けられている。
具体的には、左右一対の給電線24が、左右一対のレール部1a、1aの夫々の下端部に、車体横幅方向の内方側に延出する状態で設けられた保持部24Aの先端部に固定支持されている。
【0092】
また、物品搬送車2の車体本体部9には、図2及び図3に示すように、左右の給電線24から無接触で駆動用電力が給電される単一の受電部(受電コイル)25が、前後一対の連結軸12の間に位置させる状態で設けられている。
そして、給電線24に交流電流を通電することで磁界を発生させ、この磁界により受電部25に駆動用電力を発生させて、無接触状態で物品搬送車2に給電を行うように構成されている。
【0093】
図2及び図3に示すように、前方走行部10F及び後方走行部10Rにおける走行輪14よりも上方側箇所には、経路切換用の被案内体として、上下軸心(車体上下幅方向に沿う軸心)周りで回転する前後一対のガイド輪26が装備され、走行ガイド部Lにおける分岐箇所や合流箇所に、図3及び図4に示すように、ガイド輪26を案内する上部ガイドレール27が設けられ、同様に、X字状分岐箇所に、図5及び図6に示すように、上部ガイドレール28が設けられている。
上部ガイドレール27、28は、図3に示すように、ガイドレール1に連結支持された状態で、ガイドレール1の長手方向に沿って適当間隔おきに設置された逆U字状の枠体8Aに支持されている。
【0094】
ちなみに、図4は、他方側走行経路4Bに分岐接続経路7Aが接続された分岐箇所の上部ガイドレール27を例示している。
尚、分岐箇所としては、他方側走行経路4Bに分岐接続経路7Aが接続された分岐箇所の他、一方側走行経路4Aに短絡経路6が接続された分岐箇所があり、また、合流箇所としては、他方側走行経路4Bに合流接続経路7Bが接続された合流箇所や、一方側走行経路4Aに短絡経路6が接続された合流箇所がある。
【0095】
先ず、合流箇所や分岐箇所の上部ガイドレール27について説明する。
上部ガイドレール27は、分岐箇所においては、物品搬送車2の分岐走行方向を定めるために、ガイド輪26を案内することになり、また、分岐箇所及び合流箇所において、台車横幅方向の一方側のみにガイドレール1が位置する状態になっても、物品搬送車2の姿勢を適正姿勢に維持すべく、ガイド輪26を案内することになる。
【0096】
説明を加えると、分岐箇所及び合流箇所には、連結軸12を通過させるために、物品搬送車2の横幅方向の一方側のみにしかガイドレール1のレール部1aが位置しない部分が存在することになるため、ガイド輪26を上部ガイドレール27にて案内することによって、物品搬送車2の姿勢を適正姿勢に維持するようになっている。
また、分岐箇所においては、物品搬送車2を直進走行させる状態と、分岐走行させる状態とに切換える必要があるため、ガイド輪26を上部ガイドレール27にて案内することによって、物品搬送車2の分岐方向を選択できるようになっている。
【0097】
上部ガイドレール27は、図4に示すように、平面視形状が2又状となるように形成されて、ガイド輪26を案内する案内面として、直進走行させるための第1案内面27aと、分岐走行や合流走行させるための第2案内面27bとを備える状態に構成されている。
【0098】
ガイド輪26は、物品搬送車2の前方走行部10F及び後方走行部10Rの夫々に備えられるものであり、そして、前方走行部10F及び後方走行部10Rの夫々には、ガイド輪26の上部ガイドレール27に対する台車横幅方向での位置を変更して、ガイド輪26を第1案内面27aにて案内する状態と第2案内面27bにて案内する状態とに切換える案内面切換手段29が備えられている。
【0099】
案内面切換手段29は、モータ等の駆動部30により上下軸心周りに揺動自在な揺動アーム31と、揺動アーム31の先端部に設けられた移動体32と、移動体32を台車横幅方向に沿って一定範囲で移動自在に案内支持する移動案内部33とを備えており、ガイド輪26が、移動体32の先端部に上下軸心周りで回転自在に支持されている。
そして、案内面切換手段29は、駆動部30により揺動アーム31を揺動させることによって、ガイド輪26の位置を台車横幅方向に位置変更させて、ガイド輪26が案内される案内面を、第1案内面27aと第2案内面27bとに切換えるように構成されている。
尚、図4では、案内面切換手段29が、上部ガイドレール27の第2案内面27bにてガイド輪26を案内する状態に切り換えた状態を示している。
【0100】
合流箇所については、図示は省略するが、上述の分岐部箇所と同様に、平面視形状が2又状の上部ガイドレール27が配設されることになる。
そして、案内面切換手段29が、駆動部30により揺動アーム31を揺動させることによって、ガイド輪26の位置を台車横幅方向に位置変更させて、ガイド輪26が案内される案内面を、第1案内面27aと第2案内面27bとに切換えるように構成されている。
【0101】
次に、X字状分岐箇所について説明する。
