説明

安全装置

【課題】特定エリア内の作業者や障害物を高精度にかつ速やかに検出することができる安全装置を安価に供する。
【解決手段】特定エリアを挟む相対向する両側辺の一方の側辺に投光器9fを他方の側辺に受光器9rを互いに対向して配置した光電センサ9が、前記側辺に沿って所定間隔で複数配列され、複数の光電センサ9を作動制御する制御手段が設けられ、制御手段は、配列された複数の光電センサ9を所定数毎のブロックB1,B2,……に分割し、所定の時間間隔で、ブロック毎に1光電センサ9を整列順に選択し、選択したブロック毎の光電センサ9を一斉に作動させる安全装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危険の可能性のある特定エリア内に作業者や物が存在するかを検出する安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の安全装置に、所要の単位棚を移動して任意の相隣る単位棚間を開いて棚通路を選択的に形成する移動棚において特定エリアである棚通路内の作業者や物を検出する安全装置がある。
かかる移動棚においては、形成された棚通路に作業者や物が入っているときに、他の棚通路の形成のため単位棚が移動することがあると、作業者や物が単位棚間に挟まれることがあるので、事故を起こさないためにも棚通路内に作業者や物が存在するか否かの棚通路状態を検出する必要がある。
【0003】
そのため、棚通路内の作業者等の存在を検出する光電センサを棚間口面に配列した装置が、種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に開示された装置は、少なくとも1個の発光素子からなる発光素子モジュールを連結して棚間口面に配設し、少なくとも1個の受光素子からなる受光素子モジュールを連結して対向する棚間口面に発光素子と受光素子が対向するように配設したものである。
【0004】
一対の発光素子と受光素子から1光電センサが構成され、隣り合う光電センサ間で干渉を起こさないように、光電センサの配列される最小間隔は棚通路の幅などから決定されて、最小間隔より狭い間隔により高精度に作業者や障害物を検出することはできない。
【0005】
そこで、狭い間隔で配設された光電センサをスキャンニング作動することで、光電センサ間の干渉を避けながら作業者や障害物を検出しようとする例がある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
同特許文献2に開示された装置は、棚間口面に所定間隔で並設されたセンサに固有のアドレスが配列順とは無関係にばらばらに設定され、各センサがアドレス順にスキャンニングされて各センサのオンオフ状態がアドレス順に検出されるようになっている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−73257号公報
【特許文献2】特許第3567979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に開示された構成によれば、センサを狭い間隔で配列したとしてもセンサの同時作動がないので、センサ間の相互干渉はないが、棚通路内の作業者や障害物が移動したときに、スキャンニングするセンサを偶々避けるように移動してしまい検出が遅れる可能性がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、特定エリア内の作業者や障害物を高精度にかつ速やかに検出することができる安全装置を安価に供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、特定エリアを挟む相対向する両側辺の一方の側辺に投光器を他方の側辺に受光器を互いに対向して配置した光電センサが、前記側辺に沿って所定間隔で複数配列され、前記複数の光電センサを作動制御する制御手段が設けられ、前記制御手段は、配列された複数の光電センサを所定数毎のブロックに分割し、所定の時間間隔で、ブロック毎に1光電センサを整列順に選択し、選択したブロック毎の光電センサを一斉に作動させる安全装置とした。
【0011】
