説明

定着部材、定着部材表層の作成方法、定着装置、定着方法、および画像形成装置

【課題】画像形成装置用定着装置に用いられる定着部材である定着ローラは、表層には十分な離型性が求められると共に、良好な熱伝達性が求められる。これまで種々改良がなされてきているが、両立が難しい面があって、十分満足のいくものが得られていない。
【解決手段】定着ローラ基材27の外周にフッ素樹脂部分51からなる粒子の周囲に熱の良導体(例えば金属)の微粒子52を凝集させて全体を膜状に形成する。定着ローラ表面はフッ素樹脂部分51の面積が大きく露出しているので離型性は殆ど損なわれないが、熱の良導体部分52は連続的に相互接触しているため、熱の伝達が良好である。このため、定着ローラ基材27から定着ローラ表面までの垂直方向の熱の伝達が速やかで、かつ、水平方向の熱の伝達も良好である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーの定着ローラおよび定着装置に関するもので、詳しくは、定着装置、定着方法、および定着ローラに関する。特に最表面のトナーとの離型性を要する層の加熱効率の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真の定着工程に関しては、種々の方法や装置が開発されているが、現在最も一般的な方法は熱ローラーによる圧着加熱方式である。加熱ローラによる圧着加熱方式は、トナーに対し離型性を有する材料(主にフッ素樹脂)で表面を形成した熱ローラーの表面に被定着シートのトナー像面を加圧下で接触しながら通過せしめることにより定着を行うものである。定着工程において重要なことは支持体から定着機部材へのトナー粒子のオフセットが通常の操作中に生じないことである。定着機部材上へのトナー粒子のオフセットは、その後、装置の他の部分あるいは後のコピーサイクルでの支持体上に転写することがあり、かくして地汚れを増大させる。
トナー粒子のオフセットには、いわゆるホットオフセットと、コールドオフセットと呼ばれるものがある。
ホットオフセットとは、熱ローラ定着方式において、トナーが過加熱されトナーの凝集力が定着ローラおよび用紙との接着力を下回った場合に、トナー層が分断して起こるオフセット現象をいう。高温オフセットともいう。また、これが起こるときのローラの設定温度をホットオフセット温度としている。
コールドオフセットとは、熱ローラ定着方式において、トナーと用紙との界面付近が充分溶かされない場合、定着ローラとの接着力や静電吸着力により、トナー画像の一部が取り去られること。低温オフセットともいう。また、これが起こるときのローラの設定温度をコールドオフセット温度としている。
【0003】
ホットオフセットは、言い換えれば、トナーの温度上昇により、トナー粒子が液状化し溶融トナーの分割が定着操作中に起こる温度まで上昇し、トナーの一部が定着機部材に残った場合に生ずる。「ホットオフセット温度」または「ホットオフセット温度の低下」は定着ロールの剥離特性の尺度であり、したがって、低表面エネルギーを有して必要な剥離を与える定着表面を提供することが望ましい。
多くの材料は、連続使用において最初は良好な剥離特性を有して機能するけれども、トナーのホットオフセットの結果として、紙繊維、紙片およびトナーにより汚染されがちであり、そのため、ロールの表面エネルギーを増大させ剥離性能を落とす。しかも、一旦、ロールが汚染されると、ホットオフセット温度は低下し始めてトナー像を定着させるに必要な最低温度近くまたはそれ以下のレベルにまでなることがあり、そのため、トナー像の不完全定着およびトナー像の定着ロールへのトナーのオフセットの両方をもたらす。定着ロールが1度汚染され始めると、汚染物は、加圧ロールにも移行する。このように、離型性は、重要な尺度である。
また、定着ローラは、熱をトナーに渡す役目をしているため、発熱体からトナーまで、熱伝達障害を最少にするように設定される。
【0004】
定着ローラの熱伝導性に関してはこれまで種々の改良がなされてきている。高熱伝導性複合体を形成するために、マトリックス樹脂中にフィラーを分散させて、融点が500℃以下の低融点金属または共晶合金によって網目状に形成された金属網を介して上記フィラーを相互に連続的に溶着させるものがある(例えば、特許文献1 参照。)。しかし、これは、単に高熱伝導性複合体を形成しているだけであるので、定着ローラの最重要特性であるトナーとの離型性を持たず、すぐトナーが固着してしまうという問題点を抱えている。離型性も考慮して、定着ローラの表面をフッ素樹脂の粒子を混入したニッケル被膜で構成し、熱導電性を良くすることを本出願人が提案している(特許文献2 参照。)。しかし、これもニッケル被膜にフッ素樹脂の粒子を混入させているだけなので、定着ローラ表面の離型性がまだ不十分であった。また、電磁誘導方式を用いたい場合、渦電流が流れる必要があるため絶縁体で分離された電気伝導体では、十分な発熱は期待できない。
【0005】
熱伝導率向上を目的として結晶化グラファイトシートを用いた例がある(例えば、特許文献3 参照。)。しかしこれも、離型性を確保するためには結晶化グラファイトシートの上に離型層が必要であり、熱伝導率向上にも限界がある。
