説明

実装基板及びその製造方法

【課題】半田付け工程における工数を削減することが出来ると共に、治具の構造の簡易化や必要な治具点数の削減を図ることが出来、更に、端子に対するフラックスの付着による不具合を回避することが可能とされた、新規な構造の実装基板とその製造方法を提供する。
【解決手段】プリント基板12の一方の面に絶縁板14を配設すると共に、端子32(40)を支持せしめる台座26(38)を形成して台座26(38)を絶縁板14に対して連結部34(42)を介して連結することにより、前記絶縁板14と台座26(38)を一体形成し、台座26(38)で支持された端子32(40)の先端部分がプリント基板12の挿通孔16に挿通されて半田付けされた状態下において、絶縁板14に対する台座26(38)の相対変位が連結部34(42)によって許容されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子を半田付けによってプリント基板に実装した実装基板と、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、端子を備えたヒューズやリレー,コネクタ等の電気部品と接続される端子を、プリント基板に実装して、電気部品を電気的に接続する実装基板が知られており、例えば、自動車の電子制御装置(ECU)等への適用が検討されている。なお、特許文献1〜4等に示されているのが、それである。
【0003】
ところで、プリント基板に対して電気部品を接続するための端子を実装する手段としては、従来から半田付けによる固定が一般的に採用されている。即ち、先ず、プリント基板における端子の実装箇所に、板厚方向に貫通する挿通孔を形成して、その挿通孔に対して端子を挿通させる。次に、挿通された端子の先端部分を半田付けすることにより、実装基板を形成する。
【0004】
このような半田付けによる端子の実装では、半田付けの前に、端子をプリント基板上で位置決めする必要がある。しかしながら、多数の端子が実装される実装基板では、各端子をプリント基板上に位置決めして配設する作業が煩雑になるという問題があった。
【0005】
また、実装基板を製造する際、半田付け工程では、端子をプリント基板上の所定位置に確実に取り付けるために、端子を予め位置決め保持しておく必要がある。そこで、従来では、単一又は複数の端子を一つの端子支持用の台座に固定し、その台座を治具で保持して、プリント基板上の実装位置に位置決めしている。このような治具を用いた位置決めを採用すると、多数の異なる端子が実装された実装基板を製造する場合等に、治具の構造が複雑になるのを避け難いと共に、複数の治具が必要となる場合もあり、その装着作業により工数が更に増加するおそれもある。
【0006】
さらに、治具は、半田付け工程の完了後に、実装基板から取り外されて再利用されることから、半田付け工程後に再利用される治具には、フラックス等の異物が付着している場合がある。そして、治具に付着したフラックスが、別の実装基板の半田付け工程においてプリント基板の配線や電気部品等に付着することにより、短絡等の不具合を生じるおそれがあった。
【0007】
なお、このようなフラックスの付着による不具合の発生を低減させるために、治具を頻繁に清掃する等の手段も考えられるが、治具のメンテナンスに手間がかかる上に、完全な不具合の回避は極めて困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−35669号公報
【特許文献2】特開2002−270986号公報
【特許文献3】特開2003−217437号公報
【特許文献4】特開平10−106653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の如き事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、半田付け工程における工数を削減することが出来ると共に、治具の構造の簡易化や必要な治具点数の削減を図ることが出来、更に、端子へのフラックスの付着による不具合を回避することが可能とされた、新規な構造の実装基板とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の態様は、端子の先端部分がプリント基板に形成された挿通孔に挿通されて半田付けされることにより、前記端子が前記プリント基板に実装された実装基板において、前記プリント基板の一方の面に絶縁板を配設すると共に、前記端子を支持する台座を形成して該台座を前記絶縁板に対して変形可能な連結部を介して連結することにより、前記絶縁板と前記台座を一体形成し、該台座で支持された前記端子の先端部分が前記プリント基板の前記挿通孔に挿通されて半田付けされた状態下において、前記絶縁板に対する前記台座の相対変位が前記連結部によって許容されるようになっていることを特徴とする。
【0011】
第一の態様によれば、端子を支持する台座が絶縁板に対して一体形成されていることにより、複数の端子をプリント基板に実装する場合にも、絶縁板をプリント基板に対して位置決めすることにより、複数の端子をプリント基板に対して一括で位置決めすることが出来る。その結果、端子のプリント基板に対する位置決め作業を、効果的に簡略化することが出来る。
【0012】
また、治具を用いて絶縁板をプリント基板に対して位置決めすることによって、端子をプリント基板に対して位置決めすることが出来る。それ故、端子又は台座を直接に治具で保持して位置決めする場合に比して、治具の構造を簡単化することが出来る。しかも、治具の点数を少なくして、治具装着作業の工数を削減することも可能となり得る。
【0013】
