説明

官能化オレフィンポリマー

本発明は1種類以上のC3ないしC40オレフィンを少なくとも50mol%含む官能化C3ないしC40オレフィンポリマーを含んでなる組成物に関するものであり、前記オレフィンポリマーは官能化前にはa)クラフト紙で1ニュートン以上のドット式T型はく離;b)10,000ないし100,000のMw;およびc)前記ポリマーが10,000ないし60,000のMwを有する場合は前記ポリマーのMzで測定した際の枝分かれ指数(g’)0.98以下、または前記ポリマーが10,000ないし100,000のMwを有する場合は前記ポリマーのMzで測定した際の枝分かれ指数(g’)0.95以下を有し;前記C3ないしC40オレフィンポリマーは少なくとも0.001重量%の官能基、好ましくは無水マレイン酸を含むものである。本発明はさらに、このような官能化ポリマー類と、上記のような非官能化C3ないしC40オレフィンポリマーなどのその他ポリマー類とのブレンド類にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は官能化C3−C40オレフィンポリマーを含む組成物に関するものである。本発明はさらに官能化オレフィンポリマー類、並びに官能化オレフィンポリマー類の製法および接着剤、結束層、プライマー、相溶化剤などの用途を含む使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン−ベースのポリマー類は化学的不活性、低密度および低コストであるため種々の用途に広く用いられる。用途には接着剤、結束層、フィルム、ファイバーおよびこれらの組み合わせがある。
【0003】
オレフィン−ベースのポリマー類は種々のフィルムに形成され、種々の基質にラミネートまたは塗布され、またはそれら基質と同時押出しされる。上記フィルムおよび基質はその他の材料と結合して複数層を有する構造、すなわち各層が特定の目的を有する複数層の構造を形成できる。例えばパッキングラミネートは、紙またはペーパーボードの構造的に堅いコア層と、外側の液体不透過層、アルミニウムホイル中間層のような酸素ガスバリア、および/または用途の必要性に応じたその他の層を有する。
【0004】
大部分の用途において、効果的に接着するためには層間に十分な結合強度または緻密な一体性が得られることが重要である。しかし、比較的無極性のオレフィンをベースとするポリマー類は、より極性の大きい基質には十分接着しないのが普通である。
【0005】
それに加えて、接着剤のセット時間は目的の最終用途に沿った範囲内になければならない。しかし接着剤のセット時間を所望通りに設定するために、接着剤のその他の特徴が犠牲になるかも知れない。例えば種々のワックス(例えばポリエチレンワックス)の挿入によって接着剤のセット時間は短縮するが、あるワックスの挿入が特定の温度範囲内では、および/または特定の基質、特に極性基質に対しては接着剤の諸特性を低減または破壊することもある。
【0006】
接着剤をその融点でまたはその融点より高い温度で加熱している間中、上記接着剤は一般的に熱不安定性であり、特に色に関してこれが言える。高温における接着強度およびカラーボディー形成に関する問題を含む熱分解に関する安定性の問題は、種々の接着剤を種々の用途に不適合にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため極性および無極性基質の両方にしっかりと結合する接着剤、より好ましくは特定のセット時間で種々の温度条件下、攻撃的生成物の存在下で、すぐれた接着強度持続性を有し、高温で熱安定性である接着剤が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、1種類以上のC3ないしC40オレフィン類を少なくとも50mol%含、う官能化C3ないしC40オレフィンポリマーを含んでなる組成物であって、a)クラフト紙で1ニュートン以上のドット式T型はく離(Dot T-Peel);b)10,000ないし100,000のMw;およびc)上記ポリマーが10,000ないし60,000のMwを有する場合には上記ポリマーのMzで測定して0.98以下の枝分かれ指数(branching index)(g’)、または上記ポリマーが10,000ないし100,000のMwを有する場合にはそのポリマーのMzで測定して0.95以下の枝分かれ指数(g’)を有する官能化C3ないしC40オレフィンポリマーを含む前記組成物に関連する。本発明は、その他のポリマーとブレンドした上記のような官能化C3ないしC40オレフィンポリマー類にも関連する。好ましい実施形態において、上記官能化C3ないしC40オレフィンポリマーと、同じかまたは異なる非官能化C3ないしC40オレフィンポリマーであって、1種類以上のC3ないしC40オレフィンポリマーを少なくとも50mol%含み、a)クラフト紙上1ニュートン以上のドット式T型はく離;b)10,000ないし100,000のMwおよびc)上記ポリマーが10,000ないし60,000のMwを有する場合には上記ポリマーのMzで測定して0.98以下の枝分かれ指数(g’)、または上記ポリマーが10,000ないし100,000のMwを有する場合には上記ポリマーのMzで測定して0.95以下の枝分かれ指数(g’)を有する上記非官能化C3ないしC40オレフィンポリマーとがブレンドされる。
【0009】
“官能化C3ないしC40オレフィンポリマー”とは、このC3ないしC40オレフィンポリマーを官能基、および任意に触媒、熱、開始剤、または遊離基ソースと接触させ、上記官能基のすべてまたは一部が上記C3ないしC40オレフィンポリマーに挿入され、グラフト結合し、結合し、物理的に付着し、または化学的に付着することを意味する。“官能基”とは、ヘテロ原子および/または不飽和を含む、重量平均分子量1000以下の任意の化合物を意味する。好ましくは上記官能基は無水マレイン酸のようなヘテロ原子を含む化合物である。好ましい官能基は有機酸、有機アミド、有機アミン、有機エステル、有機酸無水物、有機アルコール、有機酸ハリド(酸塩化物、酸臭化物など)、有機ペルオキシドなどを含む。
【0010】
説明を簡単にするために、官能化C3ないしC40オレフィンポリマーは略語F−POAとし、官能化されていないC3ないしC40オレフィンポリマーはPOAと記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本発明および添付の請求項の目的のために、および説明を簡単にするために、あるポリマーがオレフィンを含むと記載されている場合は上記ポリマーに存在するオレフィンは上記オレフィンの重合形である。
【0012】
好ましい一実施形態において、本発明は下記を含む組成物に関連する:
1)1種類以上のC3ないしC40オレフィンを少なくとも50mol%含む官能化C3ないしC40オレフィンポリマーであって、a)クラフト紙上で1ニュートン以上のドット式T型はく離;b)10,000ないし100,000のMw;およびc)上記ポリマーが10,000ないし60,000のMwを有する場合は上記ポリマーのMzで測定して0.98以下の枝分かれ指数(g’)または上記ポリマーが10,000ないし100,000のMwを有する場合は上記ポリマーのMzで測定して0.95以下の枝分かれ指数(g’)を有する上記官能化C3ないしC40オレフィンポリマーを0.5ないし99重量%(好ましくは1ないし75重量%、より好ましくは1,5ないし40重量%、より好ましくは2ないし20重量%、より好ましくは2.5ないし10重量%)。
2)上記官能化C3ないしC40オレフィンポリマーとは異なる1種類以上の追加的ポリマー類を99ないし1重量%(好ましくは99ないし25重量%、より好ましくは98.5ないし60重量%、より好ましくは98ないし80重量%、より好ましくは97.5ないし90重量%);
上記の重量%は上記追加的ポリマー(類)および上記官能化C3ないしC40オレフィンポリマーの重量に基づくものである。
【0013】
好ましい実施形態において、上記追加的ポリマーは1種類以上のC3ないしC40オレフィンを少なくとも50mol%含み、a)クラフト紙におけるドット式T型はく離が1ニュートン以上;b)Mwが10,000ないし100,000;c)上記ポリマーが10,000ないし60,000のMwを有する場合には上記ポリマーのMzで測定した枝分かれ指数(g’)が0.98以下、または上記ポリマーが10,000ないし100,000のMwを有する場合には上記ポリマーのMzで測定した枝分かれ指数(g’)が0.95以下である1種類以上のC3ないしC40オレフィンポリマーを含む。
【0014】
好ましい実施形態において本発明は、F−POAを含んでなるブレンドであって、上記ブレンドの重量を基にして1から90重量%の粘着付与剤、より好ましくは5から75重量%、より好ましくは10から60重量%、より好ましくは15から50重量%の粘着付与剤と、上記ブレンドの重量を基にして10から99重量%のF−POA、好ましくは95から25重量%、より好ましくは40から90重量%、より好ましく85から50%のF−POAを含むブレンドに関連する。
【0015】
また別の実施形態において、本発明はF−POAおよびPOAを含んでなるブレンドであって、上記ブレンドの重量を基にして1から90重量%の粘着付与剤、好ましくは5から75重量%、より好ましくは10から60重量%、より好ましく15から50重量%の粘着付与剤と、10から99重量%のF−POAおよびPOA、より好ましくは95から25重量%、より好ましくは40から90重量%、より好ましくは85から50重量%のF−POAおよびPOAを含むブレンドに関連する。
【0016】
POAおよびF−POAを含む好ましい実施形態において、POAおよびF−POAは同じポリマーを含んでいてもよく、または官能化されてF−POAになり、その後POAとブレンドされたオレフィンポリマー類のブレンドでもよい。また別の実施形態において、上記オレフィンポリマーまたは上記POAのオレフィンポリマー類のブレンドは、上記オレフィンポリマーまたは官能化されてF−POAになったオレフィンポリマー類のブレンドとは異なるものでもよい。さらに別の実施形態において、上記オレフィンポリマーまたは上記POAのオレフィンポリマー類のブレンドは、上記F−POAになるように官能化されたオレフィンポリマーまたはオレフィンポリマー類のブレンドとは異なっていてもよい。もう一つの実施形態において、上記POAの上記オレフィンポリマーまたはオレフィンポリマー類のブレンドは、上記F−POAになるように官能化された全く同じオレフィンポリマーまたはオレフィンポリマー類のブレンドでもよい。また別の実施形態において、上記F−POAは上記POAに存在するのと全く同じオレフィンポリマーまたはオレフィンポリマー類のブレンドの官能化類似体を含んでもよい。上記POAは無水マレイン酸で官能化されている上記F−POAと全く同じオレフィンポリマーを含むのが好ましい。
【0017】
C3ないしC40オレフィンポリマー(POA’s)
本発明において有用なC3ないしC40オレフィンポリマー類(“POA’s”または“POAポリマー類”とも呼ばれる)は2003年10月15日に出願されたUSSN10/686,951および2003年10月15日に出願されたUSSN10/687、508に記載されているものであり、これらは参考として本明細書に組み込まれる。特に、USSN10/686,951の23ないし91ページおよびUSSN10/687,508の22ないし168ページには、本発明に有用なC3ないしC40オレフィンポリマーの製法に関する詳細な説明が記されている。一般に、好ましいPOA’sには2種類以上の触媒(典型的にはメタロセン触媒)を使用して作られるポリプロピレンが含まれ、その際一方の触媒は使用重合条件下で実質的にアタクチックなポリプロピレン(aPP)を生成できるように選択され、他方のメタロセン触媒はアイソタクチックポリプロピレン(iPP)を生成できるように選択される。使用する重合条件下ではaPPおよびiPPポリマー鎖の挿入が反応器内のブレンドにおいて起こり、POAポリマーに存在する非晶質ポリプロピレンのある量がアイソタクチックポリプロピレンに(aPP−g−iPP)として示されるようにグラフト結合し、および/またはPOAポリマーに存在するアイソタクチックポリプロピレンのある量が(iPP−g−aPP)として示されるように非晶質ポリプロピレンにグラフト結合するのが好ましい。
【0018】
本発明において有用な好ましいPOA’sは、1種類以上のCないしC40オレフィン、好ましくはプロピレン、および50mol%未満のエチレンを含むオレフィンポリマーであって、
a)ドット式T型はく離が1ニュートンないし10,000ニュートン;
b)Mz/Mnが2ないし200の;および/または
c)下記の表1によるXのMwおよびYのg’(上記ポリマーのMzで測定)
を有する上記オレフィンポリマーを含む。
【0019】
【表1】

【0020】
本発明における有用な好ましいPOA’sは、1種類以上のCないしC40オレフィン類、好ましくはプロピレンと50重量%のエチレンとを含むオレフィンポリマーであって、
a)ドット式T型はく離が1ニュートンないし10,000ニュートン;
b)Mz/Mnが2ないし200;
c)Mwが15,000ないし100,000;
d)g’<(10−12Mw−10−6Mw+1.0178)
である上記オレフィンポリマーを含む。
【0021】
一実施形態において、上記g’は、上記ポリマーのMzで測定して0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下である。
【0022】
また別の実施形態において、POAはピーク融点(Tm)40から250℃の間、または60から190℃の間、または60から150℃の間、または80から130℃の間を有する。幾つかの実施形態において、ピーク融点は60から160℃の間である。その他の実施形態において、ピーク融点は124−140℃である。その他の実施形態においてピーク融点は40−130℃である。
【0023】
また別の実施形態において、POAは190℃で90,000mPa・sec以下の粘度(ブルックフィールド粘度または溶融粘度とも言う)を有する(190℃でASTM D3236によって測定);または80,000以下または70,000以下または60,000以下、または50,000以下、または40,000以下、または30,000以下、または20,000以下、または10,000以下、または8,000以下、または5000以下、または4000以下、または3000以下、または1500以下、または、250から6000mPa・sec、または500から5500mPa・sec、または500から3000mPa・sec、または500から1500mPa・secの間の粘度および/または160℃で8000mPa・sec以下の粘度(160℃でASTM D3236によって測定);または7000以下または6000以下、または5000以下、または4000以下、または3000以下、または1500以下、または250から6000mPa・sec、または500から5500mPa・sec、または500から3000mPa・sec、または500から1500mPa・secの間の粘度を有する。その他の実施形態において、上記粘度は用途に依って、190℃で200,000mPa・sec以下である。その他の実施形態において上記オレフィンポリマーは用途に依って、約50,000mPa・secの粘度を有する。
【0024】
また別の実施形態において、本発明のPOAは70J/g以下の融解熱、または60J/g以下、または50J/g以下または40J/g以下、または30J/g以下、または20J/g以下の融解熱、およびゼロより大きく、または1J/gより大きく、または10J/gより大きく、または20から50J/gの融解熱を有する。
【0025】
また別の実施形態において、本発明のPOAは(ASTM2240によって測定した際)95以下、70以下、または60以下、または50以下、または40以下または30以下、または20以下のショアーA硬度(Shore A Hardness)も有する。その他の実施形態において、ショアーA硬度は5以上、10以上、または15以上でよい。幾つかの用途、例えば包装において、ショアーA硬度は約60−70であるのが好ましい。
【0026】
もう一つの実施形態において、本発明のPOAは2ないし200、好ましくは2ないし150、より好ましくは10ないし100のMz/Mnを有する。
