説明

家庭用電気製品

【課題】出荷時の検査工程において、正確な目標電力値に設定できるようにする。
【解決手段】負荷部品(誘導加熱コイル14)と、複数のスイッチ28〜34からなる入力手段と、プログラムおよび設定データを記憶した第1記憶媒体(ROM37)と、マイコン36とを備えた家庭用電気製品において、設定データは、負荷部品を動作させる基準電力値を含み、その基準電力値を増減するために、少なくとも第1補正データおよび第2補正データを、書換可能な第2記憶媒体(EEPROM40)に記憶し、かつ、第1補正データを電子的な信号により段階的に変更する第1,第2出力可変手段(マイコン36)を設けえる。また、出力変更手段による補正データの変更幅を調整する変更幅調整手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器、電気ポット、空気清浄機、浄水器、加湿器等の家庭用電気製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の家庭用電気製品は、回路部品の特性や配置等のバラツキによる各家庭用電気製品の性能のバラツキを安定させたり、家庭用電気製品の機種を変更するために、製品完成後に種々の調整作業が行われる。例えば、前記回路部品の特性や配置等のバラツキにより、加熱手段等の構成部品へ出力される電力にバラツキが生じる。そして、この電力値の補正方法としては、専用の電力測定器を用い、その測定値が予め設定された設定値になるように、回路に実装した可変抵抗を手動で調整していた。
【0003】
一方、近年では、前記可変抵抗に代えて電子的に電力値を調整可能なマイクロコンピュータ(以下「マイコン」と略する。)が普及されている。このマイコンは、従来のマイコンと比較して高価であるが、回路基板に可変抵抗を実装する必要がないうえ、誘導加熱方式の炊飯器においては、誘導加熱コイルをスイッチングさせるIGBTの駆動用発振回路も必要ないため、製品のトータルコストを低減できる。
【0004】
この種のマイコンを搭載した本発明の家庭用電気製品に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0005】
【特許文献1】特開2000−70131号公報
【特許文献2】特開2004−95228号公報
【0006】
これらの特許文献では、外装体に配設した入力手段を構成する所定のスイッチを操作することにより、電力の調整処理に遷移する。そして、記憶手段に予め設定した基準電力値を設定した後、実際の電力値に基づいてスイッチの操作により動作電力値を増減させて変更(設定)できるように構成している。なお、前記電力値を増減させる変更幅(分解能)は、補正データとして記憶手段に予め記憶されている。
【0007】
しかしながら、マイコンによるデータの変更方法は、無段階で変更できるものではなく、予め設定した変更幅で、かつ、予め設定された段階(例えば15段階)のみである。そのため、回路部品の特性のバラツキによって、設計時の目標電力値を得ることができない製品がある。
【0008】
なお、前記基準電力値を含む予め記憶される設定データは、製品の設計により算出可能なデータであり、目標値である。そして、このデータを仮設定データとして記憶させた試験機を製造して試運転し、実際の電力値などを測定して、その測定値に基づいて決定した設定データを記憶させた場合には、前記問題が生じることを大幅に抑制できる。しかし、この場合には、製品の開発期間が長くなるため、計算上の目標値を設定データとして量産し、製造後に設定データを補正することが望ましい。
【0009】