請求項2記載の発明は、複数の単位棚が棚間口面に直角となるレールに案内されて移動自在に配置され、集束時にそれぞれ相隣る間口面が接し、所要の単位棚を移動して任意の相隣る単位棚間を開いて棚通路を選択的に形成する移動棚において、相隣る単位棚の対向する各間口面の一方に投光器を他方に受光器を互いに対向して配置した光電センサが、棚通路奥行き方向に所定間隔で複数配列され、前記複数の光電センサを作動制御する制御手段が設けられ、前記制御手段は、配列された複数の光電センサを所定数毎のブロックに分割し、所定の時間間隔で、ブロック毎に1光電センサを整列順に選択し、選択したブロック毎の光電センサを一斉に作動させる移動棚の安全装置である。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の移動棚の安全装置において、前記相隣る単位棚の一方に投光器を他方に受光器を互いに対向して配置した第2の光電センサが、棚通路入出部において上下方向に所定間隔で複数配列され、前記制御手段は、配列された複数の第2の光電センサを所定数毎のブロックに分割し、所定の時間間隔で、ブロック毎に1つの第2の光電センサを整列順に選択し、選択したブロック毎の第2の光電センサを一斉に作動させることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3記載の安全装置において、1ブロックまたは並んだ複数ブロックの対向する双方の前記投光器と前記受光器の配列をそれぞれモジュール化し、該モジュールを連結して前記投光器および前記受光器を配列することを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の安全装置において、前記光電センサは、前記投光器と前記受光器が交互に並ぶように複数配列されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の安全装置によれば、特定エリアの両側に配列された複数の光電センサを所定数毎のブロックに分割し、所定の時間間隔で、ブロック毎に1光電センサを整列順に選択し、選択したブロック毎の光電センサを一斉に作動させるので、同時に作動する光電センサは1ブロック離れており、この1ブロックの間隔を相互干渉を起こさない間隔とすることで、常に干渉を避けることができるとともに、1ブロック内に狭い間隔で光電センサを配列して特定エリア内の作業者やその一部および障害物を高精度にかつ速やかに検出することができる。
【0016】
請求項2記載の移動棚の安全装置によれば、棚通路奥行き方向に配列された複数の光電センサを所定数毎のブロックに分割し、所定の時間間隔で、ブロック毎に1光電センサを整列順に選択して選択したブロック毎の光電センサを一斉に作動させるので、同時に作動する光電センサは1ブロック離れており、この1ブロックの間隔を相互干渉を起こさない間隔とすることで、常に干渉を避けることができるとともに、1ブロック内に狭い間隔で光電センサを配列して特定エリアである棚通路内の作業者や障害物を高精度にかつ速やかに検出することができる。
【0017】
請求項3記載の移動棚の安全装置によれば、棚通路奥行き方向に配列された複数の光電センサにより棚通路内の作業者や障害物を高精度にかつ速やかに検出するとともに、棚通路入出部において上下方向に配列された複数の第2の光電センサを所定数毎のブロックに分割し、所定の時間間隔で、ブロック毎に1つの第2の光電センサを整列順に選択して選択したブロック毎の第2の光電センサを一斉に作動させるので、同時に作動する第2の光電センサは1ブロック離れており、この1ブロックの間隔を相互干渉を起こさない間隔とすることで、常に干渉を避けることができるとともに、1ブロック内に狭い間隔で第2の光電センサを配列して棚通路入出部における作業者やその一部および障害物を高精度にかつ速やかに検出することができる。
【0018】
請求項4記載の安全装置によれば、1ブロックまたは並んだ複数ブロックの対向する双方の投光器と受光器の配列をそれぞれモジュール化し、該モジュールを連結して投光器と受光器を配列するので、光電センサの取付作業が容易となり、低コスト化を図ることができる。
【0019】
請求項5記載の安全装置によれば、光電センサは、投光器と受光器が交互に並ぶように複数配列されるので、1種類のモジュールで両側の投光器と受光器の配列を構成することができ、より低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図8に基づいて説明する。
本実施の形態に係る入出管理システムは、移動棚1に適用したもので、該移動棚1は電動式移動棚であって、各駆動棚がモータ10の駆動により移動することができる。
【0021】
図1は、該移動棚1の全体斜視図であり、図2は、同正面図である。
移動棚1を正面視して、左から右へ順に1号棚A1,2号棚A2,3号棚A3,4号棚A4,5号棚A5,6号棚A6が並んでおり、左端の1号棚A1が固定棚であって、同1号棚A1を除く単位棚A2,A3,A4,A5,A6が駆動棚であって、左右方向に指向して敷設されたレール2の上に車輪3を介して走行自在に配設されている。
【0022】
固定棚である1号棚A1は、間口面が右側にのみある単式棚で、その間口面の反対側(左側)の背面は背板により閉塞されている。
