説明

定着装置及び画像形成装置

【課題】用紙の種類により最適の定着条件を設定する。定着ローラと加圧ローラとが過剰な加圧力により永久変形を発生する事を防止し耐久性を向上させる。定着装置の加圧手段を小型化し、定着装置の全高を低減させる。
【解決手段】加熱源により加熱される加熱回転体と、加熱回転体に圧接する加圧回転体とを有し、加熱回転体と加圧回転体により形成される定着ニップ部で未定着像を担持する記録媒体を挟持搬送して定着を行う定着装置において、加圧回転体を回転自在に支持する揺動可能な揺動部材を付勢して加熱回転体に加圧回転体を圧接させるための圧力を付与する加圧手段と、複数のカム面を有するカムと該カムを回転させる駆動手段とによって揺動部材を揺動させ、加圧回転体を加熱回転体に所定の圧力に選択付与する加圧可変手段と、を有する定着装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの機能を備えた複合機等の画像形成装置に装着され、転写材上に形成された未定着トナー像を、加熱回転体と加圧回転体とにより加圧、加熱して画像を定着する定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの機能を有する複合機等の電子写真式の画像形成装置に用いられている定着装置は、所定の温度に維持された定着ローラと、定着ローラに圧接する加圧ローラとによって形成された定着ニップ部により、未定着のトナー像を形成された転写材を挟持搬送しつつ加圧、加熱する加熱ローラ定着方式が、低速機から高速機まで、モノクロ機からカラー機に至るまで、幅広く採用されている。
【0003】
また、定着装置に定着ベルトを用い、定着ベルトにより低熱容量化し、温度制御されたヒータを定着ベルトに直接加圧接触させることで熱伝導効率を大幅に向上させ、省電力とウォーミングアップタイムを殆ど必要としないクイックスタートを図ったベルト定着方式の定着装置や画像形成装置が提案され、最近用いられてきている。
【0004】
定着ローラと加圧ローラとが常に圧接された状態になっていると、両ローラが圧接する定着ニップ部へ局所的に圧力が負荷されて変形し、両ローラの耐久性が低下するという問題がある。このため、定着装置が非定着処理状態の時に、両ローラの圧接を解除する機構が採用されている。
【0005】
特許文献1に提案されている熱ローラ方式の定着装置において、加圧ローラを加熱ローラに向けて付勢するニップ圧力付与機構は、ニップ解除時にスプリングによる作用を無効にする状態で、加圧ローラから離間させる機構を有するものである。
【0006】
特許文献2に提案されている熱ローラ方式の定着装置は、定着ローラに加圧ローラを圧接するための圧力を付与する加圧手段と、加圧ローラの加圧力に抗して定着ローラに対する加圧ローラの圧接状態を解除する加圧解除手段とを有するものである。
【0007】
特許文献3に提案されている熱ローラ方式の定着装置は、加圧手段と加圧解除手段とを備え、加圧解除手段は定着ローラと加圧ローラを回転駆動する駆動源によって駆動される駆動手段により回転駆動するカムによって揺動部材を揺動させることで定着ローラと加圧ローラとの加圧を解除させるものである。
【0008】
特許文献4に提案されている熱ローラ方式の定着装置は、定着ローラと加圧ローラとの加圧力が可変であり、定着ローラと加圧ローラとの加圧力を変更した場合に、同時に、定着ローラと加圧ローラとの加圧当接角度を変更するものである。
【特許文献1】特開平5−173446号公報
【特許文献2】特開平11−125985号公報
【特許文献3】特開2000−122460号公報
【特許文献4】特開2003−295677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1乃至4に提案されている定着装置は、定着される用紙の種類によらず加圧手段により定着ローラと加圧ローラを一定の加圧力で押圧するものであるから、厚紙や封筒等の用紙に対して、高温の加熱と大きな押圧力を要する定着条件に合わせた設定にしなければならない。このような定着条件に設定されると、薄紙に対しては定着条件が過剰となり、カールを生じる等の問題が発生する。
【0010】
また、従来の定着装置では、圧着解除機構が定着装置の下部に配置され、大きなスペースを必要としているから、定着装置の全高が高くなり大型化するという問題がある。
【0011】
本発明は、上述したような従来の定着装置の問題を解消するもので、以下の目的を達成するものである。
