説明

家電販売店舗用テレビ視聴システム及びテレビ視聴用アンテナ

【目的】家電販売店舗用テレビの配置自由度を高めるとともに、配線簡略化及び省スペース化を実現することができる家電販売店舗用テレビ視聴システム及びテレビ視聴用アンテナを提供すること。
【解決手段】システム1は、屋外に取り付けられるUHFアンテナ2と、これに接続されデジタル波W1を増幅し増幅された増幅デジタル波W2を出力する増幅器3と、増幅器3に接続され増幅デジタル波W2を無線中継アンテナ5に分配デジタル波W3として分配する分配器4と、を備える。無線中継アンテナ5は、分配デジタル波W3が無線中継アンテナ5の全部又は一部から、屋内デジタル波W4として無線で送信された場合に、これを当該店舗内の全エリアで受信できるように配置される。屋内デジタル波W4は、当該店舗内のテレビの背面又は壁面に取り付けられるアンテナ10,20,30等によって受信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電販売店舗用テレビ視聴システム及びテレビ視聴用アンテナに関し、更に詳しくは、ギャップフィラー技術及びUHF帯域アンテナを用いることにより、家電販売店舗用テレビの配置自由度を高めるとともに、配線簡略化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
家電販売店舗においては、販売用テレビの展示は当該テレビの背面を壁面に密着させた状態(厳密には密着させることは配線等の関係上できないため、密着させた状態に近い状態)にして配置することが行われている。しかも、屋外に設置されたアンテナから増幅器等を経由して、放送波伝送線(以下単に「伝送線」という)が家電販売店舗用の複数の各テレビの背面に設けられたアンテナ信号入力端子に接続される。これにより、アンテナで受信された放送波が伝送線を経由して複数の各テレビに入力され、映像・音声として出力されることにより視聴が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−072645
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のように伝送線を複数の各テレビの信号入力端子に接続(有線)する場合には家電販売店舗では数台〜数十台のテレビを展示する関係で配線が非常に複雑になるという問題がある。更に、配線を隠すために壁面設置をせざるを得ないという問題がある。しかも、有線であるため、配線が届く範囲の場所にしか販売用テレビを設置することができず、結局、各テレビの設置場所が限られ、レイアウト変更がしにくいという問題がある。
【0005】
また、家電販売店舗用で無線でアナログ波を飛ばした場合、壁面での反射等によりそのアナログ波が重なり位相差により遅延しゴースト現象が生じるため、結局、複数台の販売用テレビに一台ずつ有線で伝送線を接続するしかない。また、ゴースト現象が生じる可能性を考慮すると設置場所を離したとしても複数台のアナログアンテナを店内に設置することは考えにくい。従って、各テレビの設置場所が限られ、レイアウト変更がしにくいという問題は解消されない。
【0006】
2003年12月に開始された地上デジタル放送の場合、複数のデジタル放送波が重なっても、最も強いデジタル波が選択されるので壁面反射等によるゴースト現象が生じない。
そこで、この性質を利用して配線簡略化及び省スペース化を図った技術として、例えば、特許文献1に記載の屋内で地上デジタル放送波を中継するために用いられるホームギャップフィラー用再送信アンテナ及び簡易受信アンテナが知られている。この技術は、当該ホームギャップフィラー用再送信アンテナを家庭用室内の照明器具に取り付けることで配線簡略化及び省スペース化を図ったものである。当該簡易受信アンテナはダイポールアンテナで、当該再送信アンテナから送信された円偏波による再送信波を受信する第一のアンテナエレメントと、当該第一のアンテナエレメントに直交して配置される第二のアンテナエレメントとから構成される。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は家庭用円形蛍光灯を活用して配線簡略化及び省スペース化を図ったものであるため、家電販売店舗には応用が難しい。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、家電販売店舗用テレビの配置自由度を高めるとともに、配線簡略化及び省スペース化を実現することができる家電販売店舗用テレビ視聴システム及びテレビ視聴用アンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る家電販売店舗用テレビ視聴システムは、屋外に取り付けられるデジタル波を受信する屋外デジタル波受信手段と、
