説明

容器をブロー成形するための方法および装置

本発明による方法と装置は、容器をブロー成形するために用いる。この場合、パリソンを熱調整した後、ブロー成形型内部でブロー成形圧を作用させることによってパリソンを容器に成形する。パリソンを、少なくともその搬送経路の一部分に沿って、回転する受け渡しホイールによって保持されている担持要素によって位置決めする。担持要素は受け渡しホイールに対し相対的に可動に支持させる。担持要素はカム制御部によって位置決めされる。カム制御部は、担持要素を作業位置または静止位置において予め設定可能に配置させる位置決め可能なカムセグメントを有している。担持要素は、作業位置において受け渡し領域内へ送入され、静止位置においてこの受け渡し領域から離間して保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まずパリソンの熱調整を行い、次にブロー成形型内でパリソンにブロー成形圧を作用させることによりパリソンを容器に成形するようにした、容器をブロー成形するための方法であって、パリソンを、少なくともその搬送経路の一部分に沿って、回転する受け渡しホイールによって保持されている担持要素により位置決めし、担持要素に対し受け渡しホイールが相対的に可動に支持されており、担持要素をカム制御部によって位置決めするようにした前記方法に関するものである。
さらに、本発明は、ブロー成形型を備えた少なくとも1つのブローステーションと、パリソンを搬送経路に沿って位置決めするための少なくとも1つの担持要素とを有している、容器をブロー成形するための装置であって、担持要素が回転する受け渡しホイールによって保持され、受け渡しホイールが担持要素に対し相対的に可動に支持され、さらに担持要素のためのカム制御部が設けられている前記装置にも関わる。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形圧を作用させて容器を成形する場合、熱可塑性材料(たとえばPET(ポリエチレンテレフタラート)から成っているパリソンは、ブロー成形機内部において種々の加工ステーションに供給される。この種のブロー成形機は、典型的には、加熱装置とブロー成形装置とを有し、ブロー成形装置の領域において、予め温度調整したパリソンを両軸方向に配向することで該パリソンを膨張させ容器を形成させる。膨張は圧縮空気を用いて行われ、圧縮空気は膨張されるパリソンの内部へ導入される。パリソンをこのように膨張させる際の方法技術的なプロセスに関しては特許文献1に説明されている。その冒頭で説明されている、加圧状態にあるガスの導入部は、発生する容器のブローホールに圧力ガスを導入させる部分と、ブロー成形開始時にパリソンに圧力ガスを導入させる部分とを有している。
【0003】
容器を成形するためのブローステーションの基本的な構成に関しては特許文献2に記載されている。また、パリソンを温度調整する可能な態様に関しては特許文献3に説明されている。
【0004】
ブロー成形装置の内部では、パリソンとブロー成形された容器とを種々の操作装置を用いて搬送することができる。特に、パリソンを嵌合させる搬送心棒を使用することは公知である。しかし、他の搬送装置を用いてパリソンを操作することもでき、たとえばパリソンを操作するやっとこの使用、パリソンの保持のために該パリソンの口領域に挿入可能な拡開心棒の使用もその構造的な例である。
【0005】
搬送ホイールを使用した容器の操作はたとえば特許文献4に記載されており、1つの搬送ホイールをブローホイールと搬出路との間に配置し、他の搬送ホイールを加熱路とブローホイールとの間に配置する構成になっている。
【0006】
前述したパリソンの操作にはいわゆる2段階方式で行われるものがある。すなわち、まずパリソンを射出成形法で製造し、次に中間蓄積してその後温度に関しコンディショニングを行い、容器にブロー成形させる。他方いわゆる1段階方式を適用したものもある。この方式では、パリソンを射出成形技術で製造し十分に固化した直後に、適宜温度調整してブロー成形する。
【0007】
使用されるブローステーションに関しては種々の実施態様が知られている。回転搬送ホイール上に配置されるブローステーションの場合には、型担持体を本のように開閉させる構成のものが多い。他方、互いに変位可能な型担持体或いは他の態様で案内される型担持体を使用することも可能である。特に複数のキャビティを収容するのに適している位置固定の型担持体の場合には、互いに平行に配置された板を型担持体として使用するのが通常である。
【0008】
パリソンを操作し、ブロー成形した容器を操作するため、ブロー成形機内部にいわゆる受け渡しホイールが使用されることが多い。受け渡しホイールはパリソンまたは瓶のための担持要素を備えている。担持要素は、パリソンまたは瓶と直接に係合するか、或いは、パリソンまたは瓶を直接に保持する別個の搬送要素を必要とする。受け渡し工程を補助するため、担持要素は受け渡しホイールに対し典型的には回動可能に支持されている。補助的に、入れ子式に伸縮可能な構成も実現されることも多い。担持要素を予め位置設定するため、カム制御部が使用される。このため担持要素はカムローラによって、位置固定して配置されるカムを通過する。
【0009】
