説明

太陽電池パネル用梱包材

【課題】外装ケース10内へ側面パッド20を正確に位置決めすることができ、それにより、大型である太陽電池パネルPを、外装ケース10内の所定の位置に容易に収容しかつ梱包することのできるようにした太陽電池パネル用梱包体1Aを提供する。
【解決手段】太陽電池パネル用梱包体1Aは、外装ケース10と、収容する太陽電池パネルPの側縁が挿入される複数個の凹溝22を並列に形成した左右一対の発泡樹脂製の側面パッド20と、発泡樹脂製の底パッド30と、発泡樹脂製の天パッド40とを備える。側面パッド20は前記凹溝22を形成した背面壁21とその両側に位置する左右の側壁23とからなる水平断面コ字形をなしている。外装ケース10内に一対の側面パッド20を対向して配置したときに、一対の側面パッド20はその下端部の間に底パッド30が配置されることで下端側の自由な移動を規制されるように位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネルを梱包し搬送するための梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への関心が高まるとともに、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池に対する需要が高まり、太陽電池セルモジュールに枠構造や端子箱を取付けた太陽電池パネルが、広く流通するようになっている。その一方で、太陽電池パネルは、概して大型かつ重量物であり、流通時等に荷崩れ等によって損傷を受け易いことから、複数枚の太陽電池パネルを安全に輸送できるようにした太陽電池パネル用梱包材が求められており、いくつかの提案がすでにされている。
【0003】
特許文献1には、断面が略L字形でそのL字形の内面にガラス基板挿入用の凹溝を複数本設けた発泡樹脂製緩衝材が記載されており、ガラス基板の側縁および4つの角部を前記緩衝材に形成した凹溝に挿入した後、全体を帯状の固定具で固定して梱包体とすることが記載されている。
【0004】
特許文献2には、断面が略L字形でそのL字形の内面に板状体挿入用の凹溝を複数本設けた発泡樹脂製の側面パッドの一対を、基台の上面部の所定位置に着脱自在に組み付けた後、その外周と上面側とを外側ケースと蓋体とによって覆うようにした板状体収容保持具が記載されている。
【0005】
上記の梱包体あるいは板状体収容保持具では、発泡樹脂製であるL字形の緩衝材あるいは一対のパッドを用いてガラス基板のような板状体を包み込むようにしており、同じ形状の緩衝材あるいはパッドを共通に用いて、異なった大きさの板状体を梱包しかつ安定した状態で搬送できる利点がある。すなわち、部品の共用化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4091432号公報
【特許文献2】特開2003−63582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したL字形の緩衝材あるいはパッドを用いる梱包材の場合、搬送すべき部材が太陽電池パネルのように大型のものとなると、発泡樹脂成形品であるL字形の緩衝材あるいはパッドも大きなものとならざるを得ない。しかし、断面形状がL字形であることから、特に成形時における高さ制限による限界を受けやすく、また、成形型への発泡性樹脂の充填性や成形品の成形型からの雛型性において困難が生じてくる。それを回避するために、L字形をなす底パッド部分の長さを短くすることが考えられるが、底パッドの長さを短くすると、立ち姿勢にあるパッドが転倒しやすくなり、また外装ケース内での正確な位置決めが困難となるので、梱包に慎重な作業が求められる。