前記屋外デジタル波受信手段に接続され、前記デジタル波を増幅し、増幅された増幅デジタル波を出力する増幅手段と、
前記増幅手段に接続され、前記増幅デジタル波を当該家電販売店舗に設けられる複数の無線中継アンテナに分配デジタル波として分配するデジタル波分配手段とを備え、
前記分配デジタル波が前記複数の無線中継アンテナの全部又は一部から、屋内デジタル波として無線で送信された場合に、当該屋内デジタル波を前記家電販売店舗内の全エリアで受信できるように、前記複数の無線中継アンテナが配置されるとともに、
前記屋内デジタル波は、複数の家電販売店舗用テレビの背面又は壁面に取り付けられる複数のテレビ視聴用アンテナによって受信されることを要旨とする。
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係るテレビ視聴用アンテナは、
延長コネクタと、
前記延長コネクタに接続されるL型コネクタと、
前記L型コネクタに接続される屋内デジタル波を受信するスティック型アンテナと、を備えたことを要旨とする。
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る他のテレビ視聴用アンテナは、
湾曲コネクタと、
フランジ部分が形成された筒状筐体であって、当該フランジ部分と当該筒状部との境目部分に前記湾曲コネクタが挿通可能な切り欠きが形成された第一筒状筐体と、
前記湾曲コネクタに接続され、線対称に設けられる複数のフラット型アンテナ素子部からなるミラー型アンテナ本体と、
前記ミラー型アンテナ本体を収納する断面略扇形輪郭形状の筐体であって前記第一筒状筐体に回動可能に設けられる第一アンテナ収納筐体と、を備えたことを要旨とする。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る更なる他のテレビ視聴用アンテナは
湾曲コネクタと、
フランジ部分が形成された第二筒状筐体と、
前記第二筒状筐体に回動可能に設けられる筒状取付治具と、
前記湾曲コネクタに接続され、線対称に設けられる複数のフラット型アンテナ素子部からなるミラー型アンテナ本体と、
前記ミラー型アンテナ本体を収納する断面略扇形輪郭形状の筐体であって前記筒状取付治具の側面に回動可能に設けられる第二アンテナ収納筐体と、を備えたことを要旨とする。
【0013】
本発明に係る家電販売店舗用テレビ視聴システムは、本発明に係るテレビ視聴用アンテナを用いることが好ましく、また、本発明に係るテレビ視聴用アンテナは本発明に係る家電販売店舗用テレビ視聴システムに用いて好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る家電販売店舗用テレビ視聴システムは、分配デジタル波が複数の無線中継アンテナの全部又は一部から屋内デジタル波として送信された場合に、当該屋内デジタル波を前記家電販売店舗内の全エリアで受信できるように、前記複数の無線中継アンテナが配置されるため、テレビを当該家電販売店舗内のどこにでも展示することができ、テレビの配置自由度を高めることができるという効果がある。本発明に係る家電販売店舗用テレビ視聴システムは、上記構成に加え、更に、前記屋内デジタル波が、複数の家電販売店舗用テレビの背面に取り付けられる背面アンテナによって受信されるものであるから、放送波を有線でテレビに入力する必要がなくなるため、配線簡略化ができるという効果がある。また、配線簡略化により省スペース化もできるという効果がある。
【0015】