【0027】
また別の実施形態において、上記POAは、200℃以下または40℃ないし150℃、または60℃ないし130℃、または65℃ないし110℃、または70℃ないし80℃の剪断接着破壊温度(Shear Adhesion Fail Temperature)(SAFT−ASTM4498−00によって測定)を有する。ある実施形態においては、130℃ないし140℃のSAFTが好ましい。
【0028】
また別の実施形態において、上記POAはドット式T型はく離が1ニュートンから10,000ニュートン、または3から4000ニュートン、または5から3000ニュートン、または10から2000ニュートン、または15から1000ニュートンの間である。本明細書に使用されるドット式T型はく離は、上記標本を2枚の1インチ×3インチ(2.54cm×7.62cm)クラフト紙基質片と、500グラム重量で圧しつけた際に約1平方インチの面積(1インチ=2.54cm)に拡がるような容量の1滴の接着剤とを組み合わせて形成することを除けば、ASTM D1876によって決定される。上記のように作り上げた全ての標本は、適用された衝撃の破壊力を記録する装置を用い、side by side試験(1分間につき2インチの速度)によって測定された。各試験試料で得られた最大力を記録し、平均し、ドット式T型はく離として記録される平均最大力を算出した。
【0029】
また別の実施形態において、本発明のPOAは数日ないし約0.1秒以下、または60秒以下、または30秒以下、または20秒以下、または15秒以下、または10秒以下、または5秒以下、または4秒以下、または3秒以下、または2秒以下、または1秒以下のセット時間を有する。
【0030】
また別の実施形態において、上記POAは2ないし75、または4ないし60、または5ないし50、または6ないし20のMw/Mnを有する。
【0031】
さらに別の実施形態において、上記POAは1,000,000以下、好ましくは15,000ないし1,000,000、または20,000ないし800,000、または25,000ないし35,000のMzを有する。
【0032】
また別の実施形態において、上記POAは20ないし1000%、或いは50ないし1000%、より好ましくは80ないし200%の破断点汚れ(Strain at break)(ASTM D−1708によって25℃で測定)も有する。幾つかのその他の実施形態において、破断点汚れは100ないし500%である。
【0033】
また別の実施形態において、上記POAは0.5MPa以上、或いは0.75MPa以上、或いは1.0MPa以上、或いは1.5MPa以上、或いは2.0MPa以上、或いは2.5MPa以上、或いは3.0MPa以上、或いは3.5MPa以上の破断点引張強さ(tensile strength at break)(ASTM D−1708によって25℃で測定)を有する。
【0034】
また別の実施形態において、上記POAは20℃ないし110℃の結晶点(Tc)も有する。幾つかの実施形態において、上記Tcは70℃ないし100℃である。その他の実施形態において、上記Tcは30℃ないし80℃である、その他の実施形態において上記Tcは20℃ないし50℃である。
【0035】
幾つかの実施形態において、上記POAはTc+10℃ないしTc+40℃の温度範囲にわたって、図1に示される複素粘性率対温度(complex viscosity versus temperature)の軌跡において(周波数10rad/sで作動するARES動的機械的スペクトロメータによって、窒素気流中で20%歪、冷却速度10℃/minで測定)−0.1以下、より好ましくは−0.15以下、より好ましくは−0.25以下の勾配を有する。2004年7月15日に公開された米国特許出願公開第2004−0138392号を参照されたい。上記勾配は本明細書に使用する場合、温度に関するlogの導関数と定義される。
【0036】
また別の実施形態において上記POAは、Tmより少なくとも10℃低い、より好ましくはTmより少なくとも20℃低く、より好ましくはTmより少なくとも30℃低い、より好ましくはTmより少なくとも35℃低いTcを有する。
【0037】
また別の実施形態において上記の幾つかのPOAは6.5以下のメルトインデックス比(I10/I)、より好ましくは6.0以下、より好ましくは5.5以下、より好ましくは5.0以下、より好ましくは4.5以下、より好ましくは1ないし6.0のメルトインデックス比を有する。(I10およびIはASTM1238Dにより、2.16kg、190℃で測定)。
【0038】
また別の実施形態において上記の幾つかのPOAは25dg/min以上のメルトインデックス(ASTM1238Dにより、2.16kg、190℃で測定)、より好ましくは50dg/min以上、より好ましくは100dg/min以上、より好ましくは200dg/min以上、より好ましくは500dg/min以上、より好ましくは2000dg/min以上のメルトインデックスを有する。また別の実施形態において上記POAは900dg/min以上のメルトインデックスを有する。
【0039】
また別の実施形態において、本発明のPOAはDSC軌跡において10ないし60℃、より好ましくは20ないし50℃、より好ましくは30ないし45℃範囲の結晶温度を有する。2つ以上の非重複ピークがあるDSC軌跡において、各ピークは10ないし60℃、より好ましくは20ないし50℃、より好ましくは30ないし45℃の結晶温度範囲を有する。
【0040】
また別の実施形態において、上記POAは少なくとも2、より好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10、さらにより好ましくは少なくとも20の分子量分布(Mw/Mn)を有する。
【0041】
また別の実施形態において、上記POAはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定して、ポリマー種の一モード、バイモーダルまたはマルチモーダル分子量分布を有する。バイモーダルまたはマルチモーダルとは、SECの軌跡が1つより多いピークまたは変曲点を有することを意味する。変曲点は、上記曲線の二次導関数の記号が変わる点である(例えばマイナスからプラスに変わる、またはその逆)。
【0042】
また別の実施形態において、POAは8ないし15cal/molの活性化エネルギーを有する。活性化エネルギーは熱効果が粘度増加を起こす領域にわたる、複素粘性率と温度との関係を利用して計算される(アレニウス式に似た関係を仮定)。
【0043】
また別の実施形態において、本発明に利用されるPOAは少なくとも5%の結晶度を有する。
【0044】
また別の実施形態において、上記のPOAは下記の1つ以上を有することもできる:
a)60ないし190℃、または約60ないし150℃、または80ないし130℃のピーク融点;および/または
b)190℃で8000mPa・sec以下の粘度(ASTM D3236により190℃で測定);または5000以下、または4000以下、または3000以下、または1500以下、または250から6000mPa・sec、または500から5500mPa・sec、または500から3000mPa・sec、または500から1500mPa・secの間、または160℃で8000mPa・secの粘度(ASTM D3236により、160℃で測定);または7000以下、または6000以下、または5000以下、または4000以下、または3000以下、または1500以下、または250から6000mPa・sec、または500から5500mPa・sec、または500から3000mPa・sec、または500から1500mPa・secの間の粘度;および/または
c)70J/g以下、または60J/g以下、または50J/g以下;または40J/g以下、または30J/g以下、または20J/g以下のHf(融解熱)およびゼロより大きい、または1J/gより大きい、または10J/gより大きいHf、または20から50J/gのHf;および/または
d)90以下、または80以下、または70以下、または60以下、または50以下、または40以下のショアA硬度(ASTM2240によって測定);および/または
e)40ないし150℃、または60ないし130℃、または65ないし110℃、または70−80℃の保持力破壊温度(SAFT−ASTM4498−00によって測定)
f)1ニュートンから10,000ニュートン、または3から4000ニュートン、または5から3000ニュートン、または10から2000ニュートンまたは15から1000ニュートンのドット式T型はく離;および/または
g)数日ないし0.1秒または60秒以下、または30秒以下、または20秒以下、または15秒以下、または10秒以下、または5秒以下、または4秒以下、または3秒以下、さらに2秒以下、または1秒以下のセット時間;および/または
h)1ないし75、または2ないし60、または2ないし50、または3ないし20のMw/Mn;
i)1,000,000以下、より好ましくは15,000ないし500,000、または20,000ないし400,000、または25,000ないし350,000のMz。
【0045】
有用な特徴の組み合わせとして、ドット式T型はく離が1ニュートンから10,000ニュートン、または3から4000ニュートン、または5から3000ニュートン、または10から2000ニュートン、または15から1000ニュートンの間;および
1.Mwが30,000以下、のピーク融点が60から190℃、融解熱が1ないし70J/g、上記ポリマーのMzで測定した際の枝分かれ指数が0.90以下;および190℃の溶融粘度が8000mPa・sec以下;または
2.Mzか20,000ないし500,000およびSAFTが60ないし150℃;または
3.Mz/Mnが2−2000およびセット時間が2秒以下;または
4.Hfが20ないし50J/g、Mzが20,000−500,000およびのショア硬度が50以下;または
5.1ないし50のMw/Mn、190℃で5000mPa・sec以下の粘度;または
6.Mwが50,000以下、のピーク融点が60から190℃の間、融解熱が2ないし70J/g、上記ポリマーのMzで測定した際の枝分かれ指数が0.70以下、および190℃における溶融粘度が8000mPa・sec以下
であるPOAが含まれる。
【0046】
好ましい実施形態において、本発明のPOAは非晶質、結晶性および枝分かれ−ブロック分子構造を含む。
【0047】
好ましい実施形態において上記POAは少なくとも50重量%のプロピレン、より好ましくは少なくとも60%のプロピレン、或いは少なくとも70%のプロピレン、或いは少なくとも80%のプロピレンを含む。また別の実施形態において、上記POAはプロピレンと、15モル%以下のエチレン、より好ましくは10モル%以下のエチレン、より好ましくは9モル%以下のエチレン、より好ましくは8モル%以下のエチレン、より好ましくは7モル%以下のエチレン、より好ましくは6モル%以下のエチレン、より好ましくは5モル%以下のエチレン、より好ましくは4モル%以下のエチレン、より好ましくは3モル%以下のエチレン、より好ましくは2モル%以下のエチレンとを含む。
【0048】
また別の実施形態において上記POAは5モル%未満のエチレン、より好ましくは4.5モル%未満のエチレン、より好ましくは4.0モル%未満のエチレン、或いは3.5モル%未満のエチレン、或いは3.0モル%未満のエチレン、或いは2.5モル%未満のエチレン、或いは2.0モル%未満のエチレン、或いは1.5モル%未満のエチレン、或いは1.0モル%未満のエチレン、或いは0.5モル%未満のエチレン、或いは0.25モル%未満のエチレン、或いは0モル%のエチレンを含む。
【0049】
また別の実施形態において、上記POAはASTM E1356によって測定して5℃以下、より好ましくは0℃以下、より好ましくは−5℃以下、或いは−5℃からし−40℃、或いは−5℃から−15℃の間のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0050】
また別の実施形態において、上記POAは40%以下、或いは30%以下、或いは20%以下、或いは10%ないし30%の結晶度を有する。結晶度のパーセント量はASTM D3417−99による示差走査熱量計測定を用いて測定される融解熱を使用して計算される。また別の実施形態において本明細書に記載のPOAは5ないし40%、或いは10ないし30%の結晶度パーセントを有する。
【0051】
また別の実施形態において、上記POAは少なくとも50%、或いは少なくとも60%、或いは少なくとも70%、或いは50から99%の含有量の非晶質を示す。非晶質パーセント量は100から結晶度パーセントを差し引いて求めた。
【0052】
また別の実施形態において、上記POAは少なくとも1.5、より好ましくは少なくとも2、より好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10、或いは少なくとも20の分子量分布(Mw/Mn)を有する。その他の実施形態において、Mw/Mnは20以下、より好ましくは10以下、さらに5以下である。分子量分布は一般に使用触媒および工程条件、例えば温度、モノマー濃度、複数の触媒を使用する際には触媒比、水素の存在/不在などに依存する。水素は2重量%までの量を使用できるが、50ないし500ppmの濃度を使用するのが好ましい。
【0053】
また別の実施形態において、上記POAは少なくとも2つの分子量フラクションを有することが判明した。これらはゲル浸透クロマトグラフィーによる測定によって、上記ポリマー重量を基にして各々2重量%より多く、より好ましくは20重量%より多く存在する。これらのフラクションはGPC曲線上で2つの異なる分子量集団が認められることによって確認できる。20,000Mwのピークと、もう一つの50,000Mwのピークとを示すGPC曲線が一例であり、この曲線において第一ピーク下の面積は上記ポリマーを基にして2重量%より多く、第二ピーク下の面積は上記ポリマーを基にして2重量%より多いことが示される。
【0054】
また別の実施形態において、本発明のPOAは室温でヘキサンに溶解するフラクションを上記ポリマー重量の20重量%以上含み、ソックスレー沸騰ヘプタンに不溶性の物質を上記ポリマー重量の70重量%以下、より好ましくは50重量%以下含むことができる。ソックスレーヘプタン不溶物は、試料を連続溶媒抽出法を用いて分画する際に得られるフラクション類の1つに関連する。上記分画は2工程で行われる:一方の工程は室温溶媒抽出であり、他方の工程はソックスレー抽出である。室温溶媒抽出では約1gのポリマーを溶媒(ヘキサンなど)50mlに溶解し、非晶質または非常に低分子量のポリマー種を分離する。上記混合物を室温で約12時間撹拌する。真空濾過を用いて、溶解性フラクションを上記不溶性物質から分離する。その後上記不溶性物質をソックスレー抽出法にかける。これは室温の直上から110℃までの沸点を有する種々の溶媒中におけるポリマーフラクション類の溶解度に基づいて上記フラクション類を分離することを含む。室温溶媒抽出から得られる不溶性物質を先ず最初にヘキサンおよびヘプタン(ソックスレー)のような溶媒で一晩抽出する;抽出した物質を溶媒の蒸発によって回収し、残渣を秤量する。その後上記不溶性試料をヘプタンのようなより高い沸点をもつ溶媒で抽出し、溶媒を除去した後、秤量する。最終工程からの不溶物および円筒濾紙をフード中で乾燥して大部分の溶媒を蒸発し、その後窒素パージした真空オーヴン中で乾燥する。円筒濾紙そのものの重量がわかっている場合、上記円筒濾紙に残った不溶物の量が計算される。
【0055】
もう一つの実施形態において、上記POAは出発原料ポリマーの重量を基にして70重量%以下のヘプタン不溶性フラクションを有し、上記ヘプタン不溶性フラクションは、上記ポリマーのMzで測定して0.9(より好ましくは0.7)以下の枝分かれ指数を有する。好ましい実施形態において上記組成物は、出発原料ポリマーの重量を基にして少なくとも20重量%のヘキサン可溶性フラクションも含むことができる。また別の実施形態において、上記POAは出発原料ポリマーの重量を基にして70重量%以下のヘプタン不溶性フラクションおよびヘプタン不溶性部分の20,000から5,000,000の間のMzを有することができる。好ましい実施形態において上記組成物は、上記出発原料ポリマーの重量を基にして少なくとも20重量%のヘキサン可溶性フラクションも含む。
