説明

定着方法

【課題】画像に高い光沢度とその均一性を付与し、画像上の色のくすみや静電的な色ずれ、静電オフセットを防ぐ定着方法を提供する。
【解決手段】ベルト1を張架して駆動回転し、トナー画像を形成した記録媒体6を該ベルトに密着保持させながら加熱加圧した後、該記録媒体を該ベルトに密着保持させたまま冷却することにより、記録媒体上のトナー画像を定着させる定着方法において、該ベルトの厚さ(T)(μm)が50≦T≦130であり、前記トナー像は、有色トナーと無色トナーにより形成し、該無色トナー成型物の彩度(C*)及び明度(L*)が、0.0≦(C*)≦15.0 88.0≦(L*)≦100.0であり、該有色トナーの貯蔵弾性率と該無色トナーの貯蔵弾性率とが特定の関係を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真法を用いる定着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数色の有色トナーを被転写体上に転写、定着させて多色画像を形成するカラーコピーでは、更なる高画質化追求の為、例えば特許文献1乃至6のような透明トナーあるいは無色トナーを使用する多色画像形成方法が記載されている。これらの方法は画像の光沢度を均一にして高画質画像を形成することができる。しかし写真画像のように多量のトナーを使用し、さらに他色のトナーを使用するといった画像形成においては定着性に大きな負荷を掛けることになる。例えば、特許文献1では、十分な画像の光沢度(グロス)が得られなかったり、定着オイルのムラが発生し易い。また、画像排出時の温度が高温であるため、冷却された際に画像同士が密着する排紙接着が発生するため、改善する必要があった。特許文献2では、定着起因の色ずれやオフセットが発生しやすく、排紙接着も発生するため、改善する必要があった。
【0003】
さらに、特許文献3乃至6では、透明トナーの現像方法及び定着方法が開示されている。この方法では、透明トナーが溶融した状態で画像形成されるため、画像の光沢ムラが生じやすく、透明トナーの画像形成方法や透明トナーの特性を改善する必要があった。
【0004】
【特許文献1】特開2001−175022号公報
【特許文献2】特開2006−209090号公報
【特許文献3】特開2002−341619号公報
【特許文献4】特開2003−5489号公報
【特許文献5】特開2005−258043号公報
【特許文献6】特開2005−266322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決し得る画像形成方法を提供することを課題とする。
【0006】
即ち本発明は、少なくとも着色剤を含有する有色トナーと無色トナーを使用し、あらゆる種類の用紙を高光沢画像で連続出力させることを要求される複写機又はプリンターの定着方法に関する。画像に高い光沢度とその均一性を付与し、画像上の色のくすみや静電的な色ずれ、静電オフセットを防ぐ定着方法を提供することを目的とする。
【0007】
また本発明は定着時の紙のカールや飛び散り、排紙接着の発生を抑えた定着方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、以下により達成される。すなわち、
(1)有端または無端のベルトを張架して駆動回転し、トナー画像を形成した記録媒体を該ベルトに密着保持させながら加熱加圧した後、該記録媒体を該ベルトに密着保持させたまま冷却することにより、記録媒体上のトナー画像を定着させる定着方法において、
該ベルトの厚さ(T)(μm)が、50≦T≦130(μm)であり、
前記トナー像は、少なくとも着色剤、結着樹脂及び離型剤とを含有する有色トナーと、
少なくとも結着樹脂及び離型剤とを含有した無色トナーにより形成し、
該無色トナー成型物の彩度(C*)及び明度(L*)が、
0.0≦(C*)≦15.0
88.0≦(L*)≦100.0
であり、
70℃における該有色トナーの貯蔵弾性率G’平均値G’(T70)、170℃における該有色トナーの貯蔵弾性率G’平均値G’(T170)、70℃における該無色トナーの貯蔵弾性率G’G’(C70)、170℃における該無色トナーの貯蔵弾性率G’G’(C170)が、
0.6<G’(T70)/G’(C70)<3.0 ・・・式(1)
1.0<G’(T170)/G’(C170)<100.0 ・・・式(2)
1.0≦G’(C170)≦500.0 ・・・式(3)
であることを特徴とする定着方法に関する。
【0009】
(2)該ベルトの平均表面粗さ(Ra)(μm)が、0.01≦(Ra)≦2.00(μm)であることを特徴とする定着方法に関する。
【0010】
(3)該ベルトは、少なくとも離型層を有し、該離型層の厚さ(D)(μm)が、5≦(D)≦30(μm)であることを特徴とする定着方法に関する。
【0011】
(4)該離型層が、少なくともシリコーン樹脂またはフッ素樹脂を有することを特徴とする定着方法に関する。
【0012】
(5)該無色トナーの示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30乃至200℃の範囲に1個または複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が60乃至105℃の範囲にあることを特徴とする定着方法に関する。
【0013】
(6)該有色トナーが、少なくともイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックから選ばれる着色剤を有する一種類以上のトナーであって、170℃における該無色トナーの貯蔵弾性率G’[G’(C170)]と、該有色トナーの170℃における貯蔵弾性率G’[G’(Ye170)、G’(Ma170)、G’(Cy170)、G’(Bk170)]が、
G’(C170)<G’(Ye170)
G’(C170)<G’(Ma170)
G’(C170)<G’(Cy170)
G’(C170)<G’(Bk170)
であることを特徴とする定着方法。に関する。
【0014】
(7)該離型剤は、炭化水素系ワックスを含有していることを特徴とする定着方法に関する。
【0015】
(8)該離型剤は、少なくともスチレン系モノマーで処理したワックスを含有していることを特徴とする定着方法に関する。
【0016】
(9)該記録媒体上の無色トナー像は、該ベルトの最近接層に形成されることを特徴とする定着方法に関する。
【0017】
(10)該記録媒体上のトナー画像は、第一の加熱加圧手段により、トナー画像が記録媒体に定着されている画像を用いることを特徴とする定着方法に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の定着方法では、あらゆる表面性の用紙を使用しても、高光沢な画像を連続出力が可能であり、画像の光沢ムラ、トナーの飛び散りを防ぐことが可能である。
【0019】
また本発明の定着方法では画像の最表層に無色トナー層を形成しても、色のくすみのない画像を出力できる。
【0020】
さらに本発明の定着方法では、排紙接着の発生低減に優れ、再生紙を使用してもカールを抑えた画像を出力できる。
【0021】
加えて、本発明の定着方法では、定着部材のクリーニング性に優れ、高光沢画像を安定的に出力できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
一般的にフルカラー用電子写真システムでは、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色トナー(以下この4色を総称して有色トナーとする)を用いて画像を形成させている。近年電子写真でも銀塩写真のような画像の均一光沢性が望まれるようになり、非画像部あるいは画像全面に無色(透明)トナー層を形成して、定着によりトナー層を均一に溶融させるといった手法が行われている。
【0023】
本発明者らも、銀塩写真のような画像の均一光沢性を達成させる為、有色トナーの表層に無色トナーを表層に形成することを試みた。
【0024】
