説明

太陽発電装置

【課題】 平面に略沿った受光面を有する複数の太陽電池パネル全ての受光面を、太陽の移動に追従し太陽光の照射方向に略垂直に向けることができる簡単な構造の太陽発電装置を提供する。
【解決手段】複数の太陽電池パネルを第1直線に略平行なパネル回動軸を中心に受光面が互いに略平行な状態を保ちつつそれぞれ回動可能に支持するパネル支持手段と、パネル支持手段を固定物に対し、第1直線と交わる第2直線に略平行な支持手段回動軸を中心に回動可能に支持する回動支持手段と、複数の太陽電池パネルをパネル回動軸を中心に連動して回動させるパネル回動手段と、パネル支持手段を支持手段回動軸を中心に回動させる支持手段回動手段と、を備えてなり、支持手段回動手段によるパネル支持手段の回動と、パネル回動手段による複数の太陽電池パネルの回動と、の両回動のみにより、太陽の移動に追従し、複数の太陽電池パネル全ての受光面を太陽光の照射方向に略垂直に向けるものである、太陽発電装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽発電装置に関し、より詳細には、平面に略沿った受光面を有する複数の太陽電池パネルを備え、太陽の移動に追従して複数の太陽電池パネルの受光面を太陽光の照射方向に略垂直に向けることができる太陽発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料の枯渇や二酸化炭素排出増加に伴う環境破壊防止に対応すべく、太陽光を受けることによって発電する太陽発電装置が注目を集めている(例えば、特許文献1等)。
特許文献1は、「発電用パネルを常に太陽方向に向けることができ、特に、夏、冬など季節に係わらず、日照時間に合わせて、地球の自転に合わせて追尾する機構により、発電効率を高めた、追尾型太陽光発電システムを提供すること」(特許文献1の発明の詳細な説明中の段落番号0008後段)を目的になされたもので、具体的には、「図3に示すように、筐体3に複数の発電単体Uを所定間隔毎にマトリックス状に配設して、太陽光を受光して発電を行う発電用パネル2として構成している。前記筐体3内の複数の発電単体Uは、基軸Uaを、設置場所(緯度)と同角度に傾斜させた第1軸αに直交する軸10(第2軸β)の回りに、地軸Eの傾き角の倍角度、同期的に連動変位させる連動機構17と連結している。また、前記筐体3は、第2の駆動支持機構18を構成する枠体7で支える回動基部材8に直に固定している。前記連動機構17は、複数の前記発電単体Uの基軸Uaを、連動軸19に等間隔毎に揺動可能に取り付けて、前記筐体3隅部に設けた駆動手段20と揺動伝達軸21によって、地軸Eの傾き角の倍角度、同期的に連動変位させる構成としている。なお、前記第2駆動支持機構18を構成する枠体7で支える回動基部材8は、図1で示す追尾型太陽光発電システムにおける太陽光追尾装置1と同様、軸方向を設置場所(緯度)と同角度に傾斜させた第1軸αとして、設置される緯度に合わせて、北半球では北向きに、南半球では南向きに、緯度と等しい傾斜度に固定するようにしている。・・・・・筐体3内の前記複数の発電単体Uを、連動機構17の駆動手段20を駆動して、揺動伝達軸21により、連動軸19を介して、地軸Eの傾き角の倍角度、47度の範囲で、同期的に連動変位させて合わせ、受光面を太陽光に向けることができる。・・・・・回動基部材8の回転軸(第1軸α)回りに、発電用パネル2を構成する筐体3を、一定の角速度15度/時で反時計回りに回転させるべく前記回動基部材8の駆動手段9を駆動することで、前記発電用パネル2の受光面を、太陽の動きに合わせて太陽光に向けることができる」(特許文献1の発明の詳細な説明中の段落番号0033後段〜段落番号0036)ものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−281058号公報(例えば、要約、発明の詳細な説明中の段落番号0001〜0002、0008〜0009、0033〜0036、第1図、第3図、第4図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確かに、特許文献1に開示の太陽光追尾装置1では、(1)設置される緯度と等しい傾斜度に第1軸αを固定し、(2)第1軸αに直交する軸10(第2軸β)の周りに筐体3内の前記複数の発電単体Uを同期的に連動変位させ、そして(3)回転軸(第1軸α)回りに筐体3を一定の角速度15度/時で反時計回りに回転させることによって、発電用パネル2の受光面を太陽の動きに合わせて太陽光に向けることができる。
