説明

太陽電池用反射防止膜、太陽電池及び該太陽電池の製造方法

【課題】太陽電池用反射防止膜、太陽電池及び太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】第1誘電率の物質で構成された低誘電膜と、第1誘電率の物質より高い第2誘電率の物質で構成された高誘電膜と、低誘電膜と高誘電膜との間に位置して、第1誘電率から第2誘電率まで徐々に上昇するように構成された勾配層と、を備える太陽電池用反射防止膜。これにより、太陽電池の光吸収効率を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用反射防止膜、太陽電池及び該太陽電池の製造方法に関し、特に、太陽電池の光吸収効率を高めることができる太陽電池用反射防止膜、太陽電池及び該太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球上の化石燃料が枯渇しつつあり、また化石燃料の使用により地球環境の汚染が深刻化している。
【0003】
これに伴い、エネルギー問題は地球上で急いで解決せねばならない最も重要な問題として台頭している。これにより、石燃料を代替できるクリーンで新しい再生エネルギーへのニーズが切実になっているが、最も有望なものが太陽光である。太陽光は、太陽と地球が存在する限り持続的に供給され、また大気汚染を起こさない最も理想的な再生エネルギーである。
【0004】
太陽電池は、太陽光を利用して光を電気に変える電池をいうが、正孔により伝導が発生するp型半導体と、電子により伝導が発生するn型半導体を接合させて、光によって電子と正孔電荷とが生成されて電流が流れ、そして光起電力が発生する原理を利用したものが太陽光電池である。太陽電池の出力は、短絡電流Iscと開放電圧Vocとの積で構成されるが、太陽から伝えられるあらゆる光を電気に変換する変換効率は、短絡電流や開放電圧を高めるか、出力電流電圧曲線が正方形(Isc×Voc)に近い程度を表す開口率(fill factor:FF)を高めねばならない。
【0005】
このうち、短絡電流を高めて効率を向上させる方法は、太陽電池の光吸収層で光がどれくらい吸収されるかと、その表面で光が反射されずに伝えられる反射率の減少と密接な関連がある。したがって、薄膜太陽電池の場合、ガラス基板上に反射防止膜を蒸着して光を最大限に光吸収層に伝達させる方法を使用し、不透明な前面電極の面積を最小化する。また、前面電極は透明電極(TCO)を使用し、シリコン窒化物やチタン−シリコン酸化膜を反射防止膜として使用して反射を防止し、効率を高めようとしてきた。しかし、広域の波長における反射防止特性や多様な入射角に対する反射防止特性を確保するには不十分である。
【0006】
多様な入射角に対する反射防止特性を確保するために、透明電極やシリコンウェーハの前面をアルカリ溶液でエッチングして凹凸を形成して反射率を減少させる方法が提案され、これをテクスチャリングという。しかし、多結晶シリコンウェーハでは、結晶面によるエッチング速度の差のために表面テクスチャリングが不均一であって、テクスチャリングによる反射率減少効果はあまり大きくなかった。これを解決しようとする努力が関連分野でなされ続け、最近では架橋結合構造を利用してポリマーで光捕獲層を作ることもあった。しかし、薄膜シリコン太陽電池において、これがどれほど効果的に反射防止機能を行うかは未知数であり、広域の波長に対する反射防止特性を確保するには不十分である。また背面電極を利用して、これをテクスチャリングして背面の反射度を高めるのに活用されることもあるが、金属電極の場合、光を一部吸収することもあって、あまり役に立たない。
【0007】
最近では、ガラス基板に対する反射防止膜としてSiO2とTiO2とをスパッタリング方式でラミネート、すなわち、微細に複数層で構成して屈折率勾配を持つように製造した技術が開示されているが、SiO2とTiO2との化合物形態ではない混合層で構成し、製造工程が非常に複雑であり、反射防止の役割はガラス基板のみに限定されているという短所がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする第1の技術的課題は、高誘電膜と低誘電膜との混合層を、屈折率と厚さとを調節して蒸着し、さらに広い帯域の波長と多様な入射角の太陽光に対する反射を最大限防止した太陽電池用反射防止膜、これを備える太陽電池、及び太陽電池の製造方法を提供するところにある。
【0009】
