安全性が向上した高温工業プロセス用装置
【課題】 高温工業プロセスにおける改良されたリアクター装置および関連するプロセスにおけるその使用方法の提供。
【解決手段】 少なくとも1つのフランジ付接続部を含む高温工業プロセス用装置であって、少なくとも1つのフランジ付接続部の少なくとも1つのフランジが、少なくとも1つのフランジに連結した少なくとも1つのサポートラグにより機械的損傷から保護されている装置。
【解決手段】 少なくとも1つのフランジ付接続部を含む高温工業プロセス用装置であって、少なくとも1つのフランジ付接続部の少なくとも1つのフランジが、少なくとも1つのフランジに連結した少なくとも1つのサポートラグにより機械的損傷から保護されている装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に高温工業プロセスに関し、より詳細には、リアクター装置および関連するプロセスにおけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リアクターを用いたシアン化水素および硝酸などの化学物質の製造は公知である。例えば、シアン化水素のアンモニアおよび炭化水素ガスからの一段合成法で、白金金属触媒の存在下で空気との同時反応により熱が供給される合成法は、Andrussow、米国特許第1934838号に開示されている。このプロセスに関する多くの修正および改良が他の特許に記載されている。
【0003】
効率を向上させるために、断熱材をリアクターの外側に追加して熱損失を防ぐことが多い。しかしながら、リアクターを構成する物質により、リアクターが安全に作動できる温度が制限される。水ジャケットをリアクターに組み入れて、リアクターの過熱と容器の破損の可能性を防ぐ場合がある。水ジャケットへの供給が中断されると、外部断熱されたリアクター中の温度が、リアクターまたはフランジ付接続部または他の容器成分が破損を起こす程度まで上昇し、危険な化学物質が大気中に放出される可能性がある。外部断熱材は、効率を増大させるが、リアクターの破損の可能性も増大させる。リアクターを耐火性物質で内部から断熱する試みがなされてきたが、典型的には、耐火性物質は熱および機械的衝撃により非常に割れやすく、このために耐火性物質を損傷することなくメンテナンスのためにプロセスを開始させたり、停止させたり、またはリアクターヘッドを取り外すことは困難であるかまたは不可能である。耐火性物質は比較的引っ張り強度が低いので、ドーム型または円錐型リアクターヘッドの内部表面上に耐火性物質を懸垂状態に維持することも非常に難しい。
【0004】
加えて、図1に示すような公知のリアクターデザインは流れ分離により特徴づけられるような流量分布不良を示す。図1に示すように、耐火性物質4を有するリアクター2に流入する不良な流れ分布はリアクター2の左側で上昇流を起こし、その結果、壁面8上で分解とすすの蓄積6が起こる。図1に示すように乱流のジェット効果によって、流れが触媒9の限定された部分しか利用できないので触媒の寿命が短くなる。さらに、酸素富化HCNまたは酸素富化アンモニア酸化リアクターなどの非常に易燃性のフィード混合物を含むプロセスにおいて、図1に示すような流れ分布はフラッシュバックおよびデトネーションの著しい可能性を生じる。
【0005】
さらに、リアクターヘッドは典型的には、バレル(barrel)、交換器、またはリアクターヘッドを支持する他の装置と接続するための大きなウェルドネック(weld−neck)または重ね継ぎ手フランジ(lap jointflange)を含む。大きなウェルドネックまたは重ね継ぎ手フランジは、設計および製造に非常に費用がかかることが多く、リアクターと例えばバレル間の適当な密封を確実にするために密封表面を慎重に保守しなければならない。リアクターが作動状態にあり、Andrussowプロセスにおいて存在するHCNなどの潜在的に危険で、高温の化学物質を含む場合に、接続表面のメンテナンスは非常に重要である。メンテナンスまたは他の理由によりリアクターヘッド(reactor head)を動かす必要が生じた場合に、操作員はリアクターを直ちに稼働状態に戻すことができるように、フランジが損傷しないように非常に慎重に保護しなければならない。操作員はフランジを保護するために、単にリアクターを木のブロック、パッド、または他の材料上にセットすることが多く、木のブロックまたは他のパッドは適切に設置された場合にはフランジを損傷から保護するのに十分である場合もあるが、操作員がフランジをブロックすることを怠り、リアクターヘッドを典型的なプラントグレーティング上に直接設置した場合には、フランジ表面上にかかるリアクターヘッドの重量のために使用不可能になることが多い(フランジ表面に傷があったり、曲がっていると、適切に密封しない)。
【0006】
最後に、リアクターヘッドを載せる典型的なバレルの物理的高さのために、触媒、ディストリビューター、サポート、またはバレルの内部に入れる他の部品を挿入したり取り出したりするのが困難になる。バレルの壁面は高さ4フィートまたはそれ以上であることが多く、操作員は触媒を取り付けまたは交換するために作業台上に上り、壁を乗り越えて、バレルに物理的に入らなければならない。バレル内外へ登るのは時間がかかるだけでなく、バレルは狭い空間に属し、狭い空間にはいるには許可、呼吸用空気の供給、ホールウォッチャーとして働く他の操作員とその注意が必要で、場合によっては他の高価で時間がかかる安全手段が必要である。これらの手段の必要をなくし、触媒の挿入を簡単にするデザインが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第1934838号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記の1またはそれ以上の問題の影響を克服するか、または少なくとも軽減することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
高温工業プロセス用装置の一態様において、少なくとも1つのフランジ付接続部が含まれ、少なくとも1つのフランジ付接続部の少なくとも1つのフランジは、少なくとも1つのフランジに取り付けられた少なくとも1つの支持突起(以下、「サポートラグ」(support lug)とも言う。)により機械的損傷から保護されている。該装置はさらに少なくとも1つのフランジに取り付けられた冷却ジャケットを含み、冷却ジャケットは1/2パイプからできている。
【0010】
さらなる態様において、少なくとも1つのフランジ付接続部を含む高温工業プロセス用装置が記載され、フランジは取り付けられた1/2パイプ冷却ジャケットにより冷却される。
【0011】
いくつかの態様において、高温工業プロセス用装置は、第一の断面(cross sectional dimension)を有するインレットパイピングセクション(inlet piping section)、第二の断面を有する下流プロセスセクション(downstream process section)、およびインレットパイピングセクションと下流プロセスセクションを接続するインレットトランジションセクション(inlet transition section)を含み、トランジションセクションは耐火性セラミックファイバーからできた内部断熱材を含む。第二の断面は第一の断面よりも大きく、内部断熱材は円錐形内部表面を形成する。さらに、インレットトランジションセクションはドーム型に成形することができる。トランジションセクションは下流プロセスセクションに対するフランジ付接続部を含むリアクターヘッドであってもよい。
【0012】
いくつかの態様において、1またはそれ以上のサイトグラスノズル(sight glass nozzle)が含まれる。層流速度プロファイルは、インレットトランジションセクションの上流末端で層流を提供するのに十分長いパイピングセクションを含む直線状パイプ;インレットパイピングセクション内に設置された少なくとも1つのCRV;インレットトランジションセクションの上流末端のLAD;およびインレットトランジションセクションの上流末端のEHDのうちの少なくとも1つを用いて下流プロセスセクションにおいて達成することができる。
【0013】
高温工業プロセスについてのさらなる態様は、第一の断面を有するプロセスセクション、第一の断面よりも小さな第二の断面を有するアウトレットパイピングセクション(outlet piping section)、ならびにアウトレットパイピングとプロセスセクションを接続するアウトレットトランジションセクション(outlet transition section)を含み、アウトレットトランジションセクションの内部表面は円錐形である。
【0014】
高温工業プロセスについてのさらなる態様は、ボトムフランジ(bottomflange)を有するリアクターヘッド;およびトップフランジ(topflange)を有する下流プロセスセクションを含み、下流プロセスセクショントップフランジの作業高度は、約2.0フィートと3.5フィートの間である。
【0015】
本発明のさらなる態様は、インレットパイピングセクション、インレットトランジションセクション、プロセスセクション、アウトレットトランジションセクション、およびアウトレットパイピングセクションを含み、1またはそれ以上の装置セクションは内部断熱材を含み、断熱材は耐火性セラミックファイバーで構成される。この態様において、インレットトランジションセクションはさらに円錐形内部表面を有し、アウトレットトランジションセクションはさらに円錐形内部表面を有する。装置はさらに、インレットトランジションセクションとプロセスセクション間に第一および第二フランジを有するフランジ付接続部を含み、第一および第二フランジのうちの少なくとも一方はこれに取り付けられた冷却ジャケットを含む。
【0016】
さらに、少なくとも1種の炭化水素、少なくとも1種の窒素含有ガス、および少なくとも1種の酸素含有ガスを提供し、少なくとも1種の炭化水素、少なくとも1種の窒素含有ガス、および少なくとも1種の酸素含有ガスを装置内で反応させてシアン化水素を形成し、装置内での少なくとも1種の酸素含有ガスとの同時燃焼反応により熱を供給する工程を含むシアン化水素の製造法が記載され;該装置は少なくとも1つのフランジ付接続部を含み、少なくとも1つのフランジ付接続部の少なくとも1つのフランジは、少なくとも1つのフランジに取り付けられた少なくとも1つのサポートラグにより機械的損傷から保護されている。
【0017】
少なくとも1種の炭化水素、少なくとも1種の窒素含有ガス、および少なくとも1種の酸素含有ガスを提供し;少なくとも1種の炭化水素、少なくとも1種の窒素含有ガス、および少なくとも1種の酸素含有ガスを装置内で反応させてシアン化水素を形成し、装置内での少なくとも1種の酸素含有ガスとの同時燃焼反応により熱を供給することを含むシアン化水素の製造法が開示される。このプロセスにおいて、装置は、第一の断面を有するインレットパイピングセクション、第二の断面を有する下流プロセスセクション、インレットパイピングセクションと下流プロセスセクションを接続するインレットトランジションセクションを含み、トランジションセクションは耐火性セラミックファイバーで構成される内部断熱材を含む。
【0018】
一態様において、リアクターヘッドと内部断熱材を含む装置が開示され、断熱材は耐火性セラミックファイバーを含む。リアクターヘッドは、化学プロセスを容易にするために流体流れと接続するように適合させる。この態様において、円錐形リアクターヘッド壁面と垂直線間の角度は約25°より小さい。断熱材は、円錐形リアクターと断熱材の両方を貫通して伸びる少なくとも1つのスリーブで所定の位置に固定することができ、断熱材は、さらにリアクターヘッドインレットを通って伸びるカラー(collar)によっても支持することができる。リアクターヘッドは円錐形またはドーム型である。装置はシアン化水素または他の生成物を製造するために用いることができる。