また、1回(段階)の操作による変更幅を大きくすれば、目標電力値が得られないという問題が生じることを抑制できるが、この場合には正確な目標電力値に設定することができない。一方、変更幅を小さくすると、正確な目標電力値に設定することができるが、前記問題が顕著に現れる。そのため、変更幅は、設計者の長年の経験により最適と思われる数値に設定していた。その結果、製品毎に正確な目標電力値は得ることができないうえ、目標電力値を得ることができない製品も希に発生していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明では、出荷時の検査工程において、正確な目標電力値に設定できる家庭用電気製品を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明の第1の家庭用電気製品は、外装体の内部に配設した負荷部品と、前記外装体の表面に配設した複数のスイッチからなる入力手段と、前記負荷部品および表示手段を制御するためのプログラム、および、該プログラムで使用する複数の設定データを記憶した第1記憶媒体と、前記入力手段による選択に応じ、前記第1記憶媒体に記憶されたプログラムおよび設定データに基づいて前記負荷部品および表示手段を制御するマイコンとを備えた家庭用電気製品において、前記設定データは、前記負荷部品を動作させる基準電力値を含み、その基準電力値を増減するために、少なくとも第1補正データおよび第2補正データを、書換可能な第2記憶媒体に記憶し、かつ、前記入力手段を構成する所定のスイッチの操作により、前記第1補正データを電子的な信号により段階的に変更する第1出力可変手段と、他の所定のスイッチの操作により、前記第2補正データを電子的な信号により段階的に変更する第2出力可変手段とを設けた構成としている。
【0012】
また、本発明の第2の家庭用電気製品は、外装体の内部に配設した負荷部品と、前記外装体の表面に配設した複数のスイッチからなる入力手段と、前記負荷部品および表示手段を制御するためのプログラム、および、該プログラムで使用する複数の設定データを記憶した第1記憶媒体と、前記入力手段による選択に応じ、前記第1記憶媒体に記憶されたプログラムおよび設定データに基づいて前記負荷部品および表示手段を制御するマイコンとを備えた家庭用電気製品において、前記設定データは、前記負荷部品を動作させる基準電力値を含み、その基準電力値を増減するための補正データを書換可能な第2記憶媒体に記憶し、かつ、前記入力手段を構成する所定のスイッチの操作により、前記補正データを電子的な信号により段階的に変更する出力変更手段と、該出力変更手段による前記補正データの変更幅を調整する変更幅調整手段とを設けた構成としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の家庭用電気製品では、予め設定した基準電力値を変更するために、第1補正データおよび第2補正データを第2記憶媒体に記憶させるとともに、これらの補正データを段階的に変更する出力可変手段を設けているため、基準電力値を変更可能な範囲を広げることが可能になる。そのため、電気製品の実際の電力値を正確に目標電力値に設定することができる。
【0014】
また、第2の家庭用電気製品では、予め設定した基準電力値を変更するために、補正データを第2記憶媒体に記憶させ、その補正データを段階的に変更する出力可変手段を設けるとともに、該出力変更手段による前記補正データの変更幅を調整する変更幅調整手段を設けているため、基準電力値を変更可能な範囲を広げることが可能になるうえ、微調整をも可能とすることができる。そのため、電気製品の実際の電力値を迅速かつ正確に目標電力値に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る家庭用電気製品である炊飯器10を示す。この炊飯器10は、大略、被加熱物を収容する容器である内鍋11と、該内鍋11を収容する非導電性材料からなる保護枠12aを備えた炊飯器本体12と、該炊飯器本体12に回動可能に配設され前記内鍋11の上端開口を密閉する蓋体13とを備えている。そして、炊飯器本体12の外装体内には、負荷部品である誘導加熱コイル14と内鍋用温度センサ15とが配設されている。また、蓋体13の外装体内には、負荷部品である蓋ヒータ16と蓋用温度センサ17とが配設されている。
【0017】
また、前記炊飯器本体12の正面には、図2に示す操作パネル18が配設されている。この操作パネル18の中央には、後述するマイコン36が内蔵したドライバによって表示するセグメント表示方式の液晶表示部19が配設されている。この液晶表示部19には、時計表示20、その時計表示20の表示が現在時刻であることを示す現在表示21、午前表示22および午後表示23、前記時計表示20の表示が残り炊飯時間であることを示す分表示24および時間表示25、液晶表示部19の回りに設けた炊飯メニュー表示に対応する△印表示26、および、予約炊飯設定中であることを示す予約表示27を備えている。また、この予約機能は2種の設定を記憶可能としており、その予約ナンバーである「1」表示部27aと「2」表示部27bとを備えている。
