説明

媒体鑑別装置

【課題】媒体のセキュリティスレッド部に対応する厚さデータに基づいてテープが貼(てん)付された貼(は)り合わせ券であるか否かを判別するようにして、セキュリティスレッドにスレッドウィンドウパタンが形成された媒体であっても、セキュリティスレッド部にテープが貼付されているか否かを確実に判定することができるようにする。
【解決手段】媒体の各部に対応する各チャンネルの厚さ検出センサが検出した厚さデータを取得する厚さデータ取得部と、前記厚さデータの中から前記媒体のセキュリティスレッド部に対応するスレッド部厚さデータを取得するスレッド部厚さデータ取得部と、前記スレッド部厚さデータの分散を算出する厚さデータ解析部と、算出された分散の値をあらかじめ設定された判定閾(しきい)値と比較して、前記セキュリティスレッド部にテープが貼付されているか否かを判定する判定部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体鑑別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行、信用金庫、郵便局、消費者金融会社等の金融機関の支店等に配設されたATM(Automatic Teller Machine:現金自動預払機)、CD(Cash Dispenser:現金自動支払機)等の自動取引装置や両替機、また、商店や路上に配設された自動販売機等には、紙幣等の媒体の真偽を判別したり、媒体の種別を判別するための媒体鑑別装置が配設されている。該媒体鑑別装置が紙幣等の媒体の真偽を判別することによって、偽造紙幣等の不正な媒体を排除することができる。
【0003】
近年では、本物の媒体の一部を切り取って部分的に偽物の券を貼(は)り合わせた偽造紙幣、すなわち、貼り合わせ券の流通が増加している。そこで、媒体の厚みを検出したり、テープ等の付着物を検出することによって、多様な媒体の真偽を判別することができる媒体鑑別装置に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【特許文献1】特開2006−226859号公報
【特許文献2】特開2002−303679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の媒体鑑別装置においては、メカ的な方法で媒体の厚みを検出するようになっているので、海外紙幣のように、印刷の凹凸が大きい媒体や、媒体自体の厚さが厚い媒体や、媒体の内部にプラスチックフィルム等から成る線状又はテープ状のセキュリティスレッドが埋め込まれ、かつ、該セキュリティスレッドが厚い媒体などを鑑別の対象にした場合、貼り合わせ券を確実に判別することは困難である。特に、セキュリティスレッドにスレッドウィンドウパタンと呼ばれる凹凸の模様がある媒体には、セキュリティスレッドの部分にテープを付着させた貼り合わせ券が多数存在する。このような貼り合わせ券の場合、単純にテープの厚みだけに基づいて媒体を鑑別しようとすると、スレッドウィンドウパタンの厚さとテープの厚さとの区別がつかないので、貼り合わせ券を確実に判別することは困難である。
【0005】
本発明は、前記従来の媒体鑑別装置の問題点を解決して、媒体のセキュリティスレッド部に対応する厚さデータに基づいてテープが貼(てん)付された貼り合わせ券であるか否かを判別するようにして、セキュリティスレッドにスレッドウィンドウパタンが形成された媒体であっても、セキュリティスレッド部にテープが貼付されているか否かを確実に判定することができる媒体鑑別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の媒体鑑別装置においては、媒体の各部に対応する各チャンネルの厚さ検出センサが検出した厚さデータを取得する厚さデータ取得部と、前記厚さデータの中から前記媒体のセキュリティスレッド部に対応するスレッド部厚さデータを取得するスレッド部厚さデータ取得部と、前記スレッド部厚さデータの分散を算出する厚さデータ解析部と、算出された分散の値をあらかじめ設定された判定閾(しきい)値と比較して、前記セキュリティスレッド部にテープが貼付されているか否かを判定する判定部とを有する。
【0007】
本発明の他の媒体鑑別装置においては、さらに、前記スレッド部厚さデータは、前記セキュリティスレッド部のスレッドウィンドウパタンに対応する凹凸を含む波形を備える。
【0008】
本発明の更に他の媒体鑑別装置においては、媒体の各部に対応する各チャンネルの厚さ検出センサが検出した厚さデータを取得する厚さデータ取得部と、前記厚さデータの中から前記媒体のセキュリティスレッド部に対応するスレッド部厚さデータを取得するスレッド部厚さデータ取得部と、複数の真正な媒体のスレッド部厚さデータを平均化して平均スレッド部厚さデータを作成する特徴データ集計部と、前記平均スレッド部厚さデータを辞書データとして出力する辞書データ出力部とを有する。
【0009】
本発明の更に他の媒体鑑別装置においては、さらに、前記スレッド部厚さデータの波形の補正を行う厚さデータ解析部と、前記辞書データを格納する辞書データ格納部と、補正されたスレッド部厚さデータの波形を前記辞書データの波形と比較して、前記セキュリティスレッド部にテープが貼付されているか否かを判定する判定部とを更に有する。
【0010】
本発明の更に他の媒体鑑別装置においては、さらに、前記判定部は、補正されたスレッド部厚さデータの波形と前記辞書データの波形とのユークリッド距離に基づいて判定する。
【0011】
本発明の更に他の媒体鑑別装置においては、媒体の各部に対応する各チャンネルの厚さ検出センサが検出した厚さデータを取得する厚さデータ取得部と、前記厚さデータの中から前記媒体のセキュリティスレッド部に対応するスレッド部厚さデータを取得するスレッド部厚さデータ取得部と、前記スレッド部厚さデータを複数の領域に分割し、各領域のスレッド部厚さデータの分散を算出する領域別厚さデータ解析部と、領域毎の分散の値を比較して、前記セキュリティスレッド部にテープが貼付されているか否かを判定する判定部とを有する。
【0012】
本発明の更に他の媒体鑑別装置においては、媒体の各部に対応する各チャンネルの厚さ検出センサが検出した厚さデータを取得する厚さデータ取得部と、前記厚さデータの中から前記媒体のセキュリティスレッド部に対応するスレッド部厚さデータを取得するスレッド部厚さデータ取得部と、前記スレッド部厚さデータの波形に含まれる凸部の個数をカウントする凹凸特徴データ解析部と、カウントされた凸部の個数をあらかじめ設定された判定閾値と比較して、前記セキュリティスレッド部にテープが貼付されているか否かを判定する判定部とを有する。
【0013】
本発明の更に他の媒体鑑別装置においては、媒体の各部に対応する各チャンネルの厚さ検出センサが検出した厚さデータを取得する厚さデータ取得部と、前記厚さデータの中から前記媒体のセキュリティスレッド部に対応するスレッド部厚さデータを取得するスレッド部厚さデータ取得部と、前記厚さデータの中から前記媒体のセキュリティスレッド部に隣接する部分に対応する隣接チャンネル厚さデータを取得する隣接チャンネル厚さデータ取得部と、前記隣接チャンネル厚さデータの平均値を算出して基準を作成する隣接チャンネル厚さデータ解析部と、前記スレッド部厚さデータと基準との差異を算出して判定特徴値を作成する厚さ判定特徴データ解析部と、作成された判定特徴値をあらかじめ設定された判定閾値と比較して、前記セキュリティスレッド部にテープが貼付されているか否かを判定する判定部とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、媒体鑑別装置は、媒体のセキュリティスレッド部に対応する厚さデータに基づいてテープが貼付された貼り合わせ券であるか否かを判別する。これにより、セキュリティスレッドにスレッドウィンドウパタンが形成された媒体であっても、セキュリティスレッド部にテープが貼付されているか否かを確実に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図2は本発明の第1の実施の形態における媒体鑑別装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
図において、10は本実施の形態における媒体鑑別装置であり、ATM、CD等の自動取引装置、自動販売機、両替機、ゲーム機等の装置に配設され、媒体11の真偽を判別するために使用される。ここで、該媒体11は、例えば、紙幣であるが、ビール券、ギフト券、商品券等の金券、トラベラーズチェック、小切手、株券等の有価証券、入場券等の施設利用券、切符、帳票、カード、通帳等であってもよく、いかなる種類のものであってもよい。本実施の形態においては、説明の都合上、前記媒体11が紙幣であって、後述されるセキュリティスレッド部12を備えるものである場合について説明する。