しかしながら、特許文献1に開示の太陽光追尾装置1は、上記の通り、(1)設置される緯度に応じた第1軸αの角度調整及び(3)第1軸α回りの筐体3の回転を要するため、基台5上に軸受6を介して枠体7を回動可能に支持することに加え、筐体3を支持した回動基部材8を枠体7に回動可能に支持することによって、筐体3に配設された発電用パネル2の受光面を太陽の動きに合わせて太陽光に向けることができるものであり、寸法及び重量とも大きな構造物と成り得る筐体3を2軸によって軸支する必要がある。このため寸法及び重量とも大きな構造物と成り得る筐体3を軸支するための複雑な構造を2つ要することから、太陽光追尾装置1の構成が複雑になるという問題(設置コストや保守点検が増加する)を生じうる。
【0005】
そこで、本発明では、平面に略沿った受光面を有する複数の太陽電池パネル(特許文献1では発電用パネル2)全ての受光面を、太陽の移動に追従し太陽光の照射方向に略垂直に向けることができる簡単な構造の太陽発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の太陽発電装置(以下、「本装置」という。)は、固定物に支持され、太陽光を受けることで発電する太陽発電装置であって、平面に略沿った受光面を有する複数の太陽電池パネルと、複数の太陽電池パネルを第1直線に略平行な回動軸であるパネル回動軸を中心に受光面が互いに略平行な状態を保ちつつそれぞれ回動可能に支持するパネル支持手段と、パネル支持手段を固定物に対し、第1直線と交わる第2直線に略平行な回動軸である支持手段回動軸を中心に回動可能に支持する回動支持手段と、複数の太陽電池パネルをパネル回動軸を中心に連動して回動させるパネル回動手段と、パネル支持手段を支持手段回動軸を中心に回動させる支持手段回動手段と、を備えてなり、支持手段回動手段によるパネル支持手段の回動と、パネル回動手段による複数の太陽電池パネルの回動と、の両回動のみにより、太陽の移動に追従し、複数の太陽電池パネル全ての受光面を太陽光の照射方向に略垂直に向けるものである、太陽発電装置である。
【0007】
本装置は、固定物に支持され、特許文献1の太陽光追尾装置1と同様、太陽光を受けることで発電する太陽発電装置であり、工場や商店等といった事業場のみならず、後述するように簡単な構成であり設置や保守点検が容易であることから一般家屋等への設置にも適する。
本装置は、複数(2以上)の太陽電池パネルと、複数の太陽電池パネルを支持するパネル支持手段と、パネル支持手段を支持する回動支持手段と、複数の太陽電池パネルを回動させるパネル回動手段と、パネル支持手段を回動させる支持手段回動手段と、を備える。
太陽電池パネルは、太陽光を照射されることで発電する板状のパネルであり、特許文献1の発電用パネル2と同様、平面に略沿った受光面を有する。受光面には単位面積当たり多くの太陽光が照射される方が多くの発電がなされることから、受光面を太陽光の照射方向に垂直に向ける(受光面を太陽に向ける)ことが好ましい。
パネル支持手段は、複数の太陽電池パネルの受光面が互いに略平行な状態を保ちつつ、複数の太陽電池パネルをパネル回動軸(パネル回動軸は第1直線に略平行な回動軸とされる。)を中心にそれぞれ回動可能に支持する。なお、受光面が互いに略平行な状態には、パネル回動軸に関する一回動位置において受光面が一平面に属する状態を含んでもよい。
回動支持手段は、パネル支持手段を固定物に対し支持手段回動軸(支持手段回動軸は、第1直線と交わる第2直線に略平行な回動軸とされる。)を中心に回動可能に支持する。なお、第2直線としては、第1直線と交わる直線が選択されるが、第1直線と交わる直線とは第1直線と交点を形成する直線をいい、第1直線と同一の直線や第1直線と平行な直線は含まれない。
パネル回動手段は、パネル支持手段により支持された複数の太陽電池パネルをパネル回動軸を中心に連動(複数の太陽電池パネルが一緒に動く)して回動させる。
支持手段回動手段は、複数の太陽電池パネルを支持するパネル支持手段を支持手段回動軸を中心に回動させる。
そして、本装置においては、支持手段回動手段によるパネル支持手段の回動と、パネル回動手段による複数の太陽電池パネルの回動と、の両回動のみにより、太陽の移動に追従し、複数の太陽電池パネル全ての受光面を太陽光の照射方向に略垂直に向けるものである。
このため本装置においては、複数の太陽電池パネルを支持し寸法及び重量とも大きな構造物と成り得るパネル支持手段(特許文献1においては筐体3)を支持手段回動軸の1軸のみで軸支すれば足り、特許文献1のようにパネル支持手段(特許文献1においては筐体3)を2軸によって軸支する場合に比し、寸法及び重量とも大きな構造物と成り得るパネル支持手段を軸支するための複雑な機構を2つから1つに減少させることができる。このため本装置は、特許文献1の太陽光追尾装置1に比し構造が簡単であり、平面に略沿った受光面を有する複数の太陽電池パネル全ての受光面を、太陽の移動に追従し太陽光の照射方向に略垂直に向けることができる簡単な構造の太陽発電装置である。寸法及び重量とも大きな構造物と成り得るパネル支持手段の軸支機構は、複雑な重量物でスペースをとると共に保守点検を要することから、本装置においてかかる軸支機構の個数が減少することは、本装置の設置や保守点検の費用を削減し、設置場所の自由度を高め、一般家屋等への設置も容易ならしめるものである。
