説明

容器グリッパ

【課題】固定アーム38、40と開閉アーム22とで容器4を保持する容器グリッパ18を径の異なる容器4A、4Bに兼用できるようにする。
【解決手段】大径容器用の容器保持面38aを有する第1固定アーム38と、小径容器用の容器保持面40bを有する第2固定アーム40と、第2固定アーム40を、その容器保持面40bが第1固定アーム38の容器保持面38aよりも前方位置と後方位置とに移動させる移動手段46と、いずれか一方の固定アームとともに容器を保持する開閉アーム22と、開閉アーム22を開閉させる開閉手段(開放カム20、24とカムフォロア66)と、開閉アーム22を、大径容器4Aを保持する位置に停止させるストッパ52と、小径容器4Bを保持する位置に停止させるストッパ60とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は缶等の容器を保持するグリッパに係り、特に、径の異なる容器に兼用可能な容器グリッパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
広口の缶に液体を充填する缶フィラの容器グリッパとして、固定アームと開閉アームとで缶を保持する構成のものが従来から知られている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載された容器把持装置3(本発明の容器グリッパに相当する)は、ロータリ式充填機5のロータリテーブル9の外周上に等間隔で固定された固定アーム12と、固定アーム12上に設けられた支点ピン13により揺動自在に支持された揺動アーム4(本発明の開閉アームに相当する)と、揺動アーム4を閉じる方向へ付勢するスプリング18と、揺動アーム4の閉じ角を規制するストッパ19と、閉じる方向へ付勢されている揺動アーム4を開く開放手段としてのカムフォロア15と固定カム16とから構成されている。
【0003】
前記容器把持装置3では、容器1がスターホイール2からロータリテーブル9に受け渡された際は、揺動アーム4に設けられたカムフォロア15が固定カム16に係合して、揺動アーム4が開の状態になっており、容器1がスムーズに固定アーム12内に受け渡される。そして、ロータリ式充填装置5の回転に伴い、カムフォロア15が固定カム16と係合しない位置に来ると、揺動アーム4はスプリング18の付勢力で閉じられ、ストッパ19に当接して容器1を把持する。
【0004】
容器1はこの固定アーム12と揺動アーム4とで把持された状態で充填され、充填が完了すると、カムフォロア15が再び固定カム16と係合して、揺動アーム4をスプリングに抗して開の方向へ回動させる。すると、揺動アーム4による容器1の把持状態は解除され、排出コンベヤ上に押し出すことができる。この特許文献1に記載された容器把持装置3のように、固定アーム12と揺動アーム4とで容器を把持する構成の場合には、缶を排出する際は、液がこぼれることを抑えるために、揺動アーム4を開放して固定アーム12によって接線方向に押し出して排出する。
【特許文献1】特開平10−101193号公報(第2−3頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明のように、容器グリッパが固定アームと開閉アームから構成されている場合には、径の異なる複数種類の容器に兼用しようとすると、開閉アームの停止位置を変更するだけでは、容器を安定した状態で保持することができず、また、保持された容器のセンターがずれてしまうので、兼用することが困難であった。そのため、従来は、容器グリッパをアタッチメント化して、容器のサイズに応じて交換するようにしていた。このような従来の構成では、多数のアタッチメントを用意しなければ成らず、しかも、その保管場所も必要であり、コスト高であった。