また、特許文献1に記載されるガラス基板用緩衝材の場合、梱包したガラス基板の側縁の一部が外部に露出してしまう不都合がある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、大型である太陽電池パネルを梱包する梱包体において、外装ケース内へ側面パッドを正確にかつ容易に位置決めすることができ、同時に側面パッドが転倒するのも確実に阻止することができ、そのために、大型である太陽電池パネルを、外装ケース内の所定の位置に容易に収容しかつ梱包することのできるようにした太陽電池パネル用梱包体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による太陽電池パネル用梱包材は、外装ケースと、収容する太陽電池パネルの側縁が挿入される複数個の凹溝を並列に形成した左右一対の発泡樹脂製の側面パッドと、発泡樹脂製の底パッドと、発泡樹脂製の天パッドとを少なくとも備えており、前記側面パッドは前記凹溝を形成した背面壁とその両側に位置する左右の側壁とからなる水平断面コ字形をなしており、前記外装ケース内に前記一対の側面パッドを対向して配置したときに、一対の側面パッドはその下端部の間に前記底パッドが配置されることで下端側の自由な移動を規制されるように位置決めされることを特徴とする。
【0010】
上記の太陽電池パネル用梱包材は、基本的に立て入れ方式であり、大型で重量物である太陽電池パネルの収容および取り出しは、平積み方式と比較して、容易である。そして、側面パッドは両側に側壁を有する形状であり、大型であってもL字形のものと比較して型内発泡成形が容易であるとともに、外装ケース内の所定位置に側面パッドを立ち姿勢で置いたときに、当該側壁によって支持されることでその立ち姿勢は安定し、容易に倒伏することはない。
【0011】
さらに、外装ケースの対向する側壁に沿うようにして対向姿勢で配置された一対の側面パッドは、外装ケースの底面に配置される、やはり発泡樹脂製である底パッドによって、双方の下端側が自由に移動しないように所定の位置に位置決めされるので、複数枚の太陽電池パネルを収容する作業中に、一対の側面パッドに倒伏や位置ずれが生じるのも回避できる。そのために、外装ケース内に位置決めされた側面パッドの背面壁に形成した凹溝内に両側縁を差し込むようにして、複数枚の太陽電池パネルを容易に収容することが可能となり、梱包の途中で位置ずれを起こすこともない。梱包した太陽電池パネルは、その上縁側も発泡樹脂製の天パッドで支持されるので、梱包体を搬送するときの振動等によって不用意に移動することもない。また、梱包された太陽電池パネルは外装ケースによって全体が覆われているので、搬送や保管時に、外からの異物が太陽電池パネルに付着するようなこともない。
【0012】
本発明による太陽電池パネル用梱包材の一態様において、前記底パッドは収容する太陽電池パネルの下縁が挿入される複数個の凹溝を有している。この態様では、梱包体を搬送するときの振動等によって、収容した太陽電池パネルが不用意に移動するのを一層確実に阻止することができる。
【0013】
本発明による太陽電池パネル用梱包材の一態様において、前記天パッドは収容する太陽電池パネルの上縁が挿入される複数個の凹溝を有している。この態様では、収容した太陽電池パネルの4つの側縁がパッドの凹溝内に入り込んだ姿勢となるので、梱包体を搬送するときの振動等によって、収容した太陽電池パネルが不用意に移動するのをさらに確実に阻止することができる。
【0014】
本発明による太陽電池パネル用梱包材の一態様において、前記底パッドの上に配置される段ボール製の底板をさらに備える。この態様では、重量の重い太陽電池パネルの重量を発泡樹脂製の底パッドと段ボール製の底板とで受けることで、発泡樹脂製である底パッドが損傷するのを回避することができる。
【0015】
本発明による太陽電池パネル用梱包材において、外装ケースがスチールケースであってもよく、段ボール製であってもよい。外装ケースがスチールケースの場合には、そのままで梱包体を段積みすることができ、かつ段積み姿勢は安定する。段ボール製の場合は、段積みしたときに多少の位置ずれ等が生じる恐れがあるが、コスト的なメリットがある。
【0016】
なお、本発明による太陽電池パネル用梱包材において、外装ケース、特にその底部が所要の強度を有している場合には、そのままで、太陽電池パネルの搬送あるいは保管に供することができる。物流時における作業の容易性の観点から、従来知られたパレットの上に前記外装ケースを置き、その状態で太陽電池パネルの収容作業を行い、パレットと共に搬送に供するようにしてもよい。その場合、パレットとして、フォーク挿入口を備えたものはさらに好ましい。
【0017】
本発明による太陽電池パネル用梱包材において、一対の側面パッド下端部と底パッドとは平坦面である端面同士が接することで、両者の位置決めがなされる態様でもよいが、好ましくは、側面パッドの下端部には係合用突起または係合凹部が形成され、底パッドの側縁部には前記係合用突起または係合凹部と嵌合する係合凹部または係合用突起が形成されている態様とされる。後者の態様とすることにより、梱包作業中に一対の側面パッドと底パッドとの間で位置ずれが生じるのを確実に阻止することができる。