【0018】
この場合、前記媒体鑑別装置10は、媒体11のセキュリティスレッド部12にテープが貼付されているか否かに基づいて、媒体11が貼り合わせ券であるか否かを判別するものであるが、媒体11の大きさ、形状、姿勢等を認識することができるものであってもよいし、さらに、認識した媒体11の大きさ等に基づいて、該媒体11の種類を判別することができるものであってもよい。例えば、媒体11が我が国の紙幣である場合、千円札、二千円札、五千円札及び一万円札の4種類の金種の紙幣について、種類を判別することができることが望ましい。
【0019】
そして、前記媒体鑑別装置10は、自動取引装置のように媒体11としての紙幣を受領する装置における紙幣の搬送路や紙幣の取扱装置に配設され、受領した紙幣の真偽を判別する。なお、前記紙幣を受領する装置は、一般的には、銀行、信用金庫、郵便局、消費者金融会社等の金融機関の支店等の営業店や、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の商店の店舗に配設されているATM、CD等の自動取引装置であるが、紙幣を受領するための装置であれば、鉄道、バス等の交通機関の券売機、飲料、タバコ等の自動販売機、両替機、ゲーム機等いかなる装置であってもよい。そして、前記紙幣を受領する装置は、前記媒体鑑別装置10が判別した真偽に基づいて、貼り合わせ券等を不正な紙幣として排除する。
【0020】
本実施の形態において、前記媒体鑑別装置10は、CPU、MPU等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、通信インターフェイス等を有する。さらに、前記媒体鑑別装置10は、厚さデータ取得部21、厚さデータ格納部22、スレッド部厚さデータ取得部23、スレッド部厚さデータ格納部24、厚さデータ解析部25、特徴データ格納部26、判定部27、判定閾値格納部28及び結果出力部29を有する。
【0021】
ここで、厚さデータ取得部21は、後述される厚さ検出装置13が備える複数チャンネルの厚さ検出センサ14が検出した媒体11の各部の厚さを、チャンネル毎の厚さデータとして取得する。そして、厚さデータ格納部22は、前記厚さデータ取得部21が取得した媒体11の厚さデータをチャンネル毎に格納する。
【0022】
また、スレッド部厚さデータ取得部23は、前記厚さデータ格納部22に格納された厚さデータの中から、セキュリティスレッド部12が通過するチャンネルの厚さデータのみをスレッド部厚さデータとして取得する。そして、スレッド部厚さデータ格納部24は、前記スレッド部厚さデータ取得部23が取得したスレッド部厚さデータを格納する。
【0023】
さらに、厚さデータ解析部25は、前記スレッド部厚さデータ格納部24に格納されたスレッド部厚さデータの解析を行う。そして、特徴データ格納部26は、前記厚さデータ解析部25がスレッド部厚さデータの解析を行うことによって得られた特徴データを格納する。
【0024】
また、判定部27は、あらかじめ判定閾値格納部28に格納された判定閾値と、前記特徴データ格納部26に格納された特徴値とを比較し、媒体11にテープが貼付されているか否かを判定する。そして、結果出力部29は、前記判定部27の判定結果を受けて、該判定結果を媒体鑑別装置10が備える図示されない画面及びファイルに出力する。
【0025】
次に、前記媒体鑑別装置10が有する厚さ検出装置13の構成について説明する。
【0026】
図1は本発明の第1の実施の形態における厚さ検出装置の構成を示す平断面図、図3は本発明の第1の実施の形態における媒体を示す図、図4は本発明の第1の実施の形態における厚さ検出装置の構成を示す側断面図である。
【0027】
図3に示されるように、媒体11はセキュリティスレッド部12を備える。該セキュリティスレッド部12は、媒体11の内部にプラスチックフィルム等から成る線状又はテープ状のセキュリティスレッドが埋め込まれた部分であり、媒体11における他の部分よりも厚くなっている。そして、前記セキュリティスレッド部12には、スレッドウィンドウパタンと呼ばれる凹凸の模様が形成されている。そのため、セキュリティスレッド部12の厚さは、前記スレッドウィンドウパタンに対応して変化している。
【0028】
そして、厚さ検出装置13は、媒体11の各部の厚さを検出するローラ状の厚さ検出センサ14、及び、該厚さ検出センサ14を回転可能に支持する中心軸15を有する。該中心軸15は、図4に示されるように、2本1組となっていて、互いに対向して平行となるように配設されている。そして、中心軸15の各々に取り付けられた厚さ検出センサ14が対を成し、媒体11は、ローラとして機能する対向する厚さ検出センサ14同士によって両面から挟まれた状態で、矢印aで示される方向に搬送される。
【0029】
また、図1に示されるように、各中心軸15には、複数の厚さ検出センサ14が軸方向(矢印bで示される方向)に並んで取り付けられている。該厚さ検出センサ14の数は、任意に設定することができるが、本実施の形態においては、各中心軸15に10個ずつの厚さ検出センサ14が取り付けられ、10組のローラ対を形成するように並べられている場合について説明する。この場合、各組の厚さ検出センサ14が各チャンネルに対応するので、厚さ検出装置13は、合計10チャンネルの厚さ検出センサ14を備えることになる。図1に示される例においては、1〜10のチャンネル番号が各厚さ検出センサ14に付与されている。
【0030】
そして、厚さ検出装置13に搬入された媒体11は、矢印aで示される方向に搬送され、対向する厚さ検出センサ14の間を通過する際に全範囲の厚さが、各チャンネルの厚さ検出センサ14によって検出される。なお、媒体11は、長方形の長辺が中心軸15と平行になり、長方形の短辺が中心軸15と直交するような姿勢で搬送される。また、セキュリティスレッド部12は、長方形の短辺と平行に延在する。そして、検出された媒体11の各部の厚さは、チャンネル毎の厚さデータとして取得される。
【0031】
次に、前記構成の媒体鑑別装置10の動作について説明する。まず、媒体11の厚さを検出してからスレッド部厚さデータを格納するまでの動作について説明する。
【0032】
図5は本発明の第1の実施の形態における厚さ検出装置が真正媒体の厚さを検出する動作を示す図、図6は本発明の第1の実施の形態における3チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータを示す図、図7は本発明の第1の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータを示す図、図8は本発明の第1の実施の形態における厚さ検出装置がテープ貼付媒体の厚さを検出する動作を示す図、図9は本発明の第1の実施の形態における3チャンネルの厚さ検出センサが検出したテープ貼付媒体の厚さデータを示す図、図10は本発明の第1の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出したテープ貼付媒体の厚さデータを示す図である。
【0033】
図5において、BTは媒体11の上端であり、BBは媒体11の下端である。また、11aは、テープが貼付されていない真正な媒体11としての真正媒体である。そして、該真正媒体11aの各部における上端BTから下端BBまでの範囲の厚さは、図5に示されるように、1〜10チャンネルの厚さ検出センサ14の各々によって検出される。
【0034】
図6は、真正媒体11aにおけるセキュリティスレッド部12の存在しない部分に対応する3チャンネルの厚さ検出センサ14が検出した上端BTから下端BBまでの範囲の厚さデータを示している。また、図7は、真正媒体11aにおけるセキュリティスレッド部12の存在する部分に対応する5チャンネルの厚さ検出センサ14が検出した上端BTから下端BBまでの範囲の厚さデータを示している。
【0035】
セキュリティスレッド部12には、図3及び5に示されるように、厚さの変化によってスレッドウィンドウパタンが形成され、該スレッドウィンドウパタンの部分が周辺の部分よりも厚くなっている。そのため、厚さを検出すると、真正媒体11aの場合には、図7に示されるように、凹凸が検出される。なお、凸部はスレッドウィンドウパタンの部分であり、凹部はスレッドウィンドウパタンの周辺の部分である。