さらに、アタッチメントの交換作業に時間がかかるという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、固定アームと、開閉アームと、開閉アームを開閉させる開閉手段と、開閉アームの停止位置を規制するストッパとを備え、前記固定アームと開閉アームとにより容器を保持する容器グリッパにおいて、前記固定アームを、第1固定アームと、この第1固定アームの容器保持面に対して前進位置と後退位置とに移動可能な第2固定アームとから構成するとともに、前記開閉アームを、固定アームに接近した第1停止位置と固定アームから離れた第2停止位置に位置決めするストッパとを設け、大径の容器を保持する際には、第2固定アームを後退位置に移動して、第1固定アームと第2停止位置にある開閉アームとで容器を保持し、一方、小径の容器を保持する際には、第2固定アームを前進位置に移動して、第2固定アームと第1停止位置にある開閉アームとで容器を保持することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の容器グリッパは、大径の容器を保持するための固定アーム(第1固定アーム)の他に、小径の容器を保持するための第2固定アームを、第1固定アームの容器保持面よりも前方と後方に移動できるように配置するとともに、ストッパを、小径の容器を保持するための第1停止位置と、大径の容器を保持するための第2停止位置とに位置決めできるようにしたことにより、大径の容器と小径の容器に兼用した場合でも、アタッチメントの交換の必要が無く、短時間で型替えが可能であり効率的である。また、多数のアタッチメントを用意する必要が無く、コストダウンを図ることができ、アタッチメントの保管スペースも必要なくなる。しかも、大小の容器に兼用しても、これら容器のセンターがずれること無く保持することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1固定アームと、この第1固定アームの容器保持面よりも前進した位置と後退した位置とに移動可能な第2固定アームと、これら第1固定アームと第2固定アームのいずれかとともに容器を保持する開閉アームと、この開閉アームを、容器を保持する閉鎖位置と容器を解放する開放位置とに移動させる開閉手段と、第1固定アームとともに大径の容器を保持する際の開閉アームの停止位置である第2停止位置に位置決めするストッパと、第2固定アームとともに小径の容器を保持する際の開閉アームの停止位置である第1停止位置に位置決めするストッパを設けるという構成にしたので、第2固定アームの移動によって大径の容器と小径の容器とに兼用することができ、アタッチメントの交換をすることなく効率的に型替えを行うという目的を達成する。
【実施例1】
【0009】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係る容器グリッパを備えたロータリ式フィラの全体の配置を示す平面図、図2はこのロータリ式フィラに設けられた容器グリッパの一つを示す縦断面図である。容器搬送コンベヤ2によって搬送されてきた容器4は、供給ホイール6を介してロータリ式フィラ8に供給される。このロータリ式フィラ8の回転体10の外周部には、円周方向等間隔で複数の容器載置台12が設けられている。容器載置台12は、回転体10の外周に取り付けられたベース14上の、回転体10の半径方向外方側(図2の左側)に取り付けられており、前記供給ホイール6から容器載置台12上に容器4が供給される。容器載置台12と同じベース14上の、回転体10の半径方向内方側にこの実施例に係る容器グリッパ18が配置されており、前記供給ホイール6から容器載置台12上に供給された容器4をグリップする。なお、図2には示さないが、ロータリ式フィラ8の回転体10の回転中心O1(図1参照)は、図2の右方向に位置している。
【0010】
供給ホイール6からロータリ式フィラ8への容器4の供給位置Aには、グリッパ開放カム20が配置されており、後に説明する容器グリッパ18の開閉アーム22を開放する。開閉アーム22が開放した状態で、前記供給ホイール6から容器グリッパ18内に容器4が挿入され、その後、グリッパ開放カム20を通過して開閉アーム22が閉じると、容器グリッパ18によって容器4がグリップされる。容器載置台12上の容器4が容器グリッパ18によって保持され、回転体10の回転に伴って回転搬送される間に、各容器載置台12の上方に設けられた充填ノズル(図示せず)から容器4内に液体が充填される。
【0011】
充填が終了した容器4は、ロータリ式フィラ8の容器排出位置Bに到達する。この容器排出位置Bには、出口側のグリッパ開放カム24が配置されており、このグリッパ開放カム24によって、容器グリッパ18の開閉アーム22を開放する。容器排出位置Bに隣接して、このロータリ式フィラ8の回転体10の接線方向に延びる排出コンベヤ26が配置されており、さらに、この排出コンベヤ26に沿って、容器取り出し機構32が配置されている。この容器取り出し機構32は、排出コンベヤ26と平行して配置されたチェーン28に等間隔で多数の爪30が取り付けられて循環するようになっており、開閉アーム22が開放した容器グリッパ18から、前記爪30が容器4を取り出して排出コンベヤ26上に排出し、この排出コンベヤ26とともに容器4を搬送する。その後、搬送コンベヤ26によって容器4は次の工程に送られる。