本発明が解決しようとする第2の技術的課題は、反射防止膜と高反射膜とを配置して太陽光を効果的に捕獲し、その効率を高めた太陽電池を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の技術的課題を解決するための本発明による太陽電池用反射防止膜は、第1誘電率の物質で構成された低誘電膜と、前記第1誘電率の物質より高い第2誘電率の物質で構成された高誘電膜と、前記低誘電膜と前記高誘電膜との間に位置して、前記第1誘電率から前記第2誘電率まで徐々に上昇するように構成された勾配層と、を備える。
【0011】
前記の技術的課題を解決するための本発明による太陽電池は、光を透過させる透過基板と、前記透過基板下に形成されて、前記透過基板との距離によって誘電率が上昇するように構成された反射防止膜と、前記反射防止膜下に形成されて、前記反射防止膜を通過した光を電気エネルギーに変換する光吸収層と、を備える。
【0012】
前記の技術的課題を解決するための本発明による太陽電池は、光を透過させる透過基板と、前記透過基板下に形成されて、前記透過基板との距離によって誘電率が上昇するように構成された反射防止膜と、前記反射防止膜下に形成されて、前記反射防止膜を通過した光を電気エネルギーに変換する光吸収層と、前記光吸収層下に形成されて、前記反射防止膜を通過した光のうち前記光吸収層で変換されずに通過した光を再び光吸収層に伝達する高反射膜と、を備える。
【0013】
前記の技術的課題を解決するための本発明による太陽電池の製造方法は、基板を形成する工程と、前記基板上に前記基板との距離によって誘電率が上昇するように構成された反射防止膜を蒸着する工程と、前記反射防止膜上に電極を連結し、前記電極に連結されて電気エネルギーを生成する光吸収層を蒸着する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明による太陽電池用反射防止膜は、高い屈折率を持つ高誘電膜と低い屈折率を持つ低誘電膜との光学厚さを調節して太陽電池の太陽光が反射により損失されることを防止する。
【0015】
また、原子層蒸着法で高誘電膜と低誘電膜との化合物を構成して屈折率勾配を持たせることによって、多様な入射角で入射される太陽光を効率的に捕獲し、複数層で構成して広い波長帯域の光に対する反射が防止でき、大面積の太陽電池の製造に有利である。
【0016】
さらに、反射防止膜の高誘電膜は、シリコンあるいはシリコンゲルマニウム結晶化核形成に寄与し、かつ、反射防止膜自体が半導体層と電極との絶縁を効果的に行える長所も持つ。また、透明な薄膜太陽電池の製造を可能にする。
【0017】
本発明による太陽電池は、太陽光を光吸収層で効果的に捕獲して変換効率を高めることができ、特に薄膜太陽電池分野で効率の極大化をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明の一実施形態による太陽電池の構造を示す図面である。
【図1B】本発明の一実施形態による太陽電池の構造を示す図面である。
【図2】本発明の一実施形態による太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態による太陽電池の構造を示す図面である。
【図4】本発明の一実施形態に他の太陽電池の高反射膜の構造を示す図面である。
【図5】本発明のさらに他の一実施形態に他の太陽電池の高反射膜の構造を示す図面である。
【図6】反射防止膜の構造による反射率の変化を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施形態による太陽電池用反射防止膜が結晶シリコンや多結晶シリコン−ゲルマニウム薄膜太陽電池に使われた例を示す図面である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
前述した目的、特徴及び長所は添付した図面と関連した次の詳細な説明を通じてさらに明らかになる。本発明を説明する際、関連した公知の技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明瞭にする恐れがあると判断される場合、その詳細な説明を省略するか、または簡略に説明する。
【0020】
一方、所定の部分が所定の構成要素を“含む”という時、これは、特別に逆の記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含みうるということを意味する。
【0021】
以下、添付した図面を参照して本発明による望ましい実施形態を詳細に説明する。
【0022】