【0036】
また、図8において、11bは、貼り合わせ券のようにテープ18がセキュリティスレッド部12に貼付された媒体11としてのテープ貼付媒体である。そして、該テープ貼付媒体11bの各部における上端BTから下端BBまでの範囲の厚さは、図8に示されるように、1〜10チャンネルの厚さ検出センサ14の各々によって検出される。
【0037】
図9は、テープ貼付媒体11bにおけるセキュリティスレッド部12の存在しない部分に対応する3チャンネルの厚さ検出センサ14が検出した上端BTから下端BBまでの範囲の厚さデータを示している。また、図10は、テープ貼付媒体11bにおけるセキュリティスレッド部12の存在する部分に対応する5チャンネルの厚さ検出センサ14が検出した上端BTから下端BBまでの範囲の厚さデータを示している。
【0038】
そして、厚さデータ取得部21は、1〜10チャンネルの厚さ検出センサ14の各々が検出した媒体11の各部の厚さデータを取得し、厚さデータ格納部22に格納する。
【0039】
続いて、スレッド部厚さデータ取得部23は、厚さデータ格納部22に格納された厚さデータの中から、セキュリティスレッド部12が通過するチャンネルの厚さデータのみをスレッド部厚さデータとして取得する。本実施の形態においては、5チャンネルの厚さ検出センサ14がセキュリティスレッド部12の存在する部分に対応するものとする。したがって、前記スレッド部厚さデータ取得部23は、媒体11の搬送位置の計算結果に基づき、5チャンネルの厚さデータをスレッド部厚さデータとして取得し、スレッド部厚さデータ格納部24に格納する。
【0040】
次に、スレッド部厚さデータの解析以降の動作について説明する。
【0041】
図11は本発明の第1の実施の形態における真正媒体のスレッド部厚さデータを示す図、図12は本発明の第1の実施の形態におけるテープ貼付媒体のスレッド部厚さデータを示す図、図13は本発明の第1の実施の形態におけるテープの影響によるスレッド部厚さデータの変化を示す図である。
【0042】
厚さデータ解析部25は、スレッド部厚さデータ格納部24に格納されたスレッド部厚さデータの解析を行い、特徴データを取得する。本実施の形態においては、図11及び12に示されるようなスレッド部厚さデータの凹凸波形の分散を特徴データとする。
【0043】
媒体11が真正媒体11aである場合、図11に示されるように、スレッド部厚さデータにスレッドウィンドウパタンの部分及びその周辺の部分の凹凸がはっきりと特徴として現れるので、スレッド部厚さデータの波形は、振幅の大きい凹凸波形となる。
【0044】
これに対し、媒体11がテープ貼付媒体11bである場合、テープ18がセキュリティスレッド部12のスレッドウィンドウパタンの部分及びその周辺の部分の凹凸に密着しないので、テープ18のプロフィールが図13において太線で示されるようになる。そのため、テープ貼付媒体11bの場合、スレッド部厚さデータにスレッドウィンドウパタンの部分及びその周辺の部分の凹凸がはっきり現れないので、スレッド部厚さデータの波形は、図12に示されるように、振幅の小さい凹凸波形となる。
【0045】
そこで、本実施の形態においては、媒体11の上端BTから下端BBまでの範囲におけるスレッド部厚さデータの分散を求め、分散が大きい場合には媒体11が真正媒体11aであると判定し、分散が小さい場合には媒体11がテープ貼付媒体11bであると判定する。
【0046】
そして、分散は、次の式(1)によって計算することができる。
【0047】
【数1】

ここで、Vは分散、mは上端BTから下端BBまでの範囲においてスレッド部厚さデータの値をピックアップした点の個数、Xaveは上端BTから下端BBまでの範囲におけるスレッド部厚さデータの平均値、Xiは各点におけるスレッド部厚さデータの値である。なお、前記平均値Xaveは、真正媒体11aの場合、図11に示されるL1となり、テープ貼付媒体11bの場合、図12に示されるL2となる。
【0048】
そして、厚さデータ解析部25は、スレッド部厚さデータの解析において、媒体11のスレッド部厚さデータの分散Vを前記式(1)によって算出し、算出した分散Vの値を媒体11の特徴データとして特徴データ格納部26に格納する。
【0049】
一方、判定閾値格納部28には、媒体11が真正媒体11aであるか又はテープ貼付媒体11bであるかを判定するための判定閾値があらかじめ格納されている。該判定閾値は、真正媒体11aのスレッド部厚さデータについて、前記式(1)によって分散Vを算出して特徴データとし、多数の真正媒体11aの特徴データの統計的データ集計により決定される。すなわち、真正媒体11aの母数に対して前記式(1)によって算出した分散Vの値の正規分布から、前記判定閾値が決定される。
【0050】
続いて、判定部27は、次の式(2)及び(3)によって、媒体11が真正媒体11aであるか又はテープ貼付媒体11bであるかを判定する。
【0051】
真正媒体11aである:V≧Thv …式(2)
テープ貼付媒体11bである: V<Thv …式(3)
ここで、Thvは判定閾値である。
【0052】
例えば、媒体11が真正媒体11aである場合の分散VをVtとする。この場合、平均値L1=80、振幅MAX=100、振幅MIN=60、上端BT=10、下端BB=70であるとすると、前記式(1)によって分散Vtは
Vt=400
となる。
【0053】
そして、真正媒体11aの母数による正規分布から判定閾値Thvを、
Thv=300
と決める。
【0054】
また、例えば、媒体11がテープ貼付媒体11bである場合の分散VをVfとする。この場合、平均値L2=90、振幅MAX=100、振幅MIN=80、上端BT=10、下端BB=70であるとすると、前記式(1)によって分散Vfは
Vf=100
となる。
【0055】
ここで、媒体11のスレッド部厚さデータの分散Vの値が100であるとすると、前記式(3)に該当するので、判定部27は、媒体11はテープ貼付媒体11bである、と判定する。そして、判定部27の判定結果は、結果出力部29が出力する。
【0056】
このように、本実施の形態においては、セキュリティスレッド部12のスレッドウィンドウパタンの厚さデータの振幅を示す分散Vの値を判定閾値と比較することによって、媒体11が真正媒体11aであるか又はテープ貼付媒体11bであるかを判定するようになっている。これにより、セキュリティスレッド部12に貼付されたテープ18の存在を高精度で検出することができる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0058】
図14は本発明の第2の実施の形態における媒体鑑別装置の構成を示すブロック図である。
【0059】
図に示されるように、本実施の形態における媒体鑑別装置10は、スレッド部厚さデータを辞書データとして格納する辞書データ格納部31を有する。なお、前記第1の実施の形態における判定閾値格納部28は省略されている。そして、判定部27は、辞書データ格納部31にあらかじめ格納されている辞書データを用い、特徴データ格納部26に格納された特徴データと比較し、媒体11にテープ18が貼付されているか否かを判定する。
【0060】
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0061】
次に、本実施の形態における媒体鑑別装置10の動作について説明する。まず、辞書データの作成方法について説明する。
【0062】
図15は本発明の第2の実施の形態における辞書データを作成するための構成を示す図、図16は本発明の第2の実施の形態における真正媒体の厚さを検出する動作を示す図、図17は本発明の第2の実施の形態における3チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータを示す図、図18は本発明の第1の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータを示す図である。
【0063】
図15において、32は一群の真正媒体11aから成る媒体群、33は該媒体群32のスレッド部厚さデータを平均化して平均スレッド部厚さデータを作成する特徴データ集計部、34は該特徴データ集計部33によって作成された平均スレッド部厚さデータを辞書データとして出力し、辞書データ格納部31に格納する辞書データ出力部である。
【0064】
