説明

好中球活性化剤

【解決課題】多糖類の新たな用途を開発する。
【解決手段】分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含む好中球活性化剤。この硫酸化多糖類は、走化性ペプチド刺激による好中球の遊走活性促進剤、及び活性酸素放出促進剤、さらにこれらの作用に基づく抗感染症剤として好適に使用できる。また、この硫酸化多糖類は好中球活性化のための飲食品組成物の成分として好適に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多糖類を利用した好中球活性化剤、抗感染症剤、好中球遊走活性促進剤、好中球の活性酸素放出促進剤、及び飲食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多糖類が免疫系活性化の生理活性を有することは多数報告されている。
【0003】
例えば、特許文献1はポルフィランを酵素加水分解して得られるオリゴ糖であって、重合度2及び4を主体とするネオアガロオリゴ糖とその脱硫化された中性糖を主成分とする組成物を、マウスのマクロファージに作用させると、IL−2の産生が誘導されることを教えている。
【0004】
また、特許文献2は、特定のコンドロイチン硫酸を、ヒト血管内皮細胞モデルとして用いられる臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に作用させると、マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)の産生が誘導されることを教えている。このコンドロイチン硫酸の分子量は20000以上が好ましいとされている。
【0005】
また、非特許文献1は、マウス全血細胞をLPS刺激してTNF-αの産生を誘導するに際して、カラギーナンで前処理することにより、多形核白血球(PMN)及びマクロファージにおけるTNF−αの産生誘導が活性化されたことを教えている。同文献では、免疫電子顕微鏡写真観察でTNF−αの産生を確認している。また、ここで使用しているカラギーナンはイオタカラギーナンでありその明確な分子量は記述されていない。
【特許文献1】特開2002−193828号公報
【特許文献2】特開2004−18390号公報
【非特許文献1】Infection and Immunity, Vol.67,No.7,1999,p3284-3289
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、硫酸化多糖類の新たな用途を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、硫酸化多糖類の有効利用のために研究を重ね、以下の知見を得た。即ち、分子量5000〜400000の硫酸化多糖類は、走化性ペプチド刺激によるヒト好中球の遊走活性を亢進する。また、この分子量範囲の硫酸化多糖類は、走化性ペプチド刺激によるヒト好中球の活性酸素放出も亢進する。
【0008】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下の好中球活性化剤などを提供する。
【0009】
項1. 分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含む好中球活性化剤。
【0010】
項2. 分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含む好中球活性化を介した抗感染症剤。
【0011】
項3. 分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含む好中球遊走活性促進剤。
【0012】
項4. 分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含む好中球の活性酸素放出促進剤。
【0013】
項5. 分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含み、好中球を活性化させる作用を有することを特徴とし、好中球を活性化させるために用いられる旨の表示を付した飲食品組成物。
【0014】
項6. 分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含み、好中球の活性化を介した殺菌作用を有することを特徴とし、好中球の活性化を介した殺菌のために用いられる旨の表示を付した飲食品組成物。
【0015】
項7. 分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含み、好中球の遊走活性を促進する作用を有することを特徴とし、好中球の遊走活性を促進するために用いられる旨の表示を付した飲食品組成物。