【0056】
また別の実施形態において上記POAはプロピレンと、15モル%以下のエチレン、より好ましくは10モル%以下のエチレン、より好ましくは9モル%以下のエチレン、より好ましくは8モル%以下のエチレン、より好ましくは7モル%以下のエチレン、より好ましくは6モル%以下のエチレン、より好ましくは5モル%以下のエチレン、より好ましくは4モル%以下のエチレン、より好ましくは3モル%以下のエチレン、より好ましくは2モル%以下のエチレン、より好ましくは1モル%以下のエチレンとを含む。
【0057】
また別の実施形態において上記POAは5モル%未満のエチレン、より好ましくは4.5mol%未満のエチレン、より好ましくは4.0モル%未満のエチレン、或いは3.5モル%未満のエチレン、或いは3.0モル%未満のエチレン、或いは2.5モル%未満のエチレン、或いは2.0モル%未満のエチレン、或いは1.5モル%未満のエチレン、或いは1.0モル%未満のエチレン、或いは0.5モル%未満のエチレン、或いは0.25モル%未満のエチレン、或いは0モル%のエチレンを含む。
【0058】
簡単に説明するために、上記触媒の一方によって作られるオレフィンポリマー部分は少なくとも10%の結晶化度を有し、“半結晶性ポリマー”とも呼ばれ、他方の触媒によって作られるポリマーは5%未満の結晶化度を有し、それは“非晶質ポリマー”と呼ぶことができる。
【0059】
本発明のまた別の実施形態において、上記POAは図1に示されるものと一致する特徴的な三領域複素粘性率−温度曲線を有する。周波数10rad/s、窒素気流下の歪20%、冷却速度10℃/minで作動するARES動的機械的分光計を用い、複素粘性率と温度との関係を測定した。上記試料を先ず最初に溶融し、それから室温まで徐々に冷やし、その間複素粘性率の形成をモニターした。ポリマー処理温度の典型である、融点を超えた温度では、複素粘性率は比較的低く(領域1)、温度の低下につれて徐々に増加する。領域IIでは温度の低下につれて複素粘性率の急激な増加が起きる。第三の領域(領域III)は高複素粘性率領域である。これは使用(最終用途)温度に相当する比較的低い温度であらわれる。領域IIIでは複素粘性率は高く、さらに温度を下げても変動はわずかである。ホットメルト接着剤に使用する場合、このような複素粘性率曲線は、処理温度では長い使用可能時間を有し、比較的低温では速やかなセット時間を有するという好ましい組み合わせをもたらす。
【0060】
好ましい実施形態において、上記POAは1mol%未満のエチレンを有し、下記のようにカーボン13NMRによって測定して少なくとも2mol%の(CH単位、より好ましくは4mol%、より好ましくは6mol%、より好ましくは8mol%、より好ましくは10mol%、より好ましくは12mol%、より好ましくは15mol%、より好ましくは18mol%、より好ましくは5mol%を含む。
【0061】
また別の実施形態において、上記POAは1ないし10mol%のエチレンを有し、少なくとも2+Xmol%の(CH単位、より好ましくは4+Xmol%、より好ましくは6+Xmol%、より好ましくは8+Xmol%、より好ましくは10+Xmol%、より好ましくは12+Xmol%、より好ましくは15+Xmol%、より好ましくは18+Xmol%、より好ましくは20+Xmol%を有する。ここでXはエチレンのmol%であり、(CH単位は下記のようにカーボン13NMRによって測定される。
【0062】
好ましい一実施形態において、上記POAは1mol%未満のエチレンを有し、下記のようにカーボン13NMRで測定して少なくとも3mol%の(CH単位、より好ましくは4mol%、より好ましくは6mol%、より好ましくは8mol%、より好ましくは10mol%、より好ましくは12mol%、より好ましくは15mol%、より好ましくは18mol%、より好ましくは20mol%を含む非晶質コンポーネント(すなわち5%未満の結晶化度を有する上記ポリマー組成物の部分と定義される)を有する。
【0063】
また別の実施形態において、上記POAは1ないし10mol%のエチレンを有し、少なくとも3+Xmol%の(CH単位、より好ましくは4+Xmol%、より好ましくは6+Xmol%、より好ましくは8+Xmol%、より好ましくは10+Xmol%、より好ましくは12+Xmol%、より好ましくは15+Xmol%、より好ましくは18+Xmol%、より好ましくは20+Xmol%を含む非晶質コンポーネント(5%未満の結晶化度を有する、上記ポリマー組成物の部分と定義される)を有する。ここでXはエチレンのモル%であり、(CH単位は下記のようにカーボン13NMRによって測定される。
【0064】
官能化C3−C40オレフィンポリマー(F−POA’s)
上にPOA’sとして記載された任意のポリマーを官能化し、F−POA’sとして使用することができる。一般的には上記POAを遊離基開始剤およびグラフトモノマーまたはその他の官能基(マレイン酸または無水マレイン酸など)と組み合わせ、上記モノマーを上記POAと共に加熱、反応させてF−POAを形成する。
【0065】
上述のように本発明は、本明細書ではグラフトオレフィンポリマーとも呼ばれる官能化オレフィンポリマーまたは官能化オレフィンポリマー類のブレンドを含む。官能化(またはグラフト)とは、種々の官能基が官能化すべきPOAのポリマー主鎖に挿入され、グラフトされ、結合し、または物理的または化学的に付着することを意味する。
【0066】
一実施形態において、官能基のラジカル共重合(グラフト共重合とも呼ばれる)を利用して官能基類を上記POAにグラフトする。
【0067】
適切な官能基の例としては不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のエステル類、酸無水物、ジエステル類、塩類、アミド類、イミド類、芳香族ビニル化合物類、加水分解性不飽和シラン化合物類、および不飽和ハロゲン化炭化水素類などがある。不飽和カルボン酸類および酸誘導体類の好ましい例は非制限的に、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、2−メチルマレイン酸無水物、2−クロロマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物および4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、クロトン酸、ビシクロ(2.2.2)オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、2−オキサ−1,3−ジケトスピロ(4.4)ノン−7−エン、ビシクロ(2.2.1)ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、マレオピマル酸、テトラヒドロフタール酸無水物、ノルボルン−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ナド酸無水物、メチルナド酸無水物、ハイミック酸無水物、メチルハイミック酸無水物、およびx−メチル−ビシクロ(2.2.1)ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(XMNA)などである。
【0068】
不飽和カルボン酸のエステル類の例はメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートおよびブチルメタクリレートなどである。
【0069】
本発明の官能基として有用な加水分解性不飽和シラン化合物としては、ラジカル重合可能の不飽和基およびその分子中のアルコキシシリル基またはシリル基などが含まれ、上記化合物が、ビニル基に結合した加水分解性シリル基、および/またはアルキレン基を介して上記ビニル基に結合した加水分解性シリル基、および/またはアクリル酸、メタクリル酸などのエステルまたはアミドに結合した加水分解性シリル基を有するようになる。これらの例として、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(ベータ−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ガンマ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランモノビニルシランおよびモノアリルシランが含まれる。
【0070】
本発明の官能基として有用な不飽和ハロゲン化炭化水素の例としては塩化ビニルおよび塩化ビニリデンが含まれる。
【0071】
好ましい実施形態において、上記POAに無水マレイン酸(MA)がグラフトし、オレフィン−グラフト−無水マレイン酸(POA−g−MA)が生成する。この化合物では無水マレイン酸が上記重合組成物のポリマー鎖に結合している。
【0072】
上記グラフト共重合に使用されるラジカル開始剤の好ましい例としては、ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルペルフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキセン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキセン−3、ジ−t−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジラウリルペルオキシドおよびジクミルペルオキシドなどの有機ペルオキシドが含まれる。
【0073】
本発明のF−POAは、ラジカル開始剤の存在下で上記POA(類)および上記官能基(類)を、上記ラジカル開始剤の分解温度、その近くの温度、またはそれより高い温度で加熱することによって得られる。
【0074】
幾つかの実施形態において、使用する官能基の量を特に制限する必要はない。よって例えばアイソタクチックポリプロピレンを官能化するための一般的条件を本発明のPOA類に用いることができる。ある場合には上記共重合の効率は比較的高いので、上記官能基の量は少量でよい。一実施形態において、上記POAに挿入すべき官能基の量は存在するオレフィンポリマーの総量に対して好ましくは約0.001ないし50重量%、より好ましくは0.005ないし40重量%、より好ましくは0.01ないし35重量%、より好ましくは約0.05ないし約30重量%、より好ましくは約0.1ないし約25重量%、より好ましくは約0.5ないし約20重量%、より好ましくは約1.0ないし約15重量%、より好ましくは1.5ないし10重量%、より好ましくは約2ないし5重量%、より好ましくは約2ないし約4重量%である。好ましい一実施形態において、上記POAに挿入すべきマレイン酸および/または無水マレイン酸、より好ましくは無水マレイン酸の量は、上記POAの量を基にして、好ましくは約0.001ないし約50重量%、より好ましくは0.005ないし40重量%、より好ましくは0.01ないし35重量%、より好ましく約0.05ないし約30重量%、より好ましくは約0.1ないし約25重量%、より好ましくは約0.5ないし約20重量%、より好ましくは約1.0ないし約15重量%、より好ましくは約1.5ないし10重量%、より好ましくは約2ないし5重量%、より好ましくは約2ないし約4重量%である。
【0075】
ラジカル開始剤は上記官能基の重量に対して0.00001ないし10重量%の比で用いるのが好ましい。加熱温度は上記反応が溶媒の存在下で行われるか否かによるが、通常は約50℃ないし350℃で行われる。上記加熱温度が50℃未満である場合、上記反応は緩慢で、したがって効率は低いかも知れない。350℃より高い場合は上記POAの分解が起きるかも知れない。
【0076】
上記F−POAを官能基で官能化する際には、溶媒をベースとする官能化プロセスおよび/または溶媒なしの、メルトをベースとする官能化プロセスが利用される。溶媒をベースとするプロセスの場合、炭素原子2ないし20個のハロゲン化炭化水素、芳香族化合物、ハロゲン化芳香族化合物、アルキル置換芳香族炭化水素、環状炭化水素、および/または炭素原子6ないし20個を有し、ラジカルに対して安定である炭化水素化合物の存在下で、0.1ないし50重量%濃度を有する溶液またはスラリーの形のPOAを使用して上記反応を行うことができる。
【0077】
本発明のPOAは、溶媒を使わず、メルトをベースとする官能化プロセスで官能化することもできる。このような反応は、上記POAと上記不飽和モノマーとを物理的に十分接触させることができる押出機のような装置中で溶媒を使わずに行うことができる。後者の場合、上記反応は溶液状態における反応と比較して比較的高温で行われるのが普通である。
【0078】
使用するPOAを官能化するためのその他の方法としては、非制限的に、上記のように溶液またはスラリー中(すなわち溶媒と共に)、またはメルト中(すなわち溶媒なし)における選択的酸化、オゾン分解、エポキシ化などが含まれる。
【0079】
本発明において、グラフト重合(上記POAのグラフト)は水性媒質中でも行われる。この場合は分散剤を使用できる。上記分散剤の例は鹸化ポリビニルアセテート、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースのような改質セルロース、およびポリアクリル酸およびポリメタクリル酸のようなOH基を含む化合物類などである。その他に通常の水性懸濁重合に使われる化合物類も広く使用できる。
【0080】
反応は上記POA、上記水不溶性ラジカル重合モノマー、上記水不溶性ラジカル開始剤および/または上記分散剤を水に懸濁し、この混合物をその後加熱するというやり方で行われる。ここで、水 対 ラジカル重合モノマー(すなわち官能基)および上記POAの総量の比は好ましくは1:0.1ないし1:200、より好ましくは1:1ないし1:100である。加熱温度は、ラジカル開始剤の半減期が好ましくは0.1ないし100時間、より好ましくは0.2ないし10時間であるように調節され、30℃ないし200℃が好ましく、40℃ないし150℃がより好ましい。加熱工程において、上記混合物を懸濁状態になるように十分に混合することが好ましい。この方法で上記F−POAが粒状形で得られる。
【0081】
上記水不溶性モノマー対上記POAの重量比は好ましくは1:10ないし1:10000であり、ラジカル開始剤対水不溶性モノマーの重量比は0.00001から0.1までである。上記F−POA中の上記水不溶性モノマーの比はその用途によって異なるが、上記モノマーの量は上記F−POA中に存在するPOAの重量を基にして0.1ないし200重量%でよい。
【0082】
上記F−POAは、その希望する使用または用途にしたがって、上記POAの重量を基にして0.1ないし50重量%範囲内で所望量のラジカル重合性官能基単位を含むのが好ましい。
【0083】
さらに、上記F−POAを含めることによって得られる本発明の組成物内の相溶効果はグラフトレベルによって影響される。一実施形態において、POAが約0.001重量%以上の結合官能基を含むように上記POAを官能化することができる。上記POAをより高度に官能化することもできる。官能化レベル(例えばグラフトレベル)は約50重量%未満、より好ましくは約45重量%未満、より好ましくは約40重量%未満、より好ましくは約35重量%未満、より好ましくは約30重量%未満、より好ましくは約25重量%未満、より好ましくは約20重量%未満、より好ましくは約15重量%未満、より好ましくは約10重量%未満、より好ましくは約9重量%未満、より好ましくは約8重量%未満、より好ましくは約7重量%未満、より好ましくは約6重量%未満、より好ましくは約5重量%未満、より好ましくは約4重量%未満、より好ましくは約3重量%未満、より好ましくは約2重量%未満、より好ましくは約1.5重量%未満、より好ましくは約1重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満である。
【0084】
本発明のF−POAは本明細書に記載のように官能化された単一POAでよい。また別の実施形態において、本発明のF−POAは単一プロセスにおいて同時に官能化されるPOA類のブレンドでもよい。本発明のF−POA類は、個々に官能化された後に合一される複数のF−POAでもよく、またはそれらの任意の組み合わせでもよい。
【0085】
また別の局面において、本発明はさらにブレンドしたりまたは改質したりせずにすむ接着剤の製法を提供する。
【0086】
よって、本発明はさらに次の諸工程を含んでなるF−POAの連続的製法にも関係する:
1)モノマー、任意の溶媒、触媒および活性剤を反応器装置において合一する;
2)上記反応器装置からPOA溶液を取り出す;
3)上記POA溶液から、もしあれば、少なくとも10%溶媒を回収する;
4)反応を停止する;
5)上記POA溶液を脱揮発(devolatize)し、溶融POAを生成する;
6)溶融POAの少なくとも1部と官能基(好ましくは無水マレイン酸)とを、ラジカル開始剤の存在下、F−POAの生成に十分な温度で、F−POAの生成のために十分な時間一緒にする;
7)F−POA、任意にPOA、および任意に1種類以上の添加剤(以下に記載するものなど)を静電ミキサーのようなミキサー中にいれ(好ましい一実施形態において、粘着付与剤は加えないか、または30重量%未満、より好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満の量を加える)、混合して本発明の組成物を作る;
8)この組成物をミキサーから取り出す、そして
9)上記組成物をペレット化またはドラムにかける;
この際工程1)はPOA生成のために本明細書に記載される任意のプロセスを含む。
【0087】
また別の実施形態において、本発明は次の諸工程を含んでなる接着剤の連続的製法に関係する:
1)モノマー、任意の溶媒、触媒および活性剤を反応器装置中で合一し;
2)上記反応器装置からPOA溶液を取り出し;
3)上記POA溶液から、もしあれば、少なくとも10%溶媒を除去し;
4)反応を停止し;
5)上記POA溶液を脱揮発して溶融POAを形成し;
6)溶融POAの少なくとも1部と官能基とを、ラジカル開始剤の存在下で、上記官能基を上記POAにグラフトしてF−POAを形成するのに十分な時間一緒にし;
7)上記溶融F−POA、上記POA、および1種類以上の添加剤を静電ミキサーのようなミキサー中にいれ;
8)上記ポリマー混合物を上記ミキサーから取り出し;
9)上記ポリマー結合物をペレット化またはドラムにかける。
【0088】
特に好ましい実施形態において、本発明は次の諸工程を含んでなる接着剤の連続製法に関係する:
1)選択された重合条件下で、100,000以下のMwおよび20%以下の結晶化度(5%以下がより好ましい)を有するポリマーを生成できる第一の触媒成分を選択し;
2)選択された重合条件下で、100,000以下のMwおよび20%以上の結晶化度(40%以上がより好ましい)を有するポリマーを生成できる第二の触媒成分を選択し;
3)溶媒中および選択された重合条件下の反応ゾーンにおいて、1種類以上の活性剤の存在下で上記触媒成分類と、1種類以上のC3ないしC40オレフィン類および任意に1種類以上のジオレフィンとを接触させ;
4)70℃より高い、より好ましくは100℃より高い温度で;
5)120分までの(好ましくは60分以下の)滞留時間で
6)その際上記第一触媒対第二触媒の比は1:1ないし50:1であり;
7)上記触媒成分類は、触媒成分類1グラムあたり少なくとも50キログラムのポリマーという活性を有し;上記オレフィン類の少なくとも20%がポリマーに変換し;
8)オレフィンポリマー溶液を上記反応ゾーンから回収し;
9)少なくとも10%溶媒を上記オレフィンポリマー溶液から除去し;
10)上記反応を停止し;
11)上記オレフィンポリマー溶液を脱揮発して溶融オレフィンポリマーを生成し;
12)上記溶融オレフィンポリマーの少なくとも1部と溶融POAの少なくとも1部と官能基とを、ラジカル開始剤の存在下で、上記官能化オレフィンポリマーを生成する(例えば上記官能基を上記オレフィンポリマーにグラフトする)のに十分な温度でおよび十分な時間一緒にし;
13)上記溶融官能化オレフィンポリマーと、上記オレフィンポリマーと、1種類以上の添加剤とを静電ミキサーのようなミキサー中にいれて本発明の組成物を生成し;
14)上記オレフィンポリマー結合物(上記組成物)を上記ミキサーから回収し;
15)上記組成物をペレット化またはドラムにかける。
【0089】
特に好ましい実施形態において、本発明は以下の工程を含んでなる接着剤の連続製法に関係する:
1)選択された重合条件下で100,000以下のMwおよび20%以下の結晶化度(5%以下がより好ましい)を有するポリマーを生成できる第一触媒成分を選択し;
2)選択された重合条件下で100,000以下のMwおよび20%以上の結晶化度(40%以上がより好ましい)を有するポリマーを生成できる第二触媒成分を選択し;
3)溶媒中、および選択された重合条件下の反応ゾーンにおいて、1種類以上の活性剤の存在下で上記触媒成分を1種類以上のC3ないしC40オレフィン類および任意に1種類以上のジオレフィンと接触させ;
4)70℃より高い温度、より好ましくは100℃より高い温度で;
5)120分以下、より好ましくは60分以下の滞留時間で;
6)その際第一触媒対第二触媒の比が1:1ないし50:1、より好ましくは1:1ないし30:1であり;
7)その際上記触媒成分類の活性は、上記触媒成分類1グラムあたり少なくとも50キログラムのポリマーという活性、および上記オレフィン類の少なくとも50%がポリマーに変換するという活性であり;
8)オレフィンポリマー溶液を上記反応ゾーンから取り出し;
9)少なくとも10%溶媒を上記オレフィンポリマー溶液から除去し;
10)上記反応を停止し;
11)溶融オレフィンポリマーを形成し
その際上記ポリマーは1種類以上のC3ないしC40オレフィン類および5mol%のエチレンを含み、上記ポリマーは:
a)ドット式T型はく離が1ニュートン以上;
b)上記ポリマーのMzで測定した際の枝分かれ指数(g’)が0.95以下;
c)Mwが100,000以下;
であり;
12)上記溶融したオレフィンポリマーの少なくとも1部と官能基とを、ラジカル開始剤の存在下で、上記官能化オレフィンポリマーの生成のために十分な温度で、十分な時間結合させ;
13)上記溶融した官能化オレフィンポリマーと、上記オレフィンポリマーと、1種類以上の添加剤とを静電ミキサーのようなミキサー中にいれ、混合して組成物を生成し;
14)上記組成物を上記ミキサーから取り出し;
15)上記組成物をペレット化またはドラムにかける。
【0090】
特に好ましい実施形態において、本発明は次の諸工程を含んでなる接着剤の連続製法に関係する
1)選択された重合条件下で、100,000以下のMwおよび20%以下(好ましくは5%以下)の結晶化度を有するポリマーを生成できる第一触媒成分を選択し;
2)選択された重合条件下で、100,000以下のMwおよび20%以上(好ましくは40%以上)の結晶化度を有するポリマーを生成できる第二触媒成分を選択し;
3)溶媒中で、選択された重合条件下の反応ゾーンにおいて、1種類以上の活性剤の存在下で上記触媒成分類を1種類以上のC3ないしC40オレフィン類および任意に1種類以上のジオレフィン類と接触させ;
4)70℃より高い温度、より好ましくは100℃より高い温度で;
5)120分以下、より好ましくは60分以下の滞留時間で;
6)その際第一触媒対第二触媒の比は1:1ないし50:1、より好ましくは1:1ないし30:1であり;
7)その際上記触媒成分類の活性は上記触媒成分類1グラムあたり少なくとも50キログラムのポリマーという活性;および上記オレフィン類の少なくとも50%がポリマーに変換するという活性であり;
8)上記反応ゾーンからオレフィンポリマー溶液を取り出し;
9)上記オレフィンポリマー溶液から少なくとも10%溶媒を除去し;
10)上記反応を停止し;
11)溶融オレフィンポリマーを形成し
その際上記オレフィンポリマーは1種類以上のC3ないしC40オレフィン(好ましくはプロピレン)を少なくとも50%含み、エチレンを5mol%未満含み、
その際上記ポリマーは:
a)3ニュートン以上のドット式T型はく離;
b)上記ポリマーのMzで測定した際の枝分かれ指数(g’)0.90以下;
c)30,000以下のMw;
d)60ないし190℃のピーク融点、
e)1ないし70J/gの融解熱、
f)190℃で8000mPa・secの溶融粘度
を有する;
12)上記溶融オレフィンポリマーの少なくとも1部と官能基とを、ラジカル開始剤の存在下で上記官能化オレフィンポリマーを生成するのに十分な時間結合させ;
13)上記溶融官能化オレフィンポリマーと、上記オレフィンポリマーと、1種類以上の添加剤とを静電ミキサーのようなミキサー中にいれ、混合して本発明の組成物を生成し;
14)本発明のオレフィンポリマー結合物を上記ミキサーから取り出し;および
15)本発明のオレフィンポリマー結合物をペレット化またはドラムにかける。
【0091】
官能化オレフィンポリマーのブレンディング
F−POAを1種類以上のその他ポリマーと混合またはブレンドする(すなわち組合わせ、混合など)。好ましいポリマーは、グラフト成分を含まないオレフィンホモポリマーまたはコポリマー、異なるグラフト成分、または挿入レベルの異なる類似グラフト成分、などを含み、特定の最終用途またはプロセスのために所望レベルの接着性を有する最終組成物を得る。
【0092】
一実施形態において、上記F−POAとブレンドされるオレフィンホモポリマーまたはコポリマーはグラフト成分を含まないアルファ−オレフィンホモポリマーまたはコポリマーでもよい。所望ならば、上記アルファ−オレフィンホモポリマー類は種々の分子量特性を有し、それら自体アルファ−オレフィンのランダムおよび/またはブロックコポリマー類でよい。アルファ−オレフィンの例には、エチレンおよびプロピレンに加えて炭素原子4ないし20個を有するアルファ−オレフィン類がある。これらアルファ−オレフィンのホモポリマーおよびコポリマーは種々の公知の方法によって製造でき、種々の商品名で市販されている。
【0093】
好ましい実施形態において、上記F−POAは1種類以上のその他のポリマー、例えば非制限的に熱可塑性ポリマー(類)および/またはエラストマー(類)などと結合する。
【0094】
“熱可塑性ポリマー(類)”とは熱によって溶融し、その後著しい特性変化なしに冷却するポリマーを意味する。熱可塑性ポリマーには、非制限的に、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリスルホン類、ポリアセタール類、ポリラクトン類、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン無水マレイン酸、ポリイミド類、芳香族ポリケトン類、または上記の2または3種類の混合物が一般的に含まれる。好ましいポリオレフィン類として非制限的に、1種類以上の直鎖、枝分かれまたは環状C2ないしC40オレフィンを含むポリマー類、より好ましくは1種類以上のC3ないしC40オレフィンと共重合した、より好ましくはC3ないしC20アルファオレフィンと共重合した、より好ましくはC3ないしC10アルファ−オレフィンと共重合したプロピレンを含むポリマー類が含まれる。より好ましいポリオレフィン類には非制限的に、エチレンを含むポリマー類、例えば非制限的にC3ないしC40オレフィンと共重合したエチレン、より好ましくはC3ないしC20アルファオレフィンと共重合したエチレンなど、より好ましくはプロピレンおよび/またはブテンを含むポリマー類が含まれる。
【0095】
エラストマーとは、ASTM D1566に定義されるものを含める全ての天然および合成ゴムを意味する。好ましいエラストマーの例は、非制限的に、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、スチレン性ブロックコポリマーゴム(SI、SIS、SB、SBS、SIBSなど;ここでS=スチレン、I=イソブチレン、B=ブタジエンである)、ブチルゴム、ハロブチルゴム、イソブチレンとパラ−アルキルスチレンとのコポリマー類、イソブチレンとパラ−アルキルスチレンとのハロゲン化コポリマー類、天然ゴム、ポリイソプレン、ブチレンとアクリロニトリルとのコポリマー類、ポリクロロプレン、アルキルアクリレートゴム、塩素化イソプレンゴム、アクリロニトリル塩素化イソプレンゴム、ポリブタジエンゴム(cisおよびtransの両方)などである。
【0096】
また別の実施形態において、上記F−POAは、アイソタクチックポリプロピレン、高アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレンおよび/またはブテンおよび/またはヘキセンとのランダムコポリマー、ポリブテン、低密度ポリエチレン(0.915ないし0.935g/cm未満の密度)、直鎖低密度ポリプロピレン、ウルトラ低密度ポリエチレン(0.86ないし0.90g/cm未満の密度)、高低密度のポリエチレン(0.90ないし0.915g/cm未満の密度)、中密度ポリエチレン(0.935ないし0.945g/cm未満の密度)、高密度ポリエチレン(0.945ないし0.98g/cmの密度)、エチレンビニルアセテート、エチレンメチルアクリレート、アクリル酸のコポリマー、ポリメチルメタクリレートまたは高圧遊離基プロセスによって重合できるその他の任意のポリマー類、ポリ塩化ビニル、ポリブテン−1、アイソタクチックポリブテン、ABS樹脂、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、加硫EPR、EPDM、ブロックコポリマー、スチレン性ブロックコポリマー、ポリアミド類、ポリカーボネート類、PET樹脂、架橋ポリエチレン、エチレンとビニルアルコールとのコポリマー(EVOH)、ポリスチレンのような芳香族モノマーのポリマー類、ポリ−1エステル類、ポリアセタール、ポリ弗化ビニリジン、ポリエチレングリコール類および/またはポリイソブチレンの1種類以上と結合する。
【0097】
好ましい実施形態において、上記F−POAはメタロセンポリエチレン(mPE’s)、またはメタロセンポリプロピレン(mPP’s)と結合する。mPEおよびmPPホモポリマーまたはコポリマーは一般的にはモノ−またはビス−シクロペンタジエニル遷移金属触媒とアルモキサンおよび/または非配位アニオンの活性剤との組み合わせを用いて、溶液、スラリー、高圧またはガス相において生産される。上記触媒および活性剤は支持されていても支持されていなくともよく、シクロペンタジエニル環は置換されていても置換されていなくともよい。このような触媒/活性剤の組合わせによって生産される数種の市販品は、Exxon Chemical Company(ベイタウン、テキサス)から商品名EXCEED(登録商標)、ACHIEVE(登録商標)およびEXACT(登録商標)の商品名で入手できる。このようなホモポリマーおよびコポリマーを生成する方法および触媒/活性剤に関するより多くの情報はWO94/26816;WO94/03506;EPA277,003;EPA277,004;米国特許第5,153,157号;米国特許第5,198,401号;米国特許第5,240,894号;米国特許第5,017,714号;CA1,268,753;米国特許第5,324,800号;EPA129,368;米国特許第5,264,405号;EPA520,732;WO9200333;米国特許第5,096,867号;米国特許第5,507,475号;EPA426637;EPA573403;EPA520732、EPA495375;EPA500944;EPA570982;WO91/09882;WO94/03506および米国特許第5,055,438号を参照されたい。
【0098】
好ましい実施形態において、上記F−POAは上記ブレンド中に、ブレンド中のポリマー類の重量を基にして10ないし99重量%、より好ましくは20ないし95重量%、さらに好ましくは少なくとも30ないし90重量%、さらにより好ましくは少なくとも40ないし90重量%、さらにより好ましくは少なくとも50ないし90重量%、さらにより好ましくは少なくとも60ないし90重量%、さらにより好ましくは少なくとも70ないし90重量%存在する。
【0099】
本発明のF−POAを製造するために使用する方法において、混合法には特定の制限は必要ない。よって原料はヘンシェルミキサーなどによって均質に混合し、溶融し、混合し、押出機などによってペレットに成形することができる。本明細書に記載のブレンド類は当業者には公知の方法を使用して形成され、例えば静電ミキサー、インラインミキサー、エルボ、オリフィス、バフルの1つ以上またはこれらの任意の組合わせを使用してブレンディングが行われる。混合および溶融を同時に行うブラベンダミキサーを使用することもでき、溶融後の材料をフィルム、シートなどに直接成形できる。
【0100】
