説明

実装装置及び実装ユニット

【課題】一の実装ヘッド部が他の実装ヘッド部又は他の実装ヘッド部を支持する可動板と干渉することなく、実装タクトタイムを短縮することができる実装装置及び実装ユニットを提供する。
【解決手段】電子部品又は電子素子を供給する一又は複数の供給ステージ部2と、一の軸方向に移動することが可能な、一対の第一の可動部5と、一の軸方向と直交する他の軸方向に移動することが可能であり、一対の第一の可動部5それぞれに設けられている第二の可動部6と、第二の可動部6に搭載され、電子部品又は電子素子を吸着して保持する吸着ノズルを有する実装ヘッド部7と、電子部品又は電子素子を基板に実装する実装ステージ部3とを備える。一対の第一の可動部5を、互いの間隔を所定の間隔以上に保持しつつ、同じ方向へ移動するよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一の実装ヘッド部が他の実装ヘッド部又は他の実装ヘッド部を支持する可動板と干渉することなく、実装タクトタイムを短縮することができる実装装置及び実装ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘッド部の吸着ノズルに吸着保持されている電子部品を撮像した画像を認識することによりヘッド部の吸着ノズルの相対位置を補正して、実装精度を高めるとともに、ヘッド部の移動距離を短くすることにより、電子部品の実装タクトタイムを短縮することができる実装装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、複数の搭載ヘッドにより電子部品をピックアップし、実装ステージ内の基板に移送搭載する電子部品実装方法が開示されている。特許文献2に開示されている電子部品実装方法では、複数の搭載ヘッドのうち特定の搭載ヘッドのみのアクセスが許容される排他動作領域を設定することにより、搭載ヘッドが互いに干渉することなく電子部品を実装することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−060395号公報
【特許文献2】特開2007−053271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示してある実装装置では、ヘッド部間の干渉を回避することができず、ヘッド部の移動距離を短くした場合であってもヘッド部の移動待ち時間が発生し、電子部品の実装タクトタイムを一定時間以上は短縮することができないという問題点があった。
【0006】
また、特許文献2に開示してある電子部品実装方法では、搭載ヘッドの移動を互いに排他制御することにより、搭載ヘッド間の干渉を確実に回避することができる。しかし、特定の搭載ヘッドにのみ排他動作領域を設定しているので、実装目標位置によっては搭載ヘッド間の干渉の可能性がある領域外で待機させる必要が生じる。したがって、搭載ヘッドの無駄な待機時間が生じるので、実装タクトタイムを短縮することが困難になるおそれがあるという問題点があった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、一の実装ヘッド部が他の実装ヘッド部又は他の実装ヘッド部を支持する可動板と干渉することなく、実装タクトタイムを短縮することができる実装装置及び実装ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1発明に係る実装装置は、電子部品又は電子素子を供給する一又は複数の供給ステージ部と、一の軸方向に移動することが可能な、一対の第一の可動部と、前記一の軸方向と直交する他の軸方向に移動することが可能であり、一対の前記第一の可動部それぞれに設けられている第二の可動部と、該第二の可動部に搭載され、電子部品又は電子素子を吸着して保持する吸着ノズルを有する実装ヘッド部と、電子部品又は電子素子を基板に実装する実装ステージ部と、一対の前記第一の可動部を、互いの間隔を所定の間隔以上に保持しつつ、同じ方向へ移動するよう制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
第1発明では、実装ヘッド部を搭載してある第二の可動部が他の軸方向にどのように移動した場合であっても、実装ヘッド部同士が互いに干渉しないようにする、又は一の実装ヘッド部を第二の可動部を介して取り付けた第一の可動部と、他の実装ヘッド部とが接触しないようにすることができ、実装ヘッド部の実装目標位置によらず、一の実装ヘッド部が干渉の可能性がある領域外で待機する必要がない。したがって、実装ヘッド部の待機という無駄な時間が生じることなく、実装タクトタイムを短縮することが可能となる。
【0010】
また、第2発明に係る実装装置は、第1発明において、前記所定の間隔は、前記実装ヘッド部同士が互いに干渉しない間隔、又は一の実装ヘッド部を前記第二の可動部を介して取り付けた第一の可動部と、他の実装ヘッド部とが接触しない間隔であることを特徴とする。
【0011】
第2発明では、実装ヘッド部を搭載してある第二の可動部が他の軸方向にどのように移動した場合であっても、実装ヘッド部同士が互いに干渉しないようにする、又は一の実装ヘッド部を第二の可動部を介して取り付けた第一の可動部と、他の実装ヘッド部とが接触しないようにすることができ、実装ヘッド部の実装目標位置によらず、一の実装ヘッド部が干渉の可能性がある領域外で待機する必要がない。したがって、実装ヘッド部の待機という無駄な時間が生じることなく、実装タクトタイムを短縮することが可能となる。
【0012】
また、第3発明に係る実装装置は、第1又は第2発明において、前記実装ヘッド部は、一対の前記第一の可動部の互いに対向する側に備えていることを特徴とする。
【0013】
第3発明では、実装ヘッド部を搭載してある第二の可動部が他の軸方向にどのように移動した場合であっても、実装ヘッド部同士が互いに干渉しないようにする、又は一の実装ヘッド部を第二の可動部を介して取り付けた第一の可動部と、他の実装ヘッド部とが接触しないようにすることができ、実装ヘッド部の実装目標位置によらず、一の実装ヘッド部が干渉の可能性がある領域外で待機する必要がない。したがって、実装ヘッド部の待機という無駄な時間が生じることなく、実装タクトタイムを短縮することが可能となる。
【0014】
また、第4発明に係る実装装置は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記制御部は、一対の前記第一の可動部を、同じ速度で同じ方向へ移動するよう制御することを特徴とする。
【0015】
第4発明では、一対の第一の可動部間の間隔を一定に保持することができ、実装ヘッド部を搭載してある第二の可動部が他の軸方向にどのように移動した場合であっても、実装ヘッド部同士が互いに干渉しないようにする、又は一の実装ヘッド部を第二の可動部を介して取り付けた第一の可動部と、他の実装ヘッド部とが接触しないようにすることができ、実装ヘッド部の実装目標位置によらず、一の実装ヘッド部が干渉の可能性がある領域外で待機する必要がない。したがって、実装ヘッド部の待機という無駄な時間が生じることなく、実装タクトタイムを短縮することが可能となる。
【0016】
また、第5発明に係る実装装置は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、一対の前記第一の可動部を、互いの間隔を一定に保持しつつ、連結して一体化していることを特徴とする。
【0017】
第5発明では、一対の第一の可動部間の間隔を一定に保持することができ、実装ヘッド部を搭載してある第二の可動部が他の軸方向にどのように移動した場合であっても、実装ヘッド部同士が互いに干渉しないようにする、又は一の実装ヘッド部を第二の可動部を介して取り付けた第一の可動部と、他の実装ヘッド部とが接触しないようにすることができ、実装ヘッド部の実装目標位置によらず、一の実装ヘッド部が干渉の可能性がある領域外で待機する必要がない。したがって、実装ヘッド部の待機という無駄な時間が生じることなく、実装タクトタイムを短縮することが可能となる。
【0018】
また、第6発明に係る実装装置は、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記実装ステージ部は、一対の前記第一の可動部と同じ方向に移動することが可能であり、前記制御部は、一対の前記第一の可動部が移動する場合、前記実装ステージ部を一対の前記第一の可動部と同じ方向へ移動させるよう制御することを特徴とする。
【0019】
第6発明では、一対の第一の可動部が移動する場合、実装ステージ部を一対の第一の可動部と同じ方向へ移動させるので、実装ヘッド部同士が互いに干渉しないようにする、又は一の実装ヘッド部を第二の可動部を介して取り付けた第一の可動部と、他の実装ヘッド部とが接触しないようにすることができ、実装ヘッド部の実装目標位置によらず、一の実装ヘッド部が干渉の可能性がある領域外で待機する必要がない。したがって、実装ヘッド部の待機という無駄な時間が生じることなく、実装タクトタイムを短縮することが可能となる。
【0020】
また、第7発明に係る実装装置は、第1乃至第6発明のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記実装ヘッド部が実装目標位置に到達するまでに、前記実装ステージ部を前記一の軸方向に移動させて位置決め完了するよう制御することを特徴とする。
【0021】
第7発明では、実装ヘッド部が実装目標位置に到達するまでに、実装ステージ部を一の軸方向に移動させて位置決めを完了するので、実装ヘッド部同士が互いに干渉しないようにする、又は一の実装ヘッド部を第二の可動部を介して取り付けた第一の可動部と、他の実装ヘッド部とが接触しないようにすることができる。
【0022】
