説明

定量吐出キャップ

【課題】使用勝手が良く、定量の液状物を吐出する定量吐出キャップを提供する。
【解決手段】キャップ本体4は、内部が容器口3と連通して、天壁部24を有する筒状部16と、該筒状部16の周りに配置され該筒状部16内と貫通孔25を介して連通する筒状部材31と、該筒状部材31の下端と筒状部16との間を閉塞する環状壁部12aと、筒状部材31の上端から弾性変形可能に延び、筒状部16の貫通孔25より上方の外面に設けた環状弁座24aに着座する環状弁体32と、環状弁座24aと環状弁体32と間に設けられる吐出口33と、筒状部16内に配置され、筒状部16と容器口3との間の連通を遮断する位置から筒状部16の貫通孔25を閉鎖する位置まで移動自在であり、液状物に対して浮上する機能を有する移動部材27と備えるので、使用勝手が良く、定量の液状物を吐出することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器口に嵌合され、容器内の液状物(例えば化粧水等)を一定量吐出させる定量吐出キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器内の液状物を定量吐出可能な従来技術として、特許文献1には、定量吐出容器は、容器本体の頂板と口部筒体と外壁とで区画形成された貯留室を備え、キャップの頂壁の内面中央に設けた円筒状の仕切壁内に計量室を備えると共に、キャップの頂壁に、ヒンジに対向した端部に注出口を設けて構成され、該定量吐出容器を倒立させて、内容物を計量室に流入させて、その後、定量吐出容器を正立状態に戻して、内容物を計量室から貯留室に流出させた状態とし、そして、開閉蓋を開放して、定量吐出容器を倒立させると、貯留室に貯留されている内容物が注出口を通って吐出されるが、内容物は既に計量室で計量されて貯留されているので、正確な量の内容物が注出口より吐出されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−151461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に係る定量吐出容器では、開閉蓋を開け容器を倒立させると内容物が一気に吐出してしまい、使用者にとって不都合が生じる虞があり、まだ改善する余地がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、使用勝手が良く、定量の液状物を吐出することが可能な定量吐出キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、容器口に装着されるキャップ本体を含む定量吐出キャップであって、前記キャップ本体は、内部が前記容器口と連通して、天壁部を有する第1筒状部と、該第1筒状部の周りに配置され、該第1筒状部に設けた貫通孔を介して第1筒状部内と連通する第2筒状部と、該第2筒状部の下端と前記第1筒状部との間を閉塞する環状壁部と、前記第2筒状部の上端と前記第1筒状部との間を閉塞するように弾性変形可能に延び、前記第1筒状部の貫通孔より上方の外面に設けた弁座に着座する弁体と、前記弁座と前記弁体との間に設けられる吐出口と、前記第1筒状部内に配置され、前記第1筒状部と前記容器口との間の連通を遮断する位置から前記第1筒状部の貫通孔を閉鎖する位置まで移動自在であり、前記第1筒状部内に流入する液状物に対して浮上する機能を有する移動部材と、を備えることを特徴とするものである。
請求項1の発明では、容器を倒立させると、移動部材が第1筒状部内と容器口とが連通するように下方に移動すると共に液状物が容器口から第1筒状部内を経由して第2筒状部内に流れ込み、移動部材が第1筒状部内の液状物に対して浮上する。その間、第1筒状部の周りで第2筒状部と弁体と環状壁部とで囲まれた環状空間、及び第1筒状部内でその天壁部と移動部材との間の空間のそれぞれに定量の液状物が貯溜され、移動部材が最終的に第1筒状部と容器口との連通を遮断する位置に到達する。そして、容器の胴部を押すと、内圧が上昇して移動部材が第1筒状部内を天壁部に向かって移動すると共に弁体が弁座から離れて上述したのように貯溜された定量の液状物が、弁体と弁座との間に現出した吐出口から外部へ吐出される。また、移動部材が最終的に第1筒状部の貫通孔を閉鎖する位置に到達するので以後の液状物の吐出が規制される。
【0007】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記キャップ本体に被冠される蓋体を備え、該蓋体は、該蓋体が前記キャップ本体に被冠された際、前記キャップ本体の第1筒状部の弾性変形可能な天壁部を押圧する押圧部を備えることを特徴とするものである。