本発明の定着方法は、有端または無端のベルトを張架して駆動回転し、トナー画像を形成した記録媒体を該ベルトに密着保持させながら加熱加圧する。その後、該記録媒体を該ベルトに密着保持させたまま冷却することにより、記録媒体上のトナー画像を定着させる定着方法であることが、本定着方法の特徴である。該定着方法は、定着画像への光沢付与、排紙接着発生低減に関し、従来の定着方法よりも大変有効である。そして、本発明の特徴的な定着部材やトナーを用いた時、該定着方法のポテンシャルを最大限に活かすことができることを見出した。
【0025】
本発明の定着方法に用いるベルトの厚さ(T)(μm)は、50≦T≦130(μm)であることが特徴である。ベルトの厚さが50μmより小さい場合には、本定着方法における加熱、冷却が十分に行われないため、画像光沢や有色トナーの発色が不十分となる。また、ベルトの厚さが130μmより大きい場合には、本定着方法におけるベルトの安定した駆動や記録媒体との密着性が困難なため、画像光沢の均一性や有色トナーの細線再現性が不十分となる。
【0026】
また、本発明に用いる無色トナーのトナー成型物の彩度(C*)及び明度(L*)は、
0.0≦(C*)≦15.0
88.0≦(L*)≦100.0
である。
【0027】
無色トナー成型物の彩度(C*)及び明度(L*)は、トナー構成材料やトナー製造工程の熱履歴などが影響し、無色トナー成果物の定着画像色度に影響する重要な物性値である。
【0028】
無色トナーのような粉体は微粒子である程、白色傾向示すためトナー成型物の色味規定の方が、トナー粉体の色味規定よりも検出感度が高く好ましい。本発明において、無色トナー成型物の彩度(C*)及び明度(L*)が、前記範囲を外れると、無色トナー成果物の定着画像色度に影響がでるため、好ましくない。
【0029】
さらに、本発明に用いる有色トナー、無色トナーは、70℃における該有色トナーの貯蔵弾性率G’平均値G’(T70)、170℃における該有色トナーの貯蔵弾性率G’平均値G’(T170)、70℃における該無色トナーの貯蔵弾性率G’G’(C70)、170℃における該無色トナーの貯蔵弾性率G’G’(C170)が、
0.6<G’(T70)/G’(C70)<3.0 ・・・式(1)
1.0<G’(T170)/G’(C170)<100.0 ・・・式(2)
1.0≦G’(C170)≦500.0 ・・・式(3)
であることも特徴の一つである。
【0030】
本発明において、G’(A170)/G’(C170)は、無色トナーが有色トナーよりも早く瞬時に溶融し、無色トナー層を形成することを意味する。本発明の範囲にある場合には、平滑性の高い定着部材表面への追従性が高いため、本定着方法によって、グロス均一性の高い、高光沢の無色トナー画像成果物を得る。また、無色トナーが先に溶融し有色トナーに密着するため、有色トナーの定着時の静電オフセット防止、飛び散り防止の効果を得ることができる。
【0031】
また、本発明において、G’(A70)/G’(C70)は、本定着方式の冷却工程、つまり、トナー画像固定時は、無色トナーと有彩色トナーと同等特性であることを意味する。本発明の範囲にある場合には、冷却時にコールドオフセット、画像にじみ等の画像欠陥が発生せず、定着画像と定着部材が良好な分離性を示すため、好ましい。
【0032】
また、本発明において、G’(C170)は、無色トナーの溶融し易いこと、無色トナー層形成のし易いことを意味する。本発明の範囲にある場合には、良好な無色トナー層を形成するため、有色トナーの細線再現性や発色性の発現に大きく寄与するため、好ましい。
【0033】
さらには、本発明において、ベルトの平均表面粗さ(Ra)(μm)が、0.01≦(Ra)≦2.00(μm)であることが好ましい。本発明において、ベルトの平均表面粗さ(Ra)が前記範囲である場合、画像に対する光沢の付与性や均一性の高さに効果的であるため好ましい。
【0034】
加えて、本発明において、ベルトの離型層の厚さ(D)(μm)が、5≦(D)≦30(μm)であることが好ましい。本発明において、ベルトの離型層の厚さが、前記範囲である場合、定着画像と定着部材の離型性付与に効果的である。
【0035】
そして、本発明において、離型層が、少なくともシリコーン樹脂またはフッ素樹脂を有することが好ましい。定着画像と定着部材の離型性を安定的に得るためには、好ましい。
【0036】
また、本発明において、無色トナーの示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30乃至200℃の範囲に1個または複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が60乃至105℃の範囲にあることが好ましい。本発明において、定着画像の光沢度や定着画像と定着部材の離型性を十分に得るためには、前記特徴であることが好ましい。
【0037】
そして、本発明において、該有色トナーは、少なくともイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックから選ばれる着色剤を有する一種類以上のトナーであって、170℃における該無色トナーの貯蔵弾性率G’G’(C170)と、該有色トナーの170℃における貯蔵弾性率G’G’(Ye170)、G’(Ma170)、G’(Cy170)、G’(Bk170)が、
G’(C170)<G’(Ye170)
G’(C170)<G’(Ma170)
G’(C170)<G’(Cy170)
G’(C170)<G’(Bk170)
であることが好ましい。
【0038】
これは、無色トナーが有色トナーよりも早く瞬時に溶融し、無色トナー層を形成することを意味する。本定着方法によって、グロス均一性に優れた、高光沢の無色トナー画像成果物を得る。また、無色トナーが先に溶融し有色トナーに密着するため、有色トナーの定着時の静電オフセット防止、飛び散り防止の高い効果を得ることができる。
【0039】
本発明において、離型剤は、炭化水素系ワックスを含有していることが、より良好な定着性を得るという点で好ましい。
【0040】
また、本発明において、離型剤は、少なくともスチレン系モノマーで処理したワックスを含有していることが、トナー中の離型剤の高い分散性、それによる高い離型効果と定着画像の光沢均一性が得られる点で好ましい。
【0041】
さらに、本発明において、該記録媒体上の無色トナー像は、該ベルトの最近接層に形成されることが好ましい。これは、有色トナー画像の画質や無色トナーによる画像光沢付与や均一性が得られるという点で好ましい。
【0042】
そして、本発明において、該記録媒体上のトナー画像は、第一の加熱加圧手段により、トナー画像が記録媒体に定着されている画像を用いることが好ましい。これは、無色トナーによる画像光沢付与や均一性を十分に得られるという点で好ましい。
【0043】
本発明で使用される離型剤成分は、特に限定されないが、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量オレフィン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;ベヘン酸ベヘニルやステアリン酸ベヘニルなどの高級脂肪酸と高級アルコールとの合成反応物であるエステルワックス;および、脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
【0044】
さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。中でも好ましいものは、前述の脂肪族炭化水素系ワックスである。
【0045】
本発明のトナーに含有される結着樹脂は、トナーに用いられる一般的なものを用いることができる。スチレン−(メタ)アクリル共重合体に代表されるビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ビニル系共重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合されたハイブリッド樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体等様々な樹脂が使用できる。
【0046】
