説明

天然乳化組成物

【課題】 多価アルコール5〜20重量%と2)高級アルコール1〜5重量%と3)脂肪酸1〜5重量%と4)水溶性高分子0.01〜5重量%含有する乳化組成物において、前記多価アルコールの50%以上がグリセリン 乃至はポリグリセリン であり、且つ、前記高級アルコールと脂肪酸の重量比が2:1〜1:2である構成の界面活性剤フリーの乳化物に関する技術を、更に改良し、高級アルコールと脂肪酸の含有量の総和を、安定性を損なうことなく低減する技術を提供する。
【解決手段】 1)アルギン酸及び/又はその塩0.12〜0.5質量%と2)グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールから選択される1種乃至2種以上5〜15質量%と3)直鎖飽和の高級アルコール1.5〜3質量%を含有し、ポリオキシエチレン付加型の界面活性剤を実質的に含有しない乳化組成物において、脂肪酸の含有量を2質量%以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化組成物に関し、更に詳細には、化粧料などの皮膚外用剤の基材として有用な乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
乳化組成物は、水相を連続相としてその中に油滴が分散した形態、或いは、油性成分を連続相として、その中に水滴が分散した形態等のように、水性成分と油性成分が共存する準安定系であり、その中に油性成分も、水性成分も含有させることが出来ること、及び、経皮的に吸収されやすい特性を有することから、化粧料剤形として、或いは、皮膚外用剤剤形として、広く使用されている。しかしながら、通常は、乳化剤形を具現化する為には脂肪酸石鹸、非イオン型界面活性剤、硫酸エステル型アニオン界面活性剤、リン酸エステル型アニオン界面活性剤などの、界面活性剤を使用しなければならない。しかしながら、近年に於いては、かかる界面活性剤について、皮膚刺激性や、加水分解によるホルマリンなどの発生などの懸念がされている。この様な観点からすれば、界面活性剤の使用量を減ずることは、化粧料、皮膚外用医薬などの皮膚外用剤の製剤化の上で重要なテーマとなっている。この様な、状況を背景に、種々の、実質的に界面活性剤を用いない乳化方法が考案されている。この様な乳化方法としては、例えば、両親媒性ポリマーを利用する方法(例えば、特許文献1を参照)、水膨潤性粘土鉱物とアクリルアミド系のポリマーを利用する方法(例えば、特許文献2を参照)、アルキル変性カルボキシビニルポリマーを利用する方法(例えば、特許文献3を参照)、カゼインなどの水溶性高分子と糖鎖を有するポリマーを利用する方法などが存する。しかしながら、これらは何れもポリマーを利用したものであり、ポリマーの利用には一方で残存モノマーの問題が存する。従来から知られている化粧料用の原料を用いて、界面活性剤を極力減量して、或いは、無しで乳化する技術の開発が望まれていた。この様な状況を反映し、鋭意研究が重ねられた結果、多価アルコール5〜20重量%と2)高級アルコール1〜5重量%と3)脂肪酸1〜5重量%と4)水溶性高分子0.01〜5重量%含有する乳化組成物において、前記多価アルコールの50%以上がグリセリン 乃至はポリグリセリン であり、且つ、前記高級アルコールと脂肪酸の重量比が2:1〜1:2である構成を取ることにより、実質的に非イオン界面活性剤を全く含有しない乳化組成物を具現化出来ることが見出された。(例えば、特許文献4を参照)しかしながら、このものにおいては、必須成分である高級アルコールと脂肪酸量の総和に系の安定性が依存しており、これが使用形態に於いて、転相に時間がかかり白化が塗布時になかなかおさまらない、塗布時の延びが思いなどの使用感を損なう場合が存した。
【0003】
一方、1)アルギン酸及び/又はその塩0.12〜0.5質量%と2)グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールから選択される1種乃至2種以上5〜15質量%と3)直鎖飽和の高級アルコール1.5〜3質量%を含有し、ポリオキシエチレン付加型の界面活性剤を実質的に含有しない乳化組成物において、脂肪酸の含有量が2質量%以下のものは全く知られていないし、この様な構成を採用することにより、高級アルコールと脂肪酸の含有量の総和を、安定性を損なうことなく低減できることも全く知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2003−12444号公報
【特許文献2】特開2002−191959号公報
【特許文献3】特開2002−29912号公報
【特許文献4】特開2004−231619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、多価アルコール5〜20重量%と2)高級アルコール1〜5重量%と3)脂肪酸1〜5重量%と4)水溶性高分子0.01〜5重量%含有する乳化組成物において、前記多価アルコールの50%以上がグリセリン 乃至はポリグリセリン であり、且つ、前記高級アルコールと脂肪酸の重量比が2:1〜1:2である構成の界面活性剤フリーの乳化物に関する技術を、更に改良し、高級アルコールと脂肪酸の含有量の総和を、安定性を損なうことなく低減する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、多価アルコール5〜20重量%と2)高級アルコール1〜5重量%と3)脂肪酸1〜5重量%と4)水溶性高分子0.01〜5重量%含有する乳化組成物において、前記多価アルコールの50%以上がグリセリン 乃至はポリグリセリン であり、且つ、前記高級アルコールと脂肪酸の重量比が2:1〜1:2である構成の界面活性剤フリーの乳化物に関する技術を、更に改良し、高級アルコールと脂肪酸の含有量の総和を、安定性を損なうことなく低減する技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、1)アルギン酸及び/又はその塩0.12〜0.5質量%と2)グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールから選択される1種乃至2種以上5〜15質量%と3)直鎖飽和の高級アルコール1.5〜3質量%を含有し、ポリオキシエチレン付加型の界面活性剤を実質的に含有しない乳化組成物において、脂肪酸の含有量が2質量%以下のものは全く知られていないし、この様な構成を採用することにより、かかる課題が解決できることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