請求項2の発明では、蓋体がキャップ本体に被冠された際、蓋体の押圧部がキャップ本体の第1筒状部の天壁部を押圧するので、第1筒状部内の移動部材を速やかに第1筒状部と容器口との連通を遮断する位置に降下させることが可能になる。
【0008】
請求項3に記載した発明は、請求項2に記載した発明において、前記蓋体は、該蓋体が前記キャップ本体に被冠された際、前記弁体を前記弁座に押圧する押圧部を備えることを特徴とするものである。
請求項3の発明では、蓋体がキャップ本体に被冠された際、蓋体の押圧部が弁体を押圧するので、弁体が弁座に密着されて吐出口を確実に閉鎖する。
【0009】
請求項4に記載した発明は、容器口に装着されるキャップ本体を含む定量吐出キャップであって、前記キャップ本体は、内部が前記容器口と連通して、天壁部を有する筒状部と、該筒状部に設けられる貫通孔と、該貫通孔周辺の外面に設けた弁座に着座して、該貫通孔を開放・閉鎖する弁体と、前記筒状部内に配置され、前記筒状部と前記容器口との間の連通を遮断する位置から前記筒状部の貫通孔を閉鎖する位置まで移動自在であり、前記筒状部内に流入する液状物に対して浮上する機能を有する移動部材と、を備えることを特徴とするものである。
請求項4の発明では、容器を倒立させると、移動部材が第1筒状部内と容器口とが連通するように下方に移動すると共に液状物が容器口から第1筒状部内に流れ込み、移動部材が第1筒状部内の液状物に対して浮上しつつ、第1筒状部内でその天壁部と移動部材との間の空間に定量の液状物が貯溜され、移動部材が最終的に第1筒状部と容器口との連通を遮断する位置に到達する。そして、容器の胴部を押すと、内圧が上昇して移動部材が第1筒状部内を天壁部に向かって移動すると共に弁体が弁座から離れて第1筒状部内に貯溜された定量の液状物が第1筒状部の貫通孔から外部へ吐出される。また、移動部材は最終的に貫通孔を閉鎖する位置に到達するので以後の液状物の吐出が規制される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の定量吐出キャップによれば、液状物を外部に定量吐出する際には、容器を倒立させた後容器の胴部を押すと、容器の内圧が上昇して第1筒状部内の移動部材が移動すると共に弁体が弁座から離れて定量の液状物が吐出口から外部に吐出される。
これにより、従来のように、開閉蓋を開け容器を倒立させると内容物が一気に吐出してしまうような状況を避けることができ、使用者の意思によって容器内の液状物を外部に定量吐出することができ、使用勝手が大幅に改善される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る定量吐出キャップの断面図である。
【図2】図2は、図1の要部を示し、(a)は上面図であり、(b)は断面図である。
【図3】図3は、(a)が図1の定量吐出キャップに採用された筒状部材の上面図であり、(b)が断面図である。
【図4】図4は、本定量吐出キャップから液状物が定量外部に吐出される様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を図1〜図4に基いて詳細に説明する。
図1に示すように、弾性変形可能な(または可撓性を有する)合成樹脂からなる容器本体2の容器口3には、容器本体2内の液状物(例えば化粧水)を、外部に定量吐出する定量吐出キャップ1が嵌合される。
本定量吐出キャップ1は、図1に示すように、容器口3に嵌合されるキャップ本体4と、該キャップ本体4にヒンジ部5を介して連結される蓋体6とからなる。これらキャップ本体4、ヒンジ部5及び蓋体6は合成樹脂により一体的に形成される。なお、蓋体6をヒンジ部5によりキャップ本体4に連結せずに、キャップ本体4と蓋体6とを別体で構成してもよい。
【0013】
図1に示すように、キャップ本体4には、天面部12の外周縁から下方に垂設される胴部11と、該胴部11の内側で同心円状に天面部12から下方に垂設され、容器口3の周壁に係合される第1筒状係合部13と、該第1筒状係合部13の内側で同心円状に天面部12を境に上下方向に延びる第2筒状係合部14と、該第2筒状係合部14の内側で同心円状に上下方向に延び、天壁部24を有する筒状部16(第1筒状部)とが形成される。第1筒状係合部13の内側には、同心円状に容器口3を押圧する断面三角形状の環状シール部18が天面部12の下面から突設される。なお、第2筒状係合部14と筒状部16とは、それぞれの高さ方向略中間位置にて環状壁部12aにより接続される。