【0019】
一態様において、装置はさらにリアクターヘッドの周りに配置された冷却ジャケットを含む。冷却ジャケットは、円錐形リアクターの外部表面に取り付けられたハーフパイプからできている。装置は、リアクターヘッドの上流の直流化羽根(flow straightening vanes)の使用を含むことができると考えられる。
【0020】
一態様において、リアクターヘッド、円周表面および結合表面を有する少なくとも1つのフランジが開示され、該結合表面は化学プロセスユニット内の結合フランジと結合するようにされ、少なくとも1つのサポートラグは少なくとも1つのフランジに取り付けられ、リアクターヘッドを支持することができ、少なくとも1つのサポートラグは円周表面および結合表面から、結合表面とサポートラグの間に隙間ができるように伸びている。少なくとも1つのフランジに取り付けられ、リアクターヘッドを支持できる1またはそれ以上のさらなるサポートラグがこの態様に含まれる。少なくとも2つのサポートラグは一般にU字型で、少なくとも1つのフランジに取り付けられた冷却ジャケットの周りに伸びる。少なくとも2つのサポートラグはさらに、少なくとも2つのサポートラグの冷却を促進するためにあけられた一般に円形の孔を有する。
【0021】
一態様において、リアクターヘッド、リアクターヘッドに結合するようにされた触媒含有バレルが開示され、触媒含有バレルは作業垂直高さが約2.0フィートと約3.5フィートの間であり、触媒含有バレルがリアクターヘッドから取り外された場合にバレルの直径の外側に立つ1人またはそれ以上の操作員により提供される触媒または他の装置の受容を促進するように適合されている。用途によっては、操作員は触媒または他の装置の挿入を助けるホイストまたは他の器具を用いることができるが、操作員自身はバレルの外側にいることができる。
【0022】
一態様において、リアクターヘッド、リアクターヘッドに結合するように取り付けられた触媒含有バレル、および触媒含有バレルの側面に触媒高さと内部通路の間に照準線がないような通常でない角度で取り付けられた熱電対または他の計器を収容するように固定された内部通路を有する少なくとも1つの熱電対ノズルを含む装置が開示される。
【0023】
少なくとも1種の炭化水素、少なくとも1種の窒素含有ガス、および少なくとも1種の酸素含有ガスを提供し、少なくとも1種の炭化水素、少なくとも1種の窒素含有ガス、および少なくとも1種の酸素含有ガスをリアクター内で反応させてシアン化水素を形成し、リアクター中での少なくとも1種の酸素含有ガスとの同時燃焼反応により熱を供給することを含むシアン化水素の製造法も開示される。このプロセスにおいて、リアクターはリアクターヘッド、触媒含有バレル部材、およびリアクターヘッド中に挿入可能な断熱材を含み、断熱材は耐火性セラミックファイバーを含むと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は従来技術リアクターシステムの図である。
【図2】図2は本発明の円錐形リアクターヘッドの一態様の前面図であり、一部断面を示す。
【図2a】図2aは図2に示した例の透視図である。
【図3】図3は図2のデザインの上面図である。
【図4】図4は本発明のカラーの上面図である。
【図4a】図4aは図4に示すカラーの前面図である。
【図5】図5は本発明の一態様の円錐形リアクターヘッドのフランジに取り付けられたサポートラグの上面図である。
【図6】図6は図5に示すサポートラグのA−A線に沿った側面図である。
【図7】図7は図5のデザインのB−B線に沿った前面図である。
【図8】図8は図5に示すデザインを組み入れたリアクターの上面図である。
【図9】図9は本発明の一態様にしたがったバレルセクションの上面図である。
【図10】図10は図9のデザインのC−C線に沿った断面図である。
【図11】図11は図2の円錐形リアクターと共に用いられる回転羽根の前面図である。
【図12】図12は回転羽根のないパイプ中の流体流れの流れ図である。
【図13】図13は図12の有効な流体流れの断面図である。
【図14】図14は回転羽根を有するパイプ中の流体流れの流れ図である。
【図15】図15は図14の有効な流体流れの断面図である。
【図16】図16は本発明の円錐形リアクターヘッドと回転羽根を組み入れたシステムの透視図である。
【図17】図17は本発明のリアクターの別の態様の前面図である。
【図18】図18は本発明のリアクターのさらに別の態様の前面図である。
【図19】図19は操作員に近接した図2の円錐形リアクターの写真である。
【図20】図20は本発明にしたがって形成された非選択的触媒還元(NSCR)NOx排除ユニットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の前記および他の特徴および態様は以下の詳細な説明を読み、図面を参照するとさらに明らかになる。図中:図1は従来技術リアクターシステムの図である。図2は本発明の円錐形リアクターヘッドの一態様の前面図であり、一部断面を示す。図2aは図2に示した例の透視図である。図3は図2のデザインの上面図である。図4は本発明のカラーの上面図である。図4aは図4に示すカラーの前面図である。図5は本発明の一態様の円錐形リアクターヘッドのフランジに取り付けられたサポートラグの上面図である。図6は図5に示すサポートラグのA−A線に沿った側面図である。図7は図5のデザインのB−B線に沿った前面図である。図8は図5に示すデザインを組み入れたリアクターの上面図である。図9は本発明の一態様にしたがったバレルセクションの上面図である。図10は図9のデザインのC−C線に沿った断面図である。図11は図2の円錐形リアクターと共に用いられる回転羽根の前面図である。図12は回転羽根のないパイプ中の流体流れの流れ図である。図13は図12の有効な流体流れの断面図である。図14は回転羽根を有するパイプ中の流体流れの流れ図である。図15は図14の有効な流体流れの断面図である。図16は本発明の円錐形リアクターヘッドと回転羽根を組み入れたシステムの透視図である。図17は本発明のリアクターの別の態様の前面図である。図18は本発明のリアクターのさらに別の態様の前面図である。図19は操作員に近接した図2の円錐形リアクターの写真である。図20は本発明にしたがって形成された非選択的触媒還元(NSCR)NOx排除ユニットの図である。
【0026】
本発明は種々の修正や変更された形態が可能であるが、特定の態様を図面の例により示し、詳細に記載する。しかしながら、本明細書の特定の態様を記載することは、本発明を開示された具体的な形態に限定するものではなく、反対に、本発明は請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲内のすべての修正されたもの、同等のものおよび代替物を包含する。
【0027】
本発明の例を以下に記載する。明確にするために、本明細書においては、実際の実施のすべての特徴を記載していない。もちろんこのような実際の例の開発において、たとえばシステムおよびビジネスに関連する制約を応諾するなど開発者の特定の目的を達成するために、種々の実施に特異的な取り決めをしなければならず、これは実施ごとに異なる。さらに、このような開発の努力は複雑で、時間がかかるが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては慣例的な仕事である。
【0028】
図面に戻ると、特に図2について、本発明の一態様にしたがった円錐形リアクターヘッド10が開示される。円錐形リアクターヘッド10は、化学プロセスにおいて結合フランジ13(図16に示す)と接続するようにされたトップフランジ12を含む。トップフランジ12はリアクターインレット14に隣接し、任意にその中に同心的に設置された硬質カラー16を有する。カラー16は図4および4aにより詳細に示され、典型的にはステンレス鋼でできている。カラー16は一般に円筒形であり、カラーがリアクターヘッド10中に転落するのを防止し、トップフランジ12と結合フランジ13間を密封できるリップ15を有する。カラー16は断熱材40(本明細書において以下により詳細に記載する)をその位置に固定するのを助ける。
【0029】
インレット14は円錐形側面部材18に隣接する。側面部材18は拡大する領域を形成し、インレットからの層流の維持を容易にする。流れがインレットで層流である場合、流れは側面部材18と垂直線20間の角度22が約25°より小さいならば付着したままである傾向にある。図2に示す態様において、角度20は約21°である。角度22の多少の変更は本発明の範囲内であると理解される。すなわち、角度は約25°より小さくてもよいし、付着した層流を促進する任意の他の角度でも良い。角度22は上部から底部まで断熱材40の厚さを変えることによっても有効に変更できる。リアクターヘッド10は円錐形でなくても良いが、ラージアングルディフューザー(LAD)または楕円形ヘッドディフューザー(EHD)と結合して円錐形と類似した層流プロファイルを形成する任意の都合の良い形態(例えば図20に示すようなもの)であってもよい。ラージアングルディフューザーとEHDはKoch−Glitsh,Inc.から入手可能である。層流は、乱流/流れ分離状態の結果を生じるフラッシュバックを防止する利点を提供する。再び図1を参照して、逆流が形成される場合、図16に示すような層流状態においては存在しないフラッシュバックおよびデトネーション(detonation)の危険性が増大する。
【0030】
側面部材18には複数のリフティングラグ(lifting lug)24が取り付けられている。好ましくは、図3に示すように、3つのリフティングラグ24が側面部材18の外部表面44の周りに等間隔にある。リフティングラグ24はフック、ケーブルまたは他のリフティングシステム付属物(図示せず)を受けるために取り付けられたアイレット(eyelet)26を有する。リフティングラグ24は、リアクターヘッド10の輸送を容易にするためにその全重量を支えるように設計される。
【0031】
側面部材18は、トップフランジ12にとり付けられているのと反対側のボトムフランジ28と接する。トップフランジ12およびボトムフランジ28はウェルドネックフランジであるのが好ましいが、重ね継ぎ手フランジなどの他のフランジも用いることができる。当業者らは本発明の開示により、非常に高い座面応力(seating stress)が必要な螺旋巻きガスケット(spiral wound gasket)(図示せず)についてはウェルドネックフランジが特に有用であり;螺旋巻きガスケットはHCN製造などの重要な用途において好ましいことを理解できるであろう。トップフランジ12およびボトムフランジ28を指定するために用いられる「トップ」および「ボトム」とは、図面において示されるリアクターヘッド10の配置に関してのみの意味である。リアクターヘッド10の配置は任意の適当な位置に変更できる。図2に示す態様において、フランジ冷却ジャケット30はボトムフランジ28に取り付けられている。フランジ冷却ジャケット30は図2および6に示すようにボトムフランジ28に直接溶接されたハーフパイプを含む。冷却ジャケット30はインレット32およびアウトレット34を含む。アウトレット34を図3に示す。側面部材18も冷却ジャケット92を含む。冷却ジャケット92は図2においては示していないが、図2aに示す。冷却ジャケット92は、インレット(図示せず)およびアウトレット94を含む。冷却ジャケット92も、図2aに示すような配置において側面部材18に直接溶接されたハーフパイプを含む。これらの冷却ジャケットインレット/アウトレットは、その結合する冷却ジャケットをステンレス鋼ブレード付ホース91により冷却剤供給源と接続させるフランジを含む。好ましい態様において、ジャケットのいくつかを直列に接続することができる。すなわち、1つのジャケットのアウトレットフランジを別のジャケットのインレットフランジに接続することができる。いくつかの態様において、インレット/アウトレットフランジはまとめて省略し、冷却剤供給源(図示せず−これは例えば給水ヘッダーであっても良い)へつながる連続管と置換することができる。いくつかの態様においては、リアクターヘッド10に結合する冷却ジャケットが全くない。
