説明

太陽光発電装置

【課題】装置構成を大型化することなく、太陽電池の運転と二次電池の運転との切り替えを容易に行うことができる太陽光発電装置を得ることである。
【解決手段】制御装置17は、太陽電池11の運転のときはスイッチ回路19のスイッチ素子20をオフしてインバータ15により太陽電池11の出力電力が最大電力となるように最大電力追従制御を行い、二次電池12の放電運転のときはスイッチ回路19のスイッチ素子20をオンしてインバータ15により二次電池12の放電制御を行い、二次電池12の充電運転のときはインバータ15により直流系統13の電圧を二次電池12の定格電圧に調整してスイッチ回路19のダイオード21を介して二次電池12の充電制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池に並列に二次電池が設置され電力系統と連系運転を行う太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電装置は、太陽電池の直流電力を交流に変換し、既存の電力系統に連系して運転するものであり、災害時や系統事故時にも運転が可能なように、太陽電池に並列に二次電池を設置したものがある。
【0003】
図8は、太陽電池に並列に二次電池を設置した太陽光発電装置の構成図である。太陽電池11に二次電池12が並列に配置されて直流系統13が形成されている。すなわち、二次電池12は切替スイッチ14を介して太陽電池11に並列に接続され、直流系統13はインバータ15を介して交流系統16に接続されている。この場合、二次電池12の定格電圧V2は太陽電池11の開放電圧Voより小さく設定されている。また、太陽電池11は直流系統13からの電力供給を阻止するダイオードDを介して直流系統13に接続されている。
【0004】
制御装置17は、インバータ15により太陽電池11を運転制御したり、二次電池12を充放電制御するものである。太陽電池11の出力制御の際には、切替スイッチ14を開いて、太陽電池11を最大電力追従制御{MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御}し、太陽電池11の出力を零にするときには開放電圧Voに制御する。一方、二次電池12を充放電制御する際には切替スイッチ14を閉じ、充電のときは交流系統16から二次電池12に電力を供給する制御を行い、放電のときは二次電池12から交流系統16に電力を供給する制御を行う。
【0005】
太陽電池11と二次電池12とを同時に並列接続して一台のインバータ15で制御する場合、直流系統13の直流電圧(インバータ15の直流電圧)は二次電池12の電圧V2に支配される。これは、二次電池12は電圧源的特性を有し内部インピーダンスが非常に小さいためである。インバータ15の直流電圧が二次電池12の電圧V2に支配されると、太陽電池11の電圧Vが二次電池12の電圧V2に支配され、太陽電池11の最大電力追従制御(MPPT制御)ができなくなる。
【0006】
そのため、太陽電池11を最大電力追従制御するときは、切替スイッチ14を開いて太陽電池11を最大電力追従制御し、二次電池12をインバータ15に接続するときは、太陽電池の運転を停止して切替スイッチ14を閉じ、二次電池12の充放電制御を行うようにしている。
【0007】
また、図9に示すように、切替スイッチ14に代えて、直流系統13の二次電池12とインバータ15との間にDCチョッパ18を接続し、DCチョッパ18により二次電池12の電圧を太陽電池11の電圧に調整してインバータ15の直流電圧(直流系統の直流電圧)を一定に制御するようにしている。
【0008】
ここで、太陽電池の定電流特性によって蓄電池を充電する第1のモード、蓄電池を浮動充電する第2のモードおよび太陽電池から直流電力をインバータに供給し、太陽電池を系統に連系させる第3のモードで運転し、蓄電池を備えた太陽光発電装置の高性能化を図るようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
また、蓄電池から電力供給を行わない場合には、太陽電池の最大電力追従制御または直流定電圧制御を行い、蓄電池から電力供給を行う場合には、外部からの電力指令による制御を行い、蓄電池併用運転と太陽電池のみの運転を煩雑な切替操作なしに運転可能にしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−155242号公報
【特許文献2】特開2002−34175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1及び特許文献2のものは、いずれも太陽電池の電圧が二次電池の電圧よりも大きく設定され、二次電池12を単独で交流系統16に連系して充放電制御ができないものであり、太陽電池の運転を止めることができない。二次電池の運転を止めて太陽電池の単独で運転している場合は問題はないが、太陽電池と二次電池とを並列運転した場合には、直流系統の直流電圧が二次電池の電圧に支配されてしまい、太陽電池のMPPT制御を行うことができない。