本発明のトナーに含有される結着樹脂として、ポリエステル樹脂やポリエステルユニットを有するハイブリッド樹脂を用いることができる。その場合、ポリエステル樹脂やハイブリッド樹脂のポリエステルユニットを生成するためのポリエステル系モノマーとして、多価のアルコールと多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、または多価カルボン酸エステル等が原料モノマーとして使用できる。具体的には、例えば2価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0047】
3価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0048】
2価カルボン酸成分としては、例えばフタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類またはその無水物;コハク酸、ドデセニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸およびアゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類またはその無水物;炭素数6乃至12のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸およびシトラコン酸などの不飽和ジカルボン酸類またはその無水物;が挙げられる。
【0049】
また、3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(別名トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸および、これらの無水物やエステル化合物が挙げられる。
【0050】
なお、上記の中でも、特に、下記一般式(1)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、2価以上のカルボン酸またはその酸無水物、またはその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が特に好ましい。この組成としたポリエステル樹脂は、良好な帯電特性を有する。
【0051】
【化1】

(式中、Rはエチレン基又はプロピレン基を示し、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、かつx+yの平均値は2〜10である。)
【0052】
本発明のトナーに含有される結着樹脂として、ビニル系共重合体やビニル系共重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を用いる場合、ビニル系共重合体やハイブリッド樹脂のビニル系共重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーとして、次のようなものを用いることができる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンなどのスチレンおよびその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0053】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸などの不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物などの不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルなどの不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸などのα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物などのα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物およびこれらのモノエステルなどのカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0054】
本発明のトナーに含有させる結着樹脂として、ビニル系共重合体やビニル系共重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を用いる場合には、これらの樹脂はビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋されたものであってもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、以下のものが挙げられる。芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートおよび以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートおよび以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基およびエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレートおよび以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。その他、多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレートおよび以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0055】
ビニル系共重合体やビニル系共重合体ユニットを有するハイブリッド樹脂を製造する場合に用いられるラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
【0056】
本発明の有色トナーに用いられる着色剤としては以下のものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
【0057】
黒色着色剤としては、カーボンブラック;磁性体;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を用いて黒色に調色したものが挙げられる。
【0058】
マゼンタトナー用着色剤:
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207.209、238;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
【0059】
また、マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料。
【0060】
シアントナー用着色剤:
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1乃至5個置換した銅フタロシアニン顔料。
【0061】
イエロートナー用着色剤:
イエロー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
【0062】
また、イエロー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162がある。
【0063】
上記着色剤の使用量は、結着樹脂100重量部に対して好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上20質量部以下であり、最も好ましくは3質量部以上15質量部以下である。
【0064】
本発明のトナーには、荷電制御剤を含有させることができる。使用できる荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。具体的な化合物としては、ネガ系荷電制御剤としてサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が挙げられる。ポジ系荷電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が挙げられる。
【0065】