図1A及び図1Bは、それぞれ本発明の一実施形態による太陽電池の構造を示す図面であり、図2は、図1A及び図1Bで示した太陽電池の製造方法である。
【0023】
図1A及び図1Bを参照すれば、本実施形態による太陽電池は、ガラス基板110、反射防止膜120、透明電極130及び光吸収層140を備える。
【0024】
ガラス基板110は入射する光を透過させ、光吸収層140はガラス基板110と反射防止膜120とを通過した光を電気エネルギーに変換し、透明電極130は光吸収層140に連結されて光吸収層140で変換された電気を流す。
【0025】
反射防止膜120はガラス基板110と光吸収層140との間に位置して、ガラス基板110を通じて入射する光に対する反射率を低めるためのものであり、本実施形態では、ガラス基板110から遠ざかるほど誘電率が上昇するように、反射防止膜120の成分物質の組成を調整して屈折率勾配を持つように構成する。
【0026】
本実施形態ではまず、ガラス基板110を形成し(S201)、形成されたガラス基板110上に低い誘電率の物質で構成された低誘電膜121をまず蒸着し(S202)、成分組成を変化させつつ低誘電膜121の誘電率を基準に徐々に誘電率を高めるように屈折率勾配を持つ屈折率勾配層122を蒸着し(S203)、高い誘電率の物質で構成された高誘電膜123を蒸着する(S204)。これらの反射防止膜120の蒸着が終わると、透明電極130を反射防止膜上の前面に蒸着するか、または反射防止膜にパターニングし、透明電極130に連結されるように光吸収層140を蒸着させる(S205)。反射防止膜120の厚さは20nm〜300nmまで多様に構成できる。透明電極の場合、図1Aに示したように反射防止膜にパターニングでき、図1Bに示したように反射防止膜上の前面に蒸着してもよい。
【0027】
本実施形態ではガラス基板を使用しているが、それ以外にもプラスチック基板、金属基板などに本実施形態での反射防止膜を蒸着して使用できる。
【0028】
本実施形態での低誘電膜は、低い誘電定数を持つ、例えば、比誘電定数が10未満の酸化あるいは窒化薄膜であるAl23、SiO2、SiNなどが含まれうる。
【0029】
本実施形態での高誘電膜は高い誘電定数を持つ、例えば、比誘電定数が10以上の酸化薄膜であるTiO2、ZrO2、HfO2、Ta25、ZnOなどが含まれうる。
【0030】
本実施形態での屈折率勾配層は、これらの低誘電膜の誘電率から高誘電膜の誘電率まで徐々に上昇するように構成される。
【0031】
本実施形態での反射防止膜は、高い誘電定数を持つ酸化薄膜、すなわち、TiO2、ZrO2、HfO2、Ta25、ZnOなどと、低い誘電定数を持つ酸化あるいは窒化薄膜、Al23、SiO2、SiNなどを亜原子層の化合物形態として所望の屈折率と厚さを調節できるようにした。蒸着方法は、通常原子層蒸着法(あるいは、プラズマ原子層蒸着法)を使用するが、場合によって量産目的でゾルゲル方法などを使用してもよい。蒸着温度はバルク型シリコン太陽電池だけではなくシリコン薄膜太陽電池を目標とするので、500℃以下の工程温度が望ましい。また、原子層蒸着法を利用するので、薄膜太陽電池の場合、5インチ以上の大面積の反射防止薄膜の製造に有利である。
【0032】
例えば、TiO2の高誘電膜(屈折率2.4〜2.5)とAl23の低誘電膜(屈折率1.6〜1.7)とを、原子層蒸着法のサイクル数を調節してATO(AlTiO)薄膜を生成できる。この場合に、サイクル比を調節すれば、Tiの組成を調節して屈折率を制御できる。このように原子層蒸着法を使用する場合には、蒸着途中でATOの組成をインサイチュで自由に変えて蒸着でき、あらかじめプログラムされているため、工程の中断や真空状態が崩れず、一つの物質を蒸着したかのように連続蒸着ができるという長所がある。
【0033】
厚さと屈折率との積は、通例的に光学厚さとし、これを調節すれば、所望の波長で0に近い屈折率を得ることができる。本実施形態の反射防止膜のように屈折率の勾配を持って構成すれば、さらに広い波長帯域で屈折率を減少させる効果をもたらす。また、原子層蒸着法を利用すれば、インサイチュで低誘電膜から高誘電膜へ順次に屈折率が変わる屈折率勾配層の製造が容易である。
【0034】
通例的に原子層蒸着法を使用すれば、工程温度100℃〜300℃まで比較的低温で薄膜の具現ができるので、ガラス基板上での薄膜太陽電池用反射防止膜として使用でき、さらに、150℃以下の工程温度が求められるプラスチック基板の有機物太陽電池でも反射防止膜として適用できる。
【0035】