まず、媒体群32の媒体11は、厚さ検出装置13に搬入され、厚さ検出センサ14によって各部の厚さが検出される。なお、前記媒体11は真正媒体11aである。そして、真正媒体11aの各部における上端BTから下端BBまでの範囲の厚さは、図16に示されるように、1〜10チャンネルの厚さ検出センサ14の各々によって検出される。
【0065】
媒体11の厚さが検出されると、厚さデータ取得部21は、1〜10チャンネルの厚さ検出センサ14の各々が検出した媒体11の各部の厚さデータを取得し、厚さデータ格納部22に格納する。図17は、真正媒体11aにおけるセキュリティスレッド部12の存在しない部分に対応する3チャンネルの厚さ検出センサ14が検出した上端BTから下端BBまでの範囲の厚さデータを示している。また、図18は、真正媒体11aにおけるセキュリティスレッド部12の存在する部分に対応する5チャンネルの厚さ検出センサ14が検出した上端BTから下端BBまでの範囲の厚さデータを示している。
【0066】
続いて、スレッド部厚さデータ取得部23は、厚さデータ格納部22に格納された厚さデータの中から、セキュリティスレッド部12が通過するチャンネルの厚さデータのみをスレッド部厚さデータとして取得する。本実施の形態においては、5チャンネルの厚さ検出センサ14がセキュリティスレッド部12の存在する部分に対応するものとする。したがって、前記スレッド部厚さデータ取得部23は、媒体11の搬送位置の計算結果に基づき、5チャンネルの厚さデータをスレッド部厚さデータとして取得し、スレッド部厚さデータ格納部24に格納する。
【0067】
そして、前記媒体群32のすべての真正媒体11aについてのスレッド部厚さデータの取得が完了するまで、前述の動作を繰り返す。これにより、媒体群32のすべての真正媒体11aについてのスレッド部厚さデータがスレッド部厚さデータ格納部24に格納される。
【0068】
続いて、厚さデータ解析部25は、スレッド部厚さデータ格納部24に格納されたスレッド部厚さデータの解析を行い、該スレッド部厚さデータにおける凹凸の位置のばらつき、及び、真正媒体11aの紙厚によるスレッド部厚さデータのレベルのばらつきについて、スレッド部厚さデータの波形の補正を行う。
【0069】
次に、スレッド部厚さデータの波形の補正方法及び平均化方法について説明する。
【0070】
図19は本発明の第2の実施の形態におけるスレッド部厚さデータの波形の補正方法を示す図、図20は本発明の第2の実施の形態におけるスレッド部厚さデータの波形の平均化方法を示す図である。なお、図19において、(a)は基準波形を示し、(b)は凹凸の位置を補正する前の波形を示し、(c)は凹凸の位置を補正した後の波形を示し、(d)はレベルを補正する前の波形を示し、(e)はレベルを補正した後の波形を示している。また、図20において、(a)〜(c)は平均化の対象となる波形を示し、(d)は平均化された波形を示している。
【0071】
まず、スレッド部厚さデータにおける凹凸の位置の補正方法について説明する。
【0072】
この場合、図19(a)に示されるようなスレッド部厚さデータD1の波形を基準波形とする。また、スレッド部厚さデータD1の波形における第1番目の凸部の中心位置T1を基準とする。そして、図19(b)に示されるようなスレッド部厚さデータD2の波形を、第1番目の凸部の中心位置T2が前記スレッド部厚さデータD1の波形における第1番目の凸部の中心位置T1に一致するように、横軸方向に平行移動させる。これにより、図19(c)に示されるように、凹凸の位置が補正されたスレッド部厚さデータD3の波形を得ることができる。
【0073】
次に、スレッド部厚さデータにおけるレベルの補正方法について説明する。
【0074】
この場合も、図19(a)に示されるようなスレッド部厚さデータD1の波形を基準波形とする。また、スレッド部厚さデータD1の平均値をL3とする。そして、図19(d)に示されるようなスレッド部厚さデータD4の波形を、スレッド部厚さデータD4の平均値L4が前記スレッド部厚さデータD1の平均値L3に一致するように、縦軸方向に平行移動させる。これにより、図19(e)に示されるように、レベルが補正されたスレッド部厚さデータD5の波形を得ることができる。
【0075】
このようにして、厚さデータ解析部25は、媒体群32のすべての真正媒体11aについてのスレッド部厚さデータの波形の補正を行い、補正されたスレッド部厚さデータを特徴データ格納部26に格納する。
【0076】
続いて、特徴データ集計部33は、特徴データ格納部26に格納されているスレッド部厚さデータを読み込み、平均化を行う。この場合、図20(a)〜(c)に示されるようなスレッド部厚さデータD1、D3及びD5のような波形が補正されたスレッド部厚さデータを平均して、図20(d)においてD6として示されるような平均スレッド部厚さデータを作成する。すると、辞書データ出力部34は、平均スレッド部厚さデータD6を辞書データとして出力し、辞書データ格納部31に格納する。
【0077】
次に、媒体11が真正媒体11aであるか又はテープ貼付媒体11bであるかを判定する動作について説明する。
【0078】
図21は本発明の第2の実施の形態における媒体のスレッド部厚さデータを辞書データと比較する動作を示す図である。なお、図において、(a)は辞書データを示し、(b)は媒体のスレッド部厚さデータを示し、(c)は媒体のスレッド部厚さデータを辞書データと比較を示している。
【0079】
まず、媒体11が厚さ検出装置13に搬入され、厚さ検出センサ14によって各部の厚さが検出される。この場合、前記媒体11は、テープ18がセキュリティスレッド部12に貼付されたテープ貼付媒体11bであるものとする。そして、テープ貼付媒体11bの各部における上端BTから下端BBまでの範囲の厚さは、1〜10チャンネルの厚さ検出センサ14の各々によって検出される。
【0080】
媒体11の厚さが検出されると、厚さデータ取得部21は、1〜10チャンネルの厚さ検出センサ14の各々が検出した媒体11の各部の厚さデータを取得し、厚さデータ格納部22に格納する。
【0081】
続いて、スレッド部厚さデータ取得部23は、厚さデータ格納部22に格納された厚さデータの中から、セキュリティスレッド部12が通過するチャンネルの厚さデータのみをスレッド部厚さデータとして取得する。本実施の形態においては、5チャンネルの厚さ検出センサ14がセキュリティスレッド部12の存在する部分に対応するものとする。したがって、前記スレッド部厚さデータ取得部23は、媒体11の搬送位置の計算結果に基づき、5チャンネルの厚さデータをスレッド部厚さデータとして取得し、スレッド部厚さデータ格納部24に格納する。
【0082】
続いて、厚さデータ解析部25は、スレッド部厚さデータ格納部24に格納されたスレッド部厚さデータの解析を行い、該スレッド部厚さデータにおける凹凸の位置のばらつき、及び、媒体11の紙厚によるスレッド部厚さデータのレベルのばらつきについて、スレッド部厚さデータの波形の補正を行う。そして、厚さデータ解析部25は、補正されたスレッド部厚さデータを特徴データ格納部26に格納する。ここでは、図21(b)においてD8として示されるようなスレッド部厚さデータが特徴データ格納部26に格納されたものとする。
【0083】
続いて、判定部27は、特徴データ格納部26に格納されたスレッド部厚さデータD8と、辞書データ格納部31にあらかじめ格納されている辞書データD7とを比較する。図21(c)は、実線で示されるスレッド部厚さデータD8と点線で示される辞書データD7とを、比較のために重ね合わせた状態を示している。
【0084】
本実施の形態においては、辞書データD7とスレッド部厚さデータD8とのユークリッド距離を判定特徴として算出する。
【0085】
前記ユークリッド距離は次の式(4)によって計算することができる。
【0086】
【数2】

ここで、YFeatはユークリッド距離、mは上端BTから下端BBまでの範囲において辞書データD7及びスレッド部厚さデータD8の値をピックアップした点の個数、Dctは各点における辞書データD7の値、Pfは各点におけるスレッド部厚さデータD8の値である。
【0087】
そして、判定部27は、次の式(5)及び(6)によって、媒体11が真正媒体11aであるか又はテープ貼付媒体11bであるかを判定する。
【0088】
真正媒体11aである: YFeat<Tyd …式(5)
テープ貼付媒体11bである: YFeat≧Tyd …式(6)
ここで、Tydは判定閾値である。
【0089】
