説明

好酸球を含めた特定の細胞を撮像するための装置および方法

本開示による装置および方法の例示的実施形態を提供することができる。例えば、少なくとも1つの第1の構成を使用して、体内の組織の少なくとも一部分に少なくとも1つの第1の電磁放射を向けることができる。少なくとも1つの第2の構成を使用して、第1の電磁放射に基づく、該部分から提供される少なくとも1つの第2の電磁放射を受けることができる。さらに、少なくとも1つの第3の構成を使用して、第2の電磁放射に基づいて、該部分内で、好酸球、マスト細胞、好塩基球、単核球、および/または好中球である少なくとも1つの特定の細胞を他の細胞から区別することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、好酸球を含むがこれに限定されない特定の細胞を撮像するための装置および方法の例示的実施形態に関し、より詳細には、例えば、好酸球を含めた特定の細胞を撮像するために共焦点顕微鏡法を使用することができるそのような例示的な装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年10月6日出願の米国特許出願第61/249207号からの優先権の利益を主張するものであり、その出願の開示は全て参照することにより本明細書の一部である。
【0003】
(概要)
好酸球性食道炎(EoE)は、小児および成人どちらでも発症する疾患であり、食物アレルギーによって引き起こされると考えられており、食道扁平上皮内部の好酸球の存在によって特徴付けられる。現在、EoEは、一般的な疾患であり、発生率が急速に増加していることが知られている。EoE患者は、吐き気や嘔吐から嚥下障害や食片圧入までの症状を示すことがある。一般に、治療しないでおくと、好酸球性炎症が、基底膜の線維化、狭穿、穿孔を含めた重大な永久的な損傷をもたらすおそれがあると考えられている。そのため、現在、EoE患者は、症状と食道好酸球の両方が寛解するまで治療を続けられる。
【0004】
EoEにはコルチコステロイドが効果的であるが、通常、この薬剤の使用が止められるとこの疾患は元に戻る。EoEに関する他の治療法は、厳しい食事制限である。食事制限を行った後、食事が受け入れられるようになるか、または症状および/もしくは食道好酸球が再発するまで食物が徐々に再導入される。EoEを診断するための唯一の客観的方法は、複数の上部内視鏡生検の組織病理学的評価であるので、療法および食物再導入プロセス中の食道の監視は、多数回繰り返される内視鏡検査を伴う。このプロセスは、時間がかかり、患者やその家族にとってストレスの溜まるものである。内視鏡生検は、意識下鎮静を必要とするので、これもまたコストがかかることがあり、健康管理システムにかなりの経済的な負担がかかる。この疾患を患う患者の数の急速な増加に鑑みて、食道内の好酸球を識別するための、低侵襲性でより費用対効果の高い方法が切実に必要とされている。
【0005】
組織内で細胞レベルで撮像を行うために、共焦点顕微鏡法が開発されている。近年、反射型共焦点顕微鏡法(RCM)は、食道内の好酸球を撮像できることが確認されている。RCMの1つの例示的実施形態は、スペクトル符号化共焦点顕微鏡法(SECM)と呼ばれ、その利点は、小型化して、小さい直径の可撓性プローブに組み込むことができること、および非常に高速で画像を取得することができること(例えばビデオレートよりも10〜100倍速い)であり、これは、現実的な処置時間内で管腔器官全体の顕微鏡スクリーニングを可能にする特徴である。
【0006】
(好酸球性食道炎)
好酸球性食道炎(EoEまたはEE)は、主に食物アレルギーによって引き起こされる食道の炎症性疾患である。EoEを患う患者の約50〜70%が、別の併発のアトピー疾患を患っている。EoEは、小児でも成人でも発症し、白色人種(>90%)および男性(2〜4:1の比率)でより一般的である。EoEの顕著な特徴は、食道扁平上皮の内部への好酸球性侵潤であり、これは、減酸治療後にも消失せず、胃腸管中にはどこにも存在しない。EoEを患う患者は、例えば胸痛、吐き気、嘔吐、嚥下障害、食片圧入、および成長障害など様々な好ましくない症状を示すことがある。この疾患の自然史は十分には理解されていないが、専門家は、長期にわたる好酸球性炎症は永久的な食道の損傷をもたらすことがあり、基底膜の線維化、食道狭窄、狭穿、および穿孔を引き起こすことがあると危惧している。
【0007】
EoEの重大さは、20年間過小評価されていた。しかし、ここ10年にわたって、多くの研究者たちによる先駆的な研究により、この疾患の重要性が明らかになってきている。この間、EoEを患っていることが判明した患者の数は急増している。新たに得られたデータによれば、EoEの有病率は、一般人口の0.01〜0.1%に近付く可能性があり、ことによるとクローン病など他の炎症性腸疾患よりも高いことが示唆されている。EoEの発生率も急速に増加しており、同期間に西欧諸国で見られたアトピー疾患の発生率の増加を反映している。現在、EoEの認知度は、以前よりもはるかに高い。そのため、EoEの高い有病率および発生率とあいまって、小児および成人胃腸病の専門医は、この疾患を患う患者の来院に懸命に対応している。
【0008】
(EoE診断)
近年、EoEの診断は、生検と共に上部内視鏡検査を必要とすることがある。上部内視鏡検査では、EoE患者は、脈管質の減少(diminished vascularity)、長手索溝(longitudinal furrowing)、脆砕性、微小膿瘍(白点)、滲出物、食道輪(食道の気管化)、食道口径の狭窄、狭穿、および食片圧入の所見を有することがある。これらの所見は他の疾患でも見られることがあり、内視鏡検査では最大30%の症例で食道が正常とされることがあるので、EoEに関する内視鏡検査単独での精度はそれほど高くない。EoE診断のための唯一の客観的方法は、内視鏡生検である。現在の治療の標準は、食道の遠位部分(胃食道接合部(GEJ)から約5cm)と、近位部分(GEJから約15cm)で得られるピンチ生検である。生検は、異常な内視鏡的所見を有する部位から取られ、また疾患の視覚的な証拠を示さない位置からも取られる。得られる生検の数も重要である。なぜなら、最近の研究で示されたように、EoEの組織病理学的診断は、1個の生検では患者の55%においてしか正確になされなかったが、5個の生検の後には100%まで上がったからである。生検標本の任意の1つにおいて高出力領域(HPF=400倍)につき15個を超える好酸球が見つかると、EoEの診断となる。好酸球脱顆粒、微小膿瘍、好酸球の表面層化、基底層過形成、マスト細胞および他の白血球数の増加など、他の組織病理学的所見もEoEで見られるが、現在、診断には必要とされていない。
【0009】
一次EoE診断は、酸逆流がない状態で、かつ胃腸管の他の区間の関与がない状態で、増加した食道好酸球の病理学的所見を必要とすることがある。その結果、最初の診断の際に、生検は胃および十二指腸からも取られる。さらに、一次診断に関して、生検は通常、GERDの病因論を除外するために1ヶ月のプロトンポンプ阻害薬(PPI)投与後に繰り返される。内視鏡生検による追跡診断は、はるかに一般的であり、疾患の過程にわたって複数回の療法決定および養生法を管理するために利用される。
【0010】
(EoE治療)
薬理学的療法と食事療法はどちらも症状を緩和することができ、食道を組織学的に正常に戻す。唯一の確立されている薬理学的療法は、コルチコステロイドである。急性症状を速やかに和らげるために全身性ステロイド剤が推奨され、管理のために経口または嚥下局所投与経路が推奨される。経口および局所コルチコステロイドの主な合併症は食道カンジダ症であり、これは、最大20%の患者で観察されている。コルチコステロイドの主な限界は、服用を止めたときにEoEが一般に再発することであり、その結果、コルチコステロイドが唯一の治療ラインである場合、疾患の期間中はずっと継続して服用しなければならない。ステロイド投与を調節しなければならない、または中断しなければならない時を決定するための生検を用いた追跡内視鏡検査の間隔は、現在議論中である。EoE患者での寛解の持続に関するコルチコステロイドの長期的な効果もよく分かっていない。好酸球走化性を制御するサイトカインに対する抗体であるanti−IL−5やIL−13など、他のより新しい薬剤は現在研究中である。
【0011】
EoE患者のための別の効果的な療法の選択肢は、原因抗原を除去するための厳しい食物除去療法である。最も効果的な食事法は成分栄養剤食事法であり、これは、アミノ酸やペプチドなどのタンパク質、オリゴ糖類や単糖類などの炭水化物、および中鎖トリグリセリドなどの脂肪を含めた低分子量化合物として栄養を供給するものである。小児研究では、成分栄養剤食事法の実施が最大98%の症例でEoEを消失することが示されている。しかし、成分栄養剤食事法は、非常に制限が厳しく、許容度が低く、また供給管による投与を行わなければならないこともある。その結果、それほど厳しくない除去食療法が提案されており、例えば6種除去食療法(牛乳、卵、大豆、小麦粉、甲殻類、およびナッツ)であり、これは、ある研究では、約75%の患者においてEoEを効果的に治癒した。皮膚プリックテストやアレルギーパッチテスト(APT)など責任食事抗原(culprit dietary antigen)を所見するための方法が提案されているが、EoE患者の食事法を管理するために推奨するにはまだ十分に正確ではない。除去食療法は、患者が耐えるのが非常に困難であり、その結果、食物が食事に徐々に再導入され、結局、症状および/または食道好酸球が再発する。
【0012】
(EoE患者における好酸球の監視の改良)
生活の質に対するEoEの影響、およびこの疾患が未知の長期的な危険を伴う食道線維化まで進行する可能性の懸念により、専門家は、症状および好酸球浸潤が消失するまでEoEを治療することを推奨している。これらの患者の管理は、食道好酸球を評価するために、食物再導入中および/またはコルチコステロイド投与プロセス中に何度も繰り返し内視鏡生検を必要とする。このプロセスは、患者やその家族にとって不便であり負担となる。また、このプロセスは、内視鏡に関連する小さいが現実的な合併症の危険にも関連付けられる。さらに、現在、EoE監視のための内視鏡生検には、1回の処置あたり平均約1000ドルかかり、健康管理システムに対するかなりの出費となることがある。これらの考慮事項から、食道好酸球数を取得するための、より低侵襲性でより費用対効果の高い方法を見出すことが望まれている。
【0013】
(鎮静および上部内視鏡検査のコスト)
鎮静剤および麻酔性鎮痛薬のIV投与による鎮静は、上部内視鏡検査のコストを高める唯一の最重要な寄与因子であり、処置コスト全体の30〜50%を占めると推定される。鎮静に関係する合併症に関わる死亡率および罹患率により、患者は、内視鏡処置中に継続的な心肺監視および看護補助を受けなければならない。処置後の回復期間も出費の一因となる。なぜなら、大きな特殊な物理空間でのさらなる看護、監視、および患者ケアを必要とするからである。退院後、患者は家まで送ってもらう必要があることもたびたびあり、成人は、少なくとも1日仕事ができなくなる。最後に、鎮静処置に対する患者の許容度は、非鎮静処置に比べて低い。鎮静の出費以外で、変えることができる他の上部内視鏡検査コストは、医師の時間および生検処置を含む。食道好酸球の評価は、その処置を看護婦または技師が行うことができれば安価になることは疑いない。生検は、標本あたり約150ドルのコストがかかる可能性がある。これらの因子を考慮すると、上部内視鏡検査の総コストの最大で半分は鎮静によるものとなり得る。