【0008】
本装置においては、第2直線が略鉛直であってもよい。
こうすることで支持手段回動軸も略鉛直となるので、支持手段回動手段によるパネル支持手段の支持手段回動軸の周りのいずれの回動位置においても、パネル支持手段の重心高さが略一定であるので(パネル支持手段が水平に回動する)、支持手段回動手段によるパネル支持手段の回動を円滑に行うことができる。
【0009】
本装置においては、第1直線と第2直線とが直交するもの(以下、「直交軸本装置」という。)であってもよい。
こうすることで支持手段回動手段によるパネル支持手段の回動による受光面の移動方向と、パネル回動手段による複数の太陽電池パネルの回動による受光面の移動方向と、が直交するようになるので、太陽の移動に追従し、複数の太陽電池パネル全ての受光面を太陽光に向けるために必要な、支持手段回動手段によるパネル支持手段の回動と、パネル回動手段による複数の太陽電池パネルの回動と、を小さくすることができる。このことは、これら両回動に使用するエネルギーを削減することができるので、実質的に本装置が発生するエネルギー(発生電力)を大きくすることができる(これらの回動に本装置の発生電力を用いる場合であれば、本装置から取り出す電力を大きくすることができる。)。
【0010】
直交軸本装置の場合、第2直線を含み第1直線に垂直な平面に存し、第2直線に交わる直線である基準直線に少なくとも2以上のパネル回動軸が略交わるものであり、受光面が上方を向くもの(以下、「基準直線規定本装置」という。)であってもよい。
こうすることでパネル回動手段が、複数の太陽電池パネルそれぞれに関するパネル回動軸の周りに回動する部分のうち、基準直線から等しい距離の部分を等しく変位させることでパネル回動軸を中心に複数の受光面が互いに略平行な状態を保ちつつ複数の太陽電池パネルを回動させることができるので、基準直線に略平行なリンク棒(該等しい距離の部分を変位させるよう取り付ける)を用いる等して本装置を簡単に構成することができる。
なお、受光面が上方を向くとは、鉛直上方向から照射される太陽光によって受光面が照らされることをいい、受光面が鉛直な状態と鉛直よりも下方に向いた状態とを含まない。また、受光面が上方を向くとは、太陽の移動に追従して受光面が上方を向き得るものであればよい。
【0011】
基準直線規定本装置の場合、複数の太陽電池パネルがパネル回動軸を中心にいずれの回動位置にあっても、受光面に対して平行な平面である投影面に複数の太陽電池パネルの受光面の全てを正投影したとき、いずれの投影同士も重ならないもの(以下、「陰なし本装置」という。)であってもよい。
こうすることで複数の太陽電池パネル全ての受光面を太陽光の照射方向に略垂直に向けるように太陽の移動にどのように追従させても、複数の太陽電池パネルの受光面同士が互いに陰をつくらないので(いずれの受光面も他の受光面に陰をつくらない)、全ての受光面に太陽光が当たり効率よく発電することができる。
【0012】
陰なし本装置の場合、第2直線と基準直線とが40〜50度の角度で交わるものであってもよい。
陰なし本装置を構成する場合、第2直線と基準直線とのなす角度に応じて、本装置の第2直線方向への寸法(E2)と、第2直線を含み第1直線に垂直な平面における第2直線に垂直な方向への寸法(E1)と、の比率(E2/E1)が変化する。通常、比率(E2/E1)は1に近い方が本装置の設置場所の選定や建設設置が容易であることが多く、そのためには第2直線と基準直線とが交わる角度が、下限として、好ましくは30度以上、より好ましくは35度以上、最も好ましくは40度以上であり、上限として、好ましくは60度以下、より好ましくは55度以下、最も好ましくは50度以下である(最も好ましくは40〜50度であり、45度が一番好ましい。)。
【0013】
本装置においては、複数の太陽電池パネルの受光面の全てが略水平となる状態を取り得るものであってもよい。
太陽光をたくさん受けることができるよう、通常、複数の太陽電池パネルの受光面は広い面積を有するよう構成されるが、一方では、台風時におけるような強風が本装置に吹き付けると、広い面積の受光面が強風を受け、太陽電池パネルを含む本装置が破損する可能性がある。これを防止又は減少させるため、強風時には複数の太陽電池パネルの受光面の全てを略水平(一般的に風は水平方向に向かって吹く)となる状態にすることができるようにしてもよい(こうすることで水平方向に吹く風に対する受風面積を減少させる。)。