本実施形態での反射防止膜は、シリコン、シリコン−ゲルマニウム、CuInGaSe(CIGS)、CdTeなどの薄膜太陽電池とGaAs基板との化合物太陽電池、単結晶及び多結晶シリコン基板での太陽電池、有機物太陽電池、染料感応型太陽電池などの多様な形態の太陽電池で反射防止膜として活用できる。
【0036】
図3は、本発明の一実施形態による太陽電池の構造を示す図面である。
【0037】
図3を参照すれば、本実施形態に係る太陽電池は、ガラス基板310、反射防止膜320、透明電極330、光吸収層340、高反射膜350及び下部電極360を備える。
【0038】
本実施形態の太陽電池のガラス基板310、反射防止膜320、透明電極330及び光吸収層340は、図1に示した太陽電池のガラス基板110、反射防止膜120、透明電極130及び光吸収層140と同じ機能を行うが、本実施形態の場合、光吸収層340の下に高反射膜350を配置して、反射防止膜320と共に太陽光を効果的に光吸収層340(p−i−nダイオード)に捕獲可能にする光捕獲構造を具現した。
【0039】
本実施形態の光捕獲構造は、光吸収層340の前面に高誘電膜と低誘電膜との混合層を、屈折率と厚さとを調節して蒸着し、その混合比によって屈折率勾配を持つ反射防止膜320を配置して、広域の波長と多様な入射角の太陽光に対して反射を最大限防止しようとし、光吸収層340の背面には高反射膜を配置して、光吸収層340を通過して背面に伝達された太陽光の反射を最大限高めて、太陽光を最大限光吸収層340に捕獲させる。
【0040】
透明電極330と下部電極360とは、光吸収層340の上下端にそれぞれ連結されて光吸収層340に電流を流して、光吸収層340で光起電力を生成させる。
【0041】
図4は、本発明の一実施形態に他の太陽電池の高反射膜の構造を示す図面である。
【0042】
本実施形態による高反射膜は、低誘電膜401と高誘電膜402とを備える単位層構造が反復的に蒸着された構造を持つ。
【0043】
本実施形態のように、高誘電膜402と低誘電膜401とを一定厚さ(反射防止光の波長(λ)の1/4ほど)に反復的に配置する時、非常に高い反射効果を奏し、反復される層の数が多くなるほど広い波長帯で効果的に反射を高めることができる。
【0044】
従来に金属電極を使用して高反射膜を具現した技術もあるが、従来の技術の場合には金属電極で一部光の吸収が発生することもあり、金属自体が不透明であって透明太陽電池を具現できない一方、本実施形態による高反射膜を使用する場合には高反射膜での吸収を効果的に遮断し、透明太陽電池を具現できるようになる。
【0045】
図5は、本発明のさらに他の一実施形態に他の太陽電池の高反射膜の構造を示す図面である。
【0046】
図5を参照すれば、本実施形態による高反射膜500は、図1に示した反射防止膜の構造で逆転された構造、すなわち、太陽光が入射する方向に高誘電膜501、屈折率勾配層502、低誘電膜503の順に蒸着して構成される。本実施形態での高誘電膜501、屈折率勾配層502、低誘電膜503は、図1に示した反射防止膜120の高誘電膜123、屈折率勾配層122、低誘電膜121と同じ機能を持つが、図1に示した反射防止膜120の構成と異なって太陽光が入射する方向を基準に順序が正反対に配されることによって、高反射膜での吸収を効果的に遮断する機能を行っている。
【0047】
図6は、反射防止膜の構造による反射率の変化を示す図面であって、ATOのような高誘電膜と低誘電膜との化合物を構成成分とする単一膜を反射防止膜として採用した時と、組成の異なる二つの誘電膜を複数頓着層で構成した時、各波長による反射率の変化を示す。
【0048】
通常の太陽光は、可視光線と赤外線領域に通過して入るが、効率が低い理由は、可視光線だけではなく赤外線での光損失が大きいためであるが、このような長波長帯域の光の反射をいかほど効率的に遮断するかが、効率を高めるキーである。また、可視光線層のうちでも特に強いブルー領域の反射を最小化することもキーである。また一つの観点は、太陽光が垂直のみで入射するものではないため、多様な入射角に対して効果的な反射の遮断がなされねばならない。
【0049】
図6を参照する時、反射防止膜を1層で構成した時より2層、3層などの複数層で構成した時、さらに広い範囲で低反射率を得ることができるということを示している。特に、多様な入射角に対しては屈折率勾配を持つ反射膜の製造が非常に効果的であると期待される。
【0050】
もし、太陽電池の光吸収層が2層以上の多重接合でなっているならば、光吸収層の波長帯域に合う反射防止膜が中間に挿入されうるが、所望の波長帯域の光を効果的に光吸収層に到達させる反射防止膜の具現が可能である。
【0051】