また、第8発明に係る実装装置は、第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記供給ステージ部の上方に、前記供給ステージ部に位置する一の実装ヘッド部が前記実装ステージ部へ移動し、前記実装ステージ部に位置する他の実装ヘッド部が前記供給ステージ部へ移動するタイミングで、前記供給ステージ部上の電子部品又は電子素子を撮像する第一の撮像部を備え、前記制御部は、前記第一の撮像部で撮像された電子部品又は電子素子の位置情報に基づいて、前記他の実装ヘッド部に対して、前記供給ステージ部への移動位置を補正指示することを特徴とする。
【0023】
第8発明では、供給ステージ部に位置する一の実装ヘッド部が実装ステージ部へ移動し、実装ステージ部に位置する他の実装ヘッド部が供給ステージ部へ移動するタイミングで、第一の撮像部が、供給ステージ部上の電子部品又は電子素子を撮像し、第一の撮像部で撮像された電子部品又は電子素子の位置情報に基づいて、他の実装ヘッド部に対して供給ステージ部への移動位置を補正指示するので、吸着対象となる電子部品又は電子素子の直上へ実装ヘッド部を確実に移動することができ、実装タクトタイムを短縮することが可能となる。
【0024】
また、第9発明に係る実装装置は、第1乃至第8発明のいずれか1つにおいて、前記第一の可動部の下方に、電子部品又は電子素子を前記吸着ノズルに吸着して保持してある実装ヘッド部の前記実装ステージ部への移動中に、前記実装ヘッド部の前記吸着ノズルに吸着して保持されている電子部品又は電子素子を撮像する第二の撮像部を備え、前記制御部は、前記第二の撮像部で撮像された電子部品又は電子素子の位置情報に基づいて、前記実装ヘッド部に対して、前記実装ステージ部での電子部品又は電子素子の実装位置を補正指示することを特徴とする。
【0025】
第9発明では、電子部品又は電子素子を吸着して保持してある実装ヘッド部の実装ステージ部への移動中に、第二の撮像部が、実装ヘッド部の吸着ノズルに吸着して保持されている電子部品又は電子素子を撮像し、第二の撮像部で撮像された電子部品又は電子素子の位置情報に基づいて、実装ヘッド部に対して、実装ステージ部での電子部品又は電子素子の実装位置を補正指示することが可能となる。
【0026】
また、第10発明に係る実装装置は、第1乃至第9発明のいずれか1つにおいて、前記供給ステージ部は、電子部品又は電子素子を吸着して前記実装ヘッド部へ受け渡しする複数のノズルを有する、回転することが可能な反転ノズル部を備え、前記制御部は、前記反転ノズル部の一のノズルによる電子部品又は電子素子の受け渡しと、前記反転ノズルの他のノズルによる他の電子部品又は電子素子の吸着とを同時に行うよう制御することを特徴とする。
【0027】
第10発明では、例えばフリップチップ実装品において、1サイクル当たりの反転ノズル部の回転動作の回数を抑制することができ、実装ヘッド部の待機という無駄な時間が生じることなく、実装タクトタイムを短縮することが可能となる。
【0028】
次に、上記目的を達成するために第11発明に係る実装ユニットは、第1乃至第10発明のいずれか1つの実装装置を連結してあることを特徴とする。
【0029】
第11発明では、実装ヘッド部を搭載してある第二の可動部が他の軸方向にどのように移動した場合であっても、実装ヘッド部同士が互いに干渉しないようにする、又は一の実装ヘッド部を第二の可動部を介して取り付けた第一の可動部と、他の実装ヘッド部とが接触しないようにすることができ、実装ヘッド部の実装目標位置によらず、一の実装ヘッド部が干渉の可能性がある領域外で待機する必要がない。したがって、実装ヘッド部の待機という無駄な時間が生じることなく、実装タクトタイムを短縮することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
上記構成によれば、実装ヘッド部を搭載してある第二の可動部が他の軸方向にどのように移動した場合であっても、実装ヘッド部同士が互いに干渉しないようにする、又は一の実装ヘッド部を第二の可動部を介して取り付けた第一の可動部と、他の実装ヘッド部とが接触しないようにすることができ、実装ヘッド部の実装目標位置によらず、一の実装ヘッド部が干渉の可能性がある領域外で待機する必要がない。したがって、実装ヘッド部の待機という無駄な時間が生じることなく、実装タクトタイムを短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態1に係る実装装置の全体構成の概略を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る実装装置の実装ステージ部近傍の配置を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る実装装置の供給ステージ部近傍の動作を説明するための模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る実装装置の制御部の制御対象を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る実装装置の電子部品実装手順の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る実装装置の実装ヘッド部近傍の構成を示す模式図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る実装装置の制御部の電子部品実装処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係る実装装置の制御部の電子部品実装処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2に係る実装装置の実装ステージ部近傍の配置を示す模式図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る実装装置の電子部品実装手順の一例を示す模式図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る実装装置の制御部の電子部品実装処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態2に係る実装装置の制御部の電子部品実装処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る実装装置の全体構成の概略を示す斜視図である。本実施の形態1に係る実装装置は、フレーム1の上にX軸方向(一の軸方向)及びY軸方向(他の軸方向)に移動することが可能な、電子部品又は電子素子を供給する供給ステージ部2を備えている。なお、以後X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向とし、Y軸の正方向を後、X軸の正方向を右とする。
【0034】
供給ステージ部2には、ウエハが配列されており、例えば電子部品を保持したウエハをピッチ送りすることにより、実装するべき電子部品を供給する。もちろん、ウエハ供給に限定されるものではなく、他の種類のパーツフィーダ、テープフィーダ、トレイ供給、シャトル供給等であっても良い。
【0035】
またフレーム1のY軸方向の中央近傍には、X軸方向に移動することが可能な実装ステージ部3が設けられており、電子部品又は電子素子を実装する基板31等を載置する。フレーム1の前後方向(Y軸方向)の両端には、ガントリー部4が設けられており、ガントリー部4の上面には左右方向へ移動することが可能な移動用レール(図示せず)が設けられており、移動用レールの上に一対の第一の可動部5が設けられている。一対の第一の可動部5は、独立したリニアモータにより左右方向の移動用レール上を移動する。第一の可動部5の動作は、制御部10が、リニアスケールに基づいて制御している。
【0036】
また、それぞれの第一の可動部5の側面には前後方向に移動することが可能な移動用レール(図示せず)が設けられており、移動用レールに沿って移動することが可能な第二の可動部6が、それぞれ設けられている。第二の可動部6も、独立したリニアモータにより前後方向の移動用レールに沿って移動する。第二の可動部6の動作も、制御部10が、リニアスケールに基づいて制御している。
【0037】
なお、第一の可動部5及び第二の可動部6の駆動源は、リニアモータに限定されるものではなく、サーボモータ等の他の種類のモータを用いた、ボールねじ駆動、ベルト駆動等であっても良い。
【0038】
実装ヘッド部7は、一対の第一の可動部5それぞれに設けられている第二の可動部6に片持ち構造で搭載されている。本実施の形態1では、実装ヘッド部7は、それぞれ4連のノズル(吸着ノズル)71を備え、該4連のノズル71が互いに対向するように、第二の可動部6の可動方向に沿って第二の可動部6に搭載されている。右側の第一の可動部5では、X軸方向の負側(左側)に4連のノズル71が位置するように実装ヘッド部7を第二の可動部6に搭載し、左側の第一の可動部5では、X軸方向の正側(右側)に4連のノズル71が位置するように実装ヘッド部7を第二の可動部6に搭載している。もちろんノズル71は4連であることに限定されるものではないし、双方のノズル71が互いに対向するように実装ヘッド7に搭載するのではなく、それぞれのノズル71が同じ方向を向くように、それぞれ搭載していても良い。なお、それぞれの第一の可動部5の底面に前後方向に移動することが可能な移動用レールが設けられている場合、実装ヘッド部7は第二の可動部6に天吊り構造で搭載されていても良い。
【0039】
また、供給ステージ部2の上方には、供給ステージ部2上の電子部品又は電子素子を撮像する撮像装置(第一の撮像部)8を備えてあることが好ましい。撮像装置8で撮像された電子部品又は電子素子の位置情報に基づいて、実装ヘッド部7の供給ステージ部2への移動位置を補正し、吸着対象となる電子部品又は電子素子の直上へ実装ヘッド部7を確実に移動することができるからである。
