説明

媒体処理装置

【課題】媒体の傾き補正に優れた媒体処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る媒体処理装置は、媒体を搬送する搬送手段と、前記媒体の搬送を遮断する遮断手段と、前記遮断手段に対する前記媒体の傾斜を検出する検出手段と、前記媒体の傾斜検出結果に応じて、前記遮断手段による前記媒体の搬送遮断を解除する遮断制御手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類等の媒体を搬送する媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通帳等の媒体に対して印字処理を行うプリンタが知られている。プリンタは、媒体搬送機構及び印字ヘッド等を備え、媒体搬送機構は、挿入口を介して挿入された媒体を取り込み、取り込んだ媒体を搬送する。印字ヘッドは、印字ヘッド搬送機構により媒体上を走査し、搬送された媒体の所定印字エリアに情報を印字する。上記した媒体搬送機構は、媒体を搬送するための搬送ローラを備え、また、媒体の有無および位置を光学的に検知するためのセンサを備えている。
【0003】
媒体が正しく整位して搬送されれば、上記したように、印字ヘッドは媒体の所定印字エリアに情報を正しく印字することができる。ところが、媒体が傾いて搬送された場合には、印字ヘッドは媒体の所定印字エリアに情報を正しく印字できないことがある。このような媒体の傾きを整位する技術として、例えば、特許文献1には、媒体の一側縁を基準面に向けて移動させることにより、媒体の一側縁を揃える技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送対象となる媒体のサイズが一定していれば、上記したような整位技術の適用が考えられる。ところが、異なるサイズの媒体に対応可能なフリーアライメントと呼ばれる媒体搬送機構により媒体を搬送する場合、様々なサイズの媒体が様々な搬送位置で搬送される。また、同じサイズの媒体であっても搬送の度に媒体の搬送位置がずれることがある。このようなフリーアライメントと呼ばれる媒体搬送機構により媒体を搬送する場合、上記したような整位技術の適用が難しい、或いは効率的ではない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、媒体の傾き補正に優れた媒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る媒体処理装置は、媒体を搬送する搬送手段と、前記媒体の搬送を遮断する遮断手段と、前記遮断手段に対する前記媒体の傾斜を検出する検出手段と、前記媒体の傾斜検出結果に応じて、前記遮断手段による前記媒体の搬送遮断を解除する遮断制御手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、媒体の傾き補正に優れた媒体処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る媒体処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】媒体処理装置の媒体搬送機構等の概略構成の一例を示す図である。
【図3】媒体の傾斜補正の一例を示すフローチャートである。
【図4】フィードモータの駆動、媒体検知センサによる媒体検知、及び媒体スキューセンサによる媒体検知の関係を示すタイミングチャートである。
【図5】媒体処理装置の媒体搬送機構において媒体の傾斜が補正される様子の一例を示す図である。
【図6】媒体スキューセンサの配置の別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る媒体処理装置の構成を示すブロック図である。図1に示す媒体処理装置1は、例えば通帳等の情報記録媒体(以下、媒体)の印字エリアに対して各種情報を印字し、また媒体の磁気ストライプ(情報記憶エリア)に記憶されたデータを読み取ったり、消去したり、また、磁気ストライプに対してデータを書き込んだりする。
【0011】