【0014】
本装置においては、支持手段回動手段によるパネル支持手段の回動と、パネル回動手段による複数の太陽電池パネルの回動と、が、想定される太陽の移動に応じて制御されるものであってもよい。
本装置において、太陽の移動に追従し、複数の太陽電池パネル全ての受光面を太陽光の照射方向に略垂直に向けるためには、受光面を向けるべき太陽の位置情報が必要である。太陽の位置情報を得るには、天空に存する現実の太陽を観測したり、現実に射し込んでいる太陽光の照射方向を検出することによる現実の太陽に基づく方法もあるが、計算(例えば、プログラムに従ってコンピュータが算出する)や太陽の軌道を示す図表等によって想定される太陽の位置情報を使用する方法もある。計算等によって想定される太陽の位置情報を使用する方法を用いれば、現実の太陽に基づく必要がないので、現実の太陽に基づく場合には必要となる太陽位置や太陽光照射方向を検出する別途の手段を要することなく(太陽位置や太陽光照射方向の検出のための検出器等を用いる場合に比し、その配設に必要な費用を削減でき、検出器等の故障や異物による誤動作を防止することができる。)、さらに曇り等のように太陽位置がはっきりしない場合にも正確な太陽位置に受光面を向けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態の本発明の太陽発電装置(本装置)の右側面図である。
【図2】本装置の背面図(図1中、矢印B方向から見たところ)である。
【図3】図1の状態から受光面を回動させた状態を示す本装置の右側面図である。
【図4】図3の状態から受光面を回動させた状態を示す本装置の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。しかしながら、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
【0017】
図1は一実施形態の本発明の太陽発電装置(本装置)11の右側面図(後述の太陽電池パネル61a、61b、61cの受光面63a、63b、63cが略鉛直になっている状態)であり、図2は本装置11の背面図(図1中、矢印B方向から見たところを示している)であり、図3は図1の状態から受光面63a、63b、63c(後述)を回動させた状態(受光面63a、63b、63cが鉛直に対して約45度をなす状態)を示す本装置11の右側面図(図1と同じ位置から見たところを示している)であり、そして図4は図3の状態から受光面63a、63b、63cをさらに回動させた状態(受光面63a、63b、63cが略水平になっている状態)を示す本装置11の右側面図(図1と同じ位置から見たところを示している)である。
図1乃至図4を参照して、本装置11について説明する。なお、図中、鉛直上方向を矢印A1にて示し、そして鉛直下方向を矢印A2にて示した。
【0018】
本装置11は、大まかには、水平な設置面101(例えば、コンクリート製の床面)に固定された基台部21と、基台部21から鉛直上方(矢印A1方向)に立ち上がるように基台部21に固定された基台軸部31と、基台軸部31を中心に回動可能に基台部21に載置された支持部41と、支持部41に回動自在に軸支されたパネル保持部51a、51b、51cと、パネル保持部51a、51b、51cそれぞれに取り付けられ保持された太陽電池パネル61a、61b、61cと、パネル保持部51a、51b、51cを回動させるリンク棒71(図2に示すように一対存する)と、リンク棒71を駆動するリンク駆動部81と、そして基台部21に対して支持部41を基台軸部31を中心に回動させる支持部駆動部91と、を備えてなる。なお、基台部21と基台軸部31と支持部41との関係の理解を容易にするため、図中、基台軸部31の部分は後述の軸Cを含む平面による断面を示している。
【0019】
基台部21は、水平な設置面101(ここではコンクリート製の床面)に載置され固定された複数の棒状の下部部材25(上方から見ると、漢字の「田」のように組み合わされている。)と、下部部材25の上に架けわたされるように載置され下部部材25に固定された複数の棒状の上部部材23と、複数の棒状の上部部材23の上面に取り付けられた上面板27(図2参照。他の図においては図示を省略している)と、を有してなり、上面板27の上面は、設置面101に平行な平面(水平面)に略属する滑らかな面を形成している。
【0020】
基台軸部31は、中空の直円柱(後述の軸Cを軸とする直円柱)形状をした管状部材によって構成された軸本体部31aと、軸本体部31aの外面に縁部が取り付けられた複数の板状の脚部31b(詳細には、軸本体部31aの外周面に等間隔かつ放射状に取り付けられている。)と、を有してなり、軸本体部31aが形成する直円柱形状の軸(図中、点線で示された仮想上の直線に一致する軸C)が設置面101に対して垂直(鉛直)に略なるよう、複数の板状の脚部31bが基台部21(上部部材23)に取り付けられている。