ユークリッド距離YFeatが大きいほど辞書データD7とスレッド部厚さデータD8との差が大きいことになるので、ユークリッド距離YFeatが判定閾値Tyd以上であると、テープ貼付媒体11bであると判定する。また、ユークリッド距離YFeatが小さいほど辞書データD7とスレッド部厚さデータD8との差が小さいことになるので、ユークリッド距離YFeatが判定閾値Tyd未満であると、真正媒体11aであると判定する。そして、判定部27の判定結果は、結果出力部29が出力する。
【0090】
このように、本実施の形態においては、真正媒体11aのスレッド部厚さデータを辞書データとして辞書データ格納部31にあらかじめ格納しておき、厚さを検出した媒体11のスレッド部厚さデータを前記辞書データと比較することによって、媒体11が真正媒体11aであるか又はテープ貼付媒体11bであるかを判定するようになっている。これにより、セキュリティスレッド部12に貼付されたテープ18の存在を高精度で検出することができる。
【0091】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1及び第2の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0092】
図22は本発明の第3の実施の形態における媒体鑑別装置の構成を示すブロック図である。
【0093】
図に示されるように、本実施の形態における媒体鑑別装置10は、スレッド部厚さデータを複数の領域に分割して特徴抽出を行う領域別厚さデータ解析部41、及び、領域別に分割されたスレッド部厚さデータからテープ貼付媒体11bであるか否かを判定する判定部としての領域別特徴判定部42を有する。なお、前記第1の実施の形態における厚さデータ解析部25、判定部27及び判定閾値格納部28は省略されている。そして、特徴データ格納部26は、領域別厚さデータ解析部41のデータを格納し、結果出力部29は領域別特徴判定部42の判定結果を画面及びファイルに出力する。
【0094】
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0095】
次に、本実施の形態における媒体鑑別装置10の動作について説明する。
【0096】
図23は本発明の第3の実施の形態における厚さ検出装置がテープ貼付媒体の厚さを検出する動作を示す図、図24は本発明の第3の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出したテープ貼付媒体の厚さデータを示す図である。
【0097】
まず、媒体11が厚さ検出装置13に搬入され、厚さ検出センサ14によって各部の厚さが検出される。この場合、前記媒体11は、図23に示されるように、テープ18がセキュリティスレッド部12の半分に貼付されたテープ貼付媒体11bであるものとする。すなわち、セキュリティスレッド部12における上端BTから中央BCまでの範囲にテープ18が貼付され、中央BCから下端BBまでの範囲には、テープ18が貼付されていないものとする。そして、テープ貼付媒体11bの各部における上端BTから下端BBまでの範囲の厚さは、1〜10チャンネルの厚さ検出センサ14の各々によって検出される。
【0098】
媒体11の厚さが検出されると、厚さデータ取得部21は、1〜10チャンネルの厚さ検出センサ14の各々が検出した媒体11の各部の厚さデータを取得し、厚さデータ格納部22に格納する。
【0099】
続いて、スレッド部厚さデータ取得部23は、厚さデータ格納部22に格納された厚さデータの中から、セキュリティスレッド部12が通過するチャンネルの厚さデータのみをスレッド部厚さデータとして取得する。本実施の形態においては、5チャンネルの厚さ検出センサ14がセキュリティスレッド部12の存在する部分に対応するものとする。したがって、前記スレッド部厚さデータ取得部23は、媒体11の搬送位置の計算結果に基づき、5チャンネルの厚さデータをスレッド部厚さデータとして取得し、スレッド部厚さデータ格納部24に格納する。
【0100】
本実施の形態における5チャンネルの厚さデータ、すなわち、スレッド部厚さデータは、図24に示されるようになっている。図24において、R1はテープ18が貼付された領域であり、R2はテープ18が貼付されていない領域である。
【0101】
次に、領域別厚さデータ解析部41は、スレッド部厚さデータ格納部24に格納されたスレッド部厚さデータについて、領域を決定する。本実施の形態においては、領域を、短手方向に関して中央BCで、領域R1と領域R2とに2分割する場合について説明する。なお、領域の分割数については、特に制限はなく、必要に応じて3つ以上の領域に分割することもできる。
【0102】
そして、領域別厚さデータ解析部41は、領域R1及び領域R2におけるスレッド部厚さデータの分散Vを求める。なお、該分散Vは、前記第1の実施の形態において説明したように、前記式(1)によって計算することができる。この場合、テープ18が貼付された領域R1では分散Vが小さく、テープ18が貼付されていない領域R2では分散Vが大きい。そして、算出した領域R1及び領域R2におけるスレッド部厚さデータの分散Vの値を特徴データ格納部26に格納する。
【0103】
続いて、領域別特徴判定部42は、特徴データ格納部26に格納されている領域R1の分散Vの値と領域R2の分散Vの値とを比較し、媒体11が真正媒体11aであるか又はテープ貼付媒体11bであるかを判定する。なお、本実施の形態においては、領域R1及び領域R2のそれぞれの分散Vの値の差を特徴として判定する。
【0104】
すなわち、領域R1の分散をVtとし、領域R2の分散をVbとし、
|Vt−Vb|≧Ta
である場合は、媒体11がテープ貼付媒体11bであると判定し、
|Vt−Vb|<Ta
である場合は、媒体11が真正媒体11aであると判定する。
【0105】
ここで、Taは判定閾値である。
【0106】
そして、領域別特徴判定部42の判定結果は、結果出力部29によって出力される。
【0107】
このように、本実施の形態においては、スレッド部厚さデータを複数の領域に分割し、領域毎の分散の値を比較することによって、媒体11が真正媒体11aであるか又はテープ貼付媒体11bであるかを判定するようになっている。これにより、セキュリティスレッド部12の半分にテープ18が貼付された場合であっても、該テープ18の存在を高精度で検出し、確実にテープ貼付媒体11bであると判定することができる。
【0108】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1〜第3の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0109】
図25は本発明の第4の実施の形態における媒体鑑別装置の構成を示すブロック図である。
【0110】
図に示されるように、本実施の形態における媒体鑑別装置10は、スレッド部厚さデータの凹凸数の特徴抽出を行う凹凸特徴データ解析部51、及び、凹凸数に基づいて媒体11がテープ貼付媒体11bであるか否かを判定する判定部としての凹凸特徴判定部52を有する。なお、前記第1の実施の形態における厚さデータ解析部25及び判定部27は省略されている。そして、特徴データ格納部26は、凹凸特徴データ解析部51のデータを格納し、判定閾値格納部28はテープ貼付媒体11bであるか否かの判定に用いる判定閾値を格納し、結果出力部29は凹凸特徴判定部52の判定結果を画面及びファイルに出力する。
【0111】
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0112】
次に、本実施の形態における媒体鑑別装置10の動作について説明する。
【0113】
図26は本発明の第4の実施の形態における厚さ検出装置がテープ貼付媒体の厚さを検出する動作を示す図、図27は本発明の第4の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータを示す図、図28は本発明の第4の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出したテープ貼付媒体の厚さデータを示す図である。
【0114】
まず、媒体11が厚さ検出装置13に搬入され、厚さ検出センサ14によって各部の厚さが検出される。この場合、前記媒体11は、図26に示されるように、テープ18がセキュリティスレッド部12の複数箇所(図に示される例においては、2箇所)に貼付されたテープ貼付媒体11bであるものとする。すなわち、セキュリティスレッド部12における上端BTに隣接した部分と、下端BBに隣接した部分とにテープ18が貼付され、その他の部分には、テープ18が貼付されていないものとする。そして、テープ貼付媒体11bの各部における上端BTから下端BBまでの範囲の厚さは、1〜10チャンネルの厚さ検出センサ14の各々によって検出される。