【0032】
ボトムフランジ28の隣には複数のサイトグラスノズル36および38がある。サイトグラスノズル36の横断面図を図2に示す。図3はサイトグラスノズル36とサイトグラスノズル38の両者についての好ましい態様の上面図を開示する。あるいは、サイトグラスノズル36だけがリアクターに含まれる。いくつかの態様において、サイトグラスは完全に省略される。サイトグラスノズル36および38は側面部材18を貫通してリアクターヘッド10の内部に伸びる。サイトグラス36および38により操作員は内部反応を見ることができる。サイトグラスノズル36および38は別法としてサンプリングコネクションとして、またはこれに限定されないが熱電対、圧力計、および点火器を含む他の装置の導管として用いることができる。
【0033】
リアクターヘッド10は、リアクターの内壁42に隣接した内部断熱材40を含む。断熱材40は好ましくはアルミナおよび/またはシリカセラミックファイバーでできていて、バインダーも含むことができる。例えば、断熱材40はRex Roto Corporationから入手可能なPyrolite(バインダーを含む)またはRath Performance Fibers Inc.から入手可能なK−modセラミックファイバーモジュール(バインダーを含まない)を含む。断熱材40をリアクターヘッド10の内部に設置することにより、外部断熱材に関連するリアクターヘッドの過熱およびリアクターヘッドの破損の危険性なしに熱損失を減少させることにより効率が増大する利点が得られる。リアクターヘッド10および他の公知のリアクターは冷却システムを有するが、冷却システムが故障した場合には、リアクター10内部で発生した熱が金属製リアクターの温度を上昇させる。温度はフランジまたはリアクター自身が金属の降伏点に達して破損するまで上昇し続ける。極端な温度のためにリアクターが破損したり、フランジが湾曲した場合、その内部に含まれる潜在的に危険な化学物質が放出される可能性がある。しかしながら、リアクターヘッド10内の内部断熱材40のみを用いることにより、リアクターヘッド10はセルフラジエーターとして作用し、すなわち、外部表面44は自由に熱を大気中に放射できる。これによりリアクターヘッド10は自身の温度を自己規制する利点が得られる。リアクターヘッド10の温度は冷却システムが故障した場合には通常の作業温度を超えて上昇するが、自己放射できることにより、二次冷却メカニズムが提供され;結局、リアクター10の外部表面44からの放熱はリアクター内部で発生した熱と等しく、定常状態に達する。たとえば、リアクターヘッド10内部に断熱材40を採用したHCNプロセスにおいては、リアクターヘッド10は金属の降伏点以下数百F°で自己抑制する。したがって、断熱材40の使用により、冷却不良の場合に安全性を損なうことなく熱損失が最小になる。実際、いくつかの態様においては、冷却システムの使用をさけることが望ましい。従来のリアクターは、環境へのエネルギー損失を最小にするためにリアクター壁面の内部に耐火性材料を含むが、従来技術の説明において記載したように、耐火性物質は、重く、脆く、維持するのが困難で、機械的および熱的ショックにより割れやすい。耐火性材料を含む円錐形ヘッドは製造するのが非常に難しく、耐火性材料含有ヘッドは耐火性材料がひび割れる可能性なしにメンテナンスまたは他の理由から都合よく動かすことができない。有利には、本発明は断熱材40に、軽量で、熱および機械的ショックに対して耐性であり、円錐形リアクター中への取り付けおよび維持が容易なPyroliteまたはK−modの使用を意図する。断熱材40はリアクターヘッド10と適合し、ひび割れの危険性なしにリアクターに出し入れできるように円錐形に製造するのが好都合である。PyroliteおよびK−Modは、内部断熱システムに通常要求されるような非常に特別な注意を払うことなく持ち上げたり、輸送するできるほど十分耐性である。図2に示す態様において、断熱材40は実質的にリアクターヘッド10の内壁42に隣接するが、いくつかの態様においては、断熱材40は、ブランケット(図示せず)またはエアギャップ(図示せず)が断熱材と内壁42の間に存在するように配置される。
【0034】
断熱材40はカラー16によりリアクター10内に固定される。カラー16はリアクターヘッド10中に伸び、外部カラー表面17は断熱材40の上部末端が固定される強固な境界を提供する。カラー16は、リアクターヘッド10中に導入され、内部に含まれる気体が断熱材40の後部に移動しないようにする。カラー16の使用に加えて、あるいはそのかわりに、各サイトグラスノズル36および38中のサイトグラススリーブ48が断熱材40を貫通して断熱材を正しい位置に保持することができる。しかしながら、図16に示すように、断熱材40はリアクターが完全に取り付けられた場合に懸垂状態にある必要はなく、そのかわりにバレル52の内部に注入された注型適性耐火性物質50上にのせることができる。耐火性物質50はPyrolite、K−mod、または耐火性れんがを含むことができる。
【0035】
高温および高圧下での化学反応に伴う危険性のために、合わせ面54がリアクターヘッド10の、例えばバレル52との接続部を適切に密封する状態になるようにボトムフランジ28を慎重に製造し、保持しなければならない。リアクターヘッド10はバレル52についての使用に限定されないが、そのかわりにバレル全体を含む熱交換器(図示せず)または他のバレル装置と直接結合させることができる。リアクターヘッド10と組み合わせて用いることができる熱交換器のいくつかの種類の例は、継続中の米国仮特許出願第60/141769号(本発明の一部として参照される)に記載されている。リアクターヘッド10は2000ポンドを超えるので、ボトムフランジ28はリアクターの重量が合わせ面54にかかる場合には容易に損傷したり破損したりする。少なくともこの理由から、複数のサポートラグ、たとえばU字型ブラケット56、58および60をボトムフランジ28の円周の周りに等距離に配置するのが有利である。U字型ブラケット56を図5中詳細な上面図において示し、3つのサポートラグすべてを図8に示す。当業者らにはこの開示によりU字型ブラケットとして図面中に例示されたサポートラグの数、間隔、および詳細を変更できることを理解できるであろう。図5はボトムフランジ28にとり付けられた一般にU字型のブラケット56を開示する。U字型ブラケット56はボトムフランジ28およびフランジ冷却ジャケット30の円周を越えて伸びる。
【0036】
図6に関して、U字型ブラケット56の側面図がボトムフランジ28にとり付けられた状態で示される。図面中、ボトムフランジ28は結合バレルフランジ82に隣接して存在する。U字型ブラケット56は合わせ面54を越えて伸びて、ブラケットの底部と合わせ面間に隙間66を形成する足64を有する。隙間66は1/2インチと3インチの間であり、好ましくは約1.25インチであるが、これ以外の隙間を必要に応じて形成することができる。当業者らには本開示から隙間66はリアクターヘッド10をバレル52または他の結合装置上にセットするのを妨害することなく合わせ面54を保護する任意の大きさであってよいことを理解できるであろう。隙間66は、リアクター10がバレル52上以外の場所に設置された場合に、合わせ面54を有利に保護する。たとえば、リアクター10が地面に設置される場合、合わせ面と地面が直接接触することにより生じるひっかき傷および/または他の損傷から合わせ面54を保護するためにボトムフランジ28の下に何も設置する必要がない。U字型ブラケット56、58および60は、合わせ面54を地面または他の支持面と接触させないでリアクターヘッド10の全重量を支持することができる。本開示により当業者らは、欧州特許EP847372(A1)(本発明の一部として参照される)に開示されているリアクターのようないくつかの他成分の態様において、複数のフランジを保護するために複数のサポートラグを有利に用いることができることを理解できるであろう。図7を参照して、U字型ブラケット56、58、および60は各ブラケットの量を減少させ、それぞれの冷却を促進するための円形の孔を有することができる。
【0037】
次に図9および10に関して、バレル52を詳細に示す。バレル52は一般に円筒形であり、触媒68を含む。バレル52はリアクターヘッド10と接続するように取り付けられる。しかしながら図9および10はバレルセクションのみを示す。バレル52はトップバレルフランジ82およびボトムバレルフランジ84を含む。いくつかの態様において、フランジ84は壁面100とその下の熱交換器(図示せず)の間の連続した接続部を省略することができる。バレル52はさらに3つの冷却ジャケット(70、76および86)を含む。バレル冷却ジャケット70はインレット72およびアウトレット74を含む。トップバレルフランジ冷却ジャケット86は関連するインレット88およびアウトレット90を含む。ボトムバレルフランジ冷却ジャケット76は関連するインレット78およびアウトレット80を含む。冷却ジャケット70、76および86のそれぞれは図10に示すようなバレルに溶接されたハーフパイプを含む。インレット72、74、78、80、88および90のそれぞれはステンレス鋼ブレード付ホース91により、その関連する冷却ジャケットを冷却剤供給源に接続させるフランジを含む(あるいは1つの供給源に直列に接続することができる)。しかしながら、いくつかの態様においては、インレット/アウトレットフランジは全体としてなくすことができ、冷却剤供給源(図示せず)への連続管と置換することができ、さらに他の態様においては、冷却ジャケットがまったっくなくてもよい。
【0038】
バレル52の高さは、これに限定されないが、触媒68、ディストリビューター、サポート、またはバレル中に挿入される他の部品を含む物品の取り付けおよび除去が容易になるように有利に設計される。従来技術の説明で記載したように、公知のバレルについては触媒または他の物品を取り付けるのが非常に困難で時間がかかる。図9および10に開示されるバレル52はトップバレルフランジ82からボトムバレルフランジ84の長さD1が短縮され、約1.5から2.5フィート、好ましくは1.75フィートである。この距離は、例えば交換器(図示せず)と組み合わせた場合に、床(図示せず)または台のいずれかからトップバレルフランジ82までの作業高さが2.0から3.5フィート、好ましくは3.0フィートになる。2.0から3.5フィートの高さで、トップバレルフランジは平均的な人の腰の高さに相当し、例えば触媒をバレルの外側から挿入または回収するために平均的な人でバレル52内に手が届く。図19は操作員に非常に近接した本発明の一態様を示す。図面からわかるように、操作員は内部をよじ登らずに都合よくバレル中に届く。その結果、狭い空間内にはいる必要がなく、それに関連した許可および注意の必要もなくなる。さらに、操作員が触媒または他の内部物品に届き、交換できるようにするためにスツールまたは他の任意の装置を使用する必要もない。例えば触媒に関しては、触媒はトップバレルフランジ82から約1フィートのバレルの内部に設置できるが、バレルは操作員が都合良く届く任意の距離に触媒を受容するように改造することができる。トップバレルフランジ82からの触媒が設置される距離の範囲は、約3インチから2フィートと考えられる。
【0039】