【0014】
(有望なEoE用の血液バイオマーカー)
内視鏡生検の高いコストと不便さといった制限を克服するために、食道好酸球の代用物となり得る血液バイオマーカーが活発に研究されている。この疾患の病態生理学の研究から、EoEが、IL−5およびIL−13で媒介され、エオタキシン−3(Eotaxin−3)に依存して、TH2炎症プロセスから生じていることが示されている。これらのサイトカインに加えて、末梢血中好酸球、血清IgE、CD23、および好酸球由来神経毒も、生検好酸球レベルに関する有望なバイオマーカー代用物として提案されている。これらのバイオマーカーとEoEのいくらかの相関は分かっているが、この分野の研究は初期段階であり、これらの試験のコスト、ロバストなカットオフ値、ならびに年齢、症状、および性別の影響など、重要なパラメータはまだ分かっていない。特に他の共存するアトピー疾患を患っていると考えられる患者における食道好酸球に対するこれらのバイオマーカーの特異性が、療法決定を導くのに十分なものであるかどうか判断することが好ましいことがある。
【0015】
(非鎮静経鼻処置)
例えば、食道への経鼻および経口到達は、成人および小児患者集団どちらに関しても、鎮静なしで外来環境で達成することができる。非鎮静患者にカテーテルを通すとき、一般に、経口処置で生じる咽頭反射のほうが激しいので、経口手法よりも経鼻到達のほうが許容度が高い。経鼻胃管(NG管)挿入など標準的な経鼻処置は、年間で数百万人の患者に行われており、主な合併症は、あったとしても年間数例である。NG管挿入では、最初に、直径10〜18F(3〜6mm)の可撓性管を、鼻孔から剣状突起までの寸法に合わせる。次いで、麻酔ジェルで潤滑し、患者の鼻孔の一方に挿入する。鼻孔は、局所リドカインスプレーで事前に麻酔しておく。管を、後方に向けて下へ進める。管が後咽頭を通るとき、咽頭反射を抑えるためにストローで水を飲むまたはすするように患者に要求する。管は、咽頭を通るとき、食道を通って胃まで容易に進められる。管が胃の中にあることの確認は、管を通して空気を注入し、聴診器で聴診する、または吸入された流体のpHを測定することによって達成することができる。次いで、管を食道内に引き戻すことができる。処置後、患者は通常、普段の活動をすぐに再開することができる。
【0016】
(反射型共焦点顕微鏡法)
反射型共焦点顕微鏡法(RCM)は、EoE患者での食道好酸球を撮像するのに適していることがある。なぜなら、この顕微鏡は非侵襲性の光学撮像法であり、約1μmの分解能で細胞構造の視覚化を可能にし、また外因性造影剤の投与を必要としないからである。RCMは、組織からの多重散乱光を拒否または無視し、強集束ビームから反射される光の共焦点選択を採用することによって、構造情報を含む1回後方散乱光子を検出する。最も一般的には、RCMは、集束されたビームを組織表面に平行な平面内で高速走査することによって実施され、組織の横方向画像または正面画像が得られる。RCMで使用される対物レンズの大きい開口数(NA>0.3)が、非常に高い空間分解能を生み出す。RCMの撮像侵入深さ(数百ミリメートル)は、典型的には管腔表面付近に現れるEoEの検出によく適している。
【0017】
(臨床への適用に関する従来の共焦点顕微鏡法に生じ得る限界)
今日まで提案されているすべての内臓共焦点顕微鏡撮像診断は、内視鏡によって案内しながら離散的な位置でのみ顕微鏡画像を提供する。これは、いわゆる「点サンプリング」法である。点サンプリングは、RCMにおいて避けられないものであり得る。なぜなら、RCMは、非常に限られた視野(約200〜500μmの範囲内)を有するからであり、この視野は、EoE診断に使用されるピンチ生検よりも小さい。本明細書で提案する経鼻手法によって、内視鏡による案内なしで診断プローブを挿入することができ、データを自動的に獲得することができる。したがって、この「案内なし」の方法が、増加した好酸球を含んでいる、全体的な疾患状態を代表する領域からの情報を確実に捕捉できるようにするために、食道の比較的大きい領域を撮像すべきである。
【0018】
(包括的体積顕微鏡法)
この動作形態は、パラダイムシフトを必要とすることがあり、これは「包括的体積顕微鏡法(CVM)」と呼ぶことができ、すなわち、大きな粘膜領域の上皮の顕微鏡画像を3次元で得ることができる機能である。現在、この分野での他の研究者が、このコンセプトの価値を認識している。興味深いモザイク手法が開発されており、複数の共焦点画像を一体に継ぎ合わせて数mm2をカバーするが、この技術は、好酸球に関して食道の十分な長さ(10+cm)を走査するのに必要とされる包括的な撮像にはまだ遠い。
【0019】
CVMでは、顕微鏡情報の非常に広い帯域幅、および現実的な処置時間内(<10分)でこのデータを取得するという制約により、撮像速度をビデオレートよりも少なくとも1桁大きくすべきである。さらに、これらの大きな組織表面積にわたって高速で高精度で顕微鏡を自動的に走査するためにRCMプローブを開発しなければならない。近年、光学周波数領域撮像法(OFDI)と呼ばれるOCTの第2世代の形態と、高速ヘリカルスキャンカテーテルとを使用してCVMを実施することができる。この研究は、遠位食道全体(長さ6.0cm)の3次元顕微鏡画像を数分で獲得できるようにし、また、患者の冠動脈の長い区間(約10cm)を5秒未満で獲得できるようにしている。OFDIシステムおよび方法は、様々な臨床適用例で非常に有用となり得るが、そのような例示的なシステムおよび方法による約10μmの分解能の使用は、個々の細胞を識別するには十分でないことがある。
【0020】
(好酸球の反射型共焦点顕微鏡法)
これまで、食道好酸球のRCM装置および方法の例示的実施形態は述べられていなかった。そこで、本開示の例示的実施形態によれば、図1に示されるように、そのような細胞100をRCMによって高いコントラストで視覚化することができる。例えば、この機能に関する物理的な基礎は、おそらく、大きなサイズ、高い屈折率、および好酸球の細胞質内部の粒子の存在度に主に関係付けられる。細胞からの光散乱のモデル化によって、高い屈折率勾配を有する大きい細胞小器官がより強い光学的後方散乱、したがってより強いRCM信号を示すことを示すことができる。好酸球の細胞質中に存在する粒子の3つの主要なタイプのうち、主要な塩基性タンパク質、好酸球ペルオキシダーゼ、好酸球カチオンタンパク質、好酸球由来神経毒を含めた「特異性」晶質粒子が最も多いことがあり得る。これらの晶質粒子は、直径約0.5〜1.3μmであることがあり、他の顆粒球で見られる直径よりもかなり大きい。これらの粒子の屈折率は直接測定されていないが、中に含まれる晶質タンパク質の密度およびタイプにより、例えば約1.6に近付くほど高いことがあり得る。細胞質の屈折率は1.35〜1.37であるので、これらの粒子によって誘発される屈折率勾配は非常に大きい。対照的に、扁平上皮細胞はそのような粒子を有さず、比較的均質な細胞質を有する。その結果、好酸球の細胞質は、周囲の食道上皮よりも強く光を後方散乱することができ、高いRCM画像コントラストをもたらす。粒子に加えて、核も、それらのサイズおよびクロマチンの屈折率(1.39〜1.45)により、RCM信号を発生することができる。したがって、好酸球はさらに、それらの2葉の形状など核形態学的な手がかりを利用することによってRCM画像内で区別することができる。
【0021】
(内臓系に関する共焦点顕微鏡法)
RCM装置および方法は、それを皮膚に適用する場合については述べられているが、内臓撮像のための小さい共焦点顕微鏡プローブは、走査顕微鏡の小型化に関連する技術的な課題により開発されていなかった。1つの難点は、小さい直径の可撓性プローブの遠位端で、集束されたビームを高速でラスタ走査するためのメカニズムの開発であり得る。この問題に対処するために、遠位マイクロ電気機械システム(MEMS)ビーム走査デバイスの使用やシングルモードファイバ束の近位走査を含めた様々な手法が試みられている。別の課題は、光学的な区分化に使用される高いNAの対物レンズの小型化であり得る。
【0022】
この例示的な必要性から、本開示によるRCMの装置および方法の例示的実施形態の開発が行われている。これは、スペクトル符号化共焦点顕微鏡法(SECM)と呼ぶことができ、例えば小さい直径のプローブを介してより高い解像度のCVM画像を高速で取得するように構成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明の1つの目的は、正確であり安価なEoE用の診断ツールを提供することである。この目的は、RCMおよびSECM技術を利用し、好酸球を識別するために食道を自動的に走査することができる小型の可撓性の経鼻または経口プローブにそれらの技術を組み込むことができるようにすることによって達成することができる。このデバイスは、鎮静、内視鏡検査、または生検を必要とせずに外来環境で利用することができ、それにより、EoEの治療を受ける患者の好酸球数監視の不便さおよびコストを減らす。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本開示の1つの例示的実施形態によれば、本開示による例示的なRCM技法、方法、および装置を、食道好酸球を識別するために構成することができる。
【0025】
本開示の例示的実施形態の目的の1つは、ヒト患者における食道好酸球の有無を判断することである。本開示の別の目的は、手動で、半自動で、またはコンピュータ処理で、ヒト患者における好酸球の数を計数することである。本開示のさらなる目的は、好酸球の計数を可能にするために、細胞レベルで組織の断面画像を取得することである。本開示の例示的実施形態の別の目的は、EoEにおいてやはり増加することがある、マスト細胞、リンパ球、好塩基球、および好中球を含めた、白血球など他の細胞を識別することである。本開示の例示的実施形態のさらなる目的は、基底層過形成、膿瘍、好酸球脱顆粒、および基底膜線維化を含めたインビボでのEoEの他の組織学的特徴を評価するためのデバイスを提供することである。
【0026】
本開示のさらに別の目的は、食道好酸球を撮像するためのRCMまたはSECM装置および経鼻プローブの例示的実施形態を提供することである。
【0027】
例えば、経鼻または経口RCMプローブは、経鼻胃(NG)管、例えば合法的に市販された装置(predicate device)に基づいて設計および作製することができる。圧力センサを利用して、胃食道接合部付近へのRCMプローブの光学系の配置を容易にすることができる。プローブの光学系は、遠位食道から近位食道まで走査することができ、3次元RCM画像を生成し、この画像は、0〜1000mm2の範囲内であり得る食道の表面領域をカバーする。さらに、数分でスキャンを完了することができるように、より高速でより高い分解能のRCMシステムを提供することができる。
【0028】
