説明

定型シール

【課題】メンテナンス時等のユーザー負担の軽減及び廃棄物の削減を図ることができる定型シールを得る。
【解決手段】縦目地には、定型シール44が弾性的に嵌合されている。定型シール44は左右対称形状に形成されており、芯材46、化粧板部48、底板部50、二組の弾性止水部52、54を備えている。化粧板部48の表面側には第1仕上げ面56が設けられており、又底板部50の表面側には第2仕上げ面58が設けられている。従って、定型シール44の第1仕上げ面56が経年劣化した場合には、縦目地20から定型シール44を取外し反転させて再び装着することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目地内に嵌合されて当該目地をシールするための定型シールに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、乾式目地材に関する技術が開示されている。簡単に説明すると、この先行技術では、目地に沿って配置される長尺板状の芯材と、芯材の両側部に配置されるシール材と、芯材の屋外側端部に装着される弾性部材と、によって構成されている。芯材は略I状の断面形状を有しており、芯材に被嵌される弾性部材はC字状の断面形状を成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−127945号公報
【特許文献2】特開平08−309900号公報
【特許文献3】特開平09−41505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術による場合、一種類の目地材で多くの箇所に適用することを念頭において工夫されているものの、弾性部材が経年劣化した場合にはシール材ごと交換する必要がある。このため、ユーザーの費用負担が嵩むと共に、廃棄物も増え昨今のエコの要請に応えることができない。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、メンテナンス時等のユーザー負担の軽減及び廃棄物の削減を図ることができる定型シールを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明に係る定型シールは、目地に沿って装着される芯材と、この芯材の屋外側端部に一体に設けられると共に目地幅方向に張出され、かつ表面側に仕上げ面が設けられた化粧板部と、芯材の屋内側端部に一体に設けられると共に目地幅方向に張出され、かつ表面側に仕上げ面が設けられた底板部と、を有している。
【0007】
請求項2記載の本発明に係る定型シールは、請求項1記載の発明において、前記化粧板部と前記底板部とは略同一の断面形状に形成されている、ことを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の本発明に係る定型シールは、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記化粧板部と前記底板部とは同一の材質で構成されている、ことを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の本発明に係る定型シールは、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記芯材の両側部には、自然状態で芯材の両側方へ平面状に延出されると共に、目地に装着された状態では目地の両側面に先端部が密着される弾性止水部が一体に形成されている、ことを特徴としている。
【0010】
請求項5記載の本発明に係る定型シールは、請求項4記載の発明において、前記芯材を挟んで左右一対の前記弾性止水部を一組とした場合に、少なくとも一組の弾性止水部の先端部は弾性止水部の板厚方向へ弾性変形可能なリップ部として構成されている、ことを特徴としている。
【0011】
請求項6記載の本発明に係る定型シールは、請求項5記載の発明において、一組又は複数組の前記シール部の屋外側側面には屋外側へ突出される第1弾性突起部が形成されていると共に、一組又は複数組の前記シール部の屋内側側面には屋内側へ突出される第2弾性突起部が形成されており、化粧板部が屋外側に配置されるように芯材が目地に装着された場合には、第2弾性突起部の先端部が目地の両側面に密着されると共に、第1弾性突起部の先端部は目地の両側面に対して非接触状態で保持され、底板部が屋外側に配置されるように芯材が目地に装着された場合には、第1弾性突起部の先端部が目地の両側面に密着されると共に、第2弾性突起部の先端部は目地の両側面に対して非接触状態で保持される、ことを特徴としている。
【0012】
請求項7記載の本発明に係る建物は、縦目地に請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の定型シールが屋外側から装着されている、ことを特徴としている。
【0013】