金属ローラ表面に非粘着離型性樹脂層を被覆した定着ローラにおいて、前記樹脂層がフレーク状金属を含有するものが提案されている(例えば、特許文献4 参照。)。しかしこのローラは、使用が進むと、表面が削れてフレーク状の金属が表面に出、トナーが固着する。それを防止するためにフレークを内部に分布させているが、表面の熱伝導率の悪いフッ素樹脂が厚くなると熱伝導率の効果は非常に小さくなる。
【0006】
【特許文献1】特開平06−196884号公報
【特許文献2】実開平01−164463号公報
【特許文献3】特開2001−117402号公報
【特許文献4】特開平04−067187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、熱伝導率の良好な離型層を用いることによって、定着熱効率を上げ、画像形成の生産性を向上することができる定着部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明では、加熱部材を有し、未定着トナーを担持する記録媒体に接触し該記録媒体を加熱し前記未定着トナーを定着する定着部材であって、該定着部材は、回転体を構成する基材と、該基材の外周側に設けられたフッ素樹脂材料に熱の良導体が混在した表層とを有し、該表層は、周囲を前記熱の良導体が囲むように凝集した粒状性を呈する前記樹脂材料を含むことを特徴とする。
請求項2に記載の発明では、請求項1の定着部材において、前記熱の良導体として金属を用いたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の定着部材において、前記熱の良導体として、金、銀、銅、鉛、ニッケル、亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ビスマス、錫のいずれか1つ以上を含む金属の粒としたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、請求項1の定着部材において、前記熱の良導体として絶縁性無機化合物を用いたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の定着部材において、前記熱の良導体として、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素酸窒化物、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、アルミニウム酸窒化物、ホウ素酸化物、ホウ素窒化物、ホウ素酸窒化物、酸化マグネシウム、酸化チタン、サイアロン、ベリリアのいずれか1つ以上を含む粒としたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の定着部材において、前記表層の、水に対する接触角が80°以上であることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の定着部材において、前記表層の、前記熱の良導体が囲むように凝集した部分の厚さは、前記基材の面に平行な断面において、30μm以下であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の定着部材において、前記フッ素樹脂材料は、MFR(メルトフローレート)(372℃、荷重5kg)で6g/10分以下であることを特徴とする。
請求項9に記載の発明では、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の定着部材において、前記フッ素樹脂材料は、分子量の大きいPFA、およびカーボンを含むPFA、の少なくとも一方を有することを特徴とする。
【0012】
請求項10に記載の発明では、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の定着部材において、前記表層は、その表面粗さが、Rz(10点平均粗さ)として2μm以下にすることを特徴とする。
請求項11に記載の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の定着部材の前記表層の作製法において、前記樹脂材料としてフッ素樹脂を用い、該フッ素樹脂の粒子に前記熱の良導体を表面被覆したものを一部、または全部使用し、前記回転体に静電塗装した後、加熱し、膜としたことを特徴とする。
請求項12に記載の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の定着部材の前記表層の作製法において、前記樹脂材料としてフッ素樹脂を用い、該フッ素樹脂の粒子に前記熱の良導体を表面被覆したものを一部または、全部使用し、それらを水溶液中に分散し、その塗装液により、前記回転体に塗装した後、加熱し、膜としたことを特徴とする。
請求項13に記載の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の定着部材と、該定着部材に接触して回転する回転体の接触部に前記記録媒体を挟持搬送して前記未定着トナーを定着する定着装置を特徴とする。
【0013】
請求項14に記載の発明では、請求項13に記載の定着装置において、前記定着部材に接触して回転する回転体も加熱部材を有することを特徴とする。