【0018】
また、前記液晶表示部19の周囲には、入力手段を構成する複数のスイッチ28〜34が配設されている。具体的には、加熱制御の1つである炊飯動作を実行させる炊飯スイッチ28、および、他の加熱制御である保温動作を実行させる保温スイッチ29が配設されている。また、炊飯条件や現在時刻などの設定スイッチである予約スイッチ30、とりけしスイッチ31、メニュースイッチ32、▽スイッチ33、△スイッチ34が配設されている。
【0019】
前記各負荷部品14〜17,19は、炊飯器本体12内に配設した制御基板35に実装したマイコン36により動作される。このマイコン36には、図3に示すように、各負荷部品14〜17,19を動作させて炊飯制御および保温制御を実行するための炊飯プログラム、この炊飯プログラムで使用する設定データ、および、出荷の際に設計通りの動作が行われるか否かを確認するための動作確認プログラムなどが予め記憶された書換不可能な第1記憶媒体であるROM37が内蔵されている。
【0020】
また、マイコン36には、誘導加熱コイル用スイッチング回路38を介して前記誘導加熱コイル14が接続されるとともに、ヒータ用スイッチング回路39を介して前記蓋ヒータ16が接続されている。即ち、本実施形態のマイコン36を搭載した制御基板35には、誘導加熱コイル14の誘導加熱コイル用スイッチング回路38であるIGBTを制御するための駆動用発振回路を実装する必要はない。さらに、マイコン36には、前記温度センサ15,17と、液晶表示部19、および、各スイッチ28〜34が接続されている。
【0021】
そして、本実施形態では、前記マイコン36には、書換可能な不揮発性のプログラマブルROMであり、複数のアドレスを備えた第2記憶媒体であるEEPROM40が接続されている。このEEPROM40には、各アドレスに前記ROM37に記憶された設定データに対応する補正データがそれぞれ記憶され、マイコン36は、ROM37に記憶された設定データに、このEEPROM40に記憶された補正データを加味して炊飯プログラムを実行する。
【0022】
具体的には、前記EEPROM40には、図4に示すように、16進数で表した00H〜16Hの計23個のアドレスを備え、その各アドレスを上位領域と下位領域の2つに区画し、計46個の情報を記憶できる構成としている。そのうち、本実施形態では、0FHアドレスの下位領域に、基準電力値Vceを補正するための第1出力補正データが記憶されている。また、10Hアドレスの上位領域に、基準電力値Vceを補正するための第2出力補正データが記憶されている。さらに、本実施形態では、16Hアドレスの上位領域に、前記第1出力補正データを変更する際の変更幅(分解能)を調整するための第1変更幅調整データが記憶されている。また、16Hアドレスの下位領域に、前記第2出力補正データを変更する際の変更幅を調整するための第2変更幅調整データが記憶されている。
【0023】
そして、本実施形態のマイコン36は、商用電源に接続された際に前記操作パネル18の所定のスイッチ27,29,32が操作されると、動作確認プログラムであるEEPROM検査処理を実行する。また、スイッチ27,29が操作されると、前記EEPROM検査処理で行うことができる1つの処理である。電力調整処理が直接実行される。即ち、この電力調整処理は、製品において非常に重要な部分であるため、所定のスイッチ27,29の操作により直接移行できるように構成されている。
【0024】
具体的には、EEPROM検査処理では、図5に示すように、液晶表示部19の時計表示20と、予約表示27の「1」表示部27aと「2」表示部27bとを用いて、アドレスの特定、および、設定状態を表示する。そして、メニュースイッチ32を3秒以上長押しすることにより、そのアドレスの設定内容を変更できるように構成している。ここで、図5において、時計表示20の左セグメント20aは、アドレスナンバーを意味し、「1」表示部27aが表示されると上位領域であることを意味し、「2」表示部27bが表示されると下位領域であることを意味し、時計表示20の右セグメント20bは設定内容を意味する。