【0012】
その結果、太陽電池と二次電池との併用運転は、図8に示すようにDCチョッパ18がないと効率的な運転を行うことはできない。DCチョッパ18を用いた場合には、システム全体が大型化しまた損失が増加する。
【0013】
また、交流系統16の系統周波数の上昇時などに二次電池14を充電モードにした場合、二次電池14の電圧V2が太陽電池11の開放電圧Voより小さいので、太陽電池11は二次電池14の電圧V2での運転となり、太陽電池11の出力を零にすることができない。
【0014】
このため、ゴールデンウィークや年末年始などの交流系統16の余剰電力により周波数上昇が極めて厳しい状態に対応できない。これに対応させるためには,太陽電池11側の直流系統に新たなスイッチSWを設け、そのスイッチSWをオフにして太陽電池11の出力を止める必要があるが、そうすると装置が大型化する。
【0015】
本発明の目的は、装置構成を大型化することなく、太陽電池の運転と二次電池の運転との切り替えを容易に行うことができる太陽光発電装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の発明に係る太陽光発電装置は、太陽光により直流電力を発電する太陽電池と、前記太陽電池に並列に接続され定格電圧が前記太陽電池の開放電圧より高い二次電池と、前記太陽電池及び前記二次電池の直流系統の直流電力を交流に変換して交流系統に出力したり前記交流系統の交流電力を直流電力に変換して前記直流系統に出力するインバータと、前記太陽電池の運転のときは前記二次電池から前記直流系統への放電を阻止し前記二次電池の放電運転のときは前記二次電池から前記直流系統への放電を許可するスイッチ素子及び前記直流系統から前記二次電池への充電を許可するダイオードを並列接続して形成されたスイッチ回路と、前記太陽電池の運転のときは前記スイッチ回路のスイッチ素子により前記二次電池から前記直流系統への放電を阻止して前記インバータにより前記太陽電池の出力電力が最大電力となるように最大電力追従制御を行い前記二次電池の放電運転のときは前記スイッチ回路のスイッチ素子により前記二次電池から前記直流系統への放電を許可して前記インバータにより前記二次電池の放電制御を行い前記二次電池の充電運転のときは前記インバータにより前記直流系統の電圧を前記二次電池の定格電圧に調整して前記スイッチ回路のダイオードを介して前記二次電池の充電制御を行う制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明に係る太陽光発電装置は、請求項1の発明において、前記交流系統の周波数を検出する周波数検出器を設け、前記制御装置は、前記太陽電池の運転のときに、前記周波数検出器で検出された交流系統の周波数が上限値を超えたときは、前記二次電池の充電制御を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明に係る太陽光発電装置は、請求項1の発明において、前記交流系統の電圧を検出する電圧検出器を設け、前記制御装置は、前記太陽電池の運転のときに、前記電圧検出器で検出された交流系統の電圧が上限値を超えたときは、前記二次電池の充電制御を行うことを特徴とする。
【0019】
請求項4の発明に係る太陽光発電装置は、請求項1の発明において、前記交流系統の周波数を検出する周波数検出器を設け、前記制御装置は、前記太陽電池の運転のときに、前記周波数検出器で検出された交流系統の周波数が下限値未満となったときは、前記二次電池の放電制御を行うことを特徴とする。
【0020】
請求項5の発明に係る太陽光発電装置は、請求項1の発明において、前記交流系統の電圧を検出する電圧検出器を設け、前記制御装置は、前記太陽電池の運転のときに、前記電圧検出器で検出された交流系統の電圧が下限値未満となったときは、前記二次電池の放電制御を行うことを特徴とする。
【0021】
請求項6の発明に係る太陽光発電装置は、請求項4または5の発明において、前記二次電池の放電可能量を検出する放電可能量検出器を設け、前記制御装置は、前記太陽電池の運転のときに、前記二次電池の充電制御を行うにあたり、前記放電可能量検出器で検出された前記二次電池の放電可能量から前記二次電池の放電可能出力を求め、前記二次電池の放電可能出力が前記太陽電池の出力電力より大きいときに前記二次電池の放電制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、太陽電池の運転のときはスイッチ回路により二次電池から直流系統への放電を阻止し、太陽電池の電圧が直流系統の電圧を支配するので、インバータによる最大電力追従制御が可能となり、二次電池の運転のときはスイッチ回路により二次電池から前記直流系統への放電を許可し、太陽電池の開放電圧より高い二次電池の電圧が直流系統の電圧を支配するので、太陽電池の運転が停止し、インバータによる二次電池の充放電制御が可能となる。従って、DCチョッパを用いることなく太陽電池の運転と二次電池の運転との切り替えを行うことができる。