(1)1)アルギン酸及び/又はその塩0.12〜0.5質量%と2)グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールから選択される1種乃至2種以上5〜15質量%と3)直鎖飽和の高級アルコール1.5〜3質量%を含有し、ポリオキシエチレン付加型の界面活性剤を実質的に含有しない乳化組成物において、脂肪酸の含有量が2質量%以下であることを特徴とする、乳化組成物。
(2)更に、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール及びジプロピレングリコールから選択される1種乃至は2種以上の含有量総計が、前記グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールから選択される1種乃至2種以上の含有量の総計と等しい乃至はそれ以下であることを特徴とする、(1)に記載の乳化組成物。
(3)アルギン酸及びその塩と、多価アルコールと、アルギン酸及びその塩含有量の10〜40質量倍の水とを混合し、透明なゲルを生成せしめ、これに油性成分を包含せしめ、しかる後に残余の水性成分を包含せしめる工程を経て製造されるものであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の乳化組成物。
(4)実質的に、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール及びジプロピレングリコールを含有しないことを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の乳化組成物。
(5)化粧料(医薬部外品を含む)であることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の乳化組成物。
(6)1)アルギン酸及び/又はその塩0.12〜0.5質量%と2)グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールから選択される1種乃至2種以上5〜15質量%と3)直鎖飽和の高級アルコール1.5〜3質量%を含有し、ポリオキシエチレン付加型の界面活性剤を実質的に含有しない乳化組成物の製造方法であって、アルギン酸及びその塩と、多価アルコールと、アルギン酸及びその塩含有量の10〜40質量倍の水とを混合し、透明なゲルを生成せしめ、これに油性成分を包含せしめ、しかる後に残余の水性成分を包含せしめる工程を経ることを特徴とする、前記乳化組成物の製造法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、多価アルコール5〜20重量%と2)高級アルコール1〜5重量%と3)脂肪酸1〜5重量%と4)水溶性高分子0.01〜5重量%含有する乳化組成物において、前記多価アルコールの50%以上がグリセリン 乃至はポリグリセリン であり、且つ、前記高級アルコールと脂肪酸の重量比が2:1〜1:2である構成の界面活性剤フリーの乳化物に関する技術を、更に改良し、高級アルコールと脂肪酸の含有量の総和を、安定性を損なうことなく低減する技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)本発明の乳化組成物の必須成分であるアルギン酸
本発明の乳化組成物は、アルギン酸及び/又はその塩を0.12〜0.5質量%、より好ましくは0.15〜0.25質量%含有することを特徴とする。本発明の乳化組成物に於いて、かかる成分は多価アルコールなどとともにゲルを形成し、このゲルの中に油性成分と水性成分を包含し、これにより乳化構造を形成せしめる働きをする。従って、前記の含有量より少ないところではゲルは形成しない場合が存するし、多いところでは、ゲル構造が強すぎて水性成分乃至は油性成分が包含されない場合が存する。かかる作用を発揮するアルギン酸及び/又はその塩としては、かかる成分が化粧料用原料、食品用原料として汎用されており、化粧料用乃至は食品用に市販されているものを購入して使用すれば良く、その入手に困難は存しない。かかるアルギン酸及び/又はその塩において、塩としては、化粧料乃至は食品で使用されているものであれば特段の限定無く適用でき、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、トリエチルアミン塩等の有機アミン塩類、リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩等が好ましく例示できる。これらの内では、アルカリ金属塩が特に好ましく、アルカリ金属塩では天然に存在するナトリウム塩が特に好ましい。
【0009】
(2)本発明の乳化組成物の必須成分である多価アルコール