【0025】
このEEPROM検査処理を実行した際の初期画面は表示状態(1−1)であり、00アドレスの上位領域の設定状態を意味する。そして、▽スイッチ33が操作されると表示状態(1−2)に遷移し、00アドレスの下位領域の設定状態を表示する。一方、この状態で△スイッチ34が操作されると、表示状態(1−1)に遷移する一方、▽スイッチ33が操作されると、01アドレスの上位領域の設定状態を意味する表示状態(1−3)を表示する。このようにして、▽スイッチ33または△スイッチ34を操作することにより、各アドレスの設定状態を確認する。なお、前記第1出力補正データが記憶された0FHアドレスの下位領域は表示状態(1−4)であり、第2出力補正データが記憶された10Hアドレスの上位領域は表示状態(1−5)である。なお、最も下層の16Hアドレスの下位領域を示す表示状態(1−6)で、▽スイッチ33が操作されると、最も上層の00アドレスの上位領域を示す表示状態(1−1)に遷移(戻る)する一方、表示状態(1−1)の表示状態で△スイッチ34が操作されると、表示状態(1−6)に遷移する。
【0026】
また、電源の投入時にスイッチ27,29が操作され、または、表示状態(1−4)でメニュースイッチ32が長押しされ、EEPROM検査処理の1つである電力調整処理が実行されると、マイコン36は、ROM37に記憶された基準電力値に、EEPROM40に記憶された第1出力補正データおよび第2出力補正データを加味して実際の出力を行う。また、製品を検査する作業者は、この状態で従来と同様の専用電力測定器を用い、その実際の電力の測定値と予め設定された目標電力値とを比較して調整作業を行う。そして、マイコン36は、前記液晶表示部19の時計表示20を用いて現状の設定状態を表示し、作業者による▽スイッチ33および△スイッチ34の操作に従って第1出力補正データおよび第2出力補正データを、個別に電子的な信号により所定の変更幅で段階的(15段階)に変更する第1および第2出力変更手段を構成する。また、炊飯スイッチ28の操作に従って前記第1出力補正データおよび第2出力補正データを変更する際の変更幅を段階的(8段階)に調整する変更幅調整手段を構成する。
【0027】
具体的には、電力調整処理が実行されると、マイコン36は、図6に示すように、電力調整画面を表示させる。ここで、この図7の時計表示20において、黒塗り部分は点灯状態を示し、白抜き部分は点滅状態を示す。また、左セグメント20aは出力補正データの変更幅の設定状態を意味し、この左セグメント20aが点滅した状態で炊飯スイッチ28を操作することにより変更できる。さらに、右セグメント20bは、出力補正データの設定状態を示し、この右セグメント20bが点滅した状態で▽スイッチ33または△スイッチ34を操作することにより変更できる。また。予約スイッチ30により、設定を変更可能なデータを変更できるとともに、その設定状態を確定してEEPROM40に更新記憶させることができる。
【0028】
更に具体的には、この電力調整処理の初期画面は、表示状態(2−1)である。この状態で、炊飯スイッチ28が操作されると表示状態(2−2)に遷移し、変更幅が小さくなるように設定を調節するとともに、その設定表示を減少する。また、表示状態(2−3)に示すように、左セグメント20aの設定表示が最も小さい0になった状態で炊飯スイッチ28が操作されると、変更幅が最も大きい表示状態(2−1)と同一の表示状態(2−4)に遷移する(戻る)。
【0029】
また、左セグメント20a(変更幅)を変更可能な表示状態(2−1)から(2−4)のいずれかの状態で、予約スイッチ30が操作されると、右セグメント20b(出力補正データ)が点滅した変更可能状態になる。例えば、表示状態(2−1)で予約スイッチ30が操作されると、その設定状態をアドレス16Hの上位領域に記憶するとともに、表示状態(2−5)に遷移し、アドレス0FHの下位領域を変更可能な状態とする。
【0030】