したがって、本開示の例示的実施形態によれば、内視鏡生検のコストおよび複雑さをなくして、食道好酸球を直接測定することができるデバイスおよび方法を提供することができる。例示的実施形態は、例えば小さい直径(約3mm)の可撓性経鼻プローブによって実施される反射型共焦点顕微鏡技法を使用することができる。例示的なデバイスは、外来環境で技師が操作して、鎮静なしで使用できるように構成または構造化することができる。挿入されると、食道の全長からの画像を自動的に取得して、コンピュータによって解析して好酸球数を提供することができる。本開示の例示的実施形態は、治療の過程で患者を追跡検査するために使用することができる、費用対効果が高く低侵襲性である組織画像ベースのEoE用バイオマーカーを提供することができる。さらに、この例示的なデバイスは、EoEの病態生理学および自然史に関する謎を解くためにこの疾患を研究するために利用することができる。
【0029】
本開示の例示的実施形態は、例えば、増加した組織好酸球に関連する他の疾患に関する研究および臨床適用例において利用することができる。例えば、喘息のある種の亜型は気道好酸球の存在によって特徴付けられ、本願で開発した技術は、喘息治療に対する応答を個人化して監視するための新規の手段を提供することができる。好酸球性胃炎、胃腸炎、大腸炎、および過好酸性症候群など、他の好酸球性疾患の理解、診断、および治療的監視の改良も、これらの細胞を生体内で視覚化するための本開示の例示的実施形態によって容易に行うことができる。
【0030】
本開示のさらなる例示的実施形態によれば、経鼻的SECMシステム、装置、および方法は、それらの臨床での使用が容易であり、大きな表面積にわたって食道好酸球を検出することができる。この例示的な機能は、現行のガイドラインに従って、EoE患者の管理を大幅に改良することができる。しかし、この疾患単位は比較的新しいので、今日のガイドラインは、主に、症例報告や個々の臨床実験などクラス3の証拠に基づいている。本開示による例示的なSECMシステム、装置、および方法が最小侵襲性で食道好酸球を長期にわたって監視することができることにより、それらを使用して、症状および長期合併症を引き起こす好酸球の役割を知ることができる。
【0031】
したがって、本開示による装置および方法の例示的実施形態を提供することができる。例えば、少なくとも1つの第1の構成を使用して、体内の組織の少なくとも一部分に少なくとも1つの第1の電磁放射を向けることができる。少なくとも1つの第2の構成を使用して、第1の電磁放射に基づく、該部分から提供される少なくとも1つの第2の電磁放射を受け取ることができる。さらに、少なくとも1つの第3の構成を使用して、第2の電磁放射に基づいて、該部分内で、好酸球、マスト細胞、好塩基球、単核球、および/または好中球である少なくとも1つの特定の細胞を他の細胞から区別することができる。
【0032】
本開示の1つの例示的実施形態によれば、第2の電磁放射を該部分で反射することができる。第3の構成は、特定の細胞を撮像するように構成することができる。第3の構成は、1mm2よりも大きい組織の領域にわたって特定の細胞を撮像するように構成することができる。また、第3の構成は、特定の細胞を3次元で撮像する、および/または特定の細胞の断面を撮像するように構成することもできる。組織は管腔器官でよく、管腔器官は食道および/または肺気道でよい。
【0033】
本開示の別の例示的実施形態によれば、第1の構成および/または第2の構成をカテーテル内に提供することができる。カテーテルは、組織に経口または経鼻で達するように挿入されるように構造化および/またはサイズ設定することができ、および/または5mm未満の断面直径を有することができる。カテーテルはバルーン構成を含むことができ、バルーン構成は、該部分に自動合焦するように構成された自動合焦構成を含むことができる。カテーテルは、経鼻胃管内に進めることができ、および/または巻線ケーブルを含むことができる。追加または代替として、カテーテルは、体内の組織の圧力を測定するように構成されたさらなる構成を含むことができる。カテーテルは、体内に挿入される実質的に可撓性の部分を有することができる。
【0034】
本開示のさらに別の例示的実施形態では、特定の細胞が複数の特定の細胞を含むことができ、構成はさらに、複数の特定の細胞を決定するように、および/または特定の細胞の数を自動的に計数するように構成することができる。さらに、第2の構成は、共焦点光および/またはスペクトル符号化共焦点光を受け取るように構成することができる。さらに、第2の構成は、蛍光性電磁放射を受け取って検出するように構成することができる。
【0035】
本開示のさらなる例示的実施形態によれば、第1の構成および/または第2の構成は、それぞれ第1の電磁放射および/または第2の電磁放射をスペクトル拡散するように構成されたさらなる構成を含むことができる。第1の構成および/または第2の構成は、複数の導波領域を有する少なくとも1つの光ファイバ構成を含むことができる。光ファイバ構成は、二重クラッドファイバコアを含むことができる。さらに、第1の構成は、広帯域の光および/または周波数が時間と共に変化する光を伝送するように構成することができる。さらに、第3の構成は、基底層過形成、膿瘍、好酸球脱顆粒、および/または基底膜線維化を他の細胞から区別するようにさらに構成することができる。区別する対象となる特定の細胞は、好酸球でよく、または好酸球を含むことができる。さらに、第3の構成は、(i)細胞質からの信号の強度、および/または(ii)特定の細胞の核の形状に基づいて、特定の細胞を区別することができる。
【0036】
本開示の例示的実施形態のこれらならびに他の目的、特徴、および利点は、添付の特許請求の範囲に関連付けて以下の本開示の例示的実施形態の詳細な説明を読めば明らかになろう。
【0037】
本開示の例示的実施形態のさらなる目的、特徴、および利点は、本開示の例示的実施形態を図示する添付図面に関連付けられた以下の詳細な説明から明らかになり得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】食道好酸球に対応する多数の白い点を示す、EoEを患う患者からの生検試料の例示的なSECM画像である。
【図2】本開示によるSECMシステムおよびプローブの例示的実施形態の概略図である。
【図3】胃食道接合部、扁平上皮、および胃噴門を示す、ヒトの食道生検試料の例示的なSECM画像である。
【図4】扁平上皮、ケラチノサイト細胞壁、および基底膜乳頭を示す、ヒトの食道生検試料の例示的なSECM画像である。
【図5】EoEの病歴がある31才の男性から得られた食道生検の例示的なSECMおよび組織学的画像である。
【図6】EoEの病歴がある患者からの食道生検の例示的なSECMおよび組織学的画像である。
【図7】A〜Fは、嚥下障害を患う29才の男性からの例示的な画像である。
【図8】Aは、食道光学撮像カテーテルの概略図である。Bは、食道撮像用のカテーテルの例示的な写真である。Cは、例示的な食道バルーンカテーテルの概略図である。Dは、食道撮像用のバルーンカテーテルの例示的な写真である。
【図9】A〜Cは、生体内で得られる、バレット食道を患う患者からの例示的な画像である。
【図10】AおよびBは、生体内で得られる、バレット食道および生検で実証された形成異常を患う患者からの例示的な画像である。
【図11】Aは、50/50ビームスプリッタを含む本開示による例示的なSECMベンチトッププローブの概略図である。Bは、撮像アームの例示的な写真である。Cは、例示的なモータ取付けハウジングの例示的な写真である。
【図12】A〜Eは、倍率を高くして表示した、レンズペーパーファントムからの例示的な包括的SECM画像である。
【図13】二峰性ヒストグラム分割およびサイズしきい値設定に基づく自動化SECM好酸球計数の例示的な画像/データである。
【図14】Aは、好酸球を少数(A)有する患者からの生検から取得される例示的なSECM断面画像である。Bは、好酸球を中程度(B)有する患者からの生検から取得される例示的なSECM断面画像である。Cは、好酸球を多数(C)有する患者からの生検から取得される例示的なSECM断面画像である。Dは、2つの測定値の高い相関性を実証する、SECM好酸球数と組織学的好酸球数の関係を示す例示的な散乱プロットである。
【図15】本開示による経鼻SECMデバイスの例示的実施形態の概略図である。
【図16】本開示による圧力測定に関する光ファイバファブリ−ペローセンサの例示的実施形態の概略図である。
【図17】本開示によるSECMプローブの例示的実施形態の概略図である。
【図18】本開示によるSECMシステムコンソールの例示的実施形態の概略図である。
【図19】本開示によるシングルモード/マルチモードスプリッタおよび二重クラッドファイバを有する回転接合部の例示的実施形態の概略図である。
【図20】本開示による例示的なSECM感度ノイズ分析のグラフである。
【図21】AおよびBは、例示的なプローブ光学系のZEMAXモデル化の例示的な画像およびグラフである。
【図22】AおよびBは、本開示による例示的なプローブアセンブリの3次元モデル化の例示的な図である。
【図23】AおよびBは、本開示の例示的実施形態による経鼻バルーンセンタリングSECMプローブの概略図である。
【図24】本開示による例示的なバルーンセンタリングSECMプローブの概略図である。
【図25】本開示によるフィードバックを伴う組織への例示的なスペクトル符号化照明の概略図である。
【図26】AおよびBは、適応合焦のために使用される例示的なSECM画像および強度プロファイルをそれぞれ示す図である。
【図27】本開示による自動合焦機能を備えるSECMプローブの例示的な写真である。
【図28】A〜Dは、図27の例示的なプローブを用いて取得されるレンズペーパーファントムの例示的な画像である。Aは、適応合焦を用いずに取得された画像の例示的な円筒形表現である。Bは、SECM信号ドロップアウトの領域を示す図28Aでの赤色の点線領域の例示的拡大図である。Cは、適応合焦を用いて取得された画像の例示的な円筒形表現である。Dは、図28Cでの赤色の点線領域の例示的な拡大図であり、ファントムの完全な撮像を示す。
【図29】A〜Cは、20μmの厚さの基底細胞層を示す正常な食道の例示的な図である。Aは、好酸球の証拠がない正常な扁平上皮粘膜を示す例示的な組織病理学的区域(例えばH&E染色;元の倍率は20倍)を示す。Bは、低倍率で横方向断面での乳頭を示す正常な扁平上皮粘膜の対応するSECM画像である。Cは、乳頭を取り囲むより高い反射率の領域を示すSECM画像の例示的な高倍率の図である。
【図30】A〜Dは、EoEを患う11才の男性患者から取得された例示的な図である。Aは、輪のかすかな証拠およびわずかに減少した血管パターンを示す例示的なビデオ内視鏡画像である。Bは、扁平上皮内部の多数の好酸球(例えば約25を超えるeox/HPF)を示す病理学的画像(例えばH&E染色)である。Cは、高い散乱性の細胞のびまん性浸潤影を示す低倍率での例示的なSECM画像である。Dは、これらの細胞が2葉の核を有する好酸球であることを示す(挿入図)、Cでの黄色い点線の領域の例示的なより高い倍率の図である。
【図31】A〜Fは、1対1の細胞レベル合致を示す、EoEを患う6才の男性患者から取得されたSECMおよび組織病理学的画像の例示的な図である。Aは、乳頭構造および上皮好酸球を示す例示的なデジタル組織学的画像(H&E染色;元の倍率は20倍)である。Bは、無傷の好酸球および好酸球細胞質断片を示す図31Aの例示的な拡大図である。CおよびDは、それぞれAおよびBでの組織学的画像の例示的な色変換(R/G)であり、好酸球をより明瞭に見ることができるようにしたものである。EおよびFは、例示的な対応する登録されたSECM画像であり、乳頭と、組織学的画像で見られる好酸球に直接合致する高い反射性の細胞とを示し、スケールバー=約100μmを有する。