なお、端子について、プリント基板に対する高度な位置精度が要求される場合には、治具によって端子を支持する台座の位置を補助的に補正しても良い。
【0014】
また、絶縁板に連結された台座によって端子が支持されていることから、例えば、ヒューズ等を基板に対して直接載置するために端子に対して設けられるクランクを、省略することも出来る。
【0015】
さらに、端子をプリント基板に対して位置決めする治具が不要となることにより、治具に対してフラックス等の異物が付着するのを防ぐことが出来る。それ故、治具に付着した異物が端子に付着することに起因する、短絡等の不具合を回避することが出来ると共に、治具のメンテナンス(清掃等)の手間を軽減することが出来る。
【0016】
また、台座が絶縁板に対して連結部を介して連結されており、端子がプリント基板に半田付けされた状態において、台座が絶縁板に対して相対変位を許容されている。これにより、プリント基板と絶縁板の線膨張係数の違いによって、プリント基板の熱による変形量と絶縁板の熱による変形量が異なる場合にも、それらプリント基板と絶縁板の変形量の差に起因して生じる応力が凝固した半田に及ぼされるのを防いで、半田クラック等の不具合を回避することが出来る。
【0017】
なお、連結部は、絶縁板とプリント基板が、加熱又は冷却されることによって変形する場合に、それら絶縁板とプリント基板の変形量の差を吸収し得る態様で台座と絶縁板を相互に連結するものであれば良い。そして、台座と絶縁板が連結部を介して連結されることにより、台座とプリント基板の相対変位が低減乃至は回避されるようになっている。連結部は、例えば、上記効果を変形によって充分に実現し得る脆弱な構造とされて、半田付け後に切断されることなく台座と絶縁部を連結状態に保持するものであっても良い。一方、連結部は、例えば、ある程度の剛性を有して、台座を所定の位置に高精度に保持し得る構造とされて、半田付け後に切断されることにより上記効果を実現し得るものであっても良い。
【0018】
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載のものにおいて、前記絶縁板には開口窓が貫通形成されて、該開口窓内に前記台座が設けられていると共に、該台座の外周部分が前記開口窓の内周縁部に対して前記連結部を介して周上で部分的に連結されており、該連結部が薄肉とされているものである。
【0019】
第二の態様によれば、台座の外周側が略全周に亘って絶縁板から離隔することにより、プリント基板と絶縁板の線膨張率の差に起因する応力が、台座ひいては凝固した半田に及ぼされるのを、より効果的に防ぐことが出来て、半田クラックの発生を一層有利に回避することが出来る。しかも、連結部が薄肉とされていることにより、台座の絶縁板に対する相対変位を、より有利に許容することが出来る。
【0020】
本発明の第三の態様は、第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記連結部が少なくとも一部において切断されているものである。
【0021】
第三の態様によれば、連結部を介して半田に伝達される僅かな応力をも回避することが出来て、半田クラック防止効果の更なる向上を図ることが出来る。特に、連結部の剛性を比較的に高く設定した場合には、連結部の切断によって、台座の絶縁板に対する相対変位を、より有利に実現することが出来る。
【0022】
本発明の第四の態様は、第一〜第三の何れか一態様に記載のものにおいて、絶縁板が、通電用部材が配設される配線用の絶縁板とされているものである。第四の態様によれば、端子を支持する絶縁板が配線用の絶縁板とされていることにより、部品点数を削減することが出来る。
【0023】
本発明の第五の態様は、第一〜第四の何れか一態様に記載のものにおいて、前記連結部が屈曲部を有しているものである。
【0024】
第五の態様によれば、連結部を切断する等の特別な工程を要することなく、台座の絶縁板に対する相対的な変位がより有利に許容されて、半田クラックが効果的に防止される。即ち、台座と絶縁板を連結する連結部に屈折または湾曲した屈曲部が設けられることにより、連結部の連結方向での剛性が低減されて、台座と絶縁板の連結方向での相対変位が連結部の変形によって容易に許容される。それ故、熱膨張によるプリント基板の変形量と絶縁板の変形量とが異なっている場合にも、連結部の変形によって台座がプリント基板に対して所定位置に保持されることで、半田に対する応力の作用が回避されて、半田クラックが防止されるのである。
【0025】
また、本発明の第六の態様は、第一〜第五の何れか一態様に記載の実装基板を製造する方法であって、前記台座が前記連結部を介して一体形成された前記絶縁板を準備する絶縁板準備工程と、前記絶縁板の前記台座に対して前記端子を取り付けて支持させる端子取付工程と、前記端子が取り付けられた前記絶縁板を、前記プリント基板の一方の面上に位置決めして配設することにより、前記端子を前記プリント基板の前記挿通孔に挿通させる位置決め工程と、前記挿通孔に挿通された前記端子の先端部分を半田付けによって前記プリント基板に固定する半田付け工程とを、含むことを特徴とする。
【0026】
第六の態様によれば、本発明に従う構造とされた実装基板を少ない工数と簡単な作業によって、効率的に製造することが出来る。特に、端子の位置決め用治具を用いることなく、端子の位置決めを実現出来ることから、端子のプリント基板への仮設置工程や、治具の装着工程等を省略することが可能である。
【0027】
本発明の第七の態様は、第六の態様に記載の実装基板の製造方法において、前記半田付け工程後に、前記連結部の少なくとも一部を切断する連結部切断工程を含むものである。