【0012】
次に、図2ないし図6により、容器グリッパ18について説明する。上下二枚の長方形のプレート34、35をボルト36によって連結したベース14が、ロータリ式フィラ8の回転体10の外周部側に取り付けられている。このベース14上の半径方向外方側(図2および図3の左側)に前記容器載置台12が取り付けられている。そして、この容器載置台12の半径方向内方側に、容器グリッパ18が設けられている。この実施例では、容器グリッパ18は、固定アーム38(以下第1固定アームと呼ぶ)と、可動アーム40(以下第2固定アームと呼ぶ)と、開閉アーム22とを備えている。
【0013】
第1固定アーム38は、2枚のプレート38A、38Bが上下に間隔をあけて配置されており、容器載置台12から遠い側(図2および図3の右側)の2箇所がボルト42によって固定されている。第1固定アーム38の容器保持面38aは、この実施例に係る容器グリッパ18がグリップする大径の容器(図4に示す大径の缶4A)の外径にほぼ一致する内径の円弧状をしており、回転体10の回転方向後方側(図3の上部)の端部38bが長く(回転体10の半径方向外方へ伸びている)、回転方向前方側の端部38cが、前記後方側端部38bよりも短くなっている。この第1固定アーム38の容器保持面38aは、容器4を収容したときには、大径容器4Aのほぼ半周を保持するようになっている。なお、図3および図4の矢印Rは、このロータリ式フィラ8の回転体10の回転方向を示す。
【0014】
上下2枚のプレート38A、38Bから成る前記第1固定アーム38の中間に、第2固定アーム40が配置されている。第2固定アーム40は、ロータリ式フィラ8の運転時には固定された状態であるが、容器4のサイズを切り換える際に移動させることにより異なる容器4に対応することができる。この第2固定アーム40は、支点ピン44を中心に回動可能なレバーであり、前記ベース14上に回転体10の半径方向外方を向けて固定されたエアシリンダ46によって回動される。エアシリンダ46のピストンロッド46aに、上下2本の連結バー48(48A、48B)が相対回転可能に連結され、これら連結バー48の他端が、前記第2固定アーム40のほぼ中間部に相対回転可能に連結されている。これら連結バー48(48A、48B)は、第2固定アーム40の上面と下面に連結されるとともに、上下の第1固定アーム38(38A、38B)の内面に摺接する。第2固定アーム40の回動端40a寄り(図3の上部側)に形成された円弧状の容器保持面40bは、このロータリ式フィラ8によって液体が充填される小径の容器4B(図3に示す小径の缶)の外径とほぼ一致する内径を有している。第2固定アーム40は、エアシリンダ46の作動によって後退したときには、その容器保持面40bが、第1固定アーム38の容器保持面38aよりも後方に位置し(図4に示す位置)、前進したときには、容器保持面40bが、第1固定アーム38の容器保持面38aよりも前方に位置する(図3に示す位置)。
【0015】
第1固定アーム38の、回転体10の回転方向前方側(図3の下側)のほぼ中央部に、上下2枚のプレート38A、38Bを貫通して垂直な回転軸50が回転可能に支持されている。この回転軸50に、前記開閉アーム22の一端が取り付けられて回転できるようになっている。この開閉アーム22の先端部22aは、保持する容器4の側に向かって湾曲している(図3および図4参照)。開閉アーム22の先端部22aは、前記第1固定アーム38および第2固定アーム40の容器保持面38a、40bに対し、容器載置台12上の容器4の載置位置を挟んで向かい側に位置しており、この開閉アーム22を容器載置台12の中心方向に向かって回転させると、前記先端部22aの内面側が容器4(4Aまたは4B)の外面に当接して、第1固定アーム38または第2固定アーム40の容器保持面38a、40bとともに容器載置台12上の容器4(4Aまたは4B)を保持することができる。
【0016】