図1に示すように、媒体処理装置1は、主制御部110、媒体搬送制御部121、媒体搬送機構122、フィードモータ123、ピンチローラ加圧制御部124、ピンチローラ125、シャッター開閉制御部126、シャッター127、媒体検出部131、媒体検出手段としての媒体検出センサDS、媒体検出手段としての媒体スキューセンサSS、印字ヘッド移動制御部141、印字ヘッド制御部142、印字ヘッド搬送機構143、印字ヘッド144、センサ145、キャリア146、磁気ヘッド移動制御部151、磁気情報処理部152、磁気ヘッド搬送機構153、磁気ヘッド154、キャリア155を備えている。
【0012】
図2は、媒体処理装置1の媒体搬送機構122等の概略構成の一例を示す図である。図2の下流側から上流側に向けて媒体は搬送される(図2に示す「媒体搬送方向」参照)。図2等に示すように、媒体検出センサDS(DS1、DS2、DS3、DS4)は、媒体搬送機構122により搬送される媒体を検出するためのセンサであり、媒体搬送路上を搬送される媒体Pに対向する位置に複数個配置される。
【0013】
また、媒体スキューセンサSSは、図2等に示すように、媒体スキューセンサユニットSS1、SS2、SS3、SS4により構成される。さらに、媒体スキューセンサユニットSS1は、媒体スキューセンサSS1a及びSS1bにより構成される。媒体スキューセンサユニットSS2は、媒体スキューセンサSS2a及びSS2bにより構成される。媒体スキューセンサユニットSS3は、媒体スキューセンサSS3a及びSS3bにより構成される。媒体スキューセンサユニットSS4は、媒体スキューセンサSS4a及びSS4bにより構成される。
【0014】
なお、媒体検出センサDS及び媒体スキューセンサSSによる媒体検出及び媒体の傾き検出については後に詳しく説明する。
【0015】
媒体処理装置1の媒体搬送機構122は、サイズの異なる複数種類の媒体に対応可能なフリーアライメントと呼ばれる搬送機構であり、例えば、図2に示すように、搬送可能最大一辺長Lmax以下の様々な一辺長の媒体を搬送可能に構成されている。図5(a)は、一辺長La(La<Lmax)の媒体Pの搬送例を示す図である。
【0016】
フリーアライメントと呼ばれる媒体搬送機構122は、一辺の長さが同じ媒体を搬送する場合であっても、搬送の度に媒体Pの搬送位置が左右(媒体搬送方向に直交する方向)にずれることがある。その理由は、フリーアライメントと呼ばれる媒体搬送機構122に対して媒体を投入する媒体投入口の長さが、一辺長Lmaxの媒体を受け入れ可能に構成されているためである。例えば、ユーザが、媒体投入口の左端に寄せて一辺長Laの媒体Pを投入すると、左端(搬送路左端161)に寄った搬送位置で媒体Pは搬送される。或いは、ユーザが、媒体投入口の右端に寄せて一辺長Laの媒体Pを投入すると、右端(搬送路右端162)に寄った搬送位置で媒体Pは搬送される。
【0017】
或いは、ユーザが、媒体搬送方向(シャッター127)に対して媒体Pの一辺が傾いた状態で媒体Pを投入すると(媒体Pの一辺が媒体搬送方向に対して平行になっていない状態で媒体Pを投入すると)、図5(a)等に示すように、媒体Pは、媒体搬送方向に対して媒体Pの一辺が傾いた状態で取り込み搬送(ローディングフィード)される。別の言い方をすれば、媒体Pは、媒体搬送方向に対して媒体Pの一辺が平行になっていない状態で、且つ媒体Pの別の一辺が媒体搬送方向に対して直交していない状態で取り込み搬送される。
【0018】
そこで、媒体搬送装置1は、シャッター127により、媒体投入口の任意の位置から投入された媒体Pの傾斜搬送状態を効率よく補正することができる。例えば、媒体搬送機構122が、フィードモータ123及びピンチローラ125の駆動により、媒体Pを取り込み搬送し、シャッター127は、取り込み搬送される媒体Pを塞き止める(図5(b)参照)。即ち、シャッター127は、取り込み搬送される媒体Pが上流側へ搬送されないように、媒体Pの搬送(進行)を遮断する。主制御部110が、媒体検出センサDS及び媒体スキューセンサSSによる媒体検出状態に基づき、シャッター127に対する媒体Pの傾斜を検出している間、シャッター開閉制御部126は、シャッター127を閉じて搬送路を塞ぎ、ピンチローラ加圧制御部124は、ピンチローラ125により第1の圧力で媒体Pが加圧されるようにピンチローラ125の媒体Pに対する圧力を制御し、媒体搬送制御部121は、フィードモータ123の駆動による媒体搬送を継続する(図5(b)参照)。これにより、媒体Pは、シャッター127により行く手を塞がれた状態で、媒体搬送機構122からの搬送力を受け、媒体Pの一辺は次第にシャッター127(シャッター127の部材)に押し付けられて平行になり、同時に、媒体Pの別の一辺は次第にシャッター127(シャッター127の部材)と直交する(図5(c)参照)。
