好触感塗装体及びその製造方法
【課題】発泡層の形成に加熱を必要としない好触感塗装体、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材11上に下塗り発泡層12と上塗り層14とを有する好触感塗装体10であって、下塗り発泡層12は、沸点が120〜180℃である溶剤とポリイソシアネートとポリオールとを含む下塗り塗料を基材11上に塗装し、常温において下塗り塗料が溶剤の揮発により発泡しつつポリイソシアネートとポリオールとの反応により硬化することで形成された厚さが300〜1000μmのものであり、上塗り層14は、有機ビーズ15を含む上塗り塗料を下塗り発泡層12上に塗装し、加熱することにより上塗り塗料が硬化して形成された厚さが20〜30μmのものであることを特徴とする。
【解決手段】基材11上に下塗り発泡層12と上塗り層14とを有する好触感塗装体10であって、下塗り発泡層12は、沸点が120〜180℃である溶剤とポリイソシアネートとポリオールとを含む下塗り塗料を基材11上に塗装し、常温において下塗り塗料が溶剤の揮発により発泡しつつポリイソシアネートとポリオールとの反応により硬化することで形成された厚さが300〜1000μmのものであり、上塗り層14は、有機ビーズ15を含む上塗り塗料を下塗り発泡層12上に塗装し、加熱することにより上塗り塗料が硬化して形成された厚さが20〜30μmのものであることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、しっとり感、さらさら感、弾力感等の好触感を有する好触感塗装体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車内装品等の表面にしっとり感等の好触感を付与する方法として、ソフトフィール塗装を施したり、レザー表皮を貼付したりすることがある。
しかし、これらの方法では、要望に合う触感を確保できないことがあった。
【0003】
そこで、より多くの触感を確保できる好触感塗装体として、特許文献1記載のように、下塗り塗料よりなる発泡層と上塗り塗料よりなるソフトフィール層(上塗り層)とを有するものが提案されている。
【0004】
しかし、上記好触感塗装体は、下塗り塗料を発泡させるために用いられる発泡剤が化学反応により気体を発生させるタイプのものであることから、上塗り塗料を塗装する前に、発泡層を形成するための加熱(ベーク)が必要となっていた。
また、発泡層を形成するための加熱を行わず上塗り塗料を塗装し、加熱を行うとソフトフィール層の形成(硬化)の方が下塗り塗料の発泡よりも先に反応が進むため、ソフトフィール層の割れ、剥れ、クラック等が生じる可能性があった。
【特許文献1】特開2005−297200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、発泡層の形成に加熱を必要としない好触感塗装体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の好触感塗装体は、基材上に下塗り発泡層と上塗り層とを有する好触感塗装体であって、前記下塗り発泡層は、沸点が120〜180℃である溶剤とポリイソシアネートとポリオールとを含む下塗り塗料を前記基材上に塗装し、常温において前記下塗り塗料が前記溶剤の揮発により発泡しつつ前記ポリイソシアネートと前記ポリオールとの反応により硬化することで形成されたものであり、前記上塗り層は、有機ビーズを含む上塗り塗料を前記下塗り発泡層上に塗装し、加熱することにより前記上塗り塗料が硬化して形成されたものであることを特徴としている。
【0007】
ここで、本明細書において、常温は、意図的に加熱又は冷却を行わない温度であり、例えば、15〜35℃の範囲の温度である。
【0008】
また、本発明の好触感塗装体の製造方法は、基材上に下塗り発泡層と上塗り層とを有する好触感塗装体の製造方法であって、沸点が120〜180℃である溶剤とポリイソシアネートとポリオールとを含む下塗り塗料を前記基材上に塗装し、常温において前記溶剤の揮発により発泡させつつ前記ポリイソシアネートと前記ポリオールとの反応により硬化させて前記下塗り発泡層を形成し、有機ビーズを含む上塗り塗料を前記下塗り発泡層上に塗装し、加熱により硬化させて前記上塗り層を形成することを特徴としている。
【0009】
本発明における各要素の態様を以下に例示する。
【0010】
1.基材
基材としては、特に限定はされないが、樹脂、金属等が例示できる。
【0011】
2.下塗り発泡層
下塗り発泡層の厚さとしては、特に限定はされないが、100〜2000μmであることが好ましく、より好ましくは、300〜1000μmである。下塗り発泡層の厚さが、100μm未満では、弾力性が乏しくなり、ソフト感が得られ難く(不十分)なる。2000μmを超えると、層(塗膜)自身が厚くなり過ぎ、自動車内装品等に用いた場合に、他の部品との見切り部において段差が生じ、見栄えが悪くなる。
【0012】
3.上塗り層
上塗り層の厚さとしては、特に限定はされないが、20〜50μmであることが好ましく、より好ましくは、20〜30μmである。上塗り層の厚さが、20μm未満では、十分な層(塗膜)の膜強度が得られず、塗装体が使用に耐えられなくなる。50μmを超えると、層の形成(造膜)が難しくなり、層に割れ、垂れ等の不具合が生じ、意匠性が低下する。