【0023】
請求項2の発明によれば、太陽電池の運転のときに、周波数検出器で検出された交流系統の周波数が上限値を超えたときは、二次電池の充電制御を行うので、交流系統の余剰電力を効率よく二次電池に充電できる。
【0024】
請求項3の発明によれば、太陽電池の運転のときに、電圧検出器で検出された交流系統の電圧が上限値を超えたときは、二次電池の充電制御を行うので、交流系統の余剰電力を効率よく二次電池に充電できる。
【0025】
請求項4の発明によれば、太陽電池の運転のときに、周波数検出器で検出された交流系統の周波数が下限値未満となったときは、二次電池の放電制御を行うので、二次電池から交流系統に効率よく不足電力を供給できる。
【0026】
請求項5の発明によれば、太陽電池の運転のときに、電圧検出器で検出された交流系統の電圧が下限値未満となったときは、二次電池の放電制御を行うので、二次電池から交流系統に効率よく不足電力を供給できる。
【0027】
請求項6の発明によれば、二次電池の放電可能出力が太陽電池の出力電力より大きいときに二次電池の放電制御を行うので、二次電池及び太陽電池のうち供給能力の高い方から交流系統16に電力を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の一例の構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の太陽電池と二次電池の出力電圧Vと出力電流Iとの関係を示したV−I特性の一例のグラフ。
【図3】本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の定常時運転モードの一例を示す説明図。
【図4】本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の他の一例の構成図。
【図5】交流系統の周波数が上限値を超えたときの太陽光発電装置の運転モードの一例を示す説明図。
【図6】交流系統の周波数が下限値未満となったときの太陽光発電装置の運転モードの一例を示す説明図。
【図7】本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の別の他の一例の構成図。
【図8】太陽電池に並列に二次電池を設置した従来の太陽光発電装置の一例の構成図。
【図9】太陽電池に並列に二次電池を設置した従来の太陽光発電装置の他の一例の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の一例の構成図である。この実施の形態に係る太陽光発電装置は、図8に示した従来の太陽光発電装置に対し、定格電圧V2が太陽電池の開放電圧Voより高い二次電池12(V2>Vo)を太陽電池11に並列に配置し、切替スイッチ17に代えて、スイッチ素子20及びダイオード21を逆並列接続したスイッチ回路19を設けたものである。図8と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0030】
制御装置17は、太陽電池11の運転のときはスイッチ回路19のスイッチ素子20をオフする。スイッチ素子20がオフのときは二次電池12の電圧V2が直流系統13に印加されることがないので、二次電池12から直流系統13への放電が阻止される。この状態で制御装置17は、インバータ15を制御して太陽電池11の最大電力追従制御を行う。
【0031】
そして、二次電池12の放電運転のときは、制御装置17はスイッチ回路19のスイッチ素子20をオンする。これにより、二次電池12の電圧V2が直流系統13に印加され、二次電池12の電圧V2は太陽電池11の開放電圧Voより大きいので太陽電池11の出力は零となる。この状態は、二次電池12から直流系統13への放電が許可された状態であるので、制御装置17は、インバータ15を制御して二次電池12の放電制御を行い、直流系統13から交流系統16に交流電力を供給する。
【0032】