担持要素を備えたこの種の受け渡しホイールを使用する場合の問題は、機械的な支障が生じた場合、特に衝突が生じた場合に、重度の損傷が避けられないことである。このため、受け渡しホイールの領域で安全クラッチを使用して担持アームを支持することが知られている。この種の安全クラッチは高価であるばかりでなく、回転する受け渡しホイールの重量を増大させる。
【0010】
同様に、担持アームに能動的な位置決め要素を備えさせることもすでに知られている。これらの位置決め要素は、空気圧または電気的に担持アームを送出入させるように作業位置または静止位置に配置される。しかしながら、対応する位置決め装置は比較的高いコストを生じさせるとともに、受け渡しホイールの重量を増大させるものであり、その結果慣性特性を増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第4340291号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4212583号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第2352926号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第19906438号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって本発明の課題は、機械的構成が簡潔で、高い作動安定性が達成されるように、冒頭で述べた種類の方法を提供することである。
また、本発明の他の課題は、構造コストが低く、高い作動安定性が達成されるように、冒頭で述べた種類の装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するため、方法に関しては、担持要素が作業位置または静止位置のいずれか一方の位置で制御可能に配置されるように,担持要素がカム制御部の可動なカムセグメントと連結可能であることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明は、装置に関しては、カム制御部が可動なカムセグメントを有していること、担持要素が作業位置または静止位置のいずれか一方の位置で予め設定可能に配置されていることを特徴とするものである。
【0015】
可動なカムセグメントを使用することにより、担持要素を受け渡しホイールの領域で受け渡し位置から離間して保持させることが可能である。担持要素を、設定された受け渡しの領域でのみ、通常の作業工程とは異なるように位置決めすれば十分であることが明らかになった。その他の搬送経路においては、担持要素は通常の作動工程に対し設定されているカム軌道に追従する。
【0016】
通常の作動工程によれば、受け渡しホイールは送り込み領域と送り出し領域とを備えている。原理的には、送り領域にも送り出し領域にも、位置決め可能なカムセグメントを配置することが可能である。この場合、位置決め可能なカムセグメントはそれぞれアクチュエータと連結されていてよい。しかし、特に、通常の適用例に際しては、2つの可動なカムセグメントを共通の1つの駆動要素のみを使用して位置決めすれば十分であることが明らかになった。
【0017】
コンパクトな配置構成を達成するため、可動なカムセグメントはカム制御部のカム軌道とは異なる高さレベルに配置される。
【0018】
担持要素の連続的なガイドを可能にするため、担持要素は、カム軌道部に沿って案内するための少なくとも1つのカムローラと、カムセグメントに沿って案内するためのピックアップとを有している。
【0019】
磨耗の少ない作動を達成するため、ピックアップとしてカムローラが使用される。
【0020】
カムセグメントの位置を予め設定するため、カムセグメントは位置調整要素によって位置決めされる。
【0021】
コンパクトな配置構成は、位置調整要素がほぼ半径方向に指向する位置調整力をカムセグメントに対し作用させることによっても達成される。
【0022】
カムセグメントの位置を予め簡単に設定するため、位置調整要素はカムセグメントを回動させる。
【0023】
半径方向内側への待避運動を実施するため、担持要素は、カムセグメントを半径方向内側へ位置決めする際に静止位置を占め、カムセグメントを半径方向外側へ位置決めする際には作業位置を占める。
【0024】
受け渡し工程を実施するため、担持要素の担持アームをその運動経路に沿って回動させる。
【0025】
同様に、材料管理を補助するため、担持要素の担持アームはその運動経路に沿って入れ子式に伸縮される。
【0026】
工作物の受け渡しと送り出しは、やっとこ状の操作要素を使用して受け渡し工程を行なうことによって容易になる。
【0027】
受け渡しホイールの送り込み領域においても送り出し領域においても個々の受け渡し工程を互いに切離すため、担持要素を、位置決め可能なカムセグメントを使用して、送り込み領域においても送り出し領域においても、作業位置または静止位置に予め設定可能に配置する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】パリソンから容器を製造するためのブローステーションの斜視図である。
【図2】パリソンを延伸、膨張させるブロー成形型の縦断面図である。
【図3】容器をブロー成形するための装置の基本構成を説明するための概略構成図である。
【図4】加熱容量を増大させた加熱路の変形実施形態を示す図である。