そして、▽スイッチ33が操作されると表示状態(2−6)に遷移し、実際の出力を減少するように出力補正データを補正するとともに、その設定表示を減少する。また、表示状態(2−7)に示すように、右セグメント20bの設定表示が最も小さい0になった状態で▽スイッチ33が操作されると、出力補正設定が最も大きい表示状態(2−5)に遷移する(戻る)。逆に、△スイッチ34が操作されると、実際の出力を増加するように出力補正データを補正するとともに、その設定表示を増加する。
【0031】
次に、前記マイコン36の動作について具体的に説明する。
【0032】
まず、このマイコン36は、組み立てによって図示しないバックアップ用の電池が装着されることで、このバックアップ電源からの3Vの電力により動作が開始されている。そして、図7に示すように、マイコン36は、ステップS1で、5Vの電圧が印加されるか否かで図示しない電源コードが商用電源に接続された否かを検出する。そして、商用電源への接続を検出するまでステップS2のバックアップ処理を行い、商用電源への接続を検出すると、ステップS3に進む。
【0033】
ステップS3では、その電源接続時にいずれかのスイッチ28〜34が操作されているか否かを検出する。そして、いずれかのスイッチ28〜34の操作を検出した場合にはステップS4に進み、いずれのスイッチ28〜34の操作も検出しない場合にはステップS8に進む。
【0034】
ステップS4では、操作されたスイッチが保温スイッチ29と予約スイッチ30の2つか否かを検出する。そして、保温スイッチ29と予約スイッチ30の2つの場合にはステップS5に進み、電力調整処理を実行する。また、保温スイッチ29と予約スイッチ30の2つでない場合にはステップS6に進む。
【0035】
ステップS6では、操作されたスイッチが保温スイッチ29と予約スイッチ30とメニュースイッチ32の3つか否かを検出する。そして、保温スイッチ29と予約スイッチ30とメニュースイッチ32の3つの場合にはステップS7に進み、EEPROM検査処理を実行する。また、操作されたスイッチがこれらの2組以外である場合には、ステップS8に進む。
【0036】
次に、ステップS5の電力調整処理について具体的に説明する。
【0037】
この電力調整処理では、マイコン36は、図8に示すように、まず、ステップS5−1で、ROM37に記憶された基準電力値と、EEPROM40に記憶された第1および第2出力補正データとを読み込み、その出力補正データを基準電力値に加味して誘導加熱コイル14への通電を開始する。
【0038】
また、ステップS5−2で、電力調整画面(図6の表示状態(2−1))を表示させる。ついで、マイコン36は、ステップS5−3で、炊飯スイッチ28が操作されたか否かを検出する。そして、炊飯スイッチ28の操作を検出した場合にはステップS5−4に進み、点滅中の左セグメント20aの設定表示をデクリメント(例えば図6の表示状態(2−2))するとともに、第1出力補正データの変更幅を減少させてステップS5−5に進む。一方、炊飯スイッチの操作を検出しない場合にはそのままステップS5−5に進む。
【0039】
ステップS5−5では、予約スイッチ30が操作されたか否かを検出する。そして、予約スイッチ30の操作を検出しない場合にはステップS5−6に進み、予約スイッチ30の操作を検出した場合にはステップS5−7に進む。
【0040】
ステップS5−6では、とりけしスイッチ31が操作されたか否かを検出する。そして、とりけしスイッチ31の操作を検出した場合には、この電力調整処理を終了し、とりけしスイッチ31の操作を検出しない場合にはステップS5−3に戻る。
【0041】
一方、ステップS5−7では、変更幅の設定変更をEEPROM40のアドレス16Hの上位領域に更新記憶した後、ステップS5−8で、右セグメント20bを点滅させた第1出力補正データの変更画面(例えば図6の表示状態(2−5))を表示する。
【0042】
ついで、ステップS5−9で、△スイッチ34が操作されたか否かを検出する。そして、△スイッチ34の操作を検出した場合にはステップS5−10に進み、点滅中の右セグメント20bの設定表示をイクリメントするとともに、第1出力補正データの変更幅を増加させてステップS5−11に進む。一方、△スイッチ34の操作を検出しない場合にはそのままステップS5−11に進む。