【0028】
このような連結部切断工程を追加することにより、加熱後の冷却による形状復元によって固化した半田に応力が及ぼされるのを、より効果的に防ぐことが出来る。また、連結部切断工程を追加することにより、連結部の強度設計を高精度に行うことなく、台座の絶縁板に対する相対変位を許容することが出来る。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、台座と絶縁板を連結部によって連結していることにより、絶縁板全体をプリント基板に対して位置決めすることで複数の端子をプリント基板に対して位置決めして実装することが可能であり、実装基板の製造が容易になる。加えて、各端子や台座を直接に保持して位置決めする治具が不要となることから、半田フラックスが治具を介して端子に付着するのを回避できる。一方、連結部の変形によって台座と絶縁板の相対変位を許容することにより、絶縁板とプリント基板との熱膨張率の違い等に起因して端子の実装後に半田に作用する応力を低減できて、半田の割れによって端子の実装不良が発生するのを防止でき得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態としての実装基板を示す斜視図。
【図2】図1のII−II断面図。
【図3】図1のIII−III断面図。
【図4】本発明の別の実施形態としての実装基板を示す斜視図。
【図5】本発明のまた別の実施形態としての実装基板を示す斜視図。
【図6】本発明のまた別の実施形態としての実装基板を構成する絶縁板の要部断面図。
【図7】本発明のまた別の実施形態としての実装基板を構成する絶縁板の要部断面図。
【図8】本発明のまた別の実施形態としての実装基板を構成する絶縁板の要部平面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0032】
先ず、図1〜3には、本発明の一実施形態としての実装基板10が示されている。実装基板10は、プリント基板12と絶縁板14を含んで形成されている。なお、以下の説明において、上下方向とは、原則として実装基板10,プリント基板12,絶縁板14の板厚方向となる図2,3中の上下方向を言うものとする。
【0033】
プリント基板12は、硬質の合成樹脂等で形成された絶縁基板上に、銅等の導電材料による電気回路をプリント配線した基板である。また、プリント基板12には、板厚方向に貫通する複数の挿通孔16が形成されている。この挿通孔16は、小径の略矩形断面を有する孔であって、後述する端子32,40に対応する位置に形成されている。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態では、エポキシ樹脂をガラス繊維で補強した合成樹脂材料によって、プリント基板12用の絶縁基板が形成されており、プリント基板12が充分な耐熱性を有している。
【0034】
絶縁板14は、電気的な絶縁性を有する合成樹脂等によって形成されており、全体に亘って略一定の板厚寸法を有する矩形平板形状とされている。また、絶縁板14には、通電用部材としてのバスバー18が取り付けられている。このバスバー18は、電気伝導性を有する金属板で形成されており、その端部には、上方に向かって突出する複数の接続部が一体形成されている。更に、絶縁板14には、板厚方向に貫通する二つの挿通窓19が形成されており、各挿通窓19内には、リレー20が配設されている。なお、絶縁板14は、例えば、ポリブチレンテレフタレートをガラス繊維で補強した材料(PBT−G)によって形成されており、プリント基板12とは、線膨張率(1Kの温度上昇による長さの変化の割合)が異なっている。
【0035】
また、絶縁板14には、開口窓としての第一の応力吸収窓22及び第二の応力吸収窓24が形成されている。応力吸収窓22,24は、何れも略矩形断面を有しており、絶縁板14を板厚方向に貫通して形成されている。なお、図1に示されているように、3つの第一の応力吸収窓22と1つの第二の応力吸収窓24が形成されている。
【0036】
また、第一の応力吸収窓22内には、台座としての第一の端子支持部26が配設されている。第一の端子支持部26は、略矩形ブロック形状を有しており、平面視における四隅には、下方に向かって突出する支持脚部28が一体形成されている。更に、第一の端子支持部26には、上方に向かって突出する突出部30が、略一定の矩形断面で一体形成されている。なお、互いに独立した6つの突出部30が突出形成されている。
【0037】
さらに、第一の端子支持部26によって、複数の端子としてのコネクタ用端子32が支持されている。コネクタ用端子32は、略一定の矩形断面で直線的に延びるロッド形状を有しており、銅や鉄等の電気伝導性を有する金属で形成されている。各コネクタ用端子32は、第一の端子支持部26における突出部30の中央部分を貫通する矩形の貫通孔に挿通されて支持されている。本実施形態では、第一の端子支持部26に対して、それぞれ複数(本実施形態では6本)のコネクタ用端子32が取り付けられている。なお、コネクタ用端子32の第一の端子支持部26への固定は、突出部30における貫通孔に対して、コネクタ用端子32が圧入固定されていても良いし、貫通孔に挿通されたコネクタ用端子32が、接着や溶着によって固定されていても良い。
【0038】
そこにおいて、第一の端子支持部26は、第一の連結部34によって絶縁板14に連結されている。第一の連結部34は、薄肉の板状とされており、図3における左右方向の一方の端部が、第一の応力吸収窓22の開口周縁部に連結されていると共に、他方の端部が、第一の端子支持部26の外周縁部に連結されている。これにより、第一の端子支持部26が、周上で部分的に絶縁板14に連結されている。