【0014】
第1筒状係合部13の下部内周面には、容器口3の周壁に設けた環状突部17に係合する環状突部19が一条形成される。また、第2筒状係合部14の上部外周面には環状突部20が一条形成される。
図1に示すように、筒状部16の下端開放面には、底壁部21に貫通孔22を有する断面コ字状の嵌合部材23が嵌合される。一方、図2にも示されるように、筒状部16の、嵌合部材23が嵌合された反対側(上方)は弾性変形可能な天壁部24により閉鎖されている。該天壁部24はその外周面が截頭半球面状に形成されると共に内周面が半球面状凹部に形成される(ドーム状)。また、該天壁部24の外周を平行な二つの面で切り欠くことにより半球面状凹部に貫通孔25、25がそれぞれ形成される。なお、筒状部16の天壁部24の外面で各貫通孔25、25より上方の外面が、後述する環状弁体32が着座する環状弁座24aとなる。また、天壁部24の半球面状凹部の内面は、球状の移動部材27が当接可能な寸法で形成される。
【0015】
図1に示すように、筒状部16内には、球状の移動部材27が上下方向に移動自在に配置される。環状壁部12aを境に下側に延びる筒状部16は、下方に向かって拡開するテーパ孔に形成され、球状の移動部材27との間に液状物が通過する間隙が形成される。また、移動部材27の外径は嵌合部材23の貫通孔22より大径に形成される。
移動部材27は、容器本体2内に充填される液状物に対して浮上する物性を有するものである。例えば、移動部材27は材料自体が浮力を有するものであってもよいし、あるいは構造的に浮力を付与するように構成されたものでもよい。
移動部材27は、筒状部16内を、嵌合部材23の貫通孔22を閉塞する最も下方の位置から筒状部16の天壁部24の内周面に当接して各貫通孔25、25を閉鎖する最も上方の位置まで上下方向に移動可能である。
【0016】
図1及び図3に示すように、第2筒状係合部14の内側で、該第2筒状係合部14の上端内周面に突設された環状突部30と環状壁部12aの上面との間に環状弁体32を有する筒状部材31(第2筒状部)が嵌合され、該筒状部材31の外周面が環状壁部12aを境に上側に延びる第2筒状係合部14の内周面に当接される。
筒状部材31は、その上端内周面から内方へ斜め下方に向かって弾性変形可能な環状薄壁部35が延びており、該環状薄壁部35の先端に断面略三角形状の環状弁体32が形成される。
なお、筒状部材31の下端と筒状部16の外周面との間は環状壁部12aにより閉鎖され、筒状部材31内と筒状部16内とは、該筒状部16に設けた各貫通孔25、25により連通される状態となる。さらに、通常時には、筒状部材31に設けた環状弁体32が筒状部16の天壁部24の環状弁座24aに着座(当接)される。一方、容器本体2を押すことにより内圧が上昇すると、筒状部材31に設けた環状弁体32が筒状部16の天壁部24の環状弁座24aから離れて、環状弁体32と環状弁座24aとの間に環状の吐出口33(図4参照)が現出する。
【0017】
蓋体6は、図1に示すように、天面部40の外周縁から下方に垂設される胴部41と、該胴部41の内側で同心円状に天面部40から下方に垂設され、キャップ本体4の第2筒状係合部14の上部に係合される筒状係合部42と、該筒状係合部42から内側に同心円状に天面部40から下方に突設される環状押圧部43と、該環状押圧部43から内側で天面部40の略中央付近から下方に突設される球状押圧部44とから構成される。筒状係合部42の内周面には環状突部45が一条突設される。
【0018】
そして、本実施の形態に係る定量吐出キャップ1は次のように構成される。
すなわち、図1に示すように、キャップ本体4の筒状部16の下端に、貫通孔22を有する嵌合部材23が嵌合される。筒状部16の内部に移動部材27が配置される。移動部材27は嵌合部材23の貫通孔22を閉塞する最も下方の位置(筒状部16内と容器口3との連通を遮断する位置)と、筒状部16の天壁部24の内周面に当接して各貫通孔25、25を閉鎖する最も上方の位置との間を移動自在となる。
次に、第2筒状係合部14の内側で、該第2筒状係合部14の上端内周面に突設された環状突部30と環状壁部12aの上面との間に環状弁体32を有する筒状部材31を嵌合して、該環状弁体32を筒状部16の天壁部24の環状弁座24aに着座させ、吐出口33を閉鎖する。
【0019】
次に、蓋体6をキャップ本体4に被せて、蓋体6の筒状係合部42の内周面に設けた環状突部45を、第2筒状係合部14の上部外周面に設けた環状突部20に係合すれば、蓋体6の球状押圧部44が筒状部16の天壁部24の天面を押圧すると共に、環状押圧部43が筒状部材31の環状弁体32を押圧することで環状弁体32が筒状部16の天壁部24の環状弁座24aに密着される。