上記のうち、特に好ましく用いられる荷電制御剤は、芳香族オキシカルボン酸及び芳香族アルコキシカルボン酸から選択される芳香族カルボン酸誘導体、該芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物であり、その金属が2価以上であることが好ましい。芳香族カルボン酸の金属化合物の製造例を示す。例えば、2価以上の金属イオンが溶解している水溶液を、芳香族カルボン酸を溶解した水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、加熱撹拌する。次に水溶液のpHを調整し、常温まで冷却した後、ろ過水洗することにより合成することができるが、上記の合成方法だけに限定されるものではない。2価の金属としてMg2+、Ca2+、Sr2+、Pb2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+が挙げられる。これらのうち、Zn2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+が好ましい。3価以上の金属としてはAl3+、Cr3+、Fe3+、Ni3+、Zr4+が挙げられる。これら3価以上の金属の中で好ましいのはAl3+、Cr3+、Zr4+であり、特に好ましいのはAl3+、Zr4+である。また、芳香族カルボン酸誘導体としては、サリチル酸誘導体が好ましい。該荷電制御剤は、結着樹脂100質量部に対し0.1乃至10質量部使用することが好ましい。この範囲の含有量とすると、トナーの帯電レベルを適度に調整できるため現像時に必要な帯電量が得られやすくなる。また、トナー製造工程の一部である混練時に、結着樹脂中に存在するカルボキシル基と前記した芳香族カルボン酸の金属化合物の中心金属との金属架橋反応を適度に起こすことができる。それによって、トナーの粘弾性を調整することも可能であり、トナーの熱溶融特性を改良することができる。また、前述したようにトナー内部よりもトナー粒子表面の荷電制御剤濃度を高くし、かつ、トナー内部に存在する荷電制御剤よりも帯電性の強い荷電制御剤をトナー粒子表面に存在させることにより、帯電特性を制御しやすくなり好ましい。
【0066】
本発明のトナーには、流動性向上剤が外部添加(以下、外添という)されていることが好ましい。ここで、流動性向上剤とは、トナー粒子に外添することにより、流動性が増加し得る機能を有するものであり、画質向上の観点から添加される。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末などのフッ素系樹脂粉末;湿式製法によるシリカ微粉末、乾式製法によるシリカ微粉末などのシリカ微粉末が挙げられる。そして、それらシリカ微粉末をシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルなどの処理剤により表面処理を施した処理シリカ微粉末;酸化チタン微粉末;アルミナ微粉末、処理酸化チタン微粉末、処理酸化アルミナ微粉末が用いられる。このような流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。
【0067】
流動性向上剤は、トナー粒子100質量部に対して0.01乃至10質量部、好ましくは0.05乃至5質量部使用するのが良い。
【0068】
本発明のトナーは、重量平均粒径が4乃至9μmであることが好ましい。このようにトナーの重量平均粒径を小粒径化することにより、画像の輪郭部分、特に文字画像やラインパターンの現像での再現性が良好なものとなる。重量平均粒径が4μm未満であると、例えば感光ドラム表面への付着力が高くなり、転写不良に基づく画像の不均一ムラの原因となりやすい。また、トナー単位質量あたりの帯電量が高くなり、例えば低温低湿環境下において画像濃度が低下してしまう場合がある。さらに、流動性の低下や部材への付着性の増加により、例えばキャリアとの摩擦帯電がスムーズに行われにくく、充分に帯電し得ないトナーが増大し、非画像部のカブリが目立つ様になる。また、重量平均粒径が9μmを超えると、高画質化に寄与し得る微粒子が少ないため、トナーの流動性に優れるというメリットがあるものの、感光ドラム上の微細な静電荷像上に忠実に付着しづらく、ハーフトーン部再現性が低下し、階調性も低下する場合がある。また、感光体ドラム表面等の部材への融着が起きやすい。さらに、4μm以下の粒径を有するトナーの含有率が3乃至40個数%であり、9μm以上の粒径を有するトナーの含有率が10体積%以下であると、現像性、転写性のバランスの取れたトナーが得られやすく、特に好ましい。
【0069】
次に本発明のトナーを二成分系現像方法で使用される場合の補給用現像剤及び二成分現像剤に用いられるキャリアについて説明する。
【0070】
磁性キャリアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライト等が使用できる。
【0071】
上記磁性キャリア粒子の表面を樹脂で被覆した被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法において特に好ましい。被覆方法としては、樹脂の如き被覆材を溶剤中に溶解又は懸濁させて調製した塗布液を磁性キャリアコア粒子表面に付着させる方法、磁性キャリアコア粒子と被覆材とを粉体で混合する方法等、従来公知の方法が適用できる。
【0072】
磁性キャリアコア粒子表面への被覆材料としては、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が挙げられる。これらは、単独或いは複数で用いる。上記被覆材料の処理量は、キャリアコア粒子に対し0.1乃至30質量%(好ましくは0.5乃至20質量%)が好ましい。これらキャリアの個数平均粒径は10乃至100μm、好ましくは20乃至70μmを有することが好ましい。
【0073】
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2乃至15質量%、好ましくは4乃至13質量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
【0074】
本発明のトナーの製造方法としては様々な方法が適用できる。
【0075】
以下、本発明における各物性の測定方法について説明する。
【0076】
<トナーの貯蔵弾性率G’の測定方法>
トナーの貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”は、以下に示す方法及び条件により測定する。
【0077】
測定装置としては、粘弾性測定装置(商品名:レオメーター ARES、TA INSTRUMENTS社製)を用いる。
【0078】
測定試料は、トナーを直径7.9mm、厚さ2.0±0.3mmの円板状の試料に25℃で錠剤成型器で加圧成型したものを用い、パラレルプレートに装着し、室温(25℃)から120℃に15分間で昇温して、円板の形を整えた後、粘弾性の測定開始温度まで冷却し、測定を開始する。特に、初期のノーマルフォースが0になるようにサンプルをセットすることが、重要であり、以下に述べるように、その後の測定においては、自動テンション調整(Auto Tension Adjustment ON)にすることで、ノーマルフォースの影響をキャンセルできる。
【0079】
測定は、以下の条件で行う。
【0080】
1.直径7.9mmのパラレルプレートを用いる。
【0081】
2.周波数(Frequency)は1.0Hzとする。
【0082】
3.印加歪初期値(Strain)を0.1%に設定する。
【0083】
4.30〜200℃の間を、昇温速度(Ramp Rate)2.0℃/minで測定を行う。
【0084】
尚、測定においては、以下の自動調整モードの設定条件で行う。
【0085】
自動歪み調整モード(Auto Strain)で測定を行う。
【0086】
5.最大歪(Max Applied Strain)を20.0%に設定する。
【0087】
6.最大トルク(Max Allowed Torque)200.0g・cmとし、最低トルク(Min Allowed Torque)0.2g・cmと設定する。
【0088】
7.歪み調整(Strain Adjustment)を20.0% of Current Strainと設定する。
【0089】
測定においては、自動テンション調整モード(Auto Tension)を採用する。
【0090】