【図32】A〜Fは、EoEの顕微鏡的特徴を示す組織学的画像およびSECMの例示的な図である。Aは、食道上皮内の好酸球の凝集体を示す好酸球性膿瘍の例示的な組織学的画像である。Bは、多数の密集した好酸球を示す例示的な対応するSECM画像である。Cは、サテライト好酸球と細胞外好酸球粒子を示す好酸球脱顆粒の組織学的画像である。Dは、例示的な対応するSECM画像であり、不規則形状および曖昧な細胞境界を有する細胞を示し、組織学的画像で見られる粒子に合致する細胞外の高い散乱性の粒子の密度を有する。Eは、肥厚化した基底層と細長い乳頭を示す基底細胞過形成の例示的な組織学的画像である。Fは、例示的な対応するSECM画像であり、多数の好酸球と、基底膜の乳頭を取り囲む肥厚化した高い反射性の層(例えば約70μm)(図29Cの正常な食道で見られる乳頭を取り囲む層と比較することができる)とを示し、スケールバー=100μmである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
特に記載がない限り、図面全体を通じて、図示される実施形態の同様の特徴、要素、構成要素、または部分を示すために同じ参照番号および参照符号を使用する。さらに、以下、図面を参照しながら本開示を詳細に説明するが、説明は例示的実施形態に関連付けて行う。本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく、説明する実施形態に変更および修正を施すことができる。
【0040】
(予備情報)
本明細書では、食道生検研究からの結果、OFDI臨床食道撮像デバイスの説明、および経鼻的SECMプローブの実装に必要とされる重要な構成要素を組み込むベンチトップSECMプローブプロトタイプを含めて、好酸球計数用の経鼻SECMデバイスの実現可能性を説明する。
【0041】
(スペクトル符号化共焦点顕微鏡法)
図2に、単一光ファイバ共焦点顕微鏡構成を撮像に利用するSECMシステム/装置の例示的実施形態を示す。特に、図2に示す例示的なシステム/装置は、広帯域幅または波長掃引光源200を含み、この光源200からの光がカプラまたはサーキュレータ210に入力されて、光スペクトルの空間情報の1次元を符号化する。例示的なシステム/装置のプローブの遠位端で、シングルモードまたは二重クラッドファイバ230のコアからの出力が透過回折格子240を照明する。対物レンズ250が、標本270、組織、または別の解剖学的構造、またはそれらのうちの複数の内部における異なる空間位置260に対して1つまたは複数の電磁放射(例えば光)の各回折波長を合焦することができる。組織で反射した後、電磁放射は、レンズ250を通って戻って進み、格子240によって再結合され、ファイバ230によって収集される。ファイバの開口が空間フィルタリング構成/構造を提供して、焦点がずれている電磁放射を拒否またはフィルタ除去する。
【0042】
プローブの外部で(例えば、例示的なシステム/装置のコンソール内部で)、当業者に知られている検出器もしくは分光計もしくは他のスペクトル検出構成/システム220を使用して、戻ってきた電磁放射のスペクトルを測定することができ、および/または試料内部での横方向変位の関数として共焦点反射率に変換することができる。画像内のラインのスペクトル復号化は、例えば最大約400kHzの速度で非常に迅速に行うことができ、この速度は、ビデオレート共焦点顕微鏡システムの速度の約25倍となることができ、またいくつかの内視鏡RCMシステムの約250倍を超えることができる。画像の他の横軸は、多様な内視鏡プローブに使用することができるヘリカルスキャンなど、比較的ゆっくりとした単純な機械的作動によって得ることができる。他のRCM技法と同様に、例示的なSECMシステム、装置、および方法によって得られる画像は、図1に示されるように細胞レベル下の微細構造の視覚化を容易にすることができ、これは好酸球の識別を容易にする。本開示による例示的なSECMシステム、装置、および方法は、GIスクリーニングに利用することができるように提供することができ、15点の異なる深さ位置で、遠位食道(例えば長さ約5cm、直径約2.5cm)の領域と同等の領域を数分で走査する例示的なベンチトップSECMプローブを実証している。本開示の例示的実施形態によれば、そのような例示的なシステム、装置、および方法は、独立した非鎮静好酸球計数を行うため、およびEoEと関連付けられる他の組織学的特徴の診断を行うために、経鼻プローブ内に組み込むことができ、または経鼻プローブと共に使用することができる。
【0043】
(好酸球を識別するためのSECMの例示的な機能)
本開示によるSECM技法および/または構造を利用するシステムおよび方法の例示的実施形態を使用して、形成異常および初期段階の腺癌を含めたバレット食道を診断することができる。診断に関するSECMの精度を決定するために、組織病理学のための切除した上部GI生検試料をSECM撮像することが可能であり、これもまた好酸球の視覚化を容易にする。
【0044】
例示的な組織病理学的相関処置に使用することができる例示的な経鼻デバイスを利用するための光学的仕様を備えることができる、本開示によるSECMシステムの例示的実施形態を提供することができる。例示的なSECMシステムは、例示的な波長掃引光源(中心波長=1320nm;帯域幅=70nm;繰り返し率=5kHz)と、実効NA0.5の対物レンズとを利用することができる。レーザスペックルノイズを減少させるために、例示的なシングルモード照明およびマルチモード検出撮像構成を使用することができる。例示的なSECMシステムの横方向および軸方向分解能は、それぞれ例えば2.3μmおよび9.7μmとすることができる。図3は、この生検分析からそのような例示的なSECMシステムを使用して生成された例示的な画像を示し、この画像は、食道310および胃噴門320の扁平上皮を含めた正常な胃食道接合部300の構造形態を示す。図4は、好酸球の組織学的証拠がない正常な食道扁平上皮粘膜の例示的なSECM画像を示す。図4には、細胞膜400および基底膜410の乳頭が示されている。
【0045】
EoEの病歴がある31才の男性からこの例示的な分析で撮像された例示的な生検(図5Aおよび図5B)の1つにおいて、病理学的診断が、点在する食道好酸球の存在を示した。この症例に関するデータのさらなる検査から示されるように、正常な扁平上皮(図4)とは異なり、図5Aの例示的なSECM画像は、上皮の内部および基底膜の乳頭の血管の内部に斑点状の高反射率の点500を示している。また、これらの例示的な領域500の拡大画像は、これらの特徴が、明確に画定された核510と細胞質を有する個々の細胞であることを示す(図5Aの30倍の挿入図参照)。
【0046】
図5Aに示される核は、好酸球510の特徴的な2葉の外観を有する。これらの細胞の細胞質からの反射率は、周囲の上皮細胞の反射率よりもかなり高いことがある。図5Bに示されるこの生検からの代表的な組織学的特徴は、好酸球520が、例示的なSECM画像に示されるのと同じ、または非常によく似た空間分布で存在することを示す。さらに、これらの好酸球の例示的な核形態530(図5Bの挿入図。黒い矢印)は、SECM画像で識別される例示的な核形態(図5Aの30倍の挿入図。白い矢印)と合致することがあり、2葉の外観を示す。
【0047】
例示的なSECMシステム、装置、および方法によって好酸球を見ることができることを確認した後、EoEの疑いがある小児患者からの生検を撮像するためにプロトコルを修正することができる。EoEの病歴がある小児患者から、例示的な小児生検を得ることができる。図6Aおよび図6Bに示されるように、管腔表面下約140μmで獲得された例示的なSECM画像において、高反射率の点620の大きな集塊600を見ることができる。これらの細胞は、隣接する領域610にある上皮細胞核630(図6D)よりも少なくとも約10倍大きい散乱強度を有する。多くの細胞で反射された光は、検出器を飽和することができる。したがって、この生検に関する例示的な診断は、約10のeos/HPF640(図6C)を有する点在する好酸球の病巣(focus)となることがあり、これはEoEの組織病理学的しきい値未満である。
【0048】
図7Aは、別の患者の食道の例示的なビデオ内視鏡画像を示し、この画像は、EoEの従来の内視鏡的所見である食道気管化(複数の同心円)を示す。例示的なSECMシステム、装置、および方法は、約15を超えるeos/HPF(図7B〜図7F)の証拠を示した扁平上皮内部の対象の複数の高倍率視野領域(例えば約250μm×250μm)の識別を容易にすることができる。この試料の例示的な組織病理学的分析は、EoEの診断を裏付けることができる。
【0049】
(食道の例示的な包括的顕微鏡撮像)
食道の大きな領域を撮像するための例示的な光コヒーレントトモグラフィまたは例示的な光学周波数領域撮像プローブを提供することができる。図8A〜図8Dは、大きな食道粘膜領域を撮像するために利用することができる、本開示によるいくつかの例示的な設計および構成を示す。例示的なカテーテルの例示的な一形態は、光ファイバおよび遠位光学系を組み込むことができる内部ケーブル(図8Aおよび図8B)を含むことができる。このケーブルは、外側透明シース内部で回転および並進(移動)することができ、食道のヘリカルスキャンを行う。図8Aに示されるように、吹送されていない食道の管腔への挿入時、食道がプローブの周りにしぼむことがあり、したがって、例えば対象の食道表面積全体の約10%を撮像できるようになる(図9C)。本開示によるシステム、装置、および方法の別の例示的実施形態では、センタリングバルーンを透明シース内部または透明シース上に提供することができる(図8Cおよび図8D)。バルーンは、食道の拡張を促すことができ、全周を撮像することができるように光学系を中心合わせすることができる(図8Cおよび図10B)。また、本明細書で上述したカテーテル構成の例示的実施形態を、経鼻で実装することができるように、および大きい食道領域の細胞レベル解像度の画像を得るためのSECM撮像を行うために構成することができるように変形することもできる。
【0050】
(例示的な設計、システム、装置、および方法)
(例示的な構成要素を備える例示的なSECMプローブ)