バレル52は、リアクター内の温度などの状態のモニターを容易にするために複数の計器ノズル96および98を有する。典型的には熱電対ワイヤを上部からリアクター中に通すが、これは円錐形リアクターヘッド10などの大きな対象物については困難である。熱電対(図示せず)をバレル62の壁面100を通って有利に供給することにより、挿入はさらに容易になり、熱電対は容易に利用可能になる。計器ノズル96および98は熱電対を収容し、バレル冷却ジャケット70を貫通してノズルを冷却できるように取り付けられる。計器ノズル96および98はバレル52の外側に触媒とほぼ同じ高さの位置に設置される。しかしながら、計器ノズル96および98は、触媒放射線に対して照準線がないようにバレル52の壁面100と通常でない角度で配置される。通常でないとは、計器ノズル96および98がバレル壁面100と90°以外の角度で接するか、またはノズルが触媒に関して同じ高さでないことを意味する。加えて、ノズル96および98はさらに熱電対を保護するためにその中に挿入された断熱材を有する。開示された態様においては、ノズル96と壁面100との間の角度は約77°であるが、90°を除く0°と180°の間の任意の他の角度を用いることができる。化学反応におけるエネルギーの多くは放射線により伝達され、計器ノズル96および98が触媒反応に対する照準線についてバレル52に対して通常であるならば、熱は直接ノズル中に入り、ノズル内に配置された熱電対(図示せず)を溶かす。したがって、計器ノズル96および98は触媒反応近くであって、反応の照準線中でない位置に有利に配置され、これにより熱電対の寿命が延びる。
【0040】
計器ノズル96および98は、これに限定されないが、プロセスアナライザーサンプルコネクション、圧力計、および点火器を含む多くの他の器具に用いることができる。
【0041】
次に図11〜16について、リアクター10と組み合わせて用いられる直流化システムを開示する。貴金属および他の触媒のために非常に高価なので、触媒の全表面積上に流れを起こしてその寿命を増加させることが望ましい。典型的なリアクターシステムにおいて、流体が急に拡張した部分を流れる際のよく知られているジェット効果により、流体の大部分がインレットパイプとほぼ同じ直径を維持する。流体が触媒に到達した場合に、典型的には中心部は流れの80から90%を受容するが、壁面に最も近い触媒部分は欠乏状態である。加えて、図1に示すような上向きの流れのパターンが起こり、リアクターの壁面で反応物質が分解される可能性がある。インレットパイピングにおいて層流を生じさせることでき、リアクターが徐々に広がる場合に、流れはリアクターの壁面に付着した状態で、全触媒表面に対してより均一な分布になる。拡大角度が約25°より小さい場合は通常付着した層流が維持される。場合によっては、リアクターに対する入り口のすぐ上流で少なくとも直線パイプの10倍にすることにより層流が生じるが、典型的には空間的制約のために、必要なパイプ直径の10倍以下の上流にパイピングエルボーが存在する必要がある。これらの典型的な限られた空間での用途において、層流を生じさせるために回転羽根102などの直流化装置が必要になる。回転羽根102はCRVとして公知であり、Cheng Fluid Systems,Inc.またはKoch−Glitsch,Inc.より入手可能である。本開示により当業者らは層流を生じさせるために他の直流化システムも用いることができることがわかるであろう。図11は回転羽根102がリアクター2に関して用いられる場合の前面図を示す。図16はリアクター10に関する回転羽根102の典型的な配置を説明する。回転羽根102は図16に示す様な2つのエルボーを補うように設計されるか、または第二の回転羽根(図示せず)を回転羽根102に加えて用いることができる。図12〜15は作動中の回転羽根102の効果を示す。回転羽根102がないと、流体がエルボー104の付近を通過する際の速度は不均一になり、図12に示すように流れ分離が起こる。有効な流れ106を図13に示すような断面に類似するように変更する。図13に示す不均一な流れは、付着した流れが触媒に均一に分配されるのを妨害する。一方、回転羽根102を使用すると、図14に示すようなエルボー104を通る流れパターンが得られる。回転羽根102を通過した後、流速は均一になり層流になる。図15は均一な流れの断面図107を示す。層流を円錐形リアクターヘッド10中に導入すると、円錐の角度22が約25°以下であると仮定すると流れはリアクターヘッドの壁面42に付着したままである傾向がある。本発明において開示する態様において、リアクターヘッド10の円錐の角22は約21°である。円錐形リアクター10に関して回転羽根102を使用すると、反応の効率および触媒の寿命が有利に増大する。
【0042】
いくつかの態様において、図17に示すようなリアクター202などのリアクターを円錐形リアクター10と置換することができる。リアクター202は、既存のヘッド208と接続するスプリットバレル(204および206)形状であるが、前記の同じ冷却システム、バレル高さ、熱電対ノズル、回転羽根、および内部断熱材をリアクター202に関して用いることができる。リアクター202をLADまたはEHDと結合させて、円錐形リアクター10において形成される流れと類似した有効な層流を形成することができる。
【0043】
加えて、図18は本発明にしたがったリアクター302についての第三の態様を開示する。リアクター302は短いバレル306に取り付けられた延長されたヘッド304を含む。リアクター202と同様に、リアクター302はバレル52に取り付けることができ、前記開示と同じ冷却システム、バレル高さ、熱電対ノズル、回転羽根、および内部断熱材を含む。リアクター302はLADまたはEHDと結合させて、円錐形リアクター10において形成される流れと類似した有効な層流を形成することができる。
【0044】
ドーム型ヘッド402においてLADまたはEHD装置使用の代替法を図20において示す。図示されているのは、円錐内部表面43を有する断熱材40の使用である。円錐形出口45(またはより詳細には、ドーム型出口ヘッドにおいて円錐形内部表面を提供する断熱材の使用)も示す。円錐形出口の第一の利点は圧力降下(乱流/非層流は圧力降下を増大させる渦を形成する)が最小になるような層流を形成することである。本開示により当業者らはインレット円錐43の角度は非常に重要であるが、出口角度または円錐45はあまり重要でなく、0°より大きく、90°より小さな角度であることを理解できる。さらに、フランジ47を図20に示すが、これらは任意であり、フランジのない容器中へ挿入しやすくするために耐火性セラミックファイバー断熱材を断片に加工することができ、次に容器内で組み立てて、所望の円錐内部表面を形成することができる。
【0045】
リアクター10、202、および302はシアン化水素の製造において最も有用であると考えられる。シアン化水素の調製法は、リアクター(例えば、リアクター10、202、または303)中に反応物質を供給することを含む。反応物質は少なくとも1種の炭化水素、少なくとも1種の窒素含有ガス、および少なくとも1種の酸素含有ガスを含む。酸素含有ガスは窒素含有ガスまたは炭化水素と同じであってもよい。
【0046】
少なくとも1種の炭化水素は脂肪族または置換脂肪族、脂環式または置換脂環式、あるいは芳香族または置換芳香族炭化水素あるいはその混合物である。適当な例としては、これに限定されず、メタン(CH4)、エチレン(C2H4)、エタン(C2H6)、プロピレン(C3H6)、プロパン(C3H8)、ブタン(C4H10)、メタノール(CH3OH)、トルエン、ナフサ、およびメチルホルメートが挙げられる。好ましい態様において、少なくとも1種の炭化水素は、メタンまたは1またはそれ以上のメタン含有炭化水素の混合物である。少なくとも1種の窒素含有ガスとしては、これに限定されないが、アンモニア、ホルムアミド、または酸化窒素(NO)が挙げられる。好ましい態様において、少なくとも1種の窒素含有ガスはアンモニアまたはアンモニアと1またはそれ以上の窒素含有ガスの混合物である。少なくとも1種の酸素含有ガスは、燃焼を維持して吸熱のシアン化水素形成に熱を提供するのに適した量の酸素を含む任意の物質である。適当な例としては、これに限定されないが空気、酸素富化空気、純粋な酸素ガス、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、またはその混合物あるいは分解して酸素を提供する酸素含有化合物が挙げられる。適当な例としては、過酸化物、ケトン、エーテルなどが挙げられる。
【0047】
HCN形成反応のエネルギーが現場燃焼以外の供給源から供給される他の従来技術、非Andrussow型HCN調製法に関して開示されたリアクターの使用も意図される。このようなプロセスの例としては、Degussa B−M−Aプロセス、Fluohmicプロセス、およびマイクロ波加熱および誘導加熱プロセスが挙げられる。
【0048】
開示された装置は、これに限定されないが、硝酸の製造(アンモニア酸化プロセスまたは酸素富化プロセスによる製造法を含む)、合成ガス製造法、(メタ)アクリル酸製造法、NOx低減ユニット、または高温および高圧を必要とする吸収剤、触媒、または熱交換器を用いた他のプロセスを含む他の工業プロセスにおいても用いることができる。高圧は、大気圧より高い圧力を含み、高温は、60℃より高い温度を含む。加えて、用いられる触媒としては、これに限定されないが、スクリーン、担持触媒、流動床、またはイオン交換樹脂が挙げられる。
【0049】
最後に、本発明は気体プロセスに適用されるが、本開示により当業者らは本発明は気体プロセスに限定されないことがわかるであろう。本発明は高温および/または高圧での液体の使用も含むと考えられる。
【0050】
具体例を参照して本発明を具体的に例示し、説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の形態および詳細の変更をなすことができることは当業者には理解できるであろう。前記態様は単に例示のためであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0051】
2:リアクター
4:耐火性物質
6:すすの蓄積
8:壁面
9:触媒
10:リアクターヘッド
12:トップフランジ
13:結合フランジ
14:リアクターインレット
15:リップ
16:カラー
17:外部カラー表面
18:側面部材
20:垂直線
22:角度
24:リフティングラグ
26:アイレット
28:ボトムフランジ
30:冷却ジャケット
32:インレット
34:アウトレット
36、38:サイトグラスノズル
40:断熱材
42:リアクター内壁
43:円錐内部表面
44:外部表面
47:フランジ
48:サイトグラススリーブ
50:耐火性物質
52:バレル
54:合わせ面
56、58および60:U字型ブラケット
62:バレル
64:足
66:隙間
68:触媒
70:バレル冷却ジャケット
72、78、88,90:インレット
74:アウトレット
76、86:冷却ジャケット
80:アウトレット
82:トップバレルフランジ
84:ボトムバレルフランジ
91:ステンレス鋼ブレード付ホース
92:冷却ジャケット
94:アウトレット4
96,98:計器ノズル
100:壁面
102:回転羽根
104:エルボー
106,107:流れ
202:リアクター
208:既存のヘッド
204,206:スプリットバレル
302:リアクター
304:ヘッド
306:バレル
402:ドーム型ヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に高温工業プロセスに関し、より詳細には、リアクター装置および関連するプロセスにおけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リアクターを用いたシアン化水素および硝酸などの化学物質の製造は公知である。例えば、シアン化水素のアンモニアおよび炭化水素ガスからの一段合成法で、白金金属触媒の存在下で空気との同時反応により熱が供給される合成法は、Andrussow、米国特許第1934838号に開示されている。このプロセスに関する多くの修正および改良が他の特許に記載されている。
【0003】