8.自動テンションディレクション(Auto Tension Direction)をコンプレッション(Compression)と設定する。
【0091】
9.初期スタティックフォース(Initial Static Force)を10.0g、自動テンションセンシティビティ(Auto Tension Sensitivity)を40.0gと設定する。
【0092】
10.自動テンション(Auto Tension)の作動条件は、サンプルモデュラス(Sample Modulus)が1.0×103(Pa)以上である。
【0093】
<重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
【0094】
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
【0095】
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
【0096】
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
【0097】
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
【0098】
具体的な測定法は以下の通りである。
【0099】
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
【0100】
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
【0101】
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
【0102】
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
【0103】
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
【0104】
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
【0105】
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
【0106】
<トナーの最大吸熱ピークのピーク温度の測定>
ワックスおよびトナーの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0107】
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
【0108】
具体的には、トナー約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、本発明のトナーのDSC測定における吸熱曲線の最大吸熱ピークとする。
【0109】
<ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による分子量分布の測定>
トナーのTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
【0110】
まず、室温で24時間かけて、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
【0111】
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
【実施例】
【0112】
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0113】
(結着樹脂1の製造例)
テレフタル酸 27mol%
アジピン酸 15mol%
トリメリット酸 6mol%
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
31mol%
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
23mol%
上記に示す酸成分及びアルコール成分と、エステル化触媒として2−エチルヘキサン酸錫を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着し、窒素雰囲気下にて230℃に昇温して反応を行った。反応終了後、生成物を容器から取り出し、冷却、粉砕し、軟化点140℃の結着樹脂1を得た。(Mn:3800、Mw:450000)
【0114】
<離型剤1の製造例>
・低密度ポリエチレン(DSCによる吸熱ピークが100℃) 30質量部
・スチレン 54質量部
・n−ブチルアクリレート 13質量部
・アクリロニトリル 3質量部
をオートクレーブに仕込み、系内をN2置換後、昇温撹拌しながら180℃に保持した。系内に、2質量%のt−ブチルハイドロパーオキシドのキシレン溶液50質量部を5時間連続的に滴下し、冷却後溶媒を分離除去し、上記低密度ポリエチレンにビニル樹脂成分が反応した重合体Aを得た。重合体Aの分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)5500、数平均分子量(Mn)2800であった。
【0115】
次に、パラフィンワックス(最大吸熱ピークのピーク温度75℃)100質量部に対して上記重合体A30質量部を130℃で20分溶融混合し、冷却、粉砕して離型剤1を得た。
【0116】
上記離型剤1の最大吸熱ピークのピーク温度は75℃であった。
【0117】
<離型剤2の製造例>
スチレンモノマー600gに反応開始剤としてジクミルパーオキサイド100gを添加した後、加熱溶融したパラフィンワックス(最大吸熱ピークのピーク温度75℃)に撹拌しながら滴下し、4時間反応させ、離型剤2を得た。
【0118】
上記離型剤2の最大吸熱ピークのピーク温度は75℃であった。
【0119】
<キャリアの製造例>
個数平均粒径0.30μmのマグネタイト粉と、個数平均粒径0.30μmのヘマタイト粉に対して、それぞれ4.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内にて100℃以上で高速混合撹拌し、それぞれの微粒子を処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液 6質量部
(ホルムアルデヒド40%、メタノール10%、水50%)
・処理したマグネタイト 80質量部
・処理したヘマタイト 4質量部
上記材料と、28%アンモニア水5質量部、水20質量部をフラスコに入れ、撹拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて、生成するフェノール樹脂を硬化させた。その後、硬化したフェノール樹脂を30℃まで冷却し、さらに水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の球状の磁性体含有樹脂キャリアコアを得た。
【0120】
コート材として、メチルメタクリレートとパーフルオロオクチルアクリレートとの共重合体(共重合比(質量%比)8:2、重量平均分子量44,000)を用い、これがコート時に前記磁性体分散樹脂コア100質量部に対して1.2質量部となるように、メチルエチルケトン及びトルエンの混合溶媒を溶媒として10質量%の前記メチルメタクリレートとパーフルオロオクチルアクリレートとの共重合体を含有するキャリアコート溶液を作製した。また、このキャリアコート溶液に、メラミン樹脂(個数平均粒径0.2μm)0.4質量部、カーボンブラック(個数平均粒径30nm、DBP吸油量50ml/100g)0.6質量部をホモジナイザーによりよく混合する。ついで、この混合溶液に前記磁性体分散樹脂コアを投入し、これに剪断応力を連続して加えながら溶媒を70℃で揮発させて、磁性体分散樹脂コア表面へ前記メチルメタクリレートとパーフルオロオクチルアクリレートとの共重合体をコートした。
【0121】
前記メチルメタクリレートとパーフルオロオクチルアクリレートとの共重合体でコートされた樹脂コート磁性体分散樹脂コアを100℃で2時間撹拌することによって熱処理後、冷却、解砕し、200メッシュの篩で分級して、個数平均粒子径37μm、真比重3.7g/cm3、磁化の強さ56.5(Am2/kg)の磁性キャリアを得た。