図5及び図7に示すように、一方側走行経路4A及び他方側走行経路4Bに沿って配置されるレール部1a、1aのうちの第1分岐経路5A及び第2分岐経路5Bが存在する側に位置する分岐側レール部1Aが、第1分岐経路5A又は第2分岐経路5Bの入口部と第2分岐経路5B又は第1分岐経路5Aの出口部との間に相当する分岐経路形成箇所においては、第1分岐経路5A又は第2分岐経路5Bの入口側部分又は出口側部分に沿う状態となり、かつ、第1分岐経路5Aと第2分岐経路5Bとの交差部分に相当する箇所にて、連結軸12を通過させるために、分断された状態となるように設けられている。
【0102】
また、一方側走行経路4A及び他方側走行経路4Bに沿って配置されるレール部1a、1aのうちの第1分岐経路5A及び第2分岐経路5Bから離れる側に位置する離間側レール部1Bが、分岐経路形成箇所においては、直線状に形成されている。
【0103】
一方側走行経路4Aに対応する分岐側レール部1Aにおける第1分岐経路5Aの入口側部分に沿う一方側第1レール部分D1、一方側走行経路4Aに対応する分岐側レール部1Aにおける第2分岐経路5Bの出口側部分に沿う一方側第2レール部分D2、他方側走行経路4Bに対応する分岐側レール部1Aにおける第2分岐経路5Bの入口側部分に沿う他方側第1レール部分E1、及び、他方側走行経路4Bに対応する分岐側レール部1Aにおける第1分岐経路5Aの出口側部分に沿う他方側第2レール部分E2に対応させて、一対の可動レール35が設けられている。
【0104】
一対の可動レール35は、いずれか一つの可動レール35を一方側第1レール部分D1に連なって第1分岐経路5Aに沿って経路下手側に伸びる状態とし、かつ、残りの可動レール35を他方側第2レール部分E2に連なって第1分岐経路5Aに沿って経路上手側に伸びる状態とする第1分岐経路形成状態(図10参照)と、いずれか一つの可動レール35を他方側第1レール部分E1に連なって第2分岐経路5Bに沿って経路下手側に伸びる状態とし、かつ、残りの可動レール35を一方側第2レール部分D2に連なって第2分岐経路5Bに沿って経路上手側に伸びる状態とする第2分岐経路形成状態(図8参照)とに切換え自在に構成されている。
【0105】
つまり、本実施形態においては、第1分岐経路5A又は第2分岐経路5Bにおける分岐側レール部1Aの非存在箇所において物品搬送車2を受止め支持する補助受止め手段が、一対の可動レール35にて物品搬送車2を受け止め支持する形態に構成されている。
【0106】
可動レール35について説明を加えると、図5及び図7に示すように、一方側第1レール部分D1と他方側第1レール部分E1との間、及び、一方側第2レール部分D2と他方側第2レール部分E2との間に相当する箇所に、離間側レール部1Bの長手方向に沿って長尺状のレール支持枠36が、天井部から吊下げ支持する又は分岐側レール部1Aに連結支持する状態で設けられている。
【0107】
図11及び図12に示すように、レール支持枠36に、離間側レール部1Bの長手方向に沿う方向に伸びる第1ガイド体37が取付けられ、離間側レール部1Bの長手方向に沿って移動自在に第1ガイド体37にて案内支持される第1可動体38に、中継リンク39の長手方向の中間部が、上下軸心回りで揺動自在に支持されている。
中継リンク39における可動レール35から離れる側の端部には、電動モータ40にて回動操作される駆動リンク41の先端部が枢支連結され、中継リンク39の他端部には、可動レール35が枢支連結されている。
尚、電動モータ40は、レール支持枠36に取付けた支持ブラケット42に支持されている。
【0108】
可動レール35が、中継リンク39との連結部から伸びる長尺状に形成されて、その下面部に、レール長手方向に伸びる第2ガイド体43が取付けられ、その第2ガイド体43にて移動自在に案内支持される第2可動体44が、レール支持枠36に取付けた軸受部45にて、上下軸心回りで回転自在に支持されている。
【0109】
したがって、可動レール35は、電動モータ40の作動に伴って、レール支持枠36の軸受部45を中心に揺動し、かつ、離間側レール部1Bの長手方向に沿って移動しながら、第1分岐経路形成状態(図10参照)と第2分岐経路形成状態(図8参照)とに切換えられることになり、そして、図7及び図9に示すように、離間側レール部1Bの長手方向に沿って伸びる姿勢となったときに、相手側の可動レール35から離れる側に移動することによって、相手側の可動レール35との接当を回避するように構成されている。
【0110】
図6に示すように、ガイド輪26を受止め案内する上部ガイドレール28が、非分岐走行状態(直進走行状態)に切換えるための非分岐用案内面28a、及び、分岐走行状態に切換えるための分岐用案内面28bを備える状態で設けられている。
そして、案内面切換手段29が、駆動部30により揺動アーム31を揺動させることによって、ガイド輪26の位置を台車横幅方向に位置変更させて、ガイド輪26が案内される案内面を、非分岐用案内面28aと分岐用案内面28bとに切換えることにより、一方側走行経路4A又は他方側走行経路4Bを走行する物品搬送車2を第1分岐経路5A又は第2分岐経路5Bに分岐走行させる状態(図8、図10参照)と、一方側走行経路4A又は他方側走行経路4Bを走行する物品搬送車2を分岐させずに直進走行させる状態(図9参照)に切換えることができるように構成されている。