【0020】
上述した構成からなる本実施の形態に係る定量吐出キャップ1は、そのキャップ本体4の第1筒状係合部13に設けた環状突部19を、容器口3の周壁に設けた環状突部17に係合させることで、容器口3にキャップ本体4の第2筒状係合部14の下部が挿入されると共にキャップ本体4の胴部11の外周面と容器本体2の外周面とが略一致し、容器口3の天面にキャップ本体4の環状シール部18が密着されて、容器口3に装着される。これにより、筒状部16内と容器口3とが嵌合部材23に設けた貫通孔22を介して連通される。
【0021】
次に、本実施の形態に係る定量吐出キャップ1の作用について図4に基いて説明する。
液状物を定量吐出する際には、まず、蓋体6を被冠させた状態を維持してまたは蓋体6を開いて指で環状弁体32を押しながら容器本体2を倒立させる。すると、移動部材27が嵌合部材23の貫通孔22を開放するように下方に移動し、容器本体2内の液状物が容器口3から嵌合部材23の貫通孔22を経由して筒状部16内に流れ込む。この時、移動部材27は液状物に対して浮上する物性を有するので、筒状部16内に流れ込む液状物の量に応じて嵌合部材23の貫通孔22に向かって次第に浮上するようになる。さらに、筒状部16内に流れ込んだ液状物は各貫通孔25、25から、筒状部16の周りで筒状部材31と環状弁体32を含む環状薄壁部35と環状壁部12aとで囲まれた環状空間47に流れ込み貯溜されると共に、筒状部16内で天壁部24と移動部材27との間の空間48にも貯溜される。その後、液状物が前記環状空間47及び空間48に完全に充填されると、移動部材44は嵌合部材23の貫通孔22を閉鎖する位置に到達するのでその後の液状物の筒状部16内への流入が遮断される。
【0022】
次に、蓋体6を開いて、使用者が容器本体2の胴部を押すと容器本体2の内圧が上昇する。すると、図4から解るように、容器本体2内の加圧された液状物が移動部材27を押圧することで、移動部材27が嵌合部材23の貫通孔22を閉鎖する位置から筒状部16内を天壁部24に向かって移動すると共に、筒状部材31の上端から延びる環状薄壁部35が初期状態(図1で下方に向かって延びる状態)から略水平方向に延びるように弾性変形することで、先端の環状弁体32が筒状部16の天壁部24の環状弁座24aから離れる。この結果、筒状部16の周りで筒状部材31と環状弁体32を含む環状薄壁部35と環状壁部12aとで囲まれた環状空間47、及び筒状部16内でその天壁部24と移動部材27との間の空間48にそれぞれ貯溜された定量の液状物が、筒状部16の天壁部24の環状弁座24aと筒状部材31の環状弁体32との間に現出した環状の吐出口33から外部に吐出される。最終的に、移動部材27が筒状部16の天壁部24の内周面に当接する位置まで移動することで各貫通孔25、25が閉鎖されるために、その後の液状物の吐出が規制されると共に、筒状部材31の上端から延びる環状薄壁部35が復元して、環状弁体32が筒状部16の天壁部24の環状弁座24aに着座して吐出口33が閉鎖される。
【0023】
使用した後は、容器本体2を正立状態に戻せば、筒状部16内で、筒状部16の天壁部24の内周面に当接された位置にある移動部材27と嵌合部材23との間に貯溜された液状物が嵌合部材23の貫通孔22から容器本体2内に戻り、蓋体6をキャップ本体4に被せると、蓋体6の球状押圧部44が筒状部16の弾性変形可能な天壁部24の天面を押圧することで移動部材27が速やかに嵌合部材23の貫通孔22を閉鎖する位置まで降下する。これと同時に、蓋体6の環状押圧部43が筒状部材31の環状弁体32を押圧することで、該環状弁体32が筒状部16の天壁部24の環状弁座24aに確実に密着され、吐出口33が確実に閉鎖される。
【0024】
本実施の形態に係る定量吐出キャップ1では、球状の移動部材27が採用されたが、上部を半球状とした円柱体または円板体の移動部材27であってもよく、その形状は適宜選択しうる。
また、本実施の形態に係る定量吐出キャップ1では、筒状部材31の上端から連続して環状薄壁部35が延び、該環状薄壁部35の先端に環状弁体32を設けた形態を採用したが、筒状部材31を取り除き、第2筒状係合部14の上端から連続するように環状薄壁部35を設け、該環状薄壁部35の先端に環状弁体32を設けた形態を採用してもよい。この形態の場合には第2筒状係合部14が第2筒状部に相当する。
【0025】