【0039】
また、第一の連結部34は、絶縁板14及び第一の端子支持部26と一体形成されている。第一の連結部34は、第一の端子支持部26の短辺側の幅方向両端部から延び出すように一対が設けられており、短辺方向(図2中、左右)で互いに所定距離を隔てて配置されている。また、一対の第一の連結部34,34が、第一の端子支持部26を長辺方向(図3中、左右)に挟んだ両側にそれぞれ形成されている。
【0040】
一方、第二の応力吸収窓24内には、台座としての第二の端子支持部38が配設されている。第二の端子支持部38は、長手状の略矩形ブロック形状を有している。なお、第二の応力吸収窓24内には、複数(本実施形態では4つ)の第二の端子支持部38が配設されており、長手方向に対して直交する幅方向(図2中、左右)で互いに所定距離を隔てて配置されている。
【0041】
さらに、第二の端子支持部38によって、複数の端子としてのヒューズ接続用端子40が支持されている。ヒューズ接続用端子40は、全体として略板状であって、その上端部が二股に分岐した形状となっている。また、ヒューズ接続用端子40は、コネクタ用端子32と同様に、銅や鉄等の電気伝導性を有する金属で形成されている。各ヒューズ接続用端子40は、第二の端子支持部38の幅方向中央部分に立設されており、3つのヒューズ接続用端子40が、第二の端子支持部38の長手方向に所定の間隔を隔てて配置されている。なお、ヒューズ接続用端子40の第二の端子支持部38への固定は、第二の端子支持部38に形成された嵌着孔に対して、ヒューズ接続用端子40が圧入固定されていても良いし、嵌着孔に挿通されたヒューズ接続用端子40が、接着や溶着によって固着されていても良い。
【0042】
そこにおいて、第二の端子支持部38は、第二の連結部42によって絶縁板14に連結されている。第二の連結部42は、第一の連結部34と同様に薄肉の板状とされており、図3における左右方向の一方の端部が、第二の応力吸収窓24の開口周縁部に連結されていると共に、他方の端部が、第二の端子支持部38の長手方向端縁部に連結されている。これにより、第二の端子支持部38が、周上で部分的に絶縁板14に連結されている。なお、第一,第二の連結部34,42によって、本実施形態における連結部が構成されている。
【0043】
また、第二の連結部42は、絶縁板14及び第二の端子支持部38と一体形成されている。第二の連結部42は、第二の端子支持部38の短辺側の幅方向両端部から延び出すように一対が設けられており、短辺方向(図2中、左右)で互いに所定距離を隔てて配置されている。また、一対の第二の連結部42,42は、第二の端子支持部38を長辺方向(図3中、左右)に挟んだ両側にそれぞれ形成されている。
【0044】
このような構造とされた絶縁板14は、プリント基板12の上面に対して、所定の距離を隔てて重ね合わされて、位置決め保持されている。絶縁板14のプリント基板12上への配設下、リレー20の図示しない端子の下端部と、コネクタ用端子32の下端部と、ヒューズ接続用端子40の下端部が、それぞれプリント基板12に貫通形成された挿通孔16に挿通されて、プリント基板12を貫通して下方に突出している。なお、絶縁板14の下面の周縁において複数の柱状支持部を一体的に設けても良い。また、絶縁板14におけるバスバー18の装着部位のように、コネクタ等の挿入力が及ぼされる部分を直接保持する箇所には、絶縁板14をプリント基板12上に保持する支持部を、突出形成しても良い。これにより、コネクタ等の挿入力によって絶縁板14が変形して、下方に変位するのを防止することが出来る。
【0045】
そして、端子32,40を備えた絶縁板14がプリント基板12上に位置決め配置された状態で、プリント基板12よりも下方に突出したリレー20の端子と、コネクタ用端子32と、ヒューズ接続用端子40の各下端部が、半田付けによってプリント基板12に固定されている。これにより、リレー20と、コネクタ用端子32と、ヒューズ接続用端子40が、プリント基板12に対して実装されて、プリント基板12の電気回路に接続されており、もって、実装基板10が形成されている。なお、半田付けの作業前に、半田付けする端子先端部分とプリント基板12の挿通孔16周辺部に対して、フラックスを塗布して、当該箇所の酸化物や汚れを除去することが望ましい。また、半田付け作業前に、半田付けする端子先端部分とプリント基板12の挿通孔16周辺部を、予め所定の温度に加熱しておくことが望ましい。
【0046】
また、端子32,40のプリント基板12への実装状態下、第一,第二の端子支持部26,38は、第一,第二の連結部34,42の変形によって、絶縁板14に対する相対変位を許容されている。
【0047】
このような実装基板10では、複数のコネクタ用端子32とヒューズ接続用端子40が、絶縁板14に一体形成された第一,第二の端子支持部26,38によって支持されている。それ故、各端子32,40や端子を有する端子付き部品(リレー20)等を、一つずつ治具に位置決めする必要がなく、絶縁板14をプリント基板12に対して位置決めすることによって、同時に各端子32,40がプリント基板12に対して位置決めされるようになっている。従って、コネクタ用端子32及びヒューズ接続用端子40を、プリント基板12上の所定位置に容易に位置決めすることが出来て、位置決め作業の簡易化や治具の構造の単純化を実現することが出来る。更に、治具点数の削減と、それに伴なう治具の装着作業の簡略化を図ることも可能となる。
【0048】
