説明

天板付き家具

【課題】木製の脚部材の支持強度を支持アームによって効果的に高めることのできる構造を備えた天板付き家具を提供すること。
【解決手段】木製の脚部材5と、脚部材5に取り付けられる剛性体から成型された支持アーム6と、を対向させて脚体を構成するものとし、脚部材5の上部に、少なくとも上方に向けて開口し下方に向かって狭まる略台形状の嵌合溝部5bを設けるとともに、支持アーム6に下方に向かって狭まる略台形状をなす嵌合突部28を設け、支持アーム6の嵌合突部28を脚部材5の嵌合溝部5bに嵌合することで、支持アーム6と脚部材5とが連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製の脚部材と、この脚部材に取り付けられる剛性体から成型された支持アームと、を対向させて脚体を構成するものとした天板付き家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脚部材を対向させて構成された脚体上に天板を支持して成る家具として、役員用の執務室などにおいて適用される木製の脚体・天板からなるものは、そのデザイン性や木の与える高級感などから、高い人気を得ている。木を、幅が広く荷重の大きな部材に加工して使用するにあたっての問題点として、使用年数に応じて撓みや反りが生じ易いという点が挙げられる。
【0003】
そこで、脚部材における、対向する他方の脚部材を向く内側面に、下向きL字状の天板支持金具を設け、この金具の上面と脚部材の上面とで天板の荷重を支持するという構造を採ることで、天板全体の荷重の支持しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、脚体を、脚部材と天板支持用の支持アームとで構成し、支持アームで天板の荷重を支持する構造を採るものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2008−194097号公報(第3頁、第2図)
【特許文献2】特開2007−125167号公報(第3頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にあっては、という点では優れているものの、脚部材そのものの変形に対しては、天板と後面板(配線収納ユニット)での連結に頼らざるを得ず、脚部材自体の強度という観点からは課題が残されていた。
【0007】
また、特許文献2にあっては、天板支持用の支持アームを、脚部材と単に螺着するのみの構造であり、特許文献1で開示されている天板支持金具の取付位置を、単に脚部材上面に変えたに過ぎず、劇的な改善は望み難かった。
【0008】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、木製の脚部材の支持強度を支持アームによって効果的に高めることのできる構造を備えた天板付き家具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の天板付き家具は、
木製の脚部材と、該脚部材に取り付けられる剛性体から成型された支持アームと、を対向させて脚体を構成するものとし、前記脚部材の上部に、少なくとも上方に向けて開口し下方に向かって狭まる略台形状の嵌合溝部を設けるとともに、前記支持アームに下方に向かって狭まる略台形状をなす嵌合突部を設け、前記支持アームの嵌合突部を前記脚部材の嵌合溝部に嵌合することで、前記支持アームと前記脚部材とが連結することを特徴としている。
この特徴によれば、支持アームの嵌合突部が、脚部材の嵌合溝部に嵌合することで、脚部材の剛性を強めることができる。また、嵌合突部と嵌合溝部とを、ともに下方に向かって狭まる台形状としたので、嵌合突部を嵌合溝部に差し込み易くなる。
【0010】
本発明の請求項2に記載の天板付き家具は、請求項1に記載の天板付き家具であって、
前記嵌合溝部は、上方且つ側方に向けて開口しており、前記支持アームと前記脚部材とは、前記嵌合溝部に嵌合した嵌合突部の側面に向けて挿入したボルトによって、連結されるようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、嵌合溝部を側方にも開口したので、嵌合突部の嵌合溝部への嵌合がより行い易くなる。
【0011】
本発明の請求項3に記載の天板付き家具は、請求項2に記載の天板付き家具であって、