効率を向上させるために、断熱材をリアクターの外側に追加して熱損失を防ぐことが多い。しかしながら、リアクターを構成する物質により、リアクターが安全に作動できる温度が制限される。水ジャケットをリアクターに組み入れて、リアクターの過熱と容器の破損の可能性を防ぐ場合がある。水ジャケットへの供給が中断されると、外部断熱されたリアクター中の温度が、リアクターまたはフランジ付接続部または他の容器成分が破損を起こす程度まで上昇し、危険な化学物質が大気中に放出される可能性がある。外部断熱材は、効率を増大させるが、リアクターの破損の可能性も増大させる。リアクターを耐火性物質で内部から断熱する試みがなされてきたが、典型的には、耐火性物質は熱および機械的衝撃により非常に割れやすく、このために耐火性物質を損傷することなくメンテナンスのためにプロセスを開始させたり、停止させたり、またはリアクターヘッドを取り外すことは困難であるかまたは不可能である。耐火性物質は比較的引っ張り強度が低いので、ドーム型または円錐型リアクターヘッドの内部表面上に耐火性物質を懸垂状態に維持することも非常に難しい。
【0004】
加えて、図1に示すような公知のリアクターデザインは流れ分離により特徴づけられるような流量分布不良を示す。図1に示すように、耐火性物質4を有するリアクター2に流入する不良な流れ分布はリアクター2の左側で上昇流を起こし、その結果、壁面8上で分解とすすの蓄積6が起こる。図1に示すように乱流のジェット効果によって、流れが触媒9の限定された部分しか利用できないので触媒の寿命が短くなる。さらに、酸素富化HCNまたは酸素富化アンモニア酸化リアクターなどの非常に易燃性のフィード混合物を含むプロセスにおいて、図1に示すような流れ分布はフラッシュバックおよびデトネーションの著しい可能性を生じる。
【0005】
さらに、リアクターヘッドは典型的には、バレル(barrel)、交換器、またはリアクターヘッドを支持する他の装置と接続するための大きなウェルドネック(weld−neck)または重ね継ぎ手フランジ(lap jointflange)を含む。大きなウェルドネックまたは重ね継ぎ手フランジは、設計および製造に非常に費用がかかることが多く、リアクターと例えばバレル間の適当な密封を確実にするために密封表面を慎重に保守しなければならない。リアクターが作動状態にあり、Andrussowプロセスにおいて存在するHCNなどの潜在的に危険で、高温の化学物質を含む場合に、接続表面のメンテナンスは非常に重要である。メンテナンスまたは他の理由によりリアクターヘッド(reactor head)を動かす必要が生じた場合に、操作員はリアクターを直ちに稼働状態に戻すことができるように、フランジが損傷しないように非常に慎重に保護しなければならない。操作員はフランジを保護するために、単にリアクターを木のブロック、パッド、または他の材料上にセットすることが多く、木のブロックまたは他のパッドは適切に設置された場合にはフランジを損傷から保護するのに十分である場合もあるが、操作員がフランジをブロックすることを怠り、リアクターヘッドを典型的なプラントグレーティング上に直接設置した場合には、フランジ表面上にかかるリアクターヘッドの重量のために使用不可能になることが多い(フランジ表面に傷があったり、曲がっていると、適切に密封しない)。
【0006】
最後に、リアクターヘッドを載せる典型的なバレルの物理的高さのために、触媒、ディストリビューター、サポート、またはバレルの内部に入れる他の部品を挿入したり取り出したりするのが困難になる。バレルの壁面は高さ4フィートまたはそれ以上であることが多く、操作員は触媒を取り付けまたは交換するために作業台上に上り、壁を乗り越えて、バレルに物理的に入らなければならない。バレル内外へ登るのは時間がかかるだけでなく、バレルは狭い空間に属し、狭い空間にはいるには許可、呼吸用空気の供給、ホールウォッチャーとして働く他の操作員とその注意が必要で、場合によっては他の高価で時間がかかる安全手段が必要である。これらの手段の必要をなくし、触媒の挿入を簡単にするデザインが必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第1934838号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記の1またはそれ以上の問題の影響を克服するか、または少なくとも軽減することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
高温工業プロセス用装置の一態様において、少なくとも1つのフランジ付接続部が含まれ、少なくとも1つのフランジ付接続部の少なくとも1つのフランジは、少なくとも1つのフランジに取り付けられた少なくとも1つの支持突起(以下、「サポートラグ」(support lug)とも言う。)により機械的損傷から保護されている。該装置はさらに少なくとも1つのフランジに取り付けられた冷却ジャケットを含み、冷却ジャケットは1/2パイプからできている。
【0010】
さらなる態様において、少なくとも1つのフランジ付接続部を含む高温工業プロセス用装置が記載され、フランジは取り付けられた1/2パイプ冷却ジャケットにより冷却される。
【0011】
いくつかの態様において、高温工業プロセス用装置は、第一の断面(cross sectional dimension)を有するインレットパイピングセクション(inlet piping section)、第二の断面を有する下流プロセスセクション(downstream process section)、およびインレットパイピングセクションと下流プロセスセクションを接続するインレットトランジションセクション(inlet transition section)を含み、トランジションセクションは耐火性セラミックファイバーからできた内部断熱材を含む。第二の断面は第一の断面よりも大きく、内部断熱材は円錐形内部表面を形成する。さらに、インレットトランジションセクションはドーム型に成形することができる。トランジションセクションは下流プロセスセクションに対するフランジ付接続部を含むリアクターヘッドであってもよい。
【0012】
いくつかの態様において、1またはそれ以上のサイトグラスノズル(sight glass nozzle)が含まれる。層流速度プロファイルは、インレットトランジションセクションの上流末端で層流を提供するのに十分長いパイピングセクションを含む直線状パイプ;インレットパイピングセクション内に設置された少なくとも1つのCRV;インレットトランジションセクションの上流末端のLAD;およびインレットトランジションセクションの上流末端のEHDのうちの少なくとも1つを用いて下流プロセスセクションにおいて達成することができる。
【0013】
高温工業プロセスについてのさらなる態様は、第一の断面を有するプロセスセクション、第一の断面よりも小さな第二の断面を有するアウトレットパイピングセクション(outlet piping section)、ならびにアウトレットパイピングとプロセスセクションを接続するアウトレットトランジションセクション(outlet transition section)を含み、アウトレットトランジションセクションの内部表面は円錐形である。
【0014】
高温工業プロセスについてのさらなる態様は、ボトムフランジ(bottomflange)を有するリアクターヘッド;およびトップフランジ(topflange)を有する下流プロセスセクションを含み、下流プロセスセクショントップフランジの作業高度は、約2.0フィートと3.5フィートの間である。
【0015】
本発明のさらなる態様は、インレットパイピングセクション、インレットトランジションセクション、プロセスセクション、アウトレットトランジションセクション、およびアウトレットパイピングセクションを含み、1またはそれ以上の装置セクションは内部断熱材を含み、断熱材は耐火性セラミックファイバーで構成される。この態様において、インレットトランジションセクションはさらに円錐形内部表面を有し、アウトレットトランジションセクションはさらに円錐形内部表面を有する。装置はさらに、インレットトランジションセクションとプロセスセクション間に第一および第二フランジを有するフランジ付接続部を含み、第一および第二フランジのうちの少なくとも一方はこれに取り付けられた冷却ジャケットを含む。
【0016】
さらに、少なくとも1種の炭化水素、少なくとも1種の窒素含有ガス、および少なくとも1種の酸素含有ガスを提供し、少なくとも1種の炭化水素、少なくとも1種の窒素含有ガス、および少なくとも1種の酸素含有ガスを装置内で反応させてシアン化水素を形成し、装置内での少なくとも1種の酸素含有ガスとの同時燃焼反応により熱を供給する工程を含むシアン化水素の製造法が記載され;該装置は少なくとも1つのフランジ付接続部を含み、少なくとも1つのフランジ付接続部の少なくとも1つのフランジは、少なくとも1つのフランジに取り付けられた少なくとも1つのサポートラグにより機械的損傷から保護されている。
【0017】
少なくとも1種の炭化水素、少なくとも1種の窒素含有ガス、および少なくとも1種の酸素含有ガスを提供し;少なくとも1種の炭化水素、少なくとも1種の窒素含有ガス、および少なくとも1種の酸素含有ガスを装置内で反応させてシアン化水素を形成し、装置内での少なくとも1種の酸素含有ガスとの同時燃焼反応により熱を供給することを含むシアン化水素の製造法が開示される。このプロセスにおいて、装置は、第一の断面を有するインレットパイピングセクション、第二の断面を有する下流プロセスセクション、インレットパイピングセクションと下流プロセスセクションを接続するインレットトランジションセクションを含み、トランジションセクションは耐火性セラミックファイバーで構成される内部断熱材を含む。
【0018】
一態様において、リアクターヘッドと内部断熱材を含む装置が開示され、断熱材は耐火性セラミックファイバーを含む。リアクターヘッドは、化学プロセスを容易にするために流体流れと接続するように適合させる。この態様において、円錐形リアクターヘッド壁面と垂直線間の角度は約25°より小さい。断熱材は、円錐形リアクターと断熱材の両方を貫通して伸びる少なくとも1つのスリーブで所定の位置に固定することができ、断熱材は、さらにリアクターヘッドインレットを通って伸びるカラー(collar)によっても支持することができる。リアクターヘッドは円錐形またはドーム型である。装置はシアン化水素または他の生成物を製造するために用いることができる。
【0019】
一態様において、装置はさらにリアクターヘッドの周りに配置された冷却ジャケットを含む。冷却ジャケットは、円錐形リアクターの外部表面に取り付けられたハーフパイプからできている。装置は、リアクターヘッドの上流の直流化羽根(flow straightening vanes)の使用を含むことができると考えられる。
【0020】
一態様において、リアクターヘッド、円周表面および結合表面を有する少なくとも1つのフランジが開示され、該結合表面は化学プロセスユニット内の結合フランジと結合するようにされ、少なくとも1つのサポートラグは少なくとも1つのフランジに取り付けられ、リアクターヘッドを支持することができ、少なくとも1つのサポートラグは円周表面および結合表面から、結合表面とサポートラグの間に隙間ができるように伸びている。少なくとも1つのフランジに取り付けられ、リアクターヘッドを支持できる1またはそれ以上のさらなるサポートラグがこの態様に含まれる。少なくとも2つのサポートラグは一般にU字型で、少なくとも1つのフランジに取り付けられた冷却ジャケットの周りに伸びる。少なくとも2つのサポートラグはさらに、少なくとも2つのサポートラグの冷却を促進するためにあけられた一般に円形の孔を有する。
【0021】
一態様において、リアクターヘッド、リアクターヘッドに結合するようにされた触媒含有バレルが開示され、触媒含有バレルは作業垂直高さが約2.0フィートと約3.5フィートの間であり、触媒含有バレルがリアクターヘッドから取り外された場合にバレルの直径の外側に立つ1人またはそれ以上の操作員により提供される触媒または他の装置の受容を促進するように適合されている。用途によっては、操作員は触媒または他の装置の挿入を助けるホイストまたは他の器具を用いることができるが、操作員自身はバレルの外側にいることができる。