請求項15に記載の発明では、請求項13または14に記載の定着装置において、前記2つの回転体の少なくとも一方に離型剤を塗布する塗布手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項16に記載の発明では、請求項13ないし15のいずれか1つに記載の定着装置において、前記2つの回転体の圧接する接触部分の単位面積当たりの圧力が0.5[kgf/cm]以上となるよう設定したことを特徴とする。
請求項17に記載の発明では、請求項13ないし16のいずれか1つに記載の定着装置において、前記2つの回転体の圧接する接触部分の単位面積当たりの圧力が4.0[kgf/cm]以下となるよう設定したことを特徴とする。
請求項18に記載の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の定着部材を用いて、ワックス含有のトナーの定着を行う定着方法を特徴とする。
請求項19に記載の発明では、請求項13ないし17のいずれか1つに記載の定着装置を用い、前記2つの回転体の少なくとも一方に離型剤を塗布する定着方法を特徴とする。
請求項20に記載の発明では、請求項13ないし17のいずれか1つに記載の定着装置を用いた画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、少ない熱良導体添加で、伝熱特性の良好な定着部材を提供し効率のよい定着装置を得ることができる。その他の効果を以下に述べる。
定着ローラ電位をアースに近くして静電反発によるトナーチリを防止できる。
負帯電トナーに対し、定着ローラが負に帯電し、トナーの付着を減らすことができる。
熱良導体が加熱時に広がるのを防止し、効率よく、少ない熱良導体添加での離型性のよい定着部材の表層構造を作製できる。
トナーとの離型性向上を計り、耐久性を持つ定着方法を得ることができる。
トナー付着を防止するため、ワックスや離型剤の離型性の限界以内で定着することができる。
高耐久、高画質、省エネの特性を持った画像形成装置を得ることができる。
さらなる効果については、実施例中で直接述べる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は本発明における画像形成装置の一実施形態を示す図である。
同図において符号1は感光体、2は帯電ローラ、3は光走査装置、4は現像装置、5は転写ローラ、6は定着装置、7はクリーニング装置、8は除電装置、9は記録媒体をそれぞれ示す。
画像形成装置は、周知の電子写真プロセスを実行することによって画像を得ることができるものであって、像担持体として円筒状に形成された光導電性の感光体1を有している。感光体1の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ2、現像装置4、転写ローラ5、クリーニング装置7、除電装置8が配備されている。また、それらのほかに、画像形成装置は、光走査装置3と定着装置6を備えている。帯電手段としては、コロナチャージャを用いることもできる。光走査装置は帯電ローラと現像装置との間の感光体面で光走査による露光を行う。
【0017】
画像形成を実行する際は、感光体1が図1の時計回りに回転され、その表面が帯電ローラ2により均一に帯電された後、光走査装置3の露光により感光体1の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置4により反転現像され、感光体1の表面にトナー画像が形成される。このトナー画像は、感光体1のトナー画像が転写位置へ移動するのとタイミングを合わせて図示されない給紙機構により転写部へ送り込まれた記録媒体9と重ね合わされ、転写ローラ5の作用により、記録媒体9へ静電転写される。トナー画像を転写された記録媒体9は、定着装置6でトナー画像を定着された後、装置外部へ排出される。トナー画像が転写された後、感光体1の表面はクリーニング装置7により残留トナーや紙粉などが除去され、さらに除電装置8により除電される。
【0018】
図2は定着部分の概略図である。
同図において符号21は温度検知素子、23はハロゲンヒーター、24は定着ローラ、25は定着ローラの表層、26は加圧ローラ、Sは記録シート、TIは定着されるべきトナー画像をそれぞれ示す。
加圧ローラ26と圧接する定着ローラ24は時計回りに回転し、定着されるべきトナー画像TIを有する記録シートSを、これら定着ローラ24と加圧ローラ26とで挟圧して矢印方向に搬送するようになっている。加熱用のハロゲンヒーター23が定着ローラ内部から加熱している。定着ローラ24の表面温度は温度検知素子21で検出される。本発明の表層25は、定着ローラ24の表面に形成される。
【0019】
図3は本発明の定着ローラにおける表層の構成例を示す断面図である。
同図において符号51はフッ素樹脂部分、52は熱の良導体の凝集部分をそれぞれ示す。
同図は定着ローラ基材の面に平行な方向の断面を示している。この方向を便宜上水平方向と呼ぶ。
フッ素樹脂が面積的に大きく占め、離型性を確保している。熱良導体凝集部分は、面積的には、5%程度であるが、ほとんどが凝集しているため熱伝導率の寄与が大きい。凝集部分はすべての方向に連続的に相互接触しているので、水平方向での熱伝導率も高い。ここで、凝集とは、局部的な体積部分において、少なくとも熱良導体の体積が、フッ素樹脂の体積を上回る状態の部分をいう。