【0019】
主制御部110が、媒体スキューセンサSSによる媒体検出状態に基づき、媒体Pの一辺とシャッター127(シャッター127の部材)とが平行になったことを検出すると(媒体Pの傾斜補正が完了したことを検出すると)、シャッター開閉制御部126は、シャッター127を開けて搬送路を解放し、ピンチローラ加圧制御部124は、ピンチローラ125により第1の圧力より高い第2の圧力で媒体Pが加圧されるようにピンチローラ125の媒体Pに対する圧力を制御する。さらに、必要に応じて、媒体搬送制御部121は、フィードモータ123の駆動を制御し、これにより、媒体Pはさらに上流側へ搬送される。
【0020】
或いは、主制御部110が、媒体スキューセンサSSによる媒体検出状態に基づき、媒体Pの一辺とシャッター127(シャッター127の部材)とが平行になったことを検出しても(媒体Pの傾斜補正が完了したことを検出しても)、さらに、シャッター開閉制御部126は、シャッター127を閉じたまま、また、ピンチローラ加圧制御部124は、ピンチローラ125により第1の圧力で媒体Pが加圧されるようにピンチローラ125の媒体Pに対する圧力を制御したままで、フィードモータ123の駆動(所定ステップ数の駆動)により媒体を搬送する。つまり、シャッター127に対して媒体Pを押し付ける。その後、シャッター開閉制御部126は、シャッター127を開けて搬送路を解放し、ピンチローラ加圧制御部124は、ピンチローラ125により第1の圧力より高い第2の圧力で媒体Pが加圧されるようにピンチローラ125の媒体Pに対する圧力を制御する。さらに、必要に応じて、媒体搬送制御部121は、フィードモータ123の駆動を制御し、これにより、媒体Pはさらに上流側へ搬送される。このようにして、より確実に媒体Pの傾斜を補正してから、媒体Pの実質的な搬送を再開するようにしてもよい。
【0021】
以下、媒体Pの傾斜補正についてさらに詳しく説明する。
【0022】
最初に、ピンチローラ125による加圧とシャッター127の開閉との関係の一例について説明する。
【0023】
シャッター127が閉じて搬送路を塞ぐ場合(媒体Pが搬送路上に滞留する場合)、ピンチローラ125は第1の圧力で媒体Pを加圧する。この状態を弱HOLD状態と称する。つまり、シャッター開閉制御部126がシャッター127を閉じた場合、ピンチローラ加圧制御部124は、ピンチローラ125による媒体Pの加圧を第1の圧力に制御し、ピンチローラ125を弱HOLD状態に制御する。
【0024】
また、シャッター127が空いて搬送路を解放した場合(媒体Pが搬送路上に滞留せず搬送路上を流れる場合)、ピンチローラ125は第1の圧力より高い第2の圧力で媒体Pを加圧する。この状態を強HOLD状態と称する。つまり、シャッター開閉制御部126がシャッター127を開けた場合、ピンチローラ加圧制御部124は、ピンチローラ125による媒体Pの加圧を第2の圧力に制御し、ピンチローラ125を強HOLD状態に制御する。
【0025】
続いて、複数の媒体検出センサDS、複数の媒体スキューセンサSSの配置等の一例について説明する。
【0026】
複数の媒体検出センサDSのうちの少なくとも一つの媒体検知センサDSが、媒体搬送機構122に対して投入された媒体を検知するように、複数の媒体検出センサDSは配置される。上記したように、媒体搬送機構122は、フリーアライメントと呼ばれる搬送機構であるため様々なサイズの媒体を搬送可能に構成されている。そのために、媒体搬送機構122が対応可能などのようなサイズの媒体が投入されても、複数の媒体検知センサDSのうちの少なくとも一つの媒体検知センサDSが媒体Pを検知する必要がある。例えば、媒体搬送機構122が対応可能な最小サイズの媒体Pが傾斜した状態で投入されても、少なくとも一つの媒体検知センサDSが最小サイズの媒体Pを検知するように、各媒体検知センサDSは、最小サイズの媒体Pの1辺の長さよりも短い間隔で配置される。