好ましい実施形態において、POA対F−POA(好ましくはPOA−g−MA)の重量/重量比は約1:1000ないし1000:1である。また別の好ましい実施形態において、F−POA(好ましくはPOA−g−MA)対POAの重量/重量比は好ましくは1:100以下、約1:50以下、約1:20以下、約1:10以下、約1:5以下、約1:4以下、約1:3以下、約1:2以下、または約1:1である。また別の実施形態において、上記POA対上記F−POAの重量/重量比は約100:1、約50:1、約20:1、約10:1、約5:1、約4:1、約3:1、また約2:1でよい。
【0101】
本発明において製造される上記F−POA、F−POA類のブレンド類および/またはPOAとF−POAとの混合物を含む組成物は接着剤として直接使用してもよく、またはその他の成分類とブレンドし、混合しおよび/または組み合わせて接着剤組成物を形成することもできる。
【0102】
本発明の組成物と共に粘着付与剤を使用することができる。適切な粘着付与剤の例には、非制限的に脂肪族炭化水素樹脂、芳香族改質脂肪族炭化水素樹脂、水素化ポリシクロペンタジエン樹脂、ポリシクロペンタジエン樹脂、ガムロジン、ガムロジンエステル、ウッドロジン、ウッドロジンエステル、タル油ロジン、タル油ロジンエステル、ポリテルペン類、芳香族改質ポリテルペン、テルペンフェノリックス、芳香族改質水素化ポリシクロペンタジエン樹脂、水素化脂肪族樹脂、水素化脂肪族芳香族樹脂、水素化テルペンおよび改質テルペン、水素化ロジン酸、および水素化ロジンエステルなどがある。幾つかの実施形態において、上記粘着付与剤は水素化される。
【0103】
その他の実施形態において、上記粘着付与剤は無極性である。(無極性とは、上記粘着付与剤が、極性基を有するモノマーを実質的には含まないことを意味する。極性基が存在しないのが好ましいが、存在するとしてもそれらは5重量%より多くなく、より好ましくは2重量%より多くなく、さらに好ましくは0.5重量%より多くない。) 幾つかの実施形態において、上記粘着付与剤は80℃ないし150℃、より好ましくは100℃ないし130℃の軟化点を有する(環球式、ASTM E−28によって測定)。その他の実施形態において、上記樹脂類は液体で、10ないし70℃の環球式軟化点を有する。
【0104】
上記組成物中に上記粘着付与剤が含まれる場合、上記粘着付与剤は上記組成物の重量を基にして約0.1ないし約80重量%、より好ましくは2ないし40重量%、さらにより好ましくは3ないし30重量%である。
【0105】
粘着付与剤または改質剤として使用される好ましい炭化水素樹脂には次のものがある:
1.C/Cテルペン樹脂、Cテルペン樹脂、芳香族改質C/C、芳香族改質環状樹脂、芳香族改質ジシクロペンタジエンをベースとする樹脂またはこれらの混合物。その他の好ましい樹脂には、WO91/07472、米国特許第5,571,867号、米国特許第5,171,793号および米国特許第4,078,132号に記載されているものが含まれる。一般的にはこれらの樹脂は下記のモノマーを1種類以上含む組成物類のカチオン重合によって得られる:Cジオレフィン類(1−3ペンタジエン、イソプレンなど);Cオレフィン類(2−メチルブテン類、シクロペンタンなど);Cオレフィン類(ヘキセンなど)、Cビニル芳香族化合物(スチレン、アルファメチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデンなど);環式化合物(ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなど);および/またはテルペン類(リモネン、カレン、ツジョンなど)。
2.ジシクロペンタジエンの熱重合および/またはシクロペンタジエンおよび/またはメチルシクロペンタンのダイマーまたはオリゴマーの熱重合(任意にビニル芳香族化合物を含む)によって得られる樹脂類。
【0106】
重合および未反応物質の分離後に得られる樹脂類を所望ならば水素化できる。好ましい樹脂の例としては米国特許第4,078,132号;WO91/07472;米国特許第4,994,516号;EP0046344A;EP0082726A;および米国特許第5,171,793号に記載されているものが含まれる。
【0107】
架橋剤
また別の実施形態において、本発明の組成物はさらに架橋剤を含むことができる。好ましい架橋剤は、酸または酸無水物基と反応できる官能基を有するものなどである。好ましい架橋剤はアルコール類、マルチオール類、アミン類、ジアミン類および/またはトリアミン類を含む。本発明において有用な架橋剤の特殊な例としてポリアミン類、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、および/またはメンタンジアミンなどが含まれる。
【0108】
本発明のF−POAのなかで、加水分解性不飽和シランがグラフトされているコポリマーは、架橋ポリプロピレンまたは架橋プロピレンコポリマーのための出発原料として使用できる。この場合、上記加水分解性不飽和シラン単位は官能化オレフィンポリマー中に、上記オレフィンポリマーを基にして0.1ないし50重量%、好ましくは0.1ないし10重量%存在できる。
【0109】
上記組成物はその後水の存在下で加熱される。水の協力によって効果的に架橋を形成するために、触媒も加えることができる。適切な触媒の例としてはヒドロキシドおよび/またはアルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物および/または酸化物、アンモニア、アミン類、有機および無機酸類、それらの塩類、アルコキシシリコン類、水素化珪素類がある。ある場合には、触媒を直接使用し、付加的処理は一切行わないことがある。上記触媒の量は上記官能化オレフィンポリマーの重量を基にして0.001ないし1重量%である。上記の組成物を水の存在下で加熱する温度は約50℃ないし200℃、好ましくは80℃ないし120℃である。水は蒸気の形でよく、或いは上記組成物を沸騰水に浸してもよい。
【0110】
こうして架橋されたオレフィンポリマーにおいて、沸騰キシレン不溶性化合物対上記オレフィンポリマーの比は5ないし100重量%であるのが好ましい。
【0111】
また別の実施形態において、加水分解性不飽和シランがグラフトされているF−POAを含む組成物をフェノール性抗酸化剤、硫化ヒドロペルオキシド分解物および多価アミンとブレンドして水架橋性組成物を作ることができる。
【0112】
多くの種類のフェノール性抗酸化剤が知られており、市販されている。フェノール性抗酸化剤の好ましい例は、置換フェノール、例えば2および/または6位の水素原子がアルキル基によって置換された2,6−ジ−t−ブチルフェノールなどである。フェノール性抗酸化剤の典型例としては2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、ビタミンE、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2、2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)、2,2’−メチレン−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチル−フェノール)、2,2’−メチレン−ビス(6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス([3−(3,5−ジ−t−ブチル)[4−ヒドロキシフェノール])]プロピオネートおよびペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネートがある。
【0113】
硫化ヒドロペルオキシド分解剤の好ましい例はチオエーテルのエステルであり、市販の硫化ヒドロペルオキシド分解剤の典型例には3,3’−チオジプロピオン酸および高級アルコール、例えばラウリルアルコール、トリデシルアルコールおよびステアリルアルコールなどがある。
【0114】
多価アミンの例はメラミン、その誘導体、ヒドラチッド化合物、例えば蓚酸−ビス(ベンジリデンヒドラチッド)、およびトリアゾール化合物、例えば3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾールなどである。
【0115】
加えられるこれら各添加物の量は、添加物対上記F−POAの重量比が好ましくは1/1000ないし1/100000、より好ましくは1/500ないし1/10000になるような量である。
【0116】
上記官能化オレフィンポリマーと上記安定剤との混合法には特定の制限はない。それらをヘンシェルミキサーなどを使用してドライブレンドし、その後溶融および/または粒状化する。
【0117】
また別の実施形態において、本発明のブレンドには亜燐酸塩添加剤は実質的に含まれない。亜燐酸塩類は1000ppm未満、好ましくは500ppm未満、より好ましくは100ppm未満存在するのが好ましい。
【0118】
上記の安定剤の他にステアリン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムまたはハイドロタルサイトなどの中和剤、および安息香酸塩、2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸ナトリウムおよびベンジルソルビトールなどの核剤などを上記の組成物に加えることができる。
【0119】
添加剤
また別の実施形態において、本発明のポリマー生成物を含む組成物は、当業者には公知の一般的添加剤、例えばフィラー、抗酸化剤、アジュバント、接着促進剤、油および/または可塑剤などをさらに含むことができる。好ましいフィラーとしては二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、二酸化珪素、カーボンブラック、砂、ガラスビーズ、ミネラル凝集体、タルク、クレーなどがある。好ましい抗酸化剤としてはフェノール性抗酸化剤、例えばCiba−Geigyから販売されるイルガノックス1010、イルガノックス1076などが含まれる。好ましい油としては、ExxonMobil Chemical Frans,S.A.(パリ、フランス)から入手できるプリモル352またはプリモル876のようなパラフィンまたはナフテン油などがある。好ましい可塑剤には、以前ExxonMobil Chemical Company(ヒューストン、テキサス)から販売されたパラポル950およびパラポル1300のようなポリブテンがある。その他の好ましい添加剤としては、粘着剤、粘着防止剤、色素、加工助剤、UV安定剤、ヒンダードアミン光安定剤、UV吸収剤、中和剤、滑剤、界面活性剤および/または核剤などがある。好ましい添加剤は二酸化珪素、二酸化チタン、ポリジメチルシロキサン、タルク、染料、ワックス、ステアリン酸カルシウム、カーボンブラック、低分子量樹脂およびガラスビーズなどである。好ましい接着促進剤としては極性酸、ポリアミノアミド類(Henkelから入手できるベルサミド115、125、140など)、ウレタン類(例えば、接着剤TN/MondurCb−75(Miles,Inc.)のようなイソシアネート/ヒドロキシ末端ポリエステル系)、カップリング剤(例えばシランエステル(Dow CorningからのZ−6020)など)、チタン酸エステル類(例えばKenrichから入手できるKr−44など)、反応性アクリレートモノマー類(例えばSartomerからのサルボックスSB−600など)、金属酸塩類(Sartomerからのサレット633など)、ポリフェニレンオキシド、酸化ポリオレフィン類、酸改質ポリオレフィン類、および改質ポリオレフィン無水物が含まれる。
【0120】
また別の実施形態において、上記組成物は3重量%未満の抗酸化剤、3重量%未満の流れ改善剤、10重量%未満のワックス、および/または3重量%未満の結晶化促進剤を含むことができる。
【0121】
本明細書に開示される上記接着組成物と組み合わせられるその他の任意成分は、可塑剤、および/またはその他の添加剤、例えば油、界面活性剤、フィラー、カラーマスターバッチなどである。好ましい可塑剤としては鉱油、ポリブテン類、フタレート類などがある。特に好ましい可塑剤としては、フタレート類、例えばジ−イソ−ウンデシルフタレート(DIUP)、ジ−イソ−ノニルフタレート(DINP)、ジオクチルフタレート類(DOP)などが含まれる。特に好ましい油は脂肪族ナフテン油などである。
【0122】
本発明のポリマー生成物と結合できるその他の任意成分は、ワックス、油または低Mnポリマーなどの低分子量生成物である(“低(low)”は5000未満のMn、好ましくは4000未満、より好ましくは3000未満、さらに好ましくは2500未満のMnを意味する)。好ましいワックスとしては極性または無極性ワックス、官能化ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックスおよびワックス変形物などがある。好ましいワックスとしてはESCOMER(登録商標)101がある。好ましい官能化ワックスとして、アルコール、酸、ケトン、無水物などで改質されたものが含まれる。好ましい例は、メチルケトン、マレイン酸無水物またはマレイン酸で改質されたワックスを含む。好ましい油には脂肪族ナフテン油、白色油などがある。好ましい低Mnポリマーには、低アルファオレフィン類、例えばプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどのポリマーが含まれる。特に好ましいポリマーは、1000未満のMnを有するポリブテンなどである。このようなポリマーの一例はExxonMobil Chemical CompanyからPARAPOL(登録商標)950の商品名で販売されている。PARAPOL(登録商標)950は950のMn、およびASTM D445にしたがって測定して100℃で220cStの動粘度を有する液体ポリブテンポリマーである。幾つかの実施形態においては、同じ組成物に極性および無極性ワックス類が一緒に使用される。
【0123】
幾つかの実施形態においてはワックスは所望されず、したがって組成物の重量を基にして10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満存在することができる。
【0124】
また別の実施形態において、本発明の組成物は上記添加剤の任意の組合わせの合計量を、F−POA、POAおよびその他の存在するポリマー類の総重量を基にして30重量%未満、好ましくは25重量%未満、より好ましくは20重量%未満、より好ましくは15重量%未満、より好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満含むことができる。
【0125】
本発明の組成物またはその処方をその後基質に直接塗布してもよいし、基質上に噴霧してもよい。上記組成物は、適用前または適用中に溶融してもよいし、加熱して半固体状態にしてもよい。噴霧は、平らな点模様を作り出すような噴霧、またはNordson Controlled Fiberizationのようなスパイラルスプレー、または、ITW Dynafiber/OmegaヘッドまたはNordsonのサミット法(Summit technology)で行われるような延伸フィラメントの振動を含むと定義される。本明細書に記載の組成物類はメルトブロー法を使用して塗付することもできる。メルトブロー法は、米国特許第5,145,689号に記載されている方法または、押出されたフィラメントを空気流を用いて破壊し、その破壊されたフィラメントを基質上に沈着させるという任意の方法を含むと定義される。一般的にメルトブロー法は、空気を用いてホットメルト接着性繊維をスピンし、それらを基質上に運んで接着するという方法である。繊維サイズは、メルト対空気の比を変えることによって20−200ミクロンに容易にコントロールされる。接着性メルトブローアプリケータの固有の安定性によって、浮遊繊維は好ましくはほとんどまたは全く生成しない。UV光の下では接着は規則的、なめらかな、拡がったドット・パターンであるようにみえる。噴霧は、空気によってホットメルト接着剤を非常に小さい点とし、それらを基質上に運び、接着する方法である。
【0126】
熱安定性
