説明

媒体搬送機構

【課題】媒体搬送ガイドによりガイドし媒体幅寄せガイドにより媒体を媒体基準面に押し当てて搬送する媒体搬送機構において、媒体幅寄せガイドと媒体搬送ガイドの隙間に媒体端部が入り込むことを確実に防止し、スキューやジャムの発生、媒体破損の発生を防止する。
【解決手段】幅狭媒体7のときは媒体幅寄せガイド10を媒体搬送路12内に移動し前記幅狭媒体7を搬送しながら前記媒体7を前記媒体基準面2に押し当てる媒体搬送機構1において、前記媒体幅寄せガイド10の断面をコの字形状とした。或いは、媒体が所定の位置まで搬送されたときに搬送を停止し、媒体幅寄せガイド10を前記媒体基準面2の方向に移動して前記媒体を前記媒体基準面2に押し当てた後に搬送するようにした媒体搬送機構1において、前記媒体幅寄せガイド10の断面をコの字形状とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体幅寄せガイドにより媒体を媒体基準面に押し当てて搬送する媒体搬送機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、金融機関等に設置されている現金自動預払機などの自動取引装置では、挿入口より入出金伝票などの単票や冊子状の通帳等の媒体を挿入し取引履歴等の印字などの所定の処理を行った後に排出するようになっている。この印字などの所定の処理を正しく行うためには媒体を基準面に押し当てて搬送する必要がある。
【0003】
このために、従来の媒体搬送機構101は、図3(a)の上面図に示したように、矢印Cのように挿入され媒体搬送路12により搬送される幅広媒体6や幅狭媒体7(以下、「媒体」という)の一方側面(図中右側面)を矢印Bのように押し当てる媒体基準面2と、この媒体基準面2と反対側に媒体幅を規制する固定ガイド3と、前記媒体の高さ方向を規制する上部搬送ガイド4および下部搬送ガイド5を対向させて設けている。
【0004】
そして、媒体搬送路12には媒体搬送方向に沿って複数の搬送ローラ8が設けられており、搬送ローラ8の下方には、図示しない駆動部により搬送ローラ8に当接および離間するクランプローラ15が設けられている。
【0005】
また、媒体搬送路12の固定ガイド3と媒体基準面2の間に、媒体幅を検出するための媒体幅検出センサ9aと、幅狭媒体7をガイドするために搬送方向に迎え角の付いた板形状の媒体幅寄せガイド110が設けられている。
【0006】
この媒体幅寄せガイド110は、図示しない駆動部により図3(b)の断面図に示したように、矢印Aおよび矢印Dのように上下動して搬送路内に移動させたり搬送路外に退避させることができるようになっており、下部搬送ガイド5にはこの媒体幅寄せガイド110が搬送路内に入り込むための孔が設けられている。
【0007】
以上の構成により、従来の媒体搬送機構101は、矢印Cのように媒体が挿入されると、クランプローラ15を搬送ローラ8に当接させて媒体を取り込み、媒体幅検出センサ9aにより幅が広い幅広媒体6であるか幅が狭い幅狭媒体7かを判定し、幅広媒体6であったときは、幅広媒体6の搬送の妨げにならないように媒体幅寄せガイド110を矢印Dのように搬送路外に退避させ、一方、挿入された媒体が幅狭媒体7であったときは、媒体幅寄せガイド110を矢印Aのように搬送路内に上昇させ、幅狭媒体7を媒体基準面2の方向にガイドして媒体基準面2に押し当てながら搬送するようになっている。
【0008】
或いは、図4に示したように、媒体幅寄せガイド110に替えて媒体幅寄せガイド111を設けるとともに、媒体の搬送を一旦停止させる位置を検出するための媒体停止位置検出センサ9bを設け、矢印C方向に挿入され搬送ローラ8とクランプローラ15により搬送される幅広媒体6の先端が検出されたときに搬送を一旦停止し、媒体幅寄せガイド111を矢印F方向に移動させ、幅広媒体6を媒体基準面2に矢印Bのように押し当てた後、搬送するようにしていた(例えば、特許文献1および特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭63−106255号公報