さらに、半田付けの作業時に、コネクタ用端子32とヒューズ接続用端子40をプリント基板12に対して位置決めする治具が不要となることから、フラックス等が治具に付着するのを防ぐことが出来る。それ故、フラックス等の異物が付着した治具を再利用することによって、異物が端子32,40やプリント基板12に付着するのを回避することが出来て、異物の付着による短絡や作動不良等を防止することが出来る。また、フラックスが付着した治具を作業者が取り扱うことによって、作業者の手等に汚れが付着するのを防ぐことが出来る。
【0049】
また、実装基板10では、半田付けの作業時に、プリント基板12と絶縁板14が、重ね合わされた状態で溶融半田に接近させられることから、プリント基板12と絶縁板14が、何れも、溶融半田の発する熱によって加熱される。また、プリント基板12がガラス繊維で補強されたエポキシ樹脂によって形成されていると共に、絶縁板14がPBT−Gによって形成されており、プリント基板12を形成する合成樹脂材料と絶縁板14を形成する合成樹脂材料が異なっている。これにより、プリント基板12と絶縁板14の熱による線膨張率が互いに異なっており、半田付け時の加熱によって、絶縁板14がプリント基板12よりも大きく変形するようになっている。
【0050】
そこにおいて、リレー20が挿通窓19内に配置されていると共に、コネクタ用端子32が第一の応力吸収窓22内に、ヒューズ接続用端子40が第二の応力吸収窓24内にそれぞれ配置されている。それ故、半田が冷却されて凝固した後で、プリント基板12及び絶縁板14が加熱又は冷却されて変形した場合に、プリント基板12と絶縁板14の熱による変形量の差(線膨張率の差)によって半田に及ぼされる応力を、低減することが出来る。それ故、半田に対してクラック(割れ目)が生じるのを回避することが可能となっている。なお、プリント基板12及び絶縁板14は、例えば、半田付け時に溶融半田から発せられる熱や、半田付け後に電気回路に通電されることによる発熱等によって加熱される。
【0051】
本実施形態では、第一,第二の端子支持部26,38が絶縁板14と一体形成されていることから、第一,第二の端子支持部26,38は、加熱や冷却によって、絶縁板14と同じ線膨張率で変形する。しかし、それら第一,第二の端子支持部26,38は、絶縁板14に比して上下方向の投影面積が小さいことから、温度変化による水平方向(上下方向に直交する方向)の変形量が、小さく抑えられる。そこにおいて、絶縁板14の変形の影響を回避出来る第一,第二の端子支持部26,38で、端子32,40が支持されていることにより、温度変化によって端子32,40に作用する応力が効果的に低減されて、半田に作用する応力が問題とならない程度に小さくされている。それ故、絶縁板14と同一の材料で一体形成された第一,第二の端子支持部26,38によって端子32,40が支持された構造において、半田クラックの発生を有効に回避することが出来る。
【0052】
さらに、第一,第二の端子支持部26,38が、略全周に亘って絶縁板14から離隔されていると共に、第一,第二の端子支持部26,38が、外力の作用によって容易に変形される第一,第二の連結部34,42によって、絶縁板14に連結されている。それ故、プリント基板12と絶縁板14の線膨張係数の違いに起因する半田クラックの発生を、より効果的に防ぐことが出来る。
【0053】
なお、半田付け後に、第一,第二の連結部34,42を切断しても良い。これによれば、半田付け部分に作用する応力を、より小さく抑えることが出来て、半田割れ防止効果の更なる向上が図られる。
【0054】
また、絶縁板14上にバスバー18が配設されており、絶縁板14がバスバー18の配線用の絶縁板とされている。それ故、実装基板10の部品点数を増やすことなく、コネクタ用端子32及びヒューズ接続用端子40の絶縁板14による位置決め保持を実現することが出来る。
【0055】
また、第一の端子支持部26に支持脚部28が一体形成されており、支持脚部28の下端面がプリント基板12に当接することにより、第一の端子支持部26が、軸方向で位置決め支持されている。これによって、第一の連結部34の剛性を充分に小さく設定した場合にも、第一の端子支持部26を、プリント基板12に対して、上下方向で位置決め保持することが出来ることから、第一の連結部34をより変形し易く設計することが可能となって、半田クラックの問題をより効果的に防止することが出来る。
【0056】
なお、実装基板10の製造方法は、特に限定されるものではないが、以下に、その一例を示す。
【0057】
先ず、プリント基板12を準備する。プリント基板12は、合成樹脂板の表面に、銅箔等の電気伝導性を有する材料によって所定のプリント配線を施す、一般的な製造方法によって形成することが出来る。以上により、プリント基板12の準備工程を完了する。
【0058】
一方、予め準備された成形用金型のキャビティに対して、合成樹脂材料を充填して、端子取付用の貫通孔を備えた絶縁板14を成形する。これにより、本実施形態に従う構造の絶縁板14を形成して、絶縁板準備工程を完了する。
【0059】
さらに、コネクタ用端子32と、ヒューズ接続用端子40を準備して、絶縁板14に形成された端子取付用の貫通孔に対して、それら端子32,40を圧入固定する。これにより、端子取付工程を完了する。
【0060】
次に、プリント基板12と絶縁板14を相互に重ね合わせて、相対的に位置決めする。そこにおいて、絶縁板14に対して位置決めされたコネクタ用端子32とヒューズ接続用端子40を、プリント基板12の挿通孔16に対して挿通させて、プリント基板12を挟んで絶縁板14と反対側に突出させる。以上により、位置決め工程を完了する。なお、位置決め工程において、プリント基板12と絶縁板14は、治具によって相互に位置決め保持されていても良い。