本発明の組成物は好ましくは熱安定性である。熱安定性とは、48時間180℃に加熱した組成物のガードナー色(ASTM D−1544−04)が、最初の組成物のガードナー色に比較して7ガードナー単位以上は変化しないことを意味する。好ましくは180℃で48時間加熱後、本発明の組成物のガードナー色単位は加熱前の最初の組成物のそれに比較して、6以上、より好ましくは5以上、さらにより好ましくは4以上、さらにより好ましくは3以上、さらにより好ましくは2以上、さらにより好ましくは1ガードナー色単位は変化しない。好ましい実施形態において、本発明のF−POAは熱安定性であり、この熱安定性とは、180℃で48時間加熱したF−POAのガードナー色が(ASTM D1544−04によって測定)最初のF−POAのガードナー色と比較して7ガードナー色以上変化しないことを意味する。好ましくは180℃で48時間加熱後、上記F−POAのガードナー色は加熱前の最初のF−POAと比較して、6以上、より好ましくは5以上、さらにより好ましくは4以上、さらにより好ましくは3以上、さらにより好ましくは2以上、さらにより好ましくは1ガードナー色単位は変化しない。
【0127】
上記組成物に存在する遊離酸基が熱安定性を低下させるかも知れないことが見いだされた。よって、好ましい実施形態において、上記F−POA中の遊離酸基の量は、存在するF−POAの総量を基にして約1000ppm未満、より好ましくは約500ppm未満、さらにより好ましくは約100ppm未満である。
【0128】
ある実施形態において、上記組成物は、F−POAを最終組成物に挿入する前に有機溶媒、水溶液、酸性溶液、塩基性溶液またはこれらの組合わせによって少なくとも一部洗浄したF−POAを含むことがある。形成された組成物全体を洗ってもよい。
【0129】
好ましい実施形態において、水溶液で洗浄した後の上記F−POAの酸価は、ASTMD94−02によって測定して、洗浄前のF−POAの酸価と比較して約10%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約1%未満異なる。
【0130】
好ましい実施形態において、上記F−POAは無水マレイン酸を含み、上記F−POAの酸価は、水溶液で洗浄後、ASTM D94−02によって測定して、洗浄前のF−POAの酸価とは約10%未満、好ましくは約5%未満、より好ましくは約1%未満異なる。
【0131】
また別の実施形態において、上記F−POAはカルボニル基(好ましくは無水マレイン酸)を含む不飽和基を含み、上記組成物の赤外スペクトルにおいて測定される、遊離酸含有に起因するピーク(例えばOHストレッチ、C=Oストレッチなど)は、上記組成物を180℃で30分間加熱して脱蔵した後にほぼ同じ方法で測定した上記組成物の赤外スペクトルの同じピークと比較して、ピーク高さが約20%未満、好ましくは約10%未満、より好ましくは約5%未満、さらにより好ましくは約1%未満減少する。
【0132】
貼合わせメルトコーティング
本発明の組成物は非制限的に、使捨て品、包装、ラミネート類、感圧接着剤、テープラベル類、木材接着、紙接着、不織布類、路面標識、反射コーティング類などを含む任意の接着用途に使用できる。
【0133】
好ましい実施形態において、本発明の接着剤は使捨ておむつおよびナプキンのシャシ構造、使捨て品の転用のための弾性接着、包装、ラベリング、製本、木工およびその他の組立用途のために使用できる。特に好ましい用途は:乳児用おむつの脚部エラスチック、おむつの前部テープ、おむつのスタンディング・レグカフ、おむつのシャシ構造、おむつのコア安定化、おむつの液体移動層、おむつの外側カバー層、おむつの弾性カフ層、女性用ナプキンのコア安定化、女性用ナプキンの粘着ストリップ、工業的濾過接着、工業的フィルタ材料層、フィルタマスク層、外科用増殖層、外科用ドレープ層、および生鮮食品の包装などである。
【0134】
上記組成物類の実施形態の1つ以上を任意の基質に適用できる。好ましい基質としては木材、紙、厚紙、プラスチック、熱可塑性物質、ゴム、金属、金属ホイル(アルミニウムホイルおよび錫ホイルなど)、金属化表面、布、不織布(特にポリプロピレン・スパン・ボンデド繊維または不織布)、スパンボンデド繊維、厚紙、石、プラスター、ガラス(フィルム表面への酸化珪素の蒸着によって塗付された二酸化珪素(SiO)コーティング類を含む)、フォーム、岩、セラミックス、フィルム類、ポリマーフォーム(ポリウレタンフォームなど)、インキ、色素、顔料、PVDCなどでコーティングした基質類など、またはこれらの組合わせなどがある。
【0135】
その他の好ましい基質としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート類、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、またはブレンドに適した任意の上記ポリマー類がある。
【0136】
上記基質および/または本発明のポリマー類のいずれも、コロナ放電処理、火炎処理、電子ビーム処理、ガンマ照射、マイクロウエーブまたはシラン化できる。
【0137】
本発明において製造される接着剤は、2つの被着体間に或る様態で塗布すると、標準仕様でまたは同様に構成された標準的接着剤と比較してこれらの材料が十分に一体化するように作用する。そのため本発明の組成物は表面プライマーとして、結合層として、接着促進剤として、ホットメルト接着剤として、相溶化剤として利用でき、或いはその他にも利用できる。
【0138】
本発明の組成物は本明細書に記載のポリマー類と共に、または本明細書に記載のポリマー類の代わりに、WO97/33921に記載の任意の接着剤用途に用いられる。
【0139】
本発明の組成物を単独またはその他のポリマーおよび/または添加剤と組み合わせて使用し、WO02/35956に記載されるようなフック−ループ・ファスナーも形成できる。
【0140】
特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は低温(0℃未満)用途における接着剤として使用される。
【0141】
特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は高温(40℃より高い)用途における接着剤として使用される。
【0142】
特に好ましい実施形態において、本発明の組成物は高温および低温性能の両方を必要とする用途(マイクロ波使用のためのフリーザー、または空調設備のない倉庫で使用するためのボール紙製保存箱など)において接着剤として使用される。
【実施例】
【0143】
分析試験
示差屈折計(DRI)、オンライン低角光散乱(LALIS)検出器および粘度計(VIS)を備えたWaters150サイズ排除クロマトグラフ(SEC)を使用して、分子量(数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、およびz−平均分子量(Mz))を測定した。上記検出器較正の詳細は別の所に記載されている[T.Sun,P.Brant,R.R.Chance,and W.W.Graessley,Macromolecules,Volume34,Number19,6812−6820(2001)を参照]。
【0144】
3本のPolymer Laboratories PLgel 10mm Mixed−Bカラム、公称流速0.5cm/min、および公称注入容量300マイクロリットルを有するSECは、両方の検出器構造に共通であった。種々の移動ライン、カラムおよび示差屈折計(DRI検出器、主として溶出溶液濃度の測定に使用する)を135℃に維持されたオーヴン内に入れた。
【0145】
使用したLALIS検出器は2040型ドュアル−アングル光散乱光度計(Precision Detector Inc.)であった。SECオーヴンに位置するフローセルは690nmダイオードレーザー光源を使用し、15゜および90゜で散乱光を集める。本発明では15゜の出力を用いた。毎秒16の速度で読みを蓄積するデータ捕捉ボード(National Instruments)に、発生したシグナルを送った。最も低い4個の読みを平均し、それに比例するシグナルをSEC−LALIS−VISコンピュータに送った。LALIS検出器はSECカラムの後方、粘度計の前方に置かれた。
【0146】
粘度計はホイートストンブリッジ構造に配列した4本の毛細管と2個の圧力変換器を有する高温150R型(Viscotek Corporation)であった。1個の圧力変換器は上記検出器を通過する総圧力低下を測定し、ブリッジの両サイドの間に置かれた他の1個は差圧を測定する。上記粘度計を通って流れる溶液の比粘度をこれらの出力から計算した。上記粘度計はSECオーヴンの中にあり、LALIS検出器の後方、DRI検出器の前方に置かれた。
【0147】
SEC実験のための溶媒は、1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)(Aldrich試薬級)の4リットルびんに抗酸化剤としてブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)6グラムを加え、BHTが溶解するまで待つというやり方で調製した。上記TCB混合物を0.7ミクロンのガラス製予備フィルターを通し、その後0.1ミクロンのテフロンフィルターを通した。高圧ポンプとSECカラムとの間には付加的オンライン0.7ミクロンガラス製予備フィルター/0.22ミクロンテフロンフィルターアセンブリーがあった。その後、SECに入る前のTCBをオンライン脱ガス装置(Phenomenex、DG−4000型)でガス抜きした。
【0148】
乾燥ポリマー試料をガラス容器に入れ、所望量のTCBを加え、その混合物を160℃で連続撹拌しながら約2時間加熱するというやり方で試料溶液を調製した。全ての量は重量分析で測定した。ポリマー濃度を質量/容量単位であらわすために使用したTCB密度は室温で1.463g/ml、135℃で1.324g/mlであった。注入濃度は1.0から2.0mg/mlまでの範囲であり、より高分子の試料ではより低い濃度を使用した。
【0149】
各試料を流し込む前に、DRI検出器およびインジェクターをパージした。上記装置の流速を0.5ml/minに高め、最初の試料を注入する前にDRIを8−9時間安定化させた。アルゴンイオンレーザーをアイドル−モードで20−30分間運転し、その後光調節モードのフルパワーにスイッチを切り替えることによって、試料を流入させる1ないし1.5時間前に上記レーザーをオンにした。
【0150】
枝分かれ指数をオンライン粘度計を備えたSEC(SEC−VIS)を用いて測定し、SEC曲線の各分子量におけるg’として報告する。枝分かれ指数g’は次のように定義される:
【0151】
【数1】

上記式中、ηは枝分かれポリマーの極限粘度数であり、ηは枝分かれポリマーと同じ粘度平均分子量(M)を有する直鎖ポリマーの極限粘度数である。η=KMα、Kおよびαは直鎖ポリマーで測定された値であり、枝分かれ指数測定のために使用したものと同じSEC−DRI−LS−VIS機器で測定しなければならない。本発明に示されたポリプロピレン試料では、K=0.0002288およびα=0.705が用いられた。SEC−DRI−LS−VIS法では多分散性を補正する必要がない。なぜならば上記極限粘度数および上記分子量は、狭い範囲に分散したポリマーを含む個々の溶出容量で測定したものだからである。比較のための標準として選択された直鎖ポリマー類は同じ粘度平均分子量、モノマー含有量及び組成分布を有するものであった。C2ないしC10モノマーを含むポリマーの直線性はRandallによる炭素−13NMRによって確認される(Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29(2&3)、p.285−297)。C11およびそれより長いモノマーの直線性はMALLS検出器を使用するGPC分析によって確認した。例えばプロピレンのコポリマーでは、NMRは上記コモノマーの枝分かれより大きい枝分かれを示してはいけない(すなわち、上記コモノマーがブテンである場合、2個の炭素より大きい枝分かれが存在してはいけない)。プロピレンのホモポリマーでは、GPCは1個の炭素原子より大きい枝分かれを示してはいけない。コモノマーがC9以上であるポリマーについて直鎖標準が所望される場合、T.Sun,P.Brant,R.R.Chance and W.W.Graessley,Macromolecules,Volume34,Number 19,6812−6820(2001)に記載されるプロトコルを用いて標準を決定した。シンジオタクチックポリマーの場合、炭素13NMRによって測定して同等量のシンジオタクチック性を有するものを上記標準として選択した。
【0152】
13C NMR分光光度測定法のためのポリマー試料をd−1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解し、上記試料を75または100MHzのNMR分光計を使用して125℃で記録した。ポリマーの共鳴ピークをmmmm=21.8ppmに関連づける。NMRによるポリマー類の特徴づけに関係する計算は“Polymer Conformation and Configuration”(Academic Press,New York 1969)中のF.A.Boveyの研究および“Polymer Sequence Determination,Carbon−13NMR Method”(Academic Press,New York 1977)中のJ.Randallの研究に従って行う。ベルヌーイアニティ指数(B)はB=4[mm][rr]/[mr]と定義される。長さが2つのメチレン配列のパーセント、%(CH、は次のように計算された:14−18ppm間のメチル炭素の積分(これは2つのメチレン配列の数に濃度で等しい)を45−49ppm間にある1つのメチレン配列の積分と14−18ppm間のメチル炭素の積分との合計によって割り、100倍する。これは2つ以上の配列に含まれるメチレン基の量の最小計算値である。なぜならば2より大きいメチレン配列は排除されるからである。帰属はH.N.Cheng and J.A.Ewen、Makromol.Chem.1989,190,1931に基づいて行われた。
【0153】
ピーク融点(Tm)およびピーク結晶化温度(Tc)をASTM E794−85にしたがって測定した。融解熱および結晶化熱はASTM D3417−99を利用して測定した。示差走査熱量計(DSC)データはTAインスツルメント2920型を使用して得た;例えば約7−10mgの重さの試料をアルミニウム製試料容器に密封した。上記試料を最初に−50℃に冷やし、その後10℃/minの速度で200℃まで徐々に加熱することによって、DSCデータを記録した。第二の冷却−加熱サイクルを適用する前に試料を5分間、200℃に保持した。第一および第二サイクルにおける熱による事象を両方共記録した。曲線下面積を測定し、これを用いて融解熱および結晶化度を決定した。結晶化度のパーセントは式[曲線下面積(ジュール/グラム)/B(ジュール/グラム)]100を用いて計算した。上記式中、Bは主モノマー成分のホモポリマーの融解熱である。これらのB値はPolymer Handbook,Fourth Edition,published by John Wiley and Sons,New York 1999から得た。数値189J/g(B)を100%結晶ポリプロピレンの融解熱として用いた。複数の溶融または結晶ピークを示すポリマー類では、最高の溶融ピークをピーク融点とし、最高の結晶化ピークをピーク結晶化温度とした。
【0154】
ガラス転移温度(Tg)はASTM E1356により、TAインスツルメント2920型を使用して測定した。
【0155】
溶融粘度はASTM D−3236によって測定した。本明細書ではこれを“粘度”および/または“ブルックフィールド粘度”と言うこともある。溶融粘度曲線はブルックフィールド・サーモセル粘度計および、特に記載がない限り、ナンバー27のスピンドルを用いて120℃ないし190℃の温度で測定した。
【0156】
接着性試験
接着剤、特にホットメルト接着剤の試験にしたがい、本発明のオレフィンポリマー類を使用しまたは上記オレフィンポリマー類、官能化オレフィンポリマー類、添加剤、粘着付与剤、ワックス、抗酸化剤およびその他の構成成分または成分類を高温で混合しながらブレンドして液状メルトを形成することによって試料を調製した。混合温度は約130℃から約190℃までに変動した。接着剤試験標本は、溶融接着剤の一部(例えば1つの点)で基質を接着し、その接着を室温(約25℃)に冷えるまで500グラム重量で圧し付けるというやり方で作成した。上記点の大きさは接着剤の量によって調節され、大部分の場合、生成した圧縮ディスクが上記基質の寸法内に丁度入る均質な円を形成するようにする。形成された構成物に種々の衝撃を与え、上記接着の効果を評価する。