【0013】
4.下塗り塗料
下塗り塗料に含まれる溶剤の量としては、特に限定はされないが、1〜10質量%であることが好ましい。下塗り塗料に含まれる溶剤の量が、1質量%未満では、溶剤の揮発による気泡が少なく、下塗り発泡層が硬くなる。10質量%を超えると、下塗り塗料の粘度が著しく低下し、微細な気泡が得られ難くなる。
ポリオールの水酸基(OH)に対するポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)の当量比(NCO/OH)は、特に限定はされないが、0.5〜1.2であることが好ましい。この当量比が、0.5未満では、下塗り発泡層(塗膜)がゲル化してしまい、塗装体に柔らかい触感を付与することができなくなる。1.2を超えると、硬化反応が速すぎ、下塗り発泡層が硬くなる。
常温において速く硬化することが好ましいことから、常温におけるポットライフが2〜5分であることが好ましい。
また、溶剤が揮発することで形成される気泡を緻密で均一に保持するために、整泡剤等を含んでいてもよい。
【0014】
5.溶剤
溶剤としては、特に限定はされないが、沸点が120〜180℃のもの、即ち、120〜180℃の範囲に沸点があるものである。沸点が120℃未満のものでは、発泡層(塗装体)の表面にピンホールや凹凸が生じ、沸点が180℃を超えるものでは、発泡層の発泡が不十分になり硬くなるからである。具体的には、シクロヘキサノン(沸点:約156℃)等のケトン系溶剤、キシレン(沸点:約138℃)、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、n−ノナン等の脂肪族炭化水素系溶剤、ジメチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶剤、酢酸ブチル(沸点:約126℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、ペンタノール等のアルコール系溶剤等が例示でき、これらの一種又は二種以上を混合したものであってもよいし、石油等の蒸留溶剤のように、沸点範囲に幅がある混合溶剤であってもよい。
【0015】
6.ポリイソシアネート
ポリイソシアネートとしては、特に限定はされないが、2,4−トリレンジイソシアネート 、2,6−トリレンジイソシアネート 、1,3−キシリレンジイソシアネート(メタキシレンジイソシアネート) 、1,4−キシリレンジイソシアネート 、1,6−ヘキサンジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート)、1,4−ブタンジイソシアネート等の通常のポリウレタンの合成に用いられるものが例示でき、これらの一種又は二種以上を混合したものであってもよい。
【0016】
7.ポリオール
ポリオールとしては、特に限定はされないが、多価カルボン酸等と多価アルコール等とのエステル反応等から合成されるポリエステルポリオール、アルキレングリコール等の多価アルコールの重縮合、アルキレンオキシド等の重付加等から合成されるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとの共重合体等が例示でき、これらの一種又は二種以上を混合したものであってもよい。
また、硬化の反応(ポリイソシアネートとの反応)を速くできることから、分子内に水酸基等の親水性の官能基を有することが好ましい。
また、発泡層の形成に好ましいことから、ポリオール全体として、水酸基価(OHV)が100mgKOH/g以上であることが好ましく、より好ましくは200〜600mgKOH/gである。
【0017】
7−1.多価カルボン酸
多価カルボン酸としては、特に限定はされないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が例示でき、これらの一種又は二種以上を混合したものであってもよい。
【0018】
7−2.多価アルコール
多価アルコールとしては、特に限定はされないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等のアルキレングリコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA等のジアルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等、又はこれらの縮重合体等が例示でき、これらの一種又は二種以上を混合したものであってもよい。
【0019】
7−3.アルキレンオキシド
アルキレンオキシドとしては、特に限定はされないが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド等が例示でき、これらの一種又は二種以上を混合したものであってもよい。また、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が例示できる。
【0020】
8.上塗り塗料
上塗り塗料としては、特に限定はされないが、ウレタン系塗料、アクリル系塗料、エポキシ系塗料等が例示でき、下塗り発泡層との密着が良いことから、ウレタン系塗料であることが好ましい。