【0061】
次に、半田付けすべきコネクタ用端子32とヒューズ接続用端子40の各下端部、更には、プリント基板12の挿通孔16周辺部に対して、半田付け用のフラックスを塗布する。以上により、フラックス塗布工程を完了する。なお、フラックスは、例えば、塩化亜鉛溶液や塩化アンモニウム溶液等が好適に用いられ、半田付けの対象箇所に付着した酸化物等を除去するために塗布される。
【0062】
次に、コネクタ用端子32とヒューズ接続用端子40の各下端部、更には、プリント基板12の挿通孔16周辺部を、何れも所定の温度に加熱する。これにより、予熱工程を完了する。
【0063】
そして、プリント基板12と絶縁板14が位置決めされた状態下、コネクタ用端子32とヒューズ接続用端子40を、プリント基板12に対して半田付けする。これにより、コネクタ用端子32とヒューズ接続用端子40を、プリント基板12上に実装して、プリント基板12のプリント配線に対して電気的に接続する。以上により、半田付け工程を完了する。
【0064】
なお、絶縁板14から独立したリレー20等を配設する場合には、治具を用いてリレー20をプリント基板12及び絶縁板14に対して位置決めして、コネクタ用端子32及びヒューズ接続用端子40と同時に半田付けすることで、プリント基板12に対して実装することも出来る。
【0065】
次に、絶縁板14に設けられた第一,第二の連結部34,42を切断する。これにより、連結部切断工程を完了する。この連結部切断工程は、半田が冷却によって固化する前に行われることが望ましく、特に第一,第二の連結部34,42が比較的に変形を生じ難い構造の場合には、半田付け工程の完了後、連結部切断工程に速やかに移行することが望ましい。一方、第一,第二の連結部34,42の変形によって半田割れを回避し得る程度に、第一, 第二の連結部34,42の剛性が充分に小さく設定されている場合には、連結部切断工程を省略することも出来る。また、第一,第二の連結部34,42の切断は、全ての第一,第二の連結部34,42を切断しても良いし、幾つかの第一,第二の連結部34,42を選択して切断しても良い。更に、第一,第二の連結部34,42を完全に切断する他にも、第一,第二の連結部34,42に対して切込み状の切断部分や溝状の薄肉部を形成することにより、強度の低下を図ることも出来る。
【0066】
次に、プリント基板12上に配設された絶縁板14の上面に対して、予め準備されたバスバー18を取り付けて、通電用部材配設工程を完了する。なお、通電用部材配設工程において配設される通電用部材は、バスバー18に限定されるものではなく、単芯線等であっても良い。以上により、実装基板10を製造することが出来る。
【0067】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。なお、以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材及び部位については、図中に同一の符号を付すことにより、説明を省略する。
【0068】
例えば、前記実施形態において、第一の端子支持部26は、支持脚部28を介して、プリント基板12に当接することで、位置決め支持されていたが、支持脚部28は省略しても良い。
【0069】
また、前記実施形態では、端子支持部26(38)における短辺側の幅方向両端部において狭幅の連結部34(42)が設けられており、連結部34(42)の強度が充分に低く設定されているが、例えば、図4に示されている実装基板52のように、連結部54を板厚の薄い平板形状としても良い。より具体的には、連結部54は、端子支持部26を挟んだ両側に設けられており、端子支持部26よりも薄肉とされて、端子支持部26の下端部から突出するように一体形成されている。
【0070】
このような構造の実装基板52では、連結部54の強度が充分に確保されていることから、端子支持部26が、連結部54によって、所定の位置に高精度に位置決め保持される。それ故、位置決め用の治具が不要となって、低コスト化や製造の容易化を図ることが出来る。しかも、連結部54は、端子支持部26に比べて充分に薄肉となっていることから、端子支持部26の絶縁板14に対する相対変位が、連結部54の変形によって許容される。なお、好適には、半田付け後に、連結部54を切断することが望ましく、これにより、端子支持部26の高精度な位置決めと、半田クラックの回避が、より有利に実現される。
【0071】
また、端子の具体的な形状は、何等限定されるものではなく、図4に示されている端子56のように、中間部分で屈曲したクランク形状等であっても良い。
【0072】
また、前記実施形態では、端子支持部26(38)を挟んだ両側に、連結部34(42)が設けられており、端子支持部26(38)の両端部が絶縁板14に連結されていた。しかし、図5に示されている実装基板58のように、端子支持部26の片側にのみ連結部34が設けられて、端子支持部26が、片持ち状態で絶縁板60に連結されていても良い。これによれば、端子支持部26の絶縁板60に対する相対変位がより効果的に許容されて、半田クラックの発生を防ぐことが出来る。
【0073】
なお、例えば実装基板58を製造する場合において、連結部34の強度が、端子支持部26の所定位置での保持が困難な程度に低く、且つ、端子支持部26を高精度に位置決めする必要がある場合等には、端子支持部26の位置決め保持を、治具によって補助しても良い。このように、治具を用いる場合にも、治具が端子支持部26の位置決め用であることから、治具が端子32に対して直接に接触するのを回避することが出来て、端子32にフラックスが付着するのを防ぐことが出来る。
【0074】