本開示によるプローブの例示的実施形態は、遠位食道の包括的SECM撮像を容易にするために提供することができる。そのような例示的なプローブ(例えば図11Aおよび図11B)では、ファイバ結合型の2.0mWスーパルミネセントダイオードを提供することができ、これは、800nmに中心を合わされ、45nmの帯域幅を有し、50/50シングルモード光ファイバビームスプリッタを照明する。スプリッタの1つのポートを通して伝送された光を、合焦装置を通して格子−レンズ対(例えば、レンズ−350230−B非球状、f=4.5mm、開口径=5.0mm、NA=0.55)にコリメートして伝送することができ、それにより、円筒形の試料の内面に、合焦されたスペクトル符号化されたスポットの500μm長手方向直線アレイを生成する。例示的な格子−レンズ対を、カスタム加工されたハウジングによってモータ(例えば1516SR、直径15mm)のシャフトに取り付けることができる。モータが回転したとき、試料の内周にわたって、スペクトル符号化されたラインを走査した。同時に、モータ、ハウジング、およびレンズ−格子対を、ステージによって円筒体の長手方向軸(z)に沿って並進(移動)させて、試料の内面全体のヘリカルスキャンを生み出すことができる。試料で反射された光を、光学システムを通してシングルモードファイバに戻し、ファイバによって、カスタム構成された分光計および直線型CCD(2048ピクセル、30kHzラインレート)に送った。1.0μm円周方向サンプリングを実現するために、例えば、モータ1回転につき約60,000点(0.5Hzまたは30rpm)をデジタル化することができる。モータの長手方向速度は、約0.25mm/sとすることができる。約2.0cm(直径)×2.5cm(長さ)の領域の1回の完全なスキャンにかかる時間は100秒とすることができる。
【0051】
格子−レンズ対の上でのコリメートされたビームの例示的な1/e2直径は、4.0mmとすることができる。したがって、例示的なシステム/装置の実効NAは約0.4とすることができ、それにより、約1.2μmの例示的な可能なスポット直径および約2.5μmの共焦点パラメータを生み出す。焦点を通して走査されたミラーからの、横方向線広がり関数半値全幅(FWHM)および軸方向FWHMは、それぞれ約2.1μmおよび約5.5μmと測定されることがある。視野は約500μmでよい。これらの例示的な測定値は、理論値よりもわずかに低いことがあり、これはおそらく光路の収差による。
【0052】
図12A〜図12Eは、例えば長さ2.5cmのファントムの完全な引き戻し画像に関する例示的なSECM画像を示す。例示的なファントムは、内径約2.1cmのテフロン(登録商標)管の内面に取り付けたレンズペーパーから形成することができる。表示前に、円筒形座標を直交座標系に変換することができる。低倍率(図12A)では、皺および空隙を含むペーパーの巨視構造を視覚化することができる。このデータセットの領域をより高い倍率で示したとき、1本1本の繊維および繊維の微細構造が明瞭に解像された(図12B〜図12E)。
【0053】
(例示的な画像解釈手順、技法、および方法)
好酸球の定性的識別および好酸球の自動的な定量化のための例示的な実施形態は、信号強度(図5A〜図7F)および従来の組織学的特徴(例えば細胞のサイズ、細胞質の性質、および核形態)に基づく識別を含むことができる。定量的な形態学的基準は、散乱強度、細胞サイズ、ならびに自動化された組織病理学および細胞病理学検査のために開発された核測定基準(nuclear metrics)に基づくことがある。図13に示されるように、これらのパラメータに基づいて例示的な分割を行うことができ、従来のブロブ計数法(blob counting methods)を使用して細胞を計数することができる。計数法のロバスト性を最適化するために、複数の深さ平面を使用することができる。SECM画像内で他の炎症性細胞(例えばマスト細胞、リンパ球、好中球)を識別する場合には、これらの細胞タイプを識別するために、やはり信号強度および核形態に基づく基準を使用することができる。炎症性細胞に加えて、基底細胞過形成、微小膿瘍、脱顆粒、基底膜線維化を含めたEoEの他の組織病理学的特徴の特性も評価および定量化することができる。これらの特徴は、EoE診断のためのスコアリングシステムを形成するために収集することができる。例えば図13に示されるように、本開示の1つの例示的な実施形態によれば、組織を処理するために例示的なコンピュータを使用することができる。その後、パラフィンブロック作製を開始することができる。さらに、画像の区分化を行うことができる。これは、生成された画像を区分化することによって行うことができ、3次元形式で提供することができる。カバーガラスを染色することができ、染色されたスライドを保存することができる。
【0054】
(横方向画像平面と断面画像平面)
一般に、病理学者は、断面向きで生検を観察することができる。図14A〜図14Cに示されるように、生検の横軸に沿ってSECMおよび組織学画像および/またはデータを取得することができ、この横方向断面は、断面平面に対して垂直でよい。試料内への深さに応じて複数の横方向断面を得ることができるので、断面SECMおよび組織学画像を再構成することができる。本開示の1つの例示的な実施形態では、この例示的な断面領域は、組織学的な高倍率領域(例えばHPF、40倍)と同じ横方向寸法とすることができる。本開示の例示的実施形態の例示的実装では、生検から得られたSECM好酸球数を組織病理学的な好酸球数と比較して、2つの方法の間の高い相関性(図14D参照)、および約15を超えるeos/HPFの好酸球数カットオフ値に基づくEoEの診断の高い精度を見出すことができる。
【0055】
(例示的な経鼻的SECMデバイスおよび装置)
本開示の例示的実施形態による経鼻デバイスの概略図が図15に示されている。例示的なデバイスは、SECM撮像プローブ1530を含むことができ、このプローブ1530は、透明な感圧経鼻胃(PS−NG)管1510の主管腔1500の内部に提供することができる。例示的なSECMプローブ1530は、内部トルク伝達ケーブル1520の内部にある光ファイバと、遠位撮像光学系1520とを含むことができる。PS−NG管1510は、標準的な10F(3.3mmOD)NG管と寸法的および機械的に同一または同様でよい。この例示的な外径を使用することができるのは、成人および小児集団において不快感なく使用するのに十分に小さいからである。例示的なプローブの複雑さを最小限にするために、1つの例示的な実施形態によれば、例示的なデバイスは、センタリングバルーンを除くことができ、吹送されていない食道1550内でヘリカルスキャン1540を行うことができる(図8A、図9C)。PS−NG管1510の例示的な直径に基づき、この例示的な構成は、対象の食道表面積全体の約10%の撮像を容易にする(例えば図9C)。
【0056】
例示的なPS−NG管1510および例示的なSECMプローブ1520は、本明細書で説明する標準的なNG管配置技法を使用して胃1560に進めることができる。デバイスが胃1560の中にあることを確認した後、例示的なデバイスを引き戻すことができ、それと同時に、単一センサ食道圧測定と同一または同様の様式で、圧力センサ1570によって連続的な圧力測定値を記録する。標的位置は、下部食道括約筋(LES)1580でよい。LES1580が識別されると、例示的なSECMプローブ1520を、LES1580の近位で約5cmの位置(1590)に位置決めすることができ、SECM撮像を開始する。例示的な撮像処置の後、デバイス全体を患者から取り外すことができる。この例示的なデバイスは、PS−NG管を滅菌して再使用することができるので、費用対効果が高いことがある。PS−NG管1510が閉じられた場合、SECMプローブが患者に接触することはおそらくなく、したがって使用ごとの滅菌をする必要なく再使用することができる。
【0057】
(例示的な圧力測定)
油圧センサ、ソリッドステートセンサ、圧電センサ、および光センサを含めた、PS−NG管の壁に組み込むことができる様々なタイプの圧力センサがあり得る。光圧力センサを使用することが好ましいことがある。なぜなら、光圧力センサは、非常に小型にすることができ、正確であり、ロバストであり、PS−NG管を通した流体および電流の伝達を必要としないからである。1つの例示的な光圧力センサは、図16に示されるように光ファイバ1600の先端に配置されたファブリ−ペロー隔膜フィルタである。隔膜1625からの第1の反射1610と第2の反射1620の干渉を、白色光または低コヒーレンス干渉法を使用して検出することができる。スペクトル分解された干渉縞の周波数は、キャビティの幅Ls1630の決定を容易にすることができ、次いでこれを使用して圧力1640を決定することができる。
【0058】
この例示的な圧力装置は、図16Bに示されるように、直径250μmのファブリ−ペロー隔膜を先端に備える直径125μmのシングルモードまたはマルチモード光ファイバを備えることができる。例示的なセンサは、この例示的な用途に好ましいことがある圧力範囲(例えば0〜50mmHg)を測定することができる。250μmバッファおよび/または325μmポリイミドコーティングが、ファイバを保護することができる。隔膜1570は、シリコーンによって保護することができる。図15に示されるように、カスタム押出成形された二重内腔PS−NG管1510の小さい方の内腔にファイバを組み込むことができる。PS−NG管1510は、ポリエチレン、PVC、またはシリコーンから形成することができ、市販のNG管と同じ物理的および機械的特性を有する。PS−NG管は、SECM撮像に使用することができるスペクトル領域に関して光学的に透明とすることができる。近位端で、長いパッチコードを、SECMファイバと並行させて圧力センサファイバから延ばすことができ、カスタム設計されたバルクヘッドコネクタを介して例示的なシステムコンソールに接続することができる。例示的なシステムコンソールは感圧モジュールを含むことができ、感圧モジュールは、光源と、干渉計と、検出器とを含む。例示的なモジュールは、0.5mmHgの圧力測定分解能を有することができ、これは、LESから胃への約10mmHgの勾配に鑑みれば十分となり得る。
【0059】
(SECMプローブ設計の例示的な説明)
本開示によるSECMプローブの例示的実施形態の詳細な概略図が図17に示される。例えば、内部巻線ケーブル1700が、撮像光を送受信する二重クラッドファイバ(DCF)1705を取り囲むことができる。スペックルノイズを減少させるために、DCF1705のコアを介して試料を照明し、試料からDCF1705の内側クラッドを介して伝送されて戻る光を受信することによって撮像を達成することができる。内部巻線ケーブル1700は機械的なハウジング1710に取り付けることができ、ハウジング1710は遠位光学系を含むことができる。機械的なハウジング1710は、PS−NG管1720の内腔から光学系を隔離することができる薄い透明シース1715によって取り囲むことができる。近位端での巻線ケーブル1700の回転および並進(移動)により、約10cmの長さにわたってヘリカル撮像を容易に行うことができる。例示的なSECMプローブの近位端では、巻線ケーブル1700は、先行技術文献で説明されている回転接合部を使用してコンソールとインターフェースすることができる。
【0060】
ハウジング1715の内部で、DCF1705からの照明光を単レンズ1725によってコリメートすることができる。図17に示されるように、補償プレート1730を使用して、PS−NG管1720によって誘発される非点収差を事前に補償することができる。コリメートされて事前に補償された光は、回折格子1735(例えば、1240lpmm)によって回折させることができ、例えばNAが0.46の対物レンズ1740によって、PS−NG管1720を通して食道1745上に合焦させることができる。
【0061】