【特許文献2】特開2000−247498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の媒体搬送機構101、すなわち図3の上下動タイプの媒体幅寄せガイド110では、図5(a)に示したように、上部搬送ガイド4や下部搬送ガイド5との間に形成される隙間11aや隙間11bに幅狭媒体7の端部が入り込み、スキューやジャムが発生したり、媒体が破損してしまうという問題があった。
【0011】
また、図4の幅寄せタイプの媒体幅寄せガイド111でも、図5(b)に示したように、上部搬送ガイド4や下部搬送ガイド5との間に形成される隙間11cや隙間11dに幅狭媒体7の端部が入り込み、スキューやジャムが発生したり、媒体が破損してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、媒体搬送路により搬送される媒体の一方側端を押し当てる媒体基準面と、対向して配置し媒体の高さ方向を規制する媒体搬送ガイドと、媒体搬送方向に沿って配置した媒体搬送手段と、前記媒体搬送路に設けられ、幅狭媒体かどうかを検出する媒体幅検出センサと、搬送方向に迎え角の付いた、断面がコの字形状の媒体幅寄せガイドと、を備え、前記媒体幅検出センサにより幅狭媒体が検出されたときは、前記媒体幅寄せガイドを前記媒体搬送路内に移動し前記媒体搬送手段により前記幅狭媒体を搬送しながら前記媒体幅寄せガイドにより前記媒体基準面に前記幅狭媒体を押し当てるようにした。
【0013】
或いは、別の発明では、媒体搬送路により搬送される媒体の一方側端を押し当てる媒体基準面と、対向して配置し媒体の高さ方向を規制する媒体搬送ガイドと、媒体搬送方向に沿って配置した媒体搬送手段と、前記媒体搬送路に設けられ、媒体が所定の位置まで搬送されたかどうかを検出する媒体位置検出センサと、搬送方向に迎え角の付いた、断面がコの字形状の媒体幅寄せガイドと、を備え、前記媒体位置検出センサにより前記媒体の先端を検出したときは、前記媒体搬送手段を停止し、前記媒体幅寄せガイドを前記媒体基準面方向に移動して前記媒体を前記媒体基準面に押し当て、前記媒体搬送手段を駆動して前記媒体を搬送するようにした
【発明の効果】
【0014】
本発明の媒体搬送機構によれば、以上のように構成したので、媒体幅寄せガイドと媒体搬送ガイドの隙間に媒体端部が入り込むことを確実に防止し、スキューやジャムの発生、媒体破損の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1の媒体搬送機構の構成図および動作説明図である。
【図2】実施例2の媒体搬送機構の構成図および動作説明図である。
【図3】従来の媒体搬送機構の構成図および動作説明図である。
【図4】従来の媒体搬送機構の構成図および動作説明図である。
【図5】従来の媒体搬送機構の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0017】
(構成)
図1は、実施例1の媒体搬送機構1の構成図である。図1(a)の上面図に示したように、実施例1の媒体搬送機構1は、矢印Cのように挿入され媒体搬送路12により搬送される媒体の一方側端(図中右側面)を矢印Bのように押し当てる媒体基準面2と、この媒体基準面2と反対側に媒体幅を規制する固定ガイド3と、媒体の高さ方向を規制する上部搬送ガイド4および下部搬送ガイド5を対向させて設けている。
【0018】
そして、媒体搬送路12には、媒体搬送手段として、媒体搬送方向に沿って複数の搬送ローラ8が設けられており、搬送ローラ8の下方には、図示しない駆動部により搬送ローラ8に当接または離間するクランプローラ15が設けられている。
【0019】
また、媒体搬送路12の固定ガイド3と媒体基準面2の間には、媒体幅を検出する媒体幅検出センサ9aと、幅狭媒体7をガイドするために搬送方向に迎え角の付いた図1(c)或いは図1(d)に示したa1部拡大図のような断面がコの字形状の媒体幅寄せガイド10が設けられている。
【0020】
この媒体幅寄せガイド10は、図示しない駆動部により図1(b)矢印Aおよび矢印Dのように上下動して図1(b)実線のように搬送路内に移動させたり、図1(b)破線のように搬送路外に退避させることができるようになっており、上部搬送ガイド4および下部搬送ガイド5にはこの媒体幅寄せガイド10が搬送路内に入り込むための孔が設けられている。