本発明の乳化組成物は、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールから選択される1種乃至2種以上を5〜15質量%、より好ましくは、7〜11質量%含有することを特徴とする。かかる成分は前述の如く、アルギン酸及び/又はその塩とともにゲルを形成し、このゲルの中に油性成分と水性成分を包含し、これにより乳化構造を形成せしめる働きをする。従って、前記の含有量より少ないところではゲルは形成しない場合が存するし、多いところでは、ゲル構造が疎になりすぎて水性成分乃至は油性成分が包含されない場合が存する。本発明の乳化組成物では、かかる成分は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有することも出来る。特に好ましい形態は、化kる成分が乳化組成物に於ける多価アルコールの半量以上を占める形態であり、特に、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール及びジプロピレングリコールから選択される1種乃至は2種以上の含有量総計が、前記グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールから選択される1種乃至2種以上の含有量の総計と等しい乃至はそれ以下である形態である。乳化組成物の系の安定性の観点からは、実質的に、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール及びジプロピレングリコールを含有しないことが好ましい。前記グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールから選択される1種乃至2種以上の選択形態としては、グリセリンを含有する形態が、系の安定性からは好ましい。
【0010】
(3)本発明の乳化組成物の必須成分である高級アルコール
本発明の乳化組成物は、必須成分として、直鎖飽和の高級アルコールを1.5〜3質量%、より好ましくは、1.7〜2.7質量%含有する。これは乳化構造を維持するために最低限必要な量である。かかる成分は、前記アルギン酸及び/又はその塩と多価アルコールが作る構造に包含され、その構造を補強する作用を有する。前記直鎖飽和の高級アルコールとしては、具体的には、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが好適に例示でき、炭素数16以上のものが特に好ましく、具体的にはセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが特に好ましく例示できる。これらは唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有することも出来る。これらの成分は何れも化粧料などで汎用されている原料であり、その入手に困難は存しない。又、本発明の乳化組成物は脂肪酸を含有することを許容し、脂肪酸を含有する形態が好ましいが、高級アルコールの含有量の総和と、脂肪酸の含有量の総和の和が4質量%以下であることが好ましい。
【0011】
(4)本発明の乳化組成物
本発明の乳化組成物は、前記必須成分を含有し、乳化されている組成物であることを特徴とする。乳化形態としては、特段の限定はされないが、本発明の構成で自然に形成する水中油乳化形態が好ましい。又、本発明の乳化組成物のそもそもの主旨が、界面活性剤、特に、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのポリオキシエチレン付加型の界面活性剤の原料であることから、かかるポリオキシエチレン付加型の界面活性剤の含有量は、制限されることが好ましく、具体的には、ポリオキシエチレン付加型の界面活性剤の総量が0.1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは全く含有しない形態が例示できる。この様な形態を取ることにより、かかる成分に起因する可能性の存する刺激発現を抑制することが出来る。又、本発明の乳化組成物は、安定性を損ねない範囲において極力高級アルコールと脂肪酸の含有量の総和を低減したものであることから、安定性に好ましくない影響を与える因子は、例えば、1質量%以下の安定性に影響を与えない量に限るなど、なるべく量を限ることが好ましく、この意味で、多価アルコールの内、安定性にプラスの影響を与える、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトール以外のもの、特に好ましくは、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール及びジプロピレングリコールを実質的に含有しない形態が好ましい。
【0012】
本発明の乳化組成物は、皮膚に外用に投与される組成物に好適に適用される。かかる組成物としては、皮膚外用医薬、化粧料(医薬部外品を含む)、皮膚外用雑貨などが好適に例示できる。これらの中で特に好ましいものは化粧料であり、中でも顔面皮膚に適用される乳液、クリーム、エッセンスなどの基礎化粧料に適用することが特に好ましい。
【0013】
本発明の乳化組成物では、かかる成分以外に通常乳化組成物に含有される任意成分を、本発明の効果を損なわない範囲において、含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール等の前記の多価アルコール以外の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。本発明の乳化組成物は、前記の必須成分及び任意成分を常法に従って処理することにより、製造することが出来る。
【0014】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0015】
以下に示す処方に従って、本発明の乳化組成物である化粧料(乳液)を作成した。即ち、イ、ロ、ハの成分を80℃で加熱、溶解・分散し、イに攪拌下徐々にロを加え、しかる後に、強攪拌下、このものにハを徐々に加えて乳化し、攪拌冷却し、乳液1を得た。
【0016】