一方、二次電池12の放電運転のときは、制御装置17はインバータ15を制御して直流系統13の電圧を二次電池12の定格電圧に調整する。これにより、二次電池12の電圧V2は太陽電池11の開放電圧Voより大きいので太陽電池11の出力は零となる。この状態で、制御装置17はインバータ15を制御して二次電池12への充電制御を行う。すなわち、制御装置17は、交流系統16の交流電力をインバータ15で直流電力に変換し直流系統13に供給する。スイッチ回路19のダイオード21は、直流系統13から二次電池12への充電を許可する方向に接続されているので、スイッチ回路19のダイオード21を介して二次電池12に直流電力が充電される。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の太陽電池と二次電池の出力電圧Vと出力電流Iとの関係を示したV−I特性の一例のグラフである。図2では、太陽電池11の温度を一定とした場合の日射強度をパラメータとしたV−I特性曲線C及びV−P特性曲線Pを示している。
【0034】
V−I特性曲線C上の座標C11(V1,I1)のときに出力電力が最大となる最適動作点であり、V−P特性曲線Pが最大電力Pmaxとなる。最大電力Pmaxは最大電力追従制御(MPPT)により求められる。例えば、現状の動作点で得られる出力電力と、現状の動作点から少しだけ移動させた動作点で得られる出力電力とを比較して最適動作点への方向判断を行い、最適動作点へと追従させる山登り法などが用いられる。
【0035】
従って、制御装置17が太陽電池11の運転を行っているときは、最大電力追従制御により動作点が座標C11(V1,I1)での運転となる。この太陽電池11の運転のときは二次電池12は停止状態であり、インバータ15の最大電力追従制御により直流系統の直流電圧は太陽電池11の動作点電圧V1である。このとき、二次電池12の定格電圧V2は太陽電池11の動作点電圧V1より大きいので、二次電池12側のダイオード21はオフ状態である。従って、二次電池12からインバータ15へ電力は供給されない。
【0036】
この状態で、制御装置17が二次電池12の充放電運転を行う際には、直流系統13の電圧は、太陽電池11の開放電圧Voより大きい二次電池12の定格電圧V2に支配されるので、太陽電池11の出力は零となる。この状態で二次電池12の充放電制御を行う。
【0037】
図3は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の定常時運転モードの一例を示す説明図である。午前0時から午前6時までの交流系統16に余剰電力が発生している時期においては、スイッチ回路19のスイッチ素子20をオフ状態としたままで、制御装置17はインバータ15を制御して直流系統13の電圧を二次電池12の定格電圧V2に調整し、交流系統16の交流電力を直流電力に変換してスイッチ回路19のダイオード21を介して二次電池12を充電する。つまり、二次電池12の充電制御を行う。
【0038】
次に、太陽が昇り始めた午前6時過ぎに太陽電池11の運転を開始する。この場合、制御装置17はスイッチ回路19のスイッチ素子20をオフ状態のままで、インバータ15を制御して太陽電池11の最大電力追従制御を行う。太陽電池11の最大電力追従制御は日没の18時前まで行われる。
【0039】
そして、18時から24時までの交流系統16に不足電力が発生している時期においては、制御装置17は、スイッチ回路19のスイッチ素子20をオン状態とし、直流系統13の電圧を太陽電池11の開放電圧Voより大きい二次電池12の定格電圧V2とする。この状態で、制御装置17はインバータ15を制御して、二次電池12から直流系統13に放電される直流電力を交流電力に変換して交流系統16に交流電力を供給する。つまり、二次電池12の放電制御を行う。
【0040】
このように、本発明の実施の形態では、太陽電池11の動作電圧V1と二次電池12の動作電圧V2とを意図的に分離し、直流系統13の電圧を調整することにより、太陽電池11の運転と二次電池12の運転とを切替制御できるようにしている。従って、DCチョッパを必要とせず電力損失も低減でき、装置のコンパクト化が期待できる。また、太陽電池11の運転を停止して二次電池12の充電運転のみも実現可能となる。
【0041】
図4は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の他の一例の構成図である。この一例は、図1に示した一例に対し、交流系統の周波数を検出する周波数検出器22を設け、制御装置17は、太陽電池11の運転のときに、周波数検出器22で検出された交流系統16の周波数が上限値を超えたときは、二次電池12の充電制御を行い、交流系統6の周波数が下限値未満となったときは二次電池12の放電制御を行うようにしたものである。
【0042】
図5は、交流系統の周波数が上限値を超えたときの太陽光発電装置の運転モードの一例を示す説明図である。午前0時から午前6時までの二次電池12の充電制御及び18時から24時までの二次電池12の放電制御は、図3に示した定常時運転モードと同じである。
【0043】