【0111】
したがって、本実施形態においては、一方側走行経路4A又は他方側走行経路4Bを走行する物品搬送車2の走行方向を第1分岐経路5A又は第2分岐経路5Bに向けて分岐させる分岐走行状態と非分岐走行状態とに切換える走行方向切換え手段が、ガイド輪26を分岐用案内面28bにて案内する状態と非分岐用案内面28aにて案内する状態とに切換えることによって、分岐走行状態と非分岐走行状態とに切換えるように構成されている。
【0112】
図9に示すように、上部ガイドレール28の非分岐用案内面28aが、物品搬送車2が分岐側レール部1A側に傾くことを抑制する状態で、分岐経路形成箇所に相当する部分においてガイド輪26を受け止めるように、分岐経路形成箇所における入口部から出口部に亘って一連に伸びる状態で設けられている。
つまり、一方側走行経路4A又は他方側走行経路4Bにおける分岐経路形成箇所を分岐走行せずに走行する物品搬送車2は、分岐側レール部1Aにて支持されることなく、離間側レール部1Bのみにて支持される状態となるため、分岐側レール部1A側に傾くことになるが、上部ガイドレール28の非分岐用案内面28aにてガイド輪26を受止め案内することにより、物品搬送車2が分岐側レール部1A側に傾くことを抑制するように構成されている。
【0113】
したがって、本実施形態においては、一方側走行経路4A又は他方側走行経路4Bにおける分岐経路形成箇所に相当する部分を走行する物品搬送車2が分岐側レール部1A側に傾くことを抑制する状態に案内する非分岐用補助案内手段が、非分岐用案内面28aにてガイド輪26を受け止める形態にて、物品搬送車2が分岐側レール部1A側に傾くことを抑制する状態に案内するように構成されている。
【0114】
図6に示すように、上部ガイドレール28が、分岐用案内面28bとして、一方側第1分岐用案内面F1、一方側第2分岐用案内面F2、他方側第1分岐用案内面G1、及び、他方側第2分岐用案内面G2を備えるように構成されている。
【0115】
一方側第1分岐用案内面F1は、図10に示すように、一方側第1レール部分D1に対して左右の走行輪14のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する走行部10が浮上状態となる走行輪側に傾くことを抑制する状態でガイド輪26を受け止める面である。
【0116】
他方側第1分岐用案内面G1は、他方側第2レール部分E2に対して左右の走行輪14のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する走行部10が浮上状態となる走行輪側に傾くことを抑制する状態でガイド輪26を受け止める面である(図10参照)。
【0117】
他方側第2分岐用案内面G2は、図8に示すように、他方側第1レール部分E1に対して左右の走行輪14のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する走行部10が浮上状態となる走行輪側に傾くことを抑制する状態でガイド輪26を受け止める面である。
【0118】
一方側第2分岐用案内面F2は、一方側第2レール部分D2に対して左右の走行輪14のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する走行部10が浮上状態となる走行輪側に傾くことを抑制する状態でガイド輪26を受け止める面である(図8参照)。
【0119】
したがって、本実施形態においては、第1分岐経路5A又は第2分岐経路5Bを走行する物品搬送車2の左右方向での傾きを抑制すべく、分岐側レール部1Aの案内作用に加えて前記物品搬送車に対して案内作用する分岐走行用補助案内手段が、物品搬送車2が第1分岐経路5Aを走行するときには、一方側第1分岐用案内面F1及び他方側第1分岐用案内面G1にて、ガイド輪26を受け止め、且つ、物品搬送車2が第2分岐経路5Bを走行するときには、他方側第2分岐用案内面G2及び一方側第2分岐用案内面F2にて、ガイド輪26を受け止める形態にて、物品搬送車2に対して案内作用するように構成されている。
【0120】
上部ガイドレール28における分岐用案内面28bを形成する部分のうちの一部の姿勢変更部28Aが、一方側第1分岐用案内面F1と他方側第1分岐用案内面G1とを第1分岐経路5Aの長手方向で重複させる第1状態(図10参照)と、他方側第2分岐用案内面G2と一方側第2分岐用案内面F2とを第2分岐経路5Bの長手方向に重複させる第2状態(図8参照)とに切換え自在に構成されている。
【0121】
すなわち、姿勢変更部28Aとして、第1状態において、一方側第1分岐用案内面F1を形成し、かつ、第2状態において、一方側第2分岐用案内面F2を形成する第1レール部材46aと、第1状態において、他方側第1分岐用案内面G1を形成し、かつ、第2状態において、他方側第2分岐用案内面G2を形成する第2レール部材46bとが設けられている。