【0020】
図4は定着ローラ基材の表面に垂直な断面を示す図である。
同図において符号27はローラの基材を示す。
同図に示す断面方向を便宜上、垂直方向と呼ぶ。同図に見られるように、凝集部分は垂直方向に関してもすべての方向に連続的に相互接触しているので、熱伝導率向上に寄与している。
【0021】
本発明において用いられるフッ素樹脂としては、焼成による溶融成膜性のよい、比較的融点の低いもの(好ましくは250〜300℃)が好ましく選択される。具体的には、低分子量ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフロオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアアルキアルビニルエーテル共重合体(PFA)の微粉末が挙げられる。
低分子量ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末は、ルブロンL−5、L−2(ダイキン工業)、MP1100、1200、1300、TLP−10F−1(三井デュポンフロロケミカル)が知られている。テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)粉末は、532−8000(デュポン)が知られている。テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)は、MP−10、MP102、(三井デュポンフロロケミカル)が知られている。特にMFR(メルトフローレート:熱流動性)が小さい流動性の低いものとして、MP103、MP300(三井デュポンフロロケミカル)、AC−5600、AC5539 (ダイキン工業)等が本発明には向いている。一般に流動性が低いものを得るには、分子量を大きくして、分子の運動性を制限することによって得られる。また、微細な、例えばμmオーダー、またはそれ以下のものを混入して分子の運動性を制限することが行われる。これには分散性の点から、例えば、微細カーボンが用いられる。
また、金属フィラーとしては、金、銀、銅、鉛、ニッケル、亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、チタン等のフィラーが使用できる。これらの球状、針状フィラー、繊維状フィラーとして用い、フッ素樹脂の周囲に金属粉を固着させる。
熱の良導体としては、金属以外に、以下の絶縁性無機化合物を用いることができる。
すなわち、絶縁性無機化合物として珪素酸化物、珪素窒化物、珪素酸窒化物、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、アルミニウム酸窒化物、ホウ素酸化物、ホウ素窒化物、ホウ素酸窒化物、酸化マグネシウム、酸化チタン、サイアロン、ベリリアなどが使用可能である。以下、金属材料および非金属材料の少なくとも一方を意味する場合、表現を簡略化するため単に「金属材料および非金属材料」と表現する。
【0022】
図5はフッ素樹脂の流動性と熱伝導率の関係を説明するための図である。同図(a)は熱流動性(MFR)の高い樹脂材料の場合、同図(b)はMFRの低い樹脂材料の場合をそれぞれ示す。同図においては熱の良導体としてAg(銀)の微粒子を用いた場合を示している。
MFRの大きいMP102で粉体塗装して焼成すると、同図(a)のようになり、凝集が壊れる。しかし、MFRの小さいフッ素樹脂粉を用いると、同図(b)のようになり、凝集が残るため熱伝導率向上が図られる。
このように、熱の良導体が凝集することにより、単純に分散した状態では達成できない熱伝導率を得ることができ、定着部材の定着時の温度低下を低減することができる。また、熱の良導体添加量を少なくできたため、離型性の低下を実質的に無視できる程度にすることができる。また、金属の導電性のため表層をアースに電気的に接続する構造をとり、ローラ表面の電位をアース電位に近くできる。
また、熱良導体の絶縁性のため表層を電気的に浮かせることができ、摩擦帯電による電位を維持し、ローラ表面の電位をアースから離れた電位にできる。
【0023】
本発明の定着部材においては、表層15の水に対する接触角が80°以上である。これにより、ワックス含有のトナーを用いる場合、トナー中から出て表層側に付着したワックスが、表層上ではじかれることがないため、直接トナーの樹脂等が表層に触れてオフセットしたり、ホットメルト接着剤のように機能して定着部材に記録材が巻きつくといったことが生じない。
この水に対する接触角が、80°未満になると濡れ過ぎるため、トナー樹脂自身の接着力が急激に増大してワックスによる付着防止効果を上回り、トナー全体が表層側に移行し、定着不良を生じる。尚、本発明における接触角の測定は、定着部材の表層材料の平面状の試験片を形成し、協和界面科学社製のCA−X型で室温において液滴法によって測定した。
定着部材の表層15の水に対する接触角を、80°以上の範囲内に調整する方法としては、表層15の形成材料であるフッ素樹脂と熱良導体との配合比を変化させ、水に対する接触角を制御する方法がある。この場合、フッ素樹脂と熱良導体の種類、混合方法、加熱温度の組合せで水に対する接触角を制御することができる。