請求項1記載の本発明によれば、新築時には通常通り化粧板部が屋外側となるように定型シールが目地に装着される。装着後の状態では、目地の屋内側には底板部が配置され、目地の屋外側には化粧板部が配置される。このため、化粧板部の表面側に設けられた仕上げ面が意匠面として機能する。
【0014】
一方、数年後のメンテナンス時等に化粧板部側の仕上げ面が経年劣化していた場合、一旦定型シールを目地から取外し、表裏を反転させて、劣化した化粧板部側の仕上げ面が目地の屋内側に配置されるように定型シールを装着し直す。これにより、屋外側には底板部の表面側に設けられた仕上げ面が現れる。このため、底板部の表面側に設けられた仕上げ面が意匠面として機能する。すなわち、本発明に係る定型シールは、表裏反転されて再度利用されて始めて寿命をまっとうする。
【0015】
請求項2記載の本発明によれば、化粧板部と底板部とは略同一の断面形状に形成されているので、表裏を反転させたときに、仕上げ面も含めて全く同一形状の化粧板部(実際は底板部)が現れる。しかも、最初に装着する際に表裏を確認する必要がない。
【0016】
請求項3記載の本発明によれば、化粧板部と底板部とが同一の材質で構成されているため、化粧板部と底板部とで略同一の耐用年数使用可能である。
【0017】
請求項4記載の本発明によれば、定型シールを目地に装着した状態では、芯材の両側部に一体に形成された弾性止水部の先端部が目地の両側面に密着される。これにより、止水性が確保される。
【0018】
しかも、弾性止水部は自然状態で芯材の両側方へ平面状に延出されているので、表裏を反転させても止水性は変わらない。
【0019】
請求項5記載の本発明によれば、少なくとも一組の弾性止水部の先端部が弾性止水部の板厚方向へ弾性変形可能とされているので、弾性復元力によるシール圧が積極的に得られると共に、定型シールを目地に装着する際にリップ部が弾性変形するので装着し易い。
【0020】
請求項6記載の本発明によれば、今仮に化粧板部が屋外側となるように定型シールが目地に長期間装着されていたとする。メンテナンス時等に定型シールを目地から取り外したときに、リップ部に癖がついている可能性がある。しかし、この場合にも、定型シールを反転させて目地に装着すれば、少なくとも第1弾性突起部の先端部が目地の両側面に密着して止水性が確保される。
【0021】
請求項7記載の本発明によれば、建物の縦目地に請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の定型シールが屋外側から装着されているので、メンテナンス時等には定型シールの表裏を反転させれば、定型シールを再度使用することができる。従って、定型シールの交換に要する費用を削減することができると共に、廃棄物も出ない。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の本発明に係る定型シールは、メンテナンス時等のユーザー負担の軽減及び廃棄物の削減を図ることができるという優れた効果を有する。
【0023】
請求項2記載の本発明に係る定型シールは、目地に装着する際に表裏の確認の手間が省けるという優れた効果を有する。
【0024】
請求項3記載の本発明に係る定型シールは、比較的長い耐用年数を確保することができるという優れた効果を有する。
【0025】
請求項4記載の本発明に係る定型シールは、表裏を反転させても反転させる前と同等の止水性を確保することができるという優れた効果を有する。
【0026】
請求項5記載の本発明に係る定型シールは、装着時のシール圧の向上と表裏反転時における目地への装着容易性を両立させることができるという優れた効果を有する。
【0027】
請求項6記載の本発明に係る定型シールは、リップ部に癖がついたときでも止水性を確保することができるという優れた効果を有する。
【0028】
請求項7記載の本発明に係る定型シールは、メンテナンス時等のユーザー負担の軽減及び廃棄物の削減を図ることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1実施形態に係る定型シールの縦断面図である。
【図2】図1に示される定型シールの斜視図である。
【図3】図4に示される定型シールの装着状態を拡大して示す拡大水平断面図である。
【図4】図1に示される定型シールの装着状態を示す図6の4−4線に沿った水平断面図である。
【図5】外壁パネルへの定型シールの納まりを示す斜視図である。
【図6】第1実施形態に係る定型シールが縦目地に装着されたユニット建物の外観斜視図である。
【図7】図3に示される定型シールを表裏反転させた状態を示す図3に対応する拡大水平断面図である。
【図8】第1実施形態の変形例を示す図4に対応する水平断面図である。
【図9】第2実施形態に係る定型シールが縦目地に装着された状態を示す図4に対応する水平断面図である。
【図10】図9に示される定型シールの斜視図である。