【0122】
図6及び図13に示すように、第1レール部材46a及び第2レール部材46bを下面に支持した円板状部材47の上部に、軸状の支持部47Aが突設され、円板状部材47が、天井部から吊下げ支持する状態で設けた4角形の板状体48に対して、支持部47Aを上方に突出させた状態で、上下軸心回りで回転自在に支持されている。
支持部47Aの上部に操作用アーム49が取付けられ、その操作用アーム49を揺動操作する電動シリンダ50が設けられている。
【0123】
したがって、電動シリンダ50にて円板状部材47を回動操作することにより、姿勢変更部28Aを第1状態と第2状態とに切換えることにより、物品搬送車2が第1分岐経路5Aを走行するときや第2分岐経路5Bを走行するときに、ガイド輪26を的確に案内するように構成されている。
【0124】
つまり、姿勢変更部28Aを設けない場合には、物品搬送車2が第1分岐経路5Aを走行するときのガイド輪26の移動経路と、物品搬送車2が第2分岐経路5Bを走行するときのガイド輪26の移動経路とが交差するため、一方側第1分岐用案内面F1と他方側第1分岐用案内面G1との間には、第1分岐経路5Aの長手方向において隙間が形成され、また、他方側第2分岐用案内面G2と一方側第2分岐用案内面F2との間には、第2分岐経路5Bの長手方向において隙間が形成されるものとなる。
【0125】
本実施形態においては、姿勢変更部28Aを設けて、物品搬送車2が第1分岐経路5Aを走行するときには、一方側第1分岐用案内面F1と他方側第1分岐用案内面G1とを第1分岐経路5Aの長手方向で重複させ、物品搬送車2が第2分岐経路5Bを走行するときには、他方側第2分岐用案内面G2と一方側第2分岐用案内面F2とを第2分岐経路5Bの長手方向に重複させることができるため、ガイド輪26を的確に案内することができることになる。
【0126】
ちなみに、物品搬送車2が第1分岐経路5Aを走行する状態において、一方側第1分岐用案内面F1にて案内されるガイド輪26は、車体横幅方向の移動範囲の左端側に位置する状態となっており、そして、他方側第1分岐用案内面G1に案内される状態になると、他方側第1分岐用案内面G1との接当により、車体横幅方向の移動範囲の右端側に位置する状態に移動するようになっている。
【0127】
また、物品搬送車2が第2分岐経路5Bを走行する状態において、他方側第2分岐用案内面G1にて案内されるガイド輪26は、車体横幅方向の移動範囲の右端側に位置する状態となっており、そして、一方側第2分岐用案内面F2に案内される状態になると、一方側第2分岐用案内面F2との接当により、車体横幅方向の移動範囲の左端側に位置する状態に移動するようになっている。
【0128】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態を説明するが、この第2実施形態は、一対の可動レール35の操作構成が異なる以外は、第1実施形態と同様に構成されるものである。
したがって、重複した記載を省略するために、一対の可動レール35の操作構成についてのみ説明する。
【0129】
一対の可動レール35の夫々が、レール支持枠36に取付けた第1ガイド体37、その第1ガイド体37にて案内支持される第1可動体38に支持されている中継リンク39、可動レール35の下面部に設けた第2ガイド体43、及び、その第2ガイド体43にて移動自在に案内支持され且つレール支持枠36に取付けた軸受部45にて回転自在に支持される第2可動体44によって、姿勢変更自在に支持される点は、上記第1実施形態と同じである。
【0130】
本実施形態においては、図15に示すように、左右一対の可動レール35を一つの電動モータ40にて操作するように構成されている。
すなわち、一つの電動モータ40が、左右一対の可動レール35の一方側に対応させた状態で設けられている。この電動モータ40には、上下一対の駆動リンク41が装備されており、下方側の駆動リンク41が、第1実施形態と同様に、一方側の可動レール35に対応する中継リンク39の端部に枢支連結されている。
【0131】
そして、上下一対の駆動リンク41のうちの上方側の駆動リンク41が、リンク式の連係機構Kにて、他方側の可動レール35に対応する中継リンク39の端部に連動連結されている。
【0132】
連係機構Kは、駆動リンク41に枢支連結された第1ロッド51、その第1ロッド51に一端部が枢支連結された中継揺動リンク52、その中継揺動リンク52の他端部に枢支連結された第2ロッド53、その第2ロッド53に枢支された第1揺動リンク54、その第1揺動リンク54を上端に取付けた回動軸55、及び、その回動軸55の下端部に取付けた第2揺動リンク56からなり、第2揺動リンク56が、他方側の可動レール35に対応する中継リンク39の端部に枢支連結されている。
尚、中継揺動リンク52は、支持枠57に、その長手方向の中間部が回転自在に支持されている。支持枠57は、天井部から吊下げ支持される等により設けられることになる。
【0133】