いま、交流系統16の周波数が午前11時に上限値を超えたとすると、図5に示すように、二次電池12の充電制御を行う。制御装置17は、太陽電池11の運転中の午前11時に周波数検出器22で検出された交流系統の周波数が上限値を超えたと判断したときは、スイッチ回路19のスイッチ素子20をオフ状態としたままで、インバータ15を制御して直流系統13の電圧を二次電池12の定格電圧V2に調整する。
【0044】
直流系統13の電圧が太陽電池11の開放電圧Voより大きい二次電池12の定格電圧V2に調整されると、太陽電池11の出力は零となり太陽電池11は運転を停止する。この状態で、制御装置17は、交流系統16の交流電力を直流電力に変換してスイッチ回路19のダイオード21を介して二次電池12を充電する。つまり、二次電池12の充電制御を行う。
【0045】
そして、交流系統16の周波数が13時に正常範囲に復帰したとすると、スイッチ回路19のスイッチ素子20をオフ状態のままで、インバータ15を制御して太陽電池11の最大電力追従制御を再開し、最大電力追従制御を日没の18時前まで行う。
【0046】
図6は、交流系統の周波数が下限値未満となったときの太陽光発電装置の運転モードの一例を示す説明図である。午前0時から午前6時までの二次電池12の充電制御及び18時から24時までの二次電池12の放電制御は、図5に示した定常時運転モードと同じである。
【0047】
いま、交流系統16の周波数が午前11時に下限値未満となったとすると、図6に示すように、二次電池12の放電制御を行う。制御装置17は、太陽電池11の運転中の午前11時に周波数検出器22で検出された交流系統の周波数が下限値未満となったと判断したときは、スイッチ回路19のスイッチ素子20をオン状態とし、直流系統13の電圧を太陽電池11の開放電圧Voより大きい二次電池12の定格電圧V2とする。この状態で、制御装置17はインバータ15を制御して、二次電池12から直流系統13に放電される直流電力を交流電力に変換して交流系統16に交流電力を供給する。
【0048】
そして、交流系統16の周波数が13時に正常範囲に復帰したとすると、スイッチ回路19のスイッチ素子20をオフ状態とし、インバータ15を制御して太陽電池11の最大電力追従制御を再開し、最大電力追従制御を日没の18時前まで行う。
【0049】
図7は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電装置の別の他の一例の構成図である。この一例は、図1に示した一例に対し、二次電池12の放電可能量を検出する放電可能量検出器23を設け、制御装置17は、太陽電池11の運転のときに、二次電池12の充電制御を行うにあたり、放電可能量検出器23で検出された二次電池12の放電可能量から二次電池の放電可能出力を求め、二次電池12の放電可能出力が太陽電池11の出力電力より大きいときに二次電池12の放電制御を行うようにしたものである。図4と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0050】
図6に示すように、いま、交流系統16の周波数が午前11時に下限値未満となったとする。制御装置17は、太陽電池11の運転中の午前11時に周波数検出器22で検出された交流系統の周波数が下限値未満となったと判断したときは、まず、放電可能量検出器23で検出された二次電池12の放電可能量から二次電池の放電可能出力を求める。そして、二次電池12の放電可能出力が、その時点の太陽電池11の最大電力追従制御による出力電力より大きいか否かを判定し、二次電池12の放電可能出力が太陽電池11の出力電力より大きいと判定したときは、二次電池12の放電制御を行う。
【0051】
すなわち、制御装置17は、スイッチ回路19のスイッチ素子20をオン状態とし、直流系統13の電圧を太陽電池11の開放電圧Voより大きい二次電池12の定格電圧V2とするとともに、インバータ15を制御して、二次電池12から直流系統13に放電される直流電力を交流電力に変換して交流系統16に交流電力を供給する。
【0052】
一方、二次電池12の放電可能出力が太陽電池11の出力電力以下であると判定したときは、二次電池12から交流系統16に交流電力を供給する制御は行わない。これにより、二次電池12及び太陽電池11のうち供給能力の高い方から交流系統16に電力を供給できる。
【0053】
以上の説明では、交流系統16の周波数を検出する周波数検出器22を設け、周波数検出器22で検出された交流系統16の周波数が上限値を超えたとき、あるいは下限値未満となったときに、充放電制御を行うようにしたが、周波数検出器22に代えて、交流系統の電圧を検出する電圧検出器を設け、電圧検出器で検出された交流系統の電圧が上限値を超えたとき、あるいは下限値未満となったときに、充放電制御を行うようにしてもよい。
【0054】