【0016】
項8. 分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含み、好中球の活性酸素放出を促進する作用を有することを特徴とし、好中球の活性酸素放出を促進するために用いられる旨の表示を付した飲食品組成物。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、硫酸化多糖類を利用した好中球活性化剤、抗感染症剤、好中球遊走活性促進剤、好中球の活性酸素放出促進剤、及び飲食品組成物が提供された。
【0018】
さらにいえば、硫酸化多糖類の中で分子量5000〜400000のものは、走化性ペプチド刺激による好中球の遊走活性及び活性酸素放出活性を著しく亢進させる。これらの活性は、好中球の基本的生理活性である。
【0019】
血管内に存在する好中球は、細菌由来のペプチドによる刺激を受けて、このペプチドの方へ遊走し、細菌を貪食する。また、活性酸素を放出して殺菌する。従って、上記のような好中球の遊走活性及び活性酸素放出活性を亢進する硫酸化多糖類は、これらの作用により感染症の予防又は治療に好適に使用できる。また、このような硫酸化多糖類は、好中球活性化、特に好中球の遊走活性や活性酸素放出の促進、又はこれらによる感染症予防又は改善のための飲食品組成物の有効成分として好適に使用できる。
また、硫酸化多糖類は、例えば海藻などから大量に調製することができ、特にポルフィランは従来廃棄されている低級ノリ、色落ちノリなどからも調製することができ、食品廃棄物を有効利用することができるというメリットがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)好中球活性化剤
本発明の好中球活性化剤は、それぞれ分子量5000〜400000程度の硫酸化多糖類を含む。特にこれらを有効成分として含む。
硫酸化多糖類
硫酸化多糖類の分子量は、5000〜50000程度がより好ましい。上記分子量の範囲であれば、顕著な免疫応答が得られ、また経口投与した場合に体内吸収し易い。
【0021】
本発明において、硫酸化多糖類の分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて測定した平均分子量であり、具体的には実施例に記載の方法で測定した値である。
【0022】
本発明の好中球活性化においては、多糖類が硫酸基を有することが必須である。また、硫酸基の他に、カルボキシル基、アミノ基、アセチルアミノ基などの官能基を有していてもよい。
【0023】
このような硫酸化多糖類は、単一種類の硫酸化多糖類であってもよく、または海藻などから抽出されたものであって硫酸化多糖類を含む複数種類の多糖類の混合物であってもよい。さらに、硫酸化多糖類と硫酸基を含まない多糖類との混合物であってもよい。いずれにしても、硫酸基を含み、サイズ排除クロマトグラフィーで測定した平均分子量が5000〜400000の多糖類であればよい。
【0024】
このような硫酸化多糖類としては、それには限定されないが、例えば、ポルフィラン、カラギーナン、フコイダン、アスコフィラン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、デキストラン硫酸などが挙げられる。中でも、経済性の点でカラギーナンが好ましく、免疫増強(好中球活性化)という機能の点でデキストラン硫酸が好ましく、未利用海苔の有効利用という点ではポルフィランおよびポルフィラン分解物が好ましい。
【0025】
例えばポルフィランは、D-ガラクトース、3,6-アンヒドロ-L-ガラクトース又はL-ガラクトース-6-硫酸、及びこれらのD-ガラクトース類の一部のC-6がメチル化されたものを主に含む混合物である。
【0026】
上記硫酸化多糖は、動植物から抽出した後、限外ろ過膜によるろ過、エタノール沈殿、ゲルろ過クロマトグラフィーなどにより分子量5000〜400000程度の画分を分取することにより調製できる。また、分解酵素、又は酸若しくはアルカリ分解等で所定の分子量に調整することもできる。
製剤
本発明の好中球活性化剤において、硫酸化多糖類は、薬学的に許容される担体とともに適当な製剤とすることができる。このような担体として、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、付湿剤等が挙げられる。また、酸化防止剤のような慣用の添加剤なども含まれていてよい。製剤の形態は特に限定されず、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等のどのような形態であってもよい。
【0027】