【0043】
ステップS5−11では、▽スイッチ33が操作されたか否かを検出する。そして、▽スイッチ33の操作を検出した場合にはステップS5−12に進み、点滅中の右セグメント20bの設定表示をデクリメント(例えば図6の表示状態(2−6))するとともに、第1出力補正データを選択された変更幅に従って減少させてステップS5−13に進む。一方、▽スイッチの操作を検出しない場合にはそのままステップS5−13に進む。
【0044】
ステップS5−13では、予約スイッチ30が操作されたか否かを検出する。そして、予約スイッチの操作を検出しない場合にはステップS5−14に進み、予約スイッチ30の操作を検出した場合にはステップS5−15に進む。
【0045】
ステップS5−14では、とりけしスイッチ31が操作されたか否かを検出する。そして、とりけしスイッチの操作を検出した場合には、この電力調整処理を終了し、とりけしスイッチ31の操作を検出しない場合にはステップS5−9に戻る。
【0046】
一方、ステップS5−15では、第1出力補正データの設定変更をEEPROM40のアドレス0FHの下位領域に更新記憶した後、左セグメント20aを点滅させた変更幅の変更画面を表示するステップS5−2に戻る。
【0047】
次に、ステップS7のEEPROM検査処理について具体的に説明する。
【0048】
このEEPROM検査処理では、マイコン36は、図9に示すように、まず、ステップS7−1で、アドレス00Hの上位アドレスの設定状態を表示(図5の表示状態(1−1))する。
【0049】
ついで、ステップS7−2で、とりけしスイッチ31が操作されたか否かを検出する。そして、とりけしスイッチ31の操作を検出しない場合にはステップS7−3に進み、とりけしスイッチ31の操作を検出した場合にはこのEEPROM検査処理を終了する。
【0050】
ステップS7−3では、メニュースイッチ32が長押しされたか否かを検出する。そして、メニュースイッチ32の長押しを検出した場合にはステップS7−4に進み、その表示されたアドレスデータの変更処理を行う。一方、メニュースイッチ32の長押しを検出しない場合にはステップS7−5に進む。
【0051】
なお、ステップS7−4のアドレスデータ変更処理のうち、表示(指定)されているアドレスが0FHの下位領域である場合には、図8と同一の第1出力補正データを変更することによる電力調整処理が実行される。また、表示されているアドレスが10Hの上位領域である場合には、図8と同様にして第2出力補正データを変更することによる電力調整処理が実行される。さらに、他のアドレスが表示されている場合には、各アドレス毎に予め設定されている変更画面に遷移し、それぞれの設定を変更する。
【0052】
一方、ステップS7−5では、△スイッチ34が操作されたか否かを検出する。そして、△スイッチ34の操作を検出した場合にはステップS7−6に進み、表示アドレスを上層アドレスにインクリメントしてステップS7−7に進む。一方、△スイッチ34の操作を検出しない場合にはそのままステップS7−7に進む。
【0053】
ステップS7−7では、▽スイッチ33が操作されたか否かを検出する。そして、▽スイッチ33の操作を検出した場合にはステップS7−8に進み、表示アドレスを下層アドレスにデクリメントしてステップS7−2に戻る。一方、▽スイッチ33の操作を検出しない場合にはそのままステップS7−2に戻る。
【0054】
このように、本実施形態の家庭用電気製品である炊飯器10は、予め設定した基準電力値を変更するために、第1出力補正データおよび第2出力補正データを第2記憶媒体に記憶させるとともに、これらの出力補正データを段階的に変更する第1および第2出力可変手段を設けているため、基準電力値を変更可能な範囲を広げることが可能になる。そのため、実際の電力値を正確に目標電力値に設定することができる。また、各出力補正データの変更幅を調整する変更幅調整手段を設けているため、基準電力値を変更可能な範囲を更に広げることが可能になるうえ、微調整をも可能とすることができる。そのため、出荷時の検査工程において実際の電力値を迅速かつ正確に目標電力値に設定することができる。
【0055】