【0115】
媒体11の厚さが検出されると、厚さデータ取得部21は、1〜10チャンネルの厚さ検出センサ14の各々が検出した媒体11の各部の厚さデータを取得し、厚さデータ格納部22に格納する。
【0116】
続いて、スレッド部厚さデータ取得部23は、厚さデータ格納部22に格納された厚さデータの中から、セキュリティスレッド部12が通過するチャンネルの厚さデータのみをスレッド部厚さデータとして取得する。本実施の形態においては、5チャンネルの厚さ検出センサ14がセキュリティスレッド部12の存在する部分に対応するものとする。したがって、前記スレッド部厚さデータ取得部23は、媒体11の搬送位置の計算結果に基づき、5チャンネルの厚さデータをスレッド部厚さデータとして取得し、スレッド部厚さデータ格納部24に格納する。
【0117】
本実施の形態における5チャンネルの厚さデータ、すなわち、スレッド部厚さデータは、図28に示されるようになっている。図28において、R3はテープ18が貼付された領域であり、Thaは凹凸特徴抽出の凹凸判定閾値である。また、図27には、比較のために、媒体11が真正媒体11aである場合のスレッド部厚さデータが示されている。
【0118】
次に、凹凸特徴データ解析部51は、スレッド部厚さデータ格納部24に格納されたスレッド部厚さデータについて、凹凸判定閾値Thaを基準とし、該凹凸判定閾値Tha以上の凸部の個数をカウントする。この場合、スレッド部厚さデータを上端BTから下端BBまでサーチし、凹凸判定閾値Thaを超えて次に凹凸判定閾値Tha以下になるときに、凸部が1つあるとカウントする方法で凸部の個数をカウントする。
【0119】
そして、図28に示される例の場合は、凸部の個数が3とカウントされ、凹凸特徴データ解析部51の解析結果である「3」が特徴データ格納部26に格納される。なお、本実施の形態における判定閾値格納部28には、図27に示されるような真正媒体11aのスレッド部厚さデータにおける凸部の個数である「5」が、判定閾値として格納されている。
【0120】
続いて、凹凸特徴判定部52は、特徴データ格納部26に格納された特徴データ「3」、及び、判定閾値格納部28に格納されている判定閾値「5」を取得して判定する。その結果、特徴データ「3」が判定閾値「5」より少ないので、媒体11は、テープ18が貼付されたテープ貼付媒体11bであると判定する。そして、凹凸特徴判定部52の判定結果は、結果出力部29によって出力される。
【0121】
このように、本実施の形態においては、スレッド部厚さデータの凸部の個数を凹凸判定閾値と比較して、媒体11が真正媒体11aであるか又はテープ貼付媒体11bであるかを判定するようになっている。これにより、セキュリティスレッド部12の一部にテープ18が貼付された場合であっても、該テープ18の存在を高精度で検出し、確実にテープ貼付媒体11bであると判定することができる。
【0122】
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、第1〜第4の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1〜第4の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0123】
図29は本発明の第5の実施の形態における媒体鑑別装置の構成を示すブロック図である。
【0124】
図に示されるように、本実施の形態における媒体鑑別装置10は、隣接チャンネル厚さデータ取得部61、隣接チャンネル厚さデータ格納部62、隣接チャンネル厚さデータ解析部63、隣接チャンネル解析データ格納部67、厚さ判定特徴データ解析部64及び判定部としてのテープ貼り判定部65を有する。なお、前記第1の実施の形態における厚さデータ解析部25及び判定部27は省略されている。
【0125】
ここで、隣接チャンネル厚さデータ取得部61は、セキュリティスレッド部12の隣接チャンネルの厚さデータを取得する。そして、隣接チャンネル厚さデータ格納部62は、隣接チャンネル厚さデータ取得部61が取得した厚さデータを格納する。
【0126】
また、隣接チャンネル厚さデータ解析部63は、隣接チャンネルの厚さデータからセキュリティスレッド部12の特徴解析を行うための基準データを抽出する。そして、隣接チャンネル解析データ格納部67は、隣接チャンネル厚さデータ解析部63によって解析されたデータを格納する。
【0127】
さらに、厚さ判定特徴データ解析部64は、前記隣接チャンネル厚さデータ解析部63のデータ及びスレッド部厚さデータ格納部24に格納されている厚さデータから判定に用いる特徴抽出を行う。そして、テープ貼り判定部65は、前記判定閾値格納部28に格納されている判定閾値と特徴データ格納部26に格納されている特徴データとを比較して、テープ18が貼付されているか否かを判定する。
【0128】
そして、特徴データ格納部26は、厚さ判定特徴データ解析部64によって解析された特徴データを格納し、結果出力部29は、テープ貼り判定部65の判定結果を画面及びファイルに出力する。
【0129】
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0130】
次に、本実施の形態における媒体鑑別装置10の動作について説明する。
【0131】
図30は本発明の第5の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータを示す図、図31は本発明の第5の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサの出力が低い場合の真正媒体の厚さデータを示す図、図32は本発明の第5の実施の形態におけるテープの影響による5チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータの変化を示す図、図33は本発明の第5の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出したテープ貼付媒体の厚さデータを示す図、図34は本発明の第5の実施の形態における4チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータを示す図である。
【0132】
まず、媒体11が厚さ検出装置13に搬入され、厚さ検出センサ14によって各部の厚さが検出される。そして、テープ貼付媒体11bの各部における上端BTから下端BBまでの範囲の厚さは、1〜10チャンネルの厚さ検出センサ14の各々によって検出される。
【0133】
媒体11の厚さが検出されると、厚さデータ取得部21は、1〜10チャンネルの厚さ検出センサ14の各々が検出した媒体11の各部の厚さデータを取得し、厚さデータ格納部22に格納する。
【0134】
続いて、スレッド部厚さデータ取得部23は、厚さデータ格納部22に格納された厚さデータの中から、セキュリティスレッド部12が通過するチャンネルの厚さデータのみをスレッド部厚さデータとして取得する。本実施の形態においては、5チャンネルの厚さ検出センサ14がセキュリティスレッド部12の存在する部分に対応するものとする。したがって、前記スレッド部厚さデータ取得部23は、媒体11の搬送位置の計算結果に基づき、5チャンネルの厚さデータをスレッド部厚さデータとして取得し、スレッド部厚さデータ格納部24に格納する。
【0135】
前記5チャンネルの厚さデータ、すなわち、スレッド部厚さデータは、媒体11が真正媒体11aである場合、図30に示されるようになる。なお、L5は真正媒体11aのスレッド部厚さデータの凸部のレベルを示し、L6は真正媒体11aのスレッド部厚さデータの凹部のレベルを示している。媒体11本体の厚さはレベルL6に対応し、セキュリティスレッド部12の凸部の厚さはレベルL5に対応する。
【0136】
ところで、厚さ検出センサ14の出力が低い場合には、真正媒体11aの5チャンネルの厚さデータ、すなわち、スレッド部厚さデータは、図31に示されるようになる。この場合、スレッド部厚さデータの凸部のレベルは、レベルL6に到達せず、より低いレベルを示すL7となる。
【0137】