さらに、端子支持部26(38)は、必ずしも応力吸収窓22(24)内に設けられていなくても良く、図5に示されているように、絶縁板60の外周側に離隔して、端子支持部26を配設すると共に、絶縁板60の外周縁部と、端子支持部26の外周縁部を、連結部34によって相互に連結した構造も採用され得る。
【0075】
更にまた、絶縁板の形状や大きさ等は、特に限定されるものではなく、例えば、前記実施形態に示されているように、プリント基板12を略全面に亘って覆う構造とされていても良いし、図5に示されているように、プリント基板12の一部のみを覆う構造とされていても良い。
【0076】
また、絶縁板の台座で支持されてプリント基板に実装される端子は、前記実施形態に示されているような端子単体に限定されるものではなく、集積回路等の端子付き電子部品やリレー,電磁スイッチ等の端子付き電気部品,コネクタ等であっても良い。更に、必ずしも複数の端子が設けられていなくても良く、一つの端子のみが設けられていても良い。また、前記実施形態では、プリント基板12にリレー20の端子を直接半田付けしていたが、ヒューズ接続用端子40と同様に、リレー接続用端子を、絶縁板14の端子支持部38に位置決め保持した後、プリント基板12に半田付けし、プリント基板12に実装されたリレー接続用端子に対して、外付けのリレーを後付けで取り付けても良い。
【0077】
また、前記実施形態では、絶縁板14が、バスバー18を有する配線用基板とされていたが、絶縁板は、必ずしも配線用基板として利用されている必要はなく、例えば、図4,5に示されているような通電用部材を配設されない絶縁シート(絶縁部材)であっても良い。
【0078】
また、図6〜8に示されているように、連結部の中間部分に屈曲部が形成されていても良い。以下、図6〜8に示された各構造について説明するが、図示が省略されている部分については、前記実施形態と実質的に同一である。
【0079】
図6には、絶縁板14と端子支持部26を連結部62によって連結した構造が示されている。連結部62は、前記実施形態に示された連結部34と同様に、断面積を充分に小さくされることで容易に変形可能とされており、端子支持部26の長辺方向両端部に一対設けられている。
【0080】
また、連結部62の中間部分には、屈曲部64が設けられている。屈曲部64は、絶縁板14と端子支持部26との対向方向内側に向かって下傾する円弧状の第一の湾曲部66,66と、下方に向かって凸となる半円形状の第二の湾曲部68とを、直線的に延びる一対の傾斜部70,70を介して一体形成した構造とされている。そして、一対の傾斜部70,70が、絶縁板14の面方向で直線的に延びる両端部に対して、第一の湾曲部66,66を介して一体的に連結されている。これにより、絶縁板14と端子支持部26の対向方向中央部分において上下方向に曲げられた連結部62が形成されて、絶縁板14と端子支持部26が連結部62によって連結されている。
【0081】
なお、湾曲部66,68は、何れもその内周面と外周面の両方が円弧状の湾曲面とされており、略一定の断面積で円弧状に湾曲しながら延びている。また、連結部62はそれぞれ10mm以上の長さで形成されていることが望ましい。更に、連結部62は1mm×2mmの長方形断面とされており、連結部62の断面積(A)と長さ(L)との比(A/L)が充分に小さくなっている。
【0082】
このような構造によれば、連結部62の中間部分に屈曲部64が形成されていることにより、端子支持部26の絶縁板14に対する相対変位が一層容易に許容される。即ち、連結部62の一部(屈曲部64)が絶縁板14と端子支持部26との相対変位方向に対して傾斜していることにより、それら絶縁板14と端子支持部26の相対変位時に、連結部62の屈曲部64には圧縮応力に加えて剪断応力が及ぼされる。長手状とされた連結部62は、圧縮方向での剛性に比べて剪断方向での剛性が小さいことから、絶縁板14と端子支持部26の相対変位により屈曲部64で容易に変形する。それ故、絶縁板14とプリント基板12の線膨張率の違い等に起因する半田クラックの発生をより効果的に回避して、端子32(40)の実装不良等といった不具合を防止することが出来る。
【0083】
しかも、連結部62が充分な長さで形成されて、連結部62の長さに対する断面積の比が小さくされていることにより、連結部62の剪断方向での剛性が圧縮方向(長さ方向)での剛性に比べて小さくされている。それ故、屈曲部64を設けることによる応力吸収作用の向上効果が有効に発揮される。
【0084】
加えて、特定形状の連結部62を採用することで上記効果が発揮されることから、連結部62を切断する等の特別な工程を加える必要が無く、実装基板を容易に製造することが出来る。尤も、連結部62を切断することにより、半田クラックをより効果的に回避することも可能である。
【0085】
さらに、屈曲部64が、直線的に延びる傾斜部70と第一,第二の湾曲部66,68とによって構成されていることから、絶縁板14と端子支持部26と連結部62とを一体成形する際に、成形用金型のキャビティにおいて連結部62に対応する部分に合成樹脂材料がスムーズに充填される。それ故、連結部62の成形不良が防止されて、目的とする構造の連結部62を安定して形成することが出来る。
【0086】
また、屈曲部を有する連結部の具体的な構造は、図6に示されたものに限定されず、例えば図7に示された連結部72も採用され得る。より詳細には、連結部72は屈曲部74を有している。屈曲部74は、絶縁板14の厚さ方向に延びる両端直線部76,76と、絶縁板14の面方向に延びる中央直線部78とを、円弧状の湾曲部80,80によって一体的に連結した構造とされている。そして、両端直線部76,76の上端部が絶縁板14と端子支持部26の各一方に対して一体的に連結されることにより、それら絶縁板14と端子支持部26が連結されている。即ち、連結部72の全体が屈曲部74とされている。このような構造によっても、端子支持部26の絶縁板14に対する相対変位の効果的な許容が、特別な製造工程の追加を要することなく実現される。