【0157】
紙基質の接着が破損する場合、その接着の有効性は、上記構成物が接着ラインに沿って破損したときに紙繊維を保持している接着剤の点の面積を推定するというやり方で定量された。この推定値は本明細書では基質繊維引裂けパーセントとしてあらわされる。良い繊維の一例は、試料を15時間、−12℃で条件づけし、その接着を破壊しようとした後、基質繊維引裂け推定値が80−100%である例である。これらの条件下における0%の基質繊維引裂けは接着が消失していることを示すシグナルであると考えられる。
【0158】
基質繊維引裂け:上記標本を上記と同じ方法によって作成した。低温繊維引裂け試験のために、接着標本をフリーザーまたは冷蔵庫内に置き、所望試験温度にした。室温における基質繊維引裂けのためには、上記標本を周囲温度でエージングした。接着を手で剥がし、観察された破損の種類について評価した。本明細書では基質繊維引裂けの量をパーセントとしてあらわす。
【0159】
ドット式T型はく離はASTM D1876によって測定された;ただし、上記標本を作成するために、2枚の1インチ×3インチ(2.54cm×7.62cm)基質片を、500g重量で圧縮した際に約1平方インチ(1インチ=2.54cm)の面積を占めるような量の接着剤ドットで結合した。すべての標本を作成した後、与えられた衝撃の破壊力を記録する機械によって、各標本をside−by−side試験法で2インチ/minの速度で引き離した。各試験サンプルで得た最大力を記録し、平均化し、ドット式T型はく離として記録される平均最大力を算出した。
【0160】
剥離強さ(改良ASTM D1876):基質(1×3インチ(25×76mm))を接着フィルム(5mils(130μm)厚さ)で、135℃、40psi(0.28MPa)の圧力で1ないし2秒間ヒートシールした。接着標本を引張試験器で一定のクロスヘッド速度2in/min(51mm/min)で剥離した。上記接着(5標本)を引き離すのに必要な平均的力を記録した。
【0161】
本明細書で使用するセット時間は、圧縮接着基質構成物が引き離されるときに基質繊維引裂けが起きるほど十分な接着によって結合するのにかかる時間と定義され、上記接着は十分に強く、圧迫を取り除くことができる。上記接着はその後の冷却によってさらに強化すると考えられ、もはや圧しつける必要はない。これらのセット時間は、平らな机に張り付けたファイルホールダ基質上に接着剤の溶融点を置くというやり方で測定できる。その点上に3秒後にファイルホールダタブ(1インチ×3インチ(2.5cm×7.6cm))を置き、500グラムの重りで圧し付ける。上記重りは約0.5ないし約10秒間そのまま置かれる。こうして形成された構成物を引き離し、基質繊維引裂けが起きる十分な接着レベルをチェックした。上記セット時間をこの接着が起きるために必要な最小時間として記録した。市販の接着剤の標準を使用してこのプロセスを較正した。
【0162】
SAFT(改変ASTM D4498−00)は、剪断モードで接着を引離す一定の力のもとで、10゜F(5.5℃)/15分の速度で上昇する温度に対する接着剤の抵抗力を測定する。接着はクラフト紙(1インチ×3インチ(2.5cm×7.6cm))上で上記のやり方で形成された。試験標本は室温で、オーヴン中に垂直に吊るされ、その底部には500グラム荷重がかけられた。重りが落下したときの温度を記録した(たまたま試料がオーヴンの限度を超える温度>265゜F(129℃)に達した際には試験を中止し、その他の試料の中止温度と平均した)。
【0163】
ショアA硬度をASTM D2240にしたがって測定した。空気冷却した接着剤点に針を刺し、その変形を目盛りにより記録した。
【0164】
試料の製造および記述
2種類のPOAホモポリプロピレンを10月15日、2003年に出願されたUSSN10/868,951に記載の一般的方法にしたがって製造した。使用した触媒はジ(p−トリエチルシリルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,8−ジ−t−ブチルフルオレニル)ハフニウムジメチルおよびrac−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチルであった。使用した活性剤はN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートであった。重合は131℃でヘキサン中で行われた。ポリマーの諸特性を表Aに記載する。
【0165】
【表2】

【0166】
POA−12の2種類のブレンドを作った。1方は無水マレイン酸で官能化され、他方は無水マレイン酸による官能化はなかった。
【0167】
POA−12−g−MA
120gのPOA−12ポリマーをトルエンに溶解し(ポリマー濃度は約20重量%)、これに15重量%(ポリマーを基にして)の無水マレイン酸を加えることによって、POA−12を官能化した。2.5重量%の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンを加え、反応物を139℃に加熱し、4時間反応させた。M.Sclavonsらが報告した方法(Polymer,41(2000),page1989)を用いてマレイン酸化ポリマーのMA含有量を測定した。つまり、約0.5グラムのポリマーを沸騰温度のトルエン150mlに溶解した。カラー指示薬としてブロモチモールブルーを使用し、テトラ−ブチルアンモニウムヒドロキシドで上記加熱溶液の電位差滴定を行った。上記加熱溶液では滴定中、上記ポリマーは沈殿しなかった。POA−12−g−MAは1.41重量%のMAを含むことが判明した。その後、接着力試験をPOA−12、POA−11、およびその他の成分とブレンドしたPOA−12−g−MAで行った。データを以下に示す:
【0168】
【表3】

エスコレツ5690はジシクロペンタジエン原料から製造される水素化芳香族改質樹脂であり、環球式軟化点130℃を示し、ExxonMobil(ヒューストン、テキサス)から販売されている。
C80ワックスはMoor and Mungerから販売されるパラフィンC80−フィッシャートロプシュ精留ワックスである。
イルガノックス1076はCiba−Geigyから販売されるフェノール性抗酸化剤である。
インランド厚紙はInland Paper Board and PackagingCompany of Romeから販売される高性能ボックスボードである。
【0169】
データが明確に示すように、本発明の接着組成物は−10℃および−30℃における接着を劇的に改善した。
【0170】
優先権書類および/または試験法を含む本明細書中のすべての記述は参考として本明細書に組み込まれる。本発明の複数の形を明らかにし、説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の変更がなされ得ることは前述の一般的説明および特定の実施形態から明らかである。よって、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】複素粘性率対温度の軌跡を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C3ないしC40オレフィンの1種類以上を少なくとも50mol%含むC3ないしC40オレフィンポリマーオレフィンポリマー含有組成物であって、前記オレフィンポリマーは:
a)クラフト紙におけるドット式T型はく離が1ニュートン以上;
b)Mwが10,000ないし100,000;および
c)前記ポリマーのMwが10,000ないし60,000である場合には前記ポリマーのMzで測定した際の枝分かれ指数(g’)が0.98以下、または前記ポリマーのMwが10,000ないし100,000である場合には前記ポリマーのMzで測定した際の枝分かれ指数(g’)が0.95以下であり;
前記C3ないしC40オレフィンポリマーが少なくとも0.001重量%の官能基を含む組成物。
【請求項2】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが:
(a)クラフト紙におけるドット式T型はく離が1ニュートン以上;
(b)前記ポリマーのMzで測定した枝分かれ指数(g’)が0.98以下;
(c)Mwが10,000ないし60,000;および
(d)融解熱が1ないし50J/g
である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが、ホモポリプロピレン、またはプロピレンと最大5モル%までのエチレンとのコポリマーであり:
a)アイソタクチック・ランレングス(run length)が1ないし30、
b)rダイアド(r dyad)のパーセントが20%より大きく、
c)融解熱が1ないし70J/g
である請求項1または請求項2記載の組成物。
【請求項4】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーがプロピレンと15モル%未満のエチレンとを含む請求項1ないし請求項3のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項5】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが190℃で7000mPa・sec以下の溶融粘度を有する請求項1ないし請求項4のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項6】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが190℃で5000mPa・sec以下の溶融粘度を有する請求項1ないし請求項5のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項7】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが190℃で250から6000mPa・secの間の溶融粘度を有する請求項1ないし請求項6のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項8】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが190℃で500ないし3000mPa・secの溶融粘度を有する請求項1ないし請求項7のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項9】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが0℃以下のTgを有する請求項1ないし請求項8のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項10】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが−10℃以下のTgを有する請求項1ないし請求項9のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項11】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが10,000ないし75,000のMwおよび0.6以下の枝分かれ指数を有する請求項1ないし請求項10のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項12】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが10,000ないし50,000のMwおよび0.7以下の枝分かれ指数を有する請求項1ないし請求項11のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項13】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが10,000ないし30,000のMwおよび0.98以下の枝分かれ指数を有する請求項1ないし請求項12のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項14】
官能化前のC3ないしC40オレフィンポリマーが前記ポリマーのMzで測定した場合に0.90以下の枝分かれ指数を有する請求項1ないし請求項13のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項15】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーのSECグラフがバイまたはマルチモーダルである請求項1ないし請求項14のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項16】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが少なくとも50%の含有量の非晶質を有する請求項1ないし請求項15のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項17】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが
a)60ないし190℃のピーク融点;
b)0ないし70J/gの融解熱;および
c)190℃で8000mPa・sec以下の溶融粘度
を有する請求項1ないし請求項16のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項18】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが:
a)−10℃以下のTg;
b)2000から6000mPa・secの間の溶融粘度;
c)少なくとも5の分子量分布(Mw/Mn);および
d)前記ポリマーのバイまたはマルチモーダルSECグラフ
を有する請求項1ないし請求項17のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項19】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが少なくとも5%の結晶度を有する請求項1ないし請求項18のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項20】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが20重量%以上のヘキサン室温可溶性フラクションと、50重量%以下のソックスレーヘプタン不溶性物質とを有する請求項1ないし請求項19のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項21】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが3.0モル%未満のエチレンを含む請求項1ないし請求項20のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項22】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが1.0モル%未満のエチレンを含む請求項1ないし請求項21のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項23】
請求項1ないし請求項22の任意の組成物と官能化ワックスとを含む組成物。
【請求項24】
請求項1ないし請求項23の任意の組成物とワックスとを含む組成物。
【請求項25】
請求項1ないし請求項24の任意の組成物と炭化水素樹脂とを含む組成物。
【請求項26】
前記官能基が前記C3ないしC40オレフィンポリマーの0.005ないし50重量%存在する請求項1ないし請求項25のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項27】
前記官能基が前記C3ないしC40オレフィンポリマーの1ないし20重量%存在する請求項1ないし請求項26のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項28】