右端の駆動棚である6号棚A6は、間口面が左側にのみある単式棚で、その間口面の反対側(右側)の背面は背板4bにより閉塞されている。
1号棚A1と6号棚A6との間にある駆動棚である単位棚A2,A3,A4,A5は、左右にそれぞれ間口面を有する複式棚である。
【0023】
したがって、駆動棚である単位棚A2,A3,A4,A5,A6は、それぞれモータ10を搭載して自走可能であり、この5台の単位棚A2,A3,A4,A5,A6が、全て左端の固定棚である単位棚A1側に集束すると、相隣る間口が接し移動棚1内に収容された物品は、周囲を完全に閉塞されて安全に保管される。
【0024】
所要の単位棚を移動して任意の相隣る単位棚間を開いて作業用の棚通路を選択的に形成することができる。
例えば、図1および図2に示す状態は、全棚集束状態から5号棚A5と6号棚A6を同時に右方に移動して、4号棚A4と5号棚A5との間を開いて4号棚A4の右間口面と5号棚A5の左間口面との間に棚通路5を形成している。
【0025】
単位棚A6を除く他の単位棚A1,A2,A3,A4,A5の各天板からは右方斜め上向きに支持アーム15が突設されていて、同支持アーム15の先端に照明灯16が設けられ、形成された作業用通路5を上方から照らすことができるようになっている。
【0026】
単位棚A1,A2,A3,A4,A5,A6の正面と反対の奥側は壁に沿っており、そのため、棚通路5には正面側からのみ入出可能となっている。
なお、棚通路5の正面側と奥側の双方で入出可能とし、双方を同じ構成にしてもよい。
【0027】
各単位棚A1,A2,A3,A4,A5,A6の正面側板4aには上下中央位置に制御基板などを含む制御部6が設けられていて、1号棚(固定棚)A1を除く移動する単位棚A2,A3,A4,A5,A6の制御部6の上端面の左側に通路形成を指示する操作ボタン7が配設されている。
【0028】
各単位棚A1,A2,A3,A4,A5,A6の正面側板4aの間口面と同一の端面に赤外線による光電センサ8の対をなす投光器8fと受光器8rが端面どうし相対向して所定の高さに設けられている(図3参照)。
【0029】
光電センサ8の投光器8fから投光された赤外線が相対向する受光器8rに達し受光すると、棚通路5の入口における投光器8fと受光器8rの間に遮るものがないことが確認でき、両者間を人が通過すると、投光器から受光器に入射されていた赤外線が一時的に遮られて受光器に達せず、棚通路5の入口を人が通過したことを検知することができる。
なお、ミラーを用いた拡散反射型の光電センサを使用してもよい。
【0030】
そして、各単位棚は、台枠4cの両間口面に光電センサ9の投光器9fと受光器9rが、棚通路5の奥行き方向に交互に並ぶように複数一列に配列されている。
代表して単位棚A4と単位棚A5についてみると、図3を参照して、単位棚A4の単位棚A5側間口面においては、正面側の端の光電センサ9は投光器9f、その次が受光器9r、その次が投光器9fというように、棚通路5の奥行き方向に交互に配列され、他方の単位棚A5の単位棚A4側間口面には、正面側の端の光電センサ9は前記投光器9fと対向して対をなす受光器9r、その次が前記受光器9rと対向して対をなす投光器9fというように、棚通路5の奥行き方向に交互に配列される。
【0031】
このように、単位棚A4と単位棚A5の対向する両間口面にあって互いに対向する投光器9fと受光器9rからなる光電センサ9が、正面側から棚通路5の奥行き方向に投光器9fと受光器9rが交互に並ぶように配列されて棚通路状態検出センサ列23が構成されている。
【0032】
各光電センサ9は、投光器9fから投光された赤外線が相対向する受光器9rに達し受光するが、投光器9fと受光器9rの間に人や物などの介在物があると赤外線は遮断され受光器9rに達せず受光しないので、介在物の有無を検出することができる。
このような光電センサ9が棚通路5の奥行き方向に配列されて棚通路状態検出センサ列23が構成されているので、棚通路状態検出センサ列23は全光電センサ9により棚通路5に介在物が存在するか否かの棚通路状態を監視することができる。
【0033】
本実施の形態においては、1棚通路5に対して32個の光電センサ9が配列されており、この32個の光電センサ9を4個毎のブロックに分割し、ブロック毎に同じ作動制御が同時に実行されるよう制御されている。
【0034】
図4は、この棚通路状態検出センサ列23の一部を模式的に示した説明図であり、同図4において、白抜き三角形は投光器9f、黒塗り三角形は受光器9rを示す。
正面側から奥行き方向に4個毎にブロック分けされ、正面側から順にブロックB1,B2,B3,……,B8とし、各ブロックの4個の光電センサ9に正面側から整列順に連続番号1,2,3,4を付する。
【0035】
隣り合うブロックの同じ番号の光電センサ9,9の互いの間隔は、150mmであり、よって、隣り合う光電センサどうしは、37.5mmの間隔を存している。