【図5】位置決め可能な多数の担持アームを備えた受け渡しホイールの斜視図である。
【図6】図5の受け渡しホイールを下から見た、切離し位置で示した斜視図である。
【図7】図6の担持ホイールを担持アームの切離し位置で示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施形態を添付の図面を用いて詳細に説明する。
図1と図2はパリソン(1)をブロー成形して容器(2)を形成するための装置の基本構成図である。
【0030】
容器(2)の成形装置は実質的にブローステーション(3)から成り、ブローステーション(3)はパリソン(1)を挿着可能なブロー成形型(4)を備えている。パリソン(1)はたとえばポリエチレンテレフタラートから成る射出成形品である。パリソン(1)をブロー成形型(4)に挿着し、且つ完成した容器(2)を取り出すことができるようにするため、ブロー成形型(4)は型半部分(5,6)と底部(7)とから成っている。底部(7)は昇降装置(8)により位置決め可能である。パリソン(1)はブローステーション(3)の領域において搬送心棒(9)によって保持されていてよい。搬送心棒(9)は、パリソン(1)とともに、装置内部の多数の処理ステーションを通過する。他方、パリソン(1)をたとえばやっとこ或いは他の操作手段を介して直接ブロー成形型(4)に挿着するようにしてもよい。
【0031】
圧縮空気の誘導を可能にするため、搬送心棒(9)の下方には接続ピストン(10)が配置されている。接続ピストン(10)はパリソン(1)に圧縮空気を供給するとともに、搬送心棒(9)に対する密封の用をも成す。他方、変形実施形態では、固定の圧縮空気管を使用することも基本的には考えられる。
【0032】
パリソン(1)の引伸ばしは、本実施形態では、引伸ばし棒(11)を用いて行う。引伸ばし棒(11)はシリンダ(12)により位置決めされる。他の実施形態によれば、ピックアップローラによって付勢されるカムセグメントを介して引伸ばし棒(11)の機械的位置決めを行う。カムセグメントの使用は、特に、多数のブローステーション(3)が1つの回転ブロー成形ホイール上に配置されている場合に合目的である。
【0033】
図1に図示した実施形態の場合、引伸ばしシステムは、2つのシリンダ(12)のタンデム配置が可能であるように構成されている。引伸ばし棒(11)は、本来の引伸ばし工程を開始する前に、まず第1次シリンダ(13)によりパリソン(1)の底部(14)の領域まで移動させる。本来の引伸ばし工程を実施している間、引伸ばし棒を走出させた第1次シリンダ(13)は、該第1次シリンダ(13)を担持している往復台(15)とともに第2次シリンダ(16)により位置決めされ、或いはカム制御部を介して位置決めされる。特に、引伸ばし工程を実施している間に曲線軌道に沿って滑動するガイドローラ(17)により実際の引伸ばし位置が設定されるように、第2次シリンダ(16)をカム制御して使用することが考えられる。ガイドローラ(17)は第2次シリンダ(16)により案内軌道に対し押圧される。往復台(15)は2つの案内要素(18)に沿って滑動する。
【0034】
担持体(19,20)の領域に配置される型半部分(5,6)を閉じた後、ロック装置(40)を用いて担持体(19,20)を互いにロックさせる。
【0035】
パリソン(1)の口部分(21)の種々の形状に適合させるため、図2によれば、ブロー成形型(4)の領域に別個のスレッドインサート(22)を使用する。
【0036】
図2はブロー成形された容器(2)に加えて破線でパリソン(1)を示すとともに、成長している容器ブローホール(23)を概略的に図示したものである。
【0037】
図3はブロー成形機の基本構成を示す。ブロー成形機は加熱路(24)と回転ブローホイール(25)とを備えている。パリソン(1)はパリソン装入部(26)を起点として受け渡しホイール(27,28,29)により加熱路(24)の領域へ搬送される。加熱路(24)に沿って加熱要素(30)とファン(31)とが配置され、パリソン(1)を温度調整するようになっている。パリソン(1)を十分に温度調整した後、パリソン(1)はブローホイール(25)へ搬送される。ブローホイール(25)の領域にはブローステーション(3)が配置されている。ブロー成形を完了した容器(2)は他の受け渡しホイールにより排出路(32)に供給される。
【0038】
容器(2)内に充填される食料品の、特に飲料物の長い有効寿命を保証するような材料特性を容器(2)が有するようにパリソン(1)を容器(2)に成形するには、パリソン(1)の加熱と配向の際に特別な方法ステップを厳守する必要がある。さらに、特殊な寸法規定を厳守することにより有利な成果を得ることができる。
【0039】
熱可塑性材料としては種々のプラスチックを使用することができる。たとえばPET,PENまたはPPを使用できる。
【0040】
配向工程を実施している間のパリソン(1)の膨張は圧縮空気の供給により行う。圧縮空気の供給は、ガス(たとえば圧縮空気)を低圧レベルで供給するブロー成形前段階と、ガスを高圧レベルで供給する次のブロー成形主段階とに分ける。典型的には、ブロー成形前段階を実施している間は10バールないし25バールの範囲の圧力を持った圧縮空気を供給し、ブロー成形主段階を実施している間は25バールないし40バールの範囲の圧力を持った圧縮空気を供給する。