【0012】
1.用紙の種類により最適の定着条件を設定する事により、高画質の画像を維持する定着装置を提供する事を目的とする。
【0013】
2.定着ローラと加圧ローラの加圧力を最適に設定する事により、両ローラが弾性体層を有していても過剰な加圧力により永久変形が生じる事を防止し、耐久性を向上させる事を目的とする。
【0014】
3.定着装置の圧着解除機構を小型化し、定着装置の全高を低減させる事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的は、以下の解決手段により達成される。
1.加熱源により加熱される加熱回転体と、前記加熱回転体に圧接する加圧回転体とを有し、前記加熱回転体と前記加圧回転体により形成される定着ニップ部で未定着像を担持する記録媒体を挟持搬送して定着を行う定着装置において、前記加圧回転体を回転自在に支持する揺動可能な揺動部材を付勢して前記加熱回転体に前記加圧回転体を圧接させるための圧力を付与する加圧手段と、複数のカム面を有するカムと該カムを回転させる駆動手段とによって前記揺動部材を揺動させ、前記加圧回転体を前記加熱回転体に所定の圧力に選択付与する加圧可変手段と、を有することを特徴とする定着装置。
2.像担持体上に形成されたトナー像を転写材に転写し、前記トナー像を前記転写材に定着させる前記1に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像形成装置は、以上説明した構成により以下の効果が得られる。
【0017】
1.用紙の種類により最適の定着条件を設定する事により、高画質の画像を維持する事ができる。
【0018】
2.定着ローラと加圧ローラの加圧力を最適に設定する事により、両ローラが弾性体層を有していても過剰な加圧力により永久変形が生じる事が防止され、耐久性が向上する。
【0019】
3.定着装置の圧着解除機構を小型化し、定着装置の全高を低減させる事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
[画像形成装置]
図1は、画像形成装置本体A、自動原稿送り装置DFから成る画像形成装置の構成図である。
【0022】
画像形成装置本体Aは、画像形成部1と、定着装置10と、用紙搬送系と、を有している。画像形成部1は、像担持体2の周辺に配置された帯電手段3、像露光手段4、現像装置5、転写手段6、除電手段7A、分離爪7B、クリーニング手段8等から構成されている。
【0023】
用紙搬送系は、給紙カセット20、第1給紙手段21、第2給紙手段22、搬送手段23、排紙手段24、及び手差し給紙手段25から成る第1搬送部と、用紙Sを循環再給紙する循環再給紙部とから構成されている。
【0024】
給紙カセット20及び第1給紙手段21は、複数の給紙手段(図示の3段)により形成され、複数種のサイズの用紙Sを収容して給紙する。
【0025】
自動原稿送り装置DFの原稿台上に載置された原稿dは給紙手段26により搬送され、画像読取装置により原稿画像が読み取られる。
【0026】
画像形成部1において、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理が行われる。給紙カセット20、手差し給紙手段25から給送された用紙Sは転写手段6により画像が転写される。画像を担持した用紙Sは、定着装置10により定着され、排紙手段24から排出される。
【0027】
[定着装置]
図2は、加熱ローラ方式の定着装置10の一実施の形態を示す断面図である。
【0028】
定着装置10は、加熱源13により加熱される定着ローラ(加熱回転体)11、加熱源14により加熱される加圧ローラ(加圧回転体)12等から構成されている。
【0029】
定着ローラ11の周囲には、クリーニング手段18、温度センサTS1、及び図示しない異常温度防止用のサーモスタット等が配置されている。加圧ローラ12の周囲にも、温度センサTS2、異常温度防止用のサーモスタット等が配置されている。
【0030】
加熱源13,14には、ハロゲンランプ、誘導加熱手段等が用いられる。
【0031】
定着ローラ11は、熱伝導性基体(芯金)111、弾性層112、被覆層113等により構成されている。
【0032】
温度センサTS1は、定着ローラ11の表面温度を検知する。温度センサTS1の検出信号により制御手段は、定着ローラ11の表面温度を所定温度に制御する。
【0033】