したがって、本実施形態においては、一つの電動モータ40にて、左右一対の可動レール35を、第1分岐経路形成状態(図10参照)と第2分岐経路形成状態(図8参照)とに切換操作できることになる。
【0134】
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態を説明するが、この第3実施形態は、一対の可動レール35の構成や、上部ガイドレール28における姿勢変更部28Aの構成が異なり、そして、一対の可動レール35及び上部ガイドレール28の姿勢変更部28Aに対する操作構成が異なる以外は、第1実施形態と同様に構成されるものである。
したがって、重複した記載を省略するために、以下、第1実施形態と異なる部分について説明して、第1実施形態と同じ部分については説明を省略する。
【0135】
一対の可動レール35は、いずれか一つの可動レール35を一方側第1レール部分D1に連なって第1分岐経路5Aに沿って経路下手側に伸びる状態とし、かつ、残りの可動レール35を他方側第2レール部分E2に連なって第1分岐経路5Aに沿って経路上手側に伸びる状態とする第1分岐経路形成状態(図19、図23参照)と、いずれか一つの可動レール35を他方側第1レール部分E1に連なって第2分岐経路5Bに沿って経路下手側に伸びる状態とし、かつ、残りの可動レール35を一方側第2レール部分D2に連なって第2分岐経路5Bに沿って経路上手側に伸びる状態とする第2分岐経路形成状態(図21参照)とに切換え自在に構成される点は、第1実施形態と同じである。
【0136】
この実施形態においては、一対の可動レール35は、平面視形状が3角形となるように形成されて、離間側レール部1Bの長手方向に沿ってスライド移動することによって、第1分岐経路形成状態と第2分岐経路形成状態とに切換えられるように構成されている。
【0137】
ちなみに、この実施形態においては、第1分岐経路形成状態において、左右の走行輪4が一対の可動レール35に同時に載置される状態が存在することに加えて、一方の可動レール35と一方側第1レール部分D1とに左右の走行輪4が同時に載置される状態と、他方側の可動レール35と他方側第2レール部分E2とに左右の走行輪4が同時に載置される状態とが存在するように構成されて、左右の走行輪4を同時に載置する区間が長くなるようにしている。
【0138】
また、第2分岐経路形成状態において、左右の走行輪4が一対の可動レール35に同時に載置される状態が存在することに加えて、一方の可動レール35と他方側第1レール部分E1とに左右の走行輪4が同時に載置される状態と、他方側の可動レール35と一方側第2レール部分D2とに左右の走行輪4が同時に載置される状態とが存在するように構成されて、左右の走行輪4を同時に載置する区間が長くなるようにしている。
【0139】
図18、図20、図22に示すように、上部ガイドレール28の姿勢変更部28Aとして、第1状態において、一方側第1分岐用案内面F1を形成し、かつ、第2状態において、一方側第2分岐用案内面F2を形成する第1レール部材57aと、第1状態において、他方側第1分岐用案内面G1を形成し、かつ、第2状態において、他方側第2分岐用案内面G2を形成する第2レール部材57bとが設けられている。
【0140】
第1実施形態においては、第1レール部材46aと第2レール部材46bの長さが異なり、長さが短い第1レール部材46aの存在箇所を中心に回動させることによって、第1状態と第2状態とに切換えられるものであるが、この第3実施形態においては、第1レール部材57aと第2レール部材57bの長さが同じであり、両者の中間部を中心に回動させることによって、第1状態と第2状態とに切換えるように構成されている。
【0141】
また、この実施形態においては、一つの駆動手段としての電動シリンダ58が、一対の可動レール35を第1分岐経路形成状態とし、かつ、姿勢変更部28Aを第1状態とする第1分岐状態と、一対の可動レール35を第2分岐経路形成状態とし、かつ、姿勢変更部28Aを第2状態とする第2分岐状態とに切換えるべく、一対の可動レール35及び姿勢変更部28Aに連係されている。
【0142】
説明を加えると、図16及び図25に示すように、上部ガイドレール28よりも上方側となる箇所に、板状の基体枠60が、上部ガイドレール28を支持する枠体8Aに支持される又は天井部に吊下げ支持される等によって支持された状態で設けられ、この基体枠60の上方箇所に、電動シリンダ58によって回動軸心M回りで正逆に回動操作されるT字状の揺動枠61が、支持軸62に支持された状態で設けられている。
【0143】
基体枠60の下面部に、図25に示すように、第1レール部材57aと第2レール部材57bとを取付けた板状のレール支持体63が、回動軸心N回りで正逆に回動自在に支持されている。そして、このレール支持体63の回動により、姿勢変更部28Aが、第1状態と第2状態とに切換えられることになる。
【0144】
図16及び図17に示すように、基体枠60と揺動枠61との間に相当する箇所に、左右一対の可動レール用スライド部材64、及び、姿勢変更部用スライド部材65が設けられている。