【0041】
図3からわかるように、図示した実施形態の場合、加熱路(24)は周回する多数の搬送要素(33)から形成され、これらの搬送要素(33)はチェーン状に互いに列設され、転向ホイール(34)によって案内されている。特に、チェーン状に配置することにより実質的に長方形の基本輪郭を張るよう想定している。図示した実施形態の場合、加熱路(24)の受け渡しホイール(29)側および装入ホイール(35)側の拡がり領域には比較的大きなサイズの単独の転向ホイール(34)が使用され、この領域に隣接している転向領域には比較的小サイズの2つの転向ホイール(36)が使用されている。しかし基本的には他の任意のガイドも考えられる。
【0042】
受け渡しホイール(29)と装入ホイール(35)とを互いに可能な限り密に配置することができるようにするにはこの種の配置が特に合目的であることが判明した。というのは、加熱路(24)の対応する拡がり領域には3つの転向ホイール(34,36)が位置決めされ、より厳密に言えば、小さいほうの転向ホイール(36)がそれぞれ加熱路(24)の直線部への移行領域に位置決めされ、大きいほうの転向ホイール(34)が受け渡しホイール(29)と装入ホイール(35)とに直接移行する領域に位置決めされているからである。チェーン状の搬送要素(33)を使用する代わりに、たとえば回転加熱ホイールを使用してもよい。
【0043】
容器(2)のブロー成形が終了した後、容器(2)は取り出しホイール(37)によりブローステーション(3)から搬出され、受け渡しホイール(28)と搬出ホイール(38)とを介して搬出路(32)へ搬出される。
【0044】
図4に図示した加熱路(24)の変形実施形態では、より多数の加熱要素(30)を設けることにより、単位時間当たりより大量のパリソン(1)を温度調整することができる。この変形実施形態では、ファン(31)が冷却空気を冷却空気管路(39)の領域へ誘導する。冷却空気管路(39)はそれぞれ付設の加熱要素(30)に対向配置され、排流穴を介して冷却空気を放出する。このように排流方向を設定することにより、冷却空気の流動方向は実質的にパリソン(1)の搬送方向に対し横方向に実現される。冷却空気管路(39)は、加熱要素(30)に対向している表面の領域に、加熱放射線のための反射器を備えていてもよい。同様に、放出された冷却空気を介して加熱要素(30)の冷却を行うようにしてもよい。
【0045】
図5は受け渡しホイール(41)を示している。受け渡しホイール(41)はたとえば前記受け渡しホイール(27,28,29)の少なくとも1つの受け渡しホイールのための位置に組み込むことができる。受け渡しホイール(41)は担持要素(42)を備え、担持要素(42)はパリソン(1)および/または容器(2)を操作するために用いる。図示した実施形態の場合、担持要素(42)は操作要素(43)と担持アーム(44)とから形成されている。操作要素(43)は、図示した実施形態の場合、やっとこ状に構成されており、回転軸線(47,48)に対し相対的に回動可能に担持アーム(44)によって保持されている2つのやっとこアーム(45,46)を有している。この種の操作要素(43)はパリソン(1)または容器(2)を直接把持する。しかし操作要素(43)を、パリソン(1)または容器(2)を担持する搬送要素と接触するように実施してもよい。この種の搬送要素はたとえば搬送心棒(9)として実施されていてよく、搬送心棒(9)上にパリソン(1)を嵌合させるか、或いは、搬送心棒(9)の内部にパリソン(1)をその開口領域でもって挿入させる。
【0046】
図5に示すように、担持要素(42)の位置決め運動を制御するため、互いに鉛直方向に配置されている2つのカム軌道部(49,50)が使用される。担持アーム(44)は回り継手(51)を介して受け渡しホイール(41)の中心要素(52)に固定されている。担持アーム(54)は回り継手(51)の領域に横レバー(53)を有し、横レバー(53)はカムローラ(54)を介してカム軌道部(49)に沿って案内されている。これにより、中心要素(52)が回転すると、担持アーム(44)は回動運動を行なう。図示した実施形態の場合、カムローラ(54)はカム軌道部(49)の内面に沿って案内されている。担持アーム(44)は入れ子式に構成されており、担持アーム(44)に入れ子運動を行なわせるために、カムローラ(55)を使用してカム軌道部(50)に沿って案内されている。図示した実施形態の場合、カムローラ(55)もカム軌道部(50)の内面に沿って案内されている。
【0047】
図5からわかるように、カム軌道部(50)の領域には可動なカムセグメント(56)が配置されている。カムセグメント(56)は内側へわずかに旋回しており、これによって、中央に図示した担持アーム(44)のカムローラ(55)をカム軌道部(50)の内面から持ち上げる。これにより、中央の担持アーム(44)の操作要素(43)は、受け渡しホイール(41)の回転軸線(57)に対し、作業位置に対応する位置よりもさらに内側へ配置される。したがって操作要素(43)は受け渡し領域から離間する。
【0048】