【0040】
また、それぞれの第一の可動部5の下方には、電子部品又は電子素子をノズル71に吸着して保持してある実装ヘッド部7の実装ステージ部3への移動中に、実装ヘッド部7のノズル71に吸着して保持されている電子部品又は電子素子を撮像する撮像装置(第二の撮像部)9を備えてあることが好ましい。撮像装置9にて実装ヘッド部7のノズル71に吸着して保持されている電子部品又は電子素子を撮像し、ノズル71の中心に対する吸着位置のずれを把握し、把握した吸着位置のずれに基づいて、実装ステージ部3での電子部品又は電子素子の実装位置を補正することができるからである。
【0041】
図2は、本発明の実施の形態1に係る実装装置の実装ステージ部3近傍の配置を示す模式図である。図2に示すように、電子部品又は電子素子を実装する基板31を、図示しない基板搬送部から実装ステージ部3上へ搬送させ、基板31の位置決めを行い、基板31を下方から吸引固定する。
【0042】
実装ヘッド部7は、第一の可動部5による左右方向(X軸方向)の移動、第二の可動部6による前後方向(Y軸方向)の移動を組み合わせることにより、電子部品又は電子素子の供給位置と実装位置との間で往復運動を行う。実装ヘッド部7はノズル71に吸着して保持されている電子部品又は電子素子を1個ずつ基板31に順次実装する。
【0043】
本実施の形態1では、供給ステージ部2は、互いに直交する4つの方向に4つのノズルを有する、回転することが可能な反転ノズル部11を備えている。反転ノズル部11のいずれか一つのノズルで、供給ステージ部2から電子部品又は電子素子を吸着し、反転ノズル部11を180度回転させて実装ヘッド部7の4連のノズル71のいずれかに吸着して保持させる。ノズル71に吸着して保持されている電子部品又は電子素子は、実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させて基板31に順次実装する。
【0044】
図3は、本発明の実施の形態1に係る実装装置の供給ステージ部2近傍の動作を説明するための模式図である。図3の例では、反転ノズル部11の中心近傍にプリズム12を図示しない別の部材により固定してあり、撮像装置8はプリズム12を介して、供給ステージ部2上の電子部品又は電子素子を撮像し、制御部10は、撮像された画像に基づいて供給ステージ部2上の電子部品又は電子素子の位置を認識する。
【0045】
制御部10は、反転ノズル部11の電子部品又は電子素子の吸着動作と、供給ステージ部2における電子部品又は電子素子の突き上げ動作とが連携するよう制御する。より具体的には、突き上げ部21により例えばウエハから突き上げられた供給ステージ部2上の電子部品又は電子素子を撮像装置8により撮像し、撮像された画像に基づいて供給ステージ部2上の電子部品又は電子素子の位置を認識し、反転ノズル部11に位置合わせするよう供給ステージ部2をX軸方向及びY軸方向に移動する。位置合わせされた時点で下降した反転ノズル部11の一のノズルが、供給ステージ部2上の電子部品又は電子素子を吸着し、反転ノズル部11を180度回転させる。そして、反転ノズル部11のノズルの位置と実装ヘッド部7のノズル71の位置とを合わせて、実装ヘッド部7のノズル71に電子部品又は電子素子を吸着して保持させる。ノズル71に吸着して保持された電子部品又は電子素子は、実装ヘッド部7の移動により実装ステージ部3へ移動する。
【0046】
図4は、本発明の実施の形態1に係る実装装置の制御部10の制御対象を示すブロック図である。制御部10は、PLC、マイコン等の少なくとも演算装置を含むコンピュータで構成されており、第一の可動部5を駆動する第一の可動部用リニアモータ101、第二の可動部6を駆動する第二の可動部用リニアモータ102、実装ヘッド部7を駆動する実装ヘッド部駆動機構103、実装ステージ部3を駆動する実装ステージ部駆動機構104及び供給ステージ部2を駆動する供給ステージ部駆動機構105の動作を、それぞれ制御する。
【0047】
第一の可動部用リニアモータ101、第二の可動部用リニアモータ102は、リニアスケールによるフィードバック制御により動作を制御される。例えば制御部10は、実装ヘッド部7のそれぞれが、電子部品又は電子素子の吸着あるいは実装を完了した時点を、実装ヘッド部7それぞれの移動開始のタイミングとする。
【0048】
制御部10は、例えば2ms間隔で位置指令信号を送信し、リニアスケール(図示せず)からの位置指令信号をフィードバックすることで、制御部10が送信した位置指令信号で指示される移動位置に実装ヘッド部7を移動させるよう、第一の可動部用リニアモータ101、第二の可動部用リニアモータ102の動作を制御している。より具体的には、制御部10からパルス列が出力され、出力されたパルス列のパルスの積算値がモータの速度指示となる。モータに付属のエンコ―ダは、回転数に比例したフィードバックパルスを出力し、出力したフィードバックパルスをフィードバックすることにより偏差カウンタを増減する。偏差カウンタがゼロになる点が、位置指令信号で指示される移動位置である。
【0049】
図5は、本発明の実施の形態1に係る実装装置の電子部品実装手順の一例を示す模式図である。図5では、実装ヘッド部7a、7bを、第一の可動部5a、5bの互いに対向する側に備えている。まず図5(a)に示すように、右側の第一の可動部5bに沿って移動可能な実装ヘッド部7bが供給ステージ部2上に、左側の第一の可動部5aに沿って移動可能な実装ヘッド部7aが実装ステージ部3上に、それぞれ位置する。図5(a)に示す状態で、実装ヘッド部7aは実装ステージ部3に載置してある基板31に電子部品を実装し、実装ヘッド部7bは供給ステージ部2上の電子部品を吸着する。
【0050】
図5(b)では、実装ヘッド部7a、7bが実装ヘッド部駆動機構103により同時に相対する方向へ移動するとともに、実装ステージ部3も実装ステージ部駆動機構104により正のX軸方向(右方向)へ移動している。第一の可動部5a、5bは、正のX軸方向(右方向)へ同じ速度で移動し、実装ヘッド部7aは負のY軸方向(前方向)へ、実装ヘッド部7bは正のY軸方向(後方向)へ、それぞれ同じ速度で移動する。したがって、実装ヘッド部7aの移動速度ベクトルは矢印51となり、実装ヘッド部7bの移動速度ベクトルは矢印52となる。
【0051】
図5(c)では、実装ヘッド部7a、7bの移動が完了した状態を示している。すなわち、右側の第一の可動部5bに沿って移動可能な実装ヘッド部7bが実装ステージ部3上に、左側の第一の可動部5aに沿って移動可能な実装ヘッド部7aが供給ステージ部2上に、それぞれ位置する。図5(c)に示す状態で、実装ヘッド部7aは供給ステージ部2上の電子部品を吸着し、実装ヘッド部7bは実装ステージ部3に載置してある基板31に電子部品を実装する。つまり、実装ヘッド部7bが実装目標位置に到達するまでに、実装ステージ部3は、正のX軸方向へ移動して位置決めを完了する。
【0052】
図5(d)では、実装ヘッド部7a、7bが実装ヘッド部駆動機構103により同時に相対する方向へ移動するとともに、実装ステージ部3も実装ステージ部駆動機構104によりX軸に沿って元の位置へと移動している。第一の可動部5a、5bは、負のX軸方向(左方向)へ同じ速度で移動し、実装ヘッド部7aは正のY軸方向(後方向)へ、実装ヘッド部7bは負のY軸方向(前方向)へ、それぞれ同じ速度で移動する。したがって、実装ヘッド部7aの移動速度ベクトルは矢印51となり、実装ヘッド部7bの移動速度ベクトルは矢印52となる。
【0053】
このように、第一の可動部5a、5bが同じ速度で同じ方向へ移動することにより、左側の第一の可動部5aと右側の第一の可動部5bとの間の間隔wを一定に保持することができ、間隔wが実装ヘッド部7aの幅と実装ヘッド部7bの幅との和より大きい場合、実装ヘッド部7がY軸方向にどのように移動した場合であっても、実装ヘッド部7aと実装ヘッド部7bとの間に接触、衝突等の干渉が生じることがない。したがって、実装ヘッド部7の待機という無駄な時間が生じることなく、実装タクトタイムを短縮することが可能となる。
【0054】
なお、図5の例では、第一の可動部5a、5bが同じ速度で同じ方向へ移動する例について説明しているが、左側の第一の可動部5aと右側の第一の可動部5bとの間の間隔wを一定に保持するためであり、間隔wが実装ヘッド部7aの幅と実装ヘッド部7bの幅との和より大きければ、例えば第一の可動部5a、5bが相対する方向へ移動する場合であっても、実装ヘッド部7aと実装ヘッド部7bとの間に接触、衝突等の干渉が生じることがない。したがって、間隔wが実装ヘッド部7aの幅と実装ヘッド部7bの幅との和以上となるように第一の可動部5a、5bが移動すれば足りる。
【0055】
また、図5の例では、実装ヘッド部7を、第一の可動部5a、5bの互いに対向する側に備えているが、同じ側に備えていても良い。図6は、本発明の実施の形態1に係る実装装置の実装ヘッド部7近傍の構成を示す模式図である。図6に示すように、右側の第一の可動部5bでは、X軸方向の負側(左側)に実装ヘッド部7bが搭載され、左側の第一の可動部5aでは、X軸方向の負側(左側)に実装ヘッド部7aが搭載されている場合にも、左側の第一の可動部5aと右側の第一の可動部5bとの間の間隔wが、実装ヘッド部7bの幅より大きければ、実装ヘッド部7bと第一の可動部5aとの間に接触、衝突等の干渉が生じることがない。したがって、間隔wが実装ヘッド部7bの幅以上となるように第一の可動部5a、5bが移動すれば同様の効果が期待できる。
【0056】
また、第一の可動部5a、5bを別々に駆動するのではなく、双方を連結して一体化することにより、左側の第一の可動部5aと右側の第一の可動部5bとの間の間隔wを、一定に保持することができる。したがって、間隔wが、実装ヘッド部7aの幅と実装ヘッド部7bの幅との和以上となるようにして一体化することによっても、同様の効果を期待できる。
【0057】