【0022】
一態様において、リアクターヘッド、リアクターヘッドに結合するように取り付けられた触媒含有バレル、および触媒含有バレルの側面に触媒高さと内部通路の間に照準線がないような通常でない角度で取り付けられた熱電対または他の計器を収容するように固定された内部通路を有する少なくとも1つの熱電対ノズルを含む装置が開示される。
【0023】
少なくとも1種の炭化水素、少なくとも1種の窒素含有ガス、および少なくとも1種の酸素含有ガスを提供し、少なくとも1種の炭化水素、少なくとも1種の窒素含有ガス、および少なくとも1種の酸素含有ガスをリアクター内で反応させてシアン化水素を形成し、リアクター中での少なくとも1種の酸素含有ガスとの同時燃焼反応により熱を供給することを含むシアン化水素の製造法も開示される。このプロセスにおいて、リアクターはリアクターヘッド、触媒含有バレル部材、およびリアクターヘッド中に挿入可能な断熱材を含み、断熱材は耐火性セラミックファイバーを含むと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は従来技術リアクターシステムの図である。
【図2】図2は本発明の円錐形リアクターヘッドの一態様の前面図であり、一部断面を示す。
【図2a】図2aは図2に示した例の透視図である。
【図3】図3は図2のデザインの上面図である。
【図4】図4は本発明のカラーの上面図である。
【図4a】図4aは図4に示すカラーの前面図である。
【図5】図5は本発明の一態様の円錐形リアクターヘッドのフランジに取り付けられたサポートラグの上面図である。
【図6】図6は図5に示すサポートラグのA−A線に沿った側面図である。
【図7】図7は図5のデザインのB−B線に沿った前面図である。
【図8】図8は図5に示すデザインを組み入れたリアクターの上面図である。
【図9】図9は本発明の一態様にしたがったバレルセクションの上面図である。
【図10】図10は図9のデザインのC−C線に沿った断面図である。
【図11】図11は図2の円錐形リアクターと共に用いられる回転羽根の前面図である。
【図12】図12は回転羽根のないパイプ中の流体流れの流れ図である。
【図13】図13は図12の有効な流体流れの断面図である。
【図14】図14は回転羽根を有するパイプ中の流体流れの流れ図である。
【図15】図15は図14の有効な流体流れの断面図である。
【図16】図16は本発明の円錐形リアクターヘッドと回転羽根を組み入れたシステムの透視図である。
【図17】図17は本発明のリアクターの別の態様の前面図である。
【図18】図18は本発明のリアクターのさらに別の態様の前面図である。
【図19】図19は操作員に近接した図2の円錐形リアクターの写真である。
【図20】図20は本発明にしたがって形成された非選択的触媒還元(NSCR)NOx排除ユニットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の前記および他の特徴および態様は以下の詳細な説明を読み、図面を参照するとさらに明らかになる。図中:図1は従来技術リアクターシステムの図である。図2は本発明の円錐形リアクターヘッドの一態様の前面図であり、一部断面を示す。図2aは図2に示した例の透視図である。図3は図2のデザインの上面図である。図4は本発明のカラーの上面図である。図4aは図4に示すカラーの前面図である。図5は本発明の一態様の円錐形リアクターヘッドのフランジに取り付けられたサポートラグの上面図である。図6は図5に示すサポートラグのA−A線に沿った側面図である。図7は図5のデザインのB−B線に沿った前面図である。図8は図5に示すデザインを組み入れたリアクターの上面図である。図9は本発明の一態様にしたがったバレルセクションの上面図である。図10は図9のデザインのC−C線に沿った断面図である。図11は図2の円錐形リアクターと共に用いられる回転羽根の前面図である。図12は回転羽根のないパイプ中の流体流れの流れ図である。図13は図12の有効な流体流れの断面図である。図14は回転羽根を有するパイプ中の流体流れの流れ図である。図15は図14の有効な流体流れの断面図である。図16は本発明の円錐形リアクターヘッドと回転羽根を組み入れたシステムの透視図である。図17は本発明のリアクターの別の態様の前面図である。図18は本発明のリアクターのさらに別の態様の前面図である。図19は操作員に近接した図2の円錐形リアクターの写真である。図20は本発明にしたがって形成された非選択的触媒還元(NSCR)NOx排除ユニットの図である。
【0026】
本発明は種々の修正や変更された形態が可能であるが、特定の態様を図面の例により示し、詳細に記載する。しかしながら、本明細書の特定の態様を記載することは、本発明を開示された具体的な形態に限定するものではなく、反対に、本発明は請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲内のすべての修正されたもの、同等のものおよび代替物を包含する。
【0027】
本発明の例を以下に記載する。明確にするために、本明細書においては、実際の実施のすべての特徴を記載していない。もちろんこのような実際の例の開発において、たとえばシステムおよびビジネスに関連する制約を応諾するなど開発者の特定の目的を達成するために、種々の実施に特異的な取り決めをしなければならず、これは実施ごとに異なる。さらに、このような開発の努力は複雑で、時間がかかるが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては慣例的な仕事である。
【0028】
図面に戻ると、特に図2について、本発明の一態様にしたがった円錐形リアクターヘッド10が開示される。円錐形リアクターヘッド10は、化学プロセスにおいて結合フランジ13(図16に示す)と接続するようにされたトップフランジ12を含む。トップフランジ12はリアクターインレット14に隣接し、任意にその中に同心的に設置された硬質カラー16を有する。カラー16は図4および4aにより詳細に示され、典型的にはステンレス鋼でできている。カラー16は一般に円筒形であり、カラーがリアクターヘッド10中に転落するのを防止し、トップフランジ12と結合フランジ13間を密封できるリップ15を有する。カラー16は断熱材40(本明細書において以下により詳細に記載する)をその位置に固定するのを助ける。
【0029】
インレット14は円錐形側面部材18に隣接する。側面部材18は拡大する領域を形成し、インレットからの層流の維持を容易にする。流れがインレットで層流である場合、流れは側面部材18と垂直線20間の角度22が約25°より小さいならば付着したままである傾向にある。図2に示す態様において、角度20は約21°である。角度22の多少の変更は本発明の範囲内であると理解される。すなわち、角度は約25°より小さくてもよいし、付着した層流を促進する任意の他の角度でも良い。角度22は上部から底部まで断熱材40の厚さを変えることによっても有効に変更できる。リアクターヘッド10は円錐形でなくても良いが、ラージアングルディフューザー(LAD)または楕円形ヘッドディフューザー(EHD)と結合して円錐形と類似した層流プロファイルを形成する任意の都合の良い形態(例えば図20に示すようなもの)であってもよい。ラージアングルディフューザーとEHDはKoch−Glitsh,Inc.から入手可能である。層流は、乱流/流れ分離状態の結果を生じるフラッシュバックを防止する利点を提供する。再び図1を参照して、逆流が形成される場合、図16に示すような層流状態においては存在しないフラッシュバックおよびデトネーション(detonation)の危険性が増大する。
【0030】
側面部材18には複数のリフティングラグ(lifting lug)24が取り付けられている。好ましくは、図3に示すように、3つのリフティングラグ24が側面部材18の外部表面44の周りに等間隔にある。リフティングラグ24はフック、ケーブルまたは他のリフティングシステム付属物(図示せず)を受けるために取り付けられたアイレット(eyelet)26を有する。リフティングラグ24は、リアクターヘッド10の輸送を容易にするためにその全重量を支えるように設計される。
【0031】
側面部材18は、トップフランジ12にとり付けられているのと反対側のボトムフランジ28と接する。トップフランジ12およびボトムフランジ28はウェルドネックフランジであるのが好ましいが、重ね継ぎ手フランジなどの他のフランジも用いることができる。当業者らは本発明の開示により、非常に高い座面応力(seating stress)が必要な螺旋巻きガスケット(spiral wound gasket)(図示せず)についてはウェルドネックフランジが特に有用であり;螺旋巻きガスケットはHCN製造などの重要な用途において好ましいことを理解できるであろう。トップフランジ12およびボトムフランジ28を指定するために用いられる「トップ」および「ボトム」とは、図面において示されるリアクターヘッド10の配置に関してのみの意味である。リアクターヘッド10の配置は任意の適当な位置に変更できる。図2に示す態様において、フランジ冷却ジャケット30はボトムフランジ28に取り付けられている。フランジ冷却ジャケット30は図2および6に示すようにボトムフランジ28に直接溶接されたハーフパイプを含む。冷却ジャケット30はインレット32およびアウトレット34を含む。アウトレット34を図3に示す。側面部材18も冷却ジャケット92を含む。冷却ジャケット92は図2においては示していないが、図2aに示す。冷却ジャケット92は、インレット(図示せず)およびアウトレット94を含む。冷却ジャケット92も、図2aに示すような配置において側面部材18に直接溶接されたハーフパイプを含む。これらの冷却ジャケットインレット/アウトレットは、その結合する冷却ジャケットをステンレス鋼ブレード付ホース91により冷却剤供給源と接続させるフランジを含む。好ましい態様において、ジャケットのいくつかを直列に接続することができる。すなわち、1つのジャケットのアウトレットフランジを別のジャケットのインレットフランジに接続することができる。いくつかの態様において、インレット/アウトレットフランジはまとめて省略し、冷却剤供給源(図示せず−これは例えば給水ヘッダーであっても良い)へつながる連続管と置換することができる。いくつかの態様においては、リアクターヘッド10に結合する冷却ジャケットが全くない。
【0032】
ボトムフランジ28の隣には複数のサイトグラスノズル36および38がある。サイトグラスノズル36の横断面図を図2に示す。図3はサイトグラスノズル36とサイトグラスノズル38の両者についての好ましい態様の上面図を開示する。あるいは、サイトグラスノズル36だけがリアクターに含まれる。いくつかの態様において、サイトグラスは完全に省略される。サイトグラスノズル36および38は側面部材18を貫通してリアクターヘッド10の内部に伸びる。サイトグラス36および38により操作員は内部反応を見ることができる。サイトグラスノズル36および38は別法としてサンプリングコネクションとして、またはこれに限定されないが熱電対、圧力計、および点火器を含む他の装置の導管として用いることができる。
【0033】