賦形剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖等の各種の糖類;バレイショデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン等の各種デンプン類、;結晶セルロース等の各種セルロース類;無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等の各種無機塩類等が挙げられる。但し、ポルフィラン、カラギーナンなどの増粘多糖類を使用する場合は、それら自体が賦形効果を有するため、別途賦形剤を使用しなくても良い。
【0028】
結合剤としては、公知のものを使用でき、例えば、結晶セルロース、プルラン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等が挙げられる。但し、ポルフィラン、カラギーナンを使用する場合それら自体が結合効果を有するため、別途結合剤を使用しなくても良い。
【0029】
崩壊剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、デンプン、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0030】
潤沢剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油などが挙げられる。
【0031】
付湿剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、大豆リン脂質、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。
【0032】
好中球活性化剤の製剤中に含まれる硫酸化多糖類の量は、投与対象又は患者の年齢、体重、症状等によって異なり一概に規定できないが、硫酸化多糖類の1日摂取量が、固形分換算で0.01〜60g程度になるような量含まれていればよい。この程度の量であれば、十分に好中球活性化効果が得られるとともに、食物繊維摂取量が多くなりすぎて下痢などを引き起こすことがない。
【0033】
また、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤のような固形製剤の場合は、製剤中に硫酸化多糖類が1〜90重量%程度含まれていることが好ましい。また、シロップ剤のような液体製剤の場合は、硫酸化多糖類の粘性によって異なるが、製剤中に硫酸化多糖類が0.1〜10重量%程度含まれていることが好ましい。これにより、服用し易い程度の粘度を有するシロップ剤となる。
【0034】
本発明の好中球活性化剤は、特に、好中球の遊走促進剤、又は好中球の活性酸素放出促進剤として好適に使用できる。さらに、これらの作用を有することから、好中球活性化による感染症の予防、改善、又は治療剤としても好適に使用できる。
【0035】
(II)飲食品組成物
本発明の飲食品組成物は、分子量5000〜400000程度の硫酸化多糖類を含み、好中球を活性化させる作用(又は好中球遊走活性を促進する作用、好中球の活性酸素放出を促進する作用、好中球活性化を介した殺菌作用)を有することを特徴とし、好中球を活性化させるために(又は好中球遊走活性を促進するために、好中球の活性酸素放出を促進するために、好中球活性化を介した殺菌のために)用いられる旨の表示を付した飲食品組成物である。特に、この硫酸化多糖類を有効成分として含む。
【0036】
硫酸化多糖類、及びその作用については、前述した通りである。
【0037】
固形の食品組成物の場合は、食品の種類によって異なるが、硫酸化多糖類を35〜90重量%程度含むことが好ましく、50〜90重量%程度含むことがより好ましい。上記範囲であれば、1日に又は1回で無理なく摂取できる量の食品組成物中に、好中球活性化に必要な量の硫酸化多糖類を含ませることができる。また、上記の範囲であれば、食物繊維摂取量が多すぎて下痢などを引き起こすということがない。
【0038】
中でも、食品組成物が通常の固形食品を含むものではなく、錠剤やカプセル形状の栄養補助食品(サプリメント)である場合は、硫酸化多糖類を40〜90重量%程度含むことが好ましく、60〜90重量%程度含むことがより好ましい。上記範囲であれば、食間あるいは食前食後等に、1日に又は1回で必要な量の硫酸化多糖類を無理なく摂取することが可能である。また、上記の範囲であれば、食物繊維摂取量が多すぎて下痢などを引き起こすということがない。
【0039】
また、液体状又は流動状の飲料組成物である場合は、硫酸化多糖類を0.01〜2.5重量%程度含むことが好ましく、0.1〜2.5重量%程度含むことがより好ましい。上記範囲であれば、硫酸化多糖類が粘性を有するものである場合も、飲み易い飲料組成物になるとともに、1日に又は1回で必要な量の硫酸化多糖類を無理なく摂取することが可能である。また、上記の範囲であれば、食物繊維摂取量が多すぎて下痢などを引き起こすということがない。