前記嵌合溝部の側方の開口は、対向する他方の脚部材の方向に開口しており、前記ボルトにより嵌合突部を連結した後の側方の開口を、閉塞板によって閉塞したことを特徴としている。
この特徴によれば、嵌合溝部の側方の開口が他方の脚部材の方向に開口しているので外方から目立たず、しかも閉塞板によって閉塞したので、連結用のボルトや嵌合突部が外方に露呈せず、体裁を損なわない。
【0012】
本発明の請求項4に記載の天板付き家具は、請求項3に記載の天板付き家具であって、
前記閉塞板は嵌合溝部の側方開口の形状と略同一の形状をなし、脚部材の開口側側面と略面一となるように取り付けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、閉塞板の形状が側方開口の形状と略同一でかつ脚部材の開口側側面と略面一となっているため、凹凸の違和感がなく、脚部材の側面と同一化させることができ体裁がよい。
【0013】
本発明の請求項5に記載の天板付き家具は、請求項1ないし4のいずれかに記載の天板付き家具であって、
前記嵌合突部は、前記支持アームの長手方向の略中間位置に設けられており、前記支持アームの前記嵌合突部から長手方向の両方向に離間した複数箇所が、前記脚部材に連結されるようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、支持アームの長手方向の略中間位置で嵌合突部が嵌合溝部に連結され、且つ嵌合突部から長手方向の両方向に離間した複数箇所が脚部材に連結されるので、脚部材の剛性が長手方向の全領域で大となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の実施例における天板付き家具としての机の全体像を示す斜視図である。図2は、机の側面図である。図3は、机の一端側を示す正面図である。図4は、机の一端側を示す平面図である。図5は、支持アームの取付状況を示す拡大斜視図である。図6は、支持アームを内上方から見た斜視図である。図7は、支持アームを外上方から見た斜視図である。図8(a)は、周縁部材の平面図であり、(b)は、同じく正面図であり、(c)は、同じく側面図である。図9は、支持アームの底面図である。図10は、脚部材を内上方から見た斜視図である。図11(a)は、連結杆の一端側を示す正面図であり、(b)は、同じく側面図である。図12(a)は、閉塞板の正面図であり、(b)は、同じく側面図である。図13は、脚部材に取付けられた支持アームの断面図である。図14は、脚部材に取付けられた支持アームの平面図である。図15は、脚部材に取付けられた支持アームを内上方から見た斜視図である。
【0016】
図1に示されるように、本実施例の天板付き家具としての机1は、使用者から見て左右方向に幅広の矩形状の木製の天板2と、天板2を支持する脚体3と、天板2の左右幅と略同じ幅であって、天板2の非使用側の側縁に後述のように取付けられたパネル4と、から主として構成されている。机1は、複数の机1若しくは図示しない他の家具と組合せたいわゆるワークステーションとしての形態を採って使用され、あるいは机1単体で使用され得る。以下の説明で用いる上下左右、前後、及び内外の方向は、机1に向かう使用者を基準とした方向である。
【0017】
図1ないし4に示されるように、脚体3は、脚部としての天板2の左右端に離間して一対に配置される脚部材5及びそれぞれの脚部材5の上面に配置される金属製の支持アーム6、そして左右両支持アーム6に連結される連結杆7から主として成る。
【0018】
脚体3を構成する脚部材5は、木製の板部材であって、天板2の前後方向幅と略同じ長さの幅寸を有し、内側面の前後側が、それぞれ前後端部に向けて漸次先細のテーパ面と成る前後対称の形状となっている。
【0019】
天板2は、木製の板部材であって、下面の前後側が、それぞれ前後端部に向けて漸次先細のテーパ面と成る前後対称の形状となっており、前記した脚部材5と併せた統一感を有している。
【0020】
パネル4は、天板2よりも上方側を仕切板若しくはデスクトップパネルとして利用出来るとともに、天板2よりも下方側を幕板として利用出来るようになっている。
【0021】
また、天板2の下面のパネル4側には、断面視略コ字状の受け部材8が左右方向に取付けられており、例えばパソコンや照明器具用の配線ケーブル等を配置できるようになっている。
【0022】