また、表層15の熱良導体の凝集部分がその任意の断面において最大幅部が30μm以下となるように表層を形成した場合、仮にフッ素樹脂よりも非粘着性に劣る金属材料および非金属材料部分が表面に露出したとしても、トナーが金属材料および非金属材料部分に直接接触する面積が小さくなるため、オフセット防止に対して有利な構造となる。
【0024】
図6はフッ素樹脂の周囲に金属粉を固着させる装置を示す図である。
同図において符号151は本体ケーシング、155はローターブレード、158はステーター、159は排出バルブ、162は回転ローター、163はリサイクルパイプ、164は原料投入シュート、168は衝撃室、177はステータージャケット
をそれぞれ示す。
同図は(株)奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステムの概要を示す。
該装置において、原料投入シュート164から供給された粉体粒子及び他の微小固体粒子は、衝撃室168内で主として高速で回転している回転ローター162に配置された複数のローターブレード155によって瞬間的な打撃作用を受け、さらに周辺のステーター158に衝突して粉体粒子同士または、他の微小固体粒子同士の凝集をほぐしながら系内に分散させると同時に、粉体粒子表面に他の微小固体粒子を静電気力、ファンデルワールス力等により付着させるか、粉体粒子のみの場合は、粒子の角取り又は球形化が行なわれる。この状態は粒子の飛行と衝突に伴って進んで行く。すなわち、ローターブレード155の回転により発生する気流の流れに伴って、該粒子は、163のリサイクルパイプを複数回通過することにより処理される。さらにローターブレード155及びステーター158から該粒子が繰り返し打撃作用を受けることにより、他の微小固体粒子は、粉体粒子表面またはその近傍に均一に分散し固定化される。作製した粉体単独、もしくは通常のフッ素樹脂と作製した粉体とを混合したものを、静電塗装、または、湿式塗料にて塗布し、焼成することにより表層を作製する。
【実施例1】
【0025】
Ex.1:PFA粉(MP102:372℃、荷重5kgにおけるMFR14g/10分、平均粒径φ20μm)中にAg粉(平均粒径0.5μm)を体積換算で、Agが10%となる量を混合し、図6に示す装置に投入し、Ag粉をPFA粉上に固着させた。Agは、PFA粉上をほぼ覆っている状態であることを、SEMによる観察で確認した。
MFRの測定条件は以下のすべての例において共通である。
Ex.2:同様に、PFA粉(MP103:MFR6g/10分、平均粒径φ20μm)中に前記と同様のAg粉(平均粒径0.5μm)を体積換算で、Agが10%となる量を混合し、同装置に投入し、Ag粉をPFA粉上に固着させた。Agは、PFA粉上をほぼ覆っている状態であることを、SEMによる観察で確認した。
【0026】
この2つの粉体を、アルミニウム基板に静電塗装し、380℃で焼成し、樹脂を溶融させた後に冷却し、基板より剥離し、サンプルを作製した。これにより、100μm厚のシートを作製し、スキャンニングレーザ加熱AC法により熱拡散率を測定した。そして、別に測定した体積比熱とから、熱伝導率を計算し求めた。Ex.1は、0.26(W/mK)で、Ex.2は、1.31(W/mK)であり、非常に効果があった。
定着ローラの芯金となるアルミニウム管に静電塗装し、380℃で塗装した樹脂を溶融させた後に冷却し、これをコランダム粒子で研磨を行い、表面粗さRzで、2μm以下としたものを作製し、定着ローラとした。表層の最終厚みを40μmとした。このローラを(株)リコー製画像形成装置MF4570機に装着した。10000枚、黒ベタ画像を通し、ローラ表面のトナーの付着状態を観察した。特に大きな付着は観察されず。通常のものと何ら変わりがなかった。さらに、コールドオフセット温度は、EX.2は、約10℃下がっている。
【0027】
[比較例1]
Ex.2と同様のPFA粉(MP103:MFR 6g/10分、平均粒径φ20μm)中にAg鱗片状粉(平均粒径30−80μm)を体積換算で、Agが10%となる量を混合し、定着ローラの芯金となるアルミニウム管に静電塗装し、380℃で塗装した樹脂を溶融させた後に冷却し、これをコランダム粒子で研磨を行い、表面粗さRzで、2μm以下としたものを作製し、定着ローラとした。表層の最終厚み40μm。このローラを前記画像形成装置MF4570機に装着した。10000枚、黒ベタ画像を通し、ローラ表面のトナーの付着状態を観察した。9000枚程度で、ローラにトナーが付着した。その部分を観察すると、50−60μmのAgが露出しその部分にトナーが付着していた。さらに、コールドオフセット温度は、純正品とほぼ同程度であった。
【実施例2】
【0028】
Ex.3:PFA粉(MP102:MFR 14g/10分、平均粒径φ20μm)中にAg粉(平均粒径0.5μm)を体積換算で、Agが10%となる量を混合し、図6に示した装置に投入し、Ag粉をPFA粉上に固着させた。Agは、PFA粉上をほぼ覆っている状態であることを、SEMによる観察で確認した。