【0122】
<無色トナー1の製造例>
上記結着樹脂1 100質量部に対して、表1に示す離型剤の種類と部数、荷電制御剤として3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物0.5質量部をヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行った。回転二軸押出機で溶融混練を行った。回転二軸押出機の原料供給口から出口までの長さは1560/926mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転型である。またバレル内の加熱温度は100℃、スクリュー回転速度は300回転/分、混合物の供給速度は10kg/時、平均滞留時間は約14秒であった。尚、回転二軸押出の原料供給口から出口までの長さは1560mmであり、ベント口は真空吸引されている。
【0123】
得られた混練物をスチール製ベルト式圧延機にて挟みながら通過させ、更に冷却ローラにて圧延冷却し、冷却コンベアにて常温まで冷却した。
【0124】
得られた冷却物をハンマーミルで粒径約1乃至2mm程度に粗粉砕した。次いで粗粉砕物をエアージェット方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕した。
【0125】
その後、得られた微粉砕物を表面改質装置を用い、表面改質、分級し、重量平均粒径(D4)が6.0μmの無色トナー粒子が得られた。
【0126】
次に、得られた無色トナー粒子100質量部に、個数平均粒径が20nmであり疎水化処理した0.4質量部のシリカ微粉体、個数平均粒径が40nmであり疎水化処理した0.8質量部の酸化チタン微粉体、及び個数平均粒径が120nmであり疎水化処理した1.0質量部の球状アモルファスシリカ微粉体を外添混合し、無色トナー1を得た。
【0127】
さらに上記磁性キャリアと無色トナー1で二成分系現像剤を作製した。二成分系現像剤は、磁性キャリア92質量%、トナー8質量%で混合した。補給用現像剤は、磁性キャリア7質量%、トナー93質量%で混合した。
【0128】
<無色トナー2乃至14>
また、無色トナー1と同様にして、トナー物性を表1に示す無色トナー2乃至14を製造した。ただし、添加剤を使用する場合には、以下のものを使用した。添加剤Cyとして、C.I.ピグメントブルー15:3を使用した。添加剤Tiとして、個数平均粒径が50nmの疎水化処理した酸化チタン微粉体を使用した。添加剤Yeとして、C.I.ピグメントイエロー74を使用した。
【0129】
[イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックトナーの製造例]
(結着樹脂2の製造例)
テレフタル酸 30mol%
アジピン酸 10mol%
トリメリット酸 8mol%
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
31mol%
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
23mol%
上記に示す酸成分及びアルコール成分と、エステル化触媒として2−エチルヘキサン酸錫を4口フラスコに仕込み、減圧装置、水分離装置、窒素ガス導入装置、温度測定装置及び撹拌装置を装着し、窒素雰囲気下にて240℃に昇温して反応を行った。反応終了後、生成物を容器から取り出し、冷却、粉砕し、軟化点145℃の結着樹脂2を得た(Mn:4200、Mw:490000)。
【0130】
<シアントナーの製造例>
・上記結着樹脂2 100質量部
・離型剤1 5質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
・荷電制御剤3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物
0.2質量部
を用いて、無色トナー1の製造例と同様にして、シアントナーを得た。
【0131】
重量平均粒子径(D4)が6.0μmであり、G’(Cy70)=5.0×107(Pa)、G’(Cy170)=200であった。
【0132】
さらに前記磁性キャリアとシアントナーで二成分系現像剤を作製した。二成分系現像剤は、磁性キャリア92質量%、トナー8質量%で混合した。補給用現像剤は、磁性キャリア7質量%、トナー93質量%で混合した。
【0133】
<イエロートナーの製造例>
・上記結着樹脂2 100質量部
・離型剤1 5質量部
・C.I.ピグメントイエロー74 8質量部
・荷電制御剤3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物
0.5質量部
を用いて、無色トナー1の製造例と同様にして、シアントナーを得た。
【0134】
重量平均粒子径(D4)が6.0μmであり、G’(Ye70)=4.0×107(Pa)、G’(Ye170)=770であった。
【0135】
さらに前記磁性キャリアとイエロートナーで二成分系現像剤を作製した。二成分系現像剤は、磁性キャリア91質量%、トナー9質量%で混合した。補給用現像剤は、磁性キャリア7質量%、トナー93質量%で混合した。
【0136】
<マゼンタトナーの製造例>
・上記結着樹脂2 100質量部
・離型剤1 5質量部
・C.I.ピグメントレッド122 6質量部
・荷電制御剤3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物
0.5質量部
を用いて、無色トナー1の製造例と同様にして、シアントナーを得た。
【0137】
重量平均粒子径(D4)が6.0μmであり、G’(Ma70)=4.0×107(Pa)、G’(Ma170)=950であった。
【0138】
さらに前記磁性キャリアとマゼンタトナーで二成分系現像剤を作製した。二成分系現像剤は、磁性キャリア92質量%、トナー8質量%で混合した。補給用現像剤は、磁性キャリア7質量%、トナー93質量%で混合した。
【0139】
<ブラックトナーの製造例>
・上記結着樹脂2 100質量部
・離型剤1 5質量部
・カーボンブラック(平均一次粒径:60nm) 6質量部
・荷電制御剤3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物
0.5質量部
を用いて、無色トナー1の製造例と同様にして、シアントナーを得た。
【0140】
重量平均粒子径(D4)が6.0μmであり、G’(Bk70)=5.0×107(Pa)、G’(Bk170)=730であった。
【0141】
さらに前記磁性キャリアとブラックトナーで二成分系現像剤を作製した。二成分系現像剤は、磁性キャリア92質量%、トナー8質量%で混合した。補給用現像剤は、磁性キャリア7質量%、トナー93質量%で混合した。
【0142】
<実施例1>
市販のフルカラー複写機 imagePRESS C1(キヤノン株式会社)を下記条件で出力できるように改造した。また、耐久試験は下記条件で実施し、耐久試験5000枚の前後で各種評価を行った。
【0143】
条件:
印刷環境 温度23℃/湿度60RH%(以下「N/N」)
温度30℃/湿度80RH%(以下「H/H」)
温度23℃/湿度5RH%(以下「N/L」)
記録媒体 カラーレーザーコピア光沢厚紙NS−701
(記録媒体光沢度:70.3%、150g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社)
画像形成速度 イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックトナー、及び無色トナーの5色
フルカラーが出力できるように改造した。
(A4サイズ、単色で60枚/分、5色フルカラーで11枚/分)
定着条件 定着温度を170℃に設定し、定着器1〜3が取りつけることができるように、複写機本体の改造を行った。
出力画像 5色ベタ黒:単位面積当たりのトナー載り量を1.5mg/cm2
(各色0.3mg/cm2
【0144】
・定着器1の説明
本発明に用いられる定着装置について説明する。図1に定着装置の概略構成を示す。
【0145】
図1の1は無端ベルトで、加熱ローラ2と冷却ローラ4によって一定張力で張架されている。
【0146】