アルギン酸ナトリウム 0.2質量%
グリセリン 8 質量%
1,3−ブタンジオール 8 質量%
メチルパラベン 0.2質量%

水 64.1質量%

ベヘン酸 1 質量%
パルミチン酸ステアリル 2 質量%
固形パラフィン 2 質量%
セチルアルコール 2.5質量%
ワセリン 1 質量%
スクワラン 10 質量%
ジメチコン 1 質量%
【0017】
<比較例1>
乳液1と同様に、比較例1の組成を処理したが、ハの成分を全て包含しない内に、2層に分離をした。これより、本発明の乳化組成物では、アルギン酸及び/又はその塩の必要量は、厳格に0.12〜0.5質量%であることがわかる。
【0018】

アルギン酸ナトリウム 0.1質量%
グリセリン 8 質量%
1,3−ブタンジオール 8 質量%
メチルパラベン 0.2質量%

水 64.2質量%

ベヘン酸 1 質量%
パルミチン酸ステアリル 2 質量%
固形パラフィン 2 質量%
セチルアルコール 2.5質量%
ワセリン 1 質量%
スクワラン 10 質量%
ジメチコン 1 質量%
【0019】
<比較例2>
乳液1と同様に、比較例2の組成を処理したが、出来た構造が固すぎて、ハの成分はイとロの混合組成物に入っていかなかった。これより、本発明の乳化組成物では、アルギン酸及び/又はその塩の必要量は、厳格に0.12〜0.5質量%であることがわかる。
【0020】

アルギン酸ナトリウム 0.6質量%
グリセリン 8 質量%
1,3−ブタンジオール 8 質量%
メチルパラベン 0.2質量%

水 63.7質量%

ベヘン酸 1 質量%
パルミチン酸ステアリル 2 質量%
固形パラフィン 2 質量%
セチルアルコール 2.5質量%
ワセリン 1 質量%
スクワラン 10 質量%
ジメチコン 1 質量%
【0021】
<比較例3>
乳液1と同様に、比較例3の組成を処理し、比較例3の乳液を得た。
【0022】