棚通路5の幅長を900mmとしており、投光器9fと受光器9rの間の最大距離が900mmとしたとき、光電センサ9,9の互いの間隔が150mm以上あれば、通常光電センサ9,9が同時に作動しても干渉を起こさない。
なお、隣り合う光電センサが干渉を起こさない最小間隔は、光電センサによって異なる。
【0036】
すなわち、各ブロックの同じ番号の光電センサ8を選択して、選択された8個の光電センサ9を一斉に作動しても干渉は起こらない。
したがって、各ブロックの1番の光電センサ9の一斉作動、2番の光電センサ9の一斉作動、3番の光電センサ9の一斉作動、4番の光電センサ9の一斉作動を、順次所定時間間隔で実行し、かつ繰り返し実行するよう制御する。
【0037】
本光電センサ9は、2ブロックの対向する双方の投光器9fと受光器9rの配列をそれぞれモジュール化しており、図5に示すように、1モジュールMは、2ブロックの8個の投光器9fと受光器9rが、帯状の基板10に配列されている。
【0038】
図5を参照して、各ブロックの1番の投光器9f,9fは、共通の投光電力ラインF1に接続され、3番の投光器9f,9fは、共通の投光電力ラインF2に接続されている。
また、各ブロックの4番の受光器9r,9rは、共通の受光電力ラインR1に接続され、2番の受光器9r,9rは、共通の受光電力ラインR2に接続されている。
なお、各受光器9rからは別に受光信号線が延出している。
【0039】
モジュールMの投光電力ラインF1,F2および受光電力ラインR1,R2は、それぞれ両端に接続端子を有している。
本実施の形態では、この帯状のモジュールMを、単位棚の台枠の間口面に4本連結して取り付ける。
【0040】
このとき、各モジュールの投光電力ラインF1,F2、受光電力ラインR1,R2はそれぞれ同じラインの端子どうしを接続する。
なお、対向する棚間口面には、互いに前後を反対にしてモジュールMを連結し、投光器9fと受光器9rが対向するようにする(図5(2)参照)。
図5の(1)と(2)は、互いに対向するモジュールを示している。
【0041】
こうして棚通路5を挟んだ両側の間口面に光電センサ9が配列した棚通路状態検出センサ列23が構成される。
形成される各棚通路5に、それぞれこの棚通路状態検出センサ列23が設けられる。
【0042】
本移動棚1の光電センサ9の制御を主にした制御系の概略ブロック図を図6に示す。
固定棚である1号棚A1の制御部6には、マイクロコンピュータからなる主制御盤20が収納されている。
【0043】
駆動棚である単位棚A2,A3,A4,A5,A6の各制御部6には、コンピュータである副制御盤21が収納されていて、この副制御盤21はモータ18の駆動制御を行うと同時に、操作ボタン7および光電センサコントローラ22を介して光電センサ9の作動および信号処理を行い、前記主制御盤20により集中管理されている。
なお、副制御盤21は、図示しないが、通路入口の光電センサ8の信号処理も行う。
【0044】
単位棚A2の光電センサコントローラ22には、単位棚A1の間口面に取り付けられた4本連結したモジュールMの正面側のモジュールMの投光電力ラインF1,F2が出力端子に、受光電力ラインR1,R2が出力端子に接続されるとともに、単位棚A2の単位棚A1側の間口面に取り付けられた4本連結したモジュールMの正面側のモジュールMの投光電力ラインF1,F2が出力端子に、受光電力ラインR1,R2が出力端子に接続される。
なお、各受光器9rからは別に受光信号線が延出され、これらは光電センサコントローラ22の入力端子に接続される。
【0045】
こうして、単位棚A2の光電センサコントローラ22は、単位棚A1と単位棚A2の間に形成される棚通路5の棚通路状態検出センサ列23が接続されて、単位棚A1と単位棚A2の間の棚通路状態を監視することができる。
なお、光電センサコントローラ22は、モジュールM毎に設けるようにしてもよい。
【0046】
単位棚A3の光電センサコントローラ22は、同様に、単位棚A2と単位棚A3の間に形成される棚通路5の棚通路状態検出センサ列23が接続されて、単位棚A2と単位棚A3の間の棚通路状態を監視することができる。
単位棚A4,A5,A6の光電センサコントローラ22も、同様の構成をなして、それぞれ単位棚A3と単位棚A4の間の棚通路状態、単位棚A4と単位棚A5の間の棚通路状態、単位棚A5と単位棚A6の間の棚通路状態を監視することができる。
【0047】