前記第2固定アーム40の支点ピン44側の端部寄りに、内部へ伸びる切り欠き40cが形成されており(図5参照)、この切り欠き40c内に垂直方向のストッパピン52が取り付けられている。切り欠き40cは、前記開閉アーム22と同じ高さに形成されており、開閉アーム22が閉じる方向に回転して前記ストッパピン52に当接したときに、この開閉アーム22の移動を停止させることができる。この実施例では、開閉アーム22の支点である回転軸50寄りの内面側(保持する容器4側)に段部が形成されて、回転軸50寄りの部分22bが高くなっており、第2固定アーム40が後退した位置にあるときには(図4の状態)、開閉アーム22の段部の高い側22bがこのストッパピン52に当たってそれ以上閉じる側に移動できないようになっている。つまり、このストッパピン52が大径容器4A用のストッパとして機能する。逆に第2固定アーム40が前進した位置にあるときには、図3に示すように、開閉アーム22の段部の低い側22cがストッパピン52に向かい合うようになり、開閉アーム22のストッパとしての機能は果たさない。
【0017】
開閉アーム22が取り付けられた回転軸50は、前記ベース14の上側プレート34を貫通して下方へ伸びており、その下端部に揺動レバー54の中間部が連結されている(図2参照)。従って、この揺動レバー54が揺動すると、回転軸50が一体的に回転し、その上部に取り付けられている前記開閉アーム22を回転させる。揺動レバー54は、その一端部54a(図6の右端)からほぼ1/3程度の位置に前記回転軸50が連結されている。この揺動レバー54の回転軸50から遠い側の端部54b(図2および図6参照)に引っ張りコイルばね56の一端が連結されている。この引っ張りコイルばね56の他端は、前記ベース14の上側プレート34の下面に固定されたばね取り付けピン58(図5参照)に連結されて、常時、開閉アーム22を閉じる方向(第1固定アーム38または第2固定アーム40の容器保持面38a、40bに接近する方向)に引き付けている。揺動レバー54の他端側54aは、前記のように開閉アーム22を閉じる方向に引き付けたときには、前記ベース14の上側プレート34の下面に取り付けられた小径容器用ストッパ60に当たって停止するようになっている。
【0018】
前記揺動レバー54(以下第1揺動レバーと呼ぶ)に隣接し、かつ、一段低い高さにく字状の揺動レバー62(以下第2揺動レバーと呼ぶ)が配置されている(図2および図6参照)。この第2揺動レバー62は、ベース14の下側プレート35上の、回転体10の半径方向外方側の端部寄りに固定された支点ピン64に、く字状に折れ曲がった中間部が支持されて、水平面内で回転できるようになっている。第2揺動レバー62の、回転体10の半径方向外方側を向いた端部(図2および図6の左端)に、カムフォロア66が取り付けられている。また、第2揺動レバー62の他端部には、直立したピン68(以下、駆動ピンと呼ぶ)が取り付けられており、この駆動ピン68の下端に、引っ張りコイルばね70の一端が連結されている。この引っ張りコイルばね70の他端は、前記ベース14の下側プレート35上に固定されたばね取り付けピン72に連結されている(図5参照)。
【0019】
前記供給ホイール6からロータリ式フィラ8への容器供給位置Aには、グリッパ開放カム20が設けられ、また、ロータリ式フィラ8から排出コンベヤ26への容器排出位置Bにもグリッパ開放カム24が設けられている。これらグリッパ開放カム20、24は、容器グリッパ18が取り付けられているベース14の、回転体10の半径方向外方側に位置している(図2の左側参照)。前記引っ張りコイルばね70に一端部が引っ張られた第2揺動レバー62の、他端側に取り付けられているカムフォロア66は前記グリッパ開放カム20、24方向に付勢されている。このグリッパ開放カム20、24によってカムフォロア66がベース14の内部側に向かって押し込まれると(図6中に2点鎖線の引き出し線で符号66を付したカムフォロア参照)、第2揺動レバー62が前記支点ピン64を中心に回転する(図6の時計回り方向に回転)。すると、第2揺動レバー62のカムフォロア66と逆の端部に取り付けられて引っ張りコイルばね70が連結されている駆動ピン68が、図6の下方側へ移動して(図6中に2点鎖線の引き出し線で符号68を付したピン参照)、前記第1揺動レバー54の側面を押す。駆動ピン68に押された第1揺動レバー54は、回転軸50を中心に図6の反時計回り方向へ回転する(図6中に2点鎖線の引き出し線で符号54を付した第1揺動レバー参照)。
【0020】
