説明

実装基板および実装基板を用いた回路装置

【課題】大電流用および小電流用の導電パターンを形成しても、工程を複雑にせず、かつファインパターン化が可能な実装基板および実装基板を用いた回路装置を提供する。
【解決手段】絶縁樹脂から成るコア層52と、コア層52の表側に設けられた第1の導電パターン53と、コア層52の裏側に設けられた第2の導電パターン54と、第1の導電パターン53の中の大電流用の第1の電極64と第1の電極64と対応して設けられた第2の導電パターン54の外部電極73との間に設けられたVia72とを有し、第1の導電パターン53と第2の導電パターン54は、同じ膜厚で、大電流がVia72を介して外部電極73に流れるように、Via72の抵抗値を低くした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装基板およびこの実装基板を用いた回路装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、電子機器が身の回りにあり、ポケットやバックから取り出して、色々な情報が取れるようになって来た。これは、携帯機器が小型・軽量となってきた事が一つの原因でも有る。名刺サイズの携帯電話、名刺2枚程度のスマートフォンが現れ、世界のどこに居ても情報処理が可能となっている。
【0003】
この小型・軽量化を実現させた要因は、色々とあるが、その第1の要因として、ICの高機能化がある。色々な機能がICチップに作りこまれ、しかも小型になっている。そして、この小型化したICチップは、端子数も増え、この端子サイズも小さくなっている。
【0004】
続いて第2の要因は、このICチップを実装するインターポーザである。このインターポーザは、セット用の基板とICチップの間に挿入されるもので、ICチップとセット用の基板の熱膨張係数αの違いを緩和するものである。
【0005】
このインターポーザ(以下実装基板と呼ぶ)は、絶縁性樹脂をベースとし、αの調整のために、酸化Si、酸化Al等の粒状フィラーや、ガラスまたはカーボン等の繊維状のフィラーが練りこまれている。
【0006】
図6に実装基板10を示す。一例として、2層基板を示し、11が絶縁性樹脂からなるコア層である。そしてこのコア層11の表面・裏面には、導電パターンが設けられている。コア層11の表側には、第1の導電パターン12が設けられ、裏側には第2の導電パターン13が設けられている。この第1の導電パターン12は、チップ実装用のアイランド、ボンディングパッドまたは配線等からなり、第2の導電パターン13は、セット用の基板との接続のため、半田ボール用の電極パッドが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平01−266786号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、実装基板10の高機能化に伴い、この実装基板には、小電流用の薄い導電パターン12Aと大電流用の厚い導電パターン12Bが必要に成って来た。特許文献1は、金属基板に適用したものであるが、厚い導電パターンと薄い導電パターンを2回のエッチングで実現している。
【0009】
例えば、インバータモジュールなどは、図6に示す様に、大電流が流れるトランジスタ14と、このトランジスタ14を制御する制御IC15がある。そしてこのトランジスタ14は、大電流が流れるため、厚い導電パターン12Bを必要とし、制御IC15は、さほど電流を必要としないので、薄い導電パターン12Aを必要とする。
【0010】
しかしながら、この実装基板10に厚みの異なる導電パターンを設ける事は、前述したように、製造工程を増やす原因となった。つまり予め厚い膜のCu箔を用意し、エッチングを2回行って厚い膜厚と薄い膜厚を用意しなければならない。
【0011】
別の方法として、小電流用の導電パターン12Aを、あえて薄くせずに、厚い導電パターン12と同じ膜厚で代用しても良い。しかしながら、この場合、以下の問題が有る。
【0012】
一般に、Cuパターンは、コストの面から、ウェットエッチングで実現されている。よって等方的にエッチングされ、厚いCuパターンでは、その分、横方向のエッチングも進み、ファインパターンが形成できない問題があった。つまり薄い導電パターンでエッチングすれば、その分、ファインパターンを高密度に配置できるが、この厚い導電パターンで代用すれば、この分を犠牲にしている。
【0013】