【0087】
さらに、屈曲部を有する連結部の別の態様としては、図8に示された連結部82も採用され得る。連結部82は、上下方向に曲がることなく水平方向に延びている。また、連結部82は、長手方向の中央部分に屈曲部84を有している。屈曲部84は、それぞれ円弧状とされた一対の湾曲部86,86の端部間を中央直線部88で連結した構造とされている。そして、屈曲部84の両端部が両端直線部を介して絶縁板14と端子支持部26の各一方に一体的に連結されることにより、連結部82が構成されている。なお、連結部82の一方の端部と他方の端部は、連結方向に対して直交する水平方向(図8中、左右)でずれた位置に設けられており、連結部82が平面視で略クランク形状を呈している。このような水平方向に曲がる屈曲部84を備えた連結部82によっても、連結部82の切断等を要することなく、端子支持部26の絶縁板14に対する相対的な変位を有利に許容することが出来る。しかも、連結部82の構造を採用することにより、連結部の上下両側のスペースが制限されている場合にも、屈曲部を設けることによる優れた外力吸収作用が実現される。
【0088】
なお、屈曲部を備えた連結部の構造は、絶縁板14の面方向で曲がるものと絶縁板14の厚さ方向で曲がるもののみに限定されるものではなく、それら面方向および厚さ方向に対して傾斜した方向で曲がるもの等も含まれる。また、屈曲部は、その全体が湾曲部で構成されていても良いし、上記態様の如く湾曲部と直線部を組み合わせた構造とされていても良い。更に、屈曲部は、湾曲形状に限定されるものではなく、例えば相対的に傾斜して異なる方向に延びる二つの直線部を直列的に連結したV字状等、折れ点をもって屈折する構造であっても良い。更にまた、一つの連結部に複数の屈曲部を設けることも出来る。更に、連結部は長手方向中間部分において分岐する構造とされていても良い。
【0089】
また、連結部が、絶縁板14と端子支持部26の相対変位が予想される方向に対して傾斜又は直交する方向で直線的に延びるように形成されることによっても、連結部に作用する力の少なくとも一部が剪断成分として及ぼされることから、連結部が容易に変形する。その結果、相対変位に起因する外力が半田に伝達されるのを防いで、半田クラックの発生を回避することが出来る。
【符号の説明】
【0090】
10,52,58:実装基板、12:プリント基板、14,60:絶縁板、16:挿通孔、18:バスバー(通電用部材)、22,24:応力吸収窓(開口窓)、26,38:端子支持部(台座)、32,56:コネクタ用端子(端子)、34,42,54,62,72,82:連結部、40:ヒューズ接続用端子(端子)、64,74,84:屈曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子の先端部分がプリント基板に形成された挿通孔に挿通されて半田付けされることにより、前記端子が前記プリント基板に実装された実装基板において、
前記プリント基板の一方の面に絶縁板を配設すると共に、前記端子を支持する台座を形成して該台座を前記絶縁板に対して変形可能な連結部を介して連結することにより、前記絶縁板と前記台座を一体形成し、該台座で支持された前記端子の先端部分が前記プリント基板の前記挿通孔に挿通されて半田付けされた状態下において、前記絶縁板に対する前記台座の相対変位が前記連結部によって許容されるようになっていることを特徴とする実装基板。
【請求項2】
前記絶縁板には開口窓が貫通形成されて、該開口窓内に前記台座が設けられていると共に、該台座の外周部分が前記開口窓の内周縁部に対して前記連結部を介して周上で部分的に連結されており、該連結部が薄肉とされている請求項1に記載の実装基板。
【請求項3】
前記連結部が少なくとも一部において切断されている請求項1又は2に記載の実装基板。
【請求項4】
前記絶縁板が、通電用部材が配設される配線用の絶縁板とされている請求項1乃至3の何れか1項に記載の実装基板。
【請求項5】
前記連結部が屈曲部を有している請求項1乃至4の何れか1項に記載の実装基板。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載された実装基板の製造方法であって、
前記台座が前記連結部を介して一体形成された前記絶縁板を準備する絶縁板準備工程と、
前記絶縁板の前記台座に対して前記端子を取り付けて支持させる端子取付工程と、
前記端子が取り付けられた前記絶縁板を、前記プリント基板の一方の面上に位置決めして配設することにより、前記端子を前記プリント基板の前記挿通孔に挿通させる位置決め工程と、
前記挿通孔に挿通された前記端子の先端部分を半田付けによって前記プリント基板に固定する半田付け工程と
を含むことを特徴とする実装基板の製造方法。
【請求項7】
前記半田付け工程後に、前記連結部の少なくとも一部を切断する連結部切断工程を含む請求項6に記載の実装基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−153770(P2010−153770A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139364(P2009−139364)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】