なお、本発明の家庭用電気製品は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0056】
例えば、前記実施形態では、基準電力値を変更するために、第1および第2の出力補正データを第2記憶媒体であるEEPROM40に書換可能に記憶させたが、3以上の出力補正データを書換可能に記憶させてもよい。また、前記実施形態では、各出力補正データを15段階で変更可能としたが、その変更可能な段階数は希望に応じて変更可能である。
【0057】
さらに、前記実施形態では、本発明の構成を適用する家庭用電気製品として炊飯器10を用いたが、電気ポット、空気清浄機、浄水器、加湿器等の家庭用電気製品であればいずれでも適用可能であり、同様の作用および効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る家庭用電気製品である炊飯器を示す概略図である。
【図2】炊飯器の操作パネルを示す正面図である。
【図3】炊飯器の構成を示すブロック図である。
【図4】EEPROMに情報を記憶するアドレスを示す図表である。
【図5】設定状態を確認する際の液晶表示部の表示状態を示す概略図である。
【図6】電力調整処理の際の液晶表示部の表示状態を示す概略図である。
【図7】マイコンによる制御を示すフローチャートである。
【図8】図7の電力調整処理を示すフローチャートである。
【図9】図7のEEPROM検査処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
10…炊飯器(家庭用電気製品)
14〜17…負荷部品
18…操作パネル
19…液晶表示部(表示手段)
28〜34…スイッチ(入力手段)
36…マイコン
37…ROM(第1記憶媒体)
40…EEPROM(第2記憶媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装体の内部に配設した負荷部品と、
前記外装体の表面に配設した複数のスイッチからなる入力手段と、
前記負荷部品および表示手段を制御するためのプログラム、および、該プログラムで使用する複数の設定データを記憶した第1記憶媒体と、
前記入力手段による選択に応じ、前記第1記憶媒体に記憶されたプログラムおよび設定データに基づいて前記負荷部品および表示手段を制御するマイコンとを備えた家庭用電気製品において、
前記設定データは、前記負荷部品を動作させる基準電力値を含み、その基準電力値を増減するために、少なくとも第1補正データおよび第2補正データを、書換可能な第2記憶媒体に記憶し、かつ、
前記入力手段を構成する所定のスイッチの操作により、前記第1補正データを電子的な信号により段階的に変更する第1出力可変手段と、他の所定のスイッチの操作により、前記第2補正データを電子的な信号により段階的に変更する第2出力可変手段とを設けたことを特徴とする家庭用電気製品。
【請求項2】
外装体の内部に配設した負荷部品と、
前記外装体の表面に配設した複数のスイッチからなる入力手段と、
前記負荷部品および表示手段を制御するためのプログラム、および、該プログラムで使用する複数の設定データを記憶した第1記憶媒体と、
前記入力手段による選択に応じ、前記第1記憶媒体に記憶されたプログラムおよび設定データに基づいて前記負荷部品および表示手段を制御するマイコンとを備えた家庭用電気製品において、
前記設定データは、前記負荷部品を動作させる基準電力値を含み、その基準電力値を増減するための補正データを書換可能な第2記憶媒体に記憶し、かつ、
前記入力手段を構成する所定のスイッチの操作により、前記補正データを電子的な信号により段階的に変更する出力変更手段と、該出力変更手段による前記補正データの変更幅を調整する変更幅調整手段とを設けたことを特徴とする家庭用電気製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−181260(P2006−181260A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380723(P2004−380723)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】