【0018】
本発明による太陽電池パネル用梱包材において、前記各パッドは、所要の緩衝性と機械的強度を備えることを条件に任意の樹脂材料で作ることができる。好ましくは、熱可塑性樹脂の型内発泡成形品である。熱可塑性樹脂には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリ乳酸系樹脂などが挙げられる。なかでも、ポリスチレンとポリエチレンとを含む複合樹脂を用いることが好ましい。発泡体の倍率は、梱包しようとする太陽電池パネルPの重量等を勘案して適宜設定すればよいが、緩衝性がよく、軽量で経済的である点から、好ましくは30〜60倍程度である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、太陽電池パネル用梱包材において、使用する発泡樹脂製の側面パッドの成形を容易にし、かつ安定した状態で一対の発泡樹脂製の側面パッドを外装ケース内に配置することができ、そのために梱包作業を容易化することができる、より改良された太陽電池パネル用梱包材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による太陽電池パネル用梱包材の第1の形態をその各構成要素を分解した状態で示す斜視図。
【図2】図1に示す太陽電池パネル用梱包材の梱包後の状態を示す断面図。
【図3】本発明による太陽電池パネル用梱包材の第2の形態をその各構成要素を分解した状態で示す斜視図。
【図4】図2に示す太陽電池パネル用梱包材の梱包後の状態を示す断面図。
【図5】本発明による太陽電池パネル用梱包材の第3の形態をその各構成要素を分解した状態で示す斜視図。
【図6】図3に示す太陽電池パネル用梱包材の梱包後の状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明による太陽電池パネル用梱包材のいくつかの実施の形態を説明する。
図1および図2は、第1の形態を示しており、図1は、その各構成要素を分解した状態で示す斜視図、図2は梱包後の状態を示す断面図である。この太陽電池パネル用梱包材1Aは、外装ケース10と、収容する太陽電池パネルPの側縁が挿入される複数個の凹溝を並列に形成した左右一対の発泡樹脂製の側面パッド20(20A、20B)と、発泡樹脂製の底パッド30と、発泡樹脂製の天パッド40とを少なくとも備えている。
【0022】
この例で、外装ケース10はスチール製であり、下板11と、その4隅から立ち上がる縦支柱12と、その上端を接続する横架材13と、斜交い筋14とを有し、下板11には、脚板15がとり付けられている。脚板15の間の空間はフォークリフトのフォークを挿入するのに利用される。なお、外装ケース10の天面の斜交い筋14は、外装ケース10内に太陽電池パネルPの収容を終えた後に、取り付けられる。
【0023】
側面パッド20を構成する一対の側面パッド20Aおよび20Bは、実質的に同じ形状であり、鏡面対象をなしている。以下、図で左側に示す側面パッド20Aについて説明する。側面パッド20Aは水平断面コ字形をなしており、その高さHは外装ケース10の縦支柱12の長さと等しいかやや短い。そして、側面パッド20Aは、背面壁21と該背面壁21の両側に90度の角度で延出する側壁23、23とからなり、背面壁21の内側面(側壁23、23が延出する方向の面)には、収容する太陽電池パネルPの側縁が挿入される複数個の凹溝22が上下方向に並列に形成されている。側面パッド20Aの横幅W2は、外装ケース10の横幅の内側面での距離W1とほぼ等しい。また、側面パッド20Aの厚さSは任意であってよいが、側面パッド20Aを立てた姿勢としたときに、容易には倒伏しない状態で自立できるだけの長さとされる。
【0024】
底パッド30は平面視で長方形であり、その横幅W3は側面パッド20Aの横幅W2と等しく、長さLは、上記した一対の側面パッド20Aおよび20Bを外装ケース10内に、その背面壁21が外装ケース10の側壁に接する姿勢で配置したときに、一対の側面パッド20Aおよび20Bの対向する側壁23、23先端間の距離と等しい。省略することも可能であるが、図示の底パッド30は、中央領域に肉厚部31を有しており、該肉厚部31の上面には、側面パッド20の背面壁21に形成した凹溝22と同じピッチで、複数個の凹溝32が形成されている。