図7は、本発明の一実施形態による太陽電池用反射防止膜が結晶シリコンや多結晶シリコン−ゲルマニウム薄膜太陽電池に使われた例を示す図面である。
【0052】
図7を参照すれば、本実施形態の反射防止膜720は、以前の実施形態と同様に、低誘電膜721、屈折率勾配層722、及び高誘電膜723を備える。
【0053】
本実施形態での高誘電膜は、150℃ないし500℃で成長して形成された結晶膜である場合、多結晶シリコンあるいは多結晶シリコン−ゲルマニウム薄膜の結晶化核形成を促進して、結果的に光吸収層840の吸収率を高めるのに寄与できる。
【0054】
これらの役割は、多結晶または微細結晶薄膜を光吸収層として利用したあらゆる薄膜太陽電池に同一に適用される。屈折率勾配を持つ反射防止膜820を製造する場合、最上部の層はTiO2やZrO2、Ta25、HfO2などの高誘電膜823を使用するが、これらの薄膜は結晶化温度が低いという長所がある。250℃ほどで蒸着しても結晶化された高誘電膜を得ることができ、ZrO2結晶薄膜がSiの結晶化を促進する結果を表すこともある。プラズマを使用する蒸着方法の場合、150℃の温度でも結晶化された高誘電膜を得ることができる。
【0055】
したがって、本実施形態による反射防止膜は、太陽電池効率と関連した光吸収層の結晶化を促進する役割も行う。また、本実施形態による反射防止膜及び高反射膜は絶縁体であって、電極間の絶縁や半導体層と電極間の絶縁も効果的に行える。
【0056】
以上のように本発明は、良好な実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はこの発明を制限するものではなく例示しようとするものであり、当業者には、この発明の技術思想を逸脱せずに、前述の実施形態の多様な変化や、変更または調整が可能であるということは明らかである。したがって、この発明の保護範囲は、特許請求の範囲のみによって限定され、前述のような変化例や、変更例または調整例をいずれも含むと解釈されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、太陽電池関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0058】
110 ガラス基板
120 反射防止膜
121 低誘電膜
122 屈折率勾配層
123 高誘電膜
130 透明電極
140 光吸収層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1誘電率の物質で構成された低誘電膜と、
前記第1誘電率の物質より高い第2誘電率の物質で構成された高誘電膜と、
前記低誘電膜と前記高誘電膜との間に位置して、前記第1誘電率から前記第2誘電率まで徐々に上昇するように構成された勾配層と、を備えることを特徴とする太陽電池用反射防止膜。
【請求項2】
前記第1誘電率は、比誘電定数が10以下であり、
前記第2誘電率は、比誘電定数が10以上であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用反射防止膜。
【請求項3】
前記低誘電膜は、Al23、SiO2、SiNのうち少なくとも一つ以上を含み、
前記高誘電膜は、TiO2、ZrO2、HfO2、Ta25、ZnOのうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用反射防止膜。
【請求項4】
前記勾配層は、原子層蒸着法、プラズマ原子層蒸着法、及びゾルゲル法のうち少なくとも一つ以上を使用して形成されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用反射防止膜。
【請求項5】
前記勾配層は、前記第1誘電率の物質と前記第2誘電率の物質との化合物で構成されることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用反射防止膜。
【請求項6】
光を透過させる透過基板と、
前記透過基板下に形成されて、前記透過基板との距離によって誘電率が上昇するように構成された反射防止膜と、
前記反射防止膜下に形成されて、前記反射防止膜を通過した光を電気エネルギーに変換する光吸収層と、を備える太陽電池。
【請求項7】
前記反射防止膜は、
第1誘電率の物質で構成された低誘電膜と、
前記第1誘電率より高い第2誘電率の物質で構成された高誘電膜と、
前記低誘電膜と前記高誘電膜との間に位置して、前記第1誘電率から前記第2誘電率まで徐々に上昇するように構成された勾配層と、を備えることを特徴とする請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記低誘電膜は、Al23、SiO2、SiNのうち少なくとも一つ以上を含み、