なお、供給ステージ部2に位置する一の実装ヘッド部7が実装ステージ部3へ移動し、実装ステージ部3に位置する他の実装ヘッド部7が供給ステージ部2へ移動するタイミングで、撮像装置8は、供給ステージ部2上の電子部品又は電子素子を撮像し、制御部10は、撮像された画像に基づいて供給ステージ部2上の電子部品又は電子素子の位置を認識する。このようにすることで、異なる実装ヘッド部7で供給ステージ部2上の電子部品又は電子素子を吸着する場合であっても、実装ヘッド部7の待機という無駄な時間が生じることなく、実装タクトタイムを短縮することが可能になる。
【0058】
図7及び図8は、本発明の実施の形態1に係る実装装置の制御部10の電子部品実装処理の手順を示すフローチャートである。まず、電子部品を実装する基板31を載置した状態で実装装置を起動する。図7において、実装装置の制御部10は、基板31の搬入指示を実装ステージ部駆動機構104へ送信し(ステップS701)、搬入指示を受信した実装ステージ部駆動機構104は、実装ステージ部3を移動することにより、基板31を実装ヘッド部7が移動可能な領域まで搬送する。
【0059】
制御部10は、基板31の実装ステージ部3での位置決めを行い、実装ステージ部駆動機構104へ基板31の吸引固定指示を送信する(ステップS702)。基板31の位置決めは、例えば位置決めマーク等を認識することで行う。吸引固定指示を受信した実装ステージ部駆動機構104は、基板31を下方から吸引することにより、基板31を実装ステージ部3に固定する。
【0060】
一方、制御部10は、一の実装ヘッド部7(例えば図5の実装ヘッド部7a)を供給ステージ部2へ移動させる移動指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS703)。同時に、供給ステージ部2上の電子部品を撮像装置8で撮像する。供給ステージ部2上の電子部品の撮像は、一の実装ヘッド部7の移動中に実行される(図7におけるステップS703の○印のタイミング)。他方、同時に、他の実装ヘッド部7(例えば図5の実装ヘッド部7b)を待機位置で待機させる待機指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS704)。
【0061】
移動指示及び待機指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、一の実装ヘッド部7を供給ステージ部2へ移動させるよう、第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。同時に、第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、他の実装ヘッド部7を待機位置へ移動させるよう、他の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。
【0062】
制御部10は、一の実装ヘッド部7が供給ステージ部2への移動を完了した時点で、一の実装ヘッド部7が電子部品を吸着するよう、吸着指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS705)。吸着指示を受信した実装ヘッド部駆動機構103は、一の実装ヘッド部7に電子部品を吸着させる。
【0063】
他方、制御部10は、他の実装ヘッド部7を供給ステージ部2へ移動させる移動指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS708)。同時に、供給ステージ部2上の電子部品を撮像装置8で撮像する。供給ステージ部2上の電子部品の撮像は、供給ステージ部2に位置する一の実装ヘッド部7が実装ステージ部3へ移動し、実装ステージ部3に位置する他の実装ヘッド部7が供給ステージ部2へ移動するタイミングで実行される(図7におけるステップS708の○印のタイミング)。
【0064】
制御部10は、撮像された画像に基づいて供給ステージ部2上の電子部品の位置を認識する。具体的には、画像解析することにより、供給ステージ部2における電子部品の配置されている座標を算出する。
【0065】
移動指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、他の実装ヘッド部7を供給ステージ部2へ移動させるよう、他の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。
【0066】
一方、制御部10は、一の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させる移動指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS706)。移動指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、一の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させるよう、一の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。このとき、第一の可動部5の下方に取り付けられた撮像装置9(第二の撮像部)にて、一の実装ヘッド部7のノズル71に吸着して保持されている電子部品を撮像し(図7におけるステップS706とステップS707との間の◎印のタイミング)、制御部10は、ノズル71の中心に対する吸着位置のずれを把握し、把握した吸着位置のずれに基づいて、実装ステージ部3での電子部品の実装位置を補正する補正指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する。
【0067】
制御部10は、一の実装ヘッド部7が実装ステージ部3への移動を完了した時点で、一の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装するよう、実装指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS707)。実装指示を受信した実装ヘッド部駆動機構103は、一の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装する。
【0068】
他方、制御部10は、他の実装ヘッド部7が供給ステージ部2への移動を完了した時点で、他の実装ヘッド部7が電子部品を吸着するよう、吸着指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS709)。吸着指示を受信した実装ヘッド部駆動機構103は、他の実装ヘッド部7に電子部品を吸着させる。
【0069】
一方、図8において、実装装置の制御部10は、一の実装ヘッド部7(例えば図5の実装ヘッド部7a)を供給ステージ部2へ移動させる移動指示を、第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS801)。同時に、供給ステージ部2上の電子部品を撮像装置8で撮像する。供給ステージ部2上の電子部品の撮像は、一の実装ヘッド部7の移動中(他の実装ヘッド部7も移動中)に実行される(図8におけるステップS801の○印のタイミング)。
【0070】
制御部10は、撮像された画像に基づいて供給ステージ部2上の電子部品の位置を認識する。具体的には、画像解析することにより、供給ステージ部2における電子部品の配置されている座標を算出する。移動指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、一の実装ヘッド部7を供給ステージ部2へ移動させるよう、一の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。
【0071】
制御部10は、一の実装ヘッド部7が供給ステージ部2への移動を完了した時点で、一の実装ヘッド部7が電子部品を吸着するよう、吸着指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS802)。吸着指示を受信した実装ヘッド部駆動機構103は、一の実装ヘッド部7に電子部品を吸着させる。
【0072】
他方、制御部10は、他の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させる移動指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS805)。移動指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、他の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させるよう、他の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。このとき、第一の可動部5の下方に取り付けられた撮像装置9(第二の撮像部)にて、一の実装ヘッド部7のノズル71に吸着して保持されている電子部品を撮像し(図8におけるステップS805とステップS806との間の◎印のタイミング)、制御部10は、ノズル71の中心に対する吸着位置のずれを把握し、把握した吸着位置のずれに基づいて、実装ステージ部3での電子部品の実装位置を補正する補正指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する。
【0073】
制御部10は、他の実装ヘッド部7が実装ステージ部3への移動を完了した時点で、他の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装するよう、実装指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS806)。実装指示を受信した実装ヘッド部駆動機構103は、他の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装する。