本発明に係るテレビ視聴用アンテナは、延長コネクタと、前記延長コネクタに接続されるL型コネクタと、前記L型コネクタに接続される屋内デジタル波を受信するスティック型アンテナとを備えたため、テレビ背面に設けられるUHF入力端子に延長コネクタを接続すれば、配線簡略化及び省スペース化を実現することができる。そのため、テレビの配置自由度を高めることができる。
【0016】
本発明に係るテレビ視聴用アンテナは、フランジ部分が形成された筒状筐体であって、当該フランジ部分と当該筒状部との境目部分に前記湾曲コネクタが挿通可能な切り欠きが形成された第一筒状筐体と、前記湾曲コネクタに接続され、線対称に設けられる複数のフラット型アンテナ素子部からなるミラー型アンテナ本体と、前記ミラー型アンテナ本体を収納する断面略扇形輪郭形状の筐体であって前記第一筒状筐体に回動可能に設けられる第一アンテナ収納筐体とを備えたため、(a)テレビ背面に設けられるUHF入力端子に湾曲コネクタを接続し、(b)フランジ部分を壁面や背面合わせで配置される他のテレビ背面に取り付け、あるいは、テレビ上面に設置すれば、配線簡略化及び省スペース化を実現することができる。そのため、テレビの配置自由度を高めることができる。また、第一アンテナ収納筐体は、回動可能であるため、指向性を高めることができる。
【0017】
本発明に係るテレビ視聴用アンテナは、湾曲コネクタと、フランジ部分が形成された第二筒状筐体と、前記第二筒状筐体に回動可能に設けられる筒状取付治具と、前記湾曲コネクタに接続され、線対称に設けられる複数のフラット型アンテナ素子部からなるミラー型アンテナ本体と、前記ミラー型アンテナ本体を収納する断面略扇形輪郭形状の筐体であって前記筒状取付治具の側面に回動可能に設けられる第二アンテナ収納筐体とを備えたため、テレビ背面に設けられるUHF入力端子に湾曲コネクタを接続し、(a)テレビ背面に設けられるUHF入力端子に湾曲コネクタを接続し、(b)フランジ部分を壁面や背面合わせで配置される他のテレビ背面に取り付け、あるいは、テレビ上面に設置すれば、配線簡略化及び省スペース化を実現することができる。そのため、テレビの配置自由度を高めることができる。また、筒状取付治具及び第二アンテナ収納筐体は、それぞれ回動可能であるため、指向性を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る家電販売店舗用テレビ視聴システム1のシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る(a)第一のテレビ視聴用アンテナ10の外観図、(b)延長コネクタ11の外観図、(c)L型コネクタ12の外観図である。
【図3】第一のテレビ視聴用アンテナ10をテレビ6の背面に取り付けた状態を示す図面代用写真である。
【図4】本発明の一実施形態に係る第二のテレビ視聴用アンテナ20の(a)外観斜視図、(b)平面図、(c)正面図、(d)背面図、(e)側面図、(f)底面図である。
【図5】第二のテレビ視聴用アンテナ20の(a)E−E線(図4参照)部分断面図、(b)F−F線(同図参照)部分断面図である。
【図6】第二のテレビ視聴用アンテナ20の(a)フラット型アンテナ素子部23a,23bの構成図、(b)ミラー型アンテナ本体23の構成図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る第三のテレビ視聴用アンテナ30の外観斜視図である。
【図8】第三のテレビ視聴用アンテナ30の(a)平面図、(b)側面図、(c)正面図、(d)背面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 家電販売店舗用テレビ視聴システム(家電販売店舗用テレビ視聴システム)
2 屋外UHFアンテナ(屋外デジタル波受信手段)
3 増幅器(増幅手段)
4 分配器(デジタル波分配手段)
5 無線中継アンテナ(無線中継アンテナ)
6 テレビ
W1 UHF帯域デジタル波(デジタル波)
W2 UHF帯域デジタル波を増幅した増幅デジタル波(増幅デジタル波)
W3 増幅デジタル波を分配した分配デジタル波(分配デジタル波)
W4 屋内デジタル波(屋内デジタル波)
10 テレビ視聴用アンテナ(テレビ視聴用アンテナ)
11 延長コネクタ(延長コネクタ)