以上説明したように、本実施の形態に係る定量吐出キャップ1では、容器本体2を倒立させた後容器本体2の胴部を押すと、容器本体2の内圧が上昇して筒状部16(第1筒状部)内の移動部材27が移動すると共に環状弁体32が環状弁座24aから離れて、筒状部16の周りで筒状部材31と環状弁体32を含む環状薄壁部35と環状壁部12aとで囲まれた環状空間47、及び筒状部16内でその天壁部24と移動部材27との間の空間48にそれぞれ貯溜された定量の液状物が吐出口33から外部に吐出される。
これにより、従来のように、開閉蓋を開け容器を倒立させると内容物が一気に吐出してしまうような状況を避けることができ、使用者の意思によって容器内の液状物を外部に定量吐出することができ、使用勝手が大幅に改善される。
【0026】
なお、他の実施の形態に係る定量吐出キャップ(図示略)において、図1に示す筒状部16の天壁部24に設けた各貫通孔25、25周辺の外面に環状弁座を設け、該環状弁座に筒状部材31から延びる環状弁体32を着座させるように構成してもよい。この形態の場合には、容器本体2を倒立させた際、液状物が筒状部16内でその天壁部24と移動部材27との間の空間48だけに貯溜される。
そして、液状物を定量吐出する際には、容器本体2の胴部を押圧すれば、移動部材27が筒状部16内を天壁部24に向かって移動すると共に、筒状部材31の上端から延びる環状薄壁部35が弾性変形することで、環状弁体32が環状弁座から離れて、空間48内に貯溜された定量の液状物が各貫通孔25、25から外部に吐出される。
【符号の説明】
【0027】
1 定量吐出キャップ,2 容器本体,3 容器口,4 キャップ本体,6 蓋体,12a 環状壁部,16 筒状部(第1筒状部),22 貫通孔,24 天壁部,24a 環状弁座(弁座),25 貫通孔,27 移動部材,31 筒状部材(第2筒状部),32 環状弁体(弁体),33 吐出口,35 環状薄壁部,43 環状押圧部(押圧部),44 球状押圧部(押圧部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口に装着されるキャップ本体を含む定量吐出キャップであって、
前記キャップ本体は、内部が前記容器口と連通して、天壁部を有する第1筒状部と、
該第1筒状部の周りに配置され、該第1筒状部に設けた貫通孔を介して第1筒状部内と連通する第2筒状部と、
該第2筒状部の下端と前記第1筒状部との間を閉塞する環状壁部と、
前記第2筒状部の上端と前記第1筒状部との間を閉塞するように弾性変形可能に延び、前記第1筒状部の貫通孔より上方の外面に設けた弁座に着座する弁体と、
前記弁座と前記弁体との間に設けられる吐出口と、
前記第1筒状部内に配置され、前記第1筒状部と前記容器口との間の連通を遮断する位置から前記第1筒状部の貫通孔を閉鎖する位置まで移動自在であり、前記第1筒状部内に流入する液状物に対して浮上する機能を有する移動部材と、
を備えることを特徴とする定量吐出キャップ。
【請求項2】
前記キャップ本体に被冠される蓋体を備え、
該蓋体は、該蓋体が前記キャップ本体に被冠された際、前記キャップ本体の第1筒状部の弾性変形可能な天壁部を押圧する押圧部を備えることを特徴とする請求項1に記載の定量吐出キャップ。
【請求項3】
前記蓋体は、該蓋体が前記キャップ本体に被冠された際、前記弁体を前記弁座に押圧する押圧部を備えること特徴とする請求項2に記載の定量吐出キャップ。
【請求項4】
容器口に装着されるキャップ本体を含む定量吐出キャップであって、
前記キャップ本体は、内部が前記容器口と連通して、天壁部を有する筒状部と、
該筒状部に設けられる貫通孔と、
該貫通孔周辺の外面に設けた弁座に着座して、該貫通孔を開放・閉鎖する弁体と、
前記筒状部内に配置され、前記筒状部と前記容器口との間の連通を遮断する位置から前記筒状部の貫通孔を閉鎖する位置まで移動自在であり、前記筒状部内に流入する液状物に対して浮上する機能を有する移動部材と、
を備えることを特徴とする定量吐出キャップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−98768(P2011−98768A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255967(P2009−255967)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000220206)東京ライト工業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】