対物レンズ1740は、各波長が食道壁内部の異なる横方向および軸方向(例えば深さ)位置を照明することができるように、ある角度を付けて組み立てることができる。この例示的な構成は、撮像ライン1750に示されるように、1回のヘリカルスキャン中に、多くの深さ位置での画像の同時獲得を容易にすることができる。対物レンズ1740と内部シース1745の間に、PS−NG管1720と同様の屈折率を有するプラスチックエポキシを含むことができるソリッドイマージョン層1755を配置することができる。ソリッドイマージョン層1755は、PS−NG管1720によって引き起こされる非点収差をさらに減少させることができる。SECMプローブの光学窓とPS−NG管1720との間に潤滑剤1760を使用して、回転および並進(移動)中の摩擦を減少させることができる。
【0062】
(例示的なSECMシステムコンソール)
図18は、本開示によるSECMシステムコンソールの例示的実施形態の例示的なブロック図を示す。例えば、そのような例示的なシステムコンソールは、SECM撮像に必要な光源と検出器を含むことができる。1つの例示的実施形態では、高速波長掃引レーザ1800(中心波長=1300nm;帯域幅=160nm;繰り返し率=254kHzなどの仕様を有する)を撮像に利用することができる。レーザ1800からの照明光を回転接合部1810に送ることができ、回転接合部1810は、この光をSECM DCF1820のコアに結合させることができる。組織から伝送されて戻る光は、DCF1820の内側クラッドから回転接合部1810に向けて送ることができる。回転接合部1810からの光は、マルチモードファイバを通して、高速InGaAs光検出器1830に送ることができる。収集された光検出器1830からのデータをデジタル化し、高いサンプリングレートでコンピュータに転送し、データ記録システム1840(例えばSignatec DR350(Newport Beach,CA))にリアルタイムで保存することができる。圧力測定に関しては、感知モジュール1850が照明光を圧力センサに提供して、圧力センサからの戻りの光を、PS−NG管1870の壁に位置する個々の感圧光ファイバ1860を介して検出することができる(図15、図18)。別の例示的実施形態によれば、例示的なシステムは、広帯域光源と、スペクトル符号化された光を検出するための分光計とを備えることができる。
【0063】
コンソールとプローブの間で光を結合させ、また透明シース内部でSECMプローブを回転させるために、例示的な回転接合部(図19)を提供することができる。例示的なSECM光学回転接合部は、光源1910からDCFのコア1951内に撮像光を伝送することができる。DCFの内側クラッド1952は、試料から戻ってきた撮像光を検出器1970に送ることができる。マルチモード光からのシングルモード光の分離を達成するために、例示的な回転接合部は、2つ以上の集束レンズ1920、1940と、シングルモード/マルチモードスプリッタ1930とを含むことができ、スプリッタ1930は、例えば、中心透明アパーチャを有するミラーとリレーレンズとから構成される(図19)。例示的な回転接合部は、巻線ケーブル1953を回転させることができる。
【0064】
(例示的なSECMレーザ)
現在のレーザ技術によって、より広い帯域幅にわたってより高速の波長調整を容易に行うことができる。例示的なスクリーニング処置の合計時間を短縮することができる。従来のSECMシステムと比較して、本開示によるシステムの例示的実施形態は、例えば50倍を超える速さで撮像するように構成することができる(例えば254kHz対5kHzAのラインレート)。撮像速度を上げるために、新規のデジタルデータ獲得ハードウェアを組み込む高速動作のための例示的なレーザ構成を提供することができる。伝送ライン幅を狭めずに動作の自由スペクトル領域を大きくするために、例示的な波長掃引レーザの走査スペクトルフィルタの例示的な特性が検討されている。このようにフィルタを動作させると、レーザ掃引速度を倍増させることができ、放出のデューティサイクルを半分に短縮することができる。すなわち、レーザからの出力は、1回の高速の波長スキャンと、それに続く、放出のない同じ時間間隔とでよい。デューティサイクルを完了させ、繰り返し率の倍増を実現するために、直接のレーザ出力を、放出時間と等しい相対遅延を有する2つの経路に分割することができる。次いで、2つの経路からの光を、Huber他によって提案されているバッファリング法と同様にして再結合させることができる。この多重化操作での損失を補償するために、バッファ半導体光増幅器を組み込んで、平均出力パワーを例えば約80mWまで回復することができる。
【0065】
(例示的な仕様および性能)
表1は、例示的なSECMプローブおよびシステムのための例示的な仕様および目標(objective performance target;OPT)を示す。本開示のいくつかの例示的実施形態の目的に見合うOPTは、食道の内視鏡撮像に使用することができる共焦点顕微鏡の構成に基づくことができる。経鼻プローブの外径は約3.3mm(10F)、剛性部の長さは約10mmとすることができ、これは、小さな子供および成人に対する好都合な経鼻到達を容易にするはずである。約10cmの長手方向引き戻しスキャン長さは、標準的な内視鏡生検処置で利用される近位生検と遠位生検の間の典型的な距離に合致する。この例示的な設計における例えば0.46の対物レンズNAおよび例えば16のDCF内側クラッドモード数に関して、約1.4μmの横方向分解能および約13.5μmの軸方向分解能を実現することができ、これらの値は、本発明者らの予備研究において好酸球を視覚化することができることが実証されたベンチトップSECMシステムの値と同様であり得る(図5〜図7参照)。レーザ源の調整帯域幅および格子−レンズ構成に鑑みて、波長スキャン当たり10個の光学区域にわたって分散された例えば総計236点の解像可能な点を得ることができる。検出器の帯域幅は、全体の獲得速度に上限を課す。例えば60MHzの検出器の帯域幅を仮定すると、レーザ調整速度は254kHzとすることができ、ナイキスト周波数で食道を空間サンプリングすることが有益である場合には、データセットは約21Gを備え得る。したがって、254kHz×236×2点=120Ms/s=240MB/sの16ビットA/Dサンプリングレートを仮定すると、10個の1000mm2の光学区域を提供する1回の完全なヘリカルスキャンを行うのに、例えば約2.9分かかり得る。必要であれば、この総計の画像獲得時間は、例示的な設計の何らかの例示的な変更によって減少させることができる。
【0066】
(例示的な感度)
本明細書では最小の検出可能な反射率(SNR>1)として定義する感度は、画像品質および侵入深さに影響を及ぼす重要なシステムパラメータである。例えば、最大300μmの深さにある皮膚で入射光の10-4〜10-7が反射されることが示されている。皮膚は、食道の非角化上皮粘膜よりも光を大きく減衰するので、2つのシステム間での波長および対物レンズNAの差を考慮すると、組織内部130μmの位置で、SECMプローブの対物レンズが照明光の約3×10-3〜3×10-6を集光することができると推定される。したがって、例示的な光源が例えば80mWを放出することができ、例示的な最大10dBの2回通過挿入損失(例えばプローブから6dB、光ファイバおよび回転接合部から4dB)を仮定すると、反射される出力は、検出器上で約25μW(最大)〜25nW(最小)の範囲になると推定される。検出器でのノイズは、ショットノイズ、相対強度ノイズ(RIN)、および熱的/電気的ノイズからなることがある。検出される試料出力がより高いとき、本発明による掃引光源の狭いライン幅(約0.6nm)により、RINノイズがショットノイズよりも優勢である。図20は、本開示によるSECMシステム/装置の例示的実施形態に関するノイズ分析のプロットを示す。図20から分かるように、本発明による最大撮像深さで検出することを予想することができる、伝送されて戻る出力の全範囲にわたって、SNR>1である。より高い感度が必要であると判断された場合、検出器を冷却して、熱的なノイズを減少させ、最大約10dBの感度改良を実現することができる。
【0067】
(例示的な構成要素および試験手順)
(PS−NG管)
例えば、外側に1cmごとに印を付けられた二重内腔10F(OD=3.3mm)経鼻管をカスタム押出成形することができる。可撓性と操作性の適切な組合せを決定するために、様々な壁厚、およびポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、タイゴン、およびシリコーンを含めた様々な材料を提供することができる。挿入されたSECMプローブと共に、PS−NG管を、可撓性および追従性に関して試験することができ、市販のNG管と比較し、経鼻または経口挿入に適切な機械的特性を有することを保証することができる。さらに、本発明者によるSECMプローブをPS−NG内部で引き戻すことができる能力をさらに試験することもできる。
【0068】
(例示的な圧力センサ)
小さな直径の圧力センサは、被覆された、バッファされた、および裸のファイバを備えることができ、それらを可撓性および耐性に関して試験することができる。追従性および押しやすさ(pushability)を、内腔PS−NG管内に挿入されたセンサによって試験することができる。気密封止ファントム内部の様々な既知の圧力を使用して、管の外部および管の内部にあるセンサを用いて圧力測定値を試験および較正することができる。隔膜を保護する様々な材料を、安定性、滅菌性、および正確性かつ高信頼性を保って外圧を変換することができる能力に関して試験することができる。
【0069】
(例示的なプローブ光学系)
SECMプローブを小型化するために、例示的な光学構成要素を提供することができる。プローブ直径および長さを最小にするために、例えばコリメートレンズ(例えばシングレット;BK7;OD=1.2mm;f=5mm)を作製することができる。PS−NG管を通る食道への非対称光路によって誘発される非点収差を補償するために、補償プレート(例えばLASF35;OD=1.2mm;f=233mm)を製造および使用することができる。SECM撮像に使用することができるスペクトル領域に関する回折限界光学性能を有するように、カスタム対物レンズ(ダブレット;LASF18およびLASF35;OD=1.2mm;f=1.1mm;NA=0.46)を作製することができる。1220nm〜1380nmの間のスペクトルで最大の1次回折効率を有するように格子(溝密度=1240lpmm)を設計および作製することができる。光学モデリングプログラム/ソフトウェアで例示的なプローブ光学系(図21A)を提供することができ、シミュレーション結果は、プローブ光学系が、視野にわたってほぼ回折限界性能を有することができることを実証する(図21B)。小型の光学構成要素は、直径0.5mmで以前に開発されている。焦点距離での伝送および分解能をSECM帯域幅全体に関して試験することができる。横方向分解能は、基準エッジ標準の画像から抽出された線広がり関数(LSF)の半値全幅(FWHM)として測定することができる。軸方向分解能は、電動式の並進(移動)ステージによって走査されるミラーを撮像することによって測定することができる。ロンキールーリングを撮像することによって決定されるスペクトル視野は、横方向分解能がその所望のOPTを保つ視野長さとすることができる(表1参照)。
【0070】
【表1】

【0071】