12 L型コネクタ(L型コネクタ)
13 スティック型アンテナ(スティック型アンテナ)
20 テレビ視聴用アンテナ(テレビ視聴用アンテナ)
21 湾曲コネクタ(湾曲コネクタ)
22 第一筒状筐体(第一筒状筐体)
23 ミラー型アンテナ本体(ミラー型アンテナ本体)
24 第一アンテナ収納筐体(第一アンテナ収納筐体)
30 テレビ視聴用アンテナ(テレビ視聴用アンテナ)
31 筒状取付治具
32 第二筒状筐体(第二筒状筐体)
34 第二アンテナ収納筐体(第二アンテナ収納筐体)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
(家電販売店舗用テレビ視聴システム1)
図1に示す家電販売店舗用テレビ視聴システム1は、使用場所は特に限定されないが、家電販売店舗で用いるのに特に好適であり、屋外UHFアンテナ2と、増幅器3と、分配器4と、無線中継アンテナ5と、テレビ視聴用アンテナ10,20,30と、テレビ6とを備える。
【0021】
屋外UHFアンテナ2は、屋外に取り付けられ、UHF帯域デジタル波W1を受信するものである。屋外UHFアンテナ2は、UHF帯域デジタル波W1を受信できるものであれば特に限定されない。
増幅器3は、屋外UHFアンテナ2に接続され、デジタル波W1を増幅し、増幅された増幅デジタル波W2を出力するものである。
分配器4は、増幅器3に接続され、増幅デジタル波W2を当該家電販売店舗に設けられる複数の無線中継アンテナ5に分配デジタル波W3として分配する。また、増幅器3及び分配器4は、いわゆるギャップフィラー装置(特に、小型アンテナ方式のギャップフィラー装置が好ましい)で代替してもよい。
【0022】
複数の無線中継アンテナ5は、その全部又は一部から分配デジタル波W3が屋内デジタル波W4として無線で送信された場合に、当該屋内デジタル波W4を当該家電販売店舗内の全エリア又は所望の特定エリアで受信できるように配置される。従って、複数のテレビ6は、当該家電販売店舗内のどこでも電波を受信することができるため、従来のように特定の配置箇所に限られることなく、当該家電販売店舗内のどこにでも配置することができる。従って、複数のテレビ6の配置自由度を高めることができる。
【0023】
ここで、複数のテレビ視聴用アンテナ10,20,30は、複数のテレビ6の背面(図3参照)又は壁面に取り付けられ、あるいは、背面合わせで配置される他のテレビ背面、更には、テレビ6上面等に取り付け又は配置され、屋内デジタル波W4を受信する。複数のテレビ6は、テレビ視聴用アンテナ10,20,30によって受信された各電波を映像や音声として出力する。複数のテレビ視聴用アンテナ10,20,30として、家電販売店舗用テレビ視聴システム1は、以下に説明する第一〜第三のテレビ視聴用アンテナ10,20,30のいずれか又は複数を組み合わせて用いることができる。
【0024】
上記のように、複数の無線中継アンテナ5と複数のテレビ視聴用アンテナ10,20,30とは、無線で屋内デジタル波W4を送信又は受信する。従って、複数の無線中継アンテナ5と複数のテレビ視聴用アンテナ10,20,30とを接続するためのケーブルが不要となり、配線簡略化及び省スペース化を実現することができる。送受信される電波は屋内デジタル波W4であるため、従来のアナログ放送では問題となっていたゴースト現象は回避される。
【0025】
(第一のテレビ視聴用アンテナ10)
図2(a)に示すように、テレビ視聴用アンテナ10は、延長コネクタ11と、L型コネクタ12と、スティック型アンテナ13とを備える。
同図(b)に示す延長コネクタ11は、テレビ6の背面に設けられるUHF帯域波入力端子(F規格準拠)に接続される。ここで、同図(b)(i)は矢示A方向から、同図(b)(iii)は矢示B方向から視た図である。延長コネクタ11(F規格準拠)は、金属製の外表皮14が同軸ケーブル15を被覆した構造を備える。
【0026】