【0021】
(動作)
以上の構成により実施例1の媒体搬送機構1は、以下のように動作する。この動作を前出図1を用いて以下詳細に説明する。
【0022】
まず、矢印Cのように媒体が挿入されると、クランプローラ15を搬送ローラ8に当接させ、挿入された媒体を取り込んで搬送する。
【0023】
媒体幅検出センサ9aにより幅広媒体6であるか幅狭媒体7かを判定し、幅広媒体6であったときは、幅広媒体6の搬送の妨げにならないように媒体幅寄せガイド10を矢印Dのように搬送路外に退避し、一方、挿入された媒体が幅狭媒体7であったときは、媒体幅寄せガイド10を矢印Aのように搬送路内に上昇させ、媒体幅寄せガイド10の迎え角を設けた端部(図1のa1部側)により幅狭媒体7を矢印Bのように媒体基準面2の方向にガイドして押し当てながら矢印C方向に搬送する。
【0024】
そして、所定の処理を行った後、矢印C方向とは逆方向に搬送し、排出する。このときも、媒体挿入時と同様、幅広媒体6であったときは、幅広媒体6の搬送の妨げにならないように媒体幅寄せガイド10を矢印Dのように搬送路外に退避したままとし、一方、挿入された媒体が幅狭媒体7であったときは、媒体幅寄せガイド10を矢印Aのように搬送路内に上昇させたままとし、媒体幅寄せガイド10のもう一方の迎え角を設けた端部(図1のa2部側)により幅狭媒体7を矢印Bのように媒体基準面2の方向にガイドして押し当てながら排出する。勿論、排出するときは、媒体幅寄せガイド10を退避させて排出するようにしてもよい。
【0025】
以上のように、媒体幅寄せガイド10により媒体を媒体基準面2の方向にガイドして押し当てて搬送するときに、図1(b)の断面図に示したように、媒体幅寄せガイド10の断面をコの字形状とし当該コの字形状により媒体端部の幅方向および上下方向を規制するようになっているので、媒体端部が媒体幅寄せガイド10と上部搬送ガイド4や下部搬送ガイド5との隙間11eに入り込むことがない。
【0026】
(実施例1の効果)
以上のように、実施例1の媒体搬送機構によれば、媒体幅寄せガイドを備え幅狭媒体のときは前記媒体幅寄せガイドを搬送路内に移動させて媒体を媒体基準面に当接させて搬送する媒体搬送機構において、前記媒体幅寄せガイドの断面をコの字形状とし当該コの字の内側により媒体端部の幅方向および上下方向を規制するようにしたので、媒体幅寄せガイドと媒体搬送ガイドの隙間に媒体端部が入り込むことを確実に防止し、スキューやジャムの発生、媒体の破損を防止することができる。
【実施例2】
【0027】
(構成)
図2は、実施例2の媒体搬送機構1の構成図である。同図に示したように、実施例2の媒体搬送機構1では、実施例1の媒体幅寄せガイド10に替えて媒体幅寄せガイド11が設けられており、媒体の搬送を一旦停止させる位置を検出するための媒体停止位置検出センサ9bが設けられている。
【0028】
そして、媒体幅寄せガイド11は、図2(c)のb部拡大図に示したように、その断面がコの字形状になっており、媒体基準面2とは反対側の媒体搬送路12のホームポジションに備え、幅広媒体6を幅寄せするときにホームポジションより矢印Fのように搬送路内に移動するようになっている。その他の構成は実施例1の媒体搬送機構と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0029】
(動作)
以上の構成により、実施例2の媒体搬送機構1は、以下のように動作する。この動作を前出図2を用いて以下詳細に説明する。
【0030】
まず、媒体が矢印Cのように挿入されると、クランプローラ15を搬送ローラ8に当接させ、挿入された媒体を取り込んで搬送する。そして、媒体停止位置検出センサ9bまで媒体が搬送され、媒体先端が検出されると搬送ローラ8の駆動を停止する。
【0031】
そして、媒体を媒体基準面2に幅寄せするために搬送ローラ8からクランプローラ15を離し媒体をクランプ状態から解放する。
【0032】
そして、媒体幅寄せガイド11を駆動させ、媒体端部を矢印F方向に押して媒体基準面2に矢印Bのように押し当てる。