【0027】
上記したように、媒体スキューセンサユニットSS1は、媒体スキューセンサSS1a及びSS1bにより構成される。媒体スキューセンサSS1a又はSS1bが媒体Pを検出すると、媒体スキューセンサユニットSS1は媒体有りを出力する。媒体スキューセンサユニットSS2、SS3、SS4についても同様である。
【0028】
なお、図2及び図5に示すように、媒体スキューセンサSS1a、SS1b、SS2a、SS2b、SS3a、SS3b、SS4a、SS4bを配置してもよいし、また図6に示すように、媒体スキューセンサSS1a、SS1b、SS2a、SS2b、SS3a、SS3b、SS4a、SS4bしてもよい。
【0029】
また、図2及び図5に示すように、媒体スキューセンサSS1a、SS1b、SS2a、SS2b、SS3a、SS3b、SS4a、SS4bは、媒体搬送方向に対して直交する直線上に配置される。或いは、媒体スキューセンサSS1a、SS1b、SS2a、SS2b、SS3a、SS3b、SS4a、SS4bは、シャッター127(シャッター127の部材)に対して平行に配置される。本実施形態の場合、媒体スキューセンサSS1a、SS1b、SS2a、SS2b、SS3a、SS3b、SS4a、SS4bが、上記した直線上に配置されることと、シャッター127に対して平行に配置されることとは、同じ配置を意味する。
【0030】
また、媒体搬送機構122が対応可能な最小サイズの媒体Pの一辺が、シャッター127(シャッター127の部材)に対して押し当てられた状態、つまり媒体Pの一辺が、シャッター127と平行な状態で、媒体スキューセンサSS1a、SS1b、SS2a、SS2b、SS3a、SS3b、SS4a、SS4bのうちの少なくとも二つのセンサが媒体Pを検知するように、媒体スキューセンサSS1a、SS1b、SS2a、SS2b、SS3a、SS3b、SS4a、SS4bは配置される。例えば、媒体スキューセンサSS1a、SS1b、SS2a、SS2b、SS3a、SS3b、SS4a、SS4bは、最小サイズの媒体Pの一辺の長さより短い間隔で配置される。
【0031】
また、媒体スキューセンサSS1a、SS1b、SS2a、SS2b、SS3a、SS3b、SS4a、SS4bと、シャッター127(シャッター127の部材)の下流側の一辺との間の距離がほぼ0mm(例えば最大1.0mm)になるように、媒体スキューセンサSS1a、SS1b、SS2a、SS2b、SS3a、SS3b、SS4a、SS4b及びシャッター127は配置される。これにより、媒体Pが、シャッター127に対して傾斜している状態であれば、媒体スキューセンサSS1a、SS1b、SS2a、SS2b、SS3a、SS3b、SS4a、SS4bのうちの二以上のセンサが媒体Pを検知することはない。
【0032】
つまり、媒体検知センサDS1、DS2、DS3、DS4のうちの少なくとも一つのセンサが媒体Pを検知し、且つ媒体スキューセンサSS1a、SS1b、SS2a、SS2b、SS3a、SS3b、SS4a、SS4bのいずれのセンサも媒体Pを検知していなければ、主制御部110は、媒体Pが傾斜していると判定することができる。
【0033】
また、媒体検知センサDS1、DS2、DS3、DS4のうちの少なくとも一つのセンサが媒体Pを検知し、且つ媒体スキューセンサSS1a、SS1b、SS2a、SS2b、SS3a、SS3b、SS4a、SS4bのうちの一つのセンサだけが媒体Pを検知した場合にも、主制御部110は、媒体Pが傾斜していると判定することができる。
【0034】
また、媒体検知センサDS1、DS2、DS3、DS4のうちの少なくとも一つのセンサが媒体Pを検知し、且つ媒体スキューセンサSS1a、SS1b、SS2a、SS2b、SS3a、SS3b、SS4a、SS4bのうちの2以上のセンサが媒体Pを検知した場合には、主制御部110は、媒体Pが整位(傾斜補正完了)と判定することができる。
【0035】
続いて、図3、図4、図5を参照し、媒体Pの傾斜補正について説明する。図3は、媒体Pの傾斜補正の一例を示すフローチャートである。図4は、フィードモータの駆動、媒体検知センサDSによる媒体検知、及び媒体スキューセンサSSによる媒体検知の関係を示すタイミングチャートである。
【0036】