【0021】
支持部41は、複数本の棒状部材が互いに固定されてなる支持部本体部43と、支持部本体部43の下面に形成された基台軸部31の軸本体部31aを嵌入(遊嵌)する軸嵌入孔45と、軸嵌入孔45の内面に取り付けられ軸本体部31aに対して軸Cの周りに回動自在に外嵌される軸受け部47と、支持部本体部43の下面に取り付けられ基台部21の上面板27の上面を転動する車輪部49(図2参照。図1、図3及び図4においては図示を省略している。)と、を有している。
車輪部49は、図1、図3及び図4においては図示を省略しているが、軸Cを中心とする円周上に略等間隔に6個(内2個が図2に示されている)が支持部本体部43の下面に取り付けられており、該円周に沿って上面板27の上面を円滑に転動することができるようになっている。
上述のように、支持部本体部43の下面の軸嵌入孔45の内面に取り付けられた軸受け部47により、支持部41(支持部本体部43)は軸本体部31aの軸Cの周りに回動自在に軸支されると共に、軸Cを中心とする円周に沿った複数の車輪部49の上面板27上面の転動によって、支持部41は基台部21に対して軸Cの周りに円滑に回動することができる。なお、支持部41とパネル保持部51a、51b、51cと太陽電池パネル61a、61b、61cとリンク棒71とリンク駆動部81とを含む軸Cの周りの回動部分の重心を軸Cは略通過していることから、該回動部分は軸Cの周りに円滑に回動することができる。また、支持部41が基台部21に対して、軸本体部31aの軸Cの周りに軸支されることに加え、複数の車輪部49の上面板27上面の転動によっても支持されることから、荷重(例えば、実荷重や受風荷重等)が支持部41に加わっても、荷重を軸本体部31aと上面板27とにうまく分散させて基台部21に伝えることができる。このため複数の車輪部49を有さず軸本体部31aのみに荷重を伝達する場合に比して、軸本体部31aの負荷を低減することができ、軸本体部31aを小型化したり、軸本体部31aの保守点検を削減することができる(これにより本装置11の設置自由度が高まる)。
【0022】
3つのパネル保持部51a、51b、51cはいずれも同じ構造及び寸法であり、同じものが用いられている。パネル保持部51a、51b、51cは、太陽電池パネル61a、61b、61cを裏面から支持するように配設された支持板部53a、53b、53cと、支持板部53a、53b、53cを支持部41(支持部本体部43)に対して回動軸55a、55b、55c(ここでは設置面101に平行であり、略水平である。)の周りに回動自在に軸支する支持板部支持部57a、57b、57cと、を有してなり、それによって太陽電池パネル61a、61b、61cを支持部41(支持部本体部43)に対して回動軸55a、55b、55c(太陽電池パネル61a、61b、61cの平面状の受光面63a、63b、63cに略平行である。)の周りに回動自在に支持している。
【0023】
一対存するリンク棒71は、パネル保持部51a、51b、51cの支持板部支持部57a、57b、57cに回動軸59a、59b、59c(図1、図3及び図4を参照されたい。図2中では、回動軸55a、55b、55cと重なるので、図示を省略している。)を中心に回動自在に支持されている。ここでは、回動軸59a、回動軸55a、回動軸59b、回動軸55b、回動軸59c及び回動軸55cは互いに略平行になっており、さらに回動軸59aと回動軸55aとの間の距離と、回動軸59bと回動軸55bとの間の距離と、回動軸59cと回動軸55cとの間の距離と、の3つの距離は互いに略等しくされている。なお、一対のリンク棒71いずれも、その長手方向に沿った回動軸59aと回動軸59bとの間の長さと、その長手方向に沿った回動軸59bと回動軸59cとの間の長さと、が独立して調整できるようになっており、受光面63a、63b、63cが互いに平行な状態(例えば、図1、図4。なお図3のような一平面に属する状態を含む。)にすることができ、その状態でリンク棒71をその長手方向に移動させることで、受光面63a、63b、63cが互いに平行な状態を保ったまま太陽電池パネル61a、61b、61cを回動軸55a、55b、55cの周りに回動させることができる。
【0024】
リンク駆動部81は、一端(ここでは下端)側が支持部41(支持部本体部43)に回動軸82を中心に回動自在に取り付けられた伸縮本体部83と、伸縮本体部83に内蔵されたボールネジ(不図示)を駆動する電動機85(減速器を含む)と、を含んでなる。電動機85によって、伸縮本体部83に内蔵されたボールネジ(不図示)を正逆に回転させることで、伸縮本体部83を自由に伸縮(図1中、矢印D方向)させることができる。