図7は、4層の導電パターンから成る実装基板20を示すものである。表側の最表面の導電パターン21Aが例えば70μmとすると、前述したように膜厚が厚い事から、140〜150μm程度のL/Sである。しかし最近では、ノイズや処理スピードの観点から、制御ICは、フリップチップ実装が好まれる。フリップチップで実装すれば、金属細線がいらず、信号の流れる配線長を短くできるからである。
【0014】
このフリップチップ実装であると、端指数も増え、端子密度もかなり高いことから、近年では、L/Sが100μm位は必要である。よって膜厚70μmのCu箔を用いると、膜厚が厚い分、L/S100μmを実現できず、フリップチップ実装が困難になる場合がある。
【0015】
よって膜厚70μmよりも薄い銅箔(例えば50μm)で導電パターン21Aを実現しようとすれば、今度は、パワートランジスタ14から流れる大電流を流すことができない。その為、図7(A)の様に、Via22を介して大電流を流そうとした。しかしこの場合、Via22は、ドリルで実装基板20を開けて、そのVia22にメッキを付けて埋めていた。ところが、ドリル等の加工工程が付加される為、Viaの真上の電極22Aは、凹凸があり、ボンディングが難しかった。
【0016】
よって図7(B)の様に、Via22の真上を避けて、実装基板20の平らな上に形成された導電パターン22Bにワイヤボンドをしていた。
【0017】
しかしながら、ここの導電パターン22Bは、50μmの銅箔であり、抵抗分があり、前記トランジスタ14の電流を流せば、導電パターンが溶断したり、実装基板20自体が温度上昇する問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、前述した課題に鑑みて成されたものであり、
絶縁樹脂から成るコア層52と、前記コア層52の表側に設けられた第1の導電パターン53と、前記コア層52の裏側に設けられた第2の導電パターン54と、前記第1の導電パターン53の中の大電流用の第1の電極64と前記第1の電極64と対応して設けられた前記第2の導電パターン54の外部電極73との間に設けられたVia72とを有し、
前記第1の導電パターン53と前記第2の導電パターン54は、同じ膜厚で、前記大電流がVia72を介して前記外部電極73に流れる様に、前記Via72の抵抗値を低くする事で解決するものである。
【発明の効果】
【0019】
大電流用のパッド64は、薄い膜厚でなるが、その下には抵抗値の低いVia72が設けられている。よって必ずパッド64とコンタクトしたVia72を介して裏面に流れ、表側の第1の導電パターン側には流れない。よって、小電流用をメインにして第1の導電パターンを描けばよい。その結果、第1の導電パターンは、膜厚を薄くでき、ファインパタ
ーンを描け、エッチングも1回ですむことからコストダウンにつながる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実装基板または回路装置を説明する図である。
【図2】本発明の回路装置の製造方法を説明する図である。
【図3】本発明の回路装置の製造方法を説明する図である。
【図4】本発明の回路装置の製造方法を説明する図である。
【図5】本発明の回路装置の製造方法を説明する図である。
【図6】従来の実装基板または回路装置を説明する図である。
【図7】従来の実装基板または回路装置を説明する図である。
【図8】本発明の回路装置を説明する図である。
【図9】本発明の回路装置を説明する図である。
【図10】本発明の回路装置の製造方法を説明する図である。
【図11】本発明の回路装置の製造方法を説明する図である。
【図12】本発明の回路装置の製造方法を説明する図である。
【図13】本発明の回路装置を金属基板に実装した図である。
【図14】本発明の回路装置をセット用の基板に実装した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施例について説明する。
まず本発明は、実装基板と回路装置という名称を採用した。ここで、回路装置は、本発明の実装基板を採用したものである。仮に、半導体素子と受動素子を採用している場合は、混成集積回路装置と成る。しかし実装基板に半導体素子だけが実装された場合、半導体装置である。またLEDを実装したら、発光装置または照明装置であり、更にパワートランジスタとその制御ICを実装し、仮にインバータモジュールにしたらパワーモジュールである。ここでは、これらを総称して回路装置とした。更には、この回路装置を金属基板、プリント基板またはセラミック基板等に実装したものを基板モジュールとした。