【0145】
左右一対の可動レール用スライド部材64は、図26及び図27に示すように、基体枠60の上面部に取付けた左右一対のガイド体66にて、離間側レール部1Bの長手方向に沿ってスライド移動自在に支持され、可動レール用スライド部材64における左右のガイド体66の間に相当する箇所に、軸状枠67が下方に向けて突設されている。
【0146】
軸状枠67は、図17に示すように、基体枠60に離間側レール部1Bの長手方向に沿う長孔状に形成した挿通孔68を通して、基体枠60の下方に延出され、その下端部には、可動レール35が取付けられている。
【0147】
可動レール用スライド部材64の上部に、スライド操作用の被係止部64Aが上方に突出する状態で設けられ、この被係止部64Aが、揺動枠61の長孔状の係合孔69に係合されている。そして、揺動枠61の正逆の揺動により、可動レール35が第1分岐経路形成状態と第2分岐経路形成状態とに切換えられるように構成されている。
【0148】
尚、可動レール35が第1分岐経路形成状態となるときや第2分岐経路形成状態となるときにおいて、可動レール用スライド部材64に形成した一対の係合凹部70に対して弾性付勢力にて係合して、可動レール用スライド部材64を位置決めする弾性係合体71が、基体枠60に設けられており、可動レール35が第1分岐経路形成状態や第2分岐経路形成状態において的確に位置決め保持されるようになっている。
【0149】
姿勢変更部用スライド部材65は、基体枠60の上面部に取付けたガイド体72にて、離間側レール部1Bの長手方向と直交する方向に沿ってスライド移動自在に支持され、その一端部には、図24及び図25に示すように、レール支持体63から上方に向けて突設した被係止体63Aが係合する係合孔73が、端部から内方に向かうU字状の孔となる状態で形成されている。
尚、被係止体63Aは、図17に示すように、基体枠60に形成した挿通孔74を通して、基体枠60の上方に突出するようになっている。
【0150】
図17及び図24に示すように、姿勢変更部用スライド部材65の他端部には、スライド操作用の被係止部65Aが上方に突出する状態で設けられ、この被係止部65Aが、揺動枠61の長孔状の係合孔75に係合されている。そして、揺動枠61の正逆の揺動により、姿勢変更部28Aが第1状態と第2とに切換えられるように構成されている。
【0151】
尚、図18に示すように、姿勢変更部28Aが第1状態となるときや第2状態となるときにおいて、姿勢変更部用スライド部材65に形成した一対の係合凹部76に対して弾性付勢力にて係合して、可動レール用スライド部材64を位置決めする弾性係合体77が、基体枠60に設けられており、姿勢変更部28Aが第1状態や第2状態において的確に位置決め保持されるようになっている。
【0152】
以上の通り、本実施形態においては、一つの電動シリンダ58によって揺動枠61を正逆に揺動操作することによって、一対の可動レール35を第1分岐経路形成状態とし、かつ、姿勢変更部28Aを第1状態とする第1分岐状態(図22、図23参照)と、一対の可動レール35を第2分岐経路形成状態とし、かつ、姿勢変更部28Aを第2状態とする第2分岐状態(図20、図21参照)とに切換えることができるように構成されている。
【0153】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を列記する。
(1)上記第1〜第3実施形態では、物品搬送車2の走行部10が、分割された前方走行部10F及び後方走行部10Rから構成される場合を例示したが、走行部10を分割しない形態で構成して実施してもよい。
【0154】
(2)上記第1〜第3実施形態では、非分岐走行形態、第1分岐走行形態、及び、第2分岐走行形態に切換るにあたり、ガイドレール1に加えて、可動レール35や上部ガイドレール28により物品搬送車2の姿勢を保持しながら走行させる場合を例示したが、例えば、非分岐走行形態において、走行部10の左右の走行輪14を案内するための左右一対のレール部1aを備えた非分岐状態用のレール体と、第1分岐走行形態において、走行部10の左右の走行輪14を案内するための左右一対のレール部1aを備えた第1分岐走行形態用のレール体と、第2分岐走行形態において、走行部10の左右の走行輪14を案内するための左右一対のレール部1aを備えた第2分岐走行形態用のレール体との夫々を、物品搬送車2を案内するために走行経路上に位置させる案内作用位置と走行経路から退避させた退避位置とに位置変更操作自在に設けるようにする等、非分岐走行形態、第1分岐走行形態、及び、第2分岐走行形態に切換るための構成は、各種の構成が適用できる。
【0155】
(3)上記第1〜第3実施形態では、ガイドレール1に加えて、可動レール35や上部ガイドレール28により物品搬送車2の姿勢を保持しながら、非分岐走行形態、第1分岐走行形態、及び、第2分岐走行形態に切換えて走行させるにあたり、上部ガイドレール28に、姿勢変更部28Aを備えさせる場合を例示したが、姿勢変更部28Aを備えさせずに実施してもよい。