上塗り塗料に含まれる有機ビーズの量(含有量)としては、特に限定はされないが、0.1〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは、5〜20質量%である。含有量が0.1質量未満では、有機ビーズを添加することで生じる塗装体の好触感が得難くなる。40質量%を超えると、上塗り層の膜強度が得られず、塗装体が使用に耐えられなくなる。また、含まれている有機ビーズは、一種類であってもよいし、二種類以上であってもよい。
また、好感触塗装体の意匠性を向上させるために、顔料等の着色剤を含有していてもよいし、パールマイカ等の光輝顔料を含有していてもよい。
【0021】
9.有機ビーズ
樹脂からなる有機ビーズとしては、特に限定はされないが、ウレタン樹脂からなるウレタンビーズ、アクリル樹脂からなるアクリルビーズ等が例示できる。
【0022】
9−1.ウレタンビーズ
ウレタンビーズとしては、特に限定はされないが、ウレタンビーズを上塗り塗料に添加することにより、上塗り層表面の動摩擦係数が大きくなリ、しっとり感とうい好触感を得ることができる。
ウレタンビーズの大きさ(粒径)としては、特に限定はされないが、5〜50μmであることが好ましく、より好ましくは5〜20μmである。
【0023】
9−2.アクリルビーズ
アクリルビーズとしては、特に限定はされないが、アクリルビーズを上塗り塗料に添加することにより、上塗り層表面の動摩擦係数が小さくなり、さらさら感という好触感を得ることができる。
アクリルビーズの大きさ(粒径)としては、特に限定はされないが、さらさら感を得るためには5〜50μmであることが好ましい。また、触感による凹凸を感じ取れるようにするためには、30μm以上であることが好ましく、より好ましくは40〜50μmである。
【0024】
10.加熱
上塗り塗料を硬化するための加熱の条件としては、特に限定はされないが、温度は、70〜80℃であることが好ましく、時間は、20〜30分であることが好ましい。
【0025】
11.塗装方法
下塗り塗料又は上塗り塗料の塗装方法としては、特に限定はされないが、エアースプレー塗装、エアーレススプレー塗装、シャワーコート塗装、ロールコーター塗装等が例示できる。下塗り塗料及び上塗り塗料の塗装方法は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、発泡層の形成に加熱を必要としない好触感塗装体、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
基材上に下塗り発泡層と上塗り層とを有する好触感塗装体であって、下塗り発泡層は、沸点が120〜180℃である溶剤とポリイソシアネートとポリオールとを含む下塗り塗料を基材上に塗装し、常温において下塗り塗料が溶剤の揮発により発泡しつつポリイソシアネートとポリオールとの反応により硬化することで形成された厚さが300〜1000μmのものであり、
上塗り層は、有機ビーズを含む上塗り塗料を下塗り発泡層上に塗装し、加熱することにより上塗り塗料が硬化して形成された厚さが20〜30μmのものであることを特徴とする好触感塗装体。
【実施例】
【0028】
図1に示すように、本発明の好触感塗装体10は、ポリカーボネートとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とのポリマーアロイ(PC/ABS)からなる基材11上に、溶剤が揮発して形成された気泡13を含むウレタン樹脂からなる下塗り発泡層12と、その上に有機ビーズ15を含む上塗り層14とを有するものである。
【0029】
次に示す表1は、気泡13を形成するための溶剤を変更した実施例(3種類)と比較例(2種類)の構成(配合)と評価結果を示す。
また、実施例1、2と比較例1、2の下塗り発泡層(上塗り塗装をしていない)の表面及び断面の顕微鏡写真を図2〜図17に示す。なお、断面の顕微鏡写真は、本試料より層の厚さを厚くしたものの顕微鏡写真である。
なお、DBEは、グルタル酸ジメチル(75質量%)とコハク酸ジメチル(25質量%)とを混合したジエステル溶剤である。
【0030】
【表1】
【0031】
各原料成分のうち、上塗り塗料用の塗料としては、水系のウレタン系塗料を用いた。
下塗り塗料のポリオールとしては、日本ポリウレタン社の商品名「ニッポランN−4588」(水酸基価:110mgKOH/g)と同社の商品名「ニッポランN−4038」(水酸基価:1200mgKOH/g)とを質量比(「ニッポランN−4588」/「ニッポランN−4038」)が90/10の割合で配合したものを用いた。
同ポリイソシアネートとしては、日本ポリウレタン社の商品名「C−4028」を用いた。
【0032】
各試料(塗装体)は、次のようにして作成した。
先ず、ポリカーボネートとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とのポリマーアロイからなる基材の表面に、各試料の下塗り塗料(常温でのポットライフ:約2〜5分)をスプレーガン(アネスト岩田社の商品名「W−2003PC−19B」)を用いて層の厚さが300μmになるよう塗装し、下塗り発泡層を形成した。
その後、下塗り発泡層の上に、各試料の上塗り塗料をスプレーガン(アネスト岩田社の商品名「WIDER−61」)を用いて上塗り層の厚さが30μmになるよう塗装した。
そして、上塗り層を形成(硬化)するために、80℃で30分間加熱して試料を作成した。
【0033】
各試料の測定及び評価を次のようにして行った。
【0034】