【0022】
では、図1の2層基板から成る実装基板50およびこれを採用した回路装置51について説明する。尚、実線が表側の第1の導電パターン53、太い点線が裏側の第2の導電パターン、そして細い点線がViaを示している。
【0023】
先ずこの実装基板50のコア層52は、絶縁性樹脂から成り、熱硬化性、熱可塑性樹脂からなる。一例として、ポリイミド、エポキシ系樹脂等からなり、この樹脂の中には、従来例で説明したように、フィラーが混入されている。このフィラーは、粒状、破砕状、繊維状で、材料としては、酸化Si、酸化Alまたはガラス等からなる。ここでは、エポキシ樹脂にガラス繊維が織り込まれた、ガラスエポキシ樹脂が採用され、厚みは約100μmである。また、炭素繊維が織り込まれても良い。セット用の基板と実装される半導体素子との熱膨張係数αの違いを小さくするために混入されるものである。
【0024】
続いて導電パターンについて説明する。表側の第1の導電パターン53および裏側の第2の導電パターン54は、約30μm〜50μmの膜厚で、その材料は、Cu、Cuを主材料とする金属またはCuを主材料とする合金等から成る。方法は、メッキにより、実装基板に生成させても良いし、予めこれらの材料から成るCu箔が用意され、実装基板に貼り合わされても良い。ここで貼り合わせタイプのCu箔は、メッキにより成長させたもの、またはメッキ膜を圧延した圧延Cuでも良い。
【0025】
実装基板50の表の第1の導電パターン53は、図1(A)に示す様なパターンで成る。具体的には、半導体素子、ここではパワートランジスタ55Aやこれを制御する制御IC55Bを実装する第1、第2のアイランド56A、56B、小電流用の第1、第2、第
3の配線57、58、59、小電流用の第1、第2のパッド60、61、大電流用の第3、第4のパッド62、64等から成る。また配線は、単独でアイランド状になるもの(図面では省略されている。)、符号57の様にアイランドと一体でなるもの、符合59の様にパッドと一体で成るものがある。
【0026】
また裏側の第2の導電パターン54は、半田等のロウ材が設けられる外部電極、配線等からなる。外部電極は、その上に半田をスクリーン印刷で載せたり、半田ボールが載せられ、加熱されて溶融される。また半田の代わりにAgペースト等の導電ペーストが設けられても良い。また裏側では、配線は、普通は必須ではなく、表側のスペースに余裕が無い場合などで、必要により設けられたりする。
【0027】
更に図1(B)に示すように、Via71〜72が、絶縁基板50を貫通する様に設けられる。このViaは、メッキで埋められる(Via内部に若干のスペースがあっても良い)か、半田や導電ペーストで埋められる。特に力説するポイントは、表側の第1の導電パターンが、実装基板の平坦度をトレースする様に平坦である事である。これは後述するが、図2〜図3に示すように、裏側の第2の導電パターンに開口部OPを設けて、メッキ、導電ペーストまたは半田等が埋め込まれ、表側の第1の導電パターンは、表面を荒らすような加工工程が加わらないため、メッキされたままの状態、或いは、貼りあわされたままの平らな導電パターンである。
【0028】
以下、本発明のポイントについて説明する。
【0029】
まず、実装基板50の表側に設けられた第1の導電パターン53は、全て、同一の膜厚からなり、具体的には、小電流用の薄い導電パターンからなり、ここでは、40〜50μmである。そして小電流は、少なくとも薄い第1の導電パターン53を流れる。ただし必要によっては、Viaを介して裏側の第2の導電パターンへ流れても良い。そして大電流は、Viaの真上の導電パターン、ViaそしてViaの真下の導電パターンのルートで流れる。
【0030】
図1(B)を見て、具体的に説明する。制御IC55Bと接続された細線から成る金属細線74は、左側の第1の導電パターン53の右端(ここは例えば第1のパッド60である。)に接続され、ここに流れる小電流は、第1の導電パターン53を左側の方向へ流れる。ここでは、図示されていないが、表面の配線を介して別の回路素子と電気的に接続されたり、外部端子へと向かう。また第1の導電パターン53を矢印の様に流れ、途中でVia70を介して第2の導電パターン54へと流れても良い。この小電流は、電流、または信号が小さいので、表、または裏の薄い導電パターンへ流しても何の問題も無いからである。
【0031】