【0074】
なお、ステップS801からステップS802まで、及びステップS805からステップS806までの間、一対の第一の可動部5は同じ速度で同じ方向に移動するので、一対の第一の可動部5間の間隔を一定に保持することができる。
【0075】
次に、制御部10は、一の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させるよう、移動指示を第一の可動部リニアモータ101及び第二の可動部リニアモータ102へ送信する(ステップS803)。移動指示を受信した第一の可動部リニアモータ101及び第二の可動部リニアモータ102は、一の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させるよう、一の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。このとき、第一の可動部5の下方に取り付けられた撮像装置9(第二の撮像部)にて、一の実装ヘッド部7のノズル71に吸着して保持されている電子部品を撮像し(図8におけるステップS803とステップS804との間の◎印のタイミング)、制御部10は、ノズル71の中心に対する吸着位置のずれを把握し、把握した吸着位置のずれに基づいて、実装ステージ部3での電子部品の実装位置を補正する補正指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する。
【0076】
制御部10は、一の実装ヘッド部7が実装ステージ部3への移動を完了した時点で、一の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装するよう、実装指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS804)。実装指示を受信した実装ヘッド部駆動機構103は、一の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装する。
【0077】
他方、制御部10は、他の実装ヘッド部7を供給ステージ部2へ移動させる移動指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS807)。移動指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、他の実装ヘッド部7を供給ステージ部2へ移動させるよう、他の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。同時に、供給ステージ部2上の電子部品を撮像装置8で撮像する。供給ステージ部2上の電子部品の撮像は、他の実装ヘッド部7の移動中(一の実装ヘッド部7も移動中)に実行される(図8におけるステップS807の○印のタイミング)。
【0078】
制御部10は、他の実装ヘッド部7が供給ステージ部2への移動を完了した時点で、他の実装ヘッド部7が電子部品を吸着するよう、吸着指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS808)。吸着指示を受信した実装ヘッド部駆動機構103は、他の実装ヘッド部7に電子部品を吸着させる。なお、ステップS803からステップS804まで、及びステップS807からステップS808までの間、一対の第一の可動部5は、同じ速度で同じ方向に移動するので、一対の第一の可動部5間の間隔を一定に保持することができる。
【0079】
制御部10は、一の実装ヘッド部7による実装作業が全て終了したか否か、すなわち一の実装ヘッド部7で実装する対象となる電子部品が供給ステージ部2に残っているか否かを判断する(ステップS809)。制御部10が、一の実装ヘッド部7による実装作業が全て終了していないと判断した場合(ステップS809:NO)、制御部10は処理をステップS801及びステップS805へ戻して上述した処理を繰り返す。制御部10が、一の実装ヘッド部7による実装作業が全て終了したと判断した場合(ステップS809:YES)、制御部10は、一の実装ヘッド部7を待機位置で待機させる待機指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS810)。
【0080】
制御部10は、撮像された画像に基づいて供給ステージ部2上の電子部品の位置を認識する。具体的には待機指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、一の実装ヘッド部7を待機位置へ移動させるよう、一の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。
【0081】
制御部10は、他の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させる移動指示を、第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS811)。移動指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、他の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させるよう、他の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。このとき、第一の可動部5の下方に取り付けられた撮像装置9(第二の撮像部)にて、一の実装ヘッド部7のノズル71に吸着して保持されている電子部品を撮像し(図8におけるステップS811とステップS812との間の◎印のタイミング)、制御部10は、ノズル71の中心に対する吸着位置のずれを把握し、把握した吸着位置のずれに基づいて、実装ステージ部3での電子部品の実装位置を補正する補正指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する。
【0082】
制御部10は、他の実装ヘッド部7が実装ステージ部3への移動を完了した時点で、他の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装するよう、実装指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS812)。実装指示を受信した実装ヘッド部駆動機構103は、他の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装する。
【0083】
制御部10は、他の実装ヘッド部7を待機位置で待機させる待機指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS813)。待機指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、他の実装ヘッド部7を待機位置へ移動させるよう、他の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。
【0084】
制御部10は、基板31の吸引固定を解除するよう、実装ステージ部駆動機構104へ基板31の吸引固定解除指示を送信する(ステップS814)。吸引固定解除指示を受信した実装ステージ部駆動機構104は、基板31を下方から吸引することを停止し、基板31の固定を解除する。なお、ステップS809の時点で供給ステージ部2に他の実装ヘッド部7で実装する対象となる電子部品が残っていない場合、ステップS811〜ステップS813の動作を省略することができる。
【0085】
制御部10は、基板31の搬出指示を実装ステージ部駆動機構104へ送信し(ステップS815)、搬出指示を受信した実装ステージ部駆動機構104は、実装ステージ部3を移動して、基板31を取り出し可能な位置まで搬出する。
【0086】
以上のように、本実施の形態1によれば、実装ヘッド部7を搭載してある第二の可動部6が他の軸方向にどのように移動した場合であっても、実装ヘッド部7同士が互いに干渉しないようにする、又は一の実装ヘッド部7を第二の可動部6を介して取り付けた第一の可動部5と、他の実装ヘッド部7とが接触しないようにすることができ、実装ヘッド部7の実装目標位置によらず、一方の実装ヘッド部7が干渉の可能性がある領域外で待機する必要がない。したがって、実装ヘッド部7の待機という無駄な時間が生じることなく、実装タクトタイムを短縮することが可能となる。
【0087】
なお、本実施の形態1において、一対の実装ヘッド部7a、7bの移動速度ベクトルを合成した場合、図5(b)及び(d)に示すように、移動速度ベクトルはV字を描く。これは、供給ステージ部2を大きく動かすことなく、実装ヘッド部7が電子部品又は電子素子を吸着し、実装できることを意味する。すなわち、供給ステージ部2の上下に電子部品又は電子素子の撮像部、突き上げ機構部のような精密器具を有する場合であっても、精密器具の配置は固定したままで良い。したがって、本実施の形態1に係る実装装置は、供給ステージ部2周辺に配置を変えたくない精密器具を有する場合にも適している。
【0088】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る実装装置は、フレーム1の上にX軸方向及びY軸方向に移動することが可能な供給ステージ部2を2基備えていること以外は実施の形態1と同様であるので、同一の符号を付することにより詳細な説明は省略する。なお、以後X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向とし、Y軸の正方向を後、X軸の正方向を右とする。
【0089】