例えば、複数の媒体検知センサDSのうちのいずれの媒体検知センサDSも媒体Pを検知していない状態では、シャッター127は閉じている。図3に示すように、ユーザが、媒体投入口に対して媒体Pを投入すると、複数の媒体検知センサDSのうちの少なくとも一つの媒体検知センサDSが媒体Pを検知する(ACT1)。例えば、図4に示すように、媒体検知センサDS1が媒体Pを検知する。
【0037】
媒体検知センサDSによる媒体Pの検知は、主制御部110に通知される。主制御部110は、媒体Pの検知に基づき、媒体Pの取り込み搬送(ローディングフィード)を指示する。媒体搬送制御部121は、媒体Pの取り込み搬送指示に基づき、フィードモータ123に対してフォーワード方向への所定ステップ数の回転を指示し、フィードモータ123は回転を開始する(ACT2)。また、ピンチローラ加圧制御部124は、媒体Pの取り込み搬送指示に基づき、ピンチローラ125により第1の圧力で媒体Pが加圧されるようにピンチローラ125の媒体Pに対する圧力を制御する。これに対応して、媒体投入口に対して投入された媒体Pは、弱HOLD状態で、搬送路の下流側から上流側に引き込まれる。引き込まれるにつれて、例えば、図4に示すように、媒体検知センサDS2も媒体Pを検知する。また、媒体Pは、シャッター127に押し付けられる(ACT2)。
【0038】
このとき、主制御部110が、媒体検知センサDS及び媒体スキューセンサSSからの媒体検出信号に基づき、媒体Pの傾斜状態を検出していると(ACT3、NO)、さらに、媒体搬送制御部121は、フィードモータ123に対してフォーワード方向への所定ステップ数の回転を指示し、フィードモータ123は回転を継続し(1回目のリトライ)、これに対応して、媒体Pは、弱HOLD状態で、さらにシャッター127に押し付けられる(ACT4、NO)(ACT2)。
【0039】
本実施形態では、例えば、リトライを3回実行するものとする。リトライを3回実行しても、未だ媒体Pの傾斜が検出されている場合には(ACT4、YES)、エラーイジェクト処理に移行する(ACT5)。つまり、媒体処理装置1は、媒体Pをこれ以上取り込まずに排出し、エラーを案内する。或いは、リトライを3回実行しても、未だ媒体Pの傾斜が検出されていても、リトライを3回実行したことにより、ある程度の傾斜は補正されたものとして、媒体に対する次の処理を実行するようにしてもよい。
【0040】
1回目、2回目、又は3回目のリトライの実行により、主制御部110が、媒体Pが整位(傾斜補正完了)したことを検出すると、媒体Pの取り込み搬送(ローディングフィード)の停止を指示する(ACT6)。
【0041】
或いは、より確実に媒体Pの傾斜を補正するために、1回目、2回目、又は3回目のリトライの実行により、主制御部110が、媒体Pが整位(傾斜補正完了)したことを検出してから、さらに、フィードモータ123に対してフォーワード方向へのnステップ数(n:整数)の回転を指示し、フィードモータ123がnステップ数回転し、媒体Pが、弱HOLD状態で、シャッター127に押し付けられてから、媒体Pの取り込み搬送(ローディングフィード)の停止を指示する(ACT6)。
【0042】
例えば、図4に示すように、媒体スキューセンサSS1aにより媒体が検出され、媒体スキューセンサSS1bにより媒体が検出され、所定のタイミングで、主制御部110がセンサチェックを開始し、媒体スキューセンサSS1aにより媒体が検出されていること、及び媒体スキューセンサSS1bにより媒体が検出されていることに基づき、媒体Pが整位(傾斜補正完了)したことを検出する。この後、さらに、フィードモータ123はnステップ数回転し、媒体Pが、弱HOLD状態で、シャッター127に押し付けられてから、媒体Pの取り込み搬送(ローディングフィード)の停止を指示する(ACT6)。
【0043】
例えば、媒体スキューセンサSSとシャッター127(シャッター127の部材)の上流側の一辺との間の距離が0.5mmに設定されている場合には、媒体搬送制御部121は、媒体Pを少なくとも0.5mm以上搬送するのに必要なステップ数の回転を指示し、フィードモータ123はこの指示に対応して回転し、主制御部110は、この回転が完了するタイミングで、媒体検知センサDS及び媒体スキューセンサSSからの媒体検出信号をチェックし、媒体Pの傾斜の有無を検出する。
【0044】