前記高誘電膜は、TiO2、ZrO2、HfO2、Ta25、ZnOのうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記反射防止膜にパターニングされて前記光吸収層に連結された電極をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記反射防止膜の厚さ及び屈折率を調節して、前記反射防止膜を通過する光の波長領域を調整することを特徴とする請求項6に記載の太陽電池。
【請求項11】
光を透過させる透過基板と、
前記透過基板下に形成されて、前記透過基板との距離によって誘電率が上昇するように構成された反射防止膜と、
前記反射防止膜下に形成されて、前記反射防止膜を通過した光を電気エネルギーに変換する光吸収層と、
前記光吸収層下に形成されて、前記反射防止膜を通過した光のうち前記光吸収層で変換されずに通過した光を再び光吸収層に伝達する高反射膜と、を備えることを特徴とする太陽電池。
【請求項12】
前記高反射膜は、
第1誘電率の物質で構成された低誘電膜と、
前記低誘電膜上に形成されて、前記第1誘電率より高い第2誘電率の物質で構成された高誘電膜と、を備える単位層構造が反復的に積まれて形成されたことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記高反射膜は、
第1誘電率の物質で構成された低誘電膜と、
前記第1誘電率より高い第2誘電率の物質で構成された高誘電膜と、
前記低誘電膜と前記高誘電膜との間に位置して、前記第1誘電率から前記第2誘電率まで徐々に上昇するように構成された勾配層と、を備えることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記反射防止膜は、
第1誘電率の物質で構成された低誘電膜と、
前記第1誘電率より高い第2誘電率の物質で構成された高誘電膜と、
前記低誘電膜と前記高誘電膜との間に位置して、前記第1誘電率から前記第2誘電率まで徐々に上昇するように構成された勾配層と、を備えることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記低誘電膜は、Al23、SiO2、SiNのうち少なくとも一つ以上を含み、
前記高誘電膜は、TiO2、ZrO2、HfO2、Ta25、ZnOのうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項13または14に記載の太陽電池。
【請求項16】
前記反射防止膜にパターニングされて前記光吸収層に連結された上部電極と、
前記高反射膜にパターニングされて前記光吸収層に連結された下部電極と、をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の太陽電池。
【請求項17】
基板を形成する工程と、
前記基板上に前記基板との距離によって誘電率が上昇するように構成された反射防止膜を蒸着する工程と、
前記反射防止膜上に電極を連結し、前記電極に連結されて電気エネルギーを生成する光吸収層を蒸着する工程と、を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記反射防止膜蒸着工程は、
前記基板上に第1誘電率の物質で構成された低誘電膜を蒸着する工程と、
前記低誘電膜上に前記第1誘電率を基準に徐々に上昇する勾配層を蒸着する工程と、
前記勾配層上に前記勾配層の誘電率より高い第2誘電率の物質で構成された高誘電膜を蒸着する工程と、を含むことを特徴とする請求項17に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項19】
前記光吸収層蒸着工程は、前記電極を前記反射防止膜上の前面に蒸着させるか、前記反射防止膜にパターニングする工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の太陽電池の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−67956(P2010−67956A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169000(P2009−169000)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】