定着ローラ11と加圧ローラ12とが圧接する定着ニップ部Nに用紙Sが導入されると、加熱源13により加熱された定着ローラ11の熱が用紙Sに付与され、用紙S上のトナー像tが加熱定着される。
【0034】
定着ローラ11は、外径20〜70mmの円筒状部材である。円筒状の熱伝導性基体111としては、熱伝導性の良好なアルミニウム材が主として用いられ、非磁性ステンレス鋼材、耐熱性ガラス等も用いられる。熱伝導性基体111は、所要の機械的強度を有し、厚さ(肉厚)が0.8〜10mm厚のものである。
【0035】
弾性層112は、例えばシリコーンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴムで形成される。さらに画像形成の高速化対応のために、上記合成ゴム中に、フィラーとしてシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等の金属酸化物の粉末5〜30質量%を配合させて熱伝導率を向上させる方法が好ましい。混入されたフィラーは、導電性カーボンブラックと同様に、良導電性のものが好ましい。このようにすることにより、弾性層112の電気抵抗(体積抵抗率)を容易に低く設定することができる。弾性層112の厚さ(肉厚)は、0.3〜3mm、好ましくは1〜3mm厚で、JIS−Aゴム硬度のゴム硬度5Hs〜30Hsである。
【0036】
弾性層112の外側(外周面)に、トナーとの離型性を良好とするため、厚さ20〜80μmのPFA(フッ素樹脂)チューブを被覆したものや、フッ素樹脂(PFAまたはPTFE)塗料を20〜100μm塗布したものや、層厚20〜500μmのシリコーンゴムやフッ素ゴムを成形したもので、熱伝導率が良好で耐熱性の被覆層113を設ける。被覆層113は、トナーとの離型性を良好とするとともに、弾性層112の耐久性を高める。
【0037】
定着ローラ11と対をなす下側の円筒状の加圧ローラ12は、円筒状部材であり、熱伝導性基体121、弾性層122、被覆層123から成る。加圧ローラ12の構成部材は、定着ローラ11の構成部材とほぼ同一の材料、特性に形成されている。
【0038】
例えば厚さ1〜3mmのSTKMを用いた熱伝導性基体121と、熱伝導性基体121の外周面に、例えばシリコーンゴム層或いはフッ素ゴム層やシリコーンゴムの発泡材を用いたスポンジ状の、厚さ(肉厚)0.3〜5mm厚でゴム硬度が30Hs〜70Hs(JIS−Aゴム硬度)の厚肉ゴム層よりなる弾性層122とにより形成された外径30〜700mm程度のローラとして構成される。弾性層122の外側(外周面)には、離型性を有するPFA、PTFA等の耐熱性のフッ素樹脂のチューブを被覆した被覆層123が形成されている。
【0039】
固定位置に回転可能に支持された上側の定着ローラ11と、バネ付勢される加圧手段15によって定着ローラ11に圧接される下側の加圧ローラ12との間に、平面状の定着ニップ部Nが形成され、トナー像tの定着が行われる。
【0040】
加圧手段15は、揺動可能な揺動部材151と、揺動部材151の一端に係合し揺動部材151を揺動可能に支持する支軸152と、を有する。
【0041】
揺動部材151の他端には、バネ161、可動部材162、ベアリング163、カム164、カム軸165を備えた加圧可変手段16が配置されている。カム164の外周面はベアリング163を回転自在に支持する可動部材162に当接している。可動部材162に支持されたバネ161は、揺動部材151の他端を押圧して、支軸152を中心にして揺動部材151を揺動させる。揺動部材151はベアリング153を介して加圧ローラ12を押し上げ、加圧ローラ12を定着ローラ11に圧接して定着ニップ部Nを形成する。
【0042】
定着装置10の定着ニップ部Nを通過した用紙Sは、分離爪17A,17Bによって定着ローラ11の外周面から分離され、図示しない搬送ローラに挟持されて装置外に搬送される。
【0043】
定着ローラ11の周囲に配置されたクリーニング手段18は、定着ローラ11に当接して清掃するクリーニングウエブ181、クリーニングウエブ181を定着ローラ11に圧接して回転するクリーニングローラ182、クリーニングウエブ181を巻回して収容するウエブ元巻軸184、クリーニングウエブ181を巻き取るウエブ巻取軸183、ウエブ巻取軸183を駆動回転させる図示しない駆動手段等から構成されている。
【0044】