伸縮本体部83の他端(ここでは上端)は、リンク棒71に回動軸87を中心に回動自在に取り付けられており、伸縮本体部83の伸縮方向(図1中、矢印D方向)はリンク棒71の長手方向に略沿っているので、伸縮本体部83を伸縮させることでリンク棒71をその長手方向に往復動させることができ、前述の如く、リンク棒71のその長手方向に沿った往復動によって、受光面63a、63b、63cが互いに平行な状態を保ったまま太陽電池パネル61a、61b、61cを回動軸55a、55b、55cの周りに正逆に回動させることができる(なお、太陽電池パネル61a、61b、61cの回動軸55a、55b、55c周りの回動範囲は、一方向の限界が図1の状態であり、他方向の限界が図4の状態である。図3はそれら両限界の略中間状態である。)。
【0025】
支持部駆動部91は、基台部21(上部部材23)に取り付けられた電動機93と、電動機93の回転軸(軸Cに略平行)に取り付けられた駆動歯車部材95と、支持部41(支持部本体部43)に取り付けられ駆動歯車部材95と噛合し軸Cを中心に回動可能な従動歯車部材97と、を有してなる。
このため電動機93を正逆に回動させることで、駆動歯車部材95を正逆に回動させ、駆動歯車部材95に噛合した従動歯車部材97が軸Cを中心に正逆に回動するので、これにより支持部41を基台部21に対して軸Cを中心に正逆に回動させることができる。
【0026】
そして、本装置11には、図示しない制御部が付設され接続されている。
該制御部は、本装置11を設置した場所を特定しうる情報(具体的には、経度及び緯度)に従って該場所における太陽の位置を算出するコンピュータ用のプログラムを記憶したコンピュータと、該コンピュータが発する信号に応じて電動機85及び電動機93を回動させる回動命令部と、を含んでなる。該コンピュータは、現在の年月日及び時刻の情報を発生させる時刻情報発生手段を自ら有しており、該情報における該場所(該場所を特定しうる情報は予め該コンピュータに入力される)での太陽の位置を所定時間(例えば、5分)毎に算出し、該算出された太陽の位置に応じ(太陽光線の照射方向に対して受光面63a、63b、63cが略垂直になるよう)電動機85及び電動機93を回動させるように回動命令部に命令する。該コンピュータからの命令を受けた回動命令部は、該命令に従って電動機85及び電動機93を回動させる。なお、かかる太陽位置算出用のコンピュータ用プログラムは公知のものであるので、ここでは説明を省略する。
このようにプログラムに従ってコンピュータが算出した太陽位置に応じて電動機85及び電動機93を回動制御することで、太陽位置を検出する別途の手段を要することなく(太陽位置検出のための検出器等を用いる場合に比し、その配設に必要な費用を削減でき、検出器等の故障や異物による誤動作を防止することができる。)、加えて、曇天等のように太陽位置がはっきりしない場合にも正確な太陽位置に受光面63a、63b、63cを向けることができる。
このように電動機93の回動による軸C中心の回動と、電動機85の回動による回動軸55a、55b、55cの周りの回動と、によって太陽光線の照射方向に対し受光面63a、63b、63cを略垂直に向けることで太陽電池パネル61a、61b、61cは効率よく発電することができる。これら太陽電池パネル61a、61b、61cによって発電された電力は集められ、そのまま家庭用の電力用途(例えば、照明や空調等)として用いられたり、蓄電装置に蓄電された後にこのような用途に用いられたり、更に売電することもできる。
【0027】
以上説明の通り、本装置11は、固定物(ここでは水平な設置面101)に支持され、太陽光を受けることで発電する太陽発電装置であって、平面に略沿った受光面63a、63b、63cを有する複数の太陽電池パネル61a、61b、61cと、複数の太陽電池パネル61a、61b、61cを第1直線(図2においては点線L1として示す。図1、図3及び図4が表す面は第1直線に垂直である。)に略平行な回動軸であるパネル回動軸55a、55b、55cを中心に受光面63a、63b、63cが互いに略平行な状態を保ちつつそれぞれ回動可能に支持するパネル支持手段(ここでは支持部41とパネル保持部51a、51b、51cとを有して構成される。)と、パネル支持手段(支持部41とパネル保持部51a、51b、51cとを有する。)を固定物(水平な設置面101)に対し、第1直線L1と交わる第2直線(図中、点線L2として示す。)に略平行な回動軸である支持手段回動軸(ここでは軸C)を中心に回動可能に支持する回動支持手段(ここでは基台部21と基台軸部31とを有して構成される。)と、複数の太陽電池パネル61a、61b、61cをパネル回動軸55a、55b、55cを中心に連動して回動させるパネル回動手段(ここではリンク棒71とリンク駆動部81とを有して構成される。