一方、大電流は、そうはいかない。つまり第1の導電パターンも第2の導電パターンもその膜厚が薄いからである。これは、繰り返すが、表側の導電パターンをファインにして、高密度にしたいからである。例えば制御ICのパッドからワイヤボンディングする際、何本もの配線をクロスオーバーする場合がある。しかし厚いとその間隔が広がり、ボンディングワイヤの長さが必要となるからである。
しかしながら、この大電流は、パワートランジスタ55Aから流れ出たり、またはパワートランジスタ55Aに流れ入る二つのケースが考えられる。例えば、チップ表面から太線の金属細線75を介して大電流用のパッド63へ流れ出る。そしてVia71が設けられてあるため、表の配線に流れず、Viaを介して裏面へと流れる。ここで第4のパッド64は、太線2本が接続できるエリアが確保されているが、それぞれ別々になってもよい。また符合61は、ゲートと細線で接続される第2のパッドであり、符号58は、この第2のパッド61と一体でなる配線である。
【0032】
また導電パターン73から、Via72、太線75を介してパワートランジスタ55Bへと流れる。どちらにしても、Viaの抵抗は、導電材料で埋め込まれ、第1の導電パターンまたは第2の導電パターンの抵抗よりも低いため、Viaの真上で金属細線が接続されれば、大電流は必ずViaを介して流れる。
【0033】
つづいて第1のアイランド56Aについて説明する。ここでは、パワートランジスタ55Aの裏面から電流が流れ出たり、トランジスタの裏面へ入ったりする部分である。よってパワートランジスタ55Aの裏面に相当するアイランドの領域には、Via72が少なくとも1個設けられている。図1(A)では、一つのトランジスタ55Aに対して4つ形成されている。尚、チップ裏面が共通接続されるため、一つのアイランド56Aに3つのトランジスタ55Aが設けられている。
【0034】
しかしながら、1つのアイランドに少なくとも1つのトランジスタが設けられ、表のアイランドと裏の導電パターンとの間には、少なくとも1つのViaが形成され、Viaの真上にパワートランジスタが固着されれば良い。例えば図1(C)〜(D)は、絶縁基板50の裏側から第2の導電パターンを見たものである。斜線でハッチングしたエリアはソルダーレジストである。そして例えば点線が絶縁基板50の表側のアイランド80であり、図示は省略するが1つのパワートランジスタ55Bが電気的に接続されて固着されている。そして実線が絶縁基板50の裏に設けられた裏面電極81である。
【0035】
つまり図1(C)は、パワートランジスタ1つに対してViaが一つ、そして裏面電極も一つ、更にソルダー固着エリアも一つで、Viaの真上にパワートランジスタが固着される。図1(D)は、パワートランジスタ1つに対してViaが4つ、そして裏面電極は一つ、更にソルダー固着エリアも一つであり、4つのViaの上にパワートランジスタが設けられる。図1(E)は、パワートランジスタ1つに対してViaが4つ、そして裏面電極はViaそれぞれに裏面電極が設けられて4つあり、更にソルダー固着エリアも4つである。この様に、裏面電極は、フレキシブルティを持って形成される。
【0036】
図1では、ラフに図示したが、前にも説明したように、表の第1の導電パターン53は、膜厚が薄いことから、横方向のエッチング量を無くせ、パターン間隔を狭めることができる。つまりファインパターンが要求される制御ICが実装可能となる。紙面の都合から、これら導電パターンは、ラフに描かれているが、制御ICは、ピン数が20〜100ピン程度、またはそれ以上のものもあり、IC側のパッド電極と接続される実装基板表のパッド、それと一体の配線は、薄い膜厚故に、ラインアンドスペースを狭く、高密度にパターニングできる。そして大電流は、薄い導電パターンの抵抗分から、この薄い導電パターンに流すことが好ましくない。そのため、大電流が流れ込む(或いは出る)所のパッドまたは電極に相当する部分62、64は、Via72が設けられ、このViaは、導電材が埋め込まれているために、抵抗分がきわめて小さい。よって図1(B)に示す太い矢印の様に、Via72を介して裏面電極へと流れていく。そして裏面電極に対応して設けられたセット用の基板の電極と電気的に接続され、セット用の基板側へ電流が流れる。セット用の基板(SB)に実装された一例を図14(A)に示す。基板は、金属基板、ガラスエポキシ基板、セラミック基板等が考えられる。ここでは、回路装置51の裏面に半田が設けられ、この基板(SB)と接続されている。
【0037】