ここで、同図(b)に示す同軸ケーブル15は、例えば、テレビジョン受信用同軸ケーブル(例えば、JIS C3501準拠)と同様の構造を備える。すなわち、同軸ケーブル15は、衛星放送を含むテレビや関連機器間の接続に用いられるもので、内部導体15a、絶縁体15b、外部導体15c、シース15dから構成される。本実施形態においては、例えば、延長コネクタ11として、減衰量が0dBに設定されたアッテネータを用いることが好ましい。内部導体15a及び外部導体15cは、それぞれ、以下に説明するL型コネクタ12の内部導体12a及び外部導体12cに接続される。
【0027】
同図(c)に示すL型コネクタ12(F規格準拠)は、内部導体12aと、外部導体12cとを備え、上記のように延長コネクタ11に接続されるとともに、以下に説明するスティック型アンテナ13に接続される。ここで、同図(c)(ii)は矢示C方向から、同図(c)(iii)は矢示D方向から視た図である。
同図(a)に示すスティック型アンテナ13は、スティック型アンテナ本体13aと、絶縁部13bと、F型接栓部13cとからなり、L型コネクタ12に接続され、屋内デジタル波W4を受信する。スティック型アンテナ本体13aの芯線がL型コネクタ12の内部導体12aに接続され、F型接栓部13cが外部導体12cに接続される。
図3にテレビ視聴用アンテナ10をテレビ6の背面に設けられるUHF帯域波入力端子に取り付けた一例を示す。テレビ視聴用アンテナ10によれば、屋内デジタル波W4が無線で受信できるため、配線簡略化及び省スペース化が実現される。従って、テレビの配置自由度が高められる。
【0028】
(第二のテレビ視聴用アンテナ20)
図4〜図6に示すように、テレビ視聴用アンテナ20は、湾曲コネクタ21(図5、図7参照)と、第一筒状筐体22と、ミラー型アンテナ本体23と、第一アンテナ収納筐体24とを備える。テレビ視聴用アンテナ20は、高さ(奥行き)が10〜15cm程度の小型のものである。
第一筒状筐体22は、フランジ部分22aが形成された筒状筐体である。第一筒状筐体22は、そのフランジ部分22aとその筒状部との境目部分からラジアル方向にフランジ部分22aの周縁まで湾曲コネクタ21が挿通可能な切り欠き22bが形成される。従って、テレビ6が壁面に沿って設置される場合には、当該フランジ部分22aに形成される螺子孔22c等を介して螺子やビス等により、テレビ視聴用アンテナ20を、壁面や背面合わせで配置される他のテレビ背面等に取り付ければテレビ視聴用アンテナ20自体がテレビ画面側から隠れ、しかも、テレビ視聴用アンテナ20が小型であるため、配線簡略化及び省スペース化を実現することができる。また、第一筒状筐体22の上端部分は、後述する第一アンテナ収納筐体24の底部中央部に連結可能且つ回動可能な嵌合構造、係合構造(図示略)が採用される。
【0029】
ここで、湾曲コネクタ21は、図示を省略するが、図2(b)(iii)の符号15で示す同軸ケーブルと同様の構成を備える。従って、湾曲コネクタ21の同軸ケーブルについては、上記と同一の符号15を用いて説明する。そのため、湾曲コネクタ21を構成する同軸ケーブルとして、例えば、JIS規格 C3501準拠のものが用いられるがこれに限定されない。湾曲コネクタ21は、両端にF型接栓(内部導体15a及び内部導体15cを備える)が形成されるが、両端に形成される接続部分は、必要な信号を伝送できるものであれば特に限定されない。
湾曲コネクタ21は、その一端のうち内部導体15aが後述するフラット型アンテナ素子部23a(又は23b)の接続片25a(又は25b)に接続され外部導体15cが接続片25b(又は25a)にそれぞれ接続される。そして、湾曲コネクタ21の同軸ケーブル15は、第一筒状筐体22内部を挿通し、切り欠き22bから外部へ案内され所定の又は適当な長さのところで金属製の外表皮(図示略)により被覆され、これにより、当該湾曲コネクタ21の他端が形成される。当該湾曲コネクタ21の他端は、テレビ6の背面に設けられるUHF帯域波入力端子(F規格準拠)に接続される。
【0030】
図6(b)に示すようにミラー型アンテナ本体23は、同図(a)のフラット型アンテナ素子部23a,23bがミラーイメージで対向して設けられたもの、すなわち、これらが線対称に設けられたものからなる。本実施形態においては、二枚のフラット型アンテナ素子部23a,23bが用いられるがこれに限定されない。これらは平面視で略扇形輪郭形状(図4(b)参照)を呈するように配置される。ここで、本明細書及び特許請求の範囲において、「略扇形輪郭形状」とは、扇形の輪郭のうち湾曲部分の輪郭を除外した形状に、扇形の中心部が扇形の外側へ膨出した形状をいう(図4等参照)。