(1)動摩擦係数測定
試料(上塗り層)の表面を摩擦子として指紋タイプセンサーを取付けた摩擦感テスター(カトーテック社の商品名「KES−SE」)を用いて動摩擦係数の測定を行った。
【0035】
(2)硬さ測定
試料(上塗り層)の表面を硬度測定機(フィッシャースコープ社の商品名「H100C」)を用いて硬さを測定した。
【0036】
(3)外観
試料(上塗り層)の表面を目視により評価した。
○:良好、×:不良である。
【0037】
(4)ソフト感
試料(上塗り層)の表面を指触により評価した。
○:良好(弾力感あり)、×:不良(弾力感なし)である。
【0038】
以上の結果より、実施例は、溶剤系(種類)に関係なく、下塗り発泡層の発泡と硬化とのバランスがいいので、良好な硬さ(弾力感)及び外観(表面)を有する好触感塗装体となった。
一方、比較例1は、溶剤の沸点が高いため、発泡が不十分なまま下塗り発泡層が硬化し、図12、13の写真に示すように、実施例(図4、5、8、9の写真)と比べ、下塗り発泡層の気泡が少なくなってしまった。そのため、塗装体が硬くなった。
また、比較例2は、溶剤の沸点が低いため、発泡に硬化が追いつかず、できた気泡が下塗り発泡層の表層に移行し、図14、15の写真に示すように、上塗り塗料の塗装では隠蔽できないような大きなピンホールが下塗り発泡層の表面に生じ、塗装体の外観が不良となった。
【0039】
次に示す表2は、上記実施例2を基準に、上塗り層に含まれる有機ビーズの種類を変更した実施例4、5並びに下塗り発泡層の厚さを変更した実施例6及び比較例3の構成及び評価を示す。
なお、原料成分、試料の作成方法及び測定方法は、前記表1の試料と同じである。
【0040】
【表2】
【0041】
実施例2、4、5より、有機ビーズの種類を変更することにより多様(触感及び硬さ)な好触感塗装体を得ることができた。
実施例2、6及び比較例3より、下塗り発泡層の厚さを変更することにより、好触感塗装体の硬さを変更することができた。
【0042】
本実施例によれば、次の(a)〜(c)の効果が得られる。
(a)下塗り塗料に、沸点が120〜180℃である溶剤を用いる(溶剤の種類の影響はない)ことにより、乾燥(ベーク)なしに下塗り発泡層を得ることができる。
(b)下塗り塗料に、沸点が120〜180℃である溶剤を用いることにより、2コート1ベークの作業工程で、好触感塗装体を得ることができ、また、生産性の向上が図れる。
(c)上塗り層に含まれている有機ビーズの種類(材質・粒径)及び下塗り発泡層の厚さを変更することにより多様な触感の好触感塗装体を得ることができる。
【0043】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例の好触感塗装体の断面の模式図である。
【図2】本発明の実施例1の下塗り発泡層の表面の一部の顕微鏡写真である。
【図3】同表面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【図4】同下塗り発泡層の断面の一部の顕微鏡写真である。
【図5】同断面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【図6】本発明の実施例2の下塗り発泡層の表面の一部の顕微鏡写真である。
【図7】同表面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【図8】同下塗り発泡層の断面の一部の顕微鏡写真である。
【図9】同断面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【図10】比較例1の下塗り発泡層の表面の一部の顕微鏡写真である。
【図11】同表面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【図12】同下塗り発泡層の断面の一部の顕微鏡写真である。
【図13】同断面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【図14】比較例2の下塗り発泡層の表面の一部の顕微鏡写真である。
【図15】同表面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【図16】同下塗り発泡層の断面の一部の顕微鏡写真である。
【図17】同断面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0045】
10 好触感塗装体
11 基材
12 下塗り発泡層
14 上塗り層
15 有機ビーズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、しっとり感、さらさら感、弾力感等の好触感を有する好触感塗装体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車内装品等の表面にしっとり感等の好触感を付与する方法として、ソフトフィール塗装を施したり、レザー表皮を貼付したりすることがある。
しかし、これらの方法では、要望に合う触感を確保できないことがあった。
【0003】
そこで、より多くの触感を確保できる好触感塗装体として、特許文献1記載のように、下塗り塗料よりなる発泡層と上塗り塗料よりなるソフトフィール層(上塗り層)とを有するものが提案されている。
【0004】