パネル4の天板2側への取付面における左右両端部それぞれの近傍に係合部材10が固着され、係合部材10には係合片11,12が突設されている。これら係合片11,12が、天板2下面における反使用端側の左右両端部それぞれの近傍に固着されたブラケット13の係合孔に係合することで、パネル4が天板2に対し取り付けられている。
【0023】
次に、脚体3の取付構造について詳細に説明する。
【0024】
図5ないし7に示されるように、支持アーム6は、天板2下面と脚部材5の上面5aとの間に介在するアーム部材であって、細部にわたり前後略対称形状に形成されている。支持アーム6は、後述のように天板2及び脚部材5とそれぞれネジにより接続されるとともに、且つ左右の支持アーム6同士が連結杆7を介し接続されるようになっている。
【0025】
また、支持アーム6は、剛性体としての金属製部材、具体的にはアルミ製の成型部材であり、木製の天板2及び脚部材5の間に配置されて美観が良く、机1全体の意匠性にも寄与している。
【0026】
図6、7に示されるように、支持アーム6は、天板2の下面に当接する上面側において、前後中央側2箇所に、内側に向けて延びる張出部20が設けられるとともに、前後端側2箇所に、内側に向けて延びる張出部21が設けられる。各張出部20,21にそれぞれネジ孔20a,21aが形成され、天板2と螺合するネジを挿入できるようになっている。
【0027】
また、支持アーム6下面の所定箇所と脚部材5の上面5aとの間に、合成樹脂等の弾性体により成型された周縁部材30が配設されている。図8(a)〜(c)に示されるように、周縁部材30は、より具体的には、前後方向に延びる薄板状の成型部材であり、一端部30aが若干幅広に形成されている。図8(c)に示されるように、周縁部材30の幅方向の断面視形状は、上方から下方、すなわち後述する脚部材5の上面に向けて拡がる傾斜面30bを備えた傾斜形状に形成されている。また、周縁部材30の上面の前後2箇所に、突設片30c,30dが上方に向けて突設されている。
【0028】
次に、図9に示されるように、周縁部材30が取り付けられる支持アーム6の下面について説明すると、支持アーム6下面の外側周縁及び前後周縁に亘って、前記した周縁部材30の形状に対応するように、幅方向断面視で略L字状の溝部22が(図13参照)、支持アーム6の前後対称に2箇所形成されている。また、溝部22下面の前後端側及び中央側に、周縁部材30の突設片30c,30dがそれぞれ嵌合する嵌合孔22c,22dが設けられている。
【0029】
次に、図6,7に示されるように、支持アーム6の連結杆7との接続箇所について説明すると、支持アーム6の上面側に、上方に向けて開口するとともに内外に一対の立片24,25を有するコ字状部23が、前後方向に延びている。内側の立片24には、連結杆7に接続する際に用いる前後に2個一組のボルト用の挿通孔24aが、立片24の前後方向に複数組並んで穿設されている。
【0030】
一方、図11(a)、(b)に示されるように、連結杆7の左右両端部には、前記した2個一組の挿通孔24aに対応する2個一組のボルト孔32aが形成されており、連結杆7と支持アーム6とは後述のように連結ボルトで接続されるようになっている。
【0031】
図7に示されるように、各組ごとの互いに隣接した2個の挿通孔24a同士の間の部位に、内側の立片24と外側の立片25とを連結するリブ26が設けられている。
【0032】
内側の立片24について詳述すると、図6に示されるように、立片24の連結杆7に連結するコ字状部23の外方を向く外側面において、互いに連結した2個の挿通孔24a同士の間の部位に、連結杆7に向けて凸である位置決め片27が突設している。
【0033】
また、図6に示されるように、内側の立片24のコ字状部23内方を向く内側面は、外上方に向けて傾斜するテーパ面24bに形成されている。更に各挿通孔24aは、このテーパ面24bに対し略直交する軸線方向に穿設されている。
【0034】
尚、本実施例では、2個一組のボルト孔が形成された連結杆7と接続するべく、支持アーム6の内側の立片24に2個一組の挿通孔24aが前後方向に複数組形成され、各組の挿通孔の間にリブ26が設けられているが、例えば、1個のボルト孔のみが形成された連結杆と適宜の箇所で接続するべく、支持アームの内側の立片に挿通孔が前後方向に複数個形成され、隣接する挿通孔の間にリブが設けられていてもよい。
【0035】