Ex.4:同様に、カーボン含有PFA粉(MFR 6g/10分、平均粒径φ20μm)中にAg粉(平均粒径0.5μm)を体積換算で、Agが10%となる量を混合し、前記装置に投入し、Ag粉をPFA粉上に固着させた。Agは、PFA粉上をほぼ覆っている状態であることを、SEMによる観察で確認した。
【0029】
この2つの粉体を、アルミニウム基板に静電塗装し、380℃で焼成し、樹脂を溶融させた後に冷却し、基板より剥離し、サンプルを作製した。これにより、100μm厚のシートを作製し、スキャンニングレーザ加熱AC法により熱拡散率を測定した。そして、別に測定した体積比熱とから、熱伝導率を計算し求めた。Ex.3は、0.26(W/mK)で、Ex.4は、1.52(W/mK)であり、非常に効果があった。
定着ローラの芯金となるアルミニウム管に静電塗装し、380℃で塗装した樹脂を溶融させた後に冷却し、これをコランダム粒子で研磨を行い、表面粗さRzで、2μm以下としたものを作製し、定着ローラとした。表層の最終厚み40μmとした。このローラを前記画像形成装置MF4570装着した。10000枚、黒ベタ画像を通し、ローラ表面のトナーの付着状態を観察した。特に大きな付着は観察されず。通常のものと何ら変わりがなかった。さらに、コールドオフセット温度は、実施例1と同様にEx.4は、約10℃下がっている。
【実施例3】
【0030】
Ex.5:PFA粉(MP102 :MFR 14g/10分、平均粒径φ20μm)中にNi粉(平均粒径1.2μm)を体積換算で、Niが10%となる量を混合し、図6に示した装置に投入し、Ni粉をPFA粉上に固着させた。Niは、PFA粉上をほぼ覆っている状態であることを、SEMによる観察で確認した。
Ex.6:同様に、PFA粉(MP103 :MFR 6g/10分、平均粒径φ20μm)中にNi粉(平均粒径1.2μm)を体積換算で、Niが10%となる量を混合し、前記装置に投入し、Ni粉をPFA粉上に固着させた。Niは、PFA粉上をほぼ覆っている状態であることを、SEMによる観察で確認した。
【0031】
この2つの粉体を、アルミニウム基板に静電塗装し、380℃で焼成し、樹脂を溶融させた後に冷却し、基板より剥離し、サンプルを作製した。これにより、100μm厚のシートを作製し、スキャンニングレーザ加熱AC法により熱拡散率を測定した。そして、別に測定した体積比熱とから、熱伝導率を計算し求めた。Ex.5は、0.21(W/mK)で、Ex.6は、1.27(W/mK)であり、非常に効果があった。
定着ローラの芯金となるアルミニウム管に静電塗装し、380℃で塗装した樹脂を溶融させた後に冷却し、これをコランダム粒子で研磨を行い、表面粗さRzで、2μm以下としたものを作製し、定着ローラとした。表層の最終厚み40μmとした。このローラを前記画像形成装置MF4570機に装着した。10000枚、黒ベタ画像を通し、ローラ表面のトナーの付着状態を観察した。特に大きな付着は観察されず。通常のものと何ら変わりがなかった。さらに、コールドオフセット温度は、前と同様にEx.6は、約10℃下がっている。
【実施例4】
【0032】
Ex.7:PFA粉(MP102 :MFR 14g/10分、平均粒径φ20μm)中にNi粉(平均粒径1.2μm)を体積換算で、Niが10%となる量を混合し、図6に示した装置に投入し、Ni粉をPFA粉上に固着させた。Niは、PFA粉上をほぼ覆っている状態であることを、SEMによる観察で確認した。
Ex.8:同様に、カーボン含有PFA粉(MFR 6g/10分、平均粒径φ20μm)中にNi粉(平均粒径1.2μm)を体積換算で、Niが10%となる量を混合し、前記装置に投入し、Ni粉をPFA粉上に固着させた。Niは、PFA粉上をほぼ覆っている状態であることを、SEMによる観察で確認した。
【0033】
この2つの粉体を、アルミニウム基板に静電塗装し、380℃で焼成し、樹脂を溶融させた後に冷却し、基板より剥離し、サンプルを作製した。これにより、100μm厚のシートを作製し、スキャンニングレーザ加熱AC法により熱拡散率を測定した。そして、別に測定した体積比熱とから、熱伝導率を計算し求めた。Ex.7は、0.21(W/mK)で、Ex.8は、1.37(W/mK)であり、非常に効果があった。
定着ローラの芯金となるアルミニウム管に静電塗装し、380℃で塗装した樹脂を溶融させた後に冷却し、これをコランダム粒子で研磨を行い、表面粗さRzで、2μm以下としたものを作製し、定着ローラとした。表層の最終厚み40μm。このローラを前記画像形成装置MF4570機に装着した。10000枚、黒ベタ画像を通し、ローラ表面のトナーの付着状態を観察した。特に大きな付着は観察されず。通常のものと何ら変わりがなかった。さらに、コールドオフセット温度は、前と同様にEx.8は、約10℃下がっている。
【実施例5】
【0034】
PFA粉(MP103 平均粒径φ12μm)中に体積換算で、Ag粉(平均粒径0.5μm)を体積比10%で図6に示した装置に投入し、Ag粉をPFA粉上に固着させた。さらに、デュポン製湿式フッ素塗料EN700CLに乾燥PFA重量に対し、上記で作製したAg粉をPFA粉に固着した粉体を比重から計算した体積比で50:50として混入し、攪拌分散した後、定着ローラの芯金となるアルミニウム管にスプレー塗装を行い、380℃で塗装した樹脂を溶融させた後に冷却し、その後に研磨することにより、定着ローラとした。最終厚み40μmとした。