しかし、上記好触感塗装体は、下塗り塗料を発泡させるために用いられる発泡剤が化学反応により気体を発生させるタイプのものであることから、上塗り塗料を塗装する前に、発泡層を形成するための加熱(ベーク)が必要となっていた。
また、発泡層を形成するための加熱を行わず上塗り塗料を塗装し、加熱を行うとソフトフィール層の形成(硬化)の方が下塗り塗料の発泡よりも先に反応が進むため、ソフトフィール層の割れ、剥れ、クラック等が生じる可能性があった。
【特許文献1】特開2005−297200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、発泡層の形成に加熱を必要としない好触感塗装体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の好触感塗装体は、基材上に下塗り発泡層と上塗り層とを有する好触感塗装体であって、前記下塗り発泡層は、沸点が120〜180℃である溶剤とポリイソシアネートとポリオールとを含む下塗り塗料を前記基材上に塗装し、常温において前記下塗り塗料が前記溶剤の揮発により発泡しつつ前記ポリイソシアネートと前記ポリオールとの反応により硬化することで形成されたものであり、前記上塗り層は、有機ビーズを含む上塗り塗料を前記下塗り発泡層上に塗装し、加熱することにより前記上塗り塗料が硬化して形成されたものであることを特徴としている。
【0007】
ここで、本明細書において、常温は、意図的に加熱又は冷却を行わない温度であり、例えば、15〜35℃の範囲の温度である。
【0008】
また、本発明の好触感塗装体の製造方法は、基材上に下塗り発泡層と上塗り層とを有する好触感塗装体の製造方法であって、沸点が120〜180℃である溶剤とポリイソシアネートとポリオールとを含む下塗り塗料を前記基材上に塗装し、常温において前記溶剤の揮発により発泡させつつ前記ポリイソシアネートと前記ポリオールとの反応により硬化させて前記下塗り発泡層を形成し、有機ビーズを含む上塗り塗料を前記下塗り発泡層上に塗装し、加熱により硬化させて前記上塗り層を形成することを特徴としている。
【0009】
本発明における各要素の態様を以下に例示する。
【0010】
1.基材
基材としては、特に限定はされないが、樹脂、金属等が例示できる。
【0011】
2.下塗り発泡層
下塗り発泡層の厚さとしては、特に限定はされないが、100〜2000μmであることが好ましく、より好ましくは、300〜1000μmである。下塗り発泡層の厚さが、100μm未満では、弾力性が乏しくなり、ソフト感が得られ難く(不十分)なる。2000μmを超えると、層(塗膜)自身が厚くなり過ぎ、自動車内装品等に用いた場合に、他の部品との見切り部において段差が生じ、見栄えが悪くなる。
【0012】
3.上塗り層
上塗り層の厚さとしては、特に限定はされないが、20〜50μmであることが好ましく、より好ましくは、20〜30μmである。上塗り層の厚さが、20μm未満では、十分な層(塗膜)の膜強度が得られず、塗装体が使用に耐えられなくなる。50μmを超えると、層の形成(造膜)が難しくなり、層に割れ、垂れ等の不具合が生じ、意匠性が低下する。
【0013】
4.下塗り塗料
下塗り塗料に含まれる溶剤の量としては、特に限定はされないが、1〜10質量%であることが好ましい。下塗り塗料に含まれる溶剤の量が、1質量%未満では、溶剤の揮発による気泡が少なく、下塗り発泡層が硬くなる。10質量%を超えると、下塗り塗料の粘度が著しく低下し、微細な気泡が得られ難くなる。
ポリオールの水酸基(OH)に対するポリイソシアネートのイソシアネート基(NCO)の当量比(NCO/OH)は、特に限定はされないが、0.5〜1.2であることが好ましい。この当量比が、0.5未満では、下塗り発泡層(塗膜)がゲル化してしまい、塗装体に柔らかい触感を付与することができなくなる。1.2を超えると、硬化反応が速すぎ、下塗り発泡層が硬くなる。
常温において速く硬化することが好ましいことから、常温におけるポットライフが2〜5分であることが好ましい。
また、溶剤が揮発することで形成される気泡を緻密で均一に保持するために、整泡剤等を含んでいてもよい。
【0014】
5.溶剤
溶剤としては、特に限定はされないが、沸点が120〜180℃のもの、即ち、120〜180℃の範囲に沸点があるものである。沸点が120℃未満のものでは、発泡層(塗装体)の表面にピンホールや凹凸が生じ、沸点が180℃を超えるものでは、発泡層の発泡が不十分になり硬くなるからである。具体的には、シクロヘキサノン(沸点:約156℃)等のケトン系溶剤、キシレン(沸点:約138℃)、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、n−ノナン等の脂肪族炭化水素系溶剤、ジメチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶剤、酢酸ブチル(沸点:約126℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、ペンタノール等のアルコール系溶剤等が例示でき、これらの一種又は二種以上を混合したものであってもよいし、石油等の蒸留溶剤のように、沸点範囲に幅がある混合溶剤であってもよい。
【0015】
6.ポリイソシアネート