【図11】図9に示される縦目地の装着状態を拡大して示す図3に対応する拡大水平断面図である。
【図12】図9に示される状態の定型シールを反転させて縦目地に装着させた状態を示す図7に対応する拡大水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図8を用いて、本発明に係る定型シールの第1実施形態について説明する。
【0031】
図6は、ユニット(住宅)建物の外観斜視図が示されている。この図に示されるように、ユニット建物10は、基礎12上に据え付けられた複数個の下階側建物ユニット14と、これらの下階側建物ユニット14の上面に据え付けられた複数個の上階側建物ユニット16と、これらの上階側建物ユニット16の上面に据え付けられた屋根部18と、によって構成されている。なお、図1に示されるユニット建物10は一例であり、使用する建物ユニットの個数や配置、サイズはプランニングに合わせて任意に変更される。また、必ずしもすべての建物ユニットを箱型ユニットにする必要はなく、プランニングによっては異形ユニットも使用される。
【0032】
上述したユニット建物10の左右に隣接する下階側建物ユニット14の間及び左右に隣接する上階側建物ユニット16の間には、縦目地20が形成されている。また、下階側建物ユニット14と上階側建物ユニット16との間には横目地22が形成されている。
【0033】
図5には、上記下階側建物ユニット14が備える外壁パネル24の部分拡大斜視図が示されている。また、図4には、図6の4−4線拡大断面図が示されている。さらに、図3には、図4の縦目地の拡大断面図が示されている。
【0034】
これらの図に示されるように、外壁パネル24は、所定の間隔で配置された複数本の間柱26と、間柱26に対して直交するように配置された複数本の横桟28と、を含んで構成された外壁フレーム30を備えている。なお、本実施形態では、間柱26は2本の溝型鋼32のウェブ32A同士を接合して構成されているが、他の構成によってもよい。外壁フレーム30の屋外側の面には、外壁材34がビス36で固定されている。さらに、外壁フレーム30の屋内側の面には、内装材38がビスで固定されている。なお、外壁材34の下端部には、防水用の水切り40が取り付けられている。
【0035】
隣り合う外壁材34の幅方向端部間には所定の隙間が形成されており、この隙間が前述した縦目地20とされている。縦目地20は間柱26の配置位置に設定されている。このため、間柱26を構成する2本の溝型鋼の外側フランジ部32Bには、EPDM等のゴム製の止水シート42が両面テープで貼り付けられている。この縦目地20に本実施形態に係る乾式の定型シール44が屋外側から装着されており、以下に詳細に説明する。
【0036】
図1及び図2には、本実施形態に係る定型シール44が単品状態で示されている。これらの図に示されるように、定型シール44は、縦目地20に沿って挿入される所定幅(厚さ)の芯材46と、この芯材46の屋外側端部に一体に形成された化粧板部48と、芯材46の屋内側端部に一体に形成された底板部50と、芯材46の両側面から両側方(目地幅方向)へ平面状に延出された二組の弾性止水部52、54と、を含んで構成されている。また、定型シール44の断面形状は、芯材46を中心として左右対称形状に形成されている。
【0037】
各構成要素について更に言及すると、化粧板部48と底板部50とは平行に配置されており、いずれも芯材46に対して直交する方向(目地幅方向)へ張り出されている。また、化粧板部48の表面側には、緩やかに湾曲した弓形形状に形成された第1仕上げ面56(図1等において斜線を付した部分)が形成されている。同様に、底板部50の表面側には、緩やかに湾曲した弓形形状に形成された第2仕上げ面58(図1等において第1仕上げ面56よりも細かいピッチの斜線を付した部分)が形成されている。定型シール44の断面形状は前述したように左右対称形状であるから、第1仕上げ面56と第2仕上げ面58とは同一の形状を成している。
【0038】
また、自然状態において、第1仕上げ面56及び第2仕上げ面58の両端部間の長さA(図1参照)は、縦目地20の目地幅B(図3参照)よりも長く設定されている。従って、定型シール44を縦目地20に装着すると、屋外側に配置される第1仕上げ面56の両端部が、外壁材34の縦目地20側に形成された平面視で等脚台形状の切欠60の底面60Aに係止されるようになっている。なお、本実施形態では、第1仕上げ面56の両端部を外壁材34の端面34Aに係止させているが、これに限らず、化粧板部48の両端部を外壁材34の端面34Aに係止させてもよい。
【0039】
また、第1仕上げ面56及び化粧板部48の両端部並びに第2仕上げ面58及び底板部50の両端部は、弾性止水部52、54に対して接近及び離間する方向へ弾性変形可能とされている。従って、定型シール44を縦目地20に装着した状態では、屋外側に配置された第1仕上げ面56及び化粧板部48の両端部は殆ど弾性変形していないが、屋内側に配置された第2仕上げ面58及び底板部50の両端部は縦目地20を構成する外壁材34の両側面34Aに弾性変形した状態で圧接されている。