図3は、定着ベルト方式の定着装置の断面図である。なお、図面に使用されている符号について、図2と同じ機能の加圧ローラ12、加熱源14、加圧手段15、加圧可変手段16には、図2と同じ符号を付して説明を省略する。また、図2と異なる点を説明する。
【0045】
定着装置30は、定着ベルト(加熱回転体)31の内側に配置された定着支持ローラ32、加熱ローラ33、加熱源34、定着ベルト31の外側に配置されたクリーニング手段40等から構成されている。
【0046】
定着ベルト31は、無端状のベルト部材から成り、定着支持ローラ32と加熱ローラ33の各外周を巻回して張設する。
【0047】
定着支持ローラ32は、加圧ローラ12に対向し、定着ベルト31の内周面の一方において定着ベルト31を支持する。
【0048】
加熱ローラ33は、定着ベルト31の内周面の他方において定着ベルト31を支持する。加熱ローラ33の内部には、発熱体としての加熱源34が配置されている。
【0049】
定着ベルト31の表面温度は温度センサTS1により検知され、図示しない制御手段により所定温度に維持される。加圧ローラ12の表面温度は温度センサTS2により検知され、図示しない制御手段により所定温度に維持される。
【0050】
定着支持ローラ32は固定位置に回転可能に配置され、加熱ローラ33は図示しないバネ等の加圧手段によって定着支持ローラ32から離れる方向に弾性的に付勢されている。これにより定着ベルト31は適切な圧力をもって張架される。
【0051】
図示しない駆動手段は定着支持ローラ32を回転駆動させ、定着ベルト31を従動回転させる。また、駆動手段は、加圧ローラ12を回転駆動し、加圧ローラ12により定着ベルト21を搬送し、定着ベルト21を従動回転させるようにしてもよい。また、定着支持ローラ32と加圧ローラ12の双方に駆動を入力してもよい。
【0052】
加熱ローラ33によって加熱される定着ベルト31を挟んで定着支持ローラ32と加圧ローラ12との間に定着ニップ部Nを形成する。定着装置30は、定着ニップ部Nを通して、加熱と加圧とにより用紙S上の単色トナー像、或いは多色トナー像を定着する。
【0053】
定着ベルト31を清掃するクリーニング手段40は、クリーニングローラ41、クリーニングウエブ42、ウエブ元巻軸43、ウエブ巻取軸44、中間ローラ45等から構成され、クリーニングウエブ42は図示しない駆動手段によって巻き取られる。
【0054】
図4は、定着装置10の加圧可変手段16のカム軸方向の断面図である。
【0055】
カム軸165は定着装置10の前面側Fから背面側Rに向けて貫通し、定着装置10に配置された2個の軸受166F、166Rによって回転自在に支持されている。カム軸165の前面側Fには加圧可変手段16Fが、背面側Rには加圧可変手段16Rが配置されている。加圧可変手段16Fと加圧可変手段16Rとは同一の構成をなすから、構成部品は同一符号を付している。
【0056】
加圧可変手段16Fには2個のカム164と、2個のカム164に当接する2個のベアリング163が配置されている。2個のベアリング163は可動部材162の両側面に回転自在に支持されている。可動部材162に保持されたバネ161は揺動部材151を押し上げる。
【0057】
加圧可変手段16Rにも同様に2個のカム164、2個のベアリング163、可動部材162、バネ161が配置されている。
【0058】
従って、揺動部材151は、カム軸165に固定された4個のカム164によって支持されて揺動するから、1個のカム164にかかる負荷を小さくする事が出来る。また、カム164を小径にする事ができるから、定着装置10の全高を低くし、小型化する事が出来る。
【0059】
図5は、図4に示す定着装置10のA−A断面図であり、カム軸165の駆動手段を示すものである。
【0060】
モータMの駆動回転により、モータMは、モータMの回転軸に固定されたウオームギヤG1と複数の平歯車G2〜G9から成る減速歯車列を介してカム軸165を回転させる。
【0061】
図6は、図4に示す定着装置10のB−B断面図である。
【0062】
加圧可変手段16Fは、モータMにより駆動回転されるカム軸165に固定されたカム164によって、ベアリング163を押し上げ、ベアリング163を支持する可動部材162を押し上げる。可動部材162に保持されたバネ161が揺動部材151の一端を押し上げる事により、揺動部材151は支軸152を中心にして揺動する。
【0063】
図7は、カム164及び関連部材の拡大正面図である。
【0064】