2基の供給ステージ部2は、実装装置のフレーム1上の前後両端部分に備えている。図9は、本発明の実施の形態2に係る実装装置の実装ステージ部3近傍の配置を示す模式図である。図9に示すように、電子部品又は電子素子を実装する基板31を、図示しない基板搬送部から実装ステージ部3上へ搬送させ、基板31の位置決めを行い、基板31を下方から吸引固定する。
【0090】
実装ヘッド部7は、第一の可動部5による左右方向(X軸方向)の移動、第二の可動部6による前後方向(Y軸方向)の移動を組み合わせることにより、電子部品又は電子素子の供給位置と実装位置との間で往復運動を行う。実装ヘッド部7はノズル71に吸着して保持されている電子部品又は電子素子を1個ずつ基板31に順次実装する。
【0091】
本実施の形態2では、2基の供給ステージ部2それぞれが、互いに直交する4つの方向に4つのノズルを有する、回転することが可能な反転ノズル部11を備えている。反転ノズル部11のいずれか一つのノズルで、供給ステージ部2から電子部品又は電子素子を吸着し、反転ノズル部11を180度回転させて実装ヘッド部7の4連のノズル71のいずれかに吸着して保持させる。ノズル71に吸着して保持されている電子部品又は電子素子は、実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させて基板31に順次実装する。
【0092】
図10は、本発明の実施の形態2に係る実装装置の電子部品実装手順の一例を示す模式図である。図10では、実装ヘッド部7a、7bを、第一の可動部5a、5bの互いに対向する側に備えている。まず図10(a)に示すように、右側の第一の可動部5bに沿って移動可能な実装ヘッド部7bがY軸方向を前後方向とした前側の供給ステージ部2b上に、左側の第一の可動部5aに沿って移動可能な実装ヘッド部7aが実装ステージ部3上に、それぞれ位置する。図10(a)に示す状態で、実装ヘッド部7aは実装ステージ部3に載置してある基板31に電子部品を実装し、実装ヘッド部7bは供給ステージ部2b上の電子部品を吸着する。
【0093】
図10(b)では、実装ヘッド部7a、7bが実装ヘッド部駆動機構103により同時に同じ方向へ移動するとともに、実装ステージ部3も実装ステージ部駆動機構104により正のX軸方向(右方向)へ移動している。第一の可動部5a、5bは、正のX軸方向(右方向)へ同じ速度で移動し、実装ヘッド部7a、7bも正のY軸方向(後方向)へ、それぞれ同じ速度で移動する。したがって、実装ヘッド部7aの移動速度ベクトルは矢印91となり、実装ヘッド部7bの移動速度ベクトルは矢印92となる。
【0094】
図10(c)では、実装ヘッド部7a、7bの移動が完了した状態を示している。すなわち、右側の第一の可動部5bに沿って移動可能な実装ヘッド部7bが実装ステージ部3上に、左側の第一の可動部5aに沿って移動可能な実装ヘッド部7aが供給ステージ部2a上に、それぞれ位置する。図10(c)に示す状態で、実装ヘッド部7aは供給ステージ部2a上の電子部品を吸着し、実装ヘッド部7bは実装ステージ部3に載置してある基板31に電子部品を実装する。つまり、実装ヘッド部7bが実装目標位置に到達するまでに、実装ステージ部3は、正のX軸方向への移動して位置決めを完了する。
【0095】
図10(d)では、実装ヘッド部7a、7bが実装ヘッド部駆動機構103により同時に同じ方向へ移動するとともに、実装ステージ部3も実装ステージ部駆動機構104によりX軸に沿って元の位置へと移動している。第一の可動部5a、5bは、負のX軸方向(左方向)へ同じ速度で移動し、実装ヘッド部7a、7bは負のY軸方向(前方向)へ、それぞれ同じ速度で移動する。したがって、実装ヘッド部7aの移動速度ベクトルは矢印91となり、実装ヘッド部7bの移動速度ベクトルは矢印92となる。
【0096】
このように、第一の可動部5a、5bが同じ速度で同じ方向へ移動することにより、左側の第一の可動部5aと右側の第一の可動部5bとの間の間隔wを一定に保持することができ、間隔wが実装ヘッド部7aの幅と実装ヘッド部7bの幅との和より大きい場合、実装ヘッド部7がY軸方向にどのように移動した場合であっても、実装ヘッド部7aと実装ヘッド部7bとの間に接触、衝突等の干渉が生じることがない。したがって、実装ヘッド部7の待機という無駄な時間が生じることなく、実装タクトタイムを短縮することが可能となる。
【0097】
なお、図10の例では、第一の可動部5a、5bが同じ速度で同じ方向へ移動する例について説明しているが、左側の第一の可動部5aと右側の第一の可動部5bとの間の間隔wを一定に保持するためであり、間隔wが実装ヘッド部7aの幅と実装ヘッド部7bの幅との和より大きければ、例えば第一の可動部5a、5bが相対する方向へ移動する場合であっても、実装ヘッド部7aと実装ヘッド部7bとの間に接触、衝突等の干渉が生じることがない。したがって、間隔wが実装ヘッド部7aの幅と実装ヘッド部7bの幅との和以上となるように第一の可動部5a、5bが移動すれば足りる。
【0098】
また、図10の例では、実装ヘッド部7を、第一の可動部5a、5bの互いに対向する側に備えているが、同じ側に備えても良い。図6に示すように、右側の第一の可動部5bでは、X軸方向の負側(左側)に実装ヘッド部7bが搭載され、左側の第一の可動部5aでは、X軸方向の負側(左側)に実装ヘッド部7aが搭載されている場合にも、左側の第一の可動部5aと右側の第一の可動部5bとの間の間隔wが、実装ヘッド部7bの幅より大きければ、実装ヘッド部7bと第一の可動部5aとの間に接触、衝突等の干渉が生じることがない。したがって、間隔wが実装ヘッド部7bの幅以上となるように第一の可動部5a、5bが移動すれば同様の効果が期待できる。
【0099】
また、第一の可動部5a、5bを別々に駆動するのではなく、双方を連結して一体化することにより、左側の第一の可動部5aと右側の第一の可動部5bとの間の間隔wを一定に保持することができる。したがって、間隔wが、実装ヘッド部7aの幅と実装ヘッド部7bの幅との和以上となるようにして一体化することによっても、同様の効果が期待できる。
【0100】
なお、供給ステージ部2に位置する一の実装ヘッド部7が実装ステージ部3へ移動し、実装ステージ部3に位置する他の実装ヘッド部7が供給ステージ部2へ移動するタイミングで、撮像装置8は、供給ステージ部2上の電子部品又は電子素子を撮像し、制御部10は、撮像された画像に基づいて供給ステージ部2上の電子部品又は電子素子の位置を認識する。このようにすることで、異なる実装ヘッド部7で供給ステージ部2上の電子部品又は電子素子を吸着する場合であっても、実装ヘッド部7の待機という無駄な時間が生じることなく、実装タクトタイムを短縮することが可能になる。
【0101】
図11及び図12は、本発明の実施の形態2に係る実装装置の制御部10の電子部品実装処理の手順を示すフローチャートである。まず、電子部品を実装する基板31を載置した状態で実装装置を起動する。図11において、実装装置の制御部10は、基板31の搬入指示を実装ステージ部駆動機構104へ送信し(ステップS1101)、搬入指示を受信した実装ステージ部駆動機構104は、実装ステージ部3を移動することにより、基板31を実装ヘッド部7が移動可能な領域まで搬送する。
【0102】
制御部10は、基板31の実装ステージ部3での位置決めを行い、実装ステージ部駆動機構104へ基板31の吸引固定指示を送信する(ステップS1102)。基板31の位置決めは、例えば位置決めマーク等を認識することで行う。吸引固定指示を受信した実装ステージ部駆動機構104は、基板31を下方から吸引することにより、基板31を実装ステージ部3に固定する。
【0103】
一方、制御部10は、一の実装ヘッド部7(例えば図10の実装ヘッド部7a)を一の供給ステージ部2aへ移動させる移動指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS1103)。同時に、他の供給ステージ部2b上の電子部品を撮像装置8で撮像する。他の供給ステージ部2b上の電子部品の撮像は、一の実装ヘッド部7の移動中に実行される(図11におけるステップS1103の○印のタイミング)。他方、同時に、他の実装ヘッド部7(例えば図10の実装ヘッド部7b)を実装ステージ部3へ移動させる移動指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS1104)。
【0104】
移動指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、一の実装ヘッド部7を一の供給ステージ部2aへ移動させるよう、一の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。同時に、第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、他の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させるよう、他の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。
【0105】
制御部10は、一の実装ヘッド部7が一の供給ステージ部2aへの移動を完了した時点で、一の実装ヘッド部7が電子部品を吸着するよう、吸着指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS1105)。吸着指示を受信した実装ヘッド部駆動機構103は、一の実装ヘッド部7に電子部品を吸着させる。
【0106】
他方、制御部10は、他の実装ヘッド部7を他の供給ステージ部2bへ移動させる移動指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS1108)。同時に、一の供給ステージ部2a上の電子部品を撮像装置8で撮像する。一の供給ステージ部2a上の電子部品の撮像は、一の供給ステージ部2aに位置する一の実装ヘッド部7が実装ステージ部3へ移動し、実装ステージ部3に位置する他の実装ヘッド部7が他の供給ステージ部2bへ移動するタイミングで実行される(図11におけるステップS1108の○印のタイミング)。