更に尚、一組のボルト孔及び対応する挿通孔の個数は、2個であるに限られず、3個以上の所定数であっても構わず、前記したリブは、隣接する挿通孔の間に全て、若しくは所定数ピッチで設けられていてもよい。
【0036】
次に、図6,7に示されるように、支持アーム6の脚部材5との接続箇所について説明すると、支持アーム6の前後中央側の下部に、略等脚台形状を成す嵌合突部28が、その下底辺28aを上底辺28bよりも短い形状、すなわち下方に向って狭まる形状になるように設けられている。嵌合突部28には、傾斜辺に沿ってネジ孔28cが内外に貫通して穿設され、内側面の所定箇所に係合凹部28dが設けられている。
【0037】
一方、図10に示されるように、脚部材5の内側面の前後中央側には、支持アーム6の嵌合突部28に対応して略等脚台形状を成す嵌合溝部5bが形成されている。嵌合溝部5bは、脚部材の前後中央側における内側面及び上面を所定深さ削り取って形成され、すなわち内側方且つ上方に向けて開口している。
【0038】
図7に示されるように、支持アーム6前後側2箇所の張出部21内には、天板2の左右側縁にパネル(図示略)を立設する場合に用いるブラケット(図示略)を接続するためのネジ孔21bが形成されている。本実施例のように、前記パネルを使用しない場合は、張出部21に連通する支持アーム外側開口を蓋部材33により閉塞しておく。
【0039】
また、図9,14に示されるように、支持アーム6の上面の嵌合突部28から前後方向(長手方向)の両方向に離間した複数箇所に、ネジ孔6aが形成され、脚部材5と螺合する螺合手段であるネジ(図示略)を挿入できるようになっている。
【0040】
次に、支持アーム6の脚部材5への組み付けについて説明する。
【0041】
先ず、図7に示されるように、支持アーム6下面の溝部22に沿って、前後方向に2個の周縁部材30を取り付け、支持アーム6を脚部材5上面の所定箇所に設置する。図8(a)、(b)及び図9に示されるように、各周縁部材30において2箇所設けられた突設片30c,30dが、溝部22の嵌合孔22c,22dにそれぞれ嵌合することで、周縁部材30を取り付けた支持アーム6の下面を下方に向けても、周縁部材30が支持アーム6から脱落することが無く、支持アーム6の嵌合孔22c,22dに対し、周縁部材30の突設片30c,30dを嵌合した状態で、脚部材5に組み付けることができるので、机1全体の組立効率が良化する。このように、支持アーム6の取付時に、支持アーム6と脚部材5の上面5aとにより周縁部材30を挟持することになる。
【0042】
図13ないし15に示されるように、木製の脚部材5の化粧面である上面5aに対し金属製の支持アーム6を設置し、脚部材5と支持アーム6を螺合手段により取り付ける際に、剛性体で成型された支持アーム6が木製の脚部材5の上面5aに集中応力が作用すると疵や撓みが生じる虞があるが、弾性部材から成型された周縁部材30が緩衝部材の役割を果たし、脚部材5の損傷や変形を防止する。
【0043】
特に、支持アーム6の下面の外周縁部に設けられる溝部22は、外側周縁および前後周縁に設けられており、家具の外方から目立つ箇所となる外側周縁と前後周縁に周縁部材30が配置されることで、疵等を外方から確実に隠蔽することが可能である。
【0044】
また、周縁部材30の幅方向の断面視形状を脚部材5の上面5aに向けて拡がる傾斜面30bを備えた傾斜形状としたので、上方から加わる支持アーム6及び天板2の荷重を接触面積の広くなった周縁部材30の下面で受けることができ、支持アーム6を安定保持させること可能となる。
【0045】
また、上述したように支持アーム6の下面を脚部材5の上面5aに設置すると同時に、支持アーム6の略等脚台形状の嵌合突部28を、脚部材5の内側面の嵌合溝部5bにアプローチし嵌合する。嵌合突部28を嵌合溝部5b内に嵌合することで、支持アーム6の脚部材5対する前後方向及び左右方向の位置決めが成されることになる。
【0046】
嵌合突部28を嵌合溝部5bに嵌合した後、嵌合突部28のネジ孔28cに挿入した連結用のボルト34を脚部材5と螺合することで(図15参照)、支持アーム6の嵌合突部28を、脚部材5の嵌合溝部5bに対し固定する。
【0047】
このように、支持アーム6の嵌合突部28が、脚部材5の嵌合溝部5bに嵌合することで、脚部材5の剛性を強めることができる。また、嵌合突部28と嵌合溝部5bとを、ともに下方に向かって狭まる台形状としたので、嵌合突部28を嵌合溝部5bに差し込み易くなる。