【0040】
さらに、自然状態において、二組の弾性止水部52、54は芯材46に対して直交する方向に平行に延出されている。左右一対の弾性止水部52、54の両先端部間の長さC(図1参照)は、目地幅Bよりも長く設定されている。ちなみに、前記長さCは、化粧板部48の長さAよりも長く設定されている。また、縦目地20の奥行方向に隣り合う二枚の弾性止水部52、54は、芯材46に沿って平行に配置された連結部62によって相互に連結されている。この連結部62は、目地の奥行方向に隣り合う弾性止水部52、54を補強する機能を有している。
【0041】
上記弾性止水部52、54における連結部62よりも目地幅方向外側に位置する部分は、リップ部52A、54Aとされている。定型シール44が縦目地20に装着された状態では、リップ部52A、54Aは屋外側へ弾性変形した状態で外壁材34の両側面34Aに圧接されている。
【0042】
以上説明した定型シール44は、押出し成形によって長尺状に形成されている。また、定型シール44は、弾性材料(本実施形態では、EPDM等のゴム)によって構成されている。従って、化粧板部48と底板部50とは同一の材質で構成されている。但し、化粧板部48側に設けられた第1仕上げ面56及び底板部50側に設けられた第2仕上げ面58は、化粧板部48及び底板部50と同じ材料を使うものの、組成を仕上げ面用の組成に変えたものを使用している。また、組成を変えるだけでなく、仕上げ面用に色を練り込んだものを使用している。
【0043】
この点につき補足すると、本発明における「仕上げ面」は、定型シールの仕上げ面以外の部分(のゴム)と組成も含めて全く同一材質で構成された何ら仕上げ処理が施されていないものは含まない。その一方で、仕上げ面としての性能を具備する構成であれば、前記本実施形態の構成以外のものも含まれる。例えば、仕上げ面用の色の練り込みはしない代わりに意匠性を上げるために仕上げ面に意匠をプリントしたもの、仕上げ面に定型シールの仕上げ面以外の部分(のゴム)とは異なる組成のゴムを使用しかつ色付けしないもの等の態様は、本発明における「仕上げ面」に含まれる。
【0044】
(作用・効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0045】
新築時には、図3に示されるように、通常通り化粧板部48が屋外側となるように定型シール44が縦目地20に装着される。装着後の状態では、縦目地20の屋内側には底板部50が配置され、縦目地20の屋外側には化粧板部48が配置される。このため、化粧板部48側の第1仕上げ面56が意匠面としての機能を果たす。
【0046】
一方、数年後にメンテナンスやリフォーム等をする際に第1仕上げ面56が経年劣化していた場合には、図7に示されるように、一旦定型シール44を縦目地20から取外し、表裏を反転させて、劣化した第1仕上げ面56が縦目地20の屋内側に配置されるように定型シール44を装着し直す。なお、底板部50の断面形状は化粧板部48の断面形状と同一とされているので、表裏を反転させて装着させると、底板部50の両端部が外壁材34の両端面34Aに係止される。これにより、屋外側には底板部50側の表面が現れるが、この表面は第2仕上げ面58とされているので、意匠面としての機能を果たす。すなわち、本実施形態に係る定型シール44は表裏反転されて再度利用されて始めて寿命をまっとうする。
【0047】
このように本実施形態に係る定型シール44は、最初に装着したときの第1仕上げ面56が経年劣化しても反転させて第2仕上げ面58を使用することができるので、第1仕上げ面56が経年劣化した時点で部品交換する必要がない。従って、メンテナンス時等のユーザー負担の軽減及び廃棄物の削減を図ることができる。
【0048】
また、本実施形態に係る定型シール44では、化粧板部48と底板部50とが略同一の断面形状に形成されているので、表裏を反転させたときに全く同一形状の底板部50及び第2仕上げ面58が現れる。しかも、最初に装着する際に表裏を確認する必要がない。従って、縦目地20に装着する際に表裏の確認の手間を省ける(但し、第1仕上げ面56と第2仕上げ面58とで異なる意匠を設定している場合は、定型シール44を縦目地20に装着する際に表裏を確認する必要がある。)。
【0049】
さらに、本実施形態に係る定型シール44では、化粧板部48と底板部50とが同一の材質で構成されているため、化粧板部48と底板部50とで略同一の耐用年数使用可能である。従って、比較的長い耐用年数(従来の2倍)を確保することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る定型シール44では、定型シール44を縦目地20に装着した状態では、芯材46の両側部に一体に形成された弾性止水部52、54の先端部のシール部52A、54Aが縦目地20の両側面34Aに密着される。これにより、止水性が確保される。しかも、弾性止水部52、54は自然状態で芯材46の両側方へ平面状に延出されているので、表裏を反転させても止水性は変わらない。よって、表裏を反転させても反転させる前と同等の止水性を確保することができる。