ポリイソシアネートとしては、特に限定はされないが、2,4−トリレンジイソシアネート 、2,6−トリレンジイソシアネート 、1,3−キシリレンジイソシアネート(メタキシレンジイソシアネート) 、1,4−キシリレンジイソシアネート 、1,6−ヘキサンジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート)、1,4−ブタンジイソシアネート等の通常のポリウレタンの合成に用いられるものが例示でき、これらの一種又は二種以上を混合したものであってもよい。
【0016】
7.ポリオール
ポリオールとしては、特に限定はされないが、多価カルボン酸等と多価アルコール等とのエステル反応等から合成されるポリエステルポリオール、アルキレングリコール等の多価アルコールの重縮合、アルキレンオキシド等の重付加等から合成されるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとの共重合体等が例示でき、これらの一種又は二種以上を混合したものであってもよい。
また、硬化の反応(ポリイソシアネートとの反応)を速くできることから、分子内に水酸基等の親水性の官能基を有することが好ましい。
また、発泡層の形成に好ましいことから、ポリオール全体として、水酸基価(OHV)が100mgKOH/g以上であることが好ましく、より好ましくは200〜600mgKOH/gである。
【0017】
7−1.多価カルボン酸
多価カルボン酸としては、特に限定はされないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が例示でき、これらの一種又は二種以上を混合したものであってもよい。
【0018】
7−2.多価アルコール
多価アルコールとしては、特に限定はされないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等のアルキレングリコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA等のジアルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等、又はこれらの縮重合体等が例示でき、これらの一種又は二種以上を混合したものであってもよい。
【0019】
7−3.アルキレンオキシド
アルキレンオキシドとしては、特に限定はされないが、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド等が例示でき、これらの一種又は二種以上を混合したものであってもよい。また、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が例示できる。
【0020】
8.上塗り塗料
上塗り塗料としては、特に限定はされないが、ウレタン系塗料、アクリル系塗料、エポキシ系塗料等が例示でき、下塗り発泡層との密着が良いことから、ウレタン系塗料であることが好ましい。
上塗り塗料に含まれる有機ビーズの量(含有量)としては、特に限定はされないが、0.1〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは、5〜20質量%である。含有量が0.1質量未満では、有機ビーズを添加することで生じる塗装体の好触感が得難くなる。40質量%を超えると、上塗り層の膜強度が得られず、塗装体が使用に耐えられなくなる。また、含まれている有機ビーズは、一種類であってもよいし、二種類以上であってもよい。
また、好感触塗装体の意匠性を向上させるために、顔料等の着色剤を含有していてもよいし、パールマイカ等の光輝顔料を含有していてもよい。
【0021】
9.有機ビーズ
樹脂からなる有機ビーズとしては、特に限定はされないが、ウレタン樹脂からなるウレタンビーズ、アクリル樹脂からなるアクリルビーズ等が例示できる。
【0022】
9−1.ウレタンビーズ
ウレタンビーズとしては、特に限定はされないが、ウレタンビーズを上塗り塗料に添加することにより、上塗り層表面の動摩擦係数が大きくなリ、しっとり感とうい好触感を得ることができる。
ウレタンビーズの大きさ(粒径)としては、特に限定はされないが、5〜50μmであることが好ましく、より好ましくは5〜20μmである。
【0023】
9−2.アクリルビーズ
アクリルビーズとしては、特に限定はされないが、アクリルビーズを上塗り塗料に添加することにより、上塗り層表面の動摩擦係数が小さくなり、さらさら感という好触感を得ることができる。
アクリルビーズの大きさ(粒径)としては、特に限定はされないが、さらさら感を得るためには5〜50μmであることが好ましい。また、触感による凹凸を感じ取れるようにするためには、30μm以上であることが好ましく、より好ましくは40〜50μmである。
【0024】
10.加熱
上塗り塗料を硬化するための加熱の条件としては、特に限定はされないが、温度は、70〜80℃であることが好ましく、時間は、20〜30分であることが好ましい。
【0025】
11.塗装方法
下塗り塗料又は上塗り塗料の塗装方法としては、特に限定はされないが、エアースプレー塗装、エアーレススプレー塗装、シャワーコート塗装、ロールコーター塗装等が例示できる。下塗り塗料及び上塗り塗料の塗装方法は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、発泡層の形成に加熱を必要としない好触感塗装体、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