加熱ローラ2が矢示の方向(時計回り)に回転駆動されると、該加熱ローラ2との摩擦力で無端ベルト1が回転駆動される。3は装置に固定支持されたヒータで加熱ローラ2に内蔵されており、例えば、ハロゲンランプやカートリッジヒータ、シーズヒータ、誘導加熱ヒータ等が使用できる(本例では、ハロゲンランプを採用している)。加熱ローラ2は例えばステンレス、アルミニウム等の金属材料で形成されている(本例では、ステンレスを採用している)。
【0147】
4は冷却ローラで、外部より一定温度の水流を循環する方式を用いている。加熱ローラ2で120〜200℃に加熱された無端ベルト1は冷却ローラ4に接して、20〜30℃まで急冷される。冷却ローラは例えば、ステンレス、アルミニウム等の金属材料で形成されている。
【0148】
加熱ローラ2と冷却ローラ4の外径は、定着装置を小型化するためには50〜150mmの範囲に設計してある(本例では、150mmを採用している)。又、加熱ローラと冷却ローラ4は無端ベルトの寄りを抑制する目的で、ローラ中央部の外径が端部の外径よりも大きくなる、所謂「クラウン形状」にしても構わない。
【0149】
5は加圧ローラで、ニップ当りの総圧20〜150kgで無端ベルト1を介して加熱ローラ2の下面に対して圧接し、加熱ローラ2と連動して駆動回転する。加圧ローラ5は無端ベルト1に対して摩擦従動させるか、或は加熱ローラ軸とギヤ駆動で回転させている。加圧ローラ5はステンレス、アルミニウム等の金属ローラ上にシリコーンゴム、フッ素ゴム等の離型性の良いゴム弾性層を厚み2〜5mmで被覆している。
【0150】
・比較例に用いる定着器2の説明
図2は加熱加圧定着手段の一例を示す概略的説明図である。
【0151】
図2において、定着手段である定着ローラー39は、例えば厚さ5mmのアルミ製の芯金41上に厚さ2mmのRTV(室温加硫型)シリコーンゴム層42、この外側に厚さ50μmのフッ素ゴム層68、この外側にHTV(高温加硫型)シリコーンゴム層43を有し、直径60mmを有している。
【0152】
一方、加圧手段である加圧ローラー40は、例えば厚さ5mmのアルミ芯金44の上に厚さ2mmのRTVシリコーンゴム層45、この外側に厚さ50μmのフッ素ゴム層69、この外側に厚さ230μmのHTVシリコーンゴム層70を有し、直径60mmを有している。
【0153】
上記定着ローラー39には発熱手段であるハロゲンヒータ46が配置され、加圧ローラー40には同じくハロゲンヒータ47が芯金内に配設されて両面からの加熱を行っている。定着ローラー39及び加圧ローラー40に当接されたサーミスタ48a及び48bにより定着ローラー39及び加圧ローラーの温度が検知され、この検知温度に基づき制御装置49a及び49bによりハロゲンヒータ46及び47がそれぞれ制御され、定着ローラー39の温度及び加圧ローラー40の温度が共に一定の温度(例えば、160℃±10℃で保つように制御される。定着ローラー39と加圧ローラー40は加圧機構(図示せず)によって総圧約40kgで加圧されている。
【0154】
図2においてOは離型剤塗布手段たるオイル塗布装置、Cはクリーニング装置、C1は加圧ローラーに付着したオイル及び汚れを除去するためのクリーニングブレードである。オイル塗布装置Oはオイルパン50内のジメチルシリコーンオイル51(例えば、信越化学製KF96 300cSt)を、オイル汲み上げローラー52及びオイル塗布ローラー53を経由してオイル塗布量調節ブレード54でオイル塗布量を規制して定着ローラー39上に塗布させる。
【0155】
クリーニング装置Cはノーメックス(商品名)より成る不織布ウェブ56を押圧ローラー55にて定着ローラー39に押し当ててクリーニングしている。該ウェブ56は巻き取り装置(図示せず)により適宜巻き取られ、定着ローラー39との当接部にトナー等が堆積しないようにされている。
【0156】
・比較例に用いる定着器3の説明
定着器3では、図3に示すように、無端ベルト状の無色トナー像担持体20上に、所定の形状の無色トナー像が形成される。感光体ドラム24は、その表面が帯電装置25によって一様に帯電された後、露光装置26によって無色トナー像に対応した領域が走査露光される。
【0157】
上記感光体ドラム24上に形成された無色トナー像に対応した静電潜像は、無色トナー像現像装置28によって現像され、無色トナー像となる。この感光体ドラム24上に形成された無色トナー像は、転写装置29によって無色トナー像担持体20上に転写される。上記無色トナー像担持体20上に形成された無色トナー像は、カラー画像が形成された基材16と同期するように、所定のタイミングで形成され、加熱及び加圧位置へと移動する。
【0158】
上記無色トナー像担持体20上に形成された無色トナー像は、図3に示すように、カラー画像が形成された基材の表面に、加熱ローラ30及び加圧ローラ31の熱及び圧力によって、加熱及び加圧される。その際、上記基材上に形成されたカラートナーからなるカラー画像は、加熱ローラ30及び加圧ローラ31の熱及び圧力によって、カラートナーが溶融するとともに、当該カラートナーからなるカラー画像の表面に、無色トナーからなる無色トナー像が積層された状態で、溶融被覆される。その後、冷却剥離されて、カラー画像が得られる。
【0159】
・画像光沢度の測定
耐久初期の画像及び耐久後の画像を出力し、画像光沢度(%)を測定した。
【0160】
画像光沢度(グロス)の測定は、ハンディ型グロスメーターPG−1M(日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。測定としては、投光角度、受光角度をそれぞれ60°に合わせた。画像光沢度は、出力した画像上20点の光沢度(グロス)を測定し、その平均値を画像光沢度(%)とした。
【0161】
なお、評価基準は以下のように定めた。
A 記録媒体光沢度との差分が、5%未満
B 記録媒体光沢度との差分が、5%以上10%未満
C 記録媒体光沢度との差分が、10%以上15%未満
D 記録媒体光沢度との差分が、15%以上
【0162】
なお高画質出力用電子写真機器として問題ないレベルは、A乃至Cである。
【0163】
・画像光沢度均一性の評価
画像光沢度(グロス)均一性の評価は、上記画像光沢度測定時の最大値と最小値との差を以下の基準に基づき評価した。
A:3.0%未満 非常に良い。
B:3.0以上5.0未満 ほとんど気にならない。
C:5.0以上7.0%未満 光沢ムラが確認できるが使用上問題ない。
D:7.0以上。問題あり。
【0164】
・無色トナー成型物の彩度(C*)と明度(L*)、及び色味変動の評価
無色トナー成型物の彩度(C*)と明度(L*)の評価は、直径25mmの錠剤成型圧縮機に無色トナー2.5g入れ、約10MPaで、約90秒間圧縮成型し、直径約25mmにペレット化したものを測定用サンプルとした。
【0165】
色味変動は画像面積比率50%、評価紙をカラーレーザーコピアペーパー、評価環境をN/Nに設定した。また出力画像はグリーン(イエロートナー、シアントナー共にトナー載り量0.3mg/cm2)、レッド(マゼンタトナー、シアントナー共にトナー載り量0.3mg/cm2)、及びブルー(マゼンタトナー、シアントナー共にトナー載り量0.3mg/cm2)とした。各色とも載り量0.4mg/cm2の無色トナーを使用した画像と使用しなかった画像を測定用サンプルとし、その色味の差を測定した。
【0166】
彩度(C*)と明度(L*)、及び色味変動差はL*、a*、b*をSpectroScan Transmission(GretagMacbeth社製)を用いて測定することによって求められる。以下に具体的な測定条件の一例を示す。
【0167】
(測定条件)
観測光源:D50
観測視野:2°
濃度:DIN NB
白色基準:Pap
フィルター:なし
一般に、L*、a*、b*とは、色を数値化して表現するのに有用な手段であるL***表色系で用いられている値である。a*及びb*は、両者で色相を表す。色相とは、赤、黄、緑、青、紫等、色あいを尺度化したものである。a*及びb*のそれぞれは、色の方向を示しており、a*は赤−緑方向、b*は黄−青方向を表している。本発明においてC*は以下のように定義した結果は表1に示す。
C*=(a*2+b*21/2
【0168】
また、色味変動の差(ΔC)を以下のように定義した。