【0025】
必須ではないが、図1に示す太陽電池パネル用梱包材1Aは、底パッド30の前記した肉厚部31以外の領域34を上から覆うことができる大きさである底板35、35を備えており、底板35、35は、好ましくは強化段ボールで作られる。
【0026】
天パッド40も平面視で長方形であり、その横幅W4は側面パッド20Aの横幅W2と等しい。また、天パッド40の裏面には、側面パッド20の背面壁21に形成した凹溝22と同じピッチで、複数個の凹溝42が形成されている。天パッド40の長さは、外装ケース10内に配置された一対の側面パッド20A、20Bの対向する側壁23、23の先端間の距離と等しいか、それよりも短い。図示の例では、側壁23、23先端間の距離よりも短いものとして示してある。
【0027】
太陽電池パネルPを梱包するに当たっては、最初に、外装ケース10内に、前記した一対の側面パッド20A、20Bを、その背面壁21、21の外側面が外装ケース10の側壁に接するようにして、立てた姿勢で配置する。各側面パッド20は側壁23、23を備えており、立ち姿勢は安定する。次に、配置した側面パッド20A、20Bの間に、底パッド30を配置する。前記したように、底パッド30の長さLは、一対の側面パッド20A、20Bを外装ケース10内に前記のようにして配置したときに対向する側壁23、23先端間の距離と等しくされており、側面パッド20A、20Bの間に底パッド30を配置することで、一対の側面パッド20A、20Bは、その下端側の自由な移動が規制された状態で、外装ケース10内に位置決めされる。
【0028】
次に、前記底板35、35を、底パッド30における肉厚部31以外の領域34の上に置く。その状態で、適宜の搬送機器を用いて太陽電池パネルPを吊り上げ、側面パッド20の背面壁21に形成した凹溝22内に、その側縁を挿入させながら、外装ケース10内に落とし込む。その操作を、収容しようとする太陽電池パネルPの枚数分だけ繰り返す。各太陽電池パネルPは、両側縁とともに、その下縁を底パッド30の肉厚部31に形成した凹溝内に収容された姿勢で、安定した姿勢で、外装ケース10内に収容される。
【0029】
前記したように、一対の側面パッド20A、20Bは、その下端部の間に底パッド30が配置されることで下端側の自由な移動を規制されるように位置決めされており、また、底パッド30と側面パッド20A、20Bの位置関係もしっかりと保持されるので、収容作業中に、側面パッド20A、20Bおよび底パッド30間に位置ずれが起こることはなく、収容時に、側面パッド20A、20Bおよび底パッド30に形成した凹溝22、32が太陽電池パネルPによって押し潰されて破損するような事態は生じない。また、底パネル30にかかる太陽電池パネルPの荷重は、好ましくは強化段ボールである底板35、35によっても支持され、かつ分散されるので、発泡樹脂製である底パッド30が破損するのも回避できる。
【0030】
最後に、収容した太陽電池パネルP群の上から、凹溝42内に太陽電池パネルPの上縁を収容するようにして、天パッド40を配置する。次に、必要に応じて、外装ケース10の天面の斜交い筋14を取り付けることで、梱包体100とされる。この第1の形態1Aでは、外装ケース10がスチール製であり、そのままで、梱包体を2段、あるいはそれ以上に段積みすることが可能である。また、太陽電池パネルPの2つの側縁と下縁は、相互にしっかりと位置決めされている側面パッド20A、20Bおよび底パッド30に形成した凹溝22、32によって支持されており、上縁も天パッド40に形成した凹溝42によって支持されているので、搬送時の振動や衝撃によって大型でありかつ重量物である太陽電池パネルPに荷崩れが生じるのをほぼ完全に抑制することができる。
【0031】
図3および図4は、本発明による太陽電池パネル用梱包材の第2の形態を示しており、図3は、その各構成要素を分解した状態で示す斜視図、図4は梱包後の状態を示す断面図である。この太陽電池パネル用梱包材1Bは、第1の形態と同様に、外装ケース10と、収容する太陽電池パネルPの側縁が挿入される複数個の凹溝を並列に形成した左右一対の発泡樹脂製の側面パッド20(20A、20B)と、発泡樹脂製の底パッド30と、発泡樹脂製の天パッド40とを備えるとともに、さらに、外装ケース10を底面から支持するパレット50をさらに備える。