第1揺動レバー54の回転に伴って、回転軸50および上方の開閉レバー22が回転する。開閉レバー22は、前記第1揺動レバー54と同方向(図3の反時計回り方向)に回転し、容器グリッパ18が開放した状態になる(図3および図4中に2点鎖線の引き出し線で符号22を付した開閉アーム参照)。また、カムフォロア66がグリッパ開閉カム20、24が設置された位置を通過し、引っ張りコイルばね70に引かれて元の位置に戻ると、前記駆動ピン68が第1揺動レバー54から後退し、第1揺動レバー54は引っ張りコイルばね56に引かれて元に戻り、引っ張りコイルばね56に引かれている端部54bと逆の端部54aが、小径容器用ストッパ60に当たって停止する(図3示す状態)。あるいは、端部54aが小径容器用ストッパ60に当たる前に、開閉アーム22の内面側の高い部分22bが大径容器用ストッパ52に当たって停止する(図4に示す状態)。
【0021】
以上の構成に係る容器グリッパ18を備えたロータリ式フィラ8の作動について説明する。供給コンベヤ2によって搬送されてきた容器4は、供給ホイール6を介してロータリ式フィラ8内に供給される。ロータリ式フィラ8には、回転体10の外周部に円周方向等間隔で容器載置台12およびこの容器載置台12に供給された容器4を保持する容器グリッパ18が設けられている。この容器グリッパ18は大小の容器4(4A、4B)に兼用できるようになっており、そのサイズに応じて第2固定アーム40(可動アーム)を移動させる。例えば、小径の容器4B(小径缶)に充填を行う場合は、エアシリンダ46を作動させて第2固定アーム40を前進させる。このときには、第2固定アーム40の容器保持面40bが、第1固定アーム38の容器保持面38aよりも前方に移動する。従って、小径の容器4Bをグリップする場合には、第1固定アーム38は使用せず第2固定アーム40の容器保持面40bで容器を保持する。
【0022】
供給ホイール6からロータリ式フィラ8への容器受け渡しを行う容器供給位置Aには、グリッパ開放カム20が配置されており、容器グリッパ18が容器供給位置Aに接近すると、前記く字状の第2揺動レバー62の一端に設けられているカムフォロア66がこのグリッパ開放カム20に係合して押し込まれる。カムフォロア66がグリッパ開放カム20に押されて第2揺動レバー62が、図6の時計回り方向に回転すると、カムフォロア66と逆の端部に取り付けられている駆動ピン66が引っ張りコイルばね70に抗して図6の下方側に移動して、第1揺動レバー54の側面を押圧する。第1揺動レバー54は、非作動時には、一端54b(図6の左側端部)が引っ張りコイルばね56に引かれ、逆の端部54aが小径容器用のストッパ60に当たって停止している。この状態から、第1揺動レバー54が駆動ピン68によって側面を押されると、図6の反時計回り方向に回転する。この回転が、回転軸50を介して上方の開閉アーム22に伝達され、開閉アーム22が図3の反時計回り方向に回転する。
【0023】
開閉アーム22が開放して第2固定アーム40と開閉アーム22との間隔が開いた状態の中に、供給ホイール6から容器4が挿入される。その後、回転体10の回転により、容器グリッパ18がグリッパ開放カム20の位置を通過すると、カムフォロア66が取り付けられている第2揺動レバー62が引っ張りコイルばね70に引かれて反時計回り方向に回転して元の位置に戻り、第1揺動レバー40を押していた駆動ピン68が後退して、第1揺動レバー54は、引っ張りコイルばね56に引かれている端部54bと逆の端部54aが小径容器用ストッパ60に当たって停止する。この状態になると、図3に示すように、小径容器4(4B)が第2固定アーム40の容器保持面40bと開閉アーム22の先端部22aの内面との間に保持された状態になる。
【0024】
容器グリッパ18に保持された小径容器4Bは、回転体10の回転により回転搬送される間に、各容器載置台12の上方に設けられている充填ノズル(図示せず)から液体が充填される。充填が終了した容器4Bが、容器排出位置Bに到達すると、前記容器供給位置Aと同様にグリッパ開放カム24が設けられており、カムフォロア66が開放カム24に押されることにより開閉アーム22が開放する。開閉アーム22が開放すると、容器4Bは回転方向後方側から第2固定アーム40の容器保持面40bによって回転体10の接線方向に押されるとともに、排出コンベヤ26上を移動している容器取り出し機構32の爪30によって取り出されて排出コンベヤ26上に排出される。その後、この排出コンベヤ26によって搬送されて次の工程に送られる。