よって本来、厚い導電パターンが必要であったり、更に上層に導電パターンを積む必要があった回路基板は、薄い2層の回路基板で済むことになる。結果、先ず回路基板の工程が減り、コストを減らせる。更には薄くて済むことから、絶縁基板の厚みが減らせるメリットがある。
厚いCu箔を保持するには、反りの関係からコア層を厚くすることがある。逆に本発明で
は、Cu箔が薄いことから、コア層を薄くすることも可能となる。よって絶縁樹脂で、熱抵抗が大きいと言えど、その厚みが薄くできるため、熱抵抗を小さくすることができる。すれば、基板の温度上昇が抑制でき、基板の反りも無くすことができる。よって実装基板裏面に設けられたハンダボールのフラタナリティも向上し、プ基板(SB)への実装性も向上する。
【0038】
尚、図14(B)の場合の様に、絶縁性樹脂IRに裏面の導電パターンを埋め込んでもよい。
【0039】
図1では、回路素子が実装されたモジュールであるが、ポッティング、トランスファーモールド、ケース材等で封止しても良い。
【0040】
続いて、図2から製造方法を説明する。
先ず図2(A)に示す様に、コア層52に薄いCu箔100、101が積層されたものを用意する。ここでは、この後、メッキでCuを被覆することから、メッキ基板102と呼ぶことにする。この薄いCu箔は、コア層にメッキで積んだものである。しかしながら、予めメッキで形成されたCu箔、またはこのメッキ膜から成る箔を圧延した圧延Cu箔を用意し、貼りあわせても良い。また完成品の導電パターンの膜厚を約30μm〜50μmとすれば、図3の工程でメッキを施すため、ここの膜厚はその分を差し引いた膜厚である。そして平らなコア層にメッキを施したり、別途平らな面にCu箔を形成してCu箔とするため、図2(A)の両面のCu箔100、101は、平坦性を有する。
【0041】
またコア層52は、ガラスエポキシ樹脂としたが、他に他の絶縁樹脂でも良い。
【0042】
続いて図2(B)に示す様に、裏面側のCu箔にエッチングレジスト103を形成し、ホトリソグラフィによって、Via71、72に相当する部分を露出させる。(以下、ここの露出部分を開口部と呼ぶ。)そして裏側のCu箔101をエッチングする。エッチャントは、ウェット用で、例えば塩化第2鉄、または塩化第2銅等が入った水溶液である。よって開口部に相当する部分のCu箔がエッチングされる。
【0043】
続いて、このエッチングレジスト103を取り除くと、Viaに相当する部分で、コア層52が露出する開口部が形成される。(図面では省略している。)
そして裏面にレーザ照射を行い、前記開口部に相当する部分のコア層を取り除く。Viaの平面形状は、一般に円であるため、取り除かれた部分は、円柱または上からスカート状に広がった形状(ちょうど断面では台形、または立体で見たら、円錐の頭をカットしたような形状)となる。一般には、図2(C1)の様に、表面は、そのままで、裏面のViaの部分だけが開口されて、表のCu箔100の裏面が露出する。ここでその部分をホールと名づける。染めて
また図2(C2)の様に、開口部のエッチングの際に、表のCu箔100をパターニングしても良い。またホールHは、前述したようにレーザーで取り除く。
【0044】
続いて、図3の工程を説明する。ここでは、メッキ工法を行ってメッキ膜105、106を形成し、パターニングする工程である。先ずは、図3(D1)に示すように、メッキ工法を使ってホールHを埋めVia71、72を形成するが、ここでは、無電解メッキ、その後、電界メッキを行う。無電解メッキは、成膜エリアに選択性が無いので、表面、裏面の全域に付く。続いて、この無電解メッキ膜の上に電界メッキ膜を形成するため、結局両者共に全面に形成される。尚、図3(D1)は、Via71、72を完全に埋めているが、ホールHの中は、非完全充填でも良い。つまり表面に形成されたCu膜のシート抵抗よりも、ホールHの側壁に付いたCu膜のシート抵抗が低くなれば良く、完全に埋める、埋めないは、特にここでは問題ではない。
【0045】
続いて、図3(E)に示すように、表と裏のCu膜をエッチングして、第1の導電パターン53、第2の導電パターン54にパターニングして、実装基板50が完成する。またここでは、図示してないが、図1(C)〜(E)で説明したように、表と裏の全面にソルダーレジストを形成し、外部電極となる部分を、フォトリソグラフィーを使って開口する。そしてこの開口部には、例えば半田等のロウ材、または導電ペースト等が形成される。
【0046】