リアクターヘッド10は、リアクターの内壁42に隣接した内部断熱材40を含む。断熱材40は好ましくはアルミナおよび/またはシリカセラミックファイバーでできていて、バインダーも含むことができる。例えば、断熱材40はRex Roto Corporationから入手可能なPyrolite(バインダーを含む)またはRath Performance Fibers Inc.から入手可能なK−modセラミックファイバーモジュール(バインダーを含まない)を含む。断熱材40をリアクターヘッド10の内部に設置することにより、外部断熱材に関連するリアクターヘッドの過熱およびリアクターヘッドの破損の危険性なしに熱損失を減少させることにより効率が増大する利点が得られる。リアクターヘッド10および他の公知のリアクターは冷却システムを有するが、冷却システムが故障した場合には、リアクター10内部で発生した熱が金属製リアクターの温度を上昇させる。温度はフランジまたはリアクター自身が金属の降伏点に達して破損するまで上昇し続ける。極端な温度のためにリアクターが破損したり、フランジが湾曲した場合、その内部に含まれる潜在的に危険な化学物質が放出される可能性がある。しかしながら、リアクターヘッド10内の内部断熱材40のみを用いることにより、リアクターヘッド10はセルフラジエーターとして作用し、すなわち、外部表面44は自由に熱を大気中に放射できる。これによりリアクターヘッド10は自身の温度を自己規制する利点が得られる。リアクターヘッド10の温度は冷却システムが故障した場合には通常の作業温度を超えて上昇するが、自己放射できることにより、二次冷却メカニズムが提供され;結局、リアクター10の外部表面44からの放熱はリアクター内部で発生した熱と等しく、定常状態に達する。たとえば、リアクターヘッド10内部に断熱材40を採用したHCNプロセスにおいては、リアクターヘッド10は金属の降伏点以下数百F°で自己抑制する。したがって、断熱材40の使用により、冷却不良の場合に安全性を損なうことなく熱損失が最小になる。実際、いくつかの態様においては、冷却システムの使用をさけることが望ましい。従来のリアクターは、環境へのエネルギー損失を最小にするためにリアクター壁面の内部に耐火性材料を含むが、従来技術の説明において記載したように、耐火性物質は、重く、脆く、維持するのが困難で、機械的および熱的ショックにより割れやすい。耐火性材料を含む円錐形ヘッドは製造するのが非常に難しく、耐火性材料含有ヘッドは耐火性材料がひび割れる可能性なしにメンテナンスまたは他の理由から都合よく動かすことができない。有利には、本発明は断熱材40に、軽量で、熱および機械的ショックに対して耐性であり、円錐形リアクター中への取り付けおよび維持が容易なPyroliteまたはK−modの使用を意図する。断熱材40はリアクターヘッド10と適合し、ひび割れの危険性なしにリアクターに出し入れできるように円錐形に製造するのが好都合である。PyroliteおよびK−Modは、内部断熱システムに通常要求されるような非常に特別な注意を払うことなく持ち上げたり、輸送するできるほど十分耐性である。図2に示す態様において、断熱材40は実質的にリアクターヘッド10の内壁42に隣接するが、いくつかの態様においては、断熱材40は、ブランケット(図示せず)またはエアギャップ(図示せず)が断熱材と内壁42の間に存在するように配置される。
【0034】
断熱材40はカラー16によりリアクター10内に固定される。カラー16はリアクターヘッド10中に伸び、外部カラー表面17は断熱材40の上部末端が固定される強固な境界を提供する。カラー16は、リアクターヘッド10中に導入され、内部に含まれる気体が断熱材40の後部に移動しないようにする。カラー16の使用に加えて、あるいはそのかわりに、各サイトグラスノズル36および38中のサイトグラススリーブ48が断熱材40を貫通して断熱材を正しい位置に保持することができる。しかしながら、図16に示すように、断熱材40はリアクターが完全に取り付けられた場合に懸垂状態にある必要はなく、そのかわりにバレル52の内部に注入された注型適性耐火性物質50上にのせることができる。耐火性物質50はPyrolite、K−mod、または耐火性れんがを含むことができる。
【0035】
高温および高圧下での化学反応に伴う危険性のために、合わせ面54がリアクターヘッド10の、例えばバレル52との接続部を適切に密封する状態になるようにボトムフランジ28を慎重に製造し、保持しなければならない。リアクターヘッド10はバレル52についての使用に限定されないが、そのかわりにバレル全体を含む熱交換器(図示せず)または他のバレル装置と直接結合させることができる。リアクターヘッド10と組み合わせて用いることができる熱交換器のいくつかの種類の例は、継続中の米国仮特許出願第60/141769号(本発明の一部として参照される)に記載されている。リアクターヘッド10は2000ポンドを超えるので、ボトムフランジ28はリアクターの重量が合わせ面54にかかる場合には容易に損傷したり破損したりする。少なくともこの理由から、複数のサポートラグ、たとえばU字型ブラケット56、58および60をボトムフランジ28の円周の周りに等距離に配置するのが有利である。U字型ブラケット56を図5中詳細な上面図において示し、3つのサポートラグすべてを図8に示す。当業者らにはこの開示によりU字型ブラケットとして図面中に例示されたサポートラグの数、間隔、および詳細を変更できることを理解できるであろう。図5はボトムフランジ28にとり付けられた一般にU字型のブラケット56を開示する。U字型ブラケット56はボトムフランジ28およびフランジ冷却ジャケット30の円周を越えて伸びる。
【0036】
図6に関して、U字型ブラケット56の側面図がボトムフランジ28にとり付けられた状態で示される。図面中、ボトムフランジ28は結合バレルフランジ82に隣接して存在する。U字型ブラケット56は合わせ面54を越えて伸びて、ブラケットの底部と合わせ面間に隙間66を形成する足64を有する。隙間66は1/2インチと3インチの間であり、好ましくは約1.25インチであるが、これ以外の隙間を必要に応じて形成することができる。当業者らには本開示から隙間66はリアクターヘッド10をバレル52または他の結合装置上にセットするのを妨害することなく合わせ面54を保護する任意の大きさであってよいことを理解できるであろう。隙間66は、リアクター10がバレル52上以外の場所に設置された場合に、合わせ面54を有利に保護する。たとえば、リアクター10が地面に設置される場合、合わせ面と地面が直接接触することにより生じるひっかき傷および/または他の損傷から合わせ面54を保護するためにボトムフランジ28の下に何も設置する必要がない。U字型ブラケット56、58および60は、合わせ面54を地面または他の支持面と接触させないでリアクターヘッド10の全重量を支持することができる。本開示により当業者らは、欧州特許EP847372(A1)(本発明の一部として参照される)に開示されているリアクターのようないくつかの他成分の態様において、複数のフランジを保護するために複数のサポートラグを有利に用いることができることを理解できるであろう。図7を参照して、U字型ブラケット56、58、および60は各ブラケットの量を減少させ、それぞれの冷却を促進するための円形の孔を有することができる。
【0037】
次に図9および10に関して、バレル52を詳細に示す。バレル52は一般に円筒形であり、触媒68を含む。バレル52はリアクターヘッド10と接続するように取り付けられる。しかしながら図9および10はバレルセクションのみを示す。バレル52はトップバレルフランジ82およびボトムバレルフランジ84を含む。いくつかの態様において、フランジ84は壁面100とその下の熱交換器(図示せず)の間の連続した接続部を省略することができる。バレル52はさらに3つの冷却ジャケット(70、76および86)を含む。バレル冷却ジャケット70はインレット72およびアウトレット74を含む。トップバレルフランジ冷却ジャケット86は関連するインレット88およびアウトレット90を含む。ボトムバレルフランジ冷却ジャケット76は関連するインレット78およびアウトレット80を含む。冷却ジャケット70、76および86のそれぞれは図10に示すようなバレルに溶接されたハーフパイプを含む。インレット72、74、78、80、88および90のそれぞれはステンレス鋼ブレード付ホース91により、その関連する冷却ジャケットを冷却剤供給源に接続させるフランジを含む(あるいは1つの供給源に直列に接続することができる)。しかしながら、いくつかの態様においては、インレット/アウトレットフランジは全体としてなくすことができ、冷却剤供給源(図示せず)への連続管と置換することができ、さらに他の態様においては、冷却ジャケットがまったっくなくてもよい。
【0038】
バレル52の高さは、これに限定されないが、触媒68、ディストリビューター、サポート、またはバレル中に挿入される他の部品を含む物品の取り付けおよび除去が容易になるように有利に設計される。従来技術の説明で記載したように、公知のバレルについては触媒または他の物品を取り付けるのが非常に困難で時間がかかる。図9および10に開示されるバレル52はトップバレルフランジ82からボトムバレルフランジ84の長さD1が短縮され、約1.5から2.5フィート、好ましくは1.75フィートである。この距離は、例えば交換器(図示せず)と組み合わせた場合に、床(図示せず)または台のいずれかからトップバレルフランジ82までの作業高さが2.0から3.5フィート、好ましくは3.0フィートになる。2.0から3.5フィートの高さで、トップバレルフランジは平均的な人の腰の高さに相当し、例えば触媒をバレルの外側から挿入または回収するために平均的な人でバレル52内に手が届く。図19は操作員に非常に近接した本発明の一態様を示す。図面からわかるように、操作員は内部をよじ登らずに都合よくバレル中に届く。その結果、狭い空間内にはいる必要がなく、それに関連した許可および注意の必要もなくなる。さらに、操作員が触媒または他の内部物品に届き、交換できるようにするためにスツールまたは他の任意の装置を使用する必要もない。例えば触媒に関しては、触媒はトップバレルフランジ82から約1フィートのバレルの内部に設置できるが、バレルは操作員が都合良く届く任意の距離に触媒を受容するように改造することができる。トップバレルフランジ82からの触媒が設置される距離の範囲は、約3インチから2フィートと考えられる。
【0039】
バレル52は、リアクター内の温度などの状態のモニターを容易にするために複数の計器ノズル96および98を有する。典型的には熱電対ワイヤを上部からリアクター中に通すが、これは円錐形リアクターヘッド10などの大きな対象物については困難である。熱電対(図示せず)をバレル62の壁面100を通って有利に供給することにより、挿入はさらに容易になり、熱電対は容易に利用可能になる。計器ノズル96および98は熱電対を収容し、バレル冷却ジャケット70を貫通してノズルを冷却できるように取り付けられる。計器ノズル96および98はバレル52の外側に触媒とほぼ同じ高さの位置に設置される。しかしながら、計器ノズル96および98は、触媒放射線に対して照準線がないようにバレル52の壁面100と通常でない角度で配置される。通常でないとは、計器ノズル96および98がバレル壁面100と90°以外の角度で接するか、またはノズルが触媒に関して同じ高さでないことを意味する。加えて、ノズル96および98はさらに熱電対を保護するためにその中に挿入された断熱材を有する。開示された態様においては、ノズル96と壁面100との間の角度は約77°であるが、90°を除く0°と180°の間の任意の他の角度を用いることができる。化学反応におけるエネルギーの多くは放射線により伝達され、計器ノズル96および98が触媒反応に対する照準線についてバレル52に対して通常であるならば、熱は直接ノズル中に入り、ノズル内に配置された熱電対(図示せず)を溶かす。したがって、計器ノズル96および98は触媒反応近くであって、反応の照準線中でない位置に有利に配置され、これにより熱電対の寿命が延びる。
【0040】
計器ノズル96および98は、これに限定されないが、プロセスアナライザーサンプルコネクション、圧力計、および点火器を含む多くの他の器具に用いることができる。
【0041】