【0107】
制御部10は、撮像された画像に基づいて一の供給ステージ部2a上の電子部品の位置を認識する。具体的には、画像解析することにより、一の供給ステージ部2aにおける電子部品の配置されている座標を算出する。
【0108】
移動指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、他の実装ヘッド部7を他の供給ステージ部2bへ移動させるよう、他の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。
【0109】
一方、制御部10は、一の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させる移動指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS1106)。移動指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、一の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させるよう、一の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。このとき、第一の可動部5の下方に取り付けられた撮像装置9(第二の撮像部)にて、一の実装ヘッド部7のノズル71に吸着して保持されている電子部品を撮像し(図11におけるステップS1106とステップS1107との間の◎印のタイミング)、制御部10は、ノズル71の中心に対する吸着位置のずれを把握し、把握した吸着位置のずれに基づいて、実装ステージ部3での電子部品の実装位置を補正する補正指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する。
【0110】
制御部10は、一の実装ヘッド部7が実装ステージ部3への移動を完了した時点で、一の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装するよう、実装指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS1107)。実装指示を受信した実装ヘッド部駆動機構103は、一の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装する。
【0111】
他方、制御部10は、他の実装ヘッド部7が他の供給ステージ部2bへの移動を完了した時点で、他の実装ヘッド部7が電子部品を吸着するよう、吸着指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS1109)。吸着指示を受信した実装ヘッド部駆動機構103は、他の実装ヘッド部7に電子部品を吸着させる。
【0112】
一方、図12において、実装装置の制御部10は、一の実装ヘッド部7(例えば図10の実装ヘッド部7a)を一の供給ステージ部2aへ移動させる移動指示を、第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS1201)。同時に、他の供給ステージ部2b上の電子部品を撮像装置8で撮像する。他の供給ステージ部2b上の電子部品の撮像は、一の実装ヘッド部7の移動中(他の実装ヘッド部7も移動中)に実行される(図12におけるステップS1201の○印のタイミング)。
【0113】
制御部10は、撮像された画像に基づいて他の供給ステージ部2b上の電子部品の位置を認識する。具体的には、画像解析することにより、他の供給ステージ部2bにおける電子部品の配置されている座標を算出する。移動指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、一の実装ヘッド部7を一の供給ステージ部2aへ移動させるよう、一の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。
【0114】
制御部10は、一の実装ヘッド部7が一の供給ステージ部2aへの移動を完了した時点で、一の実装ヘッド部7が電子部品を吸着するよう、吸着指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS1202)。吸着指示を受信した実装ヘッド部駆動機構103は、一の実装ヘッド部7に電子部品を吸着させる。
【0115】
他方、制御部10は、他の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させる移動指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS1205)。移動指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、他の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させるよう、他の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。このとき、第一の可動部5の下方に取り付けられた撮像装置9(第二の撮像部)にて、一の実装ヘッド部7のノズル71に吸着して保持されている電子部品を撮像し(図12におけるステップS1205とステップS1206との間の◎印のタイミング)、制御部10は、ノズル71の中心に対する吸着位置のずれを把握し、把握した吸着位置のずれに基づいて、実装ステージ部3での電子部品の実装位置を補正する補正指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する。
【0116】
制御部10は、他の実装ヘッド部7が実装ステージ部3への移動を完了した時点で、他の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装するよう、実装指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS1206)。実装指示を受信した実装ヘッド部駆動機構103は、他の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装する。
【0117】
なお、ステップS1201からステップS1202まで、及びステップS1205からステップS1206までの間、一対の第一の可動部5は同じ速度で同じ方向に移動するので、一対の第一の可動部5間の間隔を一定に保持することができる。
【0118】
次に、制御部10は、一の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させる、移動指示を第一の可動部リニアモータ101及び第二の可動部リニアモータ102へ送信する(ステップS1203)。移動指示を受信した第一の可動部リニアモータ101及び第二の可動部リニアモータ102は、一の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させるよう、一の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。このとき、第一の可動部5の下方に取り付けられた撮像装置9(第二の撮像部)にて、一の実装ヘッド部7のノズル71に吸着して保持されている電子部品を撮像し(図12におけるステップS1203とステップS1204との間の◎印のタイミング)、制御部10は、ノズル71の中心に対する吸着位置のずれを把握し、把握した吸着位置のずれに基づいて、実装ステージ部3での電子部品の実装位置を補正する補正指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する。
【0119】
制御部10は、一の実装ヘッド部7が実装ステージ部3への移動を完了した時点で、一の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装するよう、実装指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS1204)。実装指示を受信した実装ヘッド部駆動機構103は、一の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装する。
【0120】
他方、制御部10は、他の実装ヘッド部7を他の供給ステージ部2bへ移動させる移動指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS1207)。移動指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、他の実装ヘッド部7を他の供給ステージ部2bへ移動させるよう、他の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。同時に、一の供給ステージ部2a上の電子部品を撮像装置8で撮像する。一の供給ステージ部2a上の電子部品の撮像は、他の実装ヘッド部7の移動中(一の実装ヘッド部7も移動中)に実行される(図12におけるステップS1207の○印のタイミング)。
【0121】
制御部10は、他の実装ヘッド部7が他の供給ステージ部2bへの移動を完了した時点で、他の実装ヘッド部7が電子部品を吸着するよう、吸着指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS1208)。なお、ステップS1203からステップS1204まで、及びステップS1207からステップS1208までの間、一対の第一の可動部5は同じ速度で同じ方向に移動するので、一対の第一の可動部5間の間隔を一定に保持することができる。