これに対し、媒体11がテープ貼付媒体11bである場合、テープ18がセキュリティスレッド部12のスレッドウィンドウパタンの部分及びその周辺の部分の凹凸に密着しないので、テープ18のプロフィールが図32において太線で示されるようになる。したがって、スレッド部厚さデータは、媒体11がテープ貼付媒体11bである場合、図33に示されるようになる。なお、L8はスレッド部厚さデータの凸部のレベルを示し、L9は真正媒体11aのスレッド部厚さデータの凹部のレベルを示し、L10はテープ貼付媒体11bのスレッド部厚さデータの凹部のレベルを示し、媒体11本体の厚さはレベルL9に対応する。
【0138】
一方、隣接チャンネル厚さデータ取得部61は、厚さデータ格納部22に格納された厚さデータの中から、セキュリティスレッド部12の隣接チャンネル厚さデータを取得する。本実施の形態においては、5チャンネルの厚さ検出センサ14がセキュリティスレッド部12の存在する部分に対応するので、4チャンネルの厚さ検出センサ14が隣接チャンネルに対応するものとする。したがって、前記スレッド部厚さデータ取得部23は、4チャンネルの厚さデータを隣接チャンネル厚さデータとして取得し、隣接チャンネル厚さデータ格納部62に格納する。
【0139】
前記4チャンネルの厚さデータ、すなわち、隣接チャンネル厚さデータは、図34に示されるようになる。隣接チャンネルにはセキュリティスレッド部12が存在しないので、隣接チャンネル厚さデータには凹凸がない。なお、L6は媒体11本体の厚さを示し、L11は隣接チャンネル厚さデータの平均値を示している。
【0140】
続いて、隣接チャンネル厚さデータ解析部63は、媒体11の厚さを検出するために、隣接チャンネル厚さデータの平均値を算出し、隣接チャンネル解析データ格納部67に格納する。
【0141】
ところで、厚さ検出センサ14の出力が低い場合、スレッド部厚さデータは、図31に示されるようになるので、凸部と凹部との振幅について、図33に示されるような媒体11がテープ貼付媒体11bである場合のスレッド部厚さデータとの差があまりない。そのため、スレッド部厚さデータにおける凸部と凹部との振幅に基づき、真正媒体11aであるか又はテープ貼付媒体11bであるかを判定することは困難である。
【0142】
そこで、本実施の形態においては、スレッド部厚さデータにおける凸部と凹部との振幅ではなく、隣接チャンネル厚さデータを用い、媒体11の厚さを基準とし、該基準から凸部のレベルを示すレベルL5とレベルL8との差異を特徴として判定する。
【0143】
具体的には、図31に示されるような厚さ検出センサ14の出力が低い場合のスレッド部厚さデータについて、隣接チャンネル厚さデータの平均値を示すL11を基準とし、スレッド部厚さデータにおける凸部のレベルであるL7の差異を、次の式(7)によって算出する。
【0144】
【数3】

ここで、Ftは判定特徴値、mは上端BTから下端BBまでの範囲においてスレッド部厚さデータの値をピックアップした点の個数、Tliはi番目のスレッド部厚さデータ(例えば、図33に示されるスレッド部厚さデータ)、Taveは隣接チャンネル厚さデータの平均値(例えば、図34におけるL11)である。
【0145】
そして、厚さ判定特徴データ解析部64は、スレッド部厚さデータ格納部24に格納されているスレッド部厚さデータ、及び、隣接チャンネル解析データ格納部67に格納されている平均値L11を入力として受け取り、前記式(7)によって判定特徴値Ftを算出し、算出した判定特徴値Ftを特徴データ格納部26に格納する。
【0146】
続いて、テープ貼り判定部65は、あらかじめ判定閾値格納部28に格納されている判定閾値Tlevと特徴データ格納部26に格納されている判定特徴値Ftとを比較し、
Ft≧Tlev
である場合は、媒体11がテープ貼付媒体11bであると判定し、
Ft<Tlev
である場合は、媒体11が真正媒体11aであると判定する。
【0147】
そして、テープ貼り判定部65の判定結果は、結果出力部29によって出力される。
【0148】
このように、本実施の形態においては、厚さ検出センサ14の出力が低い場合、隣接チャンネル厚さデータの平均値を基準として用い、該基準との差異の大きさによって、媒体11が真正媒体11aであるか又はテープ貼付媒体11bであるかを判定するようになっている。これにより、厚さ検出センサ14の出力が低い場合であっても、テープ18の存在を高精度で検出し、確実にテープ貼付媒体11bであると判定することができる。
【0149】
なお、前記第1の実施の形態においては、スレッド部厚さデータの分散を用いた場合についてのみ説明したが、ユークリッド距離、シティブロック距離、マハラノビス距離等の距離計算を用いても、同様の効果を得ることができる。
【0150】
また、前記第2の実施の形態においては、辞書及びユークリッド距離を用いた場合についてのみ説明したが、シティブロック距離、マハラノビス距離等の距離計算や相関係数を用いても、同様の効果を得ることができる。
【0151】
さらに、前記第3の実施の形態においては、セキュリティスレッド部12の上半分にテープ18が貼付された場合についてのみ説明したが、セキュリティスレッド部12の下半分にテープ18が貼付された場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0152】
そして、前記第4の実施の形態においては、セキュリティスレッド部12の上端に隣接する部分及び下端に隣接する部分にテープ18が貼られた場合について説明したが、セキュリティスレッド部12の凹部のどこか一部分にテープ18が貼られた場合であっても、同様の効果を得ることができる。
【0153】
また、前記第4の実施の形態においては、スレッド部厚さデータの凸部の個数を用いる場合についてのみ説明したが、スレッド部厚さデータの凸部の長さや面積等を用いても、同様の効果を得ることができる。
【0154】
さらに、前記第5の実施の形態においては、基準値に対するスレッド部厚さデータにおける凸部の差異の平均値で判定する場合についてのみ説明したが、凹凸の振幅の特徴値(分散値、距離値等)と基準値に対しての凸部との差異の平均値とを組み合わせて判定するようにしても、同様の効果を得ることができる。
【0155】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明の第1の実施の形態における厚さ検出装置の構成を示す平断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における媒体鑑別装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における媒体を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における厚さ検出装置の構成を示す側断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における厚さ検出装置が真正媒体の厚さを検出する動作を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における3チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータを示す図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータを示す図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態における厚さ検出装置がテープ貼付媒体の厚さを検出する動作を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態における3チャンネルの厚さ検出センサが検出したテープ貼付媒体の厚さデータを示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出したテープ貼付媒体の厚さデータを示す図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態における真正媒体のスレッド部厚さデータを示す図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態におけるテープ貼付媒体のスレッド部厚さデータを示す図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態におけるテープの影響によるスレッド部厚さデータの変化を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態における媒体鑑別装置の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態における辞書データを作成するための構成を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態における真正媒体の厚さを検出する動作を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態における3チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータを示す図である。