【0048】
具体的には、嵌合突部28を上方から下方の嵌合溝部5bに向けて差し込むときに、差込みの初期段階においては嵌合突部28の幅狭の先端である下底辺28aが、嵌合溝部5bの幅広の開口に対し差し込み易く、以降、嵌合突部28を嵌合溝部5b内に差し込むに従い、嵌合突部28の外面が嵌合溝部5bの内面に当接して漸次位置決めしながら、嵌合突部28が所定の嵌合位置に嵌合されることになる。
【0049】
またこのように、嵌合溝部5bを上方に加えて側方にも開口したので、嵌合突部28の嵌合溝部5bへの嵌合がより行い易くなる。
【0050】
前記した連結用のボルト34により、嵌合突部28を嵌合溝部5bに対し固定した後に、図12(a)、(b)、図13、及び図15に示されるように、嵌合溝部5bの側方開口の形状と略同一の略等脚台形状の閉塞板31を、嵌合溝部5bに嵌合した嵌合突部28に係合する。閉塞板31は、表面は周縁端部31aが若干突出した平面状であるとともに、裏面の所定箇所に、嵌合突部28の係合凹部28dに対応し、先端が膨出した係合凸部31bが設けられている。
【0051】
閉塞板31を嵌合突部28に位置合わせし嵌合突部28に向け押圧することで、係合凸部31bを係合凹部28dに係合し、閉塞板31を嵌合突部28に取り付ける。嵌合突部28に取り付けられた閉塞板31は、脚部材5の内側面5cと略面一となっている。
【0052】
図15に示されるように、嵌合溝部5bの側方の開口が他方の脚部材5の方向、すなわち内方に向けて開口しているので机1の外方から目立たず、しかも閉塞板31によって閉塞したので、連結用のボルト34や嵌合突部28が外方に露呈せず、体裁を損なわない。
【0053】
またこのように、閉塞板31の形状が脚部材5の嵌合溝部5bの側方開口の形状と略同一で、且つ脚部材5の嵌合溝部5bの開口側である内側面5cと略面一となっているため、凹凸の違和感がなく、脚部材5の内側面5cと同一化させることができ体裁がよい。
【0054】
次に、図14に示されるように、支持アーム6の上面に形成されたネジ孔6aに下方に挿入した取付ネジ(図示略)を脚部材5と螺合することで、支持アーム6を脚部材5に対し固定する。
【0055】
このように、支持アーム6の前後方向(長手方向)の略中間位置で嵌合突部28が嵌合溝部5bに連結され、且つ嵌合突部28から長手方向の両方向に離間した複数箇所のネジ孔6aに挿入したネジで、脚部材5に連結されるので、脚部材5の剛性が長手方向の全領域で大となる。尚、支持アームの脚部材と連結する前記複数箇所は、嵌合突部から長手方向の両方向に離間していればよく、例えば、支持アームの前後の両端箇所であっても構わない。
【0056】
また、嵌合突部28は、その下底辺28aが上底辺28bよりも短く形成されており、且つ、嵌合突部28における前後両側の傾斜辺が下底辺28aに向けて狭まるように傾斜しており、嵌合突部28の下底辺28a及び前記傾斜辺が、机1外上方からの視覚に入り難いため、嵌合突部28及び閉塞板31が目立たず、外観体裁が良い。
【0057】
次に、支持アーム6と連結杆7との連結について説明する。
【0058】
本実施例では、支持アーム6の前後中央に位置する挿通孔24aを用いて、一本の連結杆7のみを支持アーム6に接続する。図11(a)、(b)及び図13に示されるように、連結杆7は側面視矩形状の周壁からなる内空構造の管状体であって、連結杆7の左右両端縁よりも若干内方には、前後一対のボルト孔32aが形成されたプレート材32が、上下の周壁に対し所定角度傾斜した状態で、連結杆7に固着されている。具体的には、プレート材32は、連結杆7の取付位置において前述した支持アームの立片24のテーパ面24bと略平行になるような角度で傾斜している。また、ボルト孔32aは、プレート材32の内外端面に対し略直交方向に穿設されており、すなわちボルト孔32aは、連結杆7の取付位置において、立片24のテーパ面24bに略直交に穿設された挿通孔24aと、略同軸に配置できるように成っている。
【0059】
この連結杆7を、前記したプレート材32のボルト孔32aが支持アーム6の立片24の挿通孔24aと略同軸になるように配置する。具体的には、内空構造の連結杆7の左右端の上下周縁が、コ字状部23の立片24の外側面に突設した位置決め片27と嵌合するように、連結杆7を配置する。
【0060】