図6は図5の受け渡しホイール(41)を下から見た斜視図である。特にカムセグメント(56)が見て取れる。カムセグメント(56)は、その一端の領域において、回り継手(58)によりカム軌道部(50)と回転運動可能に結合されている。さらにカムセグメント(56)には位置調整要素(59)が係合しており、位置調整要素(59)は、図示した実施形態の場合、空気圧シリンダとして実施されている。位置調整要素(59)は回転運動可能にカムセグメント(56)と連結されている。図示した実施形態の場合、カムセグメント(56)は鉛直方向においてカム軌道部(50)の下方に配置されている。担持アーム(54)は、カムセグメント(56)に沿って案内するために設けられているピックアップ(60)を有している。ピックアップ(60)はカムローラとして実施するのが有利である。
【0049】
図示した実施形態の場合、ピックアップ(60)の回転軸はカムローラ(55)の延長部として配置されている。これにより、担持アーム(44)の案内を、カム軌道部(50)に沿ったカムローラ(55)の運動からカムセグメント(56)に沿ったピックアップ(60)の案内へ連続的に移行させるのを容易にするとともに、カム軌道部(50)に対するカムローラ(55)の新たな当接を容易にする。
【0050】
カムセグメント(56)の案内輪郭部(61)は、同様に連続的な運動移行が支援されるように構成されている。これにより受け渡しホイール(41)の高回転数も可能になる。
【0051】
図7は、図6の受け渡しホイールを、カムセグメント(56)を位置決めした後の作業位置で示したものである。これにより、ピックアップ(60)はもはや案内輪郭部(61)に沿って案内されず、担持アーム(44)のカムローラ(55)を再びカム軌道部(50)に沿って案内することができる。
【0052】
図6と図7からわかるように、担持アーム(54)はカムセグメント(56)の領域でのみ、標準運動軌道からずれている運動軌道を走行する。これにより、受け渡し工程を実施する際の連結切り離しを、装置コストを非常に安くして実現させることができる。
【0053】
担持要素(42)の作業位置とは、前述のように、該担持要素(42)がその操作要素(43)でもって少なくとも1つの受け渡し領域内へ案内され、ここでパリソン(1)または容器(2)の操作を行なうような位置である。静止位置とは、受け渡しホイール(41)によって設定される担持要素(42)の循環経路を該担持要素(42)が走行している際に、該担持要素(42)の操作要素(43)が少なくとも1つの受け渡し領域においてこの受け渡し領域から離間保持され、その結果操作要素(43)は通常の作業工程の際に設定される受け渡し工程を実施せず、潜在的な衝突範囲から離間保持されるような位置を言う。
【0054】
カムセグメント(56)の作業位置から静止位置への切換えおよびその逆の方向での切換えは、特に生産条件のもとで行なうことができ、すなわち受け渡しホイール(41)がフル回転数で作動している際に行なうことができる。これにより、使用される多数の受け渡しホイール(41)同士の同期性と、受け渡しホイール(41)と他の機能アッセンブリとの同期性とが得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
まずパリソンの熱調整を行い、次にブロー成形型内でパリソンにブロー成形圧を作用させることによりパリソンを容器に成形するようにした、容器をブロー成形するための方法であって、パリソンを、少なくともその搬送経路の一部分に沿って、回転する受け渡しホイールによって保持されている担持要素により位置決めし、担持要素に対し受け渡しホイールが相対的に可動に支持されており、担持要素をカム制御部によって位置決めするようにした前記方法において、
担持要素(42)が作業位置または静止位置のいずれか一方の位置で制御可能に配置されるように,担持要素(42)がカム制御部の可動なカムセグメント(56)と連結可能であることを特徴とする方法。
【請求項2】
カムセグメント(56)を、カム制御部のカム軌道部(49,50)とは異なる高さレベルで配置することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
担持要素(42)を、少なくとも1つのカムローラ(54,55)を用いてカム軌道部(49,50)に沿って案内するとともに、ピックアップ(60)を用いてカムセグメント(56)に沿って案内することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ピックアップ(60)としてカムローラを使用することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
カムセグメント(56)を位置調整要素(59)により位置決めすることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
位置調整要素(59)がカムセグメント(56)に対しほぼ半径方向の位置調整力を作用させることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
位置調整要素(59)がカムセグメント(56)を回動させることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
担持要素(52)は、カムセグメント(56)を半径方向内側へ位置決めする際に静止位置を占め、カムセグメント(56)を半径方向外側へ位置決めする際には作業位置を占めることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