【図18】本発明の第1の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータを示す図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態におけるスレッド部厚さデータの波形の補正方法を示す図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態におけるスレッド部厚さデータの波形の平均化方法を示す図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態における媒体のスレッド部厚さデータを辞書データと比較する動作を示す図である。
【図22】本発明の第3の実施の形態における媒体鑑別装置の構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の第3の実施の形態における厚さ検出装置がテープ貼付媒体の厚さを検出する動作を示す図である。
【図24】本発明の第3の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出したテープ貼付媒体の厚さデータを示す図である。
【図25】本発明の第4の実施の形態における媒体鑑別装置の構成を示すブロック図である。
【図26】本発明の第4の実施の形態における厚さ検出装置がテープ貼付媒体の厚さを検出する動作を示す図である。
【図27】本発明の第4の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータを示す図である。
【図28】本発明の第4の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出したテープ貼付媒体の厚さデータを示す図である。
【図29】本発明の第5の実施の形態における媒体鑑別装置の構成を示すブロック図である。
【図30】本発明の第5の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータを示す図である。
【図31】本発明の第5の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサの出力が低い場合の真正媒体の厚さデータを示す図である。
【図32】本発明の第5の実施の形態におけるテープの影響による5チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータの変化を示す図である。
【図33】本発明の第5の実施の形態における5チャンネルの厚さ検出センサが検出したテープ貼付媒体の厚さデータを示す図である。
【図34】本発明の第5の実施の形態における4チャンネルの厚さ検出センサが検出した真正媒体の厚さデータを示す図である。
【符号の説明】
【0157】
10 媒体鑑別装置
11 媒体
11a 真正媒体
11b テープ貼付媒体
12 セキュリティスレッド部
14 厚さ検出センサ
18 テープ
21 厚さデータ取得部
23 スレッド部厚さデータ取得部
25 厚さデータ解析部
27 判定部
31 辞書データ格納部
33 特徴データ集計部
34 辞書データ出力部
41 領域別厚さデータ解析部
42 領域別特徴判定部
51 凹凸特徴データ解析部
52 凹凸特徴判定部
61 隣接チャンネル厚さデータ取得部
63 隣接チャンネル厚さデータ解析部
64 厚さ判定特徴データ解析部
65 テープ貼り判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)媒体の各部に対応する各チャンネルの厚さ検出センサが検出した厚さデータを取得する厚さデータ取得部と、
(b)前記厚さデータの中から前記媒体のセキュリティスレッド部に対応するスレッド部厚さデータを取得するスレッド部厚さデータ取得部と、
(c)前記スレッド部厚さデータの分散を算出する厚さデータ解析部と、
(d)算出された分散の値をあらかじめ設定された判定閾値と比較して、前記セキュリティスレッド部にテープが貼付されているか否かを判定する判定部とを有することを特徴とする媒体鑑別装置。
【請求項2】
前記スレッド部厚さデータは、前記セキュリティスレッド部のスレッドウィンドウパタンに対応する凹凸を含む波形を備える請求項1に記載の媒体鑑別装置。
【請求項3】
(a)媒体の各部に対応する各チャンネルの厚さ検出センサが検出した厚さデータを取得する厚さデータ取得部と、
(b)前記厚さデータの中から前記媒体のセキュリティスレッド部に対応するスレッド部厚さデータを取得するスレッド部厚さデータ取得部と、
(c)複数の真正な媒体のスレッド部厚さデータを平均化して平均スレッド部厚さデータを作成する特徴データ集計部と、
(d)前記平均スレッド部厚さデータを辞書データとして出力する辞書データ出力部とを有することを特徴とする媒体鑑別装置。
【請求項4】
前記スレッド部厚さデータの波形の補正を行う厚さデータ解析部と、
前記辞書データを格納する辞書データ格納部と、
補正されたスレッド部厚さデータの波形を前記辞書データの波形と比較して、前記セキュリティスレッド部にテープが貼付されているか否かを判定する判定部とを更に有する請求項3に記載の媒体鑑別装置。
【請求項5】
前記判定部は、補正されたスレッド部厚さデータの波形と前記辞書データの波形とのユークリッド距離に基づいて判定する請求項4に記載の媒体鑑別装置。
【請求項6】
(a)媒体の各部に対応する各チャンネルの厚さ検出センサが検出した厚さデータを取得する厚さデータ取得部と、
(b)前記厚さデータの中から前記媒体のセキュリティスレッド部に対応するスレッド部厚さデータを取得するスレッド部厚さデータ取得部と、
(c)前記スレッド部厚さデータを複数の領域に分割し、各領域のスレッド部厚さデータの分散を算出する領域別厚さデータ解析部と、
(d)領域毎の分散の値を比較して、前記セキュリティスレッド部にテープが貼付されているか否かを判定する判定部とを有することを特徴とする媒体鑑別装置。
【請求項7】
(a)媒体の各部に対応する各チャンネルの厚さ検出センサが検出した厚さデータを取得する厚さデータ取得部と、
(b)前記厚さデータの中から前記媒体のセキュリティスレッド部に対応するスレッド部厚さデータを取得するスレッド部厚さデータ取得部と、
(c)前記スレッド部厚さデータの波形に含まれる凸部の個数をカウントする凹凸特徴データ解析部と、
(d)カウントされた凸部の個数をあらかじめ設定された判定閾値と比較して、前記セキュリティスレッド部にテープが貼付されているか否かを判定する判定部とを有することを特徴とする媒体鑑別装置。
【請求項8】
(a)媒体の各部に対応する各チャンネルの厚さ検出センサが検出した厚さデータを取得する厚さデータ取得部と、
(b)前記厚さデータの中から前記媒体のセキュリティスレッド部に対応するスレッド部厚さデータを取得するスレッド部厚さデータ取得部と、
(c)前記厚さデータの中から前記媒体のセキュリティスレッド部に隣接する部分に対応する隣接チャンネル厚さデータを取得する隣接チャンネル厚さデータ取得部と、
(d)前記隣接チャンネル厚さデータの平均値を算出して基準を作成する隣接チャンネル厚さデータ解析部と、
(e)前記スレッド部厚さデータと基準との差異を算出して判定特徴値を作成する厚さ判定特徴データ解析部と、
(f)作成された判定特徴値をあらかじめ設定された判定閾値と比較して、前記セキュリティスレッド部にテープが貼付されているか否かを判定する判定部とを有することを特徴とする媒体鑑別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2009−129390(P2009−129390A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306791(P2007−306791)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】