【0051】
さらに、本実施形態に係る定型シール44では、弾性止水部52、54の先端部のシール部52A、54Aが弾性止水部52、54の板厚方向へ弾性変形可能とされているので、弾性復元力によるシール圧が積極的に得られると共に、定型シール44を縦目地20に装着する際にリップ部52A、54Aが弾性変形するので装着し易い。その結果、本実施形態によれば、装着時のシール圧の向上と表裏反転時における縦目地20への装着容易性を両立させることができる。
【0052】
なお、上記実施形態では、図4に示されるように、間柱26の外側フランジ32Bに止水シート42を貼り付けた上で縦目地20に定型シール44を装着させる構成を採ったが、これに限らず、図8に示されるように、間柱68を構成する2本の柱材66の間に所定の隙間68が形成された外壁フレーム70を用いた外壁パネル72の対して本実施形態を適用してもよい。この実施形態では、2本の柱材66間の隙間68にドッキングガスケット74が弾性変形した状態で装着されている。すなわち、上記実施形態では、止水シート42が二次シールとして設けられていたが、この実施形態では、ドッキングガスケット74が二次シールとして設けられている。
【0053】
〔第2実施形態〕
次に、図9〜図12を用いて、本発明に係る定型シールの第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0054】
図9〜図12に示されるように、この第2実施形態に係る定型シール100は、弾性止水部52、54同士を連結していた連結部62を設けず、弾性止水部52、54の先端部近傍に第1弾性突起部102、第1弾性突起部104を設けた点に特徴がある。
【0055】
具体的に説明すると、屋外側に配置される弾性止水部52の先端部近傍の屋外側の面には、突起状の第1弾性突起部102が化粧板部48側へ向けて立設されている。従って、弾性止水部52の先端部には、シール部52Aと第1弾性突起部102とが一体に形成された構成になっている。自然状態において、第1弾性突起部102は、芯材46に対して平行に延出され、第1仕上げ面56の両端部の近傍に位置されている。
【0056】
同様に、屋内側に配置される弾性止水部54の先端部近傍の屋内側の面には、突起状の第1弾性突起部104が底板部50側へ向けて立設されている。従って、弾性止水部54の先端部には、シール部54Aと第1弾性突起部104とが一体に形成された構成になっている。自然状態において、第1弾性突起部104は、芯材46に対して平行に延出され、第2仕上げ面58の両端部の近傍に位置されている。
【0057】
(作用・効果)
図11に示される状態が、第1仕上げ面56が屋外側に配置されるようにした最初の使用態様である。この状態のときには、左右二対の弾性止水部52、54のシール部52A、54Aは屋外側へ弾性変形した状態で、外壁材34の両側面34Aに圧接されている。また、屋内側へ延出された第1弾性突起部104は、その先端部が外壁材34の両側面34Aに密着されている。一方、屋外側へ延出された第1弾性突起部102は、外壁材34の両側面34Aから離間する方向へ変位して非接触となっている。従って、この第2実施形態に係る定型シール100の場合、定型シール100を縦目地20に装着した状態では、外壁材34の端面34Aに合計4箇所(弾性止水部52、54の先端部のシール部52A、54Aの二箇所と第1弾性突起部104の一箇所と第2仕上げ面58の幅方向の端部の一箇所)で止水効果が得られる。
【0058】
図11に示される状態から、図12に示されるように、メンテナンス時等において定型シール100を表裏反転させると、第2仕上げ面58が屋外側に配置される。この状態のときには、左右二対の弾性止水部52、54のシール部52A、54Aは屋外側へ弾性変形した状態で、外壁材34の両側面34Aに圧接されている。但し、図10に示される状態のときと比べると、弾性止水部52、54の弾性変形方向は反対方向になっている。
【0059】
さらに、屋内側へ延出された第1弾性突起部102は、その先端部が外壁材34の両側面34Aに密着されている。一方、屋外側へ延出された第1弾性突起部104は、外壁材34の両側面34Aから離間する方向へ変位して非接触となっている。従って、この第2実施形態に係る定型シール100の場合、定型シール100を縦目地20に装着した状態では、外壁材34の端面34Aに合計4箇所(弾性止水部52、54の先端部のシール部52A、54Aの二箇所と第1弾性突起部102の一箇所と第1仕上げ面56の幅方向の端部の一箇所)で止水効果が得られる。