また図2(C2)の工程を経たものは、図3(D2)へ進む。やはりここでも、無電解メッキ、その後に電解メッキを経るため、表も裏も全面に形成される。そして、図3(E)の如く、パターニングされる。
【0047】
どちらの工程を経ても、図2(A)で用意された膜100、101が平坦性を有し、メッキ膜は、その平坦度をトレースするので、完成した第1の導電パターン53、第2の導電パターン54は、平坦性を維持することができる。よって図3(F)に示す様に、via71、72の上の導電パターンに金属細線がボンディングされても、その接続強度、接続抵抗等は、良好となる。
【0048】
以上は、2層の実装基板50で説明したが、この技術的思想は、4層、6層、8層・・・なる実装基板でも適用ができる。
【0049】
以下4層基板を例にして、図4で簡単に説明する。
先ず2層基板200の表と裏に絶縁層201を介してCu箔202、203をメッキ法で成膜するか、予めCu箔を用意して貼り合わせる。
【0050】
続いて、図4(B1)に示すように、裏面のviaに相当するCu箔の部分をエッチングして開口部204を形成し、レーザでViaの部分の絶縁層、コア層を取り除く。
【0051】
或いは、図4(B2)に示すように、Viaに相当する部分のCu箔をエッチングする際に、表のCu箔をエッチングし、その後で、レーザでViaの部分の絶縁層、コア層を取り除いても良い。
【0052】
そして、両工程とも、その後に、Viaも含め、表と裏に無電解、電解メッキを施す。図4(B1)では、図5(C1)の如くなるため、そのあとは、表と裏をパターニングすればよい。
【0053】
図4(B2)の場合も、全域にメッキ膜が成長するので、やはりエッチングによりパターニングして、図5(C1)の様に完成させる。その後は、ソルダーレジストを2層基板の説明と同様に処理をする。
【0054】
図1の実装基板50は、薄い膜厚を採用しているため、大電流用の表側の電極62、または64は、それに対応する裏面の導電パターンとVia72を介して接続されている。そして、電流は、Via72から裏面の電極を経て、セット用の基板の電極と接続される。逆に、裏面の大電流の電極73は、この位置から他へと配線で流すことは難しい。つまり厚みが無く、抵抗分があることからである。
【0055】
そのため、図8、図9は、裏面の導電パターンの膜厚を厚く形成した。この様に裏面の導電パターンを厚くすれば、大電流をこの配線に流すことができる。
【0056】
図8は、2層基板、特に、表が薄く、裏が厚い2層基板を金属基板300に貼りあわせている。ここでは、回路装置51が実装される領域に於いて、金属基板300には、導電
パターンが設けられていない。しかし図14(B)の如く、金属基板300に電極や導電パターンが設けられ、電気的に接続されても良い。
【0057】
この金属基板300は、Al、またはCuを主材料とするものである。Alの場合は、表面を酸化処理すると、耐蝕性、絶縁性に優れるが、この酸化膜は省略しても良い。そしてこの2層の実装基板は、絶縁性樹脂IRにより貼り合わされている。ここでは、絶縁性樹脂中に、裏面の厚い導電パターン54、73が埋め込まれている。尚、この絶縁性樹脂は、金属基板側の絶縁性樹脂、その上に埋め込み様の絶縁性樹脂が設けられても良い。
【0058】
図8(B)に於いて、点線がコア層52の裏側の電極である。符号301の様に、この厚い第2の導電パターン54、73は、電極および配線の機能を有する。またヒートシンクの役割も持っている。パワートランジスタ55Bから出る大電流は、太いワイヤ75を介して裏側の厚い第2の導電パターンへと流れる。Viaの真上は、表面を荒らす工程が付加されていないので平らであるため、良好な接続となる。そして、電流は、、裏の第2の導電パターン301の一端から配線となるパターンを通過し、金属基板側面302の近傍に位置する実装基板50の端まで流れる。そしてここでは、コア層52にViaが設けられ、表側の第1の導電パターンLと電気的に接続されている。よってリード接続パッドLへと、電流は、再度表側へと流れる。
【0059】
この様にすることで、必要によって、金属基板300の側面302の近傍で、リード接続パッドLに外部リードを接続することができる。
【0060】
尚、図示してはいないが、この金属基板および実装基板50は、トランスファーモールドを使って絶縁性樹脂により封止しても良い。金属基板の裏面も含めて絶縁性樹脂で覆っても、または裏面は露出させても良い。更には、ケース材、キャン等で封止しても良い。
【0061】