各棚通路状態検出センサ列23の光電センサ9の作動制御は、まず一方の間口面の投光電力ラインF1とこれと対向する他方の受光電力ラインR1に電流を流し、各ブロックの1番の光電センサ9の投光器9fと受光器9rを一斉に作動させ、次いで、他方の間口面の投光電力ラインF2とこれと対向する他方の受光電力ラインR2に電流を流し、各ブロックの2番の光電センサ9の投光器9fと受光器9rを一斉に作動させ、次に、一方の間口面の投光電力ラインF2とこれと対向する他方の受光電力ラインR2に電流を流し、各ブロックの3番の光電センサ9の投光器9fと受光器9rを一斉に作動させ、次に、他方の間口面の投光電力ラインF1とこれと対向する一方の受光電力ラインR1に電流を流し、各ブロックの4番の光電センサ9の投光器9fと受光器9rを一斉に作動させる。
【0048】
以上のように、ブロック毎に1光電センサ9を整列順(1番,2番,3番,4番の順)に選択して選択したブロック毎の光電センサ9を一斉に作動させることを、所定の時間間隔(例えば、50msec間隔)で、繰り返す制御を実行する。
【0049】
同時に作動する光電センサ9の互いの間隔は、150mmであり、干渉を起こすことはない。
そして、1ブロック内に狭い間隔37.5mmで光電センサ9を配列して所定の短い時間間隔で作動させているので、棚通路5内の作業者や障害物を高精度にかつ速やかに検出することができる。
【0050】
各光電センサにアドレス等を設定してスキャンニングさせる制御をする必要がないため、制御が単純化されて安価に構成される。
また、スキャンニングによるタイムラグの発生がない。
すなわち、光電センサの数量が増加したとしてもタイムラグの影響を考慮する必要がなく、障害物等の検知を略瞬時に確実に行うことができる。
【0051】
隣り合う光電センサ間の干渉のおそれがないので、従来のように、各光電センサの光線をレンズを絞って細くして必要な検出距離を得るような必要がなくなり、例えば各光電センサの投光器の光線をレンズで絞り込まず、光量を上げて検出距離を延ばすことができ、光電センサ毎の光軸調整も容易となる。
【0052】
棚通路5内に作業者や障害物を検出しているときは、単位棚A2,A3,A4,A5,A6の移動は禁止され、作業者や障害物が単位棚により挟まれないように制御される。
棚通路5内に作業者や障害物を検出しないときのみ、単位棚の移動が許可される。
【0053】
移動棚の移動禁止解除が、棚通路5内の全ての受光器9rが相対向する各投光器9fの光束を受光したときのみ行われるので、障害物の検知のみだけでなく、光電センサ9の異常や断線等の発生時にも受光が行われず、したがって誤って移動禁止が解除されるということがなく、確実に安全性が確保される。
【0054】
本光電センサ9は、2ブロックの対向する双方の投光器9fと受光器9rを帯状の基板10に配列してモジュール化しているので、単位棚の台枠の間口面への取付作業が容易であり、作業時間の短縮および低コスト化を図ることができる。
【0055】
また、本実施の形態の棚通路状態検出センサ列23は、投光器9fと受光器9rが交互に並ぶように配列したので、モジュール化によるモジュールが1種類ですみ、管理、製作、作業等のコストが低減される。
【0056】
なお、投光器9fと受光器9rを交互に並べなくとも、一方の間口面に投光器9fを37.5mmの間隔で配列し、対向する他方の間口面に受光器9rを37.5mmの間隔で配列し、4個毎にブロック分けして、ブロック毎に1光電センサ9を整列順に選択して選択したブロック毎の光電センサ9を一斉に作動させるようにしても、一斉に作動する光電センサ9の間隔は150mmが維持され干渉を起こさずに棚通路5内の作業者や障害物を高精度にかつ速やかに検出することができる。
【0057】
以上の実施の形態に係る棚通路状態検出装置においては、対向する間口面の通路入口には、一対の投光器8fと受光器8rからなる光電センサ8が所定高さに1個設けられていたが、図7に図示するように、単位棚の正面側板4aの間口面と同一の端面に複数の投光器8fと受光器8rを交互に上下方向に配列して(対向する間口面は図示されていないが、投光器8fと受光器8rと対向して受光器8rと投光器8fが交互に配列されている)、ブロック分けしてブロック毎に1光電センサ8を整列順に一斉に作動させるようにしてもよい。
【0058】
このように棚通路5の入口に光電センサ8を上下方向に配列しておくことで、棚通路5の入口に頭、腕、あるいは足先というように身体の一部だけが存在するような場合でも、これを確実にかつ速やかに検出して単位棚の移動を禁止して事故が起きないように制御される。
【0059】
上記図7に示す実施の形態における棚通路奥行き方向に配列される光電センサ9を、台枠ではなく、より高い位置にある単位棚の棚板4sの側面に配列した例を、図8に示す。
下から1段目の棚板4sに光電センサ9を配列したが、2段目,3段目と選択して配列することができ、最も適切な高さに光電センサ9を設定することが容易にできる。
【0060】