【0032】
この例で、外装ケース10は有底箱形の段ボール製であり、蓋16を開閉自在に有している。側面パッド20は、第1の形態におけるものと同じであり、同じ符号を付して、説明は省略する。
【0033】
底パッド30も、第1の形態における底パッドとほぼ同じ形状であるが、上面に第1の形態の底パッド30における肉厚部31および凹溝32を有しない点で、構成が異なっている。必須ではないが、ここでも、底パッド30の全体を上から覆うことができる大きさの、好ましくは強化段ボールで作られる底板35を備えている。天パッド40は、第1の形態の天パッド40と同様、平面視で長方形であるが、裏面に凹溝42を有しない点で、第1の形態の天パッド40と構成が異なっている。
【0034】
太陽電池パネルPの梱包に当たっては、パレット50の上に段ボール製の外装ケース10を置き、その中に、第1の形態の太陽電池パネル用梱包材1Aの場合と同様にして、前記した一対の側面パッド20A、20B等を配置し、以下、同様な手順で、梱包作業を行う。最後に、パレット50を含む全体を図示しないバンドで締め付けることにより、梱包体100とされる。
【0035】
上記第2の形態の太陽電池パネル用梱包材1Bは、外装ケース10が段ボール製である点、底パッド30および天パッド40が単に平板状であり構成が簡単な点、から製造コストを低減できる利点がある。
【0036】
図5および図6は、本発明による太陽電池パネル用梱包材の第3の形態を示しており、図5は、その各構成要素を分解した状態で示す斜視図、図6は梱包後の状態を示す断面図である。この太陽電池パネル用梱包材1Cも、第1の形態と同様に、外装ケース10と、左右一対の発泡樹脂製の側面パッド20(20A、20B)と、発泡樹脂製の底パッド30と、発泡樹脂製の天パッド40とを備え、さらに、第2の形態1Bと同様に、外装ケース10を底面から支持するパレット50をさらに備えている。
【0037】
第3の形態において、外装ケース10は、第2の形態1Bと同様、有底箱形の段ボール製であり、蓋16を開閉自在に有している。
【0038】
側面パッド20は、第1の形態におけるものとほぼ同じであるが、その背面壁21の下端部に複数の係合用突起24が形成されている点で、相違する。
【0039】
底パッド30は、第1の形態におけるものとほぼ同様の形状であるが、その長さLが外装ケース10の対向する側壁の内面間の距離とほぼ同じとされており、かつ、前記中央領域に形成した肉厚部31の長さが、一対の側面パッド20Aおよび20Bを外装ケース10内に配置したときに、その対向する側壁23、23先端間の距離とほぼ等しくされている。そして、底パッド30の長さ方向の両端部には、前記した側面パッド20の背面壁21の下端部に形成した係合用突起24が入り込むための係合凹部36が形成されている。
【0040】
天パッド40は、部品点数を少なくするために、前記した底パッド30と同じものを用いている。しかし、これは一例であって、第1の形態1Aおよび第2の形態1Bで用いた天パッド40をそのまま用いることもできる。
【0041】
太陽電池パネルPの梱包に当たっては、パレット50の上に段ボール製の外装ケース10を置く。そして、最初に、底パッド30を外装ケース10の内底面に配置する。次に、一対の側面パッド20A、20Bを下端に形成した係合用突起24を、底パッド30の両端に形成した係合凹部36内に挿入するにようにして、外装ケース10内に配置する。以下、第1の形態1Aにおけると同様にして、側面パッド20の背面壁21に形成した凹溝22内に、その側縁を挿入させながら、太陽電池パネルPを外装ケース10内に落とし込む。落とし込んだ時点で、太陽電池パネルPの下縁は、底パネル30に形成した凹溝32内に入り込んだ姿勢となる。収容しようとするすべての太陽電池パネルPを収容した後、底パッド30を裏返しにした姿勢である天パッド40を、その凹溝32内に太陽電池パネルPの上縁を入り込ませるようにして配置する。最後に、パレット50を含む全体を図示しないバンドで締め付けることにより、梱包体100とされる。
【0042】