基材上に下塗り発泡層と上塗り層とを有する好触感塗装体であって、下塗り発泡層は、沸点が120〜180℃である溶剤とポリイソシアネートとポリオールとを含む下塗り塗料を基材上に塗装し、常温において下塗り塗料が溶剤の揮発により発泡しつつポリイソシアネートとポリオールとの反応により硬化することで形成された厚さが300〜1000μmのものであり、
上塗り層は、有機ビーズを含む上塗り塗料を下塗り発泡層上に塗装し、加熱することにより上塗り塗料が硬化して形成された厚さが20〜30μmのものであることを特徴とする好触感塗装体。
【実施例】
【0028】
図1に示すように、本発明の好触感塗装体10は、ポリカーボネートとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とのポリマーアロイ(PC/ABS)からなる基材11上に、溶剤が揮発して形成された気泡13を含むウレタン樹脂からなる下塗り発泡層12と、その上に有機ビーズ15を含む上塗り層14とを有するものである。
【0029】
次に示す表1は、気泡13を形成するための溶剤を変更した実施例(3種類)と比較例(2種類)の構成(配合)と評価結果を示す。
また、実施例1、2と比較例1、2の下塗り発泡層(上塗り塗装をしていない)の表面及び断面の顕微鏡写真を図2〜図17に示す。なお、断面の顕微鏡写真は、本試料より層の厚さを厚くしたものの顕微鏡写真である。
なお、DBEは、グルタル酸ジメチル(75質量%)とコハク酸ジメチル(25質量%)とを混合したジエステル溶剤である。
【0030】
【表1】
【0031】
各原料成分のうち、上塗り塗料用の塗料としては、水系のウレタン系塗料を用いた。
下塗り塗料のポリオールとしては、日本ポリウレタン社の商品名「ニッポランN−4588」(水酸基価:110mgKOH/g)と同社の商品名「ニッポランN−4038」(水酸基価:1200mgKOH/g)とを質量比(「ニッポランN−4588」/「ニッポランN−4038」)が90/10の割合で配合したものを用いた。
同ポリイソシアネートとしては、日本ポリウレタン社の商品名「C−4028」を用いた。
【0032】
各試料(塗装体)は、次のようにして作成した。
先ず、ポリカーボネートとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とのポリマーアロイからなる基材の表面に、各試料の下塗り塗料(常温でのポットライフ:約2〜5分)をスプレーガン(アネスト岩田社の商品名「W−2003PC−19B」)を用いて層の厚さが300μmになるよう塗装し、下塗り発泡層を形成した。
その後、下塗り発泡層の上に、各試料の上塗り塗料をスプレーガン(アネスト岩田社の商品名「WIDER−61」)を用いて上塗り層の厚さが30μmになるよう塗装した。
そして、上塗り層を形成(硬化)するために、80℃で30分間加熱して試料を作成した。
【0033】
各試料の測定及び評価を次のようにして行った。
【0034】
(1)動摩擦係数測定
試料(上塗り層)の表面を摩擦子として指紋タイプセンサーを取付けた摩擦感テスター(カトーテック社の商品名「KES−SE」)を用いて動摩擦係数の測定を行った。
【0035】
(2)硬さ測定
試料(上塗り層)の表面を硬度測定機(フィッシャースコープ社の商品名「H100C」)を用いて硬さを測定した。
【0036】
(3)外観
試料(上塗り層)の表面を目視により評価した。
○:良好、×:不良である。
【0037】
(4)ソフト感
試料(上塗り層)の表面を指触により評価した。
○:良好(弾力感あり)、×:不良(弾力感なし)である。
【0038】
以上の結果より、実施例は、溶剤系(種類)に関係なく、下塗り発泡層の発泡と硬化とのバランスがいいので、良好な硬さ(弾力感)及び外観(表面)を有する好触感塗装体となった。
一方、比較例1は、溶剤の沸点が高いため、発泡が不十分なまま下塗り発泡層が硬化し、図12、13の写真に示すように、実施例(図4、5、8、9の写真)と比べ、下塗り発泡層の気泡が少なくなってしまった。そのため、塗装体が硬くなった。
また、比較例2は、溶剤の沸点が低いため、発泡に硬化が追いつかず、できた気泡が下塗り発泡層の表層に移行し、図14、15の写真に示すように、上塗り塗料の塗装では隠蔽できないような大きなピンホールが下塗り発泡層の表面に生じ、塗装体の外観が不良となった。
【0039】
次に示す表2は、上記実施例2を基準に、上塗り層に含まれる有機ビーズの種類を変更した実施例4、5並びに下塗り発泡層の厚さを変更した実施例6及び比較例3の構成及び評価を示す。
なお、原料成分、試料の作成方法及び測定方法は、前記表1の試料と同じである。
【0040】
【表2】
【0041】
実施例2、4、5より、有機ビーズの種類を変更することにより多様(触感及び硬さ)な好触感塗装体を得ることができた。
実施例2、6及び比較例3より、下塗り発泡層の厚さを変更することにより、好触感塗装体の硬さを変更することができた。
【0042】
本実施例によれば、次の(a)〜(c)の効果が得られる。
(a)下塗り塗料に、沸点が120〜180℃である溶剤を用いる(溶剤の種類の影響はない)ことにより、乾燥(ベーク)なしに下塗り発泡層を得ることができる。
(b)下塗り塗料に、沸点が120〜180℃である溶剤を用いることにより、2コート1ベークの作業工程で、好触感塗装体を得ることができ、また、生産性の向上が図れる。