このローラを前記画像形成装置MF4570機に装着した。10000枚、黒ベタ画像を通し、ローラ表面のトナーの付着状態を観察した。特に大きな付着は観察されず。通常のものと何ら変わりがなかった。別に作製したサンプルでの熱伝導率は、1.21(W/mK)であり、コールドオフセット温度は、約8℃下がっている。
【実施例6】
【0035】
実施例5と同様に、ローラを作製し、表面粗さをRzで2μmとしたものを作製した。このローラを前記画像形成装置MF4570の定着ユニットに用いた定着試験機を作製し、MF4570によって得た未定着画像を、圧力を変えて通紙した。試験結果を表1に示す。同表に示すように、単位面積当たりの加圧力が0.5(kgf/cm)以下では定着性が非常に悪く、加圧力が4.0(kgf/cm)以上では、定着ローラへのトナー付着が見られた。定着性は、定着後のベタ画像に綿の布を擦りつけ顕著に布にトナーが付いたものを定着不良とし、簡易判定した。
【0036】
【表1】

【実施例7】
【0037】
実施例5と同様にローラを作製し、これをコランダム粒子で研磨を行い、表面粗さをRzで2μm以下、3μm、5μm、7μmとしたものを作製し、定着ローラとした。表層の厚みは40μmである。このローラを前記画像形成装置MF4570の定着部に装着し、図1と同様の構成の画像形成部を後いて作成した未定着トナー画像を図2に示すような構成のテスト機(定着装置)に通して定着した。10000枚の黒ベタ画像を通して定着を繰り返し、、ローラ表面のトナーの付着状態と紙の巻き付きを観察したときの観察結果を表2に示す。
この結果、表面粗さがRzで5μm以下であれば効果があることが観察された。また、7μmのものはMF4570でジャムが多発したため、途中で実験を取りやめた。
【0038】
【表2】

【0039】
以上、本発明によれば、様々な効果が得られるが、以下にそれらの効果を纏めて示す。
定着部材の表層の強度、硬さが、種々のものが要求された場合でも、金属の種類を選択することにより、伝熱効率を低下させずに、要求特性にあった表層を形成できる。
熱の良導体の大きさと分布をコントロールすることにより、マクロな形での表面エネルギーをフッ素樹脂単体の状態を保持でき、これにより、トナーの離型性を確保できる。つまり、小さな熱の良導体部分の露出では、マクロな接触角には影響が少なかったため離型性を確保できる。
粉体の調整(帯電可能化、分散性向上)により、従来のフッ素樹脂のコート工程を大きく変えることなく本構成を作成可能となった。
フッ素樹脂の流動性を小さくしたため、粉体状の樹脂が熱により溶けて膜になるときに熱の良導体粉の拡散が小さく、凝集部分の熱伝導率低下を押さえることができる。それにより、凝集部分で、容易に熱の通り道を構成でき、少ない熱の良導体粉添加量で、熱の伝導率を上げることができる。
【0040】
分子量を増す、または、微小なカーボンをフッ素樹脂に分散することにより、流動性の小さいフッ素樹脂粉を容易に作製でき、凝集部分の熱伝導率低下を押さえることができる。それにより、凝集部分で、容易に熱の通り道を構成でき、少ない熱の良導体粉添加量で、熱の伝導率を上げることができる。
画質、特にベタ画像は、定着部材の表面が転写されるため、表面がなめらかなローラにより光沢度が向上する。
トナーの中のワックスにより離型性が向上する。
離型剤により、トナーとトナーに接する定着部材の離型性が向上する。
多くのトナーでの定着は、定着ローラと加圧ローラの間の接触領域における単位面積当たりの圧力に依存し、特に、0.5[kgf/cm]以上かけることにより、画像の定着性が向上する。
4.0[kgf/cm]以上の条件では、トナーの持つワックス、または、シリコンオイルなどの離型剤が、トナー樹脂とローラ離型層からでてしまう。この圧力以下であると離型性が維持できる。
高離型性の熱伝導率の高い表層を持つローラを使用することにより信頼性の高い、エネルギー効率のよい画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明における画像形成装置の一実施形態を示す図である。
【図2】定着部分の概略図である。
【図3】本発明の定着ローラにおける表層の構成例を示す断面図である。
【図4】定着ローラ基材の表面に垂直な断面を示す図である。
【図5】フッ素樹脂の流動性と熱伝導率の関係を説明するための図である。
【図6】フッ素樹脂の周囲に金属粉を固着させる装置を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 感光体
6 定着装置
23 ハロゲンヒータ
24 定着ローラ
25 表層
26 加圧ローラ
27 定着ローラ基材
51 フッ素樹脂部分
52 熱の良導体凝集部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部材を有し、未定着トナーを担持する記録媒体に接触し該記録媒体を加熱し前記未定着トナーを定着する定着部材であって、該定着部材は、回転体を構成する基材と、該基材の外周側に設けられたフッ素樹脂材料に熱の良導体が混在した表層とを有し、該表層は、周囲を前記熱の良導体が囲むように凝集した粒状性を呈する前記樹脂材料を含むことを特徴とする定着部材。