【0122】
制御部10は、一の実装ヘッド部7による実装作業が全て終了したか否かを判断する(ステップS1209)。制御部10が、一の実装ヘッド部7による実装作業が全て終了していないと判断した場合(ステップS1209:NO)、制御部10は処理をステップS1201及びステップS1205へ戻して上述した処理を繰り返す。制御部10が、一の実装ヘッド部7による実装作業が全て終了したと判断した場合(ステップS1209:YES)、制御部10は、一の実装ヘッド部7を一の供給ステージ部2aへ移動させる移動指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS1210)。
【0123】
制御部10は、撮像された画像に基づいて他の供給ステージ部2b上の電子部品の位置を認識する。具体的には、移動指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、一の実装ヘッド部7を一の供給ステージ部2aへ移動させるよう、一の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。
【0124】
制御部10は、他の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させる移動指示を、第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する(ステップS1211)。移動指示を受信した第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102は、他の実装ヘッド部7を実装ステージ部3へ移動させるよう、他の実装ヘッド部7が設けてある第一の可動部5及び第二の可動部6を移動する。このとき、第一の可動部5の下方に取り付けられた撮像装置9(第二の撮像部)にて、一の実装ヘッド部7のノズル71に吸着して保持されている電子部品を撮像し(図12におけるステップS1211とステップS1212との間の◎印のタイミング)、制御部10は、ノズル71の中心に対する吸着位置のずれを把握し、把握した吸着位置のずれに基づいて、実装ステージ部3での電子部品の実装位置を補正する補正指示を第一の可動部用リニアモータ101及び第二の可動部用リニアモータ102へ送信する。
【0125】
制御部10は、他の実装ヘッド部7が実装ステージ部3への移動を完了した時点で、他の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装するよう、実装指示を実装ヘッド部駆動機構103へ送信する(ステップS1212)。実装指示を受信した実装ヘッド部駆動機構103は、他の実装ヘッド部7に吸着してある電子部品を基板31へ実装する。
【0126】
制御部10は、基板31の吸引固定を解除するよう、実装ステージ部駆動機構104へ基板31の吸引固定解除指示を送信する(ステップS1213)。解除指示を受信した実装ステージ部駆動機構104は、基板31を下方から吸引することを停止し、基板31の固定を解除する。なお、ステップS1209の時点で他の供給ステージ部2bに他の実装ヘッド部7で実装する対象となる電子部品が残っていない場合、ステップS1211及びステップS1212の動作を省略することができる。
【0127】
制御部10は、基板31の搬出指示を実装ステージ部駆動機構104へ送信し(ステップS1214)、搬出指示を受信した実装ステージ部駆動機構104は、実装ステージ部3を移動して、基板31を取り出し可能な位置まで搬出する。
【0128】
以上のように、本実施の形態2によれば、実装ヘッド部7を搭載してある第二の可動部6が他の軸方向にどのように移動した場合であっても、実装ヘッド部7同士が互いに干渉しないようにする、又は一の実装ヘッド部7を第二の可動部6を介して取り付けた第一の可動部5と、他の実装ヘッド部7とが接触しないようにすることができ、実装ヘッド部7の実装目標位置によらず、一方の実装ヘッド部7が干渉の可能性がある領域外で待機する必要がない。また、2基の供給ステージ部2から異なる電子部品又は電子素子を供給するようにすることで、実装タクトタイムをより短縮することが可能となる。
【0129】
なお、上述した実施の形態2では、実装ヘッド部7ごとに2基の供給ステージ部2のうち、どちらの供給ステージ部2へ移動するかを特定した場合について説明しているが、特に特定することに限定するものではなく、1回ごとに異なる供給ステージ部2へ移動しても良いことは言うまでもない。
【0130】
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変更、改良等が可能である。例えば上述した実装装置を並列に複数個連結し、実装ユニットとしても良いことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0131】
1 フレーム
2、2a、2b 供給ステージ部
3 実装ステージ部
5、5a、5b 第一の可動部
6 第二の可動部
7、7a、7b 実装ヘッド部
8 撮像装置(第一の撮像部)
9 撮像装置(第二の撮像部)
10 制御部
11 反転ノズル部
12 プリズム
31 基板
71 ノズル(吸着ノズル)
104 実装ステージ部駆動機構
105 供給ステージ部駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品又は電子素子を供給する一又は複数の供給ステージ部と、
一の軸方向に移動することが可能な、一対の第一の可動部と、
前記一の軸方向と直交する他の軸方向に移動することが可能であり、一対の前記第一の可動部それぞれに設けられている第二の可動部と、
該第二の可動部に搭載され、電子部品又は電子素子を吸着して保持する吸着ノズルを有する実装ヘッド部と、
電子部品又は電子素子を基板に実装する実装ステージ部と、
一対の前記第一の可動部を、互いの間隔を所定の間隔以上に保持しつつ、同じ方向へ移動するよう制御する制御部と
を備えることを特徴とする実装装置。
【請求項2】
前記所定の間隔は、前記実装ヘッド部同士が互いに干渉しない間隔、又は一の実装ヘッド部を前記第二の可動部を介して取り付けた第一の可動部と、他の実装ヘッド部とが接触しない間隔であることを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
前記実装ヘッド部は、一対の前記第一の可動部の互いに対向する側に備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の実装装置。
【請求項4】
前記制御部は、一対の前記第一の可動部を、同じ速度で同じ方向へ移動するよう制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項5】
一対の前記第一の可動部を、互いの間隔を一定に保持しつつ、連結して一体化していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項6】
前記実装ステージ部は、一対の前記第一の可動部と同じ方向に移動することが可能であり、
前記制御部は、一対の前記第一の可動部が移動する場合、前記実装ステージ部を一対の前記第一の可動部と同じ方向へ移動させるよう制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記実装ヘッド部が実装目標位置に到達するまでに、前記実装ステージ部を前記一の軸方向に移動させて位置決め完了するよう制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項8】
前記供給ステージ部の上方に、前記供給ステージ部に位置する一の実装ヘッド部が前記実装ステージ部へ移動し、前記実装ステージ部に位置する他の実装ヘッド部が前記供給ステージ部へ移動するタイミングで、前記供給ステージ部上の電子部品又は電子素子を撮像する第一の撮像部を備え、
前記制御部は、前記第一の撮像部で撮像された電子部品又は電子素子の位置情報に基づいて、前記他の実装ヘッド部に対して、前記供給ステージ部への移動位置を補正指示することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項9】
前記第一の可動部の下方に、電子部品又は電子素子を前記吸着ノズルに吸着して保持してある実装ヘッド部の前記実装ステージ部への移動中に、前記実装ヘッド部の前記吸着ノズルに吸着して保持されている電子部品又は電子素子を撮像する第二の撮像部を備え、
前記制御部は、前記第二の撮像部で撮像された電子部品又は電子素子の位置情報に基づいて、前記実装ヘッド部に対して、前記実装ステージ部での電子部品又は電子素子の実装位置を補正指示することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項10】
前記供給ステージ部は、電子部品又は電子素子を吸着して前記実装ヘッド部へ受け渡しする複数のノズルを有する、回転することが可能な反転ノズル部を備え、
前記制御部は、前記反転ノズル部の一のノズルによる電子部品又は電子素子の受け渡しと、前記反転ノズルの他のノズルによる他の電子部品又は電子素子の吸着とを同時に行うよう制御することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の実装装置を連結してあることを特徴とする実装ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−33888(P2013−33888A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170054(P2011−170054)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】