(c)上塗り層に含まれている有機ビーズの種類(材質・粒径)及び下塗り発泡層の厚さを変更することにより多様な触感の好触感塗装体を得ることができる。
【0043】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例の好触感塗装体の断面の模式図である。
【図2】本発明の実施例1の下塗り発泡層の表面の一部の顕微鏡写真である。
【図3】同表面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【図4】同下塗り発泡層の断面の一部の顕微鏡写真である。
【図5】同断面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【図6】本発明の実施例2の下塗り発泡層の表面の一部の顕微鏡写真である。
【図7】同表面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【図8】同下塗り発泡層の断面の一部の顕微鏡写真である。
【図9】同断面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【図10】比較例1の下塗り発泡層の表面の一部の顕微鏡写真である。
【図11】同表面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【図12】同下塗り発泡層の断面の一部の顕微鏡写真である。
【図13】同断面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【図14】比較例2の下塗り発泡層の表面の一部の顕微鏡写真である。
【図15】同表面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【図16】同下塗り発泡層の断面の一部の顕微鏡写真である。
【図17】同断面の一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0045】
10 好触感塗装体
11 基材
12 下塗り発泡層
14 上塗り層
15 有機ビーズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に下塗り発泡層と上塗り層とを有する好触感塗装体であって、
前記下塗り発泡層は、沸点が120〜180℃である溶剤とポリイソシアネートとポリオールとを含む下塗り塗料を前記基材上に塗装し、常温において前記下塗り塗料が前記溶剤の揮発により発泡しつつ前記ポリイソシアネートと前記ポリオールとの反応により硬化することで形成されたものであり、
前記上塗り層は、有機ビーズを含む上塗り塗料を前記下塗り発泡層上に塗装し、加熱することにより前記上塗り塗料が硬化して形成されたものであることを特徴とする好触感塗装体。
【請求項2】
基材上に下塗り発泡層と上塗り層とを有する好触感塗装体の製造方法であって、
沸点が120〜180℃である溶剤とポリイソシアネートとポリオールとを含む下塗り塗料を前記基材上に塗装し、常温において前記溶剤の揮発により発泡させつつ前記ポリイソシアネートと前記ポリオールとの反応により硬化させて前記下塗り発泡層を形成し、
有機ビーズを含む上塗り塗料を前記下塗り発泡層上に塗装し、加熱により硬化させて前記上塗り層を形成することを特徴とする好触感塗装体の製造方法。
【請求項1】
基材上に下塗り発泡層と上塗り層とを有する好触感塗装体であって、
前記下塗り発泡層は、沸点が120〜180℃である溶剤とポリイソシアネートとポリオールとを含む下塗り塗料を前記基材上に塗装し、常温において前記下塗り塗料が前記溶剤の揮発により発泡しつつ前記ポリイソシアネートと前記ポリオールとの反応により硬化することで形成されたものであり、
前記上塗り層は、有機ビーズを含む上塗り塗料を前記下塗り発泡層上に塗装し、加熱することにより前記上塗り塗料が硬化して形成されたものであることを特徴とする好触感塗装体。
【請求項2】
基材上に下塗り発泡層と上塗り層とを有する好触感塗装体の製造方法であって、
沸点が120〜180℃である溶剤とポリイソシアネートとポリオールとを含む下塗り塗料を前記基材上に塗装し、常温において前記溶剤の揮発により発泡させつつ前記ポリイソシアネートと前記ポリオールとの反応により硬化させて前記下塗り発泡層を形成し、
有機ビーズを含む上塗り塗料を前記下塗り発泡層上に塗装し、加熱により硬化させて前記上塗り層を形成することを特徴とする好触感塗装体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−131821(P2009−131821A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312024(P2007−312024)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(000103976)オリジン電気株式会社 (223)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(000103976)オリジン電気株式会社 (223)
【Fターム(参考)】
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