媒体Pの取り込み搬送(ローディングフィード)の停止指示に対応して、媒体搬送制御部121は、フィードモータ123に対して回転停止を指示し、フィードモータ123は回転を停止する。さらに、ピンチローラ加圧制御部124は、ピンチローラ125による媒体Pの加圧を第2の圧力に制御し、ピンチローラ125を強HOLD状態に制御する。さらに、シャッター開閉制御部126は、シャッター127を開ける。
【0045】
ここで各動作タイミングの一例について説明する。例えば、フィードモータ123の回転が停止した後に、シャッター開閉制御部126は、シャッター127を開けるように制御する。フィードモータ123の回転が完全に停止する前に、シャッター127を開けようとすると、シャッター127の動きによりシャッター127に押し付けられた媒体Pが傾斜してしまう可能性がある。シャッター開閉制御部126が、上記タイミングでシャッター127を開けるように制御することにより、シャッター127の動きにより媒体Pが傾斜してしまうのを防止することができる。
【0046】
或いは、シャッター127が開く前に(動き出す前に)、ピンチローラ加圧制御部124は、ピンチローラ125による媒体Pの加圧を第2の圧力に制御し、ピンチローラ125を強HOLD状態に制御する。これにより、媒体Pがしっかりホールドされ、シャッター127の動きにより媒体Pが傾斜してしまうのを防止することができる。
【0047】
また、上記したように主制御部110が、媒体Pが整位(傾斜補正完了)したことを検出した後、例えば、媒体Pの幅検出を実行する。これにより、媒体Pの傾斜補正が完了していることから、媒体Pの幅を正確に検出することができる。
【0048】
例えば、キャリア146は、ステッピングモータの駆動により移動し、印字ヘッド移動制御部141は、このステッピングモータの駆動を制御する。印字ヘッド移動制御部141によるキャリア146の移動制御に対応して、キャリア146に搭載された印字ヘッド144及びセンサ145は、媒体Pの搬送方向に対して直交する方向に移動する。つまり、キャリア146に搭載された印字ヘッド144及びセンサ145は、媒体Pの搬送方向に対して直交する方向に対して往復運動することができ、この往復運動により、印字ヘッド144は媒体Pを走査する。
【0049】
印字ヘッド144及びセンサ145を搭載したキャリア146は、搬送路左端161側に位置するホームポジションから搬送路右端162へ向けて走査を開始し、センサ145は、媒体Pの左端位置を検出し、続いて、媒体Pの右端位置を検出する。また、印字ヘッド移動制御部141はステッピングモータの駆動を制御しており、主制御部110は、印字ヘッド移動制御部141によるステッピングモータ駆動制御情報(ステップ数(つまりキャリア146の移動量))及びセンサ145からの左端位置検出に基づき、左端位置情報PLを算出し、さらに印字ヘッド移動制御部141によるステッピングモータ駆動制御情報(ステップ数(つまりキャリア146の移動量))及びセンサ145からの右端位置検出に基づき、右端位置情報PRを算出することができる。
【0050】
主制御部110は、左端位置情報PL及び右端位置情報PRに基づき媒体Pの搬送位置(媒体搬送機構122上の位置)を検出することができ、さらに、左端位置情報PL及び右端位置情報PRに基づき媒体Pの媒体幅PWを検出することもできる(媒体幅PW=左端位置情報PL−右端位置情報PR)。
【0051】
媒体幅の検出が完了すると、媒体搬送制御部121は、媒体搬送機構122に対して搬送を指示し、媒体搬送機構122は、媒体をさらに搬送し、例えばTOF位置へ移動する(ACT9)。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の媒体処理装置1によれば、以下の作用効果を得ることができる。
【0053】
媒体処理装置1は、フリーアライメントと呼ばれる搬送機構が適用され、媒体Pの搬送位置がばらつくようなケース、また様々なサイズの媒体Pが搬送されるケースであっても、効率よく且つ正確に媒体の傾きを補正することができる。例えば、媒体Pを搬送路の右端又は左端に寄せて媒体Pの傾きを補正する場合に比べて、本実施形態の媒体処理装置1は、簡単な構成で媒体の傾きを補正することができる。また、本実施形態の媒体処理装置1は、少ないセンサで媒体の傾きを補正することができる。よって、本実施形態の媒体処理装置1は、低コストで実現することができる。