次に、図13に示されるように、それぞれの挿通孔24aに、支持アーム6と連結杆7とを連結するボルトである連結ボルトBを、コ字状部23の外上方から内下方に向けて斜方向に挿通する。それぞれの連結ボルトBは挿通孔24aに挿通され、ボルト孔32aに螺合する。
【0061】
尚、本実施例では、前後中央に形成された一組の挿通孔24aのみを用いて、支持アーム6と一本の連結杆7のみとを接続しているが、天板の前後幅寸法や耐荷重の仕様等に応じて、複数組穿設された挿通孔のうち、適宜、数組の挿通孔を用いて、支持アーム6と複数本の連結杆とを接続しても良い。
【0062】
このように、連結ボルトBの挿通孔24aが複数穿設されているので、連結杆の数及び設置箇所を、挿通孔24aの穿設箇所に応じて任意に選定できる。また、隣接した挿通孔24a同士の間にリブ26を設けたことによって、連結杆7の連結ボルトBの締結により発生するモーメントを、リブ26により連結された支持アーム6のコ字状部23の両立片24,25により受けることができ、連結杆7の支持強度を高めることができる。
【0063】
また、連結杆7は隣接する2つの挿通孔24aに挿通した2つの連結ボルトBによって連結されており、2つの連結ボルトBによって連結杆7を連結すると共に、隣接した挿通孔24a同士の間にリブ26が設けられているので、連結杆7の支持強度を一層高めることができる。
【0064】
また、位置決め片27により、連結杆7を脚部としての支持アーム6に対し上下方向に位置保持できるので、重量のある連結杆7を位置決め片27で支えた状態で連結ボルトBの締結作業ができる。更に、位置決め片27は、コ字状部23の内方の立片24の外側面に、突設しているため、立片24をより肉厚にすることになり、連結杆7の支持強度の向上に寄与できる。
【0065】
更に、挿通孔24aが穿設された内方の立片24における内側面を外上方に向けて傾斜するテーパ面24bに形成することで、連結ボルトBを外上方から斜方向に挿通できるため、両立片24,25の間隔を大とすることなく連結ボルトBの締結が可能となり、脚部としての支持アーム6の幅方向の厚みを小とすることができる。
【0066】
尚、上記した連結杆7の前後中央側における挿通孔24aへの取り付けに関し、外方の立片25の一部を構成するカバー部材25aを一旦取外し、図15に示されるように、コ字状部23の外側方に連通する開口部25bを形成してもよい。このようにすることで、コ字状部23の外上方に加え外側方も利用して、連結ボルトBを螺挿するために用いるドライバ工具を取り扱い易い。
【0067】
上述したように、脚部材5に周縁部材30を介して支持アーム6を取付けた脚部を構成するとともに、左右一対に配置した前記脚部に対し連結杆7を連結し、前記脚部と連結杆7とにより脚体を構成する。
【0068】
次に、図4及び15に示されるように、前記脚体を構成する支持アーム6及び連結杆7の上面に、天板2を載置するとともに、支持アーム6の張出部20のネジ孔20a、及びに張出部21のネジ孔21aに、下方からネジ(図示略)を挿入し、脚体と天板2とを接続する。
【0069】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0070】
例えば、上記実施例では、支持アーム6の嵌合突部28が嵌合する脚部材5の嵌合溝部5bは、上方且つ内側方に向けて開口しているが、例えば嵌合溝部は、上方且つ外側方に開口しているものであってもよいし、または上方のみに開口し、脚部材の内部に向けて穿設されたものであってもよい。
【0071】
また、例えば上記実施例では、ボルト34により嵌合突部28を連結した後の嵌合溝部5bの側方の開口を、閉塞板31によって閉塞しているが、例えば、閉塞板は、前記ボルト用の挿通孔が形成されるとともに、嵌合突部に一体に設けられているものであってもよい。
【0072】
また、例えば上記実施例では、閉塞板31は、嵌合溝部5bの側方開口の形状と略同一の形状をなし、脚部材5の開口側側面5cと略面一となるように取り付けられているが、例えば、閉塞板は、嵌合溝部の側方開口の形状よりも大型若しくは小型の略相似形状であってもよいし、また脚部材の開口側側面よりも凸状若しくは凹状となるように取り付けられても構わない。
【0073】
また、例えば上記実施例では、嵌合突部28は、支持アーム6の長手方向の略中間位置に設けられており、支持アーム6の長手方向の両端部が、脚部材5に連結されるようになっているが、例えば、嵌合突部は、支持アームの長手方向の両端部に設けられる構造であってもよいし、前記構造に加えて、支持アームの長手方向の略中間部が、脚部材に連結されるようになっていても構わない。