ΔC={(無色トナー使用画像のa*−無色トナー未使用画像のa*2
+(無色トナー使用画像のb*−無色トナー未使用画像のb*21/2
【0169】
測定は、画像中の任意の5点を測定してその平均値を出し、上記式によってΔCを求めた。
A:0≦ΔC<1.5(目視では判断できないレベル)
B:1.5≦ΔC<3.0(目視ではかろうじて分かるが、気にならない)
C:3.0≦ΔC<4.5(使用可能レベル)
D:4.5≦ΔC(耐久前後の画像の色味が変化しており、違和感がある)
【0170】
なお製品として問題ないレベルは、A乃至Cである。結果は表2に示す。
【0171】
○定着時の細線再現性の評価
定着時の飛び散りの評価は、図4に示すような縞状の潜像画像を形成し、定着後の画像について評価を行った。図4は、解像度600dpiにおける潜像部幅が4ドット(170μm)であり、非潜像部幅が10ドット(420μm)の潜像画像である。潜像部はイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色トナーを使用し、潜像部及び非潜像部を無色トナーでオーバーコートしている。尚、評価環境はN/L環境、評価紙はカラーレーザーコピアペーパーを使用した。
【0172】
評価基準
A:良好な細線の定着状態を示す。
B:軽微な飛び散りが19本中、2本未満観察される。
C:軽微な飛び散りが19本中、2本以上10本未満観察される。
D:軽微な飛び散りが19本中、11本以上観察される。
あるいは細線の周囲のやや目立つ飛び散りが19本中、2本未満観察される。
E:細線の周囲のやや目立つ飛び散りが19本中、2本以上10本以下観察される。
F:細線の周囲のやや目立つ飛び散りが19本中、11本以上観察される。
G:著しい飛び散りで細線が確認できない線が存在する。
【0173】
なお製品として使用可能レベルは、A乃至Dである。結果は表2に示す。
【0174】
・定着時の排紙接着性の評価
定着時の排紙接着性の評価は、図4に示すような縞状の潜像画像を形成し、定着後の画像について評価を行った。図4は、解像度600dpiにおける潜像部幅が4ドット(170μm)であり、非潜像部幅が10ドット(420μm)の潜像画像である。潜像部はイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色トナーを使用し、潜像部及び非潜像部を無色トナーでオーバーコートしている。尚、評価環境は、H/H環境、評価紙はカラーレーザーコピアペーパーを使用し、連続で1000枚出力する。そして、出力画像を重ねた状態で、N/N環境で1時間静置した後、評価を行う。
【0175】
評価基準
A:排紙接着の発生はなく、良好な状態を示す。
B:画像同士の軽微な接着は見られるが、問題ない。
C:画像同士の接着が、一部で発生する。画像を剥すことが容易でき、画像への影響も見られない。
D:画像同士の接着が、発生する。画像を剥すと、トナー部分の光沢度が変化するため、出力画像として、使用するには好ましくない。
E:画像同士の接着が、顕著に発生する。画像を剥すと、トナー部分が剥れるため、出力画像として、使用できない。
【0176】
なお製品として使用可能レベルは、A乃至Cである。結果は表2に示す。
【0177】
【表1】

【0178】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本発明に係る定着装置の概略構成図である。
【図2】比較例に用いる定着装置の概略構成図である。
【図3】比較例に用いる定着装置の概略構成図である。
【図4】細線再現性の評価用画像の説明図である。
【符号の説明】
【0180】
1 エンドレスベルト
2 加熱ローラ
3 ヒータ
4 冷却ローラ
5 加圧ローラ
6 トナー画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有端または無端のベルトを張架して駆動回転し、トナー画像を形成した記録媒体を該ベルトに密着保持させながら加熱加圧した後、該記録媒体を該ベルトに密着保持させたまま冷却することにより、記録媒体上のトナー画像を定着させる定着方法において、
該ベルトの厚さ(T)(μm)が、50≦T≦130(μm)であり、
前記トナー像は、少なくとも着色剤、結着樹脂及び離型剤とを含有する有色トナーと、
少なくとも結着樹脂及び離型剤とを含有した無色トナーにより形成し、
該無色トナー成型物の彩度(C*)及び明度(L*)が、
0.0≦(C*)≦15.0
88.0≦(L*)≦100.0
であり、
70℃における該有色トナーの貯蔵弾性率G’平均値G’(T70)、170℃における該有色トナーの貯蔵弾性率G’平均値G’(T170)、70℃における該無色トナーの貯蔵弾性率G’G’(C70)、170℃における該無色トナーの貯蔵弾性率G’G’(C170)が、
0.6<G’(T70)/G’(C70)<3.0 ・・・式(1)
1.0<G’(T170)/G’(C170)<100.0 ・・・式(2)
1.0≦G’(C170)≦500.0 ・・・式(3)
であることを特徴とする定着方法。
【請求項2】
該ベルトの平均表面粗さ(Ra)(μm)が、0.01≦(Ra)≦2.00(μm)であることを特徴とする請求項1に記載の定着方法。
【請求項3】
該ベルトは、少なくとも離型層を有し、該離型層の厚さ(D)(μm)が、5≦(D)≦30(μm)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着方法。
【請求項4】
該離型層が、少なくともシリコーン樹脂またはフッ素樹脂を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の定着方法。
【請求項5】
該無色トナーの示差熱分析(DSC)測定における吸熱曲線において、温度30乃至200℃の範囲に1個または複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が60乃至105℃の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の定着方法。
【請求項6】
該有色トナーが、少なくともイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックから選ばれる着色剤を有する一種類以上のトナーであって、170℃における該無色トナーの貯蔵弾性率G’[G’(C170)]と、該有色トナーの170℃における貯蔵弾性率G’[G’(Ye170)、G’(Ma170)、G’(Cy170)、G’(Bk170)]が、
G’(C170)<G’(Ye170)
G’(C170)<G’(Ma170)
G’(C170)<G’(Cy170)
G’(C170)<G’(Bk170)
であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の定着方法。
【請求項7】
該離型剤は、炭化水素系ワックスを含有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の定着方法。
【請求項8】
該離型剤は、少なくともスチレン系モノマーで処理したワックスを含有していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の定着方法。
【請求項9】
該記録媒体上の無色トナー像は、該ベルトの最近接層に形成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の定着方法。
【請求項10】
該記録媒体上のトナー画像は、第一の加熱加圧手段により、トナー画像が記録媒体に定着されている画像を用いることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の定着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−128221(P2010−128221A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303343(P2008−303343)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】