【0025】
大径の容器4(4A)に液体を充填する場合には、エアシリンダ46の作動により第2固定アーム40を後退させる(図4に示す状態)。第2固定アーム40の容器保持面40bを第1固定アーム38の容器保持面38aよりも後方に後退させることにより、大径の容器4Aの場合には、第1固定アーム38の容器保持面38aによって容器4Aを保持する。この場合にも、開閉アーム22の開閉作動は前記小径容器4Bの場合と同様に行われるが、第2固定アーム40が後退しているので、この第2固定アーム40の内部に設けられている大径容器用ストッパ52が後方に移動しており(図3の位置から図4の位置に移動する)、開閉アーム22の段部の高い側22bが大径容器用ストッパ52に当たることになり、大径容器4Aを保持する位置(請求項1の第2停止位置)で停止する。このように大径容器4Aを保持する状態と小径容器4Bを保持する状態とに簡単に切り換えて兼用することができる。従って、型替えに時間がかからず、作業効率が向上する。また、アタッチメントを多数用意する必要が無く、コストダウンができる。しかも、アタッチメントの保管スペースも必要が無くなり、スペースの有効利用ができる。しかも、大径容器4Aを保持する場合と小径容器4Bを保持する場合で、開閉アーム22の停止位置を変えるとともに、固定アームの容器保持面の位置も、第1固定アーム38と第2固定アーム40によって変えることにより、大径容器4Aと小径容器4Bのセンターの位置を変えずにこれら容器4(4A、4B)を保持することができる。充填を行う容器が缶の場合には、開口部のサイズが大きいので兼用する容器のセンターがずれても充填が可能であるが、口部の小さい容器の場合には、センターの位置がずれると充填ができなくなってしまう。この実施例のようにサイズの異なる容器4Aと4Bのセンターの位置を一致させておけば、どのような容器に対しても充填可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例に係る容器グリッパを備えたロータリ式フィラの全体の配置を示す平面図である。(実施例1)
【図2】前記容器グリッパの縦断面図である。
【図3】前記容器グリッパで小径容器を把持する場合を説明する平面図である。
【図4】大径容器を保持する場合の作動を説明する平面図である。
【図5】容器グリッパおよびその開閉手段を示す横断面図である。
【図6】開閉手段の動作を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0027】
20 グリッパ開放カム(開閉手段)
22 開閉アーム
24 グリッパ開放カム(開閉手段)
38 第1固定アーム
38a 第1固定アームの容器保持面
40 第2固定アーム
40b 第2固定アームの容器保持面
52 ストッパ(大径容器用ストッパ)
60 ストッパ(小径容器用ストッパ)
66 カムフォロア(開閉手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定アームと、開閉アームと、開閉アームを開閉させる開閉手段と、開閉アームの停止位置を規制するストッパとを備え、前記固定アームと開閉アームとにより容器を保持する容器グリッパにおいて、
前記固定アームを、第1固定アームと、この第1固定アームの容器保持面に対して前進位置と後退位置とに移動可能な第2固定アームとから構成するとともに、前記開閉アームを、固定アームに接近した第1停止位置と固定アームから離れた第2停止位置に位置決めするストッパとを設け、
大径の容器を保持する際には、第2固定アームを後退位置に移動して、第1固定アームと第2停止位置にある開閉アームとで容器を保持し、一方、小径の容器を保持する際には、第2固定アームを前進位置に移動して、第2固定アームと第1停止位置にある開閉アームとで容器を保持することを特徴とする容器グリッパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−23919(P2010−23919A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191229(P2008−191229)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】