以上、裏面の導電パターンが厚いタイプは、図1の構造と異なり、実装基板の裏側は、配線の機能をもたせることができる。その為、回路構築の融通が増す。更に、第2の導電パターンは、厚みが厚いことから、ヒートシンクとして機能し、その熱は、金属基板へと伝えられる。
【0062】
図9は、金属基板の代わりに、通常半導体で採用するリードフレームのアイランドに実装基板50を貼りあわせたものである。ここでは、SIPで図示してあるが、DIPでも良い。リード601は、アイランドと一緒にリードフレームとして用意され、一端は、アイランド600の近傍に位置している。よって前実施例と同様に、アイランド600側面の近傍に位置する実装基板50まで、裏面の第2の導電パターンで引き回す事ができる。
【0063】
ワイヤボンディングポイント、つまりVia72の真上は、平らであるため、良好な接続となる。そして電流は、このVia72を通り、裏の第2の導電パターン301へと流れる。そして裏面の電極73から配線となるパターンを通過し、アイランド600の側面602の近傍まで流れる。そしてここには、コア層52にViaが設けられ、表側の第1の導電パターンに流れる。ここでは、リードの接続パッドLとViaが接続されているため、電流は、再度表側へと流れ、接続されているリードへと流れる。
【0064】
この様にすることで、アイランド600の側面の近傍(実装基板50の周辺)で、リードとリード接続パッドを金属細線にて接続することができる。尚、外側の太い実線は、封止用の絶縁樹脂で、アイランド、その上に実装された回路素子等が封止されている。
【0065】
図10で、実装される回路装置51の製造方法について説明する。
【0066】
図10(A)は、絶縁性樹脂からなるコア層52の両面にCu箔が貼りあわされている。表面のCu箔100よりも裏面のCu箔101の方が厚く成っている。これは、前述したように、実装基板裏面で大電流の通路、配線を確保するためである。これらCu箔は、メッキで成膜しても、予めCu箔が用意され、貼りあわせてもよい。
【0067】
続いて、Viaとなる開口部104を形成する。図10(B)では、エッチングレジスト103を裏面に被覆し、Viaに相当する部分を露出させる。そしてその後、このレジストをマスクにして裏面のCu箔101をエッチングする。この部分は、コア層52が露出し、後のレーザ照射部分となる。
【0068】
続いて、図10(C)の如く、レーザで絶縁性樹脂を取り除く。図10(C1)は、表のCu箔100がパターニングされていない状態でレーザ照射するもので、図10(C2)は、表面のCu箔100がパターニングされた後で、レーザ照射するものである。尚、この時、リード固着パッドLの部分にもViaが形成される。
【0069】
また表のパターニングは、図10(B)のViaの所のパターニングと同時にするか、その工程の前後で、パターニンクされる。
【0070】
続いて図11(D)を説明する。図10(C1)が、図11(D1)に相当し、図10(C2)が図11(D2)に相当する。
【0071】
この工程は、メッキ処理、半田埋め込み、導電ペースト埋め込み等と色々とある。ここでは、Via104にメッキによりCuを埋め込んでいる。Viaの内壁は、絶縁性樹脂が露出しているため、無電解メッキ、続けて電解メッキで導電材料が成膜、埋め込まれていく。尚、ここでは、Cuメッキを採用するが、Auメッキ等、メッキで成膜できる材料が選択される。
【0072】
続いて、図11(E)の如く、表と裏のCu箔をパターニングする。ここでは、レジストを用いず、両面を全面エッチバックしても良い。またエッチングレジストを形成し、分離部分のレジストを取り除いて、ウェットエッチングでパターニングしても良い。尚、表と裏を同時でも良いし、別々にエッチングしても良い。
【0073】
続いて、図12の如く、金属基板への貼りあわせ工程がある。
【0074】
ここでは、金属基板300側に硬化前の絶縁性樹脂IRが設けられ、加熱して軟化した状態で実装基板50を埋め込む。その後、熱を加えて硬化する。
【0075】
逆に、実装基板50側に接着剤が塗布されるか、シート状の絶縁性樹脂から成る接着剤が設けられ、金属基板300に熱圧着される。よって実装基板50側の厚い導電パターンは、金属基板と実装基板の間に設けられた絶縁性樹脂IRに埋め込まれる。
【0076】
そして図示していないが、図8の如く、素子の実装、電気的接続が成される。
【0077】