【0040】
本発明の飲食品組成物には、飲食品に通常含まれる各種の添加剤が含まれていてもよい。
【0041】
飲食品としては、それには限定されないが、例えば、クッキー、ゼリー、ケーキ、アメ、ガムなどの菓子類;茶、ジュース、清涼飲料水、栄養ドリンク、乳飲料などの飲料などが挙げられる。また、例えば医薬品に通常用いられる賦型剤などとともに錠剤やカプセルの形態を採るものであってもよい。
適用対象
本発明の好中球活性化剤、好中球の遊走活性促進剤、好中球の活性酸素放出促進剤、抗感染症剤、及び飲食品組成物は、感染症患者、何らかの基礎疾患により免疫不全を起こしている患者などの他、疲労ぎみのヒト、ストレスの強いヒトが摂取するのに好適である。また、健常人が日常摂取することにより、免疫力を高めるのにも好適である。
実施例
以下、実施例及び試験例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<平均分子量の測定方法>
サイズ排除クロマトグラフィー(ファルマシア社製、セファクリルS300)を用いて、被験多糖類の溶出のピーク位置を測定する。分子量既知の多糖類についてセファクリルS400を用いて同様にピーク位置を求めて検量線を作成し、被験多糖類の分子量をこの検量線に当てはめることにより求め、これを平均分子量とする。
実施例1(ポルフィランによる好中球遊走活性の亢進)
<ポルフィランの調製>
Anal, Biochem.265,42-48(1998)に記載の方法に準じて、低級板スサビノリ及び高級板スサビノリよりポルフィランを調製した。即ち、100リットルの熱水に2kgのノリを投入後、95℃で2時間加熱して、不溶性画分を濾布および濾紙で取り除き、水溶性画分を得た。次いで、水溶性画分を限外濾過膜濃縮装置で濃縮後、塩化ナトリウムを終濃度1モルになるよう添加し、さらにエタノールを終濃度50%(v/v)になるよう添加して、不溶化したタンパク質を除去した。さらに、エタノールを終濃度65%(v/v)になるよう添加して、ポルフィラン画分を沈殿させ、これを減圧濾過により回収して風乾することにより、ポルフィラン200gを得た。
【0042】
このポルフィランをβ−アガラーゼ(Psudomonas atlantica由来、シグマ社製)で処理することにより、ポルフィラン分解物を得た。このポルフィラン分解物の平均分子量をサイズ排除クロマトグラフィーを用いて見積もったところ、およそ7000であった。
<ヒト好中球の調製>
健常人の静脈抹消血(全血)をヘパリン処理し、さらに3%デキストラン生理食塩水を抹消血と1:1の割合で添加した。赤血球が沈殿したので上清を採取した。さらに、上清を4℃で、1000rpm、10分間遠心し、未沈降の赤血球は水を加え溶血させた。次いで、Ficoll溶液(ファルマシア製)存在下、4℃の下、1500rpmで15分間遠心することにより、上層から、リンパ球、単球、好中球の順に分かれた。チューブの底の好中球を採取した。
<好中球の遊走活性の測定>
ケモタキシスチャンバーを用いて好中球の遊走活性を測定した。ケモタキシスチャンバーの孔に、走化性ペプチドfMLP(HCO-Met-Leu-Phe-OH)の10-6〜10-8Mの各濃度の水溶液を26〜29μl注入し、ポリカーボネートフィルターを載せた。このとき、ペプチド水溶液はフィルターに接触している。
【0043】
次いで、ヒト好中球をPBS(Dalbecco’s phosphate buffered saline)に終濃度が1mMになるようにCaCl2を添加し、1.0×107cells/mlとなるように懸濁し、この細胞懸濁液をフィルター上に25μl載せた。さらに、5%CO2存在下、37℃で1時間インキュベートした後、フィルターを(Diff-Quick溶液)で染色し、マイクロプレートリーダーで595nmの光の吸光度を測定することにより、フィルターに付着した好中球数をカウントした。フィルターに付着した好中球数が多いほど、遊走活性が高いことを示す。
【0044】
また、好中球懸濁液には、上記ポルフィラン分解物を終濃度が0.5mg/mlとなるように調整したものについても、同様に好中球数をカウントした。
【0045】
結果を図1に示す。図1から、ポルフィラン分解物は、fMLPによる好中球遊走活性を増大させていることが分かる。
実施例2(ポルフィランによる好中球の活性酸素放出活性の亢進)