この場合、走行部10に、車体前後の左右の走行輪14に加えて、補助の左右走行輪を車体前後方向に沿って装備して、左右の走行輪14がガイドレール1や可動レール35から浮上しても、補助の左右走行輪をガイドレール1に載置させて、走行部10の姿勢を安定させるようにするとよい。
【0156】
(4)上記第1〜第3実施形態では、2つの環状の走行経路4が、経路横幅方向に並べた状態で、かつ、2重の環状となる状態で設けられる場合を例示したが、3つ以上の環状の走行経路4が、複数重の環状となる状態で設けられる形態で実施してもよい。
【0157】
(5)上記実第1〜第3施形態では、2つの環状の走行経路4の横側脇に、物品処理部Pを経由するサブ走行経路3が配置される場合を例示したが、複数の環状の走行経路4のうちの一つが、物品処理部Pを経由する状態で配置される形態で実施してもよい。
【0158】
(6)上記第1〜第3実施形態では、2つの環状の走行経路4が、2重の環状となる状態で設けられる場合を例示したが、例えば、2つの環状の走行経路4を、それらの経路のうちの一部の経路部分が経路横幅方向に並び、他の経路部分が離れている状態で並置する形態実施してもよい。
【符号の説明】
【0159】
1 走行レール
1a レール部
1A 分岐側レール部
4 走行経路
4A 一方側走行経路
4B 他方側走行経路
5A 第1分岐路
5B 第2分岐路
2 物品搬送車
10 走行部
14 走行輪
15 案内輪
28 上部ガイドレール
28a 非分岐用案内面
28b 分岐用案内面
28A 姿勢変更部
35 可動レール
58 駆動手段
D1 一方側第1レール部分
D2 一方側第2レール部分
E1 他方側第1レール部分
E2 他方側第2レール部分
F1 一方側第1分岐用案内面
F2 一方側第2分岐用案内面
G1 他方側第1分岐用案内面
G2 他方側第2分岐用案内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品搬送車が同じ方向に向けて走行する複数の走行経路が、経路横幅方向に並べた状態で天井側に設けられ、
複数の前記走行経路における隣り合う一対の走行経路のうちの一方側走行経路から他方側走行経路に前記物品搬送車が分岐走行する第1分岐経路及び前記他方側走行経路から前記一方側走行経路に前記物品搬送車が分岐走行する第2分岐経路が、平面視において前記走行経路に対して傾斜する傾斜姿勢で、前記一方側走行経路と前記他方側走行経路とを接続するように設けられた天井設置型の物品搬送設備であって、
前記第1分岐経路と前記第2分岐経路とが、平面視にて、交差する形態で設けられている天井設置型の物品搬送設備。
【請求項2】
複数の前記走行経路が、複数重の環状となる状態で設けられている請求項1記載の天井設置型の物品搬送設備。
【請求項3】
前記物品搬送車が、走行部と、その走行部の下方に位置する物品保持部とを備える形態に構成され、
前記走行部が、前後両側箇所の夫々に、左右の走行輪、及び、上下軸心周りで回転する左右の案内輪を備える形態に構成され、
前記走行経路に沿って配設されるガイドレールが、レール横幅方向に間隔を隔てる状態で左右一対のレール部を備えるように構成され、
前記左右一対のレール部が、前記走行輪が走行する走行面及び前記案内輪を案内する案内面を備えるように構成され、
前記左右一対のレール部のうちの、前記第1分岐経路及び前記第2分岐経路が存在する側に位置する分岐側レール部が、前記第1分岐経路又は前記第2分岐経路の入口部と前記第2分岐経路又は前記第1分岐経路の出口部との間に相当する分岐経路形成箇所においては、前記第1分岐経路又は前記第2分岐経路の入口側部分及び出口側部分に沿う状態となり、かつ、前記第1分岐経路と前記第2分岐経路との交差部分に相当する箇所にて分断された状態となるように設けられ、
前記一方側走行経路又は他方側走行経路を走行する前記物品搬送車の走行方向を前記第1分岐経路又は前記第2分岐経路に向けて分岐させる分岐走行状態と非分岐走行状態とに切換える走行方向切換え手段、
前記一方側走行経路又は前記他方側走行経路における前記分岐経路形成箇所に相当する部分を走行する前記物品搬送車が前記分岐側レール部側に傾くことを抑制する状態に案内する非分岐用補助案内手段、
前記第1分岐経路又は前記第2分岐経路における前記分岐側レール部の非存在箇所において前記物品搬送車を受止め支持する補助受止め手段、及び、
前記第1分岐経路又は前記第2分岐経路を走行する前記物品搬送車の左右方向での傾きを抑制すべく、前記物品搬送車に対して案内作用する分岐走行用補助案内手段が設けられている請求項1又は2記載の天井設置型の物品搬送設備。
【請求項4】
前記一方側の走行経路に対応する前記分岐側レール部における前記第1分岐経路の入口側部分に沿う一方側第1レール部分、前記一方側の走行経路に対応する前記分岐側レール部における前記第2分岐経路の出口側部分に沿う一方側第2レール部分、前記他方側の走行経路に対応する前記分岐側レール部における前記第2分岐経路の入口側部分に沿う他方側第1レール部分、及び、前記他方側の走行経路に対応する前記分岐側レール部における前記第1分岐経路の出口側部分に沿う他方側第2レール部分に対応させて、一対の可動レールが設けられ、