【0060】
このように本実施形態に係る定型シール100では、左右二対の弾性止水部52、54に第1弾性突起部102及び第1弾性突起部104を設けたので、定型シール100を縦目地20に装着したときの止水効果が高められる。従って、弾性止水部52、54のリップ部52A、54Aに癖がついたときでも、第1弾性突起部102、第2弾性突起部104で止水性を確保することができる。
【0061】
〔上記実施形態の補足説明〕
(1)上述した実施形態では、化粧板部48、第1仕上げ面56と底板部50、第2仕上げ面58とを同一断面形状に形成したが、請求項1記載の発明には、両者の断面形状が異なるものも含まれる。例えば、化粧板部48と第1仕上げ面56はそのまま採用し、反対側となる底板部と第2仕上げ部については、緩やかな湾曲形状ではなく、等脚台形状に形成するようにしてもよい。また、別の例として、化粧板部48、第1仕上げ面56、底板部50は第1実施形態の構成と同一にし、第2仕上げ面58の表面に複数本のV溝や凹溝から成るストライプ形状を施してもよい。この場合、第1仕上げ面56と第2仕上げ面58とは同一断面形状とはいえない。しかし、このような構成でも反転可能であり、請求項1記載の発明には含まれる。なお、ストライプ形状以外にも、片側の仕上げ面を波形断面形状にするなどしても差し支えない。
【0062】
(2)上述した実施形態では、定型シール44に二組の弾性止水部52、54を設定したが、これに限らず、一組の弾性止水部を設定するようにしてもよいし、三組以上の弾性止水部を設定してもよい。なお、一組の弾性止水部を設定する場合には、その表裏面の両方に第1弾性突起部、第2弾性突起部が形成されることになる。
【符号の説明】
【0063】
10 ユニット建物(建物)
20 縦目地
34 外壁材
44 定型シール
46 芯材
48 化粧板部
50 底板部
52 弾性止水部
52A リップ部
54 弾性止水部
54A リップ部
56 第1仕上げ面
58 第2仕上げ面
100 定型シール
102 第1弾性突起部
104 第2弾性突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地に沿って装着される芯材と、
この芯材の屋外側端部に一体に設けられると共に目地幅方向に張出され、かつ表面側に仕上げ面が設けられた化粧板部と、
芯材の屋内側端部に一体に設けられると共に目地幅方向に張出され、かつ表面側に仕上げ面が設けられた底板部と、
を有する定型シール。
【請求項2】
前記化粧板部と前記底板部とは略同一の断面形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の定型シール。
【請求項3】
前記化粧板部と前記底板部とは同一の材質で構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の定型シール。
【請求項4】
前記芯材の両側部には、自然状態で芯材の両側方へ平面状に延出されると共に、目地に装着された状態では目地の両側面に先端部が密着される弾性止水部が一体に形成されている、
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の定型シール。
【請求項5】
前記芯材を挟んで左右一対の前記弾性止水部を一組とした場合に、少なくとも一組の弾性止水部の先端部は弾性止水部の板厚方向へ弾性変形可能なリップ部として構成されている、
ことを特徴とする請求項4記載の定型シール。
【請求項6】
一組又は複数組の前記シール部の屋外側側面には屋外側へ突出される第1弾性突起部が形成されていると共に、
一組又は複数組の前記シール部の屋内側側面には屋内側へ突出される第2弾性突起部が形成されており、
化粧板部が屋外側に配置されるように芯材が目地に装着された場合には、第2弾性突起部の先端部が目地の両側面に密着されると共に、第1弾性突起部の先端部は目地の両側面に対して非接触状態で保持され、
底板部が屋外側に配置されるように芯材が目地に装着された場合には、第1弾性突起部の先端部が目地の両側面に密着されると共に、第2弾性突起部の先端部は目地の両側面に対して非接触状態で保持される、
ことを特徴とする請求項5記載の定型シール。
【請求項7】
縦目地に請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の定型シールが屋外側から装着されている、
ことを特徴とする建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−209646(P2010−209646A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59794(P2009−59794)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】