【0054】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0055】
1…媒体処理装置、110…主制御部、121…媒体搬送制御部、122…媒体搬送機構、123…フィードモータ、124…ピンチローラ加圧制御部、125…ピンチローラ、126…シャッター開閉制御部126、128…シャッター、131…媒体検出部、DS…媒体検出センサ、SS…媒体スキューセンサ、141…印字ヘッド移動制御部、142…印字ヘッド制御部、143…印字ヘッド搬送機構、144…印字ヘッド、145…センサ、146…キャリア、151…磁気ヘッド移動制御部、152…磁気情報処理部、153…磁気ヘッド搬送機構、154…磁気ヘッド、155…キャリア
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開2001−158553号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送手段と、
前記媒体の搬送を遮断する遮断手段と、
前記遮断手段に対する前記媒体の傾斜を検出する検出手段と、
前記媒体の傾斜検出結果に応じて、前記遮断手段による前記媒体の搬送遮断を解除する遮断制御手段と、
を備えたことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
前記遮断手段は、前記搬送手段により前記媒体に搬送力が伝達された状態で、前記媒体の進行を遮断するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
前記遮断手段は、前記搬送手段による搬送方向に対して直交するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記遮断手段に対して前記媒体の一辺が平行になったことを検知するための2以上のセンサにより構成されたことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項5】
前記2以上のセンサは、前記媒体の一辺の長さより短い間隔で配置されたことを特徴とする請求項4に記載の媒体処理装置。
【請求項6】
前記搬送手段は、サイズの異なる複数種類の媒体を搬送可能に構成され、
前記2以上のセンサは、前記複数種類の媒体の中の最も短い一辺の長さより短い間隔で配置されたことを特徴とする請求項4に記載の媒体処理装置。
【請求項7】
前記搬送手段は、前記搬送可能な最大サイズの媒体の搬送に合わせて構成され、媒体投入位置に対応した搬送位置で前記媒体を搬送するように構成され、
前記2以上のセンサは、前記複数種類の媒体の中の最も短い一辺の長さより短い間隔で配置されたことを特徴とする請求項4に記載の媒体処理装置。
【請求項8】
前記搬送手段は、前記媒体を加圧して搬送するための加圧搬送手段、及び前記加圧搬送手段による前記媒体への圧力を制御する加圧制御手段により構成され、
前記加圧制御手段は、前記遮断手段による前記媒体の搬送遮断時には前記加圧搬送手段により第1の圧力により前記媒体を加圧し、前記遮断手段による前記媒体の搬送遮断の解除時には前記加圧搬送手段により前記第1の圧力より高い第2の圧力により前記媒体を加圧するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項9】
前記搬送手段は、前記媒体の前記傾斜検出結果から判明する前記媒体の傾斜補正の完了後、前記遮断手段により進行が妨げられている前記媒体を所定量搬送するように構成され、
前記遮断制御手段は、前記搬送手段による前記媒体の前記所定量搬送の完了後に、前記遮断手段による前記媒体の搬送遮断を解除するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−184125(P2011−184125A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49922(P2010−49922)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】