実施例1で調製した好中球のPBS溶液((1.0x106cells/ml)の溶液970μlに100mMのCaCl2(塩化カルシウム、終濃度1mM)、5mMのD-Glc(グルコース)、チトクロムCをそれぞれ10μlづつ加え、全量で1000μlとした。この細胞浮遊液をセルに加え、37℃で5分間インキュベートしたあと、走化性ペプチドfMLPをその濃度が最終的に10-7Mになるように加えた。活性酸素生成量は、活性酸素によって還元されたチトクロムCを二波長分光光度計(540−550nm)を用いることで、還元されたチトクロムCの量を算出した。また、同様に、上記ポルフィラン分解物を終濃度0.5mg/mlとなるように好中球浮遊液に加え、fMLPで刺激したものについても同様に活性酸素量を算出した。
【0046】
ポルフィラン分解物を加えることにより好中球による活性酸素放出量が約1.5倍に増えた。
実施例3(好中球の遊走活性に及ぼす硫酸基の影響)
実施例1において、ポルフィラン分解物に代えて、硫酸化デキストラン(社名シグマ、分子量10000)、及び硫酸化されていないデキストラン(社名シグマ、分子量10000)を、それぞれ終濃度0.5mg/mlとなるように添加し、好中球の遊走活性を測定した。
【0047】
結果を図2に示す。図2から、硫酸基を有することにより、好中球遊走活性が著しく亢進することが分かる。
実施例4(好中球の遊走活性に及ぼす硫酸化多糖類の分子量の影響)
実施例1において、ポルフィラン分解物に代えて、硫酸化デキストランの分子量5kDa(シグマ社),10kDa(シグマ社),36〜50kDa(MP Biomedicals社),500kDa(シグマ社)のものをそれぞれ用い、好中球の遊走活性を測定した。また、上記のようにして調製したポルフィラン(平均分子量390kDa)についても同様にして遊走活性を測定した。
【0048】
また、対照として、硫酸基を有さないデキストランの分子量10kDa、64〜76kDa、100〜200kDa(それぞれシグマ社)のもの、及びガラクトース6硫酸(分子量300Da、シグマ社)を用いて同様にして遊走活性を測定した。結果を以下の表1に示す。
【0049】
【表1】

表1より、硫酸化多糖類では、分子量5000〜400000程度の範囲で好中球のfMLP刺激による遊走活性が亢進していることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】ポルフィラン分解物による好中球の遊走活性の亢進を示すグラフである。
【図2】好中球の遊走活性に及ぼす多糖類の硫酸基の影響を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含む好中球活性化剤。
【請求項2】
分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含む好中球活性化を介した抗感染症剤。
【請求項3】
分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含む好中球遊走活性促進剤。
【請求項4】
分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含む好中球の活性酸素放出促進剤。
【請求項5】
分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含み、好中球を活性化させる作用を有することを特徴とし、好中球を活性化させるために用いられる旨の表示を付した飲食品組成物。
【請求項6】
分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含み、好中球の活性化を介した殺菌作用を有することを特徴とし、好中球の活性化を介した殺菌のために用いられる旨の表示を付した飲食品組成物。
【請求項7】
分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含み、好中球の遊走活性を促進する作用を有することを特徴とし、好中球の遊走活性を促進するために用いられる旨の表示を付した飲食品組成物。
【請求項8】
分子量5000〜400000の硫酸化多糖類を含み、好中球の活性酸素放出を促進する作用を有することを特徴とし、好中球の活性酸素放出を促進するために用いられる旨の表示を付した飲食品組成物。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−273758(P2006−273758A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96150(P2005−96150)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(590003722)佐賀県 (38)
【出願人】(504209655)国立大学法人佐賀大学 (176)
【出願人】(300032123)財団法人佐賀県地域産業支援センター (11)
【Fターム(参考)】