この様にすれば、この基板モジュールは、表の薄い導電パターンで小電流、小信号を扱い、裏面の厚い導電パターンで大電流、大信号を扱う事が可能と成る。しかも金属基板と実装基板の間で大電流用の配線が設けられるため、図8(B)のリードパッドの部分の様に、大電流、大信号用の信号を裏面側で再配線し、金属基板の外周近傍(側辺ょ)で表側に取り出すことができる。
【0078】
図13は、図12の後で、素子を実装する際に、半導体素子をフェイスダウン実装した
ものである。パワートランジスタ55Bの場合は、チップ裏面に、金属板が設けられ、チップ裏面と実装基板の電極が電気的に接続される。
【0079】
また板ではなく、図13(B)の如く、缶タイプの電極でも良い。上面の裏側でチップ裏面が固着され、上面の周囲から円筒またはBOX状に下方に側面が延在し、下方で鍔状に水平に延在した電極でも良い。
【0080】
この場合、鍔状の電極に対応する何処にでもViaが設けられ、流路が板と異なり拡大できるので大電流に適する。
【0081】
またチップ裏面がドレインまたはソースで、チップ表はViaがある所は、ソースまたはドレインで、Viaが無い部分はゲートである。更に、パワートランジスタの代わりにICがフェイスダウンで実装されても良い。
【0082】
尚、図13の場合、トランスファーモールドで封止しても良い。
【0083】
また図12では、金属基板300側に電極や配線などの導電パターンが形成されていない。これは、少なくとも実装基板50が貼りあわされる領域に、導電パターンを省略して、金属基板に近づける用に貼り合せても良いし、、図14(B)に示すとおり、電気的に接続が必要な部分に、導電パターンが設けられ、これと実装基板50を貼りあわせて、電気的に接続しても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁樹脂から成るコア層と、
前記コア層の表側に設けられた第1の導電パターンと、
前記コア層の裏側に設けられた第2の導電パターンと、
前記第1の導電パターンの中の大電流用の第1の電極と対応して設けられた前記第2の導電パターンの外部電極との間に設けられたViaとを有し、
前記第1の導電パターンと前記第2の導電パターンは、同じ膜厚で、前記大電流がViaを介して前記外部電極に流れる様に、前記Viaの抵抗値を前記第1の導電パターンの抵抗値よりも低くした事を特徴とした実装基板。
【請求項2】
前記Viaは、コア層側から、前記第1の電極に向かって開口され、前記Viaに対応する前記第1の電極は、実質平らである請求項1に記載の実装基板。
【請求項3】
前記第1の導電パターンは、大電流を流す第1の回路素子が設けられる第1のアイランドと、小電流を流す第2の回路素子が設けられる第2のアイランドと、前記第1のアイランドの近傍に設けられた前記第1の電極とを有する請求項2に記載の実装基板。
【請求項4】
絶縁樹脂から成るコア層と、
前記コア層の表側に設けられ、少なくとも第1のアイランド、第2のアイランド、第1の電極、第2の電極および配線を有する第1の導電パターンと、
前記コア層の裏側に設けられた外部電極となる第2の導電パターンと、
前記第1の電極と前記第1の電極と対応して設けられた前記外部電極との間に設けられたViaとを有し、
前記第1の導電パターンと前記第2の導電パターンは、同じ膜厚で、前記第1のアイランドに実装予定のパワートランジスタから流れ出るまたは前記パワートランジスタに流れ入る電流は、Viaを介して前記外部電極に流れる様に、前記Viaの抵抗値を前記第1の導電パターンの抵抗値よりも低くした事を特徴とした実装基板。
【請求項5】
前記Viaは、コア層側から、前記第1の電極に向かってレーザにより開口され、前記Viaに対応する前記第1の電極は、実質平らである請求項4に記載の実装基板。
【請求項6】
前記実装基板が、金属基板、絶縁性樹脂から成るプリント基板またはセラミック基板に実装される請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の回路装置。
【請求項7】
アイランド、前記アイランドの外周に少なくとも一端が近接して設けられたリードを有し、前記アイランドに前記実装基板が設けられる請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−58726(P2013−58726A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−73467(P2012−73467)
【出願日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】