なお、ここではパネル回動手段は固定物(水平な設置面101)に対して複数の太陽電池パネル61a、61b、61cをパネル回動軸55a、55b、55cを中心に連動して回動させる。)と、パネル支持手段(支持部41とパネル保持部51a、51b、51cとを有する。)を支持手段回動軸(軸C)を中心に回動させる支持手段回動手段(ここでは支持部駆動部91を有して構成される。なお、ここでは支持手段回動手段は固定物(水平な設置面101)に対してパネル支持手段(支持部41とパネル保持部51a、51b、51cとを有する。)を支持手段回動軸(軸C)を中心に回動させる。)と、を備えてなり、支持手段回動手段(支持部駆動部91)によるパネル支持手段(支持部41とパネル保持部51a、51b、51cとを有する。)の回動と、パネル回動手段(リンク棒71とリンク駆動部81とを有する。)による複数の太陽電池パネル61a、61b、61cの回動と、の両回動(軸C中心の回動、パネル回動軸55a、55b、55c中心の回動)のみにより、太陽の移動に追従し、複数の太陽電池パネル61a、61b、61c全ての受光面63a、63b、63cを太陽光の照射方向に略垂直に向けることができるものである、太陽発電装置である。なお、ここではパネル回動手段(ここではリンク棒71とリンク駆動部81とを有して構成される。)は、複数の太陽電池パネル61a、61b、61cを、パネル支持手段(支持部41とパネル保持部51a、51b、51cとを有する。)に対し(ここではパネル支持手段の一部(支持部41)に対し)パネル回動軸55a、55b、55cを中心に連動して回動させるものである。
【0028】
本装置11においては、第2直線L2が略鉛直であり、これによって支持手段回動手段(支持部駆動部91)によるパネル支持手段(支持部41とパネル保持部51a、51b、51cとを有する。)のいずれの回動位置においても、パネル支持手段(支持部41とパネル保持部51a、51b、51cとを有する。)の重心高さが略一定であり、支持手段回動手段(支持部駆動部91)によるパネル支持手段(支持部41とパネル保持部51a、51b、51cとを有する。)の回動を円滑に行うことができる。
本装置11においては、第1直線L1と第2直線L2とが直交するものである。
本装置11においては、第2直線L2を含み第1直線L1に垂直な平面(図1、図3及び図4に表された面)に存し、第2直線L2に交わる直線である基準直線(図1、図3及び図4においては点線LCとして示す。)に少なくとも2以上(ここでは3)のパネル回動軸55a、55b、55cが略交わるものであり(図1、図3及び図4において基準直線LC上にパネル回動軸55a、55b、55cが略存在している。)、受光面63a、63b、63cが上方を向くものである(図1では受光面63a、63b、63cが鉛直であるが、図1から図3方向に太陽電池パネル61a、61b、61cが回動すると受光面63a、63b、63cは上方を向く。)。
【0029】
本装置11においては、複数の太陽電池パネル61a、61b、61cがパネル回動軸55a、55b、55cを中心にいずれの回動位置にあっても、受光面63a、63b、63cに対して平行な平面である投影面(投影面の一例としては、図1及び図3であれば点線Pで示した平面が挙げられ、図4であれば設置面101を含む平面が挙げられる。)に複数の太陽電池パネル61a、61b、61cの受光面63a、63b、63cの全てを正投影したとき、いずれの投影同士も重ならないものである。
そして、本装置11においては、第2直線L2と基準直線LCとが40〜50度の角度(図1、図3及び図4において角度Qであり、ここではQ=約45度)で交わるものである。
加えて、本装置11においては、複数の太陽電池パネル61a、61b、61cの受光面63a、63b、63cの全てが略水平となる状態(図4の状態)を取り得るものである。
また、本装置11においては、支持手段回動手段(支持部駆動部91)によるパネル支持手段(支持部41とパネル保持部51a、51b、51cとを有する。)の回動と、パネル回動手段(リンク棒71とリンク駆動部81とを有する。)による複数の太陽電池パネル61a、61b、61cの回動と、が、想定される太陽の移動(ここではプログラムに従ってコンピュータが算出した太陽の移動)に応じて制御されるものである。
【0030】