プローブを検証するために、様々な円筒形ファントムを構成することができる。例示的な分解能ファントムは、分解能標準が内面に取り付けられた中空円筒体からなることがある。円筒形イントラリピド/ゼラチンファントムおよびブタ食道上皮を生体外で撮像することで、侵入深さを試験することができる。最後に、プローブを使用して、新たに切除した豚および死体の食道の区間を撮像することができる。
【0072】
(例示的なプローブアセンブリ)
プローブアセンブリのための例示的な機械的ハウジングおよび透明シースを提供することができる。図22Aおよび図22Bは、本開示によるプローブアセンブリの例示的実施形態およびその分解図をそれぞれ示す。例示的な機械的ハウジングは、作製を容易にするために複数の部品から構成することができる。各部品の例示的な寸法は、約1mm〜7mmで異なることがあり、最小の要素のサイズは125μmでよい。これらの寸法を有する部品の機械加工は、厳密なコンピュータ数値制御(CNC)機械加工システム/装置で行うことができる。例示的な光学構成要素および機械加工部品を、3軸ステージを使用して厳密に位置合わせして、光学グレードのエポキシを使用して一体に組み立てることができる。その1つの例示的実施形態が図27に示されている。
【0073】
(DCF)
例えば軸方向および横方向分解能OPTを満足するのに必要なコア内側クラッドモード比を含むことができる、様々な例示的なDCFを提供することができる。
【0074】
(巻線ケーブル)
例示的な多層巻線駆動シャフトを使用して、例示的なカテーテル設計内部の遠位光学系をヘリカルスキャンすることができる。運動変換精度および再現性のために、カテーテルを通してカスタム巻線ケーブルを提供することができる。例えば、多層構成を有する巻線ケーブルを提供して、SECM画像内の並進(移動)および回転歪みを減少するか、または最小限にすることができる。
【0075】
(潤滑剤)
SECMプローブとPS−NG管との間の潤滑剤として、生理食塩水を使用することができる。また、光学的性能をさらに改良するために、PS−NG管の屈折率により良く合致する比較的高い屈折率を有する様々な潤滑剤を試験することができる。
【0076】
(プローブコンソールインターフェース)
光学回転接合部(図19)を使用して、シングルモード光を伝送し、内側クラッドを通して伝送されるマルチモード光を検出することができる。回転接合部は、機械的なモデリングプログラムで設計して、光学モデリングソフトウェアでシミュレートすることができる。最大のスループットならびに製造の容易さおよび公差に関して、例示的な構成を最適化することができる。1回通過および2回通過スループットおよび回転一様性に関して、選択された例示的な構成を提供することができる。さらに、標準的な電動式引き戻しトレイの内部に適合するように回転接合部を提供することができる。
【0077】
(例示的なコンソール)
撮像レーザの例示的な実施形態は、出力、スペクトル、瞬時ライン幅、および繰り返し率に関して構成することができる。例示的な光学系は、適切なスループットおよび効率を得られるように提供することができる。カートに組み込むために、小さなブレッドボード上で光学レイアウトを組み立てることができる。
【0078】
(ソフトウェア)
回転接合部を制御し、圧力センサからデータを読み取って表示するために、ソフトウェアを提供することができる。例えば、新たなボードを制御し、デジタル化されたデータを処理して画像にするために、Signatec PDA16データ獲得ソフトウェアをプログラムすることができる。ソフトウェアは、圧力センサの読取値のリアルタイム表示のために提供することができ、グラフィカルユーザインターフェースに一体化することができる。多重解像度SECM画像ナビゲーションおよび自動化された好酸球計数を、既存のコードおよびユーザインターフェースに組み込むことができる。
【0079】
(滅菌および再使用)
滅菌して再使用することができるように、本開示による経鼻プローブ構成の例示的な実施形態を使用することができ、これは、例示的なデバイス/装置、したがって例示的な監視処置のコストを下げる。例えば、外面を滑らかに欠陥なしで保つことができ、CIDEXまたはETO滅菌処置後に安定な材料を利用する。
【0080】
(例示的な代替実施形態および手法)
経鼻処置が禁忌である特定の患者では、PS−NG管を経口で配置することができる。安全性の理由から、NG管が気道に入らないことが好ましいことがある。管の位置を検証するための例示的な手法は、吸入流体から酸性pHを求めることを含むことができる。流体吸入のためにPS−NG管の壁に別の内腔を設けることができる。あるいは、遠位端でPS−NG管を開き、SECM内腔を使用して流体吸入を行うことができる。この場合、SECMプローブとPS−NG管の間で追加のシースを使用する、またはSECMプローブを滅菌可能にすることができる。1つの例示的な実施形態によれば、食道の寸法および形状によっては、撮像領域の一部に関して、PS−NG管と食道壁の接触を保つことができないことがある。代替手法は、バルーンセンタリングSECMカテーテルを提供し、撮像のためにカテーテルをPS−NG管に通して導入するというものであり得る(例えば図8Cおよび図8D参照)。例えば、バルーンセンタリング食道カテーテルは、例示的なOFDI臨床研究で実証されている(図8Dおよび図10B参照)。図23Aおよび図23Bは、経鼻バルーンセンタリングSECMカテーテル設計の例示的実施形態の概略図、および本開示によるその動作モードを示す。これらの図面に示されるように、小さな直径(例えば2.5mm)のバルーンセンタリングSECMカテーテル2300を、PS−NG管2310(OD=3.3mm)を通して導入することができる。PS−NG管2310は、LES2320の近位で5cmの位置(2340)に位置決めされるとき(図23A参照)、約10cm(2350)だけ引き戻して、バルーン2330を露出させることができる(図23B)。バルーン2330を膨張させることができ(図23B)、10cmの長さにわたってSECM撮像を行うことができる。撮像後、バルーン2330を収縮させることができ、バルーンカテーテルをPS−NG管2300内に引き戻し、例示的なデバイス全体を患者から取り外すことができる。
【0081】
バルーンセンタリングSECMプローブの光学系は、既存の設計のものと同様でよいが、ただし、ヘリカルスキャン中に食道壁内部に焦点を保つために自動合焦メカニズム(図24)を追加することができる。適応合焦を行うために、バルーンセンタリングSECMプローブは、小型の並進(移動)アクチュエータ2400を有することができ、このアクチュエータ2400が、コリメートレンズ1725(図24)または対物レンズ自体(図27)を移動させる。レンズの変位により、軸方向に沿って焦点面1750を変えることができる。スペクトル符号化されたライン2510の一部を使用してバルーン2500の底面を撮像することができ(図25、図26)、バルーン2500は、バルーン材料の屈折率によって与えられる強い反射2600を有するように構成することができる。バルーン表面からのSECM信号強度が最大である波長2610を求めることによって、合焦メカニズムを制御するためのフィードバック信号を導出することができる(図25、図26)。例示的な小型の圧電トランスデューサアクチュエータ(シャフト直径=1mm;可動部直径=1.6mm)、および例示的なベンチトップSECMプローブ(図27)の適応合焦方式を提供することができる。図28は、適応合焦なしの場合(図28A、B)と適応合焦を行った場合(図28C、D)の、2.0cmファントムの完全な引き戻し画像に関する例示的なSECM画像データを示す。ファントムは、バルーンの外面に取り付けられたレンズペーパーからなるものとした(直径=20mm)。例示的なSECMプローブは、20rpmの回転速度を使用して走査した。総計400回の円周方向スキャンを20分で獲得した。これは主に、制御信号を生成するために使用される方法の速度によって制限された。スペクトル符号化されたライン1本の長さは400μmであったので、50μmの長手方向ステップサイズが、8つの異なる深さレベルを提供した。低倍率(図28A、C)では、皺および空隙を含むペーパーの巨視構造を視覚化することができる。このデータセットの領域がより高い倍率で示されるとき、1本1本の繊維および繊維の微細構造を明瞭に解像することができる(図28B、図28D、および図28Dの挿入図)。自動合焦メカニズム(図28C、D)を利用することによって、プローブが中心合わせされていなかったときでさえ、焦点内にある全データセットおよび情報は、50μm範囲内ですべての光学区域から獲得された。対照的に、合焦メカニズムがオフであったときには、ファントムの小さな部分のみに焦点が合っており、見ることができた(図28A、B)。これらの例示的な結果は、管腔器官のための例示的な包括的SECMの技術的な実現可能性を実証する。
【0082】
(例示的な小型化)
角度研磨された円筒体に、エポキシベースの格子を刻むことができる。
【0083】
(モーションアーチファクト)
一連の円周方向スキャン中に大きな長手方向移動が発生することがある場合、スキャンの位置が整わないことがある。SECMデータセットを再構成する前に、隣接するスキャンに対する相関技法を使用することによって、この発生を補正することができる。
【0084】
(例示的な撮像侵入深さ)
SECMプローブの測定深さは、例えば約130μmとすることができる。EoEの好酸球浸潤は典型的には管腔表面の近くに現れることがあるので、この深さにわたって得られる画像が、正しい診断を行うのに十分な好酸球の分布に関する情報を提供すると考えられる。より大きな撮像侵入深さが好ましいと判断される場合、対物レンズの色収差を増加するために例示的な設計を変更することができ、これは測定深さを増加する。代替手法は、フレネル対物レンズを利用するものでよい。また、撮像侵入深さを増加させるこれらの構成は、撮像することができる異なる深さ位置の数を増加させることもでき、これにより、場合によっては獲得時間が長くなる。
【0085】
(例示的な軸方向分解能)
正確な好酸球計数を行うために断面撮像が使用され、DCFを介するマルチモード検出が、断面再構成画像上で好酸球を視覚化するのに十分に高い軸方向分解能を提供しないことがある場合、より少数のモードを有する別のDCF構成を使用することができる。例えば、モードの数を約16から10へ減少させることで、スペックルコントラストは約6%しか増加せず、その一方で軸方向分解能を27%改良することができる。
【0086】
(獲得の速度の増加)
例示的な構成は、約10個の異なる光学区域で、食道の例えば1000mm2の面積を約2.9分で走査することができ、これは、成人患者が十分に耐えられるものである。この撮像時間が長すぎると判断される場合、光学区域の数を減少させる、データを臨床サンプリングする、または引き戻し長さを減少させることによって撮像時間を短縮することができる。例えば、総撮像時間を減少させるための1つの手法は、例えば近位食道および遠位食道において2つの1cmの長手方向区間を撮像するものでよく、これは、獲得時間を約30秒に短縮することができる変更である。
【0087】
(EoEを診断するために経鼻SECMを行うための例示的な方法)
例示的な非鎮静経鼻SECMは、食道好酸球を計数するための内視鏡生検と同程度の精度にすることができる。これは、EoEに関する評価を受ける例えば300人の患者において、非鎮静経鼻SECMを上部内視鏡生検と比較することによって試験することができる。さらに、例示的なSECM処置の患者許容度に関する情報を得ることができる。