すなわち、制御装置17は、太陽電池11の運転のときに、電圧検出器で検出された交流系統16の電圧が上限値を超えたときは、交流系統16に余剰電力が発生していると判断して二次電池の充電制御を行う。一方、電圧検出器で検出された交流系統16の電圧が下限値未満であるときは、交流系統16は電力が不足していると判断して二次電池の放電制御を行う。
【0055】
これにより、ゴールデンウィークや年末年始など余剰電力により系統周波数あるいは系統電圧が上昇した場合、太陽電池11の出力を零にして二次電池12の単独で充電運転を行うので、系統周波数あるいは系統電圧の正常範囲への制御を効率的に行える。逆に、交流系統16の電力が不足したときも、二次電池12の単独で放電運転を行うので、系統周波数あるいは系統電圧の正常範囲への制御を効率的に行える。
【符号の説明】
【0056】
11…太陽電池、12…二次電池、13…直流系統、14…切替スイッチ、15…インバータ、16…交流系統、17…制御装置、18…DCチョッパ、19…スイッチ回路、20…スイッチ素子、21…ダイオード、22…周波数検出器、23…放電可能量検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光により直流電力を発電する太陽電池と、
前記太陽電池に並列に接続され定格電圧が前記太陽電池の開放電圧より高い二次電池と、
前記太陽電池及び前記二次電池の直流系統の直流電力を交流に変換して交流系統に出力したり前記交流系統の交流電力を直流電力に変換して前記直流系統に出力するインバータと、
前記太陽電池の運転のときは前記二次電池から前記直流系統への放電を阻止し前記二次電池の放電運転のときは前記二次電池から前記直流系統への放電を許可するスイッチ素子及び前記直流系統から前記二次電池への充電を許可するダイオードを並列接続して形成されたスイッチ回路と、
前記太陽電池の運転のときは前記スイッチ回路のスイッチ素子により前記二次電池から前記直流系統への放電を阻止して前記インバータにより前記太陽電池の出力電力が最大電力となるように最大電力追従制御を行い前記二次電池の放電運転のときは前記スイッチ回路のスイッチ素子により前記二次電池から前記直流系統への放電を許可して前記インバータにより前記二次電池の放電制御を行い前記二次電池の充電運転のときは前記インバータにより前記直流系統の電圧を前記二次電池の定格電圧に調整して前記スイッチ回路のダイオードを介して前記二次電池の充電制御を行う制御装置とを備えたことを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
前記交流系統の周波数を検出する周波数検出器を設け、前記制御装置は、前記太陽電池の運転のときに、前記周波数検出器で検出された交流系統の周波数が上限値を超えたときは、前記二次電池の充電制御を行うことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
前記交流系統の電圧を検出する電圧検出器を設け、前記制御装置は、前記太陽電池の運転のときに、前記電圧検出器で検出された交流系統の電圧が上限値を超えたときは、前記二次電池の充電制御を行うことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
前記交流系統の周波数を検出する周波数検出器を設け、前記制御装置は、前記太陽電池の運転のときに、前記周波数検出器で検出された交流系統の周波数が下限値未満となったときは、前記二次電池の放電制御を行うことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
前記交流系統の電圧を検出する電圧検出器を設け、前記制御装置は、前記太陽電池の運転のときに、前記電圧検出器で検出された交流系統の電圧が下限値未満となったときは、前記二次電池の放電制御を行うことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項6】
前記二次電池の放電可能量を検出する放電可能量検出器を設け、前記制御装置は、前記太陽電池の運転のときに、前記二次電池の充電制御を行うにあたり、前記放電可能量検出器で検出された前記二次電池の放電可能量から前記二次電池の放電可能出力を求め、前記二次電池の放電可能出力が前記太陽電池の出力電力より大きいときに前記二次電池の放電制御を行うことを特徴とする請求項2または3記載の太陽光発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−160610(P2011−160610A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21906(P2010−21906)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】