このような本装置11においては、太陽光線の照射方向に対し受光面63a、63b、63cを略垂直に向けることが、支持手段回動手段(支持部駆動部91)によるパネル支持手段(支持部41とパネル保持部51a、51b、51cとを有する。)の回動と、パネル回動手段(リンク棒71とリンク駆動部81とを有する。)による複数の太陽電池パネル61a、61b、61cの回動と、の両回動(軸C中心の回動、パネル回動軸55a、55b、55c中心の回動)のみにより達成されるので(特に、寸法及び重量とも大きな構造物と成り得るパネル支持手段(支持部41とパネル保持部51a、51b、51cとを有する。)の回動が1軸のみであるので)、構造が簡単で小型軽量化も容易であることから、設置場所の自由度を高めることができる。例えば、一般家屋の屋根、ベランダ、商業ビルの屋上等にも設置可能であり、町中や土地が高価な場所でも高い効率で発電することができる。また、構造が簡単であることから、製作や保守点検の費用を削減することもできる。
また、本装置11においては、1のリンク駆動部81によってリンク棒71を経て複数の太陽電池パネル61a、61b、61c全部を回動させるので、複数の太陽電池パネル61a、61b、61cの回動機構の構造も簡単であるので、本装置11の構造を簡単にし小型軽量化も容易である。
そして、回動軸55a、55b、55cや軸受け部47は、高耐水性及び高耐食性でありかつ軽量で高硬度のポリマーベアリング(自己潤滑性を有する樹脂性の軸受)を用いることで、可動部分の注油や点検といった保守点検作業を大幅に削減し、運転費用を低減することができる。
【符号の説明】
【0031】
11 本装置
21 基台部
23 上部部材
25 下部部材
27 上面板
31 基台軸部
31a 軸本体部
31b 脚部
41 支持部
43 支持部本体部
45 軸嵌入孔
47 軸受け部
49 車輪部
51a、51b、51c パネル保持部
53a、53b、53c 支持板部
55a、55b、55c 回動軸
57a、57b、57c 支持板部支持部
59a、59b、59c 回動軸
61a、61b、61c 太陽電池パネル
63a、63b、63c 受光面
71 リンク棒
81 リンク駆動部
82 回動軸
83 伸縮本体部
85 電動機
87 回動軸
91 支持部駆動部
93 電動機
95 駆動歯車部材
97 従動歯車部材
101 設置面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定物に支持され、太陽光を受けることで発電する太陽発電装置であって、
平面に略沿った受光面を有する複数の太陽電池パネルと、
複数の太陽電池パネルを第1直線に略平行な回動軸であるパネル回動軸を中心に受光面が互いに略平行な状態を保ちつつそれぞれ回動可能に支持するパネル支持手段と、
パネル支持手段を固定物に対し、第1直線と交わる第2直線に略平行な回動軸である支持手段回動軸を中心に回動可能に支持する回動支持手段と、
複数の太陽電池パネルをパネル回動軸を中心に連動して回動させるパネル回動手段と、
パネル支持手段を支持手段回動軸を中心に回動させる支持手段回動手段と、を備えてなり、
支持手段回動手段によるパネル支持手段の回動と、パネル回動手段による複数の太陽電池パネルの回動と、の両回動のみにより、太陽の移動に追従し、複数の太陽電池パネル全ての受光面を太陽光の照射方向に略垂直に向けるものである、太陽発電装置。
【請求項2】
第2直線が略鉛直である、請求項1に記載の太陽発電装置。
【請求項3】
第1直線と第2直線とが直交するものである、請求項1又は2に記載の太陽発電装置。
【請求項4】
第2直線を含み第1直線に垂直な平面に存し、第2直線に交わる直線である基準直線に少なくとも2以上のパネル回動軸が略交わるものであり、
受光面が上方を向くものである、請求項3に記載の太陽発電装置。
【請求項5】
複数の太陽電池パネルがパネル回動軸を中心にいずれの回動位置にあっても、受光面に対して平行な平面である投影面に複数の太陽電池パネルの受光面の全てを正投影したとき、いずれの投影同士も重ならないものである、請求項4に記載の太陽発電装置。
【請求項6】
第2直線と基準直線とが40〜50度の角度で交わるものである、請求項5に記載の太陽発電装置。
【請求項7】
複数の太陽電池パネルの受光面の全てが略水平となる状態を取り得るものである、請求項1乃至6のいずれか1に記載の太陽発電装置。
【請求項8】
支持手段回動手段によるパネル支持手段の回動と、パネル回動手段による複数の太陽電池パネルの回動と、が、想定される太陽の移動に応じて制御されるものである、請求項1乃至7のいずれか1に記載の太陽発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−159910(P2011−159910A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−22165(P2010−22165)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(510031431)
【Fターム(参考)】