アルギン酸ナトリウム 0.2質量%
グリセリン 8 質量%
1,3−ブタンジオール 8 質量%
メチルパラベン 0.2質量%

水 63.6質量%

ベヘン酸 1 質量%
パルミチン酸ステアリル 2 質量%
固形パラフィン 2 質量%
セチルアルコール 3 質量%
ワセリン 1 質量%
スクワラン 10 質量%
ジメチコン 1 質量%
【0023】
<比較例4>
乳液1と同様に以下の成分を処理し、比較例4の乳化組成物を得た。
【0024】

アルギン酸ナトリウム 0.2質量%
グリセリン 8 質量%
1,3−ブタンジオール 8 質量%
メチルパラベン 0.2質量%

水 62.6質量%

ベヘン酸 2.5質量%
パルミチン酸ステアリル 2 質量%
固形パラフィン 2 質量%
セチルアルコール 2.5質量%
ワセリン 1 質量%
スクワラン 10 質量%
ジメチコン 1 質量%
【0025】
<比較試験>
乳液1、比較例3及び比較例4について、使用時の白化の程度を計測、評価した。即ち、美容師であるパネラー5名の前腕内側部を用い、前腕内側部全体を使用してサンプル0.1gを延展してもらい、延展開始より、白化がおさまるまでの時間を計測した。結果を平均時間(分)として、表1に示す。これより、本発明の乳化組成物は、脂肪酸と高級アルコールの量が従来より低減されているため、転相に要する時間が短いことが判る。これは安定性を損なわずに高級アルコールと脂肪酸の含有量を低減できた本発明の乳化組成物の効果による。
【0026】
【表1】

【実施例2】
【0027】
以下の処方に従って、実施例1と同様に本発明の乳化組成物である、化粧料(乳液2)を得た。このものの実施例1の比較試験による評価結果は、2.4±0.6分で白化抑制効果は実施例1の高級アルコールと脂肪酸のレベル以下では頭打ちになっていることが判る。
【0028】

アルギン酸ナトリウム 0.2質量%
グリセリン 8 質量%
1,3−ブタンジオール 8 質量%
メチルパラベン 0.2質量%

水 64.9質量%

ベヘン酸 0.2質量%
パルミチン酸ステアリル 2 質量%
固形パラフィン 2 質量%
セチルアルコール 2.5質量%
ワセリン 1 質量%
スクワラン 10 質量%
ジメチコン 1 質量%
【実施例3】
【0029】
実施例1と同様に下記処方に従って、本発明の乳化組成物である、乳液3(化粧料)を作成した。このものの実施例1の比較試験による評価結果は、2.5±1.3分であった。
【0030】

アルギン酸ナトリウム 0.2質量%
グリセリン 8 質量%
1,3−ブタンジオール 1 質量%
メチルパラベン 0.2質量%

水 71.1質量%

ベヘン酸 1 質量%
パルミチン酸ステアリル 2 質量%
固形パラフィン 2 質量%
セチルアルコール 2.5質量%
ワセリン 1 質量%
スクワラン 10 質量%
ジメチコン 1 質量%
【実施例4】
【0031】
実施例1と同様に下記処方に従って、本発明の乳化組成物である、乳液4(化粧料)を作成した。このものの実施例1の比較試験による評価結果は、2.3±1.0分であった。
【0032】