次に図11〜16について、リアクター10と組み合わせて用いられる直流化システムを開示する。貴金属および他の触媒のために非常に高価なので、触媒の全表面積上に流れを起こしてその寿命を増加させることが望ましい。典型的なリアクターシステムにおいて、流体が急に拡張した部分を流れる際のよく知られているジェット効果により、流体の大部分がインレットパイプとほぼ同じ直径を維持する。流体が触媒に到達した場合に、典型的には中心部は流れの80から90%を受容するが、壁面に最も近い触媒部分は欠乏状態である。加えて、図1に示すような上向きの流れのパターンが起こり、リアクターの壁面で反応物質が分解される可能性がある。インレットパイピングにおいて層流を生じさせることでき、リアクターが徐々に広がる場合に、流れはリアクターの壁面に付着した状態で、全触媒表面に対してより均一な分布になる。拡大角度が約25°より小さい場合は通常付着した層流が維持される。場合によっては、リアクターに対する入り口のすぐ上流で少なくとも直線パイプの10倍にすることにより層流が生じるが、典型的には空間的制約のために、必要なパイプ直径の10倍以下の上流にパイピングエルボーが存在する必要がある。これらの典型的な限られた空間での用途において、層流を生じさせるために回転羽根102などの直流化装置が必要になる。回転羽根102はCRVとして公知であり、Cheng Fluid Systems,Inc.またはKoch−Glitsch,Inc.より入手可能である。本開示により当業者らは層流を生じさせるために他の直流化システムも用いることができることがわかるであろう。図11は回転羽根102がリアクター2に関して用いられる場合の前面図を示す。図16はリアクター10に関する回転羽根102の典型的な配置を説明する。回転羽根102は図16に示す様な2つのエルボーを補うように設計されるか、または第二の回転羽根(図示せず)を回転羽根102に加えて用いることができる。図12〜15は作動中の回転羽根102の効果を示す。回転羽根102がないと、流体がエルボー104の付近を通過する際の速度は不均一になり、図12に示すように流れ分離が起こる。有効な流れ106を図13に示すような断面に類似するように変更する。図13に示す不均一な流れは、付着した流れが触媒に均一に分配されるのを妨害する。一方、回転羽根102を使用すると、図14に示すようなエルボー104を通る流れパターンが得られる。回転羽根102を通過した後、流速は均一になり層流になる。図15は均一な流れの断面図107を示す。層流を円錐形リアクターヘッド10中に導入すると、円錐の角度22が約25°以下であると仮定すると流れはリアクターヘッドの壁面42に付着したままである傾向がある。本発明において開示する態様において、リアクターヘッド10の円錐の角22は約21°である。円錐形リアクター10に関して回転羽根102を使用すると、反応の効率および触媒の寿命が有利に増大する。
【0042】
いくつかの態様において、図17に示すようなリアクター202などのリアクターを円錐形リアクター10と置換することができる。リアクター202は、既存のヘッド208と接続するスプリットバレル(204および206)形状であるが、前記の同じ冷却システム、バレル高さ、熱電対ノズル、回転羽根、および内部断熱材をリアクター202に関して用いることができる。リアクター202をLADまたはEHDと結合させて、円錐形リアクター10において形成される流れと類似した有効な層流を形成することができる。
【0043】
加えて、図18は本発明にしたがったリアクター302についての第三の態様を開示する。リアクター302は短いバレル306に取り付けられた延長されたヘッド304を含む。リアクター202と同様に、リアクター302はバレル52に取り付けることができ、前記開示と同じ冷却システム、バレル高さ、熱電対ノズル、回転羽根、および内部断熱材を含む。リアクター302はLADまたはEHDと結合させて、円錐形リアクター10において形成される流れと類似した有効な層流を形成することができる。
【0044】
ドーム型ヘッド402においてLADまたはEHD装置使用の代替法を図20において示す。図示されているのは、円錐内部表面43を有する断熱材40の使用である。円錐形出口45(またはより詳細には、ドーム型出口ヘッドにおいて円錐形内部表面を提供する断熱材の使用)も示す。円錐形出口の第一の利点は圧力降下(乱流/非層流は圧力降下を増大させる渦を形成する)が最小になるような層流を形成することである。本開示により当業者らはインレット円錐43の角度は非常に重要であるが、出口角度または円錐45はあまり重要でなく、0°より大きく、90°より小さな角度であることを理解できる。さらに、フランジ47を図20に示すが、これらは任意であり、フランジのない容器中へ挿入しやすくするために耐火性セラミックファイバー断熱材を断片に加工することができ、次に容器内で組み立てて、所望の円錐内部表面を形成することができる。
【0045】
リアクター10、202、および302はシアン化水素の製造において最も有用であると考えられる。シアン化水素の調製法は、リアクター(例えば、リアクター10、202、または303)中に反応物質を供給することを含む。反応物質は少なくとも1種の炭化水素、少なくとも1種の窒素含有ガス、および少なくとも1種の酸素含有ガスを含む。酸素含有ガスは窒素含有ガスまたは炭化水素と同じであってもよい。
【0046】
少なくとも1種の炭化水素は脂肪族または置換脂肪族、脂環式または置換脂環式、あるいは芳香族または置換芳香族炭化水素あるいはその混合物である。適当な例としては、これに限定されず、メタン(CH4)、エチレン(C2H4)、エタン(C2H6)、プロピレン(C3H6)、プロパン(C3H8)、ブタン(C4H10)、メタノール(CH3OH)、トルエン、ナフサ、およびメチルホルメートが挙げられる。好ましい態様において、少なくとも1種の炭化水素は、メタンまたは1またはそれ以上のメタン含有炭化水素の混合物である。少なくとも1種の窒素含有ガスとしては、これに限定されないが、アンモニア、ホルムアミド、または酸化窒素(NO)が挙げられる。好ましい態様において、少なくとも1種の窒素含有ガスはアンモニアまたはアンモニアと1またはそれ以上の窒素含有ガスの混合物である。少なくとも1種の酸素含有ガスは、燃焼を維持して吸熱のシアン化水素形成に熱を提供するのに適した量の酸素を含む任意の物質である。適当な例としては、これに限定されないが空気、酸素富化空気、純粋な酸素ガス、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、またはその混合物あるいは分解して酸素を提供する酸素含有化合物が挙げられる。適当な例としては、過酸化物、ケトン、エーテルなどが挙げられる。
【0047】
HCN形成反応のエネルギーが現場燃焼以外の供給源から供給される他の従来技術、非Andrussow型HCN調製法に関して開示されたリアクターの使用も意図される。このようなプロセスの例としては、Degussa B−M−Aプロセス、Fluohmicプロセス、およびマイクロ波加熱および誘導加熱プロセスが挙げられる。
【0048】
開示された装置は、これに限定されないが、硝酸の製造(アンモニア酸化プロセスまたは酸素富化プロセスによる製造法を含む)、合成ガス製造法、(メタ)アクリル酸製造法、NOx低減ユニット、または高温および高圧を必要とする吸収剤、触媒、または熱交換器を用いた他のプロセスを含む他の工業プロセスにおいても用いることができる。高圧は、大気圧より高い圧力を含み、高温は、60℃より高い温度を含む。加えて、用いられる触媒としては、これに限定されないが、スクリーン、担持触媒、流動床、またはイオン交換樹脂が挙げられる。
【0049】
最後に、本発明は気体プロセスに適用されるが、本開示により当業者らは本発明は気体プロセスに限定されないことがわかるであろう。本発明は高温および/または高圧での液体の使用も含むと考えられる。
【0050】
具体例を参照して本発明を具体的に例示し、説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の形態および詳細の変更をなすことができることは当業者には理解できるであろう。前記態様は単に例示のためであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0051】
2:リアクター
4:耐火性物質
6:すすの蓄積
8:壁面
9:触媒
10:リアクターヘッド
12:トップフランジ
13:結合フランジ
14:リアクターインレット
15:リップ
16:カラー
17:外部カラー表面
18:側面部材
20:垂直線
22:角度
24:リフティングラグ
26:アイレット
28:ボトムフランジ
30:冷却ジャケット
32:インレット
34:アウトレット
36、38:サイトグラスノズル
40:断熱材
42:リアクター内壁
43:円錐内部表面
44:外部表面
47:フランジ
48:サイトグラススリーブ
50:耐火性物質
52:バレル
54:合わせ面
56、58および60:U字型ブラケット
62:バレル
64:足
66:隙間
68:触媒
70:バレル冷却ジャケット
72、78、88,90:インレット
74:アウトレット
76、86:冷却ジャケット
80:アウトレット
82:トップバレルフランジ
84:ボトムバレルフランジ
91:ステンレス鋼ブレード付ホース
92:冷却ジャケット
94:アウトレット4
96,98:計器ノズル
100:壁面
102:回転羽根
104:エルボー
106,107:流れ
202:リアクター
208:既存のヘッド
204,206:スプリットバレル
302:リアクター
304:ヘッド
306:バレル
402:ドーム型ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ボトムフランジを有するリアクターヘッド;
b)トップフランジを有する下流プロセスセクションを含み、下流プロセスセクショントップフランジの作業高度が約2.0フィートと3.5フィートの間である高温工業プロセス用装置。
【請求項2】
下流プロセスセクションがさらに少なくとも1つの熱電対ノズルを含む請求項1記載の装置。
【請求項3】
リアクターヘッドがさらに耐火性セラミックファイバーを含む内部断熱材を含む請求項1記載の装置。
【請求項4】
内部断熱材が円錐形内部表面を含む請求項3記載の装置。
【請求項1】
a)ボトムフランジを有するリアクターヘッド;
b)トップフランジを有する下流プロセスセクションを含み、下流プロセスセクショントップフランジの作業高度が約2.0フィートと3.5フィートの間である高温工業プロセス用装置。
【請求項2】
下流プロセスセクションがさらに少なくとも1つの熱電対ノズルを含む請求項1記載の装置。
【請求項3】
リアクターヘッドがさらに耐火性セラミックファイバーを含む内部断熱材を含む請求項1記載の装置。
【請求項4】
内部断熱材が円錐形内部表面を含む請求項3記載の装置。
【図1】
【図2】
【図2a】
【図3】
【図4】
【図4a】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図2a】
【図3】
【図4】
【図4a】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−40563(P2012−40563A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242710(P2011−242710)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【分割の表示】特願2001−153796(P2001−153796)の分割
【原出願日】平成13年5月23日(2001.5.23)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【分割の表示】特願2001−153796(P2001−153796)の分割
【原出願日】平成13年5月23日(2001.5.23)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]