担持要素(42)が担持アーム(44)を有し、該担持アーム(44)をその運動経路に沿って回動させることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
担持要素(42)の担持アーム(44)をその運動経路に沿って入れ子式に伸縮させることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
受け渡し工程をやっとこ状の操作要素(43)を使用して行なうことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
担持要素(42)を、位置決め可能なカムセグメント(56)を使用して、送り込み領域においても送り出し領域においても、作業位置または静止位置に予め設定可能に配置することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
ブロー成形型を備えた少なくとも1つのブローステーションと、パリソンを搬送経路に沿って位置決めするための少なくとも1つの担持要素とを有している、容器をブロー成形するための装置であって、担持要素が回転する受け渡しホイールによって保持され、受け渡しホイールが担持要素に対し相対的に可動に支持され、さらに担持要素のためのカム制御部が設けられている前記装置において、
カム制御部が可動なカムセグメント(56)を有していること、
担持要素(42)が作業位置または静止位置のいずれか一方の位置で予め設定可能に配置されていること、
を特徴とする装置。
【請求項14】
カムセグメント(56)が、カム制御部のカム軌道部(49,50)とは異なる高さレベルで配置されていることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
担持要素(42)が、カム軌道部(49,50)に沿って案内するための少なくとも1つのカムローラ(54,55)と、カムセグメント(56)に沿って案内するためのピックアップ(60)とを有していることを特徴とする、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
ピックアップ(60)がカムローラとして構成されていることを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
カムセグメント(56)が位置設定のための位置調整要素(59)と連結されていることを特徴とする、請求項13から16までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項18】
位置調整要素(59)は、その縦軸線が受け渡しホイール(41)の回転軸線(57)に対しほぼ半径方向に位置するように配置されていることを特徴とする、請求項13から17までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項19】
カムセグメント(56)が回動可能に配置されていることを特徴とする、請求項13から18までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項20】
カムセグメント(56)が、出発位置において半径方向外側に配置され、切離し位置において半径方向内側に配置されていることを特徴とする、請求項13から19までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項21】
担持要素(42)が回動可能に配置されていることを特徴とする、請求項13から20までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項22】
担持要素(42)が入れ子式に伸縮可能に配置されていることを特徴とする、請求項13から22までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項23】
担持要素(42)がやっとこ状の操作要素(43)を備えていることを特徴とする、請求項13から226までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項24】
受け渡しホイール(41)が位置決め可能な2つのカムセグメント(56)を備えていることを特徴とする、請求項13から23までのいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−520089(P2010−520089A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552058(P2009−552058)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際出願番号】PCT/DE2008/000253
【国際公開番号】WO2008/106921
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(509017365)カーハーエス コーポプラスト ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (15)
【Fターム(参考)】