アルギン酸ナトリウム 0.2質量%
グリセリン 8 質量%
メチルパラベン 0.2質量%

水 72.1質量%

ベヘン酸 1 質量%
パルミチン酸ステアリル 2 質量%
固形パラフィン 2 質量%
セチルアルコール 2.5質量%
ワセリン 1 質量%
スクワラン 10 質量%
ジメチコン 1 質量%
【0033】
<比較試験2>
乳液1、乳液3及び乳液4を40℃の保存試験に供した。乳液1は1ヶ月は安定に保存できたが、2ヶ月の時の観察において僅かに水分の分離が認められた。乳液3、4は2ヶ月でも安定に保存できた。
【実施例5】
【0034】
実施例1と同様に下記処方に従って、本発明の乳化組成物である、乳液5(化粧料)を作成した。このものの実施例1の比較試験による評価結果は、2.7±1.3分であった。
【0035】

アルギン酸ナトリウム 0.2質量%
ジグリセリン 16 質量%
メチルパラベン 0.2質量%

水 64.1質量%

ベヘン酸 1 質量%
パルミチン酸ステアリル 2 質量%
固形パラフィン 2 質量%
セチルアルコール 2.5質量%
ワセリン 1 質量%
スクワラン 10 質量%
【実施例6】
【0036】
実施例1と同様に下記処方に従って、本発明の乳化組成物である、乳液6(化粧料)を作成した。このものの実施例1の比較試験による評価結果は、2.4±0.8分であった。
【0037】

アルギン酸ナトリウム 0.2質量%
ソルビトール 16 質量%
メチルパラベン 0.2質量%

水 64.1質量%

ベヘン酸 1 質量%
パルミチン酸ステアリル 2 質量%
固形パラフィン 2 質量%
セチルアルコール 2.5質量%
ワセリン 1 質量%
スクワラン 10 質量%
【実施例7】
【0038】
実施例1と同様に下記処方に従って、本発明の乳化組成物である、乳液6(化粧料)を作成した。このものの実施例1の比較試験による評価結果は、2.6±0.9分であった。
【0039】

アルギン酸ナトリウム 0.2質量%
マルチトール 16 質量%
メチルパラベン 0.2質量%

水 64.1質量%

ベヘン酸 1 質量%
パルミチン酸ステアリル 2 質量%
固形パラフィン 2 質量%
セチルアルコール 2.5質量%
ワセリン 1 質量%
スクワラン 10 質量%
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、化粧料に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)アルギン酸及び/又はその塩0.12〜0.5質量%と2)グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールから選択される1種乃至2種以上5〜15質量%と3)直鎖飽和の高級アルコール1.5〜3質量%を含有し、ポリオキシエチレン付加型の界面活性剤を実質的に含有しない乳化組成物において、脂肪酸の含有量が2質量%以下であることを特徴とする、乳化組成物。
【請求項2】
更に、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール及びジプロピレングリコールから選択される1種乃至は2種以上の含有量総計が、前記グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールから選択される1種乃至2種以上の含有量の総計と等しい乃至はそれ以下であることを特徴とする、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項3】
アルギン酸及びその塩と、多価アルコールと、アルギン酸及びその塩含有量の10〜40質量倍の水とを混合し、透明なゲルを生成せしめ、これに油性成分を包含せしめ、しかる後に残余の水性成分を包含せしめる工程を経て製造されるものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の乳化組成物。
【請求項4】
実質的に、1,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール及びジプロピレングリコールを含有しないことを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の乳化組成物。
【請求項5】
化粧料(医薬部外品を含む)であることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の乳化組成物。
【請求項6】
1)アルギン酸及び/又はその塩0.12〜0.5質量%と2)グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール及びマルチトールから選択される1種乃至2種以上5
〜15質量%と3)直鎖飽和の高級アルコール1.5〜3質量%を含有し、ポリオキシエチレン付加型の界面活性剤を実質的に含有しない乳化組成物の製造方法であって、アルギン酸及びその塩と、多価アルコールと、アルギン酸及びその塩含有量の10〜40質量倍の水とを混合し、透明なゲルを生成せしめ、これに油性成分を包含せしめ、しかる後に残余の水性成分を包含せしめる工程を経ることを特徴とする、前記乳化組成物の製造法。

【公開番号】特開2006−265193(P2006−265193A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87708(P2005−87708)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】