【0088】
(非鎮静経鼻的SECM撮像)
鎮静および上部内視鏡検査の前に、本明細書で説明する例示的な経鼻SECMプローブおよびシステムを使用して、多数またはすべての患者を撮像することができる。本開示による代替実施形態は、本明細書で説明する経口プローブを利用することができる。食道内圧による案内を使用する例示的な挿入法は、本明細書で上述したものと同様または同一でよい。プローブがGEJから約5cmの位置に配置されると、ヘリカルSECM撮像が開始される。例示的なプローブ内部の例示的な光学系構成は、遠位食道から近位食道へ例えば約10cmの長さにわたって、約0.5mm/秒の速度でヘリカルスキャンで引き戻すことができ、これにより例えば約2.9分の引き戻し時間となる。例示的なSECMデータをリアルタイムで処理して、引き戻しが完了した直後に閲覧して、データが診断品質であることを確認することができる。経鼻プローブの例示的な光学系構成を位置決めし直すことができ、必要な場合または望まれる場合には例示的な撮像処置を繰り返すことができる。例示的な撮像処置の後、次いで、例示的な経鼻プローブを患者から取り外すことができる。本明細書で説明する方法に従って、患者、撮像領域、あるいは1つまたは複数の高出力領域に関して好酸球を識別して計数することができる。次いで、定性的なユーザ適用基準、半自動、または自動画像処理構成を使用して、SECMまたはRCMデータセットに対して、基底層過形成、脱顆粒、膿瘍、基底膜線維化を含めたEoEの他の特徴を表すことができる。その後、この情報を使用して、EoEの診断を行う、または患者の診断ステータスに関する追加情報を提供することができる。
【0089】
したがって、本開示の例示的実施形態は、食道好酸球を監視するための低侵襲性技術を提供することができる。そのような進歩は、好酸球監視のコストを下げることができ、好酸球評価処置を追跡検査するための患者許容度を高める。さらに、例示的な技術は、将来の研究において疾患の病態生理学および自然史を見出すのに有用となり得る。
【0090】
以上のことは、本発明の原理を例示したにすぎない。本明細書における教示に鑑みて、説明した実施形態に対して様々な修正および変更を行うことができることが当業者には明らかであろう。実際、本開示の例示的実施形態による構成、システム、および方法は、任意のOCTシステム、OFDIシステム、SD−OCTシステム、または他の撮像システムと共に使用することができ、例えば、2004年9月8日出願の国際出願第PCT/US2004/029148号、2005年11月2日出願の米国特許出願第11/266779号、および2004年7月9日出願の米国特許出願第10/501276号に記載されているシステムと共に使用することができ、これらの開示全体を参照により本明細書に組み込む。したがって、本明細書に明示的には図示または記載していないが、本発明の原理を具現化し、したがって本開示の精神および範囲内に含まれる多くのシステム、構成、および方法を当業者が開発することができることを理解されたい。さらに、従来技術の知識を、上で参照により本明細書に明示的に組み込んでいなかった範囲まで、その全体を本明細書に明示的に組み込む。本明細書において上で参照したすべての公開文献の全体を参照により本明細書に組み込む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内の組織の少なくとも一部分に少なくとも1つの第1の電磁放射を向けるように構成された、少なくとも1つの第1の構成と、
前記少なくとも1つの第1の電磁放射に基づく、前記少なくとも一部分から提供される少なくとも1つの第2の電磁放射を受け取るように構成された、少なくとも1つの第2の構成と、
前記少なくとも1つの第2の電磁放射に基づいて、前記少なくとも一部分内で、好酸球、マスト細胞、好塩基球、単核球、または好中球の少なくとも1つである少なくとも1つの特定の細胞を他の細胞から区別するように構成された、少なくとも1つの第3の構成と、を備える装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2の電磁放射が、前記少なくとも一部分で反射される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第3の構成が、前記少なくとも1つの特定の細胞を撮像するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第3の構成が、1mm2よりも大きい組織の領域にわたって前記少なくとも1つの特定の細胞を撮像するように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第3の構成が、前記少なくとも1つの特定の細胞を3次元で撮像するように構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第3の構成が、前記少なくとも1つの特定の細胞の断面を撮像するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記組織が管腔器官である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記管腔器官が、食道または肺気道の少なくとも一方である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの第1の構成または前記少なくとも1つの第2の構成の少なくとも一方がカテーテル内に提供される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記カテーテルが、経口または経鼻で挿入されて前記組織に達するように構造化される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記カテーテルが5mm未満の断面直径を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記カテーテルがバルーン構成を含む請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記バルーン構成が自動合焦構成を含み、該自動合焦構成が、前記少なくとも一部分に自動合焦するように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記カテーテルが経鼻胃管内に進められるように構成化される、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記カテーテルが巻線ケーブルを含む請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記カテーテルが、体内の前記組織の圧力を測定するように構成されたさらなる構成を含む請求項9に記載の装置。
【請求項17】
前記カテーテルが、体内に挿入される実質的に可撓性の部分を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの特定の細胞が複数の特定の細胞を含み、前記少なくとも第3の構成が、前記特定の細胞の数を決定するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの特定の細胞が複数の特定の細胞を含み、前記少なくとも第3の構成が、前記特定の細胞の数を自動的に計数するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第2の構成が、共焦点光を受け取るように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの第2の構成が、スペクトル符号化された共焦点光を受け取るように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの第2の構成が、蛍光性電磁放射を受け取って検出するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記第1の構成または前記第2の構成の少なくとも一方が、前記第1の電磁放射または前記第2の電磁放射の少なくとも一方をそれぞれスペクトル分散するように構成されたさらなる構成を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記少なくとも1つの第1の構成または前記少なくとも1つの第2の構成の少なくとも一方が、複数の導波領域を有する少なくとも1つの光ファイバ構成を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの光ファイバ構成が、二重クラッドファイバコアを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つの第1の構成が、広帯域の光または周波数が時間と共に変化する光の少なくとも一方を伝送するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つの第3の構成が、基底層過形成、膿瘍、好酸球脱顆粒、または基底膜線維化の少なくとも1つを他の細胞から区別するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つの特定の細胞が好酸球である、請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つの第3の構成が、(i)細胞質からの信号の強度、または(ii)前記少なくとも1つの特定の細胞の核の形状の少なくとも一方に基づいて、前記少なくとも1つの特定の細胞を区別する、請求項1に記載の装置。
【請求項30】
体内の組織の少なくとも一部分に向けられた少なくとも1つの第2の電磁放射に基づく、前記少なくとも一部分から提供される少なくとも1つの第1の電磁放射を受け取るステップまたは検出するステップの少なくとも一方と、
コンピュータ構成によって、前記少なくとも1つの第1の電磁放射に基づいて、前記少なくとも一部分内で、好酸球、マスト細胞、好塩基球、単核球、または好中球の少なくとも1つである少なくとも1つの特定の細胞を他の細胞から区別するステップと、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公表番号】特表2013−507189(P2013−507189A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533298(P2012−533298)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/051715
【国際公開番号】WO2011/044301
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(506286973)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレーション (27)
【氏名又は名称原語表記】THE GENERAL HOSPITALCORPORATION
【住所又は居所原語表記】55 Fruit Street, Boston, MA02114 (US).
【Fターム(参考)】