以上の実施の形態では、光電センサ9の配列を4個毎のブロックに分割していたが、最低2個毎から3個毎さらには5個以上の複数個毎にブロック分けしても、隣り合うブロックの同じ番号の光電センサ9,9の互いの間隔を干渉を起こさない距離にしておけばよく、移動棚の仕様によって適切な光電センサ9の配列およびブロック分けを設定することができる。
【0061】
上記実施の形態に係る移動棚は、電動式移動棚であったが、手動式移動棚にも当然適用可能であり、手動式移動棚の場合は、棚通路に作業者や障害物を検出したときは、移動棚を固定するロック機構が働いて移動を禁止するようにする。
この発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、この他にその要旨を逸脱しない範囲で種々の実施の形態が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施の形態に係る移動棚の全体斜視図である。
【図2】同移動棚の正面図である。
【図3】4号棚A4と5号棚A5との間を開いて形成された作業用通路を正面から見た4号棚A4と5号棚A5の透視図である。
【図4】棚通路状態検出センサ列の一部を模式的に示した説明図である。
【図5】モジュールの構成を示した説明図である。
【図6】光電センサの制御を主にした制御系の概略ブロック図である。
【図7】別の実施の形態の1単位棚の斜視図である。
【図8】また、別の実施の形態の1単位棚の斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
A1…単位棚(固定棚)、A2,A3,A4,A5,A6…単位棚(駆動棚)、
1…移動棚、2…レール、3…車輪、4…背板、4a…正面側板、4b…背板、4s…棚板、5…棚通路、6…制御部、7…操作ボタン、8…光電センサ、8f…投光器、8r…受光器、9…光電センサ、9f…投光器、9r…受光器、10…基板、15…支持アーム、16…照明灯、18…モータ、
20…主制御盤、21…副制御盤、22…光電センサコントローラ、23…棚通路状態検出センサ列。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定エリアを挟む相対向する両側辺の一方の側辺に投光器を他方の側辺に受光器を互いに対向して配置した光電センサが、前記側辺に沿って所定間隔で複数配列され、
前記複数の光電センサを作動制御する制御手段が設けられ、
前記制御手段は、
配列された複数の光電センサを所定数毎のブロックに分割し、
所定の時間間隔で、ブロック毎に1光電センサを整列順に選択し、選択したブロック毎の光電センサを一斉に作動させることを特徴とする安全装置。
【請求項2】
複数の単位棚が棚間口面に直角となるレールに案内されて移動自在に配置され、集束時にそれぞれ相隣る間口面が接し、所要の単位棚を移動して任意の相隣る単位棚間を開いて棚通路を選択的に形成する移動棚において、
相隣る単位棚の対向する各間口面の一方に投光器を他方に受光器を互いに対向して配置した光電センサが、棚通路奥行き方向に所定間隔で複数配列され、
前記複数の光電センサを作動制御する制御手段が設けられ、
前記制御手段は、
配列された複数の光電センサを所定数毎のブロックに分割し、
所定の時間間隔で、ブロック毎に1光電センサを整列順に選択し、選択したブロック毎の光電センサを一斉に作動させることを特徴とする移動棚の安全装置。
【請求項3】
前記相隣る単位棚の一方に投光器を他方に受光器を互いに対向して配置した第2の光電センサが、棚通路入出部において上下方向に所定間隔で複数配列され、
前記制御手段は、
配列された複数の第2の光電センサを所定数毎のブロックに分割し、
所定の時間間隔で、ブロック毎に1つの第2の光電センサを整列順に選択し、選択したブロック毎の第2の光電センサを一斉に作動させることを特徴とする請求項2記載の移動棚の安全装置。
【請求項4】
1ブロックまたは並んだ複数ブロックの対向する双方の前記投光器と前記受光器の配列をそれぞれモジュール化し、
該モジュールを連結して前記投光器および前記受光器を配列することを特徴とする請求項1ないし請求項3記載の安全装置。
【請求項5】
前記光電センサは、前記投光器と前記受光器が交互に並ぶように複数配列されることを特徴とする請求項4記載の安全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−28061(P2009−28061A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191868(P2007−191868)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000229759)日本ファイリング株式会社 (21)
【Fターム(参考)】