【0074】
更に、例えば上記実施例では、脚体として板状の脚部材5、支持アーム6、及び連結杆7が構成されているが、脚体の構成部材は、本実施例に限られず、例えば、脚部材と支持アームのみから構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施例における天板付き家具としての机の全体像を示す斜視図である。
【図2】机の側面図である。
【図3】机の一端側を示す正面図である。
【図4】机の一端側を示す平面図である。
【図5】支持アームの取付状況を示す拡大斜視図である。
【図6】支持アームを内上方から見た斜視図である。
【図7】支持アームを外上方から見た斜視図である。
【図8】(a)は、周縁部材の平面図であり、(b)は、同じく正面図であり、(c)は、同じく側面図である。
【図9】支持アームの底面図である。
【図10】脚部材を内上方から見た斜視図である。
【図11】(a)は、連結杆の一端側を示す正面図であり、(b)は、同じく側面図である。
【図12】(a)は、閉塞板の正面図であり、(b)は、同じく側面図である。
【図13】脚部材に取付けられた支持アームの断面図である。
【図14】脚部材に取付けられた支持アームの平面図である。
【図15】脚部材に取付けられた支持アームを内上方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0076】
1 机(天板付き家具)
2 天板
3 脚体
4 パネル
5 脚部材
5a 上面
5b 嵌合溝部
5c 内側面
6 支持アーム
7 連結杆
10 係合部材
11,12 係合片
13 ブラケット
20,21 張出部
22 溝部
22c,22d 嵌合孔
23 コ字状部
24,25 立片
24a 挿通孔
24b テーパ面
26 リブ
27 位置決め片
28 嵌合突部
28a 下底辺
28c ネジ孔
30 周縁部材
30b 傾斜面
30c,30d 突設片
31 閉塞板
34 ボルト
B 連結ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製の脚部材と、該脚部材に取り付けられる剛性体から成型された支持アームと、を対向させて脚体を構成するものとし、前記脚部材の上部に、少なくとも上方に向けて開口し下方に向かって狭まる略台形状の嵌合溝部を設けるとともに、前記支持アームに下方に向かって狭まる略台形状をなす嵌合突部を設け、前記支持アームの嵌合突部を前記脚部材の嵌合溝部に嵌合することで、前記支持アームと前記脚部材とが連結することを特徴とする天板付き家具。
【請求項2】
前記嵌合溝部は、上方且つ側方に向けて開口しており、前記支持アームと前記脚部材とは、前記嵌合溝部に嵌合した嵌合突部の側面に向けて挿入したボルトによって、連結されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の天板付き家具。
【請求項3】
前記嵌合溝部の側方の開口は、対向する他方の脚部材の方向に開口しており、前記ボルトにより嵌合突部を連結した後の側方の開口を、閉塞板によって閉塞したことを特徴とする請求項2に記載の天板付き家具。
【請求項4】
前記閉塞板は嵌合溝部の側方開口の形状と略同一の形状をなし、脚部材の開口側側面と略面一となるように取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の天板付き家具。
【請求項5】
前記嵌合突部は、前記支持アームの長手方向の略中間位置に設けられており、前記支持アームの前記嵌合突部から長手方向の両方向に離間した複数箇所が、前記脚部材に連結されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の天板付き家具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2010−104484(P2010−104484A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277912(P2008−277912)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】