前記不飽和基がマレイン酸および/または無水マレイン酸を含む請求項1ないし請求項27のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項29】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが2ないし200のMz/Mnを有する請求項1ないし請求項28のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項30】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが15,000ないし500,000のMzを有する請求項1ないし請求項29のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項31】
前記組成物が50ないし150℃のSAFTを有する請求項1ないし請求項30のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物が95以下のショアA硬度を有する請求項1ないし請求項31のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項33】
前記組成物が5秒以下のセット時間を有する請求項1ないし請求項32のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項34】
官能化前の前記C3ないしC40オレフィンポリマーが2ないし75のMw/Mnを有する請求項1ないし請求項33のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項35】
前記C3ないしC40オレフィンポリマーが不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、酸無水物、ジエステル、不飽和カルボン酸の塩、不飽和アミド、不飽和イミド、芳香族ビニル化合物、加水分解性不飽和シラン化合物、不飽和ハロゲン化炭化水素、またはこれらの組み合わせで官能化される請求項1ないし請求項34のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項36】
前記C3ないしC40オレフィンポリマーが無水マレイン酸、無水シトラコン酸、2−メチルマレイン酸無水物、2−クロロマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、クロトン酸、ビシクロ(2.2.2)オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、1,2,3,4,5,&g,lo−オクタヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸無水物、2−オキサー1,3−ジケトスピロ(4.4)ノン−7−エン、ビシクロ(2.2.1)ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、マレオピマル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ノルボルン−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ナド酸無水物、メチルナド酸無水物、ハイミック酸無水物、メチルハイミック酸無水物、x−メチル−ビシクロ(2.2.1)ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(XMNA)、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(ベータ−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ガンマ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、モノビニルシラン、モノアリルシラン、塩化ビニル、または塩化ビニリデンの1種類以上によって官能化される請求項1ないし請求項35のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項37】
前記官能基が無水マレイン酸である請求項1ないし請求項36のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項38】
前記組成物がさらにまた別のポリマーを含む請求項1ないし請求項37のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項39】
前記ポリマーが官能化されていないオレフィンホモポリマーまたはコポリマーを含む請求項38記載の組成物。
【請求項40】
前記ポリマーが異なる1または複数の官能基を有するオレフィンホモポリマーまたはコポリマーを含む請求項38または請求項39記載の組成物。
【請求項41】
前記ポリマーが、量が異なる同じ官能基を含む官能化C3ないしC40オレフィンポリマーを含む請求項38ないし請求項40のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項42】
前記ポリマーがエチレン、C4ないしC20アルファオレフィン類またはこれらの組み合わせを含むアルファ−オレフィンホモポリマーを含む請求項38ないし請求項41のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項43】
前記ポリマーがエチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレン性ブロックコポリマーゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、イソブチレンとパラーアルキルスチレンとのコポリマー類、イソブチレンとパラ−アルキルスチレンとのハロゲン化コポリマー類、天然ゴム、ポリイソプレン、ブタジエンとアクリロニトリルとのコポリマー類、ポリクロロプレン、アルキルアクリレートゴム、塩素化イソプレンゴム、アクリロニトリル塩素化イソプレンゴム、ポリブタジエンゴムまたはこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項38ないし請求項42のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項44】
前記ポリマーがアイソタクチックポリプロピレン、高アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリプロピレンとエチレンおよび/またはブテンおよび/またはヘキセンとのランダムコポリマー、ポリブテン、低密度ポリエチレン(0.915から0.935g/cm未満の間の密度)、直鎖低密度ポリエチレン、ウルトラ低密度ポリエチレン(0.86から0.90g/cm未満の密度)、超低密度ポリエチレン(0.90から0.915g/cm未満の密度)、中密度ポリエチレン(0.935ないし0.945g/cm未満の密度)、高密度ポリエチレン(0.945ないし0.98g/cmの密度)、エチレン酢酸ビニル、エチレンメチルアクリレート、アクリル酸のコポリマー類、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリブテン−1、アイソタクチックポリブテン、ABS樹脂類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、PET樹脂類、架橋ポリエチレン、エチレンとビニルアルコールとのコポリマー類(EVOH)、ポリスチレンのような芳香族モノマー類のポリマー類、ポリ−1エステル類、ポリアセタール、ポリ弗化ビニリデン、ポリエチレングリコール類、およびポリイソブチレンからなる群から選択される請求項38ないし請求項43のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項45】
前記ポリマーがメタロセンポリエチレン類またはメタロセンポリプロピレン類からなる群から選択される請求項38ないし請求項44のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項46】
前記組成物が1種類以上のC3ないしC40オレフィンを少なくとも50mol%含む非官能化C3ないしC40オレフィンポリマーをさらに含み、前記オレフィンポリマーは;
a)クラフト紙におけるドット式T型はく離が1ニュートン以上;
b)Mwが10,000ないし100,000;および
c)前記ポリマーが10,000ないし60,000のMwを有する場合には前記ポリマーのMzで測定した際の枝分かれ指数(g’)が0.98以下、または前記ポリマーが10,000ないし100,000のMwを有する場合には前記ポリマーのMzで測定した際の枝分かれ指数(g’)が0.95以下
である請求項1ないし請求項45のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項47】
前記非官能化C3ないしC40オレフィンポリマーが;
a)クラフト紙におけるドット式T型はく離が1ニュートン以上;
b)前記ポリマーのMzで測定した際の枝分かれ指数(g’)が0.98以下;
c)Mwが10,000ないし60,000;および
d)融解熱が1ないし50J/g
である請求項46記載の組成物。
【請求項48】
前記非官能化C3ないしC40オレフィンポリマーがホモポリプロピレン、またはプロピレンと5モル%までのエチレンとのコポリマーであり;
a)1ないし30のアイソタクチック・ランレングス、
b)rダイアドのパーセントが20%より大きく、および
c)融解熱が1ないし70J/g
である請求項46記載の組成物。
【請求項49】
前記非官能化C3ないしC40オレフィンポリマーが190℃で5000mPa・sec以下の溶融粘度を有する請求項46ないし請求項48のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項50】
前記非官能化C3ないしC40オレフィンポリマーが少なくとも50%の含有量の非晶質を有する請求項46ないし請求項49のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項51】
前記非官能化C3ないしC40オレフィンポリマーが少なくとも5%の結晶度を有する請求項46ないし請求項50のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項52】
さらに約0.1ないし約50重量%の粘着付与剤、フィラー、抗酸化剤、アジュバント、接着促進剤、油、可塑剤、ブロック剤、抗ブロック剤、顔料、加工助剤、UV安定剤、中和剤、滑剤、界面活性剤、核剤、カップリング剤、カラーマスターバッチ、5000未満のMnを有するポリマー、極性ワックス、無極性ワックス、官能化ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ワックス改質剤、エラストマー、耐衝撃コポリマー、エステルポリマー、架橋剤、またはこれらの組み合わせをさらに含む請求項1ないし請求項51のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項53】
180℃で48時間加熱老化した前記組成物のガードナー色が、加熱老化前の該組成物のガードナー色に比較して7ガードナー単位を超えて変化しない請求項1ないし請求項52のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項54】
180℃で48時間加熱老化した前記組成物のガードナー色が、加熱老化前の該組成物のガードナー色と比較して4ガードナー単位を超えて変化しない請求項1ないし請求項53のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項55】
成分2に存在する遊離酸基の量が、存在する官能化C3ないしC40オレフィンポリマーの総量を基にして約1000ppm未満である請求項1ないし請求項54のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項56】
亜燐酸塩を実質的に含まない請求項1ないし請求項55のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項57】
少なくとも0.001ないし50重量%の官能基を含むC3ないしC40オレフィンポリマーが有機溶媒、水溶液、酸性溶液、塩基性溶液またはそれらの組み合わせによって洗浄されたものである請求項1ないし請求項56のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項58】
前記官能基が無水マレイン酸を含み、前記ポリマーの少なくとも一部が塩基性溶液で洗われたものである請求項1ないし請求項57のいずれかの項に記載の組成物。
【請求項59】
前記塩基性溶液で洗浄した後の前記ポリマーの酸価が洗浄前の前記ポリマーの酸価と比較して約10%未満異なる請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
遊離酸含有量に起因する前記組成物の赤外スペクトルにおいて測定される1つ以上のピークの高さが、前記組成物を180℃で30分間加熱することによって脱揮発した後に実質的に同じ方法で測定した前記組成物の赤外スペクトルの同じピークの高さと比較して約20%未満低くなる請求項58または請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
1)反応系においてモノマー、任意の溶媒、触媒および活性剤を混ぜ合わせ;
2)前記反応系からオレフィンポリマー溶液を回収し、前記ポリマーは1種類以上のC3ないしC40オレフィンを少なくとも50ml%含み;
a)クラフト紙におけるドット式T型はく離が1ニュートン以上;
b)Mwが10,000ないし100,000;および
c)前記ポリマーのMwが10,000ないし60,000である場合には前記ポリマーのMzで測定した際の枝分かれ指数(g’)が0.98以下、または前記ポリマーのMwが10,000ないし100,000である場合には前記ポリマーのMzで測定した際の枝分かれ指数(g’)が0.95以下を有するものとし;
3)上記オレフィンポリマー溶液から、もし存在する場合は、少なくとも10%の溶媒を除去し;
4)前記反応を停止し;
5)前記オレフィンポリマー溶液を脱揮発して溶融オレフィンポリマーを形成し;
6)ラジカル開始剤の存在下で前記溶融オレフィンポリマーの少なくとも一部と官能基とを、溶融官能化オレフィンポリマーを生成するのに十分な温度下で、該ポリマーを生成するのに十分な時間結合させ;
7)前記溶融官能化ポリマー、前記オレフィンポリマーおよび任意に1種類以上の添加剤をミキサー中にいれ、混合して組成物を作り;
8)前記ミキサーから前記組成物を取り出し、および
9)前記組成物をペレット化またはドラムにかける
諸工程を含む請求項1ないし請求項60のいずれかの項に記載の組成物の製法。
【請求項62】
請求項1ないし請求項61のいずれかの項に記載の組成物を含む表面プライマー。
【請求項63】
請求項1ないし請求項62のいずれかの項に記載の組成物を含む結合層。
【請求項64】
請求項1ないし請求項63のいずれかの項に記載の組成物を含む接着促進剤。
【請求項65】
請求項1ないし請求項64のいずれかの項に記載の組成物を含むホットメルト接着剤。
【請求項66】
請求項1ないし請求項65のいずれかの項に記載の組成物を含む相溶化剤。

【図1】
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【公表番号】特表2007−533796(P2007−533796A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508535(P2007−508535)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/012714
【国際公開番号】WO2005/105868
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】