カム164は、4箇所の平面部と箇所の曲面部とを有する。第1面部164Aはカム軸165の中心から距離L1の位置である。第2面部164Bはカム軸165の中心から距離L2の位置である。第3面部164Cはカム軸165の中心から距離L3の位置である。第4面部164Dはカム軸165の中心から距離L4の位置である。これらの距離は、L1<L2<L3<L4に設定されている。
【0065】
カム軸165の回転によるカム164の第1面部164A、第2面部164B、第3面部164C、第4面部164Dの停止位置は、図4に示す位置検知手段PSによって検知される。
【0066】
図8は、カム164の回転と揺動部材151の揺動過程を示す断面図である。
【0067】
図8(a)は、加圧ローラ12が定着ローラ11から離間した状態のA−A断面図である。
【0068】
カム軸165が回転されて、ベアリング163が第1面部164Aに当接した時、ベアリング163の外周面とカム軸165の中心とは距離L1の最小距離となり、バネ161の付勢力は最小値となり、揺動部材151が支軸152を中心にして揺動されて下方の第1位置になり、加圧ローラ12を定着ローラ11から離間させる。
【0069】
図8(b)は、カム軸165が回転されて、ベアリング163が第2面部164Bに当接した状態のB−B断面図である。
【0070】
カム軸165が回転されて、ベアリング163が第2面部164Bに当接した時、ベアリング163の外周面とカム軸165の中心とは距離L2となり、揺動部材151が支軸152を中心にして揺動されて第1位置から上昇して第2位置に停止して、加圧ローラ12を定着ローラ11に軽圧接して定着ニップ部N1を形成する。
【0071】
図8(c)は、カム軸165が回転されて、ベアリング163が第3面部164Cに当接した状態のC−C断面図である。
【0072】
カム軸165が更に回転されて、ベアリング163が第3面部164Cに当接した時、ベアリング163の外周面とカム軸165の中心とは距離L3となり、揺動部材151が支軸152を中心にして揺動されて第2位置から上昇して第3位置に停止して、加圧ローラ12を定着ローラ11に圧接して定着ニップ部N2を形成する。
【0073】
図8(d)は、カム軸165が回転されて、ベアリング163が第4面部164Dに当接した状態のD−D断面図である。
【0074】
カム軸165が更に回転されて、ベアリング163が第4面部164Dに当接した時、ベアリング163の外周面とカム軸165の中心とは距離L4となり、バネ161の付勢力は最大値となり、揺動部材151が支軸152を中心にして揺動されて第3位置から更に上昇して第4位置に停止して、加圧ローラ12を定着ローラ11に最も強く圧接して定着ニップ部N3を形成する。
【0075】
【表1】

【0076】
表1にカム164の位置における定着ニップ部と紙種条件を示す。
【0077】
画像形成装置本体Aの操作部9において用紙Sの紙種が選択設定されると、第2面部164B、第3面部164C、第4面部164Dの何れのカム位置においてカム164が揺動部材151を押圧して、定着ニップ部N1,N2,N3において、定着ニップ幅を形成し、定着荷重が加えられる。或いは第1面部164Aは加圧ローラ12を定着ローラ11から離間させる。
【0078】
図9は、カム軸165の位置を調整する調整手段の断面図である。
【0079】
カム軸165の非駆動側、即ち、図4に示す定着装置10の背面側Rの加圧可変手段16Fの近傍に、カム軸165の軸方向の位置を調整する調整手段19を設けた。調整手段19は、カム軸165の非駆動側の軸端部が当接する傾斜面191を形成した支持部材192と、支持部材192を移動自在に保持する保持部材193と、支持部材192を移動させる調整用ネジ194等を有する。
【0080】
調整用ネジ194を把持して操作する事により、支持部材192が保持部材193上を水平方向に移動して、傾斜面191に当接するカム軸165が上下方向に移動する。調整用ネジ194を用いて支持部材192を移動させる事によって、カム軸165の傾きを調整して、カム軸165の両端に配置された加圧可変手段16F,16Rの相対位置、加圧手段15の前面側Fと背面側Rの相対位置を調整し、加圧ローラ12と定着ローラ11とにより形成される定着ニップ部Nの押圧力を均等にする。
【0081】