【0031】
フラット型アンテナ素子部23a,23bは、長方形状の枠導体26(上枠導体26UP,下枠導体26LOW、内枠導体26IN,外枠導体26OUTからなる)に縦横に格子導体27(縦格子導体27及び横格子導体27からなる)が設けられる。ミラー型アンテナ本体23の線対称の対称軸に最も近い内枠導体26INの中央部には、湾曲コネクタ21の一端(内部導体15a、外部導体15c)が接続される接続片25a,25bが形成されるが、接続片25a,25bの形成位置は特に限定されない。ミラー型アンテナ本体23のうち接続片25aが湾曲コネクタ21の内部導体15aに接続され、接続片25bがその外部導体15cに接続される(この逆でもよい)。
【0032】
また、内枠導体26INに隣接する縦格子導体27Tinと、当該線対称の対称軸から最も遠い外枠導体26OUTとの間は等間隔に縦格子導体27が設けられる。上枠導体26UPと下枠導体26LOWとの間に設けられる横格子導体27もまた等間隔に設けられるが、等間隔でなくてもよい。尚、各導体26,27は、厚さ0.5mm以内であり、幅W1が1〜5mm、間隔W2が1〜8mm、間隔W3が5〜15mm、間隔W4が5〜15mmである。また、フラット型アンテナ素子部23a,23は、縦10〜30mm、幅80〜130mmである。これらのサイズは小型化の観点によるものであり、特に限定されない。
【0033】
第一アンテナ収納筐体24は、ミラー型アンテナ本体23を収納する断面略扇形輪郭形状の筐体である。また、第一アンテナ収納筐体24は、第一筒状筐体22に回動可能に設けられる。具体的には、第一アンテナ収納筐体24の底部中央部に、当該第一筒状筐体22の上端部と連結可能な嵌合部、係合部、孔部、突起部等(図示略)が形成され、第一筒状筐体22に回動可能に取り付けられる。これにより、第一アンテナ収納筐体24に収納されるフラット型アンテナ素子部23a,23bが回動可能となり、屋内デジタル波W4に対する指向性が高まる。
【0034】
(第三のテレビ視聴用アンテナ30)
図7〜図8に示すように、テレビ視聴用アンテナ30は、湾曲コネクタ21と、筒状取付治具31と、第二筒状筐体32と、ミラー型アンテナ本体23と、第二収納筐体34とを備える。ここで、ミラー型アンテナ本体23は、第二収納筐体34に収納される。また、テレビ視聴用アンテナ30の大きさは、テレビ視聴用アンテナ20と同様である。湾曲コネクタ21及びミラー型アンテナ本体23は、テレビ視聴用アンテナ20で用いたものと同様であるため、同じ符号を用いている。
【0035】
筒状取付治具31は、ミラー型アンテナ本体23及びこれを収納する第二収納筐体34を取り付けるための筒状の治具であり、第二筒状筐体32に回動可能(矢示G方向)に嵌合、係合その他の類似手法により連結される。筒状取付治具31は、外周側面に平面形状部分31aが形成され、当該平面形状部分31aに第二収納筐体34と連結可能な嵌合部、係合部、孔部、突起部等が形成される。第二収納筐体34は、当該嵌合部、係合部、孔部、突起部等に回動可能(矢示H方向)に取り付けられる。
第二筒状筐体32は、フランジ部分32aが形成される。従って、テレビ6が壁面に沿って設置される場合には、当該フランジ部分32aに螺子孔等(図示省略)を設け、これを介して螺子やビス等で壁面に取り付ければアンテナ30自体をテレビ画面側から隠すことができ、且つ、アンテナ30が小型であるため、配線簡略化及び省スペース化を実現することができる。また、アンテナ30は、テレビ6上等に載置してもよい。
【0036】
第二収納筐体34は、上記のように、ミラー型アンテナ本体23を収納する断面略扇形輪郭形状の筐体であって筒状取付治具31の平面形状部分31aに回動可能に連結される。従って、第二収納筐体34は、フラット板アンテナ素子部23a,23bが位置する付近の扇形中央部34aに筒状取付治具31と連結可能な嵌合部、係合部、孔部、突起部等が形成され、筒状取付治具31に取り付けられる。すなわち、これに収納されるフラット型アンテナ素子部23a,23bがアンテナ30の設置面に対して水平方向(矢示G方向)にも鉛直方向(矢示H方向)にも回動可能となり、屋内デジタル波W4に対する指向性がアンテナ20よりも更に高まる。