この第3の形態では、側面パッド20の下端部に形成した係合用突起24が底パッド30に形成した係合凹部36が入り込むことで、側面パッド20と底パッド30との相互の位置決めが行われるので、第1の形態1Aおよび第2の形態1Bのよう、平坦な面である側面パッド20の下端部と、お張り平坦な面である底パッド30の側端面とが摩擦接触することで、両者の位置決めがなされる態様と比較して、より確実に、梱包作業中に一対の側面パッド20と底パッド30との間で位置ずれが生じるのを阻止することができる利点がある。
【0043】
なお、図示しないが、第2および第3の形態において、段ボール製の外装ケース10に代えて、第1の形態1Aで用いたスチール製の外装ケース10を用いることもできる。その場合には、パレット50を用いることは要しない。もちろん、第1の形態において、スチール製の外装ケース10に代えて段ボール製の外装ケース10を用いること可能であり、その際には、パレット50を用いることが望ましい。
【符号の説明】
【0044】
P…太陽電池パネル、
1A、1B、1C天太陽電池パネル用梱包材、
10…外装ケース、
11…下板、
12…縦支柱、
13…横架材、
14…斜交い筋、
15…脚板、
16…蓋、
20(20A、20B)…発泡樹脂製の側面パッド、
21…背面壁、
22…凹溝、
23…側壁、
24…係合用突起
30…発泡樹脂製の底パッド、
31…中央領域の肉厚部、
32…凹溝、
34…肉厚部以外の領域、
35…底板、
36…係合凹部、
40…発泡樹脂製の天パッド、
42…凹溝、
100…梱包体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装ケースと、収容する太陽電池パネルの側縁が挿入される複数個の凹溝を並列に形成した左右一対の発泡樹脂製の側面パッドと、発泡樹脂製の底パッドと、発泡樹脂製の天パッドとを少なくとも備えており、
前記側面パッドは前記凹溝を形成した背面壁とその両側に位置する左右の側壁とからなる水平断面コ字形をなしており、
前記外装ケース内に前記一対の側面パッドを対向して配置したときに、一対の側面パッドはその下端部の間に前記底パッドが配置されることで下端側の自由な移動を規制されるように位置決めされることを特徴とする太陽電池パネル用梱包材。
【請求項2】
前記底パッドは収容する太陽電池パネルの下縁が挿入される複数個の凹溝を有していることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池パネル用梱包材。
【請求項3】
前記天パッドは収容する太陽電池パネルの上縁が挿入される複数個の凹溝を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池パネル用梱包材。
【請求項4】
前記底パッドの上に配置される段ボール製の底板をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の太陽電池パネル用梱包材。
【請求項5】
前記外装ケースがスチールケースであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の太陽電池パネル用梱包材。
【請求項6】
前記外装ケースが段ボール製であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の太陽電池パネル用梱包材。
【請求項7】
前記外装ケースを底面から支持するパレットをさらに備えること特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の太陽電池パネル用梱包材。
【請求項8】
前記側面パッドの下端部には係合用突起または係合凹部が形成され、前記底パッドの側縁部には前記係合用突起または係合凹部と嵌合する係合凹部または係合用突起が形成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の太陽電池パネル用梱包材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−51648(P2011−51648A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204799(P2009−204799)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】