【請求項2】
請求項1の定着部材において、前記熱の良導体として金属を用いたことを特徴とする定着部材。
【請求項3】
請求項2に記載の定着部材において、前記熱の良導体として、金、銀、銅、鉛、ニッケル、亜鉛、鉄、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ビスマス、錫のいずれか1つ以上を含む金属の粒としたことを特徴とする定着部材。
【請求項4】
請求項1の定着部材において、前記熱の良導体として絶縁性無機化合物を用いたことを特徴とする定着部材。
【請求項5】
請求項4に記載の定着部材において、前記熱の良導体として、珪素酸化物、珪素窒化物、珪素酸窒化物、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、アルミニウム酸窒化物、ホウ素酸化物、ホウ素窒化物、ホウ素酸窒化物、酸化マグネシウム、酸化チタン、サイアロン、ベリリアのいずれか1つ以上を含む粒としたことを特徴とする定着部材。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の定着部材において、前記表層は、水に対する接触角が80°以上であることを特徴とする定着部材。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の定着部材において、前記表層の、前記熱の良導体が囲むように凝集した部分の厚さは、前記基材の面に平行な断面において、30μm以下であることを特徴とする定着部材。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1つに記載の定着部材において、前記フッ素樹脂材料は、MFR(メルトフローレート)(372℃、荷重5kg)で6g/10分以下であることを特徴とする定着部材。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1つに記載の定着部材において、前記フッ素樹脂材料は、分子量の大きいPFA、およびカーボンを含むPFA、の少なくとも一方を有することを特徴とする定着部材。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1つに記載の定着部材において、前記表層は、その表面粗さが、Rz(10点平均粗さ)として2μm以下にすることを特徴とする定着部材。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1つに記載の定着部材の前記表層の作製法において、前記樹脂材料としてフッ素樹脂を用い、該フッ素樹脂の粒子に前記熱の良導体を表面被覆したものを一部、または全部使用し、前記回転体に静電塗装した後、加熱し、膜としたことを特徴とする定着部材表層の作製方法。
【請求項12】
請求項1ないし10のいずれか1つに記載の定着部材の前記表層の作製法において、前記樹脂材料としてフッ素樹脂を用い、該フッ素樹脂の粒子に前記熱の良導体を表面被覆したものを一部または、全部使用し、それらを水溶液中に分散し、その塗装液により、前記回転体に塗装した後、加熱し、膜としたことを特徴とする定着部材表層の作製方法。
【請求項13】
請求項1ないし10のいずれか1つに記載の定着部材と、該定着部材に接触して回転する回転体の接触部に前記記録媒体を挟持搬送して前記未定着トナーを定着することを特徴とする定着装置。
【請求項14】
請求項13に記載の定着装置において、前記定着部材に接触して回転する回転体も加熱部材を有することを特徴とする定着装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載の定着装置において、前記2つの回転体の少なくとも一方に離型剤を塗布する塗布手段を設けたことを特徴とする定着装置。
【請求項16】
請求項13ないし15のいずれか1つに記載の定着装置において、前記2つの回転体の圧接する接触部分の単位面積当たりの圧力が0.5[kgf/cm]以上となるよう設定したことことを特徴とする定着装置。
【請求項17】
請求項13ないし16のいずれか1つに記載の定着装置において、前記2つの回転体の圧接する接触部分の単位面積当たりの圧力が4.0[kgf/cm]以下となるよう設定したことことを特徴とする定着装置。
【請求項18】
請求項1ないし10のいずれか1つに記載の定着部材を用いて、ワックス含有のトナーの定着を行うことを特徴とする電子写真画像の定着方法。
【請求項19】
請求項13ないし17のいずれか1つに記載の定着装置を用い、前記2つの回転体の少なくとも一方に離型剤を塗布することを特徴とする定着方法。
【請求項20】
請求項13ないし17のいずれか1つに記載の定着装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−154503(P2006−154503A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347051(P2004−347051)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】