前記一対の可動レールが、いずれか一つの可動レールを前記一方側第1レール部分に連なって前記第1分岐経路に沿って経路下手側に伸びる状態とし、かつ、残りの可動レールを前記他方側第2レール部分に連なって前記第1分岐経路に沿って経路上手側に伸びる状態とする第1分岐経路形成状態と、いずれか一つの可動レールを前記他方側第1レール部分に連なって前記第2分岐経路に沿って経路下手側に伸びる状態とし、かつ、残りの可動レールを前記一方側第2レール部分に連なって前記第2分岐経路に沿って経路上手側に伸びる状態とする第2分岐経路形成状態とに切換え自在に構成され、
前記補助受止め手段が、前記一対の可動レールにて前記物品搬送車を受け止め支持する形態に構成されている請求項3記載の天井設置型の物品搬送設備。
【請求項5】
前記走行部の前記走行輪よりも上方側箇所に、経路切換え用の被案内体が装備され、
前記被案内体を受止める上部ガイドレールが、前記分岐走行状態に切換えるための分岐用案内面、及び、前記非分岐走行状態に切換えるための非分岐用案内面を備える状態で設けられ、
前記走行方向切換え手段が、前記被案内体を前記分岐用案内面にて案内する状態と前記非分岐用案内面にて案内する状態とに切換えることによって、前記分岐走行状態と前記非分岐走行状態とに切換えるように構成され、
前記非分岐用案内面が、前記物品搬送車が前記分岐側レール部側に傾くことを抑制する状態で、前記分岐経路形成箇所に相当する部分において前記被案内体を受け止めるように設けられ、
前記非分岐用補助案内手段が、前記非分岐用案内面にて前記被案内体を受け止める形態にて、前記物品搬送車が前記分岐側レール部側に傾くことを抑制する状態に案内するように構成されている請求項4記載の天井設置型の物品搬送設備。
【請求項6】
前記分岐用案内面として、
前記一方側第1レール部分に対して前記左右の走行輪のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する前記走行部が浮上状態となる前記走行輪側に傾くことを抑制する状態で前記被案内体を受け止める一方側第1分岐用案内面、
前記他方側第2レール部分に対して前記左右の走行輪のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する前記走行部が浮上状態となる前記走行輪側に傾くことを抑制する状態で前記被案内体を受け止める他方側第1分岐用案内面、
前記他方側第1レール部分に対して前記左右の走行輪のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する前記走行部が浮上状態となる前記走行輪側に傾くことを抑制する状態で前記被案内体を受け止める他方側第2分岐用案内面、及び、
前記一方側第2レール部分に対して前記左右の走行輪のうちの一方側を載置し且つ他方側を浮上させて走行する前記走行部が浮上状態となる前記走行輪側に傾くことを抑制する状態で前記被案内体を受け止める一方側第2分岐用案内面を備えるように構成され、
前記分岐走行用補助案内手段が、前記物品搬送車が前記第1分岐経路を走行するときには、前記一方側第1分岐用案内面及び前記他方側第1分岐用案内面にて、前記被案内体を受け止め、且つ、前記物品搬送車が前記第2分岐経路を走行するときには、前記他方側第2分岐用案内面及び前記一方側第2分岐用案内面にて、前記被案内体を受け止める形態にて、前記物品搬送車に対して案内作用するように構成されている請求項5に記載の天井設置型の物品搬送設備。
【請求項7】
前記上部ガイドレールにおける前記分岐用案内面を形成する部分のうちの一部の姿勢変更部が、前記一方側第1分岐用案内面と前記他方側第1分岐用案内面とを前記第1分岐経路の長手方向で重複させる第1状態と、前記他方側第2分岐用案内面と前記一方側第2分岐用案内面とを前記第2分岐経路の長手方向に重複させる第2状態とに切換え自在に構成されている請求項6記載の天井設置型の物品搬送設備。
【請求項8】
一つの駆動手段が、前記一対の可動レールを前記第1分岐経路形成状態とし、かつ、前記姿勢変更部を前記第1状態とする第1分岐状態と、前記一対の可動レールを前記第2分岐経路形成状態とし、かつ、前記姿勢変更部を前記第2状態とする第2分岐状態とに切換えるべく、前記一対の可動レール及び前記姿勢変更部に連係されている請求項7記載の天井設置型の物品搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2013−110370(P2013−110370A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256593(P2011−256593)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】