【0037】
屋内デジタル波W4を受信するために用いられるテレビ視聴用アンテナ10,20,30は、上記の家電販売店舗用テレビ視聴システム1で用いることが特に好ましい。
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変が可能であるっs。上記説明では家電販売店舗用テレビ視聴システム1としたが、これに限定されるものではなく、例えば、複数台のテレビが設置される展示会、各種イベント等に応用することは本発明の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る家電販売店舗用テレビ視聴システム及びテレビ視聴用アンテナは、家電量販店舗内における家電製品の配置の自由度を高めるとともに省スペース化を図ることができるため、地上デジタル波受信機器の普及促進に供する点で産業上極めて有益である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に取り付けられるデジタル波を受信する屋外デジタル波受信手段と、
前記屋外デジタル波受信手段に接続され、前記デジタル波を増幅し、増幅された増幅デジタル波を出力する増幅手段と、
前記増幅手段に接続され、前記増幅デジタル波を当該家電販売店舗に設けられる複数の無線中継アンテナに分配デジタル波として分配するデジタル波分配手段とを備え、
前記分配デジタル波が前記複数の無線中継アンテナの全部又は一部から、屋内デジタル波として無線で送信された場合に、当該屋内デジタル波を前記家電販売店舗内の全エリアで受信できるように、前記複数の無線中継アンテナが配置されるとともに、
前記屋内デジタル波は、複数の家電販売店舗用テレビの背面又は壁面に取り付けられる複数のテレビ視聴用アンテナによって受信されることを特徴とする家電販売店舗用テレビ視聴システム。
【請求項2】
延長コネクタと、
前記延長コネクタに接続されるL型コネクタと、
前記L型コネクタに接続される屋内デジタル波を受信するスティック型アンテナと、を備えたことを特徴とするテレビ視聴用アンテナ。
【請求項3】
湾曲コネクタと、
フランジ部分が形成された筒状筐体であって、当該フランジ部分と当該筒状部との境目部分に前記湾曲コネクタが挿通可能な切り欠きが形成された第一筒状筐体と、
前記湾曲コネクタに接続され、線対称に設けられる複数のフラット型アンテナ素子部からなるミラー型アンテナ本体と、
前記ミラー型アンテナ本体を収納する断面略扇形輪郭形状の筐体であって前記第一筒状筐体に回動可能に設けられる第一アンテナ収納筐体と、を備えたことを特徴とするテレビ視聴用アンテナ。
【請求項4】
湾曲コネクタと、
フランジ部分が形成された第二筒状筐体と、
前記第二筒状筐体に回動可能に設けられる筒状取付治具と、
前記湾曲コネクタに接続され、線対称に設けられる複数のフラット型アンテナ素子部からなるミラー型アンテナ本体と、
前記ミラー型アンテナ本体を収納する断面略扇形輪郭形状の筐体であって前記筒状取付治具の側面に回動可能に設けられる第二アンテナ収納筐体と、を備えたことを特徴とするテレビ視聴用アンテナ。
【請求項5】
請求項1に記載の屋内デジタル波を受信するために用いられる請求項2〜4のいずれかに記載のテレビ視聴用アンテナ。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれかに記載のテレビ視聴用アンテナを用いた請求項1に記載の家電販売店舗用テレビ視聴システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−114762(P2012−114762A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263151(P2010−263151)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(500344367)株式会社日本総合施設 (3)
【Fターム(参考)】