【0033】
このとき、媒体幅寄せガイド11は、図2(b)、(c)に示したように、その断面をコの字形状とし当該コの字形状により媒体端部の幅方向および上下方向を規制するようにしたので、媒体端部が媒体幅寄せガイド11と上部搬送ガイド4や下部搬送ガイド5との隙間11fに入り込むことを防止することができる。
【0034】
(実施例2の効果)
以上のように実施例2の媒体搬送機構によれば、媒体幅寄せガイドを備え媒体が所定の位置まで搬送されたときに前記媒体幅寄せガイドを移動させて媒体を媒体基準面に押し当てて搬送する媒体搬送機構において、前記媒体幅寄せガイドの断面をコの字形状とし当該コの字形状により媒体端部の幅方向及び上下方向を規制するようにしたので、媒体幅寄せガイドと媒体搬送ガイドの隙間に媒体端部が入り込むことを確実に防止し、スキューやジャムの発生、媒体破損の発生を防止することができる。
【0035】
《その他の変形例》
以上の実施例の説明では、幅狭媒体7をガイドする媒体幅寄せガイド10および幅広媒体6をガイドする媒体幅寄せガイド11をそれぞれ設ける例を説明したが、媒体幅寄せガイド10および媒体幅寄せガイド11を両方備え、幅狭媒体7のときは媒体幅寄せガイド10を上昇(矢印A方向)させてガイドし、幅広媒体6のときは媒体幅寄せガイド10を下降(矢印D方向)させ、媒体幅寄せガイド11を媒体基準面2方向(矢印F方向)に移動させて、媒体端部を媒体基準面2に押し当てて搬送するようにした場合であっても同様の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、所定の処理を行うために、媒体幅寄せガイドにより媒体を媒体基準面に押し当てて搬送する媒体搬送機構を備える媒体処理装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 媒体搬送機構
2 媒体基準面
3 固定ガイド
4 上部搬送ガイド
5 下部搬送ガイド
6 幅広媒体
7 幅狭媒体
8 搬送ローラ
9a 媒体幅検出センサ
9b 媒体停止位置検出センサ
10、11 媒体幅寄せガイド
11a〜11f 隙間
12 媒体搬送路
15 クランプローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体搬送路により搬送される媒体の一方側端を押し当てる媒体基準面と、
対向して配置し媒体の高さ方向を規制する媒体搬送ガイドと、
媒体搬送方向に沿って配置した媒体搬送手段と、
前記媒体搬送路に設けられ、幅狭媒体かどうかを検出する媒体幅検出センサと、
搬送方向に迎え角の付いた、断面がコの字形状の媒体幅寄せガイドと、を備え、
前記媒体幅検出センサにより幅狭媒体が検出されたときは、前記媒体幅寄せガイドを前記媒体搬送路内に移動し前記媒体搬送手段により前記幅狭媒体を搬送しながら前記媒体幅寄せガイドにより前記媒体基準面に前記幅狭媒体を押し当てるようにしたことを特徴とする媒体搬送機構。
【請求項2】
媒体搬送路により搬送される媒体の一方側端を押し当てる媒体基準面と、
対向して配置し媒体の高さ方向を規制する媒体搬送ガイドと、
媒体搬送方向に沿って配置した媒体搬送手段と、
前記媒体搬送路に設けられ、媒体が所定の位置まで搬送されたかどうかを検出する媒体位置検出センサと、
搬送方向に迎え角の付いた、断面がコの字形状の媒体幅寄せガイドと、を備え、
前記媒体位置検出センサにより前記媒体の先端を検出したときは、前記媒体搬送手段を停止し、前記媒体幅寄せガイドを前記媒体基準面方向に移動して前記媒体を前記媒体基準面に押し当て、前記媒体搬送手段を駆動して前記媒体を搬送するようにしたことを特徴とする媒体搬送機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−218828(P2012−218828A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83434(P2011−83434)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】