なお、前述した実施の形態では、カラー画像が形成可能な多色画像形成装置を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、白黒画像が形成可能な単色画像形成装置にも本発明の定着装置は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】画像形成装置本体、自動原稿送り装置から成る画像形成装置の構成図。
【図2】加熱ローラ方式の定着装置の一実施の形態を示す断面図。
【図3】定着ベルト方式の定着装置の断面図。
【図4】定着装置の加圧可変手段のカム軸方向の断面図。
【図5】図4に示す定着装置のA−A断面図。
【図6】図4に示す定着装置のB−B断面図。
【図7】カム及び関連部材の拡大正面図。
【図8】カムの回転と揺動部材の揺動過程を示す断面図。
【図9】カム軸の位置を調整する調整手段の断面図。
【符号の説明】
【0083】
10 定着装置
11 定着ローラ(加熱回転体)
12 加圧ローラ(加圧回転体)
15 加圧手段
151 揺動部材
152 支軸
16,16F,16R 加圧可変手段
161 バネ
162 可動部材
163 ベアリング
164 カム
164A 第1面部
164B 第2面部
164C 第3面部
164D 第4面部
165 カム軸
19 調整手段
191 傾斜面
192 支持部材
193 保持部材
194 調整用ネジ
30 定着装置
31 定着ベルト(加熱回転体)
32 定着支持ローラ
33 加熱ローラ
A 画像形成装置本体
S 記録媒体(用紙)
N,N1,N2,N3 定着ニップ部
PS 位置検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱源により加熱される加熱回転体と、前記加熱回転体に圧接する加圧回転体とを有し、前記加熱回転体と前記加圧回転体により形成される定着ニップ部で未定着像を担持する記録媒体を挟持搬送して定着を行う定着装置において、
前記加圧回転体を回転自在に支持する揺動可能な揺動部材を付勢して前記加熱回転体に前記加圧回転体を圧接させるための圧力を付与する加圧手段と、
複数のカム面を有するカムと該カムを回転させる駆動手段とによって前記揺動部材を揺動させ、前記加圧回転体を前記加熱回転体に所定の圧力に選択付与する加圧可変手段と、
を有することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記カムは、前記記録媒体の搬送方向に直交する幅方向に架設された回転軸の両軸端にそれぞれ固定されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記カムは、前記回転軸の両軸端にそれぞれ複数個配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、駆動源のモータと、該モータに接続する駆動伝達手段と、を有し、該駆動伝達手段に接続された前記回転軸に固定された前記カムを回転駆動することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
前記カムを固定した前記回転軸の近傍に、位置検知手段を配置し、前記カムの回転位相を検知して、前記揺動部材によるバネ付勢を可変にすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記回転軸の非駆動側に、前記回転軸の位置を調整する調整手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記加熱回転体は、加熱源を有する定着ローラであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項8】
前記加熱回転体は、加熱源を有する加熱ローラと、前記加圧回転体に圧接する定着支持ローラとを巻回する定着ベルトであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項9】
像担持体上に形成されたトナー像を転写材に転写し、前記トナー像を前記転写材に定着させる請求項1乃至8の何